JPWO2023058420A5 - - Google Patents

Download PDF

Info

Publication number
JPWO2023058420A5
JPWO2023058420A5 JP2023552776A JP2023552776A JPWO2023058420A5 JP WO2023058420 A5 JPWO2023058420 A5 JP WO2023058420A5 JP 2023552776 A JP2023552776 A JP 2023552776A JP 2023552776 A JP2023552776 A JP 2023552776A JP WO2023058420 A5 JPWO2023058420 A5 JP WO2023058420A5
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
winding
core
coil
tee
turn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023552776A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2023058420A1 (ja
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority claimed from PCT/JP2022/034300 external-priority patent/WO2023058420A1/ja
Publication of JPWO2023058420A1 publication Critical patent/JPWO2023058420A1/ja
Publication of JPWO2023058420A5 publication Critical patent/JPWO2023058420A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Description

本願は、回転電機の製造方に関するものである。
従来の回転電機の固定子は、プレス等で打ち抜かれた薄板状の珪素鋼板を複数枚積層して、カシメまたは溶接等により一体化した構造の積層鉄心が用いられる。そして、この積層鉄心を用いた固定子にコイルを高密度に巻くことで、回転電機の高効率化および大容量化、さらに小型化を図ることができる。このような固定子に巻線を高密度に巻く場合の作業性を向上させるため、固定子鉄心を複数個に分割化した分割鉄心が採用されている(例えば、特許文献1参照)。固定子をバックヨーク部とティース部を有する磁極片として、磁極片ごとに(つまり、ティース数=分割数)に完全に分割化した構造の分割鉄心が採用されている。そして、この分割鉄心のティース部にそれぞれ巻線を施した後、分割部に設けられた凹部と凸部を結合一体化して円環状に形成することで固定子を構成している。
特開2013-187942号公報
従来の回転電機の製造方法および回転電機において、コイルをデッドスペースに対して設置することが困難であり、コイルの密度の向上が困難であるという問題点があった。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、コイルの密度の向上が容易となる回転電機の製造方法および回転電機を提供することを目的とする。
本願に開示される回転電機の製造方法は、
環状のヨークコアと、
前記ヨークコアの径方向の内側に、周方向に間隔を隔てて突出する複数のティースコアと、
前記ティースコアと前記ヨークコアとの間のスロットに、前記ティースコアに対して巻線を巻回して周方向に複数層積層されたコイルを設置する固定子と、
前記固定子の径方向の内側に配置される回転子とを有する回転電機の製造方法において、
前記ヨークコアと、前記ティースコアとは分離して形成され、
前記ヨークコアが無い状態で前記ティースコアに対して前記巻線を集中巻きして前記コイルを形成する工程において、
前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置される場合であって、前記第2位置に前記巻線を巻回する際に、
前記第2位置に、前記巻線の位置決め治具を設置して前記巻線の巻回を行い、
前記位置決め治具は、前記第1位置の前記巻線および前記第2位置の前記巻線に接する面を有する突起部を備えるのである。
また、本願に開示される回転電機の製造方法は、
環状のヨークコアを有する固定子と、
固定子の径方向の内側に配置される回転子と、
前記回転子と前記ヨークコアとの間の磁極毎のスロットに、巻線が巻回されて周方向に複数層積層されたコイルがそれぞれ設置される回転電機の製造方法において、
前記コイルを形成する工程において、
前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置される場合であって、前記第2位置に前記巻線を巻回する際に、
前記第2位置に、前記巻線の位置決め治具を設置して前記巻線の巻回を行い、
前記位置決め治具は、前記第1位置の前記巻線および前記第2位置の前記巻線に接する面を有する突起部を備えるものである。
また、本願に開示される回転電機の製造方法は、
環状のヨークコアと、
前記ヨークコアの径方向の内側に、周方向に間隔を隔てて突出する複数のティースコアと、
前記ティースコアと前記ヨークコアとの間のスロットに、前記ティースコアに対して巻線を巻回して周方向に複数層積層されたコイルを設置する固定子と、
前記固定子の径方向の内側に配置される回転子とを有する回転電機の製造方法において、
前記ヨークコアと、前記ティースコアとは分離して形成され、
前記ヨークコアが無い状態で前記ティースコアに対して前記巻線を集中巻きして前記コイルを形成する工程において、
前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置される場合であって、前記第2位置に前記巻線を巻回する際に、
前記第2位置に、前記巻線の位置決め治具を設置して前記巻線の巻回を行い、
前記位置決め治具は、前記第1位置の前記巻線および前記第2位置の前記巻線に接する曲面を有する突起部を備えるものである。
本願に開示される回転電機の製造方法によれば、
コイルの密度の向上が容易である。
実施の形態1による回転電機の構成を示す断面図である。 図1に示した回転電機の固定子鉄心の構成を示す断面図である。 図2に示した固定子鉄心のヨークコアの構成を示す断面図である。 図2に示した固定子鉄心のティースコアの構成を示す断面図である。 図1に示した回転電機の固定子鉄心における巻線領域を説明する図である。 図1に示した回転電機の製造方法を説明する図である。 図1に示した回転電機の製造方法を説明する図である。 図1に示した回転電機の他の製造方法を説明する図である。 図1に示した回転電機の他の製造方法を説明する図である。 図1に示した回転電機の他の製造方法を説明する図である。 図11Aは、図1に示した回転電機の固定子鉄心の他のヨークコアの構成を示す平面図、図11Bは、図1に示した回転電機の固定子鉄心の他のヨークコアの構成を示す平面図である。 実施の形態1による他の回転電機の固定子鉄心の構成を示す断面図である。 図12に示した回転電機の固定子鉄心の一部の構成を示す断面図である。 実施の形態2による回転電機の製造方法を説明する図である。 実施の形態2による回転電機の製造方法を説明する図である。 実施の形態2の回転電機の構成を示す断面図である。 図17Aは、実施の形態2による回転電機の他の製造方法を説明する図、図17Bは、実施の形態2による回転電機の他の製造方法を説明する図である。 実施の形態2による回転電機の他の製造方法を説明する図である。 図19Aは、実施の形態2による他の回転電機の固定子の構成を示す断面図、図19Bは、図19Aに示した固定子の構成を示す側面図である。 実施の形態3の回転電機の構成を示す断面図である。 図20に示した回転電機の製造方法を説明する図である。 実施の形態3の他の回転電機の構成を示す断面図である。 図22に示した回転電機の製造方法を説明する図である。 実施の形態3の他の回転電機の構成を示す断面図である。 図24に示した回転電機の製造方法を説明する図である。 比較例1の固定子鉄心を説明する図である。 比較例2の巻線領域を説明する図である。 比較例3の巻線領域を説明する図である。 実施の形態4の回転電機の製造方法を示す断面図である。 実施の形態4の回転電機の製造方法を示す断面図である。 図30に示した回転電機の製造方法の一部を拡大して示した図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による回転電機の構成を示す断面図である。図2は、図1に示した回転電機の固定子鉄心の構成を示す断面図である。図3は、図2に示した固定子鉄心のヨークコアの構成を示す断面図である。図4は、図2に示した固定子鉄心のティースコアの構成を示す断面図である。図5は、図1に示した回転電機の固定子鉄心における巻線領域を説明する図である。図6および図7は、図1に示した回転電機の製造方法を説明する図である。図8から図10は、図1に示した回転電機の他の製造方法を説明する図である。
図11は、図11Aが図1に示した回転電機の固定子鉄心の他のヨークコアの構成を示す平面図、図11Bが図1に示した回転電機の固定子鉄心の他のヨークコアの構成を示す平面図である。図12は、実施の形態1による他の回転電機の固定子鉄心の構成を示す断面図である。図13は、図12に示した回転電機の固定子鉄心の一部の構成を示す断面図である。図26は、比較例1の固定子鉄心を説明する図である。図27は、比較例2の巻線領域を説明する図である。図28は、比較例3の巻線領域を説明する図である。
図1に示すように、回転電機100は、4極6スロット構造である。但し、回転電機100の極数およびスロット数は適宜増減可能である。また、回転電機100における各方向を、回転電機100の中心を中心点Qとし、当該中心点Qを中心として、X軸、Y軸として示す(図1のX軸、Y軸の交点が、中心点Qを示しているものとする)。また、回転電機100の周方向を周方向Zと示す。よって、固定子102および回転子101においても、これらの各方向は同一方向として説明する。また、他の部分においても、これらの方向を基準として各方向を示して説明する。また、当該内容は、以下の実施の形態(回転電機200)においても同様であるためその説明を適宜省略する。
回転電機100は、中心点Qを中心として径方向の内側に回転子101、径方向の外側に固定子102を有する。回転子101は、中心点Qを中心として回転する回転軸103を有し、その回転軸103の径方向の外側に回転子鉄心104が圧入または焼き嵌め等により固定されている。この回転子鉄心104は通常、電磁鋼板または薄板等が回転軸103の軸方向に複数枚積層したものが用いられている。
また、この回転子101はIPM(Interior Permanent Magnet)構造であり、回転子鉄心104に開けられた複数の穴、ここでは4個の穴に永久磁石105がそれぞれ挿入され構成される。なお、本実施の形態1は、4極であるため、径方向の外側の極が、周方向Zに交互と異なるように、回転子鉄心104に配置された4枚の永久磁石105を備える。回転子鉄心104の径方向の外側には、ギャップ挟んで固定子102が設置される。この固定子102は、固定子鉄心106とスロット1に配置されるコイル2とから構成される。なお、各図において、磁性体である固定子鉄心106に対して樹脂等の絶縁体を介して巻線を巻回してコイル2を形成することが一般的である。但し、本明細書においては当該絶縁体の図示を省略している。
図2に示すように、固定子鉄心106は、環状のヨークコア3と、ヨークコア3から中心点Qに対して垂直に突出する略逆T形状のティースコア4から構成される。ティースコア4はヨークコア3に対して周方向Zに間隔を隔てて6個形成される。各ティースコア4に巻線を巻回され、ティースコア4およびヨークコア3にて囲まれたスロット1にコイル2が設置される。コイル2はこのスロット1内において、ティースコア4に対して巻線を巻回して周方向Zに複数層積層される集中巻きにて構成される。なお、コイル2の複数層積層については、以下の回転電機の製造方法において詳細に説明する。
図2に示すように、固定子鉄心106は、ティースコア4とヨークコア3とが分割して形成される。ティースコア4およびヨークコア3はそれぞれ電磁鋼板または薄板等を回転軸103の軸方向(紙面垂直方向)に複数枚積層されたものが用いられる。但し、これ以外の構成として、例えば、圧粉鉄心の一体物にて構成される場合も考えられる。
図3に示すように、ヨークコア3は、中空円筒にて形成される。ヨークコア3の内周輪郭31、外周輪郭32はそれぞれ中心点Qを中心とする同心円である。外周輪郭32の一部に切り欠き部33を有している。切り欠き部33の形成位置は、ティースコア4が設置される箇所の径方向の外側に位置している。回転電機100において、ティースコア4に流れる磁束はヨークコア3に分散される。このため、ティースコア4の周方向Zの中央に該当する位置の径方向の外側に、ヨークコア3の切り欠き部33を形成しても磁束飽和を起こすことがなく、特性に影響を与えずに軽量化を図ることができる。
図4に示すように、ティースコア4は、回転子101に向かってすなわち回転電機100の径方向の内側に直線状に延びる胴体部41と、胴体部41の回転子101と対向する面側、すなわち回転電機100の周方向Zにそれぞれ突出する磁気吸引部42とを有する。
次に、回転電機100におけるデッドスペースDについて説明する。図2および図5に示すように、回転電機100の中心点Qを通り、1個のティースコア4の周方向Zの中心であってY軸に平行な直線を中心線Qqとする。そして、当該中心線Qqと直角をなすとともに、ティースコア4のスロット1のヨークコア3の内周輪郭31の周方向Zの両端の接点R11、R12と交差する面L(面Lは、ティースコア4に対してX軸に平行な面である。)と、スロット1のヨークコア3の内周輪郭31との間の領域である、“スロット1の一部領域”(図2において斜線にて示された箇所)が存在する。この“スロット1の一部領域”が”スロット1のデッドスペースD”に相当する。尚、デットスペースに関しては、以下の実施の形態においても同様であるためその説明は適宜省略する。
また、ヨークコア3を配置されるティースコア4の個数で、ヨークコア3を図5に示すように区切って考えると、当該区切られたヨークコア3の1個が有する角度を角度θ(角度θ=(360°/ティースコア4の数))である。この場合、ティースコア4の数が6個であるため角度θ=60°となる。
そして、実施の形態1においては、ヨークコア3とティースコア4とが分割して形成されているため、当該デッドスペースDにもコイル2が配置されている。当該コイル2の配置については、回転電機の製造方法について詳細を説明する。
次に、上記のように構成された実施の形態1の回転電機の製造方法について説明する。図6は、図1に示した回転電機の固定子のコイルの製造に用いられる巻線機6の構成を示す概略構成図である。図において、巻線機6は、ティースコア4を位置決めするための位置決め部8と、巻線を供給し巻回するためのフライヤ部9とを備える。フライヤ部9は、旋回軸91およびアーム部92を備える。旋回軸91は、巻線を供給しつつ、ティースコア4に巻線を巻回する。
アーム部92は、旋回軸91の軸端に取り付けられたものである、アーム部92は、旋回軸91の回転軸Q2を中心として矢印α方向に正逆転方向にそれぞれ旋回可能に設けられるとともに、整列巻きを行うために旋回動作と同期して旋回軸91が回転軸Q2の方向へスライドするように構成されている。そして、供給される巻線は、フライヤ部9のアーム部92からアーム部92の内部を通って先端部分921まで繋がっている。
位置決め部8は、位置決め治具Aと位置決め治具Bとを備える。位置決め治具Aで図示しないベースとティースコア4を挟むことで、ティースコア4をフライヤ部9に対して位置決めする。この際、ティースコア4とヨークコア3とが分割して形成されているため、巻線機6にはティースコア4のみが設置される。また、位置決め治具Bは回転軸Q2方向に可動可能に構成される。また、位置決め治具Aは固定されているが、ティースコア4中央に対して左右対称位置に位置決め治具Bが配置されている。
図6、図7では、コイル2の巻線の配置を丸印にて示しており、コイル2の巻線の丸印内に示した数字は巻線の巻かれる順序を示している。なお、以下の実施の形態においても、コイル2の巻線の丸印内に示した数字は巻線の巻かれる順序を示しているものであり、この説明は適宜省略する。
つまり、1はティースコア4に対して、最初のターンである1ターン目に巻かれることを示す。よって、1ターン目から22ターン目までにてコイル2が形成されている。そして、1ターン目は、デッドスペースDに巻回される。また、コイル2は周方向Zに複数層積層され構成されている。すなわち、ティースコア4に最も近い側のコイル2の1ターン目から4ターン目までが1層目であり、5ターン目から8ターン目までが2層目、9ターン目から12ターン目までが3層目、13ターン目から16ターン目までが4層目、17ターン目から20ターン目までが5層目、21ターン目から22ターン目までが6層目となる。なお、コイル2のターンおよび各層における考え方は以下の実施の形態においても同様であるためその説明は適宜省略する。
本実施の形態1のコイル2は6層に渡って巻線が巻回されている。図6では、ティースコア4の径方向の外側の1ターン目から巻き始め、4層目の最後のコイル2である16ターン目までを巻回している状態を示している。図7は、図6の次層以降の巻線の巻回の動作を示しており、5層目の最初のターンである17ターン目以降を巻回する際の図である。
実施の形態1では、図6および図7において、4層目をM層とすると、5層目がM+1層に相当する。そして、16ターン目が、M層(4層目)の径方向の外側のターンに相当する。また、17ターン目が、M+1層(5層目)の径方向の外側のターンに相当する。そして、図7から明らかなように、16ターン目の径方向の第1位置より、17ターン目の径方向の第2位置は、径方向の外側に形成される。
このように形成するために、少なくとも3層目の9ターン目を巻回した後であって、4層目の16ターン目の巻回が終わるまでに、ティースコア4の径方向の内側から径方向の外側に向かって巻線を移動させる。このとき、位置決め治具Bを図6の状態から、ティースコア4の径方向の内側(回転軸Q2の方向)の17ターン目の第2位置を位置決めするための箇所、図7の状態に移動させる。これにより、17ターン目を巻回する際に、巻線がティースコア4の径方向の外側に落下することが防止できる。
また、当該巻線の巻回する際には、ティースコア4にヨークコア3は設置されていないため、ヨークコア3と巻線との干渉を抑制でき、狙いの位置に対して直接巻線を配置できる。この状態のまま、残りの巻数、巻線を巻回することで、1個のティースコア4に対する巻線の巻回が完了し、コイル2が形成される。その後、位置決め治具A、Bを取り外す。これを必要な個数分のティースコア4に対して繰り返すことで、回転電機100に必要なコイル2が巻回されたティースコア4を確保できる。
また、上記に示した位置決め治具Bの移動は、図6に示したように、9ターン目を巻回した後であって、16ターン目の巻回が終わるまでに、ティースコア4の径方向の内側の位置に動作させればよい。つまり、図7に示すように位置決め治具Bが9ターン目と接する位置に設置されていれば、巻線と位置決め治具Bとの干渉を防止でき、巻線を任意の位置に配置することが容易である。その後、位置決め治具Bを巻線が巻回される方向(ティースコア4の径方向の内側)に移動させることで、16ターン目および17ターン目の巻線が径方向の外側に位置ずれ容易に防止できる。
このため、巻線の巻回によりコイル2が設置されたティースコア4をヨークコア3に一体化する際にも、コイル2とヨークコア3との干渉を防止でき、組み立てを容易に行うことができる。また、従来困難であったデッドスペースDへの高密度な巻線の設置が可能となる。これにより、回転電機の高効率化、高出力化、小型化に貢献できる。なお、図6および図7では、位置決め治具Bにティースコア4の径方向の内側に突出する突起部82を設けた。この突起部82を設けることで、16ターン目のコイル2が径方向の外側に移動することをより抑制でき、狙いの位置にコイル2を配置することが可能となる。
このように、ヨークコア3とティースコア4とを分割したことで、デッドスペースDに配置できるコイル2が増え、コイル2の高密度化に寄与する。さらに、位置決め治具Bを巻線の巻回の途中で移動させることで、従来巻回することが困難であった箇所、具体的には、図7のコイル2の17ターン目および22ターン目に対しても巻線を容易に配置できる。つまり、単にヨークコア3とティースコア4とを分割しただけでは、16ターン目までしか巻回できなかったが、位置決め治具Bにより、17ターン目から22ターン目を巻回できる。巻数としては10%程度向上できる。
また、本実施の形態1のように、デッドスペースDを有し、ティースコア4とヨークコア3とを分割して巻線の巻回を行う場合において、位置決め治具Bを配置することで、例えば図7の16ターン目よりも、径方向の外側の例えば図9の17ターン目を配置できるため、コイル2の巻き崩れを防止でき、コイル2の高密度化を図ることができる。
次に、本実施の形態1による回転電機の他の製造方法について説明する。図8は、本実施の形態1の回転電機の他の製造方法における巻線機の構成を示す図である。先に示した図7の巻線機6と、図8に示した巻線機6との異なる点は、位置決め治具Bの角部にテーパ部83を設け、突起部82をなくしコイル2と接触する面をフラット部84と構成した点である。
テーパ部83の役割は、巻線の導入のためである。このテーパ部83が存在することで、巻線の位置がわずかに径方向の外側に導入されたとしても、このテーパ部83によって狙いの位置に巻線を導入できる。また、フラット部84の役割は、17ターン目のコイル2が径方向の外側に落下することを防止できる。先の図7に示したような突起部82が存在しないことで、16ターン目のコイル2が径方向の外側に動きやすくなるものの、4層目の16ターン目は下層(3層目)の9ターン目と10ターン目の間に配置される構成であるため、コイル2を配置しやすい。また、位置決め治具Bの突起部82をなくすことで、形状が簡易化でき、位置決め治具Bを安価に製造でき、ひいては安価な回転電機を提供できる。
さらに、本実施の形態1による回転電機の他の製造方法について説明する。
図9は、本実施の形態1の回転電機の他の製造方法における巻線機の位置決め部8の構成を示す図、図10は、図9に示した位置決め部を用いた巻線機の構成を示す図である。図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。上記実施の形態1の場合では、図7および図8に示すように、位置決め治具A、Bと2種類のものを備える例を示したが、これに限られることはなく、図9および図10に示すように、位置決め治具A、B1、B2、B3と4種類のものが存在する場合について説明する。
つまり、位置決め治具Aは上記図7および図8の場合と同様に、固定である。そして、ティースコア4の周方向Zの中心として、位置決め治具B1、B2、B3が紙面上、左右に対称に配置され、それぞれが独立して回転軸Q2の方向に別々に可動できる。また左右の位置決め治具B1、B2、B3はそれぞれが同期して可動してもよいし、非同期であってもよい。これらの可動は、巻線の巻回において適宜設定されればよい。このように、可動する位置決め治具B1、B2、B3を複数配置することで、より細かく巻線の配置を決めることができ、17ターン目への配置も可能になる。
以上に示したように製造されたコイル2が設置された各ティースコア4を、ティースコア4ごとにヨークコア3の内周輪郭31に配置して固定子102を一体化する。ヨークコア3とティースコア4との結合方法としては、圧入または焼き嵌め、接着、樹脂による一体成形等がある。そして、各コイル2の端末線に対して、必要となる結線処理を施す。このようにして構成された固定子102の径方向の内側に、ギャップを介して回転子101を設置することで回転電機100を製造できる。
上記実施の形態1では、ヨークコア3が図3に示すように環状で分割されていない例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、図11Aに示すように、複数に分割された分割ヨークコア片30にて形成してもよい。この場合、複数の分割ヨークコア片30にそれぞれコイル2の形成されたティースコア4をそれぞれ設置し、各分割ヨークコア片30を環状に配置して固定子102を構成する。
また、他の例として、図11Bに示すように、薄肉部301を介して連結されているヨークコア300を用いてもよい。具体的には、薄肉部301を介して分割ヨークコア片30が6個(つまりティースコア4の数と同数)連結されており、1個のヨークコア300を構成している。巻線後、この場合、コイル2の形成されたティースコア4を所定の箇所に設置し、薄肉部301を径方向の内側に折り曲げることでヨークコア300を環状にして一体化することで固定子102を形成する。
図11のように構成すれば先に示した場合と比較して、材料の歩留まりを高めることができる。但し、ヨークコア3同士の結合部に微小な隙間が発生する懸念があり、この特性の影響が大きい回転電機の場合は、先に示したようなヨークコア3が環状に形成され分割されていない方が望ましい。
ここで、本実施の形態1の効果を比較例と比較して説明する。例えば、図26に示すような比較例1のように、コイルの密度を高めるために、スロット内のヨークコアの内周輪郭を削り、本願のデッドスペースDに対応するデッドスペースD1(図26において斜線にて示された箇所)を形成する。そして、当該デッドスペースD1にコイルを配置させようとすると、鉄心の周方向Zの端部が存在するため、巻線の巻回時に巻線がデッドスペースD1に入ることが阻害される。このため、コイルを任意の位置に配置することが困難となり、コイルの整列性が崩れコイルの密度を高めることができなかった。また、デッドスペースD1に対してコイルを配置できたとしても、デッドスペースD1ではないスロット部分に対してもコイルの整列性が崩れ、結果、コイルの密度の向上が困難になる。
また、例えば、図27に示すような、ヨークコアとティースコアとが一体化されたような鉄心の比較例2の場合、本願のデッドスペースDに対応するデッドスペースD2にコイルを配置させようとすると、当該デッドスペースD2とコイルとが干渉するため、任意の位置にコイルを配置することが困難であった。
また、デッドスペースD2があることで、コイルと鉄心が干渉しない部分(デッドスペースD2より径方向の内側のスロットの部分)に対して巻線を巻回したとしても、デッドスペースD2に巻線が入り込むため、整列巻きが困難となっていた。このため、比較例2では、鉄心もしくは絶縁体等でデッドスペースD2をなくし、整列巻きを実現していた。
しかし、ティースコアの数が少なく、または、ヨークコアの外周輪郭が小さくなると、スロットに対するデッドスペースD2の割合が大きくなる。このため、このデッドスペースD2にコイルを整列巻きするためには技術が必要となっていた。
図5は、実施の形態1における、巻線の巻回に使用できるスロット1の面積S(図5において斜線にて示された箇所)を示したものである。このスロット1の面積SはデッドスペースDの部分も含まれている。そして、図27に、比較例2の場合の巻線の巻回に使用できるスロットの面積S1(図27において斜線にて示された箇所)を示す。このスロットの面積S1にはデッドスペースD2が含まれていない。
このように、巻線が巻回できる、比較例2のスロットの面積S2と、実施の形態1のスロット1の面積Sとを比較すると、
面積S/面積S2=1.5となる。
つまり、本実施の形態1におけるデッドスペースDを、巻線の巻回できる箇所としてスロットの面積Sに含めることで、デッドスペースD2が巻回できない箇所としてのスロットの面積S2と比較すると、1.5倍の空間を有効に利用できる。このように実施の形態1では、ティースコア4とヨークコア3とを分割することで巻線の巻回できないデッドスペースDが低減し、巻線を直接巻回できるメリットを有する。そして、コイル2の高密度化および回転電機の高効率化、小型化に寄与できる。
また、例えば、図28に示すような、ヨークコアを角度θよりも小さな角度の箇所で、薄肉部を介して分割した比較例3の場合について説明する。この比較例3の場合、デッドスペースD3となるのは、ヨークコアの分割箇所より径方向の外側のスロットの部分である。よって、この比較例3の場合、巻線の巻回できるスロットの面積は面積S3である。このスロットの面積S3にはデッドスペースD3が含まれていない。
このように、巻線が巻回できる、比較例3のスロットの面積S3と、実施の形態1のスロット1の面積S1と比較すると、
面積S1/面積S3=1.06となる。
つまり、実施の形態1におけるデッドスペースDを、巻線の巻回できる箇所としてスロット1のデッドスペースDを含めることで、比較例3よりも1.06倍の空間を有効に利用できる。
このように実施の形態1では、ティースコア4とヨークコア3とを分割することで巻線の巻回できないデッドスペースDが低減し、巻線を直接巻回できるメリットを有する。そして、コイル2の高密度化および回転電機の高効率化、小型化に寄与できる。さらに、比較例2ではヨークコアの分割数が多いため、一体化したときに微小な隙間が発生してトルクが低下したり、分割されたヨークコアの部品数が多いため組み立てに時間を要するという課題もある。
当該各比較例と本実施の形態との違いは、以下の実施の形態においても同様であるため、その説明は適宜省略する。
次に、図12および図13を用いて、本実施の形態1の回転電機の他の固定子について説明する。図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。また、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に説明する。ここでは、固定子鉄心は1個のヨークコア3と12個のティースコア4から構成されている。ヨークコア3とティースコア4で囲まれた部分に巻線が配置されるスロット1を有する。コイル2はティースコア4に対して集中巻きにて形成される。そしてヨークコア3の内周輪郭31において、デッドスペースDがある。
上記実施の形態1では、図5に示すように、デッドスペースDの外周輪郭、すなわち、ヨークコア3の内周輪郭31と、ヨークコア3の外周輪郭32とが固定子鉄心106の同軸である円弧である場合を示した。図12および図13の場合は、全てが円弧ではなく、直線部311と円弧部312(図13参照)とから構成されている。このような場合においても、上記実施の形態1と同様に、巻線の巻回中に位置決め治具を移動して設置することで、デッドスペースDを有していても、上記実施の形態1と同様に、コイル2の整列性を悪化させないことが可能となる。
なお、本実施の形態ではコイル2と固定子鉄心106と間の絶縁に関しては、固定子鉄心106に電着塗装を用いた。このため、電着塗装をした後でも固定子鉄心106の形状はほぼ同じあるため、電着塗装に関しては形状を省略して示している。
上記のような実施の形態1の回転電機の製造方法によれば、
環状のヨークコアと、
前記ヨークコアの径方向の内側に、周方向に間隔を隔てて突出する複数のティースコアと、
前記ティースコアと前記ヨークコアとの間のスロットに、前記ティースコアに対して巻線を巻回して周方向に複数層積層されたコイルを設置する固定子と、
前記固定子の径方向の内側に配置される回転子とを有する回転電機の製造方法において、
前記ヨークコアと、前記ティースコアとは分離して形成され、
前記ヨークコアが無い状態で前記ティースコアに対して前記巻線を集中巻きして前記コイルを形成する工程において、
前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置される場合であって、前記第2位置に前記巻線を巻回する際に、
前記第2位置に、前記巻線の位置決め治具を設置して前記巻線の巻回を行うものであり、
さらに、上記のように構成された実施の形態1の回転電機によれば、
環状のヨークコアと、
前記ヨークコアの径方向の内側に、周方向に間隔を隔てて突出する複数のティースコアと、
前記ティースコアと前記ヨークコアとの間のスロットに、前記ティースコアに対して巻線を巻回して周方向に複数層積層されたコイルを設置する固定子と、
前記固定子の径方向の内側に配置される回転子とを有する回転電機において、
前記ヨークコアと、前記ティースコアとは分離して形成され、
前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置されるので、
コイルの密度の向上を容易に行うことができる。
また、上記のような実施の形態1の回転電機の製造方法によれば、
前記ティースコアの周方向の中心線と直角をなすとともに、当該ティースコアの前記スロットの前記ヨークコアの内周輪郭の周方向の両端と交差する面と、当該スロットの前記ヨークコアの前記内周輪郭との間を前記スロットのデッドスペースとすると、
前記デッドスペースに、前記コイルの1ターン目の前記巻線が巻回されるので、
さらに、上記のように構成された実施の形態1の回転電機によれば、
前記ティースコアの周方向の中心線と直角をなすとともに、当該ティースコアの前記スロットの前記ヨークコアの内周輪郭の周方向の両端と交差する面と、当該スロットの前記ヨークコアの前記内周輪郭との間を前記スロットのデッドスペースとすると、
前記デッドスペースに、前記コイルの1ターン目の前記巻線が配置されるので、
デッドスペースに対しても巻線を整列巻きにて設置でき、より回転電機の高出力化、高効率化、小型化に寄与できる。
実施の形態2.
図14および図15は、実施の形態2による回転電機の製造方法を説明する図である。図16は、実施の形態2の回転電機の構成を示す断面図である。図17および図18は、実施の形態2による回転電機の他の製造方法を説明する図である。図19の図19Aは、実施の形態2による他の回転電機の固定子の構成を示す断面図、図19Bは、図19Aに示した固定子の構成を示す側面図である。
図14および図15は、実施の形態2における回転電機の製造方法において用いられる巻線機6の構成を示す概略構成図である。図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。図15は、巻線機6で1相分のティースコア4、本実施の形態2では2個のティースコア4に対して連続巻回を実施した後の状態を示す。
位置決め部80は、各ティースコア43を固定する円盤状の保持具81を有し、この保持具81は、その周方向Zに沿って各ティースコア4を位置決めかつコイル2の位置を決めるための位置決め治具Aおよび位置決め治具Bがそれぞれに設けられる。さらに、巻線の巻き始め箇所を固定するための巻始線固定用のピン85が設けられている。そして、この保持具81は、回転中心Q3を中心に回転するように構成されている。
次に、実施の形態2における回転電機の製造方法について説明する。ここでは、図14に示すように、回転電機100の1相分(ここではV相)を構成する2個の各ティースコア4に巻線を巻回する方法について説明する。なお、説明の便宜上、2個のティースコア4を区別するために、ここではティースコア401、ティースコア402と区別として説明する場合もある。
まず、2個のティースコア401、402が互いに保持具81の回転中心Q3を挟む略点対称位置となるように配置した上で、保持具81の位置決め治具Aをティースコア401、402に加圧して固定する。そして2個のティースコア401、402の相互間の距離を広くする。そして、保持具81を回転してまず1つのティースコア401をフライヤ部9の正面位置に移動させる。
次に、フライヤ部9のアーム部92の先端から出ている巻線の端末部分を保持具81に設置されているピン85に固定した後、フライヤ部9を矢印α1に旋回するとともに、これに同期して旋回軸91を回転軸Q2の方向に沿ってスライドさせながらこのティースコア401に巻線を巻回する。その際、2個のティースコア4の内、巻線の巻回作業を行っていない他方のティースコア402が常にフライヤ部9の旋回先端の回転面Tよりも外側T1に位置するようにティースコア402の配置位置を設定して巻回作業を行う。
このようにすれば、一方のティースコア401に巻線の巻回を行っている際、他方のティースコア402にフライヤ部9が干渉することを確実に防止できる。そして、あらかじめ設定された巻数(上記実施の形態1と同様に、9ターン目以降であって、17ターン目を巻く前まで)まで巻回した後に、位置決め治具Bをあらかじめ設定された位置まで移動させる(図15)。そして、残りの巻線の巻回を行う。
こうすることで、17ターン目のコイル2が径方向の外側に脱落することを防止でき、本来巻くことが困難であったデッドスペースDにコイル2を配置できる。このためコイル2の密度を高めることができる。次に、保持具81を回転し、ティースコア402をフライヤ部9の正面位置(図14において、ティースコア401が設置されている箇所)に移動させる。このとき、先のティースコア401に巻き付けた巻線の巻き終わり部分を切断することなく、ティースコア402に至るだけの所定長さ分を渡り線20として確保した後、このティースコア402に対して、先のティースコア401と同じ方向に巻線を巻き付ける。
そして、あらかじめ設置された巻数(上記実施の形態1と同様に、9ターン目以降であって、17ターン目を巻く前まで)まで巻回した後に、位置決め治具Bをあらかじめ設置された位置まで移動させる(図15)。そして、残りの巻線の巻回を行う。こうすることで、各々のティースコア401、402に巻線を巻回した後、これらを保持具81から取り外す。そして、図2に示すように、2個1組のティースコア4が1つの相(V1とV2)となるように、両者がティースコア4の磁気吸引部42側を径方向の内側に向き合わせるようにし、円弧状となるように配設する。
このことで、V相に対応する2個のティースコア401、402が形成できる。また同相内のティースコア4の全て対して連続して巻線が巻回される。以下、同様にしてU相およびW相に対応する2個のティースコア4に対しても巻線の巻回を実施し、これら各相2個分の各ティースコア4をあらかじめ設定された位置に配置して円環状にする。そして、各ティースコア4をヨークコア3と接合する。この接合としては、溶接または接着または圧入または焼き嵌めもしくは樹脂を成形して一体化するモールド成形等がある。続いて、必要な結線状態となるように結線処理を行う。
次に図16に示すように、ヨークコア3の径方向の外側をフレーム110で覆う。これにより、4極6ティースコア4の3相DC(Direct current)ブラシレスモータ用の固定子102が構成される。そして、ここではコイル2および渡り線20および固定子鉄心106およびフレーム110など固定子102全体を樹脂でモールドしモールド部109を構成する(図16)。このように形成することで、コイル2を含めてティースコア4とヨークコア3を固定でき、放熱性能を高め、固定子の剛性を上げることができる。これにより回転電機の小型化および振動による騒音を抑制する効果が得られる。
以上示したように、この実施の形態2の固定子102の製造方法においては、巻線機6として、各ティースコア4を位置決めするための位置決め部80と、巻線の供給巻付用のフライヤ部9とを備えたので、位置決め部80に取り付けた複数のティースコア4を回転させるだけでフライヤ部9に正対する位置まで順次移動できる。そして、ティースコア43が所定の位置まで移動した後は、ティースコア4の位置は固定したままでフライヤ部9を回転せることで巻線を巻回できる。
つまり、位置決め部80とフライヤ部9とは分離独立しているため、ティースコア43の巻線供給側への移動と巻線の巻回とを1つの機構に同時に組み込む場合に比べて、装置の構成が簡素化され故障が少なくかつ装置を安価に製作できる。しかも、フライヤ部9を回転させることで巻線を巻回する構成であり、ティースコア4自体は高速回転しないので、巻線の巻回時に振動およびたわみが発生して巻き付けた巻線の整列性が悪化するなどの不都合は生じない。このため、作業時間が早くなり、単位時間当たりの生産量を増やすことができる。
また、固定子102を構成する上では、位置決め部80を回転させるだけで順次巻付作業を行う箇所に各ティースコア4を配置させることができるので、渡り線20の長さを自由に設定できる。さらに、巻線の巻回を行う際に、ティースコア4とフライヤ部9との干渉を避けることができ、巻線の整列性を高めることができる。また、同相内の複数のティースコア4に対して渡り線20を介して連続で巻線の巻回を行うことができる。このため、同相内のティースコア4が複数ある場合に、ティースコア4ごとに巻線を切断することに比べてその接続部品、および、接続に必要となる工数を削減できる。なお、本実施の形態では固定子としたときに、同相のティースコア4が2個分離れた位置にあるもので説明をしたが、これに限定されることはない。
次に、本実施の形態2の他の例について図17および図18に基づいて説明する。図17は、巻線機6のティースコア4の保持機構部7の構成を示す図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。1相分の2個のティースコア4を把持できる第1インシュレータ71と、第1インシュレータ71に嵌合することで2個のティースコア4を把持できる第2インシュレータ72とを備える。
第1インシュレータ71は、内径壁711、外径壁712を有し、さらに内径壁711は連結部713で連結され、さらに、第2インシュレータ72は、内径壁721、外形壁722を有し、複数のティースコア4を把持できる構造となっている。つまり、第1インシュレータ71を1個、第2インシュレータ72を2個使うことで、1相分(例えばV相)に必要な2個のティースコア4(ティースコア401、ティースコア402)を保持できる。
図18は、この第1インシュレータ71、第2インシュレータ72の保持機構部7を用いて巻回を行う巻線機6である。第1インシュレータ71の連結部713を巻線機6の保持具81に固定する。後は、上記実施の形態2の場合と同様に巻線の巻回を行うことができる。
巻線機6をこのよう構成すれば、1相に必要なティースコア4を第1インシュレータ71および第2インシュレータ72だけで保持できるため、自動機での受け渡しが簡単になる。また、固定子102として配置する各ティースコア4の位置に第1インシュレータ71を配置することで、巻回後の環状化時にティースコア4の位置決めが容易となる。
図19は、本実施の形態2の固定子102の構成を説明する平面図(図19A)および側面図(図19B)である。なお、コイル2は図示を省略している。上記に示した図17においては、2個のティースコア4に対して連続巻きした1組のティースコア4を、3組用意し、これをヨークコア3に圧入したものである。図19Bに示すように、第1インシュレータ71はそれぞれ連結部713の高さが異なる3種類の第1インシュレータ701、702、703が必要である。
つまり、U相のコイル2には第1インシュレータ701を、V相のコイル2には第1インシュレータ702を、W相のコイル2には第1インシュレータ703を使用する。さらに、これらの連結部713には結線が渡り線20としてそれぞれ配置される。このように形成することで、図19Bにおいて上面側の片側のみにて連結部713が形成された場合でも(すなわち、図19Bの下面側には連結部713が形成されていない)、3相(U、V、W)が干渉することを防止でき、電位差の大きい異相間の渡り線20の絶縁を確実にできる。また、固定子102の組み立てを終えた後に、径方向の内側に回転子101を配置させる際に、連結部713がある側とは反対側の端面(図19Bにおいて下面側)から挿入できる。
上記のような実施の形態2の回転電機の製造方法によれば、
上記実施の形態1と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、
前記ヨークコアと前記コイルとの一部を樹脂モールドするので、
コイルを含め固定子鉄心が一体化できるため、より強固な固定が可能となる。またコイルとモールド部が接触していることで放熱性が改善し、より小型化に寄与できる。
また、上記のような実施の形態2の回転電機の製造方法によれば、
前記回転電機の同相に設置される前記コイルは、前記巻線を連続して巻回するので、
同相内のコイルを接続する作業を削減できる。
実施の形態3.
図20は、実施の形態3の回転電機の構成を示す断面図である。図21は、図20に示した回転電機の製造方法を説明する図である。図22は、実施の形態3の他の回転電機の構成を示す断面図である。図23は、図22に示した回転電機の製造方法を説明する図である。図24は、実施の形態3の他の回転電機の構成を示す断面図である。図25は、図24に示した回転電機の製造方法を説明する図である。
図20は、実施の形態3におけるの4極6スロットの回転電機200の構成を示す断面図を示す。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。当該回転電機200は、一般的にコアレスモータと称されている。上記各実施の形態において示したティースコア4が存在せず、ヨークコア3のみが存在する。コアレスモータである回転電機200は、回転子101と、回転子101の外径にギャップを介して配置される固定子102とを備える。
回転子101は回転軸103、永久磁石115からなり、SPM(Surface Permanent Magnet Motor)構造である。永久磁石115は、1個のネオジム焼結磁石を4極に着磁したものを、回転軸103に接着等で固定している。コアレスモータはヨークコア3と永久磁石115との距離を短くすることで、磁気抵抗が小さくなるため、SPM構造とすることが好ましい場合がある。そのため本実施の形態3ではSPM構造を例として示している。
固定子102は、外径側にヨークコア3があり、ヨークコア3の内径には磁極毎、6個のスロット1が存在し、巻線が巻回された周方向Zに複数積層された1個のコイル2がそれぞれに設置される。すなわちコイル2は、6個のスロット1にそれぞれ設置される。ヨークコア3の内周輪郭31は中心点Qを中心とした円形状に構成している。このように円形状とすることで、直線状箇所を設けるよりもより広いスロット1を確保できる。
1個のコイル2は60°=6スロット/360°の範囲内に存在する。
また、コイル2は非磁性体である絶縁体から構成される巻芯5を介して集中巻きにて形成される。巻回作業時に使用する巻芯5ごと、ヨークコア3の内周輪郭31の各スロット1に配置すればよい。よって、コイル2の形状が崩れたり、外す作業がなくなるメリットがある。また、コイル2と巻芯5とヨークコア3の少なくとも一部を含むように樹脂部品でモールドしてモールド部109を形成することで各部品を固定している。
図20においては、モールド部109は、ヨークコア3の径方向の外側から巻芯5とコイル2の径方向の内側までを覆っている。このようにすることで振動に対して強固になり、さらに放熱面積が大きくなるというメリットもある。
次に、上記のように構成された実施の形態3の回転電機200の製造方法について図21を用いて説明する。なお、上記各実施の形態で示したフライヤ部9は省略して示している。前述したように、回転電機200は6個のスロット1を有していると考えることができる。そのため、スロット1を6個に分割した角度θ=60°の範囲内に、1個のコイル2が収まればよい。そのため1個のスロット1ごとに1個のコイル2を成形し、それを組み立てる。
図21は、巻線の巻回の様子を示し、位置決め治具A、B、Cがある。また巻芯5は位置決め治具A、Cによって固定されている。位置決め治具A、Cは、巻回中には可動しない。位置決め治具Bは、上記各実施の形態と同様に回転軸Q2方向に移動するように構成されている。絶縁体で構成された巻芯5を中央に設置し、それを介して巻線を巻回し集中巻きする。巻芯5があることで、巻線の屈曲半径を任意の寸法で取ることができ、巻芯5がない場合に比べ屈曲半径が安定し、ばらつきの少ないコイル2の形状を形成ができる。
巻き始め時点では、位置決め治具Bが1ターン目のコイル2よりも回転軸Q2の紙面上、上方に配置されている。9ターン目以降かつ、17ターン目の前までに位置決め治具Bを回転軸Q2の下側に移動させ、図21の位置に配置する。さらに17ターン目以降を巻回することで、本実施の形態3における1個のコイル2を製造できる。巻線後に、位置決め治具A、B、Cを回転軸Q2の上側(それぞれコイル2から離れる方向)に外す。そして、1個のコイル2を取り出す。
これを必要個数(本実施の形態3では6個)作成し、ヨークコア3の内周輪郭31側に配置し、必要な結線を行い、樹脂等でモールド成形することで固定子102を一体化できる。また、上記実施の形態2の図17で示した、第1インシュレータ71および第2インシュレータ72を用いて製造することも考えられる。
図22は、本実施の形態3における他のコアレスモータの回転電機200の構成を示す断面図である。上記実施の形態3の図20と異なる点は、巻芯55とコイル2とである。
図20の巻芯5に比べ、図22では巻芯55の周方向Zの幅が短く形成される。また、図20のコイル2に用いられる巻線の径E1に比べ、図22のコイル2に用いられる巻線の径E2が小さい。
ここでE1/√(2)≒E2となり、
コイル2の巻数が増える。つまり、図20の場合よりコイル2の巻線の径を細くして、倍以上の巻数を達成し、コイル2の密度を上げている。
実施の形態3の図23の場合であれば、6層目をM層とすると、7層目がM+1層に相当する。そして、39ターン目が、M層(6層目)の径方向の外側の最後のターンに相当する。また、40ターン目が、M+1層(7層目)の径方向の外側の最初のターンに相当する。すなわち、40ターン目が39ターン目に続いて巻かれるターンである。そして、図23から明らかなように、39ターン目の径方向の第1位置より、40ターン目の径方向の第2位置は、径方向の外側に形成される。
図23に図22に示した回転電機200の製造方法について説明する。絶縁体で形成された巻芯55を中央に配置し、それを介して巻線を巻回し集中巻きする。巻芯55があることで、巻線の屈曲半径を任意の寸法で取ることができ、巻芯55がない場合に比べ屈曲半径が安定し、ばらつきの少ないコイル2形状を作り上げることができる。巻き始め時点では、位置決め治具Bが1ターン目のコイル2よりも回転軸Q2の紙面上、上方に配置される。
27ターン目以降かつ、40ターン目の前までに位置決め治具Bを回転軸Q2の紙面上、下方に移動させ、図23の位置に配置する。さらに40ターン目以降の巻線を巻回することで、本実施の形態の1個のコイル2を構成できる。位置決め治具Bを巻回の途中で移動させることで、40ターン目の巻線を任意の位置に配置できる。また40ターン目以前の巻線で位置決め治具Bが邪魔をするということもない。
巻回後に、位置決め治具A、B、Cをコイル2から離れる方向に移動することで1個のコイル2を取り出すことができる。これを必要個数(本実施の形態では6個)作り、ヨークコア3の内周輪郭31に配置し、必要な結線を行い、樹脂等でモールド成形することで固定子102を一体化できる。また、所定の巻数が20ターン目であれば1ターン目から20ターン目までのコイル2と、21ターン目から40ターンまでのコイル2とを並列結線をすることで、図19と同じコイル2の断面積を確保しつつ、同じ巻数にでき、かつスロット1内に余裕ができるコイル2の配置となる。
スロット1内に余裕ができることで精密な位置決め等が不要となり、設備投資を抑制できる。このように、巻線の径を細くすることで、巻芯55の周方向Zの寸法を小さくしても、巻き膨らみが小さくなり、巻芯55によって埋められていたスペースを少なくできる。さらに、巻線の径が細くなることで、巻線間の隙間も小さくできる。これにより、より多くのワイヤ巻線を配置できる。これにより、コイル2の高密度化を達成し、回転電機の高効率化、高出力に貢献できる。
図24および図25は、本実施の形態3における他のコアレスモータの回転電機200の構成を示す断面図である。上記実施の形態3の図22と異なる点は、コイル2の配置である。図22のコイル2は1個のスロット1が角度θ=60°にて形成されていたが、図24では半分の角度θ/2=30°に分割している。つまり、図22の巻線の径E1/√2≒E2とし、コイル2を図22の2倍である40ターン分を超えるコイル2を配置できればより高密度なコイル2といえる。
上記図22に示したように、1ターン目から20ターン目までのコイル2と、21ターン目から40ターン目までのコイル2とを並列接続した場合の、21ターン目から41ターン目までのコイル2の方が、1ターン目から20ターン目までのコイル2より抵抗値が高くなり、電流の分流がアンバランスにある可能性がある。この場合、回転電機200のコイル2で消費される電力が大きくなってしまう。なぜなら、1ターン目から20ターン目までのコイル2と、21ターン目から40ターン目までのコイル2とではコイル2の周長が異なるためである。
つまり、21ターン目から40ターン目までのコイル2は、1ターン目から20ターン目までのコイル2を覆うように集中巻きされるため、巻芯55から離れた位置にあり、コイル2の1ターンの周長が長くなり、必ず21ターン目から40ターン目までのコイル2の抵抗が、1ターン目から20ターン目までのコイル2よりも大きくなってしまう。これが課題になった場合の解決策が、図24に示したものである。
図24の場合では、1個のスロット1内で周方向Zにおいて半分に分割し、それぞれに巻芯55を配置して集中巻きしてコイル2を分割したスロット1にそれぞれ配置する構成とした。このように構成することで、2個のコイル2間の抵抗がほぼ同じになるメリットがある。巻芯55の周方向Zの寸法は上記図22の場合と同じであり、巻線の径も同じである。
次に、図24に実施の形態3の回転電機の巻線方法について図25を用いて説明する。絶縁体で構成された巻芯55を中央にし、それを介して巻線を巻回して集中巻きする。巻芯55があることで、巻線の屈曲半径を任意の寸法で取ることができ、巻芯55がない場合に比べ屈曲半径が安定し、ばらつきの少ないコイル2形状を作り上げることができる。巻き始め時点では、位置決め治具Bが1ターン目のコイル2よりも回転軸Q2の紙面上、上方に配置されている。
実施の形態3の図25の場合であれば、3層目をM層とすると、4層目がM+1層に相当する。そして、14ターン目が、M層(6層目)の径方向の外側のターンに相当する。また、23ターン目が、M+1層(7層目)の径方向の外側のターンに相当する。そして、図25から明らかなように、14ターン目の径方向の第1位置より、23ターン目の径方向の第2位置は、径方向の外側に形成される。
よって、13ターン目より後で、かつ、23ターン目の前までに位置決め治具Bを回転軸Q2の紙面上、下方に移動させ、図25の位置に配置する。さらに23ターン目以降を巻回することで、コイル2を構成できる。位置決め治具Bを巻線途中で移動させることで、23ターン目の巻線を任意の位置に配置できる。また23ターン目以前の巻線で位置決め治具Bが邪魔をするということもない。
巻線後に、位置決め治具A、B、Cをコイル2から離れる方向に外すことでコイル2を取り出すことができる。これを2個作り、2個のコイル2を並列結線することでU1のコイル2を構成できる。また、これを必要個数(本実施の形態では6個)作り、ヨークコア3の内周輪郭31に配置し、必要な結線を行い、樹脂等でモールド成形することで固定子102を一体化できる。このように、巻線の径を細くすることで、巻芯55の周方向Zの寸法を小さくしても、巻き膨らみが小さくなり、巻芯55によって埋められていたスペースを少なくできる。
さらに、巻線の径が細くなることで、巻線間の隙間も小さくできる。これにより、より多くの巻線を配置できる。これにより、コイル2の高密度化を達成し、回転電機の高効率化、高出力に貢献できる。また、実施の形態3の図25において、左右非対称のコイル2となっている。つまり、24ターン分を巻いた後、プラスして半周分を巻いているため左側が25ターン分あり、右側は24ターン分となっている。すなわち、図25のコイル2全体でみると24.5ターン分となっている。
また25ターン目は自分のスロット1の領域を超えている。通常であれば自分のスロット1の領域を超えてしまうと、周方向Zに隣接するスロット1内に配置されるコイル2と干渉してしまう。しかし、図24のように左右非対称のコイル2とすることで、周方向Zに隣接するコイル2との干渉を防止でき、限られたスペースに多くのコイル2を入れることが可能となる。
上記のような実施の形態3の回転電機の製造方法によれば、
上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、
環状のヨークコアを有する固定子と、
固定子の径方向の内側に配置される回転子と、
前記回転子と前記ヨークコアとの間の磁極毎のスロットに、巻線が巻回されて周方向に複数層積層されたコイルがそれぞれ設置される回転電機の製造方法において、
前記コイルを形成する工程において、
前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置される場合であって、前記第2位置に前記巻線を巻回する際に、
前記第2位置に、前記巻線の位置決め治具を設置して前記巻線の巻回を行うものであり、
さらに、実施の形態3の回転電機によれば、
環状のヨークコアを有する固定子と、
固定子の径方向の内側に配置される回転子と、
前記回転子と前記ヨークコアとの間の磁極毎のスロットに、巻線が巻回されて周方向に複数層積層されたコイルがそれぞれ設置される回転電機において、
前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置されるので、
コイルの密度の向上が容易に可能となる。
また、上記のような実施の形態3の回転電機の製造方法によれば、
前記磁極の周方向の中心線と直角をなすとともに、当該磁極の前記スロットの前記ヨークコアの内周輪郭の周方向の両端と交差する面と、当該スロットの前記ヨークコアの前記内周輪郭と、の間を前記スロットのデッドスペースとすると、
前記デッドスペースに、前記コイルの1ターン目の前記巻線が巻回されるものであり、
さらに、上記のように構成された実施の形態3の回転電機によれば、
前記磁極の周方向の中心線と直角をなすとともに、当該磁極の前記スロットの前記ヨークコアの内周輪郭の周方向の両端と交差する面と、当該スロットの前記ヨークコアの前記内周輪郭と、の間を前記スロットのデッドスペースとすると、
前記デッドスペースに、前記コイルの1ターン目の前記巻線が配置されるので、
デッドスペースに対しても巻線を整列巻きにて設置でき、より回転電機の高出力化、高効率化、小型化に寄与できる。特に高速化する場合に鉄損が大きくなるが、コアレスモータであれば鉄損となるティースコアがないため、ティースコアがある回転電機に比べ鉄損を抑制できる。またティースコアがないため固定子鉄心の軽量化を図ることができる。
また、上記のような実施の形態3の回転電機の製造方法によれば、
前記磁極毎の前記スロットをN個(Nは2以上の整数)に分割し、
分割したN個の前記スロットにそれぞれ前記コイルを設置し、各当該コイルを並列に接続するものであり、
さらに、上記のように構成された実施の形態3の回転電機によれば、
前記磁極毎の前記スロットをN個(Nは2以上の整数)に分割し、
分割したN個の前記スロットにそれぞれ前記コイルを設置し、各当該コイルを並列に接続されるので、
分割されたスロット内にそれぞれ設置されるコイルの抵抗がほぼ同じになるメリットがある。
さらに、上記のような実施の形態3の回転電機の製造方法によれば、
前記コイルは、非磁性体にて形成される巻芯に前記巻線が巻回されるので、
巻芯により、コイル寸法のばらつきが抑制できる。
実施の形態4.
図29および図30は、実施の形態4の回転電機の製造方法を示す断面図である。図31は、図30に示した回転電機の製造方法の一部を拡大して示した図である。図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。位置決め治具Bにティースコア4の径方向の内側に突出する曲面を有する突起部820を設けた。
本実施の形態4では、上記実施の形態1と同様に、図29および図30に示すように、4層目をM層とすると、5層目がM+1層に相当する。そして、16ターン目が、M層(4層目)の径方向の外側のターンに相当する。また、17ターン目が、M+1層(5層目)の径方向の外側のターンに相当する。そして、図30から明らかなように、16ターン目の径方向の第1位置より、17ターン目の径方向の第2位置は、径方向の外側に形成される。
そして、図30および図31に示すように、第1位置の16ターン目の巻線と、第2位置の17ターン目の径方向の巻線とが突起部820の曲面(R面)に接するように巻回されている。この突起部820により、16ターン目のコイル2が径方向の外側に移動することをより抑制でき、狙いの位置にコイル2を配置することが可能となる。巻線の配置を安定させ、巻き乱れを防止しコイルの占積率を向上する。さらには、回転電機の性能を向上できる。
さらに、第1位置の16ターン目の巻線と、第2位置の17ターン目の径方向の巻線とが突起部820の曲面(R面)に接しているため、上記実施の形態1の平面の突起部82の場合、17ターン目の巻線がカドを乗り上げて、16ターン目の巻線に接するような可能性をさら防止できる。
上記のような実施の形態4の回転電機の製造方法によれば、
上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、
前記位置決め治具は、前記第1位置の前記巻線および前記第2位置の前記巻線に接する曲面を有する突起部を備えるので、
整列されたコイルを形成でき、コイルの占積率を向上できる。
本願は、様々な例示的な実施の形態および実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらに、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 スロット、100 回転電機、101 回転子、102 固定子、103 回転軸、104 回転子鉄心、105 永久磁石、106 固定子鉄心、109 モールド部、110 フレーム、2 コイル、200 回転電機、3 ヨークコア、30 分割ヨークコア片、300 ヨークコア、301 薄肉部、31 内周輪郭、311 直線部、312 円弧部、32 外周輪郭、33 切り欠き部、4 ティースコア、401 ティースコア、402 ティースコア、41 胴体部、42 磁気吸引部、5 巻芯、55 巻芯、6 巻線機、7 保持機構部、71 第1インシュレータ、711 内径壁、712 外径壁、72 第2インシュレータ、8 位置決め部、80 位置決め部、81 保持具、82 突起部、820 突起部、83 テーパ部、84 フラット部、85 ピン、9 フライヤ部、91 旋回軸、92 アーム部、A 位置決め治具、B 位置決め治具、B1 位置決め治具、B2 位置決め治具、B3 位置決め治具、C 位置決め治具、D デッドスペース、D1 デッドスペース、D2 デッドスペース、D3 デッドスペース、E1 径、E2 径、Q 中心点、Q2 回転軸、Q3 回転中心、Qq 中心線、R11 接点、R12 接点、T 回転面、T1 外側、L 面、θ 角度、Z 周方向。

Claims (11)

  1. 環状のヨークコアと、
    前記ヨークコアの径方向の内側に、周方向に間隔を隔てて突出する複数のティースコアと、
    前記ティースコアと前記ヨークコアとの間のスロットに、前記ティースコアに対して巻線を巻回して周方向に複数層積層されたコイルを設置する固定子と、
    前記固定子の径方向の内側に配置される回転子とを有する回転電機の製造方法において、
    前記ヨークコアと、前記ティースコアとは分離して形成され、
    前記ヨークコアが無い状態で前記ティースコアに対して前記巻線を集中巻きして前記コイルを形成する工程において、
    前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置される場合であって、前記第2位置に前記巻線を巻回する際に、
    前記第2位置に、前記巻線の位置決め治具を設置して前記巻線の巻回を行い、
    前記位置決め治具は、前記第1位置の前記巻線および前記第2位置の前記巻線に接する面を有する突起部を備える回転電機の製造方法。
  2. 前記ティースコアの周方向の中心線と直角をなすとともに、当該ティースコアの前記スロットの前記ヨークコアの内周輪郭の周方向の両端と交差する面と、当該スロットの前記ヨークコアの前記内周輪郭との間を前記スロットのデッドスペースとすると、
    前記デッドスペースに、前記コイルの1ターン目の前記巻線が巻回される請求項1に記載の回転電機の製造方法。
  3. 前記デッドスペースに、前記コイルの前記第2位置の前記巻線が巻回される請求項2に記載の回転電機の製造方法。
  4. 環状のヨークコアを有する固定子と、
    固定子の径方向の内側に配置される回転子と、
    前記回転子と前記ヨークコアとの間の磁極毎のスロットに、巻線が巻回されて周方向に複数層積層されたコイルがそれぞれ設置される回転電機の製造方法において、
    前記コイルを形成する工程において、
    前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置される場合であって、前記第2位置に前記巻線を巻回する際に、
    前記第2位置に、前記巻線の位置決め治具を設置して前記巻線の巻回を行い、
    前記位置決め治具は、前記第1位置の前記巻線および前記第2位置の前記巻線に接する面を有する突起部を備える回転電機の製造方法。
  5. 前記磁極の周方向の中心線と直角をなすとともに、当該磁極の前記スロットの前記ヨークコアの内周輪郭の周方向の両端と交差する面と、当該スロットの前記ヨークコアの前記内周輪郭と、の間を前記スロットのデッドスペースとすると、
    前記デッドスペースに、前記コイルの1ターン目の前記巻線が巻回される請求項に記載の回転電機の製造方法。
  6. 前記デッドスペースに、前記コイルの前記第2位置の前記巻線が巻回される請求項5に記載の回転電機の製造方法。
  7. 前記磁極毎の前記スロットをN個(Nは2以上の整数)に分割し、
    分割したN個の前記スロットにそれぞれ前記コイルを設置し、各当該コイルを並列に接続する請求項または請求項に記載の回転電機の製造方法。
  8. 前記コイルは、非磁性体にて形成される巻芯に前記巻線が巻回される請求項から請求項のいずれか1項に記載の回転電機の製造方法。
  9. 前記ヨークコアと前記コイルとの一部を樹脂モールドする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の回転電機の製造方法。
  10. 前記回転電機の同相に設置される前記コイルは、前記巻線を連続して巻回する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の回転電機の製造方法。
  11. 環状のヨークコアと、
    前記ヨークコアの径方向の内側に、周方向に間隔を隔てて突出する複数のティースコアと、
    前記ティースコアと前記ヨークコアとの間のスロットに、前記ティースコアに対して巻線を巻回して周方向に複数層積層されたコイルを設置する固定子と、
    前記固定子の径方向の内側に配置される回転子とを有する回転電機の製造方法において、
    前記ヨークコアと、前記ティースコアとは分離して形成され、
    前記ヨークコアが無い状態で前記ティースコアに対して前記巻線を集中巻きして前記コイルを形成する工程において、
    前記コイルを形成する前記巻線のM層(Mは1以上の整数)の径方向の外側のターンの第1位置より、M+1層における径方向の外側のターンの第2位置が径方向の外側に配置される場合であって、前記第2位置に前記巻線を巻回する際に、
    前記第2位置に、前記巻線の位置決め治具を設置して前記巻線の巻回を行い、
    前記位置決め治具は、前記第1位置の前記巻線および前記第2位置の前記巻線に接する曲面を有する突起部を備える回転電機の製造方法。
JP2023552776A 2021-10-07 2022-09-14 Pending JPWO2023058420A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021165226 2021-10-07
PCT/JP2022/034300 WO2023058420A1 (ja) 2021-10-07 2022-09-14 回転電機の製造方法および回転電機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2023058420A1 JPWO2023058420A1 (ja) 2023-04-13
JPWO2023058420A5 true JPWO2023058420A5 (ja) 2023-12-15

Family

ID=85804177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023552776A Pending JPWO2023058420A1 (ja) 2021-10-07 2022-09-14

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2023058420A1 (ja)
WO (1) WO2023058420A1 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10290545A (ja) * 1997-04-11 1998-10-27 Toshiba Corp 回転電機のステータおよびステータの製造方法
JPH10309048A (ja) * 1997-04-30 1998-11-17 Toshiba Corp 電動機のステータ及びその製造方法
JP4078706B2 (ja) * 1998-03-05 2008-04-23 神鋼電機株式会社 分割コイル
JP3732076B2 (ja) * 2000-07-14 2006-01-05 株式会社日立製作所 回転機及びその製造方法
JP2006141113A (ja) * 2004-11-11 2006-06-01 Denso Corp 燃料ポンプおよびその製造方法
JP2007082268A (ja) * 2005-09-09 2007-03-29 Toyota Motor Corp 回転電機の製造方法および回転電機の製造装置
JP6436825B2 (ja) * 2015-03-24 2018-12-12 三菱電機株式会社 固定子および固定子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4286829B2 (ja) 回転機の製造方法
EP2752973A1 (en) Rotating electric machine and method for manufacturing same
JP6461381B2 (ja) 回転電機の固定子、回転電機、および、回転電機の固定子の製造方法
JP4883327B2 (ja) ギャップワインディング形モータ
WO2015159329A1 (ja) アキシャルエアギャップ型回転電機
US20220255386A1 (en) Coil, stator, and motor
JP5248048B2 (ja) 回転電機の回転子及び回転電機
JP2012170295A (ja) 回転電機のステータおよびその製造方法
JP6334823B2 (ja) 回転電機の固定子、回転電機、回転電機の固定子の製造方法、回転電機の製造方法
JP2003259572A (ja) 回転電機
JP7481582B2 (ja) 固定子、回転電機、固定子の製造方法および回転電機の製造方法
WO2018180344A1 (ja) 電動モータ用ステータおよび電動モータ
US20220263356A1 (en) Motor
JPWO2023058420A5 (ja)
WO2023058420A1 (ja) 回転電機の製造方法および回転電機
JP7280070B2 (ja) ステータ及びブラシレスモータ
JP2018133850A (ja) 回転電機
JP2003333811A (ja) 軸方向に分割された複数の固定子巻線を有する誘導電動機
JP5256835B2 (ja) 回転電機の固定子及び回転電機
JP3632721B2 (ja) 永久磁石形同期電動機
JP3840715B2 (ja) 永久磁石形同期電動機
JP7479230B2 (ja) ステータコア、回転電機のステータ、回転電機、回転電機のステータの製造方法、および回転電機の製造方法
WO2023149252A1 (ja) 回転電機のステータ、回転電機、回転電機のステータの製造方法および回転電機の製造方法
JP2014192997A (ja) 電動モータ
JP2000236638A (ja) 回転電機の固定子