以下に、本発明の実施の形態にかかる制御装置、通信装置および空調制御システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる空調システム100の構成例を示す図である。実施の形態1の空調システム100は、複数の空調機である空調機1−1,1−2と、複数の制御装置である制御装置2−1,2−2と、通信装置である外部端末3とを備える。制御装置2−1は、空調ネットワークにより空調機1−1と接続され、空調機1−1を制御する。制御装置2−2は、空調ネットワークにより空調機1−2と接続され、空調機1−2を制御する。すなわち、制御装置2−1,2−2は、複数の空調機をそれぞれ制御する複数の制御装置である。空調ネットワークは、空調システムのメーカーにより定義された独自プロトコルによる通信ネットワークである。制御装置2−1と空調機1−1とを接続する空調ネットワークと、制御装置2−2と空調機1−1とを接続する空調ネットワークとは1つの空調ネットワークであってもよく、別々の空調ネットワークであってもよい。また、制御装置2−1および制御装置2−2は、外部端末3と無線ネットワークにより接続可能である。無線ネットワークとは、近距離無線通信を想定した通信規格に基づくネットワークであり、例えば、Bluetooth(登録商標)などのネットワークである。
外部端末3は、スマートホン、タブレットPC(Personal Computer)などの無線ネットワークに接続可能なすなわち無線通信機能を有する端末である。外部端末3は、制御装置2−1を介して空調機1−1を制御可能であり、制御装置2−2を介して空調機1−2を制御可能である。
なお、図1では、空調機および制御装置の数をそれぞれ2つとしているが、空調システムを構成する空調機および制御装置の数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。空調機1−1および空調機1−2の構成は同様であり、以下、空調機1−1および空調機1−2を区別せずに示すときには空調機1と記載する。制御装置2−1および制御装置2−2の構成は同様であり、以下、制御装置2−1および制御装置2−2を区別せずに示すときには制御装置2と記載する。
図2は、実施の形態1の空調機1、制御装置2および外部端末3の構成例を示す図である。図2に示すように、空調機1は、空調通信部11、機器制御部12および空調機器13を備える。空調通信部11は、空調ネットワークを介して通信を行う。空調機器13は、冷媒回路131、ルーバー132およびファン133といった空調制御のための動作を実施するデバイスで構成される。機器制御部12は、空調機器13を制御する。
制御装置2は、空調通信部21、無線通信部22、空調範囲定義記憶部23、空調運転管理部24および操作インタフェース部25を備える。空調通信部21は、空調ネットワークを介して通信を行う。無線通信部22は、無線ネットワークを介して通信を行う。具体的には、無線通信部22は、外部端末3と無線ネットワークを介して無線通信を行い、後述する空調範囲定義を報知する。
空調範囲定義記憶部23は、空調範囲定義として、空調機1の空調対象空間における受信電波強度を1つ以上記憶している。空調範囲定義は、選択条件であり、制御装置2−1における空調範囲定義の場合、外部端末3において測定される制御装置2−1および制御装置2−1以外の制御装置である制御装置2−2から送信された無線信号の電波強度に基づいて外部端末3が空調機1に対する操作指令の送信先を選択するための条件である。空調範囲定義の詳細については後述する。空調運転管理部24は、空調機の運転状態を管理する。具体的には、空調運転管理部24は、制御対象の空調機1の運転状態を保持し、スケジュール運転における運転状態の切り替え、およびユーザー操作による空調機1の運転状態の切り替えを管理する。スケジュール運転は、あらかじめ定められたスケジュールに従った運転である。操作インタフェース部25は、液晶パネルまたはディスプレイなどである表示部251と、ボタン、キーボードまたはタッチパネルなどである入力部252とを備える。
外部端末3は、無線通信部31、操作対象判定部32および操作インタフェース部33を備える。無線通信部31は、無線ネットワークを介して空調機1を制御する制御装置2をはじめとする装置と無線通信を行うとともに、受信した無線信号の電波強度を測定する。操作対象判定部32は、制御装置2から報知された空調範囲定義と無線通信部31により測定された電波強度とに基づいて、空調機1に対する操作指令の送信先すなわち操作対象の制御装置2を判定する。操作インタフェース部33は、タッチパネルなどであり、情報の表示および入力の受付を実施する。
図3は、実施の形態1における各装置の配置の一例を示す図である。図4は、図3の各装置の配置を前提とした場合の制御装置2−1の空調範囲定義すなわち制御装置2−1の空調範囲定義記憶部23に記憶される空調範囲定義の一例を示す図である。図5は、図3の各装置の配置を前提とした場合の制御装置2−2の空調範囲定義すなわち制御装置2−2の空調範囲定義記憶部23に記憶される空調範囲定義の一例を示す図である。
図3に示す配置例では、空調機1−1による空調制御が可能な範囲である空調範囲4−1と、空調機1−2による空調制御が可能な範囲である空調範囲4−2とが図3の紙面の左右の方向に隣接している。また、空調機1−1を制御する制御装置2−1は、空調機1−1に対して紙面の下方に位置し、空調機1−2を制御する制御装置2−2は、空調機1−2に対して紙面の右側に位置する。
範囲5−1は、制御装置2−1から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル1となる範囲を示している。範囲5−2は、制御装置2−1から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル2となる範囲を示している。レベル1、レベル2およびレベル3は、それぞれ電波強度の範囲を示し、レベル2に対応する電波強度の範囲は、レベル1に対応する電波強度の範囲より低く、レベル3に対応する電波強度の範囲は、レベル2に対応する電波強度の範囲より低い。したがって、範囲5−1より内側すなわち制御装置側2−1の範囲に位置する装置で測定される電波強度はレベル1であり、範囲5−1より外側で範囲5−2より内側の範囲に位置する装置で測定される電波強度はレベル2であり、範囲5−2より外側で測定される電波強度はレベル3である。
レベル1およびレベル2の電波強度の範囲は、任意に設定可能であるが、例えば、送信電力を基準としたとき、レベル1は、−50dBより大きく0dB以下の範囲であり、レベル2は、−70dBより大きく−50dB以下の範囲であり、レベル3は、−90dBより大きく−70dB以下の範囲である。
同様に、範囲6−1は、制御装置2−2から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル1となる範囲を示している。範囲6−2は、制御装置2−2から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル2となる範囲を示している。範囲6−3は、制御装置2−2から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル3となる範囲を示している。
以下では、制御装置2−1の識別情報であるID(IDentifier)を101とし、制御装置2−2のIDを102とする。図4に示した例では、制御装置2−1には、空調範囲定義として、条件#1および条件#2の2つの条件が定義されている。条件#1は、自機器すなわちID=101の機器から送信された無線信号を受信した機器において測定された電波強度(以下、自機器の電波強度と略す)がレベル1であり、他機器から送信された無線信号を受信した機器において測定された電波強度(以下、他機器の電波強度と略す)が不問であるすなわちどのレベルでもよいという条件である。図3に示した配置例では、他機器は制御装置2−2だけであるため、ID=102の機器が他機器である。条件#2は、自機器の電波強度がレベル2であり、他機器の電波強度がレベル3であるという条件である。
図5に示した例では、制御装置2−2には、空調範囲定義として、条件#1および条件#2の2つの条件が定義されている。条件#1は、自機器すなわちこの場合は制御装置2−2の電波強度がレベル1であり、他機器の電波強度が不問であるという条件である。条件#2は、自機器の電波強度がレベル2であり、他機器の電波強度が不問であるという条件である。以上のように、図4および図5に示した空調範囲定義は、自身すなわち該空調範囲定義を記憶している制御装置2が、外部端末3によって操作指令の送信先として選択されるために満たすべき条件である。
実施の形態1の制御装置2は、上述した空調範囲定義を報知する。これにより、空調範囲定義を受信した外部端末3は、空調範囲定義により示された条件を満たした場合に、空調範囲定義の送信元の制御装置2を空調制御のための制御要求を送信する対象とする。これにより、外部端末3が、自身が存在する位置を空調制御の範囲としていない空調機へ誤って空調制御のための制御要求を送信することを防止し、誤った空調制御を抑制することができる。
次に、実施の形態1の制御装置2の動作について説明する。図6は、実施の形態1の制御装置2の処理手順の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、まず、制御装置2の無線通信部22は、空調範囲定義記憶部23から自身の制御対象である空調機1の空調範囲を示す電波強度の条件である空調範囲定義を読み出し、空調範囲定義を報知するすなわち一斉同報送信で送信する(ステップS1)。一斉同報送信とは、宛先を指定せず、すべての機器が一斉に受信可能な送信方法である。
図7は、ステップS1で制御装置2から一斉同報送信により送信されるパケットのフォーマットの一例を示す図である。ステップS1では、例えば、図7に例示したフォーマットのパケットにより空調範囲定義が送信される。図7に示した例では、送信元の制御装置2のIDと、空調範囲定義に含まれる条件の数である条件数という条件ごとの自局強度および他局数とを含む。図7に示した例では、制御装置2−1が送信元である例を示し送信元のIDは101が記載されている。また、自局強度は、図4および図5に示した自機器の電波強度であり、他局数は各条件において考慮される他局の数である。
図7に示すように、他局数が1以上の場合には、パケットに、他局数に続いて、他局ごとにIDと他局強度すなわち図4および図5に示した他局の電波強度とが格納される。図7は、図4に示した空調範囲定義を前提としており、条件#1では、他局の電波強度が不問であることから、他局数は0であり、条件#2では、他局すなわち制御装置2−2の電波強度がレベル3に設定されているため、他局数は1であり、他局IDは102であり、他局強度はレベル3である。なお、図7は一例であり、空調範囲定義を送信するためのパケットのフォーマットは図7の例に限定されない。
次に、制御装置2の空調運転管理部24は、操作インタフェース部25への入力の有無、およびスケジュール運転のイベントの発生の有無を判断する(ステップS2)。スケジュール運転のイベントとは、スケジュール運転において停止から運転への変化、または運転から停止への変化または冷房から送風への運転モードの変化などを含む。
次に、空調運転管理部24は、操作インタフェース部25への入力が有ったか、またはスケジュール運転のイベントの発生が有ったかを判断し、操作インタフェース部25への入力、またはスケジュール運転のイベントの発生が有った場合(ステップS3 Yes)、操作インタフェース部25への入力、スケジュール運転のイベントまたは後述する無線通信部22により受信され解析された操作指令に基づいて、運転状態を更新する(ステップS6)。次に、空調運転管理部24は、運転状態の更新によって運転状態が変更されたか、すなわち現在の運転状態と更新後の運転状態が異なるかを判断し(ステップS7)、運転状態が変更された場合(ステップS7 Yes)、制御対象の空調機1に、更新後の運転状態に対応する制御指令を送信し(ステップS8)、処理を終了する。
ステップS3で、操作インタフェース部25への入力がなく、かつスケジュール運転のイベントの発生がない場合(ステップS3 No)、空調運転管理部24は、無線通信部22への受信データの有無を確認する(ステップS4)。すなわち、空調運転管理部24は、無線通信部22が無線信号として制御装置2宛てのデータの受信の有無を確認する。なお、無線通信部22は、制御装置2宛ての無線信号を受信した場合、空調運転管理部24へ通知する。
空調運転管理部24は、無線通信部22への受信データか有るかを判断し(ステップS5)、無線通信部22への受信データか有る場合(ステップS5 Yes)、受信データを解析して操作指令を読み出し、ステップS6へ進む。また、空調運転管理部24は、ステップS7で、運転状態が変更されていない場合(ステップS7 No)、処理を終了する。また、ステップS5でNoの場合、処理を終了する。
制御装置2は、図6に示した処理を、定期的に、またはあらかじめ定められた契機となった場合に実施する。あらかじめ定められた契機とは、例えば、制御装置2の起動時、無線通信部22が他の機器から、宛先に関わらずなんらかの無線信号を受信した場合、などが考えられる。
図8は、実施の形態1の外部端末3における処理手順の一例を示すフローチャートである。外部端末3の無線通信部31は、定期的に周辺の機器から受信した無線信号の電波強度を計測し、受信した無線信号の送信元の装置のIDと電波強度との組を、操作対象判定部32へ通知しているとする。
外部端末3の無線通信部31は、無線ネットワークからの受信データの有無を監視しており、無線通信部31は、一斉同報受信で周辺機器を探索する(ステップS11)。すなわち、無線通信部31は、一斉同報送信により送信された無線信号を無線ネットワークから受信したか否かにより、周辺に存在する無線機器である周辺機器を探索する。
無線通信部31は、周辺機器の有無を判断し(ステップS12)、周辺機器が有った場合(ステップS12 Yes)、無線通信部31は周辺機器が有ったことを操作対象判定部32へ通知する。以降、無線通信部31は、各機器から受信した一斉同報送信の無線信号の強度を送信元IDとともに操作対象判定部32へ通知する。操作対象判定部32は、一定期間内例えば1秒の間に受信した、各機器の一斉同報送信の無線信号の電波強度と電波強度条件から条件を満たす機器が存在するかを確認する(ステップS13)。
具体的には、例えば、外部端末3が、図4および図5に示した空調範囲定義を受信した場合、以下のような結果となる。外部端末3が、制御装置2−1から受信した無線信号の電波強度がレベル2であり、制御装置2−2から受信した無線信号の電波強度がレベル2であったとする。この場合、各機器から受信した無線信号の電波強度は、制御装置2−1から受信した空調範囲定義の条件#1および条件#2、および制御装置2−2から受信した空調範囲定義の条件#1に合致しないが、制御装置2−2から受信した空調範囲定義の条件#2には合致する。したがって、外部端末3は、制御装置2−2から受信した空調範囲定義の条件#2に合致するため、制御装置2−2が条件を満たす機器であると判断する。なお、1つの制御装置2に複数の条件が設定されている場合には、外部端末3は、1つ以上の条件を満たせば、該制御装置2が条件を満たすと判断する。
また、外部端末3が、制御装置2−1から受信した無線信号の電波強度がレベル2であり、制御装置2−2から受信した無線信号の電波強度がレベル3であったとする。この場合、各機器から受信した無線信号の電波強度は、制御装置2−1から受信した空調範囲定義の条件#2、および制御装置2−2から受信した空調範囲定義の条件#1および条件#2に合致しないが、制御装置2−1から受信した空調範囲定義の条件#1には合致する。したがって、外部端末3は、制御装置2−1から受信した空調範囲定義の条件#1に合致するため、制御装置2−1が条件を満たす機器であると判断する。
また、外部端末3が、制御装置2−1から受信した無線信号の電波強度がレベル3であり、制御装置2−2から受信した無線信号の電波強度がレベル2であったとする。この場合、外部端末3は、条件を満たす機器が無いと判断する。
図8の説明に戻り、操作対象判定部32は、ステップS13の確認の結果、条件を満たす機器が存在する場合(ステップS14 Yes)、操作インタフェース部33へ当該機器を通知し、操作インタフェース部33は、当該機器すなわち条件を満たす機器の操作インタフェースを表示してユーザー入力を受け付ける(ステップS15)。なお、当該機器の操作インタフェースとは、当該機器の操作指令として入力可能な項目を入力するための画面などである。
次に、操作インタフェース部33は、ユーザーからの入力を受け付けたか否かを確認する(ステップS16)。操作対象判定部32は、操作インタフェース部33が、ステップS15の確認により入力を受け付けた場合(ステップS17 Yes)、入力された情報に基づいて、操作対象の制御装置2に運転状態を指令し(ステップS18)、処理を終了する。具体的には、ステップS18では、ステップS15で条件を満たすと判定された機器を、操作対象の制御装置2とし、操作対象の制御装置2に対して、入力された情報に基づく運転状態とするための操作指令を生成し、操作指令を含むデータを格納したパケットを、無線通信部31を介して送信する。
ステップS12でNoの場合、ステップS14でNoの場合、およびステップS17でNoの場合には、処理を終了する。外部端末3は、上述した処理を例えば起動時、または操作インタフェース部33により空調制御を要求する指示の入力を受け付けた場合に、実施する。
なお、各制御装置2における空調範囲定義の条件は、あらかじめ空調機の配置と制御装置2から送信された電波強度とに基づいて、外部端末3における制御装置の選択が適切になされるように定められる。例えば、図3の空調機1−1の空調範囲4−1に対応する電波強度のレベルに応じて、制御装置2−1に対応する条件を設定し、空調機1−2の空調範囲4−2に対応する電波強度のレベルに応じて、制御装置2−2に対応する条件を設定する。図3の空調機1−1の空調制御の範囲4−1は、概ね、自機器の電波強度がレベル1に対応する範囲と、自機器の電波強度がレベル2であり他機器の電波強度がレベル3である範囲と、で構成されるため、図4に示した2つの条件を設定する。
以上のように、空調機1を制御する制御装置2は、自身の制御対象である空調機1に対する操作指令を受け付け可能とするための電波強度の条件を報知するようにした。これにより、外部端末3は、報知された条件に合致する場合に、制御装置に対して、操作指令を送信することができる。すなわち、実施の形態1では、各制御装置2の通信可能範囲内に存在する外部端末3が、外部端末3の現在位置を空調制御している機器を自動で特定することができ、誤った空調制御を抑制することができる。特に、外部端末3と適切な空調機1との対応が、単純に「一定距離以内で、かつ、もっとも近い」という条件では表せないような空調配置となっている場合に、実施の形態1の方法によれば、「一定距離以内で、かつ、もっとも近い」という条件で制御装置を選択する場合に比べて、正しい空調機1を制御する制御装置2を特定することができる。
次に、本実施の形態の空調機1、制御装置2および外部端末3のハードウェア構成について説明する。空調機1の空調通信部11、制御装置2の空調通信部21、無線通信部22および外部端末3の無線通信部31は、受信機および送信機である。
空調器1の機器制御部12は、処理回路により実現される。処理回路は専用のハードウェアであってもよいし、CPU(Central Processing Unit)といったプロセッサを備える制御回路であってもよい。機器制御部12を実現する処理回路が、専用のハードウェアで実現される場合、この処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。
機器制御部12を実現する処理回路が制御回路により実現される場合、制御回路は、例えば、CPUであるプロセッサと、メモリとを備える。また、制御回路はマイクロコンピュータであってもよい。機器制御部12が制御回路により実現される場合、プロセッサがメモリに記憶された、機器制御部12の処理に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリは、プロセッサが実施する各処理における一時メモリとしても使用される。
制御装置2の空調範囲定義記憶部23は、メモリにより実現される。空調運転管理部24は、空調機1の機器制御部12と同様に処理回路により実現される。外部端末3の操作対象判定部32も機器制御部12と同様に処理回路により実現される。
なお、実施の形態1では、制御装置2が一斉同報で送信する電波強度の条件は、図4、図5および図7で示すように、自機器が操作指令を受ける空調機の空調制御範囲を示す自機器の電波強度および他機器の電波強度としたが、この替わりに、自機器および他機器が操作指令を受ける空調機の空調制御範囲を示す、自機器の電波強度を条件として用いてもよい。この場合、図3に示した配置例では、図9および図10に示すように空調範囲定義を設定する。図9は、制御装置2−1における空調範囲定義の一例を示す図であり、図10は、制御装置2−2における空調範囲定義の一例を示す図である。図9および図10に示した空調範囲定義は、自身および他の制御装置が、それぞれ前記操作指令の送信先として選択されるために満たすべき条件である。
図9に示すように、制御装置2−1の空調範囲定義は、条件#1は、自機器の空調範囲は電波強度がレベル1であり、他機器の空調範囲は電波強度不問である。また、条件#2は、自機器の空調範囲は電波強度がレベル2であり、他機器の空調範囲は電波強度不問である。図10に示すように、制御装置2−2の空調範囲定義は、条件#1は、自機器の空調範囲は電波強度がレベル1であり、他機器の空調範囲は電波強度不問である。また、条件#2は、自機器の空調範囲は電波強度がレベル2であり、他機器の空調範囲は電波強度がレベル3である。なお、この例では、条件#1は制御装置2−1および制御装置2−2における対応する条件を示し、条件#2は制御装置2−1および制御装置2−2における対応する条件を示す。
図11は、図9および図10に示した空調範囲定義を前提とした場合の制御装置2−2から一斉同報送信により送信されるパケットのフォーマットの一例を示す図である。図11に示すように、パケットは、送信元IDと自機器条件数という条件ごとの強度(自機器の電波強度)と、他局数とを含む。他局数が1以上の場合には、さらに、他局の空調範囲に対する条件の数である他局条件数と、他局の空調範囲条件ごとの強度(自機器の電波強度)とを含む。自機器の電波強度は、外部端末3において、送信元IDに対応する制御装置2から送信された無線信号を受信した際に測定された電波強度である。
図9、図10および図11に示した条件を用いると、上述した図8のステップS13では、以下のような判定が行われる。外部端末3が測定した、制御装置2−1から送信された無線信号の電波強度がレベル2であり、制御装置2−2から送信された無線信号の電波強度がレベル2であるとする。この場合、制御装置2−1から送信された空調範囲定義によれば、制御装置2−1の空調範囲には、条件#1および条件#2ともに非適合であり、制御装置2−2から送信された空調範囲定義によれば、他機器の空調範囲の条件#1に適合し条件#2に適合しない。したがって、ID=101に対応する制御装置2−1の空調範囲には、条件#1では図9の左列に示すように、制御装置2−1から送信された空調範囲定義において一致せず、図10の右列に示すように、条件#2では制御装置2−2から送信された空調範囲定義において一致しない。一方、ID=102に対応する制御装置2−2の空調範囲には、図9の右列に示すように、制御装置2−1から送信された空調範囲定義において条件#1および条件#2で一致し、図10の左列に示すように、制御装置2−2から送信された空調範囲定義において条件#2に一致する。したがって、外部端末3は、制御装置2−2が条件に合致すると判断する。
また、外部端末3が測定した、制御装置2−1から送信された無線信号の電波強度がレベル2であり、制御装置2−2から送信された無線信号の電波強度がレベル3であるとする。この場合、ID=101に対応する制御装置2−1の空調範囲には、条件#1で、制御装置2−1から送信された空調範囲定義および制御装置2−2から送信された空調範囲定義において一致する。また、ID=102に対応する制御装置2−2の空調範囲には、条件#1では制御装置2−1から送信された空調範囲定義において一致せず、条件#2では制御装置2−2から送信された空調範囲定義において一致しない。したがって、外部端末3は、制御装置2−1が条件に合致すると判断する。
なお、本実施の形態では、電波強度条件を制御装置2が送信する動作としたが、専用サーバを設け、外部端末3がWi−Fi(登録商標)または携帯電話網などといった広域通信手段を介して専用サーバから取得する動作としてもよい。すなわち、空調制御システムに専用サーバであるサーバがさらに含まれていてもよい。その場合、専用サーバが、制御装置2ごとの空調範囲定義を保持する構成とする。この場合、図6のステップS1が省略され、図8のステップS13においてまたは外部端末3の処理開始時に、外部端末3が専用サーバへ空調範囲定義の取得を要求することにより制御装置2ごとの空調範囲定義を取得することになる。この場合、専用サーバは、制御装置2ごとの空調範囲定義を記憶する制御部と、外部端末3からの取得要求に応じて空調範囲定義を送信する通信部を備える。このように構成された場合は、専用サーバとの通信環境を確保する必要がある代わりに、制御装置2からの送信データを少なくすることができ、制御装置2が備える小型のマイクロコンピュータなどの制御回路の処理負荷を低減することができる。
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2にかかる空調システムの構成例を示す図である。実施の形態2の空調システム100aは、制御装置2a−1を内蔵する空調機1a−1と、制御装置2a−2を内蔵する空調機1a−2と、外部端末3と、を備える。実施の形態1では、空調機と制御装置とが別機器として構成される例を説明したが、本実施の形態では、空調機と制御装置が一体化されている例を説明する。以下、空調機1a−1および空調機1a−2を区別せずに示すときには空調機1aと記載する。制御装置2a−1および制御装置2a−2の構成は同様であり、以下、制御装置2a−1および制御装置2a−2を区別せずに示すときには制御装置2aと記載する。
図13は、実施の形態2の空調機1aおよび外部端末3の構成例を示す図である。外部端末3の構成および動作は実施の形態1と同様である。空調機1aは、実施の形態1の空調機1から空調通信部11を削除し、制御装置2aを追加する以外は、実施の形態1の空調機1と同様である。制御装置2aは、実施の形態1の制御装置2から空調通信部21を削除する以外は実施の形態1の制御装置2と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の機能を有し、重複する説明を省略する。
図14は、実施の形態2における各装置の配置の一例を示す図である。図15は、図14の各装置の配置を前提とした場合の制御装置2a−1の空調範囲定義の一例を示す図である。図16は、図14の各装置の配置を前提とした場合の制御装置2a−2の空調範囲定義の一例を示す図である。
図14に示す配置例では、空調機1a−1による空調制御が可能な範囲である空調範囲4a−1と、空調機1a−2による空調制御が可能な範囲である空調範囲4a−2とが図14の紙面の左右の方向に隣接している。
範囲5a−1は、制御装置2a−1すなわち空調機1a−1から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル1となる範囲を示している。範囲5a−2は、制御装置2a−1すなわち空調機1a−1から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル2となる範囲を示している。レベル1、レベル2およびレベル3の定義は、実施の形態1と同様である。
同様に、範囲6a−1は、制御装置2a−2すなわち空調機1a−2から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル1となる範囲を示している。範囲6a−2は、制御装置2a−2すなわち空調機1a−2から送信された無線信号を受信した装置において測定された該無線信号の電波強度がレベル2となる範囲を示している。
また、以下では、制御装置2a−1の識別情報であるIDを101とし、制御装置2a−2のIDを102とする。図15に示した例では、制御装置2a−1には、空調範囲定義として、条件#1および条件#2の2つの条件が定義されている。条件#1は、自機器すなわちID=101の機器から送信された無線信号を受信した機器において測定された電波強度がレベル1であり、他機器から送信された無線信号を受信した機器において測定された電波強度が不問であるという条件である。図14に示した配置例では、他機器は制御装置2a−2だけであるため、ID=102の機器が他機器である。条件#2は、自機器の電波強度がレベル2であり、他機器の電波強度がレベル2であるという条件である。
図16に示した例では、制御装置2a−2には、空調範囲定義として、条件#1および条件#2の2つの条件が定義されている。条件#1は、自機器すなわちこの場合は制御装置2a−2の電波強度がレベル1であり、他機器の電波強度が不問であるという条件である。条件#2は、自機器の電波強度がレベル2であり、他機器の電波強度がレベル3であるという条件である。
本実施の形態の制御装置2aの処理手順は実施の形態1の図6に示した処理手順と同様である。図14、図15および図16に示した例の場合、ステップS13において、外部端末3は以下のように判定する。外部端末3が、空調機1a−1すなわち制御装置2a−1から受信した無線信号の電波強度がレベル2であり、空調機1a−2すなわち制御装置2a−2から受信した無線信号の電波強度がレベル2であったとする。この場合、外部端末3は、制御装置2a−1から受信した空調範囲定義の条件#2に適合し、制御装置2a−2から受信した空調範囲定義には適合しない。したがって、外部端末3は、制御装置2a−1が条件に適合すると判断する。
また、外部端末3が、空調機1a−1すなわち制御装置2a−1から受信した無線信号の電波強度がレベル2であり、空調機1a−2すなわち制御装置2a−2から受信した無線信号の電波強度がレベル3であったとする。この場合、外部端末3は、制御装置2a−1から受信した空調範囲定義には適合せず、制御装置2a−2から受信した空調範囲定義の条件#2に適合する。したがって、外部端末3は、制御装置2a−2が条件に適合すると判断する。
以上のように、制御装置2aが空調機1aに内蔵された場合でも、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
実施の形態3.
図17は、本発明の実施の形態3にかかる制御装置2b、空調機1および外部端末3aの構成例を示す図である。実施の形態3の空調システムは、図1において、制御装置2−1を制御装置2bである制御装置2b−1に替え、制御装置2−2を制御装置2bである制御装置2b−2に替え、外部端末3を外部端末3aに替えたものである。空調機1は、実施の形態1の空調機1と構成および動作が同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の機能を有し、重複する説明を省略する。
図17に示すように、実施の形態3の制御装置2bは、実施の形態1の制御装置2に、空調範囲定義と外部端末3aから受信した電波強度情報とに基づいて、外部端末3aからの操作指令の受付可否を判定する操作対象判定部26が追加された構成である。実施の形態3の外部端末3aは、操作対象判定部32の替わりに、操作指令に電波強度情報を付与する電波環境付与部34を備える以外は、実施の形態1の外部端末3と同様である。
実施の形態1では、外部端末3が、制御装置2から受信した空調範囲定義と自身が測定した電波強度とに基づいて制御装置2に対して操作指令を送信するか否かを判定した。実施の形態3では、制御装置2bが、外部端末3aにおいて測定された電波強度を示す電波強度情報を外部端末3aから受信し、受信した電波強度情報と空調範囲定義とに基づいて、外部端末3aからの操作指令の受け付けの可否を判定する。本実施の形態の空調範囲定義としては、実施の形態1と同様の空調範囲定義を用いることができる。具体的には、操作対象判定部26が、外部端末3aから受信した電波強度情報と空調機1に対する操作指令を受け付けることを許可するための選択条件である空調範囲定義とに基づいて、外部端末3aから受信した操作指令を受け付けるか否かを判定する。
図18は、本実施の形態の制御装置2bにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。図18に示すように、実施の形態3では、図6に示したステップS1が削除され、ステップS9およびステップS10が追加され、ステップS4の替わりにステップS4aが実施される。
ステップS2、ステップS3は実施の形態1と同様である。ステップS3でNoの場合、操作対象判定部26は、無線通信部22への受信データの有無を確認する(ステップS4a)。すなわち、空調運転管理部24は、無線通信部22が無線信号として制御装置2b宛てのデータの受信の有無を確認する。なお、無線通信部22は、外部端末3aから無線信号を受信すると、無線信号に含まれるデータすなわち受信データを操作対象判定部26へ出力する。この受信データには、後述するように、実施の形態1と同様の操作指令が含まれるともに、外部端末3aにおいて測定された各制御装置2bから受信した無線信号の電波強度を示す電波強度情報が格納されている。すなわち、例えば、実施の形態3の制御装置2b−1における無線通信部22は、外部端末3aから、外部端末3aにおいて測定される制御装置2b−1および制御装置2b−1以外の制御装置である制御装置2b−2から送信された無線信号の電波強度を示す電波強度情報と空調機に対する操作指令とを受信する。電波強度情報には、例えば、制御装置2bのIDと電波強度との組が、制御装置2bごとに格納されている。
無線通信部22への受信データが有る場合(ステップS5 Yes)、操作対象判定部26は、ステップS9へ進む。ステップS9では、操作対象判定部26は、空調範囲定義記憶部23から空調範囲定義すなわち電波強度条件を読み出し、電波強度情報に基づく電波強度環境が自身の電波強度条件と一致するかを確認する(ステップS9)。例えば、実施の形態1の図4および図5に示した空調範囲定義が設定されているとする。このとき、外部端末3aから受信した電波強度情報に、制御装置2b−1から受信した無線信号の電波強度がレベル2であり、制御装置2b−2から受信した無線信号の電波強度がレベル2であることを示す情報が格納されていた場合、制御装置2b−1では、条件#1、条件#2ともに不一致と判定される。一方、外部端末3aから受信した電波強度情報に、制御装置2b−1から受信した無線信号の電波強度がレベル2であり、制御装置2b−2から受信した無線信号の電波強度がレベル3であることを示す情報が格納されていた場合、制御装置2b−1では、条件#2に一致すると判定される。
操作対象判定部26は、ステップS9の確認により電波強度情報に基づく電波強度環境が自身の電波強度条件と一致するものがあった場合(ステップS10 Yes)、受信データに含まれる運転指令を空調運転管理部24へ渡すとともに、ステップS6へ進むよう空調運転管理部24へ指示する。ステップS6からステップS8の処理は実施の形態1と同様である。
ステップS5で、空調電波強度条件の中で、読み出した受信電波強度と合致する条件を探索する無線通信部22に受信データが無い場合(ステップS5 No)、処理を終了する。操作対象判定部26は、電波強度情報に基づく電波強度環境が自身の電波強度条件と一致しない場合(ステップS10 No)、処理を終了する。
図19は、本実施の形態の外部端末3aにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。図19に示すように、実施の形態3では、図8に示したステップS13およびステップS14が削除され、ステップS18の替わりにステップS18aが実施される。外部端末3aの無線通信部31は、定期的に周辺の機器から受信した無線信号の電波強度を計測し、受信した無線信号の送信元の装置のIDと電波強度との組を、電波環境付与部34へ通知しているとする。
ステップS11およびステップS12は実施の形態1と同様である。ただし、ステップS12でYesの場合、無線通信部31は周辺機器が有ったことを操作対象判定部32の替わりに電波環境付与部34へ通知する。ステップS12でYesの場合、電波環境付与部34は、操作インタフェース部33へ当該機器を通知する。ステップS15、ステップS16およびステップS17は実施の形態1と同様である。
ステップS17でYesの場合、電波環境付与部34は、操作対象の制御装置2bすなわちステップS11の探索により探索された周辺機器へ、電波強度情報を付与した操作指令を送信する(ステップS18a)。
制御装置2bの操作対象判定部26は空調運転管理部24と同様に、実施の形態1で述べた処理回路により実現することができる。外部端末3aの電波環境付与部34も実施の形態1で述べた処理回路により実現することができる。
なお、以上の説明では、制御装置2bと空調機1が別装置である構成例を説明したが、実施の形態2と同様に、制御装置2bと空調機1とが一体化されていてもよい。
以上のように、本実施の形態では、制御装置2bが、外部端末3aにおいて測定された電波強度を示す電波強度情報を外部端末3aから受信し、受信した電波強度情報と空調範囲定義とに基づいて、外部端末3aからの操作指令の受け付けの可否を判定するようにした。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。