JPWO2019211969A1 - 改変型エステラーゼ及びその用途 - Google Patents

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Abstract

高い反応効率を期待でき、各種用途に適用可能な改変型エステラーゼを提供することを課題とする。配列番号1のアミノ酸配列において、K7P、F13Y、V107M、L222M、V229I及びS235Tからなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列と91%以上の同一性を示すアミノ酸配列を有し、比活性、高温安定性、高温反応性及びpH安定性からなる群より選択される一以上の特性が向上した改変型エステラーゼが提供される。

Description

本発明は改変型エステラーゼに関する。詳しくは、特性が向上した改変型エステラーゼ及びその用途が提供される。本出願は、2018年5月2日に出願された日本国特許出願第2018−088943号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。
エステラーゼはエステルを加水分解する酵素であり、様々な生物から数多くのエステラーゼが単離されている。ユニーク且つ幅広い基質特異性を有するアシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のエステラーゼは産業上の有用性が高く、例えば、医薬品やファインケミカル分野などで利用される有機化合物の合成や食品中の有害化合物の分解まで、多岐に渡る用途で利用可能である(例えば非特許文献1を参照)。
Appl Microbial Biotechnol (2002) 60:288-292
しかしながら、エステラーゼもアミノ酸で構成されるタンパク質である以上、使用条件(強酸・強アルカリ、高温、高濃度有機溶媒など)によってはタンパク変性により触媒機能を発揮できないため、適用範囲が限られる場合がある。例えば、医薬中間体の合成反応は酵素にとって厳しい条件下(例えば、高温下の反応、有機溶媒中での反応、酸性pH域での反応)で行われることが多く、特に安定性が問題となる。そのため、反応条件によっては十分な酵素活性が得られず、反応効率(収率)が低下する。
そこで本発明は、アシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼの特性を改善することで幅広い基質特異性を様々な使用条件下で最大限に発揮することを可能とし、それによって当該エステラーゼの有用性ないし利用価値を高めることを課題とする。特性の改善は、既存の用途においては反応効率等の向上をもたらす一方、新たな用途の創出(即ち用途の拡大)を可能とする。
上記課題を解決すべく本発明者らは、アシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼの改変を試みた。試行錯誤の末、その特性(比活性、高温安定性、高温反応性、pH安定性)の向上に有効な変異点(アミノ酸残基)を特定することに成功し、有用性の高い変異体(改変型エステラーゼ)が得られた。この成果は、特性の向上という目的を達成し得る変異体を設計、取得するための情報・手段を提供する点においても重要である。
ところで、効果的な二つの変異を組み合わせることによって相加的又は相乗的効果が生まれる可能性が高いことも多く経験するところである。また、同種の酵素については構造(一次構造、立体構造)の類似性が高く、同様の変異が同様の効果を生む蓋然性が高いという技術常識に鑑みれば、配列番号1のアミノ酸配列を有するアシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼにおいて見出された有用な変異を、当該エステラーゼとの間で構造上の類似性が高い他のエステラーゼに対して適用すれば、同等の効果が奏される蓋然性が高く、また、当業者であれば、このような適用が有効であることを認識し得る。
以下の発明は以上の成果及び考察に基づく。
[1]配列番号1のアミノ酸配列において、K7P、F13Y、V107M、L222M、V229I及びS235Tからなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と91%以上の同一性を示すアミノ酸配列を有し、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼに比較して比活性、高温安定性、高温反応性及びpH安定性からなる群より選択される一以上の特性が向上した改変型エステラーゼ。
[2]改変型エステラーゼのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸置換がS235Tであり、比活性が向上している、[1]に記載の改変型エステラーゼ。
[3]改変型エステラーゼのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸置換がK7P、F13Y、L222M又はV229Iであり、高温安定性が向上している、[1]に記載の改変型エステラーゼ。
[4]改変型エステラーゼのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸置換がV229I又はS235Tであり、高温反応性が向上している、[1]に記載の改変型エステラーゼ。
[5]改変型エステラーゼのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸置換がF13Y、V107M、L222M、V229I及びS235Tであり、pH安定性が向上している、[1]に記載の改変型エステラーゼ。
[6]配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と91%以上の同一性を示すアミノ酸配列であり(但し、同一性の基準が配列番号2のアミノ酸配列の場合は7位プロリン以外の位置、同一性の基準が配列番号3のアミノ酸配列の場合は13位チロシン以外の位置、同一性の基準が配列番号4のアミノ酸配列の場合は107位メチオニン以外の位置、同一性の基準が配列番号5のアミノ酸配列の場合は222位メチオニン以外の位置、同一性の基準が配列番号6のアミノ酸配列の場合は229位イソロイシン以外の位置、同一性の基準が配列番号7のアミノ酸配列の場合は235位トレオニン以外の位置、においてアミノ酸配列の相違は生じている)、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼに比較して比活性、高温安定性、高温反応性及びpH安定性からなる群より選択される一以上の特性が向上した改変型エステラーゼ。
[7][1]〜[6]のいずれか一項に記載の改変型エステラーゼをコードする遺伝子。
[8]配列番号8〜13のいずれかの塩基配列を含む、[7]に記載の遺伝子。
[9][7]又は[8]に記載の遺伝子を含む組換えDNA。
[10][9]に記載の組換えDNAを保有する微生物。
[11]宿主が、エシェリヒア・コリ、バチルス・サチルス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アミノリクファシエンス、ブレビバチルス・チョウシネンシスである、[10]に記載の微生物。
[12][1]〜[6]のいずれか一項に記載の改変型エステラーゼを含む酵素剤。
[13]以下のステップ(I)〜(III)を含む、改変型エステラーゼの調製法:
(I)配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列をコードする核酸を用意するステップ;
(II)前記核酸を発現させるステップ、及び
(III)発現産物を回収するステップ。
変異体の比活性。変異体の比活性を野生型酵素と比較した。 変異体の高温での安定性。80℃で30分間処理した場合の残存活性率を野生型酵素と比較した。 変異体の高温での反応性。相対活性(30℃での酵素活性に対する60℃での酵素活性の比率)を野生型酵素と比較した。 変異体のpH安定性。pH4.0の条件で30分間処理した場合の残存活性率を野生型酵素と比較した。
説明の便宜上、本発明に関して使用する用語の一部について以下で定義する。
(用語)
用語「改変型エステラーゼ」とは、基準となるエステラーゼ(以下、「基準エステラーゼ」と呼ぶ)を改変ないし変異して得られる酵素である。基準エステラーゼは、典型的には、配列番号1のアミノ酸配列を有する、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のエステラーゼである。
用語「アシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼ」とは、その起源がアシネトバクター・カルコアセティカスであるエステラーゼのことであり、アシネトバクター・カルコアセティカスが産生するエステラーゼ又は当該エステラーゼの遺伝情報を利用して他の微生物等で発現させたエステラーゼなどを含む。
本発明では、改変ないし変異として「アミノ酸の置換」が行われる。従って、改変型エステラーゼと基準エステラーゼを比較すると、一部のアミノ酸残基に相違が認められる。尚、本明細書では、改変型エステラーゼのことを改変型酵素又は変異体とも呼ぶ。
本明細書では慣例に従い、以下の通り、各アミノ酸を1文字で表記する。
メチオニン:M、セリン:S、アラニン:A、トレオニン:T、バリン:V、チロシン:Y、ロイシン:L、アスパラギン:N、イソロイシン:I、グルタミン:Q、プロリン:P、アスパラギン酸:D、フェニルアラニン:F、グルタミン酸:E、トリプトファン:W、リジン:K、システイン:C、アルギニン:R、グリシン:G、ヒスチジン:H
本明細書では、N末端のアミノ酸残基を1番目としてN末端からC末端に向かって付けた番号によって変異点の位置を特定する。
慣例に従い、アミノ酸置換を施すアミノ酸残基、即ち「変異点」を、アミノ酸の種類を表す1文字とアミノ酸の位置を表す数字との組合せで表現する。また、アミノ酸置換による「変異」を、変異点の表示の右に置換後のアミノ酸の種類を表す1文字を追加したものによって表現する。従って、例えば、7位のリジンが変異点であれば「K7」と表現され、7位のリジンがプロリンに置換される変異であれば「K7P」と表現される。
1.改変型エステラーゼ
本発明の第1の局面は改変型エステラーゼ(改変型酵素)に関する。本発明の改変型酵素は、典型的には、配列番号1のアミノ酸配列において、K7P、F13Y、V107M、L222M、V229I及びS235Tからなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を有する。当該特徴により、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼに比較して比活性、高温安定性、高温反応性又はpH安定性、或いはこれらの中の二つ以上が向上している。尚、配列番号1のアミノ酸配列は、アシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼの配列である。
改変型酵素の高温安定性及び高温反応性の理解や判断/判定を容易にするため、高温安定性における高温は「75℃〜85℃」、高温反応性における高温は「55℃〜65℃」、とする。また、pH安定性は酸性pH領域での安定性を意味する。pH安定性の理解や判断/判定を容易にするため、ここでの酸性pH領域は3〜5とする。
比活性は、例えば、後述の実施例に示す測定法で算出した活性に基づき評価することができる。比活性が向上した改変型酵素では、その比活性が基準エステラーゼ(即ち、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼ)よりも高くなる。改変型酵素の比活性は、例えば、基準エステラーゼの比活性の1.1倍〜1.3倍である。
高温安定性は、例えば、80℃で30分間処理した場合の残存活性に基づき評価できる。高温安定性が向上した改変型酵素では、その活性残存率が基準エステラーゼ(即ち、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼ)よりも高くなる。改変型酵素の活性残存率は、例えば、基準エステラーゼの活性残存率の2倍〜10倍である。好ましくは、3倍〜10倍である。尚、活性残存率は、以下の通り算出される。
活性残存率=(熱処理後の酵素活性/熱処理前の酵素活性)×100(%)
高温反応性は、例えば、30℃での酵素活性に対する60℃での酵素活性の比率(30℃での活性を基準とした60℃での相対活性)に基づき評価できる。高温反応性が向上した改変型酵素では、その相対活性が基準エステラーゼ(即ち、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼ)よりも高くなる。改変型酵素の相対活性は、例えば、基準エステラーゼの相対活性の1.2倍〜2倍である。好ましくは、1.5倍〜2倍である。尚、相対活性は、以下の通り算出される。
相対活性=(60℃での酵素活性/30℃での酵素活性)×100(%)
pH安定性は、例えば、pH4の条件で30分間処理した場合の残存活性に基づき評価できる。pH安定性が向上した改変型酵素では、その活性残存率が基準エステラーゼ(即ち、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼ)よりも高くなる。改変型酵素の活性残存率は、例えば、基準エステラーゼの活性残存率の1.08倍〜1.3倍である。好ましくは、1.15倍〜3倍である。尚、活性残存率は、以下の通り算出される。
活性残存率=(処理後の酵素活性/処理前の酵素活性)×100(%)
本明細書において「アミノ酸置換を含む」とは、変異点(即ち、特定のアミノ酸置換が生ずるアミノ酸残基の位置)が置換後のアミノ酸になっていることを意味する。従って、アミノ酸置換を含むアミノ酸配列(変異アミノ酸配列)を、アミノ酸置換を含まない配列番号1のアミノ酸配列(基準アミノ酸配列)と比較すれば、当該アミノ酸置換の位置においてアミノ酸残基の相違が認められることになる。
K7Pは配列番号1のアミノ酸配列における7位アミノ酸(リジン)がプロリンに置換される変異を表す。F13Yは配列番号1のアミノ酸配列における13位アミノ酸(フェニルアラニン)がチロシンに置換される変異を表す。V107Mは配列番号1のアミノ酸配列における107位アミノ酸(バリン)がメチオニンに置換される変異を表す。L222Mは配列番号1のアミノ酸配列における222位アミノ酸(ロイシン)がメチオニンに置換される変異を表す。V229Iは配列番号1のアミノ酸配列における229位アミノ酸(バリン)がイソロイシンに置換される変異を表す。S235Tは配列番号1のアミノ酸配列における235位アミノ酸(セリン)がトレオニンに置換される変異を表す。
本発明の改変型酵素の具体例として、配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列からなるエステラーゼ(順に、変異体1(K7P)、変異体2(F13Y)、変異体3(V107M)、変異体4(L222M)、変異体5(V229I)、変異体6(S235T)が対応する)を挙げることができる。後述の実施例に示す通り、配列番号2のアミノ酸配列からなるエステラーゼ(変異体1(K7P))は高温安定性が向上していること、配列番号3のアミノ酸配列からなるエステラーゼ(変異体2(F13Y))は高温安定性とpH安定性が向上していること、配列番号4のアミノ酸配列からなるエステラーゼ(変異体3(V107M))はpH安定性が向上していること、配列番号5のアミノ酸配列からなるエステラーゼ(変異体4(L222M))は高温安定性とpH安定性が向上していること、配列番号6のアミノ酸配列からなるエステラーゼ(変異体5(V229I))は高温安定性、高温反応性及びpH安定性が向上していること、配列番号7のアミノ酸配列からなるエステラーゼ(変異体6(S235T))は比活性、高温反応性及びpH安定性が向上していること、が確認されている。
一般に、あるタンパク質のアミノ酸配列の一部を変異させた場合において変異後のタンパク質が変異前のタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちアミノ酸配列の変異がタンパク質の機能に対して実質的な影響を与えず、タンパク質の機能が変異前後において維持されることがある。一方、二つのタンパク質のアミノ酸配列の同一性が高い場合、両者が同等の特性を示す蓋然性が高い。これらの技術常識を考慮すれば、上記改変型酵素のアミノ酸配列、即ち、「配列番号1のアミノ酸配列において、K7P、F13Y、V107M、E132P、S155P、L222M、V229I及びS235Tからなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列(当該アミノ酸配列の具体例は配列番号2〜7のアミノ酸配列)」と完全に同一(即ち100%の同一性)でないものの、高い同一性を示すアミノ酸配列を有し、且つ所望の特性が向上しているものであれば、上記改変型酵素と実質的に同一の酵素(実質同一エステラーゼ)であると見なすことができる。ここでの同一性は好ましくは90%以上、より好ましくは91%以上、更に好ましくは92%以上、一層好ましくは93%以上、より一層好ましくは95%以上、更に一層好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。上記改変型酵素と実質同一エステラーゼを比較すれば、アミノ酸配列の僅かな相違が認められることになる。但し、アミノ酸配列の相違は上記アミノ酸置換が施された位置以外の位置で生ずることとする。従って、同一性の基準が配列番号2のアミノ酸配列の場合は7位プロリン以外の位置、同一性の基準が配列番号3のアミノ酸配列の場合は13位チロシン以外の位置、同一性の基準が配列番号4のアミノ酸配列の場合は107位メチオニン以外の位置、同一性の基準が配列番号5のアミノ酸配列の場合は222位メチオニン以外の位置、同一性の基準が配列番号6のアミノ酸配列の場合は229位イソロイシン以外の位置、同一性の基準が配列番号7のアミノ酸配列の場合は235位トレオニン以外の位置、においてアミノ酸配列の相違が生じることになる。換言すれば、配列番号2のアミノ酸配列と90%以上の同一性を示すアミノ酸配列では、7位アミノ酸はプロリンである。同様に、配列番号3のアミノ酸配列と90%以上の同一性を示すアミノ酸配列では13位アミノ酸はチロシンであり、配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の同一性を示すアミノ酸配列では107位アミノ酸はメチオニンであり、配列番号5のアミノ酸配列と91%以上の同一性を示すアミノ酸配列では222位アミノ酸はメチオニンであり、配列番号6のアミノ酸配列と91%以上の同一性を示すアミノ酸配列では229位アミノ酸はイソロイシンであり、配列番号7のアミノ酸配列と90%以上の同一性を示すアミノ酸配列では235位アミノ酸はトレオニンである。
ここでの「アミノ酸配列の僅かな相違」は、アミノ酸の欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組合せにより生じる。典型的には、アミノ酸配列を構成する1〜数個(上限は例えば3個、5個、7個、10個)のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1〜数個(上限は例えば3個、5個、7個、10個)のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変異(変化)が生じていることをいう。「アミノ酸配列の僅かな相違」は、好ましくは保存的アミノ酸置換により生じている。ここでの「保存的アミノ酸置換」とは、あるアミノ酸残基を、同様の性質の側鎖を有するアミノ酸残基に置換することをいう。アミノ酸残基はその側鎖によって塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)のように、いくつかのファミリーに分類されている。保存的アミノ酸置換は好ましくは、同一のファミリー内のアミノ酸残基間の置換である。尚、アシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼ(配列番号1)の活性中心を構成するアミノ酸残基は97位セリン、226位アスパラギン酸及び256位ヒスチジンであることが知られていることから、変異を施す際にはこれらのアミノ酸残基に影響がないようにするとよい。アミノ酸配列の僅かな相違がタンパク質の機能に対して実質的な影響を与えず、タンパク質の機能が変異前後において維持されている例として、配列番号1のアミノ酸配列における132位アミノ酸(グルタミン酸)がプロリンであるアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸配列における192位アミノ酸(グリシン)がセリンであるアミノ酸配列又は配列番号1のアミノ酸配列における244位アミノ酸(ロイシン)がプロリンであるアミノ酸配列が挙げられる。これらのアミノ酸配列を有するエステラーゼに関して、比活性と高温安定性を比較した結果、配列番号1と同等であった。
ところで、二つのアミノ酸配列又は二つの塩基配列(以下、これらを含む用語として「二つの配列」を使用する)の同一性(%)は例えば以下の手順で決定することができる。まず、最適な比較ができるよう二つの配列を並べる(例えば、第一の配列にギャップを導入して第二の配列とのアライメントを最適化してもよい)。第一の配列の特定位置の分子(アミノ酸残基又はヌクレオチド)が、第二の配列における対応する位置の分子と同じであるとき、その位置の分子が同一であるといえる。二つの配列の同一性は、その二つの配列に共通する同一位置の数の関数であり(すなわち、同一性(%)=同一位置の数/位置の総数 × 100)、好ましくは、アライメントの最適化に要したギャップの数およびサイズも考慮に入れる。
二つの配列の比較及び同一性の決定は数学的アルゴリズムを用いて実現可能である。配列の比較に利用可能な数学的アルゴリズムの具体例としては、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68に記載され、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77において改変されたアルゴリズムがあるが、これに限定されることはない。このようなアルゴリズムは、Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10に記載のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。等価なヌクレオチド配列を得るには例えば、NBLASTプログラムでscore = 100、wordlength = 12としてBLASTヌクレオチド検索を行えばよい。等価なアミノ酸配列を得るには例えば、XBLASTプログラムでscore = 50、wordlength = 3としてBLASTポリペプチド検索を行えばよい。比較のためのギャップアライメントを得るためには、Altschulら (1997) Amino Acids Research 25(17):3389-3402に記載のGapped BLASTが利用可能である。BLASTおよびGapped BLASTを利用する場合は、対応するプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。詳しくはhttp://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較に利用可能な他の数学的アルゴリズムの例としては、MyersおよびMiller (1988) Comput Appl Biosci. 4:11-17に記載のアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、例えばGENESTREAMネットワークサーバー(IGH Montpellier、フランス)またはISRECサーバーで利用可能なALIGNプログラムに組み込まれている。アミノ酸配列の比較にALIGNプログラムを利用する場合は例えば、PAM120残基質量表を使用し、ギャップ長ペナルティ=12、ギャップペナルティ=4とすることができる。
二つのアミノ酸配列の同一性を、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを用いて、Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックスを使用し、ギャップ加重=12、10、8、6、又は4、ギャップ長加重=2、3、又は4として決定することができる。また、二つの塩基配列の同一性を、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで利用可能)のGAPプログラムを用いて、ギャップ加重=50、ギャップ長加重=3として決定することができる。
典型的には、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼ、即ち、アシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼが変異(上記K7P、F13Y、V107M、L222M、V229I及びS235Tの中の一つ又は二以上の組合せによる)することによって、本発明の改変型酵素となる。上記の実質同一エステラーゼについては、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼが変異(上記K7P、F13Y、V107M、L222M、V229I及びS235Tの中の一つ又は二以上の組合せによる)したものに更に変異を加えること、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼを産生するアシネトバクター・カルコアセティカス株と同種同属由来のエステラーゼ等、配列番号1のアミノ酸配列と同一性の高いアミノ酸配列からなるエステラーゼに対して同等の変異を加えること、又は当該変異によって得られるものに更に変異を加えること、によって得ることができる。ここでの「同等の変異」では、配列番号1のアミノ酸配列と同一性の高いアミノ酸配列において、本発明における変異点(配列番号1のアミノ酸配列の7位、13位、107位、222位、229位又は235位)のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基が置換されることになる。尚、配列番号1のアミノ酸配列と同一性の高いアミノ酸配列からなるエステラーゼの例として、アシネトバクター・ギロイエ(Acinetobacter guillouiae)に由来し、配列番号15のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性98%)、アシネトバクター・バウマニABNIH3(Acinetobacter baumannii ABNIH3)に由来し、配列番号16のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性97%)、アシネトバクター・セイフェルティ(Acinetobacter seifertii)に由来し、配列番号17のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性90%)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)に由来し、配列番号18のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性80%)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)に由来し、配列番号19のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性80%)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)に由来し、配列番号20のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性80%)、バークホルデリア・ユボネンシス(Burkholderia ubonensis)に由来し、配列番号21のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性81%)、パラバークホルデリア・フェラリエ(Paraburkholderia ferrariae)に由来し、配列番号22のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性81%)、バークホルデリア・シュードマルチボランス(Burkholderia pseudomultivorans)に由来し、配列番号23のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性81%)、アシネトバクター sp. NBRC 110496(Acinetobacter sp. NBRC 110496)に由来し、配列番号24のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性81%)、アシネトバクター・セイフェルティ(Acinetobacter seifertii)に由来し、配列番号25のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性90%)、アシネトバクター sp. NIPH809(Acinetobacter sp. NIPH809)に由来し、配列番号26のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性80%)、シュードモナス・フルオレセンスA506(A506Pseudomonas fluorescens A506)に由来し、配列番号27のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性80%)、シュードモナス sp. ABAC61(Pseudomonas sp. ABAC61)に由来し、配列番号28のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性79%)、シュードモナス・プチダIFO12996(Pseudomonas putida IFO12996)に由来し、配列番号29のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性76%)、シュードモナス・プチダMR2068(Pseudomonas putida MR2068)に由来し、配列番号30のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性76%)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)に由来し、配列番号31のアミノ酸配列を有するエステラーゼ(アミノ酸配列の同一性80%)、を挙げることができる。
本明細書においてアミノ酸残基について使用する場合の用語「相当する」とは、比較されるタンパク質(酵素)間においてその機能の発揮に同等の貢献をしていることを意味する。例えば、基準エステラーゼのアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸配列)に対して比較対象のアミノ酸配列を、一次構造(アミノ酸配列)の部分的な相同性を考慮しつつ、最適な比較ができるように並べたときに(このときに必要に応じてギャップを導入し、アライメントを最適化してもよい)、基準のアミノ酸配列中の特定のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸を「相当するアミノ酸」として特定することができる。一次構造同士の比較に代えて、又はこれに加えて立体構造(三次元構造)同士の比較によって「相当するアミノ酸」を特定することもできる。立体構造情報を利用することによって信頼性の高い比較結果が得られる。この場合は、複数の酵素の立体構造の原子座標を比較しながらアライメントを行っていく手法を採用できる。変異対象酵素の立体構造情報は例えばProtein Data Bank(http://www.pdbj.org/index_j.html)より取得することができる。
X線結晶構造解析によるタンパク質立体構造の決定方法の一例を以下に示す。
(1)タンパク質を結晶化する。結晶化は、立体構造決定のためには欠かせないが、それ以外にも、タンパク質の高純度の精製法、高密度で安定な保存法として産業上の有用性もある。この場合、リガンドとして基質もしくはそのアナログ化合物を結合したタンパク質を結晶化すると良い。
(2)作製した結晶にX線を照射して回折データを収集する。なお、タンパク質結晶はX線照射によりダメージを受け回折能が劣化するケースが多々ある。その場合、結晶を急激に−173℃程度に冷却し、その状態で回折データを収集する低温測定技術が最近普及してきた。なお、最終的に、構造決定に利用する高分解能データを収集するために、輝度の高いシンクロトロン放射光が利用される。
(3)結晶構造解析を行うには、回折データに加えて、位相情報が必要になる。目的のタンパク質に対して、類縁のタンパク質の結晶構造が未知の場合、分子置換法で構造決定することは不可能であり、重原子同型置換法により位相問題が解決されなくてはならない。重原子同型置換法は、水銀や白金等原子番号が大きな金属原子を結晶に導入し、金属原子の大きなX線散乱能のX線回折データへの寄与を利用して位相情報を得る方法である。決定された位相は、結晶中の溶媒領域の電子密度を平滑化することにより改善することが可能である。溶媒領域の水分子は揺らぎが大きいために電子密度がほとんど観測されないので、この領域の電子密度を0に近似することにより、真の電子密度に近づくことができ、ひいては位相が改善されるのである。また、非対称単位に複数の分子が含まれている場合、これらの分子の電子密度を平均化することにより位相が更に大幅に改善される。このようにして改善された位相を用いて計算した電子密度図にタンパク質のモデルをフィットさせる。このプロセスは、コンピューターグラフィックス上で、MSI社(アメリカ)のQUANTA等のプログラムを用いて行われる。この後、MSI社のX-PLOR等のプログラムを用いて、構造精密化を行い、構造解析は完了する。目的のタンパク質に対して、類縁のタンパク質の結晶構造が既知の場合は、既知タンパク質の原子座標を用いて分子置換法により決定できる。分子置換と構造精密化はプログラム CNS_SOLVE ver.11などを用いて行うことができる。
2.改変型エステラーゼをコードする核酸等
本発明の第2の局面は本発明の改変型酵素に関連する核酸を提供する。即ち、改変型酵素をコードする遺伝子、改変型酵素をコードする核酸を同定するためのプローブとして用いることができる核酸、改変型酵素をコードする核酸を増幅又は突然変異等させるためのプライマーとして用いることができる核酸が提供される。
改変型酵素をコードする遺伝子は典型的には改変型酵素の調製に利用される。改変型酵素をコードする遺伝子を用いた遺伝子工学的調製法によれば、より均質な状態の改変型酵素を得ることが可能である。また、当該方法は大量の改変型酵素を調製する場合にも好適な方法といえる。尚、改変型酵素をコードする遺伝子の用途は改変型酵素の調製に限られない。例えば、改変型酵素の作用機構の解明などを目的とした実験用のツールとして、或いは酵素の更なる改変体をデザイン又は作製するためのツールとして、当該核酸を利用することもできる。
本明細書において「改変型酵素をコードする遺伝子」とは、それを発現させた場合に当該改変型酵素が得られる核酸のことをいい、当該改変型酵素のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する核酸は勿論のこと、そのような核酸にアミノ酸配列をコードしない配列が付加されてなる核酸をも含む。また、コドンの縮重も考慮される。
改変型酵素をコードする遺伝子の配列(塩基配列)の例を配列番号8〜13に示す。これらの配列は、下記の通り、後述の実施例に示した変異体をコードする。
配列番号8:変異体1(K7P)
配列番号9:変異体2(F13Y)
配列番号10:変異体3(V107M)
配列番号11:変異体4(L222M)
配列番号12:変異体5(V229I)
配列番号13:変異体6(S235T)
本発明の酵素はシグナル配列を持たないため通常は菌体外に分泌されないが、菌体外に分泌させたい場合には、上記の配列(配列番号8〜13のいずれか)の5'末端側にシグナルペプチドをコードする配列(シグナル配列)を付加した遺伝子コンストラクトで宿主に導入しても良い。シグナル配列は宿主に応じて選択すればよい。目的とする変異体を発現可能なシグナル配列である限り、本発明に使用できる。利用可能なシグナル配列として、α-因子のシグナルペプチドをコードする配列(Protein Engineering, 1996, vol9, p.1055-1061)、α-因子受容体のシグナルペプチドをコードする配列、SUC2タンパク質のシグナルペプチドをコードする配列、PHO5タンパク質のシグナルペプチドをコードする配列、BGL2タンパク質のシグナルペプチドをコードする配列、AGA2タンパク質のシグナルペプチドをコードする配列、TorA(トリメチルアミンN−オキシドレダクターゼ)のシグナルペプチドをコードする配列、バチルス・サチルス由来のPhoD(ホスホエステラーゼ)のシグナルペプチドをコードする配列、バチルス・サチルス由来のLipA(エステラーゼ)のシグナルペプチドをコードする配列、アスペルギルス・オリゼ由来タカアミラーゼのシグナルペプチドをコードする配列(特開2009−60804号公報)、バチルス・アミロリケファシエンス由来のα−アミラーゼのシグナルペプチドをコードする配列(Eur. J. Biochem. 155, 577-581 (1986))、バチルス・サチルス由来の中性プロテアーゼのシグナルペプチドをコードする配列(APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, Apr. 1995, p. 1610-1613 Vol. 61, No. 4)、Bacillus属細菌由来セルラーゼのシグナルペプチドをコードする配列(特開2007−130012号公報)を例示することができる。
本発明の核酸は、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法、化学合成などを用いることによって、単離された状態に調製することができる。
本発明の他の態様では、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列と比較した場合にそれがコードするタンパク質の機能は同等であるものの一部において塩基配列が相違する核酸(以下、「相同核酸」ともいう。また、相同核酸を規定する塩基配列を「相同塩基配列」ともいう)が提供される。相同核酸の例として、本発明の改変型酵素をコードする核酸の塩基配列を基準として1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含む塩基配列からなり、改変型酵素に特徴的な酵素活性(即ちエステラーゼ活性)を有するタンパク質をコードするDNAを挙げることができる。塩基の置換や欠失などは複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは、当該核酸がコードするタンパク質の立体構造におけるアミノ酸残基の位置や種類によっても異なるが例えば2〜40塩基、好ましくは2〜20塩基、より好ましくは2〜10塩基である。
相同核酸は、基準となる塩基配列に対して、例えば60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より一層好ましくは85%以上、さらに好ましくは約90%以上、更に一層好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する。
以上のような相同核酸は例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)による変異の導入などによって得られる。また、紫外線照射など他の方法によっても相同核酸を得ることができる。
本発明の他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する核酸に関する。本発明の更に他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列、或いはそれに相補的な塩基配列に対して少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%同一な塩基配列を有する核酸を提供する。
本発明の更に別の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列又はその相同塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有する核酸に関する。ここでの「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参照して設定することができる。ストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液(50%ホルムアミド、10×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、5×Denhardt溶液、1% SDS、10% デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いて約42℃〜約50℃でインキュベーションし、その後0.1×SSC、0.1% SDSを用いて約65℃〜約70℃で洗浄する条件を挙げることができる。更に好ましいストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる条件を挙げることができる。
本発明の更に他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列、或いはそれに相補的な塩基配列の一部を有する核酸(核酸断片)を提供する。このような核酸断片は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列を有する核酸などを検出、同定、及び/又は増幅することなどに用いることができる。核酸断片は例えば、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列において連続するヌクレオチド部分(例えば約10〜約100塩基長、好ましくは約20〜約100塩基長、更に好ましくは約30〜約100塩基長)にハイブリダイズする部分を少なくとも含むように設計される。プローブとして利用される場合には核酸断片を標識化することができる。標識化には例えば、蛍光物質、酵素、放射性同位元素を用いることができる。
本発明のさらに他の局面は、本発明の遺伝子(改変型酵素をコードする遺伝子)を含む組換えDNAに関する。本発明の組換えDNAは例えばベクターの形態で提供される。本明細書において用語「ベクター」は、それに挿入された核酸を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子をいう。
使用目的(クローニング、タンパク質の発現)に応じて、また宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。大腸菌を宿主とするベクターとしてはM13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)、pET21等、酵母を宿主とするベクターとしてはpYepSec1、pMFa、pYES2、pPIC3.5K等、昆虫細胞を宿主とするベクターとしてはpAc、pVL等、哺乳類細胞を宿主とするベクターとしてはpCDM8、pMT2PC等を例示することができる。
本発明のベクターは好ましくは発現ベクターである。「発現ベクター」とは、それに挿入された核酸を目的の細胞(宿主細胞)内に導入することができ、且つ当該細胞内において発現させることが可能なベクターをいう。発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や、発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には、選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。
本発明の核酸のベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法)を用いて行うことができる。
宿主細胞としては、取り扱いの容易さの点から、麹菌(例えばアスペルギルス・オリゼ)、バチルス属細菌(例えばバチルス・サチルス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アミノリクファシエンス)、ブレビバチルス属細菌(例えばブレビバチルス・チョウシネンシス)、大腸菌(エシェリヒア・コリ)、出芽酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)などの微生物を用いることができるが、組換えDNAが複製可能で且つ改変型酵素の遺伝子が発現可能な宿主細胞であれば利用可能である。好ましくは大腸菌(エシェリヒア・コリ)、出芽酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)を用いることができる。アシネトバクター属微生物(例えばアシネトバクター・カルコアセティカスを宿主にすることもできる。また、大腸菌の例としてT7系プロモーターを利用する場合は大腸菌BL21(DE3)、そうでない場合は大腸菌JM109を挙げることができる。また、出芽酵母の例として出芽酵母SHY2、出芽酵母AH22あるいは出芽酵母INVSc1(インビトロジェン社)を挙げることができる。
本発明の他の局面は、本発明の組換えDNAを保有する微生物(即ち形質転換体)に関する。本発明の微生物は、上記本発明のベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって得ることができる。例えば、塩化カルシウム法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J.Mol. Biol.)、第53巻、第159頁 (1970))、ハナハン(Hanahan)法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー、第166巻、第557頁 (1983))、SEM法(ジーン(Gene)、第96巻、第23頁(1990))、チャング(Chung)らの方法(プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第86巻、第2172頁(1989))、リン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter,H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161-7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413-7417(1984))等によって実施することができる。尚、本発明の微生物は、本発明の改変型酵素を生産することに利用することができる。
3.改変型エステラーゼを含む酵素剤
本発明の改変型酵素は例えば酵素剤の形態で提供される。酵素剤は、有効成分(本発明の改変型酵素)の他、賦形剤、緩衝剤、懸濁剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水などを含有していてもよい。賦形剤としてはデンプン、デキストリン、マルトース、トレハロース、乳糖、D-グルコース、ソルビトール、D-マンニトール、白糖、グリセロール等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としてはエタノール、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。
4.改変型エステラーゼの用途
本発明の更なる局面は改変型酵素及び酵素剤の用途に関し、本発明の改変型酵素又は酵素剤を用いた各種反応やそれを利用した各種化合物の生産/製造方法等が提供される。具体的には、本発明の改変型酵素又は酵素剤は、(1)医薬品などに利用される有機化合物の製造、(2)ファインケミカル分野での利用が考えられるエステル化合物の製造、(3)ラクトン化合物の加水分解、等に利用可能である。(1)の例として、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)の1つであるカプトプリルやアラセプリルの医薬中間体であるDAT(D-β-Acetylthioisobutyric acid)のDL-MATI(DL-β-acetylthioisobutyrate)のエナンチオ選択的加水分解よる生成(Jounal of Molecular Catalysis B: Enzymatic 38 (2006) 163-170を参照)を挙げることができる。一方、(2)の例として、側鎖に様々な置換基を有した直鎖のエステル化合物(Methyl (R)-3-bromo-2-methylpropionate、Methyl cetraxate hydrochlorideなど)の製造(Appl Microbiol Biotechnol (2002) 60: 288-292を参照)が挙げられる。また、(3)の例として、アルドンラクトン(D-ガラクトノ-γ-ラクトン、L-マンノノ-γ-ラクトンなど)や芳香族ラクトン(3,4-ジヒドロクマリン、ホモゲンチジン酸γ-ラクトンなど)の分解(Eur. J. Biochem. 267, 3-10 (2000)を参照)が挙げられる。
5.改変型エステラーゼの調製法
本発明の更なる局面は改変型酵素の調製法に関する。本発明の調製法の一態様では、本発明者らが取得に成功した改変型酵素を遺伝子工学的手法で調製する。この態様の場合、配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列をコードする核酸を用意する(ステップ(I))。ここで、「特定のアミノ酸配列をコードする核酸」は、それを発現させた場合に当該アミノ酸配列を有するポリペプチドが得られる核酸であり、当該アミノ酸配列に対応する塩基配列からなる核酸は勿論のこと、そのような核酸に余分な配列(アミノ酸配列をコードする配列であっても、アミノ酸配列をコードしない配列であってもよい)が付加されていてもよい。また、コドンの縮重も考慮される。「配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列をコードする核酸」は、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって、単離された状態に調製することができる。ここで、配列番号2〜7のアミノ酸配列はいずれも、アシネトバクター・カルコアセティカス由来エステラーゼのアミノ酸配列に変異を施したものである。従って、アシネトバクター・カルコアセティカス由来エステラーゼをコードする遺伝子に対して必要な変異を加えることによっても、配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列をコードする核酸(遺伝子)を得ることができる。位置特異的塩基配列置換のための方法は当該技術分野において数多く知られており(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照)、その中から適切な方法を選択して用いることができる。位置特異的変異導入法として、位置特異的アミノ酸飽和変異法を採用することができる。位置特異的アミノ酸飽和変異法は、タンパクの立体構造を基に、求める機能の関与する位置を推定し、アミノ酸飽和変異を導入する「Semi-rational,semi-random」手法である(J.Mol.Biol.331,585-592(2003))。例えば、Quick change(ストラタジーン社)等のキット、Overlap extention PCR(Nucleic Acid Res. 16,7351-7367(1988))を用いて位置特異的アミノ酸飽和変異を導入することが可能である。PCRに用いるDNAポリメラーゼはTaqポリメラーゼ等を用いることができる。但し、KOD-PLUS-(東洋紡社)、Pfu turbo(ストラタジーン社)などの精度の高いDNAポリメラーゼを用いることが好ましい。
ステップ(I)に続いて、用意した核酸を発現させる(ステップ(II))。例えば、まず上記核酸を挿入した発現ベクターを用意し、これを用いて宿主細胞を形質転換する。
次に、発現産物である改変型酵素が産生される条件下で形質転換体を培養する。形質転換体の培養は常法に従えばよい。培地に使用する炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えばグルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、糖蜜、ピルビン酸などが使用される。また、窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えばペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物などが使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが必要に応じて使用される。
一方、培養温度は30℃〜40℃の範囲内(好ましくは33〜37℃付近)で設定することができる。培養時間は、培養対象の形質転換体の生育特性や改変型酵素の産生特性などを考慮して設定することができる。培地のpHは、形質転換体が生育し且つ酵素が産生される範囲内に調製される。好ましくは培地のpHを6.0〜9.0程度(好ましくはpH7.0付近)とする。
続いて、発現産物(改変型酵素)を回収する(ステップ(III))。培養後の菌体を含む培養液をそのまま、或いは濃縮、不純物の除去などを経た後に酵素溶液として利用することもできるが、一般的には培養液又は菌体より発現産物を一旦回収する。発現産物が分泌型タンパク質であれば培養液より、それ以外であれば菌体内より回収することができる。培養液から回収する場合には、例えば培養上清をろ過、遠心処理して不溶物を除去した後、減圧濃縮、膜濃縮、硫酸アンモニウムや硫酸ナトリウムを利用した塩析、メタノールやエタノール又はアセトンなどによる分別沈殿法、透析、加熱処理、等電点処理、ゲルろ過や吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー(例えば、セファデックス(Sephadex)ゲル(GEヘルスケアバイオサイエンス)などによるゲルろ過、DEAEセファロースCL-6B (GEヘルスケアバイオサイエンス)、オクチルセファロースCL-6B (GEヘルスケアバイオサイエンス)、CMセファロースCL-6B(GEヘルスケアバイオサイエンス))などを組み合わせて分離、精製を行ことにより改変型酵素の精製品を得ることができる。他方、菌体内から回収する場合には、培養液をろ過、遠心処理等することによって菌体を採取し、次いで菌体を加圧処理、超音波処理、物理破砕処理などの機械的方法またはリゾチームなどによる酵素的方法で破壊した後、上記と同様に分離、精製を行うことにより改変型酵素の精製品を得ることができる。
上記のようにして得られた精製酵素を、例えば凍結乾燥や真空乾燥或いはスプレードライなどにより粉末化して提供することも可能である。その際、精製酵素を予めリン酸緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液、トリス塩酸緩衝液やGOODの緩衝液に溶解させておいてもよい。好ましくは、リン酸緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液を使用することができる。尚、ここでGOODの緩衝液としてはPIPES、MES又はMOPSが挙げられる。
通常は、以上のように適当な宿主−ベクター系を利用して遺伝子の発現〜発現産物(改変型酵素)の回収を行うが、無細胞合成系を利用することにしてもよい。ここで、「無細胞合成系(無細胞転写系、無細胞転写/翻訳系)」とは、生細胞を用いるのではく、生細胞由来の(或いは遺伝子工学的手法で得られた)リボソームや転写・翻訳因子などを用いて、鋳型である核酸(DNAやmRNA)からそれがコードするmRNAやタンパク質をin vitroで合成することをいう。無細胞合成系では一般に、細胞破砕液を必要に応じて精製して得られる細胞抽出液が使用される。細胞抽出液には一般に、タンパク質合成に必要なリボソーム、開始因子などの各種因子、tRNAなどの各種酵素が含まれる。タンパク質の合成を行う際には、この細胞抽出液に各種アミノ酸、ATP、GTPなどのエネルギー源、クレアチンリン酸など、タンパク質の合成に必要なその他の物質を添加する。勿論、タンパク質合成の際に、別途用意したリボソームや各種因子、及び/又は各種酵素などを必要に応じて補充してもよい。
タンパク質合成に必要な各分子(因子)を再構成した転写/翻訳系の開発も報告されている(Shimizu, Y. et al.: Nature Biotech., 19, 751-755, 2001)。この合成系では、バクテリアのタンパク質合成系を構成する3種類の開始因子、3種類の伸長因子、終結に関与する4種類の因子、各アミノ酸をtRNAに結合させる20種類のアミノアシルtRNA合成酵素、及びメチオニルtRNAホルミル転移酵素からなる31種類の因子の遺伝子を大腸菌ゲノムから増幅し、これらを用いてタンパク質合成系をin vitroで再構成している。本発明ではこのような再構成した合成系を利用してもよい。
用語「無細胞転写/翻訳系」は、無細胞タンパク質合成系、in vitro翻訳系又はin vitro転写/翻訳系と交換可能に使用される。in vitro翻訳系ではRNAが鋳型として用いられてタンパク質が合成される。鋳型RNAとしては全RNA、mRNA、in vitro転写産物などが使用される。他方のin vitro転写/翻訳系ではDNAが鋳型として用いられる。鋳型DNAはリボソーム結合領域を含むべきであって、また適切なターミネータ配列を含むことが好ましい。尚、in vitro転写/翻訳系では、転写反応及び翻訳反応が連続して進行するように各反応に必要な因子が添加された条件が設定される。
<特性の向上に有効な変異点の探索>
アシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼ(配列番号1)の特性の向上を目指し、水素結合の強化、疎水性の強化、高密度化(パッキング性の向上)及びループの強化の観点から変異点(置換するアミノ酸残基)を選択し、15種類の変異体(改変型エステラーゼ)を設計した。設計した各変異体を以下の方法で作製し、その特性を評価した。尚、配列番号1のアミノ酸配列はアシネトバクター・カルコアセティカス由来のエステラーゼの成熟体(シグナルペプチドを含まない)である。
1.変異体(改変型エステラーゼ)の取得
(1)変異の導入及び形質転換
各変異導入点へランダム変異を導入するため、エステラーゼ遺伝子が挿入されたプラスミド(pET21(Esterase))を鋳型として、ランダムプライマーを用いてPCR(PrimeSTAR GXL DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社))を行った。PCR後、Dpn I(タカラバイオ株式会社)を用いた鋳型プラスミドの処理(37℃、3時間)、及びT4 Kinase (東洋紡株式会社)、Ligation High (東洋紡株式会社)を用いたライゲーション反応(16℃、一晩)をした後、E.coli BL21(DE3)に形質転換して、各変異導入点にランダム変異導入されたランダム変異株を取得した。
<PCR条件>
反応液の組成:5×PrimeSTAR GXL Bufferを5 μl、dNTP Mixture(各2.5 mM)を2 μl、フォワードプライマーを0.5 μl、リバースプライマーを0.5 μl、鋳型を0.25 μl、PrimeSTAR GXL DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社)を1μl(滅菌蒸留水で全量25μlに調整)
反応条件:98℃で10秒、60℃で15秒、68℃で2分を15サイクル
(2)形質転換体の培養及び酵素液(菌体抽出液)の取得
構築した各エステラーゼ遺伝子組換えE.coli発現菌株(宿主:E.coli BL21(DE3))を用いて、培養液(培養菌体)の取得を試みた。各エステラーゼ遺伝子組換えE.coli発現菌株の培養液(培養菌体)の取得は、2段階の培養で行った。まず、各エステラーゼ遺伝子組換えE.coli発現菌株をL Broth(invitrogen社)(Amp : 100 μg/mL) 5mLに接種し、振とう培養機にて16時間、培養(150rpm, 37℃)した後、Teriffic Broth(invitrogen社)(Amp : 100 μg/mL) 50mLに0.5 mLを植菌した。その後、200rpm、33℃の条件で48時間培養し、培養開始から24時間の時点で0.1 mM IPTGを培養液に添加することで酵素の発現を誘導した。培養液50mLを遠心分離(7,000g×10分, 4℃)した後、遠心上清を除去することで培養菌体を回収した。
取得した各培養菌体を100mM リン酸緩衝液 (pH7.0) 25mLに懸濁した後、ビーズ(0.1mm)(安井機器) 10gを添加して、ビーズショッカー(2,500rpm, on: 60秒, off: 30秒, 10サイクル, 4℃)(安井機器)にて物理破砕した。物理破砕液を遠心分離(7,000g×10分,4℃)した後、遠心上清を回収し、菌体抽出液とした。
(3)精製酵素の取得
菌体抽出液をフィルター濾過し、液量を20mLにメスアップした。次に、以下の手順で硫安沈殿(40〜80%画分を回収)を行った。まず、40%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加した。遠心分離し、上清を回収後、80%飽和となるように硫酸アンモニウムを添加した。再び遠心分離し、遠心沈殿を回収した。回収した沈殿を10mLの10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した。
硫安沈殿後の酵素溶液を限外濾過により脱塩濃縮し、電導度を約2mS/cmまで下げた。続いて、以下の二段階のクロマトグラフィー(DEAE-セファロースカラムクロマトグラフィー、フェニル-セファロースカラムクロマトグラフィー)で精製した。尚、DEAE-セファロースカラムクロマトグラフィーで回収したフラクションに2MとなるようにNaClを添加し電導度を調整した後、フェニル-セファロースカラムクロマトグラフィーに供した。
(i) DEAE-セファロースカラムクロマトグラフィー
使用カラム:Deae-sepharoseFF 1mL(GEヘルスケア)
緩衝液:10mMリン酸緩衝液(pH7.0)
溶出:NaClのリニアグラジエント(0→0.3M)により目的酵素を溶出
チャージ量:5mL(脱塩濃縮サンプル全量)
流速:1mL/分
(ii) フェニル-セファロースカラムクロマトグラフィー
使用カラム:Phenyl-HP 1mL(GEヘルスケア)
緩衝液:10mMリン酸緩衝液(pH7.0)
溶出:NaClのリニアグラジエント(2M→0M)により目的酵素を溶出
チャージ量:10mL(DEAE精製フラクション全量)
流速:1mL/分
フェニル-セファロースカラムクロマトグラフィーの溶出フラクションを回収し、精製酵素サンプルとした。
2.変異体の特性評価
<活性測定法>
50mM リン酸緩衝液(pH7.0) 2.1 mL、5 mM 3,4-dihydrocoumarin (東京化成(TCI))溶液(50mMリン酸緩衝液(pH7.0)(40% EtOH含)) 0.3mL、酵素溶液 0.6mLを混合し、反応させた。本測定法では、反応により生じる生成物(3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)の吸光値変化をカイネティクス測定(Abs. 270nm, 30℃, 5分)することで、1分間に1nmolの生成物(3-(2-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)を生成する酵素量を1単位(U)と定義している。尚、本測定において正確な測定値が得られるΔODは、ΔOD=0.01〜0.05/2分(Abs. 270nm)の範囲であり、必要に応じて酵素溶液を50mM リン酸緩衝液 pH7.0にて希釈する。
(1)比活性の評価
精製酵素サンプルを用いて比活性を評価した。各変異体の精製酵素の酵素活性を上記活性測定法で測定し、比活性を算出した。タンパク質濃度は波長280 nmでの吸光度を測定し、A280nmの吸光度が1.0のときのタンパク質濃度を1 mg/mlとして算出した。各変異体の比活性を図1に示す。変異体6(S235T)に比活性の向上が認められた。
(2)高温安定性の評価
精製酵素サンプルを用いて高温安定性を評価した。まず、各変異体の精製酵素を熱処理(80℃、30分間)した。熱処理後のサンプルと熱処理前(未処理)のサンプルを、希釈液(50mM リン酸緩衝液(pH7.0))で適当な濃度に希釈後、上記活性測定法で酵素活性を測定した。測定値(酵素活性)から残存活性を以下の通り算出し、高温安定性を評価した。
活性残存率=(熱処理後の酵素活性/熱処理前の酵素活性)×100(%)
評価結果を図2に示す。4種類の変異体(変異体1(K7P)、変異体2(F13Y)、変異体4(L222M)、変異体5(V229I))に高温安定性の向上が認められた。特に、変異体1(K7P)、変異体4(L222M)、変異体5(V229I)の高温安定性は高い。
(3)高温反応性の評価
精製酵素サンプルを用いて高温反応性を評価した。まず、各変異体の精製酵素を希釈液(50mM リン酸緩衝液(pH7.0))で適当な濃度に希釈後、各温度(30℃、60℃)で酵素活性を測定した。高温反応性は、以下の計算式で算出される相対活性(30℃での酵素活性に対する高温(60℃)での酵素活性の比率)で評価した。
相対活性=(高温(60℃)での酵素活性/30℃での酵素活性)×100(%)
評価結果を図3に示す。2種類の変異体(変異体5(V229I)、変異体6(S235T))に高温反応性の向上が認められた。特に、変異体5(V229I)の高温反応性は高い。
(4)pH安定性の評価
精製酵素サンプルを用いてpH安定性を評価した。まず、各変異体の精製酵素を低pH処理(pH4.0、30分間)した。処理後のサンプルと処理前(未処理)のサンプルを、希釈液(50mM リン酸緩衝液(pH7.0))で適当な濃度に希釈後、上記活性測定法で酵素活性を測定した。測定値(酵素活性)から残存活性を以下の通り算出し、高温安定性を評価した。
活性残存率=(低pH処理後の酵素活性/処理前の酵素活性)×100(%)
評価結果を図4に示す。7種類の変異体(変異体2(F13Y)、変異体3(V107M)、変異体4(L222M)、変異体5(V229I)、変異体6(S235T))にpH安定性の向上が認められた。特に変異体2(F13Y)、変異体3(V107M)、変異体4(L222M)、変異体5(V229I)のpH安定性は高い。
以上の通り、特性が向上した8種類の変異体の取得に成功した。各変異体のアミノ酸配列を以下に示す。
変異体1(K7P):配列番号2
変異体2(F13Y):配列番号3
変異体3(V107M):配列番号4
変異体4(L222M):配列番号5
変異体5(V229I):配列番号6
変異体6(S235T):配列番号7
本発明の改変型エステラーゼでは特性(比活性、高温反応性、高温安定性、pH安定性)が向上している。従って、その用途ないし適用範囲は広く、また、反応効率の向上を期待できる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (13)

  1. 配列番号1のアミノ酸配列において、K7P、F13Y、V107M、L222M、V229I及びS235Tからなる群より選択される一又は二以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と91%以上の同一性を示すアミノ酸配列を有し、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼに比較して比活性、高温安定性、高温反応性及びpH安定性からなる群より選択される一以上の特性が向上した改変型エステラーゼ。
  2. 改変型エステラーゼのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸置換がS235Tであり、比活性が向上している、請求項1に記載の改変型エステラーゼ。
  3. 改変型エステラーゼのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸置換がK7P、F13Y、L222M又はV229Iであり、高温安定性が向上している、請求項1に記載の改変型エステラーゼ。
  4. 改変型エステラーゼのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸置換がV229I又はS235Tであり、高温反応性が向上している、請求項1に記載の改変型エステラーゼ。
  5. 改変型エステラーゼのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸置換がF13Y、V107M、L222M、V229I及びS235Tであり、pH安定性が向上している、請求項1に記載の改変型エステラーゼ。
  6. 配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と91%以上の同一性を示すアミノ酸配列であり(但し、同一性の基準が配列番号2のアミノ酸配列の場合は7位プロリン以外の位置、同一性の基準が配列番号3のアミノ酸配列の場合は13位チロシン以外の位置、同一性の基準が配列番号4のアミノ酸配列の場合は107位メチオニン以外の位置、同一性の基準が配列番号5のアミノ酸配列の場合は222位メチオニン以外の位置、同一性の基準が配列番号6のアミノ酸配列の場合は229位イソロイシン以外の位置、同一性の基準が配列番号7のアミノ酸配列の場合は235位トレオニン以外の位置、においてアミノ酸配列の相違は生じている)、配列番号1のアミノ酸配列からなるエステラーゼに比較して比活性、高温安定性、高温反応性及びpH安定性からなる群より選択される一以上の特性が向上した改変型エステラーゼ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の改変型エステラーゼをコードする遺伝子。
  8. 配列番号8〜13のいずれかの塩基配列を含む、請求項7に記載の遺伝子。
  9. 請求項7又は8に記載の遺伝子を含む組換えDNA。
  10. 請求項9に記載の組換えDNAを保有する微生物。
  11. 宿主が、エシェリヒア・コリ、バチルス・サチルス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・アミノリクファシエンス、ブレビバチルス・チョウシネンシスである、請求項10に記載の微生物。
  12. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の改変型エステラーゼを含む酵素剤。
  13. 以下のステップ(I)〜(III)を含む、改変型エステラーゼの調製法:
    (I)配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列をコードする核酸を用意するステップ;
    (II)前記核酸を発現させるステップ、及び
    (III)発現産物を回収するステップ。
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