JPH06116291A - 蛋白質及び抗体並びに毛髪改質剤 - Google Patents

蛋白質及び抗体並びに毛髪改質剤

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JPH06116291A
JPH06116291A JP29381892A JP29381892A JPH06116291A JP H06116291 A JPH06116291 A JP H06116291A JP 29381892 A JP29381892 A JP 29381892A JP 29381892 A JP29381892 A JP 29381892A JP H06116291 A JPH06116291 A JP H06116291A
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hair
protein
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antigen
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JP29381892A
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Inventor
Ichiro Sasaki
一郎 佐々木
Hideyo Uchiwa
秀世 打和
Masafumi Kusumaru
雅史 薬丸
Hideaki Niwase
英明 庭瀬
Kenichi Sugimoto
憲一 杉本
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダメージヘアの診断に有用な抗体及び、毛髪
の損傷を保護あるいは改善し、くし通り、しなやかさ、
風合い等を良好にする毛髪改質剤を提供するにある。 【構成】 人毛髪中に存在するマトリックス蛋白質に対
して免疫活性を有する抗体の抗原となる蛋白質であっ
て、下記物理特性を有する蛋白質、及び該蛋白質を抗原
とする抗体、並びに該抗体を含有する毛髪改質剤。 記 1.分子量;3000〜10000 2.アミノ酸組成;Cys 20.3〜38.1,Asx 1.1 〜2.3 ,
Thr 7.9 〜11.7,Ser 11.6〜20.7,Glx 4.6 〜7.2 ,Pr
o 9.0 〜13.6, Gly 3.8〜6.8 ,Ala 2.2 〜2.8,Val
5.2 〜6.2 ,Met 0.0 〜0.3 ,Ile 1.4 〜2.0 ,Leu 1.
7 〜3.5 ,Tyr 1.2 〜3.0 ,Phe 0.7 〜1.5 ,Lys 0 〜
0.3 ,His 0.5 〜0.9 ,Arg 0.9 〜 9.5

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な蛋白質,抗体,
及び毛髪改質剤に関し、更に詳しくは、毛髪の損傷を保
護あるいは改善し、くし通り、しなやかさ、風合い等を
良好にする特性を備える毛髪改質剤に関する。
【0002】
【従来の技術】毛髪はシャンプー、ブラッシング、ヘア
ードライアー、パーマ、ヘアーカラー等の物理的・化学
的原因により損傷し、毛髪の表面構造が破壊される。こ
の破壊により、枝毛、裂毛を生じるとともに、毛髪の構
成成分である蛋白質が破壊部分から溶出して行き毛髪か
ら少しずつ消失して行く。このように、蛋白質が溶出す
ると毛髪は痩せ衰えて脆弱化する。ところが、毛髪は一
度損傷すると自分の力で元に戻ることができず、放置し
ておくと毛髪の損傷が進行して枝毛裂毛になり易くな
る。
【0003】従って、美しく健康な毛髪を保持するため
には、損傷を防ぐとともに、損傷した場合は毛髪を修復
することが必要である。
【0004】従来この目的のために、リンスやトリート
メント等の毛髪化粧料には、毛髪の保護成分として、従
来天然物由来の各種蛋白質加水分解物及びその誘導体が
用いられてきた。しかしこれら物質は安全性が高いもの
の、毛髪への吸着力は極めて小さく、水溶性であるため
洗い流されてしまい、充分な効果が得られなかった。
【0005】一方、US3987161(1976年)
において毛髪粒子そのものを抗原として得られた抗血清
を用いて、ボディ感を与えたり、セット保持力を改善し
たりする方法が開示されている。しかし、この方法によ
っても損傷した毛髪を修復することはできない。加えて
くし通りを悪くする等の問題がある。
【0006】ところで毛髪は、外側から毛髪繊維を包ん
で、保護しているキューティクル、毛髪繊維であるコル
テックスそして中心のメデュラ(毛髄質)の3タイプの
細胞から構成されている。そして、キューティクル、コ
ルテックスの主たる構成成分としては、繊維性の「ケラ
チン型中間径フィラメント構成蛋白質(またはα−ケラ
チン繊維蛋白質)」、非繊維性の「マトリックス蛋白
質」、及び「細胞膜周辺蛋白質」の3つが挙げられる。
【0007】マトリックス蛋白質には、アミノ酸組成と
してシスチンが30%以上と著しく高い超高含硫蛋白
質、20%前後の高含硫蛋白質、比較的グリシン及びチ
ロシン含量が高い高チロシン蛋白質、の3つがあり、そ
の多くは分子量数千から3万程度の大きさであることが
知られている。
【0008】このマトリックス蛋白質は、通常水には不
溶であるが、還元剤や尿素またはSDS等の変性剤、あ
るいは化学修飾によって可溶化される蛋白質で、爪、羽
毛等にも存在することが知られている。
【0009】また、このマトリックス蛋白質はパーマ等
により毛髪が損傷を受けると、その結果として毛髪内部
から溶出することが指摘されている。
【0010】マトリックス蛋白質の調製法としては、原
料中のマトリックス蛋白質のジスルフィド結合を還元あ
るいは酸化処理により開裂し、可溶化させ、その後スル
フヒドリル基にヨード酢酸を付加せしめ、水可溶性にし
たものを等電点沈殿等の処理によりα−ケラチンを除去
する方法が知られている。
【0011】Said等は、これら可溶化したマトリッ
クス蛋白質をC4 逆相クロマトグラフィーで分離した
〔J.Chromatogr.,324巻(198
5),65ページ〕。
【0012】また、Katuumi等〔Arch.De
rmatol.Res.,281巻(1989),49
5ページ〕は毛髪蛋白質をS−カルバモイルメチル化後
可溶化し、2次元電気泳動によりマトリックス蛋白質の
分離を行なった。
【0013】しかし、分離した蛋白質はいずれも修飾蛋
白質となっており、天然の蛋白質そのものではなかっ
た。そのため、これらの蛋白質を抗原とする抗体は、蛋
白質の修飾部分を認識するものがほとんどであり、毛髪
への結合性が低いという欠点を有している。
【0014】マトリックス蛋白質を抗原として得られた
抗体に関する報告がFraterによってなされている
〔Aust.J.Biol.Sci.,29巻(197
6),453ページ〕が、この報告では角質化の不完全
な毛包部及び毛根部での抗体の反応性が論じられてお
り、完全に角質化した部分にはむしろ抗体は結合しない
とされている。
【0015】抗体を用いた毛髪改質剤としては、毛髪粒
子に対するもの〔USP3987161〕やケラチンに
対するもの〔特開平4−29912,特開平4−414
13〕等があるが、マトリックス抗体でないため、マト
リックス蛋白質に対する特異性が弱い。
【0016】毛髪のダメージ化の程度を示す指標は現在
のところ存在しない。しかし、ダメージの早期に溶出さ
れる個々のマトリックス蛋白質に対する抗体を用いれ
ば、ダメージ度の指標となし得る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的と
するところは、カルボキシメチレーション等蛋白質の修
飾による可溶化を行なわずに精製したマトリックス蛋白
質,及び該蛋白質を抗原とする抗体並びに該抗体を含有
する毛髪改質剤を提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、人毛髪中
に存在するマトリックス蛋白質に対して免疫活性を有す
る抗体の抗原となる蛋白質であって、下記物理特性を有
する蛋白質,及び該蛋白質を抗原とする抗体,並びに該
抗体を含有する毛髪改質剤によって達成される。
【0019】記 1.分子量;3000〜10000(3〜10K) 2.アミノ酸組成;Cys 20.3〜38.1,Asx 1.1 〜2.3 ,
Thr 7.9 〜11.7,Ser 11.6〜20.7,Glx 4.6 〜7.2 ,Pr
o 9.0 〜13.6, Gly 3.8〜6.8 ,Ala 2.2 〜2.8,Val
5.2 〜6.2 ,Met 0.0 〜0.3 ,Ile 1.4 〜2.0 ,Leu 1.
7 〜3.5 ,Tyr 1.2 〜3.0 ,Phe 0.7 〜1.5 ,Lys 0 〜
0.3 ,His 0.5 〜0.9 ,Arg 0.9 〜 9.5
【0020】本発明においてマトリックス蛋白質の原料
としては、人間の体毛及び毛髪、羊毛、羽毛あるいは爪
等が挙げられるが、種差を考慮して人間の体毛及び毛髪
が好ましく、特に毛髪が最も好ましい。
【0021】これらの原料からマトリックス蛋白質を精
製するには、公知の方法を用いればよく、原料中のマト
リックス蛋白質のジスルフィド結合を還元あるいは酸化
処理により開裂し、可溶化させ抽出する方法が一般的で
ある。還元処理の場合、予めアルカリ条件化で可溶化助
剤として種々の変性剤、例えば尿素、塩酸グアニジン等
を加えて可溶化させる。これらから濾過または遠心操作
により不溶物質を取り除き、更に得られた上清からゲル
濾過あるいは限外濾過法等により、α−ケラチンを除い
た画分を集めることによって粗マトリックス蛋白質画分
を得ることができる。
【0022】これを濃縮し、ゲル濾過あるいは限外濾過
法等により、精密に分子篩を行い、必要に応じて繰り返
し本操作を行い、3〜10Kの位置に現れる画分を集め
ることによって、本発明の蛋白質を分離することができ
る。
【0023】本発明の蛋白質のアミノ酸組成は、例えば
酸加水分解後、o−フタルアルデヒドを蛍光発色団とし
て用いるポストカラム法により分析することができる。
【0024】精製した蛋白質は抗原として用いることが
できる。その際、透析操作等により変性剤をはじめとす
る低分子不純物を適宜減量あるいは除去する操作を行う
のが好ましい。また、この蛋白質を不溶化させて凝集物
としたものを抗原としても良い。
【0025】更に上記蛋白質をトリプシン等の蛋白質分
解酵素で断片化し、抗原とすることもできる。その結果
として、抗原が低分子化され抗原性が低下した場合に
は、抗原をハプテンとして、公知の方法、例えば牛血清
アルブミン等にカルボジイミド等の架橋剤を介して結合
させる方法等を用いて抗原とすればよい。また、この場
合も透析操作等により、低分子不純物を除去して抗原と
するのが好ましい。
【0026】次に、得られた抗原を用いて、公知の方法
により哺乳動物や鳥類等を免疫することによって抗体を
製造する。
【0027】抗体の製造に供せられる動物としては、
牛、馬、羊、山羊、ウサギ、マウス、鶏等適当な家畜を
選ぶことができる。
【0028】免疫方法としては、皮下注射、腹腔内注
射、筋肉注射、静脈注射等により通常の方法や点鼻、点
眼、経口投与等の方法によって行なうことができる。抗
原である蛋白質の投与量及び期間は、所望の力価が得ら
れ、かつ動物に対して悪影響を与えない量及び期間を適
宜選択すれば良い。
【0029】必要に応じてフロイント完全アジュバント
(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)
等のアジュバントを抗原と併用しても良い。
【0030】抗体は、これら動物の常乳あるいは初乳ま
たは血清もしくは卵黄より公知の手法を用いて得ること
ができる。
【0031】本発明の抗体は、細胞融合技術によって得
られるハイブリドーマの産生するモノクローナル抗体で
あっても良い。また、該ハイブリドーマからクローニン
グされた免疫グロブリン遺伝子を導入した微生物あるい
は培養細胞の産物であっても良い。
【0032】以上の様にして得られた抗体は、パパイン
あるいはペプシン等の酵素で処理し、免疫グロブリンの
Fc部分を除去した抗体断片としても良い。また、免疫
した動物の脾臓細胞あるいはリンパ球からクローニング
された免疫グロブリン遺伝子の断片を導入した微生物あ
るいは培養細胞の産物であっても良い。
【0033】尚、本発明の抗体としては、精製したもの
が好ましいが、他の成分を含有する未精製品(例えば血
清、初乳等)であっても良い。
【0034】以上の様にして得られる抗体あるいはその
断片は、水溶液もしくは凍結乾燥、噴霧乾燥等の操作に
より得た乾燥品として供される。
【0035】このような抗体からなる毛髪改質剤は、毛
髪への付与形態に応じて種々の形の頭髪用組成物に調製
することができる。すなわち、本発明の毛髪改質剤の効
果を損なわない範囲で通常使用される成分を配合するこ
とができ、その頭髪用組成物の形態としては、シャンプ
ー、リンス、スタイリングフォーム、ヘアーコンディシ
ョナー、ヘアートリートメント、ヘアーパック、ヘアー
リキッド、ヘアートニック、パーマネントウエーブ用剤
等が挙げられる。
【0036】本発明の蛋白質またはそれより調製した抗
体の、頭髪用組成物への配合量は、その投与形態に応じ
て適宜選択すればよく、例えば、0.1重量%濃度当り
100以上の抗体価を有するものを、組成物全体を10
0として0.00001〜10重量%程度とすることが
できる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、それに先立ち用いた種々の分析方法について述
べる。
【0038】(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳
動)SDS−PAGEはレムリー(Laemmli)等
の方法により行なう。すなわち、後述の粗精製標品また
は精製標品(0.2〜35μg)を個々に2%SDS、
5%2メルカプトエタノール及び20%グリセロールを
含む62.5mMのトリス塩酸緩衝液(pH6.8)中
で100℃、3分間処理する。
【0039】電気泳動は、0.1%のSDSを含む7.
5%の分離ゲルと、4%の濃縮ゲル中、室温下、10m
A、2時間の条件で行なう。なお、分子量マーカーとし
ては、フォスフォリラーゼ(phosphorylas
e,分子量97400;97K)、牛血清アルブミン
(bovine serum albumin,分子量
66000;66K)、オブアルブミン(ovalbu
min,分子量45000;45K)、カルボニックア
ンヒドラーセ(carbonic anhydras
e,分子量29000;29K)、大豆由来トリプシン
インヒビター(soy bean trypsin i
nhibitor,分子量20100;20K)、α−
ラクトアルブミン(α−lactalbumin,分子
量14200;14K)(いずれもファルマシア社製)
を用い、バンドの検出はクマシーブリリアントブルー
(CBB)による染色によって行なうことができる。
【0040】(ウエスタンブロッティング)ウエスタン
ブロッティングは、Towbin等の方法により行う。
即ち、蛋白質を18%ポリアクリルアミドゲル電気泳動
法にて展開し、ニトロセルロース膜(Atto社製)に
転写した。1次抗体として用いる抗血清は、106 倍希
釈したものを用いた。検出はブロッティング検出キット
(アマシャム社製、RPN23 ストレプトアビジン・
ビオチン化アルカリフォスファターゼ複合体を用いたウ
サギIgG検出キット)を用い、キットに明記のプロト
コールに従い行った。
【0041】実施例1 (1)蛋白質精製 人正常毛髪400mgを2%ポリオキシエチレンラウリ
ル硫酸ナトリウム(3E.O.)水溶液にて洗浄後、8
M尿素、0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH9.5)50
mlに加え、窒素ガスを通しながら50℃で1時間撹拌
した。これをテフロンホモジナイザーを用いてすり潰
し、更に1時間の抽出操作を行なった。20,000
X gで30分間遠心した後上清を回収し、5μmのフ
ィルターに通しマトリックス蛋白質を含有する抽出物を
得た。
【0042】これを限外濾過膜にて濃縮し、窒素ガスを
通した8M尿素、0.2M−2メルカプトエタノール含
有50mMトリス塩酸緩衝液(pH9.5)で平衡化し
た2mのセファクリルS−200カラムに供した。主ピ
ークのα−ケラチン画分以降に溶出してくる低分子画分
(分子量数千〜40000)をすべて回収した。本操作
を繰り返すことによって、α−ケラチンを完全に除き、
粗マトリックス蛋白質画分を得た。
【0043】これを濃縮し、ゲル濾過あるいは限外濾過
法等により、精密に分子篩を行い、3〜10Kの位置に
現れる画分を集めることによって、本発明の蛋白質を分
離した。
【0044】これを再度限外濾過膜にて濃縮し、更に
7.4M尿素、0.1M2メルカプトエタノールを含有
する生理リン酸緩衝液(PBS)に対して透析し、蛋白
質抗原とした。
【0045】(2)SDSポリアクリルアミド電気泳動 本発明の蛋白質のSDSポリアクリルアミド電気泳動図
を図1に示した。同時に泳動した分子量マーカーより、
本発明の蛋白質の分子量は3〜10K(3000〜10
000)であることが分かる。
【0046】(3)アミノ酸分析 本発明の蛋白質のアミノ酸分析の結果を表1に示した。
本発明の蛋白質は、Cysを多く含む蛋白質であった。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2 (1)抗血清の調製 実施例1で精製された本発明の蛋白質を抗原として、そ
れを7.4M尿素、0.1M2メルカプトエタノール含
有PBS中に2mg/mlとなる様に懸濁しFCAと
1:1の比で混合して油中水型(以下W/O型と略記す
る)のエマルジョンとした。これを2羽のウサギの背中
に1羽当り1ml皮下投与した。2週間後にアジュバン
トをFIAに変えて同様に投与した。抗体価の上昇をE
LISA法にて確認後、最終投与2週間経過後(8週
目)心臓から採血し、遠心分離して血清を採取した(以
下これを抗毛髪マトリックス蛋白質抗血清とする。)。
また、免疫していないウサギからも、同様に血清を採取
し対照抗血清とした。尚、常法に従って硫安分画法によ
り血清から抗体画分を得た。
【0049】(2)ウエスタンブロッティング 抗血清によるウエスタンブロッティングの結果を図2に
示した。これより本発明の蛋白質より調製した抗血清
は、3〜10K(分子量3000〜10000)の蛋白
質と特異的に反応していることが観察された。
【0050】比較例1 (1)抗原の調製 28才男性の正常毛髪を2%ポリオキシエチレンラウリ
ル硫酸ナトリウム(3E.O.)水溶液で洗浄後、風乾
した。これを電気カミソリで細断し、150μmのメッ
シュを通して微小な毛髪粉を得た。
【0051】上記毛髪粉を生理食塩水中に50mg/m
lの濃度に懸濁し、FCAと1:1の比で混合してW/
O型のエマルジョンとした。これを2羽のウサギに1羽
当り4mlを臀部筋肉内に投与し、更に1週間後及び2
週間後に同様に投与した。最終投与2週間経過後(4週
目)、心臓から採血し、遠心分離して血清を採取した。
これによりUSP3987161様の毛髪粉に対する抗
血清(以下抗毛髪粒子抗血清と略記する。)を調製し
た。尚この手法では、本発明の蛋白質に対して所望の抗
体価を持つ抗血清を得ることが出来なかった。
【0052】試験例1 (抗体の毛髪結合性)本発明の抗体が、完全に角質化し
た毛髪(毛幹部)に結合することを間接蛍光抗体法によ
り証明した。
【0053】女性の正常毛髪を適当な長さに切り、凍結
した。凍結ブロックからクリオスタットにより6μm厚
の切片を切り出し、無蛍光スライドグラスに固定した。
【0054】これに、実施例2で得られた発明の蛋白質
の抗血清あるいは免疫を行わなかったウサギより得られ
た対照抗血清を、10%ヤギ血清含有PBSで40倍に
希釈したものを反応させた後、PBSで10分間3回洗
浄した。
【0055】2次抗体としてローダミン標識ヤギ抗ウサ
ギIgG抗体を反応させ、検鏡した。
【0056】発明の蛋白質抗血清を反応させた標本の
み、毛髪全域に亘り蛍光が観察された(図3)。これ
は、該抗体が角質化した毛髪に結合することを示すもの
である。
【0057】試験例2 (毛髪の破断強度増強効果)本発明の蛋白質より調製し
た抗体が、毛髪の破断強度を増強させるかどうかを、以
下の方法に従って試験した。
【0058】常法に従ってパーマ処理を2回繰り返し施
術した毛髪を、PBSまたは0.5%抗血清溶液中に3
0℃、1時間浸漬し、10分間の水洗の後、45℃、1
2時間乾燥させた。その毛髪を25℃、湿度65%の環
境下ヘアーテスター(L.B.Chemical社製)
を用い破断強度を測定した。その結果を図4に示した。
本発明の蛋白質より調製した抗血清では明らかにコント
ロール群(PBS、非免疫血清)と比べて、有意に毛髪
の破断強度を増強させた。
【0059】試験例3 (ダメージヘアーの診断)女性の毛髪を束ね(18c
m,5g)、常法に従ってパーマ処理を3回繰り返し、
パーマ処理毛髪を作成した。
【0060】次に、毛束から0.5gを切り取り、0.
07Mりん酸緩衝液(pH9.0)10mlに入れ、4
5℃にて1、2、5、24時間放置し、毛髪中の蛋白質
を溶出させた。尚比較のため、健常毛を用い、その他は
上記方法と同様に処理した。
【0061】各毛髪より時間ごとに溶出した蛋白質を、
実施例2の抗体を用い、上述したELISA法により定
量した。その結果を図5に示した。健常毛に比べ、パー
マ毛では、発明の蛋白質の溶出が多いことがわかり、こ
の抗体を用いたダメージヘアー診断法が、高感度で有効
であることを示す。
【0062】試験例4 (毛髪の官能面での改善効果)女性の毛髪を束ね(18
cm、5g)、常法に従ってパーマ処理を3回繰り返
し、パーマ処理毛髪を作成した。次に実施例2の抗血清
の0.3%PBS溶液50mlにパーマ処理毛髪を1時
間浸漬後、流水中で10分間水洗して、24時間風乾し
た。
【0063】得られた抗血清処理毛髪のくし通り、しな
やかさ、風合いについて、処理前の毛髪とどちらが良い
か官能評価を行った結果、本発明の蛋白質より調製した
抗血清は、毛髪のくし通り、しなやかさ、風合いを良好
にする効果を持ち、上述の抗毛髪粒子抗体、対照抗体、
コラーゲン加水分解物、PBS溶液には見られない優れ
た特性を有していた。
【0064】応用例1(シャンプー) 実施例2で得られた抗体画分を用いてシャンプーを調製
した。組成を表2に示す。表中の値は、重量%を示す。
【0065】
【表2】
【0066】このシャンプーは、実施例2の抗体を配合
しない他は表2と同組成のシャンプーに比べて、パサつ
きがなく、くし通りも良く、なめらかさ、手触り等に関
して良好な仕上がりを示した。
【0067】応用例2(ヘアートリートメント) 実施例2の抗体を用いてヘアートリートメントを調製し
た。組成を表3に示す。表中の値は、重量%を示す。
【0068】
【表3】
【0069】市販のシャンプーで洗浄後、上記のヘアー
トリートメントで処理した場合は、該抗体画分を配合し
ない他は表3と同組成のヘアートリートメントで処理し
た場合に比べて、毛髪のくし通りも良く、しっとり感が
あり、特に損傷毛に対してその損傷修復や改善に効果が
あった。
【0070】
【発明の効果】本発明により、完全に角質化した毛髪に
対して、強い親和性をもって且つ特異的に結合し、その
結果毛髪の破断強度を強め、くし通り、しなやかさ、風
合い等を有用に改質し、毛髪の損傷を保護あるいは改善
出来る毛髪改質剤が提供された。また、本発明の抗体
は、ダメージヘアの診断にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の蛋白質のSDSポリアクリルアミド
電気泳動図である。尚、レーン1は3〜10K蛋白質,
レーン2は分子量マーカーを表す。
【図2】実施例2の抗血清によるウエスタンブロッティ
ングを表す図である。尚、(a)は色素染色,(b) は抗体
染色の結果を表し、またレーン1は毛髪ケラチン,レー
ン2は3〜10K蛋白質を表す。
【図3】実施例2の抗血清(a)及び対照血清(b)の
毛髪結合性試験の結果を表す図である。
【図4】実施例2の抗血清の、毛髪破断強度を調べた図
である(1;PBS,2;非免疫血清,3;本発明の抗
血清)。
【図5】実施例2の抗体を用いて、健康毛及びパーマ毛
の蛋白質溶出量を調べた図である。
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】実施例2の抗血清(a)及び対照血清(b)の
毛髪結合性試験の結果を表す蛍光写真(図面代用写真)
である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人毛髪中に存在するマトリックス蛋白質
    に対して免疫活性を有する抗体の抗原となる蛋白質であ
    って、下記物理特性を有する蛋白質。 記 1.分子量;3000〜10000 2.アミノ酸組成;Cys 20.3〜38.1,Asx 1.1 〜2.3 ,
    Thr 7.9 〜11.7,Ser 11.6〜20.7,Glx 4.6 〜7.2 ,Pr
    o 9.0 〜13.6, Gly 3.8〜6.8 ,Ala 2.2 〜2.8,Val
    5.2 〜6.2 ,Met 0.0 〜0.3 ,Ile 1.4 〜2.0 ,Leu 1.
    7 〜3.5 ,Tyr 1.2 〜3.0 ,Phe 0.7 〜1.5 ,Lys 0 〜
    0.3 ,His 0.5 〜0.9 ,Arg 0.9 〜 9.5
  2. 【請求項2】 下記物理特性をもつ蛋白質を抗原とす
    る、人毛髪中に存在するマトリックス蛋白質に対して免
    疫活性を有する抗体。 記 1.分子量;3000〜10000 2.アミノ酸組成;Cys 20.3〜38.1,Asx 1.1 〜2.3 ,
    Thr 7.9 〜11.7,Ser 11.6〜20.7,Glx 4.6 〜7.2 ,Pr
    o 9.0 〜13.6, Gly 3.8〜6.8 ,Ala 2.2 〜2.8,Val
    5.2 〜6.2 ,Met 0.0 〜0.3 ,Ile 1.4 〜2.0 ,Leu 1.
    7 〜3.5 ,Tyr 1.2 〜3.0 ,Phe 0.7 〜1.5 ,Lys 0 〜
    0.3 ,His 0.5 〜0.9 ,Arg 0.9 〜 9.5
  3. 【請求項3】 下記物理特性をもつ蛋白質を抗原とす
    る、人毛髪中に存在するマトリックス蛋白質に対して免
    疫活性を有する抗体を含有することを特徴とする毛髪改
    質剤。 記 1.分子量;3000〜10000 2.アミノ酸組成;Cys 20.3〜38.1,Asx 1.1 〜2.3 ,
    Thr 7.9 〜11.7,Ser 11.6〜20.7,Glx 4.6 〜7.2 ,Pr
    o 9.0 〜13.6, Gly 3.8〜6.8 ,Ala 2.2 〜2.8,Val
    5.2 〜6.2 ,Met 0.0 〜0.3 ,Ile 1.4 〜2.0 ,Leu 1.
    7 〜3.5 ,Tyr 1.2 〜3.0 ,Phe 0.7 〜1.5 ,Lys 0 〜
    0.3 ,His 0.5 〜0.9 ,Arg 0.9 〜 9.5
JP29381892A 1992-10-06 1992-10-06 蛋白質及び抗体並びに毛髪改質剤 Pending JPH06116291A (ja)

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