JPWO2020129897A1 - 非水電解質二次電池用電極、その製造方法、及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
本発明は、電極組成物中の組成によらず、電池性能と活物質層の付着性に優れる非水電解質二次電池用電極を提供することを目的とし、集電体上に、少なくとも機能層を2層以上設けた非水電解質二次電池用電極であって、該機能層の内少なくとも1層が活物質層Aあり、該機能層の内少なくとも1層が、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層Bであることが好ましい非水電解質二次電池用電極である。
Description
本発明は、非水電解質二次電池用電極、その製造方法、及び非水電解質二次電池に関する。
近年、スマートフォンやタブレット等に代表される小型携帯端末の急速な普及により、それらを駆動させる小型でエネルギー密度の高い電池に対する要求が高まっている。
一般に、リチウムイオン二次電池の負極には黒鉛系材料が用いられているが、黒鉛系材料の理論容量は372mAh/g(LiC6)であり、現状、その限界に近付いている。さらにリチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上するためには、新しい材料の選択が必要となっている。そこで、炭素、リチウムに次いで電位が低く、比容量の大きいケイ素、スズ等のリチウムと合金化する材料が注目を集めている。
これらの材料の中でも、ケイ素は、モル比でケイ素原子1に対してリチウム原子4.4まで吸蔵することができ、理論的には黒鉛系炭素材料の約10倍の容量が得られる。しかし、ケイ素粒子はリチウムを吸蔵すると体積がおよそ3倍〜4倍に膨れるため、充放電の繰り返しにより劣化が進行し、容量が低下することが問題となっている。
この現象を詳しく解析すると、ケイ素を含む活物質にリチウムが挿入されると、体積膨張により電極内に微細な割れが生じ、この微細な割れに電解液が侵入し、新たな被膜(SEI層)が形成されることが確認されている。このとき、元に戻らない不可逆な容量が発生し、結果として、電池容量が低下する。
この現象は、サイクル途中の充放電効率の変化に現れる。特に体積変化の大きいサイクル初期段階におけるサイクル効率の低下は、充放電効率の高い正極と組み合わせた電池としての寿命に大きな影響を与える。そのため、ケイ素を含む活物質を用いる場合、この体積膨張による電極構造の変化を最小限に抑えることが重要な課題となっている。
この現象を詳しく解析すると、ケイ素を含む活物質にリチウムが挿入されると、体積膨張により電極内に微細な割れが生じ、この微細な割れに電解液が侵入し、新たな被膜(SEI層)が形成されることが確認されている。このとき、元に戻らない不可逆な容量が発生し、結果として、電池容量が低下する。
この現象は、サイクル途中の充放電効率の変化に現れる。特に体積変化の大きいサイクル初期段階におけるサイクル効率の低下は、充放電効率の高い正極と組み合わせた電池としての寿命に大きな影響を与える。そのため、ケイ素を含む活物質を用いる場合、この体積膨張による電極構造の変化を最小限に抑えることが重要な課題となっている。
このような状況から、特許文献1では炭素粒子をシランカップリング剤で修飾した負極材を用いることで、ケイ素系化合物を用いた際にも耐久性に優れ充放電サイクルに優れる電極を得ることが提案されている。
また、特許文献2では、ケイ素系化合物に酸化ニオブを付着させ、耐久性を向上できることが開示されている。
特許文献1、2ともに電極組成物中での結着力を向上させることを目的としているけれども、電極組成物中のケイ素系化合物の含有量をさらに多くする場合には、体積膨張変化などで電極層の付着性が劣化し電池性能が低下する懸念がある。
また、電極組成物中に均一に架橋点が分散していないと、所望の効果を発揮できない懸念もあり、製造方法の制御に改善の余地がある。
そのため本発明は、電極組成物中の組成によらず、電池性能と活物質層(電極層)の付着性に優れる非水電解質電池用電極を得ることを目的とする。
本発明者らは、鋭意努力の結果、集電体上に少なくとも機能層を2層以上設けることで課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は、以下〔1〕〜〔11〕である。
〔1〕集電体上に、少なくとも機能層を2層以上設けた非水電解質二次電池用電極であって、該機能層の内少なくとも1層が活物質層Aである、非水電解質二次電池用電極。
〔2〕前記機能層の内少なくとも1層が、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層Bである、上記〔1〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔3〕前記機能層が、前記活物質層Aと前記水溶性高分子含有層Bがこの順で集電体上に設けられる、上記〔2〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔4〕前記活物質層Aが、ケイ素系化合物を少なくとも含む、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極。
〔5〕前記水溶性高分子含有層Bが、層厚10〜100μmの範囲である、上記〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極。
〔6〕前記水溶性高分子含有層Bに含まれる水溶性高分子が、カルボキシメチルセルロース又はその塩である、上記〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極。
〔7〕前記カルボキシメチルセルロース又はその塩が、DS値0.3超1.5未満である、上記〔6〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔8〕前記カルボキシメチルセルロース又はその塩が、1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度(30rpm)が10〜50000mPa・sである、上記〔6〕又は〔7〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔9〕電極活物質を含む活物質層形成用組成物を用いて活物質層Aを形成する工程と、他の機能層形成用組成物を用いて他の機能層を形成する工程と、を含む、非水電解質二次電池用電極の製造方法。
〔10〕前記他の機能層形成用組成物が、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層B形成用組成物である、上記〔9〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔11〕上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極を備える、非水電解質二次電池。
〔1〕集電体上に、少なくとも機能層を2層以上設けた非水電解質二次電池用電極であって、該機能層の内少なくとも1層が活物質層Aである、非水電解質二次電池用電極。
〔2〕前記機能層の内少なくとも1層が、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層Bである、上記〔1〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔3〕前記機能層が、前記活物質層Aと前記水溶性高分子含有層Bがこの順で集電体上に設けられる、上記〔2〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔4〕前記活物質層Aが、ケイ素系化合物を少なくとも含む、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極。
〔5〕前記水溶性高分子含有層Bが、層厚10〜100μmの範囲である、上記〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極。
〔6〕前記水溶性高分子含有層Bに含まれる水溶性高分子が、カルボキシメチルセルロース又はその塩である、上記〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極。
〔7〕前記カルボキシメチルセルロース又はその塩が、DS値0.3超1.5未満である、上記〔6〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔8〕前記カルボキシメチルセルロース又はその塩が、1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度(30rpm)が10〜50000mPa・sである、上記〔6〕又は〔7〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔9〕電極活物質を含む活物質層形成用組成物を用いて活物質層Aを形成する工程と、他の機能層形成用組成物を用いて他の機能層を形成する工程と、を含む、非水電解質二次電池用電極の製造方法。
〔10〕前記他の機能層形成用組成物が、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層B形成用組成物である、上記〔9〕に記載の非水電解質二次電池用電極。
〔11〕上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極を備える、非水電解質二次電池。
本発明は、電極組成物中の組成によらず、電池性能と活物質層(電極層)の付着性に優れる非水電解質電池用電極を提供することができる。
[1.非水電解質二次電池用電極]
本発明の非水電解質二次電池用電極は、集電体上に、少なくとも機能層を2層以上設けた非水電解質二次電池用電極であって、該機能層の内少なくとも1層が活物質層Aである、非水電解質二次電池用電極である。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、集電体上に、少なくとも機能層を2層以上設けた非水電解質二次電池用電極であって、該機能層の内少なくとも1層が活物質層Aである、非水電解質二次電池用電極である。
さらに、本発明の非水電解質二次電池用電極は、前記機能層の内少なくとも1層が、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層Bである、非水電解質二次電池用電極であることが好ましい。
<活物質層A>
活物質層Aとしては、機能層が負極用の電極層を構成する場合には負極活物質を含む層であり、機能層が正極用の電極層を構成する場合には正極活物質を含む層である。
活物質層Aとしては、機能層が負極用の電極層を構成する場合には負極活物質を含む層であり、機能層が正極用の電極層を構成する場合には正極活物質を含む層である。
負極活物質としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛等)、コークス、炭素繊維などの黒鉛質材料;リチウムと合金を形成することが可能な元素、すなわち例えばケイ素系化合物、Al、Sn、Ag、Bi、Mg、Zn、In、Ge、Pb、Tiなどの元素;リチウムと合金を形成することが可能な元素を含む化合物;リチウムと合金を形成することが可能な元素及び前記化合物と、炭素及び/又は前記黒鉛質材料との複合化物、若しくはリチウムを含む窒化物などを例示することができる。このうち黒鉛質材料及びケイ素系化合物が好ましく、黒鉛及びケイ素系化合物としてケイ素粉末、ケイ素粒子、ケイ素酸化物粉末、又はケイ素酸化物粒子がより好ましい。
なお、本発明におけるケイ素酸化物とは、SiOx(0<x≦2)で表されるものである。また、本発明において、活物質層としては、ケイ素系化合物と黒鉛質材料との複合体がさらに好適である。
前記負極活物質が黒鉛質材料とケイ素系化合物との複合体である場合、黒鉛質材料とケイ素系化合物は、黒鉛質材料:ケイ素系化合物=1〜9:9〜1の配合比が好ましく、5〜8:5〜2の配合比がさらに好ましい。
正極活物質としては、LiFePO4、LiMexOy(Meは、Ni、Co、Mnの少なくとも1種を含む遷移金属を意味する。x、yは、任意の数を意味する。)系の正極活物質が好ましい。
活物質層A中の活物質の含有量は、通常は90〜99質量%であり、好ましくは91〜99質量%であり、より好ましくは92〜99質量%であり、さらに好ましくは95〜99質量%、96〜99質量%、98〜99質量%である。
活物質層には、電極性能を低下させない程度に、バインダーや分散剤、導電助剤などの添加剤を添加することができる。
そのような添加剤としては、カルボキシメチルセルロース又はその塩が挙げられる。
また、例えば、負極用の活物質層の場合の結合剤(バインダー)としては、合成ゴム系結合剤が例示される。合成ゴム系結合剤としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム、メチルメタクリレートブタジエンゴム、クロロプレンゴム、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴム及びこれら合成ゴムのラテックスよりなる群から選択された1種以上が使用できる。このうち、スチレンブタジエンゴム(SBR)が好ましい。
また、正極用の活物質層の場合の結合剤(バインダー)としては、前記負極用の結合剤(バインダー)として挙げた合成ゴム系結合剤のほか、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が例示され、このうちポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
さらに、導電助剤としては、アセチレンブラックが挙げられる。
そのような添加剤としては、カルボキシメチルセルロース又はその塩が挙げられる。
また、例えば、負極用の活物質層の場合の結合剤(バインダー)としては、合成ゴム系結合剤が例示される。合成ゴム系結合剤としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム、メチルメタクリレートブタジエンゴム、クロロプレンゴム、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴム及びこれら合成ゴムのラテックスよりなる群から選択された1種以上が使用できる。このうち、スチレンブタジエンゴム(SBR)が好ましい。
また、正極用の活物質層の場合の結合剤(バインダー)としては、前記負極用の結合剤(バインダー)として挙げた合成ゴム系結合剤のほか、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が例示され、このうちポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
さらに、導電助剤としては、アセチレンブラックが挙げられる。
そのような活物質層を形成する電極組成物(活物質層形成用組成物)中の結合剤(バインダー)の含有量は、通常は0.01質量%以上5質量%未満であり、好ましくは0.1質量%以上4質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。
前記電極組成物(活物質層形成用組成物)の製造条件は特に限定はない。例えば、カルボキシメチルセルロース又はその塩の水溶液に、電極組成物(活物質層形成用組成物)を構成する他の成分を添加し、必要に応じて撹拌しながら混合する。
前記電極組成物(活物質層形成用組成物)の性状も特に限定されない。例えば、液状、ペースト状、スラリー状などが挙げられ、いずれであってもよい。
<集電体>
集電体としては、構成された電極あるいは電池において致命的な化学変化を起こさない電気伝導体であれば何れも使用可能である。電極が負極の場合には負極用集電体を、正極の場合には正極用集電体を、それぞれ用いることができる。
集電体としては、構成された電極あるいは電池において致命的な化学変化を起こさない電気伝導体であれば何れも使用可能である。電極が負極の場合には負極用集電体を、正極の場合には正極用集電体を、それぞれ用いることができる。
負極用集電体の材料としては、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、炭素、銅又はステンレス鋼の表面に、カーボン、ニッケル、チタン又は銀を付着処理させたもの等が例示される。これらのうち、銅又は銅合金が好ましく、銅がより好ましい。
正極用集電体の材料としては、アルミニウム、ステンレスなどの金属が例示され、アルミニウムが好ましい。
集電体の形状としては、網、パンチドメタル、フォームメタル、板状に加工された箔などが例示され、板状に加工された箔が好ましい。
<水溶性高分子含有層B>
本発明の非水電解質二次電池用電極は、集電体上に設けられる機能層に、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層Bを含むことが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、集電体上に設けられる機能層に、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層Bを含むことが好ましい。
前記水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース又はその塩、でんぷん、マンナン、ペクチン、アルギン酸、キトサン、デキストリン類、ポリカルボン酸、カチオン化セルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアニリンなどが例示される。本発明において特に好ましくは、カルボキシメチルセルロース又はその塩である。
そのようなカルボキシメチルセルロース又はその塩(以下、CMCと略記することがある)は、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基がカルボキシメチルエーテル基に置換された構造を持つ。カルボキシメチルセルロースは、塩の形態であってもよい。カルボキシメチルセルロースの塩としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの金属塩などが例示される。
本発明においてセルロースとは、D−グルコピラノース(単に「グルコース残基」、「無水グルコース」とも言う。)がβ−1,4結合で連なった構造の多糖を意味する。セルロースは、一般に起源、製法等から、天然セルロース、再生セルロース、微細セルロース、非結晶領域を除いた微結晶セルロース等に分類される。
天然セルロースとしては、晒又は未晒パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等が例示される。晒又は未晒パルプの原料は特に限定されず、例えば、木材、木綿、わら、竹等が挙げられる。晒又は未晒パルプの製造方法も特に限定されず、機械的方法、化学的方法、あるいは、機械的方法及び化学的方法を組み合わせた方法が例示される。晒又は未晒パルプとしては、メカニカルパルプ、ケミカルパルプ、砕木パルプ、亜硫酸パルプ、クラフトパルプ、製紙用パルプが例示される。また晒又は未晒パルプとしては、化学的に精製され、主として薬品に溶解して使用する、人造繊維、セロハンなどの主原料となる溶解パルプも例示される。
再生セルロースとしては、セルロースを、銅アンモニア溶液、セルロースザンテート溶液、モルフォリン誘導体などの溶媒に溶解し、改めて紡糸して得られる再生セルロースが例示される。
微細セルロースとしては、天然セルロース、再生セルロースなどのセルロース系素材を、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって解重合処理して得られる微細セルロース、セルロース系素材を機械的に処理して得られる微細セルロースが例示される。
本発明で用いるCMCを製造するにあたっては、公知のCMCの製法を適用することができる。例えば、セルロースをマーセル化剤(アルカリ)で処理してマーセル化セルロース(アルカリセルロース)を調製した後に、マーセル化セルロースにエーテル化剤を添加してエーテル化反応させることでCMCを製造することができる。
原料のセルロースとしては、上述のセルロースであれば特に制限なく用いることができる。なかでも、セルロース純度が高いものが好ましく、溶解パルプ又はリンターがより好ましい。これらを用いることにより、純度の高いCMCを得ることができる。
マーセル化剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩が例示される。エーテル化剤としてはモノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ソーダ等が例示される。
水溶性の一般的なカルボキシメチルセルロースの製法において、マーセル化剤とエーテル化剤のモル比(マーセル化剤/エーテル化剤)は、エーテル化剤としてモノクロロ酢酸を使用する場合では1.80〜2.45が一般的である。その理由は、1.80以上であることによりエーテル化反応を十分に行うことができ、未反応のモノクロロ酢酸が残って無駄となることを防止できる。2.45以下であることにより、過剰のマーセル化剤とモノクロロ酢酸による副反応が進行してグリコール酸アルカリ金属塩が生成することを防止でき、経済的である。
本発明においてCMCは市販品であってもよい。市販品としては、例えば、日本製紙(株)製の商品名「サンローズ」が挙げられる。
本発明において、CMCのエーテル化度とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基(−OH)のうちカルボキシメチルエーテル基(−OCH2COOH)に置換されている基の割合を示す。
本発明において用いるCMCは、グルコース残基当たりカルボキシメチル基の置換度(以下、CM−DSと略記する)が、0.3超1.5未満の範囲にあることが好ましい。CM−DSが0.3超であることにより、水への溶解性を良好に保つことができ、未溶解物の発生を抑制することができる。また、CM−DSが1.5未満であることにより、液の曳糸性の増加を抑え、取扱いを容易に保つことができる。よって、本発明のCMCのCM−DSは0.3超1.5未満が好ましく、0.4〜1.2がより好ましく、0.45〜1.1がさらに好ましい。
なお、カルボキシメチル置換度の測定方法は以下の通りである:
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチルセルロースの塩(CMC)をH−CMC(酸型カルボキシメチルセルロース)に変換する。その絶乾H−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1N−NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N−H2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’−0.1N−H2SO4(mL)×F)×0.1]/(H−CMCの絶乾質量(g))
カルボキシメチル置換度=0.162×A/(1−0.058×A)
F:0.1N−H2SO4のファクター
F’:0.1N−NaOHのファクター
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチルセルロースの塩(CMC)をH−CMC(酸型カルボキシメチルセルロース)に変換する。その絶乾H−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1N−NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N−H2SO4で過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’−0.1N−H2SO4(mL)×F)×0.1]/(H−CMCの絶乾質量(g))
カルボキシメチル置換度=0.162×A/(1−0.058×A)
F:0.1N−H2SO4のファクター
F’:0.1N−NaOHのファクター
また、25℃におけるCMC1質量%水溶液のB型粘度は、10〜50,000mPa・sであることが好ましく、100〜20,000mPaがより好ましく、100〜10,000rpmがさらに好ましい。
なお、粘度の測定方法は以下の通りである:
カルボキシメチル化セルロース又はその塩を、1000ml容ガラスビーカーに測りとり、蒸留水900mlに分散し、固形分1%(w/v)となるように水分散体を調製する。水分散体を25℃で撹拌機を用いて600rpmで3時間撹拌する。その後、JIS−8803の方法に準じて、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、No.1ローター/回転数30rpmで3分後の粘度を測定する。
カルボキシメチル化セルロース又はその塩を、1000ml容ガラスビーカーに測りとり、蒸留水900mlに分散し、固形分1%(w/v)となるように水分散体を調製する。水分散体を25℃で撹拌機を用いて600rpmで3時間撹拌する。その後、JIS−8803の方法に準じて、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、No.1ローター/回転数30rpmで3分後の粘度を測定する。
水溶性高分子含有層Bに含まれるCMCは、1種類であってもよいし、エーテル化度、CM−DS、B型粘度、分子量などの異なる2種類以上のCMCの組み合わせであってもよい。
水溶性高分子含有層Bに含まれる水溶性高分子は、水溶性高分子含有層Bの固形分に対し、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましく、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上がさらにより好ましい。また、上限としては特に定めはないが、後述するその他配合剤との兼ね合いで適宜調整できる。
水溶性高分子含有層Bには所望の効果を阻害しない範囲で、その他配合剤を使用することができる。そのような配合剤としては、前述した負極活物質又は正極活物質、Na、Mg、Ca、Cu、Ti、Al、Fe、Si、Zrから選ばれる少なくも一つの元素を含む無機化合物やシランカップリング剤、エピクロロヒドリン、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸、及びエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキサゾリジン基などを有する有機物を少なくも一つ含む有機化合物などが例示される。また、活物質層の添加剤として先に例示した無機化合物もくしは有機化合物を両方添加しても良い。
水溶性高分子含有層Bの厚みは、1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、1〜30μmがさらに好ましく、1〜20μm、2〜20μm、3〜20μmがさらにより好ましい
水溶性高分子含有層Bの厚みが本範囲外であると、所望の効果が得られない可能性がある。
<非水電解質二次電池用電極>
<積層構造>
本発明の非水電解質二次電池用電極としては、集電体上に少なくとも2層以上の機能層を設けた非水電解質二次電池用電極であって、該機能層の内少なくとも1層が活物質層Aを含む積層構造である。
<積層構造>
本発明の非水電解質二次電池用電極としては、集電体上に少なくとも2層以上の機能層を設けた非水電解質二次電池用電極であって、該機能層の内少なくとも1層が活物質層Aを含む積層構造である。
そのような形態としては、例えば、集電体上に、活物質層Aと水溶性高分子含有層Bをこの順で積層する積層構造1が挙げられる。積層構造1では、活物質層A上に、水溶性高分子含有層Bが積層されるため、活物質層の充放電による劣化が、積層される水溶性高分子含有層Bの影響で現れにくくなり好適である。
なお、積層構造1では少なくとも前述する積層順であればよく、所望の効果を阻害しない範囲で、その他の層が、水溶性高分子含有層Bの上層や、活物質層Aの下層や、活物質層Aと水溶性高分子含有層Bとの中間層に積層されることを否定するものではない。
電極の製造条件は特に限定はないが、一例として積層構造1を有する本発明の非水電解質二次電池用電極については、次のような製造方法を挙げることができる。バインダー組成物が入った水溶液に、活物質などの電極層を構成する成分を添加し、攪拌しながら混合する。得られた混合物(液状、ペースト状、スラリー状のいずれの性状であってもよい)を集電体上にブレード塗工、バー塗工、ダイ塗工等の方法により積層し、乾燥、加熱等の処理を行い、電極板を得る。
その後、得られた電極板上に、水溶性高分子を分散させた水溶液を上記と同様に塗工し、乾燥、加熱、加圧等の処理を適宜行うことで、電極板を得ることができる。
また、その他の層構成として、集電体上に、水溶性高分子含有層Bと活物質層Aとをこの順で積層する積層構造2が挙げられる。積層構造2では、水溶性高分子含有層Bが集電体と活物質層Aとの中間に位置するため、充放電による膨張・収縮などの構造変化があった際に、その応力を分散させやすくなり、活物質層Aの劣化が抑制できると推測される。また活物質層Aの密着性にも良好な影響がある。
なお、積層構造2においても、少なくとも前述する積層順であればよく、所望の効果を阻害しない範囲で、その他の層が、水溶性高分子含有層Bの下層や、活物質層Aの上層や、水溶性高分子含有層Bと活物質層Aとの中間層に積層されることを否定するものではない。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、機能層全体として均一な機能層を形成しなければよく、例えば、活物質層Aと他の機能層(例、水溶性高分子含有層B)が、光学顕微鏡等により明確な境界をもって分離されていてもよく、活物質層Aと他の機能層がグラデーションのように濃度勾配をもって形成されていてもよい。但し、活物質層Aと他の機能層がグラデーションのように濃度勾配をもって形成される場合、活物質層Aの少なくとも一部が、活物質層Aのみで形成されて構成をとる。換言すれば、斯かる実施形態において、活物質層Aと、活物質層Aと他の機能層の混合層と、の少なくとも2層で、機能層が構成される。なお、活物質層Aと他の機能層がグラデーションのように濃度勾配をもって形成される場合、他の機能層のみで形成される層を設けていてもよい。
<電極形状>
本発明の非水電解質二次電池用電極の形状は特に限定されないが、通常はシート状である。電極がシート状の場合の電極層の厚さ(集電体部分を除く、電極組成物から形成される合剤層(機能層)の厚さ)は、電極組成物の組成、製造条件などによるので規定することは困難であるが、通常30〜200μmである。
本発明の非水電解質二次電池用電極の形状は特に限定されないが、通常はシート状である。電極がシート状の場合の電極層の厚さ(集電体部分を除く、電極組成物から形成される合剤層(機能層)の厚さ)は、電極組成物の組成、製造条件などによるので規定することは困難であるが、通常30〜200μmである。
[2.非水電解質二次電池用電極の製造方法]
本発明の非水電解質二次電池用電極の製造方法は、電極活物質を含む活物質層形成用組成物を用いて活物質層Aを形成する工程と、他の機能層形成用組成物を用いて他の機能層を形成する工程と、を含む。活物質層Aを形成する工程と、他の機能層を形成する工程の順序は問わない。
他の機能層が、水溶性高分子含有層Bである場合、他の機能層形成用組成物は、水溶性高分子を含む水溶性高分子層形成用組成物である。
本発明の非水電解質二次電池用電極の製造方法は、電極活物質を含む活物質層形成用組成物を用いて活物質層Aを形成する工程と、他の機能層形成用組成物を用いて他の機能層を形成する工程と、を含む。活物質層Aを形成する工程と、他の機能層を形成する工程の順序は問わない。
他の機能層が、水溶性高分子含有層Bである場合、他の機能層形成用組成物は、水溶性高分子を含む水溶性高分子層形成用組成物である。
本発明の非水電解質二次電池用電極の製造方法は、活物質層Aを形成する工程と、他の機能層を形成する工程と、を別途設けることが重要である。すなわち、一の機能層を形成する組成物を塗布、乾燥した後、他の機能層を形成する組成物を塗布、乾燥して、機能層全体として一の機能層と他の機能層が均一に混在しないように形成する方法であることが重要である。
組成物の塗布、乾燥工程は、電池用電極の定法に従って行うことができる。
組成物の塗布、乾燥工程は、電池用電極の定法に従って行うことができる。
[3.非水電解質二次電池]
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用電極を備えるものである。本発明の非水電解質二次電池用電極は、正極であってもよく、負極であってもよい。本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用電極の他、通常の電池に要求される構成(セパレータ、スペーサー、電解液)を備える。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用電極を備えるものである。本発明の非水電解質二次電池用電極は、正極であってもよく、負極であってもよい。本発明の非水電解質二次電池は、本発明の非水電解質二次電池用電極の他、通常の電池に要求される構成(セパレータ、スペーサー、電解液)を備える。
以下、本発明の実施の形態を実施例により説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、各種物性値は、特に断りがない限り、上段に記載の方法に従って測定された値である。
(製造例1)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーに、イソプロピルアルコール(IPA)600部と水酸化ナトリウム38部を水80部に溶解したものとを加え、リンターパルプを100℃60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつモノクロロ酢酸46部を添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間カルボキシメチル化反応を行った。反応終了後、酢酸でpH7程度になるよう中和し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.70のカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩(CMC1)を得た。
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーに、イソプロピルアルコール(IPA)600部と水酸化ナトリウム38部を水80部に溶解したものとを加え、リンターパルプを100℃60分間乾燥した際の乾燥質量で100部仕込んだ。30℃で90分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつモノクロロ酢酸46部を添加し、30分間撹拌した後、70℃に昇温して90分間カルボキシメチル化反応を行った。反応終了後、酢酸でpH7程度になるよう中和し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.70のカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩(CMC1)を得た。
得られたカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を水に分散し、1%(w/v)水分散体(CMC1の水分散体)とした。これについて、前述の方法で粘度を測定したところ、7900mPa・sであった。
(実施例1)
負極活物質として、98質量%黒鉛粉末1.4g及び98質量%SiOx粉末0.6g、バインダーとして、CMC1の水分散液(2質量%)1.0g及び48質量%スチレンブタジエンゴム(SBR)63mg、水1.5gをマゼルスター(倉敷紡績社製、マゼルスターKK−250S)で混合した。その後、得られた負極用電極組成物(スラリー溶液)を集電体(縦320mm×横170mm×厚さ17μmの銅箔(古河電気工業社製、NC−WS))上に155μmのアプリケーターで塗布し、室温にて30分間乾燥して、集電体上に活物質層Aを塗布した負極試験片を得た。
負極活物質として、98質量%黒鉛粉末1.4g及び98質量%SiOx粉末0.6g、バインダーとして、CMC1の水分散液(2質量%)1.0g及び48質量%スチレンブタジエンゴム(SBR)63mg、水1.5gをマゼルスター(倉敷紡績社製、マゼルスターKK−250S)で混合した。その後、得られた負極用電極組成物(スラリー溶液)を集電体(縦320mm×横170mm×厚さ17μmの銅箔(古河電気工業社製、NC−WS))上に155μmのアプリケーターで塗布し、室温にて30分間乾燥して、集電体上に活物質層Aを塗布した負極試験片を得た。
得られた負極試験片の活物質層A側に、CMC1の水分散液(2質量%)2g、水2.9gをマゼルスターにて混合した水溶性高分子含有層B用スラリーを、185μmのアプリケーターで塗布し、120℃で30分間乾燥した。乾燥後、小型卓上ロールプレス(テスター産業社製、SA−602)を用いて5.0kNでプレスして、集電体上に活物質層Aと水溶性高分子含有層Bをこの順で積層した負極板1を得た。
(実施例2)
水溶性高分子含有層B用スラリーに、20質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液10mg(日本軽金属社製、ベイコート20)を添加した以外は、実施例1と同様にして負極板2を作製した。
水溶性高分子含有層B用スラリーに、20質量%炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液10mg(日本軽金属社製、ベイコート20)を添加した以外は、実施例1と同様にして負極板2を作製した。
(比較例1)
活物質層AにCMC1の水分散液を3gとなるよう加える以外は、実施例1と同様にして負極試験片を作製し、水溶性高分子含有層Bを積層せずに、単層の負極板3とした。
活物質層AにCMC1の水分散液を3gとなるよう加える以外は、実施例1と同様にして負極試験片を作製し、水溶性高分子含有層Bを積層せずに、単層の負極板3とした。
(実施例3)
負極活物質として、98質量%黒鉛粉末1.0g及び98質量%SiOx粉末1.0g、導電助剤として、98質量%アセチレンブラック0.01g、バインダーとして、CMC(商品名「サンローズ」、日本製紙社製、MAC500LC、DS=0.67、1%粘度4700mPa・s)の水分散液(2質量%)1.0g及び48質量%スチレンブタジエンゴム(SBR)63mg、水1.5gをマゼルスター(倉敷紡績社製、マゼルスターKK−250S)で混合し、負極用電極組成物を得た。その後、得られた負極用電極組成物を集電体(縦320mm×横170mm×厚さ17μmの銅箔(古河電気工業社製、NC−WS))上に130μmのアプリケーターで塗布し、室温にて30分間乾燥して、集電体上に活物質層Aを形成した。
集電体上に活物質層Aを形成した後、活物質層A側に、CMC2(商品名「サンローズ」、日本製紙社製、F10MC、DS=0.69、1%粘度110mPa・s)の水分散液(2質量%)2g、アセチレンブラック0.01g、水2.9gをマゼルスターにて混合したカルボキシメチルセルロース溶液(水溶性高分子含有層B用溶液)を、180μmのアプリケーターで塗布し、120℃で30分間乾燥した。乾燥後、小型卓上ロールプレス(テスター産業社製、SA−602)を用いて5.0kNでプレスして、負極板4を得た。
負極活物質として、98質量%黒鉛粉末1.0g及び98質量%SiOx粉末1.0g、導電助剤として、98質量%アセチレンブラック0.01g、バインダーとして、CMC(商品名「サンローズ」、日本製紙社製、MAC500LC、DS=0.67、1%粘度4700mPa・s)の水分散液(2質量%)1.0g及び48質量%スチレンブタジエンゴム(SBR)63mg、水1.5gをマゼルスター(倉敷紡績社製、マゼルスターKK−250S)で混合し、負極用電極組成物を得た。その後、得られた負極用電極組成物を集電体(縦320mm×横170mm×厚さ17μmの銅箔(古河電気工業社製、NC−WS))上に130μmのアプリケーターで塗布し、室温にて30分間乾燥して、集電体上に活物質層Aを形成した。
集電体上に活物質層Aを形成した後、活物質層A側に、CMC2(商品名「サンローズ」、日本製紙社製、F10MC、DS=0.69、1%粘度110mPa・s)の水分散液(2質量%)2g、アセチレンブラック0.01g、水2.9gをマゼルスターにて混合したカルボキシメチルセルロース溶液(水溶性高分子含有層B用溶液)を、180μmのアプリケーターで塗布し、120℃で30分間乾燥した。乾燥後、小型卓上ロールプレス(テスター産業社製、SA−602)を用いて5.0kNでプレスして、負極板4を得た。
(比較例2)
負極活物質として、98質量%黒鉛粉末1.0g及び98質量%SiOx粉末1.0g、導電助剤として、98質量%アセチレンブラック0.01g、バインダーとして、CMC(商品名サンローズ、日本製紙社製、MAC500LC、DS=0.67、1%粘度4700mPa・s)の水分散液(2質量%)1.0g及び48質量%スチレンブタジエンゴム(SBR)63mg、水1.5gをマゼルスター(倉敷紡績社製、マゼルスターKK−250S)で混合し、負極用電極組成物を得た。その後、得られた負極用電極組成物を集電体(縦320mm×横170mm×厚さ17μmの銅箔(古河電気工業社製、NC−WS))上に130μmのアプリケーターで塗布し、室温にて30分間乾燥することにより、集電体上に活物質層Aを形成した。乾燥後、小型卓上ロールプレス(テスター産業社製、SA−602)を用いて5.0kNでプレスして、負極板5を得た。
負極活物質として、98質量%黒鉛粉末1.0g及び98質量%SiOx粉末1.0g、導電助剤として、98質量%アセチレンブラック0.01g、バインダーとして、CMC(商品名サンローズ、日本製紙社製、MAC500LC、DS=0.67、1%粘度4700mPa・s)の水分散液(2質量%)1.0g及び48質量%スチレンブタジエンゴム(SBR)63mg、水1.5gをマゼルスター(倉敷紡績社製、マゼルスターKK−250S)で混合し、負極用電極組成物を得た。その後、得られた負極用電極組成物を集電体(縦320mm×横170mm×厚さ17μmの銅箔(古河電気工業社製、NC−WS))上に130μmのアプリケーターで塗布し、室温にて30分間乾燥することにより、集電体上に活物質層Aを形成した。乾燥後、小型卓上ロールプレス(テスター産業社製、SA−602)を用いて5.0kNでプレスして、負極板5を得た。
<評価方法>
<膜厚>
実施例及び比較例で得られた負極板をφ161mmに裁断し、PEACOCK(尾崎製作所社製、ダイヤルシックネスゲージ)を用いて5回測定し、その平均値から集電体の厚みを除き、機能層の膜厚とした。
<膜厚>
実施例及び比較例で得られた負極板をφ161mmに裁断し、PEACOCK(尾崎製作所社製、ダイヤルシックネスゲージ)を用いて5回測定し、その平均値から集電体の厚みを除き、機能層の膜厚とした。
<剥離試験>
実施例及び比較例で得られた負極板を、幅35mm、長さ300mmに裁断し剥離試験片として得た。剥離試験片の活物質層側の面の最上層に、粘着テープ(日東電工社製、ポリエステル粘着テープ、幅30mm、長さ300mm、厚さ25μm)を剥離試験片の中央となるように280kgf/cmで接着させた。
実施例及び比較例で得られた負極板を、幅35mm、長さ300mmに裁断し剥離試験片として得た。剥離試験片の活物質層側の面の最上層に、粘着テープ(日東電工社製、ポリエステル粘着テープ、幅30mm、長さ300mm、厚さ25μm)を剥離試験片の中央となるように280kgf/cmで接着させた。
その後、剥離試験片の銅箔側を木板に一般用両面テープで貼り付け固定し、テンシロン万能材料試験機(A&D社製、TENSILON RTC−1210A)にセットした。まず最初に、剥離試験片から20mm間機械的にテープを剥離させ測定準備を行った後、負荷速度100mm/min、最大荷重10Nで180度の条件で剥離強度を測定した。得られた剥離強度から、下記の基準で機能層の剥離強度の評価を行った。
A:剥離強度(N/30mm)が8以上
B:剥離強度(N/30mm)が5以上8未満
C:剥離強度(N/30mm)が5未満
A:剥離強度(N/30mm)が8以上
B:剥離強度(N/30mm)が5以上8未満
C:剥離強度(N/30mm)が5未満
<インピーダンス測定>
<コイン型非水電解質二次電池の作製>
実施例及び比較例で得られた負極板と、LiCoO2正極板(宝泉社製、目付量110.2g/m2、放電実効容量145mAh/g)を直径16mmの円形になるように打ち抜き、打ち抜いた負極板と正極板を120℃で12時間真空乾燥を行った。
<コイン型非水電解質二次電池の作製>
実施例及び比較例で得られた負極板と、LiCoO2正極板(宝泉社製、目付量110.2g/m2、放電実効容量145mAh/g)を直径16mmの円形になるように打ち抜き、打ち抜いた負極板と正極板を120℃で12時間真空乾燥を行った。
同様に直径17mmの円形となるようにセパレータ(CS Tech社製、厚み20μmのポリプロピレンセパレータ)を打ち抜き、60℃で12時間真空乾燥を行った。
直径20.0mmのステンレス製円形皿型容器に負極板を置き、次いで、セパレータ、正極板、スペーサー(直径15.5mm、厚さ1mm)、ステンレス製のワッシャー(宝泉株式会社製)をこの順で積層した。その後、円形皿型容器に電解液(1mol/lのLiPF6、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比1:1)を300μl添加した。これにポリプロピレン製のパッキンを介してステンレス製のキャップを被せ、コイン電池用かしめ機(宝泉株式会社)で密封し、コイン型の非水電解質二次電池を得た。
<インピーダンス>
実施例及び比較例で得られたコイン型非水電解質二次電池を、株式会社ナガノのBTS2004を用いてCC−CV充電、CC電流0.2C、CV電圧4.2V、終止電流0.02Cの条件で充電した。次いで定電流0.2C、終止電圧3.0Vの条件で放電を行った。
実施例及び比較例で得られたコイン型非水電解質二次電池を、株式会社ナガノのBTS2004を用いてCC−CV充電、CC電流0.2C、CV電圧4.2V、終止電流0.02Cの条件で充電した。次いで定電流0.2C、終止電圧3.0Vの条件で放電を行った。
その後、Bio−Logic社のVSP電気化学測定システムを用い、25℃の恒温槽にてOCV(開回路電圧)を0Vとして、振幅10mVを重畳させた交流電圧を1MHzから0.1Hzまで印可し、応答電流から初期充放電後のインピーダンス(Ω)を求めた。
次いでCC−CV方式で、CC電流1.0C、CV電圧4.2V、終止電流0.1Cの条件で充電を行った後に、同様にして1C充電後のインピーダンス(Ω)を求めた。
更に終止電圧を3.0Vとして定電流1.0Cの条件で放電した後に、同様にして1C放電後のインピーダンス(Ω)を求めた。
なお、1Cは1時間で充電が終わる設定を意味する。
得られたインピーダンスから、下記の基準で評価を行った。
A:インピーダンス(Ω)が5未満
B:インピーダンス(Ω)が5以上10未満
C:インピーダンス(Ω)が10以上20未満
D:インピーダンス(Ω)が20以上
A:インピーダンス(Ω)が5未満
B:インピーダンス(Ω)が5以上10未満
C:インピーダンス(Ω)が10以上20未満
D:インピーダンス(Ω)が20以上
なお、本発明のインピーダンス(内部抵抗)は、リチウムイオン二次電池では、充放電反応におけるリチウムイオンの移動反応過程に影響する数値であり、インピーダンスが低いほど、電池性能は良好とする。
Claims (11)
- 集電体上に、少なくとも機能層を2層以上設けた非水電解質二次電池用電極であって、
該機能層の内少なくとも1層が活物質層Aである、非水電解質二次電池用電極。 - 前記機能層の内少なくとも1層が、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層Bである、請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記機能層が、前記活物質層Aと前記水溶性高分子含有層Bがこの順で集電体上に設けられる、請求項2に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記活物質層Aが、ケイ素系化合物を少なくとも含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記水溶性高分子含有層Bが、層厚10〜100μmの範囲である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記水溶性高分子含有層Bに含まれる水溶性高分子が、カルボキシメチルセルロース又はその塩である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記カルボキシメチルセルロース又はその塩が、DS値0.3超1.5未満である、請求項6に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 前記カルボキシメチルセルロース又はその塩が、1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度(30rpm)が10〜50000mPa・sである、請求項6又は7に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 電極活物質を含む活物質層形成用組成物を用いて活物質層Aを形成する工程と、
他の機能層形成用組成物を用いて他の機能層を形成する工程と、を含む、非水電解質二次電池用電極の製造方法。 - 前記他の機能層形成用組成物が、水溶性高分子を含む水溶性高分子含有層B形成用組成物である、請求項9に記載の非水電解質二次電池用電極。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極を備える、非水電解質二次電池。
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