JPWO2020183841A1 - Ti含有極低炭素鋼の製造方法 - Google Patents

Ti含有極低炭素鋼の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020183841A1
JPWO2020183841A1 JP2020516929A JP2020516929A JPWO2020183841A1 JP WO2020183841 A1 JPWO2020183841 A1 JP WO2020183841A1 JP 2020516929 A JP2020516929 A JP 2020516929A JP 2020516929 A JP2020516929 A JP 2020516929A JP WO2020183841 A1 JPWO2020183841 A1 JP WO2020183841A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten steel
flux
source
degassing device
vacuum degassing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020516929A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6744600B1 (ja
Inventor
村井 剛
剛 村井
寿之 伊藤
寿之 伊藤
春香 中村
春香 中村
健吾 松田
健吾 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority claimed from PCT/JP2019/049447 external-priority patent/WO2020183841A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6744600B1 publication Critical patent/JP6744600B1/ja
Publication of JPWO2020183841A1 publication Critical patent/JPWO2020183841A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/068Decarburising
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/0006Adding metallic additives
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/06Deoxidising, e.g. killing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/076Use of slags or fluxes as treating agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/10Handling in a vacuum
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

RH真空脱ガス装置を用いて溶鋼を精錬する方法において、真空脱炭処理に続けてAlによる溶鋼の脱酸処理を施した後に、前記RH真空脱ガス装置の真空槽内に溶鋼温度より融点の高いフラックスを添加し、続いて、Ti源を添加するTi含有極低炭素鋼の製造方法。また、フラックスを所定量添加し、RH真空脱ガス装置でTi源を添加した後の溶鋼環流時間t1と、RH処理終了から連続鋳造のためのタンディッシュへの溶鋼注入開始までの搬送時間t2が、下記式(式中、G:環流ガス流量、P:真空度、P0:大気圧、WM:溶鋼重量、およびD:取鍋内溶鋼湯面部直径)を満足するように調整する。190(G・ln(P0/P)/WM)1/3・t1+11.8(D2/Wf)・t2≦1800

Description

本発明は、RH真空脱ガス装置において、Ti含有極低炭素鋼を、高いTi歩留りで製造する方法に関する。
一般に、Tiを含有する極低炭素鋼は、転炉等の一次精錬炉で粗脱炭処理を行い、取鍋へ出鋼した後、RH真空脱ガス装置にて極低炭素レベルまでの真空脱炭を行い、Al添加による脱酸処理を経た溶鋼にTi源を添加して溶製する。
Tiは、Alと同様に酸化力の強い元素であり、また、一般的にTi源はAl源より高価なため、Ti含有鋼を溶製する場合には、取鍋内の溶鋼をAlの添加による脱酸処理の後にTi源を添加することで溶存酸素とTiの反応を抑制し、Tiの歩留りを確保している。
しかし、Alによる脱酸処理により溶鋼の酸素ポテンシャルは低下するものの、取鍋内の溶鋼上にFeOやMnO等の低級酸化物を含有する酸素ポテンシャルの高いスラグが浮遊している場合、溶鋼中のTiとスラグ中の低級酸化物との反応、即ち再酸化反応が継続して進行し、Tiが酸化物となってしまうことでTiの歩留りが低下する。そのため、上記再酸化反応を抑制すべく、スラグの組成を制御する方法が多数提案されている。
この対策として取鍋内のスラグにAl等の脱酸剤(還元剤とも云う)を添加し、スラグを還元する方法が採られており、たとえば、特許文献1には、Alの再酸化を抑制すべく、精錬炉から取鍋への出鋼直後、未脱酸状態の溶鋼上で浮遊するスラグ上に脱酸剤を添加してスラグ中のFeOを還元する方法が開示されている。
また、特許文献2には、Alの再酸化を抑制すべく、スラグ上に脱酸剤を添加するとともに、溶鋼成分とスラグの反応性を低下させるため、その後、MgO源を添加してスラグ中MgO濃度を13%以上に制御し、スラグ中の固相率を増加させ、スラグの流動性を低下させる方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、スラグ中のSiOと溶鋼中Tiの反応を抑制すべく、スラグにTiO源を添加してスラグ中TiO濃度を5%以上に制御する方法が開示されている。
特開平 2− 30711号公報 特開2015−183259号公報 特開2001−355018号公報
しかしながら、上記の方法では、スラグ組成制御用の原料を添加する際に、スラグの組成、量が不明であるため、原料の添加量を決定できない、あるいは、添加後のスラグの組成が所望の範囲から外れてしまう場合がある。
また、特許文献1や2のようにスラグに脱酸剤を添加して低級酸化物を低減したとしても、溶鋼が未脱酸状態で処理を行うと溶鋼中の酸素ポテンシャルと平衡するようにスラグの酸素ポテンシャルが増加する、即ち、低級酸化物が増加し、溶鋼脱酸後の再酸化源となる、あるいはそれを防ぐために過剰な脱酸材の添加が必要となる、という問題点がある。
特許文献3に開示の技術は、設備としてVODを用いており、溶鋼のAl脱酸により、スラグ中の低級酸化物は、平衡する濃度まで還元されるとしているが、RH真空脱ガス処理では、スラグ−メタル反応は遅く、実際には、Ti歩留まりに影響する低級酸化物が残留していたり、それを防止するには、過剰のAlを投入したりしなければならない問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、取鍋内の溶鋼中Tiのスラグによる再酸化を防止し、Ti含有極低炭素鋼を高いTi歩留りで安定して製造する方法を提案することを目的とする。
発明者らは、溶鋼より融点が高く密度が低いフラックスをRH真空脱ガス装置の真空槽に投入し、溶鋼とスラグの間を遮蔽することでTi添加後の再酸化を抑制できることを見出し、本発明を開発した。上記課題を有利に解決する本発明のTi含有極低炭素鋼の製造方法は、RH真空脱ガス装置を用いて溶鋼を精錬するに際し、真空脱炭処理に続けてAlによる溶鋼の脱酸処理を施した後に、前記RH真空脱ガス装置の真空槽内に溶鋼温度より融点の高いフラックスを添加し、続いて、Ti源を添加することを特徴とする。
なお、本発明にかかるTi含有極低炭素鋼の製造方法は、
(a)上記フラックスを所定量添加し、RH真空脱ガス装置でTi源を添加した後の溶鋼環流時間tと、RH処理終了から連続鋳造のためのタンディッシュへの溶鋼注入開始までの搬送時間tが、下記(1)式((1)式中、t:RH真空脱ガス装置でのTi源添加後の環流時間(s)、G:RH真空脱ガス装置でのTi源添加後の環流用ガス流量(Nm/s)、 P:RH真空脱ガス装置でのTi源添加後の槽内真空度(Pa)、P:大気圧(101325Pa)、W:溶鋼重量(kg)、t:RH処理終了からタンディッシュへの溶鋼注入開始までの搬送時間(s)、D:取鍋内溶鋼湯面部直径(m)、W:溶鋼温度より融点の高いフラックスの添加量(kg)を表す。)を満足するように調整すること、
190(G・ln(P/P)/W1/3・t+11.8(D/W)・t≦1800 ・・・(1)
(b)上記溶鋼環流時間tおよび上記搬送時間tを事前に決定し、上記フラックスの添加量Wが、前記(1)式を満足するように計算して添加すること、
(c)上記フラックスを所定量添加した後、上記Ti源の添加を開始するまでの時間tが下記(A)〜(C)式((A)〜(C)式中、t:RH真空脱ガス装置でのフラックス添加からTi源添加までの環流時間(s)、H:取鍋内溶鋼深さ(m)、 u:溶鋼中のフラックス粒子の終端速度(m/s)、U:取鍋内溶鋼平均上昇流速(m/s)、ρ:フラックス密度(kg/m)、ρ:溶鋼密度(kg/m)、g:重力加速度(9.8m/s)、μ:溶鋼粘度(Pa・s)、d:フラックス平均粒子径(m)、Q:溶鋼環流量(kg/s)、S:取鍋湯面位置面積(m)、d:浸漬管径(m)を表す。)を満足すること、
がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
>H/(u+U) ・・・(A)
=(4・(ρ−ρ・g/(225ρ・μ))1/3・d ・・・(B)
=Q/ρ/(S−π/4・d ) ・・・(C)
本発明によれば、スラグと溶鋼をフラックスによって遮断し、溶鋼環流時間およびRH処理終了からタンディッシュでの注入開始までの搬送時間を制御することで、溶鋼中Tiのスラグによる再酸化が抑制され、Tiの歩留り低下を抑制することが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。また、過剰なフラックスの使用を低減できるメリットもある。さらに、フラックスの浮上時間を確保することで、溶鋼中Tiのスラグによる再酸化をより抑制することができる。
本発明の実施に用いる装置の一例を示す模式図である。 本発明の方法を適用した場合の(1)式左辺で計算したTi濃度減少指数RTiと実操業におけるTi濃度減少量比ΔTiの関係とフラックス添加からTi源添加までの環流時間tの影響を示すグラフである。
発明者らは、課題を解決するに当たり、以下のように考えた。
溶鋼中のTiのスラグによる再酸化反応は、スラグ中の低級酸化物と溶鋼中の脱酸元素の反応である。そこで、スラグと溶鋼の間を物理的に遮断すれば反応は進まないと考えた。そこで、遮蔽物として単体では溶鋼温度で溶融せず、溶鋼より低密度のフラックスを投入することとした。方法としては、RH真空脱ガス装置の真空槽内溶鋼へフラックスを投入させた。そのフラックスが環流している溶鋼流に乗ってRH真空脱ガス装置の浸漬管を通って取鍋内溶鋼中に分散する。フラックスは溶鋼より低密度のため、溶鋼中を浮上し、取鍋湯面上のスラグの溶鋼と接している側を被覆し、溶鋼とスラグを遮断することとなる。また、フラックスの投入時期としては、溶鋼の未脱酸処理中の場合、溶鋼中の酸素ポテンシャルと平衡するように投入したフラックス層中に低級酸化物が生成してしまうため、溶鋼をAlで脱酸した後に添加すればよいと考えた。
また、フラックスによってスラグ−溶鋼界面を遮断したとしても、長時間保持していれば、浸潤、拡散によって、加えて、溶鋼が撹拌されていればさらに短い時間でも溶鋼成分とスラグ成分の反応が起こり、再酸化抑制の効果が小さくなる。
まず、RH真空脱ガス装置にて、極低炭素鋼溶製時の溶鋼へのTi添加後のTi濃度挙動を調査した。比較として、転炉からの出鋼時に溶鋼とスラグを脱酸(以下、スラグ脱酸)した後、即ち、スラグ中に低級酸化物の少ない状態でRH真空脱ガス装置での溶鋼環流中にTiを添加した後のTi濃度挙動も調査した。
その結果、極低炭素鋼溶製時は、スラグ脱酸処理を施した場合と比較して、Ti濃度の減少量が大幅に増加した。そこで、極低炭素鋼溶製時のAlでの溶鋼脱酸後、MgOを真空槽内から添加し、その後、Tiを添加し、Ti濃度挙動を調査したところ、Ti濃度の減少量は、MgOを添加していない場合より大幅に減少した。
しかし、MgOを添加した場合でも、スラグ脱酸処理を施した場合と同等にTi濃度減少量が抑制されている場合もあれば、Ti濃度減少量がそれほど小さくなっていない場合もあり、大きなばらつきを持っていた。このばらつきはRH処理終了時にTi濃度減少として現れる場合もあり、RH処理終了時にはスラグ脱酸処理を施した場合と同等でも、RH処理終了の後、溶鋼を保持した取鍋をタンディッシュ上へ搬送し、溶鋼を注入したタンディッシュ内の溶鋼までにTi濃度減少として現れる場合もあった。これはRHでのTi添加からタンディッシュ注入までの環流処理、搬送、保持時間の影響と考え、Ti添加後の時間経過によるTi濃度減少量RTiを調査した。
その結果、ばらつきはあったが、Ti添加から、タンディッシュ注入までの時間が長いとTi濃度減少量が多い傾向となった。そこで、(1)Tiを添加した後のRHでの溶鋼環流時間t(s)と、(2)RH処理終了から連続鋳造のためのタンディッシュへの溶鋼注入開始までの搬送時間t(s)に分けて検討した。Ti濃度減少指数RTiは下記(2)式で表すものとする
Ti=k+k ・・・(2)
ここで、
:溶鋼環流時のTi酸化反応の反応速度定数、
:RH処理終了後、タンディッシュ注入までの搬送時のTi酸化反応の反応速度定数、
を表す。
<1.溶鋼環流時間の影響>
ここで、RHでの溶鋼環流処理中の溶鋼中のTiとスラグの反応については溶鋼に付与されている撹拌力と相関があると考えられる。RHでの溶鋼環流処理中の取鍋内溶鋼の撹拌動力密度ε(W/t)は下記(3)式で表される。
ε∝U・Q/W ・・・(3)
ここで、
U:RH真空脱ガス装置の下降側浸漬管内の溶鋼流速(m/s)、
Q:溶鋼環流量(kg/s)、
:取鍋内溶鋼重量(kg)、
を表す。
また、溶鋼環流量Q(kg/s)は一般的に下記(4)式が用いられる。
Q∝G1/3・d4/3・(ln(P/P))1/3 ・・・(4)
ここで、
G:RH真空脱ガス装置でのTi源添加後の環流用ガス流量(Nm/s)、
P:RH真空脱ガス装置でのTi源添加後の槽内真空度(Pa)、
:大気圧(101325Pa)、
d:RH浸漬管内径(m)
を表す。
(4)式からRH真空脱ガス装置の下降側浸漬管内の溶鋼流速U(m/s)は下記(5)式で表される。
U=Q/((π/4)・d・ρ) ・・・(5)
ここで
ρ:溶鋼密度(kg/m
を表す。
(3)式に(4)および(5)式を代入すると下記(6)式が得られる。
ε∝G・ln(P/P)/W ・・・(6)
また、溶鋼環流時の物質移動速度は撹拌動力密度の1/3に比例すると言われているため、反応速度定数kは上記(6)式から下記(7)式が求められる。
∝ε1/3∝(G・ln(P/P)/W1/3 ・・・(7)
<2.搬送時間の影響>
一方、RH処理終了からタンディッシュ注入までの搬送時間t中の溶鋼中Tiとスラグの反応については、その反応速度は溶鋼−スラグ間の遮断層の厚みに反比例すると考え、搬送中の反応速度定数kは下記(8)式で表される。
∝1/L ・・・(8)
ここで、
L:溶鋼より融点の高いフラックスによる遮断層厚み(m)
を表す。
遮断層厚みLは下記(9)式で表される。
L=W/ρ/(π/4・D) ・・・(9)
ここで、
ρf:遮断層見かけ密度(kg/m
を表す。
ρは酸化物であればほぼ一定と考えられるので、(8)および(9)式を合わせて、下記(10)式が得られる。
∝D/W ・・・(10)
<Ti減少量>
上記(7)および(10)式を(2)式に加えて、Ti濃度減少指数RTiを下記(11)式で表す。
Ti=A(G・ln(P/P)/W1/3・t+B(D/W)・t・・・(11)
ここで、
A、B:定数
を表す。
操業条件、処理時間等を変化させ、スラグ脱酸処理した場合よりTi減少量が多い条件を回帰分析することで、(11)式の定数AおよびB、ならびにスラグ脱酸処理した場合のTi濃度減少指数RTiを算出した。その結果、A=190、B=11.8およびRTi=1800が得られた。即ち、(11)式右辺が1800以下であれば、Ti減少量はスラグ脱酸処理した場合と同等となるということである。これにより、(1)式の関係が得られた。
190(G・ln(P/P)/W1/3・t+11.8(D/W)・t≦1800 ・・・(1)
したがって、RH真空脱ガス装置を用いたTi含有極低炭素鋼の製造にあたっては、真空脱炭処理に続けてAlによる溶鋼の脱酸処理を施した後に、前記RH真空脱ガス装置の真空槽内に溶鋼温度より融点の高いフラックスを添加し、続いて、Ti源を添加することにより、Tiの酸化減量を少なくして、Ti含有極低炭素鋼を製造できる。また、所定量のフラックスを添加したうえで、(1)式を満足するように、Tiを添加した後のRHでの溶鋼環流時間tと、RH処理終了から連続鋳造のためのタンディッシュへの溶鋼注入開始までの搬送時間tを調整することで、Tiの酸化減量をスラグ脱酸処理と同等にすることができ好ましい。さらに、溶鋼環流時間tおよび搬送時間tを事前に決定しておき、(1)式を満足する量のフラックスWを添加すれば、フラックスの使用量も最小化でき、より好ましい。たとえば、溶鋼の環流時間tは、300トンの取鍋であれば、通常、180〜480s程度であり、搬送時間tは、設備の配置や操業条件にもよるが、1200〜3600s程度である。環流時間が短すぎるとTi濃度が不均一となるおそれがあり、環流時間が長すぎると、耐火物の溶損やTi減量の増加、溶鋼温度の低下が懸念される。搬送時間の下限は、設備の配置に依存し、あまり搬送時間が長いとTi減量の増加や溶鋼温度の低下が懸念される。さらに、フラックスの量は、溶鋼環流時の攪拌によっても、遮断層が破壊されないよう最低の厚み3mmが好ましく、30mm超えて添加してもTi酸化の遮断効果が飽和するため、遮断層とするフラックスの厚みLは3〜30mmの範囲が好ましく、5〜10mmの範囲がさらに好ましい。したがって、フラックスの添加量は、取鍋の直径にもよるが溶鋼1トン当たり0.3〜3.0kgの範囲が好ましく、0.4〜1.0kgの範囲がさらに好ましい。
<フラックス浮上時間の確保>
また、フラックスを所定量添加した後、直ちにTi源を添加すると、フラックスが取鍋内溶鋼を浮上してスラグ―溶鋼界面を遮断する前に、添加して溶鋼中に溶解したTiとスラグ中の低級酸化物が反応してしまう懸念がある。そこで、Ti源を添加する前にフラックスの浮上する時間を確保することを考えた。
液体中の液体より密度の小さい粒子の浮上速度は、液体の上下方向の流速U(m/s)と静止浴での粒子の終端速度u(m/s)の和となる。粒子の終端速度uは一般的に下記(D)式で表される。
=(4/3・d/C・|ρ−ρ|/ρ1/2 ・・・(D)
式中、ρ:フラックス密度(kg/m)、
ρ:溶鋼密度(kg/m)、
:フラックス平均粒子径(m)
を表す。
ここで、Cは抗力係数と呼ばれ、レイノルズ(Re)数に依存する。本発明の対象であるRH処理中の取鍋内溶鋼中のフラックス粒子の運動に関するRe数(2〜500)ではAllenの式によりC=10/Re1/2で表される。ここで、レイノルズ数Re=d・u・ρ/μである。Allenの式に基づき、粒子の終端速度uは下記(B)式となる。
=(4・(ρ−ρ・g/(225ρ・μ))1/3・d ・・・(B)
式中、g:重力加速度(9.8m/s)、
μ:溶鋼粘度(Pa・s)
を表す。
また、取鍋内において、RHでの溶鋼環流中は溶鋼下降側の浸漬管の直下は下降流であるが、それ以外の領域を上昇流と考えると、その領域の平均上昇流速Uは下記(C)式で表される。
=Q/ρ/(S−π/4・d ) ・・・(C)
式中、Q:溶鋼環流量(kg/s)、
S:取鍋湯面位置面積(m)、
:浸漬管径(m)
を表す。
RH真空槽内溶鋼に添加されたフラックスは環流に乗り、一旦取鍋底部まで到達し、そこから流速U(m/s)の上昇流に乗って上昇すると考えると、フラックス粒子が取鍋底部から溶鋼−スラグ界面まで上昇する時間t(s)は、取鍋内溶鋼深さをH(m)として、下記(E)式で表される。
=H/(u+U) ・・・(E)
この上昇時間t後にはスラグ―溶鋼界面がフラックスで十分に遮断されることとなるため、フラックス添加後、t以上経過後にTi源を添加すれば、Tiとスラグ中低級酸化物の反応をより抑制できると考えられるため、フラックス添加後、Ti源を添加開始するまでの時間tは下記(A)式を満たすことが好ましい。
>H/(u+U) ・・・(A)
RH真空脱ガス装置でのフラックス添加からTi源添加までの環流時間tが長すぎても、Tiの再酸化減少の抑制に与える影響は飽和するうえ、処理コストの増大を招くことになる。なお、tの上限は、添加するフラックス量や、装置のサイズに依存するが、60s程度とすることが好ましい。
以下、本発明の好適実施形態の概略図である図1を参照して本発明の方法を説明する。
転炉にて脱炭精錬を行い、得られた溶鋼1とスラグ2を取鍋3に出鋼する。溶鋼1は未脱酸状態とするが、取鍋3内の溶鋼1を覆っているスラグ2上にはAl含有スラグ改質剤を添加することが望ましい。尚、Al含有スラグ改質剤はスラグ2上に分散して添加できれば、特に専用の添加設備を用いる必要はない。
その後、取鍋をRH真空脱ガス装置に搬送された取鍋3を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管4及び下降側浸漬管5を取鍋3内の溶鋼1に浸漬させる。そして、Arガス吹き込み管6から上昇側浸漬管4内にArガスを吹き込むと共に、真空槽7内を排気装置(図示せず)にて排気して真空槽7内を減圧する。真空槽7内が減圧されると、取鍋2内の溶鋼1は、Ar吹き込み管6から吹き込まれるArと共に上昇側浸漬管4を上昇して真空槽7内に流入し、その後、下降側浸漬管5を介して取鍋3に戻る流れ、いわゆる、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
溶鋼が未脱酸の状態では、このRH真空脱ガス精錬により脱炭反応が進行する。脱炭終了後、溶鋼中の溶存酸素濃度を測定し、その酸素を脱酸するのに必要とする量および必要組成分の金属Alを真空槽7内の溶鋼に投入シュート9から添加し、溶鋼1を脱酸する。その後、真空槽7内の溶鋼に投入シュート9からフラックスを添加し、溶鋼1とスラグ2との間にフラックスによる遮断層8を形成する。このフラックスはスラグと溶鋼を遮断し、鋼中のTiやAlが酸化されるのを抑制するために用いられるもので、AlやTiと脱酸力が同等以上の元素の酸化物であって、溶鋼温度で溶融しないことが必要である。例えば、AlやMgO、CaOが例示され、これらを主成分とするボーキサイトや生石灰、マグネシアレンガ屑、またはドロマイトのような化合物なども使用することができる。
その後、好ましくは(A)式を満たす時間t経過後に、真空槽7内の溶鋼に投入シュート9からTi源を所定量添加し、好ましくは(1)式を満たすようにRH環流処理時間t、タンディッシュへの注入までの搬送時間tを調整する。RHの環流処理時間tは短い方が良いが、添加したTiが溶鋼中に均一に混合するまでの時間を予め測定しておき、それ以上の時間を確保することが望ましい。
炭素濃度が0.02〜0.06質量%である約300トンの溶鋼を転炉から内径3.2mの取鍋に未脱酸状態のまま出鋼し、出鋼後、RH真空脱ガス装置で真空脱炭処理を行い、炭素濃度を0.003質量%以下まで低下させた。脱炭後、溶鋼中溶存酸素濃度に見合う量の金属Alを添加し、その後、真空槽内溶鋼に所定量のMgOを添加した。t(s)経過後、真空槽内に金属Tiを添加した。添加後、RHで環流処理を行い、連続鋳造用のタンディッシュまで取鍋を搬送し、溶鋼の注入を開始した。その際のRHのTi添加後の溶鋼環流時間t、タンディッシュまでの搬送時間tを変化させた。取鍋内溶鋼の約半分をタンディッシュに注入した段階で、タンディッシュ内の溶鋼のサンプルを採取し、分析に供した。比較として、真空槽内溶鋼にMgOを添加せずにTiを添加した場合も実施した。
表1に処理条件および結果を示す。処理条件1〜25のTi濃度減少量比ΔTiは、比較例とした真空槽内溶鋼にMgOを添加せずにTiを添加した処理条件26〜30の平均のTi濃度減少量との比で評価した。
Figure 2020183841
表1に示すように、処理条件1〜25は真空槽内溶鋼にMgOを添加した場合であり、真空槽内溶鋼にMgOを添加しなかった処理条件26〜30に比較してTi濃度の減少が抑制できていることが分かる。真空槽内溶鋼にMgOを添加し、(1)式を満たす溶鋼環流時間、搬送時間およびフラックス添加量で処理を行った処理条件11〜25では、さらにTi濃度の減少を抑制できていた。表1の処理条件1〜25について、横軸に(1)式左辺で計算したTi濃度減少指数RTiを、縦軸に実操業におけるTi濃度減少量比ΔTiをとり、プロットして、RTiとΔTiとの関係を図2に示す。RTiとΔTiとはよい相関にあることが分かる。また、(A)式を満足する時間tの条件を○印で、満足しない条件を△でプロットした。同じTi濃度減少指数RTiであっても、(A)式を満足する条件がTi濃度減少量比ΔTiをより小さくできていることがわかる。
本発明は、溶鋼とスラグの間に遮断層を形成することでスラグによるTiの酸化減量を抑制することができた。この技術は、Ti含有鋼の製造以外にもスラグ−メタル反応を抑制する必要がある鋼種に適用可能である。
1 溶鋼
2 スラグ
3 取鍋
4 上昇側浸漬管
5 下降側浸漬管
6 Arガス吹き込み管
7 真空槽
8 遮断層
9 投入シュート

Claims (4)

  1. RH真空脱ガス装置を用いて溶鋼を精錬する方法において、真空脱炭処理に続けてAlによる溶鋼の脱酸処理を施した後に、前記RH真空脱ガス装置の真空槽内に溶鋼温度より融点の高いフラックスを添加し、続いて、Ti源を添加することを特徴とするTi含有極低炭素鋼の製造方法。
  2. 前記フラックスを所定量添加し、RH真空脱ガス装置でTi源を添加した後の溶鋼環流時間tと、RH処理終了から連続鋳造のためのタンディッシュへの溶鋼注入開始までの搬送時間tが、下記(1)式を満足するように調整することを特徴とする請求項1に記載のTi含有極低炭素鋼の製造方法。
    190(G・ln(P/P)/W1/3・t+11.8(D/W)・t≦1800 ・・・(1)
    ここで、
    :RH真空脱ガス装置でのTi源添加後の環流時間(s)、
    G:RH真空脱ガス装置でのTi源添加後の環流用ガス流量(Nm/s)、
    P:RH真空脱ガス装置でのTi源添加後の槽内真空度(Pa)、
    :大気圧(101325Pa)、
    :溶鋼重量(kg)、
    :RH処理終了からタンディッシュへの溶鋼注入開始までの搬送時間(s)、
    D:取鍋内溶鋼湯面部直径(m)、
    :溶鋼温度より融点の高いフラックスの添加量(kg)
    を表す。
  3. 前記溶鋼環流時間tおよび前記搬送時間tを事前に決定し、前記フラックスの添加量Wが、前記(1)式を満足するように計算して添加することを特徴とする請求項2に記載のTi含有極低炭素鋼の製造方法。
  4. 前記フラックスを所定量添加した後、前記Ti源の添加を開始するまでの時間tが下記(A)〜(C)式を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のTi含有極低炭素鋼の製造方法。
    >H/(u+U) ・・・(A)
    =(4・(ρ−ρ・g/(225ρ・μ))1/3・d ・・・(B)
    =Q/ρ/(S−π/4・d ) ・・・(C)
    ここで、
    :RH真空脱ガス装置でのフラックス添加からTi源添加までの環流時間(s)、
    H:取鍋内溶鋼深さ(m)、
    :溶鋼中のフラックス粒子の終端速度(m/s)、
    :取鍋内溶鋼平均上昇流速(m/s)、
    ρ:フラックス密度(kg/m)、
    ρ:溶鋼密度(kg/m)、
    g:重力加速度(9.8m/s)、
    μ:溶鋼粘度(Pa・s)、
    :フラックス平均粒子径(m)、
    Q:溶鋼環流量(kg/s)、
    S:取鍋湯面位置面積(m)、
    :浸漬管径(m)
    を表す。
JP2020516929A 2019-03-13 2019-12-17 Ti含有極低炭素鋼の製造方法 Active JP6744600B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019045879 2019-03-13
JP2019045879 2019-03-13
PCT/JP2019/049447 WO2020183841A1 (ja) 2019-03-13 2019-12-17 Ti含有極低炭素鋼の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6744600B1 JP6744600B1 (ja) 2020-08-19
JPWO2020183841A1 true JPWO2020183841A1 (ja) 2021-03-25

Family

ID=72048025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020516929A Active JP6744600B1 (ja) 2019-03-13 2019-12-17 Ti含有極低炭素鋼の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6744600B1 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP6744600B1 (ja) 2020-08-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2018066030A (ja) 高清浄鋼の製造方法
JP5904237B2 (ja) 高窒素鋼の溶製方法
JP6838419B2 (ja) 高窒素低酸素鋼の溶製方法
JP2014509345A (ja) 鋼脱硫方法
WO2020183841A1 (ja) Ti含有極低炭素鋼の製造方法
JP5891826B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP6744600B1 (ja) Ti含有極低炭素鋼の製造方法
JP2008285709A (ja) 真空脱ガス工程における復硫現象を抑制する低硫鋼の二次精錬方法
JP3915386B2 (ja) 清浄鋼の製造方法
JP5200380B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP6323688B2 (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP2018100427A (ja) 低硫鋼の製造方法
JP3319244B2 (ja) 溶鋼の昇熱精錬方法
JP2019014944A (ja) 鋼の溶製方法
JP6414098B2 (ja) 高Si高Al極低炭素鋼の溶製方法
JP5292853B2 (ja) 溶鋼の真空脱ガス処理装置及び真空脱ガス精錬方法
JP5433941B2 (ja) 高清浄度軸受鋼の溶製方法
JP6443192B2 (ja) FeSi合金粒を用いたスラグの改質方法
JP7318822B2 (ja) 溶鋼の処理方法および鋼の製造方法
JP3277763B2 (ja) 高清浄性極低炭素鋼の精錬方法
JPH11158536A (ja) 清浄性に優れた極低炭素鋼の溶製方法
JP2019007050A (ja) 鋼の溶製方法
JP2016040400A (ja) 溶鋼の減圧精錬方法
JPH11293329A (ja) 清浄性に優れた極低炭素Siキルド鋼の製造方法
JP2009173994A (ja) Alレス極低炭素鋼の溶製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200323

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200323

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200409

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200519

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200701

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200714

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6744600

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250