明 細 書
抗 H IV剤
技術分野
本発明は、 新規な抗 H I V (Human Immunodeficiency Virus) 剤に関するもの である。
背景技術
1983年以来、 H I Vは後天性免疫不全症候群 (AI DS : Acquired Immune Deficiency Syndrome ) 及びこれに関連する疾患の原因であることが解明されて きた。 HI Vは、 発見当初フランスの研究グループは LAV (Lymphoadenopathy Associated Virus) 、 米国の研究グループは H T L V— III (Human T - lyraphotropic Virus Type III ) 或いは ARV (AIDS- related Virus) と、 それ ぞれ別々に呼んでいたが、 1986年にこのウィルスの呼称を H I Vに統一すること が決定された。 WHOは、 2000年までに世界の A I DS患者は 1,000万人、 111¥感染者は4,00()万人に達すると予測している。 一方、 日本での A I DS患 者は 1991年 4月現在 378人、 感染者が 1, 656人と確実に増加している。
このように A I D Sは今や人類の大敵となりつつあるが、 未だに根本的な 治療方法は見つかっていない。 現在唯一認可されているのはアジドチミジン (AZT; 3'-azido-3'-deoxythyniidine) のみである (Mitsuya, H. et al.: (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82, 7096-7100) 。 AZTは著明な延命 効果が認められるなどその有効性が確認される反面、 副作用として頭痛や胃腸障 害の他、 著しい骨髄抑制作用が観察され、 長期間の投与には問題があるとされて いる (Richmann, D. D. et al.: (1987) New Bngl. J. Med., 317, 185-197) 。 又、 AZTは既に H I Vが感染した細胞に対しては全く無効であり、 A I DS関 連症候群の発症を予防することは可能でも、 感染後の治療には直接役には立たな いとされている。
A ZT以外にも核酸誘導体、 可溶性 CD 4など多くの抗 H I V剤が研究開発さ れており、 本発明に関連する文献としてポルフィ リン或いは化学修飾血漿蛋白質 が抗 H I V剤活性を有することを示したものが存在する。
浅中らはプロ トポルフィ リンが MT— 4/LAV感染系において、 抗 H I V活
性があることを示した (AIDS 3, 403-404 (1989) ) 。 しかしこれは所謂 H I Vの MT— 4細胞への吸着段階を阻害するもので、 デキストラン硫酸等の抗 H I V作 用と同様のものと考えられる。
Levereらは A Z T耐性 H I Vに対して、 A Z Tとヘム (Heme) を 1〜: LOjuM併 用すると H I Vの複製を著明に抑制することをヒト末稍血リンパ球及び H 9細胞 を用いて示した (Pro atl. Acad. Sci. U. S. A. 88, 1756-1759 (1991)) 。
角尾らはスクシニル化又はマレィル化した血漿蛋白質が抗 H I V活性を有する ことを示した (特開平 2— 2 7 5 8 2 4号) 。
£1上に記した物質の抗 H I V活性は、 いずれも H I Vの感染及び増殖を阻止す るもので H I V持続感染細胞を殺傷する作用はない。
従って、 本発明の目的は H I V感染細胞に対して殺傷する作用を有し、 A I D Sの予防及び治療に有用な抗 H I V剤を提供することにある。
そこで本発明者らは数多くのポルフィ リン類の化学修飾体を合成し、 H I V持 続感染細跑に射する殺傷作用及び正常細胞に対する安全性の両面からスクリ一二 ングした結果、 ボルフィ リン類をカルポジィミ ド類、 アルキレンジ了ミン類又は アルコール類で修飾したボルフィ リン誘導体、 あるいはポルフィ リン類又は当該 ポルフィ 卩ン誘導体と血疑蛋白質又は化学修飾血漿蛋白質との複合体が H I V持 続感染細胞に対する殺傷作用に優れ、 かつ正常細胞に对する安全性が高いことを 見出し、 本発明を完成した。
明の開示
本発明は次の (A) 及び (B)
(A) カルポジイ ミド類、 アルキレンジァミ ン類及びアルコール類より選ばれる 化合物で修飾されたポルフィ リン類
(B) 血漿蛋白質又は化学修飾血漿蛋白質とカルポジィ ミ ド類、 アルキレンジァ ミン類及び了ルコール類から選ばれる化合物で修飾されていてもよいポルフィ リ ン類との複合体
より選ばれるポルフィ リン誘導体の 1種又は 2種 上を有効成分とする抗 H I V 剤を提洪するものである。
これらのポルフィリン誘導体のうち、 次の (Α' ) 及び (Β' ) は、 文献未記
載の新規化合物である。 従って、 本発明は次のポルフィ リ ン誘導体 (Α' ) 及び (Β' ) を提供するものである。
(Α' ) カルポジィ ミ ド類又はアルキレンジァミン類で修飾されたポルフィ リン 類。
(Β' ) 血漿蛋白質又は化学修飾血漿蛋白質とカルボジィ ミ ド類又はアルキレン ジアミン類で修飾されていてもよいポルフィ リン類との複合体 (ただし、 血漿蛋 白質と未修飾ポルフィ リ ン類との複合体を除く) 。
図面の簡単な説明
図 1は EDC— Heminの一次元1 H— NMRを示す。
図 2は EDC— Hemin の二次元 NMR (H-H COSYスぺク トル) を示す。 図 3は EDC— Heminの二次元 NMR (H-H R 0 E S Yスペク トル) を示 す。
図 4は図 3の破線部分を拡大した図である。
図 5は E DC— Heminの推定化学構造式を示す。
図 6は 2 EDC-Heminの一次元1 H— NMRを示す。
図 7は 2 EDC— Heminの二次元 NMR (H-H COSYスペク トル) を示 す。
図 8は EDC— PP (A) の一次元1 H— NMRを示す。
図 9は EDC— PP (A) の二次元 NMR (H-H COSYスぺク トル) を 示す。
図 1 0は EDC— PP (B) の一次元1 H— NMRを示す。
図 1 1は EDC— PP (B) の二次元 NMR (H-H COSYスペク トル) を示す。
図 12は EDC— PP (A) のうちの主成分 (3/4) の化学構造式を示す。 図 13は EDC— PP (A) のうちの 1ノ4の成分及び EDC— PP (B) の 化学構造式を示す。
図 14は EDC— F e— MesoPの一次元1 H— NMRを示す。
図 1 5は EDC— F e— MesoPの二次元 NMR (H-H COSYスぺク ト ル) を示す。
図 16は CDC— Herain (A) の一次元1 H— NMRを示す。
図 17は CDC— Herain (A) の二次元 NMR (H-H COSYスぺクト ル) を示す。
図 18は CD C— Herain (B) の一次元1 H— NMRを示す。
図 19は CDC— Herain (B) の二次元 NMR (H— H COSYスぺクト
ル) を示す。
図 20は IDC— Heminの一次元1 H— NMRを示す。
図 21は I DC— Heminの二次元 NMR (H-H COSYスペク トル) を示 す。
図 22は DMEA— Heminの一次元1 H— NMRを示す。
図 23は DMEA— Heminの二次元 NMR (H-H COSYスぺク トル) を 示す。
図 24は PEG— Heminの一次元1 H— NMRを示す。
図 25は PEG— Heminの二次元 NMR (H-H COSYスペク トル) を示 す。
図 26は各サンプルの電気泳動図であり、左側は S—HS A— Hemin、 Heroin、
S— HS A— EDC— Herain、 EDC— Hemin、 S— H S A及び H S Aのセル口 ース了セテート膜電気泳動後の蛋白質染色前を示し、右側は蛋白質染色後を示す。
図 27は E DC— Heminのゲル瀘過の結果であり、左側は E D C— Herainのゲ ル濾過クロマトグラフィーを、右側はその溶出面分のスぺクトルを示す。
図 28は S— HS A— EDC— Heroinのゲル濾過の結果であり、 左側は S
-HS A-EDC-Heminのゲル濾過クロマトグラフィーを、右側はその溶出面 分のスぺク トルを示す。
図 29は各サンプルの電気淥勖図であり、 上側は S— H S A— P P、 S - HS A-EDC-PPv S-HS A-EDC-PP (A)、 S-HS A-EDC
-PP (B) 、 S-HS A. HSA及び EDC— PP (A) + (B) のセルロー ' スァセテート膜電気泳動後の蛋白質染色前を示し、下側は蛋白質染色後を示す。
図 30は MT— 4系細胞の HTL V— III B 感染系、 穽感染系細胞におけ る S— HS A— EDC— Hemin、 S— H S A— Hemin、 S— HSA、 Hemin及び
A Z Tの細胞障害抑制作用、 Ρ 2 4蛋白質産生抑制作用、 細胞毒性を示す。
図 3 1は E D C— Hemin と S—H S A— E D C— Hemin のマウスにおける毒性 試験での経日的体重変化を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明の抗 H I V剤の有効成分である (A) カルポジィ ミ ド類、 アルキレンジ アミン類及びアルコール類より選ばれる化合物で修飾されたポルフィ リン類 (以 下、 「ポルフィ リン誘導体 (A) 」 と略す) は、 カルボジィ ミ ド類、 アルキレン ジアミン類又はアルコール類をポルフィ リン類に反応させることにより製造され ポルフィ リンは、 4個のピロール環 (A~D) がメチン基一 C H = ( 5、 10、 15、 20) により結合閉環した化合物であり、 その側鎖 (2、 3、 7、 8、 12、 13、 17、 18) にメチル、 ェチル、 ビュル、 カルボキシェチルなどの基が置換すること により各種のポルフィ リンが生じる。 ポルフィ リンの特性は、 F e、 C u、 N i、 M g、 C oなどの種々の金属ィォンがピ口ール環の窒素原子と結合して金属ポル フィ リンを形成することである。
本発明に用いるポルフィ リン類は金属ポルフィ リンを包含し、 その側鎖に少な くとも 1個のカルボキシル基を有するものであるが、 そのうち、 少なくとも 1個 のカルボヰシェチル基を有するもの、 特に 13及び 17位に力ルボキシェチル基を有 するものが好ましい。 具体的には、 へミン (プロトヘムともいう) 、 プ トポル フィ リン、 メソボルフィ リン、 鉄メソボルフィ リン、 へマトボルフィ リン、 鉄へ マトポルフィ リン、 デューテロポルフィ リンなどのポルフィ リンや金属ポルフィ リン及びそれらのナトリウム塩ゃ塩酸塩の如き生理学的塩が挙げられる。 また、 3個のカルボキシル基を有するポルフィ リンとして銅クロロフィ リンナト リウム を挙げることができる。
—方、 カルボジィ ミ ド類としては、 カルポジィ ミ ド構造(Κ=Ν- ) を有するも のであれば特に制限されないが、 次の一般式 (1 ) で表わされるものが好ましい。
R^ ^N-R2 ( 1 )
〔式中、 R 1 及び R 2 は直鎖、 分岐鎖もしくは環状のアルキル基、 ジアルキルァ ミノアルキル基又はモルホリノアルキル基を示す〕
具体例としては、 : NT, N' ージシクロへキシルカルボジイミ ド (DCC) 、 1 一ェチル一3— (3—ジメチルアミノプ σピル) カルポジイ ミ ド (EDC;) 、 1 ーシク口へキシルー 3— ( 3—ジメチルァミノプロ ピル) 力ルポジィ ミ ド (CDC) 、 1一イソプロピル一 3— (3—ジメチルァミノプロピル) カルポジ イ ミ ド ( I DC) 、 1—シクロへキシルー 3 - (2—モルホリノェチル) カルボ ジィミド (CMC) 等が挙げられる。
また、 アルキレンジァミン類としては、 例えば次の一般式 (2) で表わされる ものが挙げられる。 (2)
〔式中、 R3、 R4、 RB及び R7 は永素原子又はアルキル基を示し、 R5 は氷 素原子、 了ルキル基又は- CO- X-R8 (ここで、 Xは酸素原子又は NHを示し、 R8 は氷素原子、 鎖钛もしくは環状アルキル基又はペンジル基を示す) で表わさ れる基を示し、 mは 1〜8の数を示す〕
また、 アルコール類としては、 1〜6個の水酸基を有するアルコールであれば 特に制限されないが、特にポリアルキレングリコール又はそのモノアルキルエー テルが好ましい。 具体的には平均分子量 400〜: 100000のポリエチレングリコール、 ポリプロピレングリコール又はそのモノメチルエーテル等が挙げられる。
ポルフィ リン類とカルポジィミ ド類との反応は、 例えば有機溶媒又は氷性アル 力リ溶液中、 ポルブイ リン類 1モルに対してカルポジィミ ド類 1〜: 10モルを使用 し、 室温乃至 6 O :の温度で数十分から数日間攪拌することにより行われる。 有 機溶媒としては、 ピリジン、 N, N—ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルスルホキ シドなどが、 永性アルカリ溶液としては、 NaOH溶液や硼酸塩溶液 (例えば 4硼酸 ナトリウム) が使用できる。 反応液の PHは酸性側ではポルフィ リン類とカルポジ ィミド類の複合体は活性化し、 カルボジィミド類由来の尿素誘導体と元のボルフ ィ リンとに加氷分解するので?〜 10が好適である。
ポルフィリン類とアルキレンジ了ミン類又はアルコール類との反応は、 通常の
エステル合成又はアミ ド合成の条件で行えばよく、 例えばジメチルホルムアミ ド 等の有機溶媒中、 D C C、 E D C等のカルポジィ ミ ド類を縮合剤として用い、 室 温で数十分〜数十時間攪拌すればよい。
反応終了後、 反応液を半透膜を用いて蒸留氷又は薄い緩衝液に対して透析し、 副産物の尿素誘導体、 未反応のカルポジィ ミ ド類、 アルキレンジアミン類、 アル コール類を取り除く。
透析後その内容物を液体クロマトグラフィー或いは液液クロマトグラフィ一に かけて精製分離してもよいが、 遠心力をかけて液液二相分離を促進する遠心液液 分配クロマトグラフィー (centr ifugal part ition chromatography; C P C ) は 工業的規模の試料の精製、 分取の前処理に良く利用されており、 本発明の実施に 好適に使用できる。
C P Cにかける場合の溶媒系は、 水一クロ αホルム系や水ーブタノ一ル系を用 い、 400ηηι の吸収のあった画分を集めて濃縮する。 C P Cのローターの回転数は 100〜1700rpm が適当である。 なお、 透析後の内容物を C P Cにかける前に凍結 乾燥して水分を除去するとその後のクロマトグラフィ一操作の負担が齄くなる。 斯く して得られるポルフィ リン誘導体 (A ) は、 原料ポルフィ リン類のカルボ キシル基がカルポジィ ミ ド類と反応して生成した活性エステル型中間体の 0—ァ シルイソ尿素が、 分子内転移により N—ァシル尿素となったもの、 又はカルボキ シル基と了ルキレンジアミン類のアミノ基又はアルコール類の永酸基とがアミ ド 結合又はエステル結合したものである。 ポルフィ リ ン誘導体 (A ) には、 原料ポ ルフィ リン類のカルボキシル基の数が複数であること、 カルポジィ ミ ド類の反応 部位が 2ケ所あること等から種々の構造異性体が存在するが、 本発明においては これらの異性体、 またこれらの異性体の混合物のいずれをも用いることができる。 更に、 ポルフィ リン誘導体 (A ) にはアミ ド結合の周りの回転異性体が存在する が、 本発明においてはこれらの異性体及びその混合物のいずれをも用いることが できる。
かかるポルフィ リン誘導体 (A ) の具体例としては、 例えば E D Cがへミンに 1個結合した化合物 (E D C— Hetnin と略記) 、 E D Cがへミンに 2個結合した 化合物 ( 2 E D C— Herai n と略記) 、 C D Cがへミ ンに 1個結合した化合物
(CDC-Herain と略記》 、 C D Cがへミンに 2個結合した化合物 (2 CDC— Heroinと略記) 、 I D Cがへミンに 1假結合した化合物 (IDC— Hemin と略 記) 、 I DCがへミンに 2値結合した化合物 (2 I DC-Heniin と略記) 、 N, N—ジメチルエチレンジァミ ンがへミ ンに 1個結合した化合物 (DME A— Heroinと略記) 、 DME Aがへミンに 2個結合した化合物 ( 2 DME A— Hemin と略記) 、 ポリエチレングリコールモノメチルエーテルがへミンに 1個結合した 化合物 (PEG— Heminと略記) 、 EDCがプロトポルフィ リンに 1個結合した 化合物 (EDC— PPと略記) 、 EDCがプロ トポルフィ リンに 2個結合した化 合物 (2EDC— PPと略記) 、 CDCがプロ トポルフィ リンに 1個結合した化 合物 (〇0〇ー??と赂記) 、 C DCがプ πトポルフィ リンに 2個結合した化合 物 (2 CDC—: PPと略記) 、 IDCがプロトポルフィ リンに 1侗結合した化合 物 (I DC— PPと略記) 、 I DCがプロトポルフィ リンに 2個結合した化合物
(210〇ー? と赂記) 、 N, N—ジメチルエチレンジァミンがプロ トポルフ ィ リンに 1假結合した化合物 (DMEA— PPと略記) 、 ポリエチレングリコー ルがプロ トポルフィ リンに 1個結合した化合物 (PEG— PPと略記) 、 EDC がメソポルフィ リン鉄に 1個結合した化合物 (EDC— F e— MesoPと略記) 、 I D Cがメソポルフィ リン鉄に 1個結合した化合物 ( I D C— F e— Meso Pと略 記) 、 EDCがへマトポルフィ リ ン鉄に 1個結合した化合物 (EDC— F e 一 HeraatoPと略記) 、 I DCがへマトポルフィ リ ン鉄に 1個結合した化合物
(I DC— F e— HematoPと略記) 等が挙げられる。
また、 本発明抗 HI V剤の有効成分である (B)血漿蛋白質又は化学修飾血漿 蛋白質とカルポジィ ミ ド類、 アルキレンジアミン類及びアルコール類から選ばれ る化合物で修飾されていてもよいポルフィ リン類との複合体 (以下、 ポルフィ リ ン誘導体 (B) と略す) は、 ポルフィ リン類又は前記ポルフィ リン誘導体 (A) に血漿蛋白質又は化学修飾血漿蛋白質を反応させることにより製造される。
ここで血漿蛋白質としてはヒト由来又はゥシ由来のものが好ましく、 特にヒト 血清アルブミン (HSA) 、 ヒト免疫グロプリン、 ヒト トランスフヱリン、 ヒ ト フイブリノ一ゲン及びゥシ血清了ルブミン等が好ましい。 また化学修飾血漿蛋白 質としては修飾後の側鎖の極性が (一) になるように前記血 蛋白質を無水コハ
ク酸ゃ無水マレイ ン酸でスクシニル化又はマレイル化したものが好ましい。 なお、 スクシニル化又はマレィル化血漿蛋白質は、 例えば特開平 2— 2 7 5 8 2 4号公 報記載の方法によって得ることができる。 なお、 スクシ二ル化ヒ ト血清アルブミ ンを S— HS A、 マレイル化ヒ ト血清アルブミンを M— HS Aと略記する。
ポルフィ リ ン類又はポルフィ リン誘導体 (A) と血漿蛋白質又は化学修飾血漿 蛋白質との反応は、 例えば次の如く して行われる。 まず、 前記のポルフィ リン類 又はポルフィ リ ン誘導体 (A) を有機溶媒、 例えばジメチルスルフォキシド (DMSO) 又は 0.01N NaOH水溶液に室温で溶解した後、 同容量の蒸留水を添 加して攪拌する (A液) 。 一方、 血漿蛋白質又は化学修飾血漿蛋白質を蒸留氷又 は弱アル力リ性水溶液に溶解する (B液) 。 ポルフィ リン類又はポルフィ リン誘 導体 (A) と、 血漿蛋白質又は化学修飾血漿蛋白質との反応重量比は、 ポルフィ リン類又はポルフィ リン誘導体 (A) :血漿蛋白質又は化学修飾血漿蛋白質が 1 : 1〜 200が好ましく、 より好ましい重量比としては 1 : 5〜 180、 特に好ま しくは 1: 10〜30である。
A液に B液を加えて室温で数時間反応させ、 塩酸で PHを中性にする。 反応液を 半透膜 (分子量カツ トオフ値 12K〜14K) を用いて、 4でで反応液の 100倍以上 の蒸留水 (数回交換する) に対して 2〜 3日間透析した後凍結乾燥し、 本発明の ポルフィ リン誘導体 (Β) を得る。
かく して得られるポルフィ リ ン誘導体 (Β) の具体例としては、 HS Α— EDC— Hemin、 S— H S A— E D C— Hemin、 S— H S A— 2 E D C— Hemin、 S— HS A— CDC— Hemin (A) 、 S -H S A -C D C -Heroin (B) 、 S- H S A— 2 C DC— Hemin、 S— H S A— I D C— Hemin 、 S— H S A— 2 I DC— Hemin、 S -H S A -DME A -Hemin、 S— HSA— 2 DMEA— Hemin、 S— HSA— PEG - Hemin、 S— H S A - E D C— P P、 S-HS A 一 2 EDC— PP、 S— HS A— CDC— PP、 S— H S A— 2 C D C— P P、 S - H S A - I DC - P P、 S— H S A - 2 I DC - P P、 S— H S A - DMEA - P P、 S— HS A— P EG— P P、 S -H S A-E DC-F e - MesoP、 S— H S A— I DC— F e— MesoP、 S -H S A-EDC-F e - HeraatoP、 S— H S A— F e— HematoP、 S— H S A— Hemin、 S—H S A
一: PP、 S— HS A— F e— MesoP、 S -H S A-F e -HematoP, M-HSA -EDC-Hemin、 M-H S A-C D C -Herain、 M-HSA- I DC-Hemin、 M-HS A-EDC-PP. M— H S A— C D C— P P、 M-HS A-I DC- PP等が挙げられる。
本発明抗 H I V剤の有効成分であるポルフィ リン誘導体 (A) 及び (B) に関 して、 後記実施例に示すように種々の薬理試験及び安全性試験の結果から次のこ とが明らかとなった。
(1) ポルフィ リン誘導体 (A) 及び (B) は、 白血病患者由来の癌細胞である MOLT— 4細胞を用いた H I V感染細胞など種々の H I V持続感染細胞を極め て強力に殺傷する作用を有する。 また、 これらのポルフィ リン誘導体 (A) 及び
(B) は H T L V— I持続感染株である M T— 4細胞に対する殺傷作用も認めら れる。 更に、 これらのポルフィ リン誘導体 (A) 及び (B) は H I Vの感染を受 けると細胞傷害効果により速やかに死滅する性質を有する H I V感染 MT— 4細 胞の細胞傷害を低濃度で強力に抑制する。 またウィルス感染の指標である P 24 gag蛋白質の産生を約 90%抑制しており、 更に実際のウィルス感染価を示 す TC I Ds。は A ZTと比較して同等乃至低い値を示している。 更に、 より in vivoに近い PBL細胞を用いた H I V感染系において感染阻害のみなら ず H I V感染細胞を殺傷する。 その際 H I Vの複製は伴わない。
(2) —方、 ポルフィ リン誘導体 (A) 及び (B) は正常細胞である PBLや線 維芽細胞に対する細胞毒性が少なく、 かつマゥスを用いた単回投与及び反復投与 毒性試験の結果 in vivoにおいても毒性が極めて弱いことが明らかとなった。
(3) ところで、 Herainやプロ トポルフィ リ ンのようなポルフィ リ ン類は、 H I Vの増殖抑制作甩はあるが、 H I V感染細胞に対する殺傷作用等はない。
以上のように、 本発明の抗 H I V剤は H I Vの感染と増殖に対する強い阻止作 用と、 HI V持続感染細胞に対する強力な殺傷作用とを有し、 且つ極めて毒性が 低いことから、 H I V感染の予防、 A I DS患者や A I DSK連症候群 (ARC) の治療に有効である。
本発明の抗 H I V剤は単独で投与することもできるが、 当該抗 H I V剤と 1種 又はそれ β上の薬学的に許容し得る担体及びその他の治療剤とを舍有する医薬製
剤として投与してもよい。
投与経路としては、 経口投与、 直腸内投与、 局所投与、 非経口投与 (皮下、 筋 肉内、 静脈内、 皮内注射) が可能であり、 それぞれの投与経路に適した剤型にす るために前記医薬用担体と本発明化合物とを混合して製剤化することができる。 このような製剤としては、 カプセル剤、 錠剤、 細粒又は顆粒剤、 乳剤、 水性溶液、 油性溶液、 懸濁液、 坐剤、 トローチ剤などが挙げられる。 製剤化に際しては、 公 知の担体、 酸化防止剤、 等張剤、 沈澱防止剤、 緩衝剤或いは静菌剤を用いて周知 慣用の方法で行うことができる。
投与量は投与経路、 患者の年齢、 症状等によって異なるが、 通常成人 1日当た り lmg〜: LO gであり、 これを 1回或いは何回かに分けて投与する。 この場合他の 抗 H I V剤と共に投与してもよい。
実施例
以下、 本発明を実施例により説明する。
製造例 1 ( E D C— Heminの合成)
( 1 ) E D C -Hemin の合成
Hemin30g (東京化成) 、 E D C 45g (同仁化学) を 0. 1M Na2B407 (pH9. 6) 3 i に溶解し、 室温で 30分間マグネチックスターラーを用いて攪拌した。 反応液をス ぺク トラム社の透析膜 (分子量カツ トオフ 12K〜14K ) を用いてイオン交換水に 対して 2日間透析した後に凍結乾燥し、 乾燥粉末 36. 52gを得た。 なお透析はホロ ファイバ一若しくは tangential f low systemを用いても行うことができる。
この乾燥粉末を C P Cにかけた。 即ち、 クロ口ホルム :メタノール:水 = 18 : 7:25の溶媒系を分液 一トを用いてよく攪拌し、 水層及びク口口ホルム層をそれ ぞれ単離した後、 クロ口ホルム層 216 m£及び永層 144 m£に前記乾燥粉末を溶解し、 C P Cカラムに注入した。 C P Cは氷層を固定相とし、 クロ口ホルム層を移動栢 とし、 流速 50 Z分、 ロータの回転数 400rpmで溶出を行った。 400nm の吸光度を モニターし、 3 ·βずつ分画した。 吸収のあった画分を集めてロータリーエバポレ 一ターを用いて減圧濃縮し、 シラップ 21. 41gを得た。
次に、 このシラップをフラクション蕃号 1の溶媒に溶解し、 200mm ø x 800mni のシリカゲルクロマトグラフィー (2kg)にかけた。 溶媒の組成は以下の通り。
フラクション蕃号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 クロ口;、ルム.. 9 8 7 6 6 6 6 6 6 6 5 メタノール ···· 1 2 3 4 4 4 4 4 4 4 5 酸 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 ο.ι ο.ι ο.ι o. i o.i o.i シリ力ゲルを蕃号 1の溶媒に懸濁しカラムに充塡した後シラップを全量載せた。 10 ·2づっ溶出液を集めた。 TLC (薄層クロマトグラフィー) に各フラクション をスポッ トし、 クロ口ホルム:メタノール:酢酸 =80: 40: 1 で展開した。 フラ クシヨン 6から 8までをロータ リ一エバポレータ一を用いて濃縮し、 E DC -Heroin を 4.88 得た。
また、 EDC— Hemin はシリカゲルクロマトグラフィーのみで精製が可能であ る。 すなわち、 反応後の凍結乾燥品 20 gをフラクション蕃号 1の溶媒に溶解し、 2ΟΟπιπι X800ratn のシリカゲルクロマトグラフィー (2 kg) にかけて、 溶媒の組 成を J¾下の通りにすることにより C P Cでの精製を行わずに E D C -Hemin を得 ることができる。
フラクション蕃号 1 2 3 4 5 6 7 8
クロ口ホルム.. 9 8 7 6 6 6 6 6
メタノール"" 1 2 3 4 4 4 4 4
齚 酸 0.1 0.1 0 0 0 0 0 0
フラクション 6から 8までをロータ リ一エバポレーターを用いて濃縮し、 E DC— Hemin 3.3gを得た。
また、 EDC-Hemin は C P Cのみでも精製が可能である。 すなわち、 面定栢 として氷飽和 IIーブタノ一ルを充塡し、 次いで移動栢として n—ブタノール飽和 アンモニア氷 (ρΗΙΟ.5) を流して 2層系を作る。 ロータ一の回転数は 1200rpmで 流速 5 Zminで行った。 粗試料 150mgを固定層 10.5m£に溶解し、 注入した。 移 動層を 1 £流し、 次いで n—ブタノ一ル飽和齚酸永 (PH3.5 ) を更に 1 £流し、 次いで反転溶出を行う。 2.5 m£ずつ分取し、 フラクション 15〜29をロータリーェ バポレーターを用いて濃縮し、 E DC— Hemin 12.6mを得た。
更に、 CP Cのみによる精製法の改良法として次の方法がある。
固定相として氷鉋和 n—ブタノールを充塡し、 次いで移動相として① T1ーブタ
ノール飽和アンモニア水 (PHIO.5) を充塡して 2層系を作った。 ローターの回転 数は 1700rpm で流速
で行った。 前記透析後の粗試料をロータリーエバ ポレーターで減圧濃縮後、 この濃縮液 6 m£ (固形分約 7 9 g/m£) に移動相① 9 と固定相 を加え攪拌して CP Cに注入した。 移動相①約 380 ? ^を流し、 次 いで移動相② IIーブタノール飽和酢酸水 (PH3.5) を約 630 ^流し更に移動相③ n ーブタノール飽和水約 380 ra£を流したあと固定相を流し反転溶出を行う。 この溶 出液を 3 ずつ分取し、 フラクション 7— 2 1をロータリーエバポレーターを用 いて濃縮し EDC— Hemin 56.6mgを得た。
EDC-Hemin の別の合成法を更に 下に示す。
Hemin 20 g (東京化成) , EDC30g (同仁化学) を 0.1M Na2B407 (PH9.6) 2 iに溶解し 40 :で 30分間マグネチックスターラを用いて攪拌した。 反応液を 15t に冷却し、 OMBGA MINISET (分子量力ッ トオフ 5 K, F I LTRO N社製) を用 いた Tangential flow Systemを用いてパイロジェンフリー水に对して透析した後 凍結乾燥し、 乾燥粉末約 20gを得た。 次にこの粉末をフラクション番号 1の溶媒 に溶解し 2OOmm0 x8O隱のシリカゲルクロマトグラフィー (2kg) にかけた。 溶 媒の組成は以下の通り。
フラクション蕃号 1 2 3 4 5 6 7 8 クロ口ホルム 9 8 7 6 6 6 6 6 メタノール 1 2 3 4 4 4 4 4 酢酸 0.1 0.1 0.1 0 0 0 0 0 シリ力ゲルを番号 1の溶媒に懸濁した力ラムに充塡した後シラヅプを全量載せ た。 TLCに各フラクションをスポヅ トし、 クロ口ホルム:メタノール:酢酸 = 8 0 : 4 0 : 1で展開した。 吸収のあった画分をロータリーエバポレーターを用 いて濃縮し、 E DC— Hemin を約 2 g得た。
(2) EDC-Hemin の構造
EDC-Hemin (^VH— NMRを測定した。 E DC— Hemin をピリジン一 d5 に溶解した後、 少量の SnCl2 を加えて Heme鉄を反磁性にして、 バリアン社製 Xレ 400あるいは UNITY-400 NMR装置により 400ΜΗζ — NMRを測定した。 内 部標準は TMSを用いた。 結果を図 1乃至図 4に示す。 図 1は EDC— Heroin の
一次元スぺク トル、 図 2は COS Yスぺク トル、 図 3は ROE SYスぺクトル、 図 4は図 3の破線部分を拡大したスぺク トルである。 図 2〜図 4を解析すること により、 図 1に示した E DC— Hemin スぺク トル中の主要なシグナルは、 £1下の ように帰属された。
-NHCHaCHa
(3. Uppra、 0.84ppra)
-CO-N— CH2CH2CH2N(CH3)2
(左から 3.75ppra、 2·05,、 3.13ppra、 2.73ppm)
^-CH2CH2C0QH
(4.35ppm. 3.43ppm)
^CH2CH2C0N-
(4.33ppm、 3.67ppm)
Heroin Wce-Wd
(10. lOppok 10.08ppm、 9, 75及び 9.80ppm、 9.通び
9.97ppm)
次に EDC— Hemin を £1下の方法でメチル化した。 即ち、 14.4mgの EDC -Hemin 誘導体を 836 i のジイ ソプロピルェチルァミ ン、 9.2 m£の蒸留氷、 206? ^の 95%ェチル了ルコール、 13.8m£の 1M重曹永溶液からなる混合溶媒に溶 解し室温で攪拌した。 これにトリメチルォキソニゥ厶テトラフルォロボレートを 5分間隔で、 690 mg、 620 mg、 506 mg加えて攪拌した。 10分後に蒸留氷 1, 200 id を加えてクロ口ホルムによりメチル化物を抽出した。 有機層を濃縮乾固後、 シリ 力ゲルカラムクロマトグラフィ一により精製した。 クロ口ホルム:メチルアルコ ール:酢酸 =50: 50: 1で溶出した画分を濃縮して1 H— NMRを測定したとこ ろ、 3.32 ppmに一 OCH3 に由来するメチル基 1個分のシグナルが観測された。
J¾上のことから上記で得られた EDC— Herain は、 EDCの N, N'—ジメチ ルァミノプロピルァミノ基部分が、 Hemin の 13又は 17のいずれか一方のカルボキ シェチル基のカルボキシル基とアミド結合した化合物の混合物であることが決定 された。 そしてこのうち、 Heroin の 17—カルボキシェチル基が修飾された E D C
-Hemin は、 図 5に示した構造を有する化合物であると推定される。 伹し、 この 化合物にはアミ ド結合の周りの回転異性体が存在する。
製造例 2 (2 EDC— Hemin の合成)
(1 ) 2 E DC -Hemin の合成
Hemin 5 g (東京化成) 、 EDC25g (同仁化学) をピリ ジン 180» ^に溶解し 60tで 13時間マグネチックスターラーを用いて攪拌した。 反応液を 500» ^の水中 に注ぎ 30分間攪拌後、 クロ口ホルムを用いて生成物を抽出した。 抽出液をロータ リ一エバポレータ一を用いて濃縮した。
この抽出濃縮液 1 gを CP Cにかけた。 即ち、 クロ口ホルム:メタノール:酢 酸:水 = 360:140:6:500 の溶媒系を分液ロートを用いてよく攪拌し、 1 J ^の氷層 及び lm£のクロ口ホルム層を単離し、 試料を溶解し、 C PCカラムに注入した。 C PCはクロ口ホルム層を移動相とし、 流速 分、 ロータの回転数 500rpmで 行った。 400nm の吸光度をモニターし、 lOmTTつ分取した。 吸収のあったフラク ション 41から 60をロータリ一エバポレーターを用いて濃縮し、 スぺク トラム社の 透析膜 (分子量力ッ トオフ値 1 2 K〜l 4 K) を用いて水に対して 2日間透析後 凍結乾燥し、 2 E DC— Hemin 19.5mgを得た。
(2) 2 EDC— Hemin の構造
製造例 1と同様にして 2 EDC— Hemin の1 H— NMRを測定した。 図 6に一 次元スぺク トルを図 7に CO SYスぺク トルを示す。 これらの解析により、 得ら れた化合物は Hemin の 13及び 17の両方のカルボキシェチル基のカルボキシル基に EDCがアミ ド結合した構造を有することがわかった。 なお、 2 EDC— Heroin には EDCにイ ミ ド基 (- N=C -) が 2個存在することから、 構造異性が 4種存在す るが、 得られた 2 E DC— Hemin はこれらの混合物であると推定される。
製造例 3 (EDC— P Pの合成)
(1 ) EDC— P Pの合成
P P 900mgを 0.1 Na2B407 水溶液 (PH9.6 ) 100 こ室温で溶解した後、 EDC 1, 850mgを粉末で加えた。 そのまま室温で 30分間攪拌した後、 スぺク トラ ム社の透析膜 (分子量カツ トオフ値 12·Κ〜14Κ) を用いて水に封して透析した。 その後凍結乾燥を行い、 970 nigの乾燥粉末を得た。
続いて C P Cを用いて精製を行った。 クロ口ホルム : メタノール :氷- 360:140:500 を用い、 試料を 3 J ^のク α口ホルム層に溶解しクロ口ホルム層を移 勖栢として、 流速は 5m£Z分、 ローターの回転数は 600rpmで、 400nm の吸光度を モニターし、 10 ずつ分面した。 吸収のあったフラクション No. 5〜45を分取し、 ロータリーエバポレータ一で濃縮した。
次に 25πππξέ x600mm のカラムにシリカゲル 100gを充塡し、 試料を添加した。 面 分は 500 m£ずつ分取した。 溶出液組成は £1下の通り。
ク Π Πホ Jレム メタノール 酢酸
1 50 0 0 5
2 48 0 2 0 5
3 46 0 40 5
4 44 0 6 0 5
5 42 0 8 0 5
6 40 0 1 0 0 5
7 350 1 50 5
8 3 0 0 20 0 5
薄層クロマトグラフィーにより得られた面分 6 ( A画分) 及び面分 7 (B 面分) を濃縮し凍結乾燥を行った。 A画分の EDC— PP (A) 260.1 mg及び B 面分の EDC— PP (B) 125.4 ragがそれぞれ得られた。
(2) EDC— PPの構造
EDC-PP (A) 及び EDC— PP (B) の1 H— NMRを図 8、 9、 10及 び 11に示す。 なお、 1H—; NTMRの測定条件は、 SnCl2を用いなかったこと以外 は EDC— Hemin の場合と同じである。
(a) EDC-PP (A)
H-H C〇SYスぺク トル (2次元) より、 EDCの Ν,Ν,一ジメチルァミノ プ Dピルアミノ基部分 (図 12) 又はェチルァミノ基部分 (図 13) が、 Herain のじ 一 13或いは C— 17の片方の力ルポキシェチル基の力ルボキシル基とァミ ド結合し た化合物である。 なお、 図 12と図 13の生成比は1 H—NMRの積分比より約 3 : 1である。
(b) EDC-P P (B)
EDC-P P (A) と同様に構造解析を行ったところ、 EDC— P P (B) は 図 13の構造を有する。 但し、 EDC— P P (A) に含まれる図 13と EDC— PP (B) とは TLC上での R f 値が異なり、 EDC— ureaの NH— CO結合の回り の cis- trans異性体であると考えられる。
製造例 4 (EDC— F e— MesoPの合成)
( 1 ) F e—メ ソボルフィ リ ンの合成
メソポルフィ リン 300 mg (Porphyrin products社) を酢酸 150 m£とピリジン 3 m£に溶解し、 これにピリジン 4.5 m£に溶解した PeCl3 · 6H20 (関東化学) 37.5mg をゆつくり滴下して加え、 90 :、 5日間マグネチックスターラーを用いて攪拌し た。 その後 TLC (薄層クロマトグラフィー) で反応生成物を確認し、 酢酸ェチ ル 750 m£中に注ぎ、 10%塩酸、 25%食塩水とイオン交換水でそれぞれ 2回ずつ洗 浄した後、 ータリーエバポレーターを用いて濃縮して 188.9 mgの固形物を得た。 次にこれを 2 のクロロホルムに溶解して 20mm ø x 300mm のシリカゲルカラムク 口マトグラフィー (40 g) にかけた。 ク口口ホルム 500 で溶出した後、 クロ口 ホルム :メタノール:酢酸 = 90:10:1 の組成のものを用いて溶出し、 ずつ分 取した。 TLCに各フラクションをスポッ トしてクロロホルム :メタノール:酢 酸 = 90:10:1 の組成の溶媒で展開した。 目的物の含まれるフラクションをロータ リ一エバポレーターを用いて濃縮して F e—メソポルフィ リン 101 mgを得た。
(2) EDC-F e— MesoPの合成
F e—メソポルフィ リ ン 80mg、 EDC 200mg (同仁化学) を 0.1M Na2B4Q7 ( H 9.6 ) 12? ^に溶解し、 室温で終夜マグネチックスターラ一を用いて攪拌した。 反 応液をスぺク トラム社の透析膜 (分子量カツ トオフ 3, 500 ) を用いてイオン交換 氷に対して 2日間透析した後に凍結乾燥し、 乾燥粉末 93. lmgを得た。
この乾燥粉末 93. lmgを展開溶媒に溶解し、 20mm 0X600匪 のシリカゲルカラム クロマトグラフィ一 (18g) にかけた。 展開溶媒はク口口ホルム :メタノール: 酢酸 = 90:10:1 の組成のものを用いた。 80m£ずつ溶出液を集め、 フラクション 9 から 15をロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、 透析後凍結乾燥し、 EDC 一 F e— MesoP 4.8mgを得た。
(3) EDC— F e— MesoPの構造
製造例 1と同様にして EDC— F e— MesoPの1 H— NMRを測定した。 図; に一次元スぺク トルを、 図 15に COSYスぺク トルを示す。 これらの解析により、 得られた化合物は F e— MesoPの C—13あるいは C一 17の片方の力ルポキシル基 に E D Cのジメチルァミノプロピルァミノ基部分がァミ ド結合した化合物の混合 物であることがわかった。
製造例 5 (CDC— Herainの合成)
(1) CDC-Heminの合成
Hemin 1 g (東京化成) 、 CDC 1.5g (関東化学) を 0.1M Na2B4Q7(pH9.6) 100 m£に溶解し、 室温で 30分間マグネチックスターラーを用いて攪拌した。 反応 液をスぺクトラ厶社の透析膜 (分子量カツ トオフ 12K〜14K) を用いてイオン交 換永に対して 2日間透析した後に凍結乾燥し、 乾煶粉末 2.82gを得た。
この乾燥粉末 770 mgをクロロホルム:メタノール:酢酸 =96 : 4 : 1の溶媒に 溶解し 25rara$5 xSOOmraのシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100g) にかけた。 溶媒はク 口ホルム:メタノール:齚酸 =96:4:1から 68:32:1の組成のものを用 いた。 200 ずつ溶出液を集め、 フラクション 6から 8を A画分、 フラクション 12がら 13を B画分としてロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、 透析後凍結 乾燥し、 CDC— Heroin (A) 55.2mg及び C D C— Hemin (B) を 4.1 mg得た。
(2) CDC-Heminの構造
製造例 1と同様にして CDC— Hemin (A) 及び CDC— Herain (B) の 1H— NMRを測定した。
(a) CDC-Hemin (A)
—次元スペク トルを図 16に、 COS Yスペク トルを図 17に示す。 これらの解析 により、 得られた化合物は、 Herainの C一 13又は C—17の片方のカルボキシル基 に CDCの N, N—ジメチル了ミノプロピルアミノ基部分がアミ ド結合した化合 物の混合物であることがわかった。
(b) CDC-Herain (B)
—次元スペクトルを図 18に、 COSYスペク トルを図 19に示す。 これらの解析 により、 得られた化合物は、 Herainの C一 13又は C一 17の片方のカルボキシル基
に CDCのシクロへキシルァミノ基部分がァミ ド結合した化合物の混合物である しとがわかった。
製造例 6 ( I DC -Heroin の合成)
( 1 ) I DC-Hemin の合成
Heroin 1 g (東京化成) 、 I DC 1.4g (関東化学) 及び 3—ジメチル了ミノ — 1—プロパノール 210 ^ (東京化成) を N, N—ジメチルホルム了ミ ド 100 m£に溶解し、 室温で 6日間マグネチックスターラーを用いて攪拌した。 反応液を スぺク トラム社の透析膜 (分子量カツ トオフ 12K〜14K) を用いてイオン交換水 に対して 2日間透析した後に凍結乾燥し、 乾燥粉末 970 を得た。
この乾燥粉末 970 mgをクロロホルム :メタノール:酢酸 =95 : 5 : 1に溶解し、 25mm X 600mm のシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100g) にかけた。 溶媒 はクロ口ホルム :メタノール:酢酸 =95:5:1から 50:50:1 の組成のものを用いた。 100 m£ずつ溶出液を集め、 フラクション 35から 42をロータリーエバポレーターを 用いて濃縮し、 前記の条件で透析後凍結乾燥し、 I DC— Herain 30. lmgを得た。
(2) I DC-Hemin の構造
製造例 1と同様にして I DC— Hemin の1 H— NMRを測定した。 一次元スぺ ク トルを図 20に、 CO SYスぺク トルを図 21に示す。 これらの解析により、 得ら れた化合物は Hemin の C—13又は C—17の片方のカルボキシル基に I DCのジメ チルァミノプ ピルァミノ基部分がァミ ド結合した化合物の混合物であることが わかった
製造例 7 (DMEA— Hemin の合成)
( 1 ) DME A-Hemin の合成
Hemin 1 g (東京化成) 、 N, N—ジメチルエチレンジァミン 196 (東京 化成) 及び EDC 1 g (同仁化学) を DMF100 m£に溶解し、 室温で 90分間マ グネチックスターラーを用いて攪拌した。 反応液をスぺク トラム社の透析膜 (分 子量カツ トオフ 12 :〜 14K) を用いてイオン交換水に対して 2日間透析し、 乾燥 粉末 800 mgを得た。
この乾燥粉末 800 mgをクロ口ホルム:メタノール:酢酸 = 96 : 4 : 1に溶解し、 25隱 ø x 600mm のシリ力ゲルカラムクロマトグラフィー(100g) にかけた。 溶媒
はクロ口ホルム:メタノール:酢酸 =96:4:1から 50:50:1 の組成のものを用いた。 100 m£ずつ溶出液を集め、 フラクション 24から 32をロータリーエバポレーターを 用いて濃縮し、 前記の条件で透析後凍結乾燥し、 DMEA— Hemin 237.8 mgを得
/レ
(2) DMEA-Herainの構造
製造例 1と同様にして DMEA— Heminの1 H— NMRを測定した。 一次元ス ぺク トルを図 22に、 COSYスぺク トルを図 23に示す。 これらの解析により、 得 られた化合物は Heminの C—13又は C—17の片方のカルボキシル基に N, N—ジ メチルエチレンジァミンがアミ ド結合した化合物の混合物であることがわかつた。 製造例 8 (PEG— Heminの合成)
(1) PEG— Heminの合成
Hemin 1 g (東京化成) 、 ポリエチレングリコールメチルエーテル (丽 5, 000) 9.2g(Aldrich) 及び EDC 500mg (同仁化学) を DMF に溶解し、 室温で 3日間マグネチックスターラーを用いて攪拌した。 反応液をスぺクトラ厶社の透 析膜 (分子量カッ トオフ 12K〜14K) を用いてイオン交換永に対して 2日間透析 し、 乾燥粉末 9.32 gを得た。
この乾燥粉末 2 gを 25mm0x6OO闘 のシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(100g)にかけた。 溶媒はクロ口ホルム:メタノール:酢酸 =16:4:1から 50:50:1 の組成のものを用いた。 200 m£ずつ溶出液を集め、 フラクション 6から 8をロー タリーエバポレーターを用いて濃縮し、 前記の条件で透析後凍結乾燥し、 PEG —Hemin 46.4mg¾¾た 0
(2) PEG— Heminの構造
製造例 1と同様にして PEG— Heroinの1 H— NMRを測定した。 一次元スぺ ク トルを図 24に、 COSYスぺク トルを図 25に示す。 これらの解析により、 得ら れた化合物は Herainの C一 13又は C— 17の片方のカルボキシル基にポリエチレン グリコ一ルメチルエーテルがエステル結合した化合物の混合物であることがわか つん。
製造例 9 (C DC—鋦ク πロフィ リン (B) の合成)
鋦クロロフィ リ ン 1 g (関東化学) 、 EDC 1.5g (同仁化学) を 0.1
Na2B407 (pH9.6) 100m£に溶解し、 室温で 3日間マグネチックスターラーを用いて 攪拌した。 反応液をスぺク トラム社の透析膜 (分子量カツ トオフ 1 2〜 1 4 K) を用いてィォン交換水に对して 2日間透析した後に凍結乾燥し、 乾燥粉末 1.13 g を得た。
この乾燥粉末 1.13 gをクロ口ホルムに溶解し、 25园 0 x 600mm のシリカゲル力 ラムクロマトグラフィー (100g) にかけた。 溶媒はクロ口ホルム :メタノール: 酢酸 = 100:0:1 から 60:40:1 の組成のものを用いた。 200 づっ溶出液を集め、 フラクション 13から 14を B画分として口ータリ一エバポレータ一を用いて濃縮し、 前述の条件で透析後凍結乾燥し、 EDC—銅クロロフィ リ ン (B) を 67.3mg得た。 生成物は展開溶媒クロ口ホルム:メタノール:酢酸 = 80:40:1 の組成のものを用 いた薄層シリカゲルクロマトグラフィー(Merck) を行った場合、 Rf値は 0.5 とな つ /し ο
製造例 1 0 (S— HS A— Hemin の合成)
Hem in粉末 30mgを 12.5m£の 0. IN NaOHに溶解し、 室温で 5分間攪拌した。 次に 12. の蒸留水を加え、 室温で更に 5分間攪拌後、 酢酸で PH9.6 に調整した (A 液とする) 。 一方、 0.05N NaOH溶液を酢酸で PH9.6 に調整した溶液 20m£に S -HS A450 mgを溶解した (B液とする) 。 A液に B液を加えて室温で 2時間攪 拌した後、 10mMの燐酸緩衝液 (PH7.3) に対して 2日間 (4 ^ x 2) 4で下で透析
(分子量カツ 卜オフ値 12K~14K) を行い、 S—HSA— Hemin 470 mgを得た。 製造例 1 1 (S— HS A— EDC— Heminの合成)
( 1) E DC— Hemin粉末 870 mgを 0.1N 又は 0.01N NaOH 87 m2に溶解し、 室温 で 20分間攪拌した。 次に蒸留氷 872 m£を加え、 室温で 5分間攪拌した後に、 酢酸 370 を加ぇて 11を9.6 に調整した ( A液とする) 。 又、 0.05N NaDHを酢酸で PH9.6 にした溶液 426 に S— HS A13,050mgを溶解した (B液とする) 。 A液 に B液を加えて室温で 2時間攪拌した後、 蒸留水に対して 3日間 0_g x 3) 4 t下で透析 (分子量カツ トオフ値 12K〜UK) を行い、 次いで凍結乾燥を行って S-HS A-EDC-Hemin の粉末を得た。
(2) 4で条件下において、 E D C -Hemin 粉末 5 gを 50mMクェン酸ナト リウム (pH3) 2.5 ·δに加え遮光条件下で 1時簡攪拌した (Α液とする) 。 又、 4で条
伴下において、 S—HS A75gを 50ιπίί NaHC03 5 ^に溶解した (B液とする) 。 4 条 下で A液を攪拌しながら B液を 5 Zrairiの割合で添加して、遮光条 件下で 2時間攪拌した後、 蒸留氷に封して、 透析 (分子量カツ トオフ値 12K 〜: L4K) 4 、 暗室下で行い、次いで凍結乾燥を行って、 S— HSA— EDC— Heroinの粉末を得た。
S-HS A-Herain及び S— H S A— E D C— Heminの同定
1. セルロースアセテート膜電気泳動
セル τα—スァセテ一ト膜に 1 ju £のサンプル (S— HS A— Heroin、 Heroin、 S— HS A— EDC— Hemin、 E DC-Heroin . S— HSA及び HSA) をのせ、 0.06Mバルピタール緩衝液 (PH8.6) を用いて 8 mAの電流を流してセルロースァセ テ—ト膜電気泳 ¾を行った。
結果を図 26に示す。左側が蛋白質染色前の図で Hemin由来の黒褐色のバンドを 示す。 右側がポンソ一 3 R染色液 (ボンソー 3 R 600mg、 トリクロロ酢酸 6gを 永で 100 とする) を用いて蛋白質染色を行った後のピンク色のバンドを示す。 雨方の図を比較することにより、 S— HS A— EDC— Hemin及び S— HSA— Heroin については Hemin由来のバンドと蛋白質由来のバンドが一致していること が明らかで、 S— HS A— EDC— Hemin及び S— H S A— Herainが複合体のま ま泳動していることが示される。
2. ゲル濾過
試料を、 セファ ース CL6Bカラム (フアルマシア社製、 15rara0 X600ram ) にの せ、 0.
リウ厶緩衝液を 0. 分の流速で溶出し、 ス ぺクトルを測定した。 その結果を図 27及び 28に示す。
図 27の左側は E DC— Herainの 400議の吸光度でのクロマトグラフィーを示し たもので、 EDC— Hemin は 195分に溶出し、 この面分でのスぺクトルを示す右 図では Hemin由来の 400nraの吸収を示した。 図 28の左側は S— H S A— E D C— Heminの 280 の吸光度でのクロマトグラフィーで S—H S Aと同じく 160分に 溶出し、 この溶出面分のスぺク トルは蛋白質由来の 280nm及び Herain 由来の 400nmの雨方に吸収を示し、 このことより S— H S Aと E D C— Heroin とが複合 体を形成していることが明らかである。
製造例 1 2 (S— HS A— PPの合成)
PP粉末 30mgを 2m£の DMSO (シグマ社) に加えて、 室温で 2時間攪拌後 4 m£の蒸留水を加え更に室温で 1時間攪拌し A液とした。
—方 S— HSA450 mgを蒸留水 6m£に溶解 (PHが 5.28 になる) し、 B液とし
A液に B液を加え、 室温で 1時間攪拌後透析膜 (分子量カツ トオフ値 12K 〜: K) を用いて 4 tで lOraMの燐酸緩衝液 (PH7.3) に対して 2日間透析を行って S— HS A— P Pを得た。
製造例 1 3 (S— HS A— EDC— PPの合成)
EDC— PP粉末 30mgを DMSO (シグマ社) 2 m£に加えて室温で 2時間攪拌 後 4 m£の蒸留水を加え更に室温で 1時間攪拌し A液とした。
—方 S— HSA450 mgを蒸留水 6m£に溶解 (pHが 5.28 になる) し B液とした。
A液に B液を加え、 室温で 1時間攪拌後透析膜 (分子量カツ トオフ値 12K 〜14K) を用いて 4 :で ΙΟιπΜの燐酸緩衝液 (PH 7.3) に対して 2日間透析を行つ て S— HS A— EDC—PPを得た。
なお、 S— HSA— EDC— PP (Α) 及び S— H S A— E D C— Ρ Ρ (B) も同様の方法で合成することができる。
S - HSA - PP、 S - HSA - EDC - PP、 S - HSA— EDC—PP
(A) 及び S— HS A— EDC— PP (B) のセルロースアセテート膜電気泳動 による同定
セルロースアセテート膜に 1 ju 2のサンプル (S— HSA— PP、 S-HS A 一 EDC - PP、 S— HSA— EDC— PP (A) 、 S— HSA— EDC— PP
(B) 、 S—HSA— PP、 HSA及び EDC— PP (A) + (B) ) をのせ、 0.06Mバルピタール緩衝液 (PH8.6 ) を用いて 10mAの電流を流してセルロースァ セテート膜電気泳動を行つた。
結果を図 29に示す。 上側が蛋白質染色前の図で P P由来の黒褐色のバンドを示 す。 下側がポンソ一 3 R染色液 (ボンソー 3 R600 mg、 ト リ クロ口酢酸 6 gを水 で 100 m£とする) を用いて蛋白質染色を行った後のピンク色のバンドを示す。 雨 方の図を比較することにより、 S— HSA— PP、 S— HS A— EDC— PP、
S-HS A-EDC-PP (A) 及び S— H S A— E DC— P P (B) について は P P由来のバンドと蛋白質由来のバンドが一致していることが明らかで、 これ らが複合体のまま泳勖していることが示される。
製造例 14
製造例 10〜13に準じて S— HS Aと種々のポルフィ リ ン類を反応させ、 以 下の複合体を製造した。
HS A-EDC-Hemin
S-HS A-2 EDC-Hemin
S-HS A-EDC-F e- esoP
S-HS A-CDC-Hemin (A)
S— HSA— CDC— Heroin (B)
S-HS A-I DC-Hemin
S-HS A-DMEA-Herain
S-HS A-PEG-Hemin
S— HS A— EDC—銅クロロフィ リ ン (B)
試験例 1 殺傷効果
MOLT— 4の H I V持続感染細胞珠及び MOLT— 4を用いて試験物質の細 胞殺傷効果を調べた。
く試験物質〉
試験物質は下記の通りである。 AZT、 Hem in及び S—H S Aは参考として用 いた。
EDC-Hemin
EDC-PP
S— HSA— EDC— Heroin
S-HS A-EDC-PP
S-HS A-EDC-PP (A)
S-HS A-EDC-PP (B)
S-HS A-PP
AZT
Hemin
S -H S A
く方法 >
MOLT 4/HTL V-IIIB、 M〇 L T 4 ZA R V及び M〇 L T 4細胞株を それぞれ 96穴プレートに 4 XIO4 cell/well、 200 接種し、 各濃度の前記試 験物質を 20 ^添加した。 5%C02 存在下 37でで 3日間培養後 3〜 4倍に希釈 してト リパンブル一色素排除試験により生細胞数を数えた。 コント TP—ルとして 試験物質の代わりに PBSを 2θ »·δ添加した。 試験結果を表 1に示す。 数値はコ ント口一ルに对する生細胞数の百分率で示す。
表 1
試験例 殺傷効果及び細胞毒性
ヒト末梢血リンパ球及び MOLT— 4細胞を用いて試験物質の殺傷効果及び細 胞毒性を調べた。
<試験物質〉
S-HS A-EDC-Hemin
<方法>
(1) ヒ ト末梢血リンパ球
フイ コ ール(Ficol) により ヒ ト末梢血 リ ンパ球 (peripheral blood lymphocyte; PBL) を分離し、 一部を活性化し、 残りを活性化せずに用いた。 活性化 PBL (7 X 1 05 /r / l 0 m£) は I L一 2及びフィ 卜へマグルチニン (phytohaemagglutinin; PHA) 存在下で 25cm2 カルチャーフラスコ中で 4日間 培養し活性化した。 この活性化 P BLを 4 X 1 05 /r / l Om^こ調製し、 25cm2 カルチヤ一フラスコに入れた後 S— HS A— EDC— Herain の最終濃度が 所定の濃度に濃度になるように検体液 を投与し 24時間培養した後、 S— HS A-EDC-Hemin を除き、 更に 2日間培養して生細胞数をト リパンブルー 色素排除法により計測した。 非活性化 PBLは Ficol により分離した PBLを各 種濃度の S— HS A— EDC— Hemin存在下に 4日間培養し、 生細胞数を計測し
(2) MOLT— 4細胞
MOLT— 4 HTLV— III B 及び M〇 L T一 4に各濃度の S— H S A -EDC-Hemin を投与し 24時間培養した後、 S— H S A— E D C— Hemin を除 き、 更に 2日間培養し生細胞数を計測した。 結果を表 2に示す。
表 2
試験例 3 殺傷劲果及び細胞毒性
MOLT— 4ZHTLV— IIIB 細胞、 ヒト末梢血リンパ球 (PBL) 及びヒ ト線維芽細胞 (I MR— 90及び WI— 38) を用いて試験物質の殺傷劲果及び細胞 毒性を調べた。
ぐ試験物質 >
E DC— Heroin
2 EDC-Hemin
I D C— Hemin
HS A-EDC-Hemin
S-HS A- 2 EDC-Hemin
S-HS A-CDC-Herain (A)
S— HS A— CDC— Hemin (B)
S-HS A- I DC -Heroin
S-HS A-EDC-F e- esoP
S-HS A-DME A-Herain
S— HS A— PEG— Hemin
<方法〉 -
(1) !^!^し丁^^ !!丁 ー! 細胞
对数増殖期にある MOLT— 4/HTLV— IIIB細胞を 96ゥエル平底プレー トに 2 xl04 cellZwell (50 β ) 接種し、 各濃度の試験物質溶液を 50 / ^添加 した。 5 %C02 存在下、 3 7でで 3日間培養後、 生細胞数を MTTアツセィ法 により計測した。 すなわち、 各ゥエルに 7.5 mgMTT 〔3— (4, 5—ジメチル チアゾールー 2—ィル) 一2, 5—ジフヱニル一 2 H—テトラゾリゥ厶ブ πミ ド〕 Zm£リン酸緩衝液を 20# ゥエル加え、 5%C02 存在下 3 7 で 2時間 反応させた。 次いで、 150 のリシス溶液 〔1 0%Tr i t on X— 1 0 0 酸性イソプロパノール溶液〕 を加え、 十分にピぺ"ノティングし、 細胞を可溶化後 吸光度を測定した。
(2) ヒト末梢リンパ球 (PBL)
フィ トへマグルチニンの濃度を 3 Zm£とする以外は、 試験例 2とほぼ同様 の方法で行った。
(3) 線維芽細胞
对数増殖期にある線維芽細胞 (I MR— 90或いは WI—38) を 96ゥエルのマイ クロプレートに 1ゥエル当たり、 50^·β、 0.2X104 個接種し、 種々の濃度の 試験物質を 1ゥエル当たり 5θ <·β添加し、 5%C02 存在下 371:で培養を行った c 対照ゥエルには培養液を 50 /·β添加した。 培養液は RPMI— 1640 (日本氷産) にゥシ胎仔血清を 10%、 ぺニシリン 100 jug Zm£、 ストレプトマイシン 100 /g Zmg及び L—グルタ ミン 2mM (以上 G I BCO) を最終濃度となるように添加し たものを用いた。 培養開始日を D a y 0とし、 続いて 5日間培養後を D a y 5と して Da y 5における生細胞数を前記の MT T法により計測した。
得られた結果を表 3、 表 4及び表 5に示す。 なお、 生細胞数はコントロールを 100 とし、 それに対する生細胞数を%で示した。
表 3 正常細胞
試験物質 度 線維芽細胞株
(MS Zml) PBL
服- 90 WI-38
EDC-Hemin 2.4 43 79 37
1.2 0 65 73 50
0.6 30 72 80 62
0.3 78 87 58
2EDC-Hemin 125
50 0 96
25 0 87 >100 >100
12.5 57 >100 >100
6.3 93
IDC-Hemin 50 24 >100 >100
25 0 57 >100 >100
12.5 0 75
6.3 0 >100
3.2 65
4 正常細胞
0LT-4/
試験物質 濃 度 HTLV-I I IB 線維芽細胞株
( U E /ml) PBL
IMR-90 WI-38
HSA-BDC-Herain 200 0
100 0
50 2
25 66
S-HSA- 2BDC- Herain 500 59 70 48
400 0
250 >100 65 46 200 30
125 〉100 59 49 100 100
S-HSA-CDC-Hemin(A) 125 75 69
50 0 88
25 68
12. 5 79
S-HSA-C DC-Hem in {ti) 屬 U
100 33
50 61
25 69
S-HSA-IDC-Hemin 125 >100 >100
100 0 95
50 0 92
25 53 92
表 5
試験例 4 各種 H I V感染細胞殺傷効果
試験例 3 (1) と同様の方法を用いて H 9 ZMN細胞、 HelaZLAV細胞及び OM-1 0. 1 (HL— 6 OZL A V) 細胞に対する試験物質の殺傷効果を調ぺ た。 結果を表 6に示す。
表 6
H I V感染による MT— 4細胞の細胞障害及び H I V抗原産生に対する試験物 質の抑制効果を調べた。
く試験物質 >
S-HS A-EDC-Hemin
S— HS A— Heroin
S-HS A
Hemin
AZT
<方法>
HTLV- Iの持続感染株である MT— 4細胞は H I Vに対して感受性が髙く、 感染を受けると速やかに死滅する。 この性質を利用して MT— 4細胞に H I Vが
感染した MT— 4ZH I V細胞は抗 H I V剤のスクリ一二ングに用いられる。 MT— 4細胞 1.2xl07cellに、 H I V持続感染株 MO L T— 4 ZH T L Vの 培養上清から得られた HTL V— IIIB (107 ^1050ノ^)3.2??1£を2時間37<¾:で 感染させた後、 細胞を洗浄した。 次に 48穴のマイクロタイタープレートに細胞を 1 xl05cell/well、 1 m£接種した後試験物質を 100 ·β添加した。 ネガティブ コントロールとして、 ΜΤ— 4細胞 4.7xl06cellに、 MQLT— 4細胞を 3日 間培養した培養上清を 3.2 加え、 37でで 2時間培養した後、 前記と同様に細胞 を洗浄し、 1 xl05cell/well 、 1 m£を接種し試験物質の代わりに P B Sを 100 ju ^添加したものを用いた。
培養 4日後に上清について P 24 gag蛋白質を Abbott社製 E I Aキッ トに基づ きアツセィし、 生細胞数をトリパンブルー色素排除法により計測し、 更に実際の 感染性ウイルス量を示す TCID5。を算出した。
結果を図 30及び表 7に示す。
表 7
H I Vが感染したヒ ト末梢血リンパ球に対する試験物質の抗 H I V効果を調べ
<試験物質 >
S -H S A-Hemin
S-HS A-EDC-Hemin
<方法 >
内壁をへパリンで濡らした注射器で静脈採血後 Picol を用いて PBLを分雜す る。 この PBL細胞をゥシ胎仔血清を 20%添加した RPMI 1640 培地 (I L一 2舍 む) を 10m£入れた 25cm2 カルチヤ一フラスコに 7 xlOs 細胞 Zm ^こなるように接 種後 ΡΗΑ40 ί·δ ( lmg/ rd) を加えて 4日厨培養する。 4日後に細胞を洗浄し た後、 一部を H I V穽感染系、 残りを H I V感染系の P BL細胞として試験物質 の抗 H I V効果検定に使用する。 前記培地 5? ^を入れた 25cin2 カルチャーフラス コに PBL細胞を 2 X106 細胞になるように接種する。 次いで各種濃度の S -HS A-Hemin 或いは S— H S A— E D C— Hemin を 500 ^投与し、 5 %CD2 存在下 37tで培養し、 試験物質の各種濃度における細胞毒性を検定する。 —方、 感染系は PBL細胞に H I V持続感染秣 MOLT— 4ZHTLV— ΠΙΒ の培養上清から得られた HTLV— IIIB (107 TCIDS。 / m£)8 ^を入れ、 2時 藺培養後細胞を洗狰した後前記培地 5 m£を入れた 25cm2 カルチャーフラスコに 2 X106 細胞接種し、 前記と同様に各種濃度の S— HS A— Hemin 或いは S— HS A-EDC-Heminを投与し、 5 %C02 存在下 37 でで培養した。 3、 6、 9日で細胞数を算出し、 P 2 4産生量及び TCID50を算定する。 6日目の結果を 表 8に示す。
表 8
H I Vが感染したヒト末梢血リンパ球に对する試験物質の抗 H I V効果を調ぺ
<試験物質 >
S一 H S A-Hemin
S-HS A-EDC-Hemin
ぐ方法 >
内壁をへパリンで濡らした注射器で静脈採血後 Ficol を用いて PBLを分離す る。 この PB1細胞をゥシ胎仔血清を 20%添加した RPMI 1640 培地 ( I L— 2舍 む) を 10m£入れた 25cm2 カルチャーフラスコに 7 X 105 細胞 になるように接 種後 ΡΗΑ40 χ_β ( 1 mg/ mi) を加えて 2日間培養する。 2日後に細胞を洗浄し た後、 一部を H I V非感染系、 残りを H I V感染系の P B L細胞として試験物質 の抗 H I V劲果検定に使用する。 前記培地 5 を入れた 25cm2 カルチャーフラス コに P B L細胞を 2 X 106 細胞になるように接種する。 次いで S— H S A— EDC-Hemin を 500/i (終濃度 200Ug /rd) 投与し、 5 %C02 存在下 37*C で培養し、 細胞毒性を検定する。 一方、 感染系は PBL細胞 (2 X106 4.5 rd) に H I V持続感染株 MOLT— 4/HTLV— ΙΠΒ の培養上清から得られ た HTLV— ΠΙΒ (107 TCID5。 / m£)0.5m£を入れ、 2日間培養後細胞を洗浄 し、 ついで培地 5 m£を入れた 25cm2 カルチャーフラスコに 2 x 106 細胞接種し、 前記と同様に S— HS A— EDC— Hemin を投与し、 5 %C02 存在下 37 で培 養した。 4日後細胞数を算出し、 H I Vエンベロープタンパク質 gpl20 陽性細胞 数、 F ACSを用いた解析及び P 2 4産生量を算定する。
ぐ結果 >
表 9に示すように、 S— HS A— EDC— Hemin 投与群において、 非感染系及 び H I V感染系での 4日後の生存細胞数はそれぞれコントロール (非投与群) の 45%及び 32%であった。
—方、 感染系における gpl20 腸性細胞数は S— HS A— EDC— Hemin投与群 では試験開始日に比して 16%に著減しているのに対し、 コントロール群では 23倍 に増加していた。 以上の結果より、 S—HSA— EDC— Hemin は細胞毒性は認 められるものの、 H I V感染細胞に対し、 強力、 特異的かつ H I Vの産生を伴わ ない細胞殺傷作用を示した。
表 9
(1) Mo 1 t -4/C 8細胞と Mo 1 t-A/U 細胞の混合培養系にお ける試験物質の多梭巨細胞形成抑制効果を検討した。
对数増殖期にある Mo 1 t— 4ZC^ 8細胞を 96ゥヱル平底プレートに 2.5X 104 cell/well (25β £) 接種した。 同様に対数増殖期にある Μ ο 1 t一 4 /HTL-VIIIB 細胞を同じプレートに 0.5X104 cell/well (25u£) 接種 した。 次に種々の濃度の試験物質溶液を 50/ζ·β添加後 37で、 5%C02条件下で 培養した。 腸性対照のゥエルには試験物質溶液の代わりに培養液 50 を加えた c 陰性对照ゥエルには Mo 1 t -4/Ci 8»3 X104 cell/well (50 i ) と 試験物質溶液の代わりに培養液 50 JU^を加えた。 培養開始日を D a y 0とし、 続いて 3日間培養し、 D a y 3における多核巨細胞の形成妆態を顕微鏡で計測し た。 多核巨細胞の形成犹態は、 陰性対照を (一) 、 腸性对照を (+++++) とし、 6段階にスコア化して評価した。 結果を表 10に示す。
なお、 培養液の組成は次の通りである。
RPMI -1 640 (日氷) 、牛胎児血清 (濾過、 ^濃度 10%) 、 ぺニシリン 一ストレプトマイシン (ギブコ社製, ペニシリ ン終濃度 100unitsZm£+ストレプ
トマイ シン終濃度 lOO igZrai) L—グルタ ミ ン (ギブコ社製, 終濃度 2 mM)
表 1 0
(2) Mo 1 t -4/C 8細胞感染系における試験物質の多核巨細胞形成およ び細胞障害に対する抑制効果を検討した。
対数増殖期にある Mo 1 t - 4/C i 8細胞を 96ゥエル平底プレートに 2 X104 cell/well (20 i ) 接種し、 Mo 1 t— 4 ZH T L V— IIIB の培養上 清 3 0 ^を加え、 次いで各種濃度の試験物質溶液 50 ^を加えて 37 :、 5 %C02 条件下で培養した。 陽性対照のゥエルには試験物質溶液の代わりに培養 液を 50 /·δ、 陰性対照には前記培養上清の代わりに培養液 30 χ·βを加えた。 培養 開始日を Da y 0とし、 続いて 4日間培養し多核巨細胞の形成状態を計測し、 生 細胞数を MTT法で計測した。 結果を表 11に示す。
表 1 1
上記 (1) 及ぴ (2) の結果より、 S— HS A— EDC— Herain および S— HS A— I DC—Hemin は、 混合培養系およびセルフリー (cell free) 系にお いて H I Vの吸着や感染を阻止する效果を有することが明らかとなった。
試験例 9 単回投与毒性試験
(1) 静脈内投与毒性試験
検体を生理食塩氷に蛋白質濃度 100 mg/ m£で溶解し (PH7.0 ) 、 0.22 m メン ブレンフィルターで無菌濾過した。 これを 5週令 + 5日の雄性 I C Rマウス (Charles River Japan, Inc.) の尾静脈より静脈內投与した。 各群 5匹に对 し 690、 830、 1, 000、 1, 200 及び L 440mg/kg の投与量を用いた。 投与日を 0 日とし、 2日、 4日、 7日、 10ョ及び 15日にそれぞれの体重を測定した。 対照と して検体を投与していないコント D—ル群 5匹を使用した。
(2) 腹腔内投与毒性試験
検体を生理食塩永に蛋白質濃度 100 mg/ ^で溶解し (PH 7.0) 、 0.22jum メ ン プレンフィルタ一で無菌濾過した。 これを 5週令 + 5日の雄性 I CRマウス (Charles River Japan, Inc.) の腹腔内に投与した。 投与日を 0日とし、 2日、
4日、 7日、 10日及び 15日にそれぞれの体重を測定した。
(3) 経口投与毒性試験
検体を注射用蒸留水に 50mg/ m£となるように懸濁し、 ゾンデを用いて 5群のマ ゥスに経口投与 (2, OQOmg/kg)した。
投与日を 0日とし、 2日、 4日、 7日、 10日及び 15日にそれぞれの体重を測定 以上の各毒性試験では投与後 15日目に全てのマゥスについて臓器の剖検を行つ D
結果を表 1 2及び図 31に示す。
表 1 2
表 12及び図 31の結果から明らかなように、 静脈内投与においては S— HS A -EDC-Hemin は 1, 200 mg/kg 1下で腹腔内投与においては 400 mg/kg以下で、 経口投与においては 2, 000 mg/kg以下で全く毒性を示さず、 体重推移にも異常は 認められなかった。 また、 S— HS A— I DC— Hemin は AOOmgZkg以下の静脈 内投与で死亡例は認められなかった。
又、 15日目に全てのマウスの臓器の剖検を行った結果、 静脈内投与及び経口投 与においては異常は認められなかったが、 S—HSA— EDC— Heminの腹腔内 投与においては、 腸管癒着、 肝腫大等が認められた。
試験例 10 反復投与毒性試験
S-HS A-EDC-Herain の 80、 200及び 500mgZkgZday の各用量 を、 I CR系雄性マウス (日本チヤ一ルス ' リバ—, 1群 15匹) に 2週間、 静 脤内に反復投与し、 その影響を観察した。
その結果、 投与開始後?〜 9日目に一過性の立毛、 自発運動の低下及び腹臥が 各用量群に散見されたが、 投与期間を通して全ての群で死亡例は認められなかつ
/ O
試験例 1〜10の結果からポルフィ リ ン誘導体 (A) 及び (B) は、 HIV感 染細胞を強力に殺傷する效果、 H I V感染阻止作用及び H I V増殖抑制作用を併 せ持ち、 且つ正常ヒトリンパ球に封する細胞毒性が極めて少なく、 かつ毒性が極 めて少ないことが明らかにされ、 従来にない作用機構を持つ新規な抗 H I V剤と して有用である。
産業上の利用可能性
優れた H I V感染細胞の殺傷作用、 H I V感染による細胞障害の抑制作用、 H I V複製の抑制作用を有し、 かつ安全性が高いので A I D Sの予防及び治療剤 として有用である。