以下、実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態.
図1は、実施の形態に係る空気調和システムの構成を例示する図である。空気調和システム100は、建物内に設けられ、複数の空気調和装置30、および、それぞれが当該複数の空気調和装置30の各々を制御するための複数のリモートコントローラ10等を有する。図1には、空気調和システム100が、3つの空気調和装置30と3つのリモートコントローラ10を有する場合について示されているが、空気調和システム100が有する空気調和装置30とリモートコントローラ10の各台数はこれらに限定されない。
空気調和装置30は、空調対象空間の空調動作を実行する。1つの空気調和装置30は、1つのリモートコントローラ10によって制御される。リモートコントローラ10は、例えばBluetooth(登録商標)またはZigBee(登録商標)等の通信規格によって、無線通信装置20および他のリモートコントローラ10と無線接続している。無線接続可能な範囲は、上記規格および通信状況等により異なる。各リモートコントローラ10には、他のリモートコントローラ10からの自己の識別のために、一意的な識別情報の一例であるID(Identification)が割り当てられている。
無線通信装置20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、または携帯端末等である。無線通信装置20は、空気調和装置30の使用者または管理者から、空気調和装置30を操作するための情報の入力を受け付け、当該情報に対応する信号をリモートコントローラ10に送信する。無線通信装置20は、IDにより指定した1以上のリモートコントローラ10に信号を送信しても、通信可能な範囲内の任意のリモートコントローラ10に信号を送信してもよい。
無線通信装置20には、使用者が扱う無線通信装置20と管理者が扱う無線通信装置20がある。このため、無線通信装置20からリモートコントローラ10へ送信される信号には、使用者からの指示内容を示す操作信号Aと、管理者からの指示内容を示す操作信号Bがある。操作信号Aおよび操作信号Bは、それぞれ空気調和装置30を制御するための操作信号の例である。操作信号Aに対応する情報(指示情報A)は、設定温度、運転モード、または風速等の、使用者が制御可能なパラメータの値を含む情報である。なお、運転モードとは、例えば、冷房、暖房または除湿等のいずれかの運転方式を意味する。操作信号Bに対応する情報(指示情報B)は、例えば、空気調和装置30の運転スケジュールに関する情報である。
実施の形態に係るリモートコントローラ10は、無線通信装置20から空気調和装置30の設定変更の操作信号を受信した場合、制御対象の空気調和装置30の設定変更のみを行う「通常モード」の機能と、制御対象の空気調和装置30の設定変更を行いつつ、他のリモートコントローラ10に操作信号を送信し、送信先のリモートコントローラ10の制御対象の空気調和装置30の設定変更も行う「一括設定モード」の機能と、を有する。これらの機能の実現のため、各リモートコントローラ10は、以下の機能を有する。
複数のリモートコントローラ10の各々は、通信可能な範囲における他のリモートコントローラ10と操作信号Cの送受信を行う。操作信号Cは、操作信号の一例である。操作信号Cに対応する情報は、指示情報Aと同様の、使用者が制御可能なパラメータの値を含む情報、または、指示情報Bと同様の、管理者からの指示を示す情報である。リモートコントローラ10は、送信先のリモートコントローラ10をIDによって指定して操作信号Cを送信してもよいし、通信可能な範囲における任意のリモートコントローラ10に操作信号Cを送信してもよい。
リモートコントローラ10は、例えばボタンなどの不図示の入力部を備え、使用者からの指示内容の入力を受け付ける。当該指示内容は、設定温度、運転モード、または風速等について指示するものである。リモートコントローラ10は、操作信号Aもしくは操作信号Bを無線通信装置20から受信した場合、操作信号Cを他のリモートコントローラ10から受信した場合、または、入力部を介して指示内容の入力を受け付けた場合等において、操作信号Dを制御対象の空気調和装置30へ送信する。操作信号Dに対応する情報は、指示情報Aまたは指示情報Bと同様である。
無線通信装置20からの操作信号Aもしくは操作信号B、または他のリモートコントローラ10からの操作信号Cを受信したリモートコントローラ10は、一括設定モードにおいて、制御対象の空気調和装置30に操作信号Dを送信すると共に、他のリモートコントローラ10に対し、受信した操作信号に対応する操作信号Cを送信する。操作信号Cを受信したリモートコントローラ10は、制御対象の空気調和装置30に対して操作信号Dを送信すると共に、更に他の通信可能なリモートコントローラ10がある場合には、当該リモートコントローラ10に操作信号Cを送信する。
リモートコントローラ10は、他のリモートコントローラ10から操作信号C、または、後述する分割信号を受信した場合には、応答信号Eを送信する。リモートコントローラ10は、制御対象の空気調和装置30から運転状態を示す信号(不図示)を受信してもよい。また無線通信装置20から操作信号Aまたは操作信号Bを受信したリモートコントローラ10は、当該送信元の無線通信装置20に対し、運転状態等を示す応答信号Fを送信してもよい。また、応答信号Eには、他のリモートコントローラ10の制御対象の空気調和装置30の運転状態を示す情報が含まれてもよく、応答信号Fには、当該他のリモートコントローラ10の制御対象の空気調和装置30の運転状態を示す情報が含まれてもよい。応答信号Eは、応答信号の一例である。
空気調和システム100においては、複数のリモートコントローラ10の各々は、制御対象の空気調和装置30のみならず、通信可能範囲にある他のリモートコントローラ10および無線通信装置20との間で信号の授受を行う。操作信号Cの送信先となるリモートコントローラ10が、他のリモートコントローラ10、無線通信装置20、もしくは空気調和装置30と通信状態にある場合、または発する電波の強度が低い場合等には、送信先のリモートコントローラ10が操作信号Cを受信できなかったり、迅速に実行されるべき処理に遅延が生じたりする可能性がある。実施の形態に係るリモートコントローラ10は、送信先のリモートコントローラ10の処理を妨げないようにしつつ、より確実に操作信号Cを送信先のリモートコントローラ10へ送信するため、以下の機能を有する。
リモートコントローラ10は、他のリモートコントローラ10から発せられる電波の有無を常時監視する。リモートコントローラ10は、操作信号または後述する分割信号等の各種信号の送受信中でない場合において、自己のIDを含む電波を発する。一方、リモートコントローラ10は、当該各種信号の送受信中の場合には、当該電波を発信しない。以下において、「電波」とは、特に断りが無い限り、リモートコントローラ10から当該各種信号の送受信中のとき以外に発せられる、自己のIDを含む電波であるとする。リモートコントローラ10は、通信可能範囲における他のリモートコントローラ10からの電波の強度(電波強度)を検知し、第1の時間内の電波強度の変動から電波の健全性の指標となる値(指標値)を算出する。第1の時間は、予め定められた時間の一例である。なお、電波の健全性は、第1の時間内に基準強度より低い電波強度を検知した回数、または、第1の時間内に基準強度より低い電波強度を検知した時間の第1の時間に対する割合等によって定められる。なお、基準強度とは、予め定められた強度であって、例えば、空気調和装置30の使用者または管理者が求める通信速度の確保のために最低限必要な電波強度である。第1の時間内において、基準強度より低い電波強度が検知された回数が多い、または、基準強度より低い電波強度が検知された割合が大きい場合には、健全性の指標値は小さい。
また、リモートコントローラ10は、他のリモートコントローラ10が上記各種信号の送受信処理を行う頻度(通信頻度)を算出する。通信頻度は、第1の時間内に電波を検知できなかった回数、または、第1の時間内に電波を検知できなかった時間の第1の時間に対する割合等によって定められる。第1の時間内において、電波を検知できなかった回数が多い、または、電波を検知できなかった割合が大きいほど、通信頻度は高い。指標値と通信頻度とは、他のリモートコントローラ10の通信状況を表す。このため、リモートコントローラ10の指標値と通信頻度は、当該リモートコントローラ10の通信状況を示す情報に含まれる。リモートコントローラ10は、他のリモートコントローラ10に操作信号Cを送信する場合において、当該他のリモートコントローラ10の通信状況に基づいて、操作信号Cを分割するか否かを決定し、操作信号Cの分割を行う場合には分割数を決定する。
リモートコントローラ10は、他のリモートコントローラ10の上記指標値が予め定められた基準値より小さい場合には、当該他のリモートコントローラ10へ送信する操作信号Cの分割数を元の分割数から大きくする。また、リモートコントローラ10は、他のリモートコントローラ10の通信頻度が予め定められた基準頻度より高い場合には、当該他のリモートコントローラ10へ送信する操作信号Cの分割数を元の分割数から大きくする。なお、以下では、分割がされていないデータおよび信号の分割数を1とする。
実施の形態における指標値は、例えば、0、1、および2の3つの値のうちの1つの値をとる。「0」は、電波の健全性の度合いが低く、通信状態が悪いことを示す。「2」は、電波の健全性の度合いが高く、通信状態が良好であることを示す。「1」は、上記基準値とされてもよく、電波の健全性の度合いが、「0」の場合よりも高く、「2」の場合よりも低いことを示す。これらの指標値は、第1の時間において電波強度が基準強度より小さくなった回数または割合によって定まる。例えば、第1の時間において電波強度が基準強度より小さくなった時間の割合が、10%以下の場合には指標値が「2」、10%から50%の場合には「1」、50%以上の場合には「0」などと定められる。なお、当該指標値と割合の値との対応は例示であって、これに限定されない。
実施の形態におけるリモートコントローラ10においては、例えば、指標値が上述したような0、1、2のそれぞれの場合における操作信号Cのデータの分割数が予め設定されている。例えば、指標値が0の場合の分割数として10、指標値が1の場合の分割数として3、指標値が2の場合の分割数として1が設定されている。このような場合において、指標値が0の場合には、元の1つのデータは10倍の数のデータへ分割され、指標値が1の場合には元の1つのデータは3倍の数のデータへ分割され、指標値が2の場合には元の1つのデータは分割されない。なお、上述した3つの指標値と、各指標値に応じた分割数は、例示であって、上述のものに限定されない。
実施の形態における通信頻度としては、例えば、「低」、「中」、「高」の3段階が設定されている。これらの通信頻度は、第1の時間において電波が検知されなかった回数または割合によって定まる。「低」は、第1の時間において電波が検知されなかった時間の割合が、例えば10%以下の場合など通信頻度が低いことを示し、「高」は、第1の時間において電波が検知されなかった時間の割合が、例えば30%以上の場合など通信頻度が高いことを示す。「中」は、基準頻度として用いられてもよく、第1の時間において電波が検知されなかった時間の割合が、例えば10%より大きく30%以下の場合など、「低」と「高」の各通信頻度の間の運転頻度を示す。
実施の形態におけるリモートコントローラ10においては、例えば、通信頻度が上述したような「低」、「中」、「高」のそれぞれの場合における操作信号Cのデータの分割数が予め設定されている。例えば、通信頻度が「低」の場合の分割数として1、通信頻度が「中」の場合の分割数として5、通信頻度が「高」の場合の分割数として15が設定されている。このような場合において、通信頻度が「低」の場合には、元の1つのデータは分割されず、通信頻度が「中」の場合には元の1つのデータは5倍の数のデータへ分割され、通信頻度が「高」の場合には元の1つのデータは15倍の数のデータへ分割される。なお、上述した3段階の通信頻度と、各段階に応じた分割数は、例示であって、上述のものに限定されない。
分割数は、リモートコントローラ10の仕様、または想定される仕様条件等によって設定されてもよい。また分割数は、送信データの大きさに基づいて設定されてもよいし、送信データは、各々が一定の大きさを有する複数のデータへと分割されてもよい。例えば、第1の時間内において一定間隔毎に電波が検知される場合であって、通信頻度が当該第1の時間内に電波が検知された回数で定まる場合であって、データの送信先のリモートコントローラ10が一度に2バイト以上のデータの受信を行った際に上記一定間隔の間においてデータの受信処理を済ますことができず、これによって当該他のリモートコントローラ10の通信頻度が基準頻度以上となるような場合には、データは2バイト以下の単位のデータへと分割されてもよい。
実施の形態における操作信号Cのデータを分割したデータは、分割前の操作信号Cのデータが示す指示内容の優先度を示す情報を含む。なお、以下では、操作信号Cのデータを分割したデータを分割データと記載し、分割データに対応する信号を分割信号と記載する場合もある。優先度が高いデータは、より迅速に処理される必要があるデータである。各分割信号に優先度が設定されることによって、1つのリモートコントローラ10が複数のリモートコントローラ10からの分割信号の受信を継続している場合において、当該1つのリモートコントローラ10は、より迅速に処理されるべき分割信号を選び出すことができる。これによって、各リモートコントローラ10は、複数のリモートコントローラ10からの分割信号の受信を継続している場合において、優先度の高い順でデータを処理することができる。従って、空気調和システム100全体の処理速度の向上を図ることができる。優先度は、指示内容によって定められてもよいし、操作信号のデータを解析すること等により定められてもよい。
複数の他のリモートコントローラ10からの分割信号の受信を継続しているリモートコントローラ10は、優先度の低いデータを含む分割信号を送信する他のリモートコントローラ10の送信処理を待機させる。これによって、リモートコントローラ10は、優先度の高いデータを先に処理しつつ、受信対象のデータの衝突を抑制して、受信対象のデータの損失を抑制する。以下では、リモートコントローラ10が上記機能を実現するための構成について説明する。
図2は、実施の形態に係るリモートコントローラが含む機能ブロックを例示する図である。リモートコントローラ10は、第1通信部11と、第2通信部12と、無線経路管理部13と、主制御部14と、表示制御部15と、表示部16とを備える。
第1通信部11は、制御対象の空気調和装置30と、例えば、赤外線等を用いた無線通信を行い、空気調和装置30に操作信号Dを送信し、空気調和装置30から運転状態を示す信号などを受信する。第1通信部11は、第1通信制御部11Aと、第1通信インターフェース部11Bと、を有する。第1通信制御部11Aは、制御対象の空気調和装置30に、第1通信インターフェース部11Bを介して操作信号Dを送信し、また、当該空気調和装置30から、第1通信インターフェース部11Bを介して運転状態を示す信号を受信する。
なお、第1通信部11は、制御対象の空気調和装置30と無線通信に代えて有線通信を行うものであってもよい。また、第1通信制御部11Aは、制御対象の空気調和装置30から運転状態を示す信号を受信しないものであってもよい。
第2通信部12は、通信部の一例である。第2通信部12は、通信可能範囲における無線通信装置20または他のリモートコントローラ10と無線通信を行い、無線通信装置20から操作信号Aまたは操作信号Bを受信し、他のリモートコントローラ10との間で操作信号Cまたは分割信号の送受信を行う。また第2通信部12は、操作信号Cまたは分割信号の送信元のリモートコントローラ10に応答信号Eを送信する。第2通信部12は、操作信号Aまたは操作信号Bの送信元の無線通信装置20に応答信号Fを送信してもよい。第2通信部12は、第2通信制御部12Aと、無線機器検知部12Bと、第2通信インターフェース部12Cと、を有する。第2通信制御部12Aは、他のリモートコントローラ10に対して、第2通信インターフェース部12Cを介して操作信号C、分割信号、または応答信号Eを送信する。また、第2通信制御部12Aは、無線通信装置20または他のリモートコントローラ10から、第2通信インターフェース部12Cを介して、操作信号、分割信号、または応答信号等を受信する。
無線機器検知部12Bは、第2通信インターフェース部12Cを介して他のリモートコントローラ10を検知する。無線機器検知部12Bは、電波を第2通信インターフェース部12Cが検知することによって、他のリモートコントローラ10のIDおよび電波強度等を検知する。無線経路管理部13は、無線機器検知部12Bが検知した他のリモートコントローラ10のIDおよび電波強度の値等を記憶する。
表示制御部15は表示部16を制御し、表示部16は表示制御部15の指示に従って各種情報を表示する。主制御部14は、第1通信部11、第2通信部12、および表示制御部15を制御する。
主制御部14は、無線機器検知部12Bが第1の時間内に検知した電波に含まれるIDと電波の強度とを無線経路管理部13に記憶する。主制御部14は、第1の時間において無線経路管理部13に記憶された電波強度から、当該電波強度と共に記憶したIDを有するリモートコントローラ10からの電波の健全性の指標値と、当該リモートコントローラ10の通信頻度等を算出する。主制御部14は、算出した指標値と通信頻度とに基づいて、当該リモートコントローラ10に送信する操作信号Cのデータの分割数を設定する。また主制御部14は、分割信号同士の送信間隔を適宜設定する。
主制御部14は、第2通信部12を制御して、分割信号を送信先のリモートコントローラ10Cに送信させる。なお、操作信号Cのデータの分割動作は、主制御部14が行ってもよいし、主制御部14からの制御によって第2通信制御部12Aが行ってもよい。
主制御部14は、複数の他のリモートコントローラ10からの分割信号の受信を継続している場合において、当該複数の他のリモートコントローラ10の各々からの分割信号の優先度を参照し、当該優先度に応じた順番で分割データの処理を行う。主制御部14は、優先度が低い分割信号の送信元に送信処理の待機を指示するデータを生成し、第2通信部12を制御して、当該待機を指示するデータを含む応答信号Eを、当該優先度が低い分割信号の送信元のリモートコントローラ10に送信させる。
主制御部14は、第2通信部12を介して、分割信号の送信先から送信処理の待機を指示する応答信号Eを受信した場合には、第2通信部12を制御して、予め定められた一定時間の間、分割信号の送信処理を待機させ、当該一定時間の経過後に分割信号を送信させる。なお、当該一定時間の長さは、分割信号の優先度の高さによって定められるものでもよい。
実施の形態に係るリモートコントローラ10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access memory)等のメモリ、通信インターフェース回路、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、および、液晶ディスプレイまたはCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置等によって構成可能である。第1通信インターフェース部11Bの機能は、赤外線等を用いての通信のための通信インターフェース回路によって実現できる。第2通信インターフェース部12Cは、Bluetooth(登録商標)またはZigBee(登録商標)等による通信のための通信インターフェース回路によって実現できる。表示部16の機能は、表示装置により実現できる。無線経路管理部13の機能は、メモリまたは記憶装置によって実現できる。主制御部14、第1通信制御部11A、第2通信制御部12A、無線機器検知部12B、および表示制御部15の各機能は、プロセッサが、メモリまたは記憶装置に記憶されている各種プログラムまたはデータ等を読み出して実行することにより実現できる。リモートコントローラ10は、その全部または一部を専用のハードウェアとしてもよい。例えば、主制御部14を、その機能を実現する回路デバイスを用いて構成してもよい。
図3は、実施の形態における分割データの形式の一例を示す図である。分割データは、図3に示すように、データ番号、総数、優先度、およびペイロード等を含む。総数は、1つの操作信号Cのデータの分割によって生成された分割データの総数である。データ番号は、当該分割データが操作信号Cのデータのうちの何番目のデータかを示すものである。例えば、操作信号Cのデータが10個に分割された場合における5番目の分割データが含むデータ番号と総数は、それぞれ5、10となる。
分割データは、送信先のリモートコントローラ10へ、データ番号が例えば1など最初のものから順番に送信される。送信先のリモートコントローラ10は、操作信号Cのデータのうちの最初の分割データから、データ番号が総数と等しい最後の分割データまでの全ての分割データを受信する。リモートコントローラ10は、操作信号Cの分割データを全て受信した後、分割データを結合して、操作信号Cのデータを復元する。
優先度は、上述したように分割データの優先度を示し、より迅速に処理されるべきデータほど優先度が高く設定される。ペイロードは、データの本体部分である。
図4は、実施の形態におけるリモートコントローラから他のリモートコントローラへの応答信号のデータの形式の一例を示す図である。応答信号Eのデータは、図4に示すように、Waitフラグ、分割通信中フラグ、およびペイロード等を含む。なお、以下では応答信号Eのデータを応答データと記載する場合もあるとする。Waitフラグは、他のリモートコントローラ10に対する、分割信号の送信処理の待機指示を示す情報の一例である。Waitフラグは、リモートコントローラ10が複数の他のリモートコントローラ10から分割信号を受信する最中において、優先度の低い分割信号を送信するリモートコントローラ10に、次の分割信号の送信を一定時間待たせるためのフラグである。
分割通信中フラグは、リモートコントローラ10が分割信号の受信の継続中において、分割信号の送信元の全てのリモートコントローラ10に対して、リモートコントローラ10が分割信号の受信を継続中であることを示すための情報である。
以下、実施の形態に係るリモートコントローラ10の動作について詳細に説明する。以下説明するリモートコントローラ10の動作は、以下の4つである。1つ目の動作は、電波強度のサンプリング動作である。2つ目の動作は、操作信号Cの分割の有無の決定動作である。3つ目の動作は、分割信号の送信動作である。4つ目の動作は、分割信号と操作信号の受信動作である。なお、実施の形態における電波強度のサンプリングは、電波強度の取得処理と記憶処理を指す。
以下、電波強度のサンプリング動作について、図5を参照して詳細に説明する。図5は、実施の形態に係るリモートコントローラによる他のリモートコントローラの電波強度のサンプリング動作の一例を示すフローチャートである。電波強度のサンプリング動作は、操作信号または分割信号等の送受信中ではないリモートコントローラ10により開始される。ステップS101においてリモートコントローラ10の第2通信部12が、他のリモートコントローラ10からの基準強度以上の強度の電波を検知するまでの間(ステップS101:NO)、リモートコントローラ10は待機する。ステップS101において第2通信部12が、他のリモートコントローラ10からの基準強度以上の強度の電波を検知した場合には(ステップS101:YES)、第2通信部12の第2通信制御部12Aは、当該電波を発するリモートコントローラ10のIDを主制御部14に通知し、リモートコントローラ10の処理はステップS102に移る。
ステップS102において主制御部14は、ステップS101で検知された、基準強度以上の強度の電波の発信源のリモートコントローラ10のIDと電波強度とを、無線経路管理部13に記憶する。続くステップS103において主制御部14は、無線経路管理部13にIDが記憶されている全てのリモートコントローラ10の電波強度のサンプリングを行う。ステップS104において予め定められた第2の時間が経過するまでの間(ステップS104:NO)、リモートコントローラ10は待機する。なお、第2の時間は第1の時間よりも短い。
ステップS104において第2の時間が経過した場合には(ステップS104:YES)、ステップS105において主制御部14は、無線経路管理部13がIDを記憶する全てのリモートコントローラ10の電波強度を新たにサンプリングする。
ステップS106において主制御部14は、予め定められた規定回数だけサンプリングされたか否かを判定する。主制御部14は、例えば、無線経路管理部13に記憶された、各IDにおける電波強度の値のサンプル数を確認することにより、当該判定を行う。なお、実行済みのサンプリングの回数が規定回数に達する時点は、ステップS103におけるサンプリングの開始から、第1の時間が経過する時点に相当する。
ステップS106において主制御部14が、実行されたサンプリングの回数が予め定められた規定回数に達していないと判定した場合には(ステップS106:NO)、リモートコントローラ10の処理はステップS104に戻る。ステップS106において主制御部14が、実行されたサンプリングの回数が規定回数に達したと判定した場合には(ステップS106:YES)、ステップS107において主制御部14は、無線経路管理部13に記憶された、ID毎の全ての電波強度の値から電波の健全性の指標値と、各IDのリモートコントローラ10の通信頻度とを算出し、無線経路管理部13に記憶する。
当該処理の一例においては、電波の健全性の指標値は、第1の時間における全サンプリング数のうち、基準強度より低い電波強度が検知された回数を用いて算出されるものとする。すなわち当該一例における指標値は、第1の時間内において基準強度より低い電波強度が検知された回数が多いほど小さい。
当該処理の一例においては、リモートコントローラ10の通信頻度は、規定回数のサンプリングにおいて電波が検知されなかった回数によって算出される。すなわち当該一例における通信頻度は、規定回数のサンプリングにおいて電波を検知できなかった回数が多いほど高い。
主制御部14は、ステップS107の処理後、新たなリモートコントローラ10のIDを検知しない間は(ステップS108:NO)、ステップS103以降の処理を繰り返す。主制御部14は、新たなリモートコントローラ10のIDを検知した場合には(ステップS108:YES)、ステップS102以降の処理を繰り返す。ただし、これらの処理は、操作信号の送受信中において中断されてもよい。なお、ステップS107において主制御部14は、直前に実行されたステップS107において無線経路管理部13に記憶した、各IDに対応付けられた指標値と通信頻度とを、新たに算出した各IDのリモートコントローラ10の電波強度の健全性の指標値と通信頻度とに更新する。あるいは、主制御部14は、当該更新を行わずに、以前に記憶した指標値と通信頻度と共に、新たな指標値と通信頻度とを記憶してもよい。
以下では、実施の形態に係るリモートコントローラ10による、他のリモートコントローラ10の電波強度の健全性と通信頻度とに基づく、当該他のリモートコントローラ10への操作信号Cの分割の有無および分割数の決定処理について説明する。図6は、実施の形態における主制御部による操作信号の分割の有無および分割数の決定処理の一例を示すフローチャートである。ステップS201において、他のリモートコントローラ10への操作信号Cの送信処理のトリガとなるイベントが発生した場合、ステップS202において主制御部14は、無線経路管理部13を参照し、送信先のリモートコントローラ10の電波強度の健全性の指標値と通信頻度とを読み出す。なお、他のリモートコントローラ10への操作信号Cの送信処理のトリガとなるイベントとしては、例えば、無線通信装置20または更なる他のリモートコントローラ10から操作信号を受信したような場合が挙げられる。
ステップS203において主制御部14は、送信先のリモートコントローラ10の電波の健全性の指標値が、基準値以下か否かを判定する。指標値が基準値以下であった場合には(ステップS203:YES)、ステップS204において主制御部14は、指標値に基づいて操作信号Cのデータの分割数を設定する。
ステップS204に続いて主制御部14は、ステップS205において送信先のリモートコントローラ10の通信頻度が基準頻度以上か否かを判定する。送信先のリモートコントローラ10の通信頻度が基準頻度以上の場合には(ステップS205:YES)、ステップS206において主制御部14は、当該通信頻度に基づいて更に分割数を設定する。当該設定は、通信頻度の高さに基づいて、ステップS204で設定した分割数から段階的に分割数を変化させるものでも、ステップS204で設定した分割数を数倍したものを新たな分割数とするものでもよい。また、指標値と通信頻度との組み合わせに応じた分割数が予め定められて無線経路管理部13に記憶されていてもよく、主制御部14は、無線経路管理部13を参照して、送信先のリモートコントローラ10の指標値と通信頻度とに基づいて分割数を設定してもよい。
ステップS206の処理後、ステップS207において第2通信部12は、主制御部14からの指示に従って、操作信号CのデータをステップS206で設定された分割数に分割して、送信先のリモートコントローラ10へ送信する。
ステップS205において通信頻度が基準頻度より低いと判定された場合には(ステップS205:NO)、ステップS207において第2通信部12は、主制御部14からの指示に従って、操作信号CのデータをステップS204で設定された分割数に分割して、送信先のリモートコントローラ10へ送信する。
ステップS203において指標値が基準値より大きいと判定された場合は(ステップS203:NO)、ステップS208において主制御部14は、送信先のリモートコントローラ10の通信頻度が基準頻度以上か否かを判定する。送信先のリモートコントローラ10の通信頻度が基準頻度以上の場合には(ステップS208:YES)、ステップS209において主制御部14は、通信頻度に基づいて分割数を設定する。
ステップS209の処理後、ステップS207において第2通信部12は、主制御部14からの指示に従って、操作信号CのデータをステップS209で設定された分割数に分割して、送信先のリモートコントローラ10へ送信する。
ステップS208において通信頻度が基準頻度より低いと判定された場合には(ステップS208:NO)、ステップS210において第2通信部12は、主制御部14からの指示に従って、操作信号Cを分割せずに送信先のリモートコントローラ10へ送信する。
図7は、実施の形態に係るリモートコントローラによる分割データの送信処理の一例を示す図である。ステップS301において主制御部14は、データ番号を示すiに1を格納する。ステップS302において主制御部14は、第2通信部12を制御してi番目の分割データを送信先のリモートコントローラ10へ送信させる。ステップS303において主制御部14は、全ての分割データが送信されたかを判定する。当該判定は、例えば、iが分割データの総数に等しいか否かにより行われる。全ての分割データの送信が完了していない場合には(ステップS303:NO)、i番目の分割データの送信に対しての応答データを、第2通信部12を介して受信した主制御部14は、ステップS304において応答データにおいてWaitフラグがセットされているか否かを判定する。
Waitフラグがセットされていない場合には(ステップS304:NO)、主制御部14の処理はステップS306に移る。Waitフラグがセットされていた場合には(ステップS304:YES)、ステップS305において主制御部14は、一定時間待機した後に処理をステップS306に移す。ステップS306において主制御部14は、iの値に1を加算した値をiに格納する。
ステップS303において主制御部14が全ての分割データの送信が完了したと判定した場合には(ステップS303:YES)、分割データの送信処理は終了する。
図8は、実施の形態に係るリモートコントローラによるデータの受信処理の一例を示す図である。ステップS401において主制御部14は、第2通信部12を介して操作信号または分割信号等を受信する。主制御部14は、受信した操作信号または分割信号等のデータを解析し、総数が1であるか否かを判定する。なお、当該一例においては、分割されていない操作信号のデータは、分割データと同様、データの総数を格納するための領域を有しているものとし、当該領域には1が格納されているとする。ステップS402において受信したデータの総数が1である場合には(ステップS402:YES)、ステップS403においてリモートコントローラ10は、受信したデータの処理後、データの受信処理を終了する。ステップS402において受信したデータの総数が1でない場合には(ステップS402:NO)、ステップS404において主制御部14は、分割データの受信処理を行う。
ステップS405において主制御部14は、無線経路管理部13を参照し、分割データの送信元のリモートコントローラ10のIDが、分割データの通信相手のリモートコントローラ10のIDとして記憶されているか否かを判定する。無線経路管理部13に分割データの送信元のリモートコントローラ10のIDが、分割データの通信相手のリモートコントローラ10のIDとして記憶されていない場合には(ステップS405:NO)、ステップS406において主制御部14は、送信元のリモートコントローラ10のIDと分割データの優先度とを無線経路管理部13に記憶する。無線経路管理部13は、ステップS406における主制御部14による処理によって、分割データの受信処理の継続中における当該分割データの送信元のリモートコントローラ10のIDと当該分割データの優先度とを記憶する。
ステップS405において無線経路管理部13に分割データの送信元のリモートコントローラ10のIDが、分割データの通信相手のリモートコントローラ10のIDとして記憶されている場合(ステップS405:YES)、またはステップS406の処理後、主制御部14による処理はステップS407に移る。ステップS407において主制御部14は、複数のリモートコントローラ10からの分割データの受信を継続中であるか否かを判定する。なお、主制御部14は、無線経路管理部13に記憶された、分割データの通信相手のリモートコントローラ10のIDの数を参照して当該判定を行う。複数のリモートコントローラ10からの分割データの受信を継続中ではない場合には(ステップS407:NO)、主制御部14の処理はステップS409に移る。
複数のリモートコントローラ10からの分割データの受信を継続中の場合には(ステップS407:YES)、ステップS408において主制御部14は、ステップS404において受信処理を行った分割データの優先度が、他のリモートコントローラ10からの分割データの優先度に比べて高いか否かを判定する。ステップS404において受信処理を行った分割データの優先度が、複数のリモートコントローラ10からの分割データの優先度の中、最高の場合には(ステップS408:YES)、ステップS409において主制御部14は、Waitフラグをセットしない応答データを、ステップS404において受信処理を行った分割データの送信元のリモートコントローラ10に送信する。ステップS404において受信処理を行った分割データの優先度が、複数のリモートコントローラ10からの分割データの優先度の中、最高でない場合には(ステップS408:NO)、ステップS410において主制御部14は、Waitフラグをセットした応答データを、ステップS404において受信処理を行った分割データの送信元のリモートコントローラ10に送信する。ステップS409の処理またはステップS410の処理の実行後、主制御部14の処理はステップS411に移る。
なお、ステップS408において主制御部14は、ステップS404において受信処理を行った分割データの優先度が、基準の優先度以上か否かを判定してもよい。このような場合であって、分割データの優先度が基準の優先度以上の場合においてステップS409の処理が行われ、分割データの優先度が基準の優先度未満の場合においてステップS410の処理が行われてもよい。
ステップS411において主制御部14は、ステップS404において受信処理を行った分割データの総数とデータ番号とを参照する。そして主制御部14は、データ番号が総数と等しいか否か、すなわちステップS404で受信処理を行った分割データが最後の分割データか否かを判定する。データ番号が総数と等しくない場合には(ステップS411:NO)、リモートコントローラ10によるデータの受信処理は、ステップS401へ戻る。
データ番号が総数と等しい場合には(ステップS411:YES)、ステップS412において主制御部14は、無線経路管理部13が、分割データの通信相手として記憶するリモートコントローラ10のIDの中から、ステップS404において受信処理を行った分割データの送信元のリモートコントローラ10のIDを削除する。ステップS412の処理の後、データの受信処理は終了する。
以下、上記実施の形態に係る空気調和システム100の具体的な動作例について説明する。図9は、実施の形態に係る空気調和システムの具体的な動作例を説明するための図である。図9は、使用者が、無線通信装置20Aを介してリモートコントローラ10Aに対し、温度または運転モード等を設定しているときに、管理者が、無線通信装置20Bを介してリモートコントローラ10Bに対し、運転スケジュールのデータの更新をする場合を想定したものである。リモートコントローラ10Aが操作信号もしくは分割信号の送受信を行わない間、リモートコントローラ10Aからは電波が放射されており、リモートコントローラ10Bは、リモートコントローラ10Aの電波強度のサンプリングを実行する。
続いて使用者の操作によって無線通信装置20Aからリモートコントローラ10Aに操作信号Aが送信される。リモートコントローラ10Bは、当該操作信号Aをリモートコントローラ10Aが受信することによって、リモートコントローラ10Aからの電波が途絶えたことに基づいて、リモートコントローラ10Aが操作信号の送受信中であることを検知する。リモートコントローラ10Bは、電波強度のサンプリングにおいて、リモートコントローラ10Aの電波が検知されなかったことを示す情報(例えば、電波強度=0)を、無線経路管理部13に記憶する。リモートコントローラ10Bは、第1の時間内における、リモートコントローラ10Aの電波の健全性の指標値と通信頻度とを算出する。
管理者は、無線通信装置20Bを用いて、運転スケジュールのデータの更新処理を開始する。管理者は、まず、無線通信装置20Bによってリモートコントローラ10Bにスケジュールデータを含む操作信号Bを送信する。リモートコントローラ10Bは、操作信号Bを受信すると、リモートコントローラ10Aの電波の健全性の指標値と通信頻度とに基づいて、リモートコントローラ10Aに送信する操作信号Cのデータの分割数を設定する。ここでは、分割数が2以上であるとする。リモートコントローラ10Bは、設定した分割数に操作信号Cのデータを分割した分割データを、リモートコントローラ10Aに送信する。
リモートコントローラ10Bは、算出したリモートコントローラ10Aの通信頻度が、例えば基準頻度以上など、高い場合には、1つの分割データの送信後に一定時間を設けてから次の通信データを送信してもよい。ただし、リモートコントローラ10Bは、Waitフラグがセットされた応答信号Eを受信しない間は、上記一定時間を設けなくともよい。リモートコントローラ10Aが分割データの受信処理を開始すると、表示制御部15は、表示部16を制御して、分割データを受信中であることを示す内容を表示させてもよい。使用者に、リモートコントローラ10Aの処理速度が低くなる可能性があることを通知するためである。また、リモートコントローラ10Aは、無線通信装置20Aから受信した操作信号Aに対して、無線通信装置20Aに、分割データの受信中であることを示すデータを含む応答信号Fを送信してもよい。当該応答信号Fを受信した無線通信装置20Aは、不図示の画面において、リモートコントローラ10Aの通信が混雑していることを示す内容を表示して、リモートコントローラ10Aの制御対象の空気調和装置30への設定の反映が遅くなる可能性を示してもよい。
次に図9に示す空気調和システム100において、リモートコントローラ10Aの電波強度の健全性の指標値が基準値より小さい場合と、通信頻度が基準頻度より高い場合の少なくとも一方が満たされる場合における、リモートコントローラ10Aおよびリモートコントローラ10B等の動作について説明する。リモートコントローラ10Bは、リモートコントローラ10Aからの電波をサンプリングすることにより、リモートコントローラ10Aの通信状況(指標値および通信頻度)を把握する。続いて、管理者は無線通信装置20Bを介して、運転スケジュールのデータの更新処理を開始する。管理者は、まず、無線通信装置20Bによってリモートコントローラ10Bにスケジュールデータを含む操作信号Bを送信する。リモートコントローラ10Bは、操作信号Bを受信すると、リモートコントローラ10Aの電波の健全性の指標値と通信頻度とに基づいて、リモートコントローラ10Aに送信する操作信号Cのデータの分割数を設定する。ここでは、分割数が2以上であるとする。リモートコントローラ10Bは、設定した分割数に操作信号Cのデータを分割した分割データを、リモートコントローラ10Aに送信する。当該分割データの優先度が高い場合などにおいて、リモートコントローラ10Bは、他のリモートコントローラ10からの通信を割り込ませないために、リモートコントローラ10Aに対して、時間間隔を空けずに分割データを送信してもよいし、短い時間間隔で次の分割データを送信してもよい。
以上のリモートコントローラ10の具体的な動作例以外にも、リモートコントローラ10は、一括設定モードにおいて、通信頻度が例えば基準頻度以上などの高いリモートコントローラ10を、操作信号C又は分割信号の送信対象から除外してもよい。そしてリモートコントローラ10は、通信頻度が例えば基準頻度などに比べて低いリモートコントローラ10のみに対して操作信号Cまたは分割信号を送信してもよい。以下、図10を参照して当該リモートコントローラ10の動作について具体的に説明する。
図10は、実施の形態に係る空気調和システムの具体的な動作例を説明するための図である。空気調和システム100は、リモートコントローラ10A、リモートコントローラ10B、およびリモートコントローラ10Cを含むとする。リモートコントローラ10Bは、リモートコントローラ10Aとリモートコントローラ10Cの各電波強度をサンプリングし、リモートコントローラ10Aとリモートコントローラ10Cの各々の電波強度の健全性の指標値と通信頻度とを算出する。
次に使用者の無線通信装置20Aへの操作によって、無線通信装置20Aからリモートコントローラ10Aに操作信号Aが送信されたとする。これにより、リモートコントローラ10Bは、リモートコントローラ10Aの通信頻度が例えば基準頻度に比べて高くなったことを検知する。なお、リモートコントローラ10Cの通信頻度は、例えば基準頻度と比べて低いとする。続いて管理者の無線通信装置20Bへの操作によって、無線通信装置20Bから、リモートコントローラ10Bに操作信号Bが送信されたとする。リモートコントローラ10Bは、リモートコントローラ10Aおよびリモートコントローラ10Cの各通信状況に基づき、操作信号Cまたは分割信号の送信対象からリモートコントローラ10Aを外し、リモートコントローラ10Cに操作信号Cまたは分割信号を送信することにしてもよい。
次に、実施の形態に係る空気調和システム100における、優先度に基づくリモートコントローラ10間の分割信号の送受信動作の具体例について図11を参照して説明する。図11は、実施の形態に係る空気調和システムの具体的な動作例を説明するための図である。空気調和システム100は、リモートコントローラ10A、リモートコントローラ10B、およびリモートコントローラ10Cを含むとする。リモートコントローラ10Bがリモートコントローラ10Aに分割信号の送信を行う最中に、リモートコントローラ10Cが、リモートコントローラ10Aに対し、リモートコントローラ10Bからリモートコントローラ10Aに送信される分割信号の優先度よりも高い優先度の分割信号の送信を開始したとする。このとき、リモートコントローラ10Aは、リモートコントローラ10Bに対してWaitフラグをセットした応答信号Eを送信する。リモートコントローラ10Bは、次の分割データの送信まで一定時間待機する。一方、リモートコントローラ10Cからリモートコントローラ10Aに送信される分割信号は優先度がより高いため、リモートコントローラ10Aは、Waitフラグをセットしない応答信号Eを、リモートコントローラ10Cに送信する。これにより、リモートコントローラ10Cは、待ち時間を設けずに連続で分割信号を送信できる。よって、優先度のより高いデータの送受信をリモートコントローラ10Aおよびリモートコントローラ10Cは行えるようになる。
実施の形態に係るリモートコントローラ10は、第2通信部12と無線経路管理部13と主制御部14等とを備える。第2通信部12は、1以上の他のリモートコントローラ10から、1以上の空気調和装置30の全部または一部を制御するための操作信号Cまたは当該操作信号Cを複数に分割した分割信号を送受信する。また第2通信部12は、1以上の他のリモートコントローラ10が操作信号および分割信号の少なくとも一方の送受信を行う間以外の間に発する電波を検知する。無線経路管理部13は、第2通信部12が検知した、1以上の他のリモートコントローラ10の各々が発する電波の強度を記憶する。主制御部14は、無線経路管理部13に記憶された1以上の他のリモートコントローラ10の各々が発する電波強度に基づいて、1以上の他のリモートコントローラ10の各々の電波の健全性を示す指標値と通信頻度とを算出する。主制御部14は、他のリモートコントローラ10に操作信号Cを送信する場合において、当該他のリモートコントローラ10の、電波の健全性を示す指標値および通信頻度のうちの少なくとも一方に基づいて、操作信号Cを分割するか否かの決定を行う。第2通信部12は、主制御部14の決定に基づいて操作信号Cまたは分割信号を、他のリモートコントローラ10に送信する。これによりリモートコントローラ10間においてリモートコントローラ10の通信状況に柔軟に対応した通信が可能となる。
実施の形態に係るリモートコントローラ10の主制御部14は、操作信号Cの送信対象の他のリモートコントローラ10が発する電波の健全性を示す指標値が予め定められた基準値以下の場合、および当該他のリモートコントローラ10の通信頻度が予め定められた基準頻度以上の場合の、少なくとも一方の場合には、操作信号Cを複数の分割信号へと分割することを決定する。これにより、他のリモートコントローラ10の通信状況に応じて、必要な場合に当該他のリモートコントローラ10へ送信する操作信号Cの分割処理を行うことができる。
実施の形態に係るリモートコントローラ10の主制御部14は、操作信号Cを分割信号へ分割する場合には、指標値および通信頻度の少なくとも一方に基づいて操作信号Cの分割数を決定する。これにより、他のリモートコントローラ10の通信状況に応じて、不要な分割処理を抑制しつつ、当該他のリモートコントローラ10へ送信されるデータの損失を抑制することができる。
実施の形態に係るリモートコントローラ10の主制御部14は、無線経路管理部13を参照し、予め定められた時間において、1以上の他のリモートコントローラ10の各々が発する電波の強度が予め定められた基準強度未満となる回数、または、1以上の他のリモートコントローラ10の各々が発する電波の強度が基準強度未満となる時間の予め定められた時間に対する割合に基づいて、1以上の他のリモートコントローラ10の各々が発する電波の健全性を示す指標値を算出する。また主制御部14は、予め定められた時間において、1以上の他のリモートコントローラ10の各々が発する電波を第2通信部12が検知できなかった回数、または、1以上の他のリモートコントローラ10の各々が発する電波を第2通信部12が検知できなかった時間に基づいて、1以上の他のリモートコントローラ10の各々の通信頻度を算出する。これにより、他のリモートコントローラ10の通信状況を示す指標値と通信頻度とを、サンプリング結果を用いてより正確に算出することができる。
実施の形態に係るリモートコントローラ10の無線経路管理部13は、1以上の他のリモートコントローラ10から分割信号を受信した場合には、当該分割信号に含まれる優先度を記憶する。主制御部14は、第2通信部12が複数の他のリモートコントローラ10からの分割信号の受信の継続中である場合には、当該複数の他のリモートコントローラ10の各々からの分割信号の優先度に基づいて、処理すべき分割信号の順番を決定する。また主制御部14は、当該複数の他のリモートコントローラ10の各々からの分割信号の優先度に基づいて、当該複数の他のリモートコントローラ10のうちの一部に対し、予め定められた一定時間の間、分割信号の送信を待機するよう指示する応答信号Eを第2通信部12に送信させる。これにより、複数のリモートコントローラ10から分割信号の受信処理の継続中にあるリモートコントローラ10は、優先度の高い分割信号の処理を実行することができると共に、他のリモートコントローラ10から送信されるデータの損失を抑制することができる。
実施の形態に係るリモートコントローラ10の主制御部14は、第2通信部12が複数の他のリモートコントローラ10からの電波を検知した場合において、当該複数の他のリモートコントローラ10のうち通信頻度が高い他のリモートコントローラ10に対して、操作信号Cまたは分割信号を送信しないよう第2通信部12を制御すると共に、通信頻度が低い他のリモートコントローラ10に対して、操作信号Cまたは分割信号を送信するよう第2通信部12を制御する。これにより、送信された分割信号が破棄される可能性または処理が遅くなる可能性があるリモートコントローラ10に対し、分割信号を送信する無駄が省かれる。そしてまた、通信頻度の低いリモートコントローラ10のみに分割信号が送信されることにより、送信処理の迅速化が図られ、また送信先のリモートコントローラ10における操作の反映が迅速になる。
実施の形態に係るリモートコントローラ10の主制御部14は、分割信号を送信する場合に、分割信号の優先度、分割信号の送信対象の他のリモートコントローラ10の通信頻度、および、分割信号の送信対象の他のリモートコントローラ10からの電波の健全性の指標値のうちの少なくとも1つに基づいて、分割信号の送信間隔を決定する。第2通信部12は、1つの分割信号の送信後、決定された当該送信間隔を空けて次の分割信号を送信する。これにより、分割信号の送信元のリモートコントローラ10は、送信先のリモートコントローラ10の通信状況と分割信号の優先度に即した送信処理を行うことができ、空気調和システム100全体において各リモートコントローラ10の通信状況に応じた柔軟な処理が行えるようになる。
実施の形態に係るリモートコントローラ10は、当該リモートコントローラ10が他のリモートコントローラ10から分割信号を受信している間、分割信号を受信中である旨を表示する表示部16を更に備える。これにより、リモートコントローラ10の使用者は操作の反映の遅れを予め知ることができる。
実施の形態に係る空気調和システム100は、各々が、1以上の空気調和装置30の各々を制御する、1以上のリモートコントローラ10を有する。当該リモートコントローラ10は、1以上の他のリモートコントローラ10から、1以上の空気調和装置30の全部または一部を制御するための操作信号Cまたは当該操作信号Cを複数に分割した分割信号を送受信する。また当該リモートコントローラ10は、1以上の他のリモートコントローラ10が操作信号および分割信号の少なくとも一方の送受信を行う間以外の間に発する電波を検知する。また当該リモートコントローラ10は、検知した電波の強度を記憶する。当該リモートコントローラ10は、記憶した1以上の他のリモートコントローラ10の各々が発する電波強度に基づいて、1以上の他のリモートコントローラ10の各々の電波の健全性を示す指標値と通信頻度とを算出する。当該リモートコントローラ10は、他のリモートコントローラ10に操作信号Cを送信する場合において、当該他のリモートコントローラ10の、電波の健全性を示す指標値および通信頻度のうちの少なくとも一方に基づいて、操作信号Cを分割するか否かの決定を行い、当該決定に基づいて操作信号Cまたは分割信号を、他のリモートコントローラ10に送信する。これにより空気調和システム100におけるリモートコントローラ10間においてリモートコントローラ10の通信状況に柔軟に対応した通信が可能となる。