次に、本発明の打込機に含まれるいくつかの実施形態のうち、代表的な打込機を図面を参照して説明する。
(実施形態1) 打込機の実施形態1を、図1A、図1Bおよび図2を参照して説明する。打込機10は、本体11、シリンダ12、打撃部13、トリガ60、射出部15及びプッシュレバー67を有する。また、マガジン17が打込機10に取り付けられている。本体11は、筒形状の胴部18と、胴部18に接続されたハンドル19と、胴部18に固定したエキゾストカバー123と、胴部の18外面から突出したホルダ20と、を有する。ハンドル19は、胴部18の外面から突出している。
図1Bのように、蓄圧室21が、ハンドル19の内部、胴部18の内部、エキゾストカバー123の内部に亘って形成されている。図1Aのように、プラグ19Aがハンドル19に取り付けられ、エアホースがプラグ19Aに接続される。圧縮性気体としての圧縮空気は、プラグ19Aから蓄圧室21内に供給される。シリンダ12は胴部18内に設けられている。
ヘッドバルブ22がエキゾストカバー123内に設けられている。ヘッドバルブ22は、シリンダ12の中心線A1方向に移動可能である。ヘッドバルブ22は排気通路23を有する。エキゾストカバー123内に付勢部材24が設けられ、付勢部材24は、ヘッドバルブ22を中心線A1方向でシリンダ12に近づく向きで付勢する。付勢部材24は、一例として金属製のスプリングである。エキゾストカバー123内に制御室25が設けられている。制御室25には、圧縮性気体が供給または排出される。ヘッドバルブ22は、制御室25の圧力により、中心線A1方向でシリンダ12に近づく向きで付勢される。さらに、ヘッドバルブ22は、蓄圧室21の圧力により、中心線A1方向でシリンダ12から離反する向きで付勢される。エキゾストカバー123にトップカバー124が取り付けられている。ヘッドバルブ22とトップカバー124との間に排出口125が形成される。排出口125は排気通路23につながる。ヘッドバルブ22が中心線A1方向に作動すると、排出口125が開閉される。排出口125が開くと、ピストン上室29と外部B1とがつながり、排出口125が閉じると、ピストン上室29と外部B1とが遮断される。
シリンダ12は、胴部18の内部からエキゾストカバー123の内部に亘って配置されている。環状のホルダ31が胴部18の内部に設けられ、ホルダ31はシリンダ12を支持している。シリンダ12は、胴部18に対して中心線A1方向に位置決めされている。
打撃部13は、ピストン26と、ピストン26に固定されたドライバブレード27と、を有する。ピストン26は、シリンダ12内に配置され、ピストン26は、中心線A1方向に移動可能である。ピストン26の外周面にシール部材28が取り付けられている。ピストン上室29が、ヘッドバルブ22とピストン26との間に形成される。ピストン上室29は、排気通路23につながっている。
ヘッドバルブ22とシリンダ12との間にポート30が形成される。ヘッドバルブ22が、図1Bのようにシリンダ12に押し付けられると、ヘッドバルブ22はポート30を閉じる。つまり、蓄圧室21とピストン上室29とが遮断される。また、ピストン上室29は、排気通路23を介して外部B1につながる。ヘッドバルブ22がシリンダ12から離反すると、ヘッドバルブ22はポート30を開く。つまり、蓄圧室21とピストン上室29とが接続される。
図1Bのように、バンパ32が、胴部18の内部に設けられている。胴部18は、中心線A1方向で、エキゾストカバー123と射出部15との間に配置されている。バンパ32が、胴部18の内部に設けられている。バンパ32の一部はシリンダ12の内部に配置されている。バンパ32は、中心線A1方向で射出部15に最も近い位置に配置されている。バンパ32は、合成ゴム製、または、シリコンゴム製である。バンパ32は軸孔33を有し、ドライバブレード27は軸孔33内で中心線A1方向に移動可能である。シリンダ12内において、ピストン26とバンパ32との間にピストン下室34が形成されている。シール部材28は、ピストン下室34とピストン上室29とを気密に遮断する。
図1Bのように、トリガ60は本体11に取り付けられている。トリガ60は、本体11に対して支持軸61及び主軸62を介して取り付けられている。主軸62は、円柱形状であり、主軸62は、本体11に対して中心線D1を中心として所定角度の範囲内で回転可能である。支持軸61は、中心線D1から偏心した中心線D2を中心として設けられている。
モード選択部材63が、主軸62に取り付けられている。モード選択部材63は、主軸62の長手方向における第1端部に取り付けられている。作業者がモード選択部材63に対する操作力を解除すると、主軸62は停止する。作業者は、モード選択部材63を操作することにより、打込機10を使用するモードを選択する。モード選択部材63は、第1操作位置及び第2操作位置を有する。第1操作位置及び第2操作位置は、主軸62の回転方向における位置が異なる。第1操作位置と第2操作位置とは、主軸62の回転方向で、例えば180度異なる。モード選択部材63は、一例として、レバーまたはノブである。作業者がモード選択部材63を操作すると、支持軸61は、中心線D1の周りで公転する。トリガ60は、支持軸61を中心として自転可能であり、かつ、中心線D1を中心として公転可能である。
図1Bのように、アーム64がトリガ60に取り付けられている。アーム64はトリガ60に対して支持軸65を中心として、所定角度の範囲内で作動可能である。支持軸65はトリガ60に設けられ、かつ、支持軸65は支持軸61とは異なる位置に設けられている。アーム64及びトリガ60を付勢する付勢部材66が設けられている。付勢部材66は、一例として金属製の圧縮スプリングである。アーム64は、付勢部材66により、図1Bにおいて時計回りに付勢される。付勢部材66により付勢されるアーム64の自由端は、ホルダ20に接触して初期位置で停止する。
付勢部材66の付勢力は、アーム64及び支持軸65を介してトリガ60に加わる。トリガ60は、付勢部材66により、支持軸61を中心として反時計回りに付勢される。アーム64が初期位置で停止すると、トリガ60はホルダ20に接触して初期位置で停止する。
図1Bのように、トリガバルブ51が、胴部18とハンドル19との接続箇所に設けられている。トリガバルブ51は、プランジャ52、弁体55、付勢部材53、通路54及び排気通路56を有する。プランジャ52は、付勢部材53の付勢力、及びアーム64の作動力で作動する。通路54は、通路57を介して制御室25に接続されている。
射出部15は、胴部18に固定されており、射出部15は、射出路58を有する。中心線A1は射出路58内に位置し、ドライバブレード27は射出路58内で中心線A1方向に移動可能である。射出部15は、ドライバブレード27の作動方向が中心線A1方向となるように規制する。
マガジン17は、射出部15に対して固定されている。マガジン17は釘59を収容する。複数の釘59は、連結要素により互いに接続された状態で、マガジン17内に収容される。マガジン17はフィーダを有し、フィーダはマガジン17内の釘59を射出路58に送る。
プッシュレバー67は、金属製または非金属製である。プッシュレバー67は、射出部15に対して、中心線A1方向に往復移動可能に設けられている。プッシュレバー67の端部に接触子68が設けられている。接触子68は、相手材69に対して接触及び離反可能である。相手材69は、釘59を打ち込む対象物である。
付勢部材70が設けられ、付勢部材70は、プッシュレバー67を胴部18から離れる向きで中心線A1方向に付勢する。付勢部材70は、一例としてホルダ20に設けられている。付勢部材70は、金属製の圧縮スプリングである。射出部15に位置決め部が設けられ、付勢部材70で付勢されるプッシュレバー67は、位置決め部に接触して初期位置で停止する。
伝達部材72がプッシュレバー67に接続されている。伝達部材72は、プッシュレバー67の作動方向で、接触子68とは反対に位置する端部に設けられている。ホルダ20は、伝達部材72を中心線A1方向に作動可能に支持する。伝達部材72がアーム64に接触すると、プッシュレバー67の作動力は、アーム64に伝達される。伝達部材72がアーム64から離反していると、プッシュレバー67の作動力は、アーム64に伝達されない。伝達部材72は、付勢部材70によりアーム64から離れる向きで付勢されている。図2に示すように、係合部75がプッシュレバー67に設けられている。係合部75は、中心線A1方向で接触子68と伝達部材72との間に配置されている。
切替機構76が本体11に設けられている。切替機構76は、カム77、ソレノイド78、作動部材79及びストッパ80を有する。カム77は、主軸62に取り付けられている。カム77の外周面は湾曲しており、カム77の外周面に、小径部81及び大径部82が設けられている。大径部82の外径は小径部81の外径よりも大きい。小径部81及び大径部82は共に湾曲し、かつ、連続して設けられている。作動部材79、ストッパ80及びカム77は、一例として金属製である。
ソレノイド78は、コイル83、プランジャ84及び付勢部材85を有する。プランジャ84は、磁性材料製、一例として、鉄製である。プランジャ84は、中心線A2方向に作動可能である。中心線A2は中心線A1と平行である。付勢部材85は、プランジャ84をストッパ80に近づける向きで付勢する。付勢部材85は、一例として金属製の圧縮スプリングである。コイル83は導電材製であり、コイル83に電流が流れると磁気吸引力が形成される。プランジャ84は、磁気吸引力でストッパ80に近づく向きに作動する。
作動部材79は、中心線A2方向に移動可能であり、作動部材79はプランジャ84に連結されている。作動部材79においてプランジャ84とは反対の端部に、傾斜面86が設けられている。傾斜面86は中心線A2に対して傾斜している。
ストッパ80は、中心線A3方向に移動可能である。中心線A3は中心線A1,A2に対して交差している。図2は、中心線A3と中心線A1,A2とが90度の角度で交差した例である。射出部15にガイド部87が設けられており、ガイド部87は、ストッパ80の移動をガイドする。また、ガイド部87は、ストッパ80が中心線A3方向に移動する範囲を規制する。ガイド部87は、ストッパ80が中心線A1方向に移動することを防止する。傾斜面88がストッパ80に設けられている。傾斜面88は、傾斜面86と平行である。傾斜面86と傾斜面88とが接触し、作動部材79からストッパ80に対して、中心線A3方向の作動力が付加される。係合部89がストッパ80に設けられている。
付勢部材90が設けられ、付勢部材90は、ストッパ80を中心線A3方向に付勢する。付勢部材90は、一例として金属製の圧縮スプリングである。壁91が射出部15に設けられている。壁91は、中心線A1方向で係合部75と胴部18との間に配置されている。
ストッパ80が作動すると、係合部89は、係合部75の作動範囲内外で移動可能である。つまり、係合部89は、係合部75と壁91とのとの間の空間C1に進入及び退出可能である。付勢部材90は、係合部89を空間C1に進入させる向きで、ストッパ80を付勢する。
図5は、打込機10の制御系を示すブロック図である。打込機10は、トリガスイッチ92、プッシュレバースイッチ93、電源スイッチ94、制御部95、電源96、スイッチ回路97及びソレノイド78を有する。ソレノイド78は、アクチュエータ120の一例である。電源96は、ケース内に電池セルを収容したものである。電池セルは、充電及び放電を繰り返し行うことの可能な二次電池を用いることが可能である。なお、電池セルは一次電池でもよい。電源96は、一例としてマガジン17の外面に対して着脱可能に設けることが可能である。
電源96は、スイッチ回路97を介してソレノイド78に接続される。電源スイッチ94は、電源96と制御部95との間の電気回路98に配置されている。電源スイッチ94は、モード選択部材の操作位置に応じてオンまたはオフする。
制御部95は、入力インタフェース、出力インタフェース、記憶部、演算処理部及びタイマーを備えたマイクロコンピュータである。トリガスイッチ92の信号、プッシュレバースイッチ93の信号は、制御部95に入力される。
次に、打込機10の使用例を説明する。先ず、作業者はハンドル19を握り、かつ、モード選択部材63を操作して、第1モードまたは第2モードを選択する。第1モードは、プッシュレバー67の接触子68を相手材69に押し付けた状態で、作業者が指でトリガ60に操作力を付加することにより、打撃部13を作動させる場合に選択する。第2モードは、作業者が指でトリガ60に操作力を付加した状態で、接触子68を相手材69に押し付けることにより、打撃部13を作動させる場合に選択する。第1操作位置は、第1モードに対応し、第2操作位置は、第2モードに対応する。
また、支持軸61は、主軸62に対して偏心している。このため、作業者が選択するモードに応じて、伝達部材72とアーム64との位置関係が変化する。
(作業者が第1モードを選択する例) 作業者が、モード選択部材63を操作して第1モードを選択する例を説明する。作業者が第1モードを選択すると、電源スイッチ94はオフし、電源96の電力は制御部95に供給されない。つまり、制御部95は停止している。また、電源96の電力はソレノイド78に供給されない。さらに、第1モードを選択すると、図2のように、カム77の大径部82がプランジャ84を押し、プランジャ84は付勢部材85の付勢力に抗して作動し、プランジャ84は、図2に示す作動位置で停止する。また、作動部材79は、中心線A2方向の作動位置で停止する。
作動部材79の作動位置は、作動部材79が中心線A2方向でソレノイド78から最も離反した位置である。また、傾斜面86と傾斜面88とが接触する反力で、ストッパ80が付勢され、係合部89が空間C1から退出している。さらに、係合部89がガイド部87に接触して、ストッパ80が停止する。
第1モードが選択されている状態で、トリガ60に対する操作力が解除され、かつ、接触子68が相手材69から離れていると、打込機10のトリガバルブ51、ヘッドバルブ22、打撃部13は、次のような初期状態にある。
トリガバルブ51のプランジャ52は初期位置で停止している。このため、蓄圧室21と通路54とが接続され、通路54と排気通路56とが遮断されている。つまり、トリガバルブ51は、初期状態にある。
トリガバルブ51が初期状態にあると、蓄圧室21の圧縮空気は、通路57を介して制御室25に供給されている。ヘッドバルブ22は、付勢部材24の付勢力でシリンダ12に押し付けられ、ヘッドバルブ22は、ポート30を閉じている。また、ピストン上室29は、排出口125を介して外部B1につながっている。このため、ピストン26は、ピストン下室34の圧力でヘッドバルブ22に押し付けられた状態で停止している。このように、打撃部13は上死点で停止している。
次に、作業者がプッシュレバー67の接触子68を相手材69に押し付ける。図2のように、係合部89は空間C1の外に位置する。このため、プッシュレバー67は作動可能であり、プッシュレバー67の作動力は、伝達部材72に伝達される。伝達部材72の作動力でアーム64が作動するが、この時点でプランジャ52は作動せず、プランジャ52は初期位置で停止している。
接触子68を相手材69に押し付けた状態において、作業者がトリガ60に操作力を付加すると、アーム64の作動力がプランジャ52に伝達され、プランジャ52は初期位置から移動して作動位置で停止する。プランジャ52が、作動位置で停止すると、排気通路56と通路54とが接続され、かつ、蓄圧室21と通路54とが遮断される。排気通路56と通路54とが接続され、かつ、蓄圧室21と通路54とが遮断された状態は、トリガバルブ51の作動状態である。
トリガバルブ51が作動状態であると、制御室25の圧縮空気は、通路57及び排気通路56を介して外部B1に排出され、制御室25の圧力が大気圧と同じになる。
制御室25の圧力が大気圧と同じになると、ヘッドバルブ22は、蓄圧室21の圧力で付勢部材24の付勢力に抗して作動する。つまり、ヘッドバルブ22は、ピストン上室29と外部B1とを遮断し、かつ、ポート30を開く。このため、蓄圧室21の圧縮空気は、ポート30を介してピストン上室29に供給される。したがって、打撃部13は、上死点から下死点に向けて中心線A1方向に作動し、ドライバブレード27が射出路58内の釘59を打撃する。
打撃部13が釘59を打撃した後、ピストン26がバンパ32に衝突し、バンパ32は打撃部13の運動エネルギの一部を吸収する。ピストン26がバンパ32に衝突した時点における打撃部13の位置は、下死点である。
作業者が先端部を相手材69から離反させるか、または、トリガ60に対する操作力を解除すると、トリガバルブ51は、作動状態から初期状態に切り替わる。すると、ヘッドバルブ22が付勢部材24の付勢力で作動して、ピストン上室29と外部B1とを接続し、かつ、ポート30を閉じる。このため、ピストン上室29が大気圧となり、打撃部13はピストン下室34の圧力で下死点から上死点に向けて作動し、ピストン26がヘッドバルブ22に接触して上死点で停止する。
なお、作業者が第1モードを選択し、かつ、接触子68が相手材69から離反している状態で、トリガ60に操作力を付加すると、アーム64が伝達部材72の作動範囲で停止する。このため、接触子68を相手材69に押し付けて、プッシュレバー67が作動しても、伝達部材72の作動力はプランジャ52に伝達されない。したがって、トリガバルブ51は初期状態に維持され、打撃部13は上死点で停止している。
(作業者が第2モードを選択する例) 作業者が、モード選択部材63を操作して第2モードを選択すると、図3のように、カム77の大径部82は、プランジャ84から離反する。また、電源スイッチ94がオンし、電源96の電力が制御部95に供給され、制御部95が起動する。制御部95は、トリガ60に操作力が付加されず、かつ、接触子68が相手材69から離反していると、ソレノイド78に対する電力の供給を停止する。
このため、図3のように、プランジャ84はカム77の小径部81に接触し、プランジャ84が初期位置で停止している。プランジャ84が初期位置で停止していると、作動部材79は、ソレノイド78に最も近い作動位置で停止する。作動部材79が作動位置で停止すると、係合部89が空間C1に位置し、かつ、ストッパ80が停止する。
そして、作業者は、接触子68が相手材69から離反している状態で、トリガ60に操作力を付加する。すると、制御部95は、電源96の電力をソレノイド78に供給し、プランジャ84を図3に示す初期位置から、図4に示す作動位置に移動させ、かつ、停止させる。すなわち、制御部95は、ソレノイド78に電力を供給する制御を継続する。このため、係合部89は空間C1の外に位置し、かつ、ストッパ80が停止する。また、制御部95は、トリガ60に操作力が付加された時点からの経過時間を計測する。
さらに、制御部95は、計測している経過時間が所定時間内であると、ソレノイド78に対する電力の供給を継続する。このため、先端部が相手材69に押し付けられると、プッシュレバー67の作動が可能である。プッシュレバー67の作動力は、トリガバルブ51のプランジャ52に伝達され、トリガバルブ51は作動状態になる。したがって、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動する。また、制御部95は、計測している経過時間が所定時間内であるときに、先端部が相手材69に押し付けられると、計測した経過時間をリセットする。
これに対して、制御部95は、計測している経過時間が所定時間を超えると、ソレノイド78に対する電力の供給を停止する。このため、プランジャ84は作動位置から、図3の初期位置に戻って停止する。そして、先端部が相手材69に押し付けられると、ストッパ80はプッシュレバー67の作動を阻止する。したがって、プッシュレバー67は作動せず、トリガバルブ51は初期状態に維持される。つまり、打撃部13は上死点に停止している。
なお、制御部95は、計測している経過時間が所定時間を超えた後、作業者がトリガ60に対する操作力を解除すると、制御部95は、計測した経過時間をリセットする。
打込機10の実施形態1は、ソレノイド78に電力を供給できない場合に、作業者がモード選択部材63を操作して第1モードを選択すると、係合部89は、空間C1の外に位置する。したがって、プッシュレバー67の作動力をトリガバルブ51のプランジャ52に伝達でき、打撃部13を上死点から下死点に向けて作動させることができる。
また、図3のように、係合部89が空間C1に位置している状態で、接触子68が相手材69に押し付けられると、プッシュレバー67の作動は阻止され、かつ、接触子68を相手材69に押し付けた反力は、ストッパ80を介して壁91に伝達される。したがって、ストッパ80が受ける荷重を低減可能である。
なお、プランジャ84がカム77に接触している状態で、作業者がモード選択部材を操作してカム77が回転すると、プランジャ84はカム77の形状に沿って中心線A2方向に移動する。
(実施形態2) 打込機10の実施形態2は、図6、図7及び図8に示されている。打込機10の実施形態1と打込機10の実施形態2とを比べると、切替機構76の構成が異なる。プランジャ84及び作動部材79が、単数の部材で構成されている。つまり、プランジャ84と作動部材79とが一体化されている。作動部材79は、ピン99を有する。ストッパ80は、ガイド孔100を有する。ガイド孔100は長孔である。ガイド孔100は、中心線A2に対して傾斜して配置されている。ピン99はガイド孔100に配置され、かつ、ピン99はガイド孔100の長手方向に移動可能である。なお、図2に示す付勢部材は設けられていない。
(作業者が第1モードを選択する例) 打込機10の実施形態2において、作業者が第1モードを選択すると、図6のように、カム77の大径部82がプランジャ84に押し付けられ、プランジャ84は作動位置で停止する。このため、係合部89が空間C1の外に位置し、かつ、ストッパ80が停止する。したがって、作業者が接触子68を相手材69に押し付け、かつ、トリガ60に操作力を付加すると、図1Bに示すトリガバルブ51が、初期状態から作動状態に切り替わり、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動する。
(作業者が第2モードを選択する例) 打込機の実施形態2において、作業者が第2モードを選択し、かつ、トリガ60に操作力を付加していない場合、制御部95は、ソレノイド78に電力を供給しない。このため、プランジャ84は、図7のようにカム77の小径部81に接触して初期位置で停止している。
また、作業者が第2モードを選択し、かつ、トリガ60に操作力を付加すると、制御部95は、ソレノイド78に電力を供給する。すると、プランジャ84は初期位置から作動し、プランジャ84は、図8に示す作動位置で停止する。つまり、プランジャ84はカム77から離反する。プランジャ84が作動位置で停止すると、係合部89が空間C1の外に位置し、かつ、ストッパ80が停止する。そして、制御部95は、経過時間が所定時間内であるときに、接触子68が相手材69に押し付けられると、ソレノイド78に対する電力の供給を継続する。また、制御部95は、計測している経過時間をリセットする。
これに対して、制御部95は、計測している経過時間が所定時間を超え、かつ、接触子68が相手材69から離反していると、制御部95は、ソレノイド78に対する電力の供給を停止する。すると、プランジャ84は、図8に示す作動位置から、図7に示す初期位置に戻って停止する。したがって、実施形態2の打込機10は、実施形態1の打込機10と同様の効果を得ることができる。
(実施形態3) 打込機の実施形態3は、図9、図10及び図11に示されている。切替機構76は付勢部材101を有し、付勢部材101は、プランジャ84をストッパ80に近づける向きで付勢する。付勢部材101がプランジャ84を付勢する向きは、実施形態1,2における付勢部材85が、プランジャ84を付勢する向きとは逆である。
作動部材79はプランジャ84と一体化され、ストッパ80にガイド孔102が設けられている。ガイド孔102は長孔である。ガイド孔102が傾斜した向きは、実施形態2でガイド孔100が傾斜した向きとは逆である。作動部材79にピン99が設けられ、ピン99はガイド孔102内で移動可能である。また、付勢部材90が設けられ、付勢部材90は、ストッパ80を空間C1に近づけるように付勢する。
係合部103が主軸62に取り付けられている。係合部103は、主軸62と共に回転及び停止する。係合部104がプランジャ84に取り付けられている。係合部103が回転すると、係合部103は係合部104に対して係合及び解放可能である。
(作業者が第1モードを選択する例) 作業者が第1モードを選択すると、図9のように、係合部103が係合部104に係合し、プランジャ84は作動位置で停止する。プランジャ84が作動位置で停止すると、係合部89が空間C1から退出した状態で、ストッパ80が停止する。このため、作業者が接触子68を相手材69に押し付けると、プッシュレバー67の作動が可能である。作業者が、接触子68を相手材69に押し付け、かつ、トリガ60に操作力を付加すると、図1Bに示すトリガバルブ51が、初期状態から作動状態に切り替わり、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動する。
(作業者が第2モードを選択する例) 作業者が第2モードを選択すると、図10のように、係合部103は係合部104から解放される。また、トリガ60に操作力を付加していない時点で、制御部95は、ソレノイド78に電力を供給しない。このため、プランジャ84は、図10のように初期位置で停止している。プランジャ84が初期位置で停止していると、ストッパ80が停止し、係合部89が空間C1に位置する。
また、作業者が第2モードを選択し、かつ、トリガ60に操作力を付加すると、制御部95は、ソレノイド78に電力を供給する。すると、プランジャ84は、図10に示す初期位置から作動し、図11に示す作動位置で停止する。プランジャ84が作動位置で停止すると、ストッパ80が停止し、係合部89が空間C1の外に位置する。そして、制御部95は、計測している経過時間が所定時間内であるときに、作業者が接触子68を相手材69に押し付けると、ソレノイド78に対する電力の供給を継続し、かつ、計測している経過時間をリセットする。したがって、プッシュレバー67は作動可能であり、伝達部材72の作動力は、アーム64を介してトリガバルブ51に伝達され、トリガバルブ51が初期状態から作動状態に切り替わり、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動する。
これに対して、制御部95が計測している経過時間が所定時間を超え、かつ、接触子68が相手材69から離反していると、制御部95は、ソレノイド78に対する電力の供給を停止する。すると、プランジャ84は、図11に示す作動位置から、図10に示す初期位置に移動して停止する。したがって、プッシュレバー67が、釘59を打ち込む相手材69以外の物体に接触した場合に、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動することを防止できる。
また、ソレノイド78に電力を供給できない場合は、作業者がモード選択部材63を操作して第1モードを選択すると、ストッパ80が停止し、係合部89が空間C1の外に位置する。したがって、打込機10の実施形態3は、打込機10の実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態4) 打込機10の実施形態4を、図12、図13及び図14を参照して説明する。切替機構76は、ロータリソレノイド208、アーム105、ストッパ106を有する。ロータリソレノイド208は、アクチュエータ120の一例であり、コイル107及びプランジャ108を有する。コイル107に電流が流れると、磁気吸引力でプランジャ108に所定角度の回転力が発生する。プランジャ108は、中心線A2を中心として回転可能である。プランジャ108の外周面にピン109が設けられている。
主軸62にストッパ110が設けられている。ストッパ110はフック形状であり、主軸62が回転すると、ストッパ110がピン109に係合または解放する。第1モードから第2モードに切り替える場合、主軸62は図12で時計回りに所定角度回転するものとする。また、第2モードから第1モードに切り替える場合、主軸62は図12で反時計回りに所定角度回転するものとする。
アーム105はプランジャ108に固定されている。アーム105は、凹部121を有する。図14に示す付勢部材111が設けられている。付勢部材111は、一例として金属製のスプリングである。付勢部材111は、プランジャ108及びアーム105に時計回りの回転力を付与する。付勢部材111がプランジャ108に付与する回転力の向きは、コイル107への通電によってプランジャ108に付与される回転力の向きとは逆である。付勢部材111からプランジャ108に回転力が付与され、ストッパ110がピン109に係合すると、ストッパ110はプランジャ108の回転を防止する。
射出部15に支持軸112が設けられており、ストッパ106は、支持軸112を支点として所定角度の範囲内で作動可能なレバーである。ストッパ106は、係合部122を有する。係合部122は、中心線A1方向の長さを有する。ストッパ106のうち、係合部122とは反対の端部が、凹部121に配置されている。つまり、アーム105とストッパ106とが動力伝達可能に接続されている。
プランジャ108が所定角度の範囲内で回転すると、アーム105が所定角度の範囲内で作動する。アーム105の作動力はストッパ106に伝達され、ストッパ106は、支持軸112を支点として所定角度の範囲内で作動する。ストッパ106が作動すると、係合部122は、空間C1に進入及び退出可能である。
図5に示す制御系は、図12に示す打込機10に用いることが可能である。ロータリソレノイド208は、スイッチ回路97を介して電源96に接続される。制御部95は、電源96からロータリソレノイド208に対する電力の供給及び停止を制御可能である。
(作業者が第1モードを選択する例) 作業者が第1モードを選択すると、図12及び図13のように、ストッパ110がピン109に係合する。アーム105及びプランジャ108は、付勢部材111の力に抗して停止する。また、ストッパ106が停止し、係合部122は空間C1の外に位置する。このため、作業者が先端部を相手材69に押し付けると、プッシュレバー67の作動が可能である。作業者が、接触子68を相手材69に押し付け、かつ、トリガ60に操作力を付加すると、トリガバルブ51が初期状態から作動状態に切り替わり、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動する。
(作業者が第2モードを選択する例) 作業者が第2モードを選択し、かつ、作業者がトリガ60に操作力を付加していないと、制御部95はロータリソレノイド208に電力を供給しない。すると、図15、図16のように、ストッパ110はピン109から解放される。また、図17のように、アーム105は、プランジャ108と共に付勢部材111の付勢力で時計回りに作動し、アーム105は停止し、かつ、ストッパ106が停止する。係合部122の少なくとも一部は、空間C1に位置する。
また、作業者が第2モードを選択し、かつ、トリガ60に操作力を付加すると、制御部95は、ロータリソレノイド208に電力を供給する。すると、プランジャ108は、図16、図17に示す位置から反時計回りに作動し、プランジャ108は、図14、図19に示す位置で停止する。プランジャ108及びアーム105が停止し、かつ、ストッパ106が停止すると、係合部122は空間C1の外に位置する。そして、制御部95は、計測している経過時間が所定時間内であるときに、作業者が先端部を相手材69に押し付けると、ロータリソレノイド208に対する電力の供給を継続し、かつ、計測している経過時間をリセットする。したがって、プッシュレバー67の作動力が伝達部材72を介してトリガバルブ51に伝達され、トリガバルブ51が初期状態から作動状態に切り替わり、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動する。
これに対して、制御部95が計測している経過時間が所定時間を超え、かつ、接触子68が相手材69から離反していると、制御部95は、ロータリソレノイド208に対する電力の供給を停止する。すると、プランジャ108は、図19、図14に示す位置から時計回りに作動し、図16、図17に示す位置で停止する。また、ストッパ106は停止し、係合部122の少なくとも一部は、空間C1に位置する。このため、プッシュレバー67が、釘59を打ち込む相手材69以外の物体に接触した場合に、プッシュレバー67の作動を防止できる。したがって、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動することを防止できる。
また、作業者が第2モードを選択し、かつ、ロータリソレノイド208に電力を供給できない場合、作業者がモード選択部材63を操作して第2モードから第1モードに切り替えると、ストッパ110がピン109に係合し、ストッパ110の作動力でプランジャ108が、図16、図17で時計回りに作動して停止する。また、ストッパ106は図14のように停止すると、係合部122は空間C1の外に位置する。したがって、打込機10の実施形態4は、打込機10の実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(制御例1) 図20は、打込機10の実施形態1、2、3及び4のうち、少なくとも1つの実施形態で行われる制御例1を示す。作業者がステップS1で第2モードを選択すると、ステップS2で電源スイッチ94がオンされ、かつ、制御部95が起動する。制御部95は、ステップS3において、トリガ60に操作力が付加されたかを判断する。制御部95は、ステップS3においてNoと判断すると、ステップS2に進む。
制御部95は、ステップS3においてYesと判断すると、ステップS4において、アクチュエータ120に電力を供給し、かつ、経過時間の計測を開始する。制御部95は、トリガ60が操作された時点から所定時間内に、プッシュレバー67が相手材69に押し付けられたかを、ステップS5で判断する。
制御部95は、ステップS5でYesと判断すると、計測している経過時間をステップS6でリセットし、かつ、アクチュエータ120に対する電力の供給を継続する。また、ステップS7で打撃部13が上死点から下死点に向けて作動し、ステップS4に進む。
制御部95は、ステップS5でNoと判断すると、ステップS8において、アクチュエータ120に対する電力の供給を停止し、かつ、計測している経過時間をリセットし、図15の制御例1を終了する。
打込機の実施形態1乃至4のうち、1つ以上の実施形態において、制御部95がアクチュエータ120に電力を供給する場合、制御部95は、第1制御、第2制御、第3制御の何れかを選択可能である。第1制御は、第2モードが選択され、かつ、トリガ60に操作力が付加された時点で、アクチュエータ120に電力を供給するものである。第2制御は、第2モードが選択された時点で、アクチュエータ120に電力を供給する制御ものである。第3制御は、第2モードが選択され、かつ、プッシュレバー67が相手材69に押し付けられた時点で、アクチュエータ120に電力を供給する制御を行うものである。
第3制御を行う場合、係合部75とストッパ80,106との間に隙間を形成しておく。そして、プッシュレバー67が相手材69に押し付けられ、かつ、係合部75がストッパ80またはストッパ106に接触する前に、アクチュエータ120に電力を供給することにより、ストッパ80またはストッパ106を空間C1から退出させる。したがって、ストッパ80,106は、プッシュレバー67の作動を阻止せず、プッシュレバー67の作動力は、伝達部材72を介してトリガバルブ51のプランジャ52に伝達される。
また、図21のように、プッシュレバー67を、作動方向において分割された第1要素204と第2要素205とで構成する。第1要素204に筒部材207を取り付け、第2要素205の一部は筒部材207内に配置されている。第2要素205は第1要素204に対して移動可能である。第1要素204と第2要素205との間に、弾性部材206が介在している。弾性部材206は、金属製のスプリング、合成ゴムを含む。第1要素204は伝達部材72に接続されている。ストッパ80は、空間C2に対して、進入及び退出可能である。第2要素205は相手材69に接触及び離反可能である。
この構成のプッシュレバー67であると、ストッパ80が空間C2に位置している状態で、第2要素205が相手材69に押し付けられると、第1要素204はストッパ80により作動が規制される。第2要素は、弾性部材206の変形量の範囲内で作動可能である。すなわち、プッシュレバー67の一部である第2要素205は作動であるが、第2要素205の作動力は伝達部材72に伝達されない。なお、ストッパ80に代えて、ストッパ106を設けることも可能である。
実施形態で説明した事項の技術的意味は、次の通りである。打込機10は、打込機の一例であり、トリガ60は、操作部材の一例であり、プッシュレバー67は、接触部材の一例である。ピストン上室29は、圧力室の一例である。打撃部13は、打撃部の一例である。トリガバルブ51、ヘッドバルブ22、制御室25、ポート30及び排出口125は、駆動部の一例である。モード選択部材63は、モード選択部材の一例である。
トリガバルブ51が作動状態にあり、かつ、ヘッドバルブ22がポート30を開いている状態は、駆動部の供給状態の一例である。トリガバルブ51が初期状態にあり、かつ、ヘッドバルブ22が排出口125を開いている状態は、駆動部の排出状態の一例である。
ストッパ80の係合部89が空間C1に位置する状態、または、ストッパ106の係合部122が空間C1に位置する状態は、切替機構の第1状態の一例である。ストッパ80の係合部89が空間C1の外に位置する状態、ストッパ106の係合部122が空間C1の外に位置する状態は、切替機構の第2状態の一例である。
ソレノイド78、ロータリソレノイド208、作動部材79、ストッパ80,106は、切替機構の一例である。ポート30は、供給口の一例であり、排出口125は、排出口の一例である。トリガバルブ51は、バルブの一例である。電源96は、電源の一例であり、制御部95は、制御部の一例である。ソレノイド78、ロータリソレノイド208は、解除機構の一例である。ストッパ80,106は、規制部材の一例である。空間C1は、作動範囲の一例である。付勢部材90,111は、保持機構の一例である。射出部15は、ガイド部の一例である。第1モードは、単発打ちと定義可能であり、第2モードは、連発打ちと定義可能である。
打込機は、開示した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、圧縮性気体は、空気の他、不活性ガス、例えば、窒素ガス、希ガスを含む。
操作部材は、レバー、ボタン、アームなどを含む。操作部材は、所定角度範囲内での回転可能なもの、直線状に往復動可能なもの、の何れでもよい。接触部材は、レバー、シャフト、アームなどを含む。接触部材は、直線状に往復動可能である。
アクチュエータは、ソレノイドまたはロータリソレノイドに代えて、電動モータを用いることも可能である。電動モータは、ステッパーモータまたはパルスモータと呼ばれるものを用いる。アクチュエータに対する電力の供給が停止する例は、次の、2つの例を含む。第1の例は、電源の電圧が、アクチュエータを作動させるために必要な電圧未満となった場合である。第2の例は、電源とアクチュエータとの間の電気回路が断線した場合である。
制御部は、電気部品または電子部品の単体でもよいし、複数の電気部品または複数の電子部品を有するユニットでもよい。電気部品または電子部品は、プロセッサ、制御回路及びモジュールを含む。
圧力室及び制御室は、圧縮性気体が供給および排出される空間、領域、通路を含む。圧力室に圧縮性気体を供給する供給口は、ポート、通路、孔、隙間を含む。圧力室から圧縮性気体を排出する排出口は、ポート、通路、孔、隙間を含む。
(実施形態5) 打込機の実施形態5を、図22を参照して説明する。打込機510は、本体511、シリンダ512、打撃部513、トリガ514、射出部515及びプッシュレバー516を有する。また、マガジン517が打込機510に取り付けられている。本体511は、筒形状の胴部518と、胴部518に固定したヘッドカバー519と、胴部518に接続されたハンドル520と、を有する。ハンドル520は、胴部518の外面から突出している。
図22のように、蓄圧室521が、ハンドル520の内部、胴部518の内部、ヘッドカバー519の内部に亘って形成されている。プラグがハンドル520に取り付けられており、プラグにエアホースが接続される。圧縮性気体としての圧縮空気は、エアホースを介して蓄圧室521内に供給される。シリンダ512は胴部518内に設けられている。
ヘッドバルブ522がヘッドカバー519内に設けられている。ヘッドバルブ522は、円筒形状であり、ヘッドバルブ522は、シリンダ512の中心線5A1方向に移動可能である。ヘッドバルブ522は、排気通路523を有する。排気通路523は、本体511の外部B1につながっている。制御室524が、ヘッドカバー519とヘッドバルブ522との間に形成されている。付勢部材525が、制御室524に設けられている。付勢部材525は、一例として、金属製の圧縮コイルスプリングである。ストッパ526がヘッドカバー519に取り付けられている。ストッパ526は一例として合成ゴム製である。
シリンダ512は、胴部518に対して中心線5A1方向に位置決め固定されている。シリンダ512において、中心線5A1方向でヘッドバルブ522に最も近い箇所の端部に、バルブシート527が取り付けられている。バルブシート527は環状であり、かつ、合成ゴム製である。ヘッドバルブ522とバルブシート527との間にポート528が形成される。
ヘッドバルブ522は、付勢部材525の付勢力、制御室524の圧力により、中心線5A1方向でバルブシート527に近付く向きに付勢される。ヘッドバルブ522は、蓄圧室521の圧力で、バルブシート527から離れる向きに付勢される。ヘッドバルブ522が、バルブシート527に押し付けられて、ヘッドバルブ522がポート528を閉じる。ヘッドバルブ522がバルブシート527から離反して、ヘッドバルブ522がポート528を開く。
打撃部513は、ピストン529と、ピストン529に固定されたドライバブレード530と、を有する。ピストン529は、シリンダ512内に配置され、ピストン529は、中心線5A1方向に移動可能である。ピストン529の外周面にシール部材531が取り付けられている。ピストン上室532が、ストッパ526とピストン529との間に形成される。ヘッドバルブ522がポート528を開いていると、蓄圧室521の圧縮空気がピストン上室532に接続され、かつ、ヘッドバルブ522は、ピストン上室532と排気通路523とを遮断する。ヘッドバルブ522がポート528を閉じていると、蓄圧室521はピストン上室532から遮断され、かつ、ピストン上室532と排気通路523とが接続される。
射出部515は、胴部518に対して、中心線5A1方向でヘッドカバー519が設けられている個所とは反対の端部に固定されている。
図22のように、バンパ533が、シリンダ512内に設けられている。バンパ533は、シリンダ512内において、中心線5A1方向で射出部515に最も近い位置に配置されている。バンパ533は、合成ゴム製、または、シリコンゴム製である。バンパ533は軸孔534を有し、ドライバブレード530は軸孔534内で中心線5A1方向に移動可能である。シリンダ512内において、ピストン529とバンパ533との間にピストン下室535が形成されている。シール部材531は、ピストン下室535とピストン上室532とを気密に遮断する。
シリンダ512を径方向に貫通する通路536,537が設けられている。通路537は、中心線5A1方向で通路536と射出部515との間に配置されている。戻り空気室538が、シリンダ512の外面と胴部518との間に形成されている。逆止弁539がシリンダ512に設けられている。ピストン下室535及び戻り空気室538内に亘って、圧縮空気が封入されている。
図22及び図23のように、トリガ514は本体511に取り付けられている。トリガ514は、本体511に対して支持軸540を介して取り付けられている。トリガ514は、支持軸540を中心として所定角度の範囲内で作動、つまり、回動可能である。トリガ514は、ストッパ541を有する。作業者は、ハンドル520を手で握り、指でトリガ514に操作力を付加または解除する。作業者がトリガ514に操作力を付加すると、トリガ514は図23で反時計回りに作動する。
アーム542がトリガ514に取り付けられている。アーム542はトリガ514に対して支持軸543を中心として、所定角度の範囲内で作動可能である。アーム542の自由端544は、トリガ514の長さ方向で、支持軸540と支持軸543との間に位置する。アーム542を支持軸543を中心として付勢する付勢部材545が設けられている。付勢部材545は、一例として金属製のスプリングである。付勢部材545は、アーム542を図23で反時計回りに付勢する。アーム542に加わる付勢力の一部は、トリガ514に伝達される。トリガ514は、付勢部材545により、図23で時計回りに付勢される。
図22及び図23のように、トリガバルブ546が、胴部518とハンドル520との接続箇所に設けられている。トリガバルブ546は、プランジャ547、ボディ548、弁体549、付勢部材550、弁体549に設けたシール部材551,552、ボディ548に設けた通路553、排気通路554を有する。排気通路554は、外部B1につながっている。通路555が本体511に設けられ、通路553は、通路555を介して制御室524につながっている。
プランジャ547は中心線5A2方向に移動可能であり、中心線5A2方向におけるプランジャ547の位置に応じて、弁体549が中心線5A2方向に移動及び停止する。中心線5A2方向における弁体549の位置に応じて、シール部材551,552が、それぞれボディ548に接触または離反する。シール部材551がボディ548から離反すると、蓄圧室521と通路553とが接続されるとともに、シール部材552がボディ548に接触し、通路553と排気通路554とが遮断される。シール部材551がボディ548に接触すると、蓄圧室521と通路553とが遮断されるとともに、シール部材552がボディ548から離反し、通路553と排気通路554とが接続される。
図22に示す射出部515は、一例として、金属製または非鉄金属製である。射出部515は射出路556を有する。射出路556内に中心線5A1が位置し、ドライバブレード530は射出路556内で中心線5A1方向に移動可能である。
マガジン517は、射出部515に対して固定されている。マガジン517は釘557を収容する。マガジン517は、フィーダ558を有し、フィーダ558はマガジン517内の釘557を射出路556に送る。
プッシュレバー516は射出部515に取り付けられている。プッシュレバー516は、射出部515に対して、中心線5A1方向の所定範囲内で作動可能である。図22及び図23に示す伝達機構559が設けられている。伝達機構559は、プッシュレバー516の作動力をプランジャ547に伝達するものである。伝達機構559は、プランジャ560、シリンダ561、ピン562及び付勢部材563を有する。プランジャ560、シリンダ561、ピン562は、金属製である。また、本体511にホルダ564及びアジャスタ565が設けられている。ホルダ564は筒形状であり、ホルダ564及びアジャスタ565は、シリンダ561を作動可能に支持する。プランジャ560、シリンダ561及びピン562は、中心線5A3方向に作動可能である。中心線5A2と中心線5A3とは平行である。なお、中心線5A2と中心線5A3とは、同軸に配置されていてもよい。
プッシュレバー516とプランジャ560とが、作動力を伝達可能に接続されている。プランジャ560とシリンダ561とが作動力を伝達可能に接続されている。シリンダ561は支持孔566を有し、付勢部材563は支持孔566に配置されている。ピン562の中心線5A3方向の一部は、支持孔566に配置され、ピン562の中心線5A3方向の一部は、支持孔566の外に配置されている。付勢部材563は、一例として金属製の圧縮スプリングである。付勢部材563は、ピン562を中心線5A3方向でトリガバルブ546に近づける向きで付勢する。付勢部材563のバネ定数は、付勢部材550のバネ定数よりも大きい。シリンダ561の外周面に凹部561Aが設けられている。ピン562において、支持孔566の外に配置されている箇所の外面に、係合部567が設けられている。係合部567の外面は円弧形状である。アーム542の自由端544は、中心線5A3方向でプランジャ547とピン562との間に配置されている。
図23に示す規制機構568が設けられている。図23に示す規制機構568は、一例として、トリガ514に設けられている。規制機構568は、ピン562の作動力が、プランジャ547に伝達されることを阻止する機能を有する。規制機構568は、ストッパ569、電磁石570及び付勢部材571を有する。ストッパ569は、合成樹脂製または金属製であり、ストッパ569は、支持軸540により支持されている。ストッパ569は、トリガ514に対して支持軸540を中心として所定角度の範囲内で作動可能、つまり、回転可能である。永久磁石572がストッパ569に取り付けられている。付勢部材571は、一例として金属製のねじりコイルスプリングである。付勢部材571は、ストッパ569を図23で反時計回りに付勢する。
電磁石570は、磁性材料、導電性のコイルを有する。電磁石570は、コイルを電流が通ると磁力を発生し、コイルを電流が通らなければ磁力が消滅する。電磁石570が発生する磁力が、永久磁石572の磁力に反発するように、コイルを通る電流の向きが設定される。つまり、電磁石570の極性は、永久磁石572の極性と同じである。電磁石570は、ストッパ569の作動範囲内に配置されている。電磁石570に電流が流れていない場合、付勢部材571により付勢されるストッパ569は、電磁石570に押し付けられて初期位置で停止する。電磁石570に電力が供給されて電磁石570が磁力を発生すると、ストッパ569は付勢部材571の付勢力に抗して、図23で時計回りに作動し、かつ、電磁石570から離反した位置で停止する。
図24は、打込機510の制御系を示すブロック図である。打込機510は、モード選択部材573、電源スイッチ574、トリガセンサ575、プッシュレバーセンサ576、制御部577、電源578、電流制御回路579及びアクチュエータ580を有する。電流制御回路579は、電源578とアクチュエータ580との間に設けられている。電源578は、一例として、電池パックを用いることが可能である。電池パックは、ケースと、ケース以内に収容された電池とを有する。電池パックは、本体511の外面、またはマガジン517の外面に対して取り付け及び取り外しが可能である。
モード選択部材573は、本体511に設けられている。モード選択部材573は、一例として、所定角度の範囲内で作動可能なレバーである。モード選択部材573は、第1モードに対応する第1操作位置と、第2モードに対応する第2操作位置とを有する。第1モードは、図22に示すプッシュレバー516を相手材581に接触させた状態で、作業者がトリガ514に操作力を付加するものである。第2モードは、作業者がトリガ514に操作力を付加した状態で、プッシュレバー516を相手材581に接触させるものである。作業者は、トリガ514に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー516が相手材581から離反した状態で、モード選択部材573を操作して第1モードまたは第2モードを選択する。
電源スイッチ574は、モード選択部材573が第1操作位置にあると、電源578と制御部577とを遮断し、モード選択部材573が第2操作位置にあると、電源578と制御部577とを接続する。電源スイッチ574は接触スイッチ、一例として、タクタイルスイッチである。電流制御回路579は、一例として、複数の電界効果トランジスタを有する。
トリガセンサ575は、トリガ514に対する操作力の有無、及びプッシュレバー516の作動状態に応じた信号を出力する。トリガセンサ575は、一例として接触センサを用いることが可能である。トリガ514は初期位置と作動位置との間で作動可能である。トリガ514の初期位置は、図23のようにトリガ514の一部がホルダ564に接触して停止した位置である。なお、付勢部材545の力でアーム542がピン562に接触して、トリガ514が停止している位置を初期位置として定義することも可能である。トリガ514の作動位置は、トリガ514の一部が、ボディ548または本体511に接触して、トリガ514が停止した位置である。トリガセンサ575は、接触子575Aを有し、物体が接触子575Aに押し付けられるとトリガセンサ575はオンし、物体が接触子575Aを押す力が低下するか、または離反すると、トリガセンサ575はオフする。トリガセンサ575は、本実施形態では、次のような場合にオンまたはオフする。
トリガセンサ575は、図23のようにトリガ514が初期位置に停止していると、プッシュレバー516の位置に関わりなくオフする。
トリガセンサ575は、図26のようにトリガ514に操作力が付加されて作動位置に停止し、かつ、プッシュレバー516が相手材581から離反している状態においてオンする。作動位置に停止しているトリガ514は、トリガセンサ575に接触せず、アーム542の一部が接触子575Aを押すと、トリガセンサ575がオンする。
図26のように、トリガセンサ575がオンしている場合に、プッシュレバー516が相手材581に押し付けられてピン562が初期位置から作動し、ピン562が図27に示す作動位置に到達すると、トリガセンサ575はオフする。これは、ピン562に押されたアーム542が時計回りに作動して、アーム542が接触子575Aを押す力が低下するからである。このように、トリガ514が作動位置に停止している状態で、トリガセンサ575はオンまたはオフが可能である。
図23に示すトリガセンサ575は、一例として、ハンドル520の外面に設けられている。
プッシュレバーセンサ576は、プッシュレバー516が初期位置または作動位置に応じた信号と、プッシュレバー516が初期位置と作動位置との中間位置を通過することに応じた信号を出力する。プッシュレバーセンサ576として、プッシュレバー516のプランジャ作動を直接検出せず、シリンダ561の中心線5A3方向における位置に応じた信号を出力する接触センサを用いた例を開示する。プッシュレバー516が初期位置にある場合、つまり、相手材581から離反している場合、プッシュレバーセンサ576はオフする。プッシュレバーセンサ576は、プッシュレバー516が初期位置と作動位置との中間位置にあり、ピン562に接触するとオンする。プッシュレバーセンサ576は、プッシュレバー516が作動位置に到達するとオフする。具体的には、プッシュレバーセンサ576は、凹部561Aに相当する位置ではシリンダ561から離反し、オフする。トリガセンサ575及びプッシュレバーセンサ576の信号は、制御部577に入力される。
制御部577は、入力インタフェース、出力インタフェース、記憶部、演算処理部、タイマーを有するマイクロコンピュータである。制御部577は、電源スイッチ574がオンすると起動し、電源スイッチ574がオフすると停止する。アクチュエータ580は、電磁石570を含む。制御部577は、電流制御回路579の接続及び遮断を制御し、かつ、電磁石570に対する電流の向きを制御する。
制御部577は、プッシュレバー516が相手材581から離れており、かつ、トリガセンサ575がオンすると、トリガ514に操作力が付加されたと判断する。制御部577は、プッシュレバーセンサ576がオフからオンに切り替わると、プッシュレバー516が相手材581に押し付けられて作動したと判断する。制御部577は、プッシュレバーセンサ576がオンからオフに切り替わると、プッシュレバー516が作動した後に作動位置に到達したと判断する。
(打込機の使用例) 次に、打込機510の使用例を説明する。作業者がトリガ514に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー516が相手材581から離反していると、トリガ514がホルダ564に押し付けられるか、または、アーム542の自由端544がピン562の先端に押し付けられて、トリガ514及びアーム542が初期位置で停止している。
トリガ514に対する操作力が解除され、かつ、プッシュレバー516が相手材581から離れていると、トリガバルブ546、ヘッドバルブ522、打撃部513は、次のような初期状態にある。
トリガバルブ546が初期状態にあると、蓄圧室521と通路553とが接続され、かつ、通路553と排気通路554とが遮断される。このため、蓄圧室521の圧縮空気が制御室524に供給され、ヘッドバルブ522はポート528を閉じている。つまり、ヘッドバルブ522は、蓄圧室521とピストン上室532とを遮断している。また、ヘッドバルブ522は、ピストン上室532と排気通路523とを接続し、ピストン上室532は、排気通路523を介して外部B1につながっている。したがって、ピストン上室532の圧力は、大気圧と同じであり、かつ、ピストン下室535の圧力よりも低い。このため、ピストン529は、ピストン下室535の圧力でストッパ526に押し付けられた状態で停止している。このように、打撃部513は、図22に示す上死点で停止している。
作業者は、トリガ514に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー516が相手材581から離反している状態で、モード選択部材573を操作して、第1モードまたは第2モードを選択する。
(第1モードを選択した例) 作業者が第1モードを選択すると、電源スイッチ574はオフする。つまり、電源578の電力は制御部577に供給されず、制御部577は停止している。また、電磁石570に電力は供給されない。このため、ストッパ569は、電磁石570に接触した初期位置で停止している。トリガ514が初期位置で停止し、かつ、電磁石570に電力が供給されない場合、初期位置で停止するストッパ569は、ピン562の作動範囲外、特に、係合部567の作動範囲外に位置する。
そして、作業者がトリガ514に対する操作力を解除している状態で、プッシュレバー516を相手材581に押し付ける。プッシュレバー516を相手材581に押し付けた反力で、プッシュレバー516はバンパ533に近づく向きで作動する。プッシュレバー516の作動力は、プランジャ560、付勢部材563及びシリンダ561を介してピン562に伝達される。ピン562は、中心線5A3方向でプランジャ547に近づく向きで作動する。ストッパ569は、係合部567の作動範囲外に位置しており、ピン562の作動を阻止しない。ピン562の作動力はアーム542に伝達され、アーム542は図23で反時計回りに作動する。ピン562が停止すると、アーム542も停止する。この時点において、アーム542の作動力はプランジャ547に伝達されず、トリガバルブ546は初期状態にある。
プッシュレバー516を相手材581に押し付けた状態で、作業者がトリガ514に操作力を付加すると、トリガ514は支持軸540を中心として図23で反時計回りに作動する。すると、アーム542はトリガ514と共に作動する。トリガ514がトリガセンサ575に押し付けられて作動位置で停止すると、アーム542も停止する。トリガ514が反時計回りに作動し、かつ、作動位置で停止すると、ピン562の係合部567は、中心線5A3方向でストッパ569の先端とアーム542の自由端544との間に位置する。
このように、トリガ514が反時計回りに作動する過程で、アーム542の作動力がプランジャ547に伝達される。プランジャ547は、付勢部材550の付勢力に抗して初期位置から作動し、トリガバルブ546は作動状態になる。このように、アーム542は、トリガ514と協働して作動力をプランジャ547に伝達する。
トリガバルブ546が作動状態になると、蓄圧室521と通路553とが遮断され、かつ、通路553と排気通路554とが接続される。このため、制御室524の圧縮空気は、通路555、通路553及び排気通路554を介して外部B1に排出され、制御室524の圧力が大気圧と同じになる。
制御室524の圧力が大気圧と同じになると、ヘッドバルブ522は、蓄圧室521の圧力で付勢部材525の付勢力に抗して作動する。このため、ヘッドバルブ522は、ピストン上室532と排気通路523とを遮断し、かつ、ポート528を開く。つまり、蓄圧室521とピストン上室532とが接続され、ピストン上室532の圧力が上昇する。ピストン上室532の圧力がピストン下室535の圧力よりも高くなると、打撃部513は、上死点から下死点からに向けて中心線5A1方向に作動し、ドライバブレード530が射出路556の釘557を打撃する。打撃された釘557は、相手材581に打ち込まれる。
打撃部513が釘557を相手材581に打ち込んだ後、ピストン529がバンパ533に衝突し、バンパ533は打撃部513の運動エネルギの一部を吸収する。ピストン529がバンパ533に衝突した時点における打撃部513の位置は、下死点である。また、打撃部513が上死点から下死点に向けて作動中、逆止弁539が通路536を開き、ピストン下室535の圧縮空気は、通路536から戻り空気室538に流れ込む。
打撃部513が釘557を打撃した後、作業者は、プッシュレバー516を相手材581から離反させ、かつ、トリガ514に対する操作力を解除する。すると、ピン562は、付勢部材545の付勢力でプランジャ547から離反する向きで作動する。すると、係合部567がストッパ569の先端に接触し、かつ、ストッパ569が電磁石570に押し付けられた状態で、ピン562が作動するか、または、ストッパ569が付勢部材571の付勢力に抗して時計回りに作動して、ストッパ569が電磁石570から離反した状態で、ピン562が作動し、ピン562及びストッパ569は、図23に示す初期位置で停止する。
さらに、トリガバルブ546は作動状態から初期状態に戻り、ヘッドバルブ522はポート528を閉じ、かつ、ピストン上室532と排気通路523とを接続する。すると、ピストン上室532の圧力が大気圧と同じになり、ピストン529は、ピストン下室535の圧力で下死点から上死点に向けて作動する。また、戻り空気室538の圧縮空気は、通路537を経由してピストン下室535に流れ込み、打撃部513は上死点に戻り停止する。
(第2モードを選択した例) 作業者が、モード選択部材573を操作して第2モードを選択すると、電源スイッチ574がオンし、制御部577が起動する。作業者は、図23のようにトリガ514が初期位置で停止し、かつ、ピン562が初期位置で停止している状態において、プッシュレバー516を相手材581から離反させたまま、トリガ514に操作力を付加し、トリガ514を図23で反時計回りに作動させ、トリガ514を作動位置で停止させる。すると、ストッパ569はトリガ514と共に図23で反時計回りに作動し、かつ、トリガ514と共に図25に示す作動位置で停止する。ストッパ569が作動位置で停止すると、ストッパ569の先端は、係合部567の作動領域内に位置する。また、アーム542はピン562から離反し、ストッパ541に接触して停止する。
一方、制御部577は、トリガセンサ575の信号から、トリガ514に操作力が付加されたことを検出すると、電磁石570に電力を供給し、かつ、経過時間の計測を開始する。制御部577は、経過時間が所定時間内であると、電磁石570に電力を供給する。電磁石570が磁力を発生すると、ストッパ569は付勢部材571の付勢力に抗して、図26のように時計回りに作動し、ストッパ569の先端は、係合部567の作動領域の外で停止する。
そして、経過時間が所定時間内である場合に、プッシュレバー516が相手材581に押し付けられると、プッシュレバーセンサ576がオンする。また、シリンダ561及びピン562が初期位置からプランジャ547に近づく向きで作動し、シリンダ561及びピン562が作動位置で停止する。シリンダ561が作動位置に到達すると、プッシュレバーセンサ576がオフし、制御部577は電磁石570に対する電力の供給を停止する。このため、ストッパ569は初期位置に戻って停止する。
ピン562の作動力は、アーム542を介してプランジャ547に伝達される。このため、トリガバルブ546は、図26に示す初期状態から、図27に示す作動状態に切り替わる。したがって、打撃部513は上死点から下死点に向けて作動し、打撃部513は釘557を相手材581に打ち込む。
これに対して、制御部577は、プッシュレバー516が相手材581に押し付けられることなく、経過時間が所定時間を超えると、電磁石570に対する電力の供給を停止し、かつ、経過時間をリセットする。つまり、ストッパ569は、図25に示す初期位置で停止する。トリガ514が作動位置にあり、かつ、ストッパ569が初期位置で停止すると、ストッパ569の先端は、係合部567の作動範囲内に位置する。
このため、経過時間が所定時間を超えてから、プッシュレバー516が相手材581に押し付けられると、ストッパ569の先端が係合部567に係合する。つまり、ストッパ569は、プッシュレバー516の作動力が、プランジャ547に伝達されることを阻止する。したがって、トリガバルブ546は初期状態に維持され、かつ、打撃部513は初期位置で停止している。
このように、作業者がトリガ514に操作力を付加することに連動して、ストッパ569は、プッシュレバー516の作動力がトリガバルブ546に伝達されることを阻止できる。また、トリガ514に操作力が付加された時点から所定時間内に限り、電磁石570に電力を供給する。したがって、電源578の電力消費量をなるべく低減可能である。また、作業者が第1モードを選択した場合は、制御部577に電力は供給されず、第2モードを選択した場合に、制御部577に電力を供給する。したがって、電源578の電力消費量をなるべく低減可能である。
さらに、電源578から電磁石570に電力を供給できない場合、一例として、電源578の電圧が低下した場合、作業者は第1モードを選択する。すると、プッシュレバー516を相手材581に押し付けた場合に、ストッパ569がピン562の作動を阻止せず、ピン562が初期位置から作動位置に移動することができる。したがって、打撃部513を上死点から下死点に向けて作動させることができる。
さらに、シリンダ561とピン562との間に付勢部材563が設けられている。付勢部材563として金属製のスプリングを用いると、係合部567がストッパ569に押し付けられる力が過大であると、スプリングが弾性変形することで、ストッパ569が受ける荷重を低減可能である。したがって、規制機構568の負荷を低減可能である。
(制御例2) 図28は、制御部577が行うことの可能な制御例2を示すフローチャートである。なお、図28には、作業者が行う操作、制御部577が行う制御以外の事項も含まれている。ステップS1では、打込機510が初期状態にある。打込機510の初期状態は、トリガ514に対する操作力が解除され、かつ、プッシュレバー516が相手材581から離反され、かつ、アクチュエータ580に対する電力供給が停止していることを意味する。
制御部577は、ステップS2でトリガ514に操作力が付加されて、トリガセンサ575がオンしたかを判断する。トリガセンサ575は、図26のように、ピン562を支点として反時計回りに作動するアーム542が接触子575Aを押すとオンする。制御部577は、ステップS2でNoと判断すると、図28の制御例2を終了する。制御部577は、ステップS2でYesと判断すると、ステップS3でアクチュエータ580に電力を供給し、かつ、経過時間の計測を開始する。
制御部577は、ステップS4において、経過時間の計測を開始した時点から所定時間内にプッシュレバーセンサ576がオンし、かつ、オフしたかを判断する。制御部577は、ステップS4でYesと判断すると、プッシュレバー516が作動位置に到達したと判断し、ステップS5でアクチュエータ580に対する電力供給を停止させる。
トリガ514が作動位置で停止している状態で、プッシュレバー516が作動してピン562が作動位置に到達すると、ステップS6において、トリガセンサ575は、オンからオフに切り替わる。制御部577は、トリガセンサ575がオフすると、ステップS6で経過時間をリセットする。
このように、トリガ514に操作力が付加され、かつ、プッシュレバー516が相手材581に押し付けられると、トリガバルブ546が初期状態から作動状態に切り替わり、ステップS7で、打撃部513が上死点から下死点に向けて作動する。
作業者は、打撃部513が上死点から下死点に向けて作動した後、プッシュレバー516を相手材581から離反させる。制御部577はステップS8でプッシュレバー516が初期位置に戻されたことを検出する。また、制御部577はステップS9でトリガ514に対する操作力が解除されたかを判断する。制御部77は、プッシュレバー516が初期位置で停止しており、かつ、トリガセンサ575がオフすると、トリガ514に対する操作力が解除されたと判断する。制御部577がステップS9でNoと判断するということは、作業者の意図が第2モードでの打撃作業の継続にあるため、制御部577は、ステップS3に進む。
これに対して、制御部577がステップS9でYesと判断すると、図28の制御例2を終了する。制御部577は、ステップS4でNoと判断すると、ステップS10において、アクチュエータ580に対する電力供給を停止する。このため、ストッパ569は図25のように初期位置に維持される。つまり、プッシュレバー516を相手材581に押し付けても打撃部513は上死点で停止している。さらに、作業者がステップS11でトリガ514に対する操作力を解除すると、制御部577はステップS12で経過時間をリセットし、図28の制御例2が終了する。
(制御例3) 図29は、制御部577が行うことの可能な制御例3を示すフローチャートである。なお、図29には、作業者が行う操作、制御部577が行う制御以外の事項も含まれている。図29に示すステップにおける処理または判断と、図28に示すステップにおける処理または判断とが同じである場合は、図28と同じステップ符号を付してある。
制御部577が図29のステップS2でYesと判断すると、制御部577は、ステップS31において、トリガセンサ575がオンした時点からの経過時間の計測を開始する。制御部577は、ステップS41で、経過時間の計測を開始した時点から所定時間内に、プッシュレバーセンサ576がオンしたかを判断する。制御部577は、ステップS41でYesと判断すると、ステップS42でアクチュエータ580に電力を供給する。
制御部577は、ステップS43でプッシュレバーセンサ576のオフを検出すると、ピン562が図27の作動位置に到達したと判断し、ステップS5でアクチュエータ580に対する電力の供給を停止し、ステップS6に進む。
制御部577がステップS41でNoと判断した後、作業者はステップS11の操作を行う。すると、制御部577はステップS12で経過時間をリセットし、図29の制御例3を終了する。制御部577が図29の制御例3を行うと、電源578の電力消費量を低減可能である。
さらに、プッシュレバー516とピン562との間の作動力伝達経路に、付勢部材563が設けられている。付勢部材563が、緩衝部材、一例として、金属製のスプリング、または合成ゴム製であると、ピン562の作動がストッパ569により規制されている状態で、付勢部材563は、プッシュレバー516が物体に接触した場合の衝撃の一部を、吸収または緩和可能である。したがって、規制機構568の負荷を低減可能である。
さらに、トリガ514に取り付けたアーム542がトリガセンサ575の接触子575Aを押すしたり、アーム542が接触子575Aから離反したりすることで、トリガセンサ575はオン及びオフする。このため、トリガ514に操作力が付加された時点から、所定時間以内にプッシュレバー516が相手材581に押し付けられなかった場合に、トリガ514の操作力を解除することで、経過時間をリセットする第1の状態と、トリガ514に操作力が付加された時点から、所定時間以内にプッシュレバー516が相手材581に押し付けられて、打撃部513が上死点から下死点に向けて作動し、かつ、経過時間をリセットする第2の状態とを、単数のトリガセンサ575の信号により制御部577が検知して、対応する制御を行うことができる。なお、第2の状態は、打撃部513が上死点から下死点に向けて作動する直前の状態を含む。
したがって、第1の状態及び第2の状態を検出するセンサまたはスイッチを、それぞれ設ける場合と、本実施形態とを比較すると、本実施形態の方が部品点数を削減できる。圧縮性気体を、本体の外部から蓄圧室に供給する構造の釘打機において、部品点数が削減されると、本体の重量の増加を抑制でき、かつ、機構の大型化を抑制可能であり、特に効果的である。
(実施形態6) 打込機510の実施形態6は、図30に示されている。図30に示す打込機510において、図22に示す構造と同じ構造は、図22に示す符号と同じ符号を付してある。ストッパ569は、付勢部材571により図30で反時計回りに付勢される。トリガ514にピン582が設けられている。トリガ514に電磁石570Aが設けられている。電磁石570Aは、電力が供給された場合の極性が、永久磁石572の極性とは異なる。電磁石570Aに対する電力の供給が停止していると、付勢部材571により付勢されるストッパ569は、ピン582に接触して二点鎖線の初期位置で停止する。電磁石570Aに電力が供給され電磁石570Aが磁力を発生すると、ストッパ569は付勢部材571の付勢力に抗して時計回りに作動し、電磁石570Aに接触して実線の作動位置で停止する。図30の打込機510は、図24に示す制御系を有する。電磁石570Aは、アクチュエータ580の一例である。
次に、図30に示す打込機510の使用例を説明する。作業者が第1モードを選択すると、電磁石570Aに対する電力の供給は停止される。トリガ514が初期位置で停止している状態において、ストッパ569の先端は、係合部567の作動範囲外に位置する。
トリガ514が初期状態にあり、かつ、作業者がプッシュレバー516を相手材581に接触させ、プッシュレバー516が初期位置から作動すると、ピン562は作動可能である。このため、トリガバルブ546は初期状態から作動状態に切り替わり、打撃部513が上死点から下死点に向けて作動する。また、プッシュレバー516が相手材581から離反し、ピン562が作動位置から初期位置に戻る過程で、ピン562の作動がストッパ569に阻止されることは無い。その原理は、打込機510の実施形態5と同様である。
次に、図30に示す打込機510において、作業者が第2モードを選択すると、制御部577は、図28の制御例2、または図29の制御例3を行うことが可能である。制御部577が、図28のステップS3において、電磁石570Aに電力を供給すると、ストッパ569が二点鎖線で示す初期位置から、実線で示す作動位置に作動し、かつ、作動位置で停止する。ストッパ569が作動位置で停止すると、ストッパ569は、係合部567の作動範囲外に位置する。このため、プッシュレバー516が相手材581に押し付けられて作動すると、ストッパ569はピン562の作動を阻止しない。したがって、トリガバルブ546は、初期状態から作動状態に切り替り、打撃部513は上死点から下死点に向けて作動する。
また、制御部577は、図28のステップS5において、電磁石570Aに対する電力の供給を停止すると、ストッパ569はピン582に接触した初期位置で停止する。次に、作業者がプッシュレバー516を相手材581から離反させると、ピン562が作動位置から初期位置に戻る過程で、ストッパ569が時計回りに作動するため、ストッパ569はピン562の作動を阻止しない。その原理は、打込機510の実施形態5と同様である。
また、制御部577は、ステップS10において電磁石570Aに対する電力の供給を停止する。すると、ピン582に接触しているストッパ569の先端は、係合部567の作動範囲内に位置する。このため、トリガ514に操作力が付加されてからの経過時間が、所定時間を超えてからプッシュレバー516が相手材581に押し付けられると、打込機10の実施形態5と同様の原理により、トリガバルブ546は初期状態に維持される。
さらに、制御部577が図29の制御例3を行うと、制御部577はステップS42において電磁石570Aに電力を供給する。すると、ストッパ569が二点鎖線で示す初期位置から、実線で示す作動位置に作動し、かつ、作動位置で停止する。また、制御部577は、図29のステップS5において、電磁石570Aに対する電力の供給を停止すると、ストッパ569は、図30に二点鎖線で示すように、ピン582に接触した初期位置で停止する。打込機510の実施形態6は、打込機510の実施形態5と同様の効果を得ることができる。
(実施形態7)
打込機510の実施形態7は、図31に示されている。規制機構としてのソレノイド583が、トリガ514に設けられている。ソレノイド583は、プッシュレバー516の作動力、具体的にはピン562の作動力が、プランジャ547に伝達されることを阻止する機能を有する。ソレノイド583は、コイル584、プランジャ585及び付勢部材586を有する。プランジャ585は磁性材製であり、中心線5A4方向に移動可能である。中心線5A4は中心線5A3と交差する。付勢部材586は、一例として金属製のスプリングである。プランジャ585は、付勢部材586の付勢力でピン562に近づく向きで付勢され、かつ、初期位置で停止する。コイル584は、電力が供給されると磁力を発生し、プランジャ585をピン562から離反させる向きで付勢し、プランジャ585は作動位置で停止する。打込機510の実施形態7は、図24の制御系を有する。ソレノイド583は、アクチュエータ580の一例である。また、アーム542は図31で反時計回りに付勢され、トリガ514は、図31で時計回りに付勢されている。
さらに、トリガ514は、図32及び図33のように、主軸592及び支持軸540を介して本体511により支持されている。主軸592は円柱形状であり、主軸592は、中心線5A5を中心として回転可能である。主軸592にモード選択部材573が取り付けられている。支持軸540は、主軸592の中心線5A5から偏心した中心線5A6を中心として配置されている。作業者がモード選択部材573を操作すると主軸592が回転し、主軸592は、第1モードまたは第2モードに対応する位置で停止可能である。
プランジャ585が初期位置で停止している状態で、作業者が第1モードを選択した場合におけるプランジャ585とピン562との距離は、作業者が第2モードを選択した場合におけるプランジャ585とピン562との距離よりも長い。図32、図35は、第1モードを選択した場合におけるプランジャ585の位置である。図31、図33及び図34は、第2モードを選択した場合におけるプランジャ585の位置である。打込機510の実施形態7における他の構造は、打込機510の実施形態5における他の構造と同じである。
(第1モードを選択した例) 打込機510の実施形態7において、作業者が第1モードを選択すると、図24に示す制御部577に電力は供給されず、制御部577は停止している。作業者が第1モードを選択すると、ソレノイド583に電力は供給されず、プランジャ585は初期位置で停止している。プランジャ585はピン562の作動範囲外に位置する。
作業者が第1モードを選択し、プッシュレバー516を相手材581に押し付けると、ピン562が作動してアーム542を作動させる。次いで、作業者がトリガ514に操作力を付加すると、トリガバルブ546が初期状態から作動状態に切り替わる。したがって、打撃部513は上死点から下死点に向けて作動する。
その後、作業者がトリガ514に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー516を相手材581から離反すると、トリガバルブ546は作動状態から初期状態に戻る。作業者がトリガ514に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー516を相手材581から離反して、ピン562が作動位置から初期位置に戻る場合、プランジャ585がピン562に接触することはない。
(第2モードを選択した例) 打込機510の実施形態7において、作業者が第2モードを選択すると、図24に示す制御部577に電力が供給され、制御部577が起動し、図36の制御例4または図37の制御例5を行うことが可能である。
まず、図36の制御例4を説明する。図36において、図28の制御例2と同じ処理及び同じ判断は、図28と同じステップ番号を付してある。
作業者がトリガ514に操作力を付加すると、制御部577は、ステップS2でYesと判断し、制御部577は、ステップS3で経過時間の計測を開始し、かつ、ソレノイド583に電力を供給する。このため、プランジャ585の先端585Aは、ピン562の作動範囲外に移動して停止する。また、アーム542は、図31に実線で示す初期位置から二点鎖線で示す中間位置へ作動する。
制御部577がステップS4でYesと判断した後、制御部577は、ステップS51でソレノイド583に対する電力の供給を継続する。ステップS7において、打撃部513が、上死点から下死点に向けて作動する。
そして、制御部577は、ステップS8でプッシュレバー516が初期位置に戻されてプッシュレバーセンサ576がオフされると、ステップS81でソレノイド583に対する電力の供給を停止し、ステップS9の判断を行う。
制御部577は、ステップS4でNoと判断すると、ステップS10でソレノイド583に対する電力の供給を停止する。また、作業者がステップS11でトリガ514に対する操作力を解除すると、制御部577はステップS12で経過時間をリセットし、図36の制御例4を終了する。このため、トリガ514に操作力を付加してトリガセンサ575がオンした時点から所定時間を超えた時点において、プッシュレバー516が作動すると、図34に二点鎖線で示すように、プランジャ585の先端585Aがピン562の作動を阻止する。したがって、トリガバルブ546は初期状態に維持される。
次に、図37の制御例5を説明する。図37において、図29の制御例3と同じ処理及び同じ判断は、図29と同じステップ番号を付してある。
制御部577がステップS2でYesと判断すると、制御部577は、ステップS31で経過時間の計測を開始する。さらに、制御部577は、ステップS4でYesと判断すると、ステップS42でソレノイド583に対する電力の供給を開始する。また、制御部577は、ステップS6乃至S9の処理を行う。
制御部577がステップS4でNoと判断すると、作業者はステップS11でトリガ514に対する操作力を解除する。また、制御部577はステップS12で経過時間をリセットし、図37の制御例5を終了する。つまり、プランジャ585は図34に二点鎖線で示すように初期位置に維持されている。
このため、トリガ514に操作力を付加してトリガセンサ575がオンした時点から、所定時間を超えた時点でプッシュレバー516が作動すると、図34に二点鎖線で示すように、プランジャ585の先端585Aがピン562の作動を阻止する。したがって、トリガバルブ546は初期状態に維持される。
さらに、プッシュレバー516とピン562との間の作動力伝達経路に、付勢部材563が設けられている。付勢部材563は、プッシュレバー516が物体に接触した場合の衝撃の一部を、吸収または緩和可能である。したがって、ソレノイド583の負荷を低減可能である。
(実施形態8) 図38は、打込機510の実施形態8の部分的断面図である。ストッパ569は、支持軸588を中心として作動可能に本体511に取り付けられている。ストッパ569を支持する支持軸588は、トリガ514を支持する支持軸540とは別部材である。図38における他の構成は、図23に示す他の構成と同じである。図24の制御系は、図38の実施形態8に用いることが可能である。打込機510の実施形態8において、図28または図29の制御例を行うことも可能である。
実施形態5〜8で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。打込機510は、打込機の一例である。トリガ514は、操作部材の一例であり、プッシュレバー516は、接触部材の一例である。ピストン上室532は、圧力室の一例である。打撃部513は、打撃部の一例である。トリガバルブ546は、気体供給機構の一例である。ピン562は、伝達部材の一例である。ストッパ569、プランジャ585は、規制部材の一例である。制御部577、電磁石570,570A、コイル584は、駆動部の一例である。電磁石570,570A、コイル584は、磁力形成要素である。
ストッパ569の先端が、係合部567の作動範囲内に位置することが、第1位置の一例である。制御部577が、電磁石570,570Aに電力を供給して、ストッパ569の先端を係合部567の作動範囲内に位置させることが、規制制御の一例である。プランジャ585の先端585Aが、ピン562の作動範囲内に位置することが、第1位置の一例である。制御部577が、ソレノイド583を制御して、プランジャ585の先端585Aをピン562の作動範囲内に位置させることが、規制制御の一例である。
ストッパ569の先端が、係合部567の作動範囲外に位置することが、第2位置の一例である。制御部577が、電磁石570,570Aに対する電力の供給を停止して、ストッパ569の先端を係合部567の作動範囲外に位置させることが、解除制御の一例である。プランジャ585の先端585Aが、ピン562の作動範囲外に位置することが、第2位置の一例である。制御部577がソレノイド583を制御して、プランジャ585の先端585Aを、ピン562の作動範囲外に位置させることが、解除制御の一例である。本体511は、ハウジングの一例である。支持軸540は、支持軸の一例である。支持軸540は、第1支持軸の一例であり、支持軸588は、第2支持軸の一例である。モード選択部材573は、モード選択部材の一例である。電源スイッチ574、電源578は、電力供給部の一例である。釘557は、止具の一例である。付勢部材563は、緩衝部材の一例である。トリガセンサ575は、信号出力部の一例である。
トリガセンサ575が第1の状態でオンしている場合に、プッシュレバー516が相手材581に押し付けられてトリガセンサ575がオンからオフに切り替わり、トリガセンサ575から出力される信号が、第1信号の一例である。トリガ514が作動位置に停止してトリガセンサ575がオンしている場合に、トリガ514が作動位置から初期位置に向けて作動することにより、トリガセンサ575がオフして出力される信号が、第2信号の一例である。アーム542は、アームの一例である。アーム542が接触子575Aを押すことが、アームが信号出力部に作用する一例である。
打込機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、操作部材は、操作力が付加されて所定角度の範囲内で回転する要素の他、操作力が付加されて所定の範囲内で作動する要素を含む。操作部材は、レバー、ノブ、ボタン、アーム等を含む。接触部材は、相手材に押し付けられて作動する要素であり、レバー、アーム、ロッド、プランジャ等を含む。
制御部は、電気部品または電子部品の単体でもよいし、複数の電気部品または複数の電子部品を有するユニットでもよい。電気部品または電子部品は、プロセッサ、制御回路及びモジュールを含む。気体供給機構は、通路同士の接続と、通路同士の遮断とを切り替える切替バルブを含む。
ハウジングは、打込機の部品要素を支持する要素、または、その要素に接続される部材であり、ハウジングは、ケース、ブラケット、シェルを含む。圧縮性気体は、圧縮空気に代えて、不活性ガス、例えば、窒素ガス、希ガスを用いることもできる。第1モードを単発打ちと定義し、第2モードを連発打ちと定義することも可能である。
トリガセンサ575は、トリガ514の状態に応じた信号を出力する。トリガ514の状態は、トリガ514に付加される操作力の有無、トリガ514の初期位置に対する作動角度、等である。プッシュレバーセンサ576は、プッシュレバー516の作動力が伝達されて作動するシリンダ561の状態に応じた信号を出力する。シリンダ561の状態は、シリンダ561に伝達される作動力の有無、シリンダ561の初期位置に対する作動量、等である。トリガセンサ575、プッシュレバーセンサ576は、接触センサまたは非接触センサを用いることが可能である。接触センサの一例は、タクタイルスイッチである。非接触センサの一例は、光センサ、磁気センサ、赤外線センサである。トリガセンサ575及びプッシュレバーセンサ576の信号は、制御部577に入力される。
プッシュレバーセンサ576が、シリンダ561の作動量を検出可能であると、制御部577は、図28、図29のステップS5において、シリンダ561が初期位置から作動位置に向けて所定量作動した時点で、電磁石570,570Aに対する電力の供給を停止することも可能である。所定量は、電磁石570,570Aに対する電流の供給を停止した場合に、ストッパ569がピン562の作動を阻止することがない値である。所定量のデータは、シミュレーション、実験を行って求めた値であり、制御部577に予め記憶されている。
また、図23に示す規制機構568の変更例として、プッシュレバー516に永久磁石572を設け、ストッパ569に電磁石570を設けることも可能である。図30の規制機構568の変更例として、プッシュレバー516に永久磁石572を設け、ストッパ569に電磁石570Aを設けることも可能である。アームは、信号出力部に接触または離間して、信号出力部から信号を出力させるように、作動及び停止可能な要素であればよい。つまり、アームと呼ばれるものに限らず、レバーでもよい。