JP4150127B2 - 流動層異常燃焼診断方法及び流動層異常燃焼診断装置 - Google Patents

流動層異常燃焼診断方法及び流動層異常燃焼診断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動層燃焼装置の異常燃焼診断方法及び装置に係り、特に、流動媒体として石灰石を用いた流動床石炭燃焼装置に好適な異常燃焼診断方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体粒子を容器に充填して流動媒体とし、容器の下部から空気を送り込んで燃焼させるようにした流動層燃焼装置は、燃焼層内の温度分布を容易に一様に保つことができるので、石炭、ごみなどの固体燃料の燃焼に適した燃焼装置として知られている。
【0003】
特に流動媒体として石灰石を用いた流動層石炭燃焼装置は、燃焼温度が800〜900℃と、灰の溶融温度以下にでき、この結果、以下の特徴をもつ。
(a) 微粉炭焚ボイラで問題となる灰の溶融がおこらず、炭種による制約が少なくなる。
(b) 石灰石流動媒体が燃焼と同時に脱硫を促進するので、排煙脱硫装置が不要になり、発電所敷地面積を低減することができる。
【0004】
ところで、石炭を燃料する流動層燃焼装置には、大気圧式と加圧式の2種の方式がある。
そして、加圧式の流動層燃焼装置の一種に石炭焚加圧流動層複合発電システムがあるが、この加圧流動層複合発電システムは、燃焼が加圧状態で行われ、燃焼排ガスによりガスタービンが駆動できることから、蒸気タービンによる発電と複合することにより、大気圧式の流動層燃焼発電システムに比して高効率であるという特長がある。
【0005】
図8はこの石炭焚加圧流動層複合発電システムの一例を示したもので、図示のように、このシステムは、圧力容器1内に設置した流動層ボイラ2と、ここで発生する蒸気3により駆動される蒸気タービン4、流動層ボイラ2で発生した燃焼ガス5をクリーン化するサイクロン11及びセラミックフィルタ12からなる脱塵装置、それにクリーン化した燃焼ガス15により駆動されるガスタービン6を主要部としている。
【0006】
圧力容器1内には粉砕された石炭と水の混合物からなる燃料7が導入され、流動層ボイラ2内に形成されている流動層8の中に供給される。
また、これと平行して、流動層ボイラ2内には、ガスタービン6により駆動されるコンプレッサ9から高圧空気が供給され、これにより、流動層ボイラ2内に形成されている流動層8内で約860℃の温度で流動層燃焼が維持される。
【0007】
流動層ボイラ2内は空気分散板21により上下に仕切られ、上部に流動媒体16を供給充填して流動層8を形成し、下部を空気室とする。そして、流動層8内に燃料を供給すると共に、空気室に高圧空気を供給して燃焼させる。
【0008】
このとき、燃焼によりSO2 (二酸化硫黄)が発生するが、流動層8を形成する流動媒体16(ベッド剤とも呼ばれる)として石灰石粒子を用いることにより、石灰石によるSO2 の吸収が起こり、この結果、排煙脱硫装置が不要になるという特長が得られ、更にこのとき、流動床による燃焼温度が、通常の火炎燃焼に比して低いことから、NOx (窒化物)の発生も抑制され、このため、一般に環境に調和した発電システムであるといわれている。
【0009】
流動層8内で発生した熱は、この流動層8内に設置されている伝熱管10を加熱し、この伝熱管10内に供給した水が蒸気3として取り出され、蒸気タービン4が駆動される。
一方、流動層ボイラ2から取り出された燃焼ガス5は、サイクロン11と高温フィルタとして使用されるセラミックフィルタ12からなる脱塵装置により脱塵され、燃焼灰18とクリーン化された燃焼ガス15に分離される。
【0010】
そして、この燃焼ガス15によりガスタービン6が駆動され、この後、燃焼ガス15は脱硝装置19、脱塵装置20を通過してスタック13から排ガス17として大気中に排出される。
このときガスタービン6で発生された動力により発電機14が駆動されるが、更にコンプレッサ9もこのガスタービン6により駆動され、このコンプレッサ9により作られた高圧空気が、上記したように、流動層ボイラ2に供給されることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、流動床内での流動媒体の粗大粒子の検出について配慮がされておらず、異常燃焼の虞れが生じてしまうという問題があった。
流動層燃焼装置では、燃料の供給に偏在が生じると異常高温部が発生し、このため、例えば、石炭のズリ分と石灰石とが反応して粒子同士の固着現象が発生する。
【0012】
そして、この現象が進行すると、塊状の粗大粒子が発生し、その大きさは10mmから20mmにもなり、更にこれらが結合して大きくなり、この結果、空気流の分散が妨げられ、これが流動不良につながり、異常燃焼を更に進行させるという悪循環となる。
【0013】
また、粗大粒子が発生すると、供給空気の通過部の一部が閉塞され、空気の上昇流が増加する領域が発生して、伝熱管やダミーチューブの摩耗が著しく進行するようになり、伝熱管が噴破してしまう虞れを生じる。
【0014】
このように、流動層燃焼装置内での粗大粒子の発生は、流動不良、異常燃焼を引き起こし、炉内の損耗が進行してしまう。
しかるに、従来技術では、流動床内での流動媒体の粗大粒子の発生が検知できないので、上記した問題が生じてしまうのである。
【0015】
本発明の目的は、流動床内での流動媒体の粗大粒子の発生に伴う異常燃焼を早期に検知し、炉内の損耗などの発生が未然に防止できるようにした流動層異常燃焼診断方法及び装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、流動層燃焼装置の流動層異常燃焼診断方法において、流動層燃焼装置内に現われる圧力差と各部の温度から、それらの何れか一方の平均値、頻度分布、振幅ピーク値、スペクトルを算出し、これらの何れかを予め設定してある基準値と比較して、異常燃焼を判定するようにして達成される。
【0017】
これにより、流動層燃焼装置内での粗大粒子の発生が早期に検知でき、この結果、本発明は以下の通り働く。
流動層燃焼装置の所定の高さの温度を検出することにより、流動層内の温度変化が検知できるが、これは検出点近傍の温度変化であり、この近傍での異常は検知できても、離れた場所で異常が発生した場合には、必ずしも検知できるとは限らない。
【0018】
ここで、粗大粒子が発生した場合には、粗大粒子の周辺での気泡の停滞によって、流動床のみかけの密度の減少となって現われ、この密度の減少は、粗大粒子の存在する区間での差圧の変化として現れる。
また、粗大粒子の周辺では、気泡の運動、流れも変化するので、差圧の時系列信号に変化が生じ、これは、差圧振動波形の平均値、頻度分布、振動波形のスペクトル(周波数分布)の変化を詳細に解析することにより、検知できる。
【0019】
そして、検知した結果は、予め登録してある平均値、頻度分布、周波数分布の基準値と比較をすることにより、異常が早期に判定できる。
このとき、特に気泡チャネリングは、差圧絶対値、振動波形振幅の減少として現われるので、これらの現象も、差圧振動波形の解析により特定することができる。
【0020】
一方、流動層内の粗大粒子の有無は、固定層状態での差圧にも影響する。
このとき、生成された粗大粒子は、分散板からの空気流に対して障害物として作用するので、異常は差圧の上昇として現われ、従って、差圧の変化を起動時に追跡してやれば、炉内の異常を早期に検知することができる。
【0021】
また、差圧振動の瞬間的な変動は、そのピーク値を解析することにより検知でき、これは、基準となる閾値を予め異常燃焼判定部に設定しておき、それ以上の場合に警報報知につながるようにして異常に備えることができる。
【0022】
このように差圧信号の振動波形を解析することにより、正常、異常流動の識別を図っているので、本発明によれば、流動燃焼状態の変化から異常を発見することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による流動層異常燃焼診断方法及び装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態で、この実施形態は、圧力容器1(図8参照)の高さが7.0mの流動層ボイラ2を対象としたもので、図において、22〜25は圧力導入弁、26〜30は差圧検出器、31〜35は温度検出器、36は信号取り込み部、37は信号処理部、38は信号判定部、39はモニタ装置、そして40はスピーカである。
【0024】
圧力導入弁22〜26は、流動層ボイラ2内の圧力に対して充分な耐圧を備えたコックなどで構成され、流動層ボイラ2の炉底部L(図8において空気分散板21があるところ)から順次、高さが0.7m、1.9m、3.0m、4.0mの位置の合計5箇所に設置され、夫々の位置における流動層ボイラ2の内部の圧力を取り出す働きをする。
【0025】
差圧検出器27〜30は、2系統の圧力導入部を備え、これらの圧力導入部間に現れる圧力差を検出し、検出した圧力差に応じた電気信号を発生する働きをするもので、図示のように、流動層ボイラ2の炉底部に設置してある圧力導入弁22と圧力導入部23〜26の間に夫々圧力導入部が結合されている。
【0026】
従って、差圧検出器27は流動層ボイラ2の炉底部Lと0.7mの高さの間を差圧計測区間として、この区間での圧力差を検出し、差圧検出器28は流動層ボイラ2の炉底部Lと1.9mの高さの間を、差圧検出器29は流動層ボイラ2の炉底部Lと3.0mの高さの間を、そして差圧検出器30は流動層ボイラ2の炉底部Lと4.0mの高さの間を夫々差圧計測区間として、それらの区間での圧力差を夫々検出し、これらの圧力差に対応する電気信号(圧力信号)を発生することになる。
【0027】
温度検出器31〜35は熱電対型の温度センサなどで構成され、流動層ボイラ2の炉底部から高さ0.05mの流動床内と、差圧計測区間の中間位置である高さが0.4m、1.3m、2.4m、3.6mの位置に夫々取り付けてあり、流動層ボイラ2内の雰囲気温度を検出して電気信号(温度信号)を発生する働きをする。
【0028】
信号取込部36は、4個の差圧検出器27〜30から時系列的に供給される圧力信号と、5個の温度検出器31〜35から時系列的に供給される温度信号を入力し、所定の時間毎に取り込む(サンプリング)働きをするが、このとき、サンプリング期間については、流動層ボイラ2の運転状況などに応じて任意に変更できるようにし、これにより、流動状態の変化を瞬時値として解析するか、又は所定の期間の平均値として解析するかが選択できるように構成してある。
【0029】
信号処理部37は、信号取込部36から入力されてくる4系統の圧力信号と、5系統の温度信号を夫々波形分析し、波形の平均値、頻度分布、ピーク値、スペクトルを算出する働きをする。
信号判定部38は、信号処理部37から供給される波形分析結果を、予め登録してある所定の判定基準値と比較し、異常燃焼か否かを判定する働きをする。
【0030】
そして、この信号判定部37は、判定結果が異常燃焼であるとなったとき、所定の異常信号を発生し、モニタ39とスピーカ40により異常が報知されるようにする。
ここで、この信号判定部38で判定に使用される基準値は、流動層ボイラ2の運転中で、正常な運転状態が保たれていると判断されたとき、信号処理部37から与えられる波形分析結果を登録して使用する。
【0031】
なお、この結果、運転時間の積み上げに従って次々と新たな基準値を得ることができるので、これらを、例えば流動媒体の粒度分布の違いなどの運転条件に応じて複数種用意しておき、実際の運転条件に合わせて選択し判定を行うようにしてもよく、或いは追加、更新できるようにしてもよい。
【0032】
次に、この実施形態による異常燃焼診断動作について説明する。
まず、信号処理部37は、差圧計測区間毎の差圧変化から、頻度分布を解析する。
図2は、この頻度分布解析結果の一例で、3個の差圧検出器27〜29から60秒間取り込まれた差圧の解析結果を、横軸に差圧をとって、縦軸に頻度を示したものであり、ここで実線が正常時の波形で、破線が異常時の波形である。
【0033】
この図2の場合、差圧計測区間0〜1.9mと、0〜4.0mで実線の波形と破線の波形にずれが現れており、破線の頻度分布が正常時に比して差圧が低い方に変位していることが判る。
これは、石炭のズリ分と石灰石とが反応して、粒子同士の固着現象により塊状の粗大粒子が発生した結果、粗大粒子周辺での気泡の停滞が起こり、これによって、流動層の密度が見掛け上減少したことに起因する。
【0034】
しかも、この場合、差圧計測区間0〜0.7mでは波形にずれがほとんどみられないことから、その上段の差圧計測区間である0.7〜1.9mで粗大粒子が発生したと推定できる。
このように、正常時の差圧の頻度分布と比較することで、正常値からのずれにより異常を検知し、ずれが現れた差圧計測区間から、粗大粒子が存在する位置を推定することができる。
【0035】
このとき信号判定部38は、この図2に示す波形をモニタ39に表示させ、更に波形のずれが所定量に達したときはスピーカ40から警告音が発生されるように構成してあり、この結果、この実施形態によれば、運転中の流動床に異常燃焼が生じたときにはスピーカ40から音響による報知が得られ、且つ、モニタ39の表示により異常発生の内容も容易に知ることができる。
従って、この実施形態によれば、流動床に現われた燃焼異常の的確な把握が容易に得られることになり、この結果、適切な対処を可能にし、炉の損耗を充分に抑えることができる。
【0036】
図3は、図2と同じ差圧計測区間での頻度分布解析結果の別の一例で、このときは、差圧計測区間0〜0.7m、0〜1.9m、0〜4.0mの全ての計測区間で、破線の頻度分布が、実線から差圧の低い方に変位しており、且つ、夫々の波形で差圧の変動幅が正常時に比して狭くなっている。
【0037】
これは、流動層内に空気のチャネリング部が生じて、層内から層上に向けて空気が貫通することができる経路が形成されたことを示しており、この場合には、気泡の破裂が少なくなるので差圧の変動成分が抑えられ、このことが差圧変動幅の減少として表れていることを示す。
【0038】
従って、このようにして差圧測定結果を次々と解析し、正常時の差圧の頻度分布と比較することにより、正常値からの波形のずれや差圧変動幅の変化から流動異常の一形態である流動層チャネリング現象を推定することができ、異常燃焼を確実に報知させることができる。
【0039】
次に、この実施形態による異常燃焼診断方法の他の例について、以下に説明する。
図1から明らかなように、信号処理部37は、温度検出器31〜35で検出した温度信号も解析するように構成してあり、以下に説明する診断方法では、この温度信号の解析を適用したものである。
【0040】
図4は、一例として、計測高さ0.4mにおける温度の変化、つまり温度検出器32の温度信号による解析結果を示したものであるが、この場合、計測高さが0.4mなので流動層内の温度が検出される。
そして、この場合、正常時には、実線で示すように、ほぼ一定の温度を示し、ここでは約850℃付近で小幅な変化が見られるだけである。
【0041】
一方、燃料の偏在が生じると、炉内で局部的に温度が変化する。
例えば、図4では、破線で示すように、測定開始後、1時間から2時間の間に一時的に温度が920℃まで上昇しており、従って、この場合は、温度検出器32の近傍に石炭が偏在したことを示している。
そして、このときの920℃という温度は、正常時での温度に対して閾値以上になるように、この閾値が設定してある。
【0042】
このあと、温度は一旦減少してから正常範囲に戻っているが、この場合、この過程で高温時に石炭のズリ分と石灰石とが反応し、粒子同士の固着現象が発生して粗大粒子が形成されてしまう虞れがある。
そこで、信号処理部37は、温度検出器31〜35による温度信号を監視し、このような異常高温現象が生じた場合には、その後、図2で説明した差圧振動波形の解析による異常判定を実行するように構成されている。
【0043】
従って、この実施形態によれば、上記した一連の処理により、粗大粒子が形成され、粒子停滞による流動不良の虞れが生じたときは、それが早期に発見できるので、流動床の異常燃焼を抑え、炉の損耗を確実に抑制することができる。
【0044】
ところで、異常発生の要因によっては、図2で説明した差圧波形の頻度分布による判定方法では、特に異常が診断できない場合がある。
しかし、この場合でも、以下に図5により説明するスペクトル解析によれば、異常が判定できる場合があり、従って、これらを併用することにより、診断精度の向上が得られる。
【0045】
例えば、この図5の解析結果が得られたときでも、このときの差圧信号では、図2に示した差圧振動波形の頻度分布による診断では、正常時と異常時で頻度分布に顕著な差が現れなかったものであるが、しかし、この図5では、実線と破線で示すように、正常時と異常時で顕著な差がみられ、容易に診断が得られる。
【0046】
すなわち、この図5は、差圧振動波形のスペクトル(周波数分布)解析結果の一例として、差圧計測区間0〜1.9mでの差圧の振動波形をスペクトル解析し、その結果を、横軸に周波数をとり、縦軸には差圧の強度をとって示したものであるが、この図によれば、スペクトル中で正常時に0.1Hz以下にある周波数のピークが、異常時には約0.6Hz付近に移動していることが明瞭に示されている。
【0047】
このことは、粗大粒子が形成された結果、流動床内で上昇する気泡が分割されて小さくなったことを示すものである。
つまり、粗大粒子が形成されると、その周辺では気泡径が変動し、これにより差圧の振動による周波数成分に変化が現れ、気泡が分割され小さくなった結果、差圧振動の周波数が高くなったものである。
【0048】
このように、気泡が粗大粒子付近に停滞するまでに至らなくても、気泡径が変化するだけで振動波形のスペクトルに変化が現われるので、図5の実線で示すように、正常時のスペクトルを登録しておき、これと比較することにより流動不良を早期に検知することができ、従って、この実施形態によれば、流動床の異常燃焼を抑え、炉の損耗を確実に抑制することができる。
【0049】
このときの差圧振動波形のスペクトル(周波数分布)解析は信号処理部37により行われるように構成してあるが、このとき、時系列の変化を精密に解析できるウエーブレット解析を採用することにより、容易に実施することができる。
【0050】
ところで、以上は、流動床燃焼装置が運転中での異常燃焼診断方法であるが、ここで、次に、流動床による燃焼運転が停止されていて、流動床が固定層状態にあるときでの異常診断方法について説明すると、この方法は、流動層ボイラ2の起動時、炉内に点火される前に、炉内に計測用の所定流量の空気を送り込んで流動床が固定層の状態にあるとき、差圧検出器27〜29から差圧信号を取り込んで診断を行うようにしたものである。
【0051】
図6は、流動床を上記の固定層状態にして、0〜0.7m、0〜1.9m、0〜4.0mの各区間で計測された差圧、つまり差圧検出器27、28、30から供給される差圧信号により、信号処理部37が解析した結果の一例で、横軸に空塔速度をとったときの差圧を縦軸にした特性図である。
【0052】
ここで、空塔速度〔m/秒〕とは、炉(流動層ボイラ2)内での空気の上昇速度のことで、空気流量A〔m3/秒〕と、炉の断面積B〔m2〕により、A/Bとして与えられる数値であり、このため、信号取込部36には、図1に示すように、空気流量Aを表わす信号が入力されている。
なお、この空気流量Aを表わす信号は、図示してない空気流量検出器から供給されるようになっている。
【0053】
この図6において、実線で示されている正常時の差圧特性と、破線で示されている差圧特性には、明らかな差が見られる。
すなわち、差圧計測区間0〜1.9mでの特性と、差圧計測区間0〜4.0mにおいて、破線の異常時での差圧の方が、実線の正常時の差圧に比して高くなっていることが判る。
【0054】
このことは、次のように説明できる。すなわち、固定層状態では、粗大粒子は空気流に対して障害物として作用し、流動床は流動不良になる。そして、この流動不良が差圧の上昇をもたらすのである。
【0055】
そこで、信号処理部37は、予め図6に示されている正常時の差圧特性を登録しておき、固定層状態で取り込んだ差圧特性と比較し、これらの差が、これも予め設定してある所定の閾値を越えたとき、スピーカ40を動作させ、これにより異常燃焼の虞れがあることを報知させるように動作する。
【0056】
従って、この実施形態によれば、例えば起動時直前など、流動層ボイラ2が運転されていないとき、予め流動床の状態を診断し、流動媒体中に粗大粒子が形成されていないことを確認することができ、この結果、炉内の異常を早期に検知して適切な対処を取ることができ、流動床の異常燃焼を抑え、炉の損耗を確実に抑制することができる。
【0057】
図7は、上記実施形態における異常燃焼診断処理をフローチャートにより示したものである。
差圧検出器27〜30と、温度検出器31〜35により、流動層ボイラ2内でモニタリングされた差圧振動波形(差圧信号)と熱電対温度(温度信号)は、信号取込部36においてA/D変換され、次いで、信号処理部37において、夫々平均値、頻度分布、ピーク値、スペクトルなどが算出される。
【0058】
その後、信号判定部38において、まずピーク値が予め設定してある許容閾値を越えたとき警告が発せられるようにする。
ピーク値が許容される範囲にある場合は、次に平均値、頻度分布、スペクトルが、夫々の正常時のデータとの比較により偏差が算出され、これが許容値以上であると自動的に警告が発せられるのである。
【0059】
従って、上記実施形態では、この手順により粗大粒子の検知などの炉内の異常流動を早期に発見でき、この結果、炉の損耗につながる現象を避けるための的確な対処を容易にとることができる。
【0060】
次に、図9は、上記した各種の異常診断方法を、例えば図8に示された流動床発電システムに適用した場合を示したもので、図において、41はパソコン(パーソナルコンピュータ)で、42はインターフェース用のA/D変換器で、その他の構成は、図1の実施形態と同じであり、従って、パソコン41は、図1の信号処理部37と信号判定部38に相当するもので、A/D変換器42は同じく信号取込部36に相当するものとなる。
【0061】
この図9の実施形態は、パソコン41として、図2〜図6で説明した方法の何れかにより、又はそれらの方法の併用により、燃焼異常を診断する処理の実行に必要な手順(プログラム)を格納したパソコンを用い、これに、A/D変換器42を介して、差圧検出器27〜30と、温度検出器31〜35から、夫々差圧信号と温度信号を取り込み、図1の実施形態と同じく、燃焼異常診断結果をパソコン25のモニタに表示させ、スピーカ40により異常発生を報知させるようにしたものである。
【0062】
ところで、以上の実施形態についての説明では、4個の差圧検出器27〜30の全てと、5個の温度検出器31〜35の全てについて、それらによる信号を使用した場合については説明しなかったが、何れについても任意に選択して使用することができることはいうまでもなく、よりよい診断結果が得られるものを選んで診断を行うようにしてやれば良い。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、流動層燃焼装置内での流動媒体中での粗大粒子の発生を検知し、異常燃焼を判定するようにしたので、異常燃焼の的確な診断を早期に、しかも容易に得ることができる。
従って、本発明によれば、流動床に現われた燃焼異常がいち早く的確に把握でき、この結果、適切な対処を早期に図ることができ、炉の損耗を充分に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による流動層異常燃焼診断方法の一実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による異常燃焼診断方法の第1の例を説明するための特性図である。
【図3】本発明の一実施形態による異常燃焼診断方法の第2の例を説明するための特性図である。
【図4】本発明の一実施形態による異常燃焼診断方法の第3の例を説明するための特性図である。
【図5】本発明の一実施形態による異常燃焼診断方法の第4の例を説明するための特性図である。
【図6】本発明の一実施形態による異常燃焼診断方法の第5の例を説明するための特性図である。
【図7】本発明の一実施形態による異常燃焼診断方法の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】加圧流動層発電システムの一例を示すブロック図である。
【図9】本発明による流動層異常燃焼診断装置の一実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
1 圧力容器
2 流動層ボイラ
3 蒸気
4 蒸気タービン
5 燃焼ガス
6 ガスタービン
7 燃料
8 流動層
9 コンプレッサ
10 伝熱管
11 サイクロン
12 セラミックフィルタ
13 スタック
14 発電機
15 クリーン化した燃焼ガス
16 流動媒体
17 排ガス
18 燃焼灰
19 脱硝装置
20 脱塵装置
21 空気分散板
22〜26 圧力導入弁
27〜30 差圧検出器
31〜35 温度検出器
36 信号取込部
37 信号処理部
38 信号判定部
39 モニタ
40 スピーカ
41 パソコン(パーソナルコンピュータ)
42 A/D変換器

Claims (5)

  1. 流動層燃焼装置の流動層異常燃焼診断方法において、
    流動層ボイラ内の流動層の中で高さが異なる複数の位置の温度を検出する複数の温度検出手段と、前記流動層ボイラ内の炉底部に対する圧力差を当該炉底部からの高さが異なる複数の位置で検出する複数の差圧検出手段とを用い、
    前記複数の温度検出手段の何れかにより検出された温度が予め設定してある閾値を超えたとき石炭の偏在が発生したものと判定し、このときに閾値を超えた温度が検出された温度検出手段が、前記複数の温度検出手段の中の何れであるかにより偏在が発生した位置の判定を行い、
    前記複数の差圧検出手段により検出された圧力差の変化により粗大粒子の発生を判定し、このときに圧力差の変化が検出された差圧検出手段が、前記複数の差圧検出手段の中の何れであるかにより粗大粒子の発生位置の判定を行うことを特徴とする流動層異常燃焼診断方法。
  2. 流動層燃焼装置の流動層異常燃焼診断装置であって、
    流動層ボイラ内の流動層の中で高さが異なる複数の位置の温度を検出する複数の温度検出手段と、
    前記流動層ボイラ内の炉底部に対する圧力差を当該炉底部からの高さが異なる複数の位置で検出する複数の差圧検出手段と、
    前記複数の温度検出手段と差圧検出手段の双方から時系列的に供給される温度信号と差圧信号を入力し所定の時間毎に取り込む信号取込部と、
    該信号取込部から入力されてくる複数系統の温度信号と差圧信号を夫々波形分析し、波形の平均値、頻度分布、ピーク値、スペクトルを算出する信号処理部と、
    該信号処理部から供給される波形分析結果を予め登録してある基準値と比較し、異常燃焼か否かを判定する信号判定部を設け、
    該信号判定部は、
    前記複数の温度検出手段の何れかにより検出された温度が予め設定してある閾値を超えたとき石炭の偏在が発生したものと判定し、このときに閾値を超えた温度が検出された温度検出手段が、前記複数の温度検出手段の中の何れであるかにより偏在が発生した位置の判定を行い、
    前記複数の差圧検出手段により検出された圧力差の変化により粗大粒子の発生を判定し、このときに圧力差の変化が検出された差圧検出手段が、前記複数の差圧検出手段の中の何れであるかにより粗大粒子の発生位置の判定を行うことを特徴とする流動層異常燃焼診断装置。
  3. 請求項2に記載の装置において、
    前記信号取込部が、その信号の取込時間の変更により、前記信号処理部に転送されるデータ量が任意に変更できるように構成されていることを特徴とする流動層異常燃焼診断装置
  4. 請求項2に記載の装置において、
    前記信号判定部における基準値が、必要に応じて更新、追加可能に構成されていることを特徴とする流動層異常燃焼診断装置。
  5. 請求項2に記載の装置において、
    表示手段と報知手段の少なくとも一方を備え、
    異常燃焼と判定されたとき、異常燃焼の内容が前記表示手段に表示され、異常燃焼発生が前記報知手段により報知されるように構成したことを特徴とする流動層異常燃焼診断装置。
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