明細書 多チヤ ンネル疑似ラ ンダムバターン発生装置 技術分野
この発明は多チャ ンネル疑似ラ ンダムパター ン発生装置に関し、 特にチャ ンネル数の増加と各チャ ンネルの疑似ラ ンダムパターン発 生器の回路構成の共通化に係わる。
技術背景
疑似ラ ンダムパターン発生器 (以下単に R P発生器とも呼ぶ) の 基本回路はシフ ト レジスタ と少なく とも 1 つの X 0 R (排他的論理 和回路) によ り構成される。 図 4 はその一例を示す図で、 生成多項 式が F ( X ) = X 5 + X 2 + 1で表わされ、 D— F F ( D形フリ ツ プフロ ップ回路) 5段と 1個の X 0 Rとで構成されている。 このよ う iこ疑似ランダムノヽ ·ターン ( P R B S : Pseudo Random B i nary Seq uence と呼ぶ) の発生は、 帰還型シフ ト レジスタを用い、 例えばそ の最終段出力と何れかの中間シフ ト段の出力を X 0 Rに入力し、 そ の出力をシフ ト レジスタの入力にに帰還させる。 この面路にクロ ッ クバルス ( C K ) が 1個入力する毎に任意の 1つまたは複数のシフ ト段から 1 ビッ トまたは複数ビッ トの P R B Sデータが発生する。 一般に n次の生成多項式 F ( X ) をもつ疑似ラ ンダムパターン発 生器はよ く知られているように n段のシフ ト レジスタ形式の回路で 構成され、 それによつて各シフ ト段から発生される P R B Sは連続 する 2 n- l ビッ トのパターンの操り返し となる。 どのシフ ト段の 出力も同じシーケ ンスのパター ンとなり、 位相が互いにずれている だけである。 従って、 疑似ラ ンダムパターン発生器から P R B Sを 出力させる場合、 どのシフ ト段から出力させても良い。 また、 任意 の複数のシフ ト段からの出力をラ ンダムパターンデータとして使つ てもよい。
従来の mチャ ンネルの疑似ラ ンダムバターン発生装置は図 5に示 すように、 互いに相異なる生成多項式 F , ( X ) , F z ( X ) , "· , Fm ( X ) をそれぞれ持つ R P発生器 1 , 〜 l m で構成される。 生成多項式 F i ( X ) ( i = l 〜m ) が互いに異なるため、 各チヤ ンネル C H i の P R B Sの相互相関は低く でき る。
従来の多チャ ンネル P R B S発生装置は、 チャ ンネル数 mが多く (例えば 1 0 0以上に) なると、 現在存在する生成多項式 F i ( X ) が 1 0 0種程度であるので、 実現できな く なる恐れがある。 また 各チャ ンネルの R P発生器は異なる生成多項式に基ずいて構成され たものであるので、 当然回路構成が異なっており、 各チャ ンネルの R P発生器の回路構成の共通化は不可能であり、 従つ: C I C化が困 難である。 一
この発明の目的はこれら従来の欠点を解決して、 従来よりチャ ン ネル数 mを多 く できる と共に各チャ ンネルの R P発生器の回路構成 を共通化でき る多チャ ンネル P R B S発生装置を提供しょう とする ものである。
発明の開示
この発明による多チャ ンネル P R B S発生装置は、 初期値が設定 され、 ク ロ ッ ク信号により シフ ト駆動されて共通の生成多項式に基 ずいて疑似ラ ンダムバタ一ンを発生するよう に、 それぞれ n段のシ フ ト レジスタにより構成された第 1乃至第 m ( mは 2以上の整数) チヤ ンネルの疑似ラ ンダムパター ン発生器と、
前記疑似ラ ンダムバタ一ン発生器の 1つで仮りに疑似ラ ンダムパ ター ンを発生させた場合に、 それぞれ前記ク ロ ッ ク信号のク ロ ッ ク パルス数で規定された時間間隔 z k 毎に前記疑似ラ ンダムパター ン 発生器の n個のシフ ト段から出力される n ビ ッ トのデータを初期値 と して前記疑似ラ ンダムパター ン発生器の n段のシフ ト段から出力 される nビ ッ トのデータを 1 つの初期値と して順次 m回発生して得 られる第 1 セ ッ ト の m個の初期値 { I , , I 2 . ··,, I „ } 、 縞い
て得られる第 2セ ッ トの m個の初期値 { I„+ 1 , I m + 2 , ..·, I m + n } 、 以下同様にして得られる第 P ( P は 1以上の整数) セ ッ トの m個の初期値 { I (p. 1 ) m+ i , I (P- 1 ) m + 2 , ···, I (p- ,) n + m} までの
Pセッ トのう ちの所望の 1 セ ッ トの m個の初期値を生成する初期値 生成手段と、
前記初期値生成手段からの m個の初期値を前記 mチヤ ンネルの前 記疑似ラ ンダムパターン発生器に設定し、 それらの疑似ラシタムパ ターン発生器の動作をスター ト及びス ト ップさせる制御をする制御 手段と、
を舍み、 前記時間間隔 z k は、 バターン発生実使用時間より十分大 き く選ばれ、 前記各チヤ ンネルの前記疑似ラ ンダムパターン発生器 の前記シフ ト段数 nは、 Tc を前記ク ロ ック信号のク α ック周期と すると、 n > l o g 2 [ {∑ z k/ Tc } + l ] 、
kは 1から m p — 1 まで を満足するように選ばれている。
前記初期値は初期値テーブルから読み出すことにより生成しても よいし、 初期値算出部を設けて演算により発生しても良いし、 また は前記各チャ ンネルの疑似ランダムバターン発生器と同一構成の疑 似ランダムパターン発生器を用いて前記初期値を発生させてもよい 。 後者の場合、 前記初期値を発生させる疑似ラ ンダムパター ン発生 器に与えるク ロ ックパルスの周波数は、 前記各チャ ンネルの疑似ラ ンダムパター ン発生器に与えるクロ ックバルスの周波数より十分高 く達ばれる。
図面の簡単な説明
図 1 Aはこの発明の実施例を示すプロ ック図。
図 1 Bは図 1 Aの初期値箕出部 2で演算され、 各チャ ンネルの疑 似ラ ンダムパターン発生器に設定される初期値を、 各チャンネルの 疑似ラ ンダムパター ン発生器と同じ構成の疑似ラ ンダムパター ン発 生器で発生させたと仮定した場合の発生タイ ミ ングを示す図。
図 2 は図 1 Aの各チャ ンネルの疑似ラ ンダムパターン発生器より 発生する P R B Sの自己相関係数の時間て に対する変化特性を示す 図。
図 3 はこの発明の他の実施例を示すブロ ック図。
図 4 は生成多項式 F ( X ) = X 5 + X 2 + 1をもち、 P R B Sを 発生する疑似ラ ンダムパターン発生器の一例を示す回路図。
図 5 は従来の多チャ ンネル疑似ランダムパターン発生装置のプロ ック図。
発明を実施するための最良の形態
使用目的に従って P R B Sは実使用時間内での自己相関値が実用 上許容される値以下となるようなパターンシーケンスと操り返し周 期を持つように選ばれている。 例えば 6 1段のシフ ト段を有する疑 似ラ ンダムバターン発生器を 1 9. 4 4 M H z のク ロ ッ ク信号で駆 動した場合、 P R — Sのパターン長は約 2. 3 X 1 0 ' 8ビッ トであ り、 その操り返し周期は 3 0 0 0年以上になる。 多チャ ンネル P R B S発生装置の場合は、 発生される全チャ ンネルの P R B Sの相互 相関値が許容される値以下となる必要がある。 ところで、 2つのチ ヤ ンネルで同じパターンの P R B Sを時間 t だけずらして発生させ た場合、 相互相関値は同一 P R B S内の時間 t はなれた自己相関値 と等しく なる。 多チャ ンネルの P R B Sを全て同じパターンとして も相互相閔値が自己相関値以下であれば実用上問題はない。
そこで実使用時間内で実用上問題とならないような相互相関値と なるよう多チャンネルで同じパターンの P R B Sを互いに十分長い 時藺ずらして発生すればよい。 しかしながら、 それにはある 1 つの チャ ンネルで P R B Sの発生開始してから次のチャ ンネルで P R B
sの発生を開始するまで実使用時間より十分長い時間待たなければ ならないので実用的でない。
この発明では 2つの方法により上述の条件を満足する多チャ ンネ ル P R B S発生を実現している。 第 1 の方法は、 上述の条件を満足 する時間 t後に発生されるパターンを予め演算で求めることができ ることを見いだしたことに基づいており、 予め時間間隔 , t 2 , '"経過後の疑似ラ ンダムパターン発生器のシフ ト レジスタの状態 値を演算で求め、 それらの値を初期値として各チヤンネルの疑似ラ ンダムバターン発生器に設定してから P R B Sの発生を開始する。 もう 1つの方法は、 1 つの疑似ランダムパターン発生器を高速ク ロ ックで動作させ、 実使用時間より十分短い時間内に上記時間間隔 t , , t z , …に対応する状態値を順次発生させ、 それらを初期値 としてそれぞれのチヤ ンネルの疑似ラ ンダムパターン発生器に設定 してから通常のク ロ ック信号で P R B Sの発生を開始する。
この発明の実施例の説明をする前に、 まず上記第 1 の方法の基礎 となる任意の時間後のシフ ト レジスタの状態値を演算により求める 方法について図 4の疑似ラ ンダムパターン発生器を例として説明す る。 時刻 t におけ 各シフ ト段の D— F Fの出力をそれぞれ X , ( t ) . X 2 ( t ) , X 3 ( t ) , X 4 ( t ) , X 5 ( t ) とすると
、 1 クロ ック時間遅延後の時刻 t + 1 における D— F Fの各シフ ト 段の出力は ( 1 ) 式で表される。
X , ( t + 1 ( t ) ,
X 2 ( t + 1 X 3 ( t ) ,
X 3 ( t + 1 X 4 ( t ) ,
X 4 ( t + 1 X 5 ( t ) ,
X 5 ( t + 1 X 1 ( ) + X 3 ( t ) ( 1 ) だし、 ( 1 ) 式中の第 5行における X , ( t ) と X 3 ( t ) との
加箕演算はモジュ ロ 2加箕演算 (即ち排他的論理和) である。 上式 を行列で表すと、
となる で、 Aは ( 3 ) 式となる
0 1 0 0 0
0 0 1 0 0
A: 0 0 0 1 0 (3)
0 0 0 0 1
1 0 1 0 0
時刻 t + 2における各シフ ト段の出力は
fXi (t+2)、 (t+1)、 fxi (t) Ί
X2 (t+2) (t+1) X2 (t)
X3 (t+2) = A X3 (t+1) = A2 X3 (t) (4)
XA (t+2) X4 (t+1) X4 (t)
tX5 (t+2) J 、X5 (t+1) J
であるから、 時刻 t + z
k (時刻 tから z
k ク ロ ッ ク後) における 各シフ ト段の出力は ( 5 ) 式で求められる。
(5)
( 5 ) 式より、 時刻 t から任意のク ロ ック時間 z k 後の全シフ ト 段の出力、 つまり シフ ト レジスタの内部データ (以降状態値と呼ぶ ) が求められる。 従って、 任意のク ロ ック時間 z ¾ 後の P R B Sデ 一夕を計算で求めることができる。
この発明の実施例を図 1 を参照して説明する。 この実施例におい ては、 予め初期値算出部 2 は制御部 3により指定されたそれぞれの 時間間隔 z 毎に疑似ランダムバターン発生器のシフ ト レジスタ到 達することになる状態値を順次演算し、 それら m個ずつを mチャ ン ネル C H , 〜C Hn の R P発生器 1 , 〜 1 m に対する 1 セ 'ン トの初 期値として、 Pセッ 卜の初期値を求め、 制御部 3の制御に従って初 期値テーブル 4に格納しておく。 mチャ ンネルの R P発生器 1 , 〜 1 m は互いに同じ構造であり、 従って同じシフ ト段数のシフ ト レジ スタを内部に有している。
P R B Sを発生するには初期値テーブル 4から制御部 3により指 定された所望の 1 セッ トの初期値を読みだし、 それら初期値を R P 発生器 Ι , ^ ΐ π» 内のシフ ト レジスタにそれぞれ設定する。 R P発 生器 1 , 〜 1 m にシフ トクロ ック C Kを与えることにより各 R P発 生器 l i 〜 l m はそれらの予め決めた 1 つまたは複数のシフ ト段か ら P R B Sデータを順次出力する。 必要に応じて他のセ ッ トの初期 値を初期値テーブル 4から選択して R P発生器 1 , 〜 1 m に設定す ることにより、 発生する P R B Sのシーケ ンスを変更するこ とがで きる。
初期値算出部 2 は、 次数 nの生成多項式 F ( X ) をもつ各チャ ン ネルの疑似ラ ンダムパターン発生器 ( D— F F X n段構成) と同一
構成の疑似ラ ンダムパターン発生器で仮りに P R B Sを発生させた 場合に、 その任意の時刻 t , における n シフ ト段のデータ X , 〜 X „ である n ビッ トの状態値 X ( t , ) (第 1初期値と呼ぶ) を基準 に任意の z , 時間後の状態値 X ( t 2 ) (第 2初期値と呼ぶ) を ( 5 ) 式と同じよう に次の演算式より求める。
C X ( t 2 ) ) = [ X ( t , + z , ) ) = AZl ( X ( t , ) ]
t z = t + Z
• - · · ( 6 ) 上式で 〔 〕 はマ ト リ ッ ク スを表し、 Aもマ ト リ ッ クスで表され る。
次に時刻 t 2 より z 2 時間後の nビッ トの状態値 X ( t 3 ) (第 3初期値と呼ぶ) を次式より求める。
〔 X ( " ) 〕 = 〔 X ( t z 十 z 2) 〕 A C X ( t 2 ) )
t = t + Z
• · · · ( 7 ) 以下同様に、 時刻 ( t m ) から z m - 時間後の状態値 X ( t n ) (第 m初期値) を次式より求める。
〔 X ( t m ) 〕 = 〔 X ( t m , 十 z i ) 〕
= AZn- 1 〔 X ( - ) )
t m ^ t m~ l + Z m- l
• · · · ( 8 ) このようにして第 1 セ ッ ト (第 1 グループ) の mチャ ンネルの疑 似ラ ンダムバタ一ン発生器に対する初期値 { X ( t , ) , X ( t 2 ) , ···, X ( t m ) } が演算される (図 1 B参照) 。 なお第 i 初期 値 X ( t i ) を簡単化のため I i とも表記する。
以下同様にして、 第 2 セ ッ トの mチャ ンネル分の初期値 { X ( t ) , X ( t„ + 2 ) , ···, X ( t n + B ) } が求められ、 同様にし て第 P ( p は 1以上の整数) セ ッ トの mチャ ンネル分の初期値 { X
) * ) , X ( *z ) , ( I ) } 力、求
められる。 このように求められた第 1〜第 P初期値セ ッ トは順次初 期値テーブル 4に書き込まれる。
多チャ ンネルの P R B Sを同時に発生させる場合には、 初期値テ 一ブル 4に書き込まれた複数の初期値セッ トの内の制御部より指定 された任意のセ ッ ト、 例えば第 1セ ッ トの第 1〜第 m初期値 X ( t ) , X ( t 2 ) , ···, X ( t m ) が R P発生器 1 , 〜: L„ にそれ ぞれセッ トされ、 制御部 3より指定されたタイ ミ ングで一斉に P R B Sの発生動作が開始される。 スター ト してから t時間後の m個の R P発生器の状態値はそれぞれ X ( t , + t ) ( X ( t 2 + t ) , ···, X ( t„ + t ) となる。 各チャ ンネルの R P発生器の nシフ ト 段のうち、 予め決めた 1つまたは複数のシフ ト段からデータを P R B Sとして出力するので、 これらの状態値を表す符号 X ( t , +.t ) , X ( t 2 + t ) , ···, X ( t m + t ) でスター トから t時間後 のそれぞれのチヤ ンネルの発生する P R B Sデータを表すものとす る。
R P発生器 l i の出力 P R B Sデータ X ( t i + t ) の R P発生 器 1 ; の出力 P R B Sデータ X ( t i 十 t ) に対する相互相関係数 は、 X ( t i + t ) の自己相関係数に時間差 (位相差) t - t i =∑ z k ( kは iから j まで) をもって等しく なるのであるが、 次 にそれを説明しょう。
自己相関はある時刻のデータ Xの値の、 他の時刻の値への一般的 依存性を表す。 時刻 t と t + τにおけるデータ X ( t ) の自己相関 係数 Rx ( r ) は 2つの時刻の各値の積をとり、 観測時間 Tにわた つて平均することで得られる。
Rx (r) 1 l m X(t) X (t + r) d t (9)
Τ
P R B Sは各 R P発生器を構成する シフ ト レジスタ の シフ ト段数 を n、 シフ トク ロ ッ ク周期を Tc としたとき、 一般に ( 2 n — 1 ) Tc の周期を持ち、 こ の自己相関係数 R x ( て ) をグラ フで表すと 図 2の様になる。 従って、 P R B Sの自己相関係数 R x ( て ) は、 て が ( 2 n — 1 ) Tc の整数倍の時に 1 となり、 それ以外ではほぼ 0 となる。
相互相関は 1 つのデータ X ( t ) のある時刻の値の、 もう二つの データ Y ( t ) のある時刻の値への一般的依存性を表し、 相互相関 係数 R Χγ ( て ) は、 時刻 t におけるデータ X ( t ) の値と時刻 t + て におけるデータ Y ( t ) の値の積の平均である。
RXY (て) Χ(ί) Υ ( t + r) d t (10)
時間差 t
a の P R B Sデータ X ( t ) と X ( t + t
a ) = Y ( t ) との間の相互相関係数 R
XY ( て ) は、 ( 1 0 ) 式の丫 ( 1 十 て ) に X ( t + t a 十 て ) を代入すれば、
Τ
RXY (r) = 1 m X(t) X ( t十て十 t ) d t . . . (in
Τ»οο τ 0
( 1 1 ) 式の相互相関係数 RXY ( て ) は、 ( 9 ) 式の自己相関係 数 R X ( τ ) において、 て → て + t a に置き換えたものに等しい。 このことから、 P R B Sデータ X ( t ) と Y ( t ) = X ( t 十 t a ) との間の相互相関係数は、 X ( t ) の自己相関係数に、 時間差 t . を持って同じ値となることが分る。 従って、 前述した通り、 R P 発生器 より出力される P R B Sデータ X ( t i + t ) と、 R P
発生器 1 j より出力される P R B Sデータ X ( t j + t ) との間の 相互相閬係数は、 X ( t i + t ) の自己相関係数に、 ( 1 1 ) 式の 時間差 t a に相当する時間差 t j - t i = ∑ z k ( kは i から j ま で) を持って等し く なると言える。
生成多項式 F ( X ) をもつ P R B Sの自己相関係数は周期内では 充分小さな値で、 よ く知られているように、 一般的に実用上問題と ならない値である。 位相差が最小の関係にある任意の 2つのチャ ン ネル (例えば隣接チヤ ンネル C H i 及び C H i + 1 ) の P R B Sの相 互相関においても、 時間差 t a 又は t i + 1— t i の最小値 z fc を P R B S発生装置の実使用時間より充分大き く (例えば 1 0 0倍程度 :) 、 かつ ( 2 n_ 1 ) Tc Zni p より小さ く選べば、 実使用状態で は各チャ ンネルの P R B S の相互相関係数 R xy ( τ ) は自己相関係 数 R x ( τ ) に一致することは無い。 従ってこの様な範囲であれば 初期値間の位相差 (時間差) z k は任意の値に選ぶことができる。 また相互相関係数 R XY ( τ ) は自己相関係数 R x ( r ) の時間 τを r + t a にずらしただけのものであるから、 各チャ ンネルの P R B Sの相互相関係数は自己相関係数と同様に充分小さな値であり、 実 用上問題とならない値となる。
多チャ ンネル P R B S発生装置の出力継続時間を TM とすれば、 初期値の時間差 (位相差) I k は上述したことから、 例えば
z k≥ 1 0 0 X Τ„ · · · · ( 1 2 ) に設定される。
生成多項式 F ( X ) の次数、 従って疑似ラ ンダムパター ン発生器 のシフ ト レジスタ の段数を η とすれば、 各 R P発生器 l i がランダ ム性を維持するためには、 発生される P R B Sの周期 ( 2 n - 1 ) X Tc ( Tc はク ロ ック周期) は初期値テーブル 4に格納された p セ ッ ト分の初期値が、 同一の R P発生器 1 i より順次発生されたと 仮定したときの所要時間∑ z k ( kは 1 から m p — 1 まで) より大 き くなければならない。 従って、
( 2 n - 1 ) Tc > ∑ z V 、 kは 1 から m p — l まで
• · · · ( 1 3 ) 2 n > { ∑ z κ/ Tc } + 1 · ' . · ( 1 4 )
( 1 4 ) 式の両辺の対数をとると次式が得られる。
n 〉 l o g " { ∑ "/Tc } + l 〕 ' · · ( 1 5 ) —例として、 ク ロ ック周期 Tc = 3 μ s , P R B S発生装置使用時 間 TM - 3 6 0 0 0 s ( = 1 0 0時間) 、 発生チヤ ンネル数 m = 4 0、 初期値セ ッ ト数 P = 1 6 のとき、 疑似ラ ンダムパターン発生器 の段数 n > 5 0 となる。
これ迄の説明では初期値テーブル 4 に格納された初期値を mチャ ンネル分の R P発生器 l i に設定するものとしたが、 場合によって は初期値算出部 2で箕出した初期値を初期値テーブル 4 に格納する 時に、 同時に R P発生器 1 , 〜 1 m に順次書き込むよう にしてもよ い。
R P発生器 1 , 〜 l m は同じ生成多項式をもち、 その回路構成は 勿論全て同じである。 また出力を取り出す箇所は任意の 1つまたは 複数のシフ ト段の出力でよい。
図 3 の実施例では第 2の方法に従って初期値算出部 2を用いず、 各チヤ ンネルの R P発生器 1 i と同じ構成の疑似ラ ンダムパター ン 発生器を動作させて、 時刻 t , , t 2 , '·· , t n , t m+ 1 ( .··, t Pn (時間間隔 z k ) に発生する状態値を P セ ッ ト分の初期値として 、 初期値テーブル 4 に書き込むように構成している。 但し、 この実 施例では初期値を生成する疑似ラ ンダムパターン発生器としてチヤ ンネル C H , 〜 C H„ の 1 つである R P発生器 1 , と共用した場合 であり、 セ レク タ 5 は制御部 3からの選択信号に従って、 通常ク ロ ック C Kとその r倍の周波数の高速ク ロ ック r C Kとのいずれかを 選択して出力し、 R P発生器 1 , に供給している。
Pセ ッ トの初期値を生成するときはセレクタ 5 により高速ク ロ ッ ク r C Kを選択して R P発生器 1 , に与え、 装置の実使用時間より
充分短い時間内に Pセ ッ トの初期値を順次発生し、 制御部 3 は内部 に高速カ ウ ンタ (図示せず) を有し、 計数値が予め決めたクロ ック 時刻に達する毎に初期値テーブル 4 への書き込み命令を与える。 P R B Sを発生するには初期値テーブル 4から所望の 1 セ ッ トの初期 値を読みだし、 R P発生器 1 , 〜 1 m に設定し、 セ レク タ 5 により 通常クロ ック C Kを選択して R P発生器 1 , に与えると共に、 他の R P発生器 1 2 〜 1 n にも直接通常ク ロ ック C Kを与えて P R B S の発生を開始する。 高速クロ ック r C Kを用いれば、 初期値発生時 間は r分の 1 に短縮できる。
図 3の構成において、 初期値テーブル 4を用いないで、 R P発生 器 1 , から発生した初期値を直接他の R P発生器 1 2 〜 1 m に設定 しても良い。 その場合は m— 1個の初期値を発生順に順饮 R P発生 器 1 2 〜 l m に設定し、 最後に m番目の初期値を発生した状態で高 速クロ ック r C Kの供給を停止する。 図 3の構成において、 R P発 生器 1 , を初期値発生専用とした場合には、 もう 1つのチャ ンネル 用疑似ラ ンダムパター ン発生器を設ける必要があるが、 セ レク タ 5 は不要となり、 高速クロ ック r C Kを直接初期値発生用 R P発生器 1 , に与えるよう構成すれば良い。
以上説明したよ う に、 この発明によれば P R B S発生チャ ンネル 数 mと、 同じ生成多項式 F ( X ) をもつ各チヤ- ンネルの R P発生器 のシフ ト レジスタの段数 nとの間には ( 1 5 ) 式の関係が成り立つ ので、 シフ ト レジスタの段数 nを大き くすることによってチャ ンネ ル数 mを必要なだけ増やすことができる。
また、 各チャ ンネルの R P発生器は同じ生成多項式 F ( X ) をも ち従って同じ回路構成であるので、 各チャ ンネル毎に生成多項式の 異なる従来の場合に比べて、 設計、 製造が容易になると共に I C化 に適した回路となる。