明 細 書 嵩密度の高い [S, S] —エチレンジァミン一 N, N' ージコハク酸の結晶及び その取得方法 技術分野
本発明は嵩密度の高い [S, S] —エチレンジァミン一 N, N' —ジコハク酸 の結晶及び該結晶を収率良く取得する方法に関する。 [S, S] —エチレンジァ ミン一 N, N' ージコハク酸 (以下、 [S, S] — EDDSと略記する) は生分 解キレート剤として洗浄剤組成物、 写真用漂白剤、 無電解メツキ助剤及び過酸化 物安定剤等の用途が期待されている。
背景技術
エチレンジァミン一 N, N' —ジコハク酸の [S, S] —異性体の製造方法と しては、 ( 1 ) N e a 1及び R o s eらの塩基性水性媒体中での L—ァスパラギ ン酸とジブロムェタンからの化学合成法 (I n o r g a n i c
Ch era i s t r y、 第 7卷、 第 2405— 24 1 2頁 (1 968) ) 、 (2) P a t e l R. N. らの水酸化カルシウム存在下での Lーァスパラギン酸とジ ブロムェタンからの化学合成法 (WO 95— 1 25 70号公報) 、 (3) 遠藤ら のフマル酸とエチレンジァミンからの酵素的合成法 (特開平 9一 1 403 90号 公報及び E P— A— 08052 1 1号公報) 、 (4) T.
N i s h i k i o r i ら (J . An t i b i o t . 3 7, 426-427 (1 9 94) ) 及び Z. H a n sら (WO 9636 725号公報) の放線菌を用いる発 酵法、 等が知られている
[S, S] 一 EDDSの回収方法としては、 Ne a 1及び R o s eらの [S, S] — EDDS溶液を濃塩酸にて徐々に酸性にして ρΗ3· 5とすることにより 同溶液から回収する方法、 A t k i n s o n. E l d o n. Eらの [S, S] — EDD S酸カルシウム塩から回収する方法 (W096— 0 1 80 1号公報) 、 A t k i n s o n. E l d o n. Eらの [S, S] 一 E D D S及び Lーァスパラ ギン酸の塩の水溶液から回収する方法 (W〇 96— 0 1 802号公報) などが報
P J 告されている。 これらの報告は、 Lーァスパラギン酸とジブロムェタンからの化 学合成法により得られた [S, S] — EDDS溶液から [S, S] 一 EDDSを 回収する方法に関するものであり、 これらの方法は回収の際の共沈澱物の取込み を少なくし、 かつ、 容易に濾過できる程度の量の沈澱物を得ることを目的として いる。 しかしながら、 これらの報告は [S, S] — EDD Sの結晶をいかにして 高嵩密度に、 かつ高収率で得るかに関しては何ら触れていない。
本発明者らの実験によれば、 例えば、 前記 (3) の酵素的合成法により得られ た [S, S] —EDDSの反応液に常温ないし冷却下で鉱酸を添加する通常の酸 析方法では、 析出する [S, S] 一 EDDSは極めて嵩高い針状結晶であり、 洗 浄効率が悪いこと、 乾燥効率が悪いこと、 単位重量当りの容積が大きいため輸送 効率が悪いこと等の問題が提起された。 この問題を解決するため、 晶析時の温度、 p H及び時間条件等にっレ、て種々検討した結果、 嵩密度の高い円柱状結晶が得ら れる条件を見出すとともに、 全く意外にも、 晶析後の結晶を除去した母液中にか なりの量の下記構造式 (1) 、 (2) 等で示されるエチレンジァミン _N, N' ージコハク酸の環化物が含まれており、 ある晶析条件が分子内環化反応を促進し、 [S, S] —EDDSの回収率低下を引き起こしていることが確認された。
H O〇 C COOH
HO
したがって、 本発明は晶析時の [S, S] 一 EDD Sの環化物の生成を抑制し つつ、 嵩密度の高い [S, S] — EDD Sの結晶を取得する際に生じる種々の問 題を同時に解決することを目的とする。 これらの問題の解決は工業生産において 極めて重要である。
なお、 エチレンジァミン一N, N' —ジコハク酸の環化物に関する報告は、 V a s i 1, e v, V. P. ら (Zh. Ne o r g. Kh i m. ( 1989) , 34 (2) , 38 1 - 38 5 ) やその他の研究者により、 その異性体混合物 ( [R, R] 一、 [S, S] 一、 及び [R, S-/S, R] 一混合物) 由来のも のが報告されている。 しかし、 光学活性な [S, S] 一異性体単独に由来する環 化物の報告はなレ、。 さらに晶析時における環化物の生成に関する報告はなされて いない。
発明の開示
本発明者らは上記問題を解決すベく鋭意検討を行つた結果、 特定の P H、 温度 及び時間の条件下で晶析を行うことが上記問題の解決に有効であることを見出し 本発明を完成した。
すなわち、 本発明は、 ( ] ) 嵩密度が 0. 45〜: L . 2 gZc m3 である [S, S] —エチレンジァミン一N, N' ージコハク酸の結晶、 (2) [S, S] 一エチレンジァミン一 N. N' —ジコハク酸金属塩の水溶液を温度 40°C〜 80°C、 pH 1. 9〜4. 5に調整した後、 pHl. 9〜4. 5を保つように鉱 酸を供給しながら 0. 2〜1 0時間かけて 40°C以下まで冷却し、 [S, S] — エチレンジァミン _N, N' —ジコハク酸を高収率で析出させる上記 (1) 記載
の結晶の取得方法、 ( 3 ) 温度 0 °C〜 40 °C 、 pH 1. 9〜 4. 5に調整した [S, S] 一エチレンジァミン一Ν, Ν' —ジコハク酸金属塩の水溶液中に、 [S, S] —エチレンジァミン一 N, N' —ジコハク酸金属塩の水溶液及び鉱酸 を pH l. 9〜4. 5を保つように、 かつ滞留時間 0. 5〜10時間となるよう に供給し、 高収率で得られた [S, S] —エチレンジァミン一 N, N' —ジコハ ク酸結晶のスラリ一を間欠的に又は連続的に抜き出すことを含んでなる上記 ( 1 ) 記載の結晶の取得方法、 ( 4 ) 結晶収率が 90。/。以上である上記 ( 2 ) 又 は (3) 記載の結晶の取得方法、 (5) 晶析時の [S, S] 一エチレンジァミン
_N, N' ージコハク酸の環化を抑制する上記 (4) 記載の結晶の取得方法、 (6) [S, S] 一エチレンジァミン一N, N' —ジコハク酸金属塩がナトリウ ム塩及び Z又はマグネシウム塩である上記 (2) 〜 (3) 記載の結晶の取得方法、 並びに (7) 鉱酸が硫酸である上記 (2) 又は (3) 記載の結晶の取得方法、 で ある。
発明を実施するための最良の形態
本発明の [S, S〕 一 EDDSは [S, S] 一異性体の全異性体量に対する割 合が 90重量%以上の組成のものを対象とする。
また, 本発明で言う 「嵩密度」 は、 水分 (結晶水を含む) 1 5重量%以下の乾 燥品について J I S規格 K5 ] 01に基づいて測定した値として定義される。 また, 本発明で言う 「収率」 とは、 エチレンジァミン一N, N' ージコハク酸 塩の水溶液中に存在する [S, S] 一エチレンジァミン一 Ν, Ν' ージコハク酸 の重量から晶析時に消失する [S, S] —エチレンジァミン一N, N' —ジコハ ク酸重量を減じた重量を、 元の水溶液中に存在する [S, S] —エチレンジアミ ンー N, N, —ジコハク酸の重量で除した値をパーセントで表した値をいう。 晶析は、 例えば、 前記フマル酸とエチレンジァミンからの酵素的合成法 (特開 平 9一 140390号公報及び EP— A— 080521 1号公報) で得られる 0. 1重量%〜飽和濃度の [S, S] 一 EDD Sのアルカリ金属塩、 アルカリ土類金 属塩又はアンモニゥム塩等の水溶液を、 回分法で行う場合、 を . 9〜4. 5、 好ましくは 2. 5〜4. 0の範囲、 温度を 40〜80。C、 好ましくは 40〜 60°Cの範囲に調整し、 必要により [S, S] 一 EDDSを一部析出させた後又
は [S, S: — EDD Sの種結晶を添加した後、 徐々に冷却することにより行う ことができる。 冷却温度は 40 "C以下、 好ましく 30〜 0 °Cであり、 冷却時間 は pHや温度条件により異なるが、 0. 2〜1 0時間の範囲である。 また、 連続 法で行う場合、 pHを 1. 9〜4. 5、 好ましくは 2. 5〜4. 0の範囲、 温度 を 0〜40°Cの範囲に調整した後、 pHや温度条件により異なるが、 [S, S] 一 EDDSのアルカリ金属塩、 アルカリ土類金属塩又はアンモニゥム塩等の水溶 液を滞留時間が 0. 5〜 10時間、 好ましくは 1〜 5時間になるように供給し、 得られた [S, S] —EDDS結晶スラリーを連続的に又は間欠的に抜き出すこ とにより行うことができる。
なお、 結晶の析出に伴い p Hが徐々に上昇するが、 この場合必要に応じ酸を添 加して所定の pHとなるように調整する。
pH調整は、 通常、 硫酸、 塩酸等の鉱酸を用いて行うことができる。
一方、 構造式 (1) 及び (2) で示されるエチレンジァミン一N, N' —ジコ ハク酸の環化物は、 pHが低いほど、 温度が高いほど、 またこれらの条件に暴露 する時間が長いほど生成し易い。 環化物生成は [S, S] 一 EDDS結晶の回収 率の低下をもたらすだけでなく、 母液中に残存した環化物は結晶に付着し品質低 下の原因となるが, 上記の好ましいとする各条件は該環化物の生成をより少ない 状態に抑制し得る。 本発明によれば最終的に [S, S] —EDDSの結晶を収率 90 %以上で得ることができる。
析出した結晶の取得は濾過、 遠心分離等の通常の方法が採用できる。 次いで、 粗結晶中の酸祈の際に生成した硫酸塩類や環化物等を水や有機溶媒を用いて洗浄 する。 この洗浄に関しても特に制限はなく、 リンス、 スラリー洗浄等の通常の方 法で行うことができる。
また、 洗浄後の湿結晶の乾燥は品温が 80 °C以下となる温度で行えばよレ、。 以下本発明を例によりさらに詳細に説明するが、 本発明はこれらの例により何 ら制限されるものではない
分析及び測定方法等は以下の通りである。
(1) [S, S] — EDDS及びその環化物
遠心により除菌した [S, S] — EDDS溶液又は結晶の 0. 5 N水酸化ナト
G
リゥム溶液を液体ク口マトグラフィ一 (カラム : I n e r t s i 1 〇DS— 3、 移動相 : 2mM テトラー n—ブチルアンモニゥ Λヒ ドロキシド、 2 mM C u
50 ,、 5 OmM H:!PO 流速: 1. Om】 i n、 温度: 40°C、 及び 検出波長: 220 nm) により分析した。
(2) エチレンジァミン一 N, N' —ジコハク酸の光学純度
遠心により除菌した [S, S] 一 EDDS溶液又は結晶の 0. 5N水酸化ナト リウム溶液を液体クロマトグラフィー .(カラム: MC 1 GE L CRS 1 0 W、 移動相: 〗 0mM € 1150 ,、 流速: 0. 5 m l /τα i n、 温度:室温、 及び検出波長: 254 n m) により分析した。
(3) 嵩密度
乾燥結晶品は、 カザ比重測定器 東京蔵持科学器械製作所 (J I S規格 K5 1 0 1) を用いて測定した c
製造例 1
[S, S] 一 EDDS溶液の調製
B r e v u n d i mo n a s s p. TN— 3株を特開平 9— 140390号公 報の実施例 1記載の方法に従 L、培養して菌体を得た。 この TN— 3株は EP— A -0805 2 1 1号公報に記載されており、 その菌株は工業技術院生命工学工業 技術研究所 (日本国茨城県つくば市東一丁目 1番 3号) において、 1 996年 4 月 1 1 日に寄託され、 特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認、に関するブタぺ スト条約に基づいて、 国際寄託番号 FERM B P— 5886号が付与されてい る。 この菌体を 1 00mM、 pH9. 2のホウ酸緩衝液に懸濁し、 45°C、 8時 間、 熱処理を行った。
集菌後、 菌体をフマル酸 1 4 3 gZし エチレンジァミン 3 7 gZl及び水酸化 マグネシゥム 54 g / Iを含む p H 8. 5の反応液に懸濁した。 水酸化ナトリゥ ム溶液を用いて反応液の pHを 8. 5に調整しながら、 40°C、 3日間、 攪拌し ながら反応を行った。
反応終了後は遠心分離により除菌し、 4 8 OmMの [S, S] -EDD S ( [S, S] —体の全異性体に対する割合が 9 8. 8重量。/。) を含み、 [S,
51 —EDDSの環化物を全く含まない上清を得た。
比較例 1
上記 [ S , S j 一 E D D S溶液 1 00m lに室温 ( 2 0 °C) 下で硫酸を添加し、 p H 1. 9 5に調整した。 】時間静置した後、 析出した結晶をブフナ一で濾過し 脱塩水 1 00m lで洗浄して湿結晶を得た。 8 0°Cで一夜乾燥した結晶は針状結 晶 (0. 0 5〜0. 2 mrr^ X 0. 5〜3 mm長) であり、 嵩密度は 0. 2 g /cm:i 、 収率は 99. 5%であった。 また、 結晶中の硫酸根は 2 64 p pm、 母液中の環化物は仕込み [S, S] — EDD Sに対し約 0. 5%であった。
比較例 2
上記 [ S, S] -EDD S溶液 1 00m lを 90でとした後、 硫酸を添加し、 pH 3. 0に調整した。 その後、 30°Cに達するまで 2時間かけて徐々に冷却し た。 この問、 硫酸を少しずつ添加しながら、 pH 3. 0を保持するようにコント ロールした。 析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水 1 00m lで洗浄して湿結 晶を得た。 8 0 °Cで一夜乾燥した結晶は円柱状結晶 (0. 3〜0. 6 mm径 X l〜3 mm長) であり、 嵩密度は 0. 6 gZcm3、 収率は 8 0%であった。 ま た、 母液中の環化物は仕込み [S, S] — EDD Sに対し約 2 0%であった 比較例 3
上記 [S, S] — EDDS溶液 1 00m 1を 4 0°Cとした後、 硫酸を添加し、 pH 3. 0に調整した溶液中に上記 [S, S] — EDD S溶液を 1 00 Om 1 Z h rの速度で供給した。 この時、 液レベルが 1 00m lを保つように随時スラリ —を抜き出した (滞留時間 0. 1時間) 。 この間、 硫酸を少しずつ添カ卩しながら、 pH 3. 0を保持するようにコントロールした。 析出した結晶をブフナーで濾過 し脱塩水 1 00m lで洗浄して湿結晶を得た。 80°Cで一夜乾燥した結晶は円柱 状結晶 (0. 1〜0. 2111111径 0. 3〜l mm長) であり、 嵩密度は 0. 3 g/ c m 収率は 9 9. 5 %であった。
実施例 1
上記 [S, SJ — EDD S溶液 1 0 Om 1を 80°Cとした後、 硫酸を添加し、 p H 3. 7 5に調整した。 その後、 3 0°Cに達するまで 2時間かけて徐々に冷却 した。 この間、 硫酸を少しずつ添加しながら、 pH3. 7 5を保持するようにコ ントロールした。 析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水 1 00m lで洗浄して
湿結晶を得た。 80°Cで一夜乾燥した結晶は円柱状結晶 (0. 3〜0. 6 mm径 X 1〜 3 mm長) であり、 嵩密度は 0. 58 gノ c m 3、 収率は 91. 5。/。であ つた。 また、 結晶中の硫酸根は 97 p pm、 母液中の環化物は仕込み [S, S] — EDDSに対し約 8. 5%であった。
実施例 2
上記 [S, S] 一 EDD S溶液 100m 1を 80°Cとした後、 硫酸を添加し、 pH 3. 2に調整した。 その後、 60°Cまで 30分かけ冷却し、 1時間 60 Cに 保温した後、 21. 5°Cに達するまで 1時間かけて徐々に冷却した。 この間、 硫 酸を少しずつ添加しながら、 pH3. 2を保持するようにコントロールした。 析 出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水 100m lで洗浄して湿結晶を得た。 80 °Cで一夜乾燥した結晶は円柱状結晶 (0. 3〜0. 6mm径 X l〜3mm長) であり、 嵩密度は 0. 57 g Z c m :i、 収率は 95. 0。/。であつた。 また、 結晶 中の硫酸根は 94 p pm、 母液中の環化物は仕込み [S, S] —EDDSに対し 約 5。/。であった。
実施例 3
上記 [S, S] 一 EDDS溶液 10 Om 1を 60°Cとした後、 硫酸を添加し、 pH 3. 2に調整した。 その後、 30分 60°Cに保温した後、 21. 5°Cに達す るまで 1時間かけて徐々に冷却した。 この間、 硫酸を少しずつ添加しながら、 pH3. 2を保持するようにコントロールした。 析出した結晶をブフナーで濾過 し脱塩水 100m lで洗浄して湿結晶を得た。 80 °Cで一夜乾燥した結晶は円柱 状結晶 (0. 3〜0. 61111«径 1〜301111長) であり、 嵩密度は 0. 55 g /cm3, 収率は 98. 0%であった。 また、 結晶中の硫酸根は 93 p pm、 母 液中の環化物は仕込み [S, S] —EDDSに対し約 3%であった。
実施例 4
上記 [S, S] — EDD S溶液 10 Om 1を 3倍に希釈し 40°Cとした後、 硫 酸を添加し、 pH3. 2に調整した。 その後、 30分間 60°Cに保温した後、 2 0°Cに達するまで 1時間かけて徐々に冷却した。 この間、 硫酸を少しずつ添加し ながら、 pH3. 2を保持するようにコントロールした。 析出した結晶をブフナ —で濾過し脱塩水 100m lで洗浄して湿結晶を得た。 80°Cで一夜乾燥した結
晶は円柱状結晶 (0. 2〜0. 7mm径 X l〜3. 5 mm長) であり、 嵩密度 は 0. 56 g/c m\ 収率は 9 9. 5%であつ/"こ。 また、 結晶中の硫酸根は 9 0 p pm、 母液中の環化物は仕込み [S, S] — EDDSに対し約 0. 5%であ つた。
実施例 5
上記 [ S , S] — E D D S溶液 1 00 m 1を 40 °Cとした後、 硫酸を添加し、 pH3. 0に調整した溶液中に上記 [S, S] — EDDS溶液を 50m 1 Zh r の速度で供給した。 この時、 液レベルが 1 0 Om 1を保つように随時スラリーを 抜き出した (滞留時間 2時間) 。 この間、 硫酸を少しずつ添加しながら、 ρΗ3· 0を保持するようにコントロールした。 析出した結晶をブフナーで濾過し脱塩水 1 00m l で洗浄して湿結晶を得た。 80°Cで一夜乾燥した結晶は円柱状結晶 (0. 3〜0. 7mr^¾X 0. 5〜: L mm長) であり、 嵩密度は 0. 6 1 gZ c m 収率は 99%であった。
実施例 6
上記 [S, S] — EDDS溶液 1 0 Om 1を 20°Cとした後、 硫酸を添加し、 PH3. 0に調整した溶液中に上記 [S, S] — EDDS溶液を 3 Om 1 /h r の速度で供給した。 この時、 液レベルが 1 00m lを保つように随時スラリ一を 抜き出した (滞留時間 3. 3時間) 。 この間、 硫酸を少しずつ添カ卩しながら、 p H3. 0を保持するようにコントロールした。 析出した結晶をブフナーで濾過し 脱塩水 1 00 m Iで洗浄して湿結晶を得た。 80°Cで一夜乾燥した結晶は円柱状 結晶 (0. 3〜0. 61^11径 0. 4〜l mm長) であり、 嵩密度は 0. 58 gZc m3、 収率は 99. 5%であった。
産業上の利用可能性
本発明の [S, S] — EDDSの結晶は、 嵩密度が 0. 45〜1. 2 gZ c m
3の円柱状 (約 0. 3〜0.
0. 5〜l mm長) であり、 常温 ないし冷却下で鉱酸を添加する通常の酸析方法で得られる嵩密度が 0. 2 gZ cm
3程度の針状 (約 0. 0 5〜0. 2mm径 X約 0. 5〜 3 mm長) の結晶に 比べて格段に洗浄 ·乾燥 ·輸送効率が良く、 酸析で生成する塩類や [S, S] — EDDSの環化物等の不純物を殆ど含まず、 高品質である。 また、 その結晶を高
収率で得ることができる (-