<第1実施形態>
図1は、モータ装置(及びこれに用いられるモータ駆動装置)の第1実施形態を示す図である。本実施形態のモータ装置1は、モータ駆動装置10と、DCモータ20と、電源装置30と、を有する。なお、モータ装置1は、例えば、図11で示すように、車両Xに搭載される電動ドアミラーX1及びX2の開閉駆動手段として、好適に利用することが可能である(詳細は後述)。
モータ駆動装置10は、電源装置30から電圧V1及びV2の供給を受けて動作し、DC/モータ20に流れる出力電流Ioの向き(延いてはDCモータ20の回転方向)を制御する。なお、モータ駆動装置10の構成及び動作については、後ほど詳述する。
DCモータ20は、モータ駆動装置10から出力電流Ioの供給を受けて回転する。より具体的に述べると、DC/モータ20は、出力電流Ioが第1の向き(n1→n2)に流れているときに第1の回転方向(例えば時計回り)に回転し、出力電流Ioが第2の向き(n2→n1)に流れているときに第2の回転方向(例えば反時計回り)に回転する。
電源装置30は、DCモータ20の回転方向に応じて、モータ駆動装置10に供給される電圧V1及びV2相互間の高低関係を切り替える。より具体的に述べると、電源装置30は、DCモータ20を第1の回転方向に回転するとき(すなわち、出力電流Ioを第1の向きに流すとき)に、V1>V2(例えばV1=VBB、V2=GND)とし、DCモータ20を第2の回転方向に回転するとき(すなわち、出力電流Ioを第2の向きに流すとき)に、V1<V2(例えばV1=GND、V2=VBB)とする。このような電圧切替制御の技術的意義については、モータ駆動装置10の構成及び動作と共に後述する。
<モータ駆動装置>
引き続き、図1を参照しながらモータ駆動装置10の構成及び動作について説明する。本実施形態のモータ駆動装置10は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタM1及びM2と、レベルシフタLS1及びLS2と、抵抗R1及びR2と、ツェナダイオードZD1及びZD2と、ダイオードD1及びD2と、を含む。
トランジスタM1のドレインは、電圧V1の印加端に接続されている。トランジスタM1のソース及びバックゲートは、DCモータ20のノードn1に接続されている。なお、トランジスタM1のドレイン・ソース間には、トランジスタM1のドレインをカソードとし、トランジスタM1のソースをアノードとするボディダイオードBD1(=寄生ダイオード)が付随している。また、トランジスタM1のドレイン・ソース間には、ボディダイオードBD1と同じ向きに、これよりも耐圧の高いダイオードD1が接続されている。なお、ダイオードD1は、ボディダイオードBD1の保護素子として機能する。
トランジスタM2のドレインは、電圧V2の印加端に接続されている。トランジスタM2のソース及びバックゲートは、DCモータ20のノードn2に接続されている。なお、トランジスタM2のドレイン・ソース間には、トランジスタM2のドレインをカソードとし、トランジスタM2のソースをアノードとするボディダイオードBD2(=寄生ダイオード)が付随している。また、トランジスタM2のドレイン・ソース間には、ボディダイオードBD2と同じ向きに、これよりも耐圧の高いダイオードD2が接続されている。なお、ダイオードD2は、ボディダイオードBD2の保護素子として機能する。
抵抗R1の第1端は、電圧V1の印加端に接続されている。ツェナダイオードZD1のアノードは、電圧V2の印加端に接続されている。抵抗R1の第2端とツェナダイオードZD1のカソードは、レベルシフタLS1の入力端に接続されている。レベルシフタLS1の出力端は、トランジスタM1のゲートに接続されている。抵抗R1は、電流制限素子である。ツェナダイオードZD1は、クランプ素子である。レベルシフタLS1は、トランジスタM1のオン期間中におけるトランジスタM1のゲート・ソース間電圧をオンスレッショルド電圧以上に引き上げるための昇圧手段である。
抵抗R2の第1端は、電圧V2の印加端に接続されている。ツェナダイオードZD2のアノードは、電圧V1の印加端に接続されている。抵抗R2の第2端とツェナダイオードZD2のカソードは、レベルシフタLS2の入力端に接続されている。レベルシフタLS2の出力端は、トランジスタM2のゲートに接続されている。抵抗R2は、電流制限素子である。ツェナダイオードZD2は、クランプ素子である。レベルシフタLS2は、トランジスタM2のオン期間中におけるトランジスタM2のゲート・ソース間電圧をオンスレッショルド電圧以上に引き上げるための昇圧手段である。
次に、DCモータ20を第1の回転方向に回転するとき(=出力電流Ioを第1の向きに流すとき)、DCモータ20を第2の回転方向に回転するとき(=出力電流Ioを第2の向きに流すとき)、及び、DCモータ20を停止するとき(=出力電流Ioを流さないとき)の3つに場合を分けて、モータ駆動装置10の動作説明を行う。
DCモータ20を第1の回転方向に回転する場合には、電源装置30によりV1>V2(例えばV1=VBB、V2=GND)とすればよい。この場合には、トランジスタM1がオンして、トランジスタM2がオフする。その結果、出力電流Ioが第1の向き(V1(=VBB)→M1→n1→20→n2→D2(BD2)→V2(=GND))に流れるので、DCモータ20が第1の回転方向(例えば時計回り)に回転する。
一方、DCモータ20を第2の回転方向に回転する場合には、電源装置30によりV1<V2(例えばV1=GND、V2=VBB)とすればよい。この場合には、トランジスタM1がオフして、トランジスタM2がオンする。その結果、出力電流Ioが第2の向き(V2(=VBB)→M2→n2→20→n1→D1(BD1)→V1(=GND))に流れるので、DCモータ20が第2の回転方向(例えば反時計回り)に回転する。
また、DCモータ20を停止する場合には、電源装置30によりV1=V2(例えばV1=V2=GND)とすればよい。この場合には、トランジスタM1及びM2がいずれもオフする。その結果、出力電流Ioが流れなくなるので、DCモータ20が停止する。
このように、本実施形態のモータ装置1(及びこれに用いられるモータ駆動装置10)であれば、Hブリッジ出力段を用いた従来例(図12)と異なり、制御信号IN1及びIN2を要することなく、簡易かつ安価に出力電流Ioの生成制御(延いてはDCモータ20の駆動制御)を行うことが可能となる。
例えば、本実施形態のモータ装置1を用いて、図11の電動ドアミラーX1及びX2を開閉駆動する場合には、電源装置30から適切な電圧V1及びV2をモータ駆動装置10に供給するだけで足りる。より具体的に述べると、電動ドアミラーX1及びX2を格納位置(=完全に閉じた状態)から使用位置(=完全に開いた状態)に開くときに、DCモータ20を第1の回転方向に回転する必要があれば、V1>V2(例えばV1=VBB、V2=GND)とするだけでよい。逆に、電動ドアミラーX1及びX2を使用位置から格納位置に閉じるときに、DCモータ20を第2の回転方向に回転する必要があれば、V1<V2(例えばV1=GND、V2=VBB)とするだけでよい。
なお、電動ドアミラーX1及びX2が格納位置または使用位置に至ると、DCモータ20が拘束して過大な出力電流Io(=モータ拘束電流)が流れ始める。そのため、電動ドアミラーX1及びX2の開閉完了後には、速やかにV1=V2(例えばV1=V2=GND)として、DCモータ20を停止させることが望ましい。その際、ドアミラーX1及びX2の開閉が完了したか否かについては、センサを用いて検知してもよいし、或いは、DCモータ20を回転し始めてから所定時間(=既知の開閉所要時間)が経過した時点で、ドアミラーX1及び2の開閉が完了したものと看做してもよい。
<第2実施形態>
図2は、モータ装置(及びこれに用いられるモータ駆動装置)の第2実施形態を示す図である。本実施形態のモータ装置1は、先の第1実施形態(図1)をベースとしつつ、モータ駆動装置10の構成に変更が加えられている。そこで、既出の構成要素については、図1と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分(=モータ駆動装置10の変更点)について重点的な説明を行う。
本実施形態のモータ駆動装置10は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタM3及びM4と、抵抗R3及びR4と、ツェナダイオードZD3及びZD4と、ダイオードD3及びD4と、を含む。
トランジスタM3のソース及びバックゲートは、電圧V1の印加端に接続されている。トランジスタM3のドレインは、DCモータ20のノードn1に接続されている。なお、トランジスタM3のドレイン・ソース間には、トランジスタM3のドレインをアノードとし、トランジスタM3のソースをカソードとするボディダイオードBD3(=寄生ダイオード)が付随している。また、トランジスタM3のドレイン・ソース間には、ボディダイオードBD3と同じ向きに、これよりも耐圧の高いダイオードD3が接続されている。なお、ダイオードD3は、ボディダイオードBD3の保護素子として機能する。
トランジスタM4のソース及びバックゲートは、電圧V2の印加端に接続されている。トランジスタM4のドレインは、DCモータ20のノードn2に接続されている。なお、トランジスタM4のドレイン・ソース間には、トランジスタM4のドレインをアノードとし、トランジスタM4のソースをカソードとするボディダイオードBD4(=寄生ダイオード)が付随している。また、トランジスタM4のドレイン・ソース間には、ボディダイオードBD4と同じ向きに、これよりも耐圧の高いダイオードD4が接続されている。なお、ダイオードD4は、ボディダイオードBD4の保護素子として機能する。
ツェナダイオードZD3のカソードは、電圧V1の印加端に接続されている。ツェナダイオードZD3のアノードと抵抗R3の第1端は、トランジスタM3のゲートに接続されている。抵抗R3の第2端は、電圧V2の印加端に接続されている。抵抗R3は、電流制限素子である。ツェナダイオードZD3は、クランプ素子である。
ツェナダイオードZD4のカソードは、電圧V2の印加端に接続されている。ツェナダイオードZD4のアノードと抵抗R4の第1端は、トランジスタM4のゲートに接続されている。抵抗R4の第2端は、電圧V1の印加端に接続されている。抵抗R4は、電流制限素子である。ツェナダイオードZD4は、クランプ素子である。
次に、DCモータ20を第1の回転方向に回転するとき(=出力電流Ioを第1の向きに流すとき)、DCモータ20を第2の回転方向に回転するとき(=出力電流Ioを第2の向きに流すとき)、及び、DCモータ20を停止するとき(=出力電流Ioを流さないとき)の3つに場合を分けて、モータ駆動装置10の動作説明を行う。
DCモータ20を第1の回転方向に回転する場合には、先の第1実施形態(図1)と同じく、電源装置30によりV1>V2(例えばV1=VBB、V2=GND)とすればよい。この場合には、トランジスタM3がオンして、トランジスタM4がオフする。その結果、出力電流Ioが第1の向き(V1(=VBB)→M3→n1→20→n2→D4(BD4)→V2(=GND))に流れるので、DCモータ20が第1の回転方向(例えば時計回り)に回転する。
一方、DCモータ20を第2の回転方向に回転する場合には、やはり先の第1実施形態(図1)と同様、電源装置30によりV1<V2(例えばV1=GND、V2=VBB)とすればよい。この場合には、トランジスタM3がオフして、トランジスタM4がオンする。その結果、出力電流Ioが第2の向き(V2(=VBB)→M4→n2→20→n1→D3(BD3)→V1(=GND))に流れるので、DCモータ20が第2の回転方向(例えば反時計回り)に回転する。
また、DCモータ20を停止する場合についても、先の第1実施形態(図1)と変わらず、電源装置30によりV1=V2(例えばV1=V2=GND)とすればよい。この場合には、トランジスタM3及びM4がいずれもオフする。その結果、出力電流Ioが流れなくなるので、DCモータ20が停止する。
このように、本実施形態のモータ装置1(及びこれに用いられるモータ駆動装置10)であれば、先の第1実施形態(図1)と同じく、簡易かつ安価に出力電流Ioの生成制御(延いてはDCモータ20の駆動制御)を行うことが可能となる。
また、Pチャネル型のトランジスタM3及びM4を用いることにより、先出のレベルシフタLS1及びLS2(図1)が不要となるので、より簡易かつ安価にモータ駆動装置10を実現することが可能となる。
<第3実施形態>
図3は、モータ装置(及びこれに用いられるモータ駆動装置)の第3実施形態を示す図である。本実施形態のモータ装置1は、先の第1実施形態(図1)をベースとしつつ、モータ駆動装置10の構成に変更が加えられている。そこで、既出の構成要素については、図1と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分(=モータ駆動装置10の変更点)について重点的な説明を行う。
本実施形態のモータ駆動装置10は、IPD[intelligent power device]の一種であるスイッチ装置IPD1及びIPD2と、これらに外付けされる種々のディスクリート部品(抵抗R5及びR6、ダイオードD5及びD6、並びに、キャパシタC1)を含む。
スイッチ装置IPD1は、電源装置30(=電圧V1の印加端)とDCモータ20(=ノードn1)との間を導通/遮断するためのスイッチ素子として、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタM5を集積化した半導体装置(いわゆるハイサイドスイッチIC)である。なお、スイッチ装置IPD1は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部端子(本図では、電源端子VBB、入力端子IN、出力端子OUT、及び、接地端子GNDの4本を明示)を有する。また、スイッチ装置IPD1は、過電流保護回路や温度保護回路などの各種異常保護回路(詳細は後述)も備えている。
スイッチ装置IPD1の内部において、トランジスタM5のドレインは、電源端子VBBに接続されている。トランジスタM5のソース及びバックゲートは、出力端子OUTに接続されている。なお、トランジスタM5のドレイン・ソース間には、トランジスタM5のドレインをカソードとし、トランジスタM5のソースをアノードとするボディダイオードBD5(=寄生ダイオード)が付随している。このように接続されたトランジスタM5は、入力端子INの端子電圧に応じてオン/オフ制御される。具体的に述べると、IN=H(すなわちV1=VBB)であるときには、トランジスタM5がオンされる。従って、トランジスタM5には、出力電流Io1が流れる。逆に、IN=L(すなわちV1=GND)であるときには、トランジスタM5がオフされる。従って、トランジスタM5には、出力電流Io1が流れなくなる。
一方、スイッチ装置IPD1の外部において、電源端子VBBは、電圧V1の印加端に接続されている。入力端子INは、抵抗R5を介する形で、電圧V1の印加端に接続されている。なお、抵抗R5は、電流制限素子である。また、入力端子INは、電圧V1に連動する電圧の印加端(例えば、電圧V1を引き下げるレベルシフタの出力端)に接続してもよい。なお、上記のレベルシフタは、電源装置30に内蔵されている場合もあり得る。出力端子OUTは、DCモータ20のノードn1に接続されている。また、電源端子VBBと出力端子OUTとの間には、ボディダイオードBD5と同じ向きに、これよりも耐圧の高いダイオードD5が外付けされている。なお、ダイオードD5は、ボディダイオードBD5の保護素子として機能する。
スイッチ装置IPD2は、電源装置30(=電圧V2の印加端)とDCモータ20(=ノードn2)との間を導通/遮断するためのスイッチ素子として、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタM6を集積化した半導体装置(いわゆるハイサイドスイッチIC)である。なお、スイッチ装置IPD2は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部端子(本図では、電源端子VBB、入力端子IN、出力端子OUT、及び、接地端子GNDの4本を明示)を有する。また、スイッチ装置IPD2は、過電流保護回路や温度保護回路などの各種異常保護回路(詳細は後述)も備えている。
スイッチ装置IPD2の内部において、トランジスタM6のドレインは、電源端子VBBに接続されている。トランジスタM6のソース及びバックゲートは、出力端子OUTに接続されている。なお、トランジスタM6のドレイン・ソース間には、トランジスタM6のドレインをカソードとし、トランジスタM6のソースをアノードとするボディダイオードBD6(=寄生ダイオード)が付随している。このように接続されたトランジスタM6は、入力端子INの端子電圧に応じてオン/オフ制御される。具体的に述べると、IN=H(すなわちV2=VBB)であるときには、トランジスタM6がオンされる。従って、トランジスタM6には、出力電流Io2が流れる。逆に、IN=L(すなわちV2=GND)であるときには、トランジスタM6がオフされる。従って、トランジスタM6には、出力電流Io2が流れなくなる。
一方、スイッチ装置IPD2の外部において、電源端子VBBは、電圧V2の印加端に接続されている。入力端子INは、抵抗R6を介する形で、電圧V2の印加端に接続されている。なお、抵抗R6は、電流制限素子である。また、入力端子INは、電圧V2に連動する電圧の印加端(例えば、電圧V2を引き下げるレベルシフタの出力端)に接続してもよい。なお、上記のレベルシフタは、電源装置30に内蔵されている場合もあり得る。出力端子OUTは、DCモータ20のノードn2に接続されている。また、電源端子VBBと出力端子OUTとの間には、ボディダイオードBD6と同じ向きに、これよりも耐圧の高いダイオードD6が外付けされている。なお、ダイオードD6は、ボディダイオードBD6の保護素子として機能する。
なお、スイッチ装置IPD1及びIPD2それぞれの接地端子GNDは、互いに共通接続しておくとよい。また、DCモータ20のノードn1とノードn2との間には、キャパシタC1が接続されている。キャパシタC1は、モータ20の保護素子として機能する。
次に、DCモータ20を第1の回転方向に回転するとき(=出力電流Ioを第1の向きに流すとき)、DCモータ20を第2の回転方向に回転するとき(=出力電流Ioを第2の向きに流すとき)、及び、DCモータ20を停止するとき(=出力電流Ioを流さないとき)の3つに場合を分けて、モータ駆動装置10の動作説明を行う。
DCモータ20を第1の回転方向に回転する場合には、電源装置30によりV1>V2(例えばV1=VBB、V2=GND)とすればよい。この場合には、トランジスタM5がオンし、トランジスタM6がオフする。その結果、出力電流Io(=出力電流Io1)が第1の向き(V1(=VBB)→M5→n1→20→n2→D6(BD6)→V2(=GND))に流れるので、DCモータ20が第1の回転方向に回転する。
一方、DCモータ20を第2の回転方向に回転する場合には、電源装置30によりV1<V2(例えばV1=GND、V2=VBB)とすればよい。この場合には、トランジスタM5がオフして、トランジスタM6がオンする。その結果、出力電流Io(=出力電流Io2)が第2の向き(V2(=VBB)→M6→n2→20→n1→D5(BD5)→V1(=GND))に流れるので、DCモータ20が第2の回転方向に回転する。
また、DCモータ20を停止する場合には、電源装置30によりV1=V2=GNDとすればよい。この場合には、トランジスタM5及びM6がいずれもオフする。その結果、出力電流Ioが流れなくなるので、DCモータ20が停止する。
このように、本実施形態のモータ装置1(及びこれに用いられるモータ駆動装置10)であれば、先の第1実施形態(図1)と同じく、簡易かつ安価に出力電流Ioの生成制御(延いてはDCモータ20の駆動制御)を行うことが可能となる。
また、スイッチ装置IPD1及びIPD2は、一般に、DCモータ20に流れる出力電流Ioを所定の過電流検出閾値Iocp以下に制限する過電流保護回路や、異常発熱を検出したときに出力電流Ioの生成動作を強制停止する温度保護回路を具備している(後出の図5を参照)。従って、先の第1実施形態(図1)と比べて、モータ駆動装置10やDCモータ20の安全性を高めることが可能となる。
例えば、DCモータ20が拘束して過大な出力電流Io(=モータ拘束電流)が流れ始めると、スイッチ装置IPD1及びIPD2の過電流保護機能により、出力電流Ioが所定の過電流検出閾値Iocp以下に制限される。また、その後もDCモータ20の拘束状態が解消されずに、スイッチ装置IPD1及びIPD2の異常発熱が生じたときには、スイッチ装置IPD1及びIPD2の温度保護機能により、出力電流Ioの生成動作が強制停止(例えばオフラッチ)される。
従って、先の第1実施形態(図1)と異なり、DCモータ20の拘束後、モータ駆動装置10は、電源装置30によるモータ停止制御(V1=V2=GND)を待つことなく、拘束状態のDCモータ20を自動的に停止することが可能となる。
なお、本実施形態のモータ装置1では、スイッチ装置IPD1及びIPD2の温度保護機能を利用して、DCモータ20の自動停止を実現している。そのため、例えば、本実施形態のモータ装置1を用いて図11の電動ドアミラーX1及びX2を開閉駆動する場合には、開閉完了の度にスイッチ装置IPD1及びIPD2の異常発熱が生じることになる。以下では、このような異常発熱を抑制することのできる第4実施形態について提案する。
<第4実施形態>
図4は、モータ装置(及びこれに用いられるモータ駆動装置)の第4実施形態を示す図である。本実施形態のモータ装置1は、先の第3実施形態(図3)をベースとしつつ、モータ駆動装置10の構成に更なる変更が加えられている。そこで、既出の構成要素については、図3と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分(=モータ駆動装置10の更なる変更点)について重点的な説明を行う。
本実施形態のモータ駆動装置10において、スイッチ装置IPD1及びIPD2には、それぞれ、過電流検出閾値Iocp(=スイッチ装置IPD1では過電流検出閾値Iocp1、スイッチ装置IPD2では過電流検出閾値Iocp2)の可変機能、及び、モータ拘束検出機能が新たに追加されている。また、スイッチ装置IPD1及びIPD2には、それぞれ、上記した機能追加に伴い、過電流設定端子SETとマスク設定端子DLYが新たに追加されている。さらに、モータ駆動装置10には、上記の追加端子に外付けされるディスクリート部品として、抵抗R7及びR8と、キャパシタC2及びC3が新たに追加されている。以下では、これらの追加要素について詳細に説明する。
スイッチ装置IPD1の外部において、スイッチ装置IPD1の過電流設定端子SETは、抵抗R7の第1端に接続されている。スイッチ装置IPD1のマスク設定端子DLYは、キャパシタC2の第1端に接続されている。抵抗R7及びキャパシタC2それぞれの第2端は、いずれもスイッチ装置IPD1の接地端子GNDに接続されている。なお、抵抗R7は、スイッチ装置IPD1における過電流検出閾値Iocp1を設定するための外付け素子である。また、キャパシタC2は、スイッチ装置IPD1におけるモータ拘束検出用のマスク期間Tmsk1(詳細は後述)を設定するための外付け素子である。
また、スイッチ装置IPD2の外部において、スイッチ装置IPD2の過電流設定端子SETは、抵抗R8の第1端に接続されている。スイッチ装置IPD2のマスク設定端子DLYは、キャパシタC3の第1端に接続されている。抵抗R8及びキャパシタC3それぞれの第2端は、いずれもスイッチ装置IPD2の接地端子GNDに接続されている。なお、抵抗R8は、スイッチ装置IPD2における過電流検出閾値Iocp2を設定するための外付け素子である。また、キャパシタC3は、スイッチ装置IPD2におけるモータ拘束検出用のマスク期間Tmsk2(詳細は後述)を設定するための外付け素子である。
<半導体集積回路装置(ハイサイドスイッチIC)>
図5は、図4のスイッチ装置IPD1及びIPD2として用いられる半導体集積回路装置(いわゆるハイサイドスイッチIC)の一構成例を示す図である。
本構成例の半導体集積回路装置100は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数本の外部端子(本図では、電源端子VBB、入力端子IN、出力端子OUT、接地端子GND、過電流設定端子SET、マスク設定端子DLY、及び、ステータス端子STの7本を明示)を備えている。ステータス端子STは、装置外部にステータス信号So(=エラーフラグ)を出力するための外部端子である。電源端子VBB、入力端子IN、出力端子OUT、接地端子GND、過電流設定端子SET、及び、マスク設定端子DLYについては、図4のそれぞれと対応しているので、重複した説明は割愛する。
また、半導体集積回路装置100は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ110と、出力電流監視部120と、ゲート制御部130と、制御ロジック部140と、信号入力部150と、内部電源部160と、異常保護部170と、信号出力部180と、モータ拘束検出部190と、を集積化して成る。
トランジスタ110は、ドレインが電源端子VBBに接続されてソースが出力端子OUTに接続された高耐圧(例えば42V耐圧)のパワートランジスタである。このように接続されたトランジスタ110は、電源端子VBBと出力端子OUTとの間を導通/遮断するためのスイッチ素子(ハイサイドスイッチ)として機能する。なお、トランジスタ110は、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート駆動信号G1がローレベルであるときにオフする。
なお、トランジスタ110は、オン抵抗値が数十mΩとなるように設計すればよい。ただし、トランジスタ110のオン抵抗値が低いほど、出力端子OUTの地絡時(=接地端ないしはこれに準ずる低電位端への出力ショート時)に過電流が流れやすくなり、異常発熱を生じやすくなる。従って、トランジスタ110のオン抵抗値を下げるほど、過電流保護回路171や温度保護回路173の重要性が高くなる。
出力電流監視部120は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ121とセンス抵抗22を含み、トランジスタ110に流れる出力電流Ioに応じたセンス電圧Vs(=センス信号に相当)を生成する。
トランジスタ121は、トランジスタ110に対して並列接続されたミラートランジスタであり、出力電流Ioに応じたセンス電流Isを生成する。トランジスタ110とトランジスタ121とのサイズ比は、m:1(ただしm>1)である。従って、センス電流Isは、出力電流Ioを1/mに減じた大きさとなる。なお、トランジスタ121は、トランジスタ110と同様、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧G2がローレベルであるときにオフする。
センス抵抗122(抵抗値Rs)は、トランジスタ121のソースと出力端子OUTとの間に接続されており、センス電流Isに応じたセンス電圧Vs(=Is×Rs+Vo、ただしVoは出力端子OUTに現れる出力電圧)を生成する電流/電圧変換素子である。
ゲート制御部130は、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成してトランジスタ110及び121それぞれのゲートに出力することにより、トランジスタ110及び121のオン/オフ制御を行う。なお、本構成例のゲート制御部130は、ゲートドライバ131と、オシレータ132と、チャージポンプ133と、クランパ134と、を含む。
ゲートドライバ131は、チャージポンプ133から昇圧電圧VGの供給を受けて動作し、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成する。なお、ゲート駆動信号G1は、ゲート制御信号S1がハイレベルであるときにハイレベル(=VG)となり、ゲート制御信号S1がローレベルであるときにローレベル(=Vo)となる。また、ゲートドライバ131は、過電流保護信号S171に応じて出力電流Ioを制限するようにゲート駆動信号G1を制御する機能も備えている。
オシレータ132は、所定周波数のクロック信号CLKを生成してチャージポンプ133に出力する。なお、オシレータ132の動作可否は、制御ロジック部140からのイネーブル信号Saに応じて制御される。
チャージポンプ133は、クロック信号CLKを用いてフライングキャパシタを駆動することにより電源電圧Vbb(=電源端子VBBの端子電圧)よりも高い昇圧電圧VGを生成してゲートドライバ131に供給する。なお、チャージポンプ133の動作可否は、制御ロジック部140からのイネーブル信号Sbに応じて制御される。
クランパ134は、電源端子VBBとトランジスタ110のゲートとの間に接続されている。出力端子OUTに誘導性負荷(例えばモータコイル)が接続されるアプリケーションでは、トランジスタ110をオンからオフへ切り替える際、誘導性負荷の逆起電力により、出力電圧Voが負電圧(<GND)となる。そのため、エネルギー吸収用にクランパ134(いわゆるアクティブクランプ回路)が設けられている。
制御ロジック部140は、内部電源電圧Vregの供給を受けてゲート制御信号S1を生成する。例えば、外部制御信号Si(=入力端子INの端子電圧)がハイレベル(=トランジスタ110をオンさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部160から内部電源電圧Vregが供給されるので、制御ロジック部140が動作状態となり、ゲート制御信号S1がハイレベル(=Vreg)となる。一方、外部制御信号Siがローレベル(=トランジスタ110をオフさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部160から内部電源電圧Vregが供給されないので、制御ロジック部140が非動作状態となり、ゲート制御信号S1がローレベル(=GND)となる。また、制御ロジック部140は、異常保護部170から入力される各種の異常保護信号(過電流保護信号S171、オープン保護信号S172、温度保護信号S173、及び、減電圧保護信号S174)を監視している。なお、制御ロジック部140は、上記した異常保護信号のうち、過電流保護信号S171と温度保護信号S173の監視結果に応じて信号出力部180を制御する機能も備えている。
信号入力部150は、入力端子INから外部制御信号Siの入力を受け付けて内部電源部160に伝達するシュミットトリガである。なお、外部制御信号Siは、例えば、トランジスタ110をオンさせるときにハイレベルとなり、トランジスタ110をオフさせるときにローレベルとなる。
内部電源部160は、電源電圧Vbbから所定の内部電源電圧Vregを生成して半導体集積回路装置100の各部に供給する。なお、内部電源部160の動作可否は、外部制御信号Siに応じて制御される。より具体的に述べると、内部電源部160は、外部制御信号Siがハイレベルであるときに動作状態となり、外部制御信号Siがローレベルであるときに非動作状態となる。
異常保護部170は、半導体集積回路装置100の各種異常を検出する回路ブロックであり、過電流保護回路171と、オープン保護回路172と、温度保護回路173と、減電圧保護回路174(いわゆるUVLO[under voltage lock out]回路)と、を含む。
過電流保護回路171は、センス電圧Vsの監視結果(=出力電流Ioの過電流異常が生じているか否か)に応じた過電流保護信号S171を生成することにより、ゲート制御部130を介して出力電流Ioを所定の過電流検出閾値Iocp以下に制限する。なお、過電流保護信号S171は、例えば異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
また、過電流保護回路171は、過電流設定端子SETの外付け素子(=図4の抵抗R7またはR8)に応じて、過電流検出閾値Iocp(=スイッチ装置IPD1では過電流検出閾値Iocp1、スイッチ装置IPD2では過電流検出閾値Iocp2)を任意に調整する機能を備えている。すなわち、過電流検出閾値Iocpは、外付け素子に応じた可変値である。なお、過電流検出閾値Iocpは、出力端子OUTに接続されるDCモータ20の特性(=モータ拘束電流の大きさ)に応じて適宜設定すればよい。
オープン保護回路172は、出力電圧Voの監視結果(=出力端子OUTのオープン異常が生じているか否か)に応じたオープン保護信号S172を生成する。なお、オープン保護信号S172は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
温度保護回路173は、半導体集積回路装置100(特にトランジスタ110周辺)の異常発熱を検出する温度検出素子(図示せず)を含み、その検出結果(=異常発熱が生じているか否か)に応じた温度保護信号S173を生成することにより、制御ロジック部140を介して出力電流Ioの生成動作を強制停止する。なお、温度保護信号S173は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
減電圧保護回路174は、電源電圧Vbbないし内部電源電圧Vregの監視結果(=減電圧異常が生じているか否か)に応じた減電圧保護信号S174を生成する。なお、減電圧保護信号S174は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
信号出力部180は、ステータス端子STに接続されたオープンドレイン出力型のNチャネル型MOS電界効果トランジスタ181を備えており、制御ロジック部140からの指示に応じて、ステータス信号Soを出力する。なお、ステータス信号Soは、トランジスタ181がオンされたときにローレベル(=異常検出時の論理レベル)となり、トランジスタ181がオフされたときにハイレベル(=異常未検出時の論理レベル)となる。例えば、制御ロジック部140は、過電流保護信号S171と温度保護信号S73の少なくとも一方がハイレベル(=異常検出時の論理レベル)であるときにトランジスタ181をオンし、過電流保護信号S171と温度保護信号S73の双方がローレベル(=異常未検出時の論理レベル)であるときにトランジスタ181をオフすればよい。
このように、ステータス信号Soを外部出力する構成であれば、半導体集積回路装置100の異常検出状態を装置外部で判別することが可能となる。例えば、ステータス信号Soを図4の電源装置30で受け取るように構成すれば、異常検出時において、電源装置30からモータ駆動装置10への電力供給を速やかに停止することが可能となる。
モータ拘束検出部190は、過電流保護信号S171の監視結果(=過電流保護回路171の保護動作が所定のマスク期間Tmskに亘って継続しているか否か)に応じたモータ拘束信号S190を生成することにより、制御ロジック部140を介して出力電流Ioの生成動作を強制停止(例えばオフラッチ)する。なお、モータ拘束検出部190は、過電流保護信号S171が所定のマスク期間Tmskに亘ってハイレベル(=異常検出時の論理レベル)に維持されたときに、モータ拘束信号S190をハイレベルとする。
また、モータ拘束検出部190は、マスク設定端子DLYの外付け素子(=図4のキャパシタC2またはC3)に応じて、マスク期間Tmsk(=スイッチ装置IPD1ではマスク期間Tmsk1、スイッチ装置IPD2ではマスク期間Tmsk2)を任意に調整する機能を備えている。すなわち、マスク期間Tmskは、外付け素子に応じた可変長である。なお、マスク期間Tmskは、出力端子OUTに接続されるDCモータ20の起動時に流れる過大な瞬時電流をモータ拘束電流として誤検出しない長さに設定すればよい。
なお、図3のスイッチ装置IPD1及びIPD2として用いられる半導体集積回路装置(ハイサイドスイッチIC)も、基本的には、本構成例の半導体集積回路装置100と同様の構成であり、過電流設定端子SET、マスク設定端子DLY、ステータス端子ST、及び、モータ拘束検出部190を割愛したものとして理解すればよい。
<モータ駆動制御>
図6は、第4実施形態におけるモータ駆動制御の一例を示すタイミングチャートであって、上から順に、電圧V1、電圧V2、出力電流Io1、及び、出力電流Io2が描写されている。
時刻t11以前には、V1=V2=GNDに設定されているので、トランジスタM5及びM6がいずれもオフしている。従って、出力電流Io1及びIo2は、いずれも流れないので、DCモータ20は停止されたままである。
時刻t11において、V1>V2(例えばV1=VBB、V2=GND)に設定されると、トランジスタM5がオンし、トランジスタM6がオフする。その結果、出力電流Io(=出力電流Io1)が第1の向き(V1(=VBB)→M5→n1→20→n2→D6(BD6)→V2(=GND))に流れるので、DCモータ20が第1の回転方向(例えば時計回り)に回転する。
なお、時刻t12では、DCモータ20の起動に伴い、出力電流Io1が瞬時的に過電流検出閾値Iocp1を上回っている。ただし、このような状態は、マスク期間Tmsk1が経過するまでに自然に解消する。従って、モータ拘束の誤検出が生じることはない。
その後、時刻t13において、DCモータ20が拘束状態に至り、過大な出力電流Io1(=モータ拘束電流)が流れ始めると、スイッチ装置IPD1の過電流保護動作により出力電流Io1が所定の過電流検出閾値Iocp1以下に制限される。
そして、時刻t14において、上記の過電流保護動作が所定のマスク期間Tmsk1に亘って継続したことが検出されると、スイッチ装置IPD1のモータ拘束検出機能により出力電流Io1の生成動作が強制停止(例えばオフラッチ)される。
従って、第1の回転方向に回転していたDCモータ20の拘束後、モータ駆動装置10は、電源装置30によるモータ停止制御(V1=V2=GND)を待つことなく、拘束状態のDCモータ20を自動的に停止することが可能となる。
また、時刻t15において、V1<V2(例えばV1=GND、V2=VBB)に設定されると、トランジスタM5がオフし、トランジスタM6がオンする。その結果、出力電流Io(=出力電流Io2)が第2の向き(V2(=VBB)→M6→n2→20→n1→D5(BD5)→V1(=GND))に流れるので、DCモータ20が第2の回転方向に回転する。
なお、時刻t16では、DCモータ20の起動に伴い、出力電流Io2が瞬時的に過電流検出閾値Iocp2を上回っている。ただし、このような状態は、マスク期間Tmsk2が経過するまでに自然に解消する。従って、モータ拘束の誤検出が生じることはない。
その後、時刻t17において、DCモータ20が拘束状態に至り、過大な出力電流Io2(=モータ拘束電流)が流れ始めると、スイッチ装置IPD2の過電流保護動作により出力電流Io2が所定の過電流検出閾値Iocp2以下に制限される。
そして、時刻t18において、上記の過電流保護動作が所定のマスク期間Tmsk2に亘って継続したことが検出されると、スイッチ装置IPD2のモータ拘束検出機能により出力電流Io2の生成動作が強制停止(例えばオフラッチ)される。
従って、第2の回転方向に回転していたDCモータ20の拘束後、モータ駆動装置10は、電源装置30によるモータ停止制御(V1=V2=GND)を待つことなく、拘束状態のDCモータ20を自動的に停止することが可能となる。
<過電流保護回路>
図7は、過電流保護回路171の一構成例を示す図である。本構成例の過電流保護回路171は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ171a〜171cと、電流源171d及び171eと、抵抗171f及び171gと、キャパシタ171hと、を含む。
電流源171d及び171e(電流値Iref)それぞれの第1端は、昇圧電圧VGの印加端に接続されている。電流源171dの第2端は、トランジスタ171aのドレインに接続されている。電流源171eの第2端は、トランジスタ171bのドレインに接続されている。トランジスタ171aのソースは、抵抗171f(抵抗値Rref)の第1端(=閾値電圧Vthの印加端)に接続されている。抵抗171fの第2端は、出力電圧Voの印加端(=出力端子OUT)に接続されている。トランジスタ171a及び171bそれぞれのゲートは、トランジスタ171aのドレインに接続されている。トランジスタ171bのソースは、センス電圧Vsの印加端に接続されている。トランジスタ171bのドレインは、過電流保護信号S171の出力端に相当する。
なお、過電流保護信号S171は、Vs(=Is×Rs+Vo)>Vth(=Iref×Rref+Vo)であるときにハイレベルとなり、Vs<Vthであるときにローレベルとなる。このように、トランジスタ171a及び171b、電流源171d及び171e、並びに、抵抗171fは、カレントミラー型のコンパレータとして機能する。
トランジスタ171cのドレインは、トランジスタ110のゲートに接続されている。トランジスタ171cのソースは、出力電圧Voの印加端(=出力端子OUT)に接続されている。トランジスタ171cのゲートは、過電流保護信号S171の印加端に接続されている。また、トランジスタ171cのドレイン・ゲート間には、抵抗171g(抵抗値R)とキャパシタ171h(抵抗値C)が直列に接続されている。
なお、過電流保護信号S71がハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から所定の時定数τ(=R×C)で引き下げられていく。その結果、トランジスタ110の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号S171がローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が所定の時定数τで引き上げられていく。その結果、トランジスタ110の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。
このように、本構成例の過電流保護回路171は、過電流保護信号S171に応じて出力電流Ioを制限するようにゲート駆動信号G1を制御する機能を備えている。
ただし、過電流保護回路171では、電流値Irefのばらつき(±5%)、抵抗値Rrefのばらつき(±20%)、並びに、出力電流Ioとセンス電流Isの電流比ばらつき(±10%)などが存在するので、出力電流Ioの検出精度は必ずしも高くない。
なお、半導体集積回路装置100自体の過電流保護については、上記の検出精度でも特段の問題は生じない。しかしながら、DCモータ20の拘束保護を鑑みると、出力電流Ioをより高精度に検出できる方が望ましい。
以下では、上記の知見に鑑み、既存の過電流保護信号S171を監視してDCモータ20の拘束検出を行うモータ拘束検出部190に代えて、より検出精度の高いモータ拘束検出部を提案する。
<モータ拘束検出部>
図8は、モータ拘束検出部200の概略構成を示す図である。本構成例のモータ拘束検出部200は、電流検出部210と、比較部220と、タイマ部230と、を含み、出力電流Ioがモータ拘束検出閾値Ilock(<過電流検出閾値IocpL)を上回っている状態が所定のマスク期間Tmskに亘って継続したときに、出力電流Ioの生成動作を強制的に停止させる。
電流検出部210は、出力電流Ioに応じたセンス電圧Vs(=検出電圧に相当)を生成する。比較部220は、センス電圧Vsと所定の閾値電圧VTHとを比較して比較信号Scを生成する。タイマ部230は、比較信号Scがマスク期間Tmskに亘ってモータ拘束時の論理レベル(例えばハイレベル)に維持されたときに、ゲート駆動信号G1を引き下げてトランジスタ110を強制的にオフさせる。
図9は、モータ拘束検出部200の一具体例を示す図である。本構成例のモータ拘束検出部200には、先述の電流検出部210、比較部220、及び、タイマ部230に加えて閾値電圧生成部240が含まれている。また、モータ拘束検出部200の採用に伴い、過電流保護回路171にも変更が加えられている。以下では、各部の回路構成について、順次説明を行う。
電流検出部210は、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ211と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ212と、オペアンプ213と、抵抗214と、を含む。
トランジスタ211は、ドレインがトランジスタ110のドレインと電源端子VBBに接続されており、トランジスタ110と共通のゲート駆動信号G1でオン/オフされる電流検出スイッチとして機能する。なお、トランジスタ110とトランジスタ211とのサイズ比は、例えば、m:1(ただしm>1)とすればよい。
オペアンプ213の反転入力端(−)は、トランジスタ110のソースと出力端子OUT(=出力電圧Voの印加端)に接続されている。一方、オペアンプ213の非反転入力端(+)とトランジスタ212のソースは、トランジスタ211のソースに接続されている。オペアンプ213の出力端は、トランジスタ212のゲートに接続されている。このように接続されたトランジスタ212とオペアンプ213は、トランジスタ211のソースと出力端子OUTとをイマジナリショートすることで出力電流Ioに応じたセンス電流Is(=検出電流に相当)を生成するバイアス部として機能する。
より具体的に述べると、オペアンプ213は、トランジスタ211のソースと出力端子OUTとをイマジナリショートするようにトランジスタ212のゲート制御を行う。従って、トランジスタ211のソース電圧と出力電圧Voが一致し、延いては、トランジスタ211のドレイン・ソース間電圧がトランジスタ110のドレイン・ソース間電圧と一致する。その結果、トランジスタ211には、出力電流Ioに比例するセンス電流Is(=Io/m)が流れる。
トランジスタ212のドレインは、過電流設定端子SETに接続されている。過電流設定端子SETと接地端との間には、抵抗214(抵抗値Rs)が外付けされている。このように接続された抵抗214は、センス電流Isをセンス電圧Vs(=Is×Rs)に変換する電流/電圧変換素子として機能する。
なお、本図では、電流検出部210をモータ拘束検出部200の一構成要素として扱うが、電流検出部210を出力電流監視部120の一変形例として理解することもできる。
比較部220は、電圧比較型のコンパレータ221を含む。コンパレータ221は、非反転入力端(+)に入力されるセンス電圧Vsと、反転入力端(−)に入力される閾値電圧VTHとを比較して比較信号Scを生成する。比較信号Scは、Vs>VTHであるときにハイレベルとなり、Vs<VTHであるときにローレベルとなる。
タイマ部230は、電流源231及び232と、キャパシタ233と、コンパレータ234と、Dフリップフロップ235と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ236及び237と、を含む。なお、トランジスタ237は、デプレッション型である。
電流源231の第1端は、内部電源端に接続されている。電流源231の第2端と電流源232の第1端は、マスク設定端子DLY(=充電電圧Vcの印加端)に接続されている。電流源232の第2端は、接地端に接続されている。マスク設定端子DLYと接地端との間には、キャパシタ233が外付けされている。
比較信号Scがハイレベルであるときには、電流源231がオンして電流源232がオフする。従って、キャパシタ233が充電されるので、充電電圧Vcが上昇する。一方、比較信号Scがローレベルであるときには、電流源231がオフして電流源232がオンする。従って、キャパシタ233が放電されるので、充電電圧Vcが低下する。
コンパレータ234は、非反転入力端(+)に入力される充電電圧Vcと、反転入力端(−)に入力されるマスク電圧Vmskとを比較してトリガ信号TRGを生成する。トリガ信号TRGは、Vc>Vmskであるときにハイレベルとなり、Vc<Vmskであるときにローレベルとなる。
Dフリップフロップ235は、クロック端(>)に入力されているトリガ信号TRGのパルス生成タイミングで、データ端(D)に入力されているハイレベル信号(=内部電源電圧)をラッチし、これをラッチ信号LATとして出力端(Q)から出力する。例えば、ラッチ信号LATは、トリガ信号TRGがハイレベルに立ち上がったときにハイレベルにラッチされ、Dフリップフロップ235がリセットされたときにローレベルに戻る。
トランジスタ236のドレインは、トランジスタ110のゲート(=ゲート駆動信号G1の印加端)に接続されている。トランジスタ236のゲートは、ラッチ信号LATの印加端に接続されている。従って、トランジスタ236は、ラッチ信号LATがハイレベルであるときにオンし、ラッチ信号LATがローレベルであるときにオフする。
トランジスタ237のドレインは、トランジスタ236のソースに接続されている。トランジスタ237のソース及びゲートは、接地端に接続されている。このように接続されたデプレッション型のトランジスタ237は、定電流源として機能する。
閾値電圧生成部240は、内部基準電圧VREFの印加端と接地端との間に直列接続された抵抗241及び242(抵抗値R1及びR2)を含み、両抵抗間の接続ノードから、閾値電圧VTH(=VREF×{R2/(R1+R2)})を出力する。
過電流検出回路171は、先の図7と異なり、電圧比較型のコンパレータ171Aと、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ171Bと、抵抗171Cと、キャパシタ171Dと、カレントミラー171Eと、を含む。
コンパレータ171Aは、非反転入力端(+)に入力されるセンス電圧Vsと、反転入力端(−)に入力される内部基準電圧VREF(>VTH)を比較して過電流保護信号SAを生成する。過電流保護信号SAは、Vs>VREFであるときにハイレベルとなり、Vs<VREFであるときにローレベルとなる。
トランジスタ171Bのドレインは、カレントミラー171Eの入力端に接続されている。トランジスタ171Bのソースは、接地端に接続されている。トランジスタ171Bのゲートは、過電流保護信号SAの印加端に接続されている。また、トランジスタ171Bのドレイン・ゲート間には、抵抗171C(抵抗値R)とキャパシタ171D(抵抗値C)が直列に接続されている。
カレントミラー171Eは、トランジスタ171Bのドレインに流れる電流I1をミラーして電流I2を生成し、これをゲート駆動信号G1の印加端から出力電圧Voの印加端に向けて引き抜く。なお、カレントミラー171Eは、第1電源系(VBB_REF−VBBM5系)に流れる電流I1を、第2電源系(VG−Vo系)に流れる電流I2として受け渡すレベルシフタとしても機能する。なお、電圧VBB_REF及びVBBM5は、それぞれ、電源電圧Vbbに応じた内部電圧である。
本構成例の過電流保護回路171では、過電流保護信号SAがハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から時定数τ(=R×C)で引き下げられていく。その結果、トランジスタ110の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号SAがローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が時定数τで引き上げられていく。その結果、トランジスタ110の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。このように、過電流保護回路171は、過電流保護信号SAに応じて出力電流Ioを制限するようにゲート駆動信号G1を制御する。この点については、先の図7と変わりがない。
なお、本構成例のモータ拘束検出部200(及び過電流保護回路171)であれば、先の図7と比べて、出力電流Ioの検出精度に関わる特性のばらつきが大幅に小さくなる。具体的には、オペアンプ213のオフセットばらつき(±5%)、内部基準電圧VREFのばらつき(±3〜5%)、及び、コンパレータ221(及び171A)のオフセットばらつき(±1〜2%)などしか存在しない。そのため、出力電流Ioを高精度に検出することができるので、モータ拘束保護及び過電流保護を適切に実施することが可能となる。
図10は、モータ拘束検出動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、出力電流Io、比較信号Sc、充電電圧Vc、トリガ信号TRG、及び、ラッチ信号LATが描写されている。
時刻t21以前には、VBB=OUT=GNDに設定されているので、トランジスタ110がオフしている。従って、出力電流Ioが流れないので、DCモータ20は停止されたままである。
時刻t21において、VBB=Vbb、OUT=GNDに設定されると、トランジスタ110がオンする。その結果、出力電流Ioが流れるので、DCモータ20が回転する。
なお、時刻t22では、DCモータ20の起動に伴い、出力電流Ioが瞬時的にモータ拘束検出閾値Ilock(例えば過電流検出閾値IocpLの75%)を上回っている。その結果、比較信号Scがハイレベルに立ち上がり、充電電圧Vcが上昇し始める。
ただし、このような状態は、充電電圧Vcがマスク電圧Vmskに達するまで、すなわち、マスク期間Tmskが経過するまでには自然に解消する。本図では、時刻t23において、出力電流Ioがモータ拘束検出閾値Ilockを下回ることにより、比較信号Scがローレベルに立ち下がり、充電電圧Vcが上昇から低下に転じている。従って、モータ拘束の誤検出が生じることはない。
なお、マスク期間Tmskは、マスク設定端子DLYに外付けされたキャパシタ233の容量値に応じて任意に調整することが可能であり、例えば、DCモータ20の起動時に流れる過大な瞬時電流をモータ拘束電流として誤検出しない長さに設定すればよい。
その後、時刻t24において、DCモータ20が拘束状態に至り、過大な出力電流Io1(=モータ拘束電流)が流れ始めると、出力電流Ioが継続的にモータ拘束検出閾値Ilockを上回る状態となる。その結果、比較信号Scがハイレベルに維持されて、充電電圧Vcが上昇し続ける。ただし、この時点では、充電電圧Vcがマスク電圧Vmskよりも低いので、トリガ信号TRGがハイレベルに立ち上がることはない。
なお、DCモータ20が拘束状態に至った後、出力電流Ioは、過電流保護回路171の働きにより、モータ拘束検出閾値Ilockよりも大きい過電流検出閾値IocpL以下に制限される。従って、過電流検出閾値IocpL(=m×VREF/Rs)をDCモータ20の定格電流値よりも小さく設定しておけば、DCモータ20の破壊を未然に防止することが可能となる。
そして、時刻t24からマスク期間Tmskが経過した時刻t25において、充電電圧Vcがマスク電圧Vmskに達すると、トリガ信号TRGがハイレベルに立ち上がり、ラッチ信号LATがハイレベルにラッチされる。その結果、トランジスタ236がオンし、ゲート駆動信号G1が遅滞なくローレベルに引き下げられるので、トランジスタ110が強制的にオフされて出力電流Ioの生成動作が強制停止される。従って、拘束状態のDCモータ20を自動的に停止することが可能となる。
時刻t25における出力電流Ioの生成停止後、比較信号Scがローレベルに立ち下がり、充電電圧Vcが低下に転じるので、トリガ信号TRGがローレベルに立ち下がるが、ラッチ信号LATは、ハイレベルにラッチされたままとなる。すなわち、Dフリップフロップ235がリセットされない限り、出力電流Ioの生成停止が解除されることはない。
なお、DCモータ20の種類により、モータ拘束電流の大きさが異なる。そのため、モータ拘束検出閾値Ilock及び過電流検出閾値IocpLは、それぞれ、連動して任意に調整し得る可変値とすることが望ましい。
例えば、図9の回路構成であれば、過電流設定端子SETに外付けされた抵抗214の抵抗値Rsに応じてセンス電圧Vsの電圧値を調整することができる。このようなセンス電圧Vsの調整動作は、モータ拘束検出閾値Ilock及び過電流検出閾値IocpLそれぞれの調整動作と等価である。
すなわち、抵抗値Rsを高くしてセンス電圧Vsを引き上げれば、モータ拘束検出閾値Ilock及び過電流検出閾値IocpLを引き下げたことと等価になる。逆に、抵抗値Rsを低くしてセンス電圧Vsを引き下げれば、モータ拘束検出閾値Ilock及び過電流検出閾値IocpLを引き上げたことと等価になる。
また、モータ拘束検出閾値Ilockと過電流検出閾値IocpLを個別に設けておくことにより、出力電流Ioが過電流検出閾値IocpLに達しない場合でも、モータ拘束検出閾値Ilockを上回ってさえいれば、モータ拘束を検出することが可能となる。
また、過電流保護回路171には、出力電流Ioが過電流検出閾値IocpLよりも高い過電流遮断閾値IocpHを上回ったときに、遅滞なくゲート駆動信号G1をローレベルに引き下げて、トランジスタ110を強制的にオフさせる機能を別途持たせておくとよい。例えば、過電流遮断閾値IocpHを半導体集積回路装置100の定格電流値よりも小さく設定しておけば、出力端子OUTの地絡などが生じた場合であっても、半導体集積回路装置100の破壊を未然に防止することが可能となる。
<車両(電動ドアミラー)>
図11は、電動ドアミラーを備えた車両の外観図である。本構成例の車両Xは、左右のフロントドアにそれぞれ電動ドアミラーX1及びX2を備えている。電動ドアミラーX1及びX2は、例えば、ドアロックの開錠/施錠時に自動で開閉駆動される。具体的に述べると、電動ドアミラーX1及びX2は、ドアロックの開錠時には自動で格納位置(=完全に閉じた状態)から使用位置(=完全に開いた状態)に開き、ドアロックの施錠時には自動で使用位置から格納位置に閉じる。
なお、電動ドアミラーX1及びX2は、その開閉駆動手段として、これまでに説明してきたモータ装置1を有するとよい。このような構成とすることにより、Hブリッジ出力段を用いた従来例(図12)と異なり、制御信号IN1及びIN2の入力を要することなく電動ドアミラーX1及びX2を開閉駆動することができる。従って、ECU[electronic control unit]の負担を軽減することが可能となり、延いては、ECUのマイコンレス化を実現することが可能となる。
<総括>
以下では、本明細書中に開示されている種々の実施形態について総括的に述べる。
例えば、本明細書中に開示されているモータ駆動装置は、第1電源端子が第1電圧の印加端に接続されており、第1入力端子が前記第1電圧またはこれと連動する電圧の印加端に接続されており、第1出力端子がDCモータの第1ノードに接続されており、前記第1入力端子の端子電圧に応じて前記第1電源端子と前記第1出力端子との間に集積化された第1トランジスタのオン/オフ制御を行う第1スイッチICと;第2電源端子が第2電圧の印加端に接続されており、第2入力端子が前記第2電圧またはこれと連動する電圧の印加端に接続されており、第2出力端子が前記DCモータの第2ノードに接続されており、前記第2入力端子の端子電圧に応じて前記第2電源端子と前記第2出力端子との間に集積化された第2トランジスタのオン/オフ制御を行う第2スイッチICと;を有し、前記第1電圧及び前記第2電圧は、前記DCモータの回転方向に応じて、相互間の高低関係が切り替えられる構成(第1の構成)とされている。
なお、上記第1の構成から成るモータ駆動装置において、前記第1スイッチIC及び前記第2スイッチICは、それぞれ、前記DCモータに流れる出力電流を所定の過電流検出閾値以下に制限する過電流保護回路を含む構成(第2の構成)にするとよい。
また、上記第2の構成から成るモータ駆動装置において、前記過電流検出閾値は、外付け素子に応じた可変値である構成(第3の構成)にするとよい。
また、上記第2または第3の構成から成るモータ駆動装置において、前記第1スイッチIC及び前記第2スイッチICは、それぞれ、前記過電流保護回路の保護動作が所定のマスク期間に亘って継続したときに前記出力電流の生成動作を強制停止するモータ拘束検出部をさらに含む構成(第4の構成)にするとよい。
また、上記第4の構成から成るモータ駆動装置において、前記マスク期間は、外付け素子に応じた可変長である構成(第5の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成るモータ駆動装置において、前記第1スイッチICと前記第2スイッチICは、それぞれ、異常発熱を検出したときに前記出力電流の生成動作を強制停止する温度保護回路を備えている構成(第6の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成るモータ駆動装置は、前記第1電源端子と前記第1出力端子との間に外付けされた第1ダイオードと、前記第2電源端子と前記第2出力端子との間に外付けされた第2ダイオードと、をさらに有する構成(第7の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成るモータ駆動装置は、前記第1入力端子と前記第1電圧またはこれと連動する電圧の印加端との間に外付けされた第1抵抗と、前記第2入力端子と前記第2電圧またはこれと連動する電圧の印加端との間に外付けされた第2抵抗と、をさらに有する構成(第8の構成)にするとよい。
また、上記第1〜第8いずれかの構成から成るモータ駆動装置は、前記DCモータの第1ノードと第2ノードとの間に外付けされたキャパシタを更に有する構成(第9の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されているモータ駆動装置は、ドレインが第1電圧の印加端に接続されてソースがDCモータの第1ノードに接続されたNチャネル型の第1トランジスタと、ドレインが第2電圧の印加端に接続されてソースが前記DCモータの第2ノードに接続されたNチャネル型の第2トランジスタと、出力端が前記第1トランジスタのゲートに接続された第1レベルシフタと、出力端が前記第2トランジスタのゲートに接続された第2レベルシフタと、第1端が前記第1電圧の印加端に接続されて第2端が前記第1レベルシフタの入力端に接続された第1抵抗と、第1端が前記第2電圧の印加端に接続されて第2端が前記第2レベルシフタの入力端に接続された第2抵抗と、アノードが前記第2電圧の印加端に接続されてカソードが前記第1レベルシフタの入力端に接続された第1ツェナダイオードと、アノードが前記第1電圧の印加端に接続されてカソードが前記第2レベルシフタの入力端に接続された第2ツェナダイオードと、を有し、前記第1電圧及び前記第2電圧は、前記DCモータの回転方向に応じて、相互間の高低関係が切り替えられる構成(第10の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されているモータ駆動装置は、ソースが第1電圧の印加端に接続されてドレインがDCモータの第1ノードに接続されたPチャネル型の第1トランジスタと、ソースが第2電圧の印加端に接続されてドレインが前記DCモータの第2ノードに接続されたPチャネル型の第2トランジスタと、第1端が前記第1トランジスタのゲートに接続されて第2端が前記第2電圧の印加端に接続された第1抵抗と、第1端が前記第2トランジスタのゲートに接続されて第2端が前記第1電圧の印加端に接続された第2抵抗と、カソードが前記第1電圧の印加端に接続されてアノードが前記第1トランジスタのゲートに接続された第1ツェナダイオードと、カソードが前記第2電圧の印加端に接続されてアノードが前記第2トランジスタのゲートに接続された第2ツェナダイオードと、を有し、前記第1電圧及び前記第2電圧は、前記DCモータの回転方向に応じて、相互間の高低関係が切り替えられる構成(第11の構成)とされている。
なお、上記第10または第11の構成から成るモータ駆動装置は、前記第1トランジスタのドレイン・ソース間に接続された第1ダイオードと、前記第2トランジスタのドレイン・ソース間に接続された第2ダイオードと、をさらに有する構成(第12の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されているモータ装置は、上記第1〜第12いずれかの構成から成るモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置から前記出力電流の供給を受けて回転するDCモータと、前記DCモータの回転方向に応じて前記モータ駆動装置に供給される前記第1電圧及び前記第2電圧相互間の高低関係を切り替える電源装置と、を有する構成(第13の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されている電動ドアミラーは、上記第13の構成から成るモータ装置を有する構成(第14の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されている車両は、上記第14の構成から成る電動ドアミラーを有する構成(第15の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されているスイッチ装置は、電源端子と、DCモータが接続される出力端子と、前記電源端子と前記出力端子との間に接続された出力スイッチと、前記出力スイッチに流れる出力電流がモータ拘束検出閾値を上回っている状態がマスク期間に亘って継続したときに前記出力電流の生成動作を強制的に停止させるモータ拘束検出部とを有する構成(第16の構成)とされている。
なお、上記第16の構成から成るスイッチ装置において、前記モータ拘束検出部は、前記出力電流に応じた検出電圧を生成する電流検出部と、前記検出電圧と所定の閾値電圧とを比較して比較信号を生成する比較部と、前記比較信号が前記マスク期間に亘ってモータ拘束時の論理レベルに維持されたときに前記出力スイッチを強制的にオフさせるタイマ部とを含む構成(第17の構成)にするとよい。
また、上記第17の構成から成るスイッチ装置において、前記電流検出部は、第1端が前記電源端子に接続されており前記出力スイッチと共通の駆動信号でオン/オフされる電流検出スイッチと、前記電流検出スイッチの第2端と前記出力端子とをイマジナリショートすることで前記出力電流に応じた検出電流を生成するバイアス部と、前記検出電流を前記検出電圧に変換する抵抗と、を含む構成(第18の構成)にするとよい。
また、上記第18の構成から成るスイッチ装置において、前記抵抗は、外付け素子である構成(第19構成)にするとよい。
また、上記第16〜第19いずれかの構成から成るスイッチ装置は、前記出力電流を前記モータ拘束検出閾値よりも大きい過電流検出閾値以下に制限する過電流保護回路をさらに有する構成(第20の構成)にするとよい。
また、上記第20の構成から成るスイッチ装置において、前記過電流保護回路は、前記出力電流が前記過電流検出閾値よりも高い過電流遮断閾値を上回ったときに前記出力スイッチを強制的にオフさせる機能を備えている構成(第21の構成)にするとよい。
また、本明細書中に開示されているモータ駆動装置は、第1電源端子が第1電圧の印加端に接続されており、第1入力端子が前記第1電圧又はこれと連動する電圧の印加端に接続されており、第1出力端子がDCモータの第1ノードに接続されており、前記第1入力端子の端子電圧に応じて前記第1電源端子と前記第1出力端子との間に接続された第1出力スイッチをオン/オフする第1スイッチICと;第2電源端子が第2電圧の印加端に接続されており、第2入力端子が前記第2電圧又はこれと連動する電圧の印加端に接続されており、第2出力端子が前記DCモータの第2ノードに接続されており、前記第2入力端子の端子電圧に応じて前記第2電源端子と前記第2出力端子との間に接続された第2出力スイッチをオン/オフする第2スイッチICと;を有し、前記第1電圧及び前記第2電圧は、前記DCモータの回転方向に応じて、相互間の高低関係が切り替えられ、前記第1スイッチIC及び前記第2スイッチICは、それぞれ、上記第16〜第21いずれかの構成から成るスイッチ装置である構成(第22の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されているモータ装置は、上記第22の構成から成るモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置から出力電流の供給を受けて回転するDCモータと、前記DCモータの回転方向に応じて前記モータ駆動装置に供給される第1電圧及び第2電圧相互間の高低関係を切り替える電源装置と、を有する構成(第23の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されている電動ドアミラーは、上記第23の構成から成るモータ装置を有する構成(第24の構成)とされている。
また、本明細書中に開示されている車両は、上記第24の構成から成る電動ドアミラーを有する構成(第25の構成)とされている。
<その他の変形例>
もちろん、本明細書中に開示されている発明の適用対象は、上記実施形態に限定されるものではなく、車載用途以外にも広く適用することが可能である。
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。