次に、本発明の打込機に含まれるいくつかの実施形態のうち、代表的な打込機を、図面を参照して説明する。
(実施形態1) 打込機の実施形態1を、図1及び図2を参照して説明する。打込機10は、ハウジング11、シリンダ12、打撃部13、トリガ14、射出部15及びプッシュレバー16を有する。また、マガジン17が打込機10に取り付けられている。ハウジング11は、筒形状の胴部18と、胴部18に固定したヘッドカバー21と、胴部18に接続されたハンドル19と、を有する。
図3のように、蓄圧室20が、ハンドル19の内部、胴部18の内部、ヘッドカバー21の内部に亘って形成されている。エアホースがハンドル19に接続される。圧縮性気体としての圧縮空気は、ハウジング11の外部B1から、エアホースを介して蓄圧室20に供給される。シリンダ12は胴部18内に設けられている。ヘッドカバー21は、排気通路24を有する。排気通路24は、ハウジング11の外部B1につながっている。
ヘッドバルブ31がヘッドカバー21内に設けられている。ヘッドバルブ31は、シリンダ12の中心線A1方向に移動可能である。ヘッドカバー21内に制御室27が形成されている。付勢部材28が、制御室27に設けられている。付勢部材28は、一例として、金属製の圧縮コイルスプリングである。付勢部材28は、ヘッドバルブ31を中心線A1方向でシリンダ12に近付ける向きで付勢する。ストッパ29がヘッドカバー21内に設けられている。ストッパ29は一例として合成ゴム製である。
シリンダ12は、胴部18に対して中心線A1方向に位置決め固定されている。シリンダ12において、中心線A1方向でヘッドバルブ31に最も近い箇所の端部に、バルブシート32が取り付けられている。バルブシート32は環状であり、かつ、合成ゴム製である。ヘッドバルブ31とバルブシート32との間にポート33が形成される。ヘッドバルブ31が、バルブシート32に押し付けられると、ヘッドバルブ31はポート33を閉じる。ヘッドバルブ31が、バルブシート32から離れると、ヘッドバルブ31はポート33を開く。
打撃部13は、ピストン34と、ピストン34に固定されたドライバブレード35と、を有する。ピストン34は、シリンダ12内に配置されている。打撃部13は、中心線A1方向に作動及び停止可能である。ピストン34の外周面にシール部材30が取り付けられている。ピストン上室36が、ストッパ29とピストン34との間に形成される。ヘッドバルブ31がポート33を開いていると、蓄圧室20はピストン上室36に接続される。ヘッドバルブ31がポート33を閉じていると、蓄圧室20はピストン上室36から遮断される。
射出部15は、胴部18に対して、中心線A1方向でヘッドカバー21が設けられている個所とは反対の端部に固定されている。
図4のように、バンパ37が、シリンダ12内に設けられている。バンパ37は、シリンダ12内において、中心線A1方向で射出部15に最も近い位置に配置されている。バンパ37は、合成ゴム製、または、シリコンゴム製である。バンパ37は軸孔38を有し、ドライバブレード35は軸孔38内で中心線A1方向に作動可能である。シリンダ12内において、ピストン34とバンパ37との間にピストン下室39が形成されている。シール部材30は、ピストン下室39とピストン上室36とを気密に遮断する。
シリンダ12を径方向に貫通する通路41,42が設けられている。戻り空気室43が、シリンダ12の外面と胴部18との間に形成されている。通路41は、ピストン下室39と戻り空気室43とをつなぐ。逆止弁44がシリンダ12に設けられている。ピストン下室39及び戻り空気室43内に亘って、圧縮空気が封入されている。
図5及び図6のように、トリガ14はハウジング11に取り付けられている。トリガ14は、ハウジング11に対して支持軸47を介して取り付けられている。支持軸47の長手方向の端部にボス部47Aがそれぞれ設けられている。図7及び図8のように、2つのボス部47Aは、円柱形状であり、2つのボス部47Aは、ハウジング11に対して中心線D1を中心として所定角度の範囲内で回転可能である。支持軸47は、中心線D1から偏心した中心線D3を中心として設けられている。
1つのボス部47Aにモード選択部材84が固定されている。モード選択部材84は、作業者が操作して打込機10で行う打ち込みモードを選択する要素である。モード選択部材84は、一例として、レバーまたはノブである。打ち込みモードは、第1モードと第2モードとを含む。第1モードは単発打ちと定義可能であり、第2モードは連発打ちと定義可能である。
作業者がモード選択部材84を操作すると、2つのボス部47Aが中心線D1を中心として回転可能である。2つのボス部47Aが中心線D1を中心として作動すると、支持軸47は、中心線D1の周りで公転する。トリガ14は、中心線D3を中心として自転可能であり、かつ、中心線D1を中心として公転可能である。
作業者は、ハンドル19を手で握り、指でトリガ14に操作力を付加または解除する。作業者は、プッシュレバー16を相手材77に押し付けた状態で、トリガ14に操作力を付加する手順で打撃部13を作動させる場合に、第1モードを選択する。作業者は、トリガ14に操作力を加えている状態で、プッシュレバー16を相手材77に押し付ける手順で打撃部13を作動させる場合に、第2モードを選択する。モード選択部材84は、第1モードに対応して図2及び図7に示す第1操作位置と、第2モードに対応して図8及び図9に示す第2操作位置と、を有する。
図9のように、モード選択部材84に係合部85が設けられている。また、モード選択部材84を付勢する付勢部材86が設けられている。付勢部材86は、モード選択部材84を図2及び図9で時計回りに付勢する。付勢部材86は、一例として金属製のスプリングである。
トリガ14は、支持軸47を中心として、所定角度の範囲内で作動可能である。図5及び図6のように、トリガ14を付勢する付勢部材80が設けられている。付勢部材80は、トリガ14を支持軸47を中心として時計回りに付勢する。付勢部材80は、一例として金属製のスプリングである。筒形状のホルダ48が、ハウジング11に取り付けられている。付勢部材80により付勢されるトリガ14は、ホルダ48に接触して初期位置で停止する。
アーム49がトリガ14に取り付けられている。アーム49はトリガ14に対して支持軸50を中心として、所定角度の範囲内で作動可能である。支持軸50はトリガ14に設けられ、かつ、支持軸50は支持軸47とは異なる位置に設けられている。アーム49を支持軸50を中心として付勢する付勢部材81が設けられている。付勢部材81は、アーム49を反時計回りに付勢する。付勢部材81は、一例として金属製のスプリングである。付勢部材81により付勢されるアーム49は、ホルダ48に接触して初期位置で停止する。
トリガバルブ51が、胴部18とハンドル19との接続箇所に設けられている。トリガバルブ51は、プランジャ52、弁体55、通路56,60及び付勢部材69を有する。通路56は、通路57を介して制御室27に接続されている。付勢部材69は、一例として圧縮スプリングであり、付勢部材69は、プランジャ52を中心線A2方向でアーム49に近付ける向きで付勢している。
図1に示すように、射出部15は、一例として、金属製または非鉄金属製である。射出部15は、筒部70と、筒部70の外周面に接続されたフランジ71と、を有する。フランジ71は、胴部18に対して固定要素により固定されている。筒部70は、射出路72を有する。射出路72内に中心線A1が位置し、ドライバブレード35は射出路72内で中心線A1方向に移動可能である。
マガジン17は、射出部15に固定されている。マガジン17は釘73を収容する。マガジン17は、フィーダ74を有し、フィーダ74はマガジン17内の釘73を射出路72に送る。
プッシュレバー16に対して動力伝達可能に接続された伝達部材75が設けられている。伝達部材75は、ホルダ48により支持されている。伝達部材75がアーム49に接触すると、プッシュレバー16の作動力がアーム49に伝達される。伝達部材75がアーム49から離反していると、プッシュレバー16の作動力はアーム49に伝達されない。伝達部材75は、付勢部材76によりアーム49から離反する向きで付勢されている。付勢部材76は、一例として金属製のスプリングである。
さらに、図9に示すソレノイド87がハウジング11に設けられている。ソレノイド87は、コイル88、プランジャ89及びスプリング90を有する。プランジャ89は、磁性材料、例えば、鉄、鋼製である。スプリング90は、プランジャ89を軸方向に付勢する要素である。スプリング90は、一例として金属製の圧縮スプリングである。ソレノイド87に電力を供給すると、プランジャ89はスプリング90の付勢力に抗して軸方向に作動し、作動位置で停止する。プランジャ89が作動位置で停止すると、プランジャ89は係合部85に係合可能である。ソレノイド87に対する電力の供給を停止すると、プランジャ89はスプリング90の力で軸方向に作動し、プランジャ89は初期位置で停止する。プランジャ89が初期位置で停止すると、プランジャ89は係合部85から解放される。
図10は、打込機10に設ける制御部100の概要を示すブロック図である。制御部100は、電源101、電源回路102、タイマ回路103、論理回路104、アクチュエータ駆動回路105、モード選択スイッチ106、トリガスイッチ107、プッシュレバースイッチ108、電圧検出回路109を有する。電源101は、制御系に電力を供給するものであり、充電及び放電が可能な二次電池を用いることが可能である。電源101は、一例として図2に示すマガジン17に取り付けることが可能である。
トリガスイッチ107は、トリガ14に操作力が付加されるとオンし、トリガ14に対する操作力が解除されるとオフする。トリガスイッチ107は、オフであるとLOW信号を出力し、オンであるとHIGH信号を出力する。プッシュレバースイッチ108は、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられるとオンし、プッシュレバー16が相手材77から離反するとオフする。モード選択スイッチ106は、作業者がモード選択部材84を操作して選択したモードを検出して出力信号を発生する。モード選択スイッチ106は、第1モードが選択されるとLOW信号を発生し、第2モードが選択されるとHIGH信号を出力する。
トリガスイッチ107の出力信号及びプッシュレバースイッチ108の出力信号は、それぞれタイマ回路103に入力される。モード選択スイッチ106の出力信号は、電源回路102に入力される。電圧検出回路109は電源101の電圧を検出し、電圧検出回路109の出力信号は、論理回路104に入力される。タイマ回路103は、トリガスイッチ107がオンされた時点からの経過時間を計測し、経過時間が所定時間を超えると、所定の出力信号を発生する。タイマ回路103の出力信号は、論理回路104に入力される。論理回路104は、タイマ回路103の出力信号及び電圧検出回路109の出力信号に基づいて、出力信号を発生する。論理回路104の出力信号は、電源回路102に入力される。電源回路102は、電源101のオン及びオフを制御し、かつ、ソレノイド87に対する電力の供給及び停止を制御する。
次に、打込機10を用いて、図1に示す釘73を相手材77に打ち込む例を説明する。使用者はモード選択部材84を操作して、第1モードまたは第2モードを選択可能である。支持軸47は、2つのボス部47Aに対して偏心している。このため、モード選択部材84の操作位置が変わると、伝達部材75とアーム49とが接触する位置から、アーム49の先端49Aまで長さ、つまり、有効長さが変化する。モード選択部材84が第1操作位置で停止している際、図5に示す有効長さL1は、モード選択部材84が第2操作位置で停止している際、図6に示す有効長さL2よりも大きい。
(第1モードを選択する例) 作業者が、第1モードを選択すると、電源101の電力はソレノイド87に供給されない。このため、プランジャ89は、スプリング90の力で初期位置に停止している。したがって、プランジャ89は係合部85から離反している。また、第1モードが選択されている状態で、トリガ14に対する操作力が解除されていること、プッシュレバー16が相手材77から離れていること、の少なくとも一方が成立していると、打込機10のトリガバルブ51、ヘッドバルブ31、打撃部13は、次のような初期状態にある。
先ず、アーム49からプランジャ52に対して作動力は付与されないため、トリガバルブ51は、初期状態にある。初期状態にあるトリガバルブ51は、蓄圧室20と通路56とを接続し、通路56と通路60とを遮断する。蓄圧室20の圧縮空気が制御室27に供給されており、ヘッドバルブ31はポート33を閉じている。また、ピストン上室36は、排気通路24を介して外部B1につながっている。したがって、ピストン上室36の圧力は大気圧と同じである。このため、ピストン34は、ピストン下室39の圧力でストッパ29に押し付けられた状態で停止している。このように、打撃部13は上死点で停止している。
次に、作業者がプッシュレバー16を相手材77に押し付けると、プッシュレバー16の作動力が伝達部材75に伝達されるが、トリガ14に対する操作力が解除されていると、トリガバルブ51は初期状態に維持される。したがって、打撃部13は上死点で停止している。
作業者が第1モードを選択し、かつ、プッシュレバー16を相手材77に押し付けた状態において、作業者がトリガ14に操作力を付加すると、アーム49の作動力がプランジャ52に伝達される。すると、トリガバルブ51は作動状態になる。作動状態のトリガバルブ51は、蓄圧室20と通路56とを遮断し、かつ、通路56と通路60とを接続する。このため、制御室27の圧縮空気は、通路57、通路56、通路60を介して外部B1に排出され、制御室27の圧力が大気圧と同じになる。
制御室27の圧力が大気圧と同じになると、ヘッドバルブ31は、ポート33を開き、蓄圧室20はピストン上室36に接続される。また、ヘッドバルブ31は、ピストン上室36と排気通路24とを遮断する。すると、蓄圧室20の圧縮空気がピストン上室36に供給され、打撃部13は、上死点から下死点からに向けて中心線A1方向に作動し、ドライバブレード35が射出路72の釘73を打撃する。打撃された釘73は、相手材77に打ち込まれる。
打撃部13が釘73を相手材77に打ち込んだ後、ピストン34がバンパ37に衝突し、バンパ37は打撃部13の運動エネルギの一部を吸収する。ピストン34がバンパ37に衝突した時点における打撃部13の位置は、下死点である。また、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動中、逆止弁44が通路41を開き、ピストン下室39の圧縮空気は、通路41から戻り空気室43に流れ込む。
作業者がプッシュレバー16を相手材77から離すと、アーム49は付勢部材81の付勢力で作動位置から初期位置に戻って停止する。このため、トリガバルブ51は初期状態に戻り、ヘッドバルブ31は初期状態に戻ってポート33を閉じる。すると、ピストン34が下死点から上死点に向けて作動する。また、戻り空気室43の圧縮空気は、通路42を経由してピストン下室39に流れ込み、打撃部13は上死点に戻り停止する。
なお、作業者が第1モードを選択し、かつ、トリガ14に操作力を付加した状態で、プッシュレバー16を相手材77から離すと、アーム40の先端49Aは、伝達部材75の作動領域外で停止する。これは、有効長さL2が、有効長さL1よりも小さいからである。したがって、プッシュレバー16を再度、相手材77に押し付けても、伝達部材75の作動力はアーム49に伝達されない。
(第2モードを選択する例) 作業者が、第2モードを選択すると、制御部100は、電源101の電力をソレノイド87に供給する。すると、プランジャ89はスプリング90の力に抗して初期位置から作動し、作動位置で停止する。また、モード選択部材84は反時計周りに付勢されている。このため、係合部85がプランジャ89に押し付けられ、モード選択部材84が第2操作位置で停止する。
さらに、作業者が第2モードを選択した状態で、トリガスイッチ107がオフされ、かつ、プッシュレバースイッチ108がオフされていると、打撃部13は上死点で停止している。
次に、第2モードが選択されている状態で、作業者がトリガ14に操作力を付加し、プッシュレバー16が相手材77から離反していると、アーム49の作動力はプランジャ52に伝達されず、トリガバルブ51は初期状態にある。
作業者が第2モードを選択し、かつ、トリガ14に操作力を付加している状態で、プッシュレバー16を相手材77に押し付けると、プッシュレバースイッチ108がオンする。また、プッシュレバー16の作動力が伝達部材75に伝達され、アーム49が初期位置から作動位置に作動する。すると、トリガバルブ51は作動状態になり、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動し、打撃部13は釘73を相手材77に打ち込む。
打撃部13が釘73を相手材77に打ち込んだ後、作業者がプッシュレバー16を相手材77から離反させると、伝達部材75は作動位置から初期位置に戻って停止する。また、アーム49は作動位置から初期位置に戻って停止し、トリガバルブ51は作動状態から初期状態に戻る。
以後、作業者は、第2モードを選択し、かつ、トリガ14に操作力を付加した状態で、プッシュレバー16を相手材77に押し付ける操作と、プッシュレバー16を相手材77から離反させる操作とを交互に繰り返すと、プッシュレバー16を相手材77に押し付けた際に、伝達部材75の作動力がアーム49を介してプランジャ52に伝達され、トリガバルブ51が初期状態から作動状態になる。これは、有効長さL1が有効長さL2よりも大きく、アーム49が伝達部材75の作動領域に位置するからである。
次に、打込機10で行われる制御の一例を、図11のフローチャートを参照して説明する。作業者がステップS1で第2モードを選択すると、ステップS2で電源101の電力が制御部100に供給され、かつ、ソレノイド87に電力が供給される。つまり、ソレノイド87のプランジャ89が初期位置から作動位置に移動し、プランジャ89が作動位置で停止する。言い換えると、支持軸47は、図5及び図7に示す位置で停止する。
制御部100は、ステップS3で電源101の電圧が所定値未満であるかを判断する。所定値は、ソレノイド87のプランジャ89を、スプリング90の力に抗して初期位置から作動位置に作動させることが可能な値である。制御部100はステップS3でNoと判断すると、制御部100はステップS4において、タイマ回路103が動作中であるかを判断する。
制御部100はステップS4でNoと判断すると、制御部100は、ステップS5でトリガスイッチ107がオンされているかを判断する。制御部100は、ステップS5でNoと判断すると、ステップS3に進む。制御部100は、ステップS5でYesと判断すると、ステップS6でタイマ回路103の動作を開始させ、ステップS3に進む。タイマ回路103が動作を開始するとは、トリガ14に操作力が付加された時点からの経過時間の計測を開始することである。
制御部100は、ステップS4でYesと判断すると、ステップS7でトリガスイッチ107がオフされたかを判断する。制御部100は、ステップS7でNoと判断すると、制御部100は、ステップS8で経過時間が所定時間を超えたかを判断する。所定時間は、一例として3秒である。制御部100は、ステップS8でNoと判断すると、制御部100は、ステップS9において、プッシュレバースイッチ108がオンされたかを判断する。
制御部100は、ステップS9でNoと判断すると、ステップS3に進む。制御部100は、ステップS9でYesと判断するということは、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動することを意味する。そこで、制御部100がステップS9でYesと判断すると、ステップS10において、タイマ回路103は計測した経過時間をリセットし、ステップS3に進む。
制御部100がステップS8でYesと判断すると、ステップS11において、制御部100に対する電力の供給が停止し、かつ、ソレノイド87に対する電力の供給が停止する。ソレノイド87に対する電力の供給が停止されると、プランジャ89は作動位置から初期位置に作動し、プランジャ89は初期位置で停止する。このため、ステップS12において、モード選択部材84は、付勢部材86の力で図9において反時計回りに作動して第1操作位置で停止し、図11の制御例が終了する。このステップS12の処理により、第2モードから第1モードに移行する。
このように、第2モードが選択されている状態で、トリガスイッチ107がオンされ、かつ、プッシュレバースイッチ108がオフされている経過時間が所定時間を超えると、ソレノイド87に対する電力の供給が停止され、第2モードから第1モードに移行する。このため、作業者がトリガ14に操作力を付加した状態において、プッシュレバー16が相手材77以外の物体に接触した場合に、打撃部13が下死点に向けて作動することを防止できる。また、第2モードから第1モードに移行すると、一旦、トリガ14に対する操作力を解除すれば、第1モードに基づく釘73の打ち込み作業を行うことが可能である。
さらに、制御部100は、ステップS3またはステップS7でYesと判断すると、ステップS11及びステップS12を経由して図11の制御例を終了する。
また、ステップS11及びステップS12の処理を行うと、電源101の電力を消費する量の増加を抑制できる。したがって、電源101の小型化及び軽量化を図ることが可能である。電源101の電力は、打撃部13を下死点から上死点に向けて作動することに使用されない。このため、電源101は、制御部100及びソレノイド87の起動に用いる程度の電圧であれば済み、なるべく小型化することが可能である。
また、制御部100は、プログラムを必要としない回路、言い換えると、非プログラマブルなタイムアウト回路103を有する。このため、外部からプログラムを変更可能なマイコンを使用するよりも、安価に回路を構成できる。
外部から供給された圧縮性気体を利用して、打撃部を作動させる空気式打込機は、電力供給源を備えていない。本願発明者は、このように空気式打込機において、電気的なタイムアウト機構を搭載した打込機10を開示する。打込機10は、電源101の小型化により本体の重量増加を抑制できるとともに、制御部100を安価に構成することができる。したがって、打込機100の使用感が大きく損なわれることを抑制でき、かつ、製造コストが増加することを抑制できる。
図12は、図10に示す制御部100を構成する要素の一例である。電源101は、プラス端子110及びマイナス端子111を有する。アクチュエータ駆動回路105は、トランジスタ112、ダイオード113及び抵抗114,115を有する。トランジスタ112は、ソレノイド87及び電源101のマイナス端子111に対して直列に接続されている。抵抗115は、トランジスタ112のベース−エミッタ間に接続されている。抵抗114は、トランジスタ112のベースに接続されている。ソレノイド87は、プラス端子110及びトランジスタ112のコレクタに直列に接続されている。ダイオード113は、ソレノイド87と並列に配置されている。
電源回路102は、トランジスタ116,117、抵抗118,119,120,121を有する。抵抗118は、トランジスタ116のベース−エミッタ間に接続されている。トランジスタ116のベースは、抵抗119を介してトランジスタ117のコレクタと接続されている。トランジスタ116のエミッタは、抵抗114に接続されている。トランジスタ117のエミッタは、電源101のマイナス端子111に接続されている。また、抵抗120は、トランジスタ117のベース−エミッタ間に接続されている。さらに、抵抗121はトランジスタ117のベースに接続されている。トランジスタ117は、ベースに信号が入力されると電源101をオフする。
さらに、モード選択スイッチ106の第1端子は、トランジスタ117のコレクタに接続され、モード選択スイッチ106の第2端子は、電源101のマイナス端子111に接続されている。さらにまた、ダイオード122及び抵抗123が、トランジスタ116のベースと、電源101のプラス端子110との間に直列に接続されている。
論理回路104は、オアゲート124,125及びインバータ126を有する。オアゲート124は、出力側124A、第1の入力側124B及び第2の入力側124Cを有する。オアゲート124は、第1の入力側124Bまたは第2の入力側124Cの何れかに信号が入力されると、出力側124Aで出力信号を発生する。オアゲート125は、出力側125A、第1の入力側125B及び第2の入力側125Cを有する。オアゲート125は、第1の入力側125Bまたは第2の入力側125Cの何れかに信号が入力されると、出力側125Aで出力信号を発生する。
オアゲート124の出力側124Aは、インバータ126及び抵抗121を介してトランジスタ117のベースに接続されている。オアゲート124における第1の入力側124Bは、オアゲート125の出力側125Aに接続されている。
電圧検出回路109は、コンパレータ127、DC/DCコンバータ128及び抵抗129,130,131,132を有する。コンパレータ127は、プラス端子、マイナス端子及び出力端子を有する。コンパレータ127は、プラス端子に入力される電圧と、マイナス端子に入力される電圧とを比較し、何れの電圧が大きいかに応じて、出力端子から出力する信号を切り替える。
コンパレータ127の出力側は、オアゲート124の第2の入力側124Cに接続されている。抵抗129は、トランジスタ116のコレクタ及びコンパレータ127のマイナス端子に接続されている。抵抗131は、コンパレータ127のマイナス端子及び電源101のマイナス端子111に接続されている。DC/DCコンバータ128の入力側は、トランジスタ116のコレクタに接続され、DC/DCコンバータ128の出力側は、抵抗130を介してコンパレータ127のプラス端子に接続されている。抵抗132は、コンパレータ127のプラス端子及び電源101のマイナス端子111に接続されている。
タイマ回路103は、RS(リセット・セット)型フリップフロップ133、コンパレータ134,135、パルス生成器136、トランジスタ137、コンデンサ138、抵抗139,140,141,142,143を有する。抵抗139は、コンパレータ134のマイナス端子及びDC/DCコンバータ128の出力側に接続されている。コンパレータ134のマイナス端子は、抵抗141を介してコンパレータ135のプラス端子に接続されている。コンパレータ134のプラス端子は、抵抗140を介してDC/DCコンバータ128の出力側に接続されている。コンパレータ135のマイナス端子は、パルス生成器136の出力側136Bに接続されている。
コンパレータ134は、プラス端子に入力される電圧と、マイナス端子に入力される電圧とを比較し、何れの電圧が大きいかにより、出力端子から出力する信号を切り替える。コンパレータ135は、プラス端子に入力される電圧と、マイナス端子に入力される電圧とを比較し、何れの電圧が大きいかにより、出力端子から出力する信号が切り替える。
トリガスイッチ107の第1端子は、抵抗144を介してDC/DCコンバータ128の出力側に接続されている。トリガスイッチ107の第1端子は、パルス生成器136の入力側136Aに接続されている。トリガスイッチ107の第2端子は、電源101のマイナス端子111に接続されている。
コンデンサ138の入力側は、抵抗140を介してDC/DCコンバータ128の出力側に接続されている。コンデンサ138の出力側は、電源101のマイナス端子111に接続されている。プッシュレバースイッチ108の第1端子は、抵抗143を介してコンデンサ138の入力側に接続されている。プッシュレバースイッチ108の第2端子は、電源101のマイナス端子111に接続されている。トランジスタ137のコレクタは、コンデンサ138の入力側に接続され、トランジスタ137のエミッタは、電源101のマイナス端子111に接続されている。
RS型フリップフロップ133は、第1の入力側133A、第2の入力側133B、第1の出力側133C及び第2の出力側133Dを有する。第1の入力側133Aの入力信号が切り替わると、第1の出力側133C及び第2の出力側133Dにおける出力信号をそれぞれ切り替える。また、第2の入力側133Bの入力信号が切り替わると、第1の出力側133C及び第2の出力側133Dにおける出力信号をそれぞれ切り替える。第1の入力側133Aは、コンパレータ135の出力側に接続されている。第2の入力側133Bは、コンパレータ134の出力側に接続されている。第1の出力側133Cは、トランジスタ137のベースに接続されている。
制御部100は、タイムアウト検出部145及びトリガオフ検出部146を更に有する。タイムアウト検出部145は、経過時間が所定時間を超えたこと、つまり、タイムアウトを検出すると、出力信号を発生する。タイムアウト検出部145は、D型フリップフロップ147及びインバータ148を有する。D型フリップフロップ147は、第1の入力側147A、第2の入力側147B、出力側147Cを有する。
D型フリップフロップ147は、第1の入力側147Aの入力信号が切り替わると、出力側147Cの出力信号を切り替える。また、D型フリップフロップ147は、第2の入力側147Bの入力信号が切り替わると、出力側147Cの出力信号を切り替える。第1の入力側147Aは、DC/DCコンバータ128の出力側に接続されている。第2の入力側147Bは、インバータ148を介してRS型フリップフロップ133の第2の出力側133Dに接続されている。出力側147Cは、オアゲート125の第1の入力側125Bに接続されている。
トリガオフ検出部146は、トリガスイッチ107がオフしたことを検出すると、出力信号を発生する。トリガオフ検出部146は、D型フリップフロップ149及びインバータ150を有する。D型フリップフロップ149は、第1の入力側149A、第2の入力側149B、出力側149Cを有する。D型フリップフロップ149は、第1の入力側149Aの入力信号が切り替わると、出力側149Cの出力信号が切り替える。また、D型フリップフロップ149は、第2の入力側149Bの入力信号が切り替わると、出力側149Cの出力信号が切り替える。
第1の入力側149Aは、DC/DCコンバータ128の出力側に接続されている。第2の入力側149Bは、インバータ150を介してトリガスイッチ107の第1端子に接続されている。出力側149Cは、オアゲート125の第2の入力側125Cに接続されている。
図12に示す制御部100の機能は、次の通りである。モード選択スイッチ106がオフであると、電源101の電力は制御部100に供給されず、制御部100は停止している。図11のステップS1で第2モードが選択されて、モード選択スイッチ106がオンすると、電源101の電力は制御部100に供給される。具体的には、アクチュエータ駆動回路105のトランジスタ112のベースに電圧が印加され、ソレノイド87に電力が供給される。このため、プランジャ89は初期位置から作動位置へ作動しプランジャ89は、作動位置で停止する。
また、電源101の電力はタイマ回路103に供給される。第2モードが選択され、かつ、トリガスイッチ107がオフであると、トランジスタ137はオンであり、タイマ回路103に供給される電流はトランジスタ137を通るため、コンデンサ138に電荷は蓄積されない。
第2モードが選択され、かつ、トリガスイッチ107がオンすると、トリガスイッチ107の出力信号は、パルス生成器136を介してコンパレータ135のマイナス端子に入力される。すると、コンパレータ135の出力信号が、RS型フリップフロップ133の第1の入力側133Aに入力される。RS型フリップフロップ133における第1の出力側133Cの出力信号は、トランジスタ137のベースに入力される。このため、トランジスタ137はオフされ、タイマ回路103のコンデンサ138が電荷を蓄積する。このように、コンデンサ138に電流が供給されることが、図11のステップS6の処理である。
コンパレータ134のプラス端子には、コンデンサ138の電圧に応じた信号が入力される。また、コンパレータ134のマイナス端子には、電源101のプラス端子110の電圧に応じた信号が入力される。コンパレータ134は、プラス端子の電圧とマイナス端子との電圧とを比較する。制御部100は、コンパレータ134のプラス端子の電圧がマイナス端子の電圧以下であると、図11のステップS8でNoと判断する。図11のステップS8でNoと判断されている状態で、プッシュレバースイッチ108がオンすると、制御部100は、ステップS9でYesと判断する。そして、コンデンサ138の電荷は、プッシュレバースイッチ108から放電される。コンデンサ138の電荷を放電することが、図11のステップS10の処理に相当する。
これに対して、コンパレータ134のプラス端子の電圧が、マイナス端子の電圧を超えると、コンパレータ134は出力側から信号を出力する。コンパレータ134の出力信号が、RS型フリップフロップ133の第2の入力側133Bに入力されると、RS型フリップフロップ133の第2の出力側133Dから信号が出力される。つまり、制御部100は、図11のステップS8でYesと判断する。
RS型フリップフロップ133の第2の出力側133Dから出力された信号が、インバータ148を経てD型フリップフロップ147の第2の入力側147Bに入力されると、D型フリップフロップ147は、出力側147Cから信号を出力する。オアゲート125は、第1の入力側125Bまたは第2の入力側125Cの何れかに信号が入力されると、出力側125Aから信号を出力する。オアゲート124は、第1の入力側124Bまたは第2の入力側124Cの何れかに信号が入力されると、出力側124Aから信号を出力する。
出力側124Aから出力された信号が、トランジスタ117のベースに入力されると、トランジスタ116,117がオフし、電源101はオフされる。このため、ソレノイド87に対する電力の供給が停止する。つまり、制御部100は、図11のステップS11の処理を行う。
また、図12の制御部100は、電源101の電圧が所定値未満になると、コンパレータ127の出力端子から信号を出力する。その信号がオアゲート124の第2の入力側124Cに入力されると、電源回路102は電源101をオフする。つまり、制御部1000は、図11のステップS3でYesと判断してステップS11の処理を行う。
なお、図12に示す制御部100は、トリガスイッチ107がオフしている状態で、プッシュレバースイッチ108のオンを検出すると、第1モードが選択されたと判断し、図11の制御例を行わない。つまり、電源101はオフされ、かつ、ソレノイド87に対する電力の供給を停止する。
図13は、図11の制御例に対応するタイムチャートの一例である。時刻t0よりも前において、第1モードが選択されているため、モード選択スイッチの信号はLOWである。また、トリガスイッチの信号はLOW、コンデンサ138の電圧はゼロ[V]であり、ソレノイドに印加される電圧はゼロ[V]であり、電源の電圧はゼロ[V]である。
時刻t0において、第2モードが選択されてモード選択スイッチの信号がHIGHになると、ソレノイドに印加される電圧はゼロ[V]を超え、電源の電圧はゼロ[V]を超える。時刻t0において、トリガスイッチの信号はLOWであるため、コンデンサ138の電圧はゼロ[V]である。
時刻t0と時刻t1との間でモード選択スイッチの信号はLOWである。なお、モードは第2モードに維持されている。時刻t1で、トリガスイッチの信号がHIGHになると、コンデンサ138の電圧はゼロ[V]から上昇する。
コンデンサの電圧が閾値を超える前の時刻t2において、トリガスイッチの信号がLOWになると、ゼロ[V]に低下し、かつ、ソレノイドに印加される電圧はゼロ[V]に低下する。コンデンサの電圧である閾値は、図11のステップS8において、経過時間が所定時間を超えたかを判断するために用いる。
図14は、図11の制御例に対応するタイムチャートの他の例である。図14の事項において、図13と同じ事項の説明は省略する。図14において、時刻t3でトリガスイッチの信号はLOWであり、コンデンサの電圧が閾値を超えている。このため、図11のステップS8でYesと判断されてステップS11に進み、電源の電圧はゼロ[V]に低下し、かつ、ソレノイドに印加される電圧はゼロ[V]に低下する。
(制御部の他の例) 打込機10に設ける制御部100の他の例を、図15を参照して説明する。図15の要素において、図12と同じ要素は、図12と同じ符号を付してある。図15の制御部100は、図12の論理回路104、トリガオフ検出部146、モード選択スイッチ106、トランジスタ117、抵抗120,121、オアゲート125を備えていない。
また、図15に示すソレノイド151は、図7及び図8に示すボス部47Aに対して、ラック・アンド・ピニオン機構を介して接続されている。つまり、ソレノイド151のプランジャの直線方向の作動力が、ボス部47Aの回転力に変換される。さらに、図2、図7及び図8のモード選択部材84は設けられておらず、付勢部材86の付勢力は、ボス部47Aに加わる。また、係合部85はボス部47Aに設けられている。
そして、ソレノイド151に対する電力の供給が停止されていると、付勢部材86の付勢力でボス部47Aが付勢され、トリガ14が図8に示す位置で停止する。これに対して、ソレノイド151に対して電力が供給されると、ボス部47Aは付勢部材86の付勢力に抗して回転し、トリガ14が図7に示す位置で停止する。
図15の制御部100は、トリガスイッチ107の第1端子は、抵抗119を介してトランジスタ116のベースに接続され、トリガスイッチ107の第2端子は、電源101のマイナス端子111に接続されている。アクチュエータ駆動回路105は、インバータ126、オアゲート124、ダイオード113、トランジスタ112及び抵抗114を有する。D型フリップフロップ147の出力側147Cは、オアゲート124の第1の入力側124Bに接続されている。インバータ126は、抵抗114を介してトランジスタ112に接続されている。
図15に示す制御部100は、図11の制御例を実行可能である。制御部100は、プッシュレバースイッチ108がオフされている状態で、トリガスイッチ107がオンされると、図11のステップS1で第2モードが選択されたと判断する。また、ステップS2で電源101の電力が、制御部100に供給され、かつ、ソレノイド151に電力が供給される。さらに、制御部100に電力が供給されると、パルス生成器136の出力側136Bから信号が出力され、その信号はコンパレータ135のマイナス端子に入力される。このため、図12のタイマ回路103と同様の原理でトランジスタ137がオフされ、図11のステップS6でコンデンサ138に電荷が蓄積される。なお、図15の制御部100が図11の制御例を行う場合、ステップS5の判断をスキップする。
そして、コンパレータ134のプラス端子の電圧が、コンパレータ134のマイナス端子の電圧を超えると、制御部100は、図11のステップS8でYesと判断する。さらに、図12の制御系と同様にD型フリップフロップ147の出力側147Cから信号が出力され、その信号はオアゲート124の第1の入力側124Bに入力される。すると、アクチュエータ駆動回路105は、ステップS11でソレノイド151に対する電力の供給を停止する。
図15の制御部100は、ステップS8でYesと判断してステップS11に進んだ場合、制御部100に対する電力の供給を継続する。これに対して、図15の制御部100は、ステップS3でYesと判断した場合、または、ステップS7でYesと判断してステップS11に進んだ場合、電源101をオフする。
図15の制御部100においても、ソレノイド151に対する電力の供給及び停止を制御可能である。したがって、電源101の消費電力を低減可能である。また、打込機10にモード選択部材84及びモード選択スイッチ106を設けずに済み、打込機10の部品点数を低減可能である。
なお、図15に示す制御部100は、トリガスイッチ107がオフされている状態で、プッシュレバースイッチ108がオンされたことを検出すると、第1モードが選択されたと判断し、図11の制御例を行わない。つまり、電源101はオフされ、かつ、ソレノイド151に対する電力の供給を停止する。
(ソレノイドの他の例) ソレノイドの他の例を説明する。図9に示すソレノイド153は、コイル88、プランジャ89及びリング状の永久磁石152を有する、キープソレノイドである。ソレノイド153は、スプリング90を備えていない。ソレノイド153に対する電流の向きを切り替えると、プランジャ89が作動する向きが切り替わる。そして、ソレノイド153に対する電力の供給を停止すると、永久磁石152の吸引力でプランジャ89が停止する。このため、ソレノイド153に対する電力の供給を停止すると、プランジャ89は、初期位置または作動位置の何れにおいても、永久磁石152の吸引力で停止する。
ソレノイド153を用いると、経過時間の計測が開始された時点から、所定時間が経過するまでの間における少なくとも一部の時間で、ソレノイド153に対する電力の供給を停止できる。したがって、電源101の電力消費量を一層低減可能である。
(制御部の他の更に他の例) 図1の打込機10に設ける制御部100の更に他の例を、図16を参照して説明する。図16に示す制御部100は、ソレノイド153を制御する。図16に示す制御部100において、図12の制御部100と同じ要素は、図12と同じ符号を付してある。図16に示すアクチュエータ駆動回路154は、トランジスタ155,156,157,158、パルス生成器159,160を有する。トランジスタ155のコレクタは、電源101のプラス端子110に接続され、トランジスタ155のコレクタ−ベース間に抵抗161が設けられている。
トランジスタ155のエミッタは、トランジスタ156のコレクタに接続されている。トランジスタ156のエミッタは、電源101のマイナス端子111に接続されている。トランジスタ156のエミッタ−ベース間に抵抗162が設けられている。パルス生成器159の入力側163は、トランジスタ116のコレクタと、DC/DCコンバータ128の入力側と、の間に接続されている。パルス生成器159の出力側164は、抵抗165を介してトランジスタ155のベースに接続されている。パルス生成器159の出力側164は、抵抗166を介してトランジスタ158のベースに接続されている。
トランジスタ157のエミッタは、電源101のプラス端子110に接続されている。トランジスタ157のエミッタ−ベース間に抵抗167が設けられている。トランジスタ157のベースは、抵抗168,169を介してトランジスタ156のベースに接続されている。トランジスタ158のエミッタは、電源101のマイナス端子111に接続されている。トランジスタ158のエミッタ−ベース間に抵抗170が設けられている。
パルス生成器160の入力側171は、インバータ126と抵抗121との間に接続されている。パルス生成器160の出力側172は、抵抗168と抵抗169との間に接続されている。ソレノイド153は、トランジスタ155のエミッタとトランジスタ156のコレクタとの間、トランジスタ157のエミッタとトランジスタ158のコレクタとの間に対して、それぞれ接続されている。このように、電源101のプラス端子110は、トランジスタ155,156と、トランジスタ157,158とに分岐し、かつ、電源101のマイナス端子111に接続されて閉回路を形成している。つまり、トランジスタ155,156,157,158により、ブリッジ回路を形成している。
図16の制御部100は、図11のステップS2において、ソレノイド153に電力を供給して、図9のプランジャ89を初期位置から作動位置へ作動させ、かつ、ソレノイド153に対する電力の供給を停止する。また、図11のステップS11では、ソレノイド153に電力を供給して、図9のプランジャ89を作動位置から初期位置へ作動させ、かつ、ソレノイド153に対する電力の供給を停止する。図16の制御部100を有する打込機10は、図12の制御部100を有する打込機10と同様の効果を得ることが可能である。
(実施形態2) 打込機の実施形態2を、図17を参照して説明する。打込機10の実施形態2において、打込機10の実施形態1と同じ構成は、打込機10の実施形態1と同じ符号を付してある。トリガ14は支持軸47を中心として自転可能であり、かつ、ボス部47Aを中心として公転可能である。また、図17に示す打込機10は、図7、図8に示す付勢部材86を備えていない。また、ボス部47Aまたはモード選択部材84に対応する図9のソレノイド87は設けられていない。図17の打込機10は、作業者がモード選択部材84を操作した場合に限り、モード選択部材84を第1操作位置と第2操作位置とで切り替えることが可能である。また、打込機10は、図5及び図6に示すトリガバルブ51を有する。
ソレノイド173が射出部15に設けられている。ソレノイド173は、コイル174、プランジャ175及び付勢部材176を有する。プランジャ175は、中心線A1に対して交差する方向に作動可能である。付勢部材176は、プランジャ175を射出部15から離反する向きで付勢する。付勢部材176は、一例として金属製のスプリングである。ソレノイド173に電力が供給されると、磁気吸引力を発生する。プランジャ175は磁性材料、一例として鉄製である。ソレノイド173に対する電力の供給が停止すると、プランジャ175は付勢部材176の力で初期位置に停止する。ソレノイド173に対して電力を供給すると、プランジャ175は付勢部材176の力に抗して作動し、作動位置に停止する。
プッシュレバー16の作動力を伝達部材75に伝達するアーム177が設けられている。アーム177は係合部178を有する。アーム177は、プッシュレバー16と共に中心線A1方向に作動可能である。
図17の打込機10は、図12の制御部100を備えることが可能である。制御部1000は、作業者が第1モードを選択すると、ソレノイド173に対する電力の供給を停止する。すると、プランジャ175は付勢部材176の力で初期位置に停止する。プランジャ175が初期位置で停止すると、プランジャ175の先端は、アーム177の作動範囲から外れた位置にある。このため、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられると、アーム177が中心線A1方向に作動し、アーム177の作動力は伝達部材75を介してプランジャ52に伝達される。
また、制御部100は、作業者が第2モードを選択すると、ソレノイド173に対する電力の供給を停止する。そして、作業者が第2モードを選択し、かつ、トリガスイッチ107がオンした時点からの経過時間が所定時間内であると、ソレノイド173に対する電力の供給を停止する。これに対して、作業者が第2モードを選択し、かつ、トリガスイッチ107がオンした時点から、プッシュレバースイッチ108がオンされずに所定時間を超えると、ソレノイド173に電力が供給され、プランジャ175が作動位置で停止する。プランジャ175が作動位置で停止すると、プランジャ175の先端は、アーム177の作動範囲内にある。このため、経過時間が所定時間を超えた後に、プッシュレバー16が相手材77以外の物体に接触すると、プランジャ175の先端が係合部178に係合することで、アーム177の作動が規制される。
なお、ソレノイド173に電力が供給された場合、トリガスイッチ107がオフすると、制御部100は、ソレノイド173に対する電力の供給を停止し、かつ、経過時間をリセットする。
図17の打込機10は、図15の制御部100を備えていてもよい。この場合、モード選択部材84及びモード選択スイッチ106は設けない。図15の制御部100は、トリガスイッチ107がオフされている状態で、プッシュレバースイッチ108がオンすると、第1モードが選択されたと判断し、ソレノイド173に対する電力の供給を停止する。また、図15の制御部100は、プッシュレバースイッチ108がオフされている状態で、トリガスイッチ107がオンされると、第2モードが選択されたと判断し、図11の制御例を行う。さらに、図15の制御部100は、図11のステップS11において、ソレノイド173に対する電力の供給を停止する。図17の打込機10においても、電源101の電力消費量を抑制できる。
図17に示すソレノイドの他の例を説明する。図17に示すソレノイド179は、コイル174、プランジャ175及びリング状の永久磁石180を有する、キープソレノイドである。ソレノイド179は、付勢部材176を備えていない。コイル174に対する電流の向きを切り替えると、プランジャ175が作動する向きが切り替わる。そして、ソレノイド179に対する電力の供給を停止すると、永久磁石180の吸引力でプランジャ175が停止する。このため、ソレノイド179に対する電力の供給を停止すると、プランジャ175は、初期位置または作動位置の何れにおいても、永久磁石180の吸引力で停止する。
ソレノイド179を有する打込機10は、図16の制御部100を有し、かつ、図11の制御例を行うことが可能である。制御部100は、ステップS2において、ソレノイド179に電力を供給し、プランジャ175を作動位置へ移動させた後、ソレノイド179に対する電力の供給を停止する。
図16の制御部100は、ステップS11でソレノイド179に電力を供給して、プランジャ175を作動位置から初期位置に作動させた後、ソレノイド179に対する電力の供給を停止する。図16の制御部100を有する図17の打込機10は、図16の制御部100を有する打込機10と同様の効果を得ることが可能である。
ソレノイド179を用いると、経過時間の計測が開始された時点から、所定時間が経過するまでの間における少なくとも一部の時間で、ソレノイド179に対する電力の供給を停止できる。したがって、電源101の電力消費量を一層低減可能である。
(制御部の他の概要) 図18は、制御部100の他の概要を示すブロック図である。制御部100は、タイマ回路103、制御信号出力回路181、トランジスタ182を有する。トランジスタ182のエミッタは電源101のマイナス端子111に接続されている。トランジスタ182のコレクタは、ソレノイド151に接続されている。ソレノイド151は電源101のプラス端子110に接続されている。
タイマ回路103は、抵抗183、コンデンサ184、トランジスタ185及び集積回路186を有する。電源101のプラス端子110は、抵抗183、コンデンサ184を介して電源101のマイナス端子111に接続されている。トランジスタ185のエミッタは電源101のマイナス端子111に接続されている。トランジスタ182のコレクタは、抵抗183とコンデンサ184との間に接続されている。また、トランジスタ182のコレクタは、集積回路186に接続されている。トランジスタ185のベースは、プッシュレバースイッチ108に接続されている。トリガスイッチ107は集積回路186に接続されている。集積回路186は、予め所定時間に対応する電圧を認識するアナログ回路、またはデジタル回路である。集積回路186の出力側は、制御信号出力回路181の入力側に接続されている。制御信号出力回路181の出力側は、トランジスタ182のエミッタに接続されている。
図18に示す制御部100は、プッシュレバースイッチ108がオフされている状態で、トリガスイッチ107がオンすると、タイマ回路103に電圧が印加され、タイマ回路103が起動する。また、集積回路186の出力信号が制御信号出力回路181に入力される。制御信号出力回路181から出力された信号は、トランジスタ182のベースに入力される。すると、トランジスタ182がオンし、電源101の電力がソレノイド151に供給される。このため、支持軸47は、図5に示す位置で停止する。また、電源101の電流がコンデンサ184に流れ、コンデンサ184は電荷を蓄積する。つまり、タイマ回路103は、経過時間の計測を開始する。
タイマ回路103が経過時間の計測を開始した時点から、所定時間内にプッシュレバースイッチ108がオンされると、トランジスタ185がオンされ、電源101の電流はトランジスタ185を通る。また、コンデンサ184に蓄積されていた電荷は、トランジスタ185を介して放電される。つまり、タイマ回路103は経過時間をリセットする。
タイマ回路103が経過時間の計測を開始した時点から、プッシュレバースイッチ108がオンされずに所定時間を超えると、集積回路186から出力された信号が制御信号出力回路181に入力される。すると、制御信号出力回路181の出力信号がトランジスタ182に入力され、トランジスタ182がオフされる。このため、ソレノイド151に対する電力の供給が停止され、支持軸47は図6に示す位置で停止する。なお、図18に示すソレノイド151は、図17に示すソレノイド173であってもよい。図18に示す制御部100は、電源101の電力消費量が増加することを抑制可能である。トリガスイッチ107をオフすると、タイマ回路103に対する電力の供給が停止する。
(制御部の更に他の概要) 図19は、制御部100の更に他の概要を示すブロック図である。タイマ回路103は、集積回路186Aを有する。集積回路186Aはデジタル回路であり、トリガスイッチ107がオンすると、電源101の電力がタイマ回路103に供給されて、タイマ回路103が起動する。また、集積回路186Aの出力信号が制御信号出力回路181に入力される。
タイマ回路103が経過時間の計測を開始した時点から、プッシュレバースイッチ108がオンされずに所定時間を超えると、集積回路186Aから出力された信号が制御信号出力回路181に入力される。なお、図19に示すソレノイド151は、図17に示すソレノイド173であってもよい。図19に示す制御部100は、電源101の電力消費量が増加することを抑制可能である。
トリガスイッチ107をオフすると、タイマ回路103に対する電力の供給が停止する。図19に示す制御部100の他の機能は、図18に示す制御部100の他の機能と同じである。
図20は、タイマ回路103の他の例を示す図である。図20のタイマ回路103は、図12、図15、図16のタイマ回路103における抵抗140に加えて、可変抵抗140Aを設けたものである。抵抗140及び可変抵抗140Aは、直列に配置されている。可変抵抗140Aは、抵抗値を変更可能である。可変抵抗140Aは、一例として調整レバーを有し、調整レバーを操作すると、抵抗値を変更可能である。なお、調整レバーは、ハウジング11内に配置されており、ハウジング11の外部から操作することはできない。タイマ回路103の組み立て工程において、作業者が調整レバーを操作して抵抗値を設定する。
可変抵抗140Aの抵抗値を調整することで、所定時間を変更可能である。可変抵抗140Aの抵抗値を所定値に設定すると、所定時間が一例として3秒に設定される。可変抵抗140Aの抵抗値を所定値未満に設定すると、所定時間は3秒を超える。可変抵抗140Aの抵抗値を所定値以上に設定すると、所定時間が3秒以下になる。
実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。打込機10は、打込機の一例である。打撃部13は、打撃部の一例である。ハウジング11は、ハウジングの一例である。蓄圧室20は、蓄圧室の一例である。ピストン上室36は、圧力室の一例である。ポート33は、経路の一例である。トリガ14は、操作部材の一例である。プッシュレバー16は、接触部材の一例である。トリガバルブ51、ヘッドバルブ31、制御室27、支持軸47及びトリガ14は、駆動部の一例である。ソレノイド87,151,153,173,179は、規制機構の一部を構成する。
制御部100は、制御部の一例である。タイマ回路103は、回路の一例である。図12、図15及び図16に示すタイマ回路103は、アナログ回路の一例である。コンデンサ138は、受動素子及びコンデンサの一例であり、コンパレータ134,135は、能動素子及びコンパレータの一例である。電源回路102は、電源制御部の一例である。モード選択部材84は、切替部材の一例である。ソレノイド87,151,153,173は、モード変更機構の一例である。ヘッドバルブ31は、弁体の一例である。制御室27は、制御室の一例である。釘73は、止具の一例である。トリガバルブ51の初期状態、及びヘッドバルブ31がポート33を閉じていることは、待機状態の一例である。トリガバルブ51の作動状態、及びヘッドバルブ31がポート33を開いていることは、作動状態の一例である。コンパレータ134のマイナス端子に入力される電圧が、所定電圧の一例である。
打込機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、操作部材は、操作力が付加されて所定角度の範囲内で回転する要素の他、操作力が付加されて所定の範囲内で直線状に作動する要素を含む。操作部材は、レバー、ノブ、ボタン、アーム等を含む。接触部材は、相手材に押し付けられて直線状に作動する要素である。接触部材は、レバー、アーム、ロッド、プランジャ等を含む。
また、打込機10は、第2モードが選択され、かつ、トリガスイッチ107がオンした時点から、プッシュレバースイッチ108がオンされずに所定時間を超えると、ソレノイドにより打撃部13の作動を阻止する。ここで、規制機構の一部を構成するアクチュエータは、ソレノイドに代えて、ステッピングモータを用いることも可能である。つまり、アクチュエータは、電力の供給により作動する機構である。
制御部の少なくとも一部を構成する回路は、アナログ回路、デジタル回路のうち、少なくとも一方の回路を有する。アナログ回路は、アナログ素子を含み、デジタル回路は、デジタル素子を含む。制御部の少なくとも一部を構成する回路は、集積回路または、単一の集積回路チップを含む。
また、接触部材が相手材に接触した際の反力が駆動部に伝達されることを阻止する規制機構は、接触部材の作動量を規制するもの、接触部材と駆動部との間の動力伝達経路を遮断するもの、を含む。
また、経過時間の計測を開始する時期は、トリガスイッチがオンした時点の他、第2モードが選択された時点とすることも可能である。
圧縮性気体は、圧縮空気に代えて、不活性ガス、例えば、窒素ガス、希ガスを用いることもできる。打撃部は、ピストン及びドライバブレードが一体成形されている構造、別体であるピストンとドライバブレードとを固定した構造の何れでもよい。止具は、軸部及び頭部を有する釘の他、軸部が有り頭部の無い釘を含む。止具を打撃する方向に打撃部を作動させることは、打撃部が止具を打撃するか否かは問わない。