WO1999012737A1

WO1999012737A1 - Thermal bonding method and apparatus

Info

Publication number: WO1999012737A1
Application number: PCT/JP1998/003999
Authority: WO
Inventors: Haruo Komine; Akira Nishimura
Original assignee: Japan Brake Industrial Co., Ltd.
Priority date: 1997-09-08
Filing date: 1998-09-07
Publication date: 1999-03-18
Also published as: DE69822489T2; EP1018425A1; EP1018425A4; AU726042B2; KR100328107B1; KR20010023752A; AU8998798A; DE69822489D1; ES2216302T3; US6399918B1; JP3592497B2; JPH1177943A; EP1018425B1

Description

明細書加熱接着方法及び装置技術分野

本発明は、加熱接着方法及びそれに用いられる装置に関する。更に詳しくは、 2つの部材を接着剤を介して重ね合わせて加熱加圧して接着するに際し、均一で効率的な加熱が可能であると同時に、複数組の部材を連続的に接着することができ、接着精度及び接着コス卜に優れる加熱接着方法及びそれに用いられる装置に関する。背景技術

一般に、 2つの部材を接着剤で接着する方法としては、両部材を接着剤を介して重ね合わせて治具で加圧一体化させ、加圧一体化させた状態のままトンネル形の加熱炉を通過させて、加熱炉の内部で接着剤を加熱溶融又は熱硬化させて両部材を接着する加熱接着方法が行われている。

例えば、ドラムブレーキに用いられるブレーキシュ一ァッセンプリの製造方法においては、ブレーキシュ一本体と摩擦ライニングとを接着剤を用いて接着する作業は、熱硬化性接着剤を塗布乾燥したブレーキシュ一本体と摩擦ライニングとを加圧治具にセッ卜して、加熱硬化炉で熱風加熱して熱硬化性接着剤を硬化させることにより行われている。

しかしながら、熱風加熱による熱硬化性接着剤の硬化は、伝熱効率が悪いため迅速硬化が行いにくく、また治具、搬送装置、炉壁等の不要部分も加熱することになるので、接着剤塗布部を効率的に加熱できないという問題点があった。かかる問題点を解消し、設備の小型化、加熱処理の迅速化を達成する手段として、特開昭 6 1— 1 5 3 0 2 6号公報に、高周波誘導加熱法を用いる方法が提案されている。この方法によれば、加熱処理の迅速化は図れるものの、この方法はうず電流による間接加熱のため加熱効率が低いという問題点がある。また、形状の複雑なブレーキシュ一本体を均一に加熱するためには、コィルの形状や設備が複雑になるという問題点がある。

特開平 9 - 4 8 9 5 3号公報には、接着する一方の部材を加熱されたホルダーに密着させてホルダーからの熱伝導によりカロ熱し、加圧しながら接着する方法が記載されている。この方法によれば、加熱加圧による接着を迅速に、かつ、加熱効率よく行うことができる。し力、し、この方法では、ブレーキシュ一の表面に塗布されるプライマ一などのように、接着する部材の表面にコーティングなどが施されている場合には、加熱による硬化時にコーティングがホルダーに転着し、接着物から剥離してしまうことがあるという難点がある。

また、特開平 9— 1 4 4 7 9 3号公報には、ブレーキシュ一本体と摩擦ライ二ングとを接着剤を介して積層して加熱加圧して接着する際の加熱を、ブレーキシュ一本体の両端に圧接させた電極からの通電によるブレーキシュ一本体の発熱により行っている。し力、し、この方法では、ブレーキシュ一を均一に加熱するためには、電極の冷却、摩擦ライニングで覆われていない部分の冷却、及び接触抵抗による部分的過熱を防止するための電極加圧力の調整など、複雑な制御が必要となる。また、接着剤は加熱により硬化するときに反応ガスが発生するが、この方法では通電されているブレーキシュ一本体以外は発熱しないので、ガスが冷却凝縮し、電極や治具に付着するという問題がある。また、この方法によれば加熱時間が短縮でき効率は向上するが、加熱構造が複雑なので、装置 1台あたりの接着数が 1個に限定され、設備台数が多くなるという問題がある。発明の開示

本発明は、ブレーキシュ一本体のシユーリムと摩擦ライニングとの接着等、接着剤を用いての加熱加圧による接着を迅速に行うことができるとともに、加熱効率がよく、表面コーティングの剥離も防止することができ、しかも簡単な設備で複数の接着物を連続的に製造することも可能な加熱接着方法及びそれに用いられる装置を提供しょうとするものである。

本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、加熱加圧接着に際して輻射熱を利用して加熱を行うことにより、前記問題点を解決しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至つた。即ち、本発明は、少なくとも 2つの部材を接着剤を介して積層した積層体を加圧、加熱し、接着剤で少なくとも 2つの部材を接着する加熱接着方法において、積層体の少なくとも一方の部材を、加熱された輻射ヒータ一に近接させ、輻射熱により積層体を加熱した状態で加圧することを特徴とする加熱接着方法を提供するものである。

本発明の方法によれば、温度制御のために加圧力を調整したり部分的に冷却を行う必要がなく、簡単な方法で加熱することが可能であり、コストも低減される。また、積層体を積層体への熱伝導ではなく、輻射熱により加熱するため、ヒーターとの密着を必要とせず、プライマ一等の積層体表面のコーティングの剥離を防止することができる。また、高温雰囲気で加熱できるので、接着剤の硬化時に発生するガスが凝縮して装置に付着することもない。更に、本発明の方法は、簡単な構造の装置で実施可能であるため、複数の積層体を同時接着する装置の組み立ても容易であり、生産効率を向上させることができる。

また、本発明は、上記方法に好適に用いられる装置であって、少なくとも 2つの部材を接着剤を介して積層した積層体を加圧、加熱し、接着剤で少なくとも 2 つの部材を接着するための装置であって、輻射ヒーター、輻射ヒータ一に積層体の少なくとも一方の部材を近接させて積層体を支持するする支持部材、支持部材で支持された積層体に近接して接触して加圧し、離間して積層体への加圧を解除する加圧装置からなることを特徴とする装置を提供するものである。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の方法及び装置の一態様を示す斜視説明図である。

図 2は、図 1に示す方法及び装置で積層体を加熱接着する様子を示す断面図である。

図 3は、図 1に示す装置のヒーターの平面図である。

図 4は、本発明の装置の一態様に用いられる積層体ホルダーの部分正面図である

図 5は、本発明の装置の一態様に用いられる積層体ホルダーの部分断面図である _n 図 6は、図 4及び図 5の積層体ホルダーの穴加工前の状態を示す部分側面図でめる。

図 7は、図 5の積層体ホルダ—を構成する様子を示す部分側面図である。図 8は、図 5の積層体ホルダ一に用いられるピンの一例を示す斜視図である。図 9は、本発明の装置の一態様に用いられる積層体ホルダーの部分正面図である。

図 1 0は、図 9の積層体ホルダーの部分上面図である。

図 1 1は、図 9の積層体ホルダ一の穴にピンを揷入して突起を形成した状態を示す部分正面図である。

図 1 2は、本発明の方法及び装置の他の一態様を示す断面図である。

図 1 3は、本発明の方法に用いられる積層体の一例を示す斜視図である。図 1 4は、図 1 3の積層体の上面図である。

図 1 5は、図 1 3の積層体を加熱する様子を示す断面図である。発明を実施するための最良の形態

本発明の加熱接着方法及び装置において、輻射ヒーターとしては、積層体の少なくとも一方の部材に近接し、輻射ヒーターからの輻射により積層体の少なくとも一方の部材に均一に熱が伝えられるものであれば、構造及び材質に特に制限はない。例えば、熱伝導率に優れる鉄、鋼、アルミニウム、ステンレス、アルミ二ゥム合金、真鍮、銅等の金属製のハウジングを有するヒーター、例えばアルミ铸込みヒーター、誘導加熱プレート、カートリッジヒータ一を組み込んだヒーターなどや、遠赤外線ヒーターがなどが挙げられる。また、ハウジング内に充填された熱媒を加熱する方法、スリップリングを用いて金属製の発熱体に通電して金属製発熱体自体を発熱させる方法なども採用可能である。また、輻射ヒーターの形状も、積層体の少なくとも一方の部材が輻射ヒーターに近接しうる形状であれば特に制限はなく、積層体の形状に応じて設計可能である。また、輻射効率をよくするために、輻射ヒーターの表面を黒色に塗装することが好ましい。

また、輻射ヒータ一として、ヒータ一と、ヒータ一に接して設置され、ヒーターから伝導した熱を輻射する積層体ホルダ一からなるものを用いてもよい。この場合、積層体の少なくとも一方の部材を積層体ホルダ一に近接させて支持し、ヒーターからの熱伝導により加熱された積層体ホルダ一からの輻射により加熱する。ヒーターとしては、上記の金属製のハウジングを有するヒータ一や、ハウジング内に充填された熱媒を加熱することによって発熱するヒーターなどが好適に用いられる。この方法によれば、ヒーター自体を積層体に合わせて複雑に形成する必要がなく、コストを低減することができる。また、ヒータ一に接触させて複数の積層体ホルダーを装着することも容易であり、一度に複数の積層体の接着を行うことを容易に行うことができ、生産効率が向上する。

積層体ホルダーの形状は、積層体の少なくとも一方の部材が積層体ホルダーに近接しうるものであれば特に制限はなく、積層体の形状に応じて設計可能である。積層体ホルダーの材質は、ヒータ一からの熱伝導により加熱されるものであれば特に制限はなく、通常は、鉄、鋼、ステンレス、アルミニウム、アルミニゥム合金等の金属が好適である。また、輻射効率をよくするために、積層体ホルダ一の表面を黒色に塗装することが好まし、。

積層体を輻射ヒータ一（又は輻射ヒーターの積層体ホルダ一）に近接させて支持する方法としては、特に制限はない。例えば、輻射ヒータ一（又は輻射ヒー夕一の積層体ホルダ一）の積層体に近接する表面に突起などを形成し、積層体と互いに部分的に接触させて支持することもできる。この場合、積層体の少なくとも一方の部材をできるだけ均一に加熱し、また積層体の表面のコ一ティングの転着を防ぐために、輻射ヒータ一（又は輻射ヒ一ターの積層体ホルダー）と積層体との接触面積をできるだけ小さくすることが必要であり、点接触又は線接触により支持することが好ましい。また、突起へのブレーキシュ一本体のコ一ティングの転着を防止するために、突起の表面に、離型性耐熱ポリマーのコーティングを施してもよい。

シユーリム受け表面にコ一ティングする離型性耐熱ポリマ一としては、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂などが挙げられる。シリコーンゴムとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン生ゴム、メチルフェニルポリシロキサン生ゴム、メチルビ二ルポリシロキサン生ゴム、シァノ，ァルキルメチルポリシロキサン生ゴム、フッ化アルキル，メチル，ポリシロキサン生ゴム等のオルガノポリシロキサンを、有機化酸化物等の加硫剤で加硫したものなどが挙げられる。シリ力粉末、シリカァエロゲル、焼成ゲイソゥ土シリ力、焼成陶土、炭酸カルシウム、酸化鉄粉末、ジルコニウムシリケ一卜粉末、酸化チタン粉末、酸化亜鉛粉末等の無機充填材が配合されていてもよい。また、硝酸ジルコニル、ジルコン酸金属塩、珪酸ジルコニウム、力一ボンブラック、テフロン粉末等の添加剤が配合されていてもよい。

シリコーン樹脂としては、例えば、メチルシリコーン樹脂、フエニルメチルシリコ一ン樹脂、アルキッド変性シリコ一ン樹脂、メラミン変性シリコ一ン樹脂等が挙げられる。また、耐熱性向上のためのアルミニウム粉末などの添加材が配合されていてもよい。

フッ素ゴムとしては、例えば、卜リフルォロクロ口エチレンとフッ化ビニリデンの共重合体、へキサフルォロプロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体などが挙げられる。

フッ素樹脂としては、例えば、ポリテ卜ラフルォロエチレン（テフロン）、ポリトリフルォロクロ口エチレン、テトラフルォロエチレンとへキサフルォロプロピレンとの共重合体、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、ジクロロジフルォロェチレン等の重合体及び共重合体などが挙げられる。

これら離型性耐熱ポリマーのコーティングの厚みは特に制限はなく、また好まし Lヽ厚みも離型性耐熱ポリマ一の種類によって異なる。例えば、シリコーンゴム及びフッ素ゴムの場合、通常 2 0 0〜7 0 0 であることが好ましく、 3 0 0 〜5 0 0 であることが更に好ましい。シリコーン樹脂及びフッ素樹脂の場合には、通常 1 0〜 1 0 0〃mであることが好ましく、 2 0〜5 0 μ πιであることが更に好ましい。

また、輻射ヒーター表面（又は、輻射ヒーターの積層体ホルダー表面）の突起は、輻射ヒーターの表面に穴加工し、穴の開口から突出する部分を有するピンを穴に挿入して形成してもよい。輻射ヒーターの金属表面などに突起を成形などにより形成すると、加圧時の圧力により突起部分が摩耗しやすい。輻射ヒーター表面に形成した穴にピンを挿入して突起を形成した場合には、ピンが摩耗してもその交換が容易である。また、ピンとして焼き入れ鋼等の硬質材料のピンを用いることにより、突起の摩耗も低減され、ピンの交換回数も減らすことができる。また、ピンの表面に上記の離型性耐熱ポリマーのコーティングを施してもよい。穴の形状やピンの形状は、加圧時に穴の開口から一定高さの突起が突出するような形状であれば特に制限はない。

積層体の少なくとも一方の部材と輻射ヒーターを近接させる際には、積層体と輻射ヒーターとが相対している部分での両者のスペースを、できるだけ狭くすることが好ましく、例えば、 0 . 1〜0 . 4 mm、好ましくは 0 . 2〜0 . 4 mm にすることが望ましい。

加熱接着対象である積層体としては、輻射ヒータ一からの輻射により効率的に加熱するためには、輻射ヒーターに近接する部材が金属であるものが好ましい。接着剤としては、特に制限はなく、部材の材質、接着後の接着物の用途等に応じて、溶剤揮散型接着剤、熱硬化性接着剤、ホットメルト型接着剤など、各種の接着剤から適宜選択することができる。

以下、本発明の加熱接着方法及び装置の一態様として、車両のドラムブレーキに使用されるブレーキシュ一アッセンブリを製造する方法及び装置を説明する。ドラムブレーキ用のブレーキシュ一は、通常、金属製のブレーキシュ一本体に摩擦ライニングを接着剤で接着して製造される。ブレーキシュ一本体は、通常、帯状体を長さ方向に円弧状に湾曲させた形状を有するシユーリムと、シュ一リムの円弧形状の半径方向内周面から半径内側方向に突出したシュ一リブとからなる。摩擦ライニングの厚みは通常均一であり、ブレーキシュ一本体のシュ一リムの半径方向外周面に接着剤を介して積層され、加圧加熱して接着される。

図 1は本発明の加熱接着方法及び装置の一実施例を示す斜方部分説明図である。図 2は、図 1に示した加熱接着方法及び装置の断面図である。この実施例の対象とする積層体 1において、一方の部材はブレーキシュ一本体 1 1であり、ブレーキシュ一本体 1 1のシユーリム 1 1 1の外周面に接着剤 1 3を介して、他方の部材である摩擦ライニング 1 2が積層されている。

ブレーキシュ一本体 1 1は、帯状体を長さ方向に円弧状に湾曲させた形状を有するシュ一リム 1 1 1と、シユーリム 1 1 1の幅方向の中心部に添ってシュ一リム 1 1 1の長さ方向に延び、円弧形状の半径内側方向に突出したシユーリブ 1 1 2とからなる。

ブレーキシュ一本体 1 1の材質は金属であり、例えば S P C鋼板が好適に用いられる力、その他アルミニウム、アルミニウム合金等も使用可能である。

ブレーキシュ一本体にはプライマ一等がコーティングされていてもよい。ブレ一キシュ一本体にコーティングするプライマ一は、防鐯、防食を目的としてコ一ティングされるものであり、例えば、一般に接着剤として用いられる樹脂などが挙げられる。例えば、フヱノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤をメタノール、メチルェチルケトン、トルエン等の溶媒に溶解した溶液をブレ一キシュ一本体に塗布し、加熱により溶媒を除去し乾燥させることにより、ブレーキシュ一本体表面にプライマーコ一ティングが形成される。

摩擦ライニング 1 2はブレーキシュ一アッセンプリの摩擦面を構成するものであり、非金属材からなる。摩擦ライニング 1 2としては、例えば、アスペスト、ガラス繊維等の短繊維を熱硬化性樹脂のバインダ一に混合して加圧、加熱して湾曲板状に成形したものなどが用いられる。

ブレーキシュ一本体 1 1のシュ一リム 1 1 1の外周面と摩擦ライニング 1 2の内面に予め接着剤 1 3を塗布し、熱風乾燥などにより接着剤 1 3を乾燥させた後、シュ一リム 1 1 1と摩擦ライニング 1 2を接着剤 1 3を介して積層し、積層体 1とする。接着剤 1 3としては通常熱硬化性接着剤が用いられ、例えば、衝撃、曲げ、剥離に対する抵抗力の強いフエノール樹脂系やエポキシ樹脂系熱硬化性接着剤が好適に用 t、られる。

図 1及び図 2に示す装置では、輻射ヒーター 2は、板状のヒータ一 2 1と、ヒーター 2 1上に底面を接触させて装着された複数の積層体ホルダ一 2 2で構成されている。この実施態様において、ヒータ一 2 1は、図 3に示すように S U S の力一トリッジヒータ一 2 1 1をアルミ铸込みしたものであり、 2 1 2はカートリッジヒーター 2 1 1の端子である。各積層体ホルダー 2 2は、シユーリム 1 1 1の半径方向内周面に嵌合する湾曲面 2 2 1と、シュ一リブ 1 1 2を積層体ホルダー 2 2と接触させずに受容する細溝 2 2 2を有し、支持部材として、湾曲面 2 2 1上に形成された 1組が 6本の突起 4からなるシユーリム受けを有する。各細溝 2 2 2の幅は、シュ—リブ 1 1 2の厚みより大きい。湾曲面 2 2 1は、シユーリム 1 1 1の内周面に近接して受容される大きさに湾曲していればよい。図 1及び図 2に示す装置では、湾曲面 2 2 1はシュ一リム 1 1 1の内周面の円弧よりも小さい半径の円弧状に湾曲しており、同一高さの突起 4の頂部がシユーリム 1 1 1の内周面と接触し、積層体 1を支持している。図 1及び図 2に示す装置ではシユーリム受けは、 6本の線状の突起 4で構成されているが、突起の数に制限はなく、また、線状の突起ではなく、半球状の突起など、点接触を可能にする突起を形成してもよい。

図 2では、シユーリブ 1 1 2は、積層体ホルダ— 2 2の細溝 2 2 2内に細溝内壁に接触させずに揷入されており、 6本の突起 4からなるシュ一リム受けがシユーリム 1 1 1の半径方向内面に線接触して、積層体 1を支持している。図 1及び図 2では、細溝 2 2 2の底面 2 2 3はシユーリブ 1 1 2の底面にできるだけ沿うように湾曲している力、'、シユーリブは通常肉薄であり、側面からの輻射により容易に均一に加熱されるので、湾曲させずに平坦にしてもよいし、又は、積層体ホルダ一 2 2の底面まで貫通していてもよい。

加圧装置 3は、積層体 1の摩擦ライニング 1 2の表面に対応した湾曲型にパネ材等で形成された加圧バンド 3 1と、加圧バンド 3 1を支持する加圧バンドホルダー 3 2を有する。加圧バンド 3 1は、両端が加圧バンドホルダ一 3 2で支持されて中央部分の加圧領域がパネ弾性を備えている。なお、この加圧装置 3は、複数の積層体ホルダ一 2 2の全部に対応した 1個の構成とすることもできるし、各積層体ホルダーに個別に対応した複数個の構成とすることもできる。図 1及び図 2では 1つの加圧装置 3が 1つの積層体ホルダー 2 2の上部のみに図示されているが、実際には全ての積層体ホルダーに対応して配置されている。

図 4に、図 1及び図 2に示した装置に用いられる積層体ホルダ一の他の例の部分正面図を示す。積層体ホルダー 2 2の湾曲面 2 2 1に、湾曲方向に対して直角に延びる優弧断面の穴 2 2 4が複数形成されている。図 5に示すように、各穴 2 2 4に穴断面の優弧の半径とほぼ同じ半径の円形断面を有する円柱状のピン 5 が揷入されている。ピン 5が穴 2 2 4の開口から突出した部分が突起 4を形成している。図 6に穴加工する前の積層体ホルダ— 2 2の部分側面図を示し、図 7 に、積層体ホルダー 2 2の湾曲面 2 2 1に穴 2 2 4を加工した後、ピン 5を揷入する様子を示す。図 8に示すように、ピン 5の表面にスリッ卜 5 1を形成することにより、突起とシュ一リムとの接触部分を更に小さくすることができる。図 9は、湾曲面 2 2 1に円形開口を有し、積層体ホルダ一 2 2内部に延びる穴 2 2 4を複数加工した積層体ホルダ一 2 2の部分正面図であり、図 1 0は、その積層体ホルダ一 2 2の部分上面図である。一端を円球加工した円柱状のピン 5 を、湾曲面 2 2 1上の開口から矢印の方向に穴 2 2 4内に揷入する。図 1 1に示すように、ピン 5の穴 2 2 4から突出した部分が突起 4を形成している。

これらのピンは、着脱可能とすることが好ましい。その場合、ピンが摩耗した場合に、容易に交換することができる。

図 1 2は、図 1及び図 2に示した装置における支持部材の別の一態様を示す断面図である。この態様では、積層体ホルダ一 2 2の湾曲面 2 2 1はシュ一リム 1 1 1の半径方向内周面の半径より大きい半径を有している。湾曲面 2 2 1の半径がシユーリム 1 1 1の半径より大きいので、シユーリム 1 1 1の両端のみが湾曲面 2 2 1と線接触して、積層体 1全体が支持される。すなわち、この態様では、積層体ホルダー 2 2の湾曲面 2 2 1自体が、部分的に支持部材として機能する

図 1 3に、ブレーキシュ一製造用の積層体の他の一例の斜視図を示す。このブレ一キシュ一では、ブレーキシュ一本体 1 1は、両末端が略向かい合った円弧形状を有し、シユーリム 1 1 1の両側縁部から円弧形状の半径内側方向に突出する互いに平行な 1対のシユーリブ 1 1 2を有している。シユーリム 1 1 1はその円弧形状の両端部 1 1 3で円弧形状の半径内側方向に 2つ折され、両シユーリブ 1 1 2と M字型に重ね合わされている。この例では、シュ一リム 1 1 1の外周面に 2つの摩擦ライニング 1 2が接着剤 1 3を介して積層されているが、その後の加熱及び加圧の条件、それらに用いられる装置等に応じて、摩擦ライニング 1 2 の個数、形状を、適宜変更することができる。また、図 1 4に示すように、シュ一リム 1 1 1の側縁部が湾曲している場合には、摩擦ライニング 1 2をシユーリム 1 1 1の外周面の平坦部分のみに積層することが好ましい。

図 1 5は、図 1 4に示した積層体を本発明の方法により加熱する方法の一態様を示す断面図である。一対の輻射ヒーター 2が平坦面をブレーキシュ一本体 1 1 の両シユーリブ 1 1 2の外側面に近接させて配置されており、輻射熱によりブレーキシュ一本体 1 1を加熱する。輻射ヒータ一 2の平坦面上の複数の突起 4が両シユーリブ 1 1 2の外側面に接触して積層体 1を支持している。このようにして積層体 1を加熱しながら、摩擦ライニング 1 2をブレーキシュ一本体 1 1に圧接させて接着する。

図 1及び図 2に示した装置で積層体を加熱加圧接着する操作を説明する。まず、ブレーキシュ一本体 1 1のシュ一リム 1 1 1の外周面と摩擦ライニング 1 2 の湾曲内面に予め熱硬化性接着剤を塗布し、熱風乾燥炉で熱硬化性接着剤を乾燥しておく。シュ一リム 1 1 1と摩擦ライニング 1 2とを乾燥した熱硬化性接着剤を介して積層し、積層体 1を用意する。

次いで、図 1の白色矢印で示すように、積層体 1のブレーキシュ一本体 1 1のシユーリブ 1 1 2を、積層体ホルダ— 2 2の細溝 2 2 2に細溝 2 2 2の内壁に接触しないように挿入する。積層体ホルダ一 2 2の湾曲面 2 2 1上の複数の突起 4 からなるシユーリム受けがシュ一リム 1 1 1の内周面に線接触して積層体 1が支持される。加圧装置 3が白色矢印の方向に下降して積層体 1に近接し、加圧バンド 3 1が摩擦ライニング 1 2の表面に当接して積層体 1を加圧する。このとき、加圧バンド 3 1により、シユーリム 1 1 1と摩擦ライニング 1 2は、接合面全面にわたり接着剤 1 3を介して均一に加圧係合される。このときの圧力は、通常 7 k g / c m²以上、好ましくは 7 〜 3 0 k g Z c m²とすることが好ましい。力 Π 熱温度は、接着剤の種類によっても異なるが、通常、シユーリム 1 1 1及びシユーリブ 1 1 2が輻射熱により 2 2 0 ~ 3 0 0 °Cで 2 〜 5分間加熱されるように加熱することが好ましい。加熱加圧時間は、積層体ホルダー 2 2の温度、ブレーキシュ一本体 1 1の材質、接着剤の種類、積層体ホルダー 2 2とシユーリム 1 1 1の內周面及びシュ一リブ 1 1 2の側面とのスペースの程度等に応じて、適宜設定される。例えば、ブレーキシュ一本体 1 1が S P C鋼製で、シユーリム 1 1 1の厚みが 1 . 4 〜 2 . 6 mm、シュ一リブ 1 1 2の厚みが 3 . 2 〜 4 . 5 mm、積層体ホルダ一 2 2とシユーリム 1 1 1の内周面及びシュ一リブ 1 1 2 の側面とのスペースが 0 . 1 〜 0 . 4 mm、積層体ホルダー 2 2の温度が 2 2 0 〜 3 0 0 °Cである場合、通常、 2 〜 5分間加熱加圧することにより、摩擦ライ二ング 1 2をシュ一リム 1 1 1に強固に接着することができる。

接着後、加圧装置 3を矢印と逆の方向に上昇して積層体 1から離間して積層体

1への加圧を解除する。

実施例 1

図 1に示す装置を用い、 S P C鋼製のブレーキシュ一本体（シュ一リム厚み： 1 . 6 mm, シュ一リブ厚み： 3 . 2 mm) と摩擦ライニングとの接着を行つた。摩擦ライニングとしては、アスベスト繊維、フ Xノール樹脂結合剤、潤滑剤、摩擦調整剤を混合して、加圧加熱硬化させたアスベストライニングと、ガラス繊維、有機繊維、フエノール樹脂結合剤、潤滑剤、摩擦調整剤を混合して、加圧加熱硬化させた非アスベストライニングとを用いた。接着剤としては、セメダイン C S 2 7 1 1 (二トリル変性フヱノ一ル樹脂、セメダイン株式会社製商品名）を用いた。積層体ホルダ一として、表面に黒色コ一ティングを施したアルミ二ゥム製積層体ホルダーを用いた。湾曲面を 2 7 0 °Cに加熱した積層体ホルダ一にブレーキシュ一本体に摩擦ライニングを接着剤を介して積層した積層体を装着し（積層体ホルダーの湾曲面とシユーリム内周面とのスペース（突起の高さ）： 0 . 2 mm、細溝側面とシュ一リブ側面とのスペース： 0 . 4 m m ) 、圧力 2 0 k g Z c m²で 3. 5分間加熱加圧した。加圧加熱開始後、ブレーキシュ一本体の温度は約 2分で 2 6 0 °Cに上昇し、その後は 2 6 0 °Cで略一定であった。得られたブレーキシュ一アッセンプリの摩擦ライニングとブレーキシュ一本体との接着強度を測定したところ、アスベストライニング、非アスベストライニングのいずれの場合も、 1 6 . 8 k Nの剪断強度で強固に接着されていた。産業上の利用の可能性

本発明の加熱接着方法及び装置によれば、ブレーキシュ一本体のシュ一リムと摩擦ライニングとの接着等、接着剤を用いての加熱加圧による接着を迅速に行うことができるとともに、加熱効率がよく、簡単な設備で複数の接着物を連続的に製造することも可能となる。また、加熱体からの熱伝導ではなく、加熱体からの輻射による輻射熱によって積層体を加熱するため、積層体表面にコーティングがされていても、コ一ティングが加熱体に転着し、剥離することもない。従って、本発明の方法及び装置は、表面にコーティングを有する部材を接着剤を用い加熱加圧により接着するために特に好適に利用することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 少なくとも 2つの部材を接着剤を介して積層した積層体を加圧、加熱し、接着剤で少なくとも 2つの部材を接着する加熱接着方法において、積層体の少なくとも一方の部材を、加熱された輻射ヒータ一に近接させ、輻射熱により積層体を加熱した状態で加圧することを特徴とする加熱接着方法。

2 . 輻射ヒータ一が、ヒーターと、ヒーターに接して設置され、ヒータ一から伝導した熱を輻射するとともに、積層体の少なくとも一方の部材と互いに部分的に接触して積層体を支持する積層体ホルダーからなり、積層体の少なくとも一方の部材を積層体ホルダーに近接させ、積層体ホルダ—と互いに部分的に接触させて積層体を支持し、輻射熱により積層体を加熱した状態で加圧する請求項 1記載の方法。

3 - 積層体の少なくとも一方の部材を、積層体ホルダ—と点接触又は線接触させて支持する請求項 2記載の方法。

4 . 複数の積層体ホルダ—の各々に、積層体の少なくとも一方の部材を積層体ホルダーに近接させ、積層体ホルダーと互いに部分的に接触させて積層体を支持し、複数の積層体を輻射熱により加熱した状態で加圧することにより、複数の積層体を同時に接着する請求項 2記載の方法。

5 . 輻射熱により積層体の少なくとも一方の部材を 2 2 0 〜 3 0 0 °Cに加熱し、 7 k g Z c m²以上の圧力で加圧する請求項 1記載の方法。

6 . 積層体の一方の部材が、帯状体を長さ方向に円弧状に湾曲させた形状を有するシユーリムと、シユーリムの円弧形状の半径方向内周面から半径内側方向に突出したシュ一リブとからなるブレーキシュ一本体であり、他方の部材が、ブレ一キシュ一本体のシュ一リムの半径方向外周面に接着剤を介して積層された摩擦ライニングであり、ブレーキシュ一本体を輻射ヒーターに近接させる請求項 1 記載の方法。

7 . ブレーキシュ一本体が、帯状体を長さ方向に円弧状に湾曲させた形状を有するシュ一リムと、シユーリムの幅方向の中心部に添ってシュ一リムの長さ方向に延び、シユーリムの円弧形状の半径方向内周面から半径内側方向に突出したシユーリブとからなるものである請求項 6記載の方法。

8 . ブレーキシュ一本体が表面にプライマ一が塗布されているものである請求項 6記載の方法。

9 . 少なくとも 2つの部材を接着剤を介して積層した積層体を加圧、加熱し、接着剤で少なくとも 2つの部材を接着するための装置であって、輻射ヒーター、輻射ヒータ一に積層体の少なくとも一方の部材を近接させて積層体を支持する支持部材、支持部材で支持された積層体に近接して接触して加圧し、離間して積層体への加圧を解除する加圧装置からなることを特徴とする装置。

1 0 . 輻射ヒーターが、ヒーターと、ヒーターに接して設置され、ヒータ一からの熱を伝導し輻射するとともに、積層体の少なくとも一方の部材に近接する面と、該支持部材とを有する積層体ホルダーとからなり、該支持部材が、積層体ホルダ一の積層体の少なくとも一方の部材に近接する面上に形成され、該部材と該面とを近接させたときに該部材と部分的に接触して支持する部分である請求項 9 記載の装置。

1 1 . 輻射ヒーターが、ヒーターと、ヒ一ターに接して設置された複数の積層体ホルダ—からなり、加圧装置が積層体ホルダ一に支持された複数の積層体を同時に加圧するものである請求項 1 0記載の装置。

1 2 . 積層体の一方の部材が、帯状体を長さ方向に円弧状に湾曲させた形状を有するシュ一リムと、シュ一リムの円弧形状の半径方向内周面から半径内側方向に突出したシュ一リブとからなるブレーキシュ一本体であり他方の部材が、ブレーキシュ一本体のシリムの半径方向外周面に接着剤を介して積層された摩擦ライニングであり、支持部材が、輻射ヒーターにブレーキシュ一本体を近接させて支持するものであり、加圧装置が、支持部材で支持された積層体の摩擦ライニング表面に近接して接触して積層体を加圧し、離間して積層体への加圧を解除するものである請求項 9記載の装置。

1 3 . ブレーキシュ一本体が、帯状体を長さ方向に円弧状に湾曲させた形状を有するシュ一リムと、シリムの幅方向の中心部に添ってシュ一リムの長さ方向に延び、シリムの円弧形状の半径方向内周面から半径内側方向に突出したシリブとからなるものである請求項 1 2記載の装置。

1 4 . 加圧装置が積層体の摩擦ライニング表面に嵌合する湾曲面を有する加圧バンドと、加圧ンドを支持する加圧ンドホルダーを有するものである請求項

1 3記載の装置。

1 5 . 輻射ヒーターが、ヒータ一と、ヒーターに接して設置され、ヒータ一から伝導した輻射するとともに、積層体のブレーキシュ一本体に近接する面と、支持部材とを有する積層体ホルダ一とからなり、該支持部材が、積層体ホルダーのブレーキシュ一本体に近接する面上に形成され、ブレーキシュ一本体と該面とを近接させたときにブレーキシュ一本体と部分的に接触して支持する部分である請求項 1 3記載の装置。

1 6 . 積層体ホルダ一が、シュ一リムの半径方向内周面に嵌合する湾曲面と、シリブをシリブと接触せずに受容する細溝とを有し、支持部材が、湾曲面上の少なくとも 1つの突起からなるシリム受けからなるものである請求項 1 5記載の装置。

1 7 . 湾曲面上の突起の表面が離型性耐熱ポリマーでコーティングされている請求項 1 6記載の装置。

1 8 . 湾曲面上の突起が、湾曲面上に穴加工し、穴の開口から突出する部分を有するピンを穴に挿入して形成されたものである請求項 1 6記載の装置。

1 9 . 積層体ホルダ一が、シユーリムの半径方向内周面に嵌合し、シュ一リムの半径方向内周面の半径より大きい半径を有する湾曲面と、シユーリブをシユーリブと接触せずに受容する細溝とを有し、支持部材が、シユーリムの半径方向内周面を積層体ホルダーの湾曲面に近接させ、シユーリブを細溝内に受容させて積層体を積層体ホルダーに支持したときに、湾曲面がシュ一リムと接触する部分である請求項 1 5記載の装置。