JP3653667B2 - 異常放電検出装置、異常放電検出方法、及び、プラズマ処理装置 - Google Patents

異常放電検出装置、異常放電検出方法、及び、プラズマ処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は異常放電検出装置、異常放電検出方法、及び、プラズマ処理装置に関するものであり、特に、高電圧または高周波電源からの高周波電圧を印加する際に不所望に発生するプラズマ異常放電を簡単に、迅速に、且つ、精度良く検出するための構成に特徴のある異常放電検出装置、異常放電検出方法、及び、プラズマ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体製造技術分野において、CVD(化学気相堆積)、アッシング、エッチング、スパッタリング、或いは、表面処理等のために、プラズマ放電を用いて被処理基体を処理するプラズマ処理方法が広く用いられている。
【0003】
この様なプラズマ処理工程において、プラズマ処理装置内で発生するプラズマの異常放電は、ダスト発生、被処理基体表面の損傷、基体の汚染、基体に設けた電子素子の絶縁破壊等を引き起こすという問題があり、この様な問題に対処するために異常放電発生の的確な検出が求められている。
【0004】
現在、この様な要請に応えるために様々な研究がなされており、プラズマの発光強度の変化、電源の電圧・電流の変化、プラズマ・インピーダンスの変化、或いは、高調波の変化を検出することにより異常放電を検出することが試みられている。
【0005】
しかし、プラズマの発光強度変化を監視する方法では、多くのプラズマ処理装置のプラズマ発生部がシールドで覆われているため、異常放電によるプラズマ発光変化の検出には光ファイバを取り付けるのにかなりの改造が必要であり、また、取付けたとしても、プラズマ特性が変化してしまうという問題がある。
【0006】
また、プロセスチャンバーに覗き窓が開いている装置の場合にも、プラズマ発光全体を覗くことはできず、位置の特定において、異常放電の確実な検出は困難である。
【0007】
また、RF電源の電圧或いは電流の変化或いはプラズマインピーダンスの変化をモニターする異常放電の検出方法の場合には、異常放電の発生を完全には検出できず、加えて、異常放電が電極以外の場所でも発生するために、異常放電を完全に検出できたとしても、その位置特定は不可能である。
【0008】
さらに、高調波の発生状況の変化を検出する方法では、異常放電の発生は検出できるものの、異常放電の位置特定は不可能である。
【0009】
そこで、本発明者は、プラズマの異常放電が発生すると、放電によって超音波(AE:Acoustic Emission)が発生し、発生したAEがプラズマ処理装置の外壁を伝播することを利用して、プラズマ処理装置の外壁にAEセンサを取り付けて異常放電によって発生したAEを検出することにより放電発生位置を特定することを提案している(必要ならば、特願2000−89840号参照)。
【0010】
この検出方法では、AEセンサをプラズマ処理装置の外壁に取り付けるだけであるので、プラズマ処理装置の大幅な改造を必要とせず、また、複数個のAEセンサを取り付けることによって、各AEセンサにおけるAE検出の時間差から異常放電の位置を特定することが可能になる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プラズマ処理装置に取り付けたAEセンサは、プラズマ放電中のロードロック室でのウェハ搬送等の機械的な可動部からのAE波も検出してしまうため、このままでは、異常放電によるAE波と機械振動によるAE波とを区別することができないという問題がある。
【0012】
そこで、再び、本発明者は、異常放電によるAE波と機械振動によるAE波との相違を鋭意追求したところ、周波数分布に違いがあることを見出したので、この事情を図9乃至図12を参照して説明する。
【0013】
図9(a)乃至図10(c)参照
図9(a)は、意図的に発生させたプラズマ異常放電によるAE波形であり、図9(b)は、図9(a)のAE波をスペクトル解析したフーリエスペクトルであり、また、図10(a)乃至(c)も、図9の場合と同様に意図的に発生させたプラズマ異常放電によるAE波のフーリエスペクトルである。
なお、図10(a)にフーリエスペクトルにおいても、相対強度は小さいものの、実際には5kHz近傍及び200kHz近傍にもスペクトルが存在している。
【0014】
図11(a)乃至図12(c)参照
図11(a)は、意図的に発生させた機械振動によるAE波形であり、図11(b)は、図11(a)のAE波のフーリエスペクトルであり、また、図12(a)乃至(c)も、図11の場合と同様に意図的に発生させた機械振動によるAE波のフーリエスペクトルである。
【0015】
以上の各フーリエスペクトルを比較すると、機械振動によるAE波には相対的に低周波成分が多く、プラズマ異常放電におけるAE波には相対的に高周波成分が多いことが理解される。
【0016】
そこで鋭意検討の結果、これらのフーリエスペクトルにおける5kHz近傍のスペクトル成分と、200kHz近傍のスペクトル成分とに注目したところ、200kHz近傍のスペクトル成分の振幅に対する5kHz近傍のスペクトル成分の振幅の比率を求めることで異常放電の判定が可能なことを見出した。
【0017】
しかし、この様なスペクトル解析には多少の時間がかかり、異常放電の判定が遅れるという問題があり、この様な異常放電の判定は可能な限り高速でリアルタイムに行うことが要請されている。
【0018】
したがって、本発明は、プラズマ処理装置におけるプラズマの異常放電をより簡便に、高速に、且つ、精度良く検出することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
図1は、本発明の原理的構成図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明するが、図において符号2,5〜,9は、夫々バッファ増幅器、増幅器、及び、コンピュータ処理部である。
図1参照
(1)本発明は、プラズマを発生させるプラズマ処理装置に取り付けた超音波センサ1と、超音波センサ1の超音波検出出力を処理して異常放電を検知する処理手段とを少なくとも備えたプラズマ処理装置の異常放電検出装置において、処理手段が、相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタ3と、相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタ4との少なくとも2つのフィルタを備えているとともに、第1のフィルタ3を介した検出出力と第2のフィルタ4を介した検出出力との比率を求める手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
この様に、相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタ3と、相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタ4を用いることによって、時間のかかるスペクトル解析が不要になるとともに、装置構成が簡素化される。
なお、フィルタは3つ以上設けても良いものであり、プラズマ処理装置の構成或いはプラズマ処理条件に応じて最適の2つを選択しても良いものである。
【0021】
(2)また、本発明は、上記(1)において、相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタ3が相対的に低周波数の透過帯域のバンドパスフィルタであり、且つ、相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタ4が相対的に高周波数の透過帯域のバンドパスフィルタであることを特徴とする。
【0022】
この場合の第1のフィルタ3としては、低周波透過帯域のローパスフィルタでも良いが、特定の周波数を選択するためには相対的に低周波数の透過帯域のバンドパスフィルタが望ましく、また、第2のフィルタ4としても、高周波透過帯域のハイパスフィルタでも良いが、特定の周波数を選択するためには相対的に高周波数の透過帯域のバンドパスフィルタが望ましい。
【0023】
(3)また、本発明は、プラズマを発生させるプラズマ処理装置に取り付けた超音波センサ1の超音波検出出力を処理して異常放電を検知するプラズマ処理装置の異常放電検出方法において、超音波検出出力の一部を相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタ3を介して検出するとともに、超音波検出出力の一部を相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタ4を介して検出し、両者の検出出力を比較して、その比率から異常放電による超音波の発生を判定することを特徴とする。
【0024】
(4)また、本発明は、上記(3)において、相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタ3が透過帯域が4〜6kHzのバンドパスフィルタであり、相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタ4が透過帯域が180〜220kHzのバンドパスフィルタであることを特徴とする。
【0025】
この様に、低周波側の検出出力としては4〜6kHzの周波数帯域を用い、且つ、高周波側の検出出力としては180〜220kHzの周波数帯域を用いることによって、機械振動による超音波とプラズマ異常放電による超音波とを明瞭に区別することができる。
【0026】
(5)また、本発明は、上記(3)または(4)において、第1のフィルタ3及び第2のフィルタ4からの検出出力を増幅する際に、増幅された各検出出力の振幅の最大値が後段に設けたアナログ−デジタル変換器8の最大入力レンジになるように各増幅率を設定することを特徴とする。
【0027】
この様に、各検出出力をアナログ−デジタル変換器8の最大入力レンジになるように増幅することによって、相対強度の異なる各検出出力を安定にA/D変換することができ、それによって精度の高い判定が可能になる。
【0028】
(6)また、本発明は、上記(3)乃至(5)のいずれかにおいて、超音波センサ1の超音波検出出力の一部をフィルタを介することなく検出し、この検出出力が予め定めた基準値以上の場合のみに、上記の異常放電による超音波の発生の判定を行うことを特徴とする。
【0029】
この様に、フィルタを介さない信号出力を用いることによって、無駄な検出動作をなくすことができ、実際に超音波が発生した場合に、迅速に判別を行うことが可能になる。
【0030】
(7)また、本発明は、上記(3)乃至(6)のいずれかにおいて、超音波センサ1として、相対的に低周波数側の信号に対する感度の高い超音波センサ1と、相対的に高周波数側の信号に対する感度の高い超音波センサ1とを用いて、相対的に低周波数側の信号に対する感度の高い超音波センサ1からの出力を第1のフィルタ3を介して検出するとともに、相対的に高周波数側の信号に対する感度の高い超音波センサ1からの出力を第2のフィルタ4を介して検出することを特徴とする。
【0031】
この様に、検出対象となる少なくとも2つの周波数に対して夫々感度の高い異なった超音波センサ1を用いることによって、より精度の高い異常放電の判別が可能になる。
【0032】
(8)また、本発明は、上記(3)乃至(6)のいずれかにおいて、超音波センサ1を上記プラズマ処理装置に複数個取り付けるとともに、複数の超音波センサ1の内の少なくとも1個の超音波センサ1の超音波検出出力を用いて異常放電による超音波の発生の判定を行うことを特徴とする。
【0033】
この様に、超音波センサ1を複数個取り付けることによって、従来と同様に超音波の発生源の位置特定が可能になるとともに、その内の少なくとも1個の超音波センサ1の検出出力を用いれば良いが、一個の超音波センサ1のみを用いる場合には、最大検出出力を出力する超音波センサ1の出力を用いることが望ましく、それによって、より精度の高い判定が可能になる。
或いは、複数の超音波センサ1の検出出力を用いて別個に異常放電を判定し、その判定結果をさらに総合的に判定することによって、さらに精度の高い判定が可能になる。
【0034】
(9)また、本発明は、プラズマ処理装置において、上記(1)または(2)に記載の異常放電検出装置を備えたことを特徴とする。
【0035】
この様に、プラズマ処理装置に予め異常放電検出装置を備えつけることによって、各プラズマ処理装置に特有の異常放電の形態に対応した特性を有する超音波センサ1或いはフィルタを製品段階で選択して設置することができるので、初期調整等の作業負担を軽減することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
ここで、図2乃至図6を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図2参照
図2は、本発明が適用される異常放電検出装置を備えたプラズマ処理装置の概念的構成図であり、ガス導入口12及び排気口13を備えたチャンバー11内に、試料ステージを兼ねる下部電極14とそれと対向する上部電極15とからなる平行平板型の電極を収容し、下部電極14上に処理対象となるウェハ16を載置する。
【0037】
この下部電極14はブロッキングコンデンサ17を介してRF電源18に接続され、一方、上部電極15は接地され、これらによってプラズマ処理装置の基本構造が構成されるものであり、本発明は、この様なプラズマ処理装置のチャンバー11の外壁にAEセンサ19を取り付けたものである。
【0038】
図3参照
図3は、本発明の異常放電検出装置の概念的構成図であり、上述のプラズマ処理装置のチャンバー11の外壁に取り付けたAEセンサ19、AEセンサ19からの出力を適正な値まで増幅するバッファアンプ21、バッファアンプ21の出力のうち5kHz近傍の周波数成分のみを取り出す透過中心周波数が5kHzの5kHzバンドパスフィルタ22、同じく、200kHz近傍の周波数成分のみを取り出す透過中心周波数が200kHzの200kHzバンドパスフィルタ23、バッファアンプ21の出力、5kHzバンドパスフィルタ22の出力、及び、200kHzバンドパスフィルタ23の出力を夫々次段のA/D変換部27の最大入力レンジになるように増幅するアンプ24〜26、及び、A/D変換部27の出力を信号処理するコンピュータ部28によって構成される。
【0039】
この場合、AEセンサ19としては、異常放電によって発生するAE波の主要な周波数帯域である2kHz〜250kHzにおいてある程度の感度が得られる200kHz共振型AEセンサを使用しているので、ここで、図4を参照して200kHz共振型AEセンサの感度周波数特性を説明する。
【0040】
図4(a)参照
図4(a)は、100kHz以上の高周波領域における縦波波形での感度周波数特性であり、基準値(0dB)を1V/m/s(振動粒子速度当たりの電圧が1V)として表した図であり、200kHzにおいて相対的に大きな感度を有している。
【0041】
図4(b)参照
図4(b)は、60kHz以下の低周波領域における感度周波数特性であり、基準値(0dB)を38.5mV/m/s2 (加速度当たりの電圧が38.5mV)として表した図であり、AEセンサの出力を26dB(20倍)増幅して示している。
【0042】
この低周波領域においてはAEセンサを構成する圧電振動子の内部を伝播する弾性波の位相差が小さくAEセンサとしての出力電圧が小さくなり、加速度センサとして動作した場合の出力電圧が大きくなるので、加速度センサとして動作させた場合の特性となる。
【0043】
図5(a)及び(b)参照
図5(a)は、5kHzバンドパスフィルタ22の周波数特性図であり、5kHzに透過ピークを有している。
また、図5(b)は、200kHzバンドパスフィルタ23の周波数特性図であり、200kHzに鋭い透過ピークを有している。
【0044】
この様な構成の異常放電検出装置において、AEセンサ19で検出したAE信号はバッファアンプ21を通したのち、1つは何もフィルタを通さずにアンプ24で増幅し、A/D変換部27でデジタル信号に変換してコンピュータ部28に取り込み、それ以外は、5kHzバンドパスフィルタ22及び200kHzバンドパスフィルタ23を介した出力をアンプ25,26で増幅したのち、A/D変換部27でデジタル信号に変換してコンピュータ部28に取り込む。
【0045】
この場合、各アンプ24〜26の増幅率は、アンプの出力の最大値がA/D変換部27の最大入力レンジになるように、例えば、アンプ24の増幅率を1倍、アンプ25の増幅率を8倍、アンプ26の増幅率を4倍に設定している。
【0046】
また、コンピュータ部28においては、夫々の処理信号に対して、AEが発生していない時のバックグランドノイズによる最大振幅を予め計測しておき、この予め計測した最大振幅と検出信号の振幅との差が、予め検出したい異常放電の大きさに対応して設定したしきい値より大きくなった時に5kHzバンドパスフィルタ22及び200kHzバンドパスフィルタ23を介した信号の検出を開始する。
例えば、フルスケールを2Vとした場合、0.1Vをしきい値に設定する。
【0047】
次いで、その後、予め設定した時間の範囲内で振幅がしきい値よりも小さくなった場合に、5kHzバンドパスフィルタ22及び200kHzバンドパスフィルタ23を介した信号の検出を終了する。
この予め設定した時間としては、最低でも一周期分(5kHzで200μs)必要になるが、AE波の周期性が良好でない場合もあるので、例えば、5周期分(=1ms)に設定する。
【0048】
次に、図2及び図3に示した構成によりAE波を検出した結果を、200kHzの振幅に対する5kHzの振幅の比として図6に示す。
図6参照
この図は、上記の図9乃至図12に示したAE波を5kHzバンドパスフィルタ22及び200kHzバンドパスフィルタ23を介して検出した出力であり、図9乃至図12は、バンドパスフィルタを介さない出力を別途スペクトル解析したものである。
【0049】
また、図6においては、他の周波数帯における特徴を併せて検討するために、20kHzバンドパスフィルタ及び80kHzバンドパスフィルタを介した出力も200kHzの振幅に対する比として併せて示している。
なお、この場合のバンドパスフィルタを介した出力のアンプによる増幅率は、20kHzバンドパスフィルタの場合は4倍で、80kHzバンドパスフィルタの場合は2倍である。
【0050】
図6参照
図6から明らかなように、プラズマ異常放電によるAE波は、機械振動によるAE波と比較して、5kHzバンドパスフィルタ22を介した出力の振幅比が小さくなっていることが理解される。
【0051】
したがって、200kHzバンドパスフィルタ23を通したAE波の信号の最大振幅に対する5kHzバンドパスフィルタ22を通したAE波の信号の最大振幅の比を求めることによって、プラズマの異常放電の判定が可能になる。
なお、判定するためのしきい値は絶対的ではないものの、図6の場合には、振幅比が最も大きな異常放電における値が0.696(≒0.7)であり、機械振動の最も低い値が2.041(≒2)であるので、0.7〜2の範囲、例えば、1をしきい値とすれば良い。
【0052】
また、図10(a)に相当する異常放電2は、上記の判定により異常放電であることは判別できるが、フィルタなしの場合と80kHzバンドパスフィルタを通した場合の最大振幅比では、他の異常放電と明らかに異なっていることが理解され、これは、異常放電の形態自体が異なっていることを反映しているものと考えられる。
【0053】
即ち、200kHzバンドパスフィルタ23を通した信号の最大振幅に対するフィルタなしの信号の最大振幅、或いは、80kHzバンドパスフィルタを通した最大振幅の比率を求めれば、異常放電の形態の違いの判定を行うことが可能になる。
【0054】
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明するが、図7は第2の実施の形態のAEセンサを取り付けたプラズマ処理装置の概念的構成図であり、プラズマ処理装置のチャンバー11の外側壁に5kHz近傍の感度の高い低周波AEセンサ31と200kHz近傍の感度の高い高周波AEセンサ32を取り付けたものである。
【0055】
この第2の実施の形態においては、必要とする周波数帯において高い感度を有する別個のセンサを用いているので、より高精度の異常放電判定が可能になる。
【0056】
次に、図8を参照して、本発明の第3の実施の形態を説明するが、図8は本発明の第3の実施の形態のAEセンサの取付け構造を説明する概念的構成図であり、プラズマ処理装置の外側壁に3個、頂面に1個のAEセンサ33〜36取り付けたものである。
【0057】
この第3の実施の形態においては、既に提案しているようにこの4個のAEセンサ33〜36の検出出力の時間差から放電位置を特定するとともに(必要ならば、上述の特願2000−89840号参照)、4個のAEセンサ33〜36の出力の内、最大の出力を出力するAEセンサの出力を用いて上述の異常放電の判定を行うものである。
【0058】
この第3の実施の形態においては、異常放電の発生のみならず、発生位置を特定することができ、且つ、各AEセンサ33〜36の出力の内で最大の出力、即ち、異常放電の発生位置に最も近いAEセンサにより減衰の少ないAE信号を利用することができるので、判定精度をより高めることが可能になる。
【0059】
以上、本発明の各実施の形態を説明してきたが、本発明は各実施の形態に記載された構成・条件に限られるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、上記の各実施の形態においては、プラズマ処理装置として平行平板電極型のプラズマ処理装置を例として説明しているが、プラズマ処理装置の構成はこの様な平行平板電極型のプラズマ処理装置に限られるものではなく、異常放電の発生が予想される各種の構造のプラズマ処理装置に適用されるものである。
【0060】
また、上記の各実施の形態においては、5kHz近傍の検出出力と200kHz近傍の検出出力を比較しているが、この様な周波数は絶対的ではなく、将来において、プラズマ処理装置の構成等が大きく変化した場合には、この様な特異周波数も変化する可能性があり、その場合には、その変化に応じた周波数の組合せを選択すれば良い。
【0061】
また、上記の各実施の形態においては、所定周波数の出力を取り出すためにバンドパスフィルタを用いているが、必ずしもバンドパスフィルタである必要はなく、例えば、低周波数側の出力を検出するためにローパスフィルタを用い、高周波数側の出力を検出するためにハイパスフィルタを用いても良いものである。
【0062】
また、上記の第2の実施の形態においては、周波数感度特性の異なる2つのAEセンサを用いている、周波数感度特性の異なる2つのAEセンサエレメントを一体にマウントして複合化した1個の複合AEセンサを用いても良いものである。
【0063】
また、上記の第3の実施の形態においては、4個のAEセンサを用いているが3個のAEセンサでも良く、或いは、チャンバーの下底面を含めて5個のAEセンサを取り付けても良いものであり、いずれにしても、放電位置の特定が可能になる。
【0064】
さらに、上記の第3の実施の形態においても、複数個のAEセンサの個々のAEセンサとして、周波数感度特性の異なる2つのAEセンサエレメントを一体にマウントして複合化した複合AEセンサを用いても良いものである。
【0065】
また、上記の第3の実施の形態においては、4個のAEセンサの出力の内、最大の出力を出力するAEセンサの出力を用いて異常放電の判定を行っているが、他のAEセンサの出力を用いて異常放電の判定を行っても良いものである。
【0066】
さらに、4個のAEセンサの出力の内、複数個、例えば、2個のAEセンサの出力を用いて異常放電の判定を行っても良く、個々の判定結果を総合的に判断することによって、さらに、精度の高い異常放電の判定が可能になる。
【0067】
また、上記の第1の実施の形態においては、異常放電検出装置を構成するフィルタを2個としているが、図6に関連して説明したように、80kHzバンドパスフィルタ等の他の周波数感度特性を有するフィルタを併せて用いても良いものであり、それによって、異常放電の形態の違いも検出することが可能になる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、複数のフィルタを用いて検出対象となる周波数のAE信号をスペクトル解析することなく取得しているので、プラズマ異常放電を簡単に、迅速に、且つ、精度良く判定することが可能になり、その結果を製造条件或いはプラズマ処理装置の設計にフィードバックすることによって、プラズマ処理工程のスループットの向上や、プラズマ処理装置の信頼性の向上に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明が適用される異常放電検出装置を備えたプラズマ処理装置の概念的構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に用いる異常放電検出装置の概念的構成図である。
【図4】200kHz共振型AEセンサの感度周波数特性の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に用いるバンドパスフィルタの周波数特性図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における測定結果の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の概念的構成図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の概念的構成図である。
【図9】意図的に発生させたプラズマ異常放電によるAE波の説明図である。
【図10】意図的に発生させた他のプラズマ異常放電によるAE波のフーリエスペクトルである。
【図11】意図的に発生させた機械振動によるAE波の説明図である。
【図12】意図的に発生させた他の機械振動によるAE波のフーリエスペクトルである。
【符号の説明】
1 超音波センサ
2 バッファ増幅器
3 第1のフィルタ
4 第2のフィルタ
5 増幅器
6 増幅器
7 増幅器
8 アナログ−デジタル変換器
9 コンピュータ処理部
11 チャンバー
12 ガス導入口
13 排気口
14 下部電極
15 上部電極
16 ウェハ
17 ブロッキングコンデンサ
18 RF電源
19 AEセンサ
21 バッファアンプ
22 5kHzバンドパスフィルタ
23 200kHzバンドパスフィルタ
24 アンプ
25 アンプ
26 アンプ
27 A/D変換部
28 コンピュータ部
31 低周波AEセンサ
32 高周波AEセンサ
33 AEセンサ
34 AEセンサ
35 AEセンサ
36 AEセンサ

Claims (9)

  1. プラズマを発生させるプラズマ処理装置に取り付けた超音波センサと、前記超音波センサの超音波検出出力を処理して異常放電を検知する処理手段とを少なくとも備えたプラズマ処理装置の異常放電検出装置において、前記処理手段が、相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタと、相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタとの少なくとも2つのフィルタを備えているとともに、前記第1のフィルタを介した検出出力と前記第2のフィルタを介した検出出力との比率を求める手段を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置の異常放電検出装置。
  2. 上記相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタが相対的に低周波数の透過帯域のバンドパスフィルタであり、且つ、相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタが相対的に高周波数の透過帯域のバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置の異常放電検出装置。
  3. プラズマを発生させるプラズマ処理装置に取り付けた超音波センサの超音波検出出力を処理して異常放電を検知するプラズマ処理装置の異常放電検出方法において、前記超音波検出出力の一部を相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタを介して検出するとともに、前記超音波検出出力の一部を相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタを介して検出し、両者の検出出力を比較して、その比率から異常放電による超音波の発生を判定することを特徴とするプラズマ処理装置の異常放電検出方法。
  4. 上記相対的に低周波数側の信号のみを透過する第1のフィルタが透過帯域が4〜6kHzのバンドパスフィルタであり、上記相対的に高周波数側の信号のみを透過する第2のフィルタが透過帯域が180〜220kHzのバンドパスフィルタであることを特徴とする請求項3記載のプラズマ処理装置の異常放電検出方法。
  5. 上記第1のフィルタ及び第2のフィルタからの検出出力を増幅する際に、増幅された各検出出力の振幅の最大値が後段に設けたアナログ−デジタル変換器の最大入力レンジになるように各増幅率を設定することを特徴とする請求項3または4に記載のプラズマ処理装置の異常放電検出方法。
  6. 上記超音波センサの超音波検出出力の一部をフィルタを介することなく検出し、この検出出力が予め定めた基準値以上の場合のみに、上記の異常放電による超音波の発生の判定を行うことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置の異常放電検出方法。
  7. 上記超音波センサとして、相対的に低周波数側の信号に対する感度の高い超音波センサと、相対的に高周波数側の信号に対する感度の高い超音波センサとを用いて、前記相対的に低周波数側の信号に対する感度の高い超音波センサからの出力を上記第1のフィルタを介して検出するとともに、前記相対的に高周波数側の信号に対する感度の高い超音波センサからの出力を上記第2のフィルタを介して検出することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置の異常放電検出方法。
  8. 上記超音波センサを上記プラズマ処理装置に複数個取り付けるとともに、複数の超音波センサの内の少なくとも一つの超音波センサの超音波検出出力を用いて異常放電による超音波の発生の判定を行うことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置の異常放電検出方法。
  9. 請求項1または2のいずれかに記載の異常放電検出装置を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
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