JPWO2020066908A1 - 化合物超電導撚線およびその巻替え方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、従来の化合物超電導撚線より、引張りに対する強度を同等以上で、化合物超電導素線同士の非粘着性又は粘着後の分離容易性を向上した化合物超電導撚線及びその巻替え方法の提供。本発明の化合物超電導撚線1は、化合物超電導相を含む複数本の化合物超電導フィラメント15及び第一マトリックス16で構成される化合物超電導体部11と、化合物超電導体部の外周側に配置され、複数本の強化フィラメント18及び第二マトリックス19で構成される強化材部12と、強化材部の内周側及び外周側の少なくとも一方に配置される安定化材部13とを備える複数本の化合物超電導素線10を撚合わされた撚り構造体として構成され、化合物超電導素線に占める強化材部の体積比率は化合物超電導体部の体積比率より大きい、又は化合物超電導素線の表面に化合物超電導素線同士の熱融着防止の厚さ2μm以下の金属層20を有する。

Description

本発明は、化合物超電導撚線およびその巻替え方法に関し、特にリアクト・アンド・ワインド法で巻線される超電導コイルなどに用いるのに好適な化合物超電導撚線に関する。
従来の化合物超電導撚線は、例えば、特許文献1および非特許文献1に記載されているように、Cu−Nbなどの強化材を内包した複数本の線材を撚り合わせて撚線にした後、熱処理を施してから事前曲げ歪を加えた超電導撚線を、その後、超電導コイルを形成するために巻線する、いわゆるリアクト・アンド・ワインド法によって製造することができ、これによって、超電導コイルになった化合物超電導撚線の臨界電流が向上することが知られている。
しかしながら、上述した従来技術により製造した化合物超電導撚線は、引っ張りに対する強度そのものが十分に高いとは言えず、さらに高める必要がある。
また、従来の化合物超電導撚線は、一般に断面圧縮率が低い(例えば、撚線が平角型ラザフォードケーブルの場合には、約4%程度)ため、電流密度も十分に高めることができていない。
一方、電流密度を高めるために断面圧縮率を大きくすると、熱処理時に素線同士が部分的に熱融着によって粘着しやすくなり、素線同士が粘着した状態であると、繰り返し事前曲げ歪印加時に、撚線を構成する全ての素線のそれぞれに対して、均一な曲げ歪みを印加することができなくなるため、素線によっては、化合物超電導体部に大きな歪(または応力)が作用しやすくなって損傷する場合があった。
特許第5718171号公報
M.Sugimoto et.al.、「 Development of Nb-Rod-Method Cu-Nb Reinforced Nb3Sn Rutherford Cables for React-and-Wind Processed Wide-Bore High Magnetic Field Coils」、IEEE Trans. Appl. Super.、IEEE、2015年、第25巻、第3号、p.6000605
本発明の目的は、特に、リアクト・アンド・ワインド法によって、化合物超電導撚線を用いた電磁石(超電導コイル)を製造することを前提とし、撚線を構成する化合物超電導素線の適正化を図ることによって、従来の化合物超電導撚線に対して、引っ張りに対する強度(特に0.2%耐力)を同等または増加させつつ、化合物超電導素線同士の、非粘着性、または粘着後の分離容易性を格段に向上させた、超電導コイルの製造を商用ベースで可能とする、実用的な化合物超電導撚線およびその巻替え方法を提供する。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)化合物超電導相を含む複数本の化合物超電導フィラメント、および該複数本の化合物超電導フィラメントを埋設し、第一安定化材を含む第一マトリックスで構成されるコア状の化合物超電導体部と、該化合物超電導体部の外周側に配置され、複数本の強化フィラメント、および該複数本の強化フィラメントを埋設し、第二安定化材を含む第二マトリックスで構成される筒状の強化材部と、該強化材部の内周側および外周側の少なくとも一方に配置され、第三安定化材からなる筒状の安定化材部とを備える複数本の化合物超電導素線を撚り合わされた撚り構造体として構成され、前記化合物超電導素線に占める、前記強化材部の体積比率は、前記化合物超電導体部の体積比率よりも大きいことを特徴とする化合物超電導撚線。
(2)前記化合物超電導素線に占める、前記強化材部の体積比率は、40%以上65%以下であり、前記化合物超電導体部の体積比率が20%以上40%以下である、上記(1)に記載の化合物超電導撚線。
(3)前記複数本の化合物超電導素線のうちの一部または全部の化合物超電導素線は、他の化合物超電導素線の表面に粘着した状態から分離した際に生じた表面痕を有する、上記(1)または(2)に記載の化合物超電導撚線。
(4)化合物超電導相を含む複数本の化合物超電導フィラメント、および該複数本の化合物超電導フィラメントを埋設し、第一安定化材を含む第一マトリックスで構成されるコア状の化合物超電導体部と、該化合物超電導体部の外周側に配置され、複数本の強化フィラメント、および該複数本の強化フィラメントを埋設し、第二安定化材を含む第二マトリックスで構成される筒状の強化材部と、該強化材部の内周側および外周側の少なくとも一方に配置され、第三安定化材からなる筒状の安定化材部とを備える複数本の化合物超電導素線を撚り合わされた撚り構造体として構成され、前記化合物超電導素線の表面に、前記化合物超電導素線同士の熱融着を防止する、厚さが2μm以下の金属層を有することを特徴とする化合物超電導撚線。
(5)金属層の厚さが1μm以下である、上記(4)に記載の化合物超電導撚線。
(6)前記化合物超電導体部と前記強化材部との間に、Sn拡散防止部をさらに有する、上記(1)から(5)までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線。
(7)前記化合物超電導相がNbSnであり、前記第一安定化材が銅または銅合金であり、前記Sn拡散防止部が、NbもしくはTaまたはそれらの合金もしくは複合材からなり、前記強化フィラメントが、Nb、Ta、V、W、Mo、Fe、Ti、AgおよびHfの群から選択される1種の金属または2種以上の合金からなり、前記第二安定化材が銅または銅合金であり、前記第三安定化材が銅または銅合金である、上記(6)に記載の化合物超電導撚線。
(8)前記化合物超電導素線に占める、前記第二安定化材の体積比率および前記第三安定化材の体積比率の合計が、50%以上である、上記(1)から(7)までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線。
(9)前記化合物超電導素線に占める、前記強化フィラメントの体積比率および前記Sn拡散防止部の体積比率の合計が、15%以上である、上記(6)に記載の化合物超電導撚線。
(10)前記化合物超電導素線に占める、前記強化材部を構成する前記強化フィラメントの体積比率が、11%以上15%以下である、上記(1)から(9)までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線。
(11)前記撚り構造体は、略平角断面形状を有する、上記(1)から(10)までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線。
(12)前記化合物超電導撚線を構成する前記化合物超電導素線間に介挿された、前記化合物超電導素線同士の熱融着を防止する、金属テープをさらに有する、上記(11)に記載の化合物超電導撚線。
(13)前記撚り構造体は、断面圧縮率が5%以上20%以下である、上記(11)または(12)に記載の化合物超電導撚線。
(14)上記(1)から(13)までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線の巻替え方法であって、前記化合物超電導撚線を、第1巻付部材から第2巻付部材に巻き替えるとき、前記第1巻付部材から、前記化合物超電導撚線を前記第1巻付部材の接線方向に延出させ、前記第1巻付部材に巻き付けられていたときと同じ曲げ方向に前記化合物超電導撚線を曲げながら第2巻付部材に巻き取ることを特徴とする前記化合物超電導撚線の巻替え方法。
本発明の化合物超電導撚線は、化合物超電導相を含む複数本の化合物超電導フィラメント、および該複数本の化合物超電導フィラメントを埋設し、第一安定化材を含む第一マトリックスで構成されるコア状の化合物超電導体部と、該化合物超電導体部の外周側に配置され、複数本の強化フィラメント、および該複数本の強化フィラメントを埋設し、第二安定化材を含む第二マトリックスで構成される筒状の強化材部と、該強化材部の内周側および外周側の少なくとも一方に配置され、第三安定化材からなる筒状の安定化材部とを備える複数本の化合物超電導素線を撚り合わされた撚り構造体として構成され、前記化合物超電導素線に占める、前記強化材部の体積比率は、前記化合物超電導体部の体積比率よりも大きいか、または、化合物超電導素線の表面に、化合物超電導素線同士の熱融着を防止する、厚さが2μm以下の金属層を有することによって、特に、従来の化合物超電導撚線に対して、引っ張りに対する強度(特に0.2%耐力)を同等または増加させつつ、化合物超電導素線同士の、非粘着性、または粘着後の分離容易性を格段に向上させた、超電導コイルの製造を商用ベースで可能とする、実用的な化合物超電導撚線の提供が可能になった。
図1は、本発明の実施形態に係る化合物超電導撚線を構成する複数本の化合物超電導素線のうち、1本の化合物超電導素線の概略断面図であって、圧縮する前の状態を示す。 図2は、本発明の別の実施形態に係る化合物超電導撚線を構成する複数本の化合物超電導素線のうち、1本の化合物超電導素線の概略断面図であって、圧縮する前の状態を示す。 図3は、本発明の他の実施形態に係る化合物超電導撚線を構成する複数本の化合物超電導素線のうち、1本の化合物超電導素線の概略断面図であって、圧縮する前の状態を示す。 図4(a)および図4(b)は、本発明の一の実施形態に係る化合物超電導撚線の概略断面図であって、図4(a)が、圧縮前の撚線断面状態、図4(b)が、断面圧縮率6%で圧縮した後の撚線断面状態(実施例1)を示す。 図5は、本発明の別の実施形態に係る化合物超電導撚線の概略断面図であって、断面圧縮率12%で圧縮した後の撚線断面状態(実施例2)を示す。 図6は、本発明の他の実施形態に係る化合物超電導撚線の概略断面図であって、化合物超電導素線間に金属テープを介挿した状態で、断面圧縮率12%で圧縮した後の撚線断面状態(実施例3)を示す。 図7は、本発明の実施形態に係る化合物超電導撚線の製造方法を説明するための代表的な工程フロー図である。 図8は、本発明の実施形態に係る化合物超電導撚線の巻替え方法における曲げ径を説明するための図である。
次に、本発明に従う化合物超電導撚線の好ましい実施形態について、以下で詳細に説明する。
[化合物超電導撚線]
図1は、本発明の一の実施形態に係る化合物超電導撚線を構成する複数本の化合物超電導素線のうち、1本の化合物超電導素線10を圧縮前の状態で抜き出して示す概略断面図であり、また、図4(a)および図4(b)は、本発明の一の実施形態に係る化合物超電導撚線の概略断面図であって、図4(a)が、圧縮前の化合物超電導撚線1の断面状態、図4(b)が、断面圧縮率6%で圧縮した後の化合物超電導撚線1Aの断面状態を示したものである。
図4(a)に示す実施形態の化合物超電導撚線1は、複数本の化合物超電導素線10、図4(b)では、並列配置した8本の化合物超電導素線10を2段に重ねて配置した合計16本の化合物超電導素線を、撚り合わせた撚り構造体として構成されている。かかる撚り構造体は、略平角断面形状を有し、化合物超電導撚線1を、いわゆる平角型ラザフォードケーブルとして形成した場合を示している。
<化合物超電導素線>
化合物超電導素線10は、化合物超電導体部11と、強化材部12と、安定化材部13とで主に構成されている。
(化合物超電導体部)
化合物超電導体部11は、化合物超電導相を含む複数本の化合物超電導フィラメント15と、複数本の化合物超電導フィラメント15を埋設し、第一安定化材を含む第一マトリックス16とで構成され、全体としてコア状をなしている。
前記化合物超電導相は、NbSn(ニオブ−スズ)で形成される金属化合物超電導相であることが好ましいが、これだけに限らず、例えばNbAl(ニオブ−アルミニウム)や、超電導特性を有する他の化合物超電導相で形成されていてもよい。
第一マトリックス16を構成する第一安定化材は、銅(Cu)または銅合金であることが好ましい。第一マトリックス16を配設することによって、化合物超電導素線10における、化合物超電導フィラメント15の損傷の抑制、磁気的安定化、熱的安定化という効果を奏することができる。
なお、図1は、第一安定化材であるCu−Sn(銅−スズ)基合金の第一マトリックス前駆体(熱処理前の第一マトリックス)中に、複数本のNbフィラメントが埋設された状態で伸線加工等を施して形成した化合物超電導前駆体素線に対し、熱処理を施すことによって、第一マトリックス前駆体中のSnが拡散して、Nbフィラメントの表面と反応することによって、NbフィラメントからNbSnフィラメントを生成することができる、いわゆるブロンズ法によって製造したときの化合物超電導体部11を示したものであって、図1に示す化合物超電導体部11の拡大図では、Snと反応せずに残った未反応Nbの芯部分17が存在する場合を示している。しかしながら、化合物超電導体部11は、第一マトリックス前駆体中に含有されるSnの量や、熱処理前のNbフィラメントの径サイズなどによっては、熱処理後の化合物超電導フィラメント15を、未反応Nbの芯部分17が存在せずに、全てNbSnからなるフィラメントとして生成することも可能である。
また、第一マトリックス前駆体のCu−Sn基合金は、Snを最大で15.8質量%(固溶限)まで含有することができるが、熱処理後の第一マトリックス16を構成するCu−Sn基合金中のSn含有量は、熱処理条件にもよるが、NbSnフィラメント15の生成に使用される結果として、通常1〜2質量%程度と少なくなることから、第一マトリックス16を構成するCu−Sn基合金は、実質的にCuからなる安定化材に相当する機能を有することができる。
加えて、第一安定化材であるCu−Sn(銅−スズ)基合金は、CuとSn以外の他の元素を少量であれば含有していてもよく、例えばTi等を0.2〜0.3質量%の範囲で含有することが好ましい。
(強化材部)
強化材部12は、複数本の強化フィラメント18と、第二安定化材を含む第二マトリックス19とで構成され、化合物超電導体部11の外周側に配置され、全体として筒状をなしている。また、強化材部12は、複数本の強化フィラメント18を第二マトリックス19に埋設したものである。
図4(b)に示す実施形態の化合物超電導撚線1に用いる化合物超電導素線10は、図1に示すように、化合物超電導素線10に占める、強化材部12の体積比率を、化合物超電導体部11の体積比率よりも大きくしている。このような構成を採用した理由は、以下の通りである。
一般に、撚線に熱処理を施すと、撚線を構成する素線同士で熱融着が発生しやすい。この融着状態は、撚線を小型化するために各素線を外部から圧縮してから熱処理を行うとき、断面圧縮率を大きくするにつれて顕著に発生しやすくなる。このような融着状態のままの撚線を曲げると、曲げ中心が撚線全体の中心となるため、融着部によって一体化した素線は、曲げの外側に位置する素線には、より大きな引張応力が作用する一方、内側に位置する素線には、より大きな圧縮応力が作用することになって、素線ごとに作用する応力が異なることから、素線によっては破断等が発生しやすい状況がある。その結果、撚線としての曲げ性に問題があった。
このため、本実施形態の化合物超電導撚線1は、化合物超電導素線10に占める、強化材部12の体積比率を、化合物超電導体部11の体積比率よりも大きくすることによって、各素線10の引張り時の強度が増加するとともに、曲げ剛性が向上し、素線10同士で融着(粘着)が生じていた場合でも、撚線全体の曲げに対し各素線の反発力を増大させて、融着部が容易に分離(剥離)しやすくなり、その結果、撚線の曲げに伴い、撚線を構成する全ての素線は、いずれも各素線の曲げの中立軸で曲げられるようになり、融着による一体化に起因した素線の破断が起こりにくくなることで、撚線全体としての曲げ性を向上させることができるとともに、引っ張り時の強度(例えば0.2%耐力)を高めることができる。
化合物超電導素線に占める強化材部の体積比率は、具体的には40%以上65%以下であることが好ましい。前記体積比率が40%未満だと、各素線10の引張り時の強度を十分に増加させることができず、素線10同士で融着(粘着)が生じていた場合に、融着部を容易に分離(剥離)することができなくなるおそれがあり、また、前記体積比率が65%超えだと、化合物超電導体部の体積比率が小さくなりすぎて、超電導特性を十分に確保できなくなるおそれがあるからである。
また、化合物超電導素線に占める化合物超電導体部の体積比率は、20%以上40%以下であることが好ましい。前記体積比率が20%未満だと、化合物超電導体部の体積比率が小さくなりすぎて、超電導特性を十分に確保できなくなるおそれがあり、また、前記体積比率が40%超えだと、強化材部12の体積比率が小さくなりすぎて、素線10の引張り時の強度を十分に増加させることができず、素線10同士で融着(粘着)が生じていた場合に、融着部を容易に分離(剥離)することができなくなるおそれがあるからである。
さらに、本実施形態の化合物超電導撚線1は、複数本の化合物超電導素線10のうちの一部または全部の化合物超電導素線は、他の化合物超電導素線の表面に粘着した状態から分離した際に生じた表面痕を有していても良い。これによって、少なくとも上下の素線同士が、熱融着(粘着)後に分離(剥離)している結果、撚線全体に曲げを加えたときに、各素線の曲げの中立軸で曲げられるようになり、撚線全体としての曲げ性を向上させることができるとともに、引っ張り時の強度(例えば0.2%耐力)を高めることができる。なお、表面痕は、素線の表面を目視または5倍から20倍程度の拡大鏡で観察することによって、素線同士が熱融着(粘着)後に分離(剥離)されたか否かについての判別を行うことができる。
強化フィラメント18は、Nb、Ta、V、W、Mo、Fe、Ti、AgおよびHfの群から選択される1種の金属または2種以上の合金を主として含有して形成することが好ましい。ここで、強化フィラメント18において「主として含有」するとは、強化フィラメントが不可避不純物を含んでもよいことを指す。
一例を挙げて説明すると、強化フィラメント18がNbを主として含有する場合であれば、例えばO:150ppm以下、H:15ppm以下、C:100ppm以下、N:100ppm以下、Fe:50ppm以下、Ni:50ppm以下、Ti:20ppm以下、Si:50ppm以下、W:300ppm以下、およびTa:1000ppm以下、程度の不可避不純物が含まれることがある。また、強化フィラメント18がTaを主として含有する場合であれば、O、H、C、N、Fe、Ni、Ti、Si、W、NbおよびMoの不可避不純物が含まれることがある。
これらの単体金属または合金は、化合物超電導体の生成熱処理の際に、強化フィラメント18を構成する金属または合金が、Cuに固溶しにくいため、Cuとの化合物が形成されにくく、曲げ歪特性の向上に有効に寄与する。なお、本発明の実施形態において、強化フィラメント18を構成する材料としては、化合物超電導撚線1への影響を考慮すると、強磁性を示さないNb、Ta、V、W、MoおよびHfが好ましく、更に、加工性の点からはNb、TaまたはVが好ましい。
また、前記群から選択された2種以上の金属で構成される合金としては、銅または銅合金との複合加工性に優れるという点で、Nb−Ta合金が好ましく、前記群から選択された金属と銅とで構成される合金としては、銅または銅合金との複合加工性に優れるという点で、Cu−Nb合金またはCu−V合金が好ましい。
なお、上述のCuに固溶しにくいとは、化合物超電導相を生成する際の熱処理温度(例えば、600℃〜750℃)において、強化フィラメント18を構成する金属または合金がCuに固溶するのが、1at%未満であることを意味する。
上述のように、強化材部12は、Cuと固溶しにくい金属材料を主として含有する複数の強化フィラメント18が、第二マトリックス19に埋設された構成を採用することによって、強化材部12内の強化フィラメント18に金属間化合物が生成(存在)するのを抑制でき、引張り歪および曲げ歪に強い高強度な強化部材を形成することができる。
また、化合物超電導素線に占める強化フィラメントの体積比率は11%以上15%以下であることが好ましく、12%以上14%以下であることがより好適である。前記体積比率が11%未満だと、引張り時の強度の増加や曲げ剛性の向上が十分でなく、素線同士で融着(粘着)が生じていた場合でも、撚線全体の曲げに対し各素線の反発力が不十分となり、融着部を容易に分離(剥離)することができなくなるという問題が生じるおそれがあり、また、前記体積比率が15%超えだと、撚線成型加工の断面圧縮率が大きい場合に、各素線の反発力が強過ぎて、圧縮荷重の局所的な変動が生じて成型撚線の仕上がり形状に問題が生じるおそれがあるからである。
第二マトリックス19を構成する第二安定化材は、銅または銅合金を主として含有して構成することが好ましい。なお、第二安定化材において「主として含有」するとは、不可避不純物を含んでもよいことを指す。ここで、不可避不純物としては、O、Fe、SおよびBiが挙げられる。第二安定化材を配設することによって、強化材部12に強化機能だけでなく安定化機能を具備させるという効果を奏することができる。
(安定化材部)
安定化材部13は、強化材部12の内周側および外周側の少なくとも一方、図1では、強化材部12の内周側および外周側の双方に配置され、第三安定化材からなり、全体として筒状をなしている。安定化材部13を配設することによって、強化材12の加工中の異常変形を抑制し、安定化機能を具備するという効果を奏することができる。
第三安定化材は、銅または銅合金を主として含有して構成することが好ましい。なお、第三安定化材において「主として含有」するとは、不可避不純物を含んでもよいことを指す。ここで、不可避不純物としては、O、Fe、SおよびBiが挙げられる。
また、化合物超電導素線10に占める、強化材部12を構成する第二安定化材の体積比率(%)、および安定化材部13を構成する第三安定化材の体積比率の合計は、50%以上であることが好ましい。化合物超電導体部11の外側に配置された、強化材部12中の第二安定化材の体積比率と、安定化材部13を構成する第三安定化材の体積比率の合計を50%以上とすることにより、残留抵抗比の低下を抑制して、撚線を使用する低温時の抵抗を低減することができる。
なお、本発明の化合物超電導撚線1では、化合物超電導体部11を構成する第一安定化材、補強材部12を構成する第二安定化材、および安定化材部13を構成する第三安定化材を使用しているが、ここでいう「安定化材」とは、JIS H 7005:2005に規定されているように、冷媒と熱的接触を確保し、および/または、電気的分流回路として働くように超電導体に電気的および/または熱的に接触させた、一般的には金属である材料であって、超電導体に複合化されて超電導体の安定性を増加させる常電導金属材料を意味する。具体的には、銅やアルミニウムなどの常電導金属は、極低温で比抵抗が低く、熱伝導が良いため、超電導線のマトリックスとして使用した場合、超電導状態から常電導状態への転移があっても、これらの常電導金属に電流がバイパスして流れる。これにより、発熱が抑えられ、また、発生した熱はすばやく伝播・拡散し、冷却される。さらには、外部の磁束変動をダンピングして超電導体にじかに磁束変動を伝えない、銅やアルミニウムなどの常電導金属が、超電導線の安定化材として広く用いられる。
(金属層)
また、図2は、別の実施形態の化合物超電導撚線(図示せず)を構成するのに用いた化合物超電導素線10Aを示したものである。この実施形態の化合物超電導撚線は、化合物超電導素線10の代わりに、図2に示す化合物超電導素線10Aを用いて形成したものである。そして、この実施形態の化合物超電導撚線は、化合物超電導素線10Aでは、表面に、前記化合物超電導素線同士の熱融着を防止する、厚さが2μm以下の金属層20を有している。素線の表面に金属層を形成することによって、撚線に熱処理を施しても、撚線を構成する素線同士で熱融着することを防止し、撚線に曲げを付与した際も素線同士が分離している結果、各素線はその曲げの中立軸で曲がるようになり、素線の破損を防止することができる。これにより、撚線の曲げ性を向上させることが可能である。
金属層20の形成方法は、電解めっき法や無電解めっき法のような湿式めっき法だけではなく、化学蒸着法や物理蒸着法のような乾式めっき法で形成することができる。金属層を構成する金属としては、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)のような金属の他、Cu-Ni、Cu−Si、Cu−Znのような銅合金が挙げられるが、特に、金属層をCrめっきで形成することが、非粘着性および耐摩耗性に優れていることから好ましい。なお、金属層20の厚さは、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下とする。金属層を1μm以下にすることにより、熱処理後、素線同士の融着を防止する機能を保持しつつ、化合物超電導相(例えばNbSn)の生成熱処理をしたときに、安定化材にとっては不純物である金属層の成分(例えばクロム(Cr))の拡散する量を抑制することができる結果、残留抵抗比の低下を抑制し、撚線を使用する低温時の抵抗を低減することができる。加えて、金属層の下限値は、金属層が存在しない無めっき部位の発生を回避するという点から、0.2μm以上とすることが好ましい
(化合物超電導素線の任意の構成部分)
本発明の化合物超電導撚線1を構成する化合物超電導素線10では、化合物超電導体部11と、特定の体積比率の強化材部12と、安定化材部13とを必須の構成部分とし、あるいは、化合物超電導体部11と、強化材部12と、安定化材部13と、金属層20とを必須の構成部分としているが、更に他の構成部分を有していてもよい。
例えば、化合物超電導体部11と強化材部12との間に、Sn拡散防止部14を配設することができる。
Sn拡散防止部14は、NbもしくはTaまたはそれらの合金もしくは複合材からなることが好ましい。Sn拡散防止部14は、化合物超電導体部11にNbSnフィラメントを形成するための第一マトリックス16を構成するCu−Sn基合金中のSnが、強化材部12や安定化材部13に拡散するのを防止して、これらを構成する第二及び第三安定化材の残留抵抗比の低下を抑止するだけではなく、Nbフィラメントと反応してNbSnを生成するために必要なSn量を、Cu−Sn基合金中に保持する機能を有している。
なお、図1に示す化合物超電導素線10では、化合物超電導体部11と強化材部12との間に、1層のSn拡散防止部14を配設した場合を示しているが、2層以上のSn拡散防止部14a、14bを配設してもよい。図3は、2層のSn拡散防止部14a、14bを配設した化合物超電導素線10Bを示したものである。
化合物超電導素線10に占める、強化材部12を構成する強化フィラメント18の体積比率およびSn拡散防止部14の体積比率の合計が、15%以上であることが好ましい。強化材部12中の強化フィラメント18の体積比率とSn拡散バリア部14の体積比率の合計が15%以上であることにより、各素線において、主に化合物超電導体部11の外側の強度を高めることで曲げ剛性が高まり、それによって、撚線を曲げたときの融着部の剥離がより容易になる結果として、撚線全体としての曲げ性を向上させることができる。また、素線同士の熱融着(粘着)後の分離容易性をより一層向上させる必要がある場合には、化合物超電導素線10に占める、強化材部12を構成する強化フィラメント18の体積比率およびSn拡散防止部14の体積比率の合計は、16%以上23%以下であることがより好適である。なお、前記体積比率の合計の上限値は、化合物超電導体部11の体積比率が小さくなりすぎることを避けて化合物超電導素線10の臨界電流値を確保するという観点から、25%以下であることが好ましい。
また、化合物超電導体部11の体積比率と、Sn拡散防止層14の体積比率の合計は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。前記体積比率の合計が20%以上であると、リアクト・アンド・ワインド法を用いた超電導撚線において実用的な臨界電流値を得ることができる。
[化合物超電導撚線のその他の実施形態]
その他の実施形態としては、化合物超電導撚線1が、図4(b)に示すように、略平角断面形状を有し、いわゆる平角型ラザフォード撚線(ケーブル)として形成した場合だけではなく、丸型の化合物超電導撚線であってもよい。
また、化合物超電導撚線が略平角断面形状を有する場合には、図6に示すように、化合物超電導撚線1Cを構成する化合物超電導素線10´―3、10´―3間に介挿された、前記化合物超電導素線同士の熱融着を防止する、金属テープ30をさらに有することが好ましい。これによって、金属テープの両面側にある各素線10´―3、10´―3同士の融着を有効に防止することができる。
金属テープ30の材質としては、耐熱金属であればよく、例えばSUS304やSUS316Lのようなステンレス鋼を用いるのが好ましい。なお、金属テープ30の厚さは、例えば0.02〜0.10mm程度であればよい。なお、図4(b)は、複数本の化合物超電導素線10´―1を2段に重ねた場合を示しているが、複数本の化合物超電導素線10´―1を3段以上重ねて平角型ラザフォード撚線としてもよく、この場合には、金属テープを、隣接する段と段の間に介挿することができる。
さらに、化合物超電導撚線(撚り構造体)は、断面圧縮率が5%以上20%以下であることが好ましい。これよって、撚線を構成する素線同士をより密に配置することができるため、撚線の外形寸法を小さくして撚線全体を小型化することができるとともに、撚線の電流密度を大きくすることができる。さらには、マグネット(超電導コイル)にしたとき、高密度となり各素線が動きにくいので、擾乱によって撚線が発熱し、超電導状態からのクエンチの発生が抑制されるなど、超電導特性を向上させることができる。
図4〜図6は、断面圧縮率を変化させて圧縮した後の化合物超電導撚線の断面状態を模式的に示したものであって、図4(a)が圧縮前の撚線断面状態、図4(b)が断面圧縮率6%で圧縮した後の撚線断面状態、図5が断面圧縮率12%で圧縮した後の撚線断面状態、そして、図6が、化合物超電導素線10´―3、10´―3間に金属テープ30を介挿した状態で、断面圧縮率12%で圧縮した後の撚線断面状態を例として示している。
なお、ここでいう「断面圧縮率」とは、例えば化合物超電導撚線が略平角断面形状を有するラザフォード撚線の場合、厚さ方向の断面圧縮率を意味し、具体的には、図4(b)に示すように、並列配置した複数本の化合物超電導素線をn段に重ねて配置した撚り構造体で考えるとき、素線径をd(mm)とし、圧縮後の化合物超電導撚線の厚さをt(mm)とするとき、断面圧縮率Pは、下記の式で表される。
P(%)=1−{t/(n×d)}×100
なお、ラザフォード撚線では、キーストン角を有するもの(断面が楔形になっていて、厚エッジと薄エッジとがある)もありますが、その場合は、幅方向の中央値の断面圧縮率(厚エッジの厚さと薄エッジの厚さの平均値を厚さtとする)を用いることとする。
また、化合物超電導撚線が丸型撚線の場合の断面圧縮率の定義は、横断面内で、最も圧縮変形が大きい隣接した2本分の素線の圧縮後の合計厚さをt(mm)とすることによって、断面圧縮率Pは、下記の式で表される。
P(%)=1−{t/(2×d)}×100
[化合物超電導撚線の製造方法]
次に、本実施形態の化合物超電導撚線1の製造方法について、以下で説明する。
図7は、本実施形態の化合物超電導撚線の製造方法の各工程を示したフロー図である。図7に示す実施形態における化合物超電導撚線の製造方法は、線材形成工程S1、金属層形成工程S2、撚線工程S3、化合物超電導相形成のための熱処理工程S4、および曲げ歪印加工程S5とで主に構成されている。
本実施形態の化合物超電導撚線の製造方法は、リアクト・アンド・ワインド法によるコイル製作が可能であり、その素線の断面構造に応じて、上述した一連の製造工程S1〜S5を通じて、化合物超電導体部11の内部歪が制御されているので、製造途中で線材がダメージを受けることが少なく、マグネットの巻線を行う際の巻き付け方向についての使用方法が明らかにされているため、製作されたマグネット運転時に優れた通電特性を得ることができ、適正な運転安全率でのマグネット設計が可能となり、線材コストを削減することができる。以下、各工程ごとに説明する。
(線材形成工程)
線材形成工程S1は、複数本のNbフィラメントと、これらのNbフィラメントを埋設したCu−Sn基合金からなるマトリックスとで構成された化合物超電導体前駆体部と、この外周側に、Sn拡散防止部14と、強化材部12と、安定化材部13とを順次配設して形成したビレットに対して押出加工を行なった後に、伸線加工を行なうことによって、化合物超電導相を生成するための熱処理工程S4を行なう前の化合物超電導前駆体素線である線材を形成する工程である。
線材形成工程S1としては、例えば化合物超電導相がNbSnの場合には、ブロンズ法や内部スズ(Sn)拡散法、パウダインチューブ(PIT)法などの既知のNbSn線材を作製するための線材形成工程を適用することができる。
(金属層形成工程)
金属層形成工程S2は、化合物超電導前駆体素線の表面に、前記化合物超電導前駆体素線同士の熱融着を防止する、厚さが2μm以下の金属層を形成する工程であって、化合物超電導素線に占める、強化材部の体積比率を、化合物超電導体部の体積比率よりも大きくする場合には、省略することができる。例えば、化合物超電導前駆体素線を、クロムめっき液中に浸漬させた状態で、カソード電流を流す電気めっき法によって、化合物超電導前駆体素線の表面にCrめっき層を金属層として形成することができる。
(撚線工程)
撚線工程S3は、複数本の化合物超電導前駆体素線を撚り合わせて、化合物超電導前駆体撚線を作製するための工程である。撚線工程S3は、具体的には、撚り合わせた後、ラザフォードケーブルなどの所定の形状に、成型ロール装置などを用いた圧延等の成型加工を施すことよって行なえばよい。
(熱処理工程)
熱処理工程S4は、化合物超電導相を形成するための熱処理工程である。
熱処理工程S4で熱処理を行なった後に、熱処理温度(例えば、670℃、96時間)から室温(例えば、25℃)まで冷却したとき、線材を構成する各々の部材の熱膨張係数の違いにより、化合物超電導体部11を構成するNbSnフィラメントと、TaやNbなどで構成されるSn拡散防止部14には、圧縮応力(圧縮歪)が残留した状態となり、また、化合物超電導体部11を構成する第一マトリックスの第一安定化材(Cu−Sn基合金材)と、強化材部12を構成する第二安定化材および安定化材部13を構成する第三安定化材には、引張応力(引張り歪)が残留した状態となる。このような状態にある撚線を、室温で引っ張ったり曲げたりすると、線材の断面内で、強化材部12が、張力を受け持つことができるので、NbSnフィラメントがダメージを受けにくくなる。さらに、化合物超電導線の断面構造に応じて、繰り返し曲げ歪の大きさを選ぶことにより、強化材部12における強度を増加させ、かつ、NbSnフィラメント群の圧縮応力を緩和することにより、マグネットの使用環境下での超電導性能を向上させることができる。熱処理において、化合物超電導前駆体撚線を熱処理用ボビン等の巻付け部材に巻き付けた状態で行うと、その巻き直径Dhを基準とした形状でNbSnフィラメントが形成される。
(曲げ歪印加工程)
曲げ歪印加工程S5は、熱処理工程S4において得られた超電導撚線Wに曲げ加工を施して、所定の曲げ歪みを加える工程である。
曲げ歪印加装置(図示せず)は、熱処理用ボビンに巻き付けられた超電導撚線を、軸方向に回転させることなく、直線状に巻き出した後に、超電導撚線Wに対して適当な曲げ歪みを加えながら、超電導撚線Wを通過させるように複数個のプーリーを適当に配置したものである。
図8に示すように、熱処理用ボビン21に円弧状に巻き付けられている超電導撚線Wを、軸方向に回転させることなく巻き出して直線状に曲げ変形させると、下記式(1)に示す曲がり直線状にすることによる曲げ歪εb-straightを受けることになる。ただし、基準とする寸法を、化合物超電導体部(Sn拡散防止部は含まず。)の直径dfbとする。なお、ここで、本発明の化合物超電導撚線を構成する複数本の化合物超電導素線は、それぞれが独立に動けるので、曲げ歪の中立線は、各素線を構成する化合物超電導体部11の中央位置にあるとした。また、化合物超電導体部(フィラメント群)の径dfbを、素線の直径dに置き換えると、素線表面を基準とした曲げ歪となる。
Figure 2020066908
この後、熱処理用ボビン21に巻き付けられていたときと同じ方向(正方向)に配置した、直径がD1である正方向曲げプーリー22に巻き付けると、下記式(2)に示す正方向曲げ歪εb-positiveを受けることになる。より詳細には、化合物超電導体部11の表面外側部分は、引張り歪を受け、化合物超電導体部11の表面内側部分は、表面外側部分とは反対方向の圧縮歪を受けることになる。
Figure 2020066908
一方、熱処理ボビン21に巻き付けられていたときと反対方向(逆方向)に配置した、直径がD2である逆方向曲げプーリー23に巻き付けると、下記式(3)に示す逆方向曲げ歪εb-negativeを受けることになる。より詳細には、化合物超電導体部11の表面外側部分は圧縮歪を受け、化合物超電導体部11の表面内側部分は、表面外側部分とは反対方向の引張歪を受けることになる。
Figure 2020066908
化合物超電導体部(フィラメント群)11が受ける最大歪みは、巻き線時に印加される、曲げ径による最大の引張り曲げ歪と、軸方向張力による引張歪を足し合わせて、議論することができる。すなわち、化合物超電導体部11が受ける最大歪みが、化合物超電導フィラメント15の損傷が生じない最大歪を超えないようにする必要がある。式(3)で示したとおり、熱処理時の曲げ方向に対し逆方向に曲げたときに印加される最大歪を制御することが肝要である。
また、化合物超電導撚線1は、撚線工程で撚線を形成した撚線工程以降で、撚線の外周面に絶縁テープを巻付けて被覆することもできる。絶縁テープを損傷しにくくするという観点からは、化合物超電導相生成熱処理工程後、または、曲げ歪印加工程後に、絶縁テープを巻き付けて被覆することが好ましい。
[化合物超電導撚線の巻替え方法]
本発明の化合物超電導撚線の巻替え方法は、図8に示すように、化合物超電導撚線Wを、第1巻付部材、例えば熱処理用ボビン21から、正方向曲げプーリー22と逆方向曲げプーリー23とを経由して、第2巻付部材、例えば超伝導コイルを形成するための巻取ボビン24に巻き替えるとき、熱処理用ボビン21から化合物超電導撚線Wを熱処理用ボビン21の接線方向に延出させ(巻き出し)、熱処理用ボビン21に巻き付けられていたときと同じ曲げ方向に化合物超電導撚線Wを曲げながら巻取ボビン24に巻き取ることが好ましい。
<その他の実施形態>
なお、上述した実施形態は、この発明の具体的態様の理解を容易にするため例示したものであって、この発明は、かかる実施形態だけには限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈される。
上記の説明は、化合物超電導撚線を構成する化合物超電導素線が、直径d、化合物超電導体部(超電導フィラメント群)の直径dfbの丸断面の素線構造に着目したものであるが、本発明の効果は、化合物超電導素線の断面が、矩形状等であっても、同様な効果が得られる。断面が厚さd、幅dの矩形状の場合、超電導フィラメント群の厚さ寸法dfb t、幅寸法dfb として、丸線の場合のdとdfbの値を、フラットワイズ方向に曲げるときはdとdfb tに置き換え、エッジワイズ方向に曲げるときはdとdfb に置き換える。
<化合物超電導撚線の用途>
本発明の化合物超電導撚線1は、高磁場発生用マグネット、半導体製造装置、医療用粒子加速器、研究用理化学マグネットなどに使用するのが好適である。
さらに、本発明の化合物超電導撚線1は、超電導応用機器に応じて適正な撚線を得るために、直径が大きい素線を用いたり、撚り本数を多くしたりして、撚線の通電容量を大きくすることができ、また、素線径を小さくすることにより、撚線時および巻線時の許容曲げ径を小さくすることができ、これによって、超電導応用機器に応じた適正な撚線を得ることができる。化合物超電導素線10の素線径は、0.2mm以上2.0mm以下の範囲であることが好ましい。前記素線径が2.0mmより大きくなると、可とう性が悪くなって、取り扱い性が悪くなる傾向があるからであり、また、前記素線径が0.2mmより小さくなると、化合物超電導素線10自体の強度が弱くなって、取り扱い性が悪くなる傾向があるからである。
以下に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はそれらの実施例だけに限定されるものではない。
(実施例1A)
化合物超電導フィラメントの熱処理前の前駆体であるNbフィラメントを、第一マトリックスの熱処理前の前駆体であるCu−14質量%Sn-0.2質量%Tiからなる第一マトリックス前駆体内に埋設し、複数本束ねられてツイストされた化合物超電導前駆体部を形成するとともに、その化合物超電導前駆体部の外周に、TaからなるSn拡散防止部を配置し、その外周に、Cu−20体積%Nbからなる強化材部を配置し、さらにその外周に、無酸素銅からなる安定化材部を有し、図1に示す素線の断面構造をもち、直径0.80mmのNbSn超電導前駆体素線を準備した。NbSn超電導前駆体素線を構成する、化合物超電導前駆体部、Sn拡散防止部、強化材部および安定化材部の体積比率は、それぞれ21%、4%、60%、15%であった。強化フィラメント(Nb)の強化材部に対する体積比率は20%とした。その後、16本のNbSn超電導前駆体素線を撚り合わせた後、6%の断面圧縮率で厚さ方向に圧縮して、平角断面形状のNbSn超電導前駆体撚線を作製した。このとき、撚線は、導体幅を6.45mmとし、撚りピッチを65mmとした。次に、670℃×96時間の化合物超電導相の形成熱処理を行なった後、曲げ歪みを印加して、化合物超電導撚線を作製した。曲げ歪み印加条件は下記に示す。
<曲げ歪み印加条件>
熱処理ボビン21の直径Dh :500mm
正方向曲げプーリー22の直径D1 :125mm
逆方向曲げプーリー23の直径D2 :250mm
化合物超電導体部11の正方向曲げ歪みεfb-positive :0.22%
化合物超電導体部11の逆方向曲げ歪みεfb-negative :−0.22%
曲げ歪み印加工程での曲げ回数 :10回以上
(実施例1B)
図2に示す素線の断面構造をもち、NbSn超電導前駆体素線を構成する、化合物超電導前駆体部、Sn拡散防止部、強化材部および安定化材部の体積比率は、それぞれ41%、4%、35%、20%であり、そして、素線を構成する安定化材部13の表面に、厚さが0.5μmのCrめっき層を有すること以外は、実施例1Aと同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(実施例1C)
図3に示す素線の断面構造をもち、NbSn超電導前駆体素線を構成する、化合物超電導前駆体部、Sn拡散防止部、強化材部および安定化材部の体積比率は、それぞれ22%、8%、50%、20%であり、そして、Sn拡散防止部がTa層とNb層の2層で構成されていることと強化フィラメント(Nb)の強化材部に対する体積比率が30%であること以外は、実施例1Aと同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(比較例1)
NbSn超電導前駆体素線を構成する、化合物超電導前駆体部、Sn拡散防止部、強化材部および安定化材部の体積比率は、それぞれ41%、4%、35%、20%であること以外は、実施例1Aと同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(実施例2A)
撚り合わせた後の断面圧縮率が12%であること以外は、実施例1Aと同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(実施例2B)
撚り合わせた後の断面圧縮率が12%であること以外は、実施例1Bと同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(実施例2C)
撚り合わせた後の断面圧縮率が12%であること以外は、実施例1Cと同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(比較例2)
撚り合わせた後の断面圧縮率が12%であること以外は、比較例1と同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(実施例3)
化合物超電導素線間に、SUS316Lからなる厚さ0.08mmの金属テープを介挿したこと以外は、実施例2Aと同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(比較例3A)
NbSn超電導前駆体素線を構成する、化合物超電導前駆体部、Sn拡散防止部、強化材部および安定化材部の体積比率は、それぞれ41%、4%、35%、20%であること以外は、実施例3と同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(比較例3B)
NbSn超電導前駆体素線を構成する、化合物超電導前駆体部、Sn拡散防止部、強化材部および安定化材部の体積比率は、それぞれ41%、4%、35%、20%であり、曲げ歪み印加工程を行なわなかったこと以外は、実施例3と同様の構成を有する化合物超電導撚線を作製した。
(評価方法)
以下に各試験および評価の方法について詳述する。
(1)化合物超伝導素線の引っ張り時の強度(0.2%耐力)の測定
化合物超伝導素線の0.2%耐力は、670℃×96hrのNbSn超電導生成熱処理後に、JIS H 7303に準拠して行い、引張試験装置(島津製作所 オートグラフAG−10TD)を用いて室温(25℃)で測定した。その測定結果を表1に示す。なお、本実施例では、素線の引っ張り時の強度(0.2%耐力)が250MPa以上であれば、実用上問題のないレベルであると評価した。
(2)化合物超電導撚線を構成する素線の非粘着性(または粘着後の分離容易性)の評価
670℃×96hrのNbSn超電導生成熱処理工程後の化合物超電導撚線を構成する素線の非粘着性(または粘着後の分離容易性)は、撚ピッチの3倍の長さで切断したサンプル撚線に対し、素線表面に±0.5%の往復曲げ歪を1回印加した後、素線間が粘着しているか、あるいは分離(剥離)しているかを目視で検査する方法によって4段階で評価した。すなわち、曲げ歪を印加する前に素線同士の粘着が認められずに分離していた場合を「1」、素線間の粘着は認められるものの、曲げ歪印加時に悪影響が無い場合を「2」、素線間の粘着は認められ、曲げ歪印加時に悪影響を及ぼす恐れのある粘着がある場合を「3」、そして、明らかに曲げ歪印加時に悪影響を及ぼす粘着がある場合を「4」とした。本実施例では、非粘着性の評価結果が「1」および「2」であれば、実用上問題のないレベルとした。
Figure 2020066908
表1に示す評価結果から、実施例1A〜1C、実施例2A〜2Cおよび実施例3の化合物超電導撚線は、いずれも引っ張り時の強度(0.2%耐力)がいずれも250MPa以上であり、かつ、撚線を構成する素線の非粘着性の評価結果が「1」または「2」であり、実用上問題ないレベルであった。また、非粘着性の評価結果が「2」の化合物超電導素線においては、曲げ歪み印加後に、分離した表面部分、すなわち表面痕が有った。
これに対し、比較例1〜3はいずれも、化合物超電導撚線に占める強化材部の体積比率が化合物超電導体部の体積比率よりも小さく、また、金属層も配設していないため、撚線を構成する素線の非粘着性の評価結果が「3」または「4」であり、実用上問題が生じるレベルであった。
1、1A、1B (圧縮後の)化合物超電導撚線(または平角型ラザフォード撚線)
1´ (圧縮前の)化合物超電導撚線(または平角型ラザフォード撚線)
10、10A、10B (圧縮前の)化合物超電導素線
10´−1、10´−2、10´−3 (圧縮後の)化合物超電導素線
11 化合物超電導体部
12 強化材部
13 安定化材部
14、14a、14b Sn拡散防止層
15 化合物超電導フィラメント
16 第一マトリックス
17 未反応Nbの芯部分
18 強化フィラメント
19 第二マトリックス
20 金属層
21 熱処理用ボビン
22 正方向曲げプーリー
23 逆方向曲げプーリー
24 巻取部材(または巻取ボビン)
30 金属テープ

Claims (14)

  1. 化合物超電導相を含む複数本の化合物超電導フィラメント、および該複数本の化合物超電導フィラメントを埋設し、第一安定化材を含む第一マトリックスで構成されるコア状の化合物超電導体部と、
    該化合物超電導体部の外周側に配置され、複数本の強化フィラメント、および該複数本の強化フィラメントを埋設し、第二安定化材を含む第二マトリックスで構成される筒状の強化材部と、
    該強化材部の内周側および外周側の少なくとも一方に配置され、第三安定化材からなる筒状の安定化材部と
    を備える複数本の化合物超電導素線を撚り合わされた撚り構造体として構成され、
    前記化合物超電導素線に占める、前記強化材部の体積比率は、前記化合物超電導体部の体積比率よりも大きいことを特徴とする化合物超電導撚線。
  2. 前記化合物超電導素線に占める、前記強化材部の体積比率は、40%以上65%以下であり、前記化合物超電導体部の体積比率が20%以上40%以下である、請求項1に記載の化合物超電導撚線。
  3. 前記複数本の化合物超電導素線のうちの一部または全部の化合物超電導素線は、他の化合物超電導素線の表面に粘着した状態から分離した際に生じた表面痕を有する、請求項1または2に記載の化合物超電導撚線。
  4. 化合物超電導相を含む複数本の化合物超電導フィラメント、および該複数本の化合物超電導フィラメントを埋設し、第一安定化材を含む第一マトリックスで構成されるコア状の化合物超電導体部と、
    該化合物超電導体部の外周側に配置され、複数本の強化フィラメント、および該複数本の強化フィラメントを埋設し、第二安定化材を含む第二マトリックスで構成される筒状の強化材部と、
    該強化材部の内周側および外周側の少なくとも一方に配置され、第三安定化材からなる筒状の安定化材部と
    を備える複数本の化合物超電導素線を撚り合わされた撚り構造体として構成され、
    前記化合物超電導素線の表面に、前記化合物超電導素線同士の熱融着を防止する、厚さが2μm以下の金属層を有することを特徴とする化合物超電導撚線。
  5. 前記金属層の厚さが1μm以下である、請求項4に記載の化合物超電導撚線。
  6. 前記化合物超電導体部と前記強化材部との間に、Sn拡散防止部をさらに有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線。
  7. 前記化合物超電導相がNbSnであり、
    前記第一安定化材が銅または銅合金であり、
    前記Sn拡散防止部が、NbもしくはTaまたはそれらの合金もしくは複合材からなり、
    前記強化フィラメントが、Nb、Ta、V、W、Mo、Fe、Ti、AgおよびHfの群から選択される1種の金属または2種以上の合金からなり、
    前記第二安定化材が銅または銅合金であり、
    前記第三安定化材が銅または銅合金である、
    請求項6に記載の化合物超電導撚線。
  8. 前記化合物超電導素線に占める、前記第二安定化材の体積比率および前記第三安定化材の体積比率の合計が、50%以上である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線。
  9. 前記化合物超電導素線に占める、前記強化フィラメントの体積比率および前記Sn拡散防止部の体積比率の合計が、15%以上である、請求項6に記載の化合物超電導撚線。
  10. 前記化合物超電導素線に占める、前記強化フィラメントの体積比率が、11%以上15%以下である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線。
  11. 前記撚り構造体は、略平角断面形状を有する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線。
  12. 前記化合物超電導撚線を構成する前記化合物超電導素線間に介挿された、前記化合物超電導素線同士の熱融着を防止する、金属テープをさらに有する、請求項11に記載の化合物超電導撚線。
  13. 前記撚り構造体は、断面圧縮率が5%以上20%以下である、請求項11または12に記載の化合物超電導撚線。
  14. 請求項1から13までのいずれか1項に記載の化合物超電導撚線の巻替え方法であって、
    前記化合物超電導撚線を、第1巻付部材から第2巻付部材に巻き替えるとき、
    前記第1巻付部材から、前記化合物超電導撚線を前記第1巻付部材の接線方向に延出させ、前記第1巻付部材に巻き付けられていたときと同じ曲げ方向に前記化合物超電導撚線を曲げながら第2巻付部材に巻き取ることを特徴とする前記化合物超電導撚線の巻替え方法。

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