JPH05163123A - 毛髪化粧料 - Google Patents

毛髪化粧料

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JPH05163123A
JPH05163123A JP35233591A JP35233591A JPH05163123A JP H05163123 A JPH05163123 A JP H05163123A JP 35233591 A JP35233591 A JP 35233591A JP 35233591 A JP35233591 A JP 35233591A JP H05163123 A JPH05163123 A JP H05163123A
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JP
Japan
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hair
antibody
protein
antigen
keratin
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Application number
JP35233591A
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English (en)
Inventor
Kenichi Sugimoto
憲一 杉本
Hiromi Minamino
博美 南野
Hideyo Uchida
秀世 打田
Makoto Hirano
真 平野
Umeji Murakami
梅司 村上
Toshio Horikoshi
俊雄 堀越
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】毛髪より抽出したケラチン型中間径フィラメン
ト構成蛋白質を抗原とし、該抗原で動物を免疫すること
によって得られる、人毛髪のケラチン型中間径フィラメ
ント構成蛋白質に対して免疫活性を有する抗体画分を含
有することを特徴とする毛髪化粧料。 【効果】本発明は、毛髪に対して強い親和性をもって、
かつ特異的に結合し、これにより毛髪の構成蛋白質の溶
出を防ぎ、櫛通りを改善し、つや,しなやかさ,風合等
毛髪を有用に改質し、毛髪の損傷を防ぐと共に毛髪を修
復することのできる毛髪化粧料を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は毛髪化粧料に関し、更に
詳しくは人毛髪のケラチン型中間径フィラメント構成蛋
白質に対して免疫活性を有する抗体画分(以下、該抗ケ
ラチン蛋白質抗体と略記する)を配合した毛髪化粧料に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に毛髪は、洗髪,ブラッシング,ド
ライヤーによる熱,パーマやヘアカラー等による美容処
理を繰り返して施術することにより、著しく損傷劣化
し、毛髪表面の構造が破壊される。その結果、乾燥して
ぱさついたり、枝毛や切れ毛を生じたり、強度低下を引
き起こすと共に、毛髪の構成成分である蛋白質がシャン
プー,パーマ,ヘアカラー等の処理により溶出し、毛髪
から少しずつ消失してゆく。このように、蛋白質が溶出
すると、毛髪はやせ衰えてますます損傷が進行する。毛
髪は一度損傷すると自分の力で元に戻ることは不可能で
あり、このことから、美しく健康な毛髪を保持するため
には、損傷を防ぐと共に、損傷した場合には毛髪を修復
することが必要である。
【0003】従来この目的のために、シャンプー,リン
スやトリートメント剤等の毛髪化粧料には、毛髪の保護
成分として天然物由来の各種蛋白質加水分解物やそれら
の誘導体が用いられている。しかし、これらの物質は毛
髪への吸着力は極めて小さく、特に水溶性であるために
簡単に水で洗い流されてしまうなど欠点を有し、十分な
効果が得られなかった。
【0004】一方、USP3987161において毛髪
粒子そのものを抗原として得られた抗血清を用いて、ボ
ディ感を与えたり、セット保持力を改善したりする方法
が開示されている。しかしながら、この方法によって得
られる抗血清は毛髪からの蛋白質の溶出を防いだり、損
傷した毛髪を修復する等の効果の点で未だ満足できるも
のには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、毛髪
に強い親和性をもって、かつ特異的に結合し、毛髪を有
効に改善する毛髪化粧料を提供すべく鋭意研究を行った
結果、抗ケラチン蛋白質抗体を配合することにより、毛
髪に特異的に結合して水等では洗い落ちることなく毛髪
に吸着し、毛髪からの構成蛋白質の溶出を防ぎ、損傷毛
髪を回復させる効果を持ち、毛髪の櫛通り,ツヤやしな
やかさを改善する等の有用顕著な効果を持つこと見出し
本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、人毛髪のケラ
チン型中間径フィラメント構成蛋白質に対して免疫活性
を有する抗体画分を含有することを特徴とする毛髪化粧
料及び毛髪より抽出したケラチン型中間径フィラメント
構成蛋白質を抗原とし、該抗体で動物を免疫することに
よって得られる抗体画分を含有することを特徴とする毛
髪化粧料である。
【0007】以下、本発明の構成について詳説する。本
発明の毛髪化粧料に使用される該抗ケラチン蛋白質抗体
は、毛髪のケラチン型中間径フィラメント構成蛋白質に
対して免疫活性を有する抗体画分であり、ケラチン型中
間径フィラメント蛋白質(以下、該ケラチン蛋白質と略
記する)を抗原原料として動物を免疫化することによっ
て得られるもの、あるいは、細胞融合,遺伝子操作等を
駆使して得られるものである。
【0008】まず、該抗ケラチン蛋白質抗体を得る方法
について説明すると、抗原原料として用いるケラチン蛋
白質としては、ヒト体毛及び毛髪、羊毛、羽毛などが挙
げられるが、ヒト体毛及び毛髪が好ましく、特に毛髪が
最も一般的である。これらの抗原原料より該ケラチン蛋
白質の分画方法としては公知の方法に従えば良く、原料
中のケラチンのジスルフィド結合を還元或いは酸化処理
により開裂し、可溶化させ抽出する方法が一般的であ
る。還元処理法の場合、予めアルカリ条件下で可溶化助
剤として種々の変性剤、例えば尿素、塩酸グアニジン等
を加えて可溶化させる。これらから濾過または遠心操作
により不溶物質を取り除くことにより、該ケラチン蛋白
質を主成分とする抗原となりえる。より好ましくは透析
操作などにより、変性剤を始めとする低分子不純物を適
宜減量或いは除く操作を行い抗原とする。また、上記該
ケラチン蛋白質のスルフヒドリル基にヨード酢酸を付加
せしめ、カルボキシメチル化反応などを行うことによ
り、水可溶性のケラチン蛋白質を主成分とする抗原とな
りえる。この場合もより好ましくは透析操作などによ
り、低分子不純物を除く操作を行い抗原とする。またこ
の様にして得られた抗原から更にケラチン蛋白質をゲル
濾過法或いは等電点沈殿法或いはまた亜鉛塩添加等によ
り分画精製を行い抗原としても良い。
【0009】次に、得られた抗原を用いて、公知の方法
によって哺乳動物や鳥類等を免疫化することによって該
抗ケラチン蛋白質抗体を得ることができる。即ち、抗体
の製造に供せられる動物としては、牛,馬,羊,山羊,
兎,鶏等適当な家畜を選ぶことができる。抗体は、これ
らの動物の常乳あるいは初乳、又は血清、または卵黄よ
り得ることが出来る。免疫方法としては、皮下注射、腹
腔内投与、筋肉注射、静脈注射等による通常の方法や、
乳腺内あるいは乳房リンパ節へのカニュレーションある
いは注射による投与や、点鼻、点眼等の方法によって行
うことが出来る。抗原であるケラチン蛋白質の投与量
は、所望の抗体価が得られ、かつ動物に対して悪影響を
与えない量を適宜選択して用いれば良い。必要に応じて
フロイント完全アジュバンド(FCA)、フロイント不
完全アジュバンド(FIA)などのアジュバンドを抗原
と併用してもよい。
【0010】抗体産生培養細胞より抗体を得る方法とし
ては、公知の方法によって得ることができる。即ち、該
ケラチン蛋白質を抗原として免疫化した哺乳動物や鳥類
の脾細胞と、対応したミエローマ細胞株とを細胞融合
し、ハイブリドマーを得る。この中から適したクローン
を1株あるいは複数株を選抜し、その細胞の培養上清よ
り抗体を得ることができる。あるいはまた、公知の方法
によって、大腸菌等の微生物に該抗ケラチン蛋白質抗体
あるいはその一部の遺伝子を導入発現させ、その培養に
より抗体あるいは抗体断片(該ケラチン蛋白質抗原と特
異的結合性を示すペプチド断片)を得ることが出来る。
【0011】尚、抗体の力価(抗体価)は酵素免疫吸着
法(ELISA),ラジオイムノアッセイ等を用いて測
定することができる。また、必要に応じて、抗体価の推
移をこれにて追跡し、追加免疫の時期或いは抗体源の採
取時期の目安とすることが出来る。
【0012】本発明の該抗ケラチン蛋白質抗体画分は上
記のようにして免疫した動物の抗体源あるいは抗体産生
細胞の培養上清から更に免疫グロブリンを抽出,分画,
分離することによって濃縮することが出来る。乳から免
疫グロブリンを取得する方法としては、公知の方法に従
い実施できる[Archives ofBiochem
istry and Biopysics,108,2
30,(1964)、The Journal of
Immunology,103,334,(196
9)、Biochimica Et Biophysi
caActa,181,381,(1969)、Jou
rnal ofDairy Science 55,N
o2,151,(1972)及びJournal of
Immunolorgy,118,No2,461,
(1977)]。
【0013】例えば、乳汁を酸性の緩衝液で透析し、析
出してくるカゼイン及び脂質を主成分とする不純物を遠
心分離で除去し、透明性の上清を分取し粗精製免疫グロ
ブリンを得る。更に必要に応じて陰イオン交換体(例え
ばDEAE−セルロース,DEAE−セファデックス,
QAE−セファデックス)を用いたイオン交換クロマト
グラフィーを行って、免疫グロブリン画分を回収する。
必要あれば、同じクロマトグラフィーを繰り返すか、又
は、ゲル濾過によって更に精製することもできる。
【0014】哺乳動物の血清又は血漿から免疫グロブリ
ンを分取する方法も既に多くの報告がある。例えば、
[Transfusion,6,146,(196
6)、Journal of Biological
Chemistry,234,2645,(195
9)、Biochemist BiophysicaA
cta,214,107,(1970)]等があり、こ
れらに従って実施出来る。
【0015】工業的に適した方法としては、哺乳動物の
血清又は血漿を生理食塩水で2〜3倍に希釈し、段階的
硫安分画法で粗精製免疫グロブリンを得、更に必要に応
じてこれらから次にイオン交換体(例えばDEAE−セ
ルロース,DEAE−セファデックスの様な陰イオン交
換体又はCM−セルロース及びCM−セファデックスの
様な陽イオン交換体)による分画によって精製する。更
に必要に応じてゲル濾過によって分画を行うことも出来
る。
【0016】卵黄から免疫グロブリンを分取する方法も
既に多くの報告がある。例えば、Proc.Soc.E
xptl.Biol.Med.,126,312,(1
967)、Immunol.Commun,,49
5,(1980)、特開平3−145500等があり、
これらに従って実施できる。例えば、卵から分離した卵
黄とこれと同容量のPBS(生理りん酸緩衝液、pH
7.4)にて希釈し、更に2倍量のクロロホルムを加
え、脂質を抽出除去する。得られた水層から硫安分画法
により粗精製免疫グロブリンを得る。更に必要に応じて
これらからイオン交換体(例えばDEAセファロース、
DEAE−セルロースの様な陰イオン交換体又はCM−
セファロース、CM−セルロースの様な陽イオン交換
体)による分画によって精製する。更に必要に応じてゲ
ル濾過によって分画を行うことも出来る。
【0017】更に必要に応じてパパイン或いはペプシン
処理等の酵素処理を行い、免疫グロブリンのFc部分を
除去してもよい。
【0018】本発明の該抗ケラチン蛋白質抗体としては
精製されたものが好ましいが、他の成分を含有した未精
製品でもよい。
【0019】以上の様にして得られる抗体は、水溶液或
いは凍結乾燥,噴霧乾燥等の操作により得た乾燥品とし
て供される。
【0020】該抗ケラチン蛋白質抗体の毛髪化粧料への
配合量はその投与形態に応じた投与量に従って適宜選択
すれば良く、例えば蛋白質0.1%濃度にあたり102
以上の抗体価を有する抗体画分を0.00001〜80
重量%程度とすることが出来る。
【0021】 本発明の毛髪化粧料とは、毛髪への付与
形態に応じて種々の形に調整され、頭髪ないし頭皮に施
用されるものを広く指し、例えば、シャンプー,リン
ス,ヘアートリートメント,ヘアートニック,ヘアーリ
キッド,ヘアークリーム,セットローション,ヘアーフ
ォーム,ポマード,ヘアーブロー,パーマネントウェー
ブ用剤,ヘアカラー剤等が挙げられる。また、該抗ケラ
チン蛋白質抗体を粉末のまま、又は水溶液としても好適
に毛髪化粧料として使用することが可能である。
【0022】本発明の毛髪化粧料には、該抗ケラチン蛋
白質抗体の安定性を高める目的として糖,糖アルコー
ル,タンパク,ペプチド,,アミノ酸,無機塩,有機酸
等の安定化剤を加えても良い。これら安定化剤は本抗体
に対して優れた安定化効果を有する。また通常の成分、
例えば、油性成分,界面活性剤,保湿剤,アルコール,
増粘剤,防腐剤,紫外線吸収剤,色剤,酸化染料,香
料,精製水等が含まれてもよい。
【0023】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。製造例は該抗ケラチン蛋白質抗体の製造例であ
り、試験例は毛髪からの蛋白質溶出試験,損傷毛髪修復
試験及び官能面での性能評価試験である。これは毛髪に
対する作用の一般的な試験法である。尚、本発明は、こ
れによって限定されるものではない。配合量は重量%で
ある。
【0024】製造例1 30才男性の正常毛髪500mgを2%ポリオキシエチ
レンラウリル硫酸ナトリウム(3E.O.)にて洗浄
後、6M尿素,0.2M 2−メルカプトエタノール含
有0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH9.2)125ml
に加え、50℃で1時間攪拌し、これをテフロンホモゲ
ナイザーを用いてすりつぶした。更にこの抽出操作を繰
り返し、20,000×g,25分間遠心して上清12
0mlを得、該ケラチン蛋白質画分とした。このうち2
4mlをとり0.85%塩化ナトリウム,10mM 2
−メルカプトエタノール含有20mMトリス塩酸緩衝液
(pH9.2)に対して透析を行い低分子不純物を除去
し、該ケラチン蛋白質抗原(抗原Aと以下略す)溶液を
得た(蛋白質として65mg)。
【0025】残りの該ケラチン蛋白質画分抽出液96m
lに、12gのヨード酢酸を加え(NaOHにてpH8
に調整)1.5時間室温遮光下攪拌反応させた。これを
生理りん酸緩衝液(以下PBSと略す)に対して透析を
行い低分子不純物を除去し、水可溶性の該ケラチン蛋白
質抗原(抗原Bと以下略す)を得た(蛋白質として27
0mg)。更にこの抗原B溶液(蛋白質として170m
g)4部に0.5M酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.
2)1部を添加し(pH4.2になる様に酢酸で調
整)、1時間室温下攪拌し該ケラチン蛋白質を等電点沈
殿させた。これを10,000×g,15分間遠心し上
清部を除き、沈殿部を集めた。生理リン酸緩衝液にて溶
解させ、精製した該ケラチン蛋白質抗原(抗原Cと以下
略す)を得た(蛋白質として134mg)。
【0026】つぎに、各抗原液(抗原A,B,C)を蛋
白質濃度2mg/mlに調整し、その溶液とFCAを
1:1の容量比で混合してW/O型のエマルジョンと
し、3匹の兎の背中数箇所に1匹あたり2ml皮下投与
し2週間後、4週間後更に同量を皮下投与した。6週間
目に更に同量の抗原液を耳静脈より静かにゆっくり30
分間かけて投与し免疫化した。最終投与1週間経過後
(7週目)試験動物から採血し、遠心分離後、血清(抗
血清A,B,Cと以下略す)を採取した。
【0027】次に、得られた抗血清各々60mlにPB
S60mlを加え、これに飽和硫酸アンモニウム溶液
(pH7.0)80mlを攪拌しながら徐々に添加し、
氷冷下1時間攪拌放置した。遠心分離(10,000×
g,10分)後、沈澱物を集め、60mlPBSにて溶
解し上記硫安塩析分画をくり返した。得られた沈澱物を
約120mlのPBSにて溶解した液を1/100濃度
PBSに対して透析し、生じた沈澱物を遠心にて除き、
上清を凍結乾燥の操作を行い該抗ケラチン蛋白質抗体
(抗体A,B,Cと以下略す)を得た。抗体価の測定は
ELISA法を用いて行い、それらの結果を表1に示
す。
【0028】
【表1】
【0029】製造例2(参考例) 正常毛髪をポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム
(3E.O.)にて洗浄後、風乾し、これを電気カミソ
リにて細断し、150μm以下のサイズの毛髪粉とし
た。つぎに生理食塩水を用いて50mg/mlの濃度に
て懸濁し、等量のFCAと混合しW/O型エマルジョン
とした。得られたエマルジョンを各群3匹の兎の臀部2
箇所に1匹当たり4ml筋注投与し、1週間後及び2週
間後に更に同量を筋注投与した。最終投与2週間後試験
動物から採血し、遠心分離後、血清(以下、抗血清Dと
略す)を採取した。(USP3987161様の毛髪粉
に対する抗血清)を得、以下製造例1と同様な操作を行
い、毛髪粒子抗体の凍結乾燥品(抗体Dと以下略す)を
得た。この抗体の抗体価をELISA法によって測定し
た結果、1×103 以下であった。
【0030】試験例1(毛髪からの蛋白質溶出防止効
果) 22才の女性のバージン毛髪を束ねて毛束(18cm,
5g)を作成し、常法に従ってパーマ処理を3回繰り返
し、パーマ処理毛髪を作成した。次に、製造例1で得ら
れた抗体Aの1.0%PBS溶液50mlにパーマ処理
毛髪を1時間浸漬後、流水中で10分間水洗して、24
時間風乾した(以下抗体処理毛髪と略す)。
【0031】次に、毛束から0.5gを切り取り、0.
07Mリン酸緩衝液(pH9.0)10mlに入れ、4
5℃にて24時間放置し、毛髪中の蛋白質を溶出させ
た。溶出してきた蛋白質はローリー法に従って定量し
た。これらの操作を5回実施し、5回の平均より蛋白質
溶出量を求め、その結果を表2に示した。
【0032】尚、比較例として、上記抗体Aの1%PB
S溶液に浸漬するかわりに、抗体を含まないPBS溶
液,製造例2で得られた抗体Dの1%PBS溶液及びコ
ラーゲン加水分解物(商品名:プロモイスW−32R)
に浸漬するほかは、上記方法と同様に実施した結果を合
わせて表2に示した。
【0033】表2から明らかなように、本発明の該抗ケ
ラチン蛋白質抗体は、毛髪からの蛋白質の溶出を防止す
る優れた特性を有し、良好な結果が得られた。これに対
し、本発明の抗ケラチン蛋白質抗体で処理しなかったも
の、即ち、製造例2で得られた毛髪粒子抗体(抗体D)
やコラーゲンの加水分解物は、毛髪からの蛋白質溶出防
止効果が殆どなかった。
【0034】試験例2(ダメージ毛髪の修復効果) ダメージ毛髪の修復効果の指標となる毛髪の引張強度を
測定するため、試験例1で作成した抗体処理毛髪の毛束
より50本の毛髪を取り出し、引張強度試験機(L.
B.Chemical社製)を用い、毛髪の太さと破断
強度を測定し、単位断面積当たりの破断強度を算出し、
50本の平均値を求めた。その結果を表2に示した。
【0035】また、比較例として上記抗体Aの1%PB
S溶液に浸漬するかわりに、抗体を含まないPBS溶
液,製造例2で得られた抗体Dの1%PBS溶液及びコ
ラーゲン加水分解物(商品名:プロモイスW−32R)
に浸漬するほかは、上記方法と同様に実施した結果を合
わせて表2に示した。
【0036】
【表2】
【0037】表2から明らかなように、本発明の抗ケラ
チン蛋白質抗体は、強度の低下したダメージ毛髪の強度
を修復し、切れ毛や枝毛を防止する優れた特性を有し、
良好な結果が得られた。これに対し、本発明の抗ケラチ
ン蛋白質抗体で処理しなかったもの、即ち抗体Dやコラ
ーゲンの加水分解物は、毛髪強度の修復効果が殆どなか
った。
【0038】試験例3(毛髪の官能面での改善効果−櫛
通り,つや,しなやかさ,風合) 毛髪の櫛通りの改善効果を測定するため、試験例1で作
成した抗体処理毛髪の毛束より50本の毛髪を取り出
し、レーダー法摩擦測定器(日本レオロジー社製)を用
いて、その動摩擦係数を測定し、50本の平均値を求め
た。
【0039】また、毛髪のつやの改善効果を測定するた
め、同様に試験例1で作成した抗体処理毛髪の毛束より
30本の毛髪を取り出し、ゴニオフォトメーター(村上
色彩科学社製)を用いて測定した。つやは以下の計算式
に従ってつや値を算出し、30本の平均値を求めた。
【0040】 つや値=(正反射光量−拡散反射光量)/拡散反射光量
【0041】次に、10名の専門検査員によって、上記
抗体処理毛髪のしなやかさと風合について、抗体処理前
の毛髪とどちらが良いか官能評価を行った。結果は人数
で示してある。
【0042】以上の櫛通り,ツヤ,しなやかさ及び風合
の評価結果を表3及び表4に示す。
【0043】また、比較例として上記抗体Aの1%PB
S溶液に浸漬するかわりに、抗体を含まないPBS溶
液,製造例2で得られた抗体Dの1%PBS溶液及びコ
ラーゲン加水分解物(商品名:プロモイスW−32R)
に浸漬するほかは、上記方法と同様に実施した結果を合
わせて表3,表4に示した。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表3、表4から明らかなように、本発明の
抗ケラチン蛋白質抗体Aは、櫛通りとつやの改善効果に
優れ、また毛髪をしなやかに良い風合に仕上げるという
顕著な結果が得られた。又、抗体B,抗体Cについても
同程度の優れた効果が得られた。これに対し、本発明の
抗ケラチン蛋白質抗体で処理しなかったもの、即ち抗体
Dやコラーゲンの加水分解物は、毛髪の改善効果が認め
られなかった。
【0047】試験例4(抗体画分の毛髪結合試験) 本発明での抗ケラチン蛋白質抗体画分が毛髪(毛幹部)
に結合することを間接蛍光抗体染色法を用いて試験し
た。正常男性(25才)の毛髪を適当な長さに切り、T
ISSUE TEC II ・OCT COMPOUND に30
分以上浸漬し、凍結した。凍結ブロックからクリオスタ
ットにより6μm厚の切片を切り出し、3%ゼラチン
(Difco社)でコートしておいた無蛍光スライドグ
ラスに添付した。充分に風乾させた後、4%パラホルム
アルデヒドを用いて室温で20分間固定した後、PBS
で10分間3回洗浄した。一方、製造例1で得られた抗
血清Aあるいは正常兎血清を10%ヤギ血清含有PBS
(10%血清PBS)にて40倍に希釈し、これを前記
の組織切片と室温下30分間反応させた。PBSで10
分間3回洗浄した後、2次抗体としてFITC標識ヤギ
抗ウサギIgG抗体(生化学工業社製 280080
10%血清PBSにて40倍希釈したもの)を室温遮光
下30分間反応させた。PBSで10分間3回洗浄した
後、封入し検鏡した。その結果、抗血清Aで反応させた
標本のみ毛髪(毛幹部)全域にわたり蛍光発色が観察さ
れ、該抗体画分が毛髪(毛幹部)全域に結合している事
を認めた。抗血清B,Cについても同様な結果が得られ
た。
【0048】実施例1(シャンプー) 下記の成分を常法によって混合して、シャンプーを調製
した。
【0049】 成分 重量% ポリオキシエチレンラウリル 15.0 エーテル硫酸ナトリウム ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0 ジステアリン酸エチレングリコール 1.5 安息香酸ナトリウム 0.2 EDTA 0.2 塩化ナトリウム 1.0 色素 適量 香料 適量 抗体A 1.0 精製水 残余
【0050】上記実施例1のシャンプーで洗髪した頭髪
は、抗体Aを配合しなかった他は実施例1と同組成のシ
ャンプーに比べて、パサつきがなく、櫛通りも良く、な
めらかさ,ツヤ,手触りなどに関して良好な仕上がりを
示した。
【0051】実施例2(ヘアーリンス) 下記の成分を常法によって混合して、ヘアーリンスを調
製した。
【0052】 成分 重量% 塩化ステアリル 3.0 トリメチルアンモニウム セタノール 2.0 モノステアリン酸グリセリン 1.5 1,3−ブチレングリコール 5.0 流動パラフィン 2.0 加水分解コラーゲン 0.5 色素 適量 香料 適量 抗体A 0.5 精製水 残余
【0053】市販のシャンプーで洗髪した後で、上記実
施例2のヘアーリンスで処理した毛髪は、抗体Aを配合
しなかった他は実施例2と同組成のヘアーリンスと比較
して、毛髪にしっとり感,つや,櫛通りなどに関して良
好な効果を示した。
【0054】実施例3(ヘアートリートメント) 下記の成分を常法によって混合して、ヘアートリートメ
ントを調製した。
【0055】 成分 重量% 塩化ジステアリル 1.0 ジメチルアンモニウム セタノール 5.0 モノステアリン酸グリセリン 2.0 プロピレングリコール 6.0 キサンタンガム 0.3 色素 適量 香料 適量 抗体A 5.0 精製水 残余
【0056】市販のシャンプーで洗髪した後で、上記実
施例3のヘアートリートメントで処理した毛髪は、抗体
Aを配合しなかった他は実施例3と同組成のヘアートリ
ートメントに比べて、毛髪の櫛通り,しっとり感,つや
が良好であり、特に損傷毛に対してその損傷の修復や改
善に効果があった。
【0057】実施例4(ヘアークリーム) 下記の成分を常法によって混合して、ヘアークリームを
調製した。
【0058】 成分 重量% ステアリン酸 5.0 ステアリルアルコール 2.0 ポリオキシエチレン 3.0 ソルビタンモノステアレート 流動パラフィン 15.0 ミツロウ 2.0 ラノリン 2.0 グリセリン 3.0 ポリビニルアルコール 1.0 防腐剤 適量 香料 適量 抗体B 1.0 精製水 残余
【0059】上記実施例4のヘアークリームで処理した
頭髪は、抗体Bを配合しなかった他は実施例4と同組成
のヘアークリームと比較して、うるおい,つや,しなや
かさやなめらかさに優れて、またパサつき等の損傷が改
善された。
【0060】実施例5(ヘアートニック) 下記の成分を常法によって混合して、ヘアートニックを
調製した。
【0061】 成分 重量% ビオゾール 0.1 サリチル酸 0.2 L−メントール 0.2 塩化カルプロニウム 0.5 イノシトール 0.1 エタノール 20.0 香料 適量 抗体C 1.0 精製水 残余
【0062】上記実施例5のヘアートニックで処理した
頭髪は、抗体Cを配合しなかった他は実施例5と同組成
のヘアートニックと比較して、うるおい,つややマイル
ドな感触に優れていた。
【0063】実施例6(ヘアーローション) 下記の成分を常法によって混合して、ヘアーローション
調製した。
【0064】 成分 重量% エタノール 10.0 モノオレイン酸ポリオキシ 1.0 エチレンソルビタン(20E.O.) 防腐剤 適量 香料 適量 抗血清A 0.5 精製水 残余
【0065】上記実施例6のヘアーローションで処理
し、ドライヤーで乾かしたところ、抗血清Aを配合しな
かった他は実施例6と同組成のヘアーローションと比較
して、頭髪に良好なうるおい及びはりが得られ、なめら
かさ及びしなやかさも良好であった。
【0066】実施例7(トリートメントフォーム) 下記の成分を常法によって混合して得られた原液95部
に、噴射ガスとして液化石油ガス(LPG)5部を加え
スプレー缶に充填し、トリートメントフォームを調製し
た。
【0067】 成分 重量% 塩化ステアリルトリメチル 0.4 アンモニウム 流動パラフィン 1.0 シリコーン油 2.0 プロピレングリコール 3.0 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0 (80E.O.) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5 (10E.O.) クエン酸ナトリウム 0.2 エタノール 7.0 香料 適量 抗体B 0.5 精製水 残余
【0068】上記実施例7のトリートメントフォームで
処理した頭髪は、抗血清Bを配合しなかった他は実施例
7と同組成のトリートメントフォームと比較して、頭髪
に良好なうるおい及びはりが得られ、なめらかさ及びし
なやかさも良好であり、特に損傷毛に対してその損傷の
修復や改善に効果があった。
【0069】実施例8(ブラッシングスプレー) 下記の成分を常法によって混合して得られた原液30部
に、噴射ガスとして液化石油ガス(LPG)70部を加
えスプレー缶に充填し、ブラッシングスプレーを調製し
た。
【0070】 成分 重量% 塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.1 流動パラフィン 0.1 シリコーン油 0.2 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5 (100E.O.) 香料 適量 抗血清C 0.5 エタノール 10 精製水 残余
【0071】上記実施例8のブラッシングスプレーで処
理した後、頭髪にブラッシング繰り返し行ったところ、
抗血清Cを配合しなかった他は実施例8と同組成のブラ
ッシングスプレーと比較して、毛髪の損傷が少なく、枝
毛の発生も減少した。また、つや、櫛通りやしなやかさ
も良好であった。
【0072】実施例9(パーマネントウェーブ用第1
剤) 下記の成分を常法によって混合して、パーマネントウェ
ーブ用第1剤を調製した。
【0073】 成分 重量% チオグリコール酸アンモニウム 12.0 (50%) モノエタノールアミン 1.0 アンモニア水 1.0 加水分解コラーゲン液 5.0 EDTA 0.05 香料 適量 抗体A 1.0 抗体B 1.0 精製水 残余
【0074】常法により実施例9のパーマネントウェー
ブ用第1剤を処理後、市販の第2剤で処理したところ、
抗体A及び抗体Bを含有しない他は実施例9と同組成の
パーマネントウェーブ用第1剤と比較して、頭髪の損傷
が少なく、セット力,セット保持性も良好であり、つ
や,しなやかさなどの点で優れた仕上がりを示した。
【0075】実施例10(ヘアカラー第1剤) 下記の成分を常法によって混合して、ヘアカラー第1剤
を調製した。
【0076】 成分 重量% パラフェニレンジアミン 0.3 レゾルシン 0.2 メタアミノフェノール 0.03 パラアミノフェノール 0.05 アンモニア水 7.5 セタノール 16.0 ラウリル硫酸ナトリウム 4.2 亜硫酸ナトリウム 0.2 加水分解ゼラチン 3.0 EDTA 適量 香料 適量 抗体A 1.0 抗血清A 0.5 精製水 残余
【0077】上記実施例10のヘアカラー第1剤と6%
過酸化水素水溶液とを1:1の割合で混合し、常法に従
ってヘアカラー処理をしたところ、抗体Aと抗血清Cを
含有しない他は実施例10と同組成のヘアカラー第1剤
と比較して、頭髪の損傷が少なく、つや,しなやかさな
どの点で優れた仕上がりを示した。
【0078】
【発明の効果】本発明により、毛髪に対して強い親和性
をもって、かつ特異的に結合し、これにより毛髪の構成
蛋白質の溶出を防ぎ、櫛通りを改善し、つや,しなやか
さ,風合等毛髪を有用に改質し、毛髪の損傷を防ぐと共
に毛髪を修復することのできる毛髪化粧料が提供され
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀越 俊雄 神奈川県藤沢市辻堂6362番地の25

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人毛髪のケラチン型中間径フィラメント
    構成蛋白質に対して免疫活性を有する抗体画分を含有す
    ることを特徴とする毛髪化粧料。
  2. 【請求項2】 毛髪より抽出したケラチン型中間径フィ
    ラメント構成蛋白質を抗原とし、該抗原で動物を免疫す
    ることによって得られる抗体画分を含有することを特徴
    とする毛髪化粧料。
JP35233591A 1991-12-12 1991-12-12 毛髪化粧料 Pending JPH05163123A (ja)

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