JPWO2020027264A1 - アニリン誘導体 - Google Patents

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Abstract

例えば、下記式で表されるアニリン誘導体を提供する。(式中、Phは、フェニル基である。)

Description

本発明は、アニリン誘導体に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELともいう。)素子には、発光層や電荷注入層として、有機化合物からなる電荷輸送性薄膜が用いられる。特に、正孔注入層は、陽極と、正孔輸送層あるいは発光層との電荷の授受を担い、有機EL素子の低電圧駆動及び高輝度を達成するために重要な機能を果たす。
正孔注入層の形成方法は、蒸着法に代表されるドライプロセスと、スピンコート法に代表されるウェットプロセスとに大別され、これら各プロセスを比べると、ウェットプロセスの方が大面積に平坦性の高い薄膜を効率的に製造できる。それゆえ、有機ELディスプレイの大面積化が進められている現在、ウェットプロセスで形成可能な正孔注入層が望まれている。
このような状況の下、本発明者らは、各種ウェットプロセスに適用可能であるとともに、有機EL素子の正孔注入層に適用した場合に優れた特性を実現できる電荷輸送性を与える材料や、そのような材料に用い得る化合物を開発してきているが(例えば、特許文献1〜3)、有機ELディスプレイの開発が精力的に進められている現在、新しいウェットプロセス用材料に対する要望は引き続き存在する。加えて、より安価な材料への要望も強い。
国際公開第2008/129947号 国際公開第2015/050253号 国際公開第2017/217457号
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、単純な原料化合物から簡便に合成可能で、電荷輸送性に優れる薄膜を与え、この薄膜を正孔注入層等に適用した場合に優れた特性を有する有機EL素子を実現できるアニリン誘導体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、分子内にN,N,N',N'−テトラ(カルバゾール−2−イル)−パラフェニレンジアミン構造を有する所定のアニリン誘導体が、安価で単純な1,4−フェニレンジアミンと、ハロゲン化又は擬ハロゲン化カルバゾール誘導体とから簡便に合成できるだけでなく、電荷輸送性に優れる薄膜を与え、この薄膜を正孔注入層等に適用した場合に優れた特性を有する有機EL素子を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
したがって、本発明は、下記アニリン誘導体を提供する。
1.下記式(1)で表されるアニリン誘導体。
Figure 2020027264
[式中、各Arは、互いに独立に、下記式(Ar1)〜(Ar9)のいずれかで表される基である。
Figure 2020027264
(式中、R1〜R21は、互いに独立に、水素原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基であり、
1は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、Z3で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ3で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基であり、
2は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基又はZ3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、
3は、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基である。)]
2.Arが、全て同じ基である1のアニリン誘導体。
3.Arが、式(Ar1)〜(Ar5)のいずれかで表される基である2のアニリン誘導体。
4.Arが、式(Ar1)で表される基である3のアニリン誘導体。
5.触媒の存在下、パラフェニレンジアミンと下記式(N1)で表されるカルバゾール誘導体とを反応させる、1のアニリン誘導体の製造方法。
Figure 2020027264
(式中、Arは、前記と同じであり、Xは、ハロゲン原子又は擬ハロゲン基である。)
本発明のアニリン誘導体は有機溶媒に溶けやすく、これを単独で又はドーパントとともに有機溶媒へ溶解させて容易に電荷輸送性組成物を調製することができる。また、本発明のアニリン誘導体は、高電荷輸送性の薄膜を与え、この薄膜は、有機EL素子をはじめとした電子素子に好適に適用し得る。
本発明のアニリン誘導体は、下記式(1)で表される。
Figure 2020027264
式(1)中、各Arは、互いに独立に、下記式(Ar1)〜(Ar9)のいずれかで表される基である。
Figure 2020027264
式(Ar1)〜(Ar9)中、R1〜R21は、互いに独立に、水素原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基である。Z1は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、Z3で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ3で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基である。Z2は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基又はZ3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基である。Z3は、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基である。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、フッ素原子が好ましい。
前記炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基が挙げられる。
前記炭素数2〜20のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、エテニル基、n−1−プロペニル基、n−2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、n−1−ペンテニル基、n−1−デセニル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜20のアルキニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、エチニル基、n−1−プロピニル基、n−2−プロピニル基、n−1−ブチニル基、n−2−ブチニル基、n−3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、n−1−ペンチニル基、n−2−ペンチニル基、n−3−ペンチニル基、n−4−ペンチニル基、1−メチル−n−ブチニル基、2−メチル−n−ブチニル基、3−メチル−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−n−プロピニル基、n−1−ヘキシニル基、n−1−デシニル基等が挙げられる。
前記炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
前記炭素数2〜20のヘテロアリール基の具体例としては、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基等の含酸素ヘテロアリール基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基等の含硫黄ヘテロアリール基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、3−ピラジル基、5−ピラジル基、6−ピラジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、6−ピリミジル基、3−ピリダジル基、4−ピリダジル基、5−ピリダジル基、6−ピリダジル基、1,2,3−トリアジン−4−イル基、1,2,3−トリアジン−5−イル基、1,2,4−トリアジン−3−イル基、1,2,4−トリアジン−5−イル基、1,2,4−トリアジン−6−イル基、1,3,5−トリアジン−2−イル基、1,2,4,5−テトラジン−3−イル基、1,2,3,4−テトラジン−5−イル基、2−キノリニル基、3−キノリニル基、4−キノリニル基、5−キノリニル基、6−キノリニル基、7−キノリニル基、8−キノリニル基、1−イソキノリニル基、3−イソキノリニル基、4−イソキノリニル基、5−イソキノリニル基、6−イソキノリニル基、7−イソキノリニル基、8−イソキノリニル基、2−キノキサニル基、5−キノキサニル基、6−キノキサニル基、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、5−キナゾリニル基、6−キナゾリニル基、7−キナゾリニル基、8−キナゾリニル基、3−シンノリニル基、4−シンノリニル基、5−シンノリニル基、6−シンノリニル基、7−シンノリニル基、8−シンノリニル基等の含窒素ヘテロアリール基等が挙げられる。
中でも、R1〜R21としては、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Z2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基が好ましく、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、Z2で置換されていてもよいフェニル基、Z2で置換されていてもよい1−ナフチル基、Z2で置換されていてもよい2−ナフチル基がより一層好ましい。また、Z2としては、ハロゲン原子、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基が好ましい。Z3としては、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
本発明においては、アニリン誘導体の合成の容易性の観点から、Arは、全て同じ基であることが好ましい。また、電荷輸送性組成物を調製する際に均一性の高い組成物を再現性よく得る観点から、式(Ar1)〜(Ar5)のいずれかで表される基がより好ましく、式(Ar1)で表される基が最適である。
以下、本発明のアニリン誘導体の好適な具体例を挙げるが、これに限定されない。
Figure 2020027264
(式中、Phは、フェニル基である。)
本発明のアニリン誘導体は、触媒の存在下、パラフェニレンジアミン(1,4−フェニレンジアミン)と、下記式(N1)で表されるハロゲン化又は擬ハロゲン化カルバゾール誘導体とを反応させることで製造することができる。
Figure 2020027264
(式中、Arは、前記と同じであり、Xは、ハロゲン原子又は擬ハロゲン基である。)
前記ハロゲン原子としては、前記と同様のものが挙げられるが、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。前記擬ハロゲン基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基等の(フルオロ)アルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等の芳香族スルホニルオキシ基等が挙げられる。
1,4−フェニレンジアミンとハロゲン化又は擬ハロゲン化カルバゾール誘導体との仕込み比は、1,4−フェニレンジアミンの全NH基の物質量に対し、ハロゲン化又は擬ハロゲン化カルバゾール誘導体を当量以上とすることができるが、1〜1.2当量程度が好適である。
前記反応に用いられる触媒としては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等の銅触媒;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(Pd(PPh3)2Cl2)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(Pd(dba)2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)、ビス[トリ(t−ブチルホスフィン)]パラジウム(Pd(P-t-Bu3)2)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)等のパラジウム触媒等が挙げられる。これらの触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの触媒は、公知の適切な配位子とともに使用してもよい。このような配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、ジ−t−ブチル(フェニル)ホスフィン、ジ−t−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)」プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等の3級ホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の3級ホスファイト等が挙げられる。
触媒の使用量は、ハロゲン化又は擬ハロゲン化カルバゾール誘導体1molに対し、0.01〜0.2mol程度とすることができるが、0.15mol程度が好適である。また、配位子を用いる場合、その使用量は、使用する触媒に対し、0.1〜5当量とすることができるが、1〜2当量が好適である。
原料化合物が全て固体である場合あるいは目的とするアニリン誘導体を効率よく得る観点から、前記各反応は溶媒中で行う。溶媒を使用する場合、その種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はない。具体例としては、脂肪族炭化水素類(ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカン、デカリン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ラクタム及びラクトン類(N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等)、尿素類(N,N−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド、スルホラン等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、通常0〜200℃程度の範囲であり、好ましくは20〜150℃の範囲である。反応終了後は、常法にしたがって後処理をし、目的とするアニリン誘導体を得ることができる。
本発明のアニリン誘導体は、電荷輸送性物質として好適であり、また、有機溶媒への優れた溶解性を示す。それ故、本発明のアニリン誘導体を有機溶媒に溶解させることで、電荷輸送性組成物を容易に調製できる。
このような有機溶媒としては、本発明のアニリン誘導体を良好に溶解し得る高溶解性溶媒を用いることができる。高溶解性溶媒の具体例としては、例えば、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その使用量は、組成物に使用する溶媒全体に対し、5〜100質量%とすることができる。
また、組成物に、25℃で10〜200mPa・s、特に35〜150mPa・sの粘度を有し、常圧(大気圧)で沸点50〜300℃、特に150〜250℃の高粘度有機溶媒を少なくとも1種類含有させることで、組成物の粘度の調整が容易になり、その結果、平坦性の高い薄膜を再現性よく与える、用いる塗布方法に応じた組成物の調製が可能となる。高粘度有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物に用いられる溶媒全体に対する高粘度有機溶媒の添加割合は、固体が析出しない範囲内であることが好ましく、固体が析出しない限りにおいて、添加割合は、5〜80質量%が好ましい。
更に、基板に対する濡れ性の向上、溶媒の表面張力の調整、極性の調整、沸点の調整等の目的で、その他の溶媒を、組成物に使用する溶媒全体に対し、1〜90質量%、好ましくは1〜50質量%の割合で混合することもできる。このような溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチルラクテート、n−ヘキシルアセテート等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のアニリン誘導体が、例えば、その分子内のカルバゾール部位の9位の窒素原子上にアリール基を有する場合のように、分子内の少なくとも1つの窒素原子上に置換基を有する場合、好ましくは全ての窒素原子上に置換基を有している場合、低極性溶媒のみを用いた組成物の調製が容易になる。そのような低極性溶媒の具体例としては、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系溶媒;トルエン、キシレン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、デシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール等の脂肪族アルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4−メトキシトルエン、3−フェノキシトルエン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、フタル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、安息香酸イソアミル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジブチル、シュウ酸ジブチル、酢酸ヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の電荷輸送性組成物は、溶媒として水も含み得るが、組成物から得られる電荷輸送性薄膜を有機EL素子の正孔注入層として用いた場合に高耐久性の素子を再現性よく得る観点から、水の含有量は、溶媒全体の10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、溶媒として有機溶媒のみを用いることが最適である。なお、この場合における「有機溶媒のみ」とは、溶媒として用いるものが有機溶媒だけであることを意味し、使用する有機溶媒や固形分等に微量に含まれる「水」の存在までをも否定するものではない。また、本発明において、固形分とは、電荷輸送性組成物に含まれる溶媒以外の成分を意味する。
本発明の電荷輸送性組成物は、本発明のアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質とともに、その他の電荷輸送性物質を含んでいてもよい。
前記電荷輸送性組成物は、本発明のアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、有機溶媒とを含むものであるが、得られる薄膜の用途に応じ、その電荷輸送能の向上等を目的としてドーパント(電荷受容性物質)を含んでいてもよい。
ドーパントとしては、組成物に使用する少なくとも1種の溶媒に溶解するものであれば特に限定されず、無機系のドーパント、有機系のドーパントのいずれも使用できる。また、無機系及び有機系のドーパントは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物中のドーパントの量は、所望の電荷輸送性の程度やドーパントの種類に応じて異なるため一概に規定できないが、通常、式(1)で表されるアニリン誘導体1に対し、質量比で、0.0001〜100の範囲である。
本発明において、好ましいドーパントの一例としては、イオン化合物が挙げられる。その具体例としては、下記式(2a)で表されるアニオン、下記式(2b)で表されるアニオン、水酸化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、ホウ酸イオン、イソシアン酸イオン、水硫化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン;酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸イオン;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;メトキシドイオン、t−ブトキシドイオン等のアルコキシドイオン等と、その対カチオンとからなる塩が挙げられる。
Figure 2020027264
式(2a)中、E1は、長周期型周期表の第13族又は第15族に属する元素である。このうち、ホウ素、ガリウム、リン、アンチモンが好ましく、ホウ素がより好ましい。
式(2a)中、Ar1〜Ar4は、互いに独立に、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい芳香族複素環基である。前記芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の1価の基が挙げられる。中でも、化合物の安定性、耐熱性の点から、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン等に由来する1価の基が好ましい。
更に、Ar1〜Ar4のうち少なくとも1つの基が、フッ素原子又は塩素原子を置換基として1つ又は2つ以上有することがより好ましい。特に、Ar1〜Ar4の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアリール基又はパーフルオロヘテロアリール基であることがより一層好ましく、Ar1〜Ar4の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアリール基であることが最も好ましい。パーフルオロアリール基の具体例としては、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロ−2−ナフチル基、テトラフルオロ−4−ピリジル基等が挙げられる。
式(2b)中、E2は、長周期型周期表の第15族に属する元素である。このうち、リン原子、ヒ素原子、アンチモン原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製のし易さ、毒性の点から、リン原子が好ましい。Xaは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子であるが、化合物の安定性、合成及び精製のしやすさの点からフッ素原子、塩素原子であることが好ましく、フッ素原子であることが最も好ましい。
前記対カチオンとしては、金属イオン及びオニウムイオンが好ましい。前記金属イオンとしては、1価の金属イオンが好ましく、Li+、Na+、K+及びAg+等が挙げられるが、特に、Ag+が好ましい。前記オニウムイオンとしては、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン等が挙げられる。
前記オニウムイオンとしては、下記式(2c)で表されるヨードニウムイオンが好ましい。
Figure 2020027264
式(2c)中、R101及びR102は、互いに独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数2〜20のヘテロアリール基であり、これらの基の水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数2〜20のヘテロアリール基で置換されていてもよい。
前記オニウムイオンとしては、下記式(2d)で表されるイオンを用いることもできる。
Figure 2020027264
式(2d)中、E3は、周期表第3周期以降(第3〜第6周期)の元素であって、長周期型周期表の第16族に属する元素である。本発明では、これらの中でも、電子受容性及び入手容易性の観点から、周期表の第5周期以前(第3〜第5周期)の元素が好ましい。すなわち、E3としては、硫黄原子、セレン原子又はテルル原子が好ましく、硫黄原子がより好ましい。
式(2d)中、R103は、E3と炭素原子で結合する有機基であり、R104及びR105は、互いに独立に、任意の置換基である。R103〜R105のうち隣接する2以上の基が互いに結合して環を形成していてもよい。
103は、E3との結合部分に炭素原子を有する有機基であれば、本発明の趣旨に反しない限り、特に限定されない。R103の分子量は、通常1,000以下、好ましくは500以下の範囲である。R103の好ましい例としては、正電荷を非局在化させる点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が挙げられる。中でも、正電荷を非局在化させるとともに熱的に安定であることから、芳香族炭化水素又は芳香族複素環基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環由来の1価の基であり、正電荷を当該基上により非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ペリレン、テトラセン、ピレン、ベンズピレン、クリセン、トリフェニレン、アセナフテン、フルオレン等に由来する1価の基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、トリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。これらのうち、フェニル基及びトリル基が好ましく、トリル基がより好ましい。
前記芳香族複素環基としては、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の1価の基であり、正電荷を当該基上に非局在化させられる基が挙げられる。その具体例としては、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、インドール、カルバゾール、ピロロイミダゾール、ピロロピラゾール、ピロロピロール、チエノピロール、チエノチオフェン、フロピロール、フロフラン、チエノフラン、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、シノリン、キノキサリン、フェナントリジン、ベンゾイミダゾール、ピリミジン、キナゾリン、キナゾリノン、アズレン等に由来する1価の基が挙げられる。
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その炭素数が通常1以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
前記アルケニル基としては、炭素数が通常2以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。その具体例としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等が挙げられる。
前記アルキニル基としては、炭素数が通常2以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のものが挙げられる。具体例としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
104及びR105は、本発明の趣旨に反しない限り特に限定されない。R104及びR105の分子量は、通常1,000以下、好ましくは500以下の範囲である。R104及びR105の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、オルガノアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、オルガノシリル基等が挙げられる。中でも、R103と同様に電子受容性が大きい点から、E3との結合部分に炭素原子を有する有機基が好ましく、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が好ましい。特に、電子受容性が大きいとともに熱的に安定であることから、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が好ましい。
前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、R103の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。
前記オルガノアミノ基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アシル基等の有機基で置換されたアミノ基が挙げられる。前記アルキル基で置換されたアミノ基としては、炭素数が通常1以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のアルキル基を1つ以上有するアミノ基が挙げられる。その具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基で置換されたアミノ基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上であり、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を1つ以上有するアミノ基が挙げられる。その具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリルアミノ基、ピリジルアミノ基、チエニルアミノ基等が挙げられる。
前記アラルキル基で置換されたアミノ基としては、炭素数が通常7以上、通常25以下、好ましくは15以下のアラルキル基を1つ以上有するアミノ基が挙げられる。その具体例としては、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
前記アシル基で置換されたアミノ基としては、炭素数が通常2以上であり、通常25以下、好ましくは15以下のアシル基を1つ以上有するアシルアミノ基が挙げられる。その具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数が通常1以上であり、通常12以下、好ましくは6以下のアルコキシ基が挙げられる。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、炭素数が通常3以上であり、好ましくは4以上であり、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシ基が挙げられる。その具体例としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられる。
前記アシル基としては、炭素数が通常1以上であり、通常25以下、好ましくは15以下のアシル基が挙げられる。具体例としては、ホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素数が通常2以上であり、通常10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基が挙げられる。その具体例としては、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上であり、通常25以下、好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を有するものが挙げられる。その具体例としては、フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アルキルカルボニルオキシ基としては、炭素数が通常2以上、また、通常10以下、好ましくは7以下のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。その具体例としては、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基等が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、炭素数が通常1以上、また、通常12以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基が挙げられる。その具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上であり、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基が挙げられる。その具体例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等が挙げられる。
前記アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基の具体例としては、メシル基、トシル基等が挙げられる。
前記アルキルスルホニルオキシ基及びアリールスルホニルオキシ基の具体例としては、メシルオキシ基、トシルオキシ基等が挙げられる。
前記オルガノシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
以上、R103、R104及びR105として例示した基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に他の置換基によって置換されていてもよい。置換基の種類は特に限定されないが、例えば、R103、R104及びR105としてそれぞれ例示した基のほか、ハロゲン原子、シアノ基、チオシアノ基、ニトロ基等が挙げられる。中でも、イオン化合物(電子受容性イオン化合物)の耐熱性及び電子受容性の妨げにならない観点から、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基が好ましい。
前述したものの中でも、下記式(2−1)〜(2−4)で表されるイオン化合物(特許第5381931号参照)を好適に用いることができる。
Figure 2020027264
Figure 2020027264
更に、式(3a)で表される1価又は2価のアニオンと式(4a)〜(4e)のいずれかで表される対カチオンとからなるオニウムボレート塩(ただし、電気的中性な塩である)も好適に用いることができる。
Figure 2020027264
Figure 2020027264
式(3a)中、Ar11〜Ar16は、互いに独立に、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基である。Lは、アルキレン基、−NH−、酸素原子、硫黄原子又は−CN+−である。
前記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基等が挙げられる。その具体例としては、R1〜R21の説明において例示したものと同じものが挙げられるが、フェニル基、トリル基、ナフチル基が好ましい。前記ヘテロアリール基としては、炭素数2〜20のヘテロアリール基等が挙げられる。その具体例としては、R1〜R21の説明において例示したものと同じものが挙げられる。
前記置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基及び炭素数2〜20のアルキニル基等が挙げられる。
前記アルキル基の具体例としては、R1〜R21の説明において例示したものと同じものが挙げられるが、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。前記ハロゲン原子、アルケニル基及びアルキニル基の具体例としては、R1〜R21の説明において例示したものと同じものが挙げられる。
前記アリール基及びヘテロアリール基としては、置換基として1又は2以上の電子吸引性基を有するものが好ましい。前述した置換基のうち電子吸引性基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
式(3a)中、Lは、アルキレン基、−NH−、酸素原子、硫黄原子又は−CN+−であるが、−CN+−が好ましい。
前記アルキレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられる。その具体例としては、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
本発明で好適に用いることのできる式(3a)で表されるアニオンとしては、式(3b)で表されるものが挙げられるが、これに限定されない。
Figure 2020027264
本発明において、前記オニウムボレート塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて公知のその他のオニウムボレート塩を併用してもよい。なお、前記オニウムボレート塩は、例えば、特開2005−314682号公報等に記載された公知の方法を参考に合成することができる。
前記オニウムボレート塩は、電荷輸送性組成物への溶解を容易にするため、組成物の調製に際し、予め有機溶媒に溶かしておいてもよい。このような有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテル等の多価アルコール及びその誘導体類;ジオキサン等の環式エーテル類;ギ酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、3−フェノキシトルエン、4−メトキシトルエン、安息香酸メチル、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、イソホロン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その使用量は、前記オニウムボレート塩100質量部に対し、15〜1,000質量部が好ましく、30〜500質量部がより好ましい。
前記電荷輸送性組成物がドーパントとして前記オニウムボレート塩を含む場合、その含有量は、質量比で、電荷輸送性物質(本発明のアニリン誘導体):オニウムボレート塩が1:0.01〜20程度となる量が好ましく、1:0.01〜10程度となる量がより好ましく、1:0.01〜2程度となる量がより一層好ましく、1:0.1〜2程度となる量が更に好ましい。
前記電荷輸送性組成物中、前記電荷輸送性物質及びドーパントは、前記溶媒に完全に溶解しているか、均一に分散している状態となっていることが好ましく、完全に溶解していることが最適である。
前記電荷輸送性組成物は、得られる薄膜を有機EL素子の正孔注入層として用いる場合における正孔輸送層への注入性の向上、素子の寿命特性等の改善を目的として、有機シラン化合物やノニオン系含フッ素界面活性剤を含んでいてもよく、その含有量は、電荷輸送性物質及びドーパントの合計100質量部に対し、通常、1〜30質量部程度である。
前記電荷輸送性組成物中の固形分濃度は、電荷輸送性物質の析出を抑制しつつ十分な膜厚を確保する観点から、通常0.1〜20質量%程度、好ましくは0.5〜15質量%である。
前記電荷輸送性組成物の粘度は、通常、25℃で1〜50mPa・sであり、表面張力は、通常、25℃で20〜50mN/mである。前記電荷輸送性組成物の粘度と表面張力は、用いる塗布方法、所望の膜厚等の各種要素を考慮して、用いる有機溶媒の種類やそれらの比率、固形分濃度等を変更することで調整可能である。
前記電荷輸送性組成物は、本発明のアニリン誘導体を有機溶媒に溶解させることで製造できる。あらかじめ有機溶媒に本発明のアニリン誘導体を溶解させ、そこにその他の有機溶媒を順次加えてもよく、用いる全溶媒の混合溶媒をあらかじめ調製し、そこへ本発明のアニリン誘導体を溶解させてもよい。また、必要があれば、組成物に含まれる成分が分解したり変質したりしないように注意し、加熱して本発明のアニリン誘導体等の溶解を促進してもよい。前記電荷輸送性組成物が、本発明のアニリン誘導体と溶媒以外の成分を含む場合も同様の方法に従う。更に、前記電荷輸送性組成物は、より平坦性の高い薄膜を再現性よく得る観点から、電荷輸送性物質を有機溶媒に溶解させた後、サブマイクロメートルオーダーのフィルター等を用いてろ過してもよい。
以上説明した電荷輸送性組成物を基材上に塗布して焼成することで、基材上に電荷輸送性薄膜を形成することができる。
組成物の塗布方法としては、特に限定されず、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、インクジェット法、スプレー法、スリットコート法等が挙げられる。塗布方法に応じて、組成物の粘度及び表面張力を調節することが好ましい。
焼成雰囲気も特に限定されず、大気雰囲気(空気下)だけでなく、窒素等の不活性ガス下や真空中でも均一な成膜面及び電荷輸送性を有する薄膜を得ることができるが、通常、大気雰囲気で焼成する。
また、焼成条件も特に限定されないが、例えば、ホットプレートを用いて加熱焼成する。通常、所望の電荷輸送性等も考慮して、焼成温度は100〜260℃の範囲内で、焼成時間は1分間〜1時間の範囲内で適宜決定する。更に、必要に応じて、異なる2以上の温度で多段階の焼成をしてもよい。
電荷輸送性薄膜の膜厚は、特に限定されないが、有機EL素子の機能層として用いる場合、5〜300nmが好ましい。膜厚を変化させる方法としては、例えば、電荷輸送性組成物中の固形分濃度を変化させたり、塗布時の液量を変化させたりする方法がある。
前記電荷輸送性薄膜は、有機EL素子の機能層として好適に使用し得る。前記電荷輸送性薄膜を有機EL素子に適用する場合、前記有機EL素子は、一対の電極を有し、これら電極の間に、前記電荷輸送性薄膜を有するものである。
有機EL素子の代表的な構成としては、以下の(a)〜(f)が挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記構成において、必要に応じて、発光層と陽極の間に電子ブロック層等を、発光層と陰極の間にホール(正孔)ブロック層等を設けることもできる。また、正孔注入層、正孔輸送層又は正孔注入輸送層が電子ブロック層等としての機能を兼ね備えていてもよく、電子注入層、電子輸送層あるいは電子注入輸送層がホール(正孔)ブロック層等としての機能を兼ね備えていてもよい。更に、必要に応じて各層の間に任意の機能層を設けることも可能である。
(a)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(b)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(c)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(d)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(f)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極
「正孔注入層」、「正孔輸送層」及び「正孔注入輸送層」とは、発光層と陽極との間に形成される層であって、正孔を陽極から発光層へ輸送する機能を有するものである。発光層と陽極の間に、正孔輸送性材料の層が1層のみ設けられる場合、それが「正孔注入輸送層」であり、発光層と陽極の間に、正孔輸送性材料の層が2層以上設けられる場合、陽極に近い層が「正孔注入層」であり、それ以外の層が「正孔輸送層」である。特に、正孔注入(輸送)層は、陽極からの正孔受容性だけでなく、正孔輸送(発光)層への正孔注入性にも優れる薄膜が用いられる。
「電子注入層」、「電子輸送層」及び「電子注入輸送層」とは、発光層と陰極との間に形成される層であって、電子を陰極から発光層へ輸送する機能を有するものである。発光層と陰極の間に、電子輸送性材料の層が1層のみ設けられる場合、それが「電子注入輸送層」であり、発光層と陰極の間に、電子輸送性材料の層が2層以上設けられる場合、陰極に近い層が「電子注入層」であり、それ以外の層が「電子輸送層」である。
「発光層」とは、発光機能を有する有機層であって、ドーピングシステムを採用する場合、ホスト材料とドーパント材料を含んでいる。このとき、ホスト材料は、主に電子と正孔の再結合を促し、励起子を発光層内に閉じ込める機能を有し、ドーパント材料は、再結合で得られた励起子を効率的に発光させる機能を有する。燐光素子の場合、ホスト材料は主にドーパントで生成された励起子を発光層内に閉じ込める機能を有する。
前記電荷輸送性薄膜は、有機EL素子において、陽極と発光層の間に設けられる機能層として好適であり、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入輸送層としてより好適であり、正孔注入層としてより一層好適である。
前記電荷輸送性組成物を用いて有機EL素子を作製する場合の使用材料や、作製方法としては、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されない。
前記電荷輸送性組成物から得られる薄膜をからなる正孔輸送層を有するOLED素子の作製方法の一例は、以下のとおりである。なお、電極は、電極に悪影響を与えない範囲で、アルコール、純水等による洗浄や、UVオゾン処理、酸素−プラズマ処理等による表面処理を予め行うことが好ましい。
陽極基板上に、前記の方法により、前記電荷輸送性薄膜からなる正孔注入層を形成する。これを真空蒸着装置内に導入し、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子輸送層/ホールブロック層、陰極金属を順次蒸着する。あるいは、当該方法において蒸着で正孔輸送層と発光層とを形成するかわりに、正孔輸送性高分子を含む正孔輸送層形成用組成物と発光性高分子を含む発光層形成用組成物を用いてウェットプロセスによってこれらの層を形成する。なお、必要に応じて、発光層と正孔輸送層との間に電子ブロック層を設けてよい。
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極や、アルミニウムに代表される金属やこれらの合金等から構成される金属陽極が挙げられ、平坦化処理を行ったものが好ましい。高電荷輸送性を有するポリチオフェン誘導体やポリアニリン誘導体を用いることもできる。なお、金属陽極を構成するその他の金属としては、金、銀、銅、インジウムやこれらの合金等が挙げられるが、これらに限定されない。
発光層を形成する材料としては、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq3)、ビス(8−キノリノラート)亜鉛(II)等の8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、ビススチリルベンゼン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの金属錯体、シロール誘導体等の低分子発光材料;ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリビニルカルバゾール等の高分子化合物に発光材料と電子移動材料を混合した系等が挙げられるが、これらに限定されない。また、蒸着で発光層を形成する場合、発光性ドーパントと共蒸着してもよく、発光性ドーパントとしては、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(PPy)3)等の金属錯体や、ルブレン等のナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、ペリレン等の縮合多環芳香族環等が挙げられるが、これらに限定されない。
電子輸送層/ホールブロック層を形成する材料としては、オキシジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、フェニルキノキサリン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ピリミジン誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。
電子注入層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al23)等の金属酸化物、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)の金属フッ化物が挙げられるが、これらに限定されない。
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金等が挙げられるが、これらに限定されない。
電子ブロック層を形成する材料としては、トリス(フェニルピラゾール)イリジウム等が挙げられるが、これに限定されない。
正孔輸送性高分子としては、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N'−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N'−ビス{p−ブチルフェニル}−1,1'−ビフェニレン−4,4−ジアミン)]、ポリ[(9,9−ビス{1'−ペンテン−5'−イル}フルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N'−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[N,N'−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N'−ビス(フェニル)−ベンジジン]−エンドキャップド ウィズポリシルセスキオキサン、ポリ[(9,9−ジジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4'−(N−(p−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]等が挙げられる。
発光性高分子としては、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)等のポリフルオレン誘導体、ポリ(2−メトキシ−5−(2'−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)等のポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
陽極と陰極及びこれらの間に形成される層を構成する材料は、ボトムエミッション構造、トップエミッション構造のいずれを備える素子を製造するかで異なるため、その点を考慮して、適宜材料選択する。
通常、ボトムエミッション構造の素子では、基板側に透明陽極が用いられ、基板側から光が取り出されるのに対し、トップエミッション構造の素子では、金属からなる反射陽極が用いられ、基板と反対方向にある透明電極(陰極)側から光が取り出されることから、陽極材料について言えば、ボトムエミッション構造の素子を製造する際はITO等の透明陽極を、トップエミッション構造の素子を製造する際はAl/Nd等の反射陽極を、それぞれ用いる。
本発明の有機EL素子は、特性悪化を防ぐため、定法に従い、必要に応じて捕水剤等とともに封止してもよい。
本発明のアニリン誘導体は、昇華性を有し、これを用いて容易に蒸着膜を形成できる。従って、用途によっては、前記電荷輸送性組成物から得られる電荷輸送性薄膜ではなく、本発明のアニリン誘導体を用いた蒸着法により得られる電荷輸送性薄膜を用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。なお、使用した装置は以下のとおりである。
(1)LDI-MS:Bruker社製AutoFlex
(2)1H-NMR:日本電子(株)製JNM-ECP300 FT NMR SYSTEM
(3)基板洗浄:長州産業(株)製基板洗浄装置(減圧プラズマ方式)
(4)組成物の塗布:ミカサ(株)製スピンコーターMS-A100
(5)膜厚測定:(株)小坂研究所製微細形状測定機サーフコーダET-4000
(6)素子の作製:長州産業(株)製多機能蒸着装置システムC-E2L1G1-N
(7)素子の電流密度等の測定:(株)イーエッチシー製多チャンネルIVL測定装置
[1]化合物の製造
[実施例1]
Figure 2020027264
フラスコに、1,4−フェニレンジアミン0.502g、2−ブロモ−9−フェニル−9H−カルバゾール6.26g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム0.106g及びナトリウムt−ブトキシド2.24gを入れ、フラスコ内を窒素置換した。そこへ、トルエン10mL及び別途あらかじめ準備したフェニルジ−t−ブチルホスフィンのトルエン溶液1.3mL(濃度:62.5g/L)を加え、90℃で3時間攪拌した。反応混合液を室温まで冷却した後、冷却した反応混合液とともに、トルエンと飽和食塩水とを分液漏斗に入れて、分液処理を行い、有機層を回収した。回収した有機層に活性炭を加えて室温で0.5時間攪拌した後、シリカゲルろ過を行い、得られたろ液を濃縮した。
得られた濃縮液を、メタノールと酢酸エチルの混合溶媒に滴下し、暫くの間、攪拌した。得られたスラリー溶液をろ過し、得られたろ物を乾燥して、目的とするアニリン誘導体Aを2.96g(収率:59%)得た。得られた目的物は、1H-NMRで同定した。
1H-NMR(500MHz, DMSO-d6) δ[ppm]: 8.09-8.15(m, 8H), 7.54-7.57(m, 8H), 7.43-7.47(m, 12H), 7.33-7.37(m, 4H), 7.24-7.30(m, 8H), 7.05(m, 8H), 6.92-6.94(m, 4H).
[合成例1]オニウムボレート塩の製造
(1)中間体の合成
Figure 2020027264
フラスコに、ジエチルエーテル6,068mL、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン151.7g及びシアン化カリウム9.4gを入れ、34〜36℃で3時間攪拌した。その後、反応混合物を常圧で濃縮し、褐色液体267.2gを得た。得られた褐色液体を、減圧下、55℃で濃縮した。得られた固体を、減圧下、35℃で16時間乾燥し、式(Q−1)で表される中間体157.7gを得た。得られた目的物は、LDI-MSで同定した。
LDI-MS m/Z found: 1050.12 ([M]- calcd: 1049.97).
(2)オニウムボレート塩Pの合成
Figure 2020027264
フラスコに、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート11.043g、式(Q−1)で表される中間体22.000g、イオン交換水110mL及びジエチルエーテル110mLを入れ、25℃で16時間攪拌した。その後、反応混合物を分液漏斗に入れ、有機層を残して水層を除き、残った有機層をイオン交換水で洗浄(100mL×5回)した後、回収した。回収した有機層から、減圧下、40〜45℃で有機溶媒を留去し、得られた残渣を減圧下で20時間乾燥し、オニウムボレート塩P24gを得た。得られた目的物は、1H-NMR及びLDI-MSで同定した。
1H-NMR (300MHz, DMSO-D6): δ 7.40-7.80 (19H, m)
LDI-MS m/Z found: 371.04 ([M]+ calcd: 371.09).
LDI-MS m/Z found:1050.11 ([M]- calcd: 1049.97).
[2]電荷輸送性組成物の調製
[参考例1]
アニリン誘導体A113mg及びオニウムボレート塩P150mgの混合物に、キシレン5.0gを加えて室温で攪拌して溶解させて得られた溶液を、孔径0.2μmのシリンジフィルターでろ過し、電荷輸送性組成物を得た。
[3]有機EL素子の作製及び特性評価
[参考例2]
参考例1で得られた電荷輸送性組成物を、スピンコーターを用いてITO基板に塗布した後、大気雰囲気下、120℃で1分間乾燥した。次に、乾燥させたITO基板をグローブボックス内に挿入し、大気雰囲気下、150℃で10分間焼成し、ITO基板上に50nmの薄膜を形成した。ITO基板としては、インジウム錫酸化物(ITO)が表面上に膜厚150nmでパターニングされた25mm×25mm×0.7tのガラス基板を用い、使用前にO2プラズマ洗浄装置(150W、30秒間)によって表面上の不純物を除去した。
次いで、薄膜を形成したITO基板に対し、蒸着装置(真空度1.0×10-5Pa)を用いてα−NPD(N,N'−ジ(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニルベンジジン)を0.2nm/秒にて120nm成膜した。次に、関東化学(株)製の電子ブロック材料HTEB-01を10nm成膜した。次いで、新日鉄住金化学(株)製の発光層ホスト材料NS60及び発光層ドーパント材料Ir(PPy)3を共蒸着した。共蒸着は、Ir(PPy)3の濃度が6%になるように蒸着レートをコントロールし、40nm積層させた。次いで、Alq3、フッ化リチウム及びアルミニウムの薄膜を順次積層して有機EL素子を得た。この際、蒸着レートは、Alq3及びアルミニウムについては0.2nm/秒、フッ化リチウムについては0.02nm/秒の条件でそれぞれ行い、膜厚は、それぞれ20nm、0.5nm及び80nmとした。
なお、空気中の酸素、水等の影響による特性劣化を防止するため、有機EL素子は封止基板により封止した後、その特性を評価した。封止は、以下の手順で行った。酸素濃度2ppm以下、露点−76℃以下の窒素雰囲気中で、有機EL素子を封止基板の間に収め、封止基板を接着剤((株)MORESCO製モレスコモイスチャーカットWb90US(P))により貼り合わせた。この際、捕水剤(ダイニック(株)製HD-071010W-40)を有機EL素子と共に封止基板内に収めた。貼り合わせた封止基板に対し、UV光を照射(波長:365nm、照射量:6,000mJ/cm2)した後、80℃で1時間、アニーリング処理して接着剤を硬化させた。
得られた素子を5,000cd/m2で発光させた場合の駆動電圧、電流密度、電流効率、発光効率及び外部発光量子収率(EQE)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2020027264
表1に示したように、本発明のアニリン誘導体を用いた有機EL素子は、好適に駆動することがわかった。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表されるアニリン誘導体。
    Figure 2020027264
    [式中、各Arは、互いに独立に、下記式(Ar1)〜(Ar9)のいずれかで表される基である。
    Figure 2020027264
    (式中、R1〜R21は、互いに独立に、水素原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基であり、
    1は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、Z3で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ3で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基であり、
    2は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基又はZ3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基であり、
    3は、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基である。)]
  2. Arが、全て同じ基である請求項1記載のアニリン誘導体。
  3. Arが、式(Ar1)〜(Ar5)のいずれかで表される基である請求項2記載のアニリン誘導体。
  4. Arが、式(Ar1)で表される基である請求項3記載のアニリン誘導体。
  5. 触媒の存在下、パラフェニレンジアミンと下記式(N1)で表されるカルバゾール誘導体とを反応させる、請求項1記載のアニリン誘導体の製造方法。
    Figure 2020027264
    (式中、Arは、前記と同じであり、Xは、ハロゲン原子又は擬ハロゲン基である。)
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