JP7481582B2 - 固定子、回転電機、固定子の製造方法および回転電機の製造方法 - Google Patents

固定子、回転電機、固定子の製造方法および回転電機の製造方法 Download PDF

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Description

本願は、固定子、回転電機、固定子の製造方法および回転電機の製造方法に関するものである。
回転電機の固定子において、コアをティース単位で分割した磁極片同士を、インシュレータを介して回転出力軸方向(以下、単に軸方向という)と直交する方向に折り曲げ自在に連結する構成のものが開示されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
この構成によれば、磁極片のティース部に巻線を施すために、ティース部が外径側に位置するようにインシュレータ相互の連結部分の角度を変えることで、隣り合う磁極片同士が干渉せずにティース部に導線を巻回できるので、巻線の占積率を向上させることができる。
特開2006-254569号公報
しかしながら、特許文献1においては、インシュレータを用いて隣接する磁極片同士を連結するには、形状の異なる2種類のインシュレータを用意する必要がある。そのため、部材の種類の増加と工程の複雑化を招く問題がある。
また、各磁極片の連結と回転のために、軸方向に抜き差しする機構を設けているが、磁極片のティース部に巻線を施すために、ティース部を径方向の外側に配置する際、連結後に磁極片が軸方向に位置ずれするのを防止するため、保持機構等を用意する必要があり、製造工程が煩雑となる問題がある。
また、複数の磁極片に対して渡り線を介して連続して巻線をしようとすると、磁極片のティース部を径方向の内側に配置して環状化する際、渡り線が動いてしまい、一定の位置に固定配置することが難しく、別途、渡り線を所定の位置に固定配置する工程が必要となる場合があった。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、部品点数と製造工程を増加させることなく、安価、高性能な固定子、回転電機、固定子の製造方法および回転電機の製造方法を提供することを目的としている。
本願に開示される固定子は、
円弧状のバックヨーク部から径方向の内方に向けてティース部が一体に突出形成された複数の磁極片を備え、各々の前記磁極片は、前記径方向と直交する軸方向において、一対の樹脂製のインシュレータがそれぞれ装着され、かつ前記インシュレータが装着された各々の前記磁極片は、導線が前記磁極片の間を結ぶ渡り線を介して連続して巻装された状態で円環状に配置されており、
前記インシュレータは、軸方向端部の周方向の一方端にスナップフィット雌部が、他方端にスナップフィット雄部がそれぞれ設けられ、前記スナップフィット雌部は、軸方向と直交する方向に開口する開口部が形成された開環部を有し、前記スナップフィット雄部は、周方向および径方向に膨出された基部から軸方向に延出された柱状部を有し、
前記円環状の配置における互いに隣接する磁極片同士は、前記開環部への前記柱状部の嵌合によりスナップフィット結合されて互いに揺動可能に連結されており、
前記開環部または前記柱状部には、前記渡り線が係止されている渡り線係止部が設けられている。
本願に開示される回転電機は、上記構成の固定子、およびこの固定子の内周面側に回転自在に同軸配置された回転子を備える。
本願に開示される固定子の製造方法は、
前記磁極片に対して前記インシュレータを装着する絶縁組立工程と、
前記絶縁組立工程を経た後の1つの磁極片に対して導線を集中的に巻き付ける巻線工程と、前記巻線工程を経た後に、次の巻線対象の磁極片に対して導線を切断せずに渡り線として導入する渡り線工程とを繰り返す配線工程と、
前記配線工程により、全ての磁極片に対する導線の巻き付けが完了した後に、各々の前記磁極片を円環状に配置して互いに隣接する磁極片同士の全てを前記インシュレータのスナップフィット結合により連結する環状化工程とを有する。
本願に開示される回転電機の製造方法は、上記の固定子の製造工程を経た後、前記固定子の内径側に回転子を回転自在に同軸配置する工程を含む。
本願に開示される固定子、回転電機、固定子の製造方法および回転電機の製造方法によれば、部品点数を増加させることなく、安価、小型で高性能な製品が得られる。また、本願に開示され固定子、回転電機の製造方法によれば、製造工程を増加させることなく製作できるので、製造コストを抑えることができる。
実施の形態1に係る回転電機の固定子を示す断面概略図である。 実施の形態1に係る固定子を構成する一つの磁極片を示す斜視図である。 実施の形態1に係る固定子の各磁極片の結線状態を示す結線図である。 実施の形態1に係る固定子を構成する全ての磁極片を直線状に並べた結線状態を模式的に表した結線図である。 実施の形態1において、磁極片に2つのインシュレータを装着した状態を固定子の径方向内方から見た斜視図である。 実施の形態1において、磁極片に2つのインシュレータを装着した状態を固定子の径方向外方から見た正面図である。 実施の形態1において、磁極片に装着される1つのインシュレータを径方向内方から見た斜視図である。 実施の形態1のインシュレータを径方向外方から見た斜視図である。 実施の形態1のインシュレータを装着した互いに隣接する2つの磁極片をスナップフィットで結合して直線状に配置した状態を示す平面図である。 図8の構成のものをV字状に屈曲配置した状態を示す斜視図である。 実施の形態1において、回転電機の固定子を製造する場合に使用される自動巻線機の概略構成図である。 実施の形態1において、3相交流の1相分(ここではV相)に対応する4個の磁極片に対して連続して導線を巻き付けた状態を示す説明図である。 実施の形態1において、3相交流の他の1相分(ここではU相)に対応する4個の磁極片に対して連続して導線を巻き付けた状態を示す説明図である。 実施の形態1において、互いに隣接する磁極片同士をインシュレータのスナップフィット結合により連結した状態で渡り線を設けた場合の配置状態を周方向から見た概略側面図である。 実施の形態1の固定子において、渡り線を磁極片に確実に固定するための一例を示す概略半断面図である。 実施の形態1の固定子の製造方法を示すフローチャートである。 実施の形態1の固定子の製造方法を示す別のフローチャートである。 図18Aは実施の形態1による固定子の製造方法により得られる回転電機の概略断面図であり、図18Bは図18AのA1部の拡大図である。 実施の形態2において、磁極片に装着される1つのインシュレータを径方向内方から見た斜視図である。 実施の形態2において、インシュレータを径方向外方から見た斜視図である。 実施の形態2において、互いに隣接する磁極片にそれぞれインシュレータを装着した状態で渡り線を設けた場合の配置状態を周方向から見た概略側面図である。 実施の形態2において、3相交流の1相分(ここではV相)に対応する4個の磁極片に対して連続して導線を巻き付けた状態を示す説明図である。 実施の形態2において、3相交流の1相分(ここではU相)に対応する4個の磁極片に対して連続して導線を巻き付けた状態を示す説明図である。 実施の形態3において、磁極片に装着される1つのインシュレータを径方向内方から見た斜視図である。 実施の形態3において、インシュレータを径方向外方から見た斜視図である。 実施の形態3において、互いに隣接する磁極片にそれぞれインシュレータを装着した状態で渡り線を設けた場合の配置状態を周方向から見た概略側面図である。 実施の形態3のインシュレータの変形例を示す概略側面図である。 インシュレータの変形例を示す概略側面図である。 インシュレータの変形例を示す概略側面図である。 インシュレータの変形例を示す概略側面図である。 インシュレータの変形例を示す概略側面図である。 実施の形態1の変形例を示す回転電機の概略断面略図である。 実施の形態1の他の変形例を示す回転電機の概略断面略図である。 実施の形態3のインシュレータの他の変形例を示す概略側面図である。 実施の形態3のインシュレータのさらに他の変形例を示す概略側面図である。
実施の形態1.
図1は実施の形態1の回転電機の固定子を示す断面略図、図2は実施の形態1の固定子を構成する一つの磁極片を示す斜視図、図3は実施の形態1の固定子を構成する各磁極片の結線状態を示す結線図、図4は実施の形態1の固定子を構成する全ての磁極片を直線状に並べた結線状態を模式的に表した結線図である。なお、図4では磁極片は簡略化して表しており、ティース部に巻かれる導線、インシュレータは省略している。
この実施の形態1の回転電機1において、固定子2は、一例として10極12ティースの3相DCブラシレスモータ用のものであって、軸方向に沿って薄板を複数枚積み重ねてカシメ、あるいは溶接等により固定されてなる積層鉄心で構成された複数個(本例では12個)の磁極片10を備える。
各磁極片10は、バックヨーク部11と、このバックヨーク部11から径方向内方に突出したティース部12とを有する。そして、バックヨーク部11の径方向外周面側には、固定子2の製造に際して磁極片10を後述の回転位置決め機構51の保持治具52に取り付けるための取付溝13が形成されている。
また、各磁極片10には、軸方向の両端それぞれから同一形状のインシュレータ25が装着されている。なお、インシュレータ25の構造の詳細については後述する。そして、インシュレータ25が装着された互いに隣接する2個の磁極片10を1組として、その2組分(計4個)に連続して銅線等からなる導線20がインシュレータ25の上から巻き付けられている。この2個1組の計4個の磁極片10が3相交流のそれぞれの相U、V、Wの内の1相分に対応している。
そして、この導線20が巻き付けられた4個の磁極片10の内、2個1組の磁極片10同士が互いに円の中心Oを挟む点対称位置に対向配置されるように、2個1組の磁極片10を周方向に沿って各相が交互になるように順次配置して円環状に配置されている。このように円環状に配置された各磁極片10のバックヨーク部11の周方向の突き合わせ端部同士がインシュレータ25による後述するスナップフィット結合により結合されている。
これにより、10極12ティースの3相DCブラシレスモータ用の固定子2が構成されている。
なお、図1、図3、図4において、各磁極片10に対して付された符号U、V、Wは3相交流のそれぞれの相に対応しており、Nは中性点である。また、各相U、V、Wに対する添え字は、それぞれの隣接する2つの各磁極片10のティース部12に巻き付けられた各導線20を区別するために示しており、U1とU1’の違いは、巻回方向が左右反対であることを示す。例えば、図3においてバックヨーク部11側から見てU1が左回り、U1’が右回りを示す。またU1とU2との違いは、U1が2個1組となった磁極片10の第1組目に巻き付けられる導線20であり、U2が2個1組となった磁極片10の第2組目に巻き付けられる導線20であることを示す。
また、各磁極片10のティース部12の箇所に巻き付けられる導線20を巻線21と、また各磁極片10間に渡って切断することなく引き回される導線20を渡り線22と称する。この場合、渡り線22を特に区別する必要があるときには、2個1組の磁極片10間を結ぶ渡り線は符号22aで、2個1組の磁極片10の各組相互間を結ぶ渡り線は符号22bで示す。
この実施の形態1では、図4に示すように、同相内で連続して導線20を巻き付ける場合、U、V、Wの各相のいずれについても、4個の磁極片10を1単位として、その単位内で互いに隣接する2個1組の磁極片10間を結ぶ渡り線22a、ならびに2個1組の磁極片10の各組相互間を結ぶ渡り線22bを経由して連続して導線20を巻き付ければよいので、巻線端末部の接続回数を削減でき、安価に製造できるので有利である。
図5は実施の形態1の一つの磁極片に2つのインシュレータを装着した状態を固定子の径方向内方から見た斜視図、図6は実施の形態1の一つの磁極片に2つのインシュレータを装着した状態を固定子の径方向外方から見た正面図である。また、図7は実施の形態1の磁極片に装着されるインシュレータを径方向内方側から見た斜視図、図8は実施の形態1のインシュレータを径方向外方側から見た斜視図である。
インシュレータ25は、例えば絶縁性の熱可塑性樹脂などで一体成形されたものであり、個々の磁極片10に対して全て同一形状をした1種類のものが使用される。そして、インシュレータ25は、各磁極片10のティース部12に嵌合されるティース嵌合部27と、バックヨーク部11に嵌合されるバックヨーク嵌合部32とを有する。
ティース嵌合部27は、磁極片10のティース部12の周方向の周側面について、その軸方向の半分を覆うドーム状の巻線部28、および巻線部28の径方向内端から周方向および軸方向にそれぞれ張り出した巻線堰止部29を有する。
また、バックヨーク嵌合部32は、バックヨーク部11の内周面を覆う内周面カバー部33が巻線部28を挟む周方向の左右にそれぞれ形成されている。そして、各内周面カバー部33の軸方向一端には、周方向および径方向に突出した四角柱状の突出部34が形成されている。また、両突出部34の間には軸方向に突出する中間突出部35が設けられている。さらに、突出部34と中間突出部35の間には、それぞれ巻線逃がし溝36が形成されている。なお、巻線逃がし溝36は、導線20の巻始め部分および巻終り部分が巻線と干渉することを避けるために、導線20の巻始め部分および巻終り部分を径方向外方側に逃すためのものである。
また、一方(図5、図7の右側)の突出部34からは、周方向および径方向外方に膨出して略C字状をなす開環部37aが一体に形成されている。そして、この開環部37aには軸方向と直交する方向に開口する開口部37bが設けられるとともに、開口部37bに対向する側には切れ込み37cが設けられている。そして、上記の切れ込み37cおよび開口部37bが形成された開環部37aによりスナップフィット雌部37が構成されている。しかも、この開環部37aは、図6に示すように、軸方向において、磁極片10の軸方向端部との間に、後述の基部38aの軸方向の厚みDに対応する隙間を存して設けられている。
また、他方(図5、図7の左側)の突出部34からは、周方向および径方向外方に膨出して基部38aが一体に形成されており、この基部38aには軸方向に延出された円柱状の柱状部38bが形成されている。そして、上記の基部38aおよび柱状部38bによりスナップフィット雄部38が構成されている。
この場合、インシュレータ25が後述するように互いに隣接配置された際、柱状部38bが開環部37aの内部に開口部37bを通じて嵌合されるように、スナップフィット雄部38の基部38aの軸方向の厚さDは、上記のように、スナップフィット雌部37の開環部37aの軸方向の隙間に対応するように設定されている。また、柱状部38bの軸方向の長さは、開環部37aの軸方向の厚さよりも長く設定されている。そして、上記の基部38aおよび柱状部38bによりスナップフィット雄部38が構成されている。
なお、柱状部38bの外径は、スナップフィット雌部37の開環部37aに何ら外力が加わらないフリーの状態では、開環部37aの内径以上に設定することが好ましい。これは、柱状部38bを開環部37aに嵌め込んで連結させた際に、柱状部38bが開環部37aから容易に外れるのを防ぐためである。
また、スナップフィット雌部37の開環部37aに設けられている開口部37bは、何ら外力が加わらないフリーの状態では、そのスリット幅が柱状部38bの径以下になるように設定されている。これも、柱状部38bを開環部37aに嵌め込んで連結させた際に、柱状部38bが開環部37aから容易に外れるのを防ぐためである。
また、開環部37aには、開口部37bに対向する側に切れ込み37c設けている。このような切れ込み37cを設けることで、開口部37bを拡げる力を低減でき、柱状部38bの開環部37aへの嵌め込みを円滑に行えるとともに、開環部37aの内周面側から外周面側に向かう力が不意に加わった際にも、開環部37aの破断を防止することができる。
上記のような構成を有するインシュレータ25を用いることにより、インシュレータ25を後述するように互いに隣接配置した上で、スナップフィット雄部38の柱状部38bを、スナップフィット雌部37の開環部37aの開口部37bに対して軸方向と直交する方向から挿入することで、強固なスナップフィット結合による連結部分が形成され、かつ、開環部37a内で柱状部38bが回転可能に保持される。
なお、開環部37aの内周面は、柱状部38bが回転できるのであれば、必ずしも円弧である必要はない。また、柱状部38bについても、必要な回転範囲を確保できるのであれば、円柱である必要はなく、例えば、ある角度で保持したいような場合、断面形状が楕円形、あるいは一部を切り欠いた形状等、適宜変更可能である。
次に、一つの磁極片10に対してインシュレータ25を装着する作業(以下、絶縁組立作業と称す)について説明する。
図5、図6に示すように、一つの磁極片10に対しては、その軸方向の両端から、それぞれ図7、図8に示すインシュレータ25を装着する。その際、スナップフィット雌部37とスナップフィット雄部38とが周方向において互いに逆向きの位置になるように配置する。これにより、磁極片10のティース部12の周方向の周回面が絶縁材であるインシュレータ25の巻線部28で覆われた状態となる。
磁極片10の軸方向の両端からそれぞれ装着される2つのインシュレータ25は、図7、図8に示すように、同一形状のものであり、軸方向の前後それぞれから挿入するインシュレータ25の形状を互いに異ならせる場合に比べて、樹脂成形金型の種類を抑制することができ、安価な製品を提供することが可能となる。
なお、ここでは、磁極片10に一対のインシュレータ25を装着するようにしているが、その代わりに、磁極片10を成形機に入れて直接に樹脂で覆ってインシュレータ25を一体成形することも可能である。
次に、インシュレータ25を装着した磁極片10をスナップフィット結合により互いに連結する作業について説明する。
なお、ここでは、理解を容易にするため、互いに隣接する一対の磁極片10同士を連結する場合を例に取って説明するが、3個以上の磁極片10同士を連結する場合も同様である。
図9はインシュレータを装着した互いに隣接する2つの磁極片をスナップフィットで結合して直線状に配置した状態を示す平面図、図10は図9の構成のものをV字状に屈曲配置した状態を示す斜視図である。
図9、図10に示すように、インシュレータ25を装着した一対の磁極片10のバックヨーク部11同士が互いに隣接するように並列に並べる。そうすると、互いに隣接する磁極片10間では、軸方向に沿う両端部において、それぞれスナップフィット雌部37の開環部37aに設けられている開口部37bに、スナップフィット雄部38の柱状部38bが対向することになる。
そこで、磁極片10間の角度を調整しつつ、柱状部38bを開環部37aの内部に向かって押し込む。これにより、インシュレータ25を装着した互いに隣接する一対の磁極片10同士は、軸方向の両端において、同時にスナップフィット結合され、その結果、結合部分を中心として互いに隣接する磁極片10同士が回転可能に連結される。なお、柱状部38bと開環部37aの連結は、手作業で組み付けることができるが、治具等を用いて嵌め込んでもよい。
しかも、磁極片10に装着された互いに隣接するインシュレータ25相互間においては、前述したように、軸方向において、スナップフィット雌部37の開環部37aは、磁極片10の端部との間に、スナップフィット雄部38の基部38aの厚みDに対応する隙間を存して設けられている。
このため、インシュレータ25を装着した互いに隣接する磁極片10をスナップフィット結合により連結すると、基部38aが、隙間Dに挟み込まれる。このため、軸方向における動きが生じた場合でも、開環部37aと基部38aとの互いの当接によりその動きが規制される。したがって、互いに隣接する磁極片10間で軸方向の変位が生じることによる脱落が防止される。その結果、複数の磁極片10が連なった状態(図9、図10参照)を容易に維持することができ、図1に示したように、環状への連結も容易に行うことができる。また、柱状部38bの軸方向の長さは、開環部37aの軸方向の厚さよりも長く設定されているので、柱状部38bの軸方向端部は、開環部37aから軸方向に一定長さLだけ突出した状態となる。
図11は上記構成の回転電機の固定子を形成する場合に使用される自動巻線機の概略構成図である。
この自動巻線機50は、各磁極片10を位置決めするための回転位置決め機構51と、導線20の供給巻付用のフライヤ54とを備える。なお、以下で自動巻線機50を使用して導線20の巻き付けを行う場合において、説明の便宜上、磁極片10にインシュレータ25が装着された状態のものを単に磁極片10と称する。
回転位置決め機構51は、各磁極片10を固定する円盤状の保持治具52を有する。この保持治具52には、その周方向に沿って各磁極片10に形成された取付溝13に差し込まれる図示しない取付ピンが複数設けられるとともに、導線20の巻始め箇所を固定するための巻始線固定用ピン53を備える。そして、この保持治具52は、その中心O1を回転中心として回転可能に構成されている。
一方、フライヤ54は、導線20を供給しつつ、各磁極片10のティース部12に導線20を巻き付けるためのものである。フライヤ54は、旋回軸54aの軸端に取り付けられたアーム部54bが旋回軸54aの中心O2を中心として矢印θで示すように正逆転方向にそれぞれ旋回可能に設けられるとともに、整列巻きを行うために旋回動作と同期して旋回軸54aが軸方向(符号Z方向)へスライドするように構成されている。そして、供給される導線20は、フライヤ54のアーム部54bの基端側からアーム部54bの内部を通って先端部分まで繋がっている。
図12は3相交流の1相分(ここではV相)に対応する4個の磁極片10に対して連続して導線20を巻き付けた状態を示す説明図、図13は3相交流の残りの2相分(ここでは一例としてU相)に対応する4個の各磁極片10に対して連続して導線20を巻き付けた状態を示す説明図であり、各ティース部12に巻き付けられる導線20の部分は省略している。
図12、図13の比較から分るように、U相、W相の場合は、V相の場合と導線20が巻き付けられる方向、および巻き始め部分および巻き終わり部分の位置が逆になっている。また、これとは逆に図12をU相、W相、図13をV相とすることでも10極12ティースの固定子を構成することができる。
次に、図11および図12を参照し、自動巻線機50を使用して、1相分(ここではV相)を構成する2個1組の計4個の磁極片10の各ティース部に導線20を巻き付ける作業(以下、巻線作業という)、および巻線作業後に導線20の巻き終わり部分を切断することなくこれを次の磁極片まで引き回す作業(以下、渡り線作業という)の内容について説明する。
なお、ここでは、巻線作業と渡り線作業を合わせた繰り返し作業を配線作業と称する。
また、ここでは、説明の便宜上、各磁極片10が区別できるように、磁極片に対して個別に10a、10b、10c、10dの各符号を付す。
まず、2個1組の磁極片10a、10bと、2個1組の磁極片10c、10dの2組が互いに保持治具52の中心O1を挟む略点対称位置となるように配置する。このとき、互いに隣接する磁極片10aと10b、および磁極片10cと10dは前述したようにインシュレータ25のスナップフィット結合により互いに連結されている状態である。
次いで、互いに隣接する2個1組の磁極片10a、10bおよび磁極片10c、10dのそれぞれについて、各ティース部12が円盤状の保持治具52の外側に位置するように、保持治具52の取付ピンをバックヨーク部11に形成された取付溝13に挿入するなどして固定する。これによって、互いに隣接する2個1組の磁極片10a、10bおよび磁極片10c、10dのティース部12相互間の周方向に沿う離間距離が広がったV字形を呈するように配置される。
そして、保持治具52を回転して、まず一つの磁極片10aをフライヤ54の旋回軸54aと対面する位置に移動させる。続いて、フライヤ54のアーム部54bの先端から出ている導線20の端末部分を保持治具52に設置されている巻始線固定用ピン53等に固定した後、導線20をインシュレータ25の巻線逃がし溝36に沿わせてから、フライヤ54を旋回(ここではバックヨーク部11側から見て右回り旋回)するとともに、これに同期して旋回軸を軸方向(Z方向)に沿ってスライドさせながらこの磁極片10aのティース部12に導線20を巻き付ける(以下、巻線作業1と称す)。
その際、2個1組の磁極片10a、10bの内、導線20の巻線作業を行っていない他の磁極片10b、ならびに2個1組の他の磁極片10c、10dがいずれも常にフライヤ54の旋回先端の回転面Qよりも外側(図11では符号P2、P3、P4で示す箇所)に位置するように各磁極片の配置位置を設定して巻線作業を行う。このようにすれば、一つの磁極片10aに導線20を巻き付ける際、これ以外の他の磁極片10b、10c、10dに対してフライヤ54が干渉することを確実に避けることができる。
次に、保持治具52を回転し、他方の磁極片10bをフライヤ54の旋回軸54aと対面する位置に移動させる。このとき、先の磁極片10aに巻き付けた導線20の巻き終わり部分を切断することなくこれを渡り線22aとして、インシュレータ25の巻線逃がし溝36を通した後、次の巻線作業の対象となる磁極片10bの巻線逃がし溝36に沿わせる(以下、これを渡り線作業1と称す)。
続いて、この磁極片10bのティース部12に対して先の磁極片10aに巻いた方向とは逆方向(この例ではバックヨーク部11側から見て左回り)に導線20を巻き付ける(以下、これを巻線作業2と称す)。
その際、導線20の巻線作業の対象となる磁極片10b以外の他の磁極片10a、10c、10dがいずれも常にフライヤ54の旋回先端の回転面Qよりも外側に位置するように各磁極片の配置位置を設定して巻線作業を行うことで、他の磁極片10a、10c、10dにフライヤ54が干渉することを確実に避けることができる。
次に、保持治具52を回転し、磁極片10cをフライヤ54の旋回軸54aと対面する位置に移動させる。このとき、先の磁極片10bに巻き付けた導線20の巻き終わり部分を切断することなく、巻線逃がし溝36を通した後、次の巻線作業の対象となる磁極片10cに至るだけの所定長さ分を渡り線22bとして確保した後、この巻線作業の対象となる磁極片10cに対して、導線20を巻線逃がし溝36に沿わせる(以下、これを渡り線作業2と称す)。
次いで、先の磁極片10bと同じ方向(バックヨーク部11側から見て左回り)に導線20を巻き付ける(以下、これを巻線作業3と称す)。
この場合も、導線20の巻線作業の対象となる磁極片10c以外の他の磁極片10d、10a、10bがいずれも常にフライヤ54の旋回先端の回転面Qよりも外側に位置するようにして巻線作業を行うことで、他の磁極片10d、10a、10bにフライヤ54が干渉することを確実に避けることができる。
最後に、保持治具52を回転し、磁極片10dをフライヤ54の旋回軸54aと対面する位置に移動させる。このとき、先の磁極片10cに巻き付けた導線20の巻き終わり部分を切断することなくこれを渡り線22aとして、インシュレータ25の巻線逃がし溝を通した後、次の巻線作業の対象となる磁極片10dの巻線逃がし溝36に沿わせる(以下、これを渡り線作業3と称す)。
続いて、この磁極片10dのティース部12に対して先の磁極片10cに巻いた方向とは逆方向(この例ではバックヨーク部11側から見て右回り)に導線20を巻き付ける(以下、これを巻線作業4と称す)。
この場合も、導線20の巻線作業の対象となる磁極片10d以外の他の磁極片10c、10a、10bがいずれも常にフライヤ54の旋回先端の回転面Qよりも外側に位置するようにして巻線作業を行うことで、他の磁極片10c、10a、10bにフライヤ54が干渉することを確実に避けることができる。
このようして、2個1組の計4個の磁極片10a、10b、10c、10dについて配線作業(巻線作業と渡り線作業)を行った後、これらの各磁極片10a、10b、10c、10dを保持治具52から取り外す。そして、図12に示すように、2個1組の磁極片10a、10bおよび磁極片10c、10dのそれぞれのティース部12を逆反りしたV字形の状態から円弧状となるように元に戻す。これにより、V相に対応する4個の磁極片10a、10b、10c、10dに対して連続して導線20が巻き付けられた状態となる。
なお、4個の磁極片10a、10b、10c、10dの内、少なくとも2つの磁極片において渡り線22を介して連続して導線20が巻き付けられていればよく、渡り線22がない箇所は結線で補ってもよい。望ましくは、各相の磁極片10a、10b、10c、10dの全てにおいて渡り線22を介して連続して導線20が巻き付けられている方が工数および部品点数を低減できる点で好ましい。
以下、同様にしてU相およびW相にそれぞれ対応する4個の各磁極片10に対しても同様の作業を実施し、これら各相4個分の各磁極片10の内、互いに隣接配置された2個1組の磁極片10を、図1に示したように周方向に沿って各相交互に順次配置して円環状にする。そして、各磁極片10の互いに隣接する端面同士を、インシュレータ25を用いたスナップフィット結合により一体的に連結する(以下、これを環状化作業と称する)。続いて、図3、図4に示した結線状態となるように結線処理を行う。その後、円環状に配置された磁極片10の外周を樹脂でモールドするなどすることにより、所期の10極12ティースの3相DCブラシレスモータ用の固定子2が得られる。
以上説明したように、図11に示したような自動巻線機50を適用することにより、回転位置決め機構51を回転させるだけで同機構に取り付けた磁極片10がフライヤ54の旋回軸54aと対面する位置まで順次移動させることができる。そして、磁極片10が所定の位置まで移動した後は、磁極片10の位置は固定したままでフライヤ54を回転させることで導線20を巻き付けることができる。つまり、回転位置決め機構51とフライヤ54とは分離独立しているため、磁極片10の導線20の供給側への移動、および導線20の巻付とを一つの機構で同時に行えるので、装置の構成が簡素化され、故障が少なくかつ装置を安価に製作することができる。
しかも、フライヤ54を回転させることで導線20の巻き付けを実施する構成であり、磁極片10自体は高速回転しないので、導線20の巻き付け時に振動、あるいはたわみが発生して巻き付けた導線20の整列性が悪化するなどの不都合は生じず、このため、作業時間が早くなり、単位時間当たりの生産量を増やすことができる。
また、保持治具52に固定する磁極片10の数が多い場合と比較して、2個1組の磁極片10を保持治具52に取り付ける場合、これらの磁極片10をV字形を呈するように所望の間隔で取り付けた上で回転位置決め機構51を回転するだけで各磁極片10をフライヤ54に対向させることができるので、隣接する磁極片10の角度が狭くなって導線20を巻き付ける際の邪魔になり、また渡り線22aの長さを自由に設定できないなどの不具合発生を無くすことができる。
また、固定子2を構成する上では、2個1組の磁極片10を周方向に沿って各相交互に順次配置して円環状にすることが多いが、その場合、2個1組の磁極片10の各組相互間を結ぶ渡り線22bの距離は長くなるが、回転位置決め機構51を回転させるだけで順次巻線作業を行う箇所に各磁極片10を位置させることができるので、渡り線22bの長さを自由に設定することができる。
さらに、巻線21を施す際に、隣接する磁極片10とフライヤ54との干渉を避けることができ、巻線21の整列性を高めることができる。しかも、離散した位置に存在する磁極片10に対しても渡り線22bを施すことが可能であるため、生産性を高めることができる。
図14は、互いに隣接する磁極片同士をインシュレータのスナップフィット結合により連結した状態で渡り線を設けた場合の配置状態を周方向から見た概略側面図である。なお、ここでは、巻線は省略している。
インシュレータ25の柱状部38bは、これを嵌合する開環部37aに対して、軸方向に寸法Lだけ突出する長さに設定されている。このため、自動巻線機50を使用した磁極片10への導線20の配線作業においては、渡り線22を柱状部38bに係止した上で、屈曲、巻き付け等により変形することを容易に行える。また、スナップフィット雌部37の開環部37aの軸方向の端面により、渡り線22が巻線逃がし溝36から巻線部28に至るまでの途中で磁極片10に過剰に近づくことを抑制することができ、必要な絶縁距離を容易に確保することができる。したがって、柱状部38bおよび開環部37aが渡り線22を係止する渡り線係止部40として作用する。
また、互いに隣接する磁極片10同士を回転させる回転中心となる柱状部38bの外輪郭は、互いに隣接する磁極片10よりも径方向外方に配置される。したがって、ティース部12への巻線後、ティース部12を逆反り状態から両者が円弧状となるように元に戻しても、渡り線22が引張、あるいは弛みの影響を受けにくく、動きを抑制することができる。このため、後工程で渡り線22の位置を調整し直すという作業を不要にできる。
上記のことは、磁極片10の軸方向の両端から装着される一対のインシュレータ25のいずれについても言えることである。そして、軸方向の両端の一対のインシュレータ25のいずれか一方、または両方に渡り線22を配置させることが可能である。このため、異相間で電位差の高い渡り線同士の接触を容易に防ぐことができる。
また、磁極片10の軸方向の両端の外方は、通常使われない空間であるが、これらの空間を有効に使うことができる。これらの空間を利用せずにプリント基板などの代替部品で複数の磁極片10間の絶縁を行う場合には、代替部品の材料費およびスペースが必要となるのに対して、空間を有効に利用すれば、回転電機の小型化などに貢献できる。
なお、先の図11、図12に示した例では、互いに隣接する2個1組の磁極片10の各組の相互間を結ぶ渡り線22bは、固定子の外周に沿わせているが、全ての磁極片10を円環状に結合する際に、渡り線22bが各磁極片10に干渉するのを避けることができる態様ならばどのように引き回すかについては特別な制約はない。例えば、円環状に配置される各磁極片10の径方向の内方側に位置させる、あるいは径方向の外方側に位置させることができる。
図15は実施の形態1の固定子において、渡り線を磁極片10に確実に固定するための一例を示す概略半断面図である。
ここでは、図14に示したように、互いに隣接する磁極片10同士をインシュレータ25のスナップフィット結合により連結した状態で渡り線22を設けた後、この連結部分において、柱状部38bの軸方向端部を渡り線22を包み込むように溶着して溶着部38eを形成している。インシュレータ25は、熱可塑性樹脂で構成されているので、インシュレータ25を射出成型で製作していても、その後に熱を加えることで容易に溶着部38eを形成することが可能となる。以下、この作業を溶着作業と称する。
この場合の溶着作業は、各磁極片10を円環状に戻す前、または、円環状に戻した後のいずれであってもよい。前者の場合は、各磁極片10を円環状に戻す際に、渡り線22が動くことを抑制することができる。また、後者の場合は、前者の場合よりも溶着強度を強くすることができ、磁極片10同士の動き自体を規制して、磁極片10を環状に戻す作業、ならびに環状化後の固定子2のハンドリング作業が容易になる。
なお、溶着部38eの形成箇所は、少なくとも各相の渡り線22で1か所以上あればよく、さらに全箇所がより望ましい。このとき、次のモールド工程で樹脂が渡り線22に当たることを抑制できるため、渡り線22を任意の位置に配置し易いといったメリットがある。
図16はこの実施の形態1の回転電機における固定子の製造方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS10の絶縁組立工程では、前述の絶縁組立作業を行い、各磁極片10にインシュレータ25を装着する。次に、互いに隣接する一対の磁極片10同士をスナップフィット結合して連結し、連結された2個の磁極片10を1組として、その2組分(計4個)をU相、V相、W相のいずれか一つの相として設定する。なお、この絶縁組立工程では、磁極片10に一対のインシュレータ25を装着する代わりに、磁極片10を成形機に入れて直接に樹脂で覆って一体成形することも可能である。
そして、ステップS10の絶縁組立工程が終了すると、一つの相に対応する4個の各磁極片10に対して前述の配線作業(導線20の巻線作業および渡り線作業)を実施する配線工程に移行する。
具体的な工程としては、
まず、ステップS11の巻線工程1では、インシュレータ25を介して1つの磁極片10aに導線を集中的に巻き付ける前述の巻線作業1を実施する。
次に、ステップS12の渡り線工程1では、次の巻線対象の磁極片10bに連続して導線を切断せず渡り線として形成する前述の渡り線作業1を実施する。
次に、ステップS13の巻線工程2では、インシュレータ25を介して1つの磁極片10bに導線を集中的に巻き付ける前述の巻線作業2を実施する。
次に、ステップS14の渡り線工程2では、離間する巻線対象の磁極片10cに連続して導線を切断せず渡り線として形成する前述の渡り線作業2を実施する。
次に、ステップS15の巻線工程3では、インシュレータ25を介して1つの磁極片10cに導線を集中的に巻き付ける前述の巻線作業3を実施する。
次に、ステップS16の渡り線工程3では、次の巻線対象の磁極片10dに連続して導線20を切断せず渡り線として形成する前述の渡り線作業3を実施する。
次に、ステップS17の巻線工程4では、インシュレータ25を介して1つの磁極片10dに導線20を集中的に巻き付ける前述の巻線作業4を実施する。
次に、ステップS18の溶着工程では、図15に示したように、インシュレータ25の渡り線がスナップフィット結合の連結部分が全て覆われるように溶着部38eを形成する前述の溶着作業を実施する。これにより、磁極片10の姿勢変形を行ったとしても渡り線が動くことを抑制することができる。
上記のU相、V相、W相のいずれか一つの相に対応する4個の各磁極片10の配線工程(巻線工程1~4、および渡り線工程1~3)が完了すると、残りの他の相に対応する4個の各磁極片10に対しても、同様にして、配線工程(巻線工程1~4、および渡り線工程1~3)を繰り返し実施する。
そして、全ての相について4個分の各磁極片10の配線工程が完了すると、ステップS19の環状化工程では、図1に示したよう巻線した全ての磁極片10を周方向に沿って各相交互に順次配置して円環状にする。そして、各磁極片10の互いに隣接する端面同士を、インシュレータ25を用いたスナップフィット結合により一体的に連結する前述の環状化作業を実施する。
最後に、ステップS20のモールド工程では、円環状に配置された磁極片10、導線20、インシュレータ25の開環部37a、柱状部38b、および渡り線係止部40などを含めた固定子2全体を樹脂5でモールドするモールド作業を実施する。
図17は、図16の固定子の製造方法の変形例である。
この固定子の製造方法では、ステップS18の溶着工程をステップS19の環状化工程の後に行うようにしている。これより、環状化時の磁極片10の動きを抑制でき、固定子2としての形状を維持し易い。このため、その後に樹脂でモールドするモールド工程までのハンドリング時に各磁極片10がバラバラにならず、モールド金型に投入する際に形状が維持されているため挿入性が良くなる。
そして、図16、または図17に示した固定子の製造工程を経た後、固定子2の内径側に回転子を回転自在に同軸配置する工程により、安価、小型で高性能な所期の回転電機が得られる。
図18Aは、このようにして得られた回転電機の概略断面図であり、図18Bは図18AのA1部の拡大図である。
この回転電機1は、図1に示した構成の固定子2の内径側に回転子3が回転自在に同軸配置され、固定子2の外周は樹脂5でモールドされている。そして、回転子3は、内径側から回転出力軸4、この回転出力軸4に挿入された回転子鉄心6、およびその外周に配置された永久磁石7からなり、永久磁石7は、10極になるように着磁されて構成されている。
なお、ここでは永久磁石7をリング状としたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば複数に分割された磁石を使用してもよい。また、回転子3の構成を表面貼付型磁石構造(SPM;Surface Permanent Magnet)としているが、これに限定されるものではなく、例えば埋込型磁石構造(IPM;Interior Permanent Magnet)を採用してもよい。
また、ここでは、導線20、インシュレータ25の開環部37a、柱状部38b、および渡り線係止部40などを含めた固定子2全体が樹脂5でモールドされている。すなわち、固定子2にモールドされた樹脂5は、その内周面5aが磁極片10の内周面を周方向に延長した内径輪郭の位置まで形成され、また、その外周面5bが磁極片10よりもさらに径方向外方に突出したインシュレータ25の開環部37a、柱状部38b、渡り線係止部40も全て覆う位置に形成されている。
この構成であると、インシュレータ25の回転中心となる柱状部38bが磁極片10の外径側に配置されていても、各磁極片10の固定を容易に行える。つまり、筒状の金属リングを磁極片10の外径に圧入、接着等で配置しようとすると、磁極片10より外径側にはみ出したインシュレータ25のスナップフィット結合による連結部分が干渉してしまうが、この実施の形態1のように、樹脂5でモールドすることでこれを回避することが可能となり、分割された磁極片10が環状に固定される。また、固定子2の外面に油などが付着しても、導線20、磁極片10へのダメージを抑制することができる。
なお、この実施の形態1では、10極12ティースの3相DCブラシレスモータ用の回転電機1の固定子2を構成する場合を前提としたため、互いに隣接する磁極片10として2個の磁極片10が連続に巻線されるものについて説明したが、これに限定されることはなく、磁極片10が3個以上隣接するものであっても渡り線22を介して連続に巻線するものであれば、本願のインシュレータ25を使い、渡り線22を回転中心付近に配置することが可能である。
以上のように、この実施の形態1によれば、全て同一形状をした1種類のインシュレータ25を使用してこれを磁極片10に装着し、互いに隣接する磁極片10同士をスナップフィット結合により連結するようにしているので、使用部品点数を増加させることなく、高性能な固定子2を有する回転電機1を得ることができる。また、製造工程を徒に増加させることなく製作できるので、製造コストを抑えることができる。
実施の形態2.
図19は実施の形態2において、磁極片に装着される1つのインシュレータを径方向内方から見た斜視図、図20は同インシュレータを径方向外方から見た斜視図、図21は互いに隣接する磁極片にそれぞれインシュレータを装着した状態で渡り線を設けた場合の配置状態を周方向から見た概略側面図である。なお、図7、図8と対応する構成部分には同一の符号を付す。
この実施の形態2の特徴は、インシュレータ25の柱状部38bの一部に切欠部38cを設け、渡り線22がこの切欠部38cを通過するように配置される。この場合、切欠部38cは、軸方向に沿う面が磁極片10の径方向外方、すなわちティース部12と反対側の径方向外側を向いて形成されている。したがって、この切欠部38cが渡り線22を係止する渡り線係止部40となる。
図22は3相交流の1相分(ここではV相)に対応する4個の磁極片10に対して連続して導線20を巻き付けた状態を示す説明図、図23は3相交流の残りの2相分(ここでは一例としてU相)に対応する4個の各磁極片10に対して連続して導線20を巻き付けた状態を示す説明図であり、各ティース部に巻き付けられる導線20の部分は省略している。
互いに隣接する磁極片10同士については、渡り線22aが柱状部38bに設けた切欠部38cを通過するように配置される。この場合、柱状部38bの中心は、スナップフィット結合の回転中心であり、したがって、渡り線22aは回転中心の近傍を通る位置に配置される。このため、前述のように、渡り線22aの動きを抑制できる。
なお、図22、図23では、互いに離間している磁極片10については、連続で渡る渡り線22bは柱状部38bに設けた切欠部38cに配置されていないが、これに限定されることはなく、渡り線22bについても同様に、屈曲、巻き付けなどにより変形させて切欠部38cに配置してもよい。このようにすることで、渡り線22bの動きを抑制でき、磁極片10を自動巻線機50から外す際、および円環状にする際に位置がずれることを抑制できる。
以上のように、この実施の形態2では、スナップフィット結合の回転中心となるインシュレータ25の柱状部38bの一部に切欠部38cを設け、この回転中心の近傍の切欠部38cを通るように渡り線22を配置することにより、渡り線22の動きを一層抑制する効果がある。また、実施の形態1に比べて柱状部38bに切欠部38cを設けるため、使用する樹脂量を抑制する効果がある。
実施の形態3.
図24は実施の形態3において、磁極片に装着される1つのインシュレータを径方向内方から見た斜視図、図25は同インシュレータを径方向外方から見た斜視図、図26は互いに隣接する磁極片にそれぞれインシュレータを装着した状態で渡り線を設けた場合の配置状態を周方向から見た概略側面図である。
この実施の形態3の特徴は、インシュレータ25の柱状部38bの一部にスリット38fを設け、このスリット38fが渡り線22を係止する渡り線係止部40となる。この場合、スリット38fはスナップフィット結合の回転中心となる柱状部38bの回転中心を通り、かつ軸方向の基部38aとは反対側の端面から軸方向に沿って形成されている。そして、渡り線22は、スリット38f内を通過するように配置される。この場合、スリット38fには、内径側と外径側に軸方向に延びる壁があるため、渡り線22の動きをより一層規制することができるので、後工程で渡り線22の位置を所望の位置に配置し直すといった作業が不要となる。
なお、図27に示すように、スリット38fに渡り線22を通した状態で柱状部38bの軸方向端部を溶着して溶着部38eを形成することも可能である。溶着工程は配線工程の後で、かつ環状化工程の前、あるいは、環状化工程の後に実施することができる。前者の場合には、その後の環状化工程の際に磁極片10を回転させたとしても渡り線22の動きを規制することができる。また、後者の場合には、渡り線22を配置していないスナップフィット結合された連結部分も含めて、柱状部38bと開環部37a間の固定力を強固にして両者38b、37a間が回動するのを規制できる。つまり、磁極片10同士の動きを規制することができ、ハンドリング時に磁極片10がばらばらになるといったことを抑制することができる。
上記の実施の形態1、2、3に対する各種の変形例を以下に示す。
変形例1.
図28において、実施の形態1との違いは、スナップフィット雄部38の柱状部38bの軸方向長さが短く、スナップフィット雌部37の開環部37aの軸方向の厚さと同じに設定されている。したがって、柱状部38bの軸方向の端面が開環部37aの軸方向の端面と面一になっている。このため、開環部37aの外径側に渡り線22を屈曲、巻き付け等により変形して配置している。したがって、開環部37aの径方向の外周側の一部が渡り線22を係止する渡り線係止部40としている。この構成であると、実施の形態1、2に対して、インシュレータ25の材料使用量を抑制することができる。
変形例2.
図29は、図28の場合と同様に、柱状部38bの軸方向の端面が開環部37aの軸方向の端面と面一に形成されているが、図28との違いは、スナップフィット雌部37の開環部37aの軸方向端部において、径方向の外周側の一部を切り欠いて切欠部37dを形成し、この切欠部37dに渡り線22を屈曲、巻き付け等により変形して配置している。
したがって、この切欠部37dが渡り線22を係止する渡り線係止部40となる。
これにより、図28の構成の場合と比べ、渡り線22の軸方向の動きを切欠部37dの軸方向端面により規制し易い。また、自動巻線機50で渡り線22を配置する際に、高速動作による振動で導線20が動いた場合でも、切欠部37dによって導線20の位置決めが容易となり、生産性を高めることができる。
変形例3.
図30において、図29のインシュレータ25との違いは、スナップフィット雌部37の開環部37aの軸方向の中間部において、径方向の外周側の一部を切り欠いてコの字形状の溝部37eを形成し、渡り線22がこの溝部37e内を通過するように屈曲、巻き付け等により変形して配置している。したがって、この溝部37eが渡り線22を係止する渡り線係止部40となる。
これにより、図29の構成の場合と比べ、溝部37eには、軸方向の上下端に壁があるため、渡り線22の動きを一層規制することができる。このため、後工程で渡り線22の位置を所望の位置に配置し直すといった作業が不要となる。また、自動巻線機50で渡り線22を配置する際に、高速動作による振動で導線20が動いた場合でも、溝部37eによって線材の位置決めが容易となり、生産性を高めることができる。
変形例4.
図31は、インシュレータ25のスナップフィット雄部38の基部38aの径方向の外周側の一部を切り欠いてコの字形状の溝部38gを形成し、渡り線22がこの溝部38g内を通過するように屈曲、巻き付け等により変形して配置している。したがって、この溝部38gが渡り線22を係止する渡り線係止部40となる。
これにより、図30の構成の場合と同様に、溝部38gには、軸方向の上下端に壁があるため、渡り線22の動きを一層規制することができる。さらに、変形例1~3(図28~図30)に比べ、渡り線22を磁極片10に近い軸方向位置に配置することができる。このため、渡り線22の長さを短くでき、使用する線材の材料を抑制できる。また、自動巻線機50で渡り線22を配置する際に、高速動作による振動で線材が動いていたとしても溝部38gによって線材の位置決めが容易となり、生産性を高めることができる。
変形例5.
実施の形態1(図18)では、導線20、インシュレータ25の開環部37a、柱状部38b、および渡り線係止部40などを含めた固定子2全体が樹脂5でモールドされている。
これに対して、図32に示す変形例では、固定子2にモールドされた樹脂5は、その内周面5aが磁極片10の内周面を周方向に延長した内径輪郭の位置まで形成されているが、その外周面5b(図中、破線で示す)の位置は、実施の形態1(図18)の場合と異なり、磁極片10の外周面を周方向に延長した外径輪郭の位置よりも内側に形成されている。したがって、この構成では、インシュレータ25の開環部37a、柱状部38b、渡り線係止部40などは、樹脂5でモールドされていない。
このように、モールドする樹脂5の外周面5bの位置を磁極片10の外周面を周方向に延長した外径輪郭の位置よりも内側に形成することにより、分割された磁極片10を環状に固定した状態を保ちつつ、モールドする樹脂5の使用量を抑制し、軽量化および材料費の低減を図ることができる。
変形例6.
上記の変形例5(図32)では、モールドした樹脂5の外周面5bの位置は、磁極片10の外周面を周方向に延長した外径輪郭の位置よりも内側に形成されており、インシュレータ25の開環部37a、柱状部38b、渡り線係止部40などは、樹脂5でモールドされていない。
これに対して、図33に示す変形例では、その外周面5b(図中、破線で示す)の位置は、磁極片10の外周面を周方向に延長した外径輪郭の位置よりも若干内側に形成されている。しかし、変形例5(図32)の場合と異なり、磁極片10よりもさらに径方向外方に突出したインシュレータ25の開環部37a、柱状部38b、渡り線係止部40が樹脂5cで局部的にモールドされている。これにより図示しない渡り線もモールドされている。
このように、磁極片10同士の連結部であるインシュレータ25のスナップフィット雌部37、スナップフィット雄部38、渡り線係止部40を樹脂5でモールドすることで、回転電機1の固定子2の剛性を上げることができ、振動を抑制することができる。また、固定子2の外面に油などが付着しても、インシュレータ25のスナップフィット雌部37、スナップフィット雄部38、渡り線係止部40などへのダメージを抑制することができる。さらに、磁極片10よりもさらに径方向外方に突出したインシュレータ25の開環部37a、柱状部38b、渡り線係止部40を樹脂5cで局部的にモールドした部分を除けば、その外周面5b(図中、破線で示す)の位置は、磁極片10の外周面を周方向に延長した外径輪郭の位置よりも若干内側に形成しているので、実施の形態1(図18)の場合と比べて、モールドする樹脂5の使用量を抑制し、軽量化および材料費の低減を図ることができる。
変形例7.
図27に示した実施の形態3の変形例では、インシュレータ25の柱状部38bの一部にスリット38fを設け、このスリット38fに渡り線22を通した状態で柱状部38bの軸方向端部を溶着して溶着部38eを形成している。
これに対して、図34に示す変形例では、図27に示した構成に加えて、インシュレータ25のスナップフィット雄部38の基部38aの径方向の外周側の一部を切り欠いて断面コの字形状の溝部38gを軸方向に沿って上下2箇所に形成し、渡り線22がこの溝部38g内を通過するように屈曲、巻き付け等により変形して配置している。
この場合、柱状部38bを溶着して溶着部38eが形成された箇所を通過する渡り線22は、互いに隣接配置された磁極片10間に引き回される、ある1相(例えばV相)に対応する渡り線であり、各々の溝部38gに配置される渡り線は、これとは異なる他の相(例えばU相、W相)の渡り線である。
このような構成とすることで、柱状部38bを溶着した箇所の渡り線22は、環状化工程の際に磁極片10を回転させたとしても渡り線22の動きを規制することができることに加えて、溝部38g内に他の相の渡り線22が通過するようにしたことで、電位差が大きい互いに異なる相の渡り線22同士の不意の接触を避けることができる。
変形例8.
上記の変形例7(図34)では、インシュレータ25の柱状部38bの一部にスリット38fを設け、このスリット38fに渡り線22を通した状態で柱状部38bを溶着し、かつ、スナップフィット雄部38の基部38aの径方向の外周側の一部を切り欠いて溝部38gを2箇所に形成し、この溝部38g内に渡り線22を通す構成とした。
これに対して、図35に示す変形例では、図34に示した構成に加えて、各々の溝部38g内に渡り線22を通した後、その部分を溶着して溶着部38hを形成して渡り線22を固定した構成としたことである。なお、この構成の場合も、柱状部38b、および各溝部38g内に配置される渡り線22は、互いに異なる相の渡り線22である。
このような構成とすることで、例えば環状化工程の後に各溝部38g内に渡り線22を配置した後にその部分を溶着して渡り線22を固定することで、各々の渡り線22の動きを規制することができ、電位差が大きい異相の渡り線22同士の不意の接触を確実に避けることができる。
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態および変形例が記載されているが、一つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるものではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも一つの構成要素を変形する場合、追加する場合、または省略する場合、(さらには、少なくとも一つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合)が含まれものとする。
1 回転電機、2 固定子、3 回転子、5 樹脂、10,10a,10b,10c,10d 磁極片、11 バックヨーク部、12 ティース部、20 導線、21 巻線、22,22a,22b 渡り線、25 インシュレータ、37 スナップフィット雌部、37a 開環部、37b 開口部、37d 切欠部、37e 溝部、38 スナップフィット雄部、38a 基部、38b 柱状部、38c 切欠部、38e,38h 溶着部、38f スリット、38g 溝部、40 渡り線係止部、50 自動巻線機、51 回転位置決め機構、54 フライヤ。

Claims (14)

  1. 円弧状のバックヨーク部から径方向の内方に向けてティース部が一体に突出形成された複数の磁極片を備え、各々の前記磁極片は、前記径方向と直交する軸方向において、一対の樹脂製のインシュレータがそれぞれ装着され、かつ前記インシュレータが装着された各々の前記磁極片は、導線が前記磁極片の間を結ぶ渡り線を介して連続して巻装された状態で円環状に配置されており、
    前記インシュレータは、軸方向端部の周方向の一方端にスナップフィット雌部が、他方端にスナップフィット雄部がそれぞれ設けられ、前記スナップフィット雌部は、軸方向と直交する方向に開口する開口部が形成された開環部を有し、前記スナップフィット雄部は、周方向および径方向に膨出された基部から軸方向に延出された柱状部を有し、
    前記円環状の配置における互いに隣接する磁極片同士は、前記開環部への前記柱状部の嵌合によりスナップフィット結合されて互いに揺動可能に連結されており、
    前記開環部または前記柱状部には、前記渡り線が係止されている渡り線係止部が設けられている固定子。
  2. 前記開環部は、前記軸方向において前記磁極片との間に前記基部の軸方向の厚みに対応する隙間を存して設けられ、前記スナップフィット結合された状態において、前記基部が、前記隙間に挟み込まれて軸方向の変位が規制されている、請求項1に記載の固定子。
  3. 前記渡り線係止部は、前記柱状部の外周面の一部、前記柱状部の外周面に形成された切欠部、前記柱状部に形成されたスリット、前記基部の外周面に形成された溝部、前記開環部の外周面の一部、前記開環部の外周面に形成された切欠部または溝部のうち、少なくともいずれか一つである請求項1または請求項2に記載の固定子。
  4. 前記渡り線係止部は、前記柱状部の外周面に形成された切欠部であり、
    前記切欠部は、前記スナップフィット結合の回転中心を通っており、
    前記渡り線は、前記切欠部において前記回転中心を通っている請求項3に記載の固定子。
  5. 前記切欠部における軸方向に沿う面は、前記ティース部と反対側の径方向外側を向いている請求項4に記載の固定子。
  6. 前記渡り線係止部は、前記柱状部に形成されたスリットであり、
    前記スリットは、前記スナップフィット結合の回転中心を通り、かつ軸方向の前記基部とは反対側の端面から軸方向に沿って形成され、
    前記渡り線は、前記スリット内を通過するように配置されている請求項3に記載の固定子。
  7. 全ての前記磁極片の一部および前記渡り線係止部の少なくとも一部が樹脂でモールドさている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の固定子。
  8. 前記渡り線が係止されている前記渡り線係止部の内、少なくとも1つの前記渡り線係止部は、前記渡り線の一部を覆って溶着されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載の固定子。
  9. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の固定子、および前記固定子の内周面側に回転自在に同軸配置された回転子を備えた回転電機。
  10. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の固定子の製造方法であって、前記磁極片に対して前記インシュレータを装着する絶縁組立工程と、前記絶縁組立工程を経た後の1つの磁極片に対して導線を集中的に巻き付ける巻線工程と、前記巻線工程を経た後に、次の巻線対象の磁極片に対して導線を切断せずに渡り線として導入する渡り線工程とを繰り返す配線工程と、前記配線工程により、全ての磁極片に対する導線の巻き付けが完了した後に、各々の前記磁極片を円環状に配置して互いに隣接する磁極片同士の全てを前記インシュレータのスナップフィット結合により連結する環状化工程とを有する固定子の製造方法。
  11. 前記配線工程は、前記磁極片の積層方向に回転軸を持つ回転位置決め機構と、前記回転位置決め機構の回転軸と直交する方向に配置された回転軸を中心に旋回しつつ導線を供給する導線供給巻付用のフライヤとを備えた装置を適用し、前記回転位置決め機構に、互いに隣接する2個1組のスナップフィット結合された第1の磁極片および第2の磁極片と、互いに隣接する2個1組のスナップフィット結合された第3の磁極片および第4の磁極片からなる計4個の磁極片を取り付け、その際、互いに隣接する前記2個1組の磁極片については、前記ティース部が周方向に離間してV字形を呈するように配置した後、前記第1の磁極片のティース部に前記フライヤにより導線を巻き付ける巻線工程1と、前記導線を切断することなく前記回転位置決め機構の回転によって前記第2の磁極片を前記フライヤに対向させて渡り線を配置する渡り線工程1と、前記第2の磁極片のティース部に前記フライヤにより導線を巻き付ける巻線工程2と、前記導線を切断することなく前記回転位置決め機構の回転によって前記第3の磁極片をフライヤに対向させて渡り線を配置する渡り線工程2と、前記第3の磁極片のティース部に前記フライヤにより導線を巻き付ける巻線工程3と、前記導線を切断することなく前記回転位置決め機構の回転によって前記第4の磁極片を前記フライヤに対向させて渡り線を配置する渡り線工程3と、前記第4の磁極片のティース部に前記フライヤにより導線を巻き付ける巻線工程4とを含み、前記環状化工程は、互いに隣接する前記2個1組の各磁極片をそれぞれ前記V字形から円弧形状に変形した後、4個の磁極片を1組とし、この1組を3の倍数組並べて環状に組み立てる工程を含む、請求項10に記載の固定子の製造方法。
  12. 前記配線工程の後で、かつ、前記環状化工程の前に、前記渡り線係止部を溶着する溶着工程を有する、請求項10または請求項11に記載の固定子の製造方法。
  13. 前記配線工程および前記環状化工程を経た後に、前記渡り線係止部を溶着する溶着工程を有する、請求項10または請求項11に記載の固定子の製造方法。
  14. 請求項10から請求項1のいずれか1項に記載の固定子の製造工程を経た後、前記固定子の内周面側に回転子を回転自在に同軸配置する工程、を含む回転電機の製造方法。
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