JPWO2019240201A1 - 磁気式クランプ装置及び磁気式クランプ装置用磁力発生機構 - Google Patents

磁気式クランプ装置及び磁気式クランプ装置用磁力発生機構 Download PDF

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Abstract

磁束が低下しにくく液密性を備えた環状体を備えた磁力式クランプ装置を提供するよう、収容空洞部(4)の中央に軟質磁性材料からなる収容蓋体(6)が配され、その外周には非磁性体からなる非磁性の金属枠体(23)が嵌合されており、この非磁性の金属枠体(23)の裏面の環状の磁石収納空間内には複数の円弧状の非可逆永久磁石(7)が環状に配され、収容蓋体(6)の裏面には、可逆永久磁石(8)とその周囲に磁極切換用コイル(9)が備わっており、収容空洞部(4)の裏面開口を塞ぐ底面蓋体(12)を備えた磁力発生機構(3)を備えた磁気式クランプ装置(1)であって、金属枠体(23)がベースプレート(2)及び収容蓋体(6)と一体に接合されていること、を特徴とする磁気式クランプ装置とする。

Description

この発明は磁気式クランプ装置に関し、とりわけクランプ対象物との吸着面を液密性とした磁力発生機構をベースプレート内に複数基並列配置した磁気式クランプ装置と、その磁気式クランプ装置用の磁力発生機構の構造に関する。
従来から、クランプ対象物(たとえば、射出成形機の金型、機械加工に供するワークピース等)を固定する固定面を有するベース部材と、このベース部材に組み込まれ、かつ磁力によリクランプ対象物を固定面に吸着して固定可能な複数の磁力発生機構とを備えた磁力式クランプ装置がある。この磁力式クランプ装置はたとえば射出成形機に実装され、金型をプラテン(射出成形機の可動盤、固定盤といった金型の取り付け面)に固定する際に用いられている。
磁気式クランプ装置の各磁力発生機構は、たとえば、ベース部材の固定面と面一な外表面を有する磁性体製の円形蓋板と、この円形蓋板の裏面側に配設されたアルニコ磁石(AlNiCo磁石)と、このアルニコ磁石の外周側に巻装された磁極切換用コイルと、円形蓋板の外周側に配設された永久磁石等を備えているものである。そして、これらの磁力発生機構は、ベース部材に形成された複数の凹状の収容孔にそれぞれ組み込まれている。さて、アルニコ磁石の磁極は磁極切換用コイルに通電することで逆転させることができる。通電で磁極が切り替わると、磁束線が固定面の外に発せられず固定する力が付与されない打ち消し状態と、磁束線が固定面から金型等のワークに到達してワークを磁力でクランプしうるクランプ状態の双方を選択的に迅速に切り換えることができる。さらに、永久磁石が組み合わさっているので、通電を終了した後もそれらの状態をそのまま保持することが可能となっている。
例えば、特許文献1の磁気締付け装置においては、ベース部材のプレートの締付け面であるワークの固定面側に、複数の円筒状ハウジングが開口しており、各円筒状ハウジング内にはそれぞれ磁力発生機構が組み込まれている。特許文献1の発明自体は、その複数の磁力発生機構のソレノイドコイルの端子の接続コネクタに関する発明であるが、この円筒状のハウジング内の磁力発生機構自体には、締付け面側から順に、中心に配した鋼極と、その外周表面に嵌まる黄銅のような非磁気材料からなる円筒状のリング体と、この円筒状リングの下に鋼極の外周を囲む複数の永久磁石が配されて磁気パッドとなっており、それらの磁気パッドの下方には、円筒状のアルニコ磁石とその外周に配されたソレノイドコイルとからなる磁力切り換え部が備わっている。
そして、特許文献1では、鋼極の外周表面部には、黄銅製の非磁性体のリングが配されており、このリングの外周面には外部周辺溝が穿設されていて、溝のなかにOリングが配されている。
また、ベース部材と円形蓋板とが表面からみて一枚板のように一体に形成された一体型磁気装置も提案されている(たとえば特許文献2参照。)。特許文献2の一体型磁気装置では、ベース部材となる支持構造部材と円形蓋板に相当する第1のポールピースコアとが1つの部材で形成されており、支持構造部材の裏面側には複数の凹状の収容孔が開口し、これらの複数の収容孔内には、円形蓋板の周囲に配される非可逆永久磁石と、円形蓋板の下に可逆永久磁石コアのアルニコ磁石と、その周囲に磁化状態を変化させるための環状の電気コイルと、が配された磁気発生機構が備わっている。
特開2007−331101号公報 特表2011−519733号公報
さて、磁気式クランプ装置は、磁極切換用コイルへの通電の切換えによって、固定面上にクランプ対象物を固定保持する保持状態を維持したり、あるいはアルニコ磁石の極性を反転させて打ち消し状態とすることでクランプしない状態とすることのできる装置である。コイルへの通電終了後も磁力が持続するので、射出成形機におけるプラテンのように金型を長期にクランプしたまま固定保持しつづけることができ、可動部分がないので長期にメンテナンスフリーとしたい場面への適用にも好適といえる。
ところで、射出成形では溶解した樹脂を金型のキャビティに射出したのち、成形品が冷却・硬化して取り出せるまでには時間を要することから、冷却工程が大きな割合を占めている。そして、こうした金型は一般的にクーラント(冷却水)によって冷却されている。すると、金型の周囲がクーラント等で濡れることがあり、磁気式クランプ装置の周囲に水分が入り込むことがある。また、射出成形などの金型は、その金型表面に樹脂などの汚れが付着することから金型使用後に洗浄されることも多く、金型の周囲に洗浄液が付着したり、洗浄液が流れ落ちることもある。そこで、プラテン上にクランプされた状態で洗浄されるとなれば、洗浄液などの溶液が磁気式クランプ装置の固定部に付着することが起こりうる。
すると、磁気式クランプ装置は可動部分がなく長期のクランプ状態保持に向いているとはいっても、磁力発生機構の内部に水等の溶液が侵入してしまえば内部のコイルなどの短絡にもつながるので、クランプ状態と打ち消し状態の切り換えがスムーズに行えなくなるトラブル等を招来させかねない。
もちろん、クランプ状態からの脱落事故に備えてセンサーを配置するなどの安全対策がなされていることから、直ちに重大事故になることは起こりにくいものの、磁気式クランプ装置のメンテナンスが必要となることにもなりうる。また、金型洗浄液等の溶液は界面活性剤を含む場合もあるので界面に侵入しやすい。
そこで、磁気式クランプ装置の固定面から溶液等が侵入しにくい防水性に優れた、簡易な構造でかつ安定的なシールド構造が求められている。
そして、磁気式クランプ装置は、多数の磁力発生機構を配列していることから、それぞれの磁力発生機構の配線を結線することとなるが、配線が裏面から露出する構造だと裏面から磁力発生機構内への液体の侵入もしやすくなったり、配線を痛めることも起きやすい。
さらに、磁力によってクランプする構造であるところ、金型側に飛びだす磁力線による磁力の影響範囲は、数十mmの深さであって、固定面のプレート間に余計な隙間があったり、ソリや変形が生じていると、隙間によってクランプ力が極端に落ちる。たとえば隙間が0.5mm生じると磁気式クランプ装置のクランプ力は本来の60%以下に、1mmの隙間ともなると本来の15%程度まで吸着力が落ちてしまう。
すると、十数個の磁力発生機構を備えているとはいえ、その一部が浮いてしまうこととなれば、所期の能力を十分に発揮できないこととなる。すると、金型との隙間を低減させるために、固定面を平滑に形成できることは、磁力によって密着固定させることが望まれる。
そこで、多数の磁力発生機構を内部に備えた磁気式クランプ装置の製造組み立て時に平滑性を確保しやすく、さらに装置のメンテナンス時に平滑面を調整もしやすい構造であることも求められている。また、こうした平滑面であることは、洗浄液等の溶液が界面に侵入しやすい。このように固定面と裏面双方に液蜜性を備えることが要請されている。
しかし、特許文献1の磁気締付け装置では、ベース部材のプレートの締付け面であるワークの固定面側に、複数の円筒状ハウジングが開口しており、各円筒状ハウジング内にはそれぞれ磁力発生機構が組み込まれており、複数の円筒状ハウジングの外端面とベース部材の固定面との平坦性を確保する必要が生じており、円筒状ハウジングの底面の機械加工において高い加工精度が要求されることとなる。また、円筒状ハウジングは貫通していないので、機械加工をひとつひとつしなければならず、効率的とはいえなかった。
クランプする対象には射出成形に用いる金型が含まれるところ、金型が100℃を超える温度をもつことがあるので、固定面にも熱が伝わり熱膨張することとなる。さて、特許文献1の磁力発生機構は、ワークと当接する鋼極の外周表面に設けられた黄銅製のリングに外周面に外部周辺溝を備え、Oリングがこの溝に嵌まることで、リングが外表面に抜け出すことを抑止する構造である。ところが、鋼極やベースプレートの鋼材と比して、黄銅の熱膨張率は大きいので、金型の熱が伝わると、リングが膨張してベースプレートの開口とせってしまい、Oリングの周囲に負荷がかかりやすくなる。さらにOリングが熱硬化により弾性力の低下を招くことがあり、Oリング周辺のシールド性が低下しやすい。すると、このリングの周囲のシールド性(水密性)が下がることとなっていた。
そこで、出願人は水密性の対策として、磁性材料からなる円形蓋体の外表面外周に、リングを設けるのではなく、外周をフランジ状に鍔部を設ける構造を発明している(特願2016−245111,非公開)。たしかに同一素材の鍔部を設けることで水密性は向上するが、同一素材であることから、磁束の制御を厳密にする必要が生じる。また、鍔部はフランジ状に、片持ちで張り出したような構造であることから、ワーク面側から力が加わると、曲がりやすく、鍔の外縁が内部に押し込まれてしまうことが起こりうるので、ワークの脱着時に鍔部を損傷しないように留意することが必要となるなど、使用に際し従前よりも配慮が必要となるところがある。
また、特許文献2の一体型磁気装置においては、「支持構造」と「第1のボールピースコア」がワンピースに成形されているので、ワークを固定する固定面側には開口がなく、ベース部材の固定面の平坦性を確保しやすい。もっとも、ベース部材と円形蓋板が固定面側で一体になっている構造に加工すること自体は容易とはいえない。裏面側から収容孔を開口することとなるが、裏面側のアルニコ磁石の電気コイルを収容するスペースを削り出すのみならず、さらに、中央に円形蓋板を残したまま、この円形蓋板に振動が伝わるのを抑えつつ、その周囲を非可逆永久磁石を入れるために溝を形成しなければならないので、ひとつひとつの収容孔の開口作業が難しい。
さらに、特許文献2は、一体型であることから、複数の収容孔を裏面側から開口しなければならず、また、全体のなかで適切な位置となるようそれぞれ加工としなければならないところ、一体的ゆえにひとつずつ加工せざるを得ないので時間を要するほか、全体のなかでの配置まで考慮して収容孔を加工しなければならず、全体を加工する制御をしなければならないなど、作業者側での負担も大きいものであった。
すなわち、前記のような凹状の収容孔を機械加工で形成する場合、大径のドリルで凹穴を形成してから小径のエンドミルを周回的に移動させることで、凹穴の奥端面を平坦面に仕上げ加工することなどが考えられるところ、それでは全体の加工に多くの時間と労力がかかるので、こうした一体的な収容孔の構造は製作するうえで非常に不利なものといえる。
なお、これらの開口をトレパニング加工(芯残しの中ぐり加工)による切削加工で形成することもできるが、こうした簡易な手法をとるとなれば、溝の寸法精度を向上させることが難しく、また、空洞部の面粗度も低下しやすいものとなってしまう。そして、トレパニング加工では、装置内の鉄芯部とベースプレートとの間の隙間が適切に保持しづらいものとなるので、結果として、磁束の低下やロスにつながることとなる。そこで、クランプを適切に確保する観点からすると、トレパニング加工を用いることのみでは十分とはいえず、精度を保つためには手間のかかる仕上げ加工が必要とならざるを得なかった。
このように、たしかに特許文献2の一体型磁気装置では、ベース部材と円形蓋板を環状磁路部によって一体に繋ぐことから、固定面の平坦性と液密性を確保しうるものとはなっているが、こうした加工自体は複雑で難しいものである。なお裏面側の液密性についても考慮されていない。のみならず、さらに、環状磁路部も含め、すべて平面上で面一に一体になっているので、クランプ状態のときには、10〜20%の磁束が環状磁路部にも流れてしまうこととなる。すると、その分だけクランプ時のクランプ対象物を吸着する力が低下してしまうこととなるので、クランプ力が不可避に低下してしまっていた。
また、磁極切換用のコイルへの通電の向きによって、クランプ状態と打ち消し状態とを切り替えることができるが、クランプ状態としたときに、所望のクランプ力が適切に発生していなければ、クランプ対象物を固定できず危険である。そこで、クランプ状態が良好か否かを適切かつ簡易に確認しうることはとても重要である。そこで、非可逆永久磁石とクランプ対象物との間にセンサーとなるセンサーコイル等を設置すると、クランプ状態での磁束を確認することが容易にできる。もっとも、クランプ状態を確認することから、固定面近くにセンサーが配されることとなるところ、永久磁石とクランプ対象物に挟まれる位置に設けられることとなるので、挟まれたセンサーコイルが破損しないようさらに考慮する必要がある。そこで、センサーコイルを破損せず簡易に安定設置できる構造が求められている。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、複数の磁力発生機構をベース部材に簡易迅速に組み込むことができる簡単な構造の磁気式クランプ装置であって、クランプ対象物の固定面を液密性としやすく、固定面を密着性の高い平坦面が確保しやすい磁気式クランプ装置を提供することである。また、クランプ状態時も磁束の漏洩によるクランプ力低下が抑制された、環状の枠体の周辺が破損しにくい構造の磁力式クランプ装置を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、一方の外表面にクランプ対象物を当接保持させるための固定面を備えた軟質磁性材料からなるベースプレートがあり、このベースプレートにはその固定面から裏面まで貫通する収容空洞部が複数設けられており、それぞれの収容空洞部には磁力発生機構が1基ずつ収納されており、この磁力発生機構には、収容空洞部の固定面側中央に軟質磁性材料からなる収容蓋体がベースプレートの固定面と面一の高さで収容空洞部と離間するように配され、この収容蓋体の外周外縁部とベースプレートの収容空洞部内壁外縁部との間の離間部の固定面近傍部には非磁性の金属枠体が配され、この非磁性の金属枠体の裏面には、収容蓋体と収容空洞部内壁との間の離間部を磁石収納空間として、等分割された非可逆永久磁石が収容蓋体の外周にわたって配列されて収納されており、これらの収容蓋体及びその外周に配列された非可逆永久磁石が配された収容空洞部内の裏面部の残部空間には、その中央に可逆永久磁石が収容蓋体と対向するように配されており、この可逆永久磁石の周囲には可逆永久磁石の磁極切換用コイルが配されており、ベースプレートの収容空洞部の裏面側開口が底面蓋体で閉塞されている、ベースプレート内に複数基の磁力発生機構が配された磁力式クランプ装置であって、さらに前記金属枠体は、前記ベースプレートとは収容空洞部内壁外縁部固定面近傍にて、また収容蓋体とはその外周外縁部近傍にて、それぞれ一体に接合されていること、を特徴とする磁気式クランプ装置である。
なお、収容空洞部は、その断面が円形でも方形でも多角形でもよい。
本発明の第2の手段は、金属枠体が非磁性鋼であることを特徴とする、第1の手段に記載の磁気式クランプ装置である。
本発明の第3の手段は、金属枠体がさらにSの含有量が0.030mass%以下のオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする、第2の手段に記載の磁気式クランプ装置である。
すなわち、この手段では、金属枠体は硫黄含有量が限定された非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼でできている。
本発明の第4の手段は、接合が冶金的接合によることを特徴とする、第1から第3のいずれか1の手段に記載の磁気式クランプ装置である。
本発明の第5の手段は、接合がレーザ溶接によることを特徴とする、第4の手段に記載の磁気式クランプ装置である。
本発明の第6の手段は、金属枠体の外表面は、外寸がベースプレートの磁石収納空間の固定面近傍の内周壁の寸法よりも大きく、金属枠体の内寸が収容蓋体の磁石収納空間の外寸よりも小さくなっており、ベースプレート及び収容蓋体の固定面外縁も金属枠体にあわせて切り欠いてあること、を特徴とする第4または第5の手段に記載の磁気式クランプ装置である。
本発明の第7の手段は、収容空洞部が円筒状の収容空洞部であって、収容蓋体が円形の蓋体であって、金属枠体が環状体であること、を特徴とする、を特徴とする、第4から第6のいずれか1の手段に記載の磁気式クランプ装置である。
本発明の第8の手段は、環状体の金属枠体はその内周面もしくは外周面の少なくとも一方にねじ溝を備え、円形の収容蓋体の外周面外縁部のねじ溝もしくはベースプレートの内周面外縁部のねじ溝と螺合することで固定面近傍に嵌合された状態で一体に接合されていること、を特徴とする第4から第7のいずれか1の手段に記載のクランプ装置である。
本発明の第9の手段は、金属枠体は、その裏面側に非可逆永久磁石の厚みよりも狭い溝幅の凹溝を備えており、この凹溝内に誘導起電力を測定する検出コイルが配されていること、を特徴とする、第1から第8のいずれか1の手段に記載の磁気式クランプ装置である。
本発明の第10の手段は、金属枠体は、その枠体表面高さをベースプレートの固定面の高さと面一に揃えず、ベースプレートより凹ませた位置に配することで、金属枠体上部に浅溝を形成したこと、を特徴とする、第1から第9のいずれか1の手段に記載の磁気式クランプ装置である。
金属枠体は、ベースプレートの固定面高さとは面一ではなく、僅かに引っ込んで位置している。
本発明の第1の手段によれば、軟磁性材料からなるベースプレートと収容蓋体との間に嵌合された非磁性の金属枠体が固定面近傍でこれらと一体的に接合されているので、固定面の液密性が保たれており、また、金属枠体は非磁性体なので、クランプ対象物に着磁した場合も磁束を打ち消しているクランプ解除した場合も非磁性体には影響がなく、クランプ対象物に引き寄せられて浮き上がることはなく、また金属枠体がベースプレートと収容蓋体とが一体的に接合されているので、固定面側に収容蓋体がせり出してしまうこともない。また、非磁性の金属枠体であることからクランプ時に磁束がクランプ対象物を通る一方で、非磁性の金属枠体へと磁束が漏れていかないので、磁性体である場合のようにクランプ力が低下せず、クランプ状態を適切に形成しやすい。
また、クランプ対象物が射出成形の金型などである場合、熱の影響を受けやすいところ、非磁性の金属枠体は、ベースプレートや収容蓋体の軟磁性材料の鋼とでは熱膨張率が異なるが、一体的に接合することで金属枠体が浮き上がったり外れ上がったりしにくくなる。
また、非磁性の金属枠体が非磁性鋼であれば、ベースプレートや収容蓋体の軟磁性材料の鋼との冶金的接合により一体的な接合が実現でき、さらにレーザ溶接による接合であれば、局所的な加熱にとどまるため深い溶け込みによる強度ある接合が得られつつも熱影響を最低限に抑えることで異種金属を接合することができ、一体的な接合によって接着剤や封止剤よりも高い液密性が確保しうる。
また、金属枠体がSの含有量の少ないオーステナイト系ステンレス鋼であれば、非磁性でかつ耐食性がよく、S含有非金属介在物の生成が抑制されるので、S含有非金属介在物によるレーザ溶接の接合不良が生じにくく、良好な接合が得やすい。
また、ステンレス鋼の熱膨張率はたとえば黄銅よりも小さいので、熱が伝わってくる環境下での使用にも好適で、腐食しにくいことから、安定的に液密性が保持される。また、クランプ対象物によって金属枠体が外方から押されれば、へこんだり、傷つくことがありえるところ、ステンレス鋼は硬度が高く丈夫であることから衝撃に強く安定して使用しうる。
第6の手段によると、金属枠体の外寸(外径)が磁石収納空間の外寸(外径)よりも大きく、金属枠体の内寸(内径)が磁石収容空間の離間空間の内寸(内径)よりも小さいことから、金属枠体が内部に押し込まれて落ち込むといったことがない。そこで、金属枠体にクランプ対象物等が接触した場合でも、内部に金属枠体が押し込まれる危険性が大きく低減されるので、外部からの接触による不意の衝撃などに強く、金属枠体や一体に接合された収容蓋体の位置を適切に保持しうることとなる。
第7の手段によると、金属枠体が環状体であり、収容空洞部の形状も円筒状であることから、ベースプレートの所望の位置に円形に切削加工して収容空洞部を形成することができる。たとえば、ガス溶断や機械加工により簡易かつ効率的に精度高く作業を進めることができる。すると、貫通された収容空洞部であれば加工難度が下げられ、加工精度が高くく保てるので、精度のよい空洞部が容易に得られ、ベースプレートの機械加エコストが大幅に改善されることとなる。
さらに、第8の手段によると、環状の金属枠体にねじ溝を形成させることでベースプレートや収容蓋体に螺合させて嵌合させることができるので、寸法精度に余裕をもたせることができる。他方、ねじの嵌め合い部のクリアランスはねじ溝を細かくきることで非常に小さくすることができるので、ねじ精度を高めれば、ねじの締結によってシールド性を得ることができる。また寸法精度の高い部材を圧入で嵌合する必要がなく、一体に接合させる前に螺合で嵌合支持しうるので、その後の一体化のための接合作業性を向上させ、簡便に作業を進めることができる。
第9の手段によると、金属枠体の裏面の内側に設けた溝の空間に、検出用のコイルを配置することができる。さらに、非可逆永久磁石の厚みよりも検出用コイルの収納される溝幅を狭くすることができるので、非可逆永久磁石が凹溝に入り込まないようにして、空間を維持することが容易にできる。すると、凹溝内に配置された検出コイルが非可逆永久磁石によってつぶされることがないので、磁極切換えにより適切にクランプ状態が形成されているかを的確に把握することができ、クランプ対象物の意図せぬ落下による事故を低減することができる。
第10の手段のように、金属枠体をベースプレートの固定面と面一の高さに配するのではなく、ベースプレートの固定面のよりも僅かに凹ませて裏面側に奥まらせたことで、クランプ対象物との接触頻度を下げ、破損しにくくすることができる。金属枠体のリング等が破損するとメンテナンスすることが事実上不可能となってしまう。そこで、僅かでも金属枠体が事前にオフセットされて奥に入っていることはメンテナンス負担を軽くすることとなり、管理コストを低減することになる。また、クランプ対象物の射出成形の金型からの熱による影響を受けやすいところ、浅溝によって非磁性の金属枠体はクランプ対象物に直接触れることがないため、熱影響を若干軽減できる。
本発明の実施の態様1の磁力式クランプ装置の磁力発生機構の分解斜視図である。 実施の態様1の磁気式クランプ装置のベースプレートの一部を拡大して、固定面側から俯瞰した平面模式図である。 実施の態様1の磁力発生機構のA−A断面図である。 図3の磁力発生機構の環状体の周辺Cの箇所を4倍に拡大した部分拡大図である。 磁力式クランプ装置のクランプ状態のときの磁路を模式的に説明する説明図である。 磁力式クランプ装置の打ち消し状態のときの磁路を模式的に説明する説明図である。 本発明の実施の態様1の磁気式クランプ装置に磁力発生機構6基が搭載された図である。 本発明の実施の態様2(底面側からボルトで固定される態様。)の磁力式クランプ装置の磁力発生機構の分解斜視図である。 図9(a)は図8の本発明の実施の態様2に係る磁力発生機構6基をマトリックス状に配した磁力式クランプ装置の平面図である。図9(b)は図9(a)のE−E断面図である。E−E断面図である。 本発明の実施の態様3(ベースプレート裏面全体に底面蓋体が当接する態様。)の磁力式クランプ装置の磁力発生機構の分解斜視図である。
本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。
まず、磁力式クランプ装置(1)は、表面側の固定面(10)をクランプ面としてクランプ対象物(射出成形機の金型、機械加工に供せられるワークピース等)(30)が固定されるベースプレート(2)と、このベースプレート(2)内にたとえば4〜50個程度離間して開口する各収納空洞部(4)に収納される磁力発生機構(3)によリ、クランプ対象物(30)を脱着自在に磁力で固定することのできる磁力式クランプ装置(1)である。
収納空洞部の開口形状は、円形、四角形、多角形が可能であるが、以下の説明では、円形、すなわち基本形状が円筒状の収納空洞部(4)を例に説明する。なお、円筒の外径は、深さ方向において一様ではなく、外径が変化する多段的な形状のものも含まれる。
また、図7には、ベースプレート(2)に3個×2列の6個の収容空洞部(4)を備え、磁力発生機構が6基連携して作動する磁力式クランプ装置(1)を例示している。磁力発生機構の基数や配列は、クランプ対象物の形状や重量などに応じて設定されるものであって、もちろん例示の配列に限らない。
なお、本願の磁気式クランプ装置(1)は、クランプ面を上面、下面、垂直面に向けて位置させることができるものである。
以下の説明に際しては、図面の配置に揃えて、クランプ面、すなわちクランプ対象物の固定面(10)を上に、底面蓋体(12)の配される磁気式クランプ装置取付部(31)を下とした位置関係で説明することとするが、あくまでクランプする固定面(10)の向きは説明のためのものであってこれに限られることはない。
また、以下では便宜のために具体的な数値を摘示して説明する場合があるが、あくまで数値は一例であってこれに限られるものではない。
まず、ざっと磁力発生機構(3)の構成を説明する。ベースプレート(2)の固定面(10)が上面に位置するとき、磁力発生機構(3)はベースプレート(2)に開口した各収容空洞部(4)内に1基ずつ収納されている。
なお、図1以下に図示する実施例では、収容空洞部は円筒状をしているので、端面円形の開口である場合を例に説明するが、金属枠体が環状体でさらに回転動作を伴うねじで螺合する構成の場合を除き、端面が方形に開口させた形状や多角形の開口の場合にも適用可能である。
本発明の磁力発生機構は、アルニコ磁石等の可逆永久磁石の磁極を反転させるために、磁極切換用コイルを備えており、これに通電することで、打ち消し状態、クランプ状態となる磁極を反転させて切り換えることができるものであり、通電停止後も、反転された状態を保持することができるものである。
さて、この磁力発生機構(3)は、固定面側から裏面に向かって、図1では、上から順に、中央に円筒状の収容蓋体(6)、その周囲に環状の非磁性の金属枠体(23)、非磁性の金属枠体(23)の下の磁石収納空間(14)の収容蓋体(6)の外周に非可逆永久磁石(7)を多数環状に(端面が方形の場合は方形に)配し(なお、環状の場合は、非可逆磁石(7)の磁極はそれぞれ外周と内周に位置させる。)、収容蓋体(6)の真下に可逆永久磁石(8)のアルニコ磁石を磁極が上下方向となるように配し、アルニコ磁石の周囲に、アルニコ磁石の磁極切換用コイル(9)を通電可能に巡らせている。
そして、図1及び図3では、ベースプレートの裏面側には底面蓋体(12)が配されて、ベースプレート(2)の収容空洞部(4)を裏面側から閉止している。底面蓋体は開口にあわせた形状とすることができるが、ベースプレートの裏面全体を覆う形状のものであってもよい。
なお、底面蓋体(12)から可逆永久磁石(8)を貫く固定用ボルト(13)を収容蓋体(6)の裏面まで挿通して締結することで収容蓋体(6)が固定面(10)より上へと抜けださないようにすることもできるので、固定用ボルト(13)の使用を妨げない。ただし、本発明においては、非磁性の金属枠体(13)はその上部外縁をベースプレート(2)の収容空洞部内壁外縁部(4a)と、金属枠体(13)の上部内縁を収容蓋体の外縁部(6a)とそれぞれ一体に接合しているので、レーザ溶接等で一体化されている場合には、底面側から固定用ボルト(13)で締結することは必ずしも必要ではなく、こうした固定用ボルトによる締結の手間を省くことができる構造をとりうるものとなっている。
すなわち、ベースプレート(2)の収容空洞部(4)の裏面部開口(5)を塞ぐように底面蓋体(12)がベースプレート(2)の裏面から収容空洞部(4)を覆っている。また、底面蓋体(12)は軟質磁性材料であることから、底面蓋体と対向する位置に配された可逆永久磁石(8)、すなわちアルニコ磁石に引き寄せられることで保持されてもいる。底面蓋体(12)は、裏面から磁気式クランプ装置取付部(31)への漏洩磁束を防ぐ役割もあることから、ある程度の厚みを持たせた軟質磁性材料となっており、底面蓋体(12)の厚みは、たとえば15mmである。アルニコ磁石は収容蓋体(6)と底面蓋体(12)に接する部位をN極もしくはS極としており、クランプ状態と打ち消し状態とで可逆的に磁極を逆転させることとなるが、いずれの極性であっても、両端で対向する収容蓋体(6)や底面蓋体(12)をそれぞれ引き寄せることとなる。
さて、ベースプレート(2)及び収容蓋体(6)は、たとえば軟質磁性材料の低炭素鋼を用いたものとできる。なお、低炭素鋼は加熱・冷却過程での焼入れ硬化がほとんどないことから、溶接による接合をしても、いわゆる鉄芯への影響は少なくできる。そして、設計上のクランプ可能重量にもよるが、ベースプレートの板材の厚みはたとえば30mm〜60mm程度である。以下では、ベースプレート(2)の厚みが38mmの場合を例に説明する。なお、ベースプレート(2)の形状は長方形か正方形などの矩形が通常であるが、固定面が平坦であれば、これらに限られるものではない。
そして、ベースプレート(2)には、クランプ面となる固定面(10)からベースプレート(2)の裏面(11)へと厚み方向に貫通する収容空洞部(4)がベースプレート(2)に多数備わっている。たとえば、収容空洞部(4)の直径は非可逆永久磁石の収納部が78mmである。そして、収容空洞部(4)の径は深さ方向で異なっている場所を設けることができ、たとえば、固定面近傍の収容空洞部内壁外縁部(4a)が直径80mm、非可逆永久磁石収納部が直径78mm、裏面開口部(5)での直径が86mmと、多段的な形状になっていてもよい。そして、隣接する収容空洞部(4)とは、たとえば15〜20mm程度離れている(収容空洞部の中心同士の離間距離だと95〜100mm程度である。)。なお、収容空洞部同士の間には、ベースプレート内に配線用経路(15)が開口している。
なお、ベースプレート(2)の構造に関しては、開口を円形とする場合には、内径を中央部でやや小径とすることがあるものの、収容空洞部(4)の開口は円筒状に貫通させるものであるから、複雑な機械加工は必要がなく、小径のエンドミルによる機械加工を行う必要がないので、簡単に安価に収容空洞部(4)を形成することができる。ベースプレートの固定面表面は平滑面であるから、クランプ力が無駄なく発揮しやすいものとなっている。
収容空洞部(4)の表面寄り、すなわちベースプレート(2)の固定面近傍の収容空洞部内壁外縁部(4a)は、深さ4.7mmにわたって、1mm幅に溝が切削されており、固定面近傍のみ開口の外径は80mmである。この1mm幅の溝に、非磁性の金属枠体(23)の環状の外周部が嵌合されて螺合されるようになっている。なお、非磁性の金属枠体(23)の厚みはたとえば4.2mmとしておくと、非磁性の金属枠体(23)は固定面(10)から0.5mm奥まった位置に配することができる。
そして、収容空洞部(4)の固定面寄り中心部には、厚み20mm外径70mmの円筒状の収容蓋体(6)が配されている。なお、収容蓋体(6)の固定面寄りの外周外縁部(6a)には深さ4.7mmにわたって外径が66mmとなっており、2mm幅で細くなった周壁には、0.5mm幅の雄ねじ(6b)のねじ溝が設けられている。非磁性の金属枠体(23)の内周部(24)には、この雄ねじと螺合されるように雌ねじ(24a)が設けられており、収容蓋体(6)の外周外縁部(6a)とベースプレートの収容空洞部内壁外縁部(4a)との間に非磁性の金属枠体(23)が嵌まり込んで固定される際には、金属枠体の内周部(24)の部分で、雌ねじ(24a)と雄ねじ(6b)とが螺合されて嵌まり合うこととなる。
この非磁性の金属枠体(13)の外周もしくは内周のねじ溝による螺合は、本発明では必ずしも必要ではないが、螺合してあると、隙間なく圧入することで固定する場合に比して公差に余裕をもたせることができる。また、レーザ溶接等で接合して一体化させるにあたり、ねじで螺合してあれば、所定の深さ位置まで回転させながら、金属枠体(13)の環状体を嵌め合あわせていくことができるので作業性がよい。さらに、レーザ溶接で局所的に深く溶け込ませていくと、より強固な接合とすることができる。溶け込み部(32)は深さのある溶け込みである。
本発明にいう接合とは、焼きばめなどの機械的接合、接着剤的接合、冶金的接合があり、ベースプレートや収容蓋体と金属枠体とが一体的に接合できるものであって、液密性によるシールドが得られるものであれば適用できる。また、冶金的接合とは、ガス溶接、アーク溶接、レーザ溶接などの溶接による溶融一体化、抵抗溶接、鍛接、摩擦圧接などの圧接による一体化、はんだ付け、ろう付けなどのろう接による一体化などがある。
ろう付けとは、母材を溶融させないで溶融したろう材のぬれ現象によって母材間に毛細管現象で浸透しく過程で母材とろうの結合が行われることで母材を接合する方法である。たとえば炉内ろう付で、ろう付部にろう材とフラックスをあらかじめセットする置きろう方法を用いて接合する。
もっとも、磁力発生機構の接合部全体が入るくらい、すなわち複数の磁力発生機構が配置された磁気式クランプ装置の入る大きな炉を用意しなければならないので、作業は大がかりとなる。また、配線のあるセンサーや電磁石のコイル等を組み上げる前にろう付けにより接合しておく必要があるので、磁力発生機構を組み上げる手順が限定されることとなり自由度が下がる。
レーザ溶接とは、例えば炭酸ガスレーザーやYAGレーザーなどのパワー密度の高いレーザー光を集光してパルス状あるいは連続状に母材に照射することによって母材を溶融させていく接合法である。レーザ溶接による場合は、局所的なパワー密度が高く、レーザ溶融溶接部は、キーホールの生成によって、ビード幅が狭く、溶込みが深い形状が得られる。そこで、浅く広い溶け込みのアーク溶接などと比して、溶込断面の幅が狭く、深い溶込みの接合ができることから、本発明のような厚みのある部材を嵌め込んで溶接する場面では、レーザ溶接が好適である。
そして、本発明によるレーザ溶接としては、たとえば、YAGレーザ、すなわちNd3+:Y3Al512ガーネットを発光材として使用するレーザが好適に適用できる。
そして、軟磁性材料の鋼とステンレス鋼の二種類の金属を溶融させてビード幅が狭く数ミリの深さまでの接合ができるので、十分な接合強度が得られる。なお、収容蓋体は低炭素鋼を用いることができるところ、低炭素鋼は加熱・冷却過程での焼入れ硬化がほとんどないことから、溶接による接合をしても、鉄芯への影響を少なくできる。さらにレーザ溶接であればその影響を局所的なものに留めることができる。
さて、非磁性の金属枠体(13)とは、枠体上を磁力が通過してクランプ力が低下しないために、磁界の影響を受けない非磁性材料であって、かつ冶金的接合に適するように金属を用いている。たとえば、オーステナイト系ステンレス鋼や、黄銅などが適用できる。なお、黄銅は熱膨張率が高いので、ステンレス鋼のほうが好適である。
すなわち、本発明にいう非磁性鋼としては、たとえばC、Mn、Ni、Cr、Nなどを主な合金成分とする、オーステナイト組織を示す非磁性の合金鋼が挙げられる。これらは高Ni系、高Mn系及びこれらの中間タイプなどに大別されている。
たとえば、高Ni系のステンレス鋼としては、たとえばSUS303、SUS304、SUS316などがあげられる。SUS303は、18Cr−8Niのオーステナイト系ステンレス鋼であり、被削性に優れて加工性に飛んでいるので、リング等の切削加工が容易である。たしかに、被削性成分としてSを0.15mass%以上含有しているため、切削加工しやすいものの、低炭素鋼との溶接では、Sの含有量が高いと粒界にそれら成分が偏析することから、粒界割れ等を起こすことがあり、割れにより溶接が不適切となる場合がある。そこで、溶接が必ずしも容易ではなく、溶接による簡便な接合が難しい場合がある。
もっとも、レーザ溶接による接合の場合は、オーステナイト系ステンレス鋼のうちでも、S成分の含有量が少ない鋼が好適である。SUS304は18Cr−8Niのオーステナイト系ステンレス鋼であるが、Sの含有量が0.030以下と低いことから、低炭素鋼とのレーザ溶接でも、S系介在物が偏析しにくく、溶接時にも割れが生じにくいことから、レーザ溶接に好適である。一般的には、SUS304とSUS303であれば、SUS303のほうがリング状に加工したり凹溝を切削する加工性に優れるが、SUS304のほうがSUS303よりも溶接には好適であり、耐食性にも優れている。S含有量が少ないオーステナイト系ステンレス鋼は、非磁性でかつ耐食性がよく、S含有非金属介在物の生成が抑制されるので、S含有非金属介在物によるレーザ溶接の接合不良が生じにくいからである。
SUS316は、加工を加えても透磁率が高まりにくく、加工歪みによって磁性が誘発されにくいものとなる。
また、高マンガン鋼とは、Mnを11%以上含有するオーステナイト組織の非磁性の合金鋼である。強度が高く、透磁率の安定性にも優れており、Ni含有量が少ないことから経済性にも優れている。ただし、高Mn鋼は加工硬化性が高く、被削性が悪くなりやすい場合がある。
本発明の実施例では、非磁性の金属枠体をSUS304からなるオーステナイト系ステンレス鋼で形成し、これをYAGレーザーによって軟磁性材料の鋼とレーザ溶接で1.6mmの溶け込み深さで接合した。なお、ねじ溝を全周にわたって設ける必要性はなく、レーザー溶接する場合は、金属枠体(23)を収容空洞部(4)と収容蓋体(6)の間に圧入して、レーザ照射によって溶接するだけでも十分な接合強度で一体化できる。金属枠体の内縁にねじを設ける場合は、収容蓋体(6)の外周に金属枠体(23)を嵌め合わせてから、ベースプレートの収容空洞部(4)に圧入して、その後にレーザ照射をすることで一体化させることができる。
なお、各磁力発生機構(3)の表面側は、クランプ力を十分に得るために、軟質磁性材料からなる円柱状の収容蓋体(6)の表面高さは、ベースプレート(2)の固定面(10)の高さと揃えられている。具体的には、磁力発生機構を収納した後、さらにクランプ面の表面を研磨するなどしてより面一になるよう揃えておく。その際、非磁性の金属枠体(23)は、0.5mm深い位置にあるので、研磨の際にも非磁性の金属枠体(23)がひっかかって邪魔になることはなく、使用中もクランプ対象物と直接接することがないので、非磁性の金属枠体(23)は、0.5mmの深さの浅溝(16)とすることで、破損しにくくなっている。
ところで、面一な固定面が不揃いで、クランプ対象物との間に隙間が0.5mm生じると、磁気式クランプ装置のクランプ対象物に対するクランプ力は本来の60%以下に低下し、1mmの隙間ともなると本来の15%程度まで吸着力が落ちることとなる。
この点、本発明によると、ベースプレート(2)の固定面(10)と、収容蓋体(6)の高さを面一に揃えることができるので、クランプ力を損失なく保持することが容易となる。一方で、非磁性の金属枠体(23)と固定面(10)との間に僅かに隙間の浅溝(16)を設けることできるので、クランプ対象物との接触による破損を抑制することもでき、また、非磁性の金属枠体は、磁束を漏洩させないので、固定面付近で磁束が漏洩せず、クランプ力を妨げることがない。
仮に、ベースプレートから収容蓋体までの固定面を軟磁性材料の一枚板で一体に形成してしまった場合を本発明と比較すると、たしかに固定面の液密性を保持することはできるであろうが、非可逆永久磁石とクランプ対象物との間に磁性材料が存在することとなるので、磁束が漏洩されることとなる。そこで、非磁性の金属枠体の場合と比べてクランプ力の低下が避けられず、クランプ効率が落ちることとなる。すると、クランプ装置の小型化や厚みを薄くすることが困難となり、全体の装置の大型化が避けられないものとなる。
次に、円柱状の収容蓋体(6)は、収容空洞部(4)の中心に配されるので、収容空洞部内壁面(4b)とは約4mm離間しており、固定面近傍に配される非磁性の金属枠体(23)の直下がドーナツ状に離間した空間となっており、この環状の離間空間を磁石収納空間(14)としている。この環状の磁石収納空間(14)には、全体があわさると外径78mm内径70mm高さ15mmの環状となる、放射状に分割された厚み4mmの円弧状切片(たとえば放射状に8分割されている。)からなる非可逆永久磁石(たとえばネオジム磁石)(7)が収納されている。
本発明の非可逆永久磁石(7)とは、保磁力の高いフェライト磁石やネオジム磁石などのいわゆる永久磁石のことであり、磁化の強いネオジム磁石(Nd−Fe−B系磁石)が好適である。なぜなら強力なネオジム磁石を用いることで厚みを薄くすることができるので、所望のクランプ力を得るための磁気式クランプ装置全体の厚みを薄くすることができるからである。装置の厚みが薄くなれば、クランプ対象物のワークの可動スペースが確保しやすくなるので、この磁気式クランプ装置を金型反転装置などに応用する場合には、周囲の空間が広くなることともなる。なお、このネオジム磁石は、外周あるいは内周をN極やS極といった磁極の向きとした磁石である。
次に、金属枠体(23)の裏面側に形成されている環状凹溝(18)について説明する。図3に示す環状体の周囲Cの拡大図を図4に示す。図4では非磁性の金属枠体(23)の左が内周であり、収容蓋体(6)である。金属枠体(23)は、磁石収納空間(14)よりも幅が太く、磁石収納空間(14)の直上となる金属枠体(23)の裏面に検出コイル(17)を収納するための環状凹溝(18)が設けられている。この金属枠体(23)は、非磁性体であり、たとえば、オーステナイトステンレス鋼からなる。
たとえば、約4〜4.5mm幅の環状の磁石収納空間(14)に対して、金属枠体(23)は、7mm弱の幅とし、円形蓋体外周外縁部(6a)に金属枠体の内周部(24)をねじ(6b,24a)で螺合し、収容空洞部内壁外縁部(4a)に金属枠体(23)の外周部(25)を嵌めあわせてシールドされているので、金属枠体(12)は、幅の狭い磁石収納空間(14)に落ち込むことがなく、クランプ対象物が意図せずぶつかった場合でも、金属枠体(12)は、深さ方向に曲がったり破損したりしないので、シールド性が失われにくくなっている。そして、ねじ部はねじ封止剤を、外周部(25)には接着剤を配することで、さらにシールド性を持たせている。そして、この封止のためのねじ用のシール剤としては、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素系樹脂、ブチルゴムなどのプレコート系のシール剤をねじ山にあらかじめ塗布しておき、ねじを螺合するものが種々に適用できる。また、シールド用の接着剤としては、金属同士を接着するのに適した接着剤であれば広く適用しうるが、シールド性を保持するには、熱膨張に追従しうる弾性力を持ち合わせている接着剤が好適である。
また、ねじの溝にからみあうように硬化触媒を含んだガム性状のメタクリル酸エステルと、ねじの嵌め合いで放出される硬化剤のマイクロカプセルを配合した、ガム状シール剤を用いると、ねじ溝に数周巻き付けるようにして塗布すれば流れずにねじ溝に留まることができるので、締めつけ時に締めつけられた箇所でマイクロカプセルから開放された硬化剤によって適切に硬化することとなり、適切なシール性が得られる。
そして、ねじ溝の嵌め合い誤差は小さいほうがシール性が高いので、できるだけ精度よく加工しておくことが好ましいが、シール剤を用いれば、たとえばガム状シール剤などを組み合わせると、ねじのクリアランス精度に左右されずに一定のシール性が確保しうるものとなる。
さらに、金属枠体(23)は4.2mmの厚みであるところ、その裏面には、幅3mm深さ2mm弱の環状凹溝(18)が設けられている。この環状凹溝は、環状に配される非可逆永久磁石(7)の4mm程度の厚みよりも幅が狭いので、非可逆永久磁石によってその空間が押し潰されることがない。そして、この環状凹溝内に、0.8mm程度の直径の検出コイル(17)を配する。
そして、環状凹溝(18)に配された検出コイル(17)は、クランプ状態の着磁状態のときには、誘導起電力を計測して、磁束の強さを検出することで、クランプ力が所期のとおり得られているかを確認することができ、これによりクランプ状態に問題がないかを確認して安全にクランプすることができるようになっている。
そして、非可逆永久磁石(7)(ネオジム磁石)は環状の磁石収容空間(14)の形状に沿うように円弧状に3〜8個程度に等分割されており、軟質磁性材料の収容蓋体(6)を囲むように環状に配されて用いられる。実施例の図面上は8分割されたものを示すが、これに限られない。これらの磁石の磁極の向きは、外周がS極であれば内周がN極、外周がN極であれば内周はS極となるように、1つの磁力発生機構内では磁極の向きを揃えて配置している。さらに、隣接する磁力発生機構同士では、磁極を反転させた配置としておき、隣接する磁力発生機構(3,3)同士で互い違いの磁極にしておくこともできる。
本発明にいう軟質磁性材料とは、軟鉄、低炭素鋼、ケイ素鋼、パーマロイなどの磁化され易く保磁力の小さい高透磁率磁性材料である。本発明の実施例では、たとえば、ベースプレート(2)、収容蓋体(6)、底面蓋体(12)のいずれも、同質の低炭素鋼を用いたもので説明することとしている。もちろん、必ずしもすべてが同じ素材である必要はない。また、ケイ素鋼のいわゆる電磁鋼板を用いることもできる。
さて、軟質磁性材料からなる収容蓋体(6)を鉄芯として、その外周部の磁石収容空間(14)にネオジム磁石が磁極を揃えて環状に配され、収容蓋体(6)の裏面には、上底・下底をそれぞれ磁極とする直径約66mm厚さ18mmの円柱状のアルニコ磁石が可逆永久磁石として配されている。なお、磁石中央には、固定用ボルト(13)が挿通される貫通孔が上下に開口している。そして、アルニコ磁石の外周には、磁極切換コイル(9)が配置され、アルニコ磁石の下底には底面蓋体(12)が位置している。
本発明の可逆永久磁石(8)とは、可逆永久磁石の周囲に配した磁極切換コイル(9)に通電することで、その磁極を反転させることができる特性の磁石のことであり、たとえばアルニコ磁石が好適である。
さて、ベースプレート(2)内において、複数の磁力発生機構(3)は、複数行複数列(例えば、3行2列)のマトリックス状に並列に配列することができる。もちろん、これに限らず複数行複数列のマトリックス状で6組以下、6組以上の磁力発生機構(3)を組み込んでもよい。さらに、複数の磁力発生機構(3)は、必ずしもマトリックス状に配置する必要はない。
隣接する磁力発生機構(3)は近接して配置され、列方向に隣接する収容空洞部(4)の中央部には、アルニコ磁石の周囲に配される磁極切換用コイル(9)の配線を互いに連結するための配線用経路(15)が形成され連通されている。磁極切換用コイル(9)の外周側に、その配線を配設するための円筒状スペースが形成されており、この円筒状スペースが配線用経路(15)で連通されている。これにより、底面蓋体の外に配線を露出させずとも配線が連絡できることとなる。配設後、余分の隙間に合成樹脂製の封止材が充填される。但し、前記封止材は必須のものではないので省略することも可能である。これらの複数の磁力発生機構(3)は互いに協同連携して動作しているので、クランプ状態、打ち消し状態の双方を磁極切換用コイル(9)に通電させることで一斉に連動して行っている。
アルニコ磁石の磁極は、磁極切換用コイル(9)に所定短時間通電することで切換えて逆転させることができる。磁極切換用コイル(9)は、縦断面溝形の合成樹脂性のケース部材に多重に巻装したものであり、磁極切換用コイル(9)は、アルニコ磁石に対して鉛直方向の磁界を付加することができるように構成されている。
各収容空洞部(4)と、収容蓋体(6)とは、固定面と面一な高さになるまで嵌め込んでいく。このとき、ベースプレート(2)の固定面(10)と収容蓋体(6)の表面の高さは一致するものとしておく。隙間が空くと、クランプ対象物へのクランプ力が十分に伝わらなくなるからである。たとえば、0.5mm生じると磁気式クランプ装置のクランプ力は本来の60%以下に、1mmの隙間ともなると本来の15%程度まで吸着力が落ちる。そこで、収容蓋体(6)は、ベースプレート(2)に組み付け時に、ほぼ固定面と面一な高さとなるものの、さらに表面を平滑にするべく、固定面表面を研磨してより平滑化、面一化することが望ましい。
なお、磁気式クランプ装置(1)は、ベースプレート(2)の収容空洞部(4)内に磁力発生機構(3)の各構成部材を順次重ねた後に底面蓋体(12)を固定用ボルトで収容蓋体(6)と締結することによって固定するようにする。図1に示した分解図のように、たとえば、底面蓋体(12)の上に、アルニコ磁石(8)を、その周囲に磁極切換用コイル(9)を配し、隣接する磁極切換用コイル(9)へは、配線用経路(15)を介してさらに配線する。そして、収容蓋体(6)を可逆永久磁石(アルニコ磁石)(8)の上に重ね置き、周囲の環状の磁石首脳空間(14)に8片の非可逆永久磁石(ネオジム磁石)(7)を順次奥まで挿し入れた後、検出コイル(17)を載せ、上から非磁性の金属枠体(23)を挿入して、レーザ溶接する。なお、検出コイル(17)の結線は、8片の磁石の隙間を通して、磁極切換用コイル(9)の周囲に設けた配線と接続されている。このように、複数の磁力発生機構が並列に配されていることから、打ち消し状態、クランプ状態を、一斉に通電で切り換えることとなる。なお、ベースプレート内の隣接する収容空洞部同士の間を一部切り欠いたり内部に連絡孔を開口するなどして連絡して配線用経路が形成されているので、固定面、裏面の双方の外部に配線が露出せず、短絡等の危険性が低減されつつ、シールドも保持されることとなるほか、装置全体の安定性も確保しやすくなる。
次に、以上の磁力式クランプ装置(1)のクランプ動作の作用について説明する。
まず、本発明の磁気式クランプ装置(1)は、打ち消し状態からクランプ状態に切り換えることで、クランプ対象物(30)を固定面(10)上に磁力で保持する装置であり、切り換え動作は、磁極切換用コイル(9)で発生させる磁束によって、アルニコ磁石(8)の磁極の向きを変えることで行う。すなわち、所定方向の電流を磁極切換用コイル(9)に短時間通電すると、アルニコ磁石(8)の磁界の方向が反転し、図6の打ち消し状態の磁束(21)の状態から図5の磁束(20,22)の状態へと切換えられる。その結果、永久磁石(7)による磁束(20)と、アルニコ磁石(8)による磁束(22)が相俟って、図5に示すような磁路となり、磁性体からなるクランプ対象物(30)を介して閉ループ状の磁路が形成され、クランプ状態となる。
これにより、クランプ対象物(30)が磁力によリベースプレート(2)と磁力発生機構(3)の固定面(10)に吸着されるようにして磁力で固定される。
また、非可逆永久磁石(7)の上方には、非磁性体のステンレス鋼からなる非磁性の金属枠体(23)が配されているので、クランプ状態のときに、クランプ対象物(30)に磁束が流れる際に、非磁性体の非磁性の金属枠体(23)やその上の隙間である浅溝(16)には磁束が漏洩しにくく、クランプ力が落ちることがない。
図5のクランプ状態から図6の打ち消し状態に切換える際には、磁極切換用コイル(9)に、上記と逆向きの電流を短時間所定長さ通電する(たとえば、0.5〜3秒程度。)。すると、アルニコ磁石(8)の磁極の方向が反転して図6のように磁界が切り替わる。非可逆永久磁石(7)による磁束(20)と、可逆永久磁石(8)による磁束(21)が図6に示すようになり打ち消される。すると、クランプ対象物(30)への磁束の漏洩は殆ど生じなくなるので、クランプが解除され、固定面(10)から容易に取り外すことができる。
以上の構造の磁気式クランプ装置(1)は、ベースプレート(2)を水平姿勢にして上下面の一方を固定面(10)として用いたり、これを水平状態からクランプしたままさらに上下に回転させて反転させる金型反転装置のようなものに適用することができる。また、ベースプレート(2)を垂直に立てた状態で、クランプ面を垂直面として用いることとし、射出成形機の可動盤や固定盤において金型を固定するクランプ装置のクランプ部分に採用することもできる。本発明の固定面(10)は、液密性があるので、冷却クーラントなどが装置内部に侵入しにくくなっていることから、射出成形の金型などにも好適に用いることができる。
1 磁力式クランプ装置
2 ベースプレート
3 磁力発生機構
4 収容空洞部
4a 収容空洞部内壁外縁部
4b 収容空洞部内壁面
5 裏面開口部
6 収容蓋体
6a 外縁部
6b 雄ねじ
7 非可逆永久磁石(ネオジム磁石)
8 可逆永久磁石(アルニコ磁石)
9 磁極切換用コイル
10 (ベースプレートの)固定面
11 (ベースプレートの)裏面
12 底面蓋体
13 固定用ボルト
14 磁石収納空間
15 配線用経路
16 浅溝
17 検出コイル
18 凹溝
19 貫通孔
20 磁束
21 磁束
22 磁束
23 非磁性の金属枠体
24 内周部
24a 雌ねじ
25 外周部
30 クランプ対象物
31 磁気式クランプ装置取付部
32 溶け込み部

Claims (10)

  1. 一方の外表面にクランプ対象物を当接保持させるための固定面を備えた軟質磁性材料からなるベースプレートがあり、
    このベースプレートにはその固定面から裏面まで貫通する収容空洞部が複数設けられており、
    それぞれの収容空洞部には磁力発生機構が1基ずつ収納されており、
    この磁力発生機構には、
    収容空洞部の固定面側中央に軟質磁性材料からなる収容蓋体がベースプレートの固定面と面一の高さで収容空洞部と離間するように配され、
    この収容蓋体の外周外縁部とベースプレートの収容空洞部内壁外縁部との間の離間部の固定面近傍部には非磁性の金属枠体が配され、
    この非磁性の金属枠体の裏面には、収容蓋体と収容空洞部内壁との間の離間部を磁石収納空間として、等分割された非可逆永久磁石が収容蓋体の外周にわたって配列されて収納されており、
    これらの収容蓋体及びその外周に配列された非可逆永久磁石が配された収容空洞部内の裏面部の残部空間には、その中央に可逆永久磁石が収容蓋体と対向するように配されており、この可逆永久磁石の周囲には可逆永久磁石の磁極切換用コイルが配されており、
    ベースプレートの収容空洞部の裏面側開口が底面蓋体で閉塞されている、
    ベースプレート内に複数基の磁力発生機構が配された磁力式クランプ装置であって、
    さらに前記金属枠体は、前記ベースプレートとは収容空洞部内壁外縁部固定面近傍にて、また収容蓋体とはその外周外縁部近傍にて、それぞれ一体に接合されていること、
    を特徴とする磁気式クランプ装置。
  2. 金属枠体が非磁性鋼であることを特徴とする、請求項1に記載の磁気式クランプ装置。
  3. 金属枠体がさらにSの含有量が0.030mass%以下のオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする、請求項2に記載の磁気式クランプ装置。
  4. 接合が冶金的接合によることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気式クランプ装置。
  5. 接合がレーザ溶接によることを特徴とする、請求項4に記載の磁気式クランプ装置。
  6. 金属枠体の外表面は、外寸がベースプレートの磁石収納空間の固定面近傍の内周壁の寸法よりも大きく、金属枠体の内寸が収容蓋体の磁石収納空間の外寸よりも小さくなっており、ベースプレート及び収容蓋体の固定面外縁も金属枠体にあわせて切り欠いてあること、を特徴とする請求項4または5に記載の磁気式クランプ装置。
  7. 収容空洞部が円筒状の収容空洞部であって、収容蓋体が円形の蓋体であって、金属枠体が環状体であること、を特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の磁気式クランプ装置。
  8. 環状体の金属枠体はその内周面もしくは外周面の少なくとも一方にねじ溝を備え、円形の収容蓋体の外周面外縁部のねじ溝もしくはベースプレートの内周面外縁部のねじ溝と螺合することで固定面近傍に嵌合された状態で一体に接合されていること、を特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載のクランプ装置。
  9. 金属枠体は、その裏面側に非可逆永久磁石の厚みよりも狭い溝幅の凹溝を備えており、この凹溝内に誘導起電力を測定する検出コイルが配されていること、を特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の磁気式クランプ装置。
  10. 金属枠体は、その枠体表面高さをベースプレートの固定面の高さと面一に揃えず、ベースプレートより凹ませた位置に配することで、金属枠体上部に浅溝を形成したこと、を特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の磁気式クランプ装置。
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