JPWO2020066888A1 - ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂及び成形品 - Google Patents

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Abstract

実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなり、ポリスチレン基準の質量平均分子量Mw及び温度350℃での溶融粘度μが、式(6)及び式(7)を満たすポリビフェニルエーテルスルホン樹脂等に関する。
【化1】
Figure 2020066888

〔式中、nは1以上の整数を示す。〕
60,000≦Mw≦90,000 (6)
0.0906×Mw−4,930≦μ≦3,500 (7)

Description

本発明は、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂及びそれを含む成形品に関する。
本願は、2018年9月26日に、日本に出願された特願2018−180561号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
下記式(1−1)
Figure 2020066888
で示される繰り返し単位を有するポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の成形体は、耐熱性、耐衝撃性、及び耐溶剤性などに優れている。また、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、一般に、分子量が高くなるほど、得られる成形体の耐熱性及び耐衝撃性が向上することも知られている。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルと、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物とを、炭酸カリウムの存在下、非プロトン性極性溶媒中で重合させる方法が特許文献1〜3等に報告されている。
特開2004−107606号公報 特開2004−263154号公報 特表2002−525406号公報
耐熱性、耐衝撃性、及び耐溶剤性などに優れるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の成形体は、高温雰囲気下で使用される用途への適用が期待される。しかし、従来のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂をプレス成形して得られるプレスシートは、200℃の高温にした後、常温に戻すと、元の寸法よりも収縮し、寸法変化(以下、「後収縮」ということがある。)が起こることが明らかになった。
本発明の目的は、熱アニールした後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ない、すなわち、後収縮が少ない成形品を提供可能なポリビフェニルエーテルスルホン樹脂、及び、後収縮が少ない成形品を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1] 実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなり、ポリスチレン基準の質量平均分子量Mw及び温度350℃での溶融粘度μ[Pa・s]が、下記式(6)及び式(7)を満たすポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
Figure 2020066888
〔式中、nは1以上の整数を示す。〕
60,000≦Mw≦90,000 (6)
0.0906×Mw−4,930≦μ≦3,500 (7)
[2] 前記質量平均分子量Mwが、下記式(6−1)を満たす、前記[1]に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
65,000≦Mw≦75,000 (6−1)
[3] 前記質量平均分子量Mw及び前記溶融粘度μが、下記式(7−1)を満たす、前記[1]又は[2]に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
0.0906×Mw−4,930≦μ≦2,000 (7−1)
[4] 前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む溶融成形品。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られる成形品は、熱アニールした後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ない、すなわち、後収縮が少ないものである。
図1は、溶融粘度μと質量平均分子量Mwとの関係を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
<<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂>>
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなる。
Figure 2020066888
〔式中、nは1以上の整数を示す。〕
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、例えば、下記式(1−2)、式(1−3)又は式(1−4)で示すことができる。末端がハロゲン原子の下記式(1−2)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−2)は、末端がフェノール性水酸基の下記式(1−3)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−3)や、末端がメトキシ基の下記式(1−4)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−4)よりも、熱分解温度が高く、着色しにくく、熱安定性に優れる。
Figure 2020066888
〔式中、X及びXはそれぞれ独立にハロゲン原子を示し、n は1以上の整数を示す。〕
本明細書において、「ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂が、実質的に前記式(1)の繰り返し構造からなる」とは、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の総質量に対し、前記式(1)の繰り返し構造の質量が、90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であることを意味し、より具体的には90質量%以上100質量%以下、より好ましくは95質量%以上100質量%以下であり得る。
nは1以上の整数を示すが、本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、nが1又は2以上の整数である化合物を含む混合物であり得る。nは10000以下の整数であり得る。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、ポリスチレン基準の質量平均分子量Mw及び温度350℃での溶融粘度μ[Pa・s]が、下記式(6)及び式(7)を満たす。
60,000≦Mw≦90,000 (6)
0.0906×Mw−4,930≦μ≦3,500 (7)
本明細書において、溶融粘度μ[Pa・s]は、後述のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の溶融粘度の測定に記述される方法によって、測定することができる。
図1は、溶融粘度μと質量平均分子量Mwとの関係を示すグラフである。図1のグラフは、本発明に該当する実施例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の質量平均分子量(Mw)及び溶融粘度μ[Pa・s]が、式(6)及び式(7)を満たすことを示している。
式(7)の左辺において、傾きを示す「0.0906」の値は、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の質量平均分子量(Mw)と温度350℃での溶融粘度μ[Pa・s]との関係が、質量平均分子量Mwを横軸、溶融粘度μを縦軸にしたとき、後述する実施例及び比較例のデータから、傾きが「0.0906」の値の直線上におよそ並ぶことを見出したことに基づくものである。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂のポリスチレン基準の質量平均分子量(Mw)と温度350℃での溶融粘度μ[Pa・s]との関係は、式[0.0906×Mw−4,930≦μ]を充足する。式[0.0906×Mw−4,930≦μ]を充足することで、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られる成形体は、熱アニールした後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ない、すなわち、後収縮が少ないものとなる。
そして、式[μ=0.0906×Mw−4,930]は、実質的に前記式(1)の繰り返し構造からなるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む成形品のうち、後収縮が少ないものと、後収縮が大きいものとを区別する境界線となっていることが、後述する実施例及び比較例のデータから示される。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、ポリスチレン基準の質量平均分子量Mw及び温度350℃での溶融粘度μ[Pa・s]が、下記式(7−1)を満たすことが特に好ましい。
0.0906×Mw−4,930≦μ≦2,000 (7−1)
また、本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂のポリスチレン基準の質量平均分子量(Mw)と温度350℃での溶融粘度μ[Pa・s]との関係は、式[μ≦0.0906×Mw−3,430]を充足してもよく、式[μ≦0.0906×Mw−3,930]を充足してもよく、式[μ≦0.0906×Mw−4,430]を充足してもよい。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の多分散度(Mw/Mn)は、1.5〜8.0とすることができ、2.0〜7.0とすることができ、3.0〜6.0とすることができ、4.5〜4.8とすることができる。多分散度(Mw/Mn)を上限値以下とすることで、耐衝撃性がより優れるものとすることができる。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂のポリスチレン基準の質量平均分子量(Mw)は、60,000〜90,000であり、63,000〜80,000とすることができ、65,000〜75,000とすることができ、68,500〜75,000とすることができる。質量平均分子量Mwを下限値以上とすることで、耐衝撃性がより優れるものとすることができ、質量平均分子量Mwを上限値以下とすることで、加工性がより優れるものとすることができる。
本発明の1つの側面としては、ポリスチレン基準の質量平均分子量(Mw)が68,500〜75,000であり、かつ多分散度(Mw/Mn)が4.5〜4.8であるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂である。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の温度350℃での溶融粘度μは、3,500Pa・s以下であり、3,000Pa・s以下とすることが好ましく、2,500Pa・s以下とすることがより好ましく、2,000Pa・s以下とすることが特に好ましい。溶融粘度μを上限値以下とすることで、成型性がより優れるものとすることができる。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の温度350℃での溶融粘度μは、500Pa・s以上とすることができ、1300Pa・s以上とすることができる。
すなわち、前記溶融粘度μとしては、500Pa・s以上3,500Pa・s以下、500Pa・s以上3,000Pa・s以下、500Pa・s以上2,500Pa・s以下、500Pa・s以上2,000Pa・s以下、1300Pa・s以上2,500Pa・s以下、又は1300Pa・s以上2,000Pa・s以下が好ましい。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び多分散度(Mw/Mn)は、スチレンジビニルベンゼンを基材とするカラムによるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン基準で測定される。
<<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法>>
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、非プロトン性極性溶媒中、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物と4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの重縮合反応により、製造することができる。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法に用いられる4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物は、下記式(2)で示される化合物である。
Figure 2020066888
〔式中、X及びXはそれぞれ独立にハロゲン原子を示す。〕
式(2)中、X及びXで示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が挙げられ、かかる4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物としては、例えば4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、及び4,4’−ジブロモジフェニルスルホンなどが挙げられる。
本発明に用いられる4,4’−ジヒドロキシビフェニルは、式(3)で示される化合物である。
Figure 2020066888
本発明の1つの側面において、下記式(1−2)で示されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法は、例えば、アルカリ金属炭酸塩を用いたとき、下記反応式(4)で示すことができる。
Figure 2020066888
〔式中、X及びXは前記と同じ意味を示し、Mはアルカリ金属を表し、nは1以上の整数を示す。〕
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法においては、前記重縮合反応により得られる前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の質量A、及び前記非プロトン性極性溶媒の質量Bが、下記式(5)を満たす条件で重縮合反応を行うことが好ましい。
35≦A×100÷(A+B)≦44 (5)
4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込みモル数が4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込みモル数以上の場合(例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)1モルに対して、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)を1〜1.10モル、好ましくは1.02〜1.05モル使用する場合)、前記重縮合反応により得られる、前記式(1−2)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−2)の質量Aは、前記反応式(4)において、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込み質量と、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込み質量との和から、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込み質量の2倍のモル数に相当するハロゲン化水素(HX、HX)の質量を差し引いた量として求めることができる。ここで、前記ハロゲン原子X及びXが互いに異なる場合、前記差し引く質量は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込み質量の等倍のモル数に相当するハロゲン化水素(HX)の質量と4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込み質量の等倍のモル数に相当するハロゲン化水素(HX)の質量との和である。
4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込みモル数が4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込みモル数未満の場合(例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)1モルに対して、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)を0.90〜1モル、好ましくは0.95〜0.98モル使用する場合)、前記反応式(4)と同様な重縮合反応により、前記式(1−3)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−3)が得られる。更に、当該ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−3)にハロゲン化メチルを反応させて、前記式(1−4)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−4)が得られる。前記重縮合反応により得られる、前記式(1−3)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−3)及び前記式(1−4)で表されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(1−4)の計算上の質量Aは、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込み質量と、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)の仕込み質量との和から、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込み質量の2倍のモル数に相当するハロゲン化水素(HX、HX)の質量を差し引いた量として求めることができる。ここで、前記ハロゲン原子X及びXが互いに異なる場合、前記差し引く質量は、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込み質量の等倍のモル数に相当するハロゲン化水素(HX)の質量と4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の仕込み質量の等倍のモル数に相当するハロゲン化水素(HX)の質量との和である。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法において、[A×100÷(A+B)]で規定される重合濃度は、35%以上44%以下であることが好ましい。式(5)の条件を満たす条件で製造されるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、前記式(7)を満たすものとすることができる。前記重合濃度は、43%以下が好ましく、42%以下がより好ましい。重合濃度が前記上限値以下であることにより、前記式(7)を満たすものとすることができ、熱アニールした後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ない、すなわち、後収縮が少ない成形品を提供可能なポリビフェニルエーテルスルホン樹脂とすることができる。前記重合濃度は、37%以上が好ましく、39%以上がより好ましく、41%以上が特に好ましい。重合濃度が前記下限値以上であることにより、短時間で効率よく重縮合反応をさせることができる。
すなわち、前記重合濃度は、例えば、35%以上44%以下、37%以上44%以下、39%以上44%以下、39%以上43%以下、41%以上44%以下、39%以上42%以下、41%以上43%以下、又は41%以上42%以下であり得る。
前記重縮合反応は、非プロトン性極性溶媒中で行われるものの、均一系の反応ではなくスラリーの状態での反応である。そのため、反応生成物のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂のポリマー分子間の構造は、[A×100÷(A+B)]で規定される重合濃度が異なると、質量平均分子量Mw及び多分散度Mw/Mnが同じであっても、ポリマー分子の絡み合いが異なるものができると考えられる。そして、前記重合濃度が前記上限値以下であることにより、前記式(7)を満たすものとすることができ、高温雰囲気下で使用した後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ない、すなわち、後収縮が少ない成形品を提供可能なポリビフェニルエーテルスルホン樹脂とすることができると考えられる。
4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の使用量としては、前記式(6)を満たすように調整されれば限定されないが、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)1モルに対して、通常、0.90〜1.10モル、若しくは0.95〜1.05モル、好ましくは0.95〜0.98モル若しくは0.96〜0.98、又は1.02〜1.05モル若しくは1.02〜1.04モル程度である。0.95以上1.05モル以下であると、得られるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の分子量が高くなる傾向にあることから好ましい。
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造方法においては、塩基触媒として、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩を用いることができる。例えば、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられ、アルカリ金属重炭酸塩としては、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、通常は炭酸カリウムが用いられる。
また、塩基触媒には、アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩の粉末を使用することが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属重炭酸塩の使用量は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(3)1モルに対し、通常、1モル以上1.2モル以下であるが、1.01モル以上1.15モル以下であってもよく、1.02モル以上1.15モル以下であってもよい。
本発明で用いられる非プロトン性極性溶媒としては、スルホン系溶媒、アミド系溶媒やラクトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、有機リン系溶媒、セロソルブ系溶媒等が挙げられる。スルホン系溶媒としては、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン等が挙げられる。アミド系溶媒としては、N、N−ジメチルアセトアミド、N-メチル−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジエチルホルムアミド、N、N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。ラクトン系溶媒としては、γ−ブチルラクトン、β−ブチルラクトン等が挙げられる。スルホキシド系溶媒としては、ジメチルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド等が挙げられる。有機リン系溶媒としては、テトラメチルホスホリックアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。セロソルブ系溶媒としては、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等が挙げられる。
本発明で用いられる非プロトン性極性溶媒としては、スルホン系溶媒が好ましく、ジフェニルスルホンがより好ましい。
重縮合反応の温度は、180℃〜300℃が好ましく、240℃〜300℃がより好ましい。240℃以上では、重合の反応速度が向上する傾向にあることから好ましく、また、300℃以下であると得られるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の分子量分散が低下する、つまり分子量分布がより均一になる傾向にあることから好ましい。重縮合反応の所要時間としては、通常、3〜20時間程度である。
かくして重縮合反応が進行するが、反応後の反応混合物からポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得るには、例えば反応後の反応混合物を固化し、粉末としたのち、溶媒で洗浄すればよい。反応後の反応混合物を固化するには、冷却すればよく、室温程度まで冷却することで固化することができる。固化した反応混合物を粉末とするには、反応混合物を粉砕すればよい。洗浄に用いる溶媒としては、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を溶解することなく、重合にて生成するアルカリ金属ハロゲン化物などのアルカリ金属塩、及び非プロトン性極性溶媒を溶解し得る溶媒が用いられ、例えば水や、アセトン、若しくはメチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン、メタノール、エタノール、若しくはイソプロパノールなどの脂肪族アルコール又はこれらの混合溶媒などを用いることができる。
<<溶融成形品>>
本発明の溶融成形品は、前記本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む。本発明の溶融成形品の形状は、パウダー形状であってもよく、ペレット形状であってもよく、フィルム又はシートであってもよく、押し出し成形された長尺の成形品であってもよく、射出成型品であってもよい。前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、例えば、熱プレスすることでフィルム又はシートとして得ることができ、押し出し成形することで長尺の成形品として得ることができ、T−ダイ成形することでフィルムを成形することができ、ブロー成形することで各種の容器類、建材、スポーツ用品等の中空品を成形することができ、射出成型することで射出成型品として得ることができる。射出成型品は、前記ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、例えば、金型温度を120〜180℃で、樹脂の溶融温度を330〜380℃で、一般的な射出成型機を用いて射出成型して製造することができる。1つの側面として、本発明の溶融成形品は、前記本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いているので、熱アニールした後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ないものとすることができる。別の側面として、本発明の溶融成形品は、前記本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を用いているので、耐衝撃性に優れ、かつ、熱アニールの前後で耐衝撃性の変化が少ない、すなわち、熱老化しにくいものとすることができる。
本発明の溶融成形品は、アイゾット耐衝撃性で示される耐衝撃性を、200〜2000J/mとすることができ、400〜1500J/mとすることができ、500〜1000J/mとすることができ、600〜800J/mとすることができる。
溶融成形品のアイゾット耐衝撃性[J/m]は、後述の耐衝撃性試験に記述される方法で作製された長さ70mm、幅10mm 、厚さ1.9mm 、中央部に先端半径0.25mm、深さ5mmのノッチを有する試験片について、ASTM D256に準拠して測定されるものである。
前記試験片は、後述の耐衝撃性試験に記述される「ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂」に替えて、溶融成形品を、後述の凍結粉砕機で凍結粉砕した粉末を使用して製造してもよい。凍結粉砕はステンレス容器に試料を充填し、例えば、下記条件にて実施することができる。
凍結粉砕機:SPEX社製Freezer Mill 6770
温度:液体窒素温度
粉砕時間:3分間
本発明の溶融成形品の熱老化性は、180℃のオーブンに入れて24時間放置の熱アニール後のアイゾット耐衝撃性で評価できる。本発明の溶融成形品については、熱アニール後のアイゾット耐衝撃性を、熱アニール前のアイゾット耐衝撃性と実質的に変わらないものとすることができ、熱アニール前後のアイゾット耐衝撃性を、それぞれ、200〜2000J/mとすることができ、400〜1500J/mとすることができ、500〜1000J/mとすることができ、600〜800J/mとすることができる。
本発明の溶融成形品の1つの側面は、前記熱アニール後のアイゾット耐衝撃性の変化が、前記熱アニール前のアイゾット耐衝撃性に対して、−50%〜+50%、好ましくは−30%〜+30%、より好ましくは−10%〜+30%、より好ましくは−7%〜+30%、更に好ましくは−7%〜+10%の範囲である。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の1つの側面は、後述のプレスシートの作製及び後収縮量の測定に記述される方法で作製した測定用サンプル(5mm×20mm、厚さ約0.2mm)について、同法により、後収縮量を測定したとき、後収縮量が、17.0μm以下、好ましくは15.0μm以下、より好ましくは13.5μm以下、更に好ましくは13.0μm以下である特性を有する。前記後収縮量は小さいほど好ましく、0μmであってもよいが、通常、5.0μm以上であり得る。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の別の側面は、前記溶融成形品を製造することができる特性を有する。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の別の側面は、後述の耐衝撃性試験に記述される方法で長さ70mm、幅10mm 、厚さ1.9mm 、中央部に先端半径0.25mm、深さ5mmのノッチを有する試験片を作製し、ASTM D256に準拠してアイゾット耐衝撃性[J/m]を測定したとき、200〜2000J/m、好ましくは400〜1500J/m、より好ましくは500〜1000J/m、更に好ましくは600〜800J/mの特性を有する。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の別の側面は、前記試験片を、更に180℃のオーブンに入れて、24時間放置の熱アニール後のアイゾット耐衝撃性を測定したとき、熱アニール前後のアイゾット耐衝撃性が、それぞれ、200〜2000J/m、好ましくは400〜1500J/m、より好ましくは500〜1000J/m、更に好ましくは600〜800J/mの特性を有する。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の更に別の側面は、前記試験片の、前記熱アニール後のアイゾット耐衝撃性の変化が、前記熱アニール前のアイゾット耐衝撃性に対して、−50%〜+50%、好ましくは−30%〜+30%、より好ましくは−10%〜+30%、より好ましくは−7%〜+30%、更に好ましくは−7%〜+10%の範囲である特性を有する。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂のMn及びMwの測定、Mw/Mnの算出>
ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂のポリスチレン基準の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び多分散度(Mw/Mn)は、下記測定条件にて、GPC測定により求めた。
[測定条件]
試料:10mM臭化リチウム含有N,N−ジメチルホルムアミド溶液10mLに対し、測定対象のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂0.025gを配合
試料注入量:10μL
カラム(固定相):東ソー株式会社製「TSKgel SuperHZM−M(基材:スチレンジビニルベンゼン)」(4.6mmφ×150mm)を2本直列に連結
カラム温度:40℃
溶離液(移動相):10mM臭化リチウム含有N,N−ジメチルホルムアミド
溶離液流量:0.35mL/min
検出器:UV検出器
検出波長:300nm
分子量標準:ポリスチレン
<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の溶融粘度の測定>
熱流動評価装置(株式会社島津製作所製の「フローテスターCFT500型」)を用いて、350℃で5分間加熱したポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を、荷重50kgf/cmのもとで、割りダイス(内径1mm、長さ10mm)から押出したときの溶融粘度μ[Pa・s]を測定した。
<プレスシートの作製>
厚さ約0.2mmのアルミニウム製スペーサーの空隙部に適量のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を置き、それらを一対のアルミニウム製平板で挟んだ。さらに、全体を一対の鋼製平板で挟んで、熱プレス機にて、305℃で13分間予熱した後、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂が融着し、アルミニウム製スペーサーと同じ厚さにするのに十分な圧力で、2分間加熱圧縮した。次いで、25℃に設定した冷却プレス機にて冷却することにより、厚さ約0.2mmのプレスシートとして成形品を作製した。
<後収縮量の測定>
プレスシートから5mm×20mmの測定用サンプルを切り出し、熱機械分析装置(株式会社リガクの「TMA−8310型」)により、空気雰囲気下、引張モード(2.5g)にて、30℃から200℃まで5℃/分の速度で昇温した(工程1)後、200℃から30℃まで20℃/分の速度で冷却した(工程2)。工程2における50℃でのサンプルの長さから、工程1における50℃でのサンプルの長さを引き算することで、後収縮量を測定した。
<耐衝撃性試験>
測定対象のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を厚さ2mmのSUS製のスペーサーの空隙部分に配置して、一対のアルミニウム製平板で挟んだ。さらに、全体を一対の鋼製平板で挟んで、熱プレス機にて、305℃で13分間予熱した後、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂が融着し、SUS製スペーサーと同じ厚さにするのに十分な圧力で、2分間加熱圧縮した。次いで、25℃に設定した冷却プレス機にて冷却することにより、厚さ1.9mmの板として得た。得られた成形板を長さ70mm、幅10mm 、厚さ1.9mm 、中央部に先端半径0.25mm、深さ5mmのノッチを有する試験片に切削し、ASTM D256に準拠してアイゾット耐衝撃性[J/m]を測定した。
<熱老化性試験>
試験片を成形した後、これを180℃のオーブンに入れて24時間放置し、これを熱アニール後の試験片として耐衝撃性試験に用いた。耐衝撃性試験はASTM D256に準拠して行った。
<ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の製造>
[実施例1]
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽内で、4,4’−ジヒドロキシビフェニル100.0質量部(1モル比)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン159.0質量部(1.031モル比)、及びジフェニルスルホン308.9質量部を混合し、系内に窒素ガスを流しながら180℃まで昇温した。得られた混合溶液に、炭酸カリウム76.1質量部(1.025モル比)を添加した後、290℃まで徐々に昇温し、290℃でさらに4時間反応させた。次いで、得られた反応混合溶液を、室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した後、温水を用いて、及び、アセトンとメタノールとの混合溶媒を用いて、デカンテーション及びろ過することで数回洗浄した。得られた固体を、150℃で加熱乾燥させることで、実施例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に重合濃度、質量平均分子量Mw、多分散度Mw/Mn、溶融粘度、後収縮量の測定結果を示した。また、表2に耐衝撃性試験、熱老化性試験の評価の結果を示した。
なお、実施例1において重合濃度を求めるに際して、重縮合反応により得られるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の質量Aは、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物の仕込み質量(159.0質量部)及び4,4’−ジヒドロキシビフェニルの仕込み質量(100.0質量部)の和(259.0質量部)から、4,4’−ジヒドロキシビフェニルの仕込み質量の2倍のモル数に相当するハロゲン化水素の質量(2×36.46×0.537)を差し引いた量(219.8質量部)として求めた。重合濃度は、219.8×100÷(219.8+308.9)から算出した。
実施例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、ポリスチレン基準の質量平均分子量Mw及び温度350℃での溶融粘度μ[Pa・s]が、式(6)及び式(7)を満たし、そのポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られたプレスシートは、熱アニールした後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ない、すなわち、後収縮が少なかった。また、そのポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られた溶融成形品は、耐衝撃性に優れ、かつ、熱アニールの前後で耐衝撃性の変化が少ない、すなわち、熱老化しにくいものであった。
[実施例2]
290℃での反応時間が6時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例2のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に重合濃度、質量平均分子量Mw、多分散度Mw/Mn、溶融粘度、後収縮量の測定結果を示した。
[実施例3]
ジフェニルスルホンの量が308.5質量部、炭酸カリウムの量が76.5質量部(1.030モル比)、290℃での反応時間が5時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例3のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に重合濃度、質量平均分子量Mw、多分散度Mw/Mn、溶融粘度、後収縮量の測定結果を示した。
[実施例4]
ジフェニルスルホンの量が308.5質量部、炭酸カリウムの量が76.4質量部(1.030モル比)、290℃での反応時間が4.5時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例4のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に重合濃度、質量平均分子量Mw、多分散度Mw/Mn、溶融粘度、後収縮量の測定結果を示した。また、表2に耐衝撃性試験、熱老化性試験の評価の結果を示した。
[実施例5]
ジフェニルスルホンの量が307.0質量部、炭酸カリウムの量が77.9質量部(1.050モル比)であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例5のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に重合濃度、質量平均分子量Mw、多分散度Mw/Mn、溶融粘度、後収縮量の測定結果を示した。
[実施例6]
290℃での反応時間が5.8時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、実施例6のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に重合濃度、質量平均分子量Mw、多分散度Mw/Mn、溶融粘度、後収縮量の測定結果を示した。
[比較例1]
撹拌機、窒素導入管、温度計、及び先端に受器を付したコンデンサーを備えた重合槽内で、4,4’−ジヒドロキシビフェニル100.0質量部(1モル比)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン159.0質量部(1.031モル比)、及びジフェニルスルホン213.4質量部を混合し、系内に窒素ガスを流しながら180℃まで昇温した。得られた混合溶液に、炭酸カリウム77.2質量部(1.040モル比)を添加した後、290℃まで徐々に昇温し、290℃でさらに4時間反応させた。次いで、得られた反応混合溶液を、室温まで冷却して固化させ、細かく粉砕した後、温水を用いて、及び、アセトンとメタノールとの混合溶媒を用いて、デカンテーション及びろ過することで数回洗浄した。得られた固体を、150℃で加熱乾燥させることで、比較例1のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に重合濃度、質量平均分子量Mw、多分散度Mw/Mn、溶融粘度、後収縮量の測定結果を示した。また、表2に耐衝撃性試験、熱老化性試験の評価の結果を示した。
[比較例2]
ジフェニルスルホンの量が214.1質量部、炭酸カリウムの量が76.4質量部(1.030モル比)、290℃での反応時間が3時間であること以外は、実施例1と同様の条件で、比較例2のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を得た。表1に重合濃度、質量平均分子量Mw、多分散度Mw/Mn、溶融粘度、後収縮量の測定結果を示した。また、表2に耐衝撃性試験、熱老化性試験の評価の結果を示した。
Figure 2020066888
Figure 2020066888
実施例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、重合濃度を一定の42%にして重縮合して製造したものである。図1に示す通り、実施例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の質量平均分子量Mwを横軸、溶融粘度μを縦軸にしたとき、プロットした点は、傾きが「0.0906」の値の直線上におよそ並んだ。実施例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、質量平均分子量Mw及び溶融粘度μ[Pa・s]が、式(6)及び式(7)を満たし、それらのポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られたプレスシートは、熱アニールした後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ない、すなわち、後収縮が小さかった。また、耐衝撃性に優れ、かつ、熱アニールの前後で耐衝撃性の変化が少ない、すなわち、熱老化しにくいものであった。
比較例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、重合濃度を一定の51%にして重縮合して製造したものである。図1に示す通り、比較例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂の質量平均分子量Mwを横軸、溶融粘度μを縦軸にしたとき、プロットした点は、傾きがおよそ「0.0906」の値の直線上にあった。比較例のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂は、質量平均分子量Mw及び溶融粘度μ[Pa・s]が、式(7)を充足せず、それらのポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られたプレスシートは、熱アニールした後、常温に戻すと、元の寸法からの収縮が大きい、すなわち、後収縮が大きかった。また、熱アニールをすると耐衝撃性の低下が著しい、すなわち、熱老化し易いものであった。
式[μ=0.0906×Mw−4,930]は、実質的に前記式(1)の繰り返し構造からなるポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む成形品のうち、後収縮が少ないものと、後収縮が大きいものとを区別する境界線となっていることが理解できる。
本発明のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂から得られる成形品は、高温雰囲気下で使用した後、常温に戻しても、元の寸法からの変化が少ない、すなわち、後収縮が少ないものである。かかる成形品は、電気・電子材料、自動車部品、医療材料、耐熱塗料、分離膜、又は樹脂継手など幅広い用途、特に、高温環境下で使用される精密品の用途への利用が期待できる。

Claims (4)

  1. 実質的に下記式(1)の繰り返し構造からなり、ポリスチレン基準の質量平均分子量Mw及び温度350℃での溶融粘度μ[Pa・s]が、下記式(6)及び式(7)を満たすポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
    Figure 2020066888
    〔式中、nは1以上の整数を示す。〕
    60,000≦Mw≦90,000 (6)
    0.0906×Mw−4,930≦μ≦3,500 (7)
  2. 前記質量平均分子量Mwが、下記式(6−1)を満たす、請求項1に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
    65,000≦Mw≦75,000 (6−1)
  3. 前記質量平均分子量Mw及び前記溶融粘度μが、下記式(7−1)を満たす、請求項1又は2に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂。
    0.0906×Mw−4,930≦μ≦2,000 (7−1)
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリビフェニルエーテルスルホン樹脂を含む溶融成形品。
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