JPWO2020138232A1 - コーヒー抽出液 - Google Patents

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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23FCOFFEE; TEA; THEIR SUBSTITUTES; MANUFACTURE, PREPARATION, OR INFUSION THEREOF
    • A23F5/00Coffee; Coffee substitutes; Preparations thereof
    • A23F5/24Extraction of coffee; Coffee extracts; Making instant coffee

Abstract

コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味を抑えられたコーヒー抽出液を提供する。コーヒー抽出液における(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と、(B)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]を特定の範囲に調整する。または、前記コーヒー抽出液における(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]を特定の範囲に調整する。

Description

本発明は、コーヒー抽出液などに関する。具体的には、本発明は、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味が抑えられたコーヒー抽出液などに関する。
一般的に汎用されているコーヒー原料からコーヒー特有の香りを感じることができ、かつ雑味が抑えられたコーヒー抽出液を得ることが望まれている。そのようなコーヒー抽出液を開発することは、高品質のコーヒー抽出液を安定かつ安価に提供できる点で、商業上大きな利点となる。
特許文献1には、一組の抽出塔(パーコレーター塔)に熱水性媒体を通過させ、かつ抽出工程中に蒸発濃縮工程を組み合せて、濃縮コーヒー抽出液を製造する方法が記載されている。また、特許文献2にも、一組の抽出カラムに熱水を通過させることによって、濃縮コーヒー抽出液の製造する方法が記載されている。しかしながら、一般的なコーヒー原料には雑味成分も多く含まれているため、かかる原料から通常の抽出方法でコーヒーを抽出した場合には、コーヒー特有の良好な香りと共に、雑味成分も抽出されてしまうという問題があった。
特開昭47−20370号公報 特開昭52−125670号公報
本発明の課題は、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味が抑えられたコーヒー抽出液を提供することなどである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含むコーヒー抽出液において、前記コーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%に調整した溶液における(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と(B)グアイアコールのピーク面積および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]が7.0以上となるように調整することで、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味を抑えられたコーヒー抽出液を提供できることなどを見出した。また、本発明者らは、2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含むコーヒー抽出液における(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]が3.1以上となるように調整することでも、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味を抑えられたコーヒー抽出液を提供できることなどを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下に関するが、これらに限定されない。
(1)2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含むコーヒー抽出液であって、前記コーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%に調整した溶液における(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と(B)グアイアコールのピーク面積および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]が7.0以上であり、ここで前記ピーク面積比は、内部標準物質として10ppbのボルネオールを使用してガスクロマトグラフィー質量分析法によりピーク面積を測定したときの、ボルネオールのピーク面積に対する各成分のピーク面積の比率である、前記コーヒー抽出液。
(2)前記[(A)/(B)]が8.0〜30.0である、(1)に記載のコーヒー抽出液。
(3)コーヒー固形分濃度(Brix)が20〜40%である、(1)または(2)に記載のコーヒー抽出液。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のコーヒー抽出液を含む、飲料。
(5)2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含むコーヒー抽出液であって、
前記コーヒー抽出液における(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]が3.1以上である、前記コーヒー抽出液。
(6)前記[(a)/(b)]が3.4〜30.0である、(5)に記載のコーヒー抽出液。
(7)コーヒー固形分濃度(Brix)が20〜40%である、(5)または(6)に記載のコーヒー抽出液。
(8)(5)〜(7)のいずれかに記載のコーヒー抽出液を含む、飲料。
本発明によれば、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味が抑えられたコーヒー抽出液を提供することができる。
1.コーヒー抽出液
本発明は、一態様では、2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含むコーヒー抽出液であって、前記コーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%に調整した溶液における(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と(B)グアイアコールのピーク面積比および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]が7.0以上である、前記コーヒー抽出液である。また、一態様では、本発明は、2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含むコーヒー抽出液であって、前記コーヒー抽出液における(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]が3.1以上である、前記コーヒー抽出液である。このような構成とすることで、コーヒー特有の香りが高められると共に、雑味が抑えられた濃縮コーヒー抽出液を提供することが可能になる。なお、本明細書において、「コーヒー特有の香り」や「トップに感じる香り」とは、コーヒーの挽きたての甘い香りを意味するものである。また、本明細書において、「非常にクリーンさが際立つ」とは、雑味がないことを意味する。
本明細書において「コーヒー抽出液」とは、コーヒー豆より抽出された液体をいう。コーヒー抽出液としては、焙煎コーヒー豆を水などの溶媒で抽出することにより得られる抽出液、前記抽出液を希釈または濃縮したもの、およびコーヒー豆またはその粉砕物を含有するスラリー等が挙げられる。そのため、ある態様では、本発明のコーヒー抽出液は濃縮コーヒー抽出液である。なお、本明細書において「濃縮コーヒー抽出液」とは、一般的なコーヒー抽出液よりもコーヒー固形分濃度が高いものをいう。
本明細書において「コーヒー豆」とは、コーヒー生豆、焙煎コーヒー豆および焙煎粉砕コーヒー豆のいずれであってもよい。また、本明細書において「コーヒー生豆」はコーヒー豆を加熱して煎り上げるプロセスである焙煎工程を経る前のコーヒー豆を意味し、「焙煎コーヒー豆」は焙煎工程を経た後のコーヒー豆を意味し、「焙煎粉砕コーヒー豆」は焙煎工程を経たコーヒー豆を粉砕して得られたものを意味する。
本発明において、コーヒー豆の産地や品種は特に限定されない。例えば、コーヒー豆の産地としてはブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテンなどが挙げられ、コーヒー豆の品種としてはアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種など等が挙げられる。コーヒー豆は単一産地または単一品種のものを用いても、異なる産地や品種のものを組み合わせて用いてもよい。本発明のコーヒー抽出液の製造において使用するコーヒー豆の品種は特に限定されないが、アラビカ種豆またはロブスタ種豆を用いることが好ましい。
本発明において、コーヒー生豆から焙煎コーヒー豆を得るための焙煎方法や焙煎条件は特に限定されるものではない。例えば、直火式、熱風式、半熱風式、炭火式、遠赤外線式、マイクロ波式、過熱水蒸気式などの方法で、水平(横)ドラム型、垂直(縦)ドラム型、垂直回転ボウル型、流動床型、加圧型などの装置を用いることができ、コーヒー豆の種別に対応して、所定の目的に応じた焙煎度(ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアン)に仕上げればよい。
本発明に用いる焙煎粉砕コーヒー豆において、焙煎コーヒー豆を得るための焙煎温度は、特に限定されるものではないが、好ましい焙煎温度は100〜300℃であり、より好ましくは150〜250℃、特に好ましくは170〜220℃である。また、焙煎コーヒー豆を得るための焙煎時間も特に限定されるものではないが、好ましくは5〜30分であり、より好ましくは10〜25分、特に好ましくは15〜20分である。さらに、焙煎コーヒー豆の焙煎度も、特に限定されるものではないが、焙煎度を色差計で測定したL値を指標として、好ましくは10〜30、より好ましくは10〜25、特に好ましくは15〜25となるように焙煎するのがよい。焙煎度の測定としては、粉砕した豆をセルに投入し、十分にタッピングした後、分光式色彩計にて測定する。分光式色彩計としては、日本電色工業株式会社製SE−2000などを使用できる。
また、本発明に用いる焙煎粉砕コーヒー豆を得るための粉砕方法は特に限定されるものではなく、乾式粉砕や湿式粉砕等の一般的な方法を用いることができる。
1−1.2,3−ブタンジオン
本発明のコーヒー抽出液は、コーヒー特有の香りに寄与する成分である2,3−ブタンジオンを含む。本発明のコーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%に調整した溶液における2,3−ブタンジオンのピーク面積比は、後述の(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と、(B)グアイアコールのピーク面積および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]が所定の範囲内である限り特に限定されないが、好ましくは0.3〜3.0、より好ましくは0.5〜2.0、さらにより好ましくは0.8〜1.2である。本発明のコーヒー抽出液中の(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比が低すぎるとコーヒー特有の香りが不十分なものになり、一方で、(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比が高すぎると、コーヒーの香り全体のバランスが崩れ、コーヒーとは異なる異様な甘さが感じられるようになる。
本明細書において「ピーク面積比」とは、内部標準物質として10ppbのボルネオールを使用してガスクロマトグラフィー質量分析法によりピーク面積を測定したときの、ボルネオール(10ppb)のピーク面積に対する対象成分のピーク面積の比率を意味する。なお、定量分析方法には対象となる成分の標準物質を用いた検量線法とサンプル内には存在しない内部標準液を用いた内部標準法があるが、いずれもガスクロマトグラフィー質量分析法を実施した際に獲得できるピーク面積値を基に算出しているので、両方法にて算出された値は相関するものであると考えられる。ガスクロマトグラフィー質量分析条件は以下の通りである。
・GC本体装置:Agilent Technologies 7890A
・MS検出器:Agilent Technologies 5975C inert XL MSD with Triple-Axis Detector
・前処理装置:MultiPurpose Sampler MPS for GC
・試料注入条件:DHS(ダイナミックヘッドスペース)法
サンプル温度 80℃
圧力 160kPa
セプタムパージ流量 3 mL/min
スプリットレスモード
・カラム:HP-INNOWAX(長さ:60m、直径:0.250mm、厚さ:0.25 μm)
流量 1.5 mL/min
圧力 160 kPa
・オーブン:40℃→240℃(7.5℃/min)
・ポストラン:10min。
なお、上記分析においては、必要に応じて試料に食塩を添加し、香気成分のヘッドスペースへの揮発を促進させてもよい。
また、後述の(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]が所定の範囲内である限り、本発明のコーヒー抽出液におけるBrix1%あたりの2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)は特に限定されないが、好ましくは5.0×10−3〜1.0×10ppb、より好ましくは1.0×10−2〜8.0×10ppb、さらにより好ましくは1.5×10−2〜5.0×10ppbである。本発明のコーヒー抽出液中の(a)2,3−ブタンジオンの濃度が低すぎるとコーヒー特有の香りが不十分なものになり、一方で、(a)2,3−ブタンジオンの濃度が高すぎると、コーヒーの香り全体のバランスが崩れ、コーヒーとは異なる異様な甘さが感じられるようになる。
1−2.グアイアコールおよび4−エチルグアイアコール
本発明のコーヒー抽出液は、コーヒー特有の雑味に寄与する成分であるグアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含む。本発明のコーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%に調整した溶液におけるグアイアコールのピーク面積比および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値は、後述の[(A)/(B)]が所定の範囲内である限り特に限定されないが、好ましくは0.1〜1.5、より好ましくは0.1〜0.5、さらにより好ましくは0.1〜0.35である。本発明のコーヒー抽出液中の(B)グアイアコールのピーク面積比および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値が低すぎると苦味や雑味に起因する、いわゆる「コーヒー感」が低減してしまい、(B)グアイアコールのピーク面積比および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値が高すぎるとコーヒー特有の雑味が強くなりすぎる。
また、後述の[(a)/(b)]が所定の範囲内である限り、本発明のコーヒー抽出液におけるBrix1%あたりのグアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)は特に限定されないが、好ましくは1.5×10−3〜1.0×10ppb、より好ましくは2.0×10−3〜8.0×10ppb、さらにより好ましくは3.0×10−3〜5.0×10ppbである。本発明のコーヒー抽出液中の(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度が低すぎると苦味や雑味に起因する、いわゆる「コーヒー感」が低減してしまい、(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度が高すぎるとコーヒー特有の雑味が強くなりすぎる。
また、ある態様では、本発明のコーヒー抽出液におけるBrix1%あたりのグアイアコールの濃度(ppb)は、好ましくは7.0×10−4×〜5.0×10ppb、より好ましくは1.0×10−3〜4.0×10ppb、さらにより好ましくは1.5×10−3〜2.5×10ppbである。
また、ある態様では、本発明のコーヒー抽出液におけるBrix1%あたりの4−エチルグアイアコールの濃度(ppb)は、好ましくは7.0×10−4〜5.0×10ppb、より好ましくは1.0×10−3〜4.0×10ppb、さらにより好ましくは1.5×10−3〜2.5×10ppbである。
1−3.(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と、(B)グアイアコールのピーク面積および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]
本発明のコーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%に調整した溶液における(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と(B)グアイアコールのピーク面積比および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]は7.0以上であり、好ましくは8.0〜30.0、より好ましくは9.0〜20.0、さらにより好ましくは10.0〜15.0である。前記比率[(A)/(B)]が低すぎるとコーヒー特有の雑味が強くなりすぎる一方、前記比率[(A)/(B)]が高すぎるとコーヒーの香り全体のバランスが崩れ、コーヒーとは異なる異様な甘さを感じられるようになる。
また、ある態様では、本発明のコーヒー抽出液における(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と、(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]は、好ましくは3.1以上であり、より好ましくは3.4〜30.0、さらにより好ましくは3.6〜20.0、特に好ましくは13.8〜15.0である。
1−4.コーヒー固形分濃度
本発明のコーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度は特に限定されないが、好ましくはBrix値で20〜40%、より好ましくは25〜37%、特に好ましくは30〜35%である。
なお、Brix値は、糖度計や屈折計などを用いて20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値であり、飲料中の可溶性固形分含有量を表す。単位は「Bx」、「%」又は「度」と表記する場合もある。飲料のBrix値が低ければ、糖質を含めた飲料中の可溶性固形分の含有量が低いこととなる。
2.飲料
本発明の一態様は、前述のコーヒー抽出液を含む飲料である。本発明では、前述のコーヒー抽出液をそのまま飲料とすることもでき、また必要により濃縮または希釈して飲料とすることもできる。飲料の種類は特に限定されないが、コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料、コーヒー入り清涼飲料(カフェインレス)、またはコーヒー入り炭酸飲料であることが好ましい。なお、これらの飲料は、コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約第2条で定義されたものである。
本発明の飲料は、必要により、苦味抑制剤、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、品質安定剤などの添加剤を1種または2種以上配合してもよい。また、本発明の飲料がコーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料、コーヒー入り清涼飲料(カフェインレス)、コーヒー入り炭酸飲料である場合、ブラックとしても、乳または砂糖などの甘味料を添加してもよい。
さらに、本発明の飲料は、容器詰め飲料とすることもできる。容器の種類は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器を用いることができる。
また、容器詰め飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度まで冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。
3.コーヒー抽出液の製造方法
本発明のコーヒー抽出液は、2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含み、前記コーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%に調整した溶液における(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と(B)グアイアコールのピーク面積比および4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]が前述の範囲となる限り、その製造方法は特に限定されない。また、一態様では、本発明のコーヒー抽出液は、2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含み、前記コーヒー抽出液における(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]が前述の範囲となる限り、その製造方法は特に限定されない。例えば、連続多管抽出と蒸発濃縮を組み合せることで製造することができる。具体的には、a)焙煎粉砕コーヒー豆が充填されたカラムに、70〜120℃の水を供給してコーヒー抽出液を得る第一抽出工程、b)前記第一抽出工程で使用された焙煎粉砕コーヒー豆充填カラムに、125〜150℃の水を供給してコーヒー抽出液を得る第二抽出工程、c)前記第二抽出工程で得られたコーヒー抽出液を蒸発濃縮する工程、および、d)前記第一抽出工程で得られたコーヒー抽出液と、前記蒸発濃縮されたコーヒー抽出液とを混合する工程を経て、本発明のコーヒー抽出液を製造することができる。
本発明のコーヒー抽出液を製造するために、例えば、第一抽出工程として、焙煎粉砕コーヒー豆が充填されたカラムに70〜120℃、好ましくは90〜110℃、より好ましくは95〜105℃の水を供給してコーヒー抽出液を得る工程を用いることができる。前記第一抽出工程で使用される抽出カラムのカラム容積は特に限定されないが、好ましくは10〜50L、より好ましくは15〜30L、さらにより好ましくは20〜25Lである。
また、前記第一抽出工程において焙煎粉砕コーヒー豆充填カラム容積1Lあたりに水を供給する速度は特に限定されないが、カラム容積1Lあたり1.0〜10.0kg/hの流速で水を供給することが好ましく、カラム容積1Lあたり2.0〜7.0kg/hの流速で水を供給することがより好ましく、カラム容積1Lあたり3.0〜5.0kg/hの流速で水を供給することがさらにより好ましい。なお、本明細書において、例えば、カラム容積1Lあたり1.0〜10.0kg/hの流速で水を供給するとは、使用するカラム容積が5Lの場合、カラムに対して5.0〜50.0kg/hの流速で水を供給することを意味するものである。
また、前記第一抽出工程で得られる抽出液の抽出率は特に限定されないが、好ましくは10.0〜23.0%、より好ましくは12.0〜21.0%、さらにより好ましくは14.0〜20.0%である。
前記第一抽出工程では、コーヒー特有の香気成分を豊富に含むコーヒー抽出液を得るという観点から、焙煎粉砕コーヒー豆が充填された抽出カラムを直列的に複数連結して連続的に抽出することが好ましい。第一抽出工程における抽出カラム本数は、好ましくは2本以上、より好ましくは2〜10本、特に好ましくは3〜6本である。複数の抽出カラムを用いる場合、例えば、焙煎粉砕コーヒー豆が充填された一本目の抽出カラムに70〜120℃の水を供給してコーヒー抽出液を取得し、次いで、一本目の抽出カラムより取得したコーヒー抽出液を焙煎粉砕コーヒー豆が充填された二本目の抽出カラムに供給するというように、順次抽出カラムを変えて連続的にコーヒー抽出液を抽出することができる。
本発明のコーヒー抽出液を製造するために使用する抽出カラムの容積も特に限定されない。また、抽出カラムに充填する焙煎粉砕コーヒー豆の充填密度も特に限定されないが、湿潤後の焙煎粉砕コーヒー豆の量で0.20〜0.50kg/L(カラム容積1Lあたり湿潤後の焙煎粉砕コーヒー豆0.20〜0.50kg)であることが好ましく、0.25〜0.40kg/Lであることがより好ましく、0.28〜0.35kg/Lであることがさらにより好ましい。
また、抽出カラムから採取するコーヒー抽出液の量も、カラム容積や、カラムに充填された焙煎粉砕コーヒー豆の量によって異なるため特に限定されないが、好ましくはカラム容積1Lあたり0.05〜0.50kg、より好ましくはカラム容積1Lあたり0.08〜0.30kg、特に好ましくはカラム容積1Lあたり0.10〜0.20kgである。なお、前述の通り、本発明には、焙煎粉砕コーヒー豆が充填された抽出カラムを直列的に複数連結して連続的に抽出する態様も含まれるが、前記カラム容積1Lあたりのコーヒー抽出液の採取量は、抽出カラム1本あたりの採取量である。
本発明のコーヒー抽出液を製造するために、前記第一抽出工程の後に、第一抽出工程で使用された焙煎粉砕コーヒー豆充填カラムに、比較的高温の水を供給してコーヒー抽出液を得る第二抽出工程を含めることができる。
前記第二抽出工程では、第一抽出工程で使用された焙煎粉砕コーヒー豆を充填したカラムが使用される。本発明のコーヒー抽出液の製造するために、例えば、第二抽出工程の抽出温度は125〜150℃、好ましくは125〜140℃、より好ましくは125〜135℃である。
前記第二抽出工程で使用される抽出カラムのカラム容積は特に限定されないが、好ましくは10〜50L、より好ましくは15〜30L、さらにより好ましくは20〜25Lである。
また、前記第二抽出工程では、抽出工程中で焙煎粉砕コーヒー豆充填カラムの温度を維持することが好ましく、第二抽出工程におけるカラム温度は好ましくは125〜150℃、より好ましくは125〜140℃、さらにより好ましくは125〜135℃である。
前記第二抽出工程において、焙煎粉砕コーヒー豆充填カラム容積1Lあたりに水を供給する速度は特に限定されないが、カラム容積1Lあたり1.0〜10.0kg/hの流速で水を供給することが好ましく、カラム容積1Lあたり2.0〜8.0kg/hの流速で水を供給することがより好ましく、カラム容積1Lあたり4.0〜6.0kg/hの流速で水を供給することがさらにより好ましい。
前記第二抽出工程で得られるコーヒー抽出液の抽出率は特に限定されないが、好ましくは4.0〜14.0%、より好ましくは6.0〜13.0%、さらにより好ましくは8.0〜12.0%である。
前記第二抽出工程で得られるコーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度は特に限定されないが、好ましくはBrix値で0.3〜3.0%、より好ましくは0.5〜2.5%、さらにより好ましくは1.0〜2.0%である。
また、第二抽出工程で使用する抽出カラムの本数は特に限定されないが、高濃度のコーヒー抽出液を得るという観点から、焙煎粉砕コーヒー豆が充填された抽出カラムを直列的に複数連結して連続的に抽出することが好ましい。第二抽出工程における抽出カラム本数は、好ましくは2本以上、より好ましくは2〜10本、特に好ましくは3〜6本である。複数の抽出カラムを用いる場合、例えば、焙煎粉砕コーヒー豆が充填された一本目の抽出カラムに125〜150℃の水を供給してコーヒー抽出液を取得し、次いで、一本目の抽出カラムより取得したコーヒー抽出液を焙煎粉砕コーヒー豆が充填された二本目の抽出カラムに供給するというように、順次抽出カラムを変えて連続的にコーヒー抽出液を抽出することができる。
また、前記第二抽出工程で使用する抽出カラムの容積は特に限定されない。抽出カラムに充填する焙煎粉砕コーヒー豆の充填密度も特に限定されないが、湿潤後の焙煎粉砕コーヒー豆の量で0.2〜0.5kg/Lであることが好ましく、0.25〜0.40kg/Lであることがより好ましく、0.28〜0.35kg/Lであることがさらにより好ましい。
また、前記第二抽出工程において抽出カラムから採取するコーヒー抽出液の量は特に限定されないが、好ましくはカラム容積1Lあたり0.5〜5.0kg、より好ましくはカラム容積1Lあたり0.8〜3.0kg、特に好ましくはカラム容積1Lあたり1.0〜1.5kgである。
さらに、本発明のコーヒー抽出液を製造するために、前記第二抽出工程の後に、第二抽出工程で得られたコーヒー抽出液を蒸発濃縮する工程を含めることができる。
第二抽出工程は、第一抽出工程で使用された焙煎粉砕コーヒー豆を充填したカラムを用いるため、高温で抽出しても、コーヒー抽出液の抽出効率はそれほど高くない。また、高温でコーヒーを抽出すると、雑味成分も抽出液中に多く含まれてしまう。そこで、第二抽出工程後のコーヒー抽出液を蒸発濃縮することで、コーヒー抽出液の濃度を高めると共に、雑味成分を揮発させてコーヒー抽出液中の雑味を抑えることができる。
前記蒸発濃縮工程における加熱温度は好ましくは100〜120℃、より好ましくは105〜115℃、特に好ましくは108〜112℃である。
本発明のコーヒー抽出液を製造するために、第一抽出工程で得られたコーヒー抽出液と、第二抽出工程後に蒸発濃縮されたコーヒー抽出液とを混合する工程を含めることができる。前述の通り、第一抽出工程では低温(70〜120℃)で抽出することでコーヒー特有の良好な香味が維持されたコーヒー抽出液を得ることができる。また、第二抽出工程後に蒸発蒸留することで、雑味が抑えられた高濃度のコーヒー抽出液を得ることができる。そのため、第一抽出工程で得られたコーヒー抽出液と、第二抽出工程後に蒸発濃縮されたコーヒー抽出液とを混合することで、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味を抑えられたコーヒー抽出液を製造することができる。
本発明のコーヒー抽出液を製造するために、第一抽出工程で得られたコーヒー抽出液と、第二抽出工程後に蒸発濃縮されたコーヒー抽出液との混合比率は特に限定されず、混合後のコーヒー抽出液の所望のBrix値となるように、適宜、第一抽出工程で得られたコーヒー抽出液と、第二抽出工程後に蒸発濃縮されたコーヒー抽出液とを混合することができる。本発明のコーヒー抽出液の製造において、第一抽出工程で得られたコーヒー抽出液と、第二抽出工程後に蒸発濃縮されたコーヒー抽出液とを混合して得られるコーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度は、Brix値で好ましくは20〜40%、より好ましくは25〜37%、特に好ましくは30〜35%である。
以下、実施例をもって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)焙煎粉砕コーヒー豆の製造
コーヒー生豆(ブラジル産、アラビカ種)をコーヒー焙煎機(Probat社製)で、L値が20になるように焙煎した。その後、前記焙煎コーヒー豆をロールミル(GEA社製)で粉砕して、焙煎粉砕コーヒー豆を得た。
(2)コーヒー抽出液の製造
(i)第一抽出工程
抽出カラム(GEA社製:容積23L)に上記(1)で製造した焙煎粉砕コーヒー豆に水で湿潤処理(20wt%)行った後、豆重量7.0kg/カラムとなるように充填し、その後、100℃の水を、抽出温度100℃および流速80kg/時でカラムに供給し、採取液量が3kgになるように抽出を行った。次に2番目のカラムに焙煎粉砕コーヒー豆を、湿潤後豆7.0kg/カラムとなるように充填し、2本連結した状態で同様に、採取液量が3kgになるように抽出を行った。さらに、3番目のカラムに焙煎粉砕コーヒー豆を、湿潤後豆7.0kg/カラムとなるように充填し、3本連結した状態で同様に採取液量が3kgになるように抽出を行った。3回の抽出が行われた1番目のカラムの豆はその後、第二抽出液を採取する工程に送られ、新たに4番目のカラムに焙煎粉砕コーヒー豆を、湿潤後豆7.0kg/カラムとなるように充填し、3本連結した状態で同様に、採取液量が3kgになるように抽出を行った。当該抽出工程を繰り返し(1〜18バッチ)、安定した抽出率およびBrix値が得られる10〜18バッチの抽出液を混合して、第一抽出工程後のコーヒー抽出液を得た。各バッチの測定結果を表1に示す。最終的な第一抽出工程後のコーヒー抽出液の液量は29.82kg、Brixが29.21%、平均抽出率が17.92%であった。
Figure 2020138232
(ii)第二抽出工程
上記(i)の第一抽出工程で使用した焙煎粉砕コーヒー豆が充填されたカラムを最大4本で直列的に連結した。その後、130℃の水を、抽出温度130℃および流速120kg/時となるようにカラムに供給し、採取液量が25kg、標的抽出率が10%となるように抽出を行った。4回の抽出が終了したカラムから豆を排出した後、新しい豆が充填され、第一抽出工程で新たに使用した。当該抽出工程を繰り返し行い(4〜18バッチ:1〜3バッチは第一抽出工程が終了していないため第二抽出工程はない。)、安定した抽出率およびBrix値が得られる10〜18バッチの抽出液を混合して、第二抽出工程後のコーヒー抽出液を得た。各バッチの測定結果を表1に示す。最終的な第二抽出工程後のコーヒー抽出液の液量は247.74kg、Brixが1.80%、平均抽出率が9.16%であった。
(iii)蒸発蒸留工程
上記(ii)で得られた第二抽出工程後のコーヒー抽出液約250kgを、抽出液中のコーヒー固形分濃度が50%となるように、加熱温度110℃、蒸発温度50℃で濃縮した。上記(ii)で得られた第二抽出工程後のコーヒー抽出液の蒸発蒸留後の液量は5.62kg、Brixが55.18%であった。
(iv)サンプルコーヒー抽出液の調製
<発明品>
上記(i)の第一抽出工程で得られたコーヒー抽出液1.0kgと、上記(iii)の第二抽出工程で得られたコーヒー抽出液を蒸発濃縮して得られたコーヒー抽出液0.297kgとを混合して、発明品を調製した。発明品の液量は12.9kg、Brixは34.0%であった。
<既存品1〜5>
他社製造のコーヒー抽出液5種類を既存品1〜5として用いた。
(3)サンプルコーヒー抽出液の分析
前記発明品および既存品1〜5のコーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%に調整して、希釈後のコーヒー抽出液における2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールのピーク面積比を、内部標準物質として10ppbのボルネオールを使用してガスクロマトグラフィー質量分析により決定した。ガスクロマトグラフィー質量分析の条件は以下の通りである:
・GC本体装置:Agilent Technologies 7890A
・MS検出器:Agilent Technologies 5975C inert XL MSD with Triple-Axis Detector
・前処理装置:MultiPurpose Sampler MPS for GC
・試料注入条件:DHS(ダイナミックヘッドスペース)法
サンプル温度 80℃
圧力 160kPa
セプタムパージ流量 3 mL/min
スプリットレスモード
・カラム:HP-INNOWAX(長さ:60m、直径:0.250mm、厚さ:0.25 μm)
流量 1.5 mL/min
圧力 160 kPa
・オーブン:40℃→240℃(7.5℃/min)
・ポストラン:10min。
発明品および既存品1〜5における2,3−ブタンジオン、グアイアコール、および4−エチルグアイアコールのピーク面積比を表2に示す。また、2,3−ブタンジオンのピーク面積比と、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値の比率(A/B)も表2に示す。また、発明品および既存品1〜5のコーヒー抽出液のコーヒー固形分濃度(Brix)を1%あたりの2,3−ブタンジオン、グアイアコール、および4−エチルグアイアコールの濃度を表3に示す。さらに、表3には、(a)2,3−ブタンジオンの濃度と、(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度との比率(a/b)も示す。なお、前述の通り、発明品のコーヒー固形分濃度(Brix)は34.0%であるため、発明品における2,3−ブタンジオン、グアイアコール、および4−エチルグアイアコールの濃度は、それぞれ0.55ppb、0.05ppb、および0.09ppbである。
Figure 2020138232
Figure 2020138232
(4)コーヒー抽出液の官能評価試験
次に、上記(2)で製造した発明品および既存品1〜5を、それぞれBrixが1%となるように熱水で希釈して、官能評価試験用のサンプル飲料を得た。その後、各サンプル飲料について、専門パネラー(3名)による官能評価を実施した。各サンプル飲料の官能評価結果を表4に示す。
Figure 2020138232
表2〜4に示す通り、コーヒー抽出液における(A)2,3−ブタンジオンのピーク面積比と、(B)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールのピーク面積比の合計値との比率[(A)/(B)]が所定の範囲内である「発明品」では、トップの香りが十分に多く、非常にクリーンさが際立つとの官能評価コメントが得られており、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味を抑えられていることが示された。一方で、[(A)/(B)]が本発明の範囲を下回ると、雑味やエグミが感じられることが示された。このことは、コーヒー抽出液における(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と、(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]が所定の範囲内である「発明品」でも同様である。このようにピーク面積比[(A)/(B)]や濃度比[(a)/(b)]を所定の範囲とすることで、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味を抑えられたコーヒー抽出液を提供できることが示された。
本発明は、コーヒー特有の香りが高められ、かつ雑味を抑えられたコーヒー抽出液を提供するものであるため、産業上の利用性が高い。

Claims (4)

  1. 2,3−ブタンジオン、グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールを含むコーヒー抽出液であって、
    前記コーヒー抽出液における(a)2,3−ブタンジオンの濃度(ppb)と(b)グアイアコールおよび4−エチルグアイアコールの合計濃度(ppb)との比率[(a)/(b)]が3.1以上である、前記コーヒー抽出液。
  2. 前記[(a)/(b)]が3.4〜30.0である、請求項1に記載のコーヒー抽出液。
  3. コーヒー固形分濃度(Brix)が20〜40%である、請求項1または2に記載のコーヒー抽出液。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーヒー抽出液を含む、飲料。
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