明 細 書
抗ケラチン抗体からなる毛髪改質剤、 毛髪化粧料及び抗ケ ラ チン抗体の製造方法
技 術 分 野
本発明は、 人毛髪特有のケ ラ チ ン型中間径フ ィ ラ メ ン ト構成 蛋白質に対して免疫活性を有する抗体からなる毛髮改質剤又は 毛髪損傷保護剤に関する。
また、 本発明は毛髪化粧料に関し、 更に詳し く は人毛髮のケ ラチン型中間柽フ ィ ラメ ン ト構成蛋白質に対して免疫活性を有 する抗体を配合した毛髮化粧料に関する。
更に、 本発明は前記毛髮改質剤又は毛髮損傷保護剤と して有 用な毛髪ケ ラ チ ン型中間径フ ィ ラ メ ン ト構成蛋白質に対して免 疫活性を有する抗毛髪ケ-ラチ ン抗体の製造方法に関する。
背 景 技 術
一般に毛髪は.、 洗髪、 ブラ ッ シ ング、 ドラ イ ヤーによる熱、 パーマやヘアカ ラー等による美容処理を繰り返して施術する こ とによ り、 著し く 損傷劣化し、 毛髮表面の構造が破壊される。 その結果、 乾燥してばさついたり、 技毛や切れ毛を生じたり、
強度低下を引き起こすと共に、 毛髪の構成成分である蛋白質が シャンプー、 パーマ、 ヘアカラー等の処理により溶出し、 毛髮 から少しずつ消失してゆく。 このように、 蛋白質が溶出すると 毛髪ばやせ衰えてますます損傷が進行する。 毛髪は一度損傷す ると自分の力で元に戻ることは不可能であり、 このことから、 美しく健康な毛髪を保持するためには、 損傷を防ぐと共に、 損 傷した場合には毛髪を修復することが必要である。
従来 'この目的のために、 シャ ンプー、 リ ンスや ト リ一 トメ ン ト剤等の毛髪化粧料には、 毛髮の保護成分として天然物由来の 各種蛋白質加水分解物やそれらの誘導体が甩いられている。 し かし、 これらの物質は毛髪への吸着力は極めて小さ く、 特に水 溶性であるために簡単に水で洗い流されてしまうなど欠点を有 し、 十分な効果が得られなかった。
一方、 米国特許第 3 , 987 , 161 号明細書には、 毛髪粒子そのも のを抗原として得られた-杭血清を用いて、 毛髪にボディ感を与 えたりセ ッ ト保持力を改善したりする方法が開示されている。 しかしながら、 この方法によつて得られる抗血清は毛髪蛋白へ の吸着力が非常.に弱く、 毛髪からの蛋白質の溶出を防いだり、 損傷した毛髪を修復する等の効果の点で未だ満足できるものに は至っていない。
ところで、 毛髪は、 外側から毛髪鏃維を包み保護しているキ
ユ ーティ クル、 毛髮鏃維であるコルテ ッ クス、 そ して中心のメ デユ ラ (毛髄質) の 3 タ イ プの細胞から構成されている。
そのう ちのコルテ ッ クスの主たる構成成分と しては、 織維性 の 「ケ ラチ ン型中間径フ ィ ラ メ ン ト構成蛋白質 (または α—ケ ラチン繊維蛋白) 」 、 非繊維性の 「マ ト リ ッ ク ス蛋白質」 、 及 び細胞膜周辺蛋白質の 3つが挙げられる。
ケラチン型中間径フ ィ ラメ ン ト構成蛋白質は、 水には不溶で あるが尿素あるいは SDS 等の変性剤や還元剤の存在、 あるいは 化学修飾等によって可溶化される蛋白質で、 表皮、 爪、 羽毛等 にも存在する こ とが知られている。 毛髪由来のものは、 システ ィ ンとプロ リ ンを多 く 舍み、 ダリ シ ンをほとんど舍まないが、 表皮由来のものはグリ シ ン とセ リ ンを多 く 含んでいる。
本発明においては、 前記米国特許第 3, 987, 161 号明細書に記 されたよう な単なる毛髪粒子でな く 、 上記の様に毛髮 (および 爪等) を過酷な条件で処理し、 可溶化させて得られるケ ラ チ ン 型中間径フ ィ ラメ ン ト構成蛋白質を用いる ものである。
こ のケラチン型中間径フ ィ ラ メ ン ト構成蛋白質に対する抗体 がゥサギ、 マウス、 モルモ ッ ト等の動物の血清中あるいは該動 物由来の睥臓細胞培養液中で発生する こ とは公知である(Baden : J. Invest. Dermatol . , 75, 311 , 1980 ; Cotton : Br . J . Derma to 1 , 3 , 63, 1984 ; 田沢敏男 : 日皮会誌 95, 157, 1985 ; Held :
Differentiation, 32, 101, 1986 等) 。 しかしこれらのマウスあ るいはモルモッ ト由来の抗体は表皮由来のサイ トケラチンとも 反応して組織学的に表皮由来細胞組織を染めることが示されて おり、 できた抗体は頭皮等の他の部位にも反応することが予想 される。 兎由来の抗体については、 皮膚には反応しにく く、 毛 髮に結合することが示されているが、 この場合の毛髮というの は毛包部および毛根部といつた角質化が不完全の柔らかい組織 のことであり、 本発明の目的とする完全に角質化した毛幹部へ の該抗体の結合性について論じているものではない。 むしろモ ノ クローナル抗体を扱つた田沢氏および French ( J. Ce 11. Bi oi . , 102,1412, 1986) らが論じているように角質化した部位には抗 体が結合しないという考えが一般的であった。
また、 雌ゥシ科動物は注射された抗原に対し血清抗体を発生 するほかに、 該動物はまた血清と同一の抗体を舍有する乳を生 成し、 抗体製造の有効な工場であることばよ く確証されている。 しかし、 抗原としてケラチン型中間径フイ ラメ ン ト構成蛋白質 を用いて製造した抗体の皮 Jfや毛髪に対する結合性については 全く判らなかった。 発 明 の 開 示
本発明の目的とするところば、 皮膚には吸着せず、 毛髪に特
異的に結合し、 その結合は水等では洗い落ちる こ とな く 毛髪に 吸着して、 毛髪の損傷を防止したり (蛋白質の溶出を防 ぐ等) 損傷毛を回復させる作用とい つた損傷保護作用や、 毛髮になめ らかさや柔軟性を与え、 毛髪の櫛通り、 ツヤを改善する という 毛髮改質剤を提供する こ とにある。
また、 毛髪の櫛通り、 ツヤやしなやかさを改善する効果を持 ち、 そして損傷毛に対してその損傷の修復や改善に効果のある 毛髪化粧料を提供する こ とにある。
更に、 抗毛髪ケ ラ チ ン抗体を効率よ く かつ多量に生産する方 法を提供するこ とにある。
本発明者等は上述の目的を達成するために鋭意研究した結果 ケ ラチ ン型中間径フ ィ ラ メ ン ト構成蛋白質に対する抗体が、 水 等では洗い落ちる こ とがない程強固に しかも特異的に毛髪に吸 着して、 毛髪からの構成蛋白質の溶出を防ぎ、 損傷毛髪を回復 させる効果を持ち、 毛髪-の櫛通り、 ツヤやしなやかさを改善す る等の有用顕著な効果を持つこ と見出し、 毛髪改質剤又は毛髪 損傷保護剤の本発明を完成する に至った。
また、 毛髪改.質剤又は毛髮損傷保護剤を配合した毛髮化粧料 においても、 毛髪の櫛通り、 ツヤやしなやかさを改善する等の 有用顕著な効果を持ち、 特に損傷毛に対してその損傷の修復や 改善に効果のある こ とを見い出し、 本発明を完成した。
更に、 毛髪に強い親和性をもって、 かつ特異的に結合し、 毛 髪を有効に改質する抗毛髮ケラチン抗体を、 効率よ くかつ多量 に製造する方法を見いだし、 本発明を完成した。
以下、 本発明の構成について詳説する。
本発明の抗原として用いるケラチン型中間径フイ ラメ ン ト構 成蛋白質 (以下、 単にケラチンと称することがある。 ) の原料 としては、 ヒ ト体毛および毛髪、 羊毛、 羽毛、 爪などが挙げら れるが、 種差を考慮するとヒ ト体毛および毛髪が好ましく、 特 に毛髪が最も好ま しい。 これらの原料からケラ ンを分画する には、 公知の方法に従えばよ く、 原料中のケラチンのジスルフ ィ ド結合を還元あるいは酸化処理により開裂し、 可溶化させ抽 出する方法が一般的である。 還元処理の場合、 予めアルカ リ条 件下で可溶化助剤として種々の変性剤、 例えば尿素、 塩酸グァ 二ジン等を加えて可溶化させる。 これらから濾過または遠心操 作により不溶物質を取り餘く ことにより、 ケラチンを主成分と する抗原となりえる。 より好ましく は透折操作などにより、 変 性剤を始めとする低分子不純物を適宜滅量あるいば除く操作を 行い抗原とする このときケラチンを不溶化させ凝集物とした 抗原としてもよい。 また、 上記ケラチンのスルフヒ ドリ ル基に ョード齚酸を付加せしめ、 カルボキシメチル化反応などを行う ことにより、 水可溶性のケラチンを主成分とする抗原となり得
る。 この場合もより好ま し く は透折操作などにより低分子不純 物を除く 操作を行い抗原とする。 またこ の様にして得られた抗 原から更にケラチ ンをゲル濾過法あるいは等電点沈澱法あるい はまた亜鉛塩添加等により分画精製を行い抗原と してもよい。 本発明の抗体は、 毛髪や羽毛、 爪等に舍まれるケ ラ チ ン型中 間径フ ィ ラ メ ン ト構成蛋白質 (ケ ラ チ ン) を抗原と し、 動物を 免疫化する ことによって、 あるいは、 細胞融合、 遺伝子操作等 を駆使して得られる ものであって、 人毛髮のケ ラ チ ン型中間径 フィ ラメ ン ト構成蛋白質に対して免疫活性を有する ものである (以下、 こ の抗体を抗毛髪ケ ラチ ン抗体と称す) 。
前記抗原を用いて、 公知の方法により哺乳動物や鳥類等を免 疫化する こ とによ って該抗毛髪ケ ラ チ ン抗体を得る こ とができ る。
抗体の製造に供せられる動物と しては、 ゥ シ科動物、 馬、 兎、 鶏等適当な家畜を選ぶこ-とができる。 ゥ シ科の動物と しては、 乳を分泌するあらゆるゥ シ属の動物 (牛、 羊、 山羊) が好ま し く 、 特に雌ゥ シが最も好ま しい。
免疫方法と しては、 皮下注射、 腹腔内投与、 筋肉注射、 静脈 注射等による通常の方法や、 乳腺内あるいは乳房リ ンパ節への 力二ユ レーシヨ ンあるいは注射による投与や、 点募、 点眼等の 方法によって行う こ とが出来る。 特に皮下、 筋肉内、 乳腺内あ
るいは乳房リ ンパ節およびその近傍への投与がより好ましい。 抗原であるケラチンの投与量ば、 所望の抗体価が得られ、 か つ動物に対して悪影響を与えない量を適宜選択して用いれば良 い。
必要に応じてフロイ ン ト完全アジュバン ト ( FCA)、 フロイ ン ト不完全アジュバン ト(F I A) などのアジュバン トを抗原と併用 してもよい。 またリ ボソーム等でマイ ク ロカプセル化してもよ い。
抗体は、 これらの動物の常乳あるいは初乳、 又は血清、 また は卵黄より得ることが出来る。
抗体産生培養細胞より抗体を得る方法としてば、 公知の方法 によって得ることができる。 即ち、 ケラチンを抗原として免疫 化した哺乳動物や鳥類の脾細胞と、 対応したミエローマ細胞株 とを細胞融合し、 ハイプリ ドーマを得る。 この中から適したク ローンを 1株あるいは複数株を選抜し、 その細胞の培養上清よ り抗体を得ることができる。 あるいはまた、 公知の方法によつ て、 大腸菌等の微生物に抗毛髪ケラチン抗体あるいはその一部 の遺伝子を導入発現させ、 その培養により抗体あるいは抗体断 片 (ケラチンと特異的結合性を示すぺプチ ド断片) を得ること が出来る。
尚、 抗体の力価 (抗体価) は酵素免疫吸着法 (EL ISA)、 ラジ
オイ ムノ ア ツセィ等を用いて測定する こ とができる。 また、 必 要に応じて、 抗体価の推移をこれにて追跡し、 追加免疫の時期 或いは抗体の採取時期の目安とする こ とが出来る。
本発明の抗毛髮ケラチン抗体は上記のようにして得られた抗 体あるいは抗体産生細胞の培養上清から更に免疫グロプ リ ンを 抽出、 分画、 分離する こ とによって濃縮する こ とが出来る。
乳から免疫グロブリ ンを取得する方法と しては、 公知の方法 に従い実施できる。 例えば、 乳汁'を酸性の緩衝液で透折し、 析 出して く るカゼィ ン及び脂質を主成分とする不純物を遠心分離 で除去し、 透明性の上清を分取し粗精製免疫グロプリ ンを得る。 更に必要に応じて陰イ オ ン交換体 (例えば DEAE—セルロース、 DEAE—セフ ア デ ッ ク ス、 QAE —セ フ ア デ ッ ク ス ) を用いたィ ォ ン交換ク ロマ トグラフィ 一を行って、 免疫グロプ リ ン画分を回 収する。 必要あれば、 同じク ロマ トグラ フ ィ ーを繰り返すか、 ゲル濾過又はァフ ィ ニティ 一によつて更に精製する こ と もでき る し Archives of Biochemistry and Biopysics, 108, 230, (1968) ; The Journal of Immunology, 103,334, (1969) ; B i och i m i ca Et Biophysics Acta, 181, 381 , (1969) ; Journal of Dairy Science 55, No2,151, (1972)および Journal of Immunology, 181, No 2 , 461, (1977) 〕 。
哺乳動物の血清又は血漿から免疫グロプリ ンを分取する方法
も既に多く の報告がある。 例えば、 〔 Transfusion, 6 , 146, C1966) ,-Journal of Biological Chemistry, 234, 2645,(1959) ; Biochemist Biophysica Acta, 214, 107, (1970) 〕 等があり これらに従って実施出来る。
工業的に適した方法としては、 哺乳動物の血清又は血槳を生 理食塩水で 2〜 3倍に希釈し段階的硫安分面法で粗椿製免疫グ ロブリ ンを得、 更に必要に応じてこれらから次にィォン交換体 (例えば D E A E—セルロース、 DEAE—セフアデックスの様な 陰ィォン交換体又は CM—セルロース及び CM—セフアデッ クスの 様な陽イオン交換体) による分画によって精製する。 更に必要 に応じてゲル濾過によつて分画を行う ことも出来る。
卵黄から免疫グロプリ ンを分取する方法も既に多く の報告が ある。 例えば、 Proc.Soc.Exptl.Bioし Med. , 126, 312, (1967) ; Immunol. Com瞧, 9 , 495, (1980) 等があり、 これらに従つ て実施できる。 例えば、 -卵から分離した卵黄とこれと同容量の PBS (生理りん酸緩衝液、 ΡΗ7.4 ) にて希釈し、 更に 2倍量の ク ロ口ホルムを加え、 脂質を抽出除去する。 得られた水層から 硫安分面法により粗精製免疫グロプリ ンを得る。 更に必要に応 じてこれらからィォン交換体 (例えば DEA セファ ロース、 DEAE 一セルロースの様な陰ィォン交換体又は CM—セファ ロース、 CM —セルロースの様な陽ィォン交換体) による分面によつて精製
する。 更に必要に応じてゲル濾過又はァフ ィ 二ティ ーによって 分画を行う ことも出来る。
更に必要に応じてパパイ ン或いはペプシ ン処理等の酵素処理 を行い、 免疫グロプリ ンの Fc部分を除去してもよい。
本発明の抗毛髮ケ ラチ ン抗体としては精製されたものが好ま しいが、 他の成分を舍有した未精製品でもよい。
以上の様にして得られる抗体は、 水溶液或いは凍結乾燥、 噴 霧乾燥等の操作により得た乾燥品として供される。
抗毛髪ケ ラ チ ン抗体の毛髮化粧料への配合量は、 その投与形 態に応じた投与量に従って適宜選択すれば良く、 例えば蛋白質 0. 1 %濃度にあたり 102以上の抗体価を有する抗体画分を 0 . 00001 〜80重量%程度とすることが出来る。
本発明の毛髪改質剤又は毛髮損傷保護剤とは、 抗毛髪ケ ラチ ン抗体を有効成分と して舍むものである。
本発明の毛髮改質剤又-は毛髪損傷保護剤は、 毛髮への付与形 態に応じて種々の組成物に調製される。 例えば、 本発明の毛髪 改質剤又は毛髪損傷保護剤として有用な抗毛髮ケ ラ チ ン抗体の 効果を損なわない範囲で通常使用される成分を配合でき、 その 組成物の形態としては、 シャ ンプー、 リ ンス、 ヘアー ト リ ー ト メ ン ト、 ヘア一 ト ニ ッ ク、 ヘアー リ キ ッ ド、 ヘアーク リ ーム、 セ ッ ト ローシ ョ ン、 ヘアーフ ォ ーム、 ポマー ド、 ヘアーブロー、
パーマネン トゥヱーブ用剤、 ヘア力ラー剤等が挙げられる。 本発明の毛髪化粧料には、 抗毛髪ケラチン抗体の安定性を高 める目的として糖、 糖アルコ ール、 タンパク、 ペプチ ド、 ア ミ ノ酸、 無機塩、 有機酸等の安定化剤を加えても良い。 これら安 定剤は本抗体に対して優れた安定化効果を有する。 また通常の 成分、 例えば、 油性成分、 界面活性剤、 保湿剤、 アルコ ール、 増粘剤、 防腐剤、 紫外線吸収剤、 色剤、 酸化染料、 香料、 精製 水等が含まれてもよい。 図 面 の 簡 単 な 説 明
図 1 は、 出産後 3 日目に再度抗原を追加免疫した牛の乳中抗 体量の推移を示す。
図 2 は、 間接蛍光抗体染色法の結果を示す。 (a) は本発明抗 体で反応させた毛髪切片。 (b) は免疫していない牛より精製し た対照抗体で反応させた-毛髪切片。 (c) は溶媒の PBS で反応さ せた毛髪切片。
図 3 (a) は、 膜に転写した毛髮ケラチンまたは表皮ケラチン について、 CBB 色素染色の結果を示す。 (b) は、 同様の処理を した毛髪ケラチンまたは表皮ケラチンと本発明抗体との反応性 試験結果を示す。
発明を実施するための最良の形態
以下実施例によって本発明をさ らに詳細に説明するが、 本発 明はこれにより何ら制限される ものではない。
製造例は抗毛髪ケラチン抗体の製造例であり、 抗体価の測定 は ELISA 法によって行った。 96穴プレー トに精製毛髪ケラチン 抗原を 3.9 ng/穴コー ト し, 2次抗体と して、 ゥサギ由来抗体 を測定の場合は、 ペルォキシダ一ゼ標識したャギ抗ゥサギ IgG 抗体 (ザィ メ ッ ト社、 65— 6120 ) 、 牛の場合は、 ペルォキ シダ ーゼ標識したャギ抗ゥ シ IgG · F(ab' ) 2 抗体 ( E · Yラボラ ト リ ーズ社製 HAF— 413 ) を用いたサ ン ドィ ツチ法にて行った。 凍結品の場合の抗体価と しても 0.1 %重量当たり と してこれ を用いた。 更に試料の IgG 濃度を SRIDキ ッ ト (バイ ンディ ング サイ ト社製) を用いて定量し、 0.1 %濃度の抗体価を比活性と して表した。 また、 試験例は毛髪からの蛋白質溶出試験, 損傷 毛髪修復試験及び官能面での性能評価試験であり、 毛髮に対す る作用の一般的な試験法である。 配合量は重量%である。 製造例 1
(抗原の調製)
30才男性の正常毛髪 500 mgを 2 %ポ リ オキ シエチ レ ン ラ ウ リ ル硫酸ナ ト リ ウム ( 3 E.O.) 水溶液にて洗浄後、 6 M尿素、 0.2
M 2—メルカプ トエタノ一ル舍有 0.2 M トリス塩酸緩衝液 (PH 9.2)125 mlに加え、 50てで 1時間攪拌し、 これをテフロ ンホモ ゲナイザ一を用いてすりつぶした。 更にこの抽出操作を操り返 し、 20,000X g , 25分間遠心して上清 120 mlを得、 ケラチン面 分とした。 このう ち 24 ml をとり 0.85%塩化ナ ト リ ウム, 10mM 2 —メルカプトェタノ一ル舍有 20mMトリス塩酸緩衝液 (PH9.2) に対して透折を行い低分子不純物を除去し、 ケラチン抗原 (以 下、 抗原 Aと略記) 溶液を得た (蛋白質として 65mg) 。
残りのケラチン画分抽出液 96 ml に、 12 gのョード齚酸を加 え (NaOHにて pH 8 に調整) 1.5 時間室温遮光下攙拌反応させた。 これを生理食塩水に対して透折を行い低分子不純物を除去し、 水可溶性のケラチン抗原 (以下、 抗原 Bと略記) を得た (蛋白 質として 270 rag) 。 更にこの抗原 B溶液 (蛋白質として nOmg) 4部に 0.5 M齚酸ナ ト リ ゥム緩街液(pH 4.2) 1部を添加し (pH 4.2 になる様に酢酸で調整) 、 1時間室温下攆拌しケラチンを 等電点沈殿させた。 これを 10,000 Xg, 15 分間遠心し上清部を 除き、 沈殺部を集めた。 生理リ ン酸緩衝液 (以下、 PBS と略記) にて溶解させ、.精製したケラチン抗原 (以下、 抗原 Cと略記) を得た (蛋白質として 134 mg) 。
(兎の免疫化)
次に、 各抗原液 (抗原 A, B , C ) を PBS にて蛋白質濃度 2
mg/ml に調整し、 その溶液と FCA を 1 : 1 の容量比で混合して 油中水系型 (以下、 W/0 型と略記) のェマルジヨ ンと し、 3匹 の兎の背中数箇所に 1匹あたり 2 ml皮下投与し 2週間後、 4週 間後更に同量を皮下投与した。 6週間目に更に同量の抗原液を 耳静脈より静かにゆつ く り 30分間かけて投与し免疫化した。
(抗血清の採取)
最終投与 1週間経過後 ( 7週目) 試験動物から採血し、 遠心 分離後、 血清 (以下、 抗血清 A, B , Cと略記) を採取した。
(抗体の精製)
次に、 得られた抗血清各々 60 ml に PBS 60mlを加え、 これに 飽和硫酸ア ンモニゥム溶液 (pH7.0)80mlを攪拌しながら徐々に 添加し、 氷冷下 1 時間攪拌放置した。 遠心分離 (ΙΟ,ΟΟΟΧ g , 10分) 後、 沈澱物を集め、 60tnl PBSにて溶解し上記硫安塩折分 画を く り返した。 得られた沈殺物を約 120 mlの PBS にて溶解し た液を 1/100 濃度 PBS に-対して透析し、 生じた沈殺物を遠心に て除き、 上清を凍結乾燥の操作を行い抗毛髮ケラチン抗体 (以 下、 抗体 A, B , Cと以下略記) を得た。 抗体価の測定は ELISA 法を用いて行い、 それらの結果を表 1 に示す。
表 1 製造例 1 製造例 2 血清 抗血清 A 抗血清 B 抗血清 C 抗血清 D 凍結乾燥重量 610mg 750mg 510mg 540mg 免疫グロブリ ン量 470mg o40mg 430mg 440mg
0.1 %濃度の 12 X 103 25 X 103 28 XlO3 1 X lO3 抗体価 以下 略号 抗体 A 抗体 B 抗体。 抗体 D
製造例 2 (参考例) (抗原の調製)
正常毛髮を 2 %ポリオキシエチレンラウ リル硫酸ナ ト リ ウム ( 3 B.O.) 水溶液にて洗浄後、 風乾し、 これを電気力 ミソ リ に て細断し、 150 u m 以下のサイズの毛髪粉とした。 (兎の免疫化) つぎに生理食塩水を用-いて 50mg/mlの濃度にて懸濁し、 等量 の FCA と混合し W/0型ェマルジヨ ンとした。 得られたェマルジ ヨ ンを各群 3匹の兎の臀部 2箇所に 1匹当たり 4 ml筋注投与し、 1週間後及び 2.週間後に更に同量を筋注投与した。 (抗血清の採取) 最終投与 2週間後試験動物から採血し、 遠心分離後、 血清 (米国特許第 3, 987, 161号様の毛髪粉に対する抗血清、 以下、
抗血清 Dと略す。 ) を採取した。 その抗血清 D に以下製造例 1 と同様な操作を行い、 毛髪粒子抗体の凍結乾燥品 (以下、 抗 体 Dと略記) を得た。 この抗体の抗体価を ELISA 法によって測 定した結果、 1 X 103 以下であった。 製造例 3
(抗原の調製)
男性の正常毛髪 5 g と女性の正常毛髪 5 g とを混合し、 2 % ポ リ オキ シエチ レ ンラウ リ ル硫酸ナ ト リ ウ ム ( 3 E.0. ) 水溶液 にて洗浄後、 8 M尿素、 0.2 M 2 —メ ルカ プ ト エタ ノ ール舍有 0.2 M ト リ ス塩酸緩衝液 (PH 9.2 ) 2.5 リ ッ ト ルに加え、 50て 窒素バブリ ング下 1 時間攪拌し、 これをテフ ロ ンホモ ジナイ ザ 一を用いて磨り潰した。 更にこ の操作を繰り返し、 10, 000 X g、 30分間遠心して不溶物を除き毛髪ケ ラ チ ン抗原を抽出した。 こ れに 200 gのョ一 ド酢酸- (予め 400gの ト リ スを溶かした溶液 760 mlに溶かす) 溶液を加え、 室温遮光下で 1 時間攪拌反応させた。
7 mlの 2—メ ルカプ トエタノールを加えて反応を止め、 充分な 水に対して透折し 5 // m のフ ィ ルターを通し、 不溶物を除去し 毛髪ケラチン抗原溶液を得た ( 6 リ ッ トル) 。 更にこの液 4部 に 0.5 M酢酸ナ ト リ ウ ム緩衝液 (PH4.2) 1部を添加し(pH 4.2 になるように酢酸で調整) 、 毛髮ケ ラ チ ンを等電点沈殺させた。
1000 X g. 10分間遠心し、 上清部を除き、 沈殺部を集めた。 生 理食塩水にて溶解させ、 0,2 m のフィルターを通して除菌し, 更に限外濾過膜にて濃縮して精製毛髪ケラチン抗原を得た (蛋 白質として 2.6 g ) 。
(牛の免疫化)
この精製毛髪ケラチン抗原溶液を生理食塩水にて蛋白質濃度 20mgZmlに調整し、 その溶液と FCA を 1 : 1 の容量割合で混合 して W/0型のェマルジヨ ンとした。 得られたェマルジョ ンを、 出産 2か月前の妊娠ホルスタイ ン牛 2頭の首に皮下投与した
(牛番号 1には 1 ml : 抗原量 lOmgZ頭、 牛番号 2には 5 ml : 抗 原量 50mgZ頭) 。 その後 10日間隔で、 FIA で作成したそれぞれ 前回と同量の抗原を含んだェマルジョ ンを皮下あるいは筋注に て投与し免疫化した ( 1 〜 3回目 : 皮下投与、 4 〜 5面目 :筋 注) 。
(抗体の採取)
出産直後より 3 日間初乳を補集した。 ク リームセパレーター にて脂肪層を除き、 抗体 (以下、 抗体 E— 1 と略記) を得た。
これを用いて.該実験の脱脂乳の分折を行った結果を表 2 に示 す。 表 2から判る通り、 抗原投与量の異なる処理牛においても、 充分量の抗体を製造することができた。
(抗体の精製)
更にこの 2頭の脱脂乳を混合し、 以下のよう に分画精製を行 つた。 脱脂乳に 0.1 N塩酸を添加して pH 4.5にしカゼィ ンを沈 澱させ、 濾布にて荒く 沈澱を除き、 2500 X g の連続遠心操作に て上清を得た。 中和した後 33%飽和になるよう に硫酸ア ンモニ ゥムを加え、 抗体を塩折させた。 2500 X g の連続遠心操作にて 沈殺部を集め、 PBS にて溶解し、 この硫安塩折操作を繰り返し た。 10mMリ ン酸緩衝液( PH7.5)にて透折し、 同緩衝液にて平衡 化した 2 リ ッ トルの DEAEセルロースカ ラムに 5 回に分けてアブ ライ した。 50mM塩化ナ ト リ ウム舍有同緩衝液にて抗体を溶出さ せ、 この画分を集めた (抗体と して 200 g ) 。 この抗体画分の 20 g蛋白質分を硫安塩析にて濃縮し、 5 回に分けて PBS にて平 衡化したセファ アク リ ル S — 300 カ ラム ( 5 X 90cm) にァプラ ィ し、 主ピークを集め精製抗体 (以下、 抗体 E— 2 と略記) を 得た (抗体と して 15 g回-収) 。 SDS ポ リ アク リ ルア ミ ド電気泳 動で 1 本のバン ドと して確認した。 更に残り の DE AEセルロース 精製抗体画分を 3 回に分け、 精製毛髮ケラチンを結合させた担 体 (ァフ ィ ゲル 15, 400cc) を用いたァフ ィ 二ティ ーク ロマ ト グ ラフ ィ 一に供した。 0.2 Mグリ シン一塩酸緩衝液 (pH 2.5) に て溶出する ものを集め、 特異的な抗体のみからなる高純度抗体 (以下、 抗体 E— 3 と略記) を得た (3.2 g ) 。
ここで得た精製抗体および高純度抗体を以下の試験例および 応用例に供した。 なお免疫化しないゥシの初乳からも本手法と 同様に抗体を精製し、 対照抗体として以下の試験例に供した。 製造例 4
(牛の免疫化)
製造例 3で得た精製毛髪ケラチン抗原溶液を生理食塩水にて 蛋白 R濃度 20ragノ m lに調整し, その溶液と FCA を 1 : 1 の容量 割合で混合して W/0型のェマルジヨ ンとした。 得られたエマル ジヨ ンを、 出産 2か月前の妊娠ホルスタイ ン牛 2頭にそれぞれ 5 m lずつ筋肉内注射によって投与した。 その 2週間後、 で 作成した同量の抗原量を含んだェマルジョ ンを乳房乳腺内に力 二ユレーショ ン投与し免疫化した。
(抗体の採取, 精製)
出産直後より 4 日間初乳を捕集した。 ク リームセパレーター にて脂肪層を除き脱脂乳を得、 これより抗体 (以下、 抗体 Fと 略記) を得た。 また製造例 3 と同様の精製方法で精製抗体およ び高純度抗体^得た。
該実験の脱脂乳の分折を行った結果を表 2に示す。 表 2から 判る通り、 乳腺内投与免疫化牛においても充分量の抗体を製造 することができた。
製造例 5
(牛の免疫化)
製造例 3で得た精製毛髪ケ ラチン抗原溶液を生理食塩水にて 蛋白質濃度 20mg / m lに調整し、 その溶液と FCA を 1 : 1 の容量 割合で混合して W/0型のエマルジョ ンと した。 得られたェマル ジョ ンを、 出産 2か月前の妊娠ホルスタイ ン牛 2頭にそれぞれ 5 m lずつ筋肉内注射によって投与した。 その 4週間後、 F I A で 作成した同量の抗原量を含んだエマルジョ ンを乳房リ ンパ節付 近に注射投与し免疫化した。
(抗体の採取 · 精製)
出産直後より 4 日間初乳を補集した。 ク リームセパレ一ター にて脂肪層を除き脱脂乳を得、 これより抗体 (以下、 抗体 Gと 略記) を得た。 また製造例 3 と同様の精製方法で精製抗体およ び高純度抗体を得た。
該実験の脱脂乳の分折を行った結果を表 2 に示す。 表 2から 判る通り、 乳房リ ンパ節付近に注射投与し、 免疫化した牛にお いても、 充分量の抗体を製造するこ とができた。 製造例 6
製造例 3で一度免疫化した牛 1頭に、 その翌年の出産 2か月 前に, 乳房乳腺内に力二ユ レーシヨ ン投与しブース ト した (抗
原量 50mg、 FI A にて作成したェマルジョ ン) 。 出産直後より 4 日間初乳を捕集した。 ク リームセパレーターにて脂肪層を除き 脱脂乳を得、 これより抗体 (以下、 抗体 Hと略記) を得た。 ま た製造例 3 と同様の精製方法で精製抗体および高純度抗体を得 た。
該実験の脱脂乳の分析を行った結果を表 2に示す。 表 2から 判る通り、 一度免疫化した牛において、 適当な時期にブース ト することにより、 充分量の抗体を製造することができた。
製造例 7
製造例 4で用いた牛 1頭の出産後 3 日目に乳房リ ンバ節付近 に注射投与し、 ブース ト した (抗原量 50mg、 FI A にて作成した ェマルジョ ン) 。 乳中の抗体価の推移を見ながら 1 力月間常乳 を補集した。 ク リームセバレーターにて脂肪層を除き脱脂乳を 得、 これより抗体 (以下、 抗体 I と略記) を得た。 また製造例 3 と同様の精製方法で精-製抗体および高純度抗体を得た。
該実験の脱脂乳の分折を行った結果を図 1および表 2に示す。
表 2 製造例 牛番号 補集脱脂乳量 乳中抗体の分折
番 号 (kg) IgG量(g) 比活性 *
3 1 21.3 200 1600
(抗体 E-1) 2 12.7 260 1800
4 3 41.0 1130 16000
(抗体 F ) 4 37.7 580 5600
5 5 43.0 1060 15000
(抗体 G) 6 41.1 1460 4200
6 2 30.4 870 7000
(抗体 H )
7 3 510 770 12000
(抗体 I )
*抗体価 Z G 量 図 1、 表 2から判る通り、 一度免疫化した牛において、 適当 な時期にブース トすることにより、 充分量の抗体を常乳にて製 造することができた。
試験例 1 (毛髪からの蛋 S質溶出防止効果)
22才の女性のバージ ン毛髪を束ねて毛束 (18cm、 5 g ) を作 成し、 常法に従ってパーマ処理を 3回繰り返し、 パーマ処理毛 髮を作成した。 次に、 製造例 1で得られた抗体 Aの 1.0 %PBS 溶液 50mlにパーマ処理毛髪を 1時間浸漬後、 流水中で 10分間水 洗して、 24時間風乾した (以下、 抗体処理毛髮と略記) 。
次に、 毛束から 0.5 gを切り取り、 0.07Mリ ン酸緩街液 (pH 9.0 ) lOnrlに入れ、 45て .にて 24時間放置し、 毛髪中の蛋白質を 溶出させた。 溶出してきた蛋白質ば口一リー法に従って定量し た。 これらの操作を 5回実施し、 5面の平均より蛋白質溶出量 を求め、 その結果を表 3 に示す。
尚、 比較例として、 上記抗体 Aの 1 %PBS 溶液に浸潰するか わりに、 抗体を舍まない PBS 溶液、 製造例 2で得られた抗体 D の 1 %PBS 溶液及びコ ラーゲン加水分解物 〔㈱成和化成製、 '商 品名 : プロモイ ス W— 3 2 R〕 に浸漬するほかは、 上記方法と 同様に実施した結果を合わせて表 3に示す。 表 3 処理条件 毛髪からの蛋白質溶出量 毛髪の破断強度
( mg/ ml ) ( g / cmつ 抗体 A 0.54 76.7 抗体 D 0.61 70.4 コ ラーゲン加水分解物 0.71 70.2 PBS ( コ ン ト ロール) 0.62 70.1
表 3から明らかなように、 本発明の抗毛髪ケラチン抗体は、 毛髪からの蛋白質の溶出を防止する優れた特性を有し、 良好な 結果が得られた。 これに対し、 本発明の抗毛髪ケラチン抗体で
処理しなかったもの、 即ち、 製造例 2 で得られた毛髪粒子抗体 (抗体 D ) やコ ラーゲン等の加水分解物は、 毛髪からの蛋白質 溶出防止効果が殆どなかった。 試験例 2 (ダメ ージ毛髪の修復効果)
ダメ ージ毛髪の修復効果の指標となる毛髪の引張強度を測定 するため、 試験例 1 で作成した抗体処理毛髪の毛束より 50本の 毛髪を取り出し、 引張強度試験機 (L.B. Chemical 社製) を用 い、 毛髪の太さ と破断強度を測定し、 単位断面積当たり の破断 強度を箕出し、 50本の平均値を求めた。 その結果を表 3 に示す t また、 比較例と して上記抗体 Aの 1 %PBS 溶液に浸漬するか わり に、 抗体を舍まない PBS 溶液、 製造例 2 で得られた抗体 D の 1 %PBS 溶液及びコ ラーゲン加水分解物 (商品名 : プロモイ ス W— 32R ) に浸漬するほかは、 上記方法と同様に実施した結 果を合わせて表 3 に示す-。
表 3から明らかなように、 本発明の抗毛髪ケラチン抗体は、 強度の低下したダメ ージ毛髮の強度を修復し、 切れ毛や枝毛を 防止する優れた特性有し、 良好な結果が得られた。 これに対し、 本発明の抗毛髪ケ ラチン抗体で処理しなかったもの、 即ち抗体 Dやコ ラーゲンの加水分解物は、 毛髪強度の修復効果が殆どな かった。
試験例 3 (毛髪の官能面での改善効果一櫛通り、 つや、 しな やかさ、 風合)
毛髪の櫛通りの改善効果を測定するため、 試験例 1で作成し た抗体処理毛髪の毛束より 50本の毛髪を取り出し、 レーダー法 摩擦測定器 (日本レオロジ一社製) を用いて、 その動摩擦係数 を測定し、 50本の平均値を求めた。
また、 毛髪のつやの改善効果を測定するため、 同様に試験例 1で作成した抗体処理毛髮の毛束より 30本の毛髪を取り出し、 ゴニオフォ トメーター (村上色彩科学社製) を用いて測定した。 つやは以下の計算式に従ってつや値を算出し、 30本の平均値を 求めた。
つや値- (正反射光量一拡散反射光量) Z拡散反射光量
次に、 10名の専門検査員によって、 上記抗体処理毛髪のしな やかさと風合について、 抗体処理前の毛髪とどちらが良いか官 能評価を行った。 結果は-人数で示してある。
以上の櫛通り、 ツヤ、 しなやかさ及び風合の評価結果を表 4 及び表 5に示す。
また、 比較例.として上記抗体 Aの 1 % PBS 溶液に浸漬するか わりに、 抗体を含まない PBS 溶液、 製造例 2で得られた抗体 D の 1 % PBS 溶液及びコ ラーゲン加水分解物 (商品名 : プロモイ ス W— 32 R ) に浸漬するほかは、 上記方法と同様に実施した結
果を合わせて表 4及び表 5 に示す 表 4 処理条件 動摩擦係数 毛髪のつや値 抗体 A 0.110 20.1 抗体 D 0.133 15.4 コ ラーゲン加水分解物 0.131 15.5
変な
PBS ( コ ン ト ロ ール) 0.135いら
15.5
表 5 処理条件 しなやかさ 風 良い 悪い 良い 変ら 悪い ない 抗体 A - 9 1 0 7 2 1 抗体 D 0 9 1 1 9 0 コ ラーゲン加水分解物 0 8 2 0 7 3
PBS ( コ ン ト ロ ール
表 4及び表 5 から明らかなよ う に、 本発明の抗毛髮ケ ラ チ ン 抗体 Aは櫛通り とつやの改善効果に優れ、 また毛髮を しなや力、
に良い風合に仕上げるという顕著な効果が得られた。 又、 抗体 B、 抗体 Cについても同程度の優れた効果が得られた。 これに 対し、 本発明の抗毛髪ケラチン抗体で処理しなかったもの、 即 ち抗体 Dゃコラーゲンの加水分解物は、 毛髪の改善効果が認め られなかった。 試験例 4 (毛髮結合試験)
本発明で製造した抗毛髪ケラチン抗体が毛髪 (毛幹部) に結 合することを間接蛍光抗体染色法を用いて確認した。 男性 (26 才) の正常毛髮を適宜な長さに切り TISSUE TEC II - OCT comp oundに 30分以上浸潰し凍結した。 凍結プロ ックからク リオスタ ッ トにより 6 i m厚の切片を切り出し、 3 %ゼラチン (Difco 社製) でコー ト しておいた無蛍光スライ ドグラスに貼布した。 充分に風乾させた後、 4 %パラホルムアルデヒ ドを用いて室温 で 20分簡固定した。 PPBS で 10分間 3回洗浄した。
一方、 製造例 3 で得られた高純度精製抗体 (抗体 E— 3 ) あ るいは免疫化しないゥシの初乳より精製した免疫グロプリ ン (以下、 対照抗.体と略記) を 10%ゥサギ血清舍有 PBS (10%血 清 PBS ) にて 0.5 nigZmlに希釈し、 これを前記の組鎩切片と室 温下 30分間反応させた。
PBS で 10分間 3回洗浄した後、 2次抗体としてフルォ レセィ
ンイ ソチオシァネー ト ( F I TC ) 標識ゥサギ抗ゥ シィ ムノ グロブ リ ン抗体 10% (血清 PBS にて希釈したもの) を室温遮光下 30分 間反応させた。 PBS で 10分間 3 回洗浄した後、 封入し検鏡した。 図 2 に結果を示す。
抗毛髮ケラチン抗体で反応させた標本のみ、 毛髮全域にわた り蛍光発色が観察され、 該抗体が毛髮に結合している こ とが認 められた。 試験例 5 (皮膚との反応性試験)
本発明で製造した抗毛髮ケラチン抗体が毛髮に特異的である かどうかを調べるため、 毛髪由来のケラチンと、 皮膚由来のケ ラチンに対する抗体の反応性をウェスタ ン · プロ ッティ ング法 を用いて試験した。
毛髮由来のケラチン (製造例 3 で人毛髮より抽出したケラチ ン型中間柽フ ィ ラメ ン ト構成蛋白質) と皮) t由来のケ ラチン (シグマ社製 K 0253 ) 各々 50 ng を SDS — 10%ポリ アク リ ル ア ミ ドゲル電気泳動法にて展開し、 これを Towbinらの方法に従 つて蛋白質をニ ト ロセルロース膜 ( ミ リ ボア · リ ミ テ ツ ド社製) に転写した。
この膜を 3 %ゼラチン (Difco 社製) を含む生理 ト リ ス塩酸 緩衝液、 PH 7.6 (TBS と略記) にて、 冷蔵庫中で一晩ブロ ッ キ
ングした。 0.1 %Tween 20を舍む TBS (TBSTと赂記) で 5分間 3回洗浄した後, TBS にて 0.1 mgZmlに調整した製造例 3 で精 製した抗体 (抗体 E— 2 ) を室温下 1時間反応させた。
TBSTで 5分間 3回洗浄した後、 2次抗体としてペルォキシダ ーゼ標識ャギ抗ゥ シ · F(ab' )z抗体 ( E · Yラボラ ト リー ズ社製 HAF— 413 、 TBSTにて 1200倍希釈したもの) と室温下 1 時間反応させた。
TBSTで 5分間 3回洗浄した後、 0.01%H202を含む 0.05% 4 - クロ口 _ 1一ナフ ト一ルを基質として発色させた。
なお、 対照として示した C B B色素染色の場合の泳動展開蛋 白質量は、 各々 5 g とした。 図 3に結果を示す。
これより、 抗毛髪ケラチン抗体ば人毛髪由来のケラチン蛋白 質と特異的に反応していることが観察され、 抗体は皮膚との反 応性は極めて弱いと判断される。
試験例 6 (毛髪からの蛋白質溶出防止効果)
女性の毛髪を束ねて毛束 (18cm, 5 g ) を作成し、 常法に従 つてパーマ処理を 3回操り返し、 パーマ処理毛髪を作成した。 次に、 製造例 3.で得られた精製抗体 (抗体 E— 2 ) の 1,0 % PBS 溶液 50mlにパーマ処理毛髪を 1時間浸漬後、 流水中で 10分 間水洗して、 24時間風乾した (以下、 抗体処理毛髪と略記) 。 次に、 毛束から 0.5 gを切り取り、 0.07Mリ ン酸緩衝液 (pH
9.0 ) 10mlに入れ、 45'Cにて 24時間放置し毛髪中の蛋白質を溶 出させた。 溶出してきた蛋白質はロー リ ー法に従って定量した。 これらの操作を 5 回実施し、 5回の平均より蛋白質溶出量を求 めた。 なお比較例として、 上記抗体 1 % P B S溶液に浸漬する かわりに、 抗体を舍まない PBS 溶液、 対照抗体 (製造例 3参照) 1 %PBS 溶液およびコ ラーゲン加水分解物 (商品名 : プロモ イ ス W— 32 R ) 1 %PBS 溶液に浸漬するほかは上記方法と同様に 実施レた結果を合わせて表 6 に示す。 表 6
処理条件 毛髮からの蛋 S質溶出量
、 mg/ m 1 )
抗体 E-2 0.53
対照抗体 0.68
コラーゲン加水分解物 0.92
PBS (コ ン ト ロール) 0.66 表 6から明らかなように、 本発明の抗毛髮ケ ラ チ ン抗体は毛 髪からの蛋白質の溶出を防止する優れた特性を有し、 良好な結 果が得られた。 これに対し、 通常の特異性のない抗体ゃコ ラー ゲン加水分解物は毛髪からの蛋白質溶出防止効果が殆どなかつ た。
試験例 7 (ダメ ージ毛髪の修復効果)
ダメージ毛髪の修復効果の指標となる毛髪の引張強度を測定 するため、 ブラ ッ シング 10, 000回処理して物理的に損傷させた 女性の毛髪を、 製造例 3で得られた精製抗体 (抗体 E— 2 ) の 0.01〜 1 %PBS 溶液にて試験例 3 と同様に処理し、 その毛束よ り 50本の毛髪を取り出し、 引張強度試験機 (L.B. Chemical 社 製) を用いて毛髪の破断強度を測定し、 50本の平均値を求めた。 その比較例として、 PBS 溶液、 対照抗体 1 %PBS 溶液処理毛髪 を用いた。 その結果を表 7 に示す。 表 7
処理条件 毛髪の破断強度
ω
抗体 Ε-2 1 % 8 &.7
0.1 % 81.0
0.01% 80.3
対照抗体 1 % 75.4
PBS (コ ン トロール) 74,0
また該抗体の効果を既存毛髪改質剤と比較した。 製造例 3 で 得られた精製抗体 (抗体 Ε— 2 ) とコ ラーゲン加水分解物およ びカチオン化セルロース 〔ライオン㈱製、 商品名 : レオガード
GP〕 それぞれの 0.1 %PBS 溶液にて処理し、 同様に試験した その結果を表 8 に示す。 表 8 処理条件 毛髪の破断強度
(g) 抗体 E-2 81.3 コラーゲン加水分解物 76.0 カ チオ ンィ匕セルロース 73.1
PBS ( コ ン ト 口一ノレ) 74.9
表 7および表 8から明らかなように、 本発明の抗毛髪ケラチ ン抗体は、 毛髪に特異的に結合するため、 ダメージ毛髪の強度を 修復し、 切れ毛や技毛を防止する優れた特性を有するという良 好な結果が得られた。 これに対して、 既存毛髮改質剤であるコ ラ一ゲン加水分解物およ-び力チォン化セルロースには、 毛髮強 度の修復効果が殆どなかった。
試験例 8 (毛髪の官能面での改善効果一つや、 櫛通り、 しなや かさ、 風合) .
毛髪のつやの改善効果を測定するため、 女性のパーマ毛髮と、 製造例 3で得られた精製抗体 (抗体 E — 2 ) の 1 %PBS 溶液を 用いて試験例 3 と同様に処理してつや値を算出し、 30本の平均
値を求めた。
その比較例として、 PBS 溶液、 対照抗体 1 % PPBS 溶液およ びコラーゲン加水分解物処理毛髪を用いた。 その結果を表 9に 示す。 表 9
処理条件 毛髪のつや値 抗体 E-2 21.9
対照抗体 15.3
コラーゲン加水分解物 15.9
PBS (コ ン トロール) 15.0 毛髪の櫛通りの改善効果を測定するため、 女性のブラ ッシン グ毛髪を、 製造例 3で得られた精製抗体 1 %溶液にて試験例 6 と同様に処理し、 その毛-束より 50本の毛髪を取り出し、 レーダ 一法摩擦測定器 (日本レオロジ一社製) を用い、 毛髪の摩擦係 数を測定して 50本の平均値を求めた。
その比較例として、 PBS 溶液、 対照抗体 1 %PBS 溶液および コラーゲン加水分解物処理毛髪を用いた。 その結果を表 10に示 す。
表 1 0 処理条件 動摩擦係数 抗体 E- 2 0.118 対照抗体 0.125 コラーゲン加水分解物 0.124
PBS (コ ン ト ロール) 0.126
変な
いら
次に、 10名の専門検査員によって、 上記抗体処理毛髮のしな やかさ、 風合について、 抗体処理前の毛髪とどちらが良いか官 能評価を行った。 結果は人数で示してある。 その比較例として、 PBS 溶液、 対照抗体 1 %PBS 変溶な液および いら コ ラーゲン加水分解物処理毛髮を用いた。 その結果を表 11に示 す。 表 1 1 処理条件 しなやかさ 風 良い 悪い 良い 悪い 抗体 E-2 8 2 0 2 対照抗体 1 8 1
コ ラーゲン加水分解物 2 7 1
PBS ( コ ン ト ローノレ) 1
表 9、 表 10および表 11から明らかなように、 本発明の抗毛髪 ケラチン抗体は、 つやと櫛通りの改善効果に優れ、 また毛髪を しなやかに良い風合に仕上げるという顕著な結果が得られた。 これに対し、 通常の特異性のない抗体ゃコラーゲン加水分解物 は毛髪の改善効果が認められなかった。 実施例 1 (シャ ンブー)
下記の成分を常法によつて混合してシャンブーを調製した。 成分 重量%
ポリオキシエチレンラウ リル
エーテル硫酸ナ ト リ ウム ( 2 E. 0.) 15.0
ャシ油脂肪酸ジエタノールアミ ド 5.0
ジステアリ ン酸エチレングリ コール 1.5
安息香酸ナ ト リ ウム - 0.2
BDTA 0.2
塩化ナ ト リ ウム 1.0
a m
香料 mm
抗体 A 1.0
精製水 残余
上記実施例 1 の シャ ンプーで洗髪した頭髪は、 抗体 Aを配合 じない他は実施例 1 と同組成のシ ャ ンプーに比べて、 パサつき がな く、 櫛通り も良く、 なめらか、 ツヤ、 手触りなどに関して 良好な仕上がりを示した。 実施例 2 (ヘアーリ ンス )
下記の成分を常法によって混合して、 ヘア一リ ンスを調製し
成分 重量%
塩化ステアリ ル
ト リ メ チルア ンモニゥ ム 3.0
セタ ノ 一ル 2.0
モノ ステア リ ン酸グリ セ リ ン 1.5
1 , 3 —ブチ レ ングリ-コ一ル 5.0
流動パラ フ ィ ン 2.0
コ ラーゲン加水分解物 0.5
色素
香料 mm
抗体 A 0.5
精製水 残余
市販のシャ ンプ一で洗髪した後で、 上記実施例 2 のへアーリ ンスで処理した毛髪は、 抗体 Aを配合しない他は実施例 2 と同 組成のへアーリ ンスと比較して、 毛髮にしっ とり感、 つや、 櫛 通りなどに関して良好な効果を示した。 実旌例 3 (ヘアー ト リー トメ ン ト)
下記の成分を常法によって混合して、 ヘアー ト リー トメ ン ト を調製した。 成分 重量%
塩化ジステアリル
ジメ チルアンモニゥム 1.0
セタノール 5.0
モノ ステアリ ン酸グリ セ リ ン 2.0
プロ ピレングリ コ一クレ 6.0
キサンタンガム 0.3
色素
香料
抗体 A 5.0
精製水 残余
市販のシャ ンプーで洗髪した後で、 上記実施例 3 のへアー ト リー ト メ ン トで処理した毛髮は、 抗体 Aを配合しない他は実施 例 3 と同組成のヘアー ト リー トメ ン トに比べて、 毛髪の櫛通り しっとり感、 つやが良好であり、 特に損傷毛に対してその損傷 の修復や改善に効果があつた。 実施例 4 (ヘアーク リ ーム)
下記の成分を常法によって混合して、 ヘアーク リ ームを調製 した。 成分 重量%
ステア リ ン酸 5.0
ステア リ ルアルコール 2.0
ポ リ オキ シエチ レ ン
ソルビタ ンモノ ステア レー ト (20 E.O.) 3.0
流動バラ フ ィ ン 15.0
ミ ツロウ 2.0
ラノ リ ン . 2.0
グリ セ リ ン 3.0
ポ リ ビュルアルコ ール 1.0
防腐剤 適量
香料
抗体 B 1.0
精製水 残余 上記実施例 4 のへアーク リームで処理した頭髪は、 抗体 Bを 配合しない他は実施例 4 と同組成のへアーク リームと比較して うるおい、 つや、 しなやかさやなめらかさに優れて、 またバサ つき等の損傷が改善された。
実施例 5 (ヘアー ト ニ ッ ク )
下記の成分を常法によって混合して、 ヘアー トニックを調製 した。
成分 重量%
ビォゾール' 0.1
サリチル酸 0.2
L—メ ン トール - 0.2
塩化カルプロニゥム 0.5
イ ノ シ トール 0.1
ェタ ノ一ル 20.0
香料
饥体 C 1.0
精製水 残余
上記実施例 5 のへアー トニ ッ クで処理した頭髪は、 抗体 Cを 配合しない他は実施例 5 と同組成のへアー トニック と比較して うるおい、 つややマイルドな感触に優れていた。 実施例 6 (ヘア一ローショ ン)
下記の成分を常法によって混合して、 ヘアーローショ ンを調 製した。
成分 重量%
エタノ ール 10. 0
モノ ォレイ ン酸ポリ オキ シ 1 . 0
エチレンソルビタ ン (20 E . 0. )
防腐剤 適
香料 適直
抗血清 A 0. 5
精製水 残余 上記実施例 6 .のへアーロ一ショ ンで処理し、 ドラ イ ヤーで乾 かしたところ、 抗血清 Aを配合しない他は実施例 6 と同組成の ヘア—ローショ ンと比較して、 頭髮に良好なうるおい及びはり が得られ、 なめらかさ及びしなやかさも良好であった。
実施例 7 ( ト リ ー ト メ ン ト フォーム)
下記の成分を常法によつて混合して得られた原液 95部に、 噴 射ガスとして液化石油ガス (LPG) 5部を加えスプレー缶に充塡 し、 ト リー トメ ン トフォームを調製した。 成分 重量%
塩化ステア リル ト リ メ チル
ア ンモニゥ ム 0.4
流動パラフ ィ ン 1.0
シリ コーン油 2.0
プロ ビレングリ コール 3.0
ボリ ォキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0
(80 B.O.)
ポリ オキシェチレン硬化ヒマシ油 0.5
(10 E.O.) - クェン酸ナ ト リ ウム 0.2
エタノ ール 7.0
香料
抗血清 B 0.5
精製水 残余
上記実施例 7 の ト リ ー トメ ン ト フォームで処理した頭髮は、 抗血清 Bを配合しない他は実施例 7 と同組成の ト リ一トメ ン ト フォームと比較して、 頭髪に良好なう るおい及びはりが得られ なめらかさ及びしなやかさ も良好であり、 特に損傷毛に対して その損傷の修復や改善に効果があった。
実施例 8 (ブラ ッ シングスプレー)
下記の成分を常法によって混合して得られた原液 3 0部に、 噴射ガスと して液化石油ガス (LPG ) 70部を加えスプレー缶に 充塡し、 ブラ ッ シングスプレーを調製した。
成分 重量%
塩化べへニル ト リ メ チルァ ンモニゥム 0.1
流動バラフ ィ ン 3.0
シリ コーン油 - 3.0
香料
抗血清 C 0.5
エタノ ール 10.0
精製水 残余
上記実施例 8 のブラ ッ シングスプレーで処理した後、 頭髪に
ブラ ッシ ングを繰り返し行ったところ、 抗血清 Cを配合しない 他は実施例 8 と同組成のブラッ シンダスブレーと比較して、 毛 髮の損傷が少な く、 枝毛の発生も減少した。 また、 つや、 櫛通 りやしなやかさも良好であった。 実施例 9 (パーマネ ン ト ウ エーブ用第 1剤)
下記の成分を常法によつて混合して、 パーマネ ン トウェーブ 用第 1剤を調製した。 ' 成分 重量%
チォグリコール酸ァンモニゥム 12-0
(50%)
モノ エタノ ールア ミ ン 1.0
ア ンモニア水 1.0
加水分解コラーゲン液- 5.0
EDTA 0.05
香料
抗体 A 1.0
抗体 B 1.0
精製水 残余
常法により実施例 9 のパーマネ ン トウユ ーブ用第 1剤で処理 後、 市販の第 2剤で処理したところ、 抗体 A及び抗体 Bを含有 しない他は実施例 9 と同組成のパーマネン トウユ ーブ用第 1剤 と比較して、 頭髮の損傷が少な く、 セ ッ ト力、 セ ッ ト保持性も 良好であり、 つや、 しなやかさなどの点で優れた仕上がりを示 した。 実施例 10 (ヘアカ ラー第 1剤)
下記の成分を常法によって混合して、 ヘアカラ一第 1剤を調 製した。 成分 重量%
ノヽ 'ラ フエ二 レ ンジァ ミ ン 0.3
レゾノレシ ン 0.2
メ タ ア ミ ノ フユ ノ ール 0.03
パラ ア ミ ノ フ ヱ ノ ール 0.05
ア ンモニア水 7.5
セタノ ール 16.0
ラ ウ リ ル硫酸ナ ト リ ウム 4.2
亜硫酸ナ ト リ ウ ム 0.2
加水分解ゼラチ ン 3.0
BDTA 適量
香料 適量
抗体 A 1. 0
抗血清 C 1. 0
精製水 残余 上記実施例 10のヘア力ラー第 1剤と 6 %過酸化水素水溶液と を 1 : 1 の割合で混合し、 常法に従ってヘアカラー処理をした ところ、 抗体 Aと抗血清 Cを舍有しない他は実施例 10と同組成 のヘアカラー第 1剤と比較して、 頭髪の損傷が少なく、 つや、 しなやかさなどの点で優れた仕上がりを示した。 実施例 11 (シャ ンプー)
製造例 3で得られた精製抗体を用いて、 シャ ンプ一を調製し た。 配合組成は下記の通りである。 成分 重量%
ボリォキシエチレンラウ リ スレ
エーテル硫酸ナ ト リ ウム ( 2 B. 0 J 15. 0
ャシ油脂肪酸ジエタノ ールア ミ ド 5. 0
ジステアリ ン酸エチレングリ コール 1. 5
安息香酸ナ ト リ ウ ム 0.2
EDTA 0.2
色素
香料
抗体 E— 2 1.0
精製水 残余 上記実施例 11のシャ ンブ一は、 該抗体を配合しない他は実施 例 11と同組成のシャ ンプーに比べて, パサつきがな く、 櫛通り も良く 、 なめらかさ、 つや、 手触りなどに関して良好な仕上が りを示した。 実施例 12 (ヘアー ト リ ー ト メ ン ト )
製造例 3で得られた高純度精製抗体 (抗体 E— 3 ) を用いて ヘア一 ト リ ー ト メ ン トを調製した。 配合組成は下記の通りであ る。 成分 重量%
塩化ジステア リ ルジメ チルア ンモ ニゥ ム 1.0
セタ ノ ール 5.0
モノ ステア リ ン酸グ リ セ リ ン 2.0
プロピレングリ コ―ル 6. 0
色素 適 T
香料 適更
抗体 E - 3 0. 1
精製水 残余 市販のシャ ンプ一で洗浄後、 上記実施例 12のヘアー ト リー ト メ ン トで処理した毛髪は、 該抗体を配合しない他は実施例 12と 同組成のヘアー ト リ ー トメ ン トに比べて, 毛髪の櫛通りも良く しっとり感、 つやが良好で、 特に損傷毛に対してその損傷の修 復ゃ改善に効果があった。 また手触りなどに関して良好な仕上 がりを示した。 産業上の利用可能性
本発明により、 皮膚に-は吸着せず毛髪に対して強い親和性を もってかつ特異的に結合し、 これにより蛋白溶出を防ぎ、 櫛通 りを改良し、 つや、 しなやかさ、 風合等毛髪を有用に改質し、 毛髪の損傷を防ぐと共に毛髪を修復することができる毛髪改質 剤又ぱ毛髪損傷保護剤が提供された。
また、 本発明により、 毛髪に対して強い親和性をもって、 か つ特異的に結合し、 これにより毛髪の構成蛋白質の溶出を防ぎ,
櫛通りを改善し、 つや、 しなやかさ、 風合等毛髮を有用に改質 し、 毛髪の損傷を防ぐと共に毛髪を修復するこ とのできる毛髮 化粧料が提供された。
更に、 本発明により、 皮膚に吸着せず毛髪に対して強い親和 性をもって且つ特異的に結合し、 これにより毛髪の構成蛋白質 の溶出を防ぎ、 櫛通りを改善し、 つや、 しなやかさ、 風合等毛 髪を有用に改質し、 毛髪の損傷を防ぐと共に毛髪を修復するこ とのできる毛髮改質剤として有用な抗毛髮ケラチン抗体の効率 良い製造方法が提供された。