WO1998036855A1 - Eponge fine - Google Patents

Description

明 細 書 スポ ン ジ シー ト

技術分野

本発明は、 水分の拭き取り性能を改善したポリ ビニルァセタ一ル系ス ポンジシー トに関し、 更に詳し く は、 車体表面の水滴除去用、 精密機械 や部品あるいは機器等の表面拭浄用のウ ェ ス、 及び身体拭浄用等に好適 なポ リ ビニルァセタール系スポンジシー 卜に関する。 背景技術

従来、 ポリ ビニルァセタール系多孔質弾性体スポ ン ジは、 水分の拭き 取り材と して用いられている。 特に、 ポ リ ビニルァセタール系多孔質弾 性体スポンジのシー ト状のもの、 あるいはポ リ ビニルァセタール系多孔 質体の間に補強用の布帛類を間挿し、 複合一体化しシー ト状とな したも のは、 水分の吸収力が良く 、 比較的平滑度の高い物品の表面の水滴、 塵 埃等を拭き取り除去する拭浄材と して利用されている。 即ち、 洗車後の 車体の表面の水滴の除去用、 精密機械や部品あるいは機器等の表面拭浄 用のゥ ヱス等と して商品化されている。

ところが、 近年、 車体の塗膜は美しいボディ カラーを得るため、 防锖 塗装の上に何層も重ねて塗装されている。 特にメ タ リ ッ ク塗装に於いて は上塗り層と して、 メ タ リ ッ ク層の上にク リ ア塗装がなされており、 下 塗りを含めると 5層以上の塗膜構成になっている。

このク リ ア塗装は比較的軟質で傷つきやすく 、 洗車後の水分の拭き取 り作業の仕方によっては細かい傷がつき、 ひどい場合は塗膜の光沢を失 う こ と もある。 たとえば、 拭き取り布の吸水力が弱いと、 一度では完全 に拭き取れず、 何回も車体の表面を擦るこ とになり傷をつけてしま うの である。 又、 塗装面に拭き残しの水滴が残ると、 夏場に太陽光線が当た つた時、 凸レンズと同じ作用を引き起こ し、 その塗膜を焼いてしまい、 シ ミ をつく るこ と もある。

したがって、 洗車後のボディ の拭き取りには、 傷を付けないために、 表面がソ フ トで柔軟性に富んだものが好ま し く 、 さ らに、 吸水性が良く 一回の拭き取りで拭き残しがないものが好ま しい。 更に一度吸い込んだ 水を素材の中に保って再びボディ を濡らさないこ と即ち保水性を高める こ と も大事である。

こ こで、 前述のよう にポ リ ビニルァセタール系スポンジシ一 卜が水分 の拭き取り用と して用いられるのは、 普通のタオルと比較して吸水力が 強いだけでなく 、 積極的に水分を吸い上げる能力があるため水滴の部分 に接触するだけで除去するこ とが出来、 タオルのよう に強く 擦る必要が ない為である。

そこで、 吸水性および保水性を高めるために、 スポ ン ジ層を緻密にす るこ とを考えた。 ところ力く、 上述のポ リ ビニルァセタール系スポンジシ — トは、 予め水に浸漬し、 適度に絞ってから使用するのが一般的である が、 スポンジ層を緻密にすると、 使用時における摩擦抵抗や軋みが増し 、 作業性が悪いという問題が生じるこ とがわかつた。

本発明者等は上述の問題点に鑑みて鋭意研究を行った結果、 特定の構 造を備えたポ リ ビニルァセタール系スポンジシー 卜が洗車の際の拭き取 りの吸水性と作業性を両立できるこ とを見出し本発明を完成したもので ある。 本発明の目的は洗車後の拭き取りの際に拭き残しがな く 且つ摩擦 抵抗が少なく て作業性の良い、 洗車用拭き取り材等に適したスポ ン ジシ 一 トを提供するこ とにある。 発明の開示

本発明は、 ポ リ ビニルァセタール系スポンジの層を少な く と もその表 面に有し、 前記ポ リ ビニルァセタール系スポ ンジの層の表面の少なく と も一部に、 皮膜を有しているこ とを特徴とするポ リ ビニルァセタール系 スポ ン ジ シ一 トである。

本発明のスポ ン ジシー トは、 前記皮膜の開口率が 1 0 6 0 %であれ ば好ま しく 、 さ らには、 前記ポ リ ビニルァセタール系スポ ン ジの層が、 ァセタール化度が 5 0 8 0 %のポ リ ビニルァセタ一ル系樹脂よりなり 、 平均気孔径が 1 0 1 6 0 で気孔率が 8 0 9 5 %の微細連続気 孔を有する多孔質構造体からなる ものであれば、 なお好ま しい。

本発明におけるポ リ ビニルァセタール系スポンジとは、 ポ リ ビニルァ ルコールを気孔形成材と共に触媒の存在下でアルデヒ ド類と架橋反応さ せたのち、 気孔生成材を除去して連続気孔を有する多孔質体と したもの でめ 。。

本発明の請求の範囲第 1 項に係る発明によれば、 スポ ン ジの表面に皮 膜を形成するこ とにより、 スポンジの保水力を増すことができる。 また 、 請求の範囲第 2項に係る発明によれば、 皮膜の開口率が 1 0 % 6 0 %で軋み感がなく 、 且つ保水力の高いスポ ン ジシー トが得られる。 即ち 、 開口率が 1 0 %未満の場合は、 作業の場合の軋み感が強く なり、 6 0 %を超える場合は保水力が低下し、 一端保水した水を塗膜面にこぼしや すく なり、 拭き残しが生じる。 こ こで、 本発明における皮膜の開口率と は、 スポ ン ジの層の表面皮膜層に、 下層の多孔質体の構造である気孔が 露出 している割合を面積比で表したものである。

開口率 （％) 気孔が露出 している面積 ÷多孔質体の全表面積 X 1 0 0 開口率 1 0 0 %とは多孔質体の表面に皮膜が無い状態であり、 0 %と は全表面積が皮膜で覆われているこ とを示す。 また、 請求の範囲第 3項に係る発明によれば、 より柔軟性に富み、 且 つ吸水性の高いスポ ン ジシー トが得られる。 即ち、 本発明におけるポ リ ビニルァセ夕一ル系スポンジは、 ァセ夕一ル化度が 5 0〜 8 0 %である 。 8 0 %を超えると水に湿潤した時も硬く 使用に適さない。

また、 本発明のスポン ジ シ一卜の平均気孔径は 1 0〜 1 6 0 mで、 1 0 m未満の場合は、 作業の場合の軋み感が強く なり、 1 6 0 mを 超える場合は吸水性が悪く なり、 かつ保水力が低下し、 一端保水した水 を塗膜面にこぼしやすく なり、 結果と して作業性が低下する。

また、 本発明のスポ ンジシー トの気孔率は、 8 0〜 9 5 %である。 気 孔率が 8 0 %未満の場合は、 上述の保水力が低下し、 9 5 %を超える と シー ト しての強度が低下し好ま し く ない。

こ こで、 本発明のスボンジシ一 トは、 次のような方法で製造する こ と ができる。 ポ リ ビニルアルコール、 アルデヒ ド類、 酸類、 及び澱粉類微 粉末を混合した原液を、 紙で層状に仕切った状態で反応させ、 反応完了 後、 水洗にて未反応のアルデヒ ド類、 酸類、 及び澱粉類微粉末を除去す るとと もに、 前記セパレ一夕と しての紙の部分で剝離するこ とによって 得るこ とが出来る。

本発明に用いられるポ リ ビニルアルコールとは、 重合度 3 0 0 ない し 2 0 0 0 の完全または部分鹼化のもので、 水酸基の一部が他の官能基で 置換されている ものであってもよ く 、 これらを単独又は混合して用いる ことができる。

本発明に用いられるアルデヒ ド類とは、 ポリ ビニルアルコールをポ リ ビニルァセタールにする架橋剤であって、 脂肪族系あるいは芳香族系の ものであり、 一価のものでも多価のものでもよい。 特にホルムアルデヒ ド、 ァセ トアルデヒ ドがポリ ビニルァセタール系多孔質体と しての物性 を発現するのに好適である。 本発明に用いられる塩類とは、 触媒と して働く ものであり、 例えば塩 酸、 硫酸、 硝酸等の鉱酸類、 シユウ酸、 クェン酸、 マイ レ ン酸等の有機 酸類、 あるいは強酸と弱塩基よりなり水溶液中で酸性を呈する塩類も用 いるこ とが出来る。

本発明に用いられる澱粉類微粉末とは、 植物より分離抽出される粒状 物（ 澱粉粒） のこ とであり、 由来となる植物と しては、 たとえば米、 麦 、 トウモロコ シ等の穀類、 馬鈴薯、 甘薯、 タロイモ等の芋類等が挙げら れる。 また、 これら澱粉粒の持つ水酸基に疎水性の官能基を導入して変 性した、 いわゆる変性澱粉を用いても良い。 この澱粉類微粉末は、 ポ リ ビニルァセタール系多孔質体を製造する際に、 気孔形成材と しての役割 を果たすものであり、 澱粉の種類や添加量を変えるこ とによって、 気孔 径、 気孔率を調整するこ とができる。

本発明に用いられる紙は、 セパレータ と して用いられる もので、 反応 後は完全にほぐれて分散する ものが好ま し く 、 バイ ンダー、 添加物等を 含まないものが好適であるが、 所定の開口率のスポ ン ジシ一 トを得るた めには、 通水性が一定の範囲のものを用いる。 即ち、 一定面積の紙を 5

0 0 m 1 の水が通過する通水時間が適切な範囲のものを用いる。 通水時 間が長いとスポ ン ジシー 卜の開口率は小さ く なり、 短いと開口率は大き く なる。 図面の簡単な説明

図 1 は、 本発明のスポ ン ジシー トの皮膜の表面形状を示す走査型電子 顕微鏡写真である。

また、 図 2 は、 本発明のスポ ン ジシー トの内部の三次元網目構造を示 す走査型電子顕微鏡写真である。 発明を実施するための最良の形態

以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、 本発明はこれら実施例に より何ら限定される ものではない。

本発明の実施の一形態と してのスポンジシー トについて、 以下に説明 す <t> o

そこで、 本発明のスポンジシー トの具体的な製造方法を以下に示す。 まずポ リ ビニルアルコールを温水に溶解し、 5〜 1 5重量％程度のポ リ ビニルアルコール水溶液を調整する。 そこへ気孔生成材たる澱粉を水に 分散した液を投入する。 この液を澱粉のひ （アルフ ァ） 化温度周辺まで 昇温した後、 更に硫酸とホルムアルデヒ ドの水溶液を加えた後、 十分に 攪拌混合し均一スラ リ ー状原液となす。

この原液を、 所定の型枠中に一定量注型する。 その上に紙を載置し、 次にまた一定量の原液を注ぎ込む。 更に同様にして紙 · 原液を交互に注 型するという作業を繰り返し行う と、 セパレータ用の紙に隔離された層 が幾重にも重ねられるこ ととなる。

そのまま約 6 0 ° Cで 1 0 時間以上反応させ、 反応完結後、 圧搾、 水 洗すると、 未反応のアルデヒ ド類、 酸類、 及び澱粉類微粉末が除去され るとと もに、 紙の部分で剝離して、 本発明のポ リ ビニルァセタール系多 孔質体からなるスポンジシ一 卜が得られる。

また、 原液を注型後、 布帛類を載置し、 再び原液を注ぎ込むよう に し て製造すると、 布帛類を捕強材と して挟持したスポンジシー トを得る こ とができる。

この際用いられる布帛類と しては、 寒冷紗等のよう に、 目が粗く 、 両 側のポリ ビニルァセタール系多孔質体が一体化できる様なものが好ま し い。 (実施例 1 )

クラ レ （株） 製の完全鹼化ポリ ビニルアルコール 1 1 7 を用い、 その 7 5 0 gを温水に溶解し、 全量を 8 1 と した。 気孔生成材と して トウモ ロ コ シ澱粉粒子を選定し、 この 7 0 0 gを水に分散した後、 上記ポ リ ビ ニルアルコール水溶液に加え攪拌混合し全量を 1 0 1 と した。

架橋剤と して、 ホルムアルデヒ ド、 触媒と して硫酸を選定。 3 5 %ホ ルマ リ ン 1 1 と 5 0 %硫酸 1 1 の混合溶液を上記のポ リ ビニルアルコー ルと澱粉の混合液に加えて均質混合液を調製し、 これを反応原液と した 縦 7 8 O m m x横 4 9 O m m X深さ 1 0 O m mの樹脂製の容器を準備 し、 この中に反応原液とセパレ一タ用の紙を交互に入れ層を形成せしめ た。 この時に一層に注加する反応原液量を 6 0 0 m 1 と し、 セパレー夕 用の紙と しては通水時間が 1 7 0秒のものを用いた。 即ち、 紙のサイズ を前述の容器とほぼ同じか若干小さめと し、 反応原液の層を完全に隔離 せしめ、 複数層を形成するよう に積層 していった。

積層が完了 した後、 容器を、 6 0 ° Cに調節した熱処理機中に入れ、 約一昼夜反応を行った。

反応終了後、 内容物を容器より取り 出し、 十分なる水洗を行い、 未反 応のホルムアルデヒ ド及び硫酸、 澱粉を除去し、 更に前記紙の部分で反 応生成物を分割したところ、 厚み約 1 . 5 m mのスポ ン ジシー トを得た 。 このスポ ン ジシー トは表面に皮膜を有していた。 得られたスポ ン ジシ 一卜の性状及び各種特性は表 2 に示す通りであった。

得られたスポ ン ジシ一 卜で車の塗装面と同等の平滑性を有する板の表 面に水滴を散布して拭き取ったと ころ、 摩擦抵抗も少な く 、 軋みもなく て作業性が良く 、 且つ、 水滴のふき残し もなかった。

以下にスポン ジ シ一卜の特性の評価法を示す。 (摩擦抵抗値の測定）

本発明において摩擦抵抗値とは拭き取り作業の容易さを定量化したも のである。 具体的には次のような方法で求める。 1 0 O m m x 1 0 0 m mのスポンジシ一 トを同サイズの底面を持つプラスチッ クケースの底面 に両面テープで貼りつけ、 ケースに 1 . 2 k gの重りを均一に乗せる。 平滑な板の上にスポ ン ジシ一 トを下に して置き、 ケースの側面をバネ秤 に固定して水平に引 っ張った際に、 動きだした時のバネ枰の荷重を読む 。 荷重が 3 . 0 k g以下なら作業時の抵抗が少なく 、 それ以上では抵抗 が大き く 、 軋み感がある

(吸水力/ 拭き残し）

ホワイ トボー ドに青色顔料で着色した水をスプレーし、 1 0 O m m x

1 0 0 m mのスポンジシー トを二つ折りにして置き、 その上からプラス チッ クの定規でスポンジシー トを静かに引いた時に、 ホワイ トボー ドに 残る水滴の多寡を判定する。

(実施例 2 、 3 )

実施例 1 において使用 した紙の通水時間を 1 0 0秒、 8 0秒に変えた 以外は実施例 1 と同様にして厚さ 1 . 5 m mのスポンジシー トを得た。 (実施例 4 )

実施例 i において使用 した澱粉を米澱粉に代えた以外は実施例 1 と同 様にして厚さ 1 . 5 m mのスポ ンジシー トを得た。

(実施例 5 )

実施例 1 において使用 した澱粉を馬鈴薯澱粉に代えた以外は実施例 1 と同様にして厚さ 1 . 5 m mのスポンジシ一 トを得た。

(比較例 1 )

実施例 1 において使用 した紙の通水時間を 5 0 0秒に変えた以外は実 施例 1 と同様にして厚さ 1 . 5 m mのスポンジシー トを得た。 (比較例 2 、 3 )

比較例 1 において使用した澱粉を米澱粉、 馬鈴薯澱粉に代えた以外は 比較例 1 と同様にして厚さ 1 . 5 m mのスポ ンジシー トを得た。

(比較例 4 )

比較例 1 において使用した紙の通水時間を 5 0秒に変えた以外は比較 例 1 と同様にして厚さ 1 . 5 m mのスポンジシ一 卜を得た。

実施例 1 〜 5及び比較例 1 〜 4 について、 上記評価法の結果を表 2 に 示す。 なお、 表 1 に製造条件をまとめた。

(表 1 ) 平均 気孔率 セパレ一夕紙 項目 気孔径 澱粉の種類 ( % ) の通水時間 a m (秒） 実施例 1 5 0 と う もろこ し 8 8 1 7 0 澱粉

実施例 2 5 0 〃 8 8 1 0 0 実施例 3 5 0 8 8 8 0 実施例 4 2 0 米澱粉 8 6 1 7 0 実施例 5 1 0 0 馬鈴薯澱粉 9 2 1 7 0 比較例 1 5 0 と う もろこ し 8 8 5 0 0 澱粉

比較例 2 2 0 米澱粉 8 6 5 0 0 比較例 3 1 0 0 馬鈴薯澱粉 9 2 5 0 0 比較例 4 5 0 と う もろこ し 8 8 5 0

(表 2 )

表 2 から、 スポ ンジシー ト表面の皮膜の開口率が 6 0 %を超える と拭 き残しが生じ、 開口率が 1 0 %以下になると、 摩擦抵抗値が大き く なり 作業性が悪く なるこ とがわかる。 産業上の利用可能性

本発明のスポンジシー トは、 スポンジシー ト表面の皮膜の開口率を、 最適な範囲に設定するこ とにより、 作業性が良く 、 かつ、 拭き残しの無 い洗車用拭き取り材を得る ことが出来る。 又、 このスポ ン ジシー トは、 水泳後の身体の水分拭き取りにも使用できる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . ポリ ビニルァセタール系スポ ン ジの層を少なく と もその表面に有 し、 前記ポ リ ビニルァセタール系スポンジの層の表面の少な く と も一部 に、 皮膜を有していることを特徴とするポ リ ビニルァセタール系スポン ジ シー 卜。

2. 皮膜の開口率が 1 0〜 6 0 %であるこ とを特徴とする請求の範囲 第 1 項記載のスポンジシ一 卜。

3 . ポ リ ビニルァセタール系スポンジの層が、 ァセタール化度が 5 0 〜 8 0 %のポ リ ビニルァセタール系樹脂よりなり、 平均気孔径が 1 0 〜 1 6 0 z mで気孔率が 8 0 〜 9 5 %の微細連続気孔を有する多孔質構造 体からなるこ とを特徴とする請求の範囲第 1 項または第 2項記載のスポ ン ジ シー ト。