JPWO2020075590A1 - インク、焼結体、及び装飾ガラス - Google Patents

インク、焼結体、及び装飾ガラス Download PDF

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Abstract

本発明は、長時間焼成する必要がなく、優れた金属光沢を有し、且つガラスなどの基材への密着性に優れた塗膜を形成することができるインクを提供することを目的にする。
本発明のインクは、下記(A)〜(D)成分を含有する。
(A)成分:金属ナノ粒子の表面が、有機保護剤で被覆された構成を有する表面修飾金属ナノ粒子
(B)成分:テルペン系溶剤(b−1)及び/又はグリコールエーテル系溶剤(b−2)を含む溶剤
(C)成分:ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含むカチオン重合性化合物
(D)成分:カチオン重合開始剤

Description

本発明は、表面修飾金属ナノ粒子を含有し、スクリーン印刷用に好適であるインクに関する。本願は、2018年10月11日に日本に出願した、特願2018−192611の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
現在、多様な意匠性が望まれている中で金属光沢を呈するインクのニーズも高まってきており、また、ガラスに銀インクを印刷する機会も増加しつつある。印刷や塗装において金属光沢の意匠性が要求される場合、粒径が数ミクロンメートルから数十ミクロンメートルサイズの金属粉を扁平状に加工した金属フレーク粉を含有させた塗料を用いている。
例えば特許文献1には、アルミニウム合金溶湯をアトマイズして非晶質の原料粉末を得た後に、原料粉末をボールミル加工又はスタンプミル加工によって扁平化して意匠塗料用扁平粉末(=金属フレーク粉)を得ることが記載されている。
特開平7−145407号公報
上記のように金属フレーク粉を含有させた塗料を用いた場合、塗膜面に光沢面を形成させるためには、印刷後の塗膜中において金属フレーク粉の扁平面が塗膜面に平行になるように焼成して配向させる必要がある。そのため、塗布した金属フレーク粉を焼結するには長時間高温とする必要がある。しかし、金属フレーク粉を長時間高温とした場合、インク中のバインダーが分解してしまい、ガラスなどの基材への密着性が消失してしまうという問題がある。そのため、このような金属フレーク粉をガラスなどの基材に印刷することは非常に困難である。
従って、本発明の目的は、長時間焼成する必要がなく、優れた金属光沢を有し、且つガラスなどの基材への密着性に優れた塗膜を形成することができるインクを提供することにある。
本発明の他の目的は、前記インクの焼結体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ガラス上に前記インクの焼結体を備えた装飾ガラスを提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、粒径がナノメートルレベルまで微細化され、粒径の揃った金属ナノ粒子、及び特定のエポキシ系モノマーで構成されたエポキシ系反応性組成物を含むインクが、ガラスなどの基材への密着性に優れた塗膜を形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記(A)〜(D)成分を含有するインクを提供する。
(A)成分:金属ナノ粒子の表面が、有機保護剤で被覆された構成を有する表面修飾金属ナノ粒子
(B)成分:テルペン系溶剤(b−1)及び/又はグリコールエーテル系溶剤(b−2)を含む溶剤
(C)成分:ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含むカチオン重合性化合物
(D)成分:カチオン重合開始剤
本発明は、(A)成分100重量部に対して、(B)成分の含有量が30〜60重量部、(C)成分の含有量が0.5〜5重量部である前記のインクを提供する。
本発明は、(A)成分を構成する有機保護剤が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物である前記のインクを提供する。
本発明は、表面修飾銀ナノ粒子(A)における有機保護剤が、アミノ基を有する化合物として、総炭素数6以上の脂肪族モノアミン(1)と、総炭素数5以下の脂肪族モノアミン(2)及び/又は総炭素数8以下の脂肪族ジアミン(3)とを含む前記のインクを提供する。
本発明は、テルペン系溶剤(b−1)の沸点が130℃以上である前記のインクを提供する。
本発明は、グリコールエーテル系溶剤(b−2)の沸点が130℃以上である前記のインクを提供する。
本発明は、グリコールエーテル系溶剤(b−2)が、下記式(b-2-2)
14−(O−R15n−OH (b-2-2)
(式中、R14はアルキル基又はアリール基を示し、R15は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。nは1以上の整数を示す)
で表される化合物である前記のインクを提供する。
本発明は、(C)成分であるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である前記のインクを提供する。
本発明は、更に、バインダー樹脂を含有する前記のインクを提供する。
本発明は、25℃、せん断速度10s-1における粘度が10〜400mPa・sである前記のインクを提供する。
本発明は、スクリーン印刷用である前記のインクを提供する。
また、本発明は、前記インクの焼結体を提供する。
また、本発明は、ガラス上に前記インクの焼結体を有する装飾ガラスを提供する。
本発明のインクは、長時間高温で焼成する必要がなく、100℃程度の低温で焼成することができ、また焼成と同時にエポキシ硬化させることでガラスなどの密着しにくい基材であっても強固な密着性を有する塗膜を形成することができる。また、本発明のインクは、粒径がナノメートルレベルまで微細化され、粒径の揃った金属ナノ粒子を含むため、金属光沢などの意匠性に優れた塗膜を形成することができる。従って、本発明のインクは、スクリーン印刷用インクなどの用途に好適に使用することができる。
[インク]
本発明のインクは、下記(A)〜(D)成分を含有する。
(A)成分:金属ナノ粒子の表面が、有機保護剤で被覆された構成を有する表面修飾金属ナノ粒子
(B)成分:テルペン系溶剤(b−1)及び/又はグリコールエーテル系溶剤(b−2)を含む溶剤
(C)成分:ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含むカチオン重合性化合物
(D)成分:カチオン重合開始剤
((A)成分:表面修飾金属ナノ粒子)
本発明における(A)成分は、金属ナノ粒子の表面が、有機保護剤で被覆された構成を有する表面修飾金属ナノ粒子である。本発明における表面修飾金属ナノ粒子は、有機保護剤の作用により、金属ナノ粒子相互間の再凝集が防止され、インク中において、高分散した状態を安定的に維持することができる。また、表面修飾金属ナノ粒子における金属ナノ粒子は、粒径がナノメートルレベルまで微細化され、粒径が揃っているため塗膜としたときの金属光沢などの意匠性に優れる。
表面修飾金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子部と、これを被覆する表面修飾部(すなわち、金属ナノ粒子を被覆している部分であって、有機保護剤により形成されている部分)から成り、表面修飾部の割合は、金属ナノ粒子部の重量の例えば1〜20重量%程度(好ましくは1〜10重量%)である。尚、表面修飾金属ナノ粒子における金属ナノ粒子部と表面修飾部の各重量は、例えば、表面修飾金属ナノ粒子を熱重量測定に付し、特定温度範囲における減量率から求めることができる。
表面修飾金属ナノ粒子の金属ナノ粒子部分の平均一次粒子径は、例えば0.5〜100nm、好ましくは0.5〜80nm、より好ましくは1〜70nm、さらに好ましくは1〜60nmである。尚、平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により求めることができる。
表面修飾金属ナノ粒子における金属ナノ粒子部を構成する金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ロジウム、コバルト、ルテニウム等を挙げることができる。金属ナノ粒子としては、なかでも、100℃程度の温度で相互に融着し、金属光沢に優れた塗膜を形成できる点で銀ナノ粒子が好ましい。従って、本発明における(A)成分としては、表面修飾銀ナノ粒子が好ましい。表面修飾金属ナノ粒子は、後述の製造方法等によって製造することができる。
表面修飾金属ナノ粒子における表面修飾部を構成する有機保護剤としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物が好ましく、特に、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する、炭素数4〜18の化合物が好ましく、最も好ましくはアミノ基を有する化合物であり、とりわけ好ましくはアミノ基を有する炭素数4〜18の化合物(すなわち、炭素数4〜18のアミン)である。
表面修飾金属ナノ粒子の含有量は、インク中における分散安定性に優れる点より、インク全量に対して、例えば50〜85重量%である。含有量の上限は、好ましくは80重量%、特に好ましくは75重量%であり、下限は、好ましくは55重量%、より好ましくは60重量%である。
((B)成分:溶剤)
本発明における(B)成分は、テルペン系溶剤(b−1)及び/又はグリコールエーテル系溶剤(b−2)を含む溶剤である。本発明における(B)成分は、(A)成分である表面修飾金属ナノ粒子の分散媒である。本発明では、テルペン系溶剤(b−1)及び/又はグリコールエーテル系溶剤(b−2)を含むことにより、(A)成分である表面修飾金属ナノ粒子の分散安定性に優れ、印刷に適した粘度や揮発性であるインクとすることができる。また、テルペン系溶剤(b−1)やグリコールエーテル系溶剤(b−2)は、沸点が高いため、印刷途中で揮発して装置の破損や印刷不良を発生させにくいという利点がある。
テルペン系溶剤(b−1)の沸点(1気圧における)は、130℃以上(130〜300℃)であることが好ましく、より好ましくは140〜280℃、さらに好ましくは150〜260℃、特に好ましくは160〜240℃である。
テルペン系溶剤(b−1)としては、30℃における蒸気圧が例えば0.005〜10.0mmHgであることが、適度な揮発性を有する点で好ましく、より好ましくは0.008〜5.0mmHg、さらに好ましくは0.01〜2.0mmHg、特に好ましくは0.02〜1.0mmHgである。
テルペン系溶剤(b−1)の25℃、せん断速度10s-1における粘度は、50〜300mPa・sが好ましく、より好ましくは80〜260mPa・s、さらに好ましくは100〜240mPa・s、特に好ましくは120〜220mPa・sである。
テルペン系溶剤(b−1)としては、例えば、4−(1’−アセトキシ−1’−メチルエステル)−シクロヘキサノールアセテート、1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコール、1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−メチルシクロヘキシルアセテート、4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、ジヒドロターピニルオキシエタノール、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
グリコールエーテル系溶剤(b−2)の沸点(1気圧における)は、130℃以上(例えば130〜300℃)であることが好ましく、より好ましくは140〜280℃、さらに好ましくは150〜260℃、特に好ましくは160〜240℃である。
グリコールエーテル系溶剤(b−2)としては、30℃における蒸気圧が例えば0.01〜10.0mmHgであることが、適度な揮発性を有する点で好ましく、より好ましくは0.05〜8.0mmHg、さらに好ましくは0.1〜6.0mmHg、最も好ましくは0.3〜4.0mmHgである。
グリコールエーテル系溶剤(b−2)の25℃、せん断速度10s-1における粘度は、インクを印刷に適した粘度とする点から0.1〜20mPa・sが好ましく、より好ましくは0.5〜10mPa・s、さらに好ましくは1〜9mPa・s、特に好ましくは3〜8mPa・sである。
グリコールエーテル系溶剤(b−2)としては、例えば、下記式(b-2-1)
11O−(R13O)m−R12 (b-2-1)
(式中、R11は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアシル基を示し、R12はアルキル基、アリール基、又はアシル基を示し、R13はアルキレン基を示す。mは1以上の整数を示す)
で表される化合物が好ましい。なお、式(b-2-1)は、後述の式(b-2-2)で表される化合物を除くものとする。
式(b-2-1)中のR11、R12におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜10(好ましくは1〜5)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基等)が挙げられる。アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基が挙げられる。
式(b-2-1)中のR13におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。本発明においては、なかでも炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、特に好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基、最も好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。
mは1以上の整数であり、例えば1〜8の整数、好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは1である。
式(b-2-1)で表される化合物の沸点は、例えば130℃以上(例えば、130〜300℃)であり、好ましくは170℃以上、特に好ましくは200℃以上である。
前記式(b-2-1)で表される化合物としては、例えば、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点:145℃)、エチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート(沸点:188℃)、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点:131℃)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点:155℃)、プロピレングリコールメチルイソアミルエーテル(沸点:176℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点:190℃)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点:146℃)、3−メトキシブチルアセテート(沸点:171℃)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(沸点:232℃)、1,4−ブタンジオールジアセテート(沸点:232℃)、1,6−ヘキサンジオールジアセテート(沸点:260℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:189℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点:256℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点:176℃)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点:179℃)、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点:212℃)、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート(沸点:247℃)、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート(沸点:218℃)、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート(沸点:246.8℃)、ジプロピレングリコールメチル−イソペンチルエーテル(沸点:227℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:175℃)、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点:203℃)、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点:216℃)、ジプロピレングリコールメチルシクロペンチルエーテル(沸点:286℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点:195℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃)、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点:261℃)、トリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点:258℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:215℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:275℃)等のグリコールジエーテル、グリコールエーテルアセテート、及びグリコールジアセテートを挙げることができる。これらの溶剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記グリコールエーテル系溶剤(b−2)としては、例えば、下記式(b-2-2)
14−(O−R15n−OH (b-2-2)
(式中、R14はアルキル基又はアリール基を示し、R15は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。nは1以上の整数を示す)
で表される化合物(グリコールモノエーテル)が好ましい。
式(b-2-2)中のR14におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜10(好ましくは1〜5)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。アリール基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基等)を挙げることができる。
式(b-2-2)中のR15におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、特に好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基、最も好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。
nは1以上の整数であり、例えば1〜8の整数、好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは2〜3の整数である。
式(b-2-2)で表される化合物の沸点は、例えば130℃以上(例えば、130〜310℃)であり、好ましくは170℃以上、特に好ましくは200℃以上である。
前記式(b-2-2)で表される化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:124℃)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:141.8℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:171.2℃)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点:160.5℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(沸点:208℃)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(沸点:229℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点:244.7℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点:256℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:194℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(=ブチルカルビトール、沸点:230℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点:220℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点:207℃)、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル(沸点:162℃)、ジエチレングリコールモノイソペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(=ヘキシルカルビトール、沸点:259.1℃)、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(沸点:272℃)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点:283℃)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点:302℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:249℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:271.2℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:188℃)、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル(沸点:212℃)、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル(沸点:229℃)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸点:242℃)等を挙げることができる。これらの溶剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のインクには、(B)成分として、上記以外にも他の溶剤[例えば、乳酸エチルアセテート(沸点:181℃)、テトラヒドロフルフリルアセテート(沸点:195℃)、テトラヒドロフルフリルアルコール(沸点:176℃)、エチレングリコール(沸点:197℃)等]を1種又は2種以上含有していても良い。これらの他の含有量は、例えば(B)成分全量の30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。他の溶剤の含有量が上記範囲を上回ると、揮発性が高すぎる溶剤を多く含有する場合は印刷装置の目詰まりが生じ易くなる傾向があり、揮発性が低すぎる溶剤を多く含有する場合は、速乾性が損なわれ、塗布後に乾燥させるために加熱等の処理を施すことが必要となり、作業性が低下する傾向がある。
(B)成分全量における、テルペン系溶剤(b−1)とグリコールエーテル系溶剤(b−2)との合計含有量の占める割合は、例えば70〜100重量%であり、下限は、好ましくは80重量%、さらに好ましくは85重量%、特に好ましくは90重量%、最も好ましく95重量%、とりわけ好ましくは98重量%である。
(B)成分として、テルペン系溶剤(b−1)とグリコールエーテル系溶剤(b−2)とを両方含む場合のその含有量比、即ち、テルペン系溶剤(b−1)とグリコールエーテル系溶剤(b−2)との含有量の比[(b−1)/(b−2);重量比]は、例えば90/10〜60/40、好ましくは85/15〜65/35、特に好ましくは80/20〜70/30である。グリコール系溶剤の比率が増加すると粘度が低下し、逆にテルペン系溶剤の比率が増加すると粘度が高くなる傾向がある。両者の含有量比が上記範囲であると、例えばスクリーン印刷用のインクとして適した粘度とすることができる。なお、増粘剤を用いてインクの粘度調整を行うと、金属に対する増粘剤比率が増えてしまい、成膜後の金属光沢が悪化する原因となる。よって、溶剤の比率を調整することによりインクの粘度を調整することが好ましい。
テルペン系溶剤(b−1)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、(B)成分全量に対して、例えば60〜90重量%、好ましくは65〜85重量%、特に好ましくは70〜80重量%である。
テルペン系溶剤(b−1)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、インク全量に対して、例えば5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは15〜30重量%である。
グリコールエーテル系溶剤(b−2)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、(B)成分全量に対して、例えば10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、特に好ましくは20〜30重量%である。
グリコールエーテル系溶剤(b−2)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、インク全量に対して、例えば0.5〜20重量%、好ましくは1.0〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%である。
(B)成分の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、(A)成分100重量部に対して、例えば30〜60重量部、好ましくは30〜55重量部、特に好ましくは35〜50重量部、最も好ましくは40〜50重量部である。また、(B)成分の含有量は、インク全量に対して、例えば5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、特に好ましくは15〜40重量%である。
((C)成分:カチオン重合性化合物)
本発明における(C)成分は、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含むカチオン重合性化合物である。本発明では、カチオン重合性化合物としてビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含むことにより、本発明のインクを焼成した際に、インク中の金属ナノ粒子をより強固に基材に密着させることができる。
ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA骨格を有するエポキシ化合物(=ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、ビスフェノールF骨格を有するエポキシ化合物(=ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、ビスフェノールAD骨格を有するエポキシ化合物(=ビスフェノールAD型エポキシ樹脂)、ビスフェノールS骨格を有するエポキシ化合物(=ビスフェノールS型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらのビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物は、分子内にビスフェノール及びエピクロロヒドリンに由来する構成単位以外の構成単位を有していてもよい。ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物としては、インク中の金属ナノ粒子をより強固に基材に密着させることができる点から、なかでもビスフェノールA骨格を有するエポキシ化合物が好ましい。
ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物のエポキシ当量は、例えば150〜800g/eq、好ましくは155〜500g/eq、特に好ましくは160〜200g/eq、最も好ましくは160〜190g/eqである。ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物は、室温(25℃)で液状を呈する化合物が好ましいが、固体であっても、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物を溶解する他の液状(25℃において)の化合物(例えば、他のエポキシ化合物等)と併用することにより、硬化性化合物全体として液状(25℃)となればよい。
(C)成分としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物以外のカチオン重合性化合物を含んでいてもよい。そのようなカチオン重合性化合物としては、例えばビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物が挙げられる。
ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物以外のエポキシ化合物としては、例えば、脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(=脂環エポキシ基)を分子内に有するエポキシ化合物(=脂環式エポキシ化合物);脂環にエポキシ基が直接単結合で結合しているエポキシ化合物;脂環とグリシジルエーテル基を有するグリシジルエーテル型エポキシ化合物が挙げられる。
オキセタン化合物としては、分子内に1以上のオキセタン環を有する公知乃至慣用の化合物が挙げられる。また、ビニルエーテル化合物としては、分子内に1以上のビニルエーテル基を有する公知乃至慣用の化合物が挙げられる。
ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物の含有量は、(C)成分全量に対して、例えば60重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。含有量が60重量%以上であると、焼成と同時に金属ナノ粒子をより強固に基材に密着させることができる。
ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物の含有量は、(A)成分100重量部に対して、例えば0.5〜20重量部、好ましくは1.0〜15重量部、より好ましくは1.5〜10重量部、さらに好ましくは2.0〜5重量部である。
ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物以外のカチオン重合性化合物の含有量は、(C)成分全量に対して、例えば40重量%以下、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
カチオン重合性化合物である(C)成分の含有量は、インク全量に対して、例えば0.5〜20重量%、好ましくは1.0〜15重量%、より好ましくは1.5〜10重量%、さらに好ましくは2.0〜5重量%である。
カチオン重合性化合物である(C)成分の含有量は、(A)成分100重量部に対して、例えば0.5〜20重量部、好ましくは1.0〜15重量部、より好ましくは1.5〜10重量部、さらに好ましくは2.0〜5重量部である。
本発明のインクは、焼成と同時にエポキシ硬化させることで基材に対して強固な密着性を有する塗膜を形成することができる点から、(A)成分100重量部に対して、(B)成分の含有量が30〜60重量部、(C)成分の含有量が0.5〜5重量部であることが好ましい。また、上記含有量は、(B)成分の含有量が35〜55重量部、(C)成分の含有量が1〜4.5重量部であることがより好ましく、(B)成分の含有量が40〜50重量部、(C)成分の含有量が2〜4重量部であることが特に好ましい。
((D)成分:カチオン重合開始剤)
本発明のインクは、(D)成分としてカチオン重合開始剤(=硬化触媒)を含有する。カチオン重合開始剤は、光照射又は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出する化合物である。
カチオン重合開始剤のうち、光照射によりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、トリアリールスルホニウム塩(例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩)等を挙げることができ、商品名「CPI−100P」、「CPI−101A」、「LW−S1」(以上、サンアプロ(株)製)、商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製)、商品名「イルガキュア264」(BASF社製)、商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製)等の市販品を好ましく使用することができる。
カチオン重合開始剤のうち、加熱によりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体等を挙げることができ、商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」(以上、(株)ADEKA製)、商品名「FC−509」(スリーエム製)、商品名「UVE1014」(G.E.製)、商品名「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」、「サンエイド SI−100L」、「サンエイド SI−110L」(以上、三新化学工業(株)製)、商品名「CG−24−61」(BASF社製)等の市販品を好ましく使用することができる。さらに、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又はアルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物であってもよい。
カチオン重合開始剤の含有量は、(C)成分(カチオン重合性化合物)100重量部に対して、0.05〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜25重量部、さらに好ましくは0.2〜20重量部、特に好ましくは0.3〜15重量部である。カチオン重合開始剤を上記範囲で含有することにより、耐熱性、密着性等の良好な塗膜を得ることができる。
カチオン重合開始剤の含有量は、インク全量に対して、例えば0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%、さらに好ましくは0.02〜0.1重量%である。
(その他の成分)
本発明のインクは、上記成分以外にも、例えば、バインダー樹脂、表面エネルギー調整剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、密着性付与剤等の添加剤を必要に応じて含有することができる。
本発明のインクは、なかでも、適度な粘度が付与され、塗膜1層当たりの厚膜化が可能であり、より厚みがある塗膜を形成でき、且つ基板に対する密着性や可とう性が向上できる点で、バインダー樹脂を1種又は2種以上含有することが好ましい。
バインダー樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
本発明においては、なかでもセルロース系樹脂を使用することが、適度な粘度を付与することができる点で好ましく、例えば、商品名「エトセルstd.200」、「エトセルstd.300」(以上、ダウケミカル社製)等の市販品を使用することができる。
バインダー樹脂(例えば、セルロース系樹脂)の含有量は、本発明のインクの粘度が上述の範囲となるよう適宜調整することができ、(A)成分100重量部に対して、例えば1.0〜8.0重量部、好ましくは2.0〜5.0重量部である。
バインダー樹脂(例えば、セルロース系樹脂)の含有量は、本発明のインクの粘度が上述の範囲となるよう適宜調整することができ、インク全量に対して、例えば0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%である。
(インクの製造方法)
本発明のインクは、例えば、金属化合物と有機保護剤とを混合して、金属化合物と有機保護剤の錯体を生成させる工程(錯体生成工程)、錯体を熱分解させる工程(熱分解工程)、及び、必要に応じて反応生成物を洗浄する工程(洗浄工程)を経て表面修飾金属ナノ粒子を製造し、得られた表面修飾金属ナノ粒子と溶剤とを混合する工程(インクの調製工程)を経て製造することができる。以下、本発明のインクの製造方法として、金属化合物が銀化合物であり、有機保護剤がアミノ基を含む化合物(アミン)である場合の方法(即ち、表面修飾銀ナノ粒子を含有するインクの製造方法)について説明するが本発明はこの態様に限定されるものではない。
(錯体生成工程)
銀化合物としては、加熱により容易に分解して、金属銀を生成する化合物を使用することが好ましい。このような銀化合物としては、例えば、ギ酸銀、酢酸銀、シュウ酸銀、マロン酸銀、安息香酸銀、フタル酸銀等のカルボン酸銀;フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀等のハロゲン化銀;硫酸銀、硝酸銀、炭酸銀等が挙げられる。本発明においては、なかでも、銀含有率が高く、且つ、還元剤無しに熱分解することができ、分解により容易に金属銀を生成し、インクに還元剤由来の不純物が混入しにくい点で、シュウ酸銀が好ましい。
アミンはアンモニアの少なくとも1つの水素原子が炭化水素基で置換された化合物であり、第一級アミン、第二級アミン、及び第三級アミンが含まれる。また、前記アミンはモノアミンであっても、ジアミン等の多価アミンであってもよい。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アミンとしては、なかでも、下記式(a-1)で表され、式中のR1、R2、R3が同一又は異なって、水素原子又は1価の炭化水素基(R1、R2、R3が共に水素原子である場合は除く)であり、総炭素数が6以上であるモノアミン(1)、下記式(a-1)で表され、式中のR1、R2、R3が同一又は異なって、水素原子又は1価の炭化水素基(R1、R2、R3が共に水素原子である場合は除く)であり、総炭素数が5以下であるモノアミン(2)、及び下記式(a-2)で表され、式中のR8が2価の炭化水素基であり、R4〜R7は同一又は異なって、水素原子又は1価の炭化水素基であり、総炭素数が8以下であるジアミン(3)から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、特に、前記モノアミン(1)と、モノアミン(2)及び/又はジアミン(3)とを併せて含有することが好ましい。
Figure 2020075590
炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基が含まれるが、なかでも脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基が好ましく、特に脂肪族炭化水素基が好ましい。従って、上記モノアミン(1)、モノアミン(2)、ジアミン(3)としては、脂肪族モノアミン(1)、脂肪族モノアミン(2)、脂肪族ジアミン(3)が好ましい。
また、1価の脂肪族炭化水素基には、アルキル基及びアルケニル基が含まれる。1価の脂環式炭化水素基には、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基が含まれる。更に、2価の脂肪族炭化水素基には、アルキレン基及びアルケニレン基が含まれ、2価の脂環式炭化水素基には、シクロアルキレン基及びシクロアルケニレン基が含まれる。
式(a-1)中のR1、R2、R3における1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基等の炭素数1〜20程度のアルキル基;ビニル基、アリル基、メタリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等の炭素数2〜20程度のアルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜20程度のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロへキセニル基等の炭素数3〜20程度のシクロアルケニル基等が挙げられる。
式(a-2)中のR4〜R7における1価の炭化水素基としては、上記例示のうち、炭素数7以下のものが挙げられる。
式(a-2)中のR8における2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘプタメチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基;ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8のアルケニレン基等が挙げられる。
上記R1〜R8における炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、C1-4アルコキシ基、C6-10アリールオキシ基、C7-16アラルキルオキシ基、C1-4アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(例えば、C1-4アルコキシカルボニル基、C6-10アリールオキシカルボニル基、C7-16アラルキルオキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。
モノアミン(1)は、銀ナノ粒子に高分散性を付与する機能を有する化合物であり、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン等の直鎖状アルキル基を有する第一級アミン;イソヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、tert−オクチルアミン等の分岐鎖状アルキル基を有する第一級アミン;シクロヘキシルアミン等のシクロアルキル基を有する第一級アミン;オレイルアミン等のアルケニル基を有する第一級アミン等;N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジペンチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジペプチルアミン、N,N−ジオクチルアミン、N,N−ジノニルアミン、N,N−ジデシルアミン、N,N−ジウンデシルアミン、N,N−ジドデシルアミン、N−プロピル−N−ブチルアミン等の直鎖状アルキル基を有する第二級アミン;N,N−ジイソヘキシルアミン、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミン等の分岐鎖状アルキル基を有する第二級アミン;トリブチルアミン、トリヘキシルアミン等の直鎖状アルキル基を有する第三級アミン;トリイソヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン等の分岐鎖状アルキル基を有する第三級アミン等が挙げられる。
上記モノアミン(1)のなかでも、アミノ基が銀ナノ粒子表面に吸着した際に他の銀ナノ粒子との間隔を確保できるため、銀ナノ粒子同士の凝集を防ぐ作用が向上する点で、総炭素数6以上(総炭素数の上限は、入手のし易さ、及び焼結時における除去のし易さの点で、18程度が好ましく、より好ましくは16、特に好ましくは12である)の直鎖状アルキル基を有するアミン(特に、第一級アミン)が好ましく、とりわけ、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン等が好ましい。
また、上記モノアミン(1)のなかでも、分岐鎖状アルキル基を有するアミン(特に、第一級アミン)を用いると、同じ総炭素数の直鎖状アルキル基を有するアミンを用いる場合に比べ、分岐鎖状アルキル基の立体的因子により、より少ない量で、銀ナノ粒子に高分散性を付与することができる。そのため、焼結時において、特に低温焼結時において、前記アミンを効率よく除去することができる点で好ましい。
上記分岐鎖状アルキル基を有するアミンとしては、特に、イソヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン等の総炭素数6〜16(好ましくは6〜10)の分枝鎖状アルキル基を有するアミンが好ましく、とりわけ、立体的因子の観点から、2−エチルヘキシルアミン等の、窒素原子から2番目の炭素原子において枝分かれしている構造を有する分岐鎖状アルキル基を有するアミンが有効である。
モノアミン(2)は、モノアミン(1)に比べると炭化水素鎖が短いので、それ自体は銀ナノ粒子に高分散性を付与する機能は低いと考えられるが、モノアミン(1)より極性が高く銀原子への配位能が高いため、錯体形成促進効果を有すると考えられる。また、炭化水素鎖が短いため、低温焼結においても、短時間(例えば30分間以下、好ましくは20分間以下)で銀ナノ粒子表面から除去することができる。
モノアミン(2)としては、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、tert−ペンチルアミン等の、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を有する総炭素数2〜5の第一級アミン;N−メチル−N−プロピルアミン、N−エチル−N−プロピルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン等の、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を有する総炭素数2〜5の第二級アミン等が挙げられる。
モノアミン(2)としては、なかでも、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、tert−ペンチルアミン等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を有する総炭素数2〜5(好ましくは、総炭素数4〜5)の第一級アミンが好ましく、とりわけn−ブチルアミン等の直鎖状アルキル基を有する総炭素数2〜5(好ましくは、総炭素数4〜5)の第一級アミンが好ましい。
ジアミン(3)の総炭素数は8以下(例えば、1〜8)であり、モノアミン(1)より極性が高く銀原子への配位能が高いため、錯体形成促進効果を有すると考えられる。また、ジアミン(3)は、錯体の熱分解工程において、より低温且つ短時間での熱分解を促進する効果があり、ジアミン(3)を使用すると銀ナノ粒子製造をより効率的に行うことができる。さらに、ジアミン(3)を含む保護剤で被覆された構成を有する表面修飾銀ナノ粒子は、極性の高い溶剤を含む分散媒体中において優れた分散安定性を発揮する。さらに、ジアミン(3)は、炭化水素鎖が短いため、低温焼結においても、短時間(例えば30分間以下、好ましくは20分間以下)で銀ナノ粒子表面から除去することができる。
ジアミン(3)としては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン等の、式(a-2)中のR4〜R7が水素原子であり、R8が直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であるジアミン;N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン等の式(a-2)中のR4、R6が同一又は異なって直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であり、R5、R7が水素原子であり、R8が直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であるジアミン;N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン等の式(a-2)中のR4、R5が同一又は異なって直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であり、R6、R7が水素原子であり、R8が直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であるジアミン等が挙げられる。
これらのなかでも、式(a-2)中のR4、R5が同一又は異なって直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であり、R6、R7が水素原子であり、R8が直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基であるジアミン[特に、式(a-2)中のR4、R5が直鎖状アルキル基であり、R6、R7が水素原子であり、R8が直鎖状アルキレン基であるジアミン]が好ましい。
式(a-2)中のR4、R5が同一又は異なって直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であり、R6、R7が水素原子であるジアミン、すなわち第一級アミノ基と第三級アミノ基を有するジアミンは、前記第一級アミノ基は銀原子に対して高い配位能を有するが、前記第三級アミノ基は銀原子に対する配位能に乏しいため、形成される錯体が過剰に複雑化することが防止され、それにより、錯体の熱分解工程において、より低温且つ短時間での熱分解が可能となる。これらのなかでも、低温焼結において短時間で銀ナノ粒子表面から除去できる点から、総炭素数6以下(例えば、1〜6)のジアミンが好ましく、総炭素数5以下(例えば、1〜5)のジアミンがより好ましい。
本発明におけるアミンとして、モノアミン(1)と、モノアミン(2)及び/又はジアミン(3)とを併せて含有する場合において、これらの使用割合は、特に限定されないが、アミン全量[モノアミン(1)+モノアミン(2)+ジアミン(3);100モル%]を基準として、下記範囲であることが好ましい。
モノアミン(1)の含有量:例えば5〜65モル%(下限は、好ましくは10モル%、特に好ましくは15モル%である。また、上限は、好ましくは50モル%、特に好ましくは40モル%、最も好ましくは35モル%である)
モノアミン(2)とジアミン(3)の合計含有量:例えば35〜95モル%(下限は、好ましくは50モル%、特に好ましくは60モル%、最も好ましくは65モル%である。また、上限は、好ましくは90モル%、特に好ましくは85モル%である)
さらに、モノアミン(2)とジアミン(3)を共に使用する場合、モノアミン(2)とジアミン(3)の各含有量は、アミン全量[モノアミン(1)+モノアミン(2)+ジアミン(3);100モル%]を基準として、下記範囲であることが好ましい。
モノアミン(2):例えば5〜70モル%(下限は、好ましくは10モル%、特に好ましくは15モル%である。また、上限は、好ましくは65モル%、特に好ましくは60モル%である)
ジアミン(3):例えば5〜50モル%(下限は、好ましくは10モル%である。また、上限は、好ましくは45モル%、特に好ましくは40モル%である)
モノアミン(1)を上記範囲で含有することにより、銀ナノ粒子の分散安定性が得られる。モノアミン(1)の含有量が上記範囲を下回ると、銀ナノ粒子の分散安定性が得られにくくなる傾向がある。一方、モノアミン(1)の含有量が上記範囲を上回ると、低温焼結によってアミンが除去されにくくなる傾向がある。
モノアミン(2)を上記範囲で含有することにより、錯体形成促進効果が得られやすい。また、低温且つ短時間での焼結が可能となり、更に、焼結時にジアミン(3)が銀ナノ粒子表面から除去されやすくなる。
ジアミン(3)を上記範囲で含有することにより、錯体形成促進効果及び錯体の熱分解促進効果が得られやすい。また、ジアミン(3)を含む保護剤で被覆された構成を有する表面修飾銀ナノ粒子は、極性の高い溶剤を含む分散媒体中において優れた分散安定性を発揮する。
本発明においては、銀原子への配位能が高いモノアミン(2)及び/又はジアミン(3)を用いると、それらの使用割合に応じて、モノアミン(1)の使用量を減量することができ、低温短時間での焼結の場合において、これらアミンが銀ナノ粒子表面から除去されやすくなり、銀ナノ粒子の焼結を十分に進行させることができるようになる。
本発明において保護剤として使用するアミンには上記モノアミン(1)、モノアミン(2)、及びジアミン(3)以外にも他のアミンを含有していても良いが、保護剤に含まれる全アミンにおける上記モノアミン(1)、モノアミン(2)、及びジアミン(3)の合計含有量の占める割合は、例えば60〜100重量%が好ましく、下限は特に好ましくは80重量%、最も好ましくは90重量%である。すなわち、他のアミンの含有量は、60重量%以下が好ましく、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。
前記アミン[特に、モノアミン(1)+モノアミン(2)+ジアミン(3)]の使用量は特に限定されないが、原料の前記銀化合物の銀原子1モルに対して、1〜50モル程度が好ましく、実質的に無溶剤中において表面修飾銀ナノ粒子が得られる点で、2〜50モルが好ましく、特に好ましくは6〜50モルである。前記アミンの使用量が上記範囲を下回ると、錯体の生成工程において、錯体に変換されない銀化合物が残存しやすくなり、その後の熱分解工程において、銀ナノ粒子の均一性が損なわれ、粒子の肥大化が起こったり、熱分解せずに銀化合物が残存する場合があるため好ましくない。
アミンと銀化合物との反応は溶剤の存在下で行うことが好ましい。
上記溶剤としては、例えば、炭素数3以上のアルコール溶剤[例えば、n−プロパノール(沸点:97℃)、イソプロパノール(沸点:82℃)、n−ブタノール(沸点:117℃)、イソブタノール(沸点:107.89℃)、sec−ブタノール(沸点:99.5℃)、tert−ブタノール(沸点:82.45℃)、n−ペンタノール(沸点:136℃)、n−ヘキサノール(沸点:156℃)、n−オクタノール(沸点:194℃)、2−オクタノール(沸点:174℃)等]を1種又は2種以上使用することができる。これらのなかでも、後に行われる錯体の熱分解工程の温度を高く設定できること、得られる表面修飾銀ナノ粒子の後処理での利便性の点で、炭素数4〜6のアルコール溶剤が好ましく、特に、n−ブタノール、n−ヘキサノールが好ましい。
また、溶剤の使用量は、銀化合物100重量部に対して、例えば120重量部以上、好ましくは130重量部以上、より好ましくは150重量部以上である。尚、溶剤の使用量の上限は、例えば1000重量部、好ましくは800重量部、特に好ましくは500重量部である。
本発明においては、銀ナノ粒子の分散性をさらに向上させることを目的に、保護剤として、更に、脂肪族モノカルボン酸を1種又は2種以上使用しても良い。脂肪族モノカルボン酸を使用することにより、銀ナノ粒子の安定性、特に(B)成分である溶剤に分散された状態での安定性が向上する傾向がある。
脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸等の炭素数4以上の飽和脂肪族モノカルボン酸;オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、エイコセン酸等の炭素数8以上の不飽和脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
これらのなかでも、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン(特に、オクタン酸、オレイン酸等)が好ましい。脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基が銀ナノ粒子表面に吸着した際に、炭素数8〜18の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素鎖が立体障害となることにより他の銀ナノ粒子との間隔を確保することができ、銀ナノ粒子同士の凝集を防ぐ作用が向上する。また、脂肪族モノカルボン酸は入手し易く、焼結時には除去し易い点でも好ましい。
脂肪族モノカルボン酸の使用量としては、銀化合物の銀原子1モルに対して、例えば0.05〜10モル程度、好ましくは0.1〜5モル、特に好ましくは0.5〜2モルである。前記脂肪族モノカルボン酸の使用量が、上記範囲を下回ると、安定性向上効果が得られにくい。一方、前記脂肪族モノカルボン酸を過剰に使用しても分散安定性向上効果は飽和する一方で、低温焼結で除去することが困難となる傾向がある。
アミンを含む保護剤と銀化合物との反応は、常温(5〜40℃)で行うことが好ましい。前記反応には、銀化合物へのアミンの配位反応による発熱を伴うため、上記温度範囲となるように、適宜冷却しつつ行ってもよい。
アミンを含む保護剤と銀化合物との反応時間は、例えば30分〜3時間程度である。これにより、銀−アミン錯体が得られる。
(熱分解工程)
熱分解工程は、錯体生成工程を経て得られた銀−アミン錯体を熱分解させて、表面修飾銀ナノ粒子を形成する工程である。銀−アミン錯体を加熱することにより、銀原子に対するアミンの配位結合を維持したままで銀化合物が熱分解して銀原子を生成し、次に、アミンが配位した銀原子が凝集して、アミン保護膜で被覆された銀ナノ粒子が形成されると考えられる。
熱分解は、溶剤の存在下で行うことが好ましく、溶剤としては上述のアルコール溶剤を好適に使用することができる。また、熱分解温度は、表面修飾銀ナノ粒子が生成する温度であればよく、銀−アミン錯体がシュウ酸銀−アミン錯体である場合には、例えば80〜120℃程度、好ましくは95〜115℃、特に好ましくは100〜110℃である。表面修飾銀ナノ粒子の表面修飾部の脱離を防止する観点から、前記温度範囲内のなるべく低温で行うことが好ましい。熱分解時間は、例えば10分〜5時間程度である。
また、銀−アミン錯体の熱分解は、空気雰囲気下や、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
(洗浄工程)
銀−アミン錯体の熱分解反応終了後、過剰の保護剤(例えば、アミン)が存在する場合は、これを除去するために、デカンテーションを行うことが好ましい。また、デカンテーション終了後の表面修飾銀ナノ粒子は、乾燥・固化することなく、湿潤状態のままで後述のインクの調製工程へ供することが、銀ナノ粒子の再凝集を抑制することができ、銀ナノ粒子の高分散性を維持することができる点で好ましい。
表面修飾銀ナノ粒子の乾燥・固化を行わない場合は、デカンテーションにおいて使用する洗浄溶剤が本発明のインクに混入することは避けられない。そのため、洗浄溶剤(2回以上繰り返して洗浄する場合は、最終回において使用する洗浄溶剤)としては、本発明のインクの特性を損なわない溶剤を使用することが好ましく、特に、上記グリコールエーテル系溶剤(b−2)を使用することが好ましい。
デカンテーションは、例えば、懸濁状態の表面修飾銀ナノ粒子を洗浄溶剤で洗浄し、遠心分離により沈降させ、上澄み液を除去する方法により行われる。
デカンテーションを行って得られる湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子全量における洗浄溶剤の含有割合は、例えば5〜15重量%程度である。従って、湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子全量における表面修飾銀ナノ粒子の占める割合は、例えば85〜95重量%程度である。
(インクの調製工程)
インクの調製工程は、上記工程を経て得られた表面修飾銀ナノ粒子(好ましくは、グリコールエーテル系溶剤(b−2)で湿潤状態とされた表面修飾銀ナノ粒子)と、少なくともテルペン系溶剤(b−1)を含む溶剤と、必要に応じて添加剤とを混合して、本発明のインクを得る工程である。前記混合には、例えば、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用することができる。また、各成分は同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
本発明のインクは、適度な粘度を有することが、印刷時の作業性に優れ、塗膜の厚膜化が可能である点で好ましく、粘度(25℃、せん断速度10s-1における)は、例えば10〜400mPa・s程度、好ましくは20〜300mPa・s、より好ましくは30〜200mPa・s、特に好ましくは40〜150mPa・sである。
本発明のインクは、有機保護剤で被覆された構成を有する表面修飾金属ナノ粒子を有するため、長時間高温で焼成する必要がなく、100℃程度の低温で焼成することができる。また、本発明のインクは、ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含むため、焼成と同時にエポキシ硬化させることでガラスなどの密着しにくい基材であっても強固な密着性を有する塗膜を形成することができる。そのため、塗膜の密着性として、テープ剥離試験(JIS K 5600に準拠)を5回程度行っても剥がれが生じない。
本発明のインクは、分散安定性に優れ、例えば銀濃度65重量%のインクを5℃で保管した場合、1ヶ月間以上の期間において粘度の上昇を抑制することができる。本発明のインクは、適度な揮発性を有する(B)成分を含有するため、塗布前の組成変動を抑制できる程度の速乾性を示し、均一に塗布することができ、塗布後は速やかに乾燥するため作業性が良く印刷することができ、特にスクリーン印刷用インクとして好適である。また、本発明のインクは、粒径がナノメートルレベルまで微細化され、粒径の揃った金属ナノ粒子を含むため、金属光沢などの意匠性に優れた塗膜を形成することができる。
[焼結体(塗膜)の製造方法]
本発明の焼結体(塗膜)の製造方法は、本発明のインクを、例えばスクリーン印刷法により基板上に印刷(塗布)する工程、及び焼結して塗膜を形成する工程を含む。スクリーン印刷は、所望のスクリーン版を用いた公知慣用の方法で印刷(塗布)を行うことができる。また、本発明の焼結体は、例えば上記焼結体(塗膜)の製造方法で得られる本発明のインクの焼結体である。
本発明の焼結体の製造方法では、本発明のインクを使用するため、焼結する際に低温で焼結が可能である。焼結温度は、例えば130℃以下(60〜130℃)、好ましくは120℃以下、特に好ましくは100℃以下である。また、焼結時間は、例えば0.5〜3時間、好ましくは0.5〜2時間、特に好ましくは0.5〜1時間である。尚、焼結後の焼結体(塗膜)の厚みは、例えば1〜20μm、好ましくは3〜12μmである。
本発明のインクを使用すれば上記の通り低温焼結が可能であるので、基板としては、ガラス製基板、ポリイミド系フィルム等の耐熱性プラスチック基板の他に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステル系フィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルムのような耐熱性の低い汎用プラスチック基板も用いることができる。なかでも基板としては、強固な密着性を実現できる点からガラス製基板が好ましい。
[装飾ガラス]
本発明の装飾ガラスは、ガラス上に上記インクの焼結体を有する。本発明の装飾ガラスは、例えば上記の焼結体(塗膜)の製造方法により、ガラス上に所望の模様や文字を形成することにより製造できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1(表面修飾銀ナノ粒子の調製)
硝酸銀(和光純薬工業(株)製)とシュウ酸二水和物(和光純薬工業(株)製)から、シュウ酸銀(分子量:303.78)を得た。
500mLフラスコに前記シュウ酸銀40.0g(0.1317mol)を仕込み、これに、60gのn−ブタノールを添加し、シュウ酸銀のn−ブタノールスラリーを調製した。このスラリーに30℃でn−ブチルアミン(分子量:73.14、東京化成工業(株)製試薬)115.58g(1.5802mol)、2−エチルヘキシルアミン(分子量:129.25、和光純薬工業(株)製試薬)51.06g(0.3950mol)、及びn−オクチルアミン(分子量:129.25、東京化成工業(株)製試薬)17.02g(0.1317mol)のアミン混合液を滴下した。滴下後、30℃で1時間撹拌して、シュウ酸銀とアミンの錯形成反応を進行させた。シュウ酸銀−アミン錯体の形成後に、110℃にて1時間加熱して、シュウ酸銀−アミン錯体を熱分解させて、濃青色の表面修飾銀ナノ粒子を含む懸濁液を得た。
得られた懸濁液を冷却し、これにメタノール(和光純薬工業(株)製試薬、特級)120gを加えて攪拌し、その後、遠心分離により表面修飾銀ナノ粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。表面修飾銀ナノ粒子に対して、次に、ブチルカルビトール(東京化成工業(株)製試薬)120gを加えて攪拌し、その後、遠心分離により表面修飾銀ナノ粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。このようにして、ブチルカルビトールを含む湿った状態の表面修飾銀ナノ粒子を得た。SII社製TG/DTA6300を用いた熱天秤の結果から、湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子全量(100重量%)において表面修飾銀ナノ粒子の含有量は90重量%であった。すなわち、湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子に、ブチルカルビトールが10重量%含まれていた。
また、湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子について、走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM−6700F)を用いて観察し、SEM写真において任意に選ばれた10個の銀ナノ粒子の粒子径を求め、それらの平均値を平均粒子径とした。表面修飾銀ナノ粒子における銀ナノ粒子部分の平均粒子径(1次粒子径)は50nm程度であった。
調製例2(表面修飾銀ナノ粒子の調製)
上記調製例1においてブチルカルビトール120gの代わりにDPNB(=ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル)120gを使用したこと以外は、調製例1と同様にして表面修飾銀ナノ粒子(DPNB10重量%含む)を得た。
実施例1−4及び比較例1−2(銀インクの調製)
下記表1に記載(単位:重量部)の通り、分散媒(b-1)とバインダー樹脂とを加え、オイルバスで3時間攪拌し、これに熱硬化性樹脂及びカチオン重合開始剤を加えて、自転公転式混練機(倉敷紡績(株)製、マゼルスターKKK2508)で攪拌混練(2分間×3回)して液Aを調製した。
調製例1又は2で得られた分散媒(b-2)を含む湿潤状態の表面修飾銀ナノ粒子を液Aに加え、自転公転式混練機(倉敷紡績(株)製、マゼルスターKKK2508)で攪拌(2分間×3回)混練して、黒茶色の銀インクを得た。得られた銀インクの焼結体における基板密着性について下記方法により評価した。
(焼結体の基板密着性評価)
実施例1−4及び比較例1−2で得られた銀インクをソーダガラス板上に塗布して塗膜を形成した。塗膜形成後、速やかに塗膜を120℃、30分間の条件で送風乾燥炉にて焼結し、およそ2μm厚みの焼結体を得た。塗膜の形成は、スクリーン印刷装置(ニューロング精密工業(株)製、LS−150TV)を用いて行なった。そして、ソーダガラス板/焼結体をサンプルとした。
各サンプルについてテープ剥離試験(JIS K 5600に準拠)を行い、焼結体が100%残存している場合を密着性良好(○)、60%以上、100%未満の場合を密着性やや不良(△)、60%未満の場合を密着性不良(×)として焼結体の基板密着性を評価した。各サンプルについて、1回及び5回テープ剥離試験を行った結果を表1に示す。
Figure 2020075590
上記表1における略称は、下記のとおりである。
THA−70:4−(1’−アセトキシ−1’−メチルエステル)−シクロヘキサノールアセテート、商品名「テルソルブTHA−70」、日本テルペン化学(株)製、沸点:223℃、粘度:198mPa・s
THA−90:4−(1’−アセトキシ−1’−メチルエステル)−シクロヘキサノールアセテート、商品名「テルソルブTHA−90」、日本テルペン化学(株)製、沸点:223℃、粘度:144mPa・s
ジヒドロターピネオール:日本テルペン化学(株)製、沸点:210℃、粘度:83mPa
DPNB:ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、商品名「DOWANOL DPnB」、ダウケミカル社製、沸点:230℃、粘度:4.5mPa・s
EC300:エチルセルロース樹脂、商品名「エトセルstd.300(ETHOCELTM, std.300)」、ダウケミカル社製
jER825:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名「エポキシ樹脂jER825」、三菱ケミカル(株)製
セロキサイド2021P:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド 2021P」、(株)ダイセル製
SI−100L:熱カチオン重合開始剤、商品名「サンエイド SI−100L」、三新化学工業(株)製
上記で説明した本発明のバリエーションを以下に付記する。
[1]下記(A)〜(D)成分を含有するインク。
(A)成分:金属ナノ粒子の表面が、有機保護剤で被覆された構成を有する表面修飾金属ナノ粒子
(B)成分:テルペン系溶剤(b−1)及び/又はグリコールエーテル系溶剤(b−2)を含む溶剤
(C)成分:ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含むカチオン重合性化合物
(D)成分:カチオン重合開始剤
[2](A)成分を構成する金属ナノ粒子部分の平均一次粒子径が、0.5〜100nm(好ましくは0.5〜80nm、より好ましくは1〜70nm、さらに好ましくは1〜60nm)である、[1]に記載のインク。
[3](A)成分における金属ナノ粒子部を構成する金属が、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、ロジウム、コバルト、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは銀)である、[1]又は[2]に記載のインク。
[4](A)成分を構成する有機保護剤が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(好ましくはアミノ基)を有する化合物(好ましくは炭素数4〜18の化合物)である、[1]〜[3]の何れか1つに記載のインク。
[5](A)成分の含有量が、インク全量に対して50〜85重量%(含有量の上限は、好ましくは80重量%、特に好ましくは75重量%、下限は、好ましくは55重量%、より好ましくは60重量%)である、[1]〜[4]の何れか1つに記載のインク。
[6]テルペン系溶剤(b−1)の沸点が130℃以上(好ましくは130〜300℃、より好ましくは140〜280℃、さらに好ましくは150〜260℃、特に好ましくは160〜240℃)である、[1]〜[5]の何れか1つに記載のインク。
[7]テルペン系溶剤(b−1)の30℃における蒸気圧が0.005〜10.0mmHg(好ましくは0.008〜5.0mmHg、より好ましくは0.01〜2.0mmHg、さらに好ましくは0.02〜1.0mmHg)である、[1]〜[6]の何れか1つに記載のインク。
[8]テルペン系溶剤(b−1)の25℃、せん断速度10s-1における粘度が、50〜300mPa・s(好ましくは80〜260mPa・s、より好ましくは100〜240mPa・s、さらに好ましくは120〜220mPa・s)である、[1]〜[7]の何れか1つに記載のインク。
[9]グリコールエーテル系溶剤(b−2)の沸点が130℃以上(好ましくは130〜300℃、より好ましくは140〜280℃、さらに好ましくは150〜260℃、特に好ましくは160〜240℃)である、[1]〜[8]の何れか1つに記載のインク。
[10]グリコールエーテル系溶剤(b−2)の30℃における蒸気圧が0.01〜10.0m(好ましくは0.05〜8.0mmHg、より好ましくは0.1〜6.0mmHg、さらに好ましくは0.3〜4.0mmHg)である、[1]〜[9]の何れか1つに記載のインク。
[11]グリコールエーテル系溶剤(b−2)の25℃、せん断速度10s-1における粘度が0.1〜20mPa・s(好ましくは0.5〜10mPa・s、より好ましくは1〜9mPa・s、さらに好ましくは3〜8mPa・s)である、[1]〜[10]の何れか1つに記載のインク。
[12]グリコールエーテル系溶剤(b−2)が、下記式(b-2-2)
14−(O−R15n−OH (b-2-2)
(式中、R14はアルキル基又はアリール基を示し、R15は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。nは1以上の整数を示す)
で表される化合物である、[1]〜[11]の何れか1つに記載のインク。
[13]グリコールエーテル系溶剤(b−2)が、下記式(b-2-1)
11O−(R13O)m−R12 (b-2-1)
(式中、R11は水素原子、アルキル基、アリール基、又はアシル基を示し、R12はアルキル基、アリール基、又はアシル基を示し、R13はアルキレン基を示す。mは1以上の整数を示す)
で表される化合物(前述の式(b-2-2)で表される化合物を除く)である、[1]〜[12]の何れか1つに記載のインク。
[14](B)成分全量における、テルペン系溶剤(b−1)とグリコールエーテル系溶剤(b−2)との合計含有量の占める割合が、70〜100重量%(下限は、好ましくは80重量%、さらに好ましくは85重量%、特に好ましくは90重量%、最も好ましく95重量%、とりわけ好ましくは98重量%)である、[1]〜[13]の何れか1つに記載のインク。
[15](B)成分として、テルペン系溶剤(b−1)とグリコールエーテル系溶剤(b−2)とを両方含む場合のその含有量比[(b−1)/(b−2);重量比]が、90/10〜60/40(好ましくは85/15〜65/35、特に好ましくは80/20〜70/30)である、[1]〜[14]の何れか1つに記載のインク。
[16]テルペン系溶剤(b−1)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)が、(B)成分全量に対して、60〜90重量%(好ましくは65〜85重量%、特に好ましくは70〜80重量%)である、[1]〜[15]の何れか1つに記載のインク。
[17]テルペン系溶剤(b−1)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)が、インク全量に対して、5〜40重量%(好ましくは10〜35重量%、特に好ましくは15〜30重量%)である、[1]〜[16]の何れか1つに記載のインク。
[18]グリコールエーテル系溶剤(b−2)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)が、(B)成分全量に対して、10〜40重量%(好ましくは15〜35重量%、特に好ましくは20〜30重量%)である、[1]〜[17]の何れか1つに記載のインク。
[19]グリコールエーテル系溶剤(b−2)の含有量(2種以上含有する場合はその総量)が、インク全量に対して、0.5〜20重量%(好ましくは1.0〜15重量%、特に好ましくは3〜10重量%)である、[1]〜[18]の何れか1つに記載のインク。
[20](B)成分の含有量(2種以上含有する場合はその総量)が、(A)成分100重量部に対して、30〜60重量部(好ましくは30〜55重量部、特に好ましくは35〜50重量部、最も好ましくは40〜50重量部)である、[1]〜[19]の何れか1つに記載のインク。
[21](B)成分の含有量が、インク全量に対して、5〜50重量%(好ましくは10〜45重量%、特に好ましくは15〜40重量%)である、[1]〜[20]の何れか1つに記載のインク。
[22](C)成分であるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、及びビスフェノールS型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂)である、[1]〜[21]の何れか1つに記載のインク。
[23]ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物のエポキシ当量が、150〜800g/eq(好ましくは155〜500g/eq、特に好ましくは160〜200g/eq、最も好ましくは160〜190g/eq)である、[1]〜[22]の何れか1つに記載のインク。
[24]ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物の含有量が、(C)成分全量に対して、60重量%以上(好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上)である、[1]〜[23]の何れか1つに記載のインク。
[25]ビスフェノール骨格を有するエポキシ化合物の含有量が、(A)成分100重量部に対して、0.5〜20重量部(好ましくは1.0〜15重量部、より好ましくは1.5〜10重量部、さらに好ましくは2.0〜5重量部)である、[1]〜[24]の何れか1つに記載のインク。
[26](C)成分の含有量が、インク全量に対して、0.5〜20重量%(好ましくは1.0〜15重量%、より好ましくは1.5〜10重量%、さらに好ましくは2.0〜5重量%)である、[1]〜[25]の何れか1つに記載のインク。
[27](C)成分の含有量が、(A)成分100重量部に対して、0.5〜20重量部(好ましくは1.0〜15重量部、より好ましくは1.5〜10重量部、さらに好ましくは2.0〜5重量部)である、[1]〜[26]の何れか1つに記載のインク。
[28](A)成分100重量部に対して、(B)成分の含有量が30〜60重量部、(C)成分の含有量が0.5〜5重量部(好ましくは(B)成分の含有量が35〜55重量部、(C)成分の含有量が1〜4.5重量部、より好ましくは(B)成分の含有量が40〜50重量部、(C)成分の含有量が2〜4重量部)である、[1]〜[27]の何れか1つに記載のインク。
[29]カチオン重合開始剤の含有量が、(C)成分(カチオン重合性化合物)100重量部に対して、0.05〜30重量部(好ましくは0.1〜25重量部、より好ましくは0.2〜20重量部、さらに好ましくは0.3〜15重量部)である、[1]〜[28]の何れか1つに記載のインク。
[30]カチオン重合開始剤の含有量が、インク全量に対して、0.001〜3重量%(好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%、さらに好ましくは0.02〜0.1重量%)である、[1]〜[29]の何れか1つに記載のインク。
[31]更に、バインダー樹脂を含有する、[1]〜[30]の何れか1つに記載のインク。
[32]バインダー樹脂が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、及びセルロース系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくはセルロース系樹脂)である、[31]に記載のインク。
[33]バインダー樹脂の含有量が、(A)成分100重量部に対して、1.0〜8.0重量部(好ましくは2.0〜5.0重量部)である、[31]又は[32]に記載のインク。
[34]バインダー樹脂の含有量が、インク全量に対して、0.5〜5.0重量%(好ましくは1.0〜3.0重量%)である、[31]〜[32]の何れか1つに記載のインク。
[35](A)成分における有機保護剤が、アミノ基を有する化合物として、総炭素数6以上の脂肪族モノアミン(1)と、総炭素数5以下の脂肪族モノアミン(2)及び/又は総炭素数8以下の脂肪族ジアミン(3)とを含む、[1]〜[34]の何れか1つに記載のインク。
[36]モノアミン(1)が、分岐鎖状アルキル基を有するアミン(特に、第一級アミン)である、[35]に記載のインク。
[37]モノアミン(1)の含有量が、アミン全量[モノアミン(1)+モノアミン(2)+ジアミン(3);100モル%]を基準として、5〜65モル%(下限は、好ましくは10モル%、特に好ましくは15モル%、上限は、好ましくは50モル%、特に好ましくは40モル%、最も好ましくは35モル%)である、[35]又は[36]に記載のインク。
[38]モノアミン(2)とジアミン(3)の合計含有量が、アミン全量[モノアミン(1)+モノアミン(2)+ジアミン(3);100モル%]を基準として、35〜95モル%(下限は、好ましくは50モル%、特に好ましくは60モル%、最も好ましくは65モル%、上限は、好ましくは90モル%、特に好ましくは85モル%)である、[35]〜[37]の何れか1つに記載のインク。
[39]モノアミン(2)の含有量が、アミン全量[モノアミン(1)+モノアミン(2)+ジアミン(3);100モル%]を基準として、5〜70モル%(下限は、好ましくは10モル%、特に好ましくは15モル%、上限は、好ましくは65モル%、特に好ましくは60モル%)である、[35]〜[38]の何れか1つに記載のインク。
[40]ジアミン(3)の含有量が、アミン全量[モノアミン(1)+モノアミン(2)+ジアミン(3);100モル%]を基準として、5〜50モル%(下限は、好ましくは10モル%、上限は、好ましくは45モル%、特に好ましくは40モル%)である、[35]〜[39]の何れか1つに記載のインク。
[41]25℃、せん断速度10s-1における粘度が10〜400mPa・s(好ましくは20〜300mPa・s、より好ましくは30〜200mPa・s、特に好ましくは40〜150mPa・s)である、[1]〜[40]の何れか1つに記載のインク。
[42]スクリーン印刷用である、[1]〜[41]の何れか1つに記載のインク。
[43][1]〜[42]の何れか1つに記載のインクの焼結体。
[44]ガラス上に[1]〜[42]の何れか1つに記載のインクの焼結体を有する装飾ガラス。
本発明のインクは、スクリーン印刷用インクなどの用途に好適に使用することができる。

Claims (13)

  1. 下記(A)〜(D)成分を含有するインク。
    (A)成分:金属ナノ粒子の表面が、有機保護剤で被覆された構成を有する表面修飾金属ナノ粒子
    (B)成分:テルペン系溶剤(b−1)及び/又はグリコールエーテル系溶剤(b−2)を含む溶剤
    (C)成分:ビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂を含むカチオン重合性化合物
    (D)成分:カチオン重合開始剤
  2. (A)成分100重量部に対して、(B)成分の含有量が30〜60重量部、(C)成分の含有量が0.5〜5重量部である請求項1に記載のインク。
  3. (A)成分を構成する有機保護剤が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、及びチオール基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物である請求項1又は2に記載のインク。
  4. 表面修飾銀ナノ粒子(A)における有機保護剤が、アミノ基を有する化合物として、総炭素数6以上の脂肪族モノアミン(1)と、総炭素数5以下の脂肪族モノアミン(2)及び/又は総炭素数8以下の脂肪族ジアミン(3)とを含む請求項1〜3の何れか1項に記載のインク。
  5. テルペン系溶剤(b−1)の沸点が130℃以上である請求項1〜4の何れか1項に記載のインク。
  6. グリコールエーテル系溶剤(b−2)の沸点が130℃以上である請求項1〜5の何れか1項に記載のインク。
  7. グリコールエーテル系溶剤(b−2)が、下記式(b-2-2)
    14−(O−R15n−OH (b-2-2)
    (式中、R14はアルキル基又はアリール基を示し、R15は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。nは1以上の整数を示す)
    で表される化合物である請求項1〜6の何れか1項に記載のインク。
  8. (C)成分であるビスフェノール骨格を有するエポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1〜7の何れか1項に記載のインク。
  9. 更に、バインダー樹脂を含有する請求項1〜8の何れか1項に記載のインク。
  10. 25℃、せん断速度10s-1における粘度が10〜400mPa・sである請求項1〜9の何れか1項に記載のインク。
  11. スクリーン印刷用である、請求項1〜10の何れか1項に記載のインク。
  12. 請求項1〜11の何れか1項に記載のインクの焼結体。
  13. ガラス上に請求項1〜11の何れか1項に記載のインクの焼結体を有する装飾ガラス。
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