以下、本発明を電動式打込機に適用した実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明では、実施形態に係る電動式打込機全体の構成および効果について理解を容易にするために、上述した本発明の特徴以外の他の構成に関する説明を包含する。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[電動式打込機の組立構造]
最初に、本発明の実施形態に係る電動式打込機の組立構造について、図1ないし図8を参照して説明する。
図1の上面図および図2の側面図に示すように、電動式打込機100は、前端部に留め具打撃部(ノーズ部)1cを有する本体ハウジング部1aと、本体ハウジング部1aの留め具打撃部1cに設置され、この留め具打撃部1cの通路1eに釘等の留め具(図示なし)を連続的に供給するためのマガジン2と、本体ハウジング部1aから連結し垂下して延びるハンドルハウジング部1bと、ハンドルハウジング部1bの連結部(分岐部)に設けられた、留め具打込み時に操作するためのトリガスイッチ5と、留め具打撃部1cの先端部に設けられ、工作物に押し当てることによって留め具打込みタイミングを調整するプッシュレバースイッチ22と、ハンドルハウジング部1bの下端に接続したリチウムイオン電池等の蓄電池から構成される電池パック7とから構成されている。
マガジン2内には、図示されていなが、多数の連結留め具(ブロック)で装填されており、その連結留め具は、留め具打撃部1cのノーズ通路1eに打撃される留め具が順次供給されるように、マガジン2内の釘送り機構部2aに形成されたゼンマイバネ(図示なし)によりマガジン2の下方より付勢されている。マガジン2に関連し、マイクロスイッチから成る留め具残量センサ257が設けられる。留め具残量センサとして機能するマイクロスイッチ257は、マガジンマ2内の連結釘(留め具)の釘送り機構部2aに係合するアーム257aを有し、マガジン2内に整列された留め具の残量が少なくなると、アーム257aが押圧されてオン状態となるスイッチである。マイクロスイッチ257に関連して設けられる留め具残量検出回路406(図9参照)については後述する。
図3の拡大背面図に示されるように、打込機の本体ハウジング1aの背面には、連発モードの状態のとき点灯する単発モード/連発モード切替表示用LED(発光ダイオード)244と、動作可能モードにある制御系回路へ所定の電源電圧が供給されている場合に点灯する電源表示用LED246と、電池パック7の電池容量(放電残量)が少なくなると点灯する電池残量表示用LED242と、留め具残量センサ257によって検知するマガジン2内の留め具(釘)が少量となった場合に点灯する留め具残量表示用LED249とが設置されている。さらに、その背面には、単発モード/連発モード切替スイッチ(押しボタンスイッチ)233と、動作可能モードまたは低電力消費モードに切替えるための電源スイッチ(押しボタンスイッチ)210とが設置されている。これらの表示部およびスイッチ部の機能については後述する。
本体ハウジング部1a内には、留め具打撃部1cに送られる留め具に打撃力を与えて打込むための駆動子(プランジャ)3が設けられる。駆動子3は、ノーズ通路1e内の留め具の頭に打撃力を伝えるドライバブレード3aと、後述する回転運動するピニオン11と噛合うラック3bとを有する。駆動子3のラック3bとラック3bに噛合うピニオン11とは、ピニオン11の回転駆動力を駆動子3に直線駆動力として与える駆動子送り機構3cを構成する。
他方、図4に示されるように、本体ハウジング部1a内には、電池パック7(図2参照)による直流電源で駆動され、釘等の留め具を打込む動力源となるモータ(DC整流子モータ)6と、モータ6の回転軸に固定されたモータギア8と、モータギア8とギヤで噛合うフライホイール9と、フライホイール9を回転可能に支持する駆動回転軸10と、ピニオン11を回転可能に支持する従動回転軸12と、同軸上に設けられた駆動回転軸10端部と従動回転軸12端部(左端部)とをそれぞれ内包するコイルスプリング13と、ピニオン11の回転軸方向にソレノイド駆動部(シャフト)15を駆動する係合離脱手段(クラッチ部)となるソレノイド14とが設置されている。コイルスプリング13は、図5の上面図(a)および(b)、ならび正面図(c)に示すように、軸方向に所定のピッチをもって巻かれたらせん形状を有している。図4に示すように、コイルスプリング13の一端部13aはフライホイール9の駆動回転軸10に固定され、一端部13aに連続する左側スプリング部13c(図5(b)参照)は、駆動回転軸10の外周面を内包して駆動回転軸10と機械的に接続されている。すなわち、駆動回転軸10が回転すれば、コイルスプリング13が回転するように左側スプリング部13cが駆動回転軸10に取付けられている。この時、従動回転軸12の外径は、自然状態時のコイルスプリング13の内径、すなわち駆動回転軸10の外径、よりは小さく形成されている。このため、自然状態時(離脱状態時)には、コイルスプリング13の右側スプリング部13dが従動回転軸12と非接触状態にあり、駆動回転軸10の回転と同期してコイルスプリング13も回転するが、従動回転軸12は回転しない。一方、コイルスプリング13の他端部13bは、図5の(a)に示されるように、クラッチリング25の貫通穴25bに挿入されることにより、クラッチリング25に取付けられ、上記コイルスプリング13の回転と共に、クラッチリング25も回転する。
また、ソレノイド駆動部15の端部には、図4に示すように、傾斜溝部16aを有する付勢部材16とソレノイド戻りバネ17を配設し、付勢部材16およびソレノイド戻りバネ17を、円筒状の従動回転軸12の内周面側に設置する。さらに、円筒状の従動回転軸12の内周面には駆動子戻りバネ23が設けられる。この駆動子戻りバネ23の一端部23aは円筒状の従動回転軸12に固定され、その他端部23bはソレノイド14が取付けられる固定壁部24に固定される。これによって、駆動子3は、釘(留め具)を打込み後に従動回転軸12がコイルスプリング13との連結が離脱された状態になると、先端側へと付勢する力が働かなくなるため、駆動子戻りバネ23により後端側へと移動されて、釘打込前の状態へ戻る。円筒状の従動回転軸12の内周面内に付勢部材16、ソレノイド戻りバネ17および駆動子戻りバネ23を設置することにより動力伝達機構の小型化を図っている。
さらに、図4および図6に示すように、円筒状の従動回転軸12における円周面の一部には円周方向に120度の間隔で三つの穴18が設けられ、各穴18には、コイルスプリング13に対するスプリング接触部材となるボール(鋼球)19が径方向移動可能に設置される。ボール19は、ソレノイド駆動部15に設けられた付勢部材16の傾斜溝部16aによってクラッチリング25の内周面側から支えられており、ボール19の外周方向には従動回転軸12を回転可能に支持する従動回転軸支持部20が設置され、ボール19が常に従動回転軸12の穴18に従動回転軸12の回転方向で引っ掛かる状態となるようにボール19の外周方向移動量が制限されている。従動回転軸12には、図4に示されるように、略環状のクラッチリング25(図5(a)参照)が従動回転軸12に対して僅かに隙間を有して同軸的に環装されている。また、クラッチリング25が環装されている従動回転軸12の位置よりも後述のソレノイド14寄りの位置には、環状の従動回転軸支持部20が従動回転軸12を環装している。環状従動回転軸支持部20は、ベアリング24aによって支持されており、従動回転軸12を支承する。
図4および図6に示すように、自然状態時(離脱状態時)のコイルスプリング13の内径は従動回転軸12より大きく、駆動回転軸10よりは小さい。このため、自然状態時には、コイルスプリング13が従動回転軸12と非接触、駆動回転軸10とは接触状態にあり、駆動回転軸10の回転と同期してコイルスプリング13およびクラッチリング25も回転するが、従動回転軸12は回転しない。つまり、駆動回転軸10の回転駆動力は、従動回転軸12に伝達されない離脱状態(クラッチOFF状態)となる。
上記状態と反対の係合状態において、図7および図8に示すように、ソレノイド14にオン電流が流れた場合、ソレノイド駆動部15の付勢部材16がフライホイール9側(図7の左側)に移動するため、ボール19は、付勢部材16の傾斜溝部16aに沿って穴18内に押し込まれ、従動回転軸12の外周面から突出してクラッチリング25の内周面の溝部25a(図7参照)内に突出する。
すなわち、ボール19が傾斜溝部16aの最深部から傾斜部に沿って移動するとクラッチリング25に係合し、従動回転軸支持部20によって回転可能に支持された従動回転軸12はクラッチリング25と共に回転することになる。これによって、回転するコイルスプリング13の右側スプリング部13dは、内包する従動回転軸12の外周面のスプリング着座部12aを締め付けるので、駆動回転軸10に接触(接続)されているコイルスプリング13は、従動回転軸12のスプリング着座部12aにも接触状態となり、駆動回転軸10の回転と同期して従動回転軸12を回転させる。従って、ソレノイド14に電流が供給される係合状態(クラッチON状態)では、フライホイール9の回転力は、クラッチリング25およびコイルスプリング13を介して、駆動子送り機構3cを構成するピニオン11に伝達される。ピニオン11が回転運動すれば、ピニオン11に噛合うラック3bによって直線運動に変換されて、駆動子3に固定されたドライバブレード3aが留め具の頭部を打撃する。
後述するような制御において、ドライバブレード3aが留め具を打撃した後は、ソレノイド14に流れる電流はオフされるので、コイルスプリング13は従動回転軸12のスプリング着座部12aとの機械的接触(結合)を開放する。駆動子3には、例えば定荷重バネから成る、駆動子戻りバネ23が接続されている。このバネ力によって、打撃後の駆動子送り機構3c(ラック3bとピニオン11)の位置を、打撃前の位置に復帰させる。なお、図2に示されるように、本体ハウジング部1a内における駆動子3の往復通路1fの右端部にはダンパー部26が設けられている。ダンパー部26は、釘打込み時に駆動子3が本体ハウジング部1aの内壁部に衝突する衝撃を吸収するために設けられている。
以上の構成から、従動回転軸12のスプリング着座部12aとコイルスプリング13は、フライホイール9と駆動子送り機構3cとの間を係合状態または離脱状態に動作可能な動力伝達部として機能し、ソレノイド14、付勢部材16、ボール19、クラッチリング25は、その動力伝達部を係合状態または離脱状態に制御する係合離脱手段として機能する。よって、動力伝達部は、フライホイール9の回転エネルギーを駆動子送り機構3cに伝達することができ、さらに係合離脱手段は、動力伝達部を係合状態または離脱状態にすることができる。
本体ハウジング部1aの留め具打撃部1cの先端部には、プッシュレバースイッチ22が設けられる。プッシュレバースイッチ22によって、被加工部材への留め具の打込み深さの調整や、トリガスイッチ5と共に、留め具の打込みタイミングを調整する機能を持つ。
さらに、本体ハウジング部1a内には、プッシュレバースイッチ22およびトリガスイッチ5の操作に基づいて、モータ6の回転およびソレノイド14の駆動時間(オン時間)等を制御するためのコントローラ(制御装置)50(図2参照)が設置されている。コントローラ50は、略式的に図示されているが、回路基板(モジュール基板)と、回路基板に実装された半導体集積回路(IC)、パワーFET、抵抗器、コンデンサ、ダイオード等の各種の電気部品とを含んでいる。また、コントローラ50の配置は複数枚の回路基板に分割してハウジング内に分散配置してもよい。
[コントローラ50の回路構成]
次に、本体ハウジング部1a内に設けられているコントローラ50の回路構成について、図9を参照して説明する。なお、以下の説明おいてコントローラ(制御装置)50とは、マイクロコンピュータ228(図2参照)等の制御信号を出力する制御回路自体の他に、該制御回路によって制御されるモータ6の駆動回路、ソレノイド14の駆動回路、表示器(LED)駆動回路等の駆動出力回路(パワー出力回路)を含むものとする。
<マイクロコンピュータ228の構成>
マイクロコンピュータ(以下、単に「マイコン」と称する)228は、後述する図13乃至図15に示された、留め具打込み動作を制御する制御手順(ルーチン)を実行するために設けられている。つまり、上述したプッシュレバースイッチ22、トリガスイッチ5等の制御入力信号に基づいて、留め具打込み動作に必要なモータ6の回転、ソレノイド14の駆動等を制御するために設けられる。マイコン228は、図示されていないが、モータ6の駆動制御およびソレノイド14の駆動制御などの制御プログラムを格納し、また後述するモータ6の検知逆起電圧からモータ6への電力供給のオン時間等を記憶するROMと、ROMに格納された制御プログラム等を実行する演算部を有するCPU(中央処理装置)と、CPUの作業領域の記憶や、モータ逆起電圧検知回路から入力された逆起電圧に関するデータを一時記憶するためのRAMと、基準クロック信号発生器を含むTIM(タイマー)等を備える。
マイコン228は、トリガスイッチ5の出力信号を受信するための入力端子IN0と、後述する単発/連続モード切替スイッチ233の出力信号を受信する入力端子IN1と、プッシュレバースイッチ22の出力信号を受信するための入力端子IN2と、留め具残量センサ(スイッチ)257の出力信号を受信する入力端子IN3と、モータ6の逆起電力(逆起電圧)の出力信号を受信するAD変換入力端子AD0と、電池パック7の検出電圧を受信するAD変換入力端子AD2と、ソレノイド14を制御するための制御信号を出力するための出力端子OUT1と、後述するカウンタ240にリセットパルス信号を出力する出力端子OUT3と、表示用LED(発光ダイオード)242および表示用LED244に、それぞれ表示用駆動信号を出力するための出力端子OUT4および出力端子OUT5と、例えば2.87Vの電源電圧を供給するための電源端子Vccと、マイコン228に電源が供給された時にリセット信号を供給するためのリセット入力端子RESとを有する。マイコン228の制御手順については後述する。
<電源回路407の構成>
電池パック7は、上述したように、例えば6個のリチウムイオン電池セルから成り、満充電直後において約21.6Vのバッテリ電圧VBATを供給する。この電池パック7のバッテリ電圧VBATは、パワーFET272等を含むモータ6の駆動回路403や、パワーFET320およびパワーFET321を含むソレノイド14の駆動回路402等におけるパワー出力回路の電源電圧として直接利用される。電池パック7にはノイズ吸収用コンデンサ310が並列に接続されている。電池パック7の電池電圧VBATは、ダイオード201を介して電圧蓄積用コンデンサ202および電源回路407のトランジスタスイッチから成るスイッチング素子219(以下、「第4のスイッチング素子」と称する場合がある)に供給される。スイッチング素子219は、電源回路407の入力線路(スイッチング素子219のエミッタが接続される線路)と、電源回路407の出力線路(電源電圧Vccの線路)との間に挿入された線路スイッチ手段として機能する。ダイオード201はコンデンサ202の電荷逆流防止用ダイオードでとして機能し、モータ6の起動時に流れる大電流により電池パック7の電池電圧VBATが過渡的に低下し、これに伴い電源回路407の入力電圧が一時的に低下するのを防止している。すなわち、ダイオード201およびコンデンサ202は、一種のフィルタ回路として機能する。
コンデンサ202に供給されるバッテリ電圧VBATは、ツェナーダイオード203のツェナー電圧(約8.6V)でクランプされてコンデンサ204に約12Vの電源電圧Vddを供給する。この電源電圧Vddは、後述するディレイタイプフリップフロップ(Dタイプフリップフロップ)209、シュミットトリガインバータ207および215のような起動制御回路に必要な動作電圧を供給する。
一方、第4のスイッチング素子219のエミッタに供給されたバッテリ電圧VBATは、第4のスイッチング素子219のエミッタ−コレクタ通路および過電流制限用抵抗器220を介してレギュレータ223に供給される。第4のスイッチング素子219のエミッタ−コレクタ通路は、そのベース回路に接続された、後述する制御用スイッチングトランジスタ231のオン/オフ制御によって制御され、トランジスタ231がオン(ON)の時、第4のスイッチング素子219がオンしてレギュレータ223の入力端子INにバッテリ電圧VBATを供給し、逆に、トランジスタ231がオフ(OFF)の時、第4のスイッチング素子219をオフさせることによって、レギュレータ223の入力INへのバッテリ電圧VBATの供給を遮断する。従って、レギュレータ223の入力端子INへのバッテリ電圧VBATの供給(動作可能モードの状態)は、制御用スイッチトランジスタ231および第4のスイッチング素子219のオン/オフによって制御される。
レギュレータ223は、電池パック7のバッテリ電圧VBAT(例えば、21V)を、より低い定電圧の電源電圧Vcc(例えば、5V)に降圧する低電圧電源回路を構成する。レギュレータ223の入出力線路にはそれぞれ動作安定用のカップリングコンデンサとして機能するコンデンサ222および224が接続されている。レギュレータ223は、入力端子INに入力された高いバッテリ電圧VBATを定電圧化して、その出力端子OUTに、電池パック7の電源電圧VBATより低い電源電圧Vccを出力する。電源電圧Vccは、上記したマイコン228の動作電源として使用され、その他、LED242、244、246および249や、カウンタ240、発振回路OSC239、オペアンプ256および276等の制御系回路の電源電圧Vccとして使用される。
従って、コントローラ50を低電力消費モード(スタンバイモード)とするために電源電圧Vccをマイコン228等の制御系回路に供給したくない場合は、第4のスイッチング素子219をオフ状態に制御し、逆に、コントローラ50を動作可能モードとするために電源電圧Vccをマイコン228等の制御系回路に供給したい場合は、第4のスイッチング素子219をオン状態に制御する。
第4のスイッチング素子219のベース回路には、動作安定用抵抗器(バイアス抵抗器)218とベース電流制限用の抵抗器221が接続され、第4のスイッチング素子219のオン/オフ動作を制御するスイッチング用トランジスタ231が接続される。スイッチング用トランジスタ231のベースは、ベース電流制限用の抵抗器232を介して、制御回路として動作するDタイプフリップフロップ209のQ出力端子に接続され、Dタイプフリップフロップ209のQ出力端子の出力信号(オン/オフ信号)によって制御される。電源回路407および電源制御回路408の回路動作の詳細については後述する。
なお、図9の回路図において、電池パック7の電池電圧VBAT(約21V)から電源電圧Vdd(約12V)および電源電圧Vcc(約5V)の電圧源が構成されるが、電源電圧Vddの供給線路を「Vdd」として表示し、電源電圧Vccの供給線路を「Vcc」として表示する。
<電源制御回路408の構成と電源スイッチ210の機能>
電源制御回路408は、電池パック7を打込機本体100にセットした時、第4のスイッチング素子219をオン状態としてコントローラ50全体を「動作可能モード」に制御する機能を持つ。また、打込機本体100が動作可能状態にあっては、打込機本体100を、所定時間以上放置しておいた場合、自動的に「低電力消費モード」に制御する機能を持ち、さらに意図して電源スイッチ(動作可能モード/低電力消費モード切替スイッチ)210をオン操作することによって「動作可能モード」または「低電力消費モード」に制御する機能を持つ。
電源制御回路408は、Dタイプフリップフロップ209と、第1のシュミットトリガインバータ207と、第2のシュミットトリガインバータ215と、電源スイッチ210と、トランジスタ等のスイッチング素子211とを具備する。図10は、後述する電源制御回路408の動作について理解を容易にするために、動作テーブルとしてまとめたものである。表中、「H」は後述するレベル“1”、「L」はレベル“0”を意味する。また動作状態の“オン”は「ON」、“オフ”は「OFF」として示されている。
Dタイプフリップフロップ209は、Q出力端子が上記スイッチング用トランジスタ231のベース抵抗器232に接続され、その反転Q出力端子がD入力端子に接続されてトグル動作を行うように構成されている。これによって、クロック入力端子CKにレベル“1”の信号が入力される度に、Q出力端子はそれまでの出力論理(クロック入力が一つ前の出力論理)(例えば、レベル“0”)を反転した論理出力(例えば、レベル“1”)となる(図10参照)。Dタイプフリップフロップ209のQ出力端子がレベル“1”の出力のときスイッチング素子231はオンし、結果的に第4のスイッチング素子219をオンさせる。このように第4のスイッチング素子219は、レギュレータ223への給電をオン/オフ制御するスイッチとして機能する。なお、Dタイプフリップフロップ209としては、市販されている半導体集積回路(IC)「MC14013B」を適用することができる。このDタイプフリップフロップ209は、第4のスイッチング素子219がこれまでオン状態であったか、すなわち動作可能モードであったか、またはこれまでオフ状態であったか、すなわち低電力消費モードであったかを記憶するための記憶手段として機能しているので、Dタイプフリップフロップ209としてDタイプフリップフロップ以外の他の記憶手段を使用することもできる。
第1のシュミットトリガインバータ207がDタイプフリップフロップ209のクロック入力端子CKに接続される。シュミットトリガインバータ207には、例えば、市販の半導体製品MC14584が適用できる。また、このシュミットトリガインバータ207の入力側には、電源スイッチ210が結合される。
電源スイッチ210は、手動スイッチ手段として機能し、特に限定されないが、一例としてモーメンタリオンスイッチ(またはノーマルオープンスイッチと称せられるもの)により構成される。ここでモーメンタリオンスイッチとは、通常はオープン状態(オフ状態)にあって、オン操作(押圧動作)の間のみオン状態となるスイッチを意味する。電源スイッチ210は、そのオン操作によりフリップフロップ209のクロック入力端子CKにレベル“1”の制御信号(一種のクロック信号)を供給するためのスイッチであり、結果的に、電源スイッチ210をオンする度にフリップフロップ209の出力端子Qの論理出力を、それまでの出力論理と反転したものとする。従って、電源スイッチ210をオン操作する度に、Dタイプフリップフロップ209の出力端子Qを介して第4のスイッチング素子219をオンまたはオフに交互に制御することができる。すなわち、電源スイッチ210は、第4のスイッチング素子219のオン/オフ動作に対してトグルスイッチとして機能させることができる。
電源スイッチ210の動作についてさらに詳細に説明するならば、電源スイッチ210のオン操作によってシュミットトリガインバータ207の入力レベルは、抵抗器205、206とコンデンサ208の機能によりそれまでの“1”入力から“0”入力に反転する。その結果、シュミットトリガインバータ207の出力側(フリップフロップ209の入力端子CK)はそれまでの“0”出力から“1”出力に反転するので、電源スイッチ210のオン動作の度にフリップフロップ209の出力端子Qの論理が反転し、スイッチング素子231がオン/オフ制御されると同時に、第4のスイッチング素子219がオン/オフ制御される。
ここで、Dタイプフリップフロップ209のリセット入力端子RESには、第2のシュミットトリガインバータ215と、抵抗器216、コンデンサ213およびダイオード214から成るリセット入力回路とが接続されている。抵抗器216およびコンデンサ213は時定数回路を構成し、電池パック7を打込機本体100に装着し、コントローラ50に電気的に接続した際、フリップフロップ209のリセット入力端子RESを、所定時間の時限動作でレベル“1”の信号入力状態に一時的に保持し、これによって、最初にフリップフロップ209のQ出力端子を“0”出力とし、第4のスイッチング素子219をオフ状態に固定する。その後、電源スイッチ210をオン操作することによりフリップフロップ209のQ出力端子を“1”出力とし、第4のスイッチング素子219をオンさせる。
一方、第4のスイッチング素子219がオン状態にあるとき電源スイッチ210を再度オン操作すると、フリップフロップ209の出力端子Qが“0”出力となり、第4のスイッチング素子219をオフさせる。第4のスイッチング素子219がオフ状態あるときはマイコン228を含む制御回路系の電源電圧Vccは0Vとなり、電源電圧Vccが給電される制御回路系は電力を消費しない。所謂、電源スイッチ210によって低電力消費モードに切替えることができる。低電力消費モードにある場合、電源電圧Vddは、約12Vの電圧を、第1のシュミットトリガインバータ207、第2のシュミットトリガインバータ215、およびDタイプフリップフロップ209に供給するが、それら回路の論理出力レベルは一定となるので、電流消費はごく僅かの数μA程度となる。このため、電池パック7のエネルギー消耗は実質的に無視し得るものとなり、低電力消費モードを保持できる。この低電力消費モードにおいて電源スイッチ210をオン操作すると、コントローラ50の制御回路系には電源電圧Vccが供給されて、コントローラ50は動作可能状態(動作可能モード)に復帰する。
さらに、電源スイッチ210には並列にトランジスタから成るスイッチング素子211が接続されている。そのベースは、ベース抵抗器212を介して後述するカウンタ制御回路409に接続されている。このスイッチング素子211は、図10に示すように、動作可能モードの状態を所定時間(例えば、15分)以上放置した場合、オン状態となって、電源スイッチ210と同様に、Dタイプフリップフロップ209のクロック端子CKにレベル“1”を供給し、第4のスイッチング素子219をオフ状態として低電力消費モードに自動的に切替える機能を有する。すなわち、電源スイッチ210は、手動スイッチ手段として動作して任意に低電力消費モード/動作可能モードを切替え可能なスイッチとして機能する。一方、スイッチング素子211は、制御回路であるマイコン228からの指令により低電力消費モード/動作可能モードを切替え可能な電子的スイッチ手段として機能する。
<カウンタ制御回路409の構成>
コントローラ50の省電力化のため、電源スイッチ210、プッシュレバースイッチ22、トリガスイッチ5等が連続的に所定時間、例えば、15分以上、スイッチオンされなかった場合、カウンタ240(例えば、市販半導体製品74HC4060から成る)のリセット入力端子RESにはリセットパルス“1”が入力されず、カウンタ240が所定時間をカウントアップし、その出力端子Qが論理“1”出力となる。この出力により、図10を参照して上述したように、ベース抵抗器212を介してスイッチング素子211がオンし、第4のスイッチング素子219がオフし、結果的に、マイコン228を含むコントローラ50への電源電圧Vccの給電を停止させる。その結果、コントローラ50が動作中に電源スイッチ210をオンした場合と同様に、電池パック7のエネルギーの消耗は殆んど無い、所謂、低電力消費モード(スタンバイ状態)に制御される。この低電力消費状態において電源スイッチ210をオンすると、上述したようにコントローラ50は動作可能状態に復帰させることができる。
なお、カウンタ240のクロック入力端子CKには、発振部239よりクロック信号が供給される。カウンタ240のリセット入力端子RESには論理和用ダイオード235または論理和用ダイオード236を介して二つの信号が入力される。一つは、シュミットトリガインバータ207の出力が電圧レベル調整用の抵抗器217およびツェナーダイオード351によって所定電圧レベルにクランプされ、論理和用ダイオード235に入力される。他方、マイコン228の出力端子OUT3の出力信号が論理和用ダイオード236を介して入力される。
マイコン228の出力端子OUT3は、電源スイッチ210、プッシュレバースイッチ22、トリガスイッチ5および単発/連発モード切替スイッチ233をオン操作する度に、カウンタ240のリセット入力端子RESへリセットパルス信号を出力するように構成されている。なお、上記論理和用ダイオード235、236を通じて入力されるリセット信号は、さらに抵抗器237およびコンデンサ238から成るスパイク吸収用のフィルタ回路を介してリセット入力端子RESへ供給される。
<バックアップ電源回路を含むマイコン228のパワーオンリセット回路405>
次に、バックアップ電源回路を含むマイコン228のパワーオンリセット回路405について説明する。マイコン228のパワーオンリセット回路405は、リセット信号を出力するリセットIC227と、電池パック7に対するバックアップ電源として機能する高容量のコンデンサ226と、ダイオード225とを具備する。コンデンサ226はアルミ電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ等から成る高容量コンデンサで構成され、ダイオード225は逆方向耐圧電圧が高く、順方向電圧降下(スレッシュホールド電圧)が低いショットキーダイオード等から構成される。このダイオード225は、電圧供給路Vccの供給電流を導通する方向に電気的接続される。
マイコン228は、第4のスイッチング素子219がオンしたとき、電源表示用LED246が点灯し、電池パック7よりレギュレータ223を介して電源電圧Vccが供給される。この時、マイコン228のリセット端子RESには、電源電圧2.87Vでリセット動作するリセットIC227からパワーオンリセット信号(レベル“1”出力)が入力される。これによって、マイコン228は初期状態に設定され、後述するような予め定められたプログラムに従って制御動作を開始する。
しかしながら、上述したように、本願発明者は起動時の電源回路の動作に次のような問題があることを見出した。すなわち、電池パック7はモータ6を駆動しモータ6の重負荷となるフライホイールの回転を立ち上げるために、モータ6に大きな起動電流(ロック電流)を流す。このとき、図11に示すように、電池パック7として満充電より放電が進んだ電池残量の少ない電池(例えば、図11(a)の特性L2を持つ電池)を使用する場合、電池の内部抵抗が大きくなり、大きな起動電流(電池電流)により電池パック7の内部電圧降下が大きくなって、例えば、図11(b)の特性L2に示すように、電池電圧VBATが低くなる。従って、起動時にはレギュレータ223の出力電圧Vccも所定の電圧から大きく降下して、時間T(例えば、200ミリ秒)の過渡状態を経過する時、予期しないリセット動作(誤動作)をする場合がある。
この問題を解決するために、バックアップ電源回路として機能する高容量のコンデンサ226と、低い順方向電圧を有するダイオード225とが使用される。コンデンサ226とダイオード225による蓄積電圧によって、数100ミリ秒間以上の時間(図11(b)の時間Tに相当)、マイコン228およびリセットIC227の正常動作を維持するに必要なエネルギーを補給することができるので、モータ6が起動する際に流れるロック電流に基づくマイコン228の意図しないリセット動作を防止できる。
なお、図11に示すような放電過渡特性は、満充電時には発生しないが、特に、電池パック7の放電が進んだときに問題となる。例えば、図11に示すように、電池パック7の放電が進み電池残量(蓄積エネルギー)が少なくなると、放電過渡特性は、特性L1または特性L2に移行する。コンデンサ226の蓄積容量は、使用限界と判断される放電過渡特性の時間T(図11(b))に基づいて決定される。本実施形態では、使用している電池パックの電池残量が使用限界(過放電)に近づくと、マイコン228の制御によって電池残量表示用LED242が点灯警告するように構成されている。従って、バックアップ電源回路のコンデンサ226は、LED242の警告灯が点灯するまで、正常な電圧を補給できるように蓄積容量を決定できる。
<モータ駆動回路およびモータ逆起電力検出回路403の構成>
モータ6の駆動回路は、モータ6に直列接続されたNチャンネル型パワーMOSFET等から成るモータ駆動用のスイッチング素子272(以下、第1のスイッチング素子と称する場合がある)と、その駆動部を構成するPNP型トランジスタ282およびNPN型トランジスタ283とを具備する。
第1のスイッチング素子272はモータ6への電力供給をオン/オフ制御するためにモータ6と直列接続されている。この直列回路には、高い電力供給を行うために、電池パック7の電池電圧VBATが直接印加される。第1のスイッチング素子272のゲート(制御電極)には分圧抵抗器350および273が接続され、トランジスタ282の負荷抵抗を形成している。
トランジスタ282のオン動作により第1のスイッチング素子272がオンするように構成される。トランジスタ282のベースにはベース電流制限用抵抗器285を通じてNPN型トランジスタ283のコレクタが接続される。NPN型トランジスタ283のベースはベース電流制限用抵抗器284を介して後述するオペアンプ256の出力に接続され、トランジスタ283のエミッタはマイコン228の出力端子OUT0に接続されている。この回路構成により、オペアンプ256の出力がレベル“1”で、マイコン228の出力端子OUT0がレベル“0”出力のとき、NPN型トランジスタ283およびPNP型トランジスタ282がオンして、モータ駆動用スイッチング素子であるNチャンネル型パワーMOSFET272がオンするように構成する。
モータ6の逆起電力検出回路は、オペアンプ276を具備する。オペアンプ276は、抵抗器274、275、277および278と共に差動増幅回路を構成し、モータ6の回転数制御のために、その回転子のコイル(図示なし)に発生する逆起電力を差動増幅してマイコン228のAD変換端子AD0に供給するものである。抵抗器269とコンデンサ267で逆起電力の信号波形に対するフィルタ回路を構成する。ダイオード271はモータ6のフライバック電圧を吸収するためのダイオードである。
<モータ駆動用パワーFET272の温度検出回路404の構成>
モータ駆動用パワーFET(第1のスイッチング素子)272の温度検出回路404は、サーミスタ279と、分圧用抵抗器280と、平滑用コンデンサ281とから構成される。サーミスタ279は、モータ駆動用パワーFET(第1のスイッチング素子)272が140℃以上の過度な温度上昇により破壊するのを防止するための温度計測素子である。このサーミスタ素子279は、図12に示されるように、チップ型のサーミスタ279で構成され、モジュール回路基板PCBにパワーFET272と共に実装される。すなわち、パワーFET272は、他のパワーFET320(図12には図示なし)などと共に、そのソース端子S、ドレイン端子Dおよびゲート端子Gが回路板PCBのソース配線路Ws、ドレイン配線路Wdおよびゲート配線路Wgにそれぞれ半田付けされる。
この場合、第1のスイッチング素子272の温度を正確に測定するために、チップ型サーミスタ279は、第1のスイッチング素子272からの放熱量が大きいソース配線路Ws中に接続される。サーミスタ279の他端は配線路Wtを介して、抵抗器280を介して定電圧電源電圧Vccに接続されると共に、マイコン228のAD変換端子AD4に接続されている(図9参照)。この構成により、第1のスイッチング素子272のソース端子における温度に対応するサーミスタ279の電位変化をマイコン228のAD変換端子AD4に供給して温度を検出できる。なお、第1のスイッチング素子272は電力損失が大きく放熱量が大きいので、図12に示されるように、金属薄版から成る放熱板(ヒートシンク)HSが、ビス穴H1を介して、第1のスイッチング素子272のパッケージにネジ止めされる。
<ソレノイド駆動回路402の構成>
本発明に従うソレノイド(係合離脱手段)14の駆動回路402の構成は次のとおりである。ソレノイド14の駆動回路402は、ソレノイド14に並列接続されたフライバック電圧吸収用のダイオード286と、Nチャンネル型パワーMOSFET320(以下、「第3のスイッチング手段」と称する場合がある)と、Nチャンネル型パワーMOSFET320と直列接続されたNチャンネル型パワーMOSFET321(以下、「第2のスイッチング手段」と称する場合がある)とを具備する。第2のスイッチング手段321と第3のスイッチング手段320は、異なるゲート制御信号によってオンまたはオフに制御される。
第2のスイッチング手段(MOSFET)321の制御入力回路は、MOSFET321のゲート信号電圧を供給する入力用抵抗器324と、オフ遅延回路410と、プッシュレバースイッチ22に直列接続された検出用抵抗器259と、を具備する。プッシュレバースイッチ22のオン時の検出信号は、電源電圧Vcc線路に対してプッシュレバースイッチ22と直列接続された検出用抵抗器259の両端電圧を信号レベル“1”とする。
第3のスイッチング手段(MOSFET)320の制御入力回路は、MOSFET320がオンするためのゲート信号電圧を供給する入力用抵抗器325と、マイコン228の出力端子OUT1に接続された抵抗器322と、を含む。
プッシュスイッチ22のオン状態に対応する信号レベル“1”は、マイコン228の入力端子IN2にも入力される。一方、マイコン228の出力端子OUT1には、マイコン228の演算処理により、プッシュレバースイッチ22およびトリガスイッチ5が共に操作されてのオン状態となった場合、所定時間、例えば20m秒の間、信号レベル“1”が出力される。
プッシュレバースイッチ22のオフ遅延回路410は、入力用ダイオード260と、充電用抵抗器261と、プッシュレバースイッチ22のオンレベル電圧を蓄積するためのコンデンサ262と、放電用抵抗器263とを具備する。充電用抵抗器261とコンデンサ262の時定数は、放電用抵抗器263とコンデンサ262の時定数に比べて小さく設定されている。
プッシュレバースイッチ22をオン操作すると、マイコン228の入力端子IN2がレベル“1”になると共に、ダイオード260および充電用抵抗器261を介してコンデンサ262が比較的速やかに充電され、MOSFET321のゲート電圧が高くなり、MOSFET321はオンする。なお、入力用抵抗器259は、プッシュレバースイッチ22がオン操作されないオフ状態にある時、マイコン228の入力端子IN2をレベル“0”にするシャント抵抗としても機能する。
一方、プッシュレバースイッチ22およびトリガスイッチ5のオン操作によりマイコン228の出力端子OUT1がレベル“1”になると、抵抗器322を介して第3のスイッチング手段のMOSFET320にゲート電圧が印加され、MOSFET320はオンする。従って、第3のスイッチング手段のMOSFET320は、プッシュレバースイッチ22およびトリガスイッチ5を共にオン操作させた時に発生するレベル“1”の制御信号によってオンする。
コンデンサ262および放電用抵抗器263で構成する遅延回路は、留め具の打込み途上でプッシュレバースイッチ22がそのスイッチ自体の振動(チャタリング)等によりオフしても、コンデンサ262および抵抗器263の時定数回路が遅延回路を構成し、コンデンサ262に蓄えられた電荷をFET321のゲート電圧として供給する。結果的にプッシュレバースイッチ22におけるチャタリング等の振動の影響を受けることなく、MOSFET321に所定電圧以上のゲート電圧を供給し、MOSFET321をオン状態に維持させる。
<留め具残量検出回路406の構成>
留め具残量検出回路406は、留め具残量センサ257と、オペアンプ256と、遅延回路401とを具備し、マガジン2に装填された釘等の留め具の残量が少量になったことを検出するための回路である。
留め具残量センサ257は、マガジンマ2内の連結釘(留め具)の釘送り機構部2a(図2参照)に関連して設けられたマイクロスイッチ等から成り、マガジン2内に整列している留め具の残量が少なくなるとマイクロスイッチ257のアーム257aが、マガジン2内の釘送り機構部2aと当接または接触してオンする。
留め具残量センサ257がオンすることにより、留め具残量センサ257のオフ時に抵抗器245と充電スピードアップ用ダイオード255を介してコンデンサ253に充電されていた電荷を、抵抗器254を介して緩やかに放電させると共に、マイコン228の入力端子IN3をそれまでのレベル“1”からレベル“0”に反転させる。遅延回路401は、コンデンサ253および抵抗器254から構成され、スイッチ(留め具残量センサ)257のオン動作によって発生したレベル“0”信号がオペアンプ256の非反転入力端子(+)にレベル“0”信号として入力されるまでの時間を遅延または減衰させる機能を持つ。その遅延時間はコンデンサ253および抵抗器254の時定数によって決定され、ドライバブレードによる留め具打込み動作期間に対応する時間に設定される。この遅延回路401の機能については後述する。
オペアンプ256の反転入力端子(−)には、電源電圧Vccを抵抗器250と抵抗器252によって分圧された電圧が印加されており、留め具残量センサ257のオンによりオペアンプ256の非反転入力端子(+)は、電源電圧Vccに近いレベル“1”から略0Vのレベル“0”に変化するので、オペアンプ256の出力端子はそれまでのレベル“1”出力からレベル“0”出力に反転する。オペアンプ256の出力端子がレベル“0”出力に反転することにより、留め具残量表示器を構成するLED(発光ダイオード)249が点灯し、マガジン2内の留め具が少量となったことを警告すると共に、第1のスイッチング素子272および第3のスイッチング手段320をオフさせてドライバブレードによる留め具打込み動作を停止させる。なお、コンデンサ251は、電池パック7をコントローラ50に接続した瞬間にオペアンプ256の出力端子が一時的にレベル“0”出力となって、上記残量表示用LED249が一瞬点灯するような誤動作を防止するための積分用コンデンサである。
<電池パック7の電圧検出回路>
電池パック7のバッテリ電圧VBATは、抵抗器268および抵抗器270で分圧され、抵抗器266とコンデンサ265から成る積分回路を介してマイコン228のAD変換端子AD2に入力される。マイコン228は電池パック7の電圧を検出し、電池残量表示用LED242に電池パック7のエネルギー残量をモニターする。
<表示回路>
LED246は電流制限用抵抗器247を介してレギュレータ223に並列に接続された電源表示器で、レギュレータ223が正常に動作している状態(動作可能状態)にある時に点灯する。
LED242は、マイコン228の出力端子OUT4と、レギレータ223の出力電圧Vccとの間に電流制限用抵抗器241を介して接続された電池残量表示器で、電池パック7の放電残量が少なくなると点灯する。例えば、電池パック7の電池残量が18V未満になると点灯する。
また、LED244は、マイコン228の出力端子OUT5と、レギレータ223の出力電圧Vccとの間に電流制限用抵抗器243を介して接続されたモード表示器で、特にコントローラ50が連発モードにあるとき点灯する連発モード表示器として機能する。
<その他の回路構成>
トリガスイッチ5は、一方のスイッチ状態(オフ状態)から他方のスイッチ状態(オン状態)に操作されると、マイコン228の入力端子IN0にレベル“1”を入力する。トリガスイッチ5に直列接続された抵抗器230は、トリガスイッチ5が操作されないオフ状態ではマイコン228の入力端子IN0にレベル“0”を入力するために設けられている。
スイッチ233は電源スイッチ210と同様に、モーメンタリオンスイッチ(またはノーマルオープンスイッチ)により構成され、単発/連発モード切替スイッチとして機能する。単発/連発モード切替スイッチ233がオンすると、これまで単発モードであれば連発モードに切替り、逆にこれまで連発モードであれば単発モードに切替る。スイッチ233は、オンする度にマイコン228の入力端子IN1にレベル“1”を入力する。単発/連発モード切替スイッチ233に直列接続された抵抗器234は、単発/連発モード切替スイッチ233がオフしている状態ではマイコン228の入力端子IN1にレベル“0”を入力するために設けられている。
[電動式打込機100の留め具打込みの基本動作]
次に、電動式打込機100の留め具打込みの基本動作を機械的な観点から説明する。
作業者が、トリガスイッチ5を引き、さらにプッシュレバースイッチ22を被加工部材(工作物)に押し当てると、コントローラ50の制御動作により第1のスイッチング素子272がオンし、電池パック7を電源にしてモータ6が回転する(図1参照)。これによって、モータ6の回転駆動力は、モータ6と機械的に接続されたモータギア8を介してフライホイール9に伝達され、さらに駆動回転軸10に取付けられたコイルスプリング13を回転させる(図4参照)。この状態では、モータ6の回転数の増加と共に、フライホイール9の回転速度が時間と共に所定値まで増加する。フライホイール9は、モータ6の駆動により回転速度が大きくなるほど、大きな運動エネルギーを蓄積する。このとき、図4および図6に示すように、コイルスプリング13の内径は従動回転軸12より大きいので、コイルスプリング13の回転力は従動回転軸12を回転させない。また、コイルスプリング13と従動回転軸12とがすべり接触した場合に生じる摩耗という問題も生じない。
フライホイール9の回転が所定時間経過後、コントローラ50がソレノイド14を励磁すると、図7および図8に示すように、ソレノイド駆動部15および付勢部材16がフライホイール9に向う方向に動くため、付勢部材16の傾斜溝16aによってボール19が従動回転軸12の穴18より外周側に押し出され、穴18より外周側に突出したボール19はクラッチリング25の溝部25aと係合し、クラッチリング25は従動回転軸12にボール19を介して機械的に接続されることになる。従って、コイルスプリング13の他端部13bはクラッチリング25の穴25bに挿入されているので、クラッチリング25の回転とともに、コイルスプリング13の右側スプリング部13dは従動回転軸12に巻き付けられることになる。その結果、駆動回転軸10の回転力を利用して発生する巻付き力によってコイルスプリング13と従動回転軸12の外周面とで必要十分な摩擦力が発生し、従動回転軸12は数十ミリ秒以内に十分な回転速度を得ることができる。さらに、従動回転軸12が回転するとピニオン11が同期して回転するため、ピニオン11と駆動子3のラック3bが噛合う駆動子送り機構3cは、ドライバブレード3aをマガジン2に充填された留め具に近づく方向に動き、ドライバブレード3aが留め具と衝突完了(打撃)した時に打込みが終わる。
打込み完了時にはソレノイド14の駆動も終了し、ソレノイド戻りバネ17のバネ力によってソレノイド駆動部15および付勢部材16を初期位置に戻す。付勢部材16が初期位置に戻るとボール19の押付け力が消失するので、ボール19とクラッチリング25との摩擦力が無視できるほど小さくなり、コイルスプリング13の内径が自然状態になるまで拡大する。このとき、駆動回転軸10から従動回転軸12への動力伝達は切断されるので、駆動子戻りバネ23によってドライバブレード3と、駆動子送り機構3cのピニオン11および駆動子3とは初期状態に戻る。
[コントローラ50の制御動作]
次に、コントローラ50の動作の詳細について、図13、図14および図15に記載された制御フローチャートを参照して説明する。
電池パック7をコントローラ50(打込機本体100)に装着して電気的接続したときの電源制御回路408の動作は、図10に示したとおりである。図10を参照して上述したように、電池パック7の装着直後の電源回路407のスイッチング素子219はオフ状態となる。その後、電源スイッチ210をオンすると、図10に示すように、フリップフロップ209の出力端子Qがそれまでのレベル“0”出力からレベル“1”出力に反転し、第4のスイッチング素子219がオンする。その結果、レギュレータ223は5Vを出力し、コンデンサ226を約5Vに充電すると共に、電源表示用LED246が点灯する。定電圧5VがリセットIC227の入力端子INに印加されると、その出力端子OUTからマイコン228のリセット入力端子RESへパワーオンリセット信号(レベル“1”信号)が入力され、マイコン228は、図13、図14および図15に記載された打込み動作の制御フローチャートに従って動作を開始する。
まず、ステップ501で、マイコン228は、「単発モード」を設定する。また、出力端子OUT5には連発モード表示用LED244を「消灯状態」とするようなレベルの信号を出力する。
次に、ステップ502でトリガスイッチ5およびプッシュレバースイッチ22が共にオフ状態かを確認する。両者がオフ状態のとき、初期状態(ステップ566)にあると判断され、以下の動作が開始される。
<電池パック7の残量表示処理>
ステップ503〜ステップ505において、電池パック7が充電されているか放電量が多いか残量表示処理が行なわれる。マイコン228がAD変換端子AD2の電池電圧VBATを読み取り、モータ6ソレノイド14が動作してない状態で、例えば、リチウムイオン2次電池の6本を直列接続した公称電圧21.6Vの電池パック7の電圧が例えば18V未満になると、マイコン228は、電池残量表示用LED242を「消灯状態」から「点灯状態」にさせる。なお、マイコン228は、留め具打込み動作後1秒以内は電池パック7の電池電圧出力が回復途上にあるので、これらの処理を実行しないようにするか、または読み取ったAD変換端子AD2の検出電圧の移動平均化処理により電池パック7の真の残量を演算し、残量を表示しても良い。
<第1のスイッチング素子272の温度検出処理>
ステップ506において、マイコン228は、AD変換端子AD4の入力電圧に基づいて第1のスイッチング素子272の温度が所定温度、例えば140℃以下か否かをチェックする。140℃を超えている場合はステップ507に進み、ダイナミックストップ状態となり、電池残量表示用LED242およびモード表示用LED244を点滅表示させ続けて、ステップ508以降の留め具打込み動作を停止する。このとき、第1のスイッング素子272はマイコン228によってオンされることはない。
<単発モードと連続モード間の切替え処理>
ステップ508〜ステップ511は、単発モードと連発モード間の切替え処理を実行するステップである。このステップで、単発/連発モード切替スイッチ233をオンすると、マイコン228は、初期に設定された「単発モード」から「連発モード」に切替わり、連発モード表示用LED244が「連発モード」の設定を示すために点灯する。
なお、マイコン228が「連発モード」の設定状態にあるとき、単発/連発モード切替スイッチ233をオンすると再び「単発モード」を設定するように構成されている。単発/連発モード切替スイッチ233は、所謂、トグルスイッチとして機能し、オンする度に単発モードと連発モード間の切替えを行う。
<単発モードの処理>
ステップ512で単発モードと判断されると、ステップ513〜ステップ515に進み単発モードのための処理が実行される。
すなわち、ステップ513でトリガスイッチ5を最初にオンすると、ステップ514に進み、マイコン228は、出力端子OUT0よりレベル“0”を出力し、モータ6の回転を開始させる。この開始と同時に、ステップ515において、マイコン228内の二つのタイマーT1およびT2(図示なし)が時間のカウントをスタートする。この場合、タイマーT1は、モータ6が所定の定速度C(rpm)(例えば、C=21,000rpmに設定)またはそれに近い速度に達するために必要な所定時間(第1の加速時間)A、例えば、350ミリ秒(以下、単位「ミリ秒」を「ms」と表現する場合がある)、経過後にタイムアップする機能をもち、またタイマーT2は、次の処理が放置されていないか否か決定するために割当てられた時間をタイムアップする機能を有する。
なお、トリガスイッチ5を最初にオンした後、所定時間(第1の加速時間)A(350ミリ秒)経過後はタイマーT1がタイムアップし、ステップ518に進み、モータ6が所定の定速度C(例えば、21,000rpm)になるようにPWM速度制御を開始する。このモータ6の定速度制御については後述する。
図16の動作タイムチャートに示すように、トリガスイッチ5を最初にオンした後、所定時間A(350ミリ秒)経過する前に、作業者が打込機100の本体先端部22(図1参照)を、図示されていない被打込部材(被加工部材)に押し付けると、プッシュレバースイッチ22(図9参照)がオンする。プッシュレバースイッチ22がオンすると、ステップ522においてプッシュレバースイッチ22はオンと判断され、MOSFET321のゲート(制御電極)にプッシュレバースイッチ22および遅延回路410を介して電源電圧Vccよりゲート電圧が供給され、この時点でMOSFET321はオンする。その後、ステップ523〜ステップ529の制御処理が実行される。
すなわち、トリガスイッチ5をオンした時より所定時間A(ミリ秒)経過後に、ステップ523において、マイコン228の出力端子OUT0よりレベル“1”を出力してトランジスタ283をオフすることによりモータ6をオフ処理する。
次に、ステップ525(図13参照)で10ミリ秒の経過を待って、ステップ526で、上記トリガスイッチ5およびプッシュレバースイッチ22のオン操作に基づいてマイコン228の出力端子OUT1から出力されたレベル“1”の電圧を、MOSFET320のゲート(制御電極)に供給し、MOSFET320をオン状態とする。これによって、ソレノイド14に直列接続された第2のスイッチング手段321および第3のスイッチング手段320をオン状態とさせて、ソレノイド14をオンする。
次に、ステップ527でソレノイド14を20ミリ秒間オンさせ、ステップ528で、マイコン228の出力端子OUT1よりレベル“0”を出力して第2のスイッチング手段320および321をオフさせ、ソレノイド14をオフさせる。このステップ526およびステップ528におけるクラッチ手段(係合離脱手段)を構成するソレノイド14の駆動によって、上述したように、フライホイール9の回転駆動力が、クラッチ手段を構成するコイルスプリング13を介して駆動子3へ直線駆動力として伝達され、ドライバブレード3aはノーズ1c(図2参照)に装填された留め具(釘)を打撃し、留め具は被加工部材に打ち込まれる。その後、ステップ529で、誤動作防止のために10ミリ秒間ソレノイド14のオフを待って、ステップ532に進む。ステップ532でトリガスイッチ5およびプッシュレバースイッチ22の両者がオフ状態であると判断されれば、初期状態566を経由して次の留め具打込み体勢となる。
<単発モードの動作タイムチャートの形態>
本実施形態に従った単発モードにおける打込み動作形態について次に説明する。
(形態1)
上記の制御フローチャートに従った電動式打込機100の動作タイムチャートの一例が図16に示される。なお、図16において、プッシュレバースイッチ22のオン(ON)またはオフ(OFF)が破線部で示されている。電動式打込機100の留め具打込み動作時の反動などによりプッシュレバースイッチ22が留め具打込み動作の途上でオフになっても、上述したコンデンサ262の充電電荷により留め具打込み動作は正常に完了することができる。
(形態2)
また、上述した図13の制御フローチャートおよび図17の動作タイムチャートに示すように、トリガスイッチ5をオンした後、所定時間A(ms)経過前にプッシュレバースイッチ22をオンまたはオフしても留め具打込み動作は行われず、所定時間A(350ms)経過後、モータ6の定速度制御が実行されている段階でプッシュレバースイッチ22が再度オンされれば、留め具の打込み動作が行われる。
(形態3)
図18の動作タイムチャートに示されるように、タイマーT1が所定時間Aをタイムアップし、後述するステップ518のモータ6の定速度制御を開始し、所定の定速度C(例えば、21,000rpm)に達した場合、プッシュレバースイッチ22をオンしたとき、タイマーT2が所定時間(放置限界時間)、例えば、4秒(以下、時間単位「秒」を「s」と表示する場合がある)、をタイムアップする以前であれば、上述の場合と同様に、留め具打込み動作が行われる。
(形態4)
さらに、図19の動作タイムチャートに示されるように、トリガスイッチ5をオンした後、タイマーT2が所定の放置限界時間、例えば、4秒、を経過してもプッシュレバースイッチ22がオンされない場合は、ステップ520およびステップ531の処理によりタイマーT2がタイムアップし、モータ6をオフさせる。さらに、トリガスイッチ5をオンした後、トリガスイッチ5を途中でオフすると、ステップ516またはステップ521の処理によりステップ531に進み、モータ6をオフさせる。
(形態5)
図21の動作タイムチャートに示されるように、プッシュレバースイッチ22を最初にオンし、しかる後、トリガスイッチ5をオンすると、ステップ513からステップ514に進み、ステップ514でモータ6が回転を開始し、ステップ515でタイマーT1およびタイマーT2がスタートする。さらに、ステップ517で所定時間A(350ミリ秒)経過後にタイマーT1がタイムアップし、ステップ522でプッシュレバースイッチ22がオンされていることを判断し、直ちにステップ523に進み、ステップ523以下のステップに従って留め具打込み動作が行われる。ステップ523以下の動作は、上述の場合と同様である。最終的なステップ532でトリガスイッチ5およびプッシュレバースイッチ22の両方がオフになる初期状態566を経由して次の留め具打込み体勢になる。なお、この図13の制御フローチャートから明らかなように、トリガスイッチ5のオン(ON)/オフ(OFF)の破線部(図16参照)で示すように、トリガスイッチ5が留め具打込み動作の途上でオフになっても留め具打込み動作は正常に完了する。
(形態6)
図22の動作タイムチャートに示されるように、プッシュレバースイッチ22をオンした後、所定時間A(350ミリ秒)経過以内にトリガスイッチ5をオンし、かつオフしても、留め具打込み動作は行われず、所定時間A(350ミリ秒)経過するトリガスイッチ5のオンで留め具打込み動作が行われる。
<モータ6の速度制御と逆起電力検出>
(速度制御)
図18の動作タイムチャートの形態に示すように、トリガスイッチ5を最初にオンした後、所定時間A(350ミリ秒)経過後はタイマーT1がタイムアップし、ステップ518に進み、モータ6が所定の定速度C(rpm)、例えば、21,000rpm、になるようにPWM速度制御を開始する。PWM速度制御は、図20の(a)に示されるようなマイコン228の出力端子OUT0に出力されるPWMパルスのタイミングに基づいて制御される。
図20(a)のPWMパルスは、電池パック7からモータ6への電力供給をオフするための第1の所定期間Dと、電池パック7からモータ6への電力供給をオンまたはオフしてモータ6への電力供給を制御するための第2の所定期間Eとを一周期のタイミングとするパルスである。すなわち、第1の所定期間D(例えば、5ms)において、マイコン228の出力端子OUT0にレベル“1”を出力し、第1のスイッチング素子272をオフさせる。この第1の所定期間Dにおいて、上述したモータ逆起電力検出回路403によってモータ6の逆起電力(モータの回転数に比例する)を検出し、定速回転数に対応する目標となるモータ逆起電力とPID演算により比較する。第1の所定期間Dに引き続く第2の所定期間E(例えば、20ms)において、前記PID演算による比較結果に基づいて第2の所定期間E内におけるモータ6のオフとオンの給電時間割合、すなわち図20(a)におけるモータオフ期間TOFFとモータオン期間TONの比率を決定し、モータ6の回転数を定速の回転数C(rpm)に維持するためのPWMパルスをマイコン228の出力端子OUT0にレベル“1”またはレベル“0”として出力し、第1のスイッチング素子272をオフまたはオンさせて、モータ6をPWM制御する。この速度制御におけるマイコン228の制御タイミングは図20(b)に示されている。以下、モータの定速度制御の手順について詳細に説明する。
ステップ518におけるPWMパルスによるモータ6の定速度制御は、図15の処理フローチャートに示すように、マイコン228のタイマー割込みステップ593が起動し、ステップ570で第1の処理状態(STATUS=0)を判断し、ステップ571において所定の第1の期間D(例えば、5ミリ秒間)におけるモータ6のオフ期間中にモータ6の逆起電力が正確に検出できる時間、例えば、2250μ秒(以下、単位「μ秒」を「μs」と表示する場合がある)のタイマーをスタートさせ、ステップ572においてモータ6をオフし、ステップ573においてSTATUSを1にセットすることによりステップ574でタイマー割込みステップから一旦脱出する。
ここで、2250μ秒の時間は、モータ6の逆起電力が巻線のインダクタンスによるフライバック電流などの影響を受けることなく、正しく検出できる時間として設定される。この後2250μ秒経過すると、再びタイマー割込みステップ593が起動し、ステップ575のSTATUS=1の確認を経て、ステップ576以下の処理を実行する。ここでは次回250μ秒後に、タイマー割り込みステップ593が起動するように構成し、モータ6の逆起電力をマイコン228のAD変換端子AD0から読込む。以下同様に、タイマー割込みステップ593が起動される度に、ステップ578、ステップ580、ステップ582、ステップ585およびステップ588と、それら各STATUSに続くステップ579、ステップ581、ステップ592、ステップ586およびステップ589以下の処理を実行する。
すなわち、図20(b)のタイムチャートに示すように、モータ6の逆起電力(逆起電圧)をマイコン228のAD変換端子AD0から4回250μ秒毎に読込み、ステップ582の処理フローにおいて、ステップ583で4回目のAD変換値を読み込んだ後、ステップ584において4回読込んだAD変換値を平均化し、この平均値と予め定められた目標となるモータ6の逆起電力とPID演算処理し、ステップ586およびステップ589において、モータ6をPWM制御する所定の第2の期間Eにおけるモータ6のオフ時間(TOFF時間)およびモータ6のオン時間(TON時間)をそれぞれ算出し、かつTOFFタイマーおよびTONタイマーのそれぞれをスタートさせる。図20(b)に示すように、このモータ6のオフ時間設定のTOFFタイマー値と、モータ6のオン時間設定のTONタイマー値との和が、図20(a)および(b)に示したPWMパルスの所定E時間(20ms)となる。
以上の説明から明らかなように、図20(a)および(b)において、モータ6のPWM速度制御は、逆起電力検出のためのAD変換およびPID演算に必要な第1の所定時間(オフ割当て時間)Dとして5(ms)を割当て、またモータ6をオン/オフ駆動するために必要な第2の所定時間(オン割当て時間)Eとして20(ms)を割当てて合計25(ms)を1周期とする定速度制御を構成している。モータ6をオフした直後、逆起電圧が現れるまでの間2250(μs)のディレータイマーの後、250(μs)毎に、第1回目から第4回目まで4回逆起電力(逆起電圧)を測定し、それに続く2000(μs)にてPID演算を行い、それによって決定したPWMパルス出力のTOFF時間およびTON時間に従って、図示された「TOFFタイマー値」と、「TONタイマー値」とでモータ6をオン/オフ駆動し、これら一連の動作の繰り返しでモータ6を定速度制御するように構成する。
なお、図17の(c)のタイムチャートに時間(第1の加速時間)A(ms)として表示したように、モータ6が起動してから上述の定速度制御が開始されるまでの所定時間A(ms)間は、モータ6の回転数が所定の定速回転数C(rpm)の設定値に向かって上昇している段階なので、モータ6の回転数を速やかに上昇させるために、第1のスイッチング素子272を、前記A時間、常時オンしてモータ6を駆動させ続けることが好ましい。所定時間A(ms)経過後は、上記のとおり、第1のスイッチング素子272のオン/オフ制御をくり返し行い、オフ時の速度起電力からモータ6の回転数を計測しながら速度制御を行うことが好ましい。
(モータ6の逆起電力検出)
上述したように、モータ6の逆起電力検出回路は、オペアンプ276と、オペアンプ276と差動増幅回路を構成する抵抗器274、275、277および278とから構成され、モータ6の回転子のコイル(図示なし)に発生する逆起電力を、抵抗器269とコンデンサ267から成るフィルタ回路を介してマイコン228のAD変換端子AD0に供給するものである。モータ6の回転駆動によって蓄積されるフライホイール9の運動エネルギーが留め具を打撃するエネルギーになるようにモータ6を定速度制御するようになっており、このときモータ6の逆起電力も所定の電圧に達する。従って、この逆起電力を予め設定した設定電圧と比較演算することによって、留め具の打撃に最適なモータ6の回転駆動力を維持することができる。
さらに詳細に述べるならば、DCモータ6の等価回路は、コイルインダクタンス分とコイル巻線抵抗、ブラシ部分の電圧降下、モータの界磁と回転速度で決まる速度起電力からなる。そのうち、コアのインダクタンス分と巻線抵抗、ブラシ部分の電圧降下は、モータ電流によって変化する。しかし、第1のスイッチング素子272がオフしている期間は、モータ6の速度起電力そのものがモータ電圧として発生するものと考えてよく、その速度起電力はモータ6の回転数に比例する。従って、上記モータ6の逆起電力検出回路によってモータ回転数すなわち機械的に結合しているフライホイール9の回転数を知ることができる。そして、上述したようにマイコン228がその逆起電圧を所定電圧と比較し、いわゆるPID演算することにより、モータ6を所定定速回転数C(rpm)に維持することができる。これによって、回転センサをフライホイールに取付ける必要がなく、製品の小型化およびコスト低減を実現できる。
<ソレノイド駆動回路402の誤動作防止>
上記ソレノイド駆動回路402の回路構成から明らかなように、本発明によれば、ソレノイド14への電力供給を制御するスイッチング手段は、直列接続された第2のスイッチング手段321および第3のスイッチング手段320から構成され、かつ、それらのゲート制御信号は異なる制御入力回路(マイコン228の入力端子IN2および出力端子OUT1に接続された回路)により供給されるので、留め具の打込み体勢にないプッシュレバースイッチ22が押圧されていないオフ状態において、第2のスイッチング手段321または第3のスイッチング手段320のいずれか一方がショート破壊(クローズ破壊)が発生しても、残り他方のスイッチング手段によりソレノイドへの駆動電流の給電を阻止することができる。
従って、意図せぬ留め具打込み動作の開始を防止することができ、フェールセーフ機能を持たせることができる。この場合、プッシュレバースイッチ22の切替え操作に応答する第2のスイッチング手段321の制御入力回路(スイッチ22、抵抗器259および遅延回路410を含む回路)は、プッシュレバースイッチ22を主体とした比較的簡単な回路構成となるので、故障発生確率を減少させることができる。
一方、プッシュレバースイッチ22の操作(オン操作)に基づいて発生する制御信号を遅延するための遅延回路410を有するので、留め具の打込み動作途上に発生する振動や操作上のミスによりプッシュレバースイッチ22の操作が不用意に開放もしくは元に戻されて、プッシュレバースイッチ22がオフ状態となった場合でも、遅延回路410によってプッシュレバースイッチ22のオン信号を所定時間、第2のスイッチング手段321に供給することができる。その結果、プッシュレバースイッチ22の不用意な開放(オフ動作)に基づくソレノイド14の駆動電流の停止を防止し、釘浮き現象(半打ち現象)と呼ばれる不完全な釘打込み動作を防止できる。
さらに、ソレノイド駆動回路402の第3のスイッチング手段320は、マガジン2に装填された釘(留め具)の残量が所定量以下に減少した場合、留め具残量検出回路406を構成するオペアンプ256の反転出力により、オフ状態に制御され、留め具打込み動作が中止される。すなわち、オペアンプ256の反転出力(接地レベル)は、ダイオード323を介してMOSFET320のゲート電圧として印加され、第3のスイッチング手段320をオフ状態に制御する。
<連発モードの処理フローチャートおよび動作タイムチャート>
図13のステップ512における判断が連発モードの場合は、図14の連発モードの処理フローチャートに示すように、ステップ540でトリガスイッチ5をオンすると、ステップ540から、ステップ541以下の処理ステップに進み、ステップ541でマイコン228の出力端子OUT0をレベル“0”出力としてモータ6の回転を開始し、ステップ542でタイマーT1およびタイマーT2をスタートさせる。続いてプッシュレバースイッチ22をオンすると、ステップ544においてタイマーT1が所定時間(第1の加速時間)A(350ミリ秒)を経過後に、ステップ548からステップ549以降の処理ステップに進行し、単発モードにおけるステップ523〜ステップ529と同様な処理に従って、モータ6を停止して、ソレノイド14を駆動し留め具打込み動作を実行する。
ステップ544で所定時間A(350ミリ秒)経過後もプッシュレバースイッチ22がオフ状態の時は、ステップ545におけるタイマー割込みステップ593(図15参照)が起動し、上記したシーケンスに従ってモータ6の定速度制御を行い、トリガスイッチ5をオンした後、タイマーT2の4秒間の経過以内にプッシュレバースイッチ22をオンすれば、単発モードのステップ523〜ステップ529のシーケンスと同様なステップ549〜ステップ550のシーケンスが逐次実行され、モータ6を停止し、ソレノイド14を駆動することによって留め具打込み動作が行なわれる。なお、トリガスイッチ5をオンした後、タイマーT2の所定時間(4秒)経過以内にプッシュレバースイッチ22をオンしないときは、ステップ546の判断に基づきに、ステップ531でモータ6の回転を停止させる。
前回の留め具打込み動作後も引き続きトリガスイッチ5がオン状態にあると、ステップ551からステップ552およびステップ553に進行し、留め具打込み動作後、ステップ555においてタイマーT3を所定時間Aより少ない所定時間(第2の加速時間)B(例えば、200ミリ秒)をタイムアップ(測定)し、ステップ555において、タイマーT3でタイムアップする前の所定時間B(200ミリ秒)の範囲内では、モータ6に電池パック7の電池電圧VBATをフルに供給して回転駆動力を早く立ち上がらせ、所定時間B(200ミリ秒)の経過後は、上述したPWMパルス制御による定速度制御を行う。
前回の留め具打込み動作後に、一旦、プッシュレバースイッチ22がオフし、その後プッシュレバースイッチ22が再びオンになると、ステップ559およびステップ563を通過し、所定時間B(200ミリ秒)の経過後に、上述のステップ523〜ステップ529のシーケンスと同様のステップ564とステップ565の間に連続するシーケンスの処理が逐次実行され、モータ6を停止し、ソレノイド14を駆動することによって留め具打込み動作が実行される。
このとき、前回の留め具打込み動作後に、一旦、プッシュレバースイッチ22がオフしたままの状態の時は、モータ6は前回の留め具打込み動作後も回転しているので留め具の打込みに必要な回転数に達する時間はモータ6が静止状態から起動する所要時間A(350ミリ秒)よりも短い所要時間B(200ミリ秒)の経過後に、ステップ556におけるタイマーの割込み(図15のステップ593)が許可され、モータ6はPWMパルス制御による定速度回転が行なわれる。この状態において、プッシュレバースイッチ22をオンにすると、ステップ563を通過して、上述のステップ523〜ステップ529のシーケンスと同様のステップ564とステップ565の間に連続するシーケンスの処理が逐次実行され、モータ6を停止し、ソレノイド14を駆動することによって留め具打込み動作が実行される。
図23および図24の動作タイムチャートは、上記連発モードの処理フローチャートに従った動作を示す。
図23から明らかにされるように、上記連発モードは、起動時のモータ6の回転駆動は所定時間Aの経過後に留め具打込み動作を実行し、2回目以降の連続する留め具打込み動作は、前回の打込み動作完了後、所定時間Aより短い所定時間Bでモータ6を回転駆動させることを特徴としている。また、起動時の回転駆動の所定時間Aまたは2回目以降の回転駆動の所定時間B(B<A)の経過後のモータ6の速度制御は定速制御を行うことを特徴とする。これによって、動作時間の短縮および電池パックのエネルギー消費量を低減させて、作業効率および電池パックのエネルギー利用率を向上させることができる。
ステップ559およびステップ562において、トリガスイッチ5がオフであると判断されると、モータ6の回転は停止する。トリガスイッチ5およびプッシュレバースイッチ22がオフにされると、ステップ532を通過し、初期状態のステップ566に戻る。
図25の動作タイムチャートに示すように、連発モードの場合は、ステップ567によりプッシュレバースイッチ22、トリガスイッチ5の順序でオンになっても、モータ6の駆動、ソレノイド14の駆動、および留め具打込み動作を実行しない。
トリガスイッチ5のオンによるモータ6の駆動後、所定時間A(350ミリ秒)の経過以前に、プッシュレバースイッチ22がオンからオフになった場合、所定時間A経過後にPWMパルス制御による定速度Cの制御を行う。この後、プッシュレバースイッチ22がオンされれば、留め具打込み動作を行う。ただし、モータ6の停止でソレノイド14が駆動状態になってからプッシュレバースイッチ22をオフにしても打込み動作を続ける。
<留め具残量検出回路406の動作>
次に、留め具残量検出回路406の動作について説明する。単発モードあるいは連発モードで1本の留め具を打ち込み終了時に、留め具残量センサ(マイクロスイッチ)257のアーム257aが留め具の残量が少ないことを検知すると、留め具残量センサ257がオンする。このオン動作によって、遅延回路401を構成するコンデンサ253は抵抗器254を介して留め具残量センサ257で放電され、オペアンプ256の非反転入力端子(+)は反転入力端子(−)よりも低い入力電圧になるので、オペアンプ256の出力端子はそれまでのレベル“1”出力からレベル“0”出力に反転し、留め具残量表示器であるLED249が点灯する。
同時に、MOSトランジスタ320にはゲート電圧が印加されなくなり、またトランジスタ283にはベース電流が供給されなくなる。その結果、第1のスイッチング素子272および第3のスイッチング手段320もオフ状態となって、モータ6およびソレノイド14はオフされて留め具打込み動作を停止する。すなわち、留め具残量検出回路406は留め具の空打ち防止回路として機能する。
留め具残量センサ257は、電動式打込機100の留め具打込み動作中に留め具打込みの衝撃、反動等を受けてマイクロスイッチ(257)の可動接触片が振動して短い時間であるが不必要にオンする場合がある。また、留め具の打込み動作中に留め具残量が無いことを検知する場合もある。従って、このような不用意な留め具残量センサ257のオン動作または打込み動作中の留め具残量センサ257のオン動作に対して、直ちに不必要な打込み動作が開始または停止されないように、遅延回路401が付加されている。遅延回路401のコンデンサ253と抵抗器254の放電時定数は、ドライバブレード3aによる留め具打込み動作期間、留め具残量センサを構成するマイクロスイッチ(257)の可動接触片の固有振動時間に対応して決定され、例えば、150ミリ秒に設定される。この遅延回路401の遅延機能または減衰機能によって、不用意な残量センサ257のオン動作によって発生する接地電位がオペアンプ256の非反転入力端子(+)に供給されるのを防止し、また打込み動作中に留め具残量センサ257が少残量を検知してオン動作しても非反転入力端子(+)の入力電圧を急激に低下させないために、進行中の留め具打込み動作は直ちに停止または阻害されることはない。
以上の実施形態の説明より明らかなように、本発明によれば、モータ6への電力供給を制御するためにオンまたはオフ動作する第1のスイッチング手段272と、係合離脱手段を構成するソレノイド14へ電力供給を制御するためにオンまたはオフ動作する第2のスイッチング手段321および第3のスイッチング手段320とを設ける。そして、第1のスイッチング手段272は、トリガスイッチ5の一方のスイッチ状態(オフ状態)から他方のスイッチ状態(オン状態)への切替え操作に応答してオン状態となるように制御し、第2のスイッチング手段321は、プッシュレバースイッチ22の一方のスイッチ状態から他方のスイッチ状態への切替え操作に応答してオン状態となるように制御し、かつ、第3のスイッチング手段320は、トリガスイッチ5およびプッシュレバースイッチ22の一方のスイッチ状態から他方のスイッチ状態への切替え操作に応答してオン状態となるように制御する。
従って、プッシュレバースイッチ22のオフ状態において第2のスイッチング手段321または第3のスイッチング手段320にショート不良が発生しても、残りの一方が正常なオン/オフ動作をするので、打込み動作における誤動作を防止できる。所謂、フェールセーフ機能を持たせることができる。
この場合、プッシュレバースイッチ22の切替え操作に応答する第2のスイッチング手段321の制御入力回路(スイッチ22、抵抗器259および遅延回路410を含む回路)は、プッシュレバースイッチを主体とした比較的簡単な回路構成となるので、制御入力回路における故障発生確率を減少させることができる。
一方、プッシュレバースイッチ22の操作(オン操作)に基づいて発生する制御信号を遅延するための遅延回路410を有するので、留め具の打込み動作途上に発生する振動や操作上のミスによりプッシュレバースイッチ22の操作が不用意に開放もしくは元に戻されて、プッシュレバースイッチがオフ状態となった場合でも、遅延回路410によってプッシュレバースイッチのオン信号を所定時間、第2のスイッチング手段321に供給することができる。その結果、プッシュレバースイッチ22の不用意な開放(オフ動作)に基づくソレノイド14の駆動電流の停止を防止し、釘浮き現象(半打ち現象)と呼ばれる不完全な釘打込み動作を防止できる。
なお、本発明の上記実施例において、プッシュレバースイッチ22の切替え操作に応答する上記第2のスイッチング手段321は、Nチャンネル型パワーMOSFET(321)を使用したが、第2のスイッチング手段として他のスイッチング素子を用いることができる。以下、その変形例について説明する。
図26は、第2のスイッチング手段としてサイリスタ(SCR)332をソレノイド14に直列接続した例を示す。サイリスタ332のゲート制御入力回路は、一端が電池パック7に接続され、他端が抵抗器336およびダイオード335を介してサイリスタ332のゲート(制御電極)に接続されたプッシュレバースイッチ22を含む。サイリスタ332のゲート・カソード間にはコンデンサ333および抵抗器334から成るノイズ吸収用フィルタ回路が接続されている。プッシュレバースイッチ22のオン信号は、抵抗器337、340、ツェナーダイオード338および動作安定用コンデンサ339で形成されたインタフェイス回路によって所定電圧に形成され、マイコン228の入力端子IN2に供給される。
図26の回路動作において、プッシュレバースイッチ22がノーマリオフ状態からオン状態に切替えられ、第3のスイッチング手段320がオンすると、サイリスタ332はターンオンする。第3のスイッチング手段320が一旦オンすると、プッシュレバースイッチ22が、チャッタリング等で一瞬オフしてもサイリスタ332の自己保持作用により、サイリスタ332はオン状態を維持し、ソレノイド14を励磁状態(オン状態)に維持する。すなわち、図9に示した上記実施例の遅延回路410を設けることなく、サイリスタ332の自己保持作用によって、プッシュレバースイッチ22のチャッタリング等による振動の影響を防止することができる。なお、マイコン228の制御手順は、図13ないし図15を参照して説明した上記実施例の場合と同様である。
図27は、他の変形例を示し、図9に示した第2のスイッチング手段321の代りにプッシュレバースイッチ22をソレノイド14の駆動回路402に直接挿入したものである。プッシュレバースイッチ22の切替え操作に基づく制御信号の形成回路が簡素化できるという利点を有する。マイコン228の制御手順は、図13ないし図15を参照して説明した上記実施例の場合と同様である。
図28はさらに他の変形例を示す。図9に示した第2のスイッチング手段321の代りに、リレースイッチ326を用いたものである。リレースイッチ326は、ノーマリオフ状態のスイッチ可動片326aをオン/オフ制御するための励磁コイル326bを有する。励磁コイル326bにはフライバック電圧吸収用のダイオード327が並列接続されている。遅延回路410によって、プッシュレバースイッチ22のチャッタリングに基づくリレースイッチ326のスイッチ可動片326aの誤動作を防止している。マイコン228の制御手順は、図13ないし図15を参照して説明した上記実施例の場合と同様である。
以上の本発明による実施形態では、打込機の留め具として釘の場合について説明したが、本発明は、ステープル(コの字型の釘)、ネジ等の釘以外の留め具を打撃力によって打込む打込機に適用しても、上述した打込機と同様な効果を得ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。