JPWO2020100915A1 - 包装袋 - Google Patents

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Abstract

開口(9)の一側に配置された第一端縁部(110)を有する第一面部(11)と、開口(9)の他側に配置された第二端縁部(120)を有し、第一面部(11)と対向する第二面部(12)と、第一端縁部(110)と第二端縁部(120)との間に懸架され、懸架方向に交差する方向に延びる複数の切れ込み部が千鳥状に設けられた伸長可能なシート状の緩衝部(20)とを備えた包装袋であって、第一面部(11)および第二面部(12)を形成するシート材料の坪量に対する緩衝部(20)を形成するシート材料の坪量の割合が55〜80%である包装袋。

Description

本件は、物品を包装する袋に関する。
包装資材として、複数の空気室が設けられたエアクッションや発泡性のフォームクッション,片面段ボールなどの厚み方向に変形するシート状の緩衝材が用いられている。このような緩衝材で包装された物品は、輸送時や保管時に、包装袋に入れられることがある。
そこで、緩衝材を有する包装袋が開発されている。たとえば、複数の空気室が設けられた一対のシートの端縁どうしが封止された包装袋が提案されている(特許文献1参照)。
特開2003-182774号公報
しかし、上記したような厚み方向に変形する緩衝材が包装袋に設けられると、物品が包装袋に入れられる前、即ち、未使用時の包装袋においても、緩衝材の厚みによって包装袋が嵩張るという課題がある。
本件の包装袋は、上記のような課題に鑑みて創案されたもので、未使用時の嵩張りを抑えることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示する包装袋は、開口の一側に配置された第一端縁部を有する第一面部と、前記開口の他側に配置された第二端縁部を有し、前記第一面部と対向する第二面部とを備える。さらに、前記第一端縁部と前記第二端縁部との間に懸架され、懸架方向に交差する方向に延びる複数の切れ込み部が千鳥状に設けられた伸張可能なシート状の緩衝部を備え、前記第一面部および前記第二面部を形成するシート材料の坪量に対する前記緩衝部を形成するシート材料の坪量の割合が55〜80%である。
(2)前記緩衝部は、伸張した状態で底部と非接触に設けられることが好ましい。
(3)前記緩衝部は、前記第一端縁部または前記第二端縁部の内面に貼り付けられる貼付端部を有することが好ましい。
(4)前記第一面部および前記第二面部ならびに前記緩衝部は、同一の材料から形成されることが好ましい。
(5)前記緩衝部は、前記第一端縁部と前記第二端縁部との間で二つ折りにされた状態で懸架されることが好ましい。
本件の包装袋によれば、物品を包装袋に入れることでシート状の緩衝部が伸びて、切れ込み部に対応する立体状の緩衝セルが出現し、これらの緩衝セルによって包装袋に緩衝性を持たせることができる。そのうえ、緩衝部がシート状であることから、エアクッションやフォーミングクッションなどの緩衝用の変形代が設けられた緩衝材が用いられた包装袋と比較して、未使用時における包装袋の嵩張りが抑えられる。
更に本件の包装袋は、第一面部および第二面部を形成するシート材料の坪量に対する緩衝部を形成するシート材料の坪量の割合が55〜80%であることにより、包装袋の落下時または衝突時の衝撃吸収性に優れたものである。
未使用時の包装袋を示す斜視図である。 図1の縦断面図である。 未伸張状態の緩衝部の要部を拡大して示す平面図である。 使用時の包装袋を示す縦断面図である。 伸張状態の緩衝部の要部を拡大して示す斜視図である。 図5のA−A断面を示す断面図である。 包装袋の構成を説明するための展開図である。 図7の展開図を組み立ててできる包装袋の斜視図である。 包装袋の別の態様を示す斜視図である。
図面を参照して、実施形態としての包装袋について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
包装袋とは、物品を包装する袋である。本実施形態では、包装される物品を保護する緩衝部が本体袋に設けられた包装袋を説明する。
この包装袋を構成する本体袋および緩衝部は、紙あるいは樹脂といった同一の材料から形成されることが好ましい。ただし、本体袋および緩衝部のそれぞれを異なる材料から形成してもよい。
以下の実施形態では、開口が上向きに配置された状態の包装袋について述べる。なお、重力の作用方向を下方とし、下方の反対方向を上方とする。
[1.包装袋の構成]
まず、図1および図2を参照して、包装袋の本体袋10を説明する。
本体袋10は、フラップ19で開閉される開口9が上部に形成されたマチ無しの封筒型に設けられる。ここでは、本体袋10として角形封筒を例示するが、長形封筒や洋形封筒を本体袋に用いてもよい。
この本体袋10には、互いに対向する第一面部11と第二面部12とが設けられる。
これらの面部11,12は、本体袋10において開口9の下方に設けられた底部13と、この底部13と開口9とを結ぶように立設された二つの側部14,15とにおいて互いに連設される。また、第一面部11の上端縁部(第一端縁部)110が開口9の一側(図1では右上側)に配置され、第二面部12の上端縁部(第二端縁部)120が開口9の他側(図1では左下側)に配置される。
さらに、第一面部11には、上方に突出して設けられたフラップ19が連設される。
図8に本発明の包装袋の別の一例を示す。図7は図8の包装袋の組み立て方法(構成)を示す展開図である。
図8に示す包装袋を組み立てるには、第一面部11および第二面部12を構成するための本体シート材10Sと、緩衝部20に組み立てられる緩衝シート材20Sを準備する。
図7に示すように、本体シート材10Sには、X方向に延びる二本の横罫線RX1,RX2(折曲線)がY方向に並んで設けられ、Y方向に延びる二本の縦罫線RY1,RY2(折曲線)がX方向に並んで設けられている。横罫線RX1,RX2は、Y2方向に向かってこの順で配置されている。すなわち、第一横罫線RX1よりも第二横罫線RX2がY2方向側に配置されている。また、縦罫線RY1,RY2は、一方の第一縦罫線RY1が他方の第二縦罫線RY2よりもX1方向側に配置されている。
二本の横罫線RX1,RX2のうち、第一横罫線RX1は本体袋10を封緘するための折曲線であり、第二横罫線RX2は本体シート材10Sを袋状に組み立てるための折曲線である。
本体シート材10Sは、第二横罫線RX2と二本の縦罫線RY1,RY2とで折り曲げられる。
第一横罫線RX1および第二横罫線RX2と二本の縦罫線RY1,RY2とは、第一面部11に対応する第一シート片11Sを区画する長方形の輪郭をなす。
この第一シート片11Sに対してY方向側には、第一横罫線RX1を介してY1方向側にフラップ19に対応するフラップシート片19Sが連設され、第二横罫線RX2を介してY2方向側に第二面部12に対応する第二シート片12Sが連設されている。
また、第一シート片11Sに対してX1方向側およびX2方向側のそれぞれには、糊代シート片18Sが縦罫線RY1,RY2を介して連設されている。糊代シート片18Sは、本体シート材10Sが第二横罫線RX2で折り曲げられたときに対面する第二シート片12Sの表面(第二面部12の外面に対応)に貼り付けられる。
さらに、第一シート片11SのうちY1方向側の端縁には、緩衝シート材20Sの貼り付けられる第一本体貼付領域110Sが設定されている。同様に、第二シート片12SのうちY2方向側の端縁には、緩衝シート材20Sの貼り付けられる第二本体貼付領域120Sが設定される。本体貼付領域110S,120Sは、上述した面部11,12の上端縁部110,120の内面111,121に対応する領域である。すなわち、本体貼付領域110S,120Sは、第一シート片11Sおよび第二シート片12Sの表面のうち、本体袋10で内側となる表面に設けられる。
〈緩衝シート材〉
図7に示すように、緩衝シート材20SのY1方向側およびY2方向側の各端部には、本体貼付領域110S,120S(外装端縁領域)に貼り付けられる緩衝貼付領域21S,22S(内装端縁領域)が設定される。緩衝貼付領域21S,22Sは、上述した緩衝部20の貼付端部21,22に対応する領域である。なお、緩衝貼付領域21S,22Sには、切れ込み部23aが設けられていない。
また、緩衝シート材20Sには、X方向(所定方向)に延びる第三横罫線RX3がY方向中央に設けられている。この第三横罫線RX3は、折線部230に対応する折曲線である。
この緩衝シート材20Sのうち緩衝貼付領域21S,22Sを除く領域には、本体部23に対応する本体シート片23Sが設けられている。この本体シート片23Sには、上述した切れ込み部23aが千鳥状に設けられている。各切れ込み部23aは、X方向に沿って延在する。
つぎに、包装袋の緩衝部20を説明する。
緩衝部20は、クッションペーパやハニーペーパなどとも称され、複数の切れ込み部23aが千鳥状に設けられたシート状の緩衝材である。
また、緩衝部20は、第一面部11の上端縁部110と第二面部12の上端縁部120との間に架け渡されて懸架される。
第一面部11および/または第二面部12を形成するシート材料の坪量に対する緩衝部20を形成するシート材料の坪量の割合が55〜80%であり、60〜75%であることが好ましい。第一面部11および/または第二面部12を形成するシート材料の坪量に対する緩衝部20を形成するシート材料の坪量の割合を80%以下とすることにより、衝撃を受けた時に緩衝部20が伸びて衝撃を和らげることができる。また、第一面部11および/または第二面部12を形成するシート材料の坪量に対する緩衝部20を形成するシート材料の坪量の割合を55%以上とすることにより、衝撃を受けた時の緩衝部20の伸びが適度に制御されて物品1(内包物)にかかる衝撃を和らげることができる。
第一面部11および/または第二面部12を形成するシート材料の坪量は60〜300g/mであることがより好ましく、70〜250g/mであることがより好ましい。第一面部11および/または第二面部12を形成するシート材料の坪量は60g/m以上とすることにより、衝撃により第一面部11および/または第二面部12と緩衝部20との接合部に荷重がかかり、第一面部11および/または第二面部12が挫屈変形するのを抑止することができる。第一面部11および/または第二面部12を形成するシート材料の坪量は300g/m以下とすることにより、包装袋に適度な柔軟性を与え衝撃加速度を小さくすることによって、物品1(内包物)が破損することを防ぐことができる。なお、梱包作業性では面部11,12が適度な剛度を有することが好ましく、具体的には第一面部11および/または第二面部12を形成するシート材料の坪量110g/m以上とすることが好ましい。
この緩衝部20は、面部11,12の上端縁部110,120に貼り付けられる貼付端部21,22と、これらの貼付端部21,22の間において吊り下げられた状態(懸架状態)で本体袋10の内部に設けられる本体部23との二種の部位に大別される。
ここでは、第一面部11の上端縁部110のうち内面111に対して第一貼付端部21が貼り付けられ、同様に、第二面部12の上端縁部120のうち内面121に対して第二貼付端部22が貼り付けられる。一方、本体部23は、何れの部位にも貼り付けられることはない。
また、緩衝部20に沿って第一貼付端部21と第二貼付端部22とを結ぶ懸架方向において中央の折線部230で二つ折りにされた状態の緩衝部20を例示する。
このように二つ折りにされた緩衝部20の本体部23は、図2に示すように、折線部230を挟んで第一貼付端部21側の第一本体部231と第二貼付端部22側の第二本体部232との二つの部位に大別される。
さらに、本体部23は、開口9から包装袋に入れられた物品1(図4参照)が載せられることで、物品1の重量によって伸張する。
つまり、物品1が包装袋に入れられる前(包装袋の未使用時)には緩衝部20が伸張していない状態(以下「未伸張状態」という)であり、物品1が包装袋に入れられた後(包装袋の使用時)には緩衝部20が伸張した状態(以下「伸張状態」という)となる。
このように緩衝部20を伸張可能とする構造は、本体部23に設けられる。
以下、未伸張状態の本体部23を説明し、その後に伸張状態の本体部23を説明する。
まず、図3を参照して、未伸張状態の本体部23を説明する。
本体部23には、多数の切れ込み部23aが切り込まれて形成されている。これらの切れ込み部23aは、緩衝部20のうち少なくとも本体部23に設けられている。
切れ込み部23aは、懸架方向(ここでは上下方向)に対して直交する方向(以下「幅方向」という)に延びている。
この切れ込み部23aは、幅方向に沿って断続的に並んで設けられている。すなわち、幅方向に隣接する切れ込み部23aどうしの間には、切り込まれていない非切れ込み部23bが設けられている。
切れ込み部23aの寸法を「L1」とし、非切れ込み部23bの寸法を「L2」とすれば、不等式1「L1>L2」が満たされる。
ここで、切れ込み部23aおよび非切れ込み部23bが幅方向に沿って交互に並んで設けられた一行の配向を第一パターンP1とする。また、第一パターンP1の切れ込み部23aおよび非切れ込み部23bとは半ピッチずらされて配置された切れ込み部23a′および非切れ込み部23b′が幅方向に沿って交互に並んで設けられた他行の配向を第二パターンP2とする。これらの第一パターンP1および第二パターンP2は、懸架方向に沿って交互に並んで設けられる。
詳細に言えば、第一パターンP1における切れ込み部23aの幅方向中心Caと第二パターンP2における非切れ込み部23b′の幅方向中心Cb′とが懸架方向に沿って並んで配置される。同様に、第一パターンP1における非切れ込み部23bの幅方向中心Cbと第二パターンP2における切れ込み部23a′の幅方向中心Ca′とが懸架方向に沿って並んで配置される。
このような切れ込み部23a,23a′および非切れ込み部23b,23b′が設けられた本体部23を有する緩衝部20は、切れ込み部23a,23a′に対応した形状の刃部(カッタ)が外周に設けられたロータリダイカッタによって、切れ込まれていないシート材を回転しながら切り込むことで製造される。または、切れ込み部23a,23a′に対応した形状の刃部が設けられた平板ダイカッタによって、切り込まれていないシート材をプレスしながら切り込むことで、緩衝部20が製造される。
第一パターンP1の切れ込み部23aに対して懸架方向のうち一方(図3では上方)のシート片は、第二パターンP2の切れ込み部23a′および非切れ込み部23b′に対する位置によって第一片部31,第二片部32および第三片部33に大別される。
第一片部31は、第一パターンP1の切れ込み部23aのうち幅方向一方(図3では左方)と第二パターンP2の切れ込み部23a′のうち幅方向他方(図3では右方)とで挟まれる部位である。第二片部32は、第一パターンP1の切れ込み部23aの幅方向中央と第二パターンP2の非切れ込み部23b′とで挟まれる部位である。第三片部33は、第一パターンP1の切れ込み部23aのうち幅方向他方と第二パターンP2の切れ込み部23a′のうち幅方向一方とで挟まれる部位である。
また、第一パターンP1の切れ込み部23aに対して懸架方向のうち他方のシート片は、上記の片部31,32,33と同様に、第四片部34,第五片部35および第六片部36に大別される。
第四片部34は、第一パターンP1の切れ込み部23aのうち幅方向一方と第二パターンP2の切れ込み部23a′の幅方向他方とで挟まれる。第五片部35は、第一パターンP1の切れ込み部23aの幅方向中央と第二パターンP2の非切れ込み部23b′とで挟まれる。第六片部36は、第一パターンP1の切れ込み部23aのうち幅方向他方と第二パターンP2の切れ込み部23a′のうち幅方向一方とで挟まれる。
つづいて、図4,図5および図6を参照して、伸張状態の本体部23を説明する。
図4に示すように、伸張状態の本体部23は、非伸張状態の本体部23と比較して、懸架方向に伸びている。このときの本体部23では、懸架方向から面部11,12の厚み方向(非伸張状態における本体部23の厚み方向)へ片部31〜36(図5および図6参照)が立ち上がり、立ち上がった片部31〜36によって立体状の緩衝セル40が形成される。言い換えれば、一つの切れ込み部23aに対して周囲に配置された片部31〜36が立ち上がることで、一つの緩衝セル40が出現する。
詳細に言えば、図5に示すように、第一片部31に対応する第一壁部41,第二片部32に対応する第二壁部42,第三片部33に対応する第三壁部43,第四片部34に対応する第四壁部44,第五片部35に対応する第五壁部45および第六片部36に対応する第六壁部46が、六角筒の各側壁をなすように緩衝セル40において立設される。
なお、本体部23が破損しない範囲で幾何学的に最も伸張した状態(以下「最大伸張状態」という)では、第一壁部41および第四壁部44が同一平面に沿うとともに、第三壁部43および第六壁部46が他の同一平面に沿って第一壁部41および第四壁部44と対向する。そのため、最大伸張状態の緩衝セル40では、四角筒の各側壁をなすように壁部41〜46が立設される。
また、図4に示すように、伸張状態の緩衝部20は、本体袋10の底部13と非接触に設けられる。
具体的には、最大伸張状態の緩衝部20において最も下方に位置する折線部230と本体袋10の底部13とが接触しないように設けられる。言い換えれば、緩衝部20のうち貼付端部21,22の上端21a,22aと本体袋10の底部13との間の上下寸法を「M1」とし、上端21a,22aと最大伸張状態の緩衝部20における折線部230との間の上下寸法を「M2」とすれば、不等式2「M1>M2」が満たされる。
さらに、この不等式2を満たしたうえで「M2」をできるだけ大きく設定して「M1」に近づけることが好ましい。
逆に言えば、図2に示すように、最大伸張状態の緩衝部20が本体袋10の底部13と接触しないように、未伸張状態の緩衝部20における折線部230が本体袋10の底部13に対して予め所定寸法「M3」だけ上方に設けられている。すなわち、緩衝部20は、伸び代を見越して短く形成されている。
つづいて、図4を参照して、上記の非接触構造を実現するための緩衝部20の寸法の設定例を述べる。
緩衝部20におけるパターンP1,P2の行数を「N」とし、貼付端部21,22の上下寸法を「M4」とすれば、近似式3「M2−M4≒(L1−L2)×(N/4)」が成立する。
この近似式3の左辺は、最大伸張状態における第一本体部231または第二本体部232の上下寸法を表している。
一方、近似式3の右辺のうち(L1−L2)は、最大伸張状態における緩衝セル40一つあたりの懸架方向寸法、即ち、第一壁部41および第四壁部44の懸架方向の寸法を表している。
また、本体部23において緩衝セル40が懸架方向に並ぶ数がパターンP1,P2の行数の半数(N/2)であることから、近似式3の右辺のうち(N/4)は、第一本体部231または第二本体部232において緩衝セル40が懸架方向に並ぶ数を表している。
ここで、幅方向に延びる第二壁部42および第五壁部45の懸架方向寸法を無視すれば、第一本体部231または第二本体部232において緩衝セル40が懸架方向に並ぶ数(N/4)を、最大伸張状態における緩衝セル40一つあたりの懸架方向寸法(L1−L2)に乗算した値(近似式3の右辺)は、第一本体部231または第二本体部232の最大伸張状態における上下寸法に近似するものと言える。
そのため、切れ込み部23aあるいは非切れ込み部23bの幅方向寸法L1,L2やパターンP1,P2の行数、貼付端部21,22の上下寸法M4といった近似式3における各項に対応するパラメータを適宜設定することで、上記の非接触構造を設計することができる。
そのほか、緩衝部20の幅方向寸法は、面部11,12の幅方向寸法よりもやや小さく設けられている。
[2.包装袋の使用手順]
つぎに、包装袋の使用方法を説明する。
図1および図2に示すように、はじめにフラップ19を開いて開口9を開放し、本体袋10を開封する。
それから、包装袋に物品1を入れて、緩衝部20の本体部23に物品1を載置または挿入する。このとき、図4に示すように、緩衝部20の本体部23が懸架方向に伸びることで、面部11,12の厚み方向へ切れ込み部23aが立ち上がり、図5および図6に示すように、本体部23に緩衝セル40が出現する。
そして、本体袋10における第二面部12の上端縁部120にフラップ19を貼り付けて、包装袋を封緘する。このとき、物品1が緩衝セル40で囲まれる。
[3.作用および効果]
本実施形態の包装袋は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
(1)包装袋に物品1を入れて緩衝部20の本体部23に載せることで、未伸張状態ではシート状の本体部23が伸び、伸張状態となった本体部23には、切れ込み部23aのそれぞれに対応する立体状の緩衝セル40が出現する。本体袋10の内部に出現した緩衝セル40で物品1が囲まれることにより、物品1の保護性を確保することができ、包装袋に緩衝性を持たせることができる。
そのうえ、未伸張状態の本体部23がシート状であることから、エアクッションやフォーミングクッション,片面段ボールといった緩衝用の変形代が設けられた緩衝材が用いられた包装袋と比較して、未使用時の包装袋の嵩張りを抑えることができる。
そのほか、従来の包装袋において本体袋とは別に緩衝材を設ける場合には、本体袋に対して緩衝材を固定するために、緩衝材の全体を本体袋に貼り付ける必要がある。これに対して、本包装袋では緩衝部20が懸架されているため、緩衝部20の一部を本体袋10に貼り付ければよく、接着材や粘着材の使用量を低減させることができる。
また、緩衝部20は、本体袋10の内部で伸びることによって緩衝機能を発揮することから、伸び代を見越して短く形成されている。そのため、平面状の材料シートを波打たせる加工(フルート加工)を施して製造される片面段ボールシートが緩衝材に用いられる包装袋と比較して、緩衝材の量あるいは重さを抑えることができる。
(2)伸張状態の緩衝部20が底部13と非接触に設けられているため、包装袋に入れられる物品1と本体袋10の底部13との接触(底付き)が抑えられ、物品1の保護性を高めることができる。
(3)緩衝部20の貼付端部21,22は、本体袋10の上端縁部110,120における内面111,121に貼り付けられる。そのため、貼付端部と本体部との間で緩衝部が山折りされて上端縁部110,120の外面に貼付端部が貼り付けられる包装袋に比較して、緩衝部20の材料の量や重さを抑えることができる。
そのほか、内面111,121に貼付端部21,22が貼り付けられることで、本体袋10のフラップ19と緩衝部20との干渉が防止され、開口9を円滑に開閉することができる。
(4)第一面部11,第二面部12およびフラップ19から構成される本体袋10ならびに緩衝部20が同一の材料から形成されるため、使用後の包装袋の処理性を向上させることができる。たとえば、包装袋を再生利用(リサイクル)あるいは廃棄する際に、材料ごとに分別する必要がなく、処理作業性を向上させることができる。本体袋10および緩衝部20が紙製であれば、古紙回収や可燃ごみに使用後の包装袋をそのまま出すことができる。
(5)緩衝部20が二つ折りにされた状態で懸架されるため、たとえば緩衝部が三つ以上に折られた状態で懸架される包装袋と比較して、未使用時の包装袋の厚みを抑えることができる。
具体的には、未使用時の包装袋において本体部23が設けられる箇所では、第一面部11,第一本体部231,第二本体部232,第二面部12の順に四つのシート片が積層される。これに対して、三つ以上に折られた緩衝部では、三つ以上の本体部が折り畳まれ、五つ以上のシート片が積層される。したがって、折り畳まれた本体部23の厚みが抑えられることで、包装袋の嵩張りを抑えることができる。
[4.その他]
最後に、本実施形態のその他の変形例について述べる。
たとえば、切れ込み部および非切れ込み部は、幅方向に延びる配向に限らず、少なくとも懸架方向に対して交差する方向に延びていればよい。このような配向により、緩衝部を懸架方向に伸張させることができる。
そのほか、本体袋には、フラップ19が設けられたマチ無しの封筒型に限らず、たとえば角底袋,ガセット袋,スタンディングパウチといったさまざまな型式の袋を用いることができ、マチ付きの袋やフラップ無しの袋を用いてもよい。
フラップ無しの袋が本体袋に用いられる場合には、貼付端部と本体部との間で緩衝部が山折りされて、上端縁部110,120の外面に貼付端部が貼り付けられてもよい。このときには、面部11,12に引っ掛かるようにして緩衝部が懸架されることで、本体袋に対して確実に緩衝部を取り付けることができ、緩衝部の耐荷重を高めることができる。
図9に示した変形例では、緩衝部20の第一貼付端部21は、本体袋10のフラップ19と重なる部分を有する。この変形例では封緘時に第一貼付端部21がフラップ19とともに折り曲げられて第二面部を外側から覆うため、内包物を懸架するための強度が高められる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<包装袋サンプルの作製>
図8に示す包装袋サンプルを作製した。第一面部(第二面部)の上下寸法は300mm、幅方向寸法は240mmとした。緩衝部は二つ折り未伸張の状態での上下寸法120mm、幅方向寸法は240mmとした。緩衝部は、面部の上端縁部に両面テープで貼り付けた。
また、第一面部および第二面部の材料、緩衝部の材料は表1に記載のものを使用して実施例および比較例の包装袋サンプルを作製した。
<サンプルの評価>
実施例および比較例の包装袋サンプルの中に衝撃加速度計(製品名:G−menDR100、スリック社製)を挿入し封緘した後、JISZ0200の衝撃試験に記載の自由落下試験を行い、衝撃加速度の最大値を測定した。
試験結果を表1に示す。
Figure 2020100915
上記表1の試験結果が示すとおり、実施例1〜4は、比較例1〜2に比べて衝撃加速度が小さく、衝撃吸収速度に優れるものであった。
1 物品
9 開口
10 本体袋
11 第一面部
110 上端縁部(第一端縁部)
111 内面
12 第二面部
120 上端縁部(第二端縁部)
121 内面
13 底部
14,15 側部
19 フラップ
20 緩衝部
21 第一貼付端部
21a 上端
22 第二貼付端部
22a 上端
23 本体部
230 折線部
231 第一本体部
232 第二本体部
23a,23a′ 切れ込み部
23b,23b′ 非切れ込み部
31,32,33,34,35,36 片部
40 緩衝セル
41,42,43,44,45,46 壁部
a,Ca′ 切れ込み部23a,23a′の幅方向中心
b,Cb′ 非切れ込み部の23b,23b′幅方向中心
1 切れ込み部23a,23a′の幅方向寸法
2 非切れ込み部23b,23b′の幅方向寸法
1 上端21a,22aと本体袋20の底部13との間の上下寸法
2 上端21a,22aと最大伸張状態の折線部230との間の上下寸法
3 底部13に対する未伸張状態の折線部230の上下寸法
4 貼付端部21、22の上下寸法
N パターンP1,P2の行数
1 第一パターン
2 第二パターン

Claims (5)

  1. 開口の一側に配置された第一端縁部を有する第一面部と、
    前記開口の他側に配置された第二端縁部を有し、前記第一面部と対向する第二面部と、
    前記第一端縁部と前記第二端縁部との間に懸架され、懸架方向に交差する方向に延びる複数の切れ込み部が千鳥状に設けられた伸張可能なシート状の緩衝部とを備えた包装袋であって、
    前記第一面部および前記第二面部を形成するシート材料の坪量に対する前記緩衝部を形成するシート材料の坪量の割合が55〜80%である包装袋。
  2. 前記緩衝部は、伸張した状態で底部と非接触に設けられた
    ことを特徴とする請求項1に記載された包装袋。
  3. 前記緩衝部は、前記第一端縁部または前記第二端縁部の内面に貼り付けられる貼付端部を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載された包装袋。
  4. 前記第一面部および前記第二面部ならびに前記緩衝部は、同一の材料から形成された
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載された包装袋。
  5. 前記緩衝部は、前記第一端縁部と前記第二端縁部との間で二つ折りにされた状態で懸架された
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載された包装袋。
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