JPWO2020031722A1 - 異常監視装置、異常監視方法及び異常監視プログラム - Google Patents

異常監視装置、異常監視方法及び異常監視プログラム Download PDF

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Abstract

ボイラの各種配管における構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の早期発見と異常発生の客観的な判断を可能にする異常監視技術を提供する。ボイラ配管の構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の発生を検出するためのボイラ配管の異常監視装置であって、ボイラ配管の状態に関わるプロセスデータの時系列データを表示するプロセスデータ表示部と、ボイラ配管に設置された複数のAEセンサによる時系列データを表示するセンサデータ表示部と、を備える。

Description

本発明は、異常監視装置、異常監視方法及び異常監視プログラムに関する。
ボイラの各種配管の構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による高圧蒸気や高圧水の漏出等の異常を、ボイラ配管から発せられる音響を集音することにより検出するシステムがある。このシステムでは、可聴帯域及び超音波帯域を集音可能な集音装置を、集音対象に複数設置し、得られた複数の音響データから周波数帯域別音圧レベル比較して漏出等の異常の発生を判定する。
国際公開第WO2013/136472号
ボイラ配管から発せられる音響により異常検出を行う場合、配管からの構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破の発生音を検出する。そのため、これらの事象が発生する前の状態では音響がないため事象の早期発見が難しい。また、音響による検出の場合、当該事象の音響以外もノイズとして混入こともあり、客観的な異常発生の判断が難しい。
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、ボイラの各種配管における構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の早期発見と客観的な判断を可能にする異常監視技術を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明のある態様の異常監視装置は、ボイラ配管の構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の発生を検出するためのボイラ配管の異常監視装置であって、前記ボイラ配管の状態に関わる時系列データを表示するデータ表示部と、前記ボイラ配管に設置された複数のAEセンサによる時系列データを表示するセンサデータ表示部と、前記プロセスデータと、前記センサデータとを比較可能に構成されている。
この態様では、ボイラ配管に複数のAE(アコースティックエミッション)センサを設置し、AEセンサにより検知されたデータを表示するため、可聴領域でない物理的な破壊音の検知が可能になる。そのため、噴破の兆候を含め早期の異常検出が可能になる。また、AEセンサによるデータに加え、ボイラ配管の状態に関わるデータを表示するため、AEセンサで得られた情報と、ボイラ配管の状態に関わるデータで得られた情報との複数の判断材料をリアルタイムに提供できる。そのため、オペレータによる早期かつ客観的な異常発生の判断が可能になる。なお、ここでいうボイラ配管には、熱交換器等の熱交換を行う部分や当該部分を繋ぐ配管すべてを含むものである。また、ボイラ配管の状態に関わるデータとしては、プロセスデータをはじめ、現場記録、動作記録、アラーム履歴などのデータも含む。
本発明の別の態様は、異常監視方法である。この方法は、ボイラ配管の構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の発生を検出するボイラ配管の異常監視方法であって、前記ボイラ配管の状態に関わるボイラ配管の状態に関わる時系列データを表示するボイラ配管の状態に関わるデータ表示ステップと、前記ボイラ配管に設置された複数のAEセンサによる時系列データを表示するセンサデータ表示ステップと、を含み、前記プロセスデータと、前記センサデータとを比較可能である。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ボイラの各種配管における構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の早期発見と異常発生の客観的な判断が可能になる。
本実施形態の異常監視装置及び監視対象であるボイラの全体構成図である。 本実施形態の異常監視装置の機能ブロック図である。 図1の異常監視装置におけるAEセンサから得られるデータのイメージ図である。 図2の異常監視装置の異常監視処理の手順を示すフローチャート図である。
以下、本発明を好適な実施の形態(以下「本実施形態」という。)をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、本実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、本実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1及び図2を用いて、本実施形態の異常監視装置200及び異常監視装置200の監視対象であるボイラ100について説明する。
図1は、異常監視装置200及び監視対象であるボイラ100の全体構成図である。ここで説明するボイラ100は、循環流動層ボイラであって、高温で流動する固体粒子(循環材、珪砂等)を循環させながら、燃料を燃焼して、蒸気を発生させる装置である。ボイラ100では、燃料として、例えば、非化石燃料(木質バイオマス、廃タイヤ、廃プラスチック、スラッジなど)を使用することができる。ボイラ100で発生した蒸気は、例えば発電タービンの駆動に用いられる。なお、本実施形態では最適な実施例として循環流動層ボイラについて説明するものであって、本発明はこれに限定されず、他のボイラの場合においても適用可能である。
ボイラ100は、火炉101と、サイクロン102と、循環材回収管103と、排ガス流路104と、蒸気ドラム105と、過熱器(スーパーヒータ)106と、節炭器(エコノマイザ)107とを備える。すなわち、ボイラ100では、火炉101内で燃料を燃焼し、サイクロン102によって排ガスから循環材を分離して、分離された固体粒子を火炉101内に戻して循環させる。分離された循環材は、サイクロン102の下方に接続された循環材回収管103を経由して、火炉101の下部に返送される。サイクロン102によって固体粒子が取り除かれた排ガスは、サイクロン102の下流に接続された排ガス流路104を通り、図示しない排ガス処理装置で、所定の処理が施された後、煙突から排出されるまた、排ガスは排ガス流路104を通過する際に、過熱蒸気を発生させる過熱器106と、ボイラ給水を予熱する節炭器107とによって熱が回収されて冷却される。
火炉101は、燃料を燃焼させる燃焼炉であり、燃料を投入する投入口101aと、燃焼用空気を火炉101内に供給するためのファン101bと、燃焼により生じた排ガスをサイクロン102へ排出する排出口101cが設けられている。また、火炉101の炉壁は、ボイラ給水を加熱するための炉壁管111により構成されており、炉壁管111は、蒸気ドラム105に接続される。
蒸気ドラム105は、降水管112が接続され、この降水管112は炉壁管111に接続される。蒸気ドラム105内のボイラ給水は、降水管112内を下降し、火炉101の下部側で炉壁管111内に導入される。炉壁管111内のボイラ給水は、火炉101の燃焼によって加熱されて、蒸気ドラム105内で蒸発し蒸気となる。
蒸気ドラム105には、内部の蒸気を排出する蒸気配管113が接続されている。蒸気配管113は、蒸気ドラム105と過熱器106とを接続している。蒸気ドラム105内の蒸気は、蒸気配管113を通り、過熱器106に供給される。
過熱器106は、排ガスの熱を用いて蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する。過熱蒸気は、排出配管114内を通り、ボイラ100外へ排出される。過熱蒸気は、発電タービンに供給されて発電に利用される。
節炭器107は、排ガスの熱をボイラ給水に伝熱して、ボイラ給水を予熱する。節炭器107は、給水配管115により蒸気ドラム105と接続されている。節炭器107は、蒸気温度約300℃まで上昇させ、この加熱されたボイラ給水の蒸気が給水配管115を通り蒸気ドラム105に供給される。
ボイラ100は、ボイラ給水の溶存酸素を除去するための脱気器108と、脱気器108内のボイラ給水を節炭器107に供給するボイラ給水供給ポンプ109と、を備える。
脱気器108は、ボイラ給水供給配管116によって、節炭器107と接続されている。ボイラ給水供給配管116には、ボイラ給水供給ポンプ109が接続され、脱気器108に貯留されているボイラ給水は、ボイラ給水供給ポンプ109によって送水され、ボイラ給水供給配管116内を流れて、節炭器107に供給される。
ボイラ100の火炉101の炉壁管111及び過熱器106などの液体配管には、AE(アコースティックエミッション)センサ120が複数(図面上は11箇所)備えられている。AEセンサ120は、ボイラ100の各種配管において発生する弾性波(AE波)を検知可能なセンサである。このAE波は、超音波領域の高い周波数成分をもち、AEセンサ120を用いることで、設置個所の周囲の材料の変形や破壊をリアルタイムで検出することが可能である。より具体的には、AE波は、配管などの固体を介した音波や弾性波だけでなく、水や蒸気などの流体を介した音波や弾性波を含み、材料が変形したり、材料に亀裂が発生したりする際に、材料が内部に蓄えていたひずみエネルギーを放出するものである。AEセンサ120は、この弾性波を材料の表面に設置した変換子で検出し、信号処理を行うことにより材料の破壊過程を評価するセンサである。AEセンサは、圧力容器、ダム、建物、道路、飛行機、自動車等、さまざまな構造物、設備の亀裂や摩擦摩耗の進行を破壊することなく評価することが可能であり、本実施形態のように、配管の漏洩などの現象においてもAE波が発生し、これをAEセンサにより検出することにより配管の漏洩を評価することができる。
異常監視装置200は、ボイラ100とネットワークを介して接続され、ボイラ100を含むプラント全体の運転状態に関する値の時系列データであるプロセスデータ及びAEセンサ120から得られるセンサデータの監視を行う。プロセスデータには、たとえば、ボイラ100の各種配管における流体の圧力、温度又は流量等が含まれる。
図2は、本実施形態の異常監視装置200の機能ブロック図である。図2を参照して異常監視装置200の詳細について説明する。異常監視装置200は、プロセスデータ取得部201と、プロセスデータ選択部202と、プロセスデータ表示部203と、統計処理部204と、異常判定部205と、判定結果表示部206と、を備える。異常監視装置200は、さらに、センサデータ取得部211と、センサデータ表示部212と、異常検出部213と、検出結果表示部214と、を備える。異常監視装置200は、また、比較データ取得部221と、比較部222と、比較結果表示部223と、を備える。
プロセスデータ取得部201は、化学プラントや電力プラントなどのプロセス系システムに設けられたセンサや測定機器、すなわち、本実施形態におけるボイラ100に設けられた圧力計、温度計又は流量計などから複数のプロセスデータを時系列データで取得する。プロセスデータ選択部202は、プロセスデータ取得部201が取得する複数のプロセスデータのうち、特定の異常検出に用いるプロセスデータを選択する。たとえば、ボイラ100の配管における噴破の発生を検出するために、ボイラ100の配管に対する給水量と排水量の運転データを選択する。より具体的には、給水配管115を通って上記ドラム105に供給される給水量と、排出配管114から排出される蒸気の排出量としての排水量とを選択する。これにより、ボイラ100に対する流体の供給する値と排出する値との差分を算出してボイラ配管における流体の漏出の有無を判断する。
プロセスデータ表示部203は、プロセスデータ選択部202により選択されたプロセスデータ、たとえば、上述したボイラ100の給水量と排水量のデータであれば、それらの量を所定の単位で数値データとして画面表示したり、また、給水量と排水量のリアルタイムのデータをグラフとして画面表示したり、さらに、給水量と排水量の経時的な変化をグラフとして画面表示する。以上の画面表示は、異常監視装置200の操作を行うオペレータが視認可能な状態で、図示しないディスプレイ装置に表示して行う。
統計処理部204は、プロセスデータ選択部202により選択された各プロセスデータに対して統計処理を行い、統計処理後の各プロセスデータを異常判定部205に供給する。たとえば、ボイラ100の配管の給水量と排水量のデータから、算出された給水量と排水量の差分について、過去の差分の平均値と比較してその偏差を算出したり、あらかじめ設定された差分に関する閾値との増減を比較する。
異常判定部205は、統計処理後の各プロセスデータを総合評価してシステムが正常状態であるか異常状態であるかを判定する。各プロセスデータの時系列パターンが正常時のパターンとどの程度異なるかを評価し、各プロセスデータの異常度合いを示す評価値を重み付き加算することで総合評価し、判定する。たとえば、ボイラ100の算出された給水量と排水量の差分が、過去の差分の平均値を上回る場合には異常状態として判定したり、当該差分があらかじめ設定された差分に関する閾値を超える場合には異常状態として判定する。この異常判定は、たとえば、異常度を1〜5又はA〜Eなどあらかじめその差分に応じて段階的に基準を設け、割り振られるように設定し、5又はEであれば異常度が高くなるようにすることもできる。
判定結果表示部206は、異常判定部205により判定された判定結果を画面に表示する。たとえば、正常状態の場合は青色又は緑色とし、異常状態の場合は赤色とし、これを、異常監視装置200に設けられたモニタ画面に「正常」等の文字とともに当該文字を青色表示することとしたり、反対に異常状態の場合にはモニタ画面に「異常発生」との文字とともに当該文字を赤色で表示してもよい。さらに、単にモニタ画面又はその周辺のオペレータが視認可能な位置においてランプ等を設けて青色又は赤色で表示してもよい。また、上記のとおり、異常度を段階的に設定した場合には、異常度が低い1又はAの段階を青色とし、異常度が高い5又はEの段階に向かうにあたって、赤色となるように段階的に色彩を設定して表示することもできる。
センサデータ取得部211は、複数のAEセンサ120からの弾性波の時系列データを取得する。センサデータ表示部212は、センサデータ取得部211により取得されたAEセンサ120によって検知される弾性波の時系列データを表示する。たとえば、図3(A)〜(B)に示すように、横軸を時間とし、縦軸をデシベルとして波形データを表示する。
異常検出部213は、センサデータ取得部211によって取得されたAEセンサ120のデータからボイラの各種配管における噴破などを発生させる変形や破壊等の兆候を含め、配管からの高圧蒸気や高圧水の漏出の有無等を判定する。
図3は、複数のAEセンサ120a〜120cから得られる弾性波の時系列データを示すグラフであり、図3(A)は3つのAEセンサのいずれにおいても弾性波の変化を検知した場合を示し、図3(B)は1つのAEセンサにおいて弾性波の変化を検知した場合を示す。異常検出部213は、たとえば、図3に示すように、3つのAEセンサ120a〜120cが、それぞれ過熱器106近傍に配置され、相互にセンサでの検知可能な範囲が重複するように配置された場合において、図3(A)に示すように、3つのAEセンサのいずれにおいても弾性波の変化を検知した場合には、噴破が発生したとして、異常を検出する。また、このとき、3つのセンサにおける弾性波の強さの違いから、噴破の発生した箇所をセンサから推定することが可能である。また、図3(B)に示すように、センサ120aのみで弾性波の変化を検知し、他の2つのセンサ120b及びセンサ120cにおいて弾性波の変化を検知していない場合には、センサ120b及びセンサ120cが検知可能な範囲で噴破は発生していないか、またはノイズであるとの判断を行う。また、この異常の検出は、異常判定部205と同様に、たとえば、異常度を1〜5又はA〜Eなど検出された弾性波の強さに応じて段階的に基準を設け、割り振られるように設定し、5又はEであれば異常度が高くなるようにすることもできる。
検出結果表示部214は、異常検出部213により検出された結果を画面に表示する。たとえば、配管からの噴破の発生を検出した場合には、図3(A)に示すように、波形データに「噴破発生」などの異常を知らせるメッセージを表示する。また、図3(B)のようにひとつのセンサ120aによる検知の場合であって、他のセンサ120b又は10cが弾性波を検知していない場合には、特段の表示を行わないか、センサ120aの波形についてのみ、赤色で表示して警報状態を表示する。また、上記のような画面上の表示限られず、たとえば警報音のように、音によって異常を知らせることも可能である。また、上記のとおり、異常度を段階的に設定した場合には、異常度が低い1又はAの段階を青色とし、異常度が高い5又はEの段階に向かうにあたって、赤色となるように段階的に色彩を設定して表示することもできる。
比較データ取得部221は、比較するためのプロセスデータとセンサデータとを異常検出部213と異常判定部205とから取得する。たとえば、異常検出部213からプロセスデータから得られたボイラの給水量と排水量との差分の有無に関するデータを取得し、異常判定部205からセンサデータから得られたAEセンサ120によって取得される弾性波の検知有無に関するデータを取得する。また、別の態様としては、比較データ取得部221は、プロセスデータから得られた噴破発生の検出の有無に関するデータと、センサデータから得られたAEセンサ120によって取得される弾性波の検知有無に関するデータを取得する。
比較部222は、比較データ取得部221において取得されたプロセスデータとセンサデータとから、異常の判定を行う。たとえば、プロセスデータとしてボイラ100における給水量と排水量との差分が「有」で、AEセンサ120によって取得される弾性波の検知有無が「有」の場合に、ボイラ100において噴破による漏出が発生していると判定し、ともに「無」の場合には噴破の発生は「無」と判定し、さらに、一方が「有」で他方が「無」の場合には、噴破による漏出の発生の可能性があると判定する。
また、別の態様としては、比較部222は、プロセスデータとして噴破発生の検出「有」で、AEセンサ120によって取得される弾性波が「有」の場合にはボイラ100の配管における噴破による漏出の発生を判定し、ともに「無」の場合にはボイラ100の配管における噴破の発生を「無」と判定し、一方が「有」で他方が「無」の場合には、噴破の発生の可能性があると判定する。
さらに、設定により、プロセスデータとセンサデータとの出力結果に重みづけをすることで、たとえば、プロセスデータとセンサデータの一方が「有」で他方が「無」であった場合であっても、AEセンサ120での判定結果を重視して、プロセスデータとして噴破発生の検出「有」で、AEセンサ120によって取得される弾性波が「無」の場合にはボイラ100の配管における噴破の発生は「無」と判定し、一方で、プロセスデータとして噴破発生の検出「無」で、AEセンサ120によって取得される弾性波が「有」の場合にはボイラ100における噴破による漏出の発生は「可能性あり」と判定してもよい。このような出力結果に対する重みづけの設定が行えることで、より正確な異常の判断が行えるようになる。
また、異常判定部205及び異常検出部213において、異常度を1〜5など段階的に判定又は検出している場合には、プロセスデータとセンサデータとの異常度を掛け合わせて異常度が「8」以上になった場合などあらかじめ設定した基準値を超える場合に噴破発生の可能性があると判定してもよい。これにより、噴破発生の可能性について、プロセスデータとセンサデータとから一定の基準によって複合的に判断することができる。また、プロセスデータとセンサデータとで噴破発生の可能性を判定する異常度に違いを設けてもよい。たとえば、プロセスデータは異常度が「4」又は「D」以上の場合であって、センサデータは異常度が「3」又は「C」以上の場合に噴破発生の可能性があると判定するようにする。このように異常度から判定される噴破発生の可能性の基準値をプロセスデータとセンサデータとで異ならせる設定ができることで、より正確な異常の判断が行えるようになる。
比較結果表示部223は、比較部222により判定された判定結果をオペレータが視認可能なように画面に表示する。たとえば、噴破の発生なしであると判定される場合は「噴破の発生なし」との文字を青色を表示し、噴破の発生ありであると推定される場合には、「噴破発生」との文字を赤色で表示するなどができる。また、噴破発生の可能性があるとの判定の場合は、「噴破発生の可能性あり」との文字をオレンジ色で表示するなどができる。さらに、単にモニタ画面又はその周辺のオペレータが視認可能な位置においてランプ等を設けて青色、赤色又オレンジ色で表示する。この場合も、上記のような画面上の表示限られず、たとえば警報音のように、音によって噴破の発生を知らせることも可能である。
以上の構成の異常監視装置200では、プロセスデータ表示部203がプロセスデータを画面表示するとともに、センサデータ表示部212が複数のAEセンサ120によって検知される弾性波の時系列データを表示する。このとき、プロセスデータ表示部203は、複数のプロセスデータのうち、配管の噴破発生の検出に用いるプロセスデータを表示してもよいし、複数を表示してもよい。配管の噴破発生の検出に用いるプロセスデータのみを表示する場合には、噴破発生の有無の情報を強調して表示することができ、オペレータに噴破発生の有無を確実に知らせることができ、また、配管の噴破発生の検出に用いる以外のプロセスデータを複数表示することで、オペレータは他の情報についても同時に確認することができ、いずれの場合にもメリットがある。
これにより、オペレータは、複数のAEセンサ120において得られる配管における漏出の有無に関するデータと、プロセスデータにおける配管の漏出等に関する情報を得ることが可能である。すなわち、オペレータは、ボイラ100の各種配管の噴破の発生による異常について、複数の判断材料を得られる。このように、オペレータは、プロセスデータとセンサによって検知したデータとの複数の判断材料から噴破の発生の判断できるようになるので、噴破の発生の客観的な判断が可能になる。すなわち、プロセスデータとセンサによって検知したデータのいずれか一方が、誤報によるものであった場合において、オペレータは複数のデータの比較が可能であるので、より正確な判断が可能になる。
また、オペレータは、AEセンサ120により可聴領域でない物理的な破壊音の検知が可能になり、ボイラ100の各種配管の弾性波を検知できるようになる。これにより、オペレータは、配管の変形や亀裂の発生など配管のひずみエネルギーを経時的な変化として検知できるので、噴破の発生の兆候を把握することができるので、噴破の発生の早期発見が可能になる。さらに、AEセンサ120は、複数を、ボイラ配管の近傍であって、センサでの検知可能な範囲が相互に重複するように配置されているので、複数のセンサによる弾性波の検知結果を総合して噴破の発生を判断するので、検出精度を高めることができる。
比較部222がプロセスデータとセンサデータとから異常の判定を行い、比較結果表示部223は、比較部222により判定された判定結果を画面に表示するので、オペレータは、プロセスデータとセンサデータの2つのデータから得られた噴破発生に関する情報を得ることができる。
このとき、比較部222は、プロセスデータとしてボイラ100の各種配管における給水量と排水量との差分に関する情報と、AEセンサ120によって取得される弾性波の検知有無に関する情報とを比較する。すなわち、オペレータは、ボイラ100の各種配管における水分量と、配管からの漏出に関する物理的な破壊音の発生という2つの指標から、噴破の発生に関する情報を得ることができる。比較部222は、また、プロセスデータとして噴破発生の検出に関する情報と、AEセンサ120によって取得されるボイラ100の各種配管からの弾性波に関する情報とを比較する。この場合も、オペレータは、プロセスデータとセンサデータの2つの指標から、噴破の発生に関する情報を得ることができる。このように、オペレータは、噴破の発生に関する信頼性の高い情報を得ることできる。
また、比較結果表示部223は、比較部222により判定された判定結果を画面に表示するため、オペレータは、噴破の発生について視覚的に把握することができる。
図4は、異常監視装置200による異常監視処理の手順を示すフローチャートである。
プロセスデータ表示部203は、プロセスデータ選択部202により選択されたプロセスデータを画面表示する(S11)。センサデータ表示部212は、センサデータ取得部211により取得されたAEセンサの時系列データを画面表示する(S12)。比較データ取得部221は、プロセスデータとセンサデータとを比較する(S13)。
比較部222は、比較データ取得部221において比較されたプロセスデータとセンサデータとから比較結果の判定を行う(S14)。比較部222が、噴破発生の検出の有無に関するプロセスデータと、AEセンサによって取得される弾性波の検知有無に関するデータがともに有の場合には噴破の発生を判定すると(S15のYES)、判定結果表示部215は、異常検出部213により検出された検出結果を画面に表示する(S17)。比較部222が、異常なしと判定すると(S15のNO)、続いて比較部222は異常の疑いがあるかを判定する(S16)。異常の疑いがある場合には(S16のYES)、判定結果表示部215は、判定結果を画面に表示する(S17)。異常なしと判定すると(S16のNO)、S11に戻って以降の処理を繰り返す。
以上説明した本実施の形態の異常監視装置200によれば、ボイラ配管に複数のAE(アコースティックエミッション)センサを設置し、AEセンサにより検知されたデータを表示するため、可聴領域でない物理的な破壊音の検知が可能になる。そのため、噴破発生の兆候を含め早期の異常の検出が可能になる。また、AEセンサによるデータに加え、プロセスデータを表示するため、AEセンサで得られた情報と、プロセスデータで得られた情報との複数の判断材料を提供できる。そのため、オペレータによる客観的な異常発生の判断が期待できる。
なお、以上の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。たとえば、上記実施形態では、ボイラ配管の噴破による異常の発生について説明したが、本発明は、これに限られず、構造破壊、結晶的変化又は漏出による異常の発生の検出に用いること可能である。また、ボイラ配管の状態に関わるデータとして、プロセスデータを例に説明したが、プロセスデータに限らず、現場記録、動作記録、アラーム履歴などのデータを用いてもよい。
たとえば、センサデータ表示部212とプロセスデータ表示部203は、表示画面を、分けて構成した態様としても、一つの画面に表示し、さらにそれらを重ねて表示した態様としてもよい。センサデータ表示部212とプロセスデータ表示部203とを分けて表示する場合には、オペレータにおいて、それぞれの表示がプロセスデータとセンサデータという2つの異なる指標で出力されたものであることが把握し易くなる。一方で、センサデータ表示部212とプロセスデータ表示部203を一つの画面に表示する場合、さらにはそれら重ねて表示する場合には、オペレータは両データの比較が容易に行うことができる。
また、上記と同様に、異常判定部205と異常検出部213とは、同一の端末上に同一の処理手段として構成しても別の端末上に別の処理手段として構成としてもよい。同一端末上に同一の処理手段として構成とすることでデータ処理構成の簡素化を図ることができる一方で、別の端末上に別の処理手段として構成とすることによりデータ処理を行う端末を別体で構成することが可能になる。さらに、上記と同様に、検出結果表示部214と判定結果表示部206についても同一の端末上に同一の処理手段として構成しても別の端末上に別の処理手段として構成としてもよく、この場合も上記同様の効果が期待できる。
100 ボイラ、101 火炉、102 サイクロン、103 循環材回収管、104 排ガス流路、105 蒸気ドラム、106 過熱器、107 節炭器、108 脱気器、109 ボイラ給水供給ポンプ、111 炉壁管、112 降水管、113 蒸気配管、114 排出配管、115 給水配管、116 ボイラ給水供給配管、120 センサ、200 異常監視装置、201 プロセスデータ取得部、202 プロセスデータ選択部、203 プロセスデータ表示部、204 統計処理部、205 異常判定部、206 判定結果表示部、211 センサデータ取得部、212 センサデータ表示部、213 異常検出部、214 検出結果表示部、215 判定結果表示部、221 比較データ取得部、222 比較部、223 比較結果表示部

Claims (7)

  1. ボイラ配管の構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の発生を検出するためのボイラ配管の異常監視装置であって、
    前記ボイラ配管の状態に関わるプロセスデータの時系列データを表示するプロセスデータ表示部と、
    前記ボイラ配管に設置された少なくともひとつAEセンサによる時系列データを表示するセンサデータ表示部と、を備え、
    前記プロセスデータと、前記センサデータとを比較可能に構成された、異常監視装置。
  2. 前記プロセスデータと前記センサデータとから検出されるボイラ配管の構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破の有無に関するデータを比較する比較部と、
    前記有無に関するデータの比較結果を表示する比較結果表示部と、
    を備える請求項1に記載の異常監視装置。
  3. 前記比較結果表示部は、前記比較結果から異常状態を判定すると、その旨を表示する請求項2に記載の異常監視装置。
  4. 前記プロセスデータには、前記ボイラ配管の噴破有無に関するデータを含み、
    前記比較部は、前記ボイラ配管の噴破有無と、前記AEセンサで検知される弾性波の検知有無と、を比較する請求項1に記載の異常監視装置。
  5. 前記プロセスデータには、前記ボイラ配管へ給水量と前記ボイラ配管からの排水量に関するデータを含み、
    前記比較部は、前記給水量と排水量との差分の有無と、前記AEセンサで検知される弾性波の検知有無と、を比較する請求項1に記載の異常監視装置。
  6. ボイラ配管の構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の発生を検出するボイラ配管の異常監視方法であって、
    前記ボイラ配管の状態に関わるプロセスデータの時系列データを表示するプロセスデータ表示ステップと、
    前記ボイラ配管に設置された複数のAEセンサによる時系列データを表示するセンサデータ表示ステップと、を含み、
    前記プロセスデータと、前記センサデータとを比較可能である、異常監視方法。
  7. ボイラ配管の構造破壊、結晶的変化、漏出又は噴破による異常の発生を検出するボイラ配管の異常監視プログラムであって、
    前記プログラムはコンピュータに、
    前記ボイラ配管の状態に関わるプロセスデータの時系列データを表示するプロセスデータ表示ステップと、
    前記ボイラ配管に設置された複数のAEセンサによる時系列データを表示するセンサデータ表示ステップと、を実行させ、
    前記プロセスデータと、前記センサデータとを比較可能にした、異常監視プログラム。
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