JPH05279231A - 毛髪改質剤 - Google Patents

毛髪改質剤

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JPH05279231A
JPH05279231A JP1804593A JP1804593A JPH05279231A JP H05279231 A JPH05279231 A JP H05279231A JP 1804593 A JP1804593 A JP 1804593A JP 1804593 A JP1804593 A JP 1804593A JP H05279231 A JPH05279231 A JP H05279231A
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JP
Japan
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hair
antibody
protein
modifying agent
matrix protein
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Application number
JP1804593A
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English (en)
Inventor
Hideyo Uchiwa
秀世 打和
Makoto Hirano
真 平野
Ichiro Sasaki
一郎 佐々木
Umeji Murakami
梅司 村上
Kenichi Sugimoto
憲一 杉本
Hiromi Minamino
博美 南野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 人毛髪中に存在するマトリックス蛋白質に対
して免疫活性を有する抗体を有効成分としてなる毛髪改
質剤,及びマトリックス蛋白質で動物を免疫化すること
によって得られる抗体を有効成分としてなる毛髪改質
剤。 【効果】 本発明により、完全に角質化した毛髪に対し
て、強い親和性をもって且つ特異的に結合し、その結果
毛髪の構成蛋白質の溶出を防ぎ、毛髪の破断強度を増強
し、くし通り,しなやかさ,風合等を有用に改質し、毛
髪の損傷を保護あるいは改善できる毛髪改質剤が提供さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、完全に角質化した毛髪
に対して強い親和性をもって特異的に結合し、その結
果、毛髪の損傷を保護あるいは改善し、くし通り,しな
やかさ,風合等を良好にする特性を備える毛髪改質剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】毛髪は、シャンプー,ブラッシング,ヘ
アドライヤー,パーマ,ヘアカラー等の物理的・化学的
原因により損傷し、毛髪の表面構造が破壊される。この
破壊により、枝毛,裂毛を生じるとともに、毛髪の構成
成分である蛋白質が破壊部分から溶出して行き毛髪から
少しずつ消失して行く。このように、蛋白質が溶出する
と毛髪はやせ衰えて脆弱化する。ところが、毛髪は一度
損傷すると自分の力で元に戻ることができず、放置して
おくと毛髪の損傷が進行して枝毛や裂毛になり易くな
る。
【0003】したがって、美しく健康な毛髪を保持する
ためには、損傷を防ぐと共に、損傷した場合は毛髪を修
復することが必要である。
【0004】従来この目的のために、リンスやトリート
メント等の毛髪化粧料には、毛髪の保護成分として、天
然物由来の各種蛋白質加水分解物及びその誘導体が用い
られてきた。しかし、これらの物質は安全性が高いもの
の、毛髪への吸着力は極めて小さく、水溶性であるため
に洗い流されてしまい、充分な効果が得られなかった。
【0005】一方、USP3987161(1976
年)において毛髪粒子そのものを抗原として得られた抗
血清を用いて、ボディ感を与えたり、セット保持力を改
善したりする方法が開示されている。しかし、この方法
によっても損傷した毛髪を修復することはできない。加
えてくし通りを悪くする等の問題がある。
【0006】ところで毛髪は、外側から毛髪繊維を包ん
で、保護しているキューティクル,毛髪繊維であるコル
テックス,そして中心のメデュラ(毛髄質)の3タイプ
の細胞から構成されている。そしてキューティクル,コ
ルテックスの主たる構成成分としては、繊維性の「ケラ
チン型中間径フィラメント構成蛋白質(又はα−ケラチ
ン繊維蛋白質)」,非繊維性の「マトリックス蛋白
質」,及び「細胞膜周辺蛋白質」の3つが挙げられる。
【0007】マトリックス蛋白質には、アミノ酸組成と
してシスチンが30%以上と著しく高い超高含硫蛋白
質,20%前後の高含硫蛋白質,比較的グリシン及びチ
ロシン含量が高い高チロシン蛋白質,の3つがあり、そ
の多くは分子量数千から3万程度の大きさであることが
知られている。
【0008】このマトリックス蛋白質は、通常水には不
溶であるが、還元剤や尿素又はSDS等の変性剤,ある
いは化学修飾等によって可溶化される蛋白質で、爪,羽
毛等にも存在することが知られている。
【0009】本発明に於いては、前記USP39871
61に記されたような単なる毛髪粒子ではなく、上記の
ように毛髪や爪等を過酷な条件で処理し、可溶化させて
得られるマトリックス蛋白質を抗原として用いるもので
ある。
【0010】マトリックス蛋白質を抗原として得られた
抗体に関する報告が、Fraterによってなされている〔Au
st.J.Biol.Sci,29巻(1976),453ページ〕が、この報告で
は、角質化の不完全な毛包部及び毛根部での抗体の反応
性が論じられており、完全に角質化した部位にはむしろ
抗体は結合しないとされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的と
するところは、完全に角質化した毛髪に対して、強い親
和性をもって特異的に結合し、その結果毛髪の損傷を保
護あるいは改善し、くし通り,しなやかさ,風合等を良
好にする特性を備える毛髪改質剤を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、人毛髪中
に存在するマトリックス蛋白質に対して免疫活性を有す
る抗体を有効成分としてなる毛髪改質剤,及びマトリッ
クス蛋白質で動物を免疫することによって得られる抗体
を有効成分としてなる毛髪改質剤によって達成される。
【0013】以下、本発明の構成について詳細に説明す
る。
【0014】本発明において抗原として用いられるマト
リックス蛋白質の原料としては、人間の体毛及び毛髪,
羊毛,羽毛あるいは爪等が挙げられるが、種差を考慮し
て人間の体毛及び毛髪が好ましく、特に毛髪が最も好ま
しい。
【0015】これらの原料からマトリックス蛋白質を分
画するには、公知の方法を用いればよく、原料中のマト
リックス蛋白質のジスルフィド結合を還元あるいは酸化
処理により開裂し、可溶化させ抽出する方法が一般的で
ある。還元処理の場合、予めアルカリ条件下で可溶化助
剤として種々の変性剤,例えば尿素,塩酸グアニジン等
を加えて可溶化させる。これらから濾過又は遠心操作に
より不溶物質を取り除き、更に得られた上清からゲル濾
過法あるいは限外濾過法等により、ケラチン型中間径フ
ィラメント構成蛋白質を除いた画分を集めることによっ
て、マトリックス蛋白質を主成分とする抗原を得ること
ができる。より好ましくは、透析操作等により変性剤を
始めとする低分子不純物を、適宜減量あるいは除去する
操作を行い、抗原とする。このときマトリックス蛋白質
を不溶化させて凝集物としたものを抗原としてもよい。
【0016】また、上記マトリックス蛋白質のスルフヒ
ドリル基にヨード酢酸を付加せしめ、カルボキシメチル
化反応等を行うことにより、水可溶性の抗原とすること
もできる。この場合も、透析操作等により、低分子不純
物を除去して抗原とするのが好ましい。
【0017】このカルボキシメチル化反応を、毛髪より
蛋白質を抽出した段階の上清に対して行い、その後、分
子篩あるいは等電点沈殿分画法によりマトリックス蛋白
質を分画してもよい。
【0018】次に、得られた抗原を用いて、公知の方法
により哺乳動物や鳥類等を免疫することによって抗体を
製造する。
【0019】抗体の製造に供せられる動物としては、
牛,馬,羊,山羊,ウサギ,鶏等適当な家畜を選ぶこと
ができる。
【0020】免疫方法としては、皮下注射,腹腔内投
与,筋肉注射,静脈注射等による通常の方法や、点鼻,
点眼等の方法によって行うことができる。抗原であるマ
トリックス蛋白質の投与量は、所望の力価が得られ、か
つ動物に対して悪影響を与えない量を適宜選択すればよ
い。必要に応じてフロイント完全アジュバント(FC
A),フロイント不完全アジュバント(FIA)などの
アジュバントを抗原と併用してもよい。
【0021】抗体は、これらの動物の常乳あるいは初
乳,または血清,もしくは卵黄より得ることができる。
【0022】なお、抗体の力価(抗体価)は、酵素免疫
吸着法(ELISA)やラジオイムノアッセイ等を用い
て測定することができる。必要に応じて、抗体価の推移
を追跡し、追加免疫の時期あるいは抗体の採取時期の目
安とすることができる。
【0023】本発明に用いられる抗体は、更に免疫グロ
ブリンを分画・分離することによって濃縮したものであ
ってもよい。
【0024】乳からは、公知の方法に従って免疫グロブ
リンを取得することができる〔Archieves of Biochemis
try and Biophysics,108 巻(1964 年),230 ページ/Th
e Journal of Immunology ,103 巻(1969 年),334 ペー
ジ/Biochemica et Biophysica Acta ,181 巻(1969
年),381 ページ/The Journal of Dairy Science,55巻
(1972 年),151 ページ/The Journal of Immunology ,
118 巻(1977 年),461 ページ〕。
【0025】例えば、乳汁を酸性の緩衝液に対して透析
し、析出してくるカゼイン及び脂質を主成分とする不溶
物を遠心して除去し、免疫グロブリンを粗精製する。必
要に応じて陰イオン交換体(例えばDEAEセルロー
ス,DEAEセファデックス,QAEセファデックス)
を用いたイオン交換クロマトグラフィーを行い、免疫グ
ロブリン画分を回収する。更に必要があれば、同じクロ
マトグラフィーを繰り返すか、または、ゲル濾過クロマ
トグラフィーによって精製することもできる。
【0026】哺乳動物の血清あるいは血漿から免疫グロ
ブリンを分取する方法も既に多くの報告〔The Journal
of Biological Chemistry ,234 巻(1959 年),2645ペー
ジ/Transfusion ,6 巻(1966 年),146 ページ/Bioche
mica et Biophysica Acta ,214 巻(1970 年),107 ペー
ジ,等〕があり、これらに従って実施できる。工業的に
適した方法としては、哺乳動物の血清あるいは血漿を生
理食塩水で2〜3倍に希釈し、段階的硫安分画法で粗精
製免疫グロブリンを得、必要に応じてイオン交換体(例
えば、DEAEセルロース及びDEAEセファデックス
のような陰イオン交換体,又はCMセルロース及びCM
セファデックスのような陽イオン交換体)を用いて精製
する。更に、必要に応じてゲル濾過分画を行うこともで
きる。
【0027】卵黄から免疫グロブリンを分取する方法も
既に多くの報告〔Proceedings of the Society for Exp
erimental Biology and Medicine,126 巻(1967 年),31
2 ページ/Immunology Communications ,9 巻(1980
年),495 ページ/特開平3─145500号等〕があ
り、これらに従って実施できる。例えば、卵から分離し
た卵黄に、これと同容量の生理リン酸緩衝液(PBS)
を加え、更に2倍量のクロロホルムを加えて、脂質を抽
出除去する。得られた水層から硫安分画法により粗精製
免疫グロブリンを得る。更に必要に応じてこれからイオ
ン交換体(例えばDEAEセファロース,DEAEセル
ロースのような陰イオン交換体又はCMセファロース,
CMセルロースのような陽イオン交換体)によって分画
する。更に必要に応じてゲル濾過によって精製すること
もできる。
【0028】本発明に用いられる抗体は、細胞融合技術
によって得られるハイブリドーマの産生するモノクロー
ナル抗体であってもよい。また、該ハイブリドーマから
クローニングされた免疫グロブリン遺伝子を導入した微
生物あるいは培養細胞の産物であってもよい。
【0029】以上のようにして得られた抗体は、パパイ
ンあるいはペプシン等の酵素で処理し、免疫グロブリン
のFc部分を除去した抗体断片としてもよい。また、免
疫した動物の脾細胞あるいはリンパ球からクローニング
された免疫グロブリン遺伝子の断片を導入した微生物あ
るいは培養細胞の産物であってもよい。
【0030】なお、本発明に用いられる抗体としては、
精製したものが好ましいが、他の成分を含有する未精製
品(例えば、血清,初乳など)であってもよい。
【0031】以上のようにして得られる抗体あるいはそ
の断片は、水溶液,もしくは凍結乾燥,噴霧乾燥等の操
作により得た乾燥品として供される。
【0032】このような抗体からなる毛髪改質剤は、毛
髪への付与形態に応じて種々の形の頭髪用組成物に調製
することができる。すなわち、本発明の毛髪改質剤の効
果を損なわない範囲で通常使用される成分を配合するこ
とができ、その頭髪用組成物の形態としては、シャンプ
ー,リンス,スタイリングフォーム,ヘアコンディショ
ナー,ヘアトリートメント,ヘアパック,ヘアリキッ
ド,ヘアトニック,パーマネントウェーブ用剤等が挙げ
られる。
【0033】本発明の毛髪改質剤の頭髪用組成物への配
合量は、その投与形態に応じて適宜選択すればよく、例
えば、蛋白質0.1重量%濃度当たり100以上の抗体
価を有する場合、組成物全体を100として0.000
01〜10重量%程度とすることができる。
【0034】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、それに先立ち抗体価の測定方法を述べる。
【0035】(抗体価の測定方法)抗体価の測定はEL
ISA法により行った。96穴プレートに、マトリック
ス蛋白質抗原を16ng/穴コートし、2次抗体として
ペルオキシダーゼで標識したヤギ抗ウサギIgG抗体
(ザイメッド社製65−6120)を用いた、サンドイ
ッチ法にて行った。
【0036】実施例1 (1)抗原の調製 31才男性の正常毛髪400mgを、クロロホルム/メ
タノール,エタノール,蒸留水で順次洗浄した。次に2
%ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(3E.
O.)水溶液にて洗浄後、8M尿素,0.2M2−メルカプ
トエタノール含有0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH9.5) 50mlに
加え、窒素ガスを通しながら50℃で1時間撹拌した。こ
れをテフロンホモゲナイザーを用いて磨り潰し、更に1
時間の抽出操作を行った。20,000×g で30分間遠心した
後上清を回収し、5μmのフィルターに通してマトリッ
クス蛋白質を含有する抽出物を得た。
【0037】これを限外濾過膜にて濃縮し、窒素ガスを
通した8M尿素,0.2M2−メルカプトエタノール含有
50mMトリス塩酸緩衝液(pH9.5) で平衡化した2mの
セファクリルS−200カラムに供した。主ピークのケ
ラチン型中間径フィラメント構成蛋白質画分以降に溶出
してくる低分子画分(数千〜40Kダルトン)を全て回
収した。本操作を繰り返すことによって、ケラチン型中
間径フィラメント構成蛋白質を完全に除き、マトリック
ス蛋白質画分を得た。
【0038】これを再度限外濾過膜にて濃縮し、更に8
M尿素,0.1M2−メルカプトエタノール含有PBSに
対して透析し、マトリックス蛋白質抗原とした。
【0039】(2)抗血清の調製 得られた抗原を、生理食塩水中に2mg/mlとなるよ
うに懸濁し、FCAと1:1の比で混合して油中水型
(以下W/O型と略記する。)のエマルジョンとした。
これを2羽のウサギの背中数箇所に1羽当たり1ml皮下
投与し、2週間後及び4週間後にも同様に投与した。6
週間後にアジュバントをFIAに変えて同様に皮下投与
した。抗体価の上昇をELISA法にて確認後、最終投
与2週間経過後(8週目)心臓から採血し、遠心分離し
て血清を採取した(以下これを抗毛髪マトリックス蛋白
質抗血清とする。)。また、免疫化しないウサギから
も、同様に血清を採取し、対照抗血清とした。
【0040】(3)抗血清の分画精製 有用性の評価に供するため、上記抗血清を更に精製して
抗体を得た。すなわち、得られた抗毛髪マトリックス蛋
白質抗血清,及び下記参考例1で得られた抗毛髪粒子抗
血清,及び前記対照抗血清の各々60mlにPBS60mlを加
え、これに飽和硫酸アンモニウム溶液(pH7.0) 80mlを攪
拌しながら徐々に添加し、氷冷下1時間攪拌した。10,0
00×g で10分間遠心した後、沈澱物を集めて60mlPBS
に溶解し、上記硫安分画を繰り返した。得られた沈澱物
を約120ml のPBSに溶解し、0.2 μmのフィルターで
濾過したものを抗体(以下抗毛髪マトリックス蛋白質抗
体,抗毛髪粒子抗体,対照抗体と略記する。)とした。
【0041】参考例1 (1)抗原の調製 28才男性の正常毛髪を2%ポリオキシエチレンラウリル
硫酸ナトリウム(3E.O.)水溶液で洗浄後、風乾した。
これを電気カミソリで細断し、150 μmのメッシュを通
して微小な毛髪粉を得た。
【0042】(2)抗血清の調製 上記毛髪粉を生理食塩水中に50mg/ml の濃度に懸濁し、
FCAと1:1の比で混合してW/O型のエマルジョン
とした。これを2羽のウサギに1羽当たり4mlを臀部筋
肉内に投与し、更に1週間後及び2週間後に同様に投与
した。最終投与2週間経過後(4週目)、心臓から採血
し、遠心分離して血清を採取した。これにより、USP
3987161様の毛髪粉に対する抗血清(以下抗毛髪
粒子抗血清と略記する。)を調製した。尚この手法で
は、マトリックス蛋白質に対して所望の抗体価を持つ抗
血清を得ることができなかった。
【0043】試験例1 (抗体の毛髪結合性)本発明の抗毛髪マトリックス蛋白
質抗体が、完全に角質化した毛髪(毛幹部)に結合する
ことを間接蛍光抗体法により証明した。
【0044】女性の正常毛髪を適当な長さに切り、凍結
した。凍結ブロックからクリオスタットにより6μm厚
の切片を切り出し、無蛍光スライドグラスに固定した。
【0045】これに、実施例1で得られた抗毛髪マトリ
ックス蛋白質抗血清あるいは対照抗血清を、10%ヤギ血
清含有PBSで40倍に希釈したものを反応させた後、P
BSで10分間3回洗浄した。
【0046】2次抗体としてローダミン標識ヤギ抗ウサ
ギIgG抗体を反応させ、検鏡した。
【0047】抗毛髪マトリックス蛋白質抗血清を反応さ
せた標本のみ、毛髪全域に亘り蛍光が観察された。これ
は、該抗体が角質化した毛髪に結合することを示すもの
である。尚、蛍光写真を図1,図2として示す。
【0048】試験例2 (毛髪からの蛋白質溶出防止効果)女性の毛髪を束ね
(18cm,5g)、常法に従ってパーマ処理を3回繰
り返し、パーマ処理毛髪を作成した。次に実施例1の抗
毛髪マトリックス蛋白質抗体の0.3%PBS溶液50
mlにパーマ処理毛髪を1時間浸漬後、流水中で10分
間水洗して、24時間風乾した。
【0049】次に、毛束から0.5gを切り取り、0.
07Mリン酸緩衝液(pH9.0)10mlに入れ、4
5℃にて24時間放置し、毛髪中の蛋白質を溶出させ
た。溶出してきた蛋白質はローリー法に従って定量し
た。これらの操作を5回実施し、5回の平均より蛋白質
溶出量を求めた。尚比較のため、実施例1の抗体溶液の
代わりに、参考例1の毛髪粒子抗体の0.3%PBS溶
液,対照抗体の0.3%PBS溶液,コラーゲン加水分
解物(商品名;プロモイスW−32R)の0.3%PB
S溶液,及び抗体を含まないPBS溶液を用い、その他
は上記方法と同様の処理を行った。
【0050】この結果、本発明の抗毛髪マトリックス蛋
白質抗体に、毛髪からの蛋白質溶出を抑制する効果が認
められた。これに対し、毛髪粒子抗体,対照抗体,コラ
ーゲン加水分解物,及びPBS溶液には、毛髪からの蛋
白質溶出を抑制する効果がほどんど認められなかった。
【0051】試験例3 (毛髪の破断強度増強効果)常法に従ってパーマ処理を
2回繰り返し施術した毛髪を、PBSまたは0.5%抗
体溶液中に30℃、1時間浸漬し、10分間の水洗の
後、45℃12時間乾燥させた。その毛髪を25℃、湿
度65%の環境下ヘアーテスター(L.B.Chemi
cal社製)を用い破断強度を測定した。その結果を図
3に示した。図3から分かる通り、実施例1の抗毛髪マ
トリックス蛋白質抗体は明らかにコントロール群(PB
S溶液、対照抗体)と比べて、有意に毛髪の破断強度を
増強させた。
【0052】試験例4 (毛髪の官能面での改善効果)試験例2で得られた抗体
処理毛髪のくし通り,しなやかさ,風合について、処理
前の毛髪とどちらが良いか官能評価を行った結果、本発
明の抗毛髪マトリックス蛋白質抗体は、毛髪のくし通
り,しなやかさ,風合を良好にする効果を持ち、抗毛髪
粒子抗体,対照抗体,コラーゲン加水分解物,PBS溶
液には見られない優れた特性を有していた。
【0053】応用例1(シャンプー) 実施例1で得られた抗体を用いてシャンプーを調製し
た。組成を表1に示す。表中の値は、重量%を示す。
【0054】
【表1】
【0055】このシャンプーは、実施例1の抗体を配合
しない他は表1と同組成のシャンプーに比べて、パサつ
きがなく、くし通りも良く、なめらかさ,手触り等に関
して良好な仕上がりを示した。
【0056】応用例2(ヘアートリートメント) 実施例1の抗体を用いてヘアートリートメントを調製し
た。組成を表2に示す。表中の値は、重量%を示す。
【0057】
【表2】
【0058】市販のシャンプーで洗浄後、上記のヘアー
トリートメントで処理した場合は、該抗体を配合しない
他は表2と同組成のヘアートリートメントで処理した場
合に比べて、毛髪のくし通りも良く、しっとり感があ
り、特に損傷毛に対してその損傷の修復や改善に効果が
あった。
【0059】
【発明の効果】本発明により、完全に角質化した毛髪に
対して、強い親和性をもって且つ特異的に結合し、その
結果毛髪の構成蛋白質の溶出を防ぎ、くし通り,しなや
かさ,風合等を有用に改質し、毛髪の損傷を保護あるい
は改善できる毛髪改質剤が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験例1において、実施例1の抗体を用いた
場合の、蛍光写真である。
【図2】 試験例1において、対照例の抗体を用いた場
合の、蛍光写真である。
【図3】 試験例3の毛髪の破断強度増強効果を表す図
である。
【符号の説明】
A;PBS溶液処理毛髪の破断強度 B;対照抗体処理毛髪の破断強度 C;実施例1の抗毛髪マトリックス蛋白質抗体処理毛髪
の破断強度
フロントページの続き (72)発明者 南野 博美 神奈川県小田原市蓮正寺470番地200

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人毛髪中に存在するマトリックス蛋白質
    に対して免疫活性を有する抗体を有効成分としてなる毛
    髪改質剤。
  2. 【請求項2】 マトリックス蛋白質で動物を免疫するこ
    とによって得られる抗体を有効成分としてなる毛髪改質
    剤。
JP1804593A 1992-02-08 1993-01-09 毛髪改質剤 Pending JPH05279231A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-56928 1992-02-08
JP5692892 1992-02-08

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JP1804593A Pending JPH05279231A (ja) 1992-02-08 1993-01-09 毛髪改質剤

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JP (1) JPH05279231A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1994013253A1 (en) * 1992-12-08 1994-06-23 Kanebo, Ltd. Hair dye or cosmetic material, pretreatment agent and hair dyeing method

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1994013253A1 (en) * 1992-12-08 1994-06-23 Kanebo, Ltd. Hair dye or cosmetic material, pretreatment agent and hair dyeing method

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