JP2567317C - - Google Patents

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JP2567317C
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Kao Corp
Taiyo Kagaku KK
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Taiyo Kagaku KK
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、卵黄抗体を含有する毛髪化粧料に関し、更に詳細には、毛髪粉末
抗原として免疫した家禽の卵から得られる卵黄抗体を有効成分として含有し、毛
髪に対して良好な感触を賦与し、毛髪の損傷を抑制することのできる毛髪化粧料
に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、ファッションの個性化に伴ない、毛髪のロング化傾向は着実に定着して
おり、これに加え、部分パーマなどの美容処理によるロングヘアスタイルのバリ
エーション化が進んでいるが、これと相まって、枝毛、切毛などの毛髪の損傷も
着実に増加している。 かかる毛髪の損傷は、パーマなど化学処理によるケラチン蛋白質の変性により
、毛髪構造が脆弱化し、ドライヤー、ブラッシングなどによる物理的な影響を受
けやすくなったことが原因と考えられている。 【0003】 このような毛髪の損傷を防止するための手段として、化学処理による蛋白質構
造の劣化に対処し、毛髪表面への保護膜形成や保湿性、弾性の向上を目的として
、種々のヘアケア剤にコラーゲン、ケラチン蛋白質、卵白蛋白質等を配合するこ
と(特開昭61−280413号)が知られている。 【0004】 しかしながら、コラーゲンやケラチン蛋白質、卵白蛋白質等の蛋白質成分は、 毛髪の化学処理による損傷の防止に対してはある程度の効果を奏するが、その効
果は充分満足できるものではない。 【0005】 また、セット保持力を改善することを目的で、毛髪粉体を抗原として得られる
抗血清を用いて毛髪を改善する方法(U.S.Pat.No.3,987,161)が知られている。 しかし、この方法に用いる抗血清は、毛髪粉末で免疫した動物の血液から得ら
れるものであるため、抗血清を得るための操作が煩雑であるのに加え、一回の操
作における収量も低く工業的に満足できるものとは言えない。 特に、哺乳動物から得た抗血清は、補体の活性化作用を有するので好中球を刺
激し、局所的炎症の原因となり易く、従って、毛髪化粧料として哨乳類抗血清を
用いることは好ましいものではない。また、抗血清は、動物の血液から得られた
抗体ということで動物愛護の点からもあまり良いものとは言えない。 【0006】 一方、毛髪表面の摩擦力を低減する目的で、高級アルコール類、エステル油、
流動パラフィン、シリコーン油などの油成分がヘアリンス、トリートメント、ブ
ラッシング剤等に配合、利用されている。 しかし、油成分は毛髪の損傷の予防に対してはある程度の効果を発揮するもの
の、既に損傷をうけている毛髪については、満足のいくトリートメント効果が得
られていないのが実情である。また、油成分を毛髪化粧料に多量に使用すると、
べたつき感や油っぽさが増し、使用感を損なうこともある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 そこで、べたつき感や油っぽさが無く、使用感等のコンディショニング効果に
優れ、かつ、高い持続性を有し、更に毛髪の損傷を予防するだけでなく損傷部に
特異的に作用して毛髪本来の機能を回復させる効果を有する毛髪化粧料の開発が
望まれていた。 【0008】 【課題を解決するための手段】 かかる実情において、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、 毛髪粉末 を抗原として免疫した家禽の卵から調製された卵黄抗体を配合した毛髪
化粧料をパーマヘアなどの化学処理を受けた毛髪に用いると、驚くべきことに、
乾燥状態においても髪にしっとり感、柔軟性、平滑性、枝毛の防止・修復、艶等
の優れたコンディショニング効果を賦与することができ、かつ、数度のシャンプ
ー後もその効果が失われないことを見出し、本発明を完成した。 【0009】 すなわち、本発明は、毛髪粉末を抗原として免疫した家禽の卵から調製された
卵黄抗体を含有することを特徴とする毛髪化粧料を提供するものである。 【0010】 本発明の毛髪化粧料に配合される、毛髪粉末を抗原として免疫した家禽の卵か
ら調製された卵黄抗体(以下、「毛髪粉末卵黄抗体」と略称することがある)は
毛髪粉末で家禽を免疫し、この家禽の産する卵の卵黄より得ることができる。 【0011】 免疫する家禽としては、ニワトリ、アヒル、ウズラ等が用いられるが、抗体量
産性という点からは、白色レグホンなどの卵用種の家禽を用いるとよい。 【0012】 抗原である毛髪粉末としては、健常毛若しくはパーマ等による損傷毛の全毛髪
または毛小皮、毛皮質等の毛髪構成組織を長さ100μm以下にまで粉砕した
末等を用いることができる。また、損傷毛に特異的な抗体を得るためには、上記
の毛髪粉末にパーマ等の化学処理を施したものを抗原として用いることができる
。 【0013】 抗原となる毛髪を粉砕する方法には、先に出願された特許のように(特開昭5
7−163392号)、毛髪を水で膨潤したあと凍結粉砕する方法や、毛髪を臭
化リチウムや尿素、塩酸グアニジン等の蛋白変性剤で処理して膨潤したあと凍結
し、液体窒素下で乳鉢・サンドミル等、既存の粉砕機により粉砕する方法がある
が、これらの方法に限らず、他の方法に従ってもさしつかえない。また、これら
の毛髪の構成組織としては、毛小皮、毛皮質、毛随があるが、毛小皮の粉末は1
cm以下に切断した毛髪をテフロン球とともに滅菌水中で振盪し、機械的に剥 離するなど、公知の方法にて得ることができる。更に、毛皮質の粉末は、特開昭
56−140164号のヴァンティアン処理等により、毛小皮を除去した毛髪を
前述の毛髪の粉砕法に準じて得ることができる。 【0014】 【0015】 上記した毛髪粉末を用いて家禽を免疫する方法としては、例えば、毛髪粉末を
単独又は2種以上組合せ家禽に皮下注射、腹腔内注射、筋肉注射などによる方
法や、飼料又は水に加え、これと共に経口的に投与、免疫する方法等の通常の方
法が採用できる。その際、必要に応じてアジュバントと併用してもよい。 【0016】 叙上の如くして免疫した家禽の卵から卵黄抗体を得るには、公知の方法若しく
はこれに準じた方法によれば良い。例えば、卵黄抗体の工業的精製方法は特開昭
64−38098号に詳細に例示されるが、これに限定されず、他の公知の方法
に依ってもさしつかえない。 【0017】 本発明に用いられる毛髪粉末卵黄抗体の一例としては、λ−カラギーナン水溶
液を卵黄に加えて得られる上清の部分精製物を挙げることができるが、更に、例
えば、卵黄中に含まれる免疫グロブリンを抽出、分離することによって、より高
い抗体価を有する精製毛髪粉末卵黄抗体が得られる。 【0018】 前記の毛髪粉末卵黄抗体は、溶液状態で本発明の毛髪化粧料に配合することも
できるが、濃縮ないし乾燥させてから使用することが好ましい。濃縮は、通常の
減圧留去によって行うことが好ましく、乾燥は凍結乾燥によって行うことが好ま
しい。 【0019】 毛髪粉末卵黄抗体の毛髪化粧料への配合には、上記の如くして得られる毛髪粉
卵黄抗体の1種を単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。また毛髪化
粧料への配合量は凍結乾燥物として、例えば、部分精製された毛髪粉末卵黄抗体
を用いた場合、0.01〜50重量%(以下単に「%」で示す)程度、好まし くは0.01〜20%、精製された卵黄抗体用いた場合では0.001〜5%程度
、好ましくは0.005〜1%の範囲である。精製された毛髪粉末卵黄抗体とし
ての配合量が、0.001%以下では効果が充分に達成されず、また、5%を超
えてもその増加分に見合った効果の向上は望めない。 【0020】 本発明の毛髪粉末卵黄抗体を配合することのできる毛髪化粧料としては、特に
限定されず、毛髪に適用される化粧料のいずれであっても良いが、この中には、
例えば、プレシャンプー剤、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、
ヘアトリートメント、セットローション、ブロースタイリングローション、ヘア
スプレー、泡状スタイリング剤、ジエル状スタイリング剤、ヘアリキッド、ヘア
トニック、ヘアクリーム、パーマネントウエーブ第1剤、パーマネントウェーブ
第2剤、永久染毛剤、一時染毛剤等が含まれる。 【0021】 また、この毛髪化粧料の剤型としても、その用途に応じて、水溶液、エタノー
ル溶液、エマルジョン溶液、エマルジョン、サスペンジョン、ゲル、液晶、固形
、エアゾール等の各種形態から適宜選択することができる。 【0022】 本発明毛髪化粧料中には、上記した必須成分としての毛髪粉末卵黄抗体のほか
、種々の公知の毛髪化粧料用の公知成分を配合することができる。このような公
知成分としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫
酸塩、オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、アミノ酸系界面活
性剤、リン酸エステル系界面活性剤、スルホコハク酸エステル系界面活性剤等の
アニオン界面活性剤;スルホン酸型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、アルキ
ルアミンオキサイド、イミダゾリン型界面活性剤等の両性界面活性剤;ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
アルカノールアミド及びそのアルキレンオキサイド付加物、多価アルコールと脂
肪酸とのエステル類ソルビダン脂肪酸エステル類、アルキルサッカライド系界面
活性剤等の非イオン界面活性剤;モノまたは、ジ直鎖長鎖アルキル第4級アンモ
ニウム塩やモノ又は、ジ分岐型直鎖長鎖アルキル第4級アンモニウム塩等のカチ オン界面活性剤などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組みわ合せ、各種
毛髪化粧料の性能に合せて用いることができる。 【0023】 特に、本発明毛髪料がシャンプーである場合には、皮膚や毛髪に対する刺激性
を考慮して、上記の界面活性剤の中でもアミノ酸系界面活性剤、リン酸エステル
系界面活性剤、スルホコハクエステル系界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤
、アルキルサッカライド系界面活性剤等を併用することが好ましい。 【0024】 本発明の毛髪化粧料にこれらの界面活性剤を配合する場合の配合量は、0.0
1〜40.0%程度、特に05〜20.0%程度とすることが好ましい。 【0025】 また、本発明毛髪化粧料には毛髪や皮膚の感触を向上させるために、カチオン
化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル
4級アンモニウム塩/アクリルアミド非混合物、4級化ポリビニルピロリドン誘
導体、ポリグリコールポリアミン縮合物等のカチオン性ポリマーの1種又は2種
以上を配合することもできる。 【0026】 これらカチオン性ポリマーの好ましい具体例としては、分子量約100,00
0〜3,000,000のカチオン化セルロース、カチオン化度約0.01〜1の
カチオン化澱粉、カチオン化度約0.01〜1のカチオン化グアーガム(メイホ
ール社製、ジャグァー等)、分子量約30,000〜2,000,000のジアリ
ル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、分子量約10,000〜2,0
00,000でビニル重合体中のカチオン性窒素含有量が1.8〜2.4%である
ポリビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレーと共重合体4級化物
等の4級化ポリビニルピロリドン誘導体、炭素数6〜20のアルキル基を有する
ポリグリコールポリアミン縮合物、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロ
ピルジエチレントリアミン共重合体(サンドス社製、カルタレチン等)の他、特
開昭53−139734号公報、特開昭60−36407号公報に記載のカチオ
ン性ポリマーが挙げられる。 【0027】 これらカチオン性ポリマーを本発明の毛髪化粧料に配合する場合の配合量は、
0.05〜20.0%程度、特に0.1〜10.0%程度とすることが好ましい。 【0028】 更に、本発明の毛髪化粧料には、毛髪や皮膚の感触を向上させるために、ジメ
チルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコン、ア
ルコール変性シリコン、脂肪族アルコール変性シリコン、ポリエーテル変性シリ
コン、エポキシ変性シリコン、フッ素変性シリコン、環状シリコン、アルキル変
性シリコン等のシリコーン誘導体の1種又は2種以上を配合することができる。 かかるシリコーン誘導体では、それぞれ単体であっても、また特公昭56−3
8609号公報等に記載の方法に従って乳化重合されたラテックス組成物であっ
てもよい。 【0029】 これらシリコーン誘導体のうち、ジメチルポリシロキサン(重合度500以上
)、ポリエーテル変性シリコン、アミノ変性シリコン、環状シリコン等が、毛髪
に対して良い感触を賦与することができるため、特に好ましい。 【0030】 本発明の毛髪化粧料にシリコーン誘導体を配合する場合、その配合料は0.0
1〜20.0%程度、特に0.05〜10.0%とすることが好ましい。 【0031】 更にまた、本発明化粧料には、毛髪化粧料で通常使用される他の成分、例えば
高級脂肪酸塩、アルキルアミンオキサイド、脂肪酸アルカノールアミド、スクワ
レン、ラノリン、α−モノイソステアリルグリセリルエーテル、コレステリルサ
ルフェート等の感触向上剤;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール
、例えば、特開昭64−9913号公報記載の次の一般式(I) 【化1】 [式中、R1は炭素数10〜26の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素
基を示し、R2は炭素数9〜25の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素
基を示し、Xは−(CH2)m−(ここで、mは2〜6の整数を意味する)を示す
]で表わされるアミド誘導体、例えば一般式(II) 【化2】 (式中、R3は水素原子又メチル基を示し、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示
す) で表わされるジアルキレングリコールモノアルキルエーテル等の保湿剤;メチル
セルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリオ
シキエチレングリコールジステアレート、エタノール等の粘度調整剤;パール化
剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;トリクロサン;トリクロロカルバ
ン等の殺菌剤;グリチルリチン酸カリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;
ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤;メチルバラベン、ブチルバ
ラベン等の防腐剤などを発明の効果を損なわない範囲において任意に添加するこ
とも可能である。 【0032】 本発明の毛髪化粧料は、通常の毛髪化粧料に用いられる公知の酸性若しくはア
ルカリ性薬剤により、そのpHを3〜10程度の範囲、特に4〜8に調整するこ
とが好ましい。 【0033】 【発明の効果】 本発明の毛髪粉末卵黄抗体を含有する毛髪化粧料は、乾燥状態においても髪に
しっとり感、柔軟性、平滑性、枝毛の防止・修復、艶等の優れたコンディショニ
ング効果を賦与することにより毛髪に良好な感触を賦与し、かつ、数度のシャン
プー後もその効果が失われない。 また、利用する抗体が卵黄抗体であるため、容易にかつ大量に調整することが
可能であり、しかも、補体の活性化作用を持たず、局所的炎症の心配もないとい
う利点も有する。 更に、パーマ等による損傷毛髪の粉末を抗原として得た卵黄抗体は、毛髪の損
傷部分に特異的に作用する。 従って本発明の毛髪化粧料は、毛髪の枝毛や切毛等の損傷防止、コンディショ
ニング効果等に優れたものとして広く利用することができる。 【0034】 【実施例】 次に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限
定されるものではない。 【0035】 参考例1 毛髪粉末抗原の調製: (1) 粗毛髪粉体の調製 健常毛又はパーマ処理毛を11M臭化リチウム水溶液に浸し、湯煎にて90℃
で90分間処理して膨潤させ、ゴム状に変成させる。ナイロン網にて処理毛髪か
ら余分な液を取り除き、予め冷却しておいた乳鉢中に移し、液体窒素にて凍結す
る。そして液体窒素を適宜補いながら凍結した状態で乳棒にて3時間粉砕 する。粉砕した毛髪を遠心管に移し、イオン交換水にて臭化リチウムを毛髪から
洗い出す。洗浄した毛髪粉体は遠心して集める。これを3回繰り返し、毛髪から
臭化リチウムを完全に洗い流し調製する。本処理により毛髪は100μm以下ま
で粉砕される。 【0036】 (2) 微細毛髪粉体の調製 上記(1)で得られた毛髪粉体は、このままでも抗原として使用できるが、抗
体価を上げるためにはこの粉体から更に微細な粉末を選別する。すなわち上記の
毛髪粉体を遠心管の中にてイオン交換水中で激しく振盪して分散し、その後1分
間静置する。この時大きな粉体は沈澱するが、微細な粉末は上清中に分散したま
まなので、この上清を採取する。残った沈澱からはさらに同様の操作を繰り返し
て微細粉末を含む上清を得る。そして遠心にて上清から微細粉末を集める。更に
微細にするために微細粉末を1重量%にて蒸留水中に分散し、フレンチプレスを
使って2000psiの圧力で3回粉砕する。微細粉末は凍結乾燥にて回収し、
調製する。本処理を経ると、毛髪は10μm以下にまで粉砕される。 【0037】 (3) 毛小皮粉体の調製 毛髪の構成組織である毛小皮の粉末は、まず毛髪を1cm以下に細断し、ヘキ
サンにて余分な皮脂を除去し、70%エタノールにて滅菌する。これとは別に坂
口フラスコに100mlのイオン交換水を加え、オートクレーブにて滅菌する。
これに70%エタノールで滅菌した直径約12mmのテフロン球20個、上述(
2)の滅菌毛髪2gと共に加える。これを150rpmで2日間振盪培養する。
その後、剥離した毛小皮で白濁したイオン交換水を回収し、凍結乾燥にて毛小皮
粉体を調製する。 【0038】 (4) 毛皮質粉体の調製 毛皮質(毛随も含む)の粉末は、ヴァンティアンで毛小皮を除去した毛髪を粉
砕することで得た。まず毛髪を36ppmの塩化ニッケル水溶液に25℃で10
秒間浸し、直ちにイオン交換水で濯ぐ。このニッケル処理毛髪を次亜鉛素酸 水溶液(塩素約5%の溶液を濃塩酸でpH6.5に調整)を用い、20℃で2分
間処理して毛小皮を酸素爆発で砕く。直ちに冷イオン交換水ですすぎ、20℃で
2分間、0.5%ビロ硫酸ナトリウム溶液(pH9.5)で処理して残存した塩素
を除去し、温イオン交換水中で毛小皮を擦り取る。その後、0.1N酢酸溶液に
1分間浸し、最後に冷イオン交換水で濯いで乾燥させ、脱毛小皮毛髪を得、更に
、この脱毛小皮毛髪を前記(1)で示した毛髪束凍結粉砕法と同様にして粉砕し
、毛皮質粉体を調製する。 【0039】 【0040】 試験例1 血清・卵黄の抗体価の測定: (1) 鶏の免疫 上記参考例1(2)〜(4)で得られた毛髪及び毛髪構成組成粉末を生理食塩水に分散
し、フロント完全アジュバントと1:1の容量割合で混合してW/O型エマルジ
ョンとした。得られたエマルジョンを2週間ごとに1mg/mlの割合で鶏に4
回筋肉注射し、過免疫した。免疫開始後、2週間ごとに採血し、遠心分離後、血
清を採取した。また、各週ごとに、試験中の鶏から産生された卵を集め、卵黄を
分離して蒸留水で1:1の容量割合で希釈し、卵黄2倍希釈液を得た。 【0041】 (2) 抗体価の測定方法 上記で得られた血清及び卵黄2倍希釈液中の抗体価を以下に示すELISA変
法で測定した。 すなわち、参考例1(2)〜(4)の毛髪及び毛髪構成組成粉末を、1.5%正常兎
血清含有PBS(PBS−NRS)に0.05%(w/v)で分散し、これを予
めPBS−NRSでブロッキングした96穴プレート(蛋白質低吸着性のメンブ
レンフィルターを底部にシールしたプレート、マルチスクリーン−GVフィルタ
ープレート、ミリポア社製)に各ウエル50μlずつ分注し、液を吸引廃棄した
。 【0042】 次に各プレートに50μlの前記血清又は卵黄の段階希釈液を加え、室温にて 1時間反応させた。反応後、プレートをPBS−T(0.05%Tween−2
0含有PBS)で3回洗浄し、次に二次抗体としてのビオチン化抗鶏lgG抗体
(ザイメット社、200倍希釈)を各ウェル50μlずつ加え、室温で30分間
反応させた。反応後、PBS−Tで3回洗浄し、さらにアジピン−ビオチン−ペ
ルオキシダーゼ複合体溶液(ベクター社)を各ウェルに50μlずつ加え、室温
で30分間反応させ、PBS−Tで3回洗浄した。 【0043】 次に各プレートに100μlのぺルオキシダーゼ発色液(ABTSキット、住
友ベークライト社製)を加え、室温で10分間反応させ、停止液にて反応を止め
、発色した液を回収して、各ウェルの吸光度(OD405)を測定した。抗体価は
OD405の値が0.8になるような血清および卵黄の希釈倍率を求め、免疫前の鶏
の血清及び卵黄の希釈倍率との比で示した。 【0044】 これを用いて該当実験の免疫過程における抗体価の推移を表1に示した。表に
示す様に、毛髪粉末及び毛髪構成組成粉末に対する抗体は血清よりも卵黄に効率
よく移行し、濃縮されることがわかった。 【0045】 【0046】 参考例2 鶏卵抗体の調製法: (1) 抗体を含有する卵黄蛋白質の調製 上記参考例1(1)〜(4)で得られた毛髪及び毛髪構成組成粉末を生理食塩
水に分散し、フロント完全アジュバントと混合して鶏に過免疫(1mg/ml、
筋肉注射×4回)し、その鶏が産生した卵より抗体を精製した。具体的には卵黄
1容量と1.5mg/ml濃度のλ−カラギーナン水溶液5容量を混合し、生じ
るリポタンパク質の凝集物を遠心分離により除去し、精製した。こうして得られ
た上清液は約80%の回収率で卵黄抗体を含む。 【0047】 (2) 精製毛髪粉末卵黄抗体の調製 上記(1)の上清液より硫酸ナトリウムを用いた分画析法で卵黄抗体の純晶を 得る。卵黄抗体は17%(W/V)硫酸ナトリウム塩析物として得られ、他の不
純物は遠心上清として除去される。 【0048】 実施例1 ヘアトリートメント組成物: 下記表2に示す組成のヘアトリートメント組成物を調製し、その性能評価試験
を行った。この結果も合せて表2に示す。 【0049】 (評価法) (1)今迄にコールドパーマを3回行ったことのある日本人女性の毛髪20g
(約15〜20cm)を束ね、通常のシャンプーで洗浄した。この毛髪に、各ヘ
アトリートメント組成物2gを均一に塗布し、次いで30秒間流水ですすぎ流し
た後、タオルドライを行ない、更にドライヤー乾燥を行なった。乾燥後の毛髪に
ついて、その柔軟性、油性感、しっとり感及び平滑性について下記の基準で評価
を行った。 【0050】 柔軟性; ◎:非常に柔らかい。 ○:柔らかい。 △:硬いとも、柔らかいともいえない。 ×:硬い。 【0051】 油性感; ◎:非常に少ない。 ○:少ない。 △:どちらともいえない。 ×:多い。 【0052】 艶; ◎:非常にある。 ○:ある。 △:どちらともいえない。 ×:ない。 【0053】 平滑性; ◎:非常にある。 ○:ある。 △:どちらともいえない。 ×:ない。 【0054】 (2)上記(1)と同様な処理を行った毛束で、一定回数ブラッシングした後
の枝毛発生度をブラッシング前と比較して下記の基準で評価した。 ◎:枝毛の増加が認められない。 ○:枝毛の増加がほとんど認められない。 △:枝毛の増加がやや認められる。 ×:枝毛の増加が多い。 【0055】 (組成及び結果) 【表2】 【0056】 実施例2 シャンプー組成物: 表3に示す組成のシャンプー組成物を調製し、その性能評価試験を行った。そ
の結果も表3に合せて示す。 【0057】 (評価法) (1)今までにコールドパーマを3回行ったことのある日本人女性の毛髪約20
g(約15〜20cm)を束ね、この毛髪に約40℃の温水を含ませた後、シャ
ンプー組成物1gをまんべんなく塗布して1分間泡立て、洗髪をおこなった。毛
髪を流水ですすぎ、乾燥後の毛髪について、その柔軟性、油性感、しっとり感及
び平滑性について評価を行った。尚、評価基準は実施例1(1)と同様とした。 【0058】 (2)上記(1)と同様な処理を行った毛髪で、1定回数ブラッシング下後の枝
毛発生度について、ブラッシング前と比較して評価を行った。評価結果は参考例
2(2)と同様とした。 【0059】 (組成及び結果) 【表3】 【0060】 実施例3 ヘアトリートメント: 実施例1において、参考例2(1)で得た毛髪粉末卵黄抗体(抗原;参考例1
(1)の粗毛髪粉体)に代え、参考例2(2)の方法に準じて精製した毛髪粉末
卵黄抗体(抗原;参考例1(2)の微細毛髪粉体、参考例1(3)の毛小皮
、参考例1(4)の毛皮質粉体を用い、トリートメント組成物を調製した。 これらのトリートメント組成物は、いずれも柔軟性、艶、平滑性等の優れたも
のであった。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 毛髪粉末を抗原として免疫した家禽の卵から得られる卵黄抗体
    を含有することを特徴とする毛髪化粧料。

Family

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