JPWO2021100497A1 - トリクロロシランの製造方法 - Google Patents

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Abstract

塩化アルミニウムの析出に起因する、配管における側壁の内面のエロージョンを低減する。トリクロロシランの製造方法であって、蒸留工程(S3)では、蒸留塔(4)から排出される排出液(10)を、側壁(12)の内面(15)がセラミック層(13)で覆われた第2配管(100)の内空部(19)に流すことで、蒸留塔(4)から排出液(10)を回収する。

Description

本発明は、トリクロロシランの製造方法および当該製造方法に用いられる配管に関する。
従来から、高純度のトリクロロシラン(SiHCl)は、多結晶シリコン(Si)の製造用原料に使用されている。多結晶シリコンは、例えば半導体または太陽光発電用ウエハの原料として使用される。トリクロロシランは、例えば以下の方法によって得られる。まず、金属珪素を、触媒の存在下で塩化水素(HCl)を含有する原料ガスと反応させることにより、トリクロロシランおよび四塩化珪素(SiCl)等のクロロシラン化合物を含有する排出ガスを生成する。次に、この排出ガスを冷却・凝縮して凝縮液を得た後、当該凝縮液を蒸留して純度を高めた精製液を回収することで、多結晶シリコンの製造用原料としてのトリクロロシランが得られる。
また、凝縮液の蒸留に起因して排出される排出液もクロロシラン化合物を含有している。したがって、この排出液を回収して金属珪素と反応させ、クロロシラン化合物を含有する排出ガスを生成することによっても、多結晶シリコンの製造用原料としてのトリクロロシランが得られる。
凝縮液の蒸留に起因して排出される排出液は、クロロシラン化合物の他、未反応金属珪素粉および金属珪素に由来する不純物を含有している。この不純物はアルミニウム(Al)を含有しているため、不純物中のアルミニウムがクロロシラン化合物と反応して塩化アルミニウム(AlCl)が生成される。この塩化アルミニウムおよび未反応金属珪素粉は、トリクロロシランの製造設備における排出液が流れる配管に悪影響を及ぼす。具体的には、塩化アルミニウムが、未反応金属珪素粉の表面および前記の配管の側壁の内面に析出して当該側壁の内面のエロージョンを生じさせる原因となる。
特に、排出液と接触する側壁の内面における温度が80℃以下に低下している部分では、塩化アルミニウムの析出が激しくなり、エロージョンが顕著に生じる。さらに、側壁の内面における温度が70℃以下に低下している部分では、塩化アルミニウムの析出がさらに激しくなり、エロージョンがより顕著に生じる。そのため、従来のトリクロロシランの製造方法では、塩化アルミニウムの析出に起因して排出液が流れる配管の寿命が短くなってしまうという問題点があった。
上述のような配管寿命の短縮化を防ぐための技術として、例えば特許文献1には、トリクロロシランを含有する排出ガスの冷却工程で用いられる配管について、配管の側壁における排出ガスと接する表面を所定温度以上にする技術が開示されている。この技術は、流動床方式反応装置から排出された排出ガスが流れる配管の側壁内に形成された空間に流体を流すことで、側壁における排出ガスと接する表面の温度を110℃以上にしつつ、排出ガスを冷却するものである。
国際公開第2019/098343号(2019年5月23日公開)
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、排出ガスが流れる配管内での塩化アルミニウムの析出および固化を低減するものである。一方、凝縮液の蒸留に起因して排出される排出液が流れる配管内での塩化アルミニウムの析出を低減する技術については、特許文献1には開示されていない。そのため、特許文献1に開示された技術を用いたとしても、排出液が流れる配管内での塩化アルミニウムの析出を低減するという点では必ずしも十分とは言えなかった。
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、配管にクロロシラン化合物等を含有した排出液を流す際に生じる、配管の側壁の内面に塩化アルミニウムが析出することに起因する前記の内面のエロージョンを低減することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るトリクロロシランの製造方法は、アルミニウムを0.10質量%以上含有する金属珪素と、塩化物を含有する原料ガスと、の反応に基づいて生成されたトリクロロシランを含有する第1液を、蒸留装置にて蒸留する蒸留工程を含み、前記蒸留装置から、塩化アルミニウムのモル濃度が前記金属珪素中の前記アルミニウムのモル濃度よりも高い、前記トリクロロシランを含有する第2液を回収する、トリクロロシランの製造方法であって、前記蒸留工程では、側壁の内面がセラミック層で覆われた配管の内部に、前記蒸留装置から排出された前記第2液を流すことにより、前記蒸留装置から前記第2液を回収する。
本発明の一態様に係る配管は、アルミニウムを0.10質量%以上含有する金属珪素と、塩化物を含有する原料ガスと、の反応によって生成されたトリクロロシランを含有する第1液を蒸留する蒸留装置から排出された、前記トリクロロシランを含む第2液を流すために用いられ、前記蒸留装置から回収される前記第2液中の塩化アルミニウムのモル濃度が、前記金属珪素中の前記アルミニウムのモル濃度よりも高くなる条件下で用いられる配管であって、前記配管の側壁の内面が、セラミック層で覆われている。
本発明の一態様によれば、第2液中の塩化アルミニウムの析出に起因して配管の側壁の内面にエロージョンが生じることを低減することができる。
本発明の一実施形態に係るトリクロロシランの製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るトリクロロシランの製造設備の一例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る第2配管の直胴部分の概略構造を示す断面図である。 前記第2配管のエルボ部分の概略構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態の第1変形例に係る第2配管の直胴部分の概略構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態の第2変形例に係る第2配管の直胴部分の概略構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態の第3変形例に係る第2配管の直胴部分の概略構造を示す断面図である。 本発明の実施例に係る第2配管の直胴部分の概略構造を示す断面図である。
〔トリクロロシランの製造方法〕
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るトリクロロシランの製造方法は、反応工程(S1)、凝縮液生成工程(S2)および蒸留工程(S3)を含む。また、図2に示すように、本発明の一実施形態に係るトロクロロシランの製造設備1は、流動床方式反応装置2、集塵装置3、蒸留塔4、第1配管5および第2配管100を備えている。なお、流動床方式反応装置2に至るまでの金属珪素6および原料ガス7(ともに後述)の流れについては、例えば、国際公開第2019/098344号に記載されているため、当該記載を必要に応じて援用することとし、説明を省略する。
<反応工程>
まず、図1に示す反応工程(S1)では、金属珪素6と原料ガス7とを反応させることで、不図示のトリクロロシランを生成する。トリクロロシランの生成に用いられる金属珪素6としては、冶金製金属シリコン、珪素鉄、あるいはポリシリコン(Si)等の金属状態のケイ素元素を含む固体物質が挙げられ、公知のものが何ら制限なく使用される。
また、金属珪素6は、アルミニウム、鉄化合物等の不純物を含有している。金属珪素6中のアルミニウムの濃度は、0.10質量%以上、より好適には0.15質量%以上かつ0.50質量%以下である。アルミニウム以外の不純物の成分および含有量については特に制限はなく、また金属珪素6中にアルミニウム以外の不純物が含有されていなくてもよい。金属珪素6は、通常、平均粒径が150μm以上かつ350μm以下程度の微細な粉末の形態で使用される。
トリクロロシランの生成に用いられる原料ガス7として、本実施形態では、塩化水素を含有するガス(以下、塩化水素ガス)が用いられる。塩化水素ガスは、本発明に係る第1原料ガスの一例であり、塩化水素は、本発明に係る塩化物の一例である。原料ガス7として用いられる塩化水素ガスの種類については何ら制限がなく、工業的に入手し得る種々の塩化水素ガスを使用することができる。
図2に示すように、トリクロロシランの生成には流動床方式反応装置2を用いる。流動床方式反応装置2は、金属珪素6と原料ガス7とを反応させてトリクロロシランを生成するための反応装置であり、本発明に係る反応装置の一例である。流動床方式反応装置2としては、公知のものを特に制限なく用いることができる。流動床方式反応装置2は金属珪素6および原料ガス7を連続的に供給できることから、流動床方式反応装置2を用いることでトリクロロシランを連続的に製造することが可能となる。なお、トリクロロシランの生成に用いる反応装置は流動床方式反応装置2に限定されない。例えば、流動床方式でない公知の反応装置を何ら制限なく用いることができる。
金属珪素6および原料ガス7の供給量は、流動層が形成可能な流量となる速度で金属珪素6および原料ガス7を供給することができれば、特に制限されない。また、金属珪素6と原料ガス7との反応の反応速度を速くするとともに、効率よくトリクロロシランを製造するという観点から、金属珪素6と原料ガス7とを反応させる際には触媒を用いることが好ましい。この反応に用いる触媒としては、例えば、銅粉、塩化銅、銅シリサイド等の銅系触媒を挙げることができる。
金属珪素6と原料ガス7との反応における反応温度は、流動床方式反応装置2の材質および能力、ならびに触媒等を勘案して適宜決定される。前記反応温度は、一般には200℃以上かつ500℃以下、好ましくは250℃以上かつ450℃以下の範囲に設定される。
反応工程(S1)において、流動床方式反応装置2内で生じる主な反応は、下記の式(1)および式(2)で表される。
Si+3HCl→SiHCl+H …式(1)
Si+4HCl→SiCl+2H …式(2)
流動床方式反応装置2で生成されたトリクロロシランは、不図示の排出ガスとして排出される。この排出ガスは、トリクロロシランの他、水素、副生の四塩化珪素・未反応の金属珪素6、その他のクロロシラン化合物および塩化アルミニウムを含有している。本明細書において、クロロシラン化合物とは、塩素元素および珪素元素を含む化合物を意味する。クロロシラン化合物としては、トリクロロシランおよび四塩化珪素の他、ジクロロシラン(SiHCl)、ペンタクロロジシラン(SiHCl)およびヘキサクロロジシラン(SiCl)等を挙げることができる。
なお、本実施形態に係るトリクロロシランの製造方法における、反応工程(S1)でのトリクロロシランの生成方法は、金属珪素6と原料ガス7としての塩化水素ガスとを反応させる方法に限定されない。例えば、ポリシリコンの析出工程で副生される四塩化珪素を、トリクロロシランに変換(STC還元反応)して再利用する方法を採用してもよい。この方法を採用する場合の四塩化珪素も、本発明の塩化物の一例となる。
具体的には、上述のポリシリコンの析出工程にて生成された四塩化珪素と水素とを含有するガスを原料ガスとして、当該原料ガスと金属珪素6とを流動床方式反応装置2で反応させることにより、四塩化珪素をトリクロロシランに変換する。四塩化珪素と水素とを含有するガスは、本発明に係る第2原料ガスの一例である。トリクロロシランの変換は、下記の式(3)で表される。
Si+3SiCl+2H→4SiHCl …式(3)
また、反応工程(S1)では、四塩化珪素をトリクロロシランに変換して再利用する方法を、金属珪素6と原料ガス7とを反応させる方法と併用してもよい。
<凝縮液生成工程>
次に、図1に示す凝縮液生成工程(S2)では、流動床方式反応装置2から排出された排出ガスに各種処理を施して、トリクロロシランを含有する凝縮液8(図2参照)を生成する。凝縮液8は、本発明に係る第1液の一例である。
具体的には、まず、流動床方式反応装置2から排出された排出ガスを図2に示す集塵装置3に通すことにより、排出ガス中の固形物を除去する。排出ガス中の固形物とは、例えば反応工程(S1)で未反応だった金属珪素6である。集塵装置3としては、例えばフィルタ、遠心力式集塵装置を用いることができる。遠心力式集塵装置を用いるのであれば、例えばサイクロン式粉体分離器を用いるのが好ましい。なぜなら、サイクロン式粉体分離器は、固形物等の粒子が微細であっても除去でき、設置および維持管理が他の遠心力式集塵装置に比べて容易であり、かつ高圧・高温下での使用が可能だからである。
次に、集塵装置3から得られた排出ガスを冷却する。この冷却は、洗浄後の排出ガス中のトリクロロシランを凝縮分離することで凝縮液8を生成するために行う。排出ガスの冷却方法としては、各種のクロロシラン化合物が凝縮される温度以下に冷却することが可能であれば特に制限されず、公知の冷却方法を採用することができる。
<蒸留工程>
(蒸留工程の概要)
次に、図1に示す蒸留工程(S3)では、凝縮液生成工程(S2)で生成された図2に示す凝縮液8を蒸留塔4で蒸留する。蒸留塔4は、本発明に係る蒸留装置の一例である。なお、凝縮液8の蒸留に用いる蒸留装置は蒸留塔4に限定されず、公知の各種蒸留装置を何ら制限なく用いることができる。
凝縮液8は、トリクロロシランの他、凝縮液生成工程(S2)で除去できなかった金属珪素6、金属珪素6中のアルミニウムとクロロシラン化合物とが反応して生成された塩化アルミニウム等の不純物を含有している。そのため、凝縮液8を蒸留して当該凝縮液8から前記不純物を分離除去することにより、凝縮液8を精製したトリクロロシランを含有する精製液9を回収する。そして、回収した精製液9から、多結晶シリコンの製造用原料としてのトリクロロシランを得る。
蒸留工程(S3)では、具体的には、凝縮液8を蒸留塔4の塔底部で直接加熱することにより、トリクロロシラン、四塩化珪素等のクロロシラン化合物を蒸発させて蒸留塔4の塔頂部から排出させる。あるいは、凝縮液8の一部を吹き出してリボイラーで加熱した後、蒸留塔4に戻す等することにより、クロロシラン化合物を蒸発させて蒸留塔4の塔頂部から排出させる。凝縮液8の蒸留温度は一般には60℃以上、より好適には70℃以上かつ90℃以下である。塔頂部から排出したクロロシラン化合物は、塔頂部と連通する第1配管5の内空部を通過する過程で冷却され、最終的に精製液9として回収される。
また、蒸留塔4の塔底部からは、図2に示すように凝縮液8の蒸留に起因して排出液10が排出される。排出液10は、トリクロロシランおよびその他のクロロシラン化合物の他、塩化アルミニウム、塩化鉄(FeCl)、塩化カルシウム(CaCl)および塩化チタン(TiCl)等の金属珪素6に由来する不純物および未反応金属珪素粉を含んでいる。未反応金属珪素粉の含有量は、通常、数10ppmwt以下である。また、未反応金属珪素粉の平均粒子径は1μm以下である。排出液10は、本発明に係る第2液の一例である。
塔底部は、本発明に係る配管の一例である第2配管100と連通している。第2配管100の内空部19(図3等参照)に塔底部から排出された排出液10を流すことにより、排出液10を回収する。また、凝縮液8の一部を取り出して不図示のリボイラーで加熱する場合は、途中で分岐した不図示の第2配管100を用いて、該凝縮液8の一部を前記リボイラーに送ってもよい。第2配管100の構造の詳細については後述する。
回収した排出液10は四塩化珪素を含有していることから、例えば排出液10をさらに蒸留して四塩化珪素を回収する。回収した四塩化珪素は、例えば不図示のタンクに貯蔵され、トリクロロシランの製造のために再利用する。具体的には、回収した四塩化珪素と水素とを含有するガス、および金属珪素6を用いて流動床方式反応装置2でSTC還元反応させることで、四塩化珪素をトリクロロシランに変換する。回収した四塩化珪素は、本発明の塩化物の一例であり、回収した四塩化珪素と水素とを含有するガスは、本発明に係る第2原料ガスの一例である。
なお、回収した四塩化珪素を、トリクロロシランの製造のために再利用する代わりに他の工業用途に供してもよい。あるいは、回収した四塩化珪素の一部をトリクロロシランの製造のために再利用し、残りを他の工業用途に供してもよい。さらには、排出液10から四塩化珪素を回収しなくてもよい。
(第2配管の構造)
本実施形態に係るトリクロロシランの製造方法は、流動床方式反応装置2で原料ガス7と反応させる前の金属珪素6中のアルミニウムが0.10質量%以上となる条件下で実施される。かつ、前記製造方法は、第2配管100を通じて回収された排出液10中の塩化アルミニウムのモル濃度が、前記のアルミニウムのモル濃度よりも高くなる条件下で実施される。
ここで、本明細書における各種モル濃度の定義を説明する。まず、金属珪素6中のアルミニウムのモル濃度は、単位質量当たりの金属珪素6に含有されるシリコン等の各金属の総モル数(総原子数)に対する、単位質量当たりの金属珪素6に含有されるアルミニウムのモル数(原子数)の比率を指す。次に、排出液10中の塩化アルミニウムのモル濃度は、単位質量当たりの排出液10に含有される金属化合物の総モル数(総分子数)に対する、単位質量当たりの排出液10の含有される塩化アルミニウムのモル数(分子数)の比率を指す。以下、モル濃度を「mol%」と表現する。
金属珪素6中の各金属の総モル数は、金属珪素6の所定量を硝酸弗酸混合液に溶解させることで求められる。具体的には、金属珪素6を硝酸弗酸混合液に溶解させると、金属珪素6に含まれるシリコンが四フッ化珪素(SiF)に変換され、揮発成分となる。この溶解液を120℃で加熱蒸発させると、蒸発残渣にその他の金属成分が酸化物として残る。次に、この蒸発残渣を硝酸に溶解させて、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)で測定することにより、シリコン以外の各金属のモル数を求めることができる。次に、その残りのモル数をシリコンのモル数として用いる。そして、シリコン以外の各金属のモル数とシリコンのモル数とを合計することにより、金属珪素6中の各金属の総モル数を求める。
また、排出液10中の各金属化合物の総モル数は、以下の方法で求めることができる。まず、排出液10をTCD(熱伝導度型)検出器を有するガスクロマトグラムで測定することにより、各種のクロロシラン化合物のモル数を求める。次に、排出液10を70℃で加熱して排出液10中の揮発成分を蒸発させる。そして、その蒸発残渣を硝酸に溶解させた後、ICP-MSにより測定して排出液10中の各金属化合物の総モル数を求める。
なお、上述した総モル数の算出に際して、シリコン以外の金属は、アルミニウム、鉄、カルシウム、チタン、リン、ボロン、銅、クロム、マンガン、マグネシウム、ナトリウムおよびリチウムを測定対象としている。
上述した条件下で側壁12の内面15(図3等参照)を内空部19に露出させてしまうと、蒸留工程(S3)において内空部19に排出液10を流した場合、排出液10中の塩化アルミニウムが未反応金属珪素粉の表面および側壁12の内面15に析出し易くなる。この塩化アルミニウムは、側壁12の内面15のエロージョンを生じさせる原因となる。
そこで、本実施形態に係る第2配管100は、前記エロージョンを低減するために、該第2配管100の少なくとも一部分を、側壁12の内面15が図3および図4に示すようにセラミック層13で覆われた構造としている。つまり、第2配管100は、蒸留塔4から回収される排出液10中の塩化アルミニウムのmol%が、流動床方式反応装置2で原料ガス7と反応させる前における金属珪素6中のアルミニウムのmol%よりも高くなる条件下で用いられる配管と言える。そして、第2配管100は、セラミック層13で覆われた箇所において、未反応金属珪素粉の表面および側壁12の内面15への塩化アルミニウムの析出が多少発生してもエロージョンを低減できる構造となっている。
なお、第2配管100は、排出液10中の塩化アルミニウムのmol%が、原料ガス7と反応する前の金属珪素6中のアルミニウムのmol%の2倍以上かつ10倍以下に濃縮された条件下で用いられることにより、その意義が明確になる。特に、排出液10中の塩化アルミニウムのmol%が、原料ガス7と反応する前の金属珪素6中のアルミニウムのmol%の3倍以上かつ8倍以下に濃縮された条件下で用いられることにより、第2配管100の意義がより明確になる。このことは、排出液10に含有された塩化アルミニウムのmol%の絶対値が0.3mol%以上、特には0.4mol%以上かつ1.2mol%以下の場合にも当てはまる。
なぜなら、側壁の内面がセラミック層13で覆われていない従来の配管を前記の各条件下で用いると、未反応金属珪素粉の表面および側壁の内面への塩化アルミニウムの析出がかなり激しくなる。そのため、場合によっては配管の継続使用が困難になる程度まで、側壁の内面のエロージョンが顕著に生じてしまう。一方、第2配管100を前記の各条件下で用いても、セラミック層13の存在によって、未反応金属珪素粉の表面および側壁12の内面15への塩化アルミニウムの析出が多少発生してもエロージョンが低減される。したがって、少なくとも第2配管100の継続使用を維持できるレベルまでは側壁12の内面15のエロージョンを低減でき、第2配管100のエロージョン低減効果が顕在化するからである。
また、第2配管100において、蒸留塔4の塔底部との連結箇所から排出液10の移送先に至る末端(以下、「第2配管100本体」)までの全てをセラミック層13で覆ってもよく、あるいは一部をセラミック層13で覆ってもよい。さらに、第2配管100が途中部分から管路が分岐した構造となっており、リボイラーを経由して蒸留塔4に戻る不図示の循環路が設けられている場合、第2配管100本体および循環路の全てをセラミック層13で覆ってもよい。あるいは、第2配管100本体および循環路の一部をセラミック層13で覆ってもよい。
第2配管100における蒸留塔4の塔底部からある程度距離が離れた部分は、未反応金属珪素粉の表面および側壁12の内面15の温度が80℃以下になり易く塩化アルミニウムの析出が激しくなり易い。また、第2配管100の周囲の状況等によっては前記の部分で側壁12の内面15の温度が70℃以下になることもあり、塩化アルミニウムの析出がさらに激しくなる。そのため、第2配管100のうち、蒸留塔4の塔底部からある程度距離が離れた部分をセラミック層13で覆うのが好ましい。
第2配管100は、図3および図4に示すように金属配管11およびセラミック層13を備えている。金属配管11は、例えば、ステンレス(SUS)鋼、鉄等の公知の金属製の配管であり、円筒形状の側壁12によって形成されている。したがって、側壁12の内面15を覆うセラミック層13も円筒形状となっている。
また、第2配管100には、円筒形状の空間である内空部19が、セラミック層13の接触面14によって取り囲まれるように形成されている。内空部19は、本発明に係る配管の内部の一例である。蒸留塔4の塔頂部から排出された排出液10は、この内空部19を流れる。接触面14は、セラミック層13が内空部19を流れる排出液10と接触する面である。
図3は第2配管100の直胴部分101の一部を示し、図4は第2配管100のエルボ部分102を示している。直胴部分101は、第2配管100における折れ曲がりのない部分を指し、エルボ部分102は、第2配管100における折れ曲がった部分を指す。第2配管100は、直胴部分101とエルボ部分102とが連なって形成されている。なお、第2配管100および内空部19の形状・大きさ等は本実施形態の例に限定されず、任意に設計変更することができる。
上述のように、側壁12の内面15がセラミック層13で覆われていることから、第2配管100の内空部19を流れる排出液10中の塩化アルミニウムのほとんどが未反応金属珪素粉の表面およびセラミック層13の接触面14に析出する。つまり、側壁12の内面15には、前記の塩化アルミニウムがほとんど析出しない。そのため、塩化アルミニウムの析出に起因する側壁12の内面15のエロージョンを低減することができる。
また、セラミック層13の形成材料であるセラミックは、塩化アルミニウムが付着し難い性質を有している。そのため、第2配管100の内空部19を流れる排出液10中の塩化アルミニウムがセラミック層13の接触面14に析出しても、当該塩化アルミニウムが接触面14にあまり付着しない。さらに、セラミックは、硬度が高く優れた耐摩耗性を有している。そのため、接触面14に塩化アルミニウムが析出・付着しても、接触面14はあまり摩耗しない。これらのことから、セラミック層13の接触面14ではエロージョンが生じ難い。以上より、側壁12の内面15をセラミック層13で覆うことで、第2配管100の寿命が長くなる。
セラミック層13の形成材料となるセラミックとしては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、酸化クロム等の一般的な金属セラミックを挙げることができる。これらの中でも、アルミナをセラミック層13の形成材料として用いるのが好ましい。セラミック層13の形成材料をアルミナにすると、塩化アルミニウムの析出によってセラミック層13の接触面14にエロージョンが生じたとしても、第2配管100の内空部19を流れる排出液10に混入するのが略アルミニウムだけになる。そのため、第2配管100の内空部19を流れる排出液10にアルミニウム以外の物質が混入しないという利点がある。
また、側壁12の内面15上にセラミック層13を形成する方法は特に限定されず、例えば接着法、CVD法、溶射法等の公知の方法を用いることができる。さらに、セラミック層13の厚さについては、1mm以上かつ5mm未満にするのが好ましく、2mm以上かつ4mm以下とするのがより好ましい。
セラミック層13の厚さを1mm未満にすると、例えば、形成しようとするセラミック層13の厚さが薄すぎることによりセラミック層13の形成作業が困難になり、形成作業終了後に形成ムラが生じているという問題が発生し易くなる。また、セラミック層13の厚さを5mm以上にすると、第2配管100の内径Waを従来の金属配管の内径と略同一にするためには、金属配管11の内径Wbをかなり大きくしなければならない。そのため、第2配管100が必要以上に大型化してコスト高となる。そこで、セラミック層13の厚さを1mm以上かつ5mm未満にすることにより、前記の形成ムラおよびコスト高を低減することができる。前記の形成ムラおよびコスト高は、セラミック層13の厚さを3mmにした場合に最も低減することができる。
〔変形例〕
図5〜図7を用いて、本発明の一実施形態に係る第2配管100の変形例について説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
<第1変形例>
まず、図5に示すように、側壁12の内部に空間16が形成された第2配管200が、第2配管100の変形例として想定される。なお、図5では、説明の便宜上、第2配管200のうちの直胴部分のみを図示する。直胴部分のみを図示する点については、図6〜図8についても同様である。
空間16は、第2配管200の側壁12の内部に空気20を流すための空間である。空気20は、本発明に係る熱媒の一例である。側壁12には、空気20を空間16に導くための第1開口部121が形成されており、第1開口部121と空間16とが連通している。また、側壁12には、空気20を空間16から第2配管200の外側に排出するための第2開口部122が形成されており、第2開口部122と空間16とが連通している。
空気20の温度は120℃以上かつ150℃以下、より好ましくは130℃以上かつ140℃以下であり、空間16に空気20を流すことで、セラミック層13の接触面14の温度を100℃以上、より好ましくは110℃以上かつ120℃以下にする。接触面14の温度が100℃以上であるか否かは、例えば、接触面14にK熱電対等を設置して温度測定することで確認する。この温度確認の方法については、後述の第2配管300でも同様に行われる。
このように、接触面14の温度を100℃以上にすることで、未反応金属珪素粉の表面および接触面14に析出する排出液10中の塩化アルミニウムの量を低減することができる。そのため、接触面14のエロージョンの進行を遅くすることができる。接触面14の温度は、あまり高くなりすぎても加熱用エネルギーが多く必要となるため、120℃以下であるのがより好ましい。
また、接触面14の温度を100℃以上にすることで、第2配管200の内空部19を流れる排出液10中の塩化アルミニウムの粘度を低くすることができる。そのため、排出液10中の塩化アルミニウムが接触面14と接触するときに当該接触面14に作用する摩擦力が低減されることから、接触面14のエロージョンを低減することができる。
なお、側壁12の空間16に流す熱媒は、空気20に限定されない。例えば、空気20に代えて油または高温水を空間16に流してもよい。空間16に高温水を流す場合、空気20を流す場合に比べて第2配管200の全長を短くすることができ、トリクロロシランの製造設備1(図2参照)をコンパクトにすることができる。
<第2変形例>
次に、図6に示すように、側壁12の内部に空間16が形成され、かつ、側壁12の外面123が保温層17で覆われた第2配管300も、第2配管100の変形例として想定される。保温層17は、セラミック層13の接触面14の温度を100℃以上に保つためのものである。保温層17の種類・材質等については、接触面14の温度を100℃以上に保てるものであれば限定されないが、セラミック製のウールが好ましい。付言すれば、セラミック製のウールの中でもロックウールが特に好ましい。こうした保温層の厚さは、一般には、20mm以上かつ40mm以下、より好ましくは25mm以上かつ35mm以下である。このように側壁12の外面123を保温層17で覆うことで、排出液10を第2配管300の内空部19に流す間、接触面14に析出する排出液10中の塩化アルミニウムの量を低減し続けることができる。また、排出液10中の塩化アルミニウムの粘度を低く保ち続けることができる。
さらに、側壁12の外面123を保温層17で覆うことに加えて、側壁12の空間16に空気20を流すことから、より確実に接触面14の温度を100℃以上に保つことができる。そのため、より確実に排出液10中の塩化アルミニウムの量を低減し続け、粘度を低く保ち続けることができ、側壁12の内面15のエロージョンをより効果的に低減することができる。
なお、図7に示す第2配管400のように、側壁12の内部に空間16が形成されていなくても、側壁12の外面123を保温層17で覆うだけで排出液10中の塩化アルミニウムの量を低減し続け、粘度を低く保ち続けることができる。
〔まとめ〕
本発明の一態様に係るトリクロロシランの製造方法は、アルミニウムを0.10質量%以上含有する金属珪素と、塩化物を含有する原料ガスと、の反応に基づいて生成されたトリクロロシランを含有する第1液を、蒸留装置にて蒸留する蒸留工程を含み、前記蒸留装置から、塩化アルミニウムのモル濃度が前記金属珪素中の前記アルミニウムのモル濃度よりも高い、前記トリクロロシランを含有する第2液を回収する、トリクロロシランの製造方法であって、前記蒸留工程では、側壁の内面がセラミック層で覆われた配管の内部に、前記蒸留装置から排出された前記第2液を流すことにより、前記蒸留装置から前記第2液を回収する。
前記構成によれば、配管の側壁の内面がセラミック層で覆われていることから、エロージョンが問題となり得る量の塩化アルミニウムを含有する第2液を配管の内部に流しても、塩化アルミニウムが未反応金属珪素粉の表面および側壁の内面に析出し難い。そのため、第2液中の塩化アルミニウムの析出に起因する、側壁の内面のエロージョンを低減することができる。
本発明の一態様に係るトリクロロシランの製造方法は、前記セラミック層が前記第2液と接触する接触面の温度を、100℃以上にしてもよい。前記構成によれば、セラミック層の接触面の温度を100℃以上にすることから、第2液を配管の内部に流す間に未反応金属珪素粉の表面および接触面に析出する、第2液中の塩化アルミニウムの量を低減することができる。そのため、接触面のエロージョンの原因物質が減り、接触面のエロージョンの進行が遅くなる。
また、配管の内部を流れる第2液中の塩化アルミニウムの粘度を低くすることができる。そのため、配管の内部を流れる第2液中の塩化アルミニウムが接触面と接触するときに接触面に作用する摩擦力が低減される。以上より、セラミック層の接触面のエロージョンが低減されることから、第2液中の塩化アルミニウムの析出に起因する、側壁の内面のエロージョンをさらに低減することができる。
本発明の一態様に係るトリクロロシランの製造方法は、前記側壁の内部には、熱媒を流すための空間が形成されており、前記空間に前記熱媒を流すことにより、前記接触面の温度を100℃以上にしてもよい。
前記構成によれば、側壁の内部に形成された空間に熱媒を流して接触面の温度を100℃以上にすることで、第2液中の塩化アルミニウムの析出に起因する、側壁の内面のエロージョンをさらに低減することができる。
本発明の一態様に係るトリクロロシランの製造方法は、前記セラミック層が前記第2液と接触する接触面の温度を100℃以上に保つための保温層が、前記側壁の外面を覆っていてもよい。
前記構成によれば、側壁の外面が保温層で覆われていることから、第2液を配管の内部に流す間、接触面の温度を100℃以上に保つことができる。そのため、第2液を配管の内部に流す間、未反応金属珪素粉の表面および接触面に析出する第2液中の塩化アルミニウムの量を低減し続けることができ、かつ、第2液中の塩化アルミニウムの粘度を低く保ち続けることができる。これにより、第2液中の塩化アルミニウムの析出に起因する、側壁の内面のエロージョンをより効果的に低減することができる。
本発明の一態様に係るトリクロロシランの製造方法は、前記セラミック層が、アルミナを含有していてもよい。前記構成によれば、セラミック層がアルミナを含有していることから、塩化アルミニウムの析出に起因してセラミック層の接触面にエロージョンが生じても、第2液に混入するセラミック層の摩耗分の多くがアルミニウムとなる。そのため、配管を流れる第2液中に、従前から含有されているアルミニウム以外の不純物が新たに混入することを低減することができる。
本発明の一態様に係るトリクロロシランの製造方法は、前記セラミック層の厚さが、1mm以上かつ5mm未満であってもよい。前記構成によれば、セラミック層の厚さが1mm以上であることから、側壁の内面にセラミック層が形成されていない箇所が生じること(以下、「形成ムラ」)を低減することができる。具体的には、形成しようとするセラミック層の厚さが薄すぎることが原因で、例えばセラミック層の形成作業が困難になり、形成作業終了後に形成ムラが生じているという問題の発生を低減することができる。
また、配管の側壁の内面にセラミック層を形成する場合、配管を平面視した場合におけるセラミック層の接触面で形成される円の直径を、セラミック層がない従来の配管の内径と略同一にするのが好ましい。ここで、セラミック層の厚さを5mm以上にした場合、前記の円の直径を従来の配管の内径と略同一にするためには、本発明に係る配管を平面視した場合における側壁の内面で形成される円の直径をかなり大きくしなければならない。そのため、本発明に係る配管が必要以上に大型化してコスト高となる。
その点前記構成によれば、セラミック層の厚さが5mm未満であることから、本発明に係る配管を平面視した場合における側壁の内面で形成される円の直径が大きくなりすぎず、配管の大型化に起因するコスト高を低減することができる。
本発明の一態様に係るトリクロロシランの製造方法は、前記原料ガスが、塩化水素を含有する第1原料ガス、または水素と四塩化珪素とを含有する第2原料ガスのいずれかであってもよい。前記構成によれば、金属珪素と、塩化水素を含有する第1原料ガス、または水素と四塩化珪素とを含有する第2原料ガスとの反応により、トリクロロシランを効率的に生成することができる。そのため、効率的に生成されたトリクロロシランを含有する第2液を配管に流す際に、第2液中の塩化アルミニウムの析出に起因する、側壁の内面のエロージョンを低減することができる。
本発明の一態様に係る配管は、アルミニウムを0.10質量%以上含有する金属珪素と、塩化物を含有する原料ガスと、の反応によって生成されたトリクロロシランを含有する第1液を蒸留する蒸留装置から排出された、前記トリクロロシランを含む第2液を流すために用いられ、前記蒸留装置から回収される前記第2液中の塩化アルミニウムのモル濃度が、前記金属珪素中の前記アルミニウムのモル濃度よりも高くなる条件下で用いられる配管であって、前記配管の側壁の内面が、セラミック層で覆われている。
前記構成によれば、第2液中の塩化アルミニウムの析出に起因する側壁の内面のエロージョンが低減される、配管を実現することができる。
〔付記事項〕
本発明は上述の実施形態および変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態および異なる変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1〕
図8を用いて、本発明の実施例1について説明する。本実施例1では、反応工程(S1)でトリクロロシランの生成に用いる金属珪素6として、アルミニウムを0.15mol%、質量%に換算して0.145質量%含有する金属珪素を用いた。また、反応工程(S1)でトリクロロシランの生成に用いる原料ガス7として、塩化水素を100mol%(100質量%)含有する原料ガスを用いた。なお、蒸留温度は80℃であった。
また、本実施例1では、蒸留工程(S3)で用いる第2配管100における、図8に示す内径Wa=42mmの第2配管500を用いた。第2配管500は、内径Wb=53mmのSUS製の金属配管11の内面15に、内径Wa=42mm、厚さ3mmのアルミナ製スリーブ管をセラミック層13として接着したものである。前記の接着には、エポキシ製の耐熱性接着剤18を使用した。
第2配管500の両端の一方に、金属配管11の外面から外側に向けて突出したSUS製のフランジ124を設けた。また、フランジ124には、第2配管500を他の配管等と連結するためのボルト穴125を複数形成した。さらに、第2配管500におけるフランジ124が形成されている側の先端に、耐熱性接着剤18の層を保護するためのアルミナ製のパテ30を施した。具体的には、前記の先端における、第2配管500の中心軸(不図示)を中心として直径Wc=48mm付近の箇所に、パテ30を施した。
上述の金属珪素、原料ガスおよび第2配管500を用いて、反応工程(S1)、凝縮液生成工程(S2)および蒸留工程(S3)を行った。その結果、蒸留塔4では、凝縮液8を蒸留することにより、凝縮液8中のアルミニウムおよび未反応金属珪素粉が約5倍に濃縮された。また、第2配管500の内空部19を流れる排出液10中のアルミニウムが、0.96mol%になった。さらに、前記排出液10中のトリクロロシランと四塩化珪素との成分比が、molベースでトリクロロシラン:四塩化珪素=5:95=1:19となった。未反応金属珪素粉の含有量は220ppmwtであり、未反応金属珪素粉の平均粒子径は0.7μmであった。
側壁の内面がセラミック層13で覆われていない従来の配管を用いてトリクロロシランの製造を行った場合、3カ月の運転で配管の一部にエロージョンが生じ、液漏れが発生していた。一方、本実施例1の第2配管500を用いてトリクロロシランの製造を行った結果、1年間安定して運転することができた。また、1年間の運転後に第2配管500を開放点検したところ、側壁12の内面15の温度が70℃以下に低下する第2配管500の下流部分でも、セラミック層13の接触面14には塩化アルミニウムの析出はほとんど見られなかった。
〔実施例2〕
本発明の実施例2について、以下に説明する。本実施例2では、実施例1で用いた第2配管500において、側壁12の内部に空間が形成された構造となっている不図示の第2配管を用いた。そして、前記の空間に熱媒として蒸気を通すことにより、側壁12の内面15の温度を130℃に保って運転した。その他の実施方法等については、実施例1と同様である。
本実施例2の第2配管を用いてトリクロロシランの製造を行った結果、1年間安定に使用することができた。また、上記1年間の使用後に第2配管600を開放点検したところ、セラミック層13の接触面14(図8参照)には、第2配管の全体に渡って、塩化アルミニウムの析出は見られなかった。
4 蒸留塔(蒸留装置)
6 金属珪素
7 原料ガス(第1原料ガス)
8 凝縮液(第1液)
10 排出液(第2液)
12 側壁
13 セラミック層
14 接触面
15 内面
16 空間
17 保温層
19 内空部(配管の内部)
20 空気(熱媒)
123 外面
100、200、300、400、500 第2配管(配管)
本実施例2の第2配管を用いてトリクロロシランの製造を行った結果、1年間安定に使用することができた。また、上記1年間の使用後に第2配管を開放点検したところ、セラミック層13の接触面14(図8参照)には、第2配管の全体に渡って、塩化アルミニウムの析出は見られなかった。

Claims (8)

  1. アルミニウムを0.10質量%以上含有する金属珪素と、塩化物を含有する原料ガスと、の反応に基づいて生成されたトリクロロシランを含有する第1液を、蒸留装置にて蒸留する蒸留工程を含み、
    前記蒸留装置から、塩化アルミニウムのモル濃度が前記金属珪素中の前記アルミニウムのモル濃度よりも高い、前記トリクロロシランを含有する第2液を回収する、トリクロロシランの製造方法であって、
    前記蒸留工程では、側壁の内面がセラミック層で覆われた配管の内部に、前記蒸留装置から排出された前記第2液を流すことにより、前記蒸留装置から前記第2液を回収することを特徴とする、トリクロロシランの製造方法。
  2. 前記セラミック層が前記第2液と接触する接触面の温度を、100℃以上にすることを特徴とする、請求項1に記載のトリクロロシランの製造方法。
  3. 前記側壁の内部には、熱媒を流すための空間が形成されており、
    前記空間に前記熱媒を流すことにより、前記接触面の温度を100℃以上にすることを特徴とする、請求項2に記載のトリクロロシランの製造方法。
  4. 前記セラミック層が前記第2液と接触する接触面の温度を100℃以上に保つための保温層が、前記側壁の外面を覆っていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のトリクロロシランの製造方法。
  5. 前記セラミック層が、アルミナを含有していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のトリクロロシランの製造方法。
  6. 前記セラミック層の厚さが、1mm以上かつ5mm未満であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のトリクロロシランの製造方法。
  7. 前記原料ガスが、塩化水素を含有する第1原料ガス、または水素と四塩化珪素とを含有する第2原料ガスのいずれかであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のトリクロロシランの製造方法。
  8. アルミニウムを0.10質量%以上含有する金属珪素と、塩化物を含有する原料ガスと、の反応によって生成されたトリクロロシランを含有する第1液を蒸留する蒸留装置から排出された、前記トリクロロシランを含有する第2液を流すために用いられ、
    前記蒸留装置から回収される前記第2液中の塩化アルミニウムのモル濃度が、前記金属珪素中の前記アルミニウムのモル濃度よりも高くなる条件下で用いられる配管であって、
    前記配管の側壁の内面が、セラミック層で覆われていることを特徴とする、配管。
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