JPWO2020162332A1 - 防眩性フレキシブルハードコート用硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦傷性、延伸性及び防眩性に優れるハードコート層の形成材料を提供すること。【解決手段】(a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー100質量部、(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル(但し、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ウレタン結合との間にポリ(オキシアルキレン)基を有するパーフルオロポリエーテルを除く。)0.05質量部〜10質量部、(c)ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子25質量部〜65質量部、(d)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1質量部〜20質量部、及び(e)非プロトン性溶媒を含む、硬化性組成物、並びに該組成物より形成されるハードコート層を備えるハードコートフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネルディスプレイ等の各種表示素子等の表面に適用されるハードコート層の形成材料として有用な硬化性組成物に関し、耐擦傷性と防眩性(アンチグレア機能)に優れ、延伸性を備えるハードコート層を形成可能な硬化性組成物に関する。
テレビなどの家電機器、携帯電話などの通信機器、コピー機などの事務機器、ゲーム機などの娯楽機器、X線撮影装置などの医療機器、電子レンジなどの生活機器などの多くの電子機器には、人が指で操作可能な液晶表示素子又はOLED(有機EL)表示素子を用いたタッチパネルディスプレイが設けられている。これらタッチパネルディスプレイを人が指で操作する際に、爪等でタッチパネルの表面に傷が発生するのを防ぐべく、傷つき防止のための耐擦傷性を有するハードコート層を、基材である透明プラスチックフィルム上に備えたハードコートフィルムが、該タッチパネルの最表面に設けられている。
一方、近年、上記のような電子機器の意匠性等を高めるために、携帯電話等のタッチパネルディスプレイ部位を湾曲させたデザインが採用される場合がある。タッチパネル側を外側にして湾曲させた場合、最表面のハードコート層には引張方向の応力が生じることから、該ハードコート層には一定の延伸性を有することも求められるようになっている。
一般に、ハードコート層に耐擦傷性を付与する手法として、例えば、高密度の架橋構造を形成する、すなわち分子運動性の低い架橋構造を形成することで表面硬度を高め、外力への抵抗性を与える手法が採られる。これらのハードコート層形成材料として、現在、ラジカルにより3次元架橋する多官能アクリレート系材料が最も用いられている。多官能アクリレート系材料は、その高い架橋密度のため、通常、延伸性を有さないが、多官能アクリレートと高硬度なシリカ微粒子とを併用することにより、一定の耐擦傷性と延伸性との両立を図ったハードコート層の技術が報告されている(特許文献1)。
更に、これらタッチパネルディスプレイの表面には、その画面への外部光の映り込みによる視認性の低下を防ぐために、表面に凹凸が形成された数μm程度のハードコート層を備える防眩性ハードコートフィルムを貼り合せる方法が用いられている。表面に凹凸を形成する手法としては、数μm程度の粒径を有する微粒子をハードコート層に含有する方法が一般的に用いられている。例えば防眩性発現のための微粒子として4μmのアクリル−スチレン共重合(AS)微粒子をアクリル系紫外線硬化樹脂に添加し、防眩性と一定の耐擦傷性との両立を図ったハードコート層の技術が報告されている(特許文献2)。
特開2011−131409号公報 特開2013−257359号公報
前述したように、ハードコート層の延伸性と耐擦傷性とはトレードオフの関係にあり、両者の特性を両立させることが課題となっている。
これまでに提案された特許文献1に記載のシリカ微粒子添加ハードコート層では、多官能アクリレート及びシリカ微粒子間の物理的相互作用が弱く、十分な耐擦傷性を得ることが困難であり、延伸性も満足できる水準では無かった。また、特許文献2に記載のAS微粒子添加ハードコート層では、耐擦傷性を発現するためにAS微粒子の添加量を抑制しており、防眩性が十分でないことが課題であった。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介さずにウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテルと、活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマーと、ポリ(オキシエチレン)基で表面が修飾されたシリカ粒子と、非プロトン性溶媒とを含む硬化性組成物が、耐擦傷性と延伸性との双方を向上させ、防眩性に優れるハードコート層を形成可能なことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、第1観点として、
(a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー100質量部、
(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル(但し、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ウレタン結合との間にポリ(オキシアルキレン)基を有するパーフルオロポリエーテルを除く。)0.05質量部〜10質量部、
(c)ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子25質量部〜65質量部、
(d)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1質量部〜20質量部、及び
(e)非プロトン性溶媒
を含む、硬化性組成物に関する。
第2観点として、前記(b)パーフルオロポリエーテルは、その分子鎖の両末端それぞれにウレタン結合を介して活性エネルギー線重合性基を少なくとも2つ有する、第1観点に記載の硬化性組成物に関する。
第3観点として、前記(b)パーフルオロポリエーテルは、その分子鎖の両末端それぞれにウレタン結合を介して活性エネルギー線重合性基を少なくとも3つ有する、第2観点に記載の硬化性組成物に関する。
第4観点として、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基が、繰り返し単位−[OCF]−及び繰り返し単位−[OCFCF]−の双方を有し、これら繰り返し単位をブロック結合、ランダム結合、又は、ブロック結合及びランダム結合にて結合してなる基である、第1観点乃至第3観点のうち何れか一つに記載の硬化性組成物に関する。
第5観点として、前記(b)パーフルオロポリエーテルが、下記式[1]で表される部分構造を有する、第4観点に記載の硬化性組成物に関する。
Figure 2020162332

(上記式[1]中、nは、繰り返し単位−[OCFCF]−の数と、繰り返し単位−[OCF]−の数との総数であって5〜30の整数を表し、前記繰り返し単位−[OCFCF]−と、前記繰り返し単位−[OCF]−は、ブロック結合、ランダム結合、又は、ブロック結合及びランダム結合の何れかにて結合してなる。)
第6観点として、前記(a)多官能モノマーの一部又は全部が、活性エネルギー性重合性基を少なくとも3つ有し、且つ、平均オキシエチレン変性量が、該活性エネルギー性重合性基1molに対して3mol未満であるオキシエチレン変性多官能(メタ)アクリレート化合物である、第1観点乃至第5観点のうち何れか一つに記載の硬化性組成物に関する。
第7観点として、前記(c)シリカ粒子が、ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤で表面修飾されたシリカ粒子であって、前記ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤がゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量で1,000以上の分子量を有するシランカップリング剤である、第1観点乃至第6観点のうち何れか一つに記載の硬化性組成物に関する。
第8観点として、ポリ(オキシアルキレン)基がポリ(オキシエチレン)基である、第7観点に記載の硬化性組成物に関する。
第9観点として、前記(e)非プロトン性溶媒がケトン系溶媒である、第1観点乃至第8観点のうち何れか一つに記載の硬化性組成物に関する。
第10観点として、前記ケトン系溶媒がメチルエチルケトンである、第9観点に記載の硬化性組成物に関する。
第11観点として、第1観点乃至第10観点のうち何れか一つに記載の硬化性組成物より得られる硬化膜に関する。
第12観点として、フィルム基材の少なくとも一方の面にハードコート層を備えるハードコートフィルムであって、該ハードコート層が第11観点に記載の硬化膜からなる、ハードコートフィルムに関する。
第13観点として、前記ハードコート層が1μm〜10μmの層厚を有する、第12観点に記載のハードコートフィルムに関する。
第14観点として、フィルム基材の少なくとも一方の面にハードコート層を備えるハードコートフィルムの製造方法であって、該ハードコート層が、第1観点乃至第10観点のうち何れか一つに記載の硬化性組成物をフィルム基材上に塗布し塗膜を形成する工程と、該塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化する工程とを含む、ハードコートフィルムの製造方法に関する。
第15観点として、ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤で表面修飾されたシリカ粒子に関する。
第16観点として、前記シランカップリング剤が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量で1,000以上の分子量を有するシランカップリング剤である、第15観点に記載のシリカ粒子に関する。
本発明によれば、厚さ1μm〜10μm程度の薄膜においても優れた耐擦傷性と高い延伸性を両立し、且つ高い防眩性を有する硬化膜及びハードコート層の形成に有用な硬化性組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、前記硬化性組成物より得られる硬化膜又はそれより形成されるハードコート層が表面に付与されたハードコートフィルムを提供することができ、耐擦傷性、延伸性及び防眩性に優れるハードコートフィルムを提供することができる。
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、詳細には、
(a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー100質量部、
(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル(但し、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ウレタン結合との間にポリ(オキシアルキレン)基を有するパーフルオロポリエーテルを除く。)0.05質量部〜10質量部、
(c)ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ微粒子25質量部〜65質量部、
(d)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1質量部〜20質量部、及び
(e)非プロトン性溶媒
を含む、硬化性組成物に関する。
以下、まず上記(a)〜(e)の各成分について説明する。
[(a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー]
本発明では(a)成分として、活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー(以下、単に「(a)多官能モノマー」とも称する)を使用する。
(a)成分は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し硬化する活性エネルギー線重合性基を2つ以上有し、且つ、オキシエチレン基を有する多官能モノマーである。前記活性エネルギー線重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
本発明では、(a)多官能モノマーとしては特に限定なく公知のものを使用できる。
例えば本発明では、上記(a)多官能モノマーとして、活性エネルギー線重合性基を少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ有する、オキシエチレンで変性された多官能モノマーを使用することができる。
本発明では、上記(a)多官能モノマーとして、オキシエチレン変性多官能(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択されるモノマーが挙げられ、また例えばオキシエチレン変性多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択されるモノマーを使用することができる。なお、本発明において(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
上記オキシエチレン変性多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、オキシエチレンで変性されたポリオールの(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
該ポリオールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
また上記(a)多官能モノマーにおいて、平均オキシエチレン変性量は、例えば該モノマーが有する活性エネルギー線重合性基1molに対し3mol未満とすることができ、好ましくは、該モノマーが有する活性エネルギー線重合性基1molに対し2mol未満とすることができる。また前記平均オキシエチレン変性量は、該モノマーが有する活性エネルギー線重合性基1molに対して0molより大きく、好ましくは、該モノマーが有する活性エネルギー線重合性基1molに対して0.1mol以上、より好ましくは0.5mol以上とすることができる。
さらに上記(a)多官能モノマーにおいて、該モノマー1分子に対するオキシエチレンの付加数は、1〜30、好ましくは1〜12とすることができる。
本発明において、好適な(a)多官能モノマーとして、活性エネルギー線重合性基を少なくとも3つ有し、平均オキシエチレン変性量が該活性エネルギー線重合性基1molに対し3mol未満であるオキシエチレン変性多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。
中でも好適な(a)多官能モノマーとして、活性エネルギー線重合性基を少なくとも4つ有し、平均オキシエチレン変性量が該活性エネルギー線重合性基1molに対し2mol未満であるオキシエチレン変性多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。
本発明では、上記(a)多官能モノマーを単独で、或いは二種以上を組合せて使用することができる。
[(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル(但し、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ウレタン結合との間にポリ(オキシアルキレン)基を有するパーフルオロポリエーテルを除く。)]
本発明では、(b)成分として、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介さずにウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル(以降、単に「(b)分子鎖の両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテル」とも称する)を使用する。(b)成分は、本発明の硬化性組成物を適用するハードコート層における表面改質剤としての役割を果たす。
また、(b)成分は、(a)成分との相溶性に優れ、それにより、ハードコート層が白濁するのを抑制して、透明な外観を呈するハードコート層の形成を可能とする。
尚、上記のポリ(オキシアルキレン)基とは、オキシアルキレン基の繰り返し単位数が2以上であり且つオキシアルキレン基におけるアルキレン基は無置換のアルキレン基である基を意図する。
上記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基におけるアルキレン基の炭素原子数は特に限定されないが、炭素原子数1〜4であることが好ましい。すなわち、上記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基は、炭素原子数1〜4の2価のフッ化炭素基と酸素原子が交互に連結した構造を有する基を指し、オキシパーフルオロアルキレン基は炭素原子数1〜4の2価のフッ化炭素基と酸素原子が連結した構造を有する基を指す。具体的には、−[OCF]−(オキシパーフルオロメチレン基)、−[OCFCF]−(オキシパーフルオロエチレン基)、−[OCFCFCF]−(オキシパーフルオロプロパン−1,3−ジイル基)、−[OCFC(CF)F]−(オキシパーフルオロプロパン−1,2−ジイル基)等の基が挙げられる。
上記オキシパーフルオロアルキレン基は、一種を単独で使用してもよく、或いは二種以上を組み合わせて使用してもよく、その場合、複数種のオキシパーフルオロアルキレン基の結合はブロック結合及びランダム結合の何れであってもよい。
これらの中でも、耐擦傷性が良好となる硬化膜が得られる観点から、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基として、−[OCF]−(オキシパーフルオロメチレン基)と−[OCFCF]−(オキシパーフルオロエチレン基)の双方を繰り返し単位として有する基を用いることが好ましい。
中でも上記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基として、繰り返し単位:−[OCF]−と−[OCFCF]−とが、モル比率で[繰り返し単位:−[OCF]−]:[繰り返し単位:−[OCFCF]−]=2:1〜1:2となる割合で含む基であることが好ましく、およそ1:1となる割合で含む基であることがより好ましい。これら繰り返し単位の結合は、ブロック結合及びランダム結合の何れであってもよい。
上記オキシパーフルオロアルキレン基の繰り返し単位数は、その繰り返し単位数の総計として5〜30の範囲であることが好ましく、7〜21の範囲であることがより好ましい。
また、上記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基のゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCとも称する)によるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量(Mw)は、1,000〜5,000、好ましくは1,500〜3,000である。
上記活性エネルギー線重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
(b)分子鎖の両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルは、(メタ)アクリロイル基等の活性エネルギー線重合性基を1つ該分子鎖の両末端に有するものに限られず、2つ以上の活性エネルギー線重合性基を該分子鎖の両末端に有するものであってもよく、例えば、活性エネルギー線重合性基を含む末端構造としては、以下に示す式[A1]〜式[A5]の構造、及びこれらの構造中のアクリロイル基をメタクリロイル基に置換した構造が挙げられる。
Figure 2020162332
このような(b)分子鎖の両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルとしては、例えば、以下の式[2]で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2020162332
(式[2]中、Aは前記式[A1]〜式[A5]で表される構造及びこれらの構造中のアクリロイル基をメタクリロイル基に置換した構造のうちの1つを表し、PFPEは前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を表し(ただし、Lと直接結合する側がオキシ末端であり、酸素原子と結合する側がパーフルオロアルキレン末端である。)、Lは、フッ素原子1個〜3個で置換された炭素原子数2又は3のアルキレン基を表し、mはそれぞれ独立して1〜5の整数を表し、Lは、m+1価のアルコールからOHを除いたm+1価の残基を表す。)
上記フッ素原子1個〜3個で置換された炭素原子数2又は3のアルキレン基としては、−CHCHF−、−CHCF−、−CHFCF−、−CHCHCHF−、−CHCHCF−、−CHCHFCF−等が挙げられ、−CHCF−が好ましい。
上記式[2]で表される化合物における部分構造(A−NHC(=O)O)−としては、以下に示す式[B1]〜式[B12]で表される構造等が挙げられる。
Figure 2020162332
Figure 2020162332
(式[B1]〜式[B12]中、Aは前記式[A1]〜式[A5]で表される構造及びこれらの構造中のアクリロイル基をメタクリロイル基に置換した構造のうちの1つを表す。)
上記式[B1]〜式[B12]で表される構造の中で、式[B1]及び式[B2]がm=1の場合に相当し、式[B3]〜式[B6]がm=2の場合に相当し、式[B7]〜式[B9]がm=3の場合に相当し、式[B10]〜式[B12]がm=5の場合に相当する。
これらの中でも、式[B3]で表される構造が好ましく、特に式[B3]と式[A3]の組合せが好ましい。
(b)分子鎖の両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルのうち特に好ましいものとして、下記式[1]で表される部分構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2020162332
式[1]で表される部分構造は、前記式[2]で表される化合物から、A−NHC(=O)を除いた部分に相当する。
上記式[1]中のnは、繰り返し単位−[OCFCF]−の数と、繰り返し単位−[OCF]−の数との総数を表し、5〜30の範囲の整数が好ましく、7〜21の範囲の整数がより好ましい。また、前記繰り返し単位−[OCFCF]−の数と、前記繰り返し単位−[OCF]−の数との比率は、2:1〜1:2の範囲であることが好ましく、およそ1:1の範囲とすることがより好ましい。これら繰り返し単位の結合は、ブロック結合及びランダム結合の何れであってもよい。
本発明において(b)分子鎖の両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルは、前述の(a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー100質量部に対して、0.05質量部〜10質量部、好ましくは0.1質量部〜5質量部の割合で使用する。
(b)分子鎖の両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルを0.05質量部以上の割合で使用することで、ハードコート層に十分な耐擦傷性を付与することができる。また、(b)分子鎖の両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルを10質量部以下の割合で使用することにより、(a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマーと十分に相溶し、より白濁の少ないハードコート層を得ることができる。
上記(b)分子鎖の両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルは、例えば、下記式[3]
Figure 2020162332
(式[3]中、PFPE、L、L及びmは、前記式[2]と同じ意味を表す。)で表される化合物の両末端に存在するヒドロキシ基に対して、重合性基を有するイソシアネート化合物、即ち、前記式[A1]〜式[A5]で表される構造及びこれらの構造中のアクリロイル基をメタクリロイル基に置換した構造における結合手にイソシアナト基が結合した化合物(例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等)を反応させてウレタン結合を形成することにより得ることができる。
なお本発明の硬化性組成物には、(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基をパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル(但し、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ウレタン結合との間にポリ(オキシアルキレン)基を有さない。)に加えて、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の片末端(一方の末端)にウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有し、且つその分子鎖の他端(もう一方の末端)にヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテル(但し、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ウレタン結合との間並びに前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ヒドロキシ基との間にポリ(オキシアルキレン)基を有さない。)や、上記式[3]で表されるような、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端にヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテル(但し、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ヒドロキシ基との間にポリ(オキシアルキレン)基を有さない。)[活性エネルギー線重合性基を有していない化合物]が含まれていてもよい。
[(c)ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子]
(c)成分は、後述するポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ微粒子(以下、単に「(c)シリカ粒子」とも称する)である。
本発明の硬化性組成物において、(c)ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子は、該硬化性組成物より形成されるハードコート層の表面を凹凸形状にして防眩性を付与するとともに、(a)多官能モノマーとの相互作用により、耐擦傷性を損なうことなく延伸性を付与することができる。
上記シリカ粒子自体の形状は特に限定されないが、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の粒子であり、最も好ましくは真球状粒子である。
本発明で使用するシリカ粒子自体の平均粒子径は、80nm〜500nmの範囲であることが好ましい。ここで平均粒子径(nm)とは、Mie理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定して得られる50%体積径(メジアン径)である。前記シリカ粒子の平均粒子径を上記数値範囲内とすることにより、十分な防眩性を付与することができ、また、耐擦傷性及び延伸性にも優れる硬化膜を得ることができる。
なお前記シリカ粒子は、その粒度分布については特に限定されないが、粒子径の揃った単分散の微粒子であることが好ましい。
また、前記シリカ粒子は、その平均粒子径が、後述する本発明の硬化性組成物より得られる硬化膜の膜厚に対して、シリカ微粒子の平均粒子径b/膜厚a=0.02〜1.0の範囲を満たすように選択することが好ましい。
上記シリカ粒子としては、例えば、上記平均粒子径の値を有するコロイダルシリカを好適に使用でき、該コロイダルシリカとしては、シリカゾルを用いることができる。シリカゾルとしては、ケイ酸ナトリウム水溶液を原料として公知の方法により製造される水性シリカゾル及び該水性シリカゾルの分散媒である水を有機溶媒に置換して得られるオルガノシリカゾルを使用することができる。
また、メチルシリケートやエチルシリケート等のアルコキシシランを、アルコール等の有機溶媒中で触媒(例えば、アンモニア、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒)の存在下において加水分解し、縮合して得られるシリカゾル、又はそのシリカゾルを他の有機溶媒に溶媒置換したオルガノシリカゾルも用いることができる。
上述のオルガノシリカゾルにおける有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の直鎖アミド類;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の環状アミド類;γ−ブチロラクトン等のエステル類;エチルセロソルブ、エチレングリコール等のグリコール類;アセトニトリル等が挙げられる。
水性シリカゾルの分散媒である水の置換や、目的とする別の有機溶媒への置換は、蒸留法、限外濾過法等による通常の方法により行うことができる。
上記のオルガノシリカゾルの粘度は、20℃で、0.6mPa・s〜100mPa・s程度である。
上記水性シリカゾル、オルガノシリカゾルの市販品の例としては、例えばシーホスター(登録商標)KEシリーズ[(株)日本触媒製]、スノーテックス(登録商標)シリーズ[日産化学(株)製]等を用いることができる。
本発明において、シリカ粒子の表面修飾に用いるポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物として、ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤を用いることができる。
上記ポリ(オキシアルキレン)基として、オキシアルキレン基の炭素原子数が例えば1〜4であるものが挙げられ、すなわちポリ(オキシメチレン)基、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロプレン)基、ポリ(オキシブチレン)基等を挙げることができる。中でもポリ(オキシアルキレン)基としてポリ(オキシエチレン)基が好適である。
また上記ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤は、GPCにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量で1,000以上の分子量を有することが好ましい。
ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子は、上記ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤とシリカ粒子とを水分もしくはアルコール存在下で混合させることで調製することができる。ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤は、加水分解によりシラノール基を生成し、シリカ粒子表面に存在するシラノール基と縮合反応して結合し、ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤によって表面が修飾された、シリカ粒子が形成されると考えられる。
具体的には、例えば、シリカ粒子のコロイド溶液(シリカゾル)とポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤とを混合することで、ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤で表面修飾されたシリカ粒子を調製することができる。コロイド溶液と該シランカップリング剤の混合は常温で行ってもよく、加熱しながら行ってもよい。反応効率の観点から、混合は加熱しながら行うことが好ましい。混合を加熱しながら行う場合、その加熱温度は溶媒等に応じて適宜選択することができる。加熱温度は例えば、30℃以上とすることができる。
ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤とシリカ粒子との混合割合は、シリカ粒子の大きさやオキシアルキレン基の種類にもよるが、例えばシリカ粒子表面の単位面積(1nm)に対しシランカップリング剤分子が0.01個〜5個、好ましくは0.05個〜2個、より好ましくは0.1個〜1個となる量とすることができる。ここで、シリカ粒子の表面積は、窒素吸着法(BET法)により測定された比表面積より算出する。
本発明において(c)シリカ微粒子は、前述の(a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー100質量部に対して、25質量部〜65質量部、例えば30質量部〜50質量部、好ましくは35質量部〜50質量部の割合で使用することが望ましい。
[(d)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤]
本発明の硬化性組成物において好ましい活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤(以下、単に「(d)重合開始剤」とも称する)は、例えば、電子線、紫外線、X線等の活性エネルギー線により、特に紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤である。
上記(d)重合開始剤としては、例えばベンゾイン類、アルキルフェノン類、チオキサントン類、アゾ類、アジド類、ジアゾ類、o−キノンジアジド類、アシルホスフィンオキシド類、オキシムエステル類、有機過酸化物、ベンゾフェノン類、ビスクマリン類、ビスイミダゾール類、チタノセン類、チオール類、ハロゲン化炭化水素類、トリクロロメチルトリアジン類、及びヨードニウム塩、スルホニウム塩などのオニウム塩類等が挙げられる。これらは一種単独で或いは二種以上を混合して用いてもよい。
中でも本発明では、透明性、表面硬化性、薄膜硬化性の観点から(d)重合開始剤として、アルキルフェノン類を使用することが好ましい。アルキルフェノン類を使用することにより、耐擦傷性がより向上した硬化膜を得ることができる。
上記アルキルフェノン類としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類;2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン等のα−アミノアルキルフェノン類;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン;フェニルグリオキシル酸メチルなどが挙げられる。
本発明において(d)重合開始剤は、前述の(a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー100質量部に対して、1質量部〜20質量部、好ましくは2質量部〜10質量部の割合で使用することが望ましい。
[(e)非プロトン性溶媒]
本発明の硬化性組成物は、(e)成分として非プロトン性溶媒を含有する。
(e)非プロトン性溶媒の存在により、本発明の硬化性組成物において前記(c)ポリ(オキシエチレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子が適度なクラスター構造を形成し、防眩性の発現に寄与する。すなわち(c)ポリ(オキシエチレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子を(e)非プロトン性溶媒と組み合わせることにより、(c)成分に防眩性付与剤(低光沢度化剤)としての役割を十分に発揮させることができる。
上記非プロトン性溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化物類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル類又はエステルエーテル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類、並びにこれらの非プロトン性溶媒のうち2種以上をした溶媒が挙げられる。
これらの非プロトン性溶媒の中でも、非プロトン性極性溶媒が好ましく、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等の環状エーテル類;アセトニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類等が好適な溶媒として挙げられ、特にケトン類(ケトン系溶媒)が好ましく、中でもメチルエチルケトン(MEK)を好適に使用することができる。
(e)非プロトン性溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば本発明の硬化性組成物における固形分濃度が1質量%〜70質量%、好ましくは5質量%〜50質量%となる濃度で使用する。ここで固形分濃度(不揮発分濃度とも称する)とは、本発明の硬化性組成物の前記(a)成分〜(d)成分(及び所望によりその他添加剤)の総質量(合計質量)に対する固形分(全成分から溶媒成分を除いたもの)の含有量を表す。
なお、本発明の硬化性組成物において、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記(e)非プロトン性溶媒に加えて、非プロトン性溶媒以外のその他の溶媒を用いてもよい。
上記その他の溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエーテル類や、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類を挙げることができる。
上記その他の溶媒を用いた場合、その他の溶媒と(e)非プロトン性溶媒の使用量の合計量が、前述の本発明の硬化性組成物における固形分濃度となる量にてその他の溶媒を使用する。
また上記その他の溶媒の使用量は、上記(e)非プロトン性溶媒とその他の溶媒の合計質量に対して、該その他の溶媒の割合が例えば50質量%未満となる量で使用することが好ましい。
[その他添加物]
また、本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて一般的に添加される添加剤、例えば、重合促進剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、界面活性剤、密着性付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、貯蔵安定剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合してよい。
また、硬化膜のヘーズ値を制御する目的で、酸化チタン等の無機微粒子やポリメタクリル酸メチル粒子等の有機微粒子を配合してもよい。
<硬化膜>
本発明の硬化性組成物は、基材上に塗布(コーティング)して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥し溶媒除去した後、該塗膜に活性エネルギー線を照射して重合(硬化)させることにより、硬化膜を形成できる。該硬化膜も本発明の対象である。また後述するハードコートフィルムにおけるハードコート層を該硬化膜からなるものとすることができる。
この場合の前記基材としては、例えば、各種樹脂(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。
前記基材上への塗布方法は、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法、スクリーン印刷法等)等を適宜選択し得、中でもロール・ツー・ロール(roll−to−roll)法に利用でき、また薄膜塗布性の観点から、凸版印刷法、特にグラビアコート法を用いることが望ましい。なお事前に孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて硬化性組成物を濾過した後、塗布に供することが好ましい。なお塗布する際、必要に応じて該硬化性組成物に溶剤をさらに添加してもよい。この場合の溶剤としては前述の[(e)非プロトン性溶媒]で挙げた種々の溶媒(並びにその他の溶媒)を挙げることができる。
基材上に硬化性組成物を塗布し塗膜を形成した後、ホットプレート、オーブン等の加熱手段で塗膜を予備乾燥して溶媒を除去する(溶媒除去工程)。この際の加熱乾燥の条件としては、例えば、40℃〜120℃で、30秒〜10分程度とすることが好ましい。
乾燥後、紫外線等の活性エネルギー線を照射して、塗膜を硬化させる。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線照射に用いる光源としては、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、UV−LED等が使用できる。
さらにその後、ポストベークを行うことにより、具体的にはホットプレート、オーブン等の加熱手段を用いて加熱することにより重合を完結させてもよい。
なお、形成される硬化膜の厚さは、乾燥、硬化後において、通常0.01μm〜50μm、好ましくは0.05μm〜20μmである。
<ハードコートフィルム>
本発明の硬化性組成物を用いて、フィルム基材の少なくとも一方の面(表面)にハードコート層を備えるハードコートフィルムを製造することができる。該ハードコートフィルムも本発明の対象であり、該ハードコートフィルムは、例えばタッチパネルや液晶ディスプレイ等の各種表示素子等の表面を保護するために好適に用いられる。
本発明のハードコートフィルムにおけるハードコート層は、前述の本発明の硬化性組成物をフィルム基材上に塗布し塗膜を形成する工程と、該塗膜を乾燥し溶媒を除去する工程と、必要に応じて加熱により溶媒を除去する工程と、該塗膜に紫外線等の活性エネルギー線を照射し該塗膜を硬化させる工程とを含む方法により形成することができる。これら工程を含むフィルム基材の少なくとも一方の面にハードコート層を備えるハードコートフィルムの製造方法も本発明の対象である。
前記フィルム基材としては、前述の<硬化膜>で挙げた基材のうち、光学用途に使用可能な各種の透明な樹脂製フィルムが用いられる。好ましい樹脂製フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース(TAC)等のフィルムが挙げられる。
また前記フィルム基材上への硬化性組成物の塗布方法(塗膜形成工程)、溶媒を除去する工程(溶媒除去工程)、及び塗膜への活性エネルギー線照射方法(硬化工程)は、前述の<硬化膜>に挙げた方法を用いることができる。
こうして得られたハードコート層の層厚(膜厚)は、前記微粒子の平均粒子径に比して1倍〜50倍の厚さとなるように設定することが好ましい。たとえば前記ハードコート層の厚さは、好ましくは1μm〜20μm、より好ましくは1μm〜10μmである。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)バーコーターによる塗布
装置:(株)エスエムテー製 PM−9050MC
バー:オーエスジーシステムプロダクツ(株)製 A−Bar OSP−15、最大ウエット膜厚15μm(ワイヤーバー#9相当)
塗布速度:4m/分
(2)オーブン
装置:アドバンテック東洋(株)製 無塵乾燥器 DRC433FA
(3)UV硬化
装置:ヘレウス(株)製 CV−110QC−G
ランプ:ヘレウス(株)製 高圧水銀ランプH−bulb
(4)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標)GPC K−804L、GPC K−805L
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(5)耐擦傷性試験
装置:新東科学(株)製 往復摩耗試験機 TRIBOGEAR TYPE:30S
走査速度:5,000mm/分
走査距離:50mm
(6)引張試験
装置:(株)島津製作所製 卓上形精密万能試験機オートグラフAGS−10kNX
つかみ具:1kN手動ねじ式平面形つかみ具
つかみ歯:高強度ラバーコートつかみ歯
引張速度:10mm/分
測定温度:23℃
(7)光学顕微鏡
装置:(株)キーエンス製 デジタルマイクロスコープVHX−6000
測定倍率:20倍
測定方式:反射
(8)光沢度測定
装置:コニカミノルタ(株)製 光沢計 GM−268Plus
測定角度:60度
また、略記号は以下の意味を表す。
EOA1:オキシエチレン変性ジグリセリンテトラアクリレート[東亞合成(株)製 アロニックス(登録商標)M−460、オキシエチレン基4mol]
A1:ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート[日本化薬(株)製 カヤラッド(登録商標)PET−30]
シリカ微粒子s−1:平均粒子径200nmのシリカ微粒子[日産化学(株)製 スノーテックス(登録商標)MP−2040(固形分濃度 40質量% 水分散液)]
シリカ微粒子s−2:平均粒子径450nmのシリカ微粒子[日産化学(株)製 スノーテックス(登録商標)MP−4540M(固形分濃度 40質量% 水分散液)]
シランカップリング剤:ポリ(オキシエチレン)基を有するトリメトキシシラン[信越化学工業(株)製 信越シリコーン(登録商標)X−12−641、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量 約1,000]
PFPE:分子鎖の両末端それぞれにポリ(オキシアルキレン)基を介さずヒドロキシ基を2つ有するパーフルオロポリエーテル[ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 Fomblin(登録商標)T4]
BEI:1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート[昭和電工(株)製 カレンズ(登録商標)BEI]
DOTDD:ジネオデカン酸ジオクチル錫[日東化成(株)製 ネオスタン(登録商標)U−830]
O2959:2−ヒドロキシ−1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン[IGM Resins社製 OMNIRAD(登録商標)2959]
MEK:メチルエチルケトン
MeOH:メタノール
[参考例1]表面改質剤SMの製造
スクリュー管に、PFPE 1.19g(0.5mmol)、BEI 0.52g(2.0mmol)、DOTDD 0.017g(PFPE及びBEIの合計質量の0.01倍量)、及びMEK 1.67gを仕込んだ。この混合物を、スターラーチップを用いて室温(およそ23℃)で24時間撹拌して、目的化合物である表面改質剤SMの50質量%MEK溶液を得た。得られたSMのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量:Mwは3,000、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.2であった。
[参考例2]ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面が修飾されたシリカ微粒子s−3のメタノール分散液の製造
シリカ微粒子s−1 200gを、水素型強酸性陽イオン交換樹脂[オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)100mLを充填したカラムに通液してイオン交換した。得られた水分散シリカ微粒子363.8gを撹拌機、コンデンサー、温度計及び注入口2個を備えた内容積1Lのガラス製反応器に仕込んだ。前記ガラス製反応器内の溶媒を沸騰させたままの状態で、別のボイラーで発生させたメタノールの蒸気を該反応器内の水中に連続的に吹き込んで、液面をほぼ一定に保ちながらメタノールによる水の置換を行うことで、メタノール分散シリカ微粒子(固形分濃度 40質量% 平均粒子径200 nm)を得た。]
ナスフラスコに、上記メタノール分散シリカ微粒子 20g、シランカップリング剤 0.18g、水 0.14gを仕込んだ。この混合物を、スターラーチップを用いてオイルバス温65℃で3時間撹拌して、目的化合物である、ポリ(オキシエチレン)基を有するシランカップリング剤で修飾された平均粒子径200nmのシリカ微粒子s−3のメタノール分散液(固形分濃度 40質量%)を得た。
[参考例3]微粒子表面がポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で修飾されたシリカ微粒子s−4のメタノール分散液の製造
シリカ微粒子s−1の代わりにシリカ微粒子s−2を用いて、参考例2と同様の手法で溶媒置換することで、メタノール分散シリカ微粒子を得た。
ナスフラスコに、上記メタノール分散シリカ微粒子 20g、シランカップリング剤 0.08g、水 0.14gを仕込んだ。この混合物を、スターラーチップを用いてオイルバス温65℃で3時間撹拌して、目的化合物である、ポリ(オキシエチレン)基を有するシランカップリング剤で修飾された平均粒子径450nmのシリカ微粒子s−4のメタノール分散液(固形分濃度 40質量%)を得た。
[実施例1及び実施例2、比較例1〜比較例7]
表1の記載に従って以下の各成分を混合し、表1に記載の固形分濃度の硬化性組成物を調製した。なお、ここで固形分とは溶媒以外の成分を指す。また、表1中、[部]とは[質量部]を表す。この硬化性組成物を、A4サイズの両面易接着処理PETフィルム[東レ(株)製 ルミラー(商標登録)U403、厚み100μm]上にバーコーターにより塗布し、塗膜を得た。この塗膜を50℃のオーブンで3分間乾燥させ溶媒を除去した。得られた膜を、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmのUV光を照射し露光することで、およそ3μmの層厚(膜厚)を有するハードコート層(硬化膜)を有する、ハードコートフィルムを作製した。
得られたハードコートフィルムの、耐擦傷性、延伸性及び防眩性を評価した。耐擦傷性、延伸性及び防眩性の評価の手順を以下に示す。結果を表2に併せて示す。
[耐擦傷性]
ハードコートフィルムのハードコート層表面を、前記往復摩耗試験機に取り付けたスチールウール[ボンスター販売(株)製 ボンスター(登録商標)#0000(超極細)]で500g/cmの荷重を掛けて10往復擦り、傷の程度を目視で確認した。なおハードコート層として実際の使用を想定した場合、少なくともBであることが求められ、Aであることが望ましい。
A:傷無し
B:長さ5mm未満の傷発生
C:長さ5mm以上の傷発生
[延伸性]
ハードコートフィルムを長さ60mm、幅10mmの矩形に切り取り、試験片を作製した。試験片の長手方向の両端から20mmずつを掴むように前記万能試験機のつかみ具に取り付け、延伸率(=(つかみ具間距離の増加量)÷(つかみ具間距離)×100)が2.5%から5%、7.5%、10%というように、2.5%間隔となるように引張試験を行った。引張試験後のハードコートフィルムを光学顕微鏡で観察し、クラック発生の有無を確認し、以下A、B及びCを判定の基準とした。なおハードコート層として実際の使用を想定した場合、少なくともBであることが求められ、Aであることが望ましい。
A:クラックが発生する延伸率が22.5%よりも大きい
B:クラックが発生する延伸率が22.5%
C:クラックが発生する延伸率が22.5%よりも小さい
[防眩性]
ハードコートフィルムのハードコート層表面の光沢度Gs(60°)を測定し、以下の基準A、B及びCに従い評価した。なおハードコート層として実際の使用を想定した場合、少なくともBであることが求められ、Aであることが望ましい。
A:Gs(60°)≦100
B:100<Gs(60°)≦130
C:130<Gs(60°)
Figure 2020162332
表1
Figure 2020162332
表2
表2に示すように、多官能モノマーとしてオキシエチレン変性ジグリセリンテトラアクリレートEOA1、シリカ微粒子としてポリ(オキシエチレン)基を有するシランカップリング剤で表面が修飾されたシリカ微粒子s−3又はs−4、表面改質剤として分子鎖の両末端それぞれにウレタン結合を介してアクリロイル基を4つ有するパーフルオロポリエーテルSM及び溶媒に非プロトン性溶媒であるMEKをそれぞれ用いた実施例1及び実施例2の硬化性組成物から得られるハードコート層を備えるハードコートフィルムは、耐擦傷性、延伸性及び防眩性に優れ、これら3特性を両立できることが示された。
一方、シリカ微粒子として表面未修飾のシリカ微粒子s−1又はs−2をそれぞれ用いた比較例1及び比較例2の硬化性組成物から得られるハードコート層を備えるハードコートフィルムは、防眩性に劣ることが示された。また、溶媒にプロトン性溶媒であるメタノールを用いた比較例3及び比較例4の硬化性組成物から得られるハードコート層を備えるハードコートフィルムも、防眩性に劣ることが示された。更に、多官能モノマーとしてオキシエチレンで変性されていない多官能アクリレートA1を用いた比較例5の硬化性組成物から得られるハードコート層を備えるハードコートフィルムは、延伸性及び防眩性に劣ることが示された。また、表面改質剤SMを含まない比較例6の硬化性組成物から得られるハードコート層を備えるハードコートフィルムは、耐擦傷性に劣る結果が示された。そして、シリカ微粒子を含まない比較例7の硬化性組成物から得られるハードコート層を備えるハードコートフィルムは、防眩性に劣ることが示された。
以上、実施例の結果に示すように、オキシエチレン変性された多官能モノマー、特定構造のパーフルオロポリエーテル、ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子、そして溶媒として非プロトン性溶媒を組み合わせた硬化性組成物により、耐擦傷性、延伸性及び防眩性の全ての性能を初めて満足するハードコートフィルムを得ることができる。

Claims (16)

  1. (a)活性エネルギー線硬化性オキシエチレン変性多官能モノマー100質量部、
    (b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含むパーフルオロポリエーテルであって、その分子鎖の両末端に、ウレタン結合を介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル(但し、前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基と前記ウレタン結合との間にポリ(オキシアルキレン)基を有するパーフルオロポリエーテルを除く。)0.05質量部〜10質量部、
    (c)ポリ(オキシアルキレン)基を有する化合物で表面修飾されたシリカ粒子25質量部〜65質量部、
    (d)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1質量部〜20質量部、及び
    (e)非プロトン性溶媒
    を含む、硬化性組成物。
  2. 前記(b)パーフルオロポリエーテルは、その分子鎖の両末端それぞれにウレタン結合を介して活性エネルギー線重合性基を少なくとも2つ有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記(b)パーフルオロポリエーテルは、その分子鎖の両末端それぞれにウレタン結合を介して活性エネルギー線重合性基を少なくとも3つ有する、請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基が、繰り返し単位−[OCF]−及び繰り返し単位−[OCFCF]−の双方を有し、これら繰り返し単位をブロック結合、ランダム結合、又は、ブロック結合及びランダム結合にて結合してなる基である、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記(b)パーフルオロポリエーテルが、下記式[1]で表される部分構造を有する、請求項4に記載の硬化性組成物。
    Figure 2020162332
    (上記式[1]中、
    nは、繰り返し単位−[OCFCF]−の数と、繰り返し単位−[OCF]−の数との総数であって5〜30の整数を表し、
    前記繰り返し単位−[OCFCF]−と、前記繰り返し単位−[OCF]−は、ブロック結合、ランダム結合、又は、ブロック結合及びランダム結合の何れかにて結合してなる。)
  6. 前記(a)多官能モノマーの一部又は全部が、活性エネルギー性重合性基を少なくとも3つ有し、且つ、平均オキシエチレン変性量が、該活性エネルギー性重合性基1molに対して3mol未満であるオキシエチレン変性多官能(メタ)アクリレート化合物である、請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記(c)シリカ粒子が、ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤で表面修飾されたシリカ粒子であって、前記ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤がゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量で1,000以上の分子量を有するシランカップリング剤である、請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載の硬化性組成物。
  8. ポリ(オキシアルキレン)基がポリ(オキシエチレン)基である、請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. 前記(e)非プロトン性溶媒がケトン系溶媒である、請求項1乃至請求項8のうち何れか一項に記載の硬化性組成物。
  10. 前記ケトン系溶媒がメチルエチルケトンである、請求項9に記載の硬化性組成物。
  11. 請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の硬化性組成物より得られる硬化膜。
  12. フィルム基材の少なくとも一方の面にハードコート層を備えるハードコートフィルムであって、該ハードコート層が請求項11に記載の硬化膜からなる、ハードコートフィルム。
  13. 前記ハードコート層が1μm〜10μmの層厚を有する、請求項12に記載のハードコートフィルム。
  14. フィルム基材の少なくとも一方の面にハードコート層を備えるハードコートフィルムの製造方法であって、該ハードコート層が、請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の硬化性組成物をフィルム基材上に塗布し塗膜を形成する工程と、該塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化する工程とを含む、ハードコートフィルムの製造方法。
  15. ポリ(オキシアルキレン)基を有するシランカップリング剤で表面修飾されたシリカ粒子。
  16. 前記シランカップリング剤が、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算重量平均分子量で1,000以上の分子量を有するシランカップリング剤である、請求項15に記載のシリカ粒子。
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