JP6385830B2 - 操業オペレータの作業負荷を評価する評価方法 - Google Patents
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プラントにおける異常な操業の具体的な例としては、ごみ処理炉に供給されるごみの量が急激に変動すると、ごみ処理炉内でのごみ燃焼が不安定になり、炉内温度の変動や局所的な高温領域の発生、CO(一酸化炭素)、NOx(窒素酸化物)、ダイオキシン類等の発生を誘引する原因となる。
プラントの安定操業を行うためにも、操業オペレータに対する作業負荷(繁忙度合い)を把握する、すなわちプラントの操業における作業負荷を正しく評価し、その負荷指標に応じて適切な要員配置による負荷分散、制御装置の機能拡張(自動化)などによる適切なアクションに繋げていく必要がある。
特許文献1には、プラントからの計測データが入力されるとともに前記プラントに対して制御指令を与えるプラント制御監視システムから、前記プラント制御監視システムにおけるアラームに関する履歴を示す履歴データを取得する取得手段と、前記履歴データに含まれるアラームの発生時刻および復帰時刻に基づいて、前記プラントにおけるアラーム発生間隔分布およびアラーム対応時間分布を算出する算出手段と、前記アラーム発生間隔分布および前記アラーム対応時間分布からアラームに対する処置時間分布を求め、前記アラーム発生間隔分布および前記処置時間分布からプラントオペレーションの負荷を算出する評価手段とを備える、プラントオペレーションの負荷評価装置が開示されている。
すなわち、特許文献1,2などの技術は、警告アラームの頻度や操業条件の変更操作、及びその履歴を基に、操業オペレータにかかる作業負荷を評価している。
しかしながら、プラントの操業に携わる操業オペレータは、通常「操業条件の変更作業」の他に、「変更後のプラントの監視作業」を行っている。「変更後のプラントの監視作業」とは、例えば操業オペレータが監視モニタを介してプラントの状態を一定期間に亘り常に監視するといった「操業オペレータの制御装置への張り付き作業」などがある。このような「変更後のプラントの監視作業」も当然、操業オペレータが一定の労力および時間をかけているアクションと見なせるため、作業負荷として評価されるべきである。特に、「変更後のプラントの監視作業」を長時間行うことは、高い集中力を必要とし、もし前回の操作から運転状態が更に悪化する場合、速やかに状況を把握し対応策を決定、オペレーションに結びつける必要があり、高い作業負荷とされる。それ故、「変更後のプラントの監視作業」を作業負荷の指標として用いることは、操業オペレータにかかる作業負荷(繁忙度合い)を正確に評価する上で非常に重要である。
本発明にかかる操業オペレータの作業負荷を評価する評価方法は、所定の運転を行う設備を少なくとも1つ以上備えたプラントを操業するに際し、前記プラントの制御を行う制御装置によって操業オペレータにかかる作業の負荷を評価する評価方法において、前記操業オペレータが前記プラントに対して操作を行うことで発生する作業量である「操作作業量」を算出する操作作業量算出ステップと、前記操業オペレータが前記プラントに対して操作を行った後に、前記プラントの操業の経過を監視することで発生する作業量である「監視作業量」を算出する監視作業量算出ステップと、算出された前記「操作作業量」と前記「監視作業量」とを基に、前記操業オペレータにかかる作業の負荷を評価する評価ステップと、を有し、前記「操作作業量」は、前記プラントに対して操作を行った回数、前記操作に要した時間、前記プラントからの警告に対する対応回数、前記警告に対する対応時間の少なくとも1つ以上を用いて算出されることとし、前記「監視作業量」は、前記プラントの操業の経過を監視した時間、回数の少なくとも1つ以上を用いて算出されることとし、前記プラントに対して操作を行った回数、前記警告に対する対応回数、操業状態を知らせる監視項目が監視モニタなどに表示された回数・表示時間、並びに予め登録された操作作業とそれに関連する監視項目の対応情報から導出した監視頻度・時間を履歴データとして記憶し、記憶した前記履歴データに基づいて、前記プラントの操業を監視する時間を求め、求めた監視時間を用いて前記「監視作業量」を算出することを特徴とする。
本実施形態の操業オペレータWにかかる作業負荷を評価するシステム20を説明する前に、所定の運転を行う設備を少なくとも1つ以上備えたプラントについて、ごみ処理炉1を例示して説明する。なお、本発明は、例示したごみ処理炉1の他に、例えば発電設備や、製鉄所などの様々なプラントに適用可能である。
このごみ処理炉1においては、ごみ収集車2で収集されてきた家庭や工場などから排出され廃棄物(以降、ごみDと呼ぶ)は、有底の穴であるごみピット3に投下され、当該ごみピット3内に一時的に貯留される。
ごみ処理炉1のガス化炉7の内部は、500℃〜600℃程度の比較的低温雰囲気とされており、ホッパ5から供給されたごみDはガス化炉7の内部にて熱分解し、可燃性ガス、未燃分及び灰に分解される。その後、可燃性ガス、未燃分が、ガス化炉7の上部より排出されて、溶融炉8に供給され、当該溶融炉8内において1200℃以上の高温雰囲気下で完全燃焼されることとなる。溶融炉8内に存在する灰は高温雰囲気下により溶融され、スラグとなる。溶融炉8から排出される排ガスは減温塔、バグフィルタ、触媒反応塔で処
理された後、煙突より大気中へ放出される(図示せず)。
制御装置9は、例えばプロコン、PLC等で実現されていて、ごみ処理炉1の操業に対する制御の履歴を記憶する記憶手段と、ごみ処理炉1の操業状態を示す表示モニタ21(監視モニタ)と、操業条件の入力や変更するための入力デバイス22(マウス、キーボード等)と、操業状態が通常と異なった場合に通達する通達手段23とを備える。
しかしながら、ごみ処理炉1の制御が適正に行われていても、操業条件の変更を行わなければならないことがある。
さらに、操業オペレータWは、「操業条件の変更作業」の後に、監視モニタ21などを介してごみ処理炉1の状態を一定期間に亘り常に監視する「変更後のプラント1の監視作業(操業オペレータWの制御装置9への張り付き作業)」を行っている。
ごみ処理炉1(プラント)の安定操業を行うためにも、操業オペレータWに対する作業負荷(繁忙度合い)を把握する、すなわちごみ処理炉1の操業における作業負荷を正しく評価する必要がある。
図1は、本発明の操業オペレータWの作業負荷を評価するシステム20を模式的に示した図である。図2Bは、本発明の評価システム20を用いて、操業オペレータWにかかる作業負荷の評価を行った場合を示した図である。図3は、本発明の操業オペレータWの作業負荷を評価するシステム20のフローチャート図である。
図1に示すように、本発明は、所定の運転を行う設備を少なくとも1つ以上備えたごみ処理炉1(プラント)を操業するに際し、操業オペレータWにかかる作業の負荷を評価するシステム20であり、操業オペレータWがごみ処理炉1に対して操作を行うことで発生する作業量である「操作作業量」を算出する操作作業量算出ステップと、操業オペレータWがごみ処理炉1に対して操作を行った後に、ごみ処理炉1の操業の経過を監視することで発生する作業量である「監視作業量」を算出する監視作業量算出ステップと、抽出された「操作作業量」と「監視作業量」とを基に、操業オペレータWにかかる作業の負荷を評価する評価ステップと、を有する。
以上まとめると、操作作業量は、上記の操作項目の入力・変更頻度及び、警告対応項目の操作頻度などに基づいて算出される。
本実施形態では、監視作業量は、操業状況を知らせる監視項目が監視モニタ21上に表示された回数(監視項目の閲覧頻度)、その時間(表示の開始時刻及び終了時刻)、及び、予め評価システム20に登録された、操作作業とそれに関連する監視項目の対応情報の少なくとも1つ以上に基づいて、算出される。
なお、監視時間は、操業オペレータWが、操業条件の操作項目を入力あるいは変更した後に、その操業条件におけるごみ処理炉1の操業の経過を観察して、通常操業になったことを確認するまでの間、あるいは、操業条件の変更後から再度操業条件を変更するまでの間の時間のことをいう。
なお、上記した操作作業量及び監視作業量を、項目別に操業オペレータWへの影響度を考慮した重み付けをし、操業オペレータWの作業負荷を評価する指標としてもよい。
操作作業量算出ステップは、操業オペレータWの作業負荷を評価する際に基準となる評価条件を設定する。ここが図3のSTEP1である。
となる監視作業の回数及び時間としては、例えば、操業状況を知らせる監視項目が、監視モニタ21などに表示された回数及び表示時間、及び、予め評価システム20に登録された、操作作業とそれに関連する監視項目の対応情報から導出した監視頻度、時間などが挙げられる。抽出された監視時間及び監視回数の少なくとも1つ以上を用いて、操業オペレータWの作業負荷を評価する際の指標の一つである「監視作業量」を算出する。ここまでが図3のSTEP2である。
ごみ処理炉1の操業における一定期間(開始時刻ts〜終了時刻te)において、操業オペレータWが警告を受けて、操作項目の変更作業をし、変更後に監視作業を行った工程の回数、すなわち操作作業量と監視作業量とを下式に代入して、操業オペレータWにかかる作業負荷Lを算出して評価する。なお、図2Bに示すように、操業オペレータWの監視作業量を、別途設定した閾値(t2−t1≦ΔT)を用いて評価してもよい。すなわち、操作アクションx1の後、次の操作アクション(x2)発生までの時間(t2−t1)が閾値ΔT以下の場合はt2−t1を監視作業の時間とし、ΔTよりも大きい場合はΔTを監視作業の時間として評価する。ここまでが図3のSTEP3である。
5である。なお、作業負荷の評価は監視モニタ21に内蔵したインタフェース画面から任意に評価期間の設定や評価の開始/終了を実行することができる。ステップ5において、評価終了の入力信号が検知された場合は図3の評価フローを終了し、そうでない場合は新たに設定された評価期間情報を参照のうえ、引き続きSTEP2に戻り評価を継続する。
2 ごみ収集車
3 ごみピット
4 クレーン
5 ホッパ
6 搬送手段(コンベア)
7 ガス化炉
8 溶融炉
9 制御装置
20 作業負荷を評価するシステム(評価システム)
21 監視モニタ(表示モニタ)
22 入力デバイス
23 通達手段
W 操業オペレータ
D ごみ
Claims (1)
- 所定の運転を行う設備を少なくとも1つ以上備えたプラントを操業するに際し、前記プラントの制御を行う制御装置によって操業オペレータにかかる作業の負荷を評価する評価方法において、
前記操業オペレータが前記プラントに対して操作を行うことで発生する作業量である「操作作業量」を算出する操作作業量算出ステップと、
前記操業オペレータが前記プラントに対して操作を行った後に、前記プラントの操業の経過を監視することで発生する作業量である「監視作業量」を算出する監視作業量算出ステップと、
算出された前記「操作作業量」と前記「監視作業量」とを基に、前記操業オペレータにかかる作業の負荷を評価する評価ステップと、を有し、
前記「操作作業量」は、前記プラントに対して操作を行った回数、前記操作に要した時間、前記プラントからの警告に対する対応回数、前記警告に対する対応時間の少なくとも1つ以上を用いて算出されることとし、
前記「監視作業量」は、前記プラントの操業の経過を監視した時間、回数の少なくとも1つ以上を用いて算出されることとし、
前記プラントに対して操作を行った回数、前記警告に対する対応回数、操業状態を知らせる監視項目が監視モニタなどに表示された回数・表示時間、並びに予め登録された操作作業とそれに関連する監視項目の対応情報から導出した監視頻度・時間を履歴データとして記憶し、
記憶した前記履歴データに基づいて、前記プラントの操業を監視する時間を求め、
求めた監視時間を用いて前記「監視作業量」を算出する
ことを特徴とする操業オペレータの作業負荷を評価する評価方法。
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