JPWO2020101008A1 - チタン合金線材およびチタン合金線材の製造方法 - Google Patents

チタン合金線材およびチタン合金線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

α相とβ相とを含むチタン合金線材であって、長手方向に対して垂直な断面において、表面から重心へ向かって線径の3%の深さまでの外周領域における金属組織が、平均結晶粒径が10.0μm以下のα結晶粒を有する等軸組織であり、前記長手方向に対して垂直な断面において、重心から表面に向かって線径の20%の位置までの重心を含む内部領域における金属組織が針状組織である。

Description

本発明は、チタン合金線材およびチタン合金線材の製造方法に関する。
チタンは、軽量で高強度を有するから比強度に優れ、耐食性にも優れる材料であり、航空機、化学プラント、建築物の外装材、装飾品、民生品など、様々な用途に使用されている。特にTi−6Al−4V、Ti−6Al−6V−2Sn、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Moなどのα+β型チタン合金は、比強度、延性、靭性、耐熱性などの優れた機械的性質を有しており、チタン合金の中でも多用されてきた。
特許文献1には、安定したばらつきの少ない疲労強度と、高い熱間加工性を有するチタン合金を得ることを目的として、0.5%以上1.4%未満のFe、4.4%以上5.5%未満のAl、残部チタンおよび不純物からなるα+β型チタン合金が提案されている。
特開平7−70676号公報
航空機のファスナー(ボルト、ナット等)や自動車のバルブなどに用いられるTi−6Al−4VやTi−5Al−1Feなどの高強度チタン合金線材には、更なる優れた疲労強度とクリープ強度が必要とされ、より一層の向上が求められている。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、疲労強度およびクリープ強度に優れたチタン合金線材およびチタン合金線材を工業的に安定して製造可能なチタン合金線材の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、チタン合金線材の針状組織および等軸組織の特性およびその存在位置に着目した。針状組織は、クリープ特性に優れ、等軸組織は疲労特性に優れている。そして、この針状組織および等軸組織を所定の位置に配置することにより、疲労強度およびクリープ強度を同時に優れたレベルで両立するチタン合金線材を見出した。また、所定の針状組織および等軸組織を配置する方法として、チタン合金線材製造時に生じる加工発熱を利用できることを見出し、さらに検討した結果、本発明に至った。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]
α相とβ相とを含むチタン合金線材であって、
質量%で、
Al:0%以上7.0%以下、
V:0%以上6.0%以下、
Mo:0%以上7.0%以下、
Cr:0%以上7.0%以下、
Zr:0%以上5.0%以下、
Sn:0%以上3.0%以下、
Si:0%以上0.50%以下、
Cu:0%以上1.8%以下、
Nb:0%以上1.0%以下、
Mn:0%以上1.0%以下、
Ni:0%以上1.0%以下、
S:0%以上0.20%以下、
REM:0%以上0.20%以下、
Fe:0%以上2.10%以下、
N:0%以上0.050%以下、
O:0%以上0.250%以下、
C:0%以上0.100%以下、
残部:Tiおよび不純物であり、
Al、Mo、V、Nb、Fe、Cr、Ni及びMnの含有量が、下記式(1)を満たす化学組成を有し、
長手方向に対して垂直な断面において、表面から重心へ向かって線径の3%の深さまでの外周領域における金属組織が、平均結晶粒径が10μm以下のα結晶粒を有する等軸組織であり、
前記長手方向に対して垂直な断面において、重心から表面に向かって線径の20%の位置までの重心を含む内部領域における金属組織が針状組織である、チタン合金線材。
−4.00≦[Mo]+0.67[V]+0.28[Nb]+2.9[Fe]+1.6[Cr]+1.1[Ni]+1.6[Mn]−[Al]≦6.00 ・・・(1)
なお、式(1)において、[元素記号]の表記は、対応する元素記号の含有量(質量%)を表し、含有しない元素記号については、0を代入するものとする。
[2]
質量%で、
Al:4.5%以上6.5%以下、
Fe:0.50%以上2.10%以下、
を含む、[1]に記載のチタン合金線材。
[3]
質量%で、
Al:2.0%以上7.0%以下、
V :1.5%以上6.0%以下、
を含む、[1]に記載のチタン合金線材。
[4]
質量%で、
Al:5.0%以上7.0%以下、
Mo:1.0%以上7.0%以下、
Zr:3.0%以上5.0%以下、
Sn:1.0%以上3.0%以下、
を含む、[1]に記載のチタン合金線材。
[5]
前記長手方向に対して垂直な断面において、前記外周領域におけるα結晶粒の平均アスペクト比が1.0以上3.0未満であり、前記内部領域におけるα結晶粒の平均アスペクト比が5.0以上である、[1]〜[4]の何れか一項に記載のチタン合金線材。
[6]
前記長手方向に対して垂直な断面において、α結晶粒の平均アスペクト比が5.0以上である重心を含む領域の面積が、当該断面の面積に対し40%以上である、[5]に記載のチタン合金線材。
[7]
前記外周領域におけるα結晶粒の平均結晶粒径が5.0μm以下である、[1]〜[6]の何れか一項に記載のチタン合金線材。
[8]
線径が、2.0mm以上20.0mm以下である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載のチタン合金線材。
[9]
チタン合金素材を(β変態点−200)℃以上の温度に加熱する工程と、
前記チタン合金素材を、総減面率が90.0%以上であり、かつ、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、1パスあたりの平均減面率が10.0%以上、かつ、伸線速度が5.0m/s以上で加工する工程と、
を有する、チタン合金線材の製造方法。
[10]
さらに、(β変態点−300)℃以上(β変態点−50)℃以下の温度域にて熱処理する工程を有する、[9]に記載のチタン合金線材の製造方法。
本発明によれば、疲労強度およびクリープ強度に優れたチタン合金線材およびチタン合金線材を工業的に安定して製造可能なチタン合金線材の製造方法を提供することが可能となる。
等軸組織を模式的に示した説明図である。 針状組織を模式的に示した説明図である。 本発明の一実施形態に係るチタン合金線材を模式的に示す斜視断面図である。 長軸と短軸を定める状態を模式的に示す説明図である。 (a)〜(e)は、本実施形態のチタン合金線材が製造されていく過程を順を追って模式的に示す説明図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<1.
チタン合金線材>
まず、本実施形態に係るチタン合金線材について説明する。
(1.1 金属組織)
まず、本実施形態に係るチタン合金線材の金属組織について説明する。本実施形態に係るチタン合金線材は、後述する化学組成を有するα+β型チタン合金からなり、室温でα相を主体とし、α相中に少量のβ相が存在する二相組織となる。ここで、α相が「主体」とは、α相の面積率が70%以上であることを意味する。β相の面積率は2%〜30%程度である。なお、本発明の各実施形態で着目するチタン合金線材では、β相の面積率の測定が難しく、許容される測定誤差は±5%である。
本実施形態に係るチタン合金線材は、長手方向に対して垂直な断面において、表面から重心へ線径3%位置までの外周領域における金属組織が、平均結晶粒径が10μm以下の等軸のα結晶粒を有する等軸組織であり、前記長手方向に対して垂直な断面において、重心から表面に向かって線径の20%の位置までの重心を含む内部領域における金属組織が、針状のα結晶粒を有する針状組織である。
図1に示すように、α+β型チタン合金の等軸組織では、等軸なα結晶粒aの集合組織となっており、α結晶粒a同士の粒界、粒内には、微細なβ相bが存在している。
針状組織は、高温でβ相であったチタンが冷却されたことにより、粒界から針状に発達したα相の金属組織である。図2に示すように、α+β型チタン合金の針状組織では、旧β粒の粒界位置から針状に発達した針状α(図2中の符号cで示す)と針状β(図2中の符号eで示す) が層状に並んだ組織となっている。
このように、金属組織を観察することにより、等軸組織と針状組織は区別することが可能である。
本実施形態に係るチタン合金線材は、針状組織および等軸組織を所定の位置に配置することにより、疲労強度およびクリープ強度に同時に優れたものとなる。詳しく説明すると、チタン合金において、針状組織は、クリープ特性に優れ、等軸組織は疲労特性に優れている。そして、疲労破壊の起点は、チタン合金線材の表層(外周)付近において生じる。したがって、本発明者らは、チタン合金線材の表層付近に微細な等軸組織を配置して疲労強度を向上させるとともに、チタン合金線材の重心付近においては、クリープ強度に優れた針状組織を配置してクリープ強度を十分に優れたものとして担保することを想起した。
そして、本発明者らは、表層付近の微細な等軸組織の指標として、チタン合金線材の外周領域におけるα結晶粒の平均アスペクト比および平均結晶粒径について着目し、これらが所定の範囲内にあることにより、すなわち、外周領域に微細な等軸組織の領域(等軸組織領域)が形成されていることにより、チタン合金線材の疲労強度を向上させることを見出した。さらに、本発明者らは、重心を含む内部領域における針状組織の指標として、重心を含む領域におけるα結晶粒の平均アスペクト比について着目し、これが一定以上の値となることにより、すなわち、重心を含む領域に針状組織(針状組織領域)が形成されていることにより、チタン合金線材のクリープ強度を向上させることを見出した。これにより、チタン合金線材のクリープ強度と疲労強度とを同時に向上させることが可能となった。
また、本発明者らは、上述したような金属組織を有するチタン合金線材を、後に詳述する本実施形態に係るチタン合金線材の製造方法により製造可能なことを見出し、本発明に至った。以下、本実施形態に係るチタン合金線材が備える金属組織について具体的に説明する。
図3は、本実施形態に係るチタン合金線材1の一例を模式的に示す説明図である。なお、図中に示される各領域の寸法は、説明の容易化のため適宜拡大、縮小されており、実際の各領域の大きさを示すものではない。
また、本発明に係るチタン合金線材の断面形状は、いかなるものであってもよいが、以下、本実施形態に係るチタン合金線材1が長手方向Lに対して垂直な断面において円形断面を有するものとして説明する。また、図中の断面は、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面である。
本明細書において、図3に示すように、外周領域2を、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面において、外周表面3から重心Gへ向けて線径Rの3%に相当する深さdまでの領域と定義する。なお、場合によっては、チタン合金線材1の外周表面3に酸化物スケール等が付着している場合があるが、このような付着物の厚さは、外周領域2の深さdの測定起点としての外周表面には含めない。
また、本明細書において、図3に示すように、内部領域4を、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面において、重心Gから外周表面3に向かって線径Rの20%の位置までの重心Gを含む領域と定義する、なお、本明細書において、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面における重心Gは、その断面形状に基づき定義される、いわゆる「幾何中心」として定義される。本実施形態において、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面は円をなすことから、図3に示す重心Gは、円形断面の中心となる。
さらに、線径Rは、本実施形態においては、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面が円をなすことから、円断面の直径として定義されることができる。なお、チタン合金線材1の断面が円形ではない場合、例えば、楕円形状の場合には、線径Rは、楕円断面における長径と短径との平均値として定義することが可能である。
本実施形態に係るチタン合金線材1は、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面において、チタン合金線材1の外周表面3から重心Gへ向かって線径Rの3%に相当する深さdまでの外周領域2における金属組織が等軸のα結晶粒を有する等軸組織を呈している。外周領域2における金属組織が等軸組織である場合、チタン合金線材1の外周領域2での延性が向上することに加え、表面性状が良好となり、表面での疲労破壊の起点となる欠陥が少なくなる。これにより、チタン合金線材1の製造時における破断を防止することもできるとともに疲労特性を向上させることができる。これに対し、チタン合金線材1の外周領域2における金属組織が針状組織となる場合、延性が低下する結果、チタン合金線材1の疲労強度を優れたものとすることができない。
外周領域2におけるα結晶粒の平均アスペクト比は、1.0以上3.0未満であればよいが、より一層優れた疲労強度得るために、好ましい上限は、2.5であり、より好ましくは2.0である。なお、α結晶粒の平均アスペクト比は、外周領域2における金属組織が完全な等軸組織である場合、理論上「1」となる。したがって、外周領域2におけるα結晶粒の平均アスペクト比の下限は1.0である。
また、本実施形態において、外周領域におけるα結晶粒の平均結晶粒径は、10.0μm以下である。これにより、外周領域における金属組織が微細なものとなり、α結晶粒の等軸化とも相まって表面粗さが低減し、表面における疲労破壊の起点としての欠陥が減少する結果、チタン合金線材の疲労強度が向上する。これに対し、外周領域におけるα結晶粒の平均結晶粒径が10.0μmを超えると、表面粗さの増大を一因として、チタン合金線材の疲労強度を優れたものとすることができない。
外周領域におけるα結晶粒の平均結晶粒径は、10.0μm以下であればよいが、チタン合金線材の疲労強度をより一層向上させるために、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下である。
なお、外周領域におけるα結晶粒の平均結晶粒径の下限は例えば1.0μmとしても良い。それ未満は、作製困難であり、コストがかかる恐れがある。
次に、本実施形態において、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面において、チタン合金線材1の重心Gから表面に向かって線径の20%の位置までの重心を含む内部領域4における金属組織が、針状のα結晶粒を有する針状組織を呈している。内部領域4における金属組織が針状組織である場合、チタン合金線材のクリープ強度が向上する。これに対し、チタン合金線材1における内部領域4の金属組織が、十分に針状の組織として発達していない場合、チタン合金線材1のクリープ強度が十分なものとならない。
クリープは、変形により金属組織中に導入された転位が、原子の拡散によって回復することで、材料が軟化し、変形が進む現象である。そのため、回復の速度(原子の拡散速度)がクリープに影響する。針状組織で形成されたα/β界面は整合性が高く、原子の拡散速度が遅いため、針状組織はクリープ強度に優れると言われている。チタン合金線材1の重心Gを含む内部領域4における金属組織を針状組織とすることで、クリープ強度を向上させることができる。
チタン合金線材1の重心Gから表面に向かって線径の20%の位置までの重心Gを含む内部領域4におけるα結晶粒の平均アスペクト比は、5.0以上であればよいが、クリープ強度をより一層向上させるために、好ましくは6.0以上、より好ましくは7.0以上である。重心Gを含む内部領域4におけるα結晶粒の平均アスペクト比の上限は、特に限定されないが、実績により、20.0以下とすることができる。
また、本実施形態において、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面における、α結晶粒の平均アスペクト比が5.0以上である重心Gを含む領域(重心Gを含む針状のα結晶粒を有する針状組織領域)の面積率は、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面の面積に対し、例えば20%以上であることができる。クリープ強度のより一層の向上の観点から、この針状組織領域の面積率は、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面の面積に対し、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である。
外周領域において金属組織を等軸組織とする観点から、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面における、α結晶粒の平均アスペクト比が5.0以上である重心Gを含む領域(重心Gを含む針状のα結晶粒を有する針状組織領域)の面積率は、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面の面積に対し、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
なお、図1に示した等軸組織からなる外周領域2と重心Gを含む針状組織領域との間は、等軸組織から針状組織に連続して変化することが望ましいが、それらの組織が混在した組織であっても構わない。
チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面におけるα結晶粒の平均結晶粒径および平均アスペクト比は、以下のようにして求めることができる。まず、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面を鏡面研磨後、ふっ酸と硝酸の混合水溶液によりエッチングする。平均結晶粒径および平均アスペクト比は、当該面の光学顕微鏡写真を観察することにより測定できる。
平均結晶粒径は線分法により測定(JIS G 0551に準拠)できる。チタン合金線材1の外周表面3から重心Gへ向かって線径Rの3%に相当する深さdまでの外周領域2において、例えば500倍の倍率で撮影した光学顕微鏡写真に対し、縦横に5本ずつ線分を引き、線分ごとに当該線分を横切る粒界数を用いて平均結晶粒径を算出し、合計10本の平均結晶粒径の算術平均値より求める。
平均アスペクト比は、チタン合金線材1の外周表面3から重心Gへ向かって線径3%に相当する深さdまでの外周領域2、および、重心Gから表面3に向かって線径Rの20%の位置までの重心Gを含む内部領域4において、それぞれ例えば500倍の倍率で撮影した光学顕微鏡写真に対し、任意の結晶粒50個に対して、長軸と短軸を測定し、長軸を短軸で除した値の平均として算出することができる。ここで、図4に示すように、「長軸11」とは、α相の粒界10(輪郭)上の任意の2点を結ぶ線分のうちで、長さが最大になるものをいい、「短軸12」とは、長軸11に直交し、かつ粒界10(輪郭)上の任意の2点を結ぶ線分のうちで、長さが最大になるものをいう。
ここで、α結晶粒の平均アスペクト比は、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面において測定した場合と、チタン合金線材1の長手方向に対して平行な断面において測定した場合とでは、同様の値になると考えられる。しかしながら、チタン合金線材1の長手方向Lと平行な断面において測定した場合、圧延で伸びた伸長したα結晶粒を有する組織と針状のα結晶粒を有する針状組織との区別が困難になる可能性がある。そのため、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面において測定した値で求める。
なお、圧延で伸長したα結晶粒を有する組織では、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面で測定した場合と、チタン合金線材1の長手方向Lに対して平行な断面で測定した場合とで、α結晶粒のアスペクト比の値が異なるものと考えられる。具体的には、圧延で伸長したα結晶粒を有する組織について、チタン合金線材1の長手方向Lと平行な断面で測定した場合には、アスペクト比が大きい(例えば、5.0以上となる)α結晶粒が観察されるのに対し、チタン合金線材1の長手方向Lと垂直な断面で測定した場合には、アスペクト比が小さい(例えば、1.0〜3.0程度となる)α結晶粒が観察される。したがって、α結晶粒の平均アスペクト比をチタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面で測定することにより、圧延で伸長したα結晶粒であるか、針状のα結晶粒であるかを区別することができる。
また、α結晶粒の平均結晶粒径および平均アスペクト比を求める場合、細い針状のβ相を挟んで同様の方位を有するα結晶粒が並んでいると考えられる。EBSDでは、細いβ相の検出が困難であるため、EBSDによる解析では困難になる可能性がある。
重心Gは、厳密にはチタン合金線材1の長手方向Lに垂直な断面において「点」として存在する。このため、チタン合金線材1の重心Gを含む内部領域4におけるα結晶粒の平均アスペクト比を観察する際には、重心Gから外周表面3へ向けて線径Rの20%までの領域についてα結晶粒のアスペクト比を観察し、観察されたアスペクト比を平均することにより算出することができる。
以上、本実施形態に係るチタン合金線材の金属組織について説明した。
(1.2 化学組成)
次に、本実施形態に係るチタン合金線材の化学組成について説明する。本実施形態に係るチタン合金線材の化学組成は、使用時の温度環境や室温においてα相とβ相とを有する二相組織を形成可能であれば特に限定されず、例えば、JIS H 4600や、JIS H 4650に記載される各種組成を有するα+β型チタン合金を採用することができる。あるいは、以下に説明する元素を含有させることも可能である。なお、以下の説明を含め本明細書において、特段の明示がない限り、含有量を「%」で表す場合、当該「%」は質量%を示す。
Al:0%以上7.0%以下
アルミニウム(Al)は、α相に固溶してα相を強化する元素である。α+β型チタン合金線材は、Alを含まなくてもよいが、この効果を得るため、2.0%以上、好ましくは2.5%以上のAlを含んでいてもよい。一方で、Alの含有量が大きすぎると、化学組成によってはα相(TiAl)が析出して延性を低下させる場合があり、またα相の量が増加して熱間加工性が低下する場合があるため、Alの含有量を7.0%以下、好ましくは6.5%以下としてもよい。
V:0%以上6.0%以下
バナジウム(V)は、β相を安定化し、熱間成形性および熱処理性を改善する。α+β型チタン合金線材は、Vを含まなくてもよいが、この効果を得るため、1.5%以上、好ましくは2.0%以上のVを含んでいてもよい。一方で、Vの含有量が大きすぎると、化学組成によってはβ相の体積率が増加し、α+β型チタン合金線材の強度が低下する場合があるため、Vの含有量を6.0%以下、好ましくは5.5%以下としてもよい。
Mo:0%以上7.0%以下
モリブデン(Mo)も、β相を安定化し、熱間成形性および熱処理性を改善する。α+β型チタン合金線材は、Moを含まなくてもよいが、この効果を得るため、1.0%以上、好ましくは1.5%以上のMoを含んでいてもよい。一方で、Moの含有量が大きすぎると、化学組成によってはβ相の体積率が増加し、α+β型チタン合金線材の強度が低下する場合があるため、Moの含有量を7.0%以下、好ましくは6.0%以下としてもよい。
Cr:0%以上7.0%以下
クロム(Cr)も、β相を安定化し、熱間成形性および熱処理性を改善する。α+β型チタン合金線材は、Crを含まなくてもよいが、この効果を得るため、2.0%以上、好ましくは3.0%以上のCrを含んでいてもよい。一方で、Crの含有量が大きすぎると、化学組成によってはβ相の体積率が増加し、α+β型チタン合金線材の強度が低下する場合があるため、Crの含有量を7.0%以下、好ましくは6.0%以下としてもよい。
Zr:0%以上5.0%以下
ジルコニウム(Zr)は、α相およびβ相を同時に強化する元素である。α+β型チタン合金線材は、Zrを含まなくてもよいが、この効果を得るため、1.5%以上、好ましくは2.0%以上のZrを含んでいてもよい。一方で、Zrの含有量が大きすぎると、化学組成によってはα相(TiAl)の析出を促進させて延性を低下させる場合があるため、Zrの含有量を5.0%以下、好ましくは4.5%以下としてもよい。
Sn:0%以上3.0%以下
スズ(Sn)は、α相およびβ相を同時に強化する元素である。α+β型チタン合金線材は、Snを含まなくてもよいが、この効果を得るため、1.0%以上、好ましくは1.5%以上のSnを含んでいてもよい。一方で、Snの含有量が大きすぎると、化学組成によってはα相(TiAl)の析出を促進させて延性を低下させる場合があるため、Snの含有量を3.0%以下、好ましくは2.5%以下としてもよい。
Si:0%以上0.50%以下
シリコン(Si)は、耐熱性を改善する。α+β型チタン合金線材は、Siを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.04%以上、好ましくは0.07%以上のSiを含んでいてもよい。一方で、Siの含有量が大きすぎると、化学組成によっては、シリサイドの析出によるクリープ強度の低下が生じる場合があるため、Siの含有量を0.50%以下、好ましくは0.35%以下としてもよい。
Cu:0%以上1.8%以下
銅(Cu)は、β相を安定化させるとともに、α相にも固溶し、α相を強化する。α+β型チタン合金線材は、Cuを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.4%以上、好ましくは0.8%以上のCuを含んでいてもよい。一方で、Cuの含有量が大きすぎると、化学組成によっては、TiCuの析出により疲労強度が低下する場合があるため、Cuの含有量を1.8%以下、好ましくは1.5%以下としてもよい。
Nb:0%以上1.0%以下
ニオブ(Nb)は、耐酸化性を向上させる。α+β型チタン合金線材は、Nbを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.1%以上、好ましくは0.2%以上のNbを含んでいてもよい。一方で、Nbの含有量が大きすぎると、化学組成によってはβ相の体積率が増加し、α+β型チタン合金線材の強度が低下する場合があるため、Nbの含有量を1.0%以下、好ましくは0.8%以下としてもよい。
Mn:0%以上1.0%以下
マンガン(Mn)も、β相を安定化し、熱間成形性および熱処理性を改善する。α+β型チタン合金線材は、Mnを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.1%以上、好ましくは0.2%以上のMnを含んでいてもよい。一方で、Mnの含有量が大きすぎると、化学組成によってはβ相の体積率が増加し、α+β型チタン合金線材の強度が低下する場合があるため、Mnの含有量を1.0%以下、好ましくは0.8%以下としてもよい。
Ni:0%以上1.0%以下
ニッケル(Ni)も、β相を安定化し、熱間成形性および熱処理性を改善する。α+β型チタン合金線材は、Niを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.1%以上、好ましくは0.2%以上のNiを含んでいてもよい。一方で、Niの含有量が大きすぎると、化学組成によってはβ相の体積率が増加し、α+β型チタン合金線材の強度が低下する場合があるため、Niの含有量を1.0%以下、好ましくは0.8%以下としてもよい。
S:0%以上0.20%以下
硫黄(S)は、切削性を改善する。α+β型チタン合金線材は、Sを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.01%以上、好ましくは0.03%以上のSを含んでいてもよい。一方で、Sの含有量が大きすぎると、化学組成によっては、介在物の生成によって熱間成形性が低下する場合があるため、Sの含有量を0.20%以下、好ましくは0.10%以下としてもよい。
REM:0%以上0.20%以下
希土類元素(REM)は、Sとともに含有されることにより、切削性を改善する。α+β型チタン合金線材は、REMを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.01%以上、好ましくは0.03%以上のREMを含んでいてもよい。一方で、REMの含有量が大きすぎると、化学組成によっては、介在物の生成によって熱間成形性が低下する場合があるため、REMの含有量を0.20%以下、好ましくは0.10%以下としてもよい。
ここで、REMとしては、具体的にはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)が挙げられ、これらのうち1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。2種類以上の希土類元素を含有させる場合、例えば、分離精製前の混合希土類元素(ミッシュメタル)や、ジジム合金(NdおよびPrからなる合金)のような希土類元素の混合物や化合物を用いてもよい。また、2種類以上の希土類元素を含有させる場合において、上記REM量は、すべての希土類元素の総量を意味する。
Fe:0%以上2.10%以下
鉄(Fe)は、β相を強化する元素である。α+β型チタン合金線材は、Feを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.50%以上、好ましくは0.70%以上のFeを含んでいてもよい。一方で、Feの含有量が大きすぎると、化学組成によっては、Feの偏析により製造性が低下したり、金属間化合物(TiFe)が析出して靱延性が低下したりする場合があるため、Feの含有量を2.10%以下、好ましくは1.50%以下としてもよい。
N:0%以上0.050%以下
窒素(N)は、α相に固溶してα相を強化する元素である。α+β型チタン合金線材は、Nを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.002%以上、好ましくは0.005%以上のNを含んでいてもよい。一方で、Nの含有量が大きすぎると、化学組成によっては低密度介在物(TiN)が生成して疲労破壊の起点となる場合があるため、Nの含有量を0.050%以下、好ましくは0.030%以下としてもよい。
O:0%以上0.250%以下
酸素(O)は、α相に固溶してα相を強化する元素である。α+β型チタン合金線材は、Oを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.050%以上、好ましくは0.100%以上のOを含んでいてもよい。一方で、Oの含有量が大きすぎると、化学組成によってはα相が過度に増加して延性が低下する場合があるため、Oの含有量を0.250%以下、好ましくは0.200%以下としてもよい。
C:0%以上0.100%以下
炭素(C)は、α相に固溶してα相を強化するとともに、Sとともに含有されることにより切削性を改善する。α+β型チタン合金線材は、Cを含まなくてもよいが、この効果を得るため、0.005%以上、好ましくは0.010%以上のCを含んでいてもよい。一方で、Cの含有量が大きすぎると、化学組成によっては炭化物が過度に増加して熱間成形性が低下する場合があるため、Cの含有量を0.100%以下、好ましくは0.080%以下としてもよい。
本実施形態に係るチタン合金線材の化学成分の残部は、チタン(Ti)及び不純物であってもよい。不純物とは、チタン合金線材を工業的に製造する際に、原料その他の要因により混入する成分であって、本実施形態に係るチタン合金線材に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
かかる不純物としては、例えば、水素(H)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、ホウ素(B)、塩素(Cl)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等が挙げられる。これらH、Ta、Co、Pd、W、B、Cl、Na、Mg、Caが不純物として含まれる場合、その含有量は、例えば、それぞれ0.05%以下であり、合計0.10%以下である。
Mo当量
本実施形態に係るチタン合金線材の化学成分においては、更に、Al、Mo、V、Nb、Fe、Cr、Ni及びMnの含有量が、下記式(1)を満たす。
−4.00≦[Mo]+0.67[V]+0.28[Nb]+2.9[Fe]+1.6[Cr]+1.1[Ni]+1.6[Mn]−[Al]≦6.00 ・・・(1)
なお、式(1)において、[元素記号]の表記は、対応する元素記号の含有量(質量%)を表し、含有しない元素記号については、0を代入するものとする。
A=[Mo]+0.67[V]+0.28[Nb]+2.9[Fe]+1.6[Cr]+1.1[Ni]+1.6[Mn]−[Al]
ここで、上記式(1)の右辺で表されるMo当量Aは、式中に記載されたβ相を安定化する各元素(β安定化元素)Mo、V、Nb、Fe、Cr、Ni、Mnによるβ相の安定化度合いを数値化するために、用いられるものである。この際に、Moによるβ相の安定化度合いを基準として、Mo以外のβ安定化元素によるβ相の安定化度合いを、正の係数によって相対化している。一方、Alはα相に固溶してα相を強化する元素(α安定化元素)であるため、上記のMo当量Aにおいて、Alに関する係数は、負の値となっている。
[Mo当量Aの範囲:−4.00≦A≦6.00]
本実施形態に係るチタン合金線材は、上記式(1)で表されるMo当量Aの値が−4.00以上6.00以下の範囲内となるように、Mo、V、Nb、Fe、Cr、Ni、及び、Mnからなる群より選択される少なくとも何れか1つ以上の元素を含有する。上記Mo当量Aの値が−4.00未満である場合には、β相が少なくなりすぎて針状組織を形成しにくくクリープ特性が向上しない。Mo当量Aの下限は、好ましくは−3.50であり、より好ましくは−3.00である。一方、Mo当量Aの値が6.00を超える場合には、冷却時にβ相から針状のα相が形成せず、内部がβ単相組織となり、クリープ特性が向上しない。Mo当量Aの上限は、好ましくは5.00、より好ましくは4.00である。
このような化学組成のチタン合金線材は、α相とβ相とを有するα+β型のチタン合金線材となる。
より具体的には、チタン合金線材は、
Al:4.5%以上6.5%以下、好ましくは4.8%以上、または6.2%以下、
Fe:0.50%以上2.10%以下、好ましくは0.70%以上、または1.50%以下、
を含んでもよい。
なお、
N :0%以上0.050%以下、好ましくは0.002%以上、または0.030%以下、
O :0%以上0.250%以下、好ましくは0.100%以上、または0.200%以下、
C :0%以上0.100%以下、好ましくは0.001%以上、または0.080%以下、
であってもよい。
このような化学組成のチタン合金線材は、α相とβ相とを有するα+β型のチタン合金線材となり、安定したばらつきの少ない疲労強度と、高い熱間加工性を有する。また、このような化学組成のチタン合金線材としては、例えばSuper−TiX 51AF(Ti−5Al−1Fe、日本製鉄株式会社製)等が挙げられる。
あるいは、チタン合金線材は、
Al:2.0%以上7.0%以下、好ましくは2.5%以上、または6.5%以下、
V :1.5%以上6.0%以下、好ましくは2.0%以上、または5.5%以下、
を含んでもよい。
なお、
Fe:0%以上0.50%以下、好ましくは0.03%以上、または0.30%以下、
N :0%以上0.050%以下、好ましくは0.002%以上、または0.030%以下、
O :0%以上0.250%以下、好ましくは0.100%以上、または0.200%以下、
であってもよい。
このような化学組成のチタン合金線材も、α相とβ相とを含むα+β型のチタン合金線材となり、安定したばらつきの少ない疲労強度と、高い熱間加工性を有する。また、このような化学組成のチタン合金線材としては、例えばTi−3Al−2.5V、Ti−6Al−4V、SSAT−35(Ti−3Al−5V、日本製鉄株式会社製)等が挙げられる。
さらにまた、チタン合金線材は、
Al:5.0%以上7.0%以下、好ましくは5.5%以上、または6.5%以下、
Mo:1.0%以上7.0%以下、好ましくは1.8%以上、または6.5%以下、
Zr:3.0%以上5.0%以下、好ましくは3.6%以上、または4.4%以下、
Sn:1.0%以上3.0%以下、好ましくは1.75%以上、または2.25%以下を含んでもよい。
なお、
Si:0%以上0.50%以下、好ましくは0.06%以上、または0.10%以下、
Fe:0%以上0.50%以下、好ましくは0.03%以上、または0.10%以下、
N :0%以上0.050%以下、好ましくは0.002%以上、または0.030%以下、
O :0%以上0.250%以下、好ましくは0.100%以上、または0.200%以下、
であってもよい。
このような化学組成のチタン合金線材は、α相とβ相とを含むα+β型のチタン合金線材となり、特にクリープ特性に優れている。また、このような化学組成のチタン合金線材としては、例えばTi−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.08Si、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo等が挙げられる。
以上、本実施形態に係るチタン合金線材の化学組成について説明した。
(1.3 線径、形状)
本実施形態に係るチタン合金線材1の線径Rは、特に限定されないが、例えば2mm以上20mm以下とすることができる。チタン合金線材1の線径Rを2mm以上とすることにより、重心Gを含む内部領域4に針状のα粒結晶を有する針状組織を形成しつつ、外周領域2に微細な等軸のα結晶粒を有する微細等軸組織をより確実に形成することができ、より確実に疲労強度とクリープ強度を同時に優れたものとすることができる。また、チタン合金線材1の線径Rを20mm以下とすることにより、高速での伸線加工が可能となり、安定して棒線の中央部が加工発熱しやすくなり、重心付近の内部領域4に針状組織が得られやすくなる。本実施形態に係るチタン合金線材1の線径Rの下限は、好ましくは3mmであり、線径Rの上限は、好ましくは15mmである。
また、本実施形態に係るチタン合金線材の形状(断面形状)は、図示の態様に限定されず、円形の他、例えば楕円形や方形等の多角形状であることもできる。
以上説明した本実施形態においては、チタン合金線材1の長手方向Lに対して垂直な断面において、外周領域2における金属組織が、平均結晶粒径が10μm以下の等軸のα結晶粒を有する微細等軸組織であり、重心Gを含む内部領域4における金属組織が、針状のα結晶粒を有する針状組織であることにより、チタン合金線材の疲労強度およびクリープ強度が同時に優れたものとなる。
以上説明した本実施形態に係るチタン合金線材は、α+β型チタン合金に由来する優れた特性、耐食性、比強度等に加え、優れたクリープ強度および疲労強度を有している。したがって、本実施形態に係るチタン合金線材は、いかなる用途に用いてもよいが、例えばボルト、ナット等のファスナー(固定具)、バルブ等に好適に用いることができる。本実施形態に係るチタン合金線材は、特に、輸送機器、例えば航空機、自動車等のファスナーやバルブ材料として好適に用いることができる。
以上説明した本実施形態に係るチタン合金線材は、いかなる方法によって製造されてもよいが、例えば以下に説明する本実施形態に係るチタン合金線材の製造方法により製造することもできる。
<2.チタン合金線材の製造方法>
次に、本実施形態に係るチタン合金線材の製造方法について説明する。
本実施形態に係るチタン合金線材の製造方法は、チタン合金素材を(β変態点−200)℃以上の温度に加熱する工程(加熱工程)と、α+β型チタン合金素材を、総減面率が90%以上であり、かつ、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、1パスあたりの平均減面率が10%以上、かつ、伸線速度が5m/s以上で加工する工程(加工工程)と、を有する。以下、各工程について説明する。
(2.1 チタン合金素材の準備)
まず、上述した各工程に先立ち、チタン合金素材を準備する。
チタン合金素材としては、上述した化学組成のものを用いることができ、公知の方法により製造されたものを用いることができる。例えば、チタン合金素材は、スポンジチタンから真空アーク溶解法によりインゴットを作製し、これをβ単相域の温度で熱間鍛造することにより得ることができる。なお、チタン合金素材には、必要に応じて洗浄処理、酸洗等の前処理が施されていてもよい。
また、チタン合金素材の線径は、加工工程において予定する減面率および予定するチタン合金線材の線径に応じて適宜選択することができる。
(2.2 加熱工程)
本工程においては、チタン合金素材を(β変態点−200)℃以上の温度に加熱する。これにより、変形抵抗の減少および後述する加工工程においてチタン合金素材の重心付近の温度をβ変態点以上に維持しやすくなり、チタン合金素材の重心付近における針状組織の発達を促進することができる。この結果、後述する加工工程において、重心付近(内部領域)におけるα結晶粒の平均アスペクト比を5.0以上とすることができる。これに対し、本工程における加熱温度が(β変態点−200)℃未満である場合、変形抵抗が大きくなりすぎたり、後述する加工工程においてチタン合金素材の重心付近の温度をβ変態点以上に維持できない場合がありチタン合金素材の重心付近において針状組織を十分に発達できない結果、重心付近(内部領域)におけるα結晶粒の平均アスペクト比を十分に大きくすることができない。
本工程における加熱温度は、(β変態点−200)℃以上であればよいが、変形抵抗の観点から、好ましくは(β変態点−150)℃以上、より好ましくは(β変態点−125)℃以上である。本工程における加熱温度の上限は、特に限定されないが、スケール形成による歩留り低下の観点から、加熱温度は、好ましくは(β変態点+100)℃以下、より好ましくは(β変態点+50)℃以下である。
なお、本明細書において、「β変態点」は、チタン合金の加熱時におけるβ変態の終了温度を意味する。本実施形態に係るチタン合金線材や、その原料となるチタン合金素材は、室温や使用環境においてα相とβ相とが存在するα+β二相域にあり、β変態の開始温度はこれらの室温や使用環境の温度以下にある。
β変態温度Tは、状態図から取得することができる。状態図は、例えばCALPHAD(Computer Coupling of Phase Diagrams and Thermochemistry)法により取得することができ、例えば、そのためにThermo−Calc Software AB社の統合型熱力学計算システムであるThermo−Calc及び所定のデータベース(TI3)を用いることができる。
(2.3 加工工程)
本工程は、複数の圧延パスを順次通過させることによりチタン合金素材の伸線を行う、いわゆる伸線加工工程である。
この加工工程は、リバース圧延ではなくタンデム圧延で行われる。タンデム圧延は、直列に配置された複数台の圧延パスに圧延材を連続的に通過させ、各圧延パスで一方向に順次圧延していく方式である。タンデム圧延を用いてチタン合金線材を製造することにより、チタン合金素材を、総減面率が90%以上であり、かつ、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、1パスあたりの平均減面率が10%以上、かつ、伸線速度が5m/s以上で加工することが可能となる。
ここで、加工工程によって、本実施形態のチタン合金線材が製造されていく過程を、図面(長手方向に対して垂直な断面を示す図)を参照にして説明する。図5(a)〜(e)は、本実施形態のチタン合金線材が製造されていく過程を、順を追って模式的に示している。
まず、前述の加熱工程において、(β変態点−200)℃以上の温度に加熱されたことにより、金属組織は、β相を主相としたα+β組織もしくはβ単相となる。ここでは図5(a)に示されるように、β結晶粒20のみからなるβ単相組織の場合について説明する。そして、加工初期では、図5(b)に示されるように、温度低下に伴う、β相からα相への変態時に、針状のα結晶粒21が生成し、α相とβ相からなる針状組織が形成される。なお、針状組織とは、針状に発達した針状αと針状βが層状に並んだ組織である。
次に、加工工程の中期においては、針状のα結晶粒21が、加工を加えられることで分断され、さらに粒成長により、図5(c)に示されるように、等軸のα結晶粒22が形成される。加工工程の中期においては、まだ伸線速度(ひずみ速度)が小さく、加工発熱が小さいため、重心付近の温度がβ変態点を超える(β単相域まで高温になる)ことはない。したがって、等軸のα結晶粒22と等軸のβ結晶粒とが混在するα+β型等軸組織が形成される。
次に、加工工程の後期においては、伸線速度が大きくなり、加工発熱により、重心付近では、β変態点以上の温度に上昇する。これにより、図5(d)に示されるように、重心を含む内部領域においては、α相からβ相に変態し、β結晶粒23のみからなるβ単相組織が形成される。
なお、一般にチタン合金は、変形抵抗が大きく、圧延工程や伸線工程において加工発熱が比較的大きい。特に、加工工程の後期においては、平均減面率および伸線速度が比較的大きくなることにより、圧延パス通過時における加工発熱が大きくなる。そして、チタン合金素材の内部領域、例えば、重心付近においては加工発熱に対して抜熱が小さいため、同領域における温度が上昇しβ変態点以上となる。
一方で、外周領域では、加工工程の後期においても、外周表面から十分な抜熱が可能であり、比較的低温において加工されることにより金属組織の微細化および等軸化が進行する。これにより、外周領域におけるα結晶粒24は、平均結晶粒径が10μm以下の微細な等軸粒となる。また、上記のように外周領域の金属組織が十分に微細化および等軸化されることにより、外周表面における欠陥の発生が抑制され、製造時における破断等の不具合の発生が抑制される。
そして、加工工程が終了すると、チタン合金素材の重心付近まで冷却されるため、図5(e)に示されるように、温度低下に伴い、β相からα相への変態時に針状のα結晶粒25が生成し、重心を含む内部領域には針状組織が形成される。こうして、長手方向に対して垂直な断面において、外周領域における金属組織が微細な等軸組織24であり、内部領域における金属組織が針状組織25である、本実施形態のチタン合金線材が製造される。
なお、加工工程では、チタン合金素材を、総減面率が90%以上であり、かつ、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、1パスあたりの平均減面率が10%以上、かつ、伸線速度が5m/s以上で加工する工程を含むことにより、本実施形態のチタン合金線材が製造される。すなわち、長手方向Lに対して垂直な断面において、表面3から重心Gへ向けて線径3%に相当する深さdまでの外周領域2における金属組織が、平均結晶粒径が10μm以下の等軸のα結晶粒を有する等軸組織となり、重心Gから表面3に向かって線径の20%の位置までの重心Gを含む内部領域4における金属組織が、針状のα結晶粒を有する針状組織となる。また、長手方向Lに対して垂直な断面において、外周領域2におけるα結晶粒の平均アスペクト比が1.0以上3.0未満であり、内部領域4におけるα結晶粒の平均アスペクト比が5.0以上となる。
なお、以上説明した少なくとも最終から1以上のパスにおける伸線速度は、従来のチタン合金線材の製造において採用されている伸線速度(0.2〜2.0m/s程度)より遥かに大きい。本発明者らは、敢えてこのような伸線速度を上記の平均減面率とともに採用することにより、大きな加工発熱を生じさせ、上述した本実施形態に係るチタン合金線材の金属組織を得ることが可能であることを見出した。
上述したように、本実施形態において、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、1パスあたりの平均減面率は、10%以上である。これにより、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、十分な加工発熱を生じさせることができる。これに対し、上記平均減面率が10%未満であると、十分な加工発熱を生じさせることができず、重心Gを含む内部領域4の温度を十分に高くすることができず、β相が十分に発達しない。
少なくとも最終から1以上のパスにおいて、1パスあたりの平均減面率は、10%以上であればよいが、より大きな加工発熱を生じさせ、β単相組織とし、その後の冷却時に針状組織を形成させるために、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。また、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、1パスあたりの平均減面率の上限は特に限定されないが、設備への負荷の観点から、当該平均減面率は、好ましくは45%以下、より好ましくは35%以下である。
少なくとも最終から1以上のパスにおいて、伸線速度は、5m/s以上である。これにより、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、抜熱量を小さくすることができ、加工発熱よって生じた熱が重心Gを含む内部領域4に蓄積される結果、内部領域4の温度を十分に高くすることができる。これに対し、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、伸線速度が5m/s未満の場合、抜熱量が大きくなる結果、加工発熱よって生じた熱を、重心Gを含む内部領域4に蓄積することができず、内部領域4の温度を十分に高くすることができない。このため、β単相組織とならず、その後の冷却時に針状組織を形成させることが困難になる。
少なくとも最終から1以上のパスにおいて、伸線速度は、5m/s以上であればよいが、β相を十分に発達させ、その後の冷却時に針状組織を形成させるために、好ましくは10m/s以上、より好ましくは20m/s以上である。また、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、伸線速度の上限は特に限定されないが、操業の安定性や設備への負荷の観点から、当該伸線速度は、好ましくは75m/s以下、より好ましくは50m/s以下である。
また、本工程において加工されるチタン合金素材の総減面率は90%以上である。これにより、上述したように、外周領域2における金属組織が等軸化および微細化される。これに対し、チタン合金素材の総減面率は90%未満であると、外周領域2における金属組織の等軸化および微細化が不十分となる。あるいは、仮に外周領域2における金属組織の等軸化した場合であってもα結晶粒が十分に微細化せず、大きな粒径を有するものとなる。
上記総減面率は、90%以上であればよいが、外周領域2における金属組織をより確実に等軸化および微細化するために、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。
なお、1パス当たりの減面率については、当該1パス前における断面積に対する当該1パス後における面積の減少率をいい、総減面率については、本工程の加工前のチタン合金素材の断面積に対する加工後の断面積の減少率をいう。
また、本工程において用いられるロールのカリバー形状としては、上述した伸線速度、減面率を達成可能であれば特に限定されず、公知のカリバー形状を用いることができ、例えば真円、楕円、四角形状等を用いることができる。
また、本工程においてロールを通過させる回数(パス数)は、特に限定されず、本工程を実施できるよう5回以上であればよい。なお、90%以上の減面率を行うために、10パス以上行うことが好ましい。
以上の各工程により、上述したような本実施形態に係るチタン合金線材を工業的に安定して製造することができる。なお、得られたチタン合金線材について、必要に応じて、以下のような熱処理・後処理が行われてもよい。
(2.4 熱処理工程)
上記の各工程により得られたチタン合金素材(チタン合金線材)について、さらに(β変態点−300)℃以上(β変態点−50)℃以下の温度域にて熱処理(焼鈍処理)を施してもよい。これにより、上述した加工工程において生じたひずみを除去し、得られるチタン合金線材の疲労強度をより一層向上させることができる。
本処理において熱処理の温度は(β変態点−300)℃以上である。これにより、加工工程において生じたひずみを十分に除去することができる。熱処理の温度は、好ましくは(β変態点−250)℃以上、より好ましくは(β変態点−200)℃以上である。
また、本処理において熱処理の温度は(β変態点−50)℃以下である。これにより、外周領域2に等軸組織と針状組織の混在(バイモーダル)組織が生じて疲労特性が低下することを防止することができる。熱処理の温度は、好ましくは(β変態点−100)℃以下である。
また、熱処理の時間は、特に限定されず適宜選択可能であるが、例えば1分以上120分以下、好ましくは2分以上、または60分以下であることができる。
また、熱処理時における雰囲気は、特に限定されず、大気、真空、不活性ガス(アルゴンなど)であることができる。特に酸化等の化学反応を促進する雰囲気でなければ、その後に脱スケールにて対応することが可能である。
(2.5 後処理)
後処理としては、酸洗や切削による酸化物スケール等の除去や、洗浄処理等が挙げられ、必要に応じて適宜適用することができる。
以上、本実施形態に係るチタン合金線材の製造方法について説明した。
以下に、実施例を示しながら、本発明の実施形態について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明のあくまでも一例であって、本発明が、下記の例に限定されるものではない。
1.
チタン合金線材の製造
まず、真空アーク溶解法により表1の化学組成を有するインゴットを作製し、これをβ単相域の温度で熱間鍛造することにより、合金種A〜Oの組成を有する所定の径(線径22mm〜180mm)のチタン丸棒を得た。なお、各チタン丸棒において、表1に記載の組成以外の成分は、チタンおよび不純物である。また、合金種A〜Mはいずれも、室温や使用環境においてにおいてα相とβ相とを有する二相組織を形成するα+β型チタン合金である。また、合金種Nは、室温でβ相がほとんど存在しないα+β型チタン合金であり、合金種Oは、マルテンサイト変態開始温度が室温以下である準安定β型チタン合金である。
合金種A〜Mは、請求項1に規定する成分範囲を満足する例である。
合金種A〜A4は、請求項2に規定する成分範囲を満足する例である。
合金種B〜B5は、請求項3に規定する成分範囲を満足する例である。
合金種C〜C9は、請求項4に規定する成分範囲を満足する例である。
Figure 2020101008
次に、得られた各チタン丸棒を加熱し(加熱工程)、ロールを用いて伸線加工を行った(加工工程)。さらに、必要に応じて熱処理工程を行った(熱処理工程)。熱処理は、100%アルゴンの雰囲気において、10分行った。これにより、各例に係るチタン合金線材を得た。加熱工程における加熱温度(℃)、加工工程での少なくとも最終から1以上のパスにおける1パスあたりの平均減面率(%)、伸線速度(m/s)、加工工程での総減面率(%)、熱処理工程の有無、熱処理温度(℃)を表2、表3、表4に示す。
Figure 2020101008
Figure 2020101008
Figure 2020101008
2.
分析・評価
各例に係るチタン合金線材について、以下の項目について分析および評価を行った。
2.1 金属組織(ミクロ組織)の観察
各例に係るチタン合金線材について、以下のように、長手方向に対して垂直な断面を観察し、断面の各領域について金属組織が等軸組織、針状組織のいずれであるかを調べた。また、α結晶粒の平均結晶粒径および平均アスペクト比を測定、算出するとともに、α結晶粒の平均アスペクト比が5.0以上である領域の上記断面に対する面積率を求めた。まず、各例に係るチタン合金線材について長手方向に対して垂直な断面を鏡面研磨後、ふっ酸と硝酸の混合液によりエッチングした。平均結晶粒径および平均アスペクト比は、当該面の光学顕微鏡写真を観察することにより測定した。平均結晶粒径は、JIS G 0551に準拠して、線分法により測定した。具体的には、500倍の倍率で撮影した光学顕微鏡写真に対し、縦横に5本ずつ線分を引き、線分ごとに当該線分を横切る粒界数を用いて平均結晶粒径を算出し、合計10本の平均結晶粒径の算術平均値より求めた。平均アスペクト比は、500倍の倍率で撮影した光学顕微鏡写真に対し、任意の結晶粒50個に対して、長軸と短軸を測定し、長軸を短軸で除した値の算術平均として算出した。ここで、「長軸」とは、α相の粒界(輪郭)上の任意の2点を結ぶ線分のうちで、長さが最大になるものをいい、「短軸」とは、長軸に直交し、かつ粒界(輪郭)上の任意の2点を結ぶ線分のうちで、長さが最大になるものをいう。
2.2 疲労強度
疲労強度は、JIS Z 2274:1978に準じて回転曲げ疲労試験を行い、10回まで破断しなかった場合における最大の応力を疲労強度とした。
2.3 クリープ強度
クリープ強度は、JIS Z 2271:2010に準じてクリープ試験を行った。具体的には、400℃の環境下にて100時間クリープ試験を行った際に、0.2%ひずみに到達する最小の応力をクリープ強度とした。
2.4 評価
同一の合金種について従来の製造方法に相当する製造方法によって得られるチタン合金線材との比較を行うために、表2に示す合金種A〜Oの例(いずれも比較例)では、加工工程での少なくとも最終から1以上のパスにおける1パスあたりの平均減面率(%)は16%であるが、伸線速度(m/s)を、2.0m/s(5m/s未満)とした。表2に示す例に係るチタン合金線材は、外周領域と内部領域のいずれも、金属組織が等軸組織となった。
一方、表3に示す合金種A〜Mの発明例1〜31は、加工工程での少なくとも最終から1以上のパスにおける1パスあたりの平均減面率(%)は16%であり、伸線速度(m/s)は25m/sである。表3に示す発明例1〜31のチタン合金線材は、外周領域の金属組織が、等軸のα相を母相とし、その粒界や粒内に微細なβ相が存在する等軸組織となり、内部領域の金属組織が針状のα相とβ相が層状に並んだ針状組織となった。
なお、表3に示す合金種N、Oの比較例1、2は、加工工程での少なくとも最終から1以上のパスにおける1パスあたりの平均減面率(%)は16%であり、伸線速度(m/s)は25m/sである。しかしながら、比較例1は、Mo当量(Moeq)が-4.0より小さい。比較例1では、外周領域の金属組織は、等軸のα結晶粒からなるα相を母相とし、β相がほとんど存在しない(ごく微量のβ相が存在する)α単相の等軸組織となり、内部領域の金属組織は、アスペクト比が比較的小さいα結晶粒を有するα相を母相とし、β相がほとんど存在しない(β相がごく微量に存在する)組織になった。より詳細には、比較例1の内部領域では、ブロック状のα相中に等軸のβ相が微細分散した組織となっている。
また、比較例2は、Mo当量(Moeq)が6.0より大きい。比較例2では、外周領域の金属組織、内部領域の金属組織のいずれもが、等軸のβ結晶粒からなるβ単相の等軸組織になった。
なお、表3中、比較例1、2の内部領域の金属組織、および、比較例2の外部領域の金属組織は、本発明の等軸組織とは異なるため、「」を付して区別した。
表2と表3において、合金種A〜Oの例について、疲労強度を比較・評価した。表2に示す合金種A〜Oの例の疲労強度を基準として、以下のA〜Cの段階で評価した。そして、基準の疲労強度と同等以上であった場合、すなわちA、Bの評価について合格とした。
A:基準の疲労強度と比較して10MPa以上向上した。
B:基準の疲労強度と比較して−10MPa以上10MPa未満の範囲の変動があった。
C:基準の疲労強度と比較して10MPa超20MPa以下低下した。
また、表2と表3において、合金種A〜Oの例について、クリープ強度(クリープ応力)を比較・評価した。表2に示す合金種A〜Oの例のクリープ強度を基準として、以下のA〜Cの段階で評価した。そして、基準のクリープ強度と比較して向上した場合、すなわちA、Bの評価について合格とした。
A:基準のクリープ強度と比較して20MPa以上向上した。
B:基準のクリープ強度と比較して10MPa以上20MPa未満向上した。
C:基準のクリープ強度と比較して−10MPa以上10MPa未満の範囲の変動があった。
表1に示す合金種A〜Oについて従来の製造方法に相当する製造方法よって得られたチタン合金線材の例における、外周領域における金属組織、α結晶粒の平均アスペクト比、平均結晶粒径、および、内部領域における金属組織、α結晶粒の平均アスペクト比、針状組織領域の面積率、ならびに、評価の基準となる疲労強度、クリープ強度を表2に示す。また、発明例1〜31(合金種A〜M)と比較例1、2(合金種N、O)の外周領域における金属組織、α結晶粒の平均アスペクト比、平均結晶粒径、および、内部領域における金属組織、α結晶粒の平均アスペクト比、針状組織領域の面積率、ならびに、評価の対象となる疲労強度と評価結果、評価の対象となるクリープ強度と評価結果を表3に示す。
発明例1〜31では、疲労強度の評価がA、Bの何れかであり、基準の疲労強度と同等以上であった。また、発明例1〜31では、クリープ強度の評価がA、Bの何れかであり、基準のクリープ強度と比較して向上した。
一方、比較例1、2は、クリープ強度の向上が十分でなかった。
次に、表4において、合金種A、B、Cについて、疲労強度とクリープ強度を比較・評価した。発明例32〜54は、加熱工程および加工工程が本発明を満足し、発明例32〜54のチタン合金線材は、外周領域の金属組織が、等軸のα相を母相とし、その粒界や粒内に微細なβ相が存在する等軸組織となり、内部領域の金属組織が針状のα相とβ相が層状に並んだ針状組織となった。
一方、比較例3〜10は、加熱工程または加工工程の何れかが本発明の範囲外であり、比較例3〜10のチタン合金線材は、外周領域の金属組織、α結晶粒の平均アスペクト比、α結晶粒の平均結晶粒径、または、内部領域の金属組織、α結晶粒の平均アスペクト比の何れかが本発明の範囲外となった。
なお、発明例32〜54の線径は、1.5mm〜22.0mmであった。発明例32〜50、52、53は、請求項8に規定する線径2.0mm〜20.0mmを満足する例である。
発明例32〜48および発明例51〜54については表2の合金種Aの例における疲労強度とクリープ強度を基準として、発明例49については表2の合金種Bの例における疲労強度とクリープ強度を基準として、発明例50については表2の合金種Cの例における疲労強度とクリープ強度を基準として、上記と同様に、A〜Cの段階で評価した。
表4に示すように発明例32〜54に係るチタン合金線材は、疲労強度およびクリープ強度に同時に優れていた。特に、発明例32〜54に係るチタン合金線材は、クリープ強度について、基準とした比較例に対し良好な結果が得られた。これに対し、比較例3〜10に係るチタン合金線材は、疲労強度およびクリープ強度を同時に優れたものとすることができなかった。
比較例3では、総減面率が90.0%未満であったため、外周領域は、α結晶粒のアスペクト比および結晶粒径がある程度大きくなったα相中に微細なβ相が少量存在する、等軸化が完了していない組織(未等軸化)となった。また、比較例3では、伸線速度が5.0m/s未満であり、加工発熱が小さかったため、内部領域は、等軸のα結晶粒からなるα相を母相とするα相中にβ相が微細分散した等軸組織となった。
比較例4では、少なくとも最終から1パス以上のパスにおける平均減面率が10.0%よりも少なく、加工発熱が小さかったため、内部領域、外周領域ともに、等軸のα結晶粒からなるα相を母相とし、α相中に少量のβ相が微細分散した等軸組織となった。
比較例5では、総減面率が90.0%未満であったため、外周領域は、α結晶粒のアスペクト比がある程度大きくなったα相中に微細なβ相が少量存在する、等軸化が完了していない組織(未等軸化)となり、内部領域は、針状のα相とβ相が層状に並んだ針状組織となった。
比較例6では、伸線速度が5.0m/s未満であり、加工発熱が小さかったため、内部領域、外周領域ともに、等軸のα結晶粒からなるα相を母相とし、α相中に少量のβ相が微細分散した等軸組織となった。
比較例7では、総減面率が90.0%未満であったため、外周領域は、粗大な等軸のα結晶粒からなるα相を母相とし、α相中に少量のβ相が分散した等軸組織となり、内部領域は、針状のα相とβ相が層状に並んだ針状組織となった。
比較例8では、加熱温度が低すぎたため、内部領域、外周領域ともに、等軸のα結晶粒からなるα相を母相とし、α相中に少量のβ相が微細分散した等軸組織となった。
比較例9では、総減面率が90.0%未満であったため、外周領域は、α結晶粒のアスペクト比および結晶粒径がある程度大きくなったα相中に微細なβ相が少量存在する、等軸化が完了していない組織(未等軸化)となり、内部領域は、針状のα相とβ相が層状に並んだ針状組織となった。
比較例10では、総減面率が90.0%未満であったため、外周領域は、アスペクト比がある程度大きくなったα相中に微細なβ相が少量存在する、等軸化が完了していない組織(未等軸化)となり、内部領域は、針状のα相とβ相が層状に並んだ針状組織となった。
特に、重心を含む針状組織領域の面積率が40%を超えた発明例32、33、36、39〜41、45〜52に係るチタン合金線材は、クリープ強度に優れていた。さらに、外周領域のα結晶粒の平均粒径が5.0μm以下である、発明例32〜35、39、40、42〜44、47〜50、53、54に係るチタン合金線材は、疲労強度が優れていた。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
a α結晶粒
b β相
c 針状α
e 針状β
1 チタン合金線材
L 長手方向
2 外周領域
3 外周表面
4 内部領域
G 重心
R 線径
d 3%に相当する深さ
11 長軸
10 α相の粒界
12 短軸
20 β結晶粒
21 針状のα結晶粒
22 等軸のα結晶粒
23 β結晶粒
24 等軸の微細α結晶粒(微細な等軸組織)
25 針状のα結晶粒(針状組織)


Claims (10)

  1. α相とβ相とを含むチタン合金線材であって、
    質量%で、
    Al:0%以上7.0%以下、
    V:0%以上6.0%以下、
    Mo:0%以上7.0%以下、
    Cr:0%以上7.0%以下、
    Zr:0%以上5.0%以下、
    Sn:0%以上3.0%以下、
    Si:0%以上0.50%以下、
    Cu:0%以上1.8%以下、
    Nb:0%以上1.0%以下、
    Mn:0%以上1.0%以下、
    Ni:0%以上1.0%以下、
    S:0%以上0.20%以下、
    REM:0%以上0.20%以下、
    Fe:0%以上2.10%以下、
    N:0%以上0.050%以下、
    O:0%以上0.250%以下、
    C:0%以上0.100%以下、
    残部:Tiおよび不純物であり、
    Al、Mo、V、Nb、Fe、Cr、Ni及びMnの含有量が、下記式(1)を満たす化学組成を有し、
    長手方向に対して垂直な断面において、表面から重心へ向かって線径の3%の深さまでの外周領域における金属組織が、平均結晶粒径が10μm以下のα結晶粒を有する等軸組織であり、
    前記長手方向に対して垂直な断面において、重心から表面に向かって線径の20%の位置までの重心を含む内部領域における金属組織が針状組織である、
    チタン合金線材。
    −4.00≦[Mo]+0.67[V]+0.28[Nb]+2.9[Fe]+1.6[Cr]+1.1[Ni]+1.6[Mn]−[Al]≦6.00 ・・・(1)
    なお、式(1)において、[元素記号]の表記は、対応する元素記号の含有量(質量%)を表し、含有しない元素記号については、0を代入するものとする。
  2. 質量%で、
    Al:4.5%以上6.5%以下、
    Fe:0.50%以上2.10%以下、
    を含む、請求項1に記載のチタン合金線材。
  3. 質量%で、
    Al:2.0%以上7.0%以下、
    V :1.5%以上6.0%以下、
    を含む、請求項1に記載のチタン合金線材。
  4. 質量%で、
    Al:5.0%以上7.0%以下、
    Mo:1.0%以上7.0%以下、
    Zr:3.0%以上5.0%以下、
    Sn:1.0%以上3.0%以下、
    を含む、請求項1に記載のチタン合金線材。
  5. 前記長手方向に対して垂直な断面において、前記外周領域におけるα結晶粒の平均アスペクト比が1.0以上3.0未満であり、前記内部領域におけるα結晶粒の平均アスペクト比が5.0以上である、請求項1〜4の何れか一項に記載のチタン合金線材。
  6. 前記長手方向に対して垂直な断面において、α結晶粒の平均アスペクト比が5.0以上である重心を含む領域の面積が、当該断面の面積に対し40%以上である、請求項5に記載のチタン合金線材。
  7. 前記外周領域におけるα結晶粒の平均結晶粒径が5.0μm以下である、請求項1〜6の何れか一項に記載のチタン合金線材。
  8. 線径が、2.0mm以上20.0mm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のチタン合金線材。
  9. チタン合金素材を(β変態点−200)℃以上の温度に加熱する工程と、
    前記チタン合金素材を、総減面率が90.0%以上であり、かつ、少なくとも最終から1以上のパスにおいて、1パスあたりの平均減面率が10.0%以上、かつ、伸線速度が5.0m/s以上で加工する工程と、
    を有する、チタン合金線材の製造方法。
  10. さらに、(β変態点−300)℃以上(β変態点−50)℃以下の温度域にて熱処理する工程を有する、請求項9に記載のチタン合金線材の製造方法。
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