次に、本発明の打込機に含まれるいくつかの実施形態のうち、代表的な打込機を、図面を参照して説明する。
(実施形態1) 打込機の実施形態1を、図1を参照して説明する。打込機10は、ハウジング11、シリンダ12、打撃部13、射出部15、トリガバルブ51、トリガ14及びプッシュレバ16を有する。また、マガジン17が打込機10に取り付けられている。ハウジング11は、筒形状の胴部18と、胴部18に固定したヘッドカバー21と、胴部18に接続されたハンドル19と、を有する。ハンドル19は、胴部18の外面から突出している。
図1及び図2のように、蓄圧室20が、ハンドル19の内部、胴部18の内部、ヘッドカバー21の内部に亘って形成されている。エアホースがハンドル19に接続される。圧縮気体としての圧縮空気は、エアホースを介して蓄圧室20内に供給される。シリンダ12は胴部18内に設けられている。
ヘッドバルブ31がヘッドカバー21内に設けられている。ヘッドバルブ31は、シリンダ12の中心線A1方向に移動可能である。制御室27が、ヘッドカバー21とヘッドバルブ31との間に形成されている。付勢部材28が、制御室27に設けられている。付勢部材28は、一例として、金属製の圧縮コイルスプリングである。付勢部材28は、ヘッドバルブ31を中心線A1方向でシリンダ12に近付ける向きで付勢する。ヘッドバルブ31は、蓄圧室20の圧力で、常時、シリンダ12から離間する方向に付勢されている。
ストッパ29がヘッドカバー21内に設けられている。ストッパ29は一例として合成ゴム製である。ヘッドカバー21は、排気通路24を有する。排気通路24は、ハウジング11の外部B1につながっている。
シリンダ12は、胴部18に対して中心線A1に沿った方向に位置決め固定されている。シリンダ12において、中心線A1に沿った方向でヘッドバルブ31に最も近い箇所の端部に、バルブシート32が取り付けられている。バルブシート32は環状であり、かつ、合成ゴム製である。
打撃部13は、ピストン34と、ピストン34に固定されたドライバブレード35と、を有する。ピストン34は、シリンダ12内に配置され、打撃部13は、中心線A1に沿って直動できる。つまり、打撃部13は、第1方向D1及び第2方向D2に沿って往復作動できる。第1方向D1は、図1及び図2において下降と定義可能であり、第2方向D2は、上昇と定義可能である。第1方向D1と第2方向D2とは、逆向きである。ピストン34の外周面にシール部材99が取り付けられている。ピストン上室36が、ストッパ29とピストン34との間に形成される。
射出部15は、胴部18に対して、中心線A1に沿った方向でヘッドカバー21が設けられている個所とは反対の端部に固定されている。バンパ37が、シリンダ12内に設けられている。バンパ37は、シリンダ12内において、中心線A1方向で射出部15に最も近い位置に配置されている。バンパ37は、合成ゴム製、または、シリコンゴム製である。バンパ37は軸孔38を有し、ドライバブレード35は軸孔38内で中心線A1方向に移動可能である。シリンダ12内において、ピストン34とバンパ37との間にピストン下室39が形成されている。ピストン下室は、軸孔につながっている。シール部材99は、ピストン下室39とピストン上室36とを気密に遮断する。
環状の隔壁40が胴部18内に設けられている。隔壁40はシリンダ12の外周を囲むように配置されている、シリンダ12を中心線A1と交差する方向にハウジングに対して位置決めする。戻り空気室43が、シリンダ12の外面と胴部18との間に形成されている。隔壁40は、蓄圧室20と戻り空気室43とを隔てている。
シリンダ12を径方向に貫通する通路41,42が設けられている。通路42は、中心線A1方向で通路41と射出部15との間に配置されている。通路41は、ピストン下室39と戻り空気室43とをつなぐ。図3に示す逆止弁44が、シリンダ12の外面に取り付けられている。逆止弁44は、シリンダ12内の空気圧で通路41を開く。逆止弁44は、戻り空気室43の空気圧で通路41を閉じる。通路42は、戻り空気室43とピストン下室39とを、常に接続している。ピストン下室39及び戻り空気室43内に亘って空気が存在している。
図1のように、トリガバルブ51が、胴部18とハンドル19との接続箇所に設けられている。トリガバルブ51は、図3、図4及び図5のように、プランジャ52、ボディ53、弁体55及びスプリング69を有する。ボディ53及び弁体55は共に筒形状であり、ボディ53及び弁体55は、共に中心線A2を中心として同心状に配置されている。図1は、中心線A1と中心線A2とが平行である例を示す。ボディ53はハウジング11に固定されている。弁体55は、ボディ53内で中心線A2に沿った方向に作動可能である。ボディ53は通路56、排気通路61及び軸孔62を有する。通路56は、通路57を介して制御室27に接続されている。通路57はハウジング11に設けられている。
また、ハンドル19は通路58を有し、通路58は、蓄圧室20とボディ53の内部とを接続している。排気通路61はハウジング11の外部B1につながっている。プランジャ52は、軸孔62及び弁体55内に亘って配置されている。プランジャ52は中心線A2に沿った方向に移動可能である。プランジャ52において、中心線A2に沿った方向における端部が、ハウジング11の外部B1に配置されている。スプリング69は、一例として金属製である。スプリング69は、プランジャ52を中心線A2に沿った方向でトリガ14に近付ける向きで付勢している。スプリング69は、弁体55を中心線A2に沿った方向で通路58に近づける向きで付勢している。
図1に示す射出部15は、一例として、金属製または非鉄金属製である。射出部15は、筒部70と、筒部70の外周面に接続されたフランジ71と、を有する。フランジ71は、胴部18に固定されている。筒部70は、フランジ71から中心線A1に沿った方向に突出しており、筒部70は射出路72を有する。射出路72は孔または空間であり、中心線A1が射出路72に位置する。ドライバブレード35は射出路72内で中心線A1に沿った方向に作動可能である。マガジン17は、射出部15に取り付けられている。マガジン17は釘73を収容する。マガジン17は、フィーダ74を有し、フィーダ74はマガジン17内の釘73を射出路72に送る。
プッシュレバ16は、射出部15に取り付けられている。プッシュレバ16は、射出部15に対して中心線A1に沿った方向に作動できる。ガイド部材63及びホルダ64が、ハウジング11、一例として胴部18の外面に取り付けられている。ガイド部材63及びホルダ64は、中心線A2に沿った方向で、トリガバルブ51と射出部15との間に配置されている。ホルダ64は筒形状であり、ホルダ64は伝達部材65を移動可能に支持している。伝達部材65はプッシュレバ16と共に中心線A3に沿った方向に移動可能である。中心線A3は、中心線A2と平行である。
ガイド部材63は、伝達部材67を移動可能に支持している。伝達部材67及び伝達部材65の移動方向は、中心線A3に沿った方向である。伝達部材67は軸形状であり、伝達部材67の端部にプレート68が設けられている。スプリング45が、ガイド部材63とプレート68との間に配置されている。スプリング45は、伝達部材67をトリガバルブ51から離間させる向きで付勢する。伝達部材67は、プレート68がホルダ64に押し付けられて初期位置で停止する。スプリング45は、一例として金属製である。ガイド部材63は、伝達部材67を中心線A3に沿った方向に移動させる。伝達部材67は突起部80を有する。突起部80は、伝達部材67における中心線A3に沿った方向で、ガイド部材63とトリガバルブ51との間に位置する箇所に設けられている。突起部80は、伝達部材67から中心線A3に交差する向きで突出している。
図3、図4及び図5のように、トリガ14は、ハウジング11の外部B1に配置されている。トリガ14は、中心線A2に沿った方向でトリガバルブ51とガイド部材63との間に配置されている。トリガ14は、支持軸81を介して胴部18に取り付けられている。トリガ14は、支持軸81を中心として回転可能である。
図3でトリガ14が反時計回りに作動する方向は、付加方向E1と定義可能である。図3でトリガ14が時計回りに作動する方向は、解除方向E2と定義可能である。付加方向E1は、トリガ14がトリガバルブ51に近づく方向である。解除方向E2は、トリガ14がトリガバルブ51から離間する方向である。付加方向E1と解除方向E2とは、逆向きである。トリガ14が、ボディ53またはガイド部材63に接触することで、トリガ14の作動範囲が制限される。
トリガ14は、アーム82及びボス部83を有する。突起部80、アーム82、スプリング45は、補助機構85を構成している。ボス部83とボディ53との間にスプリング84が設けられている。トリガ14は、スプリング84によって支持軸81を中心として、図3の時計回りに付勢される。スプリング84は、一例として金属製のスプリングである。伝達部材67の突起部80は、中心線A3に対して交差する方向で、アーム82とボス部83との間に位置する。
次に、打込機10を用いて、釘73を相手材W1に打ち込む例を説明する。相手材W1は、木材、石膏ボード、コンクリート等を含む。先ず、使用者が図1に示すプッシュレバ16を相手材W1から離間させていると、プレート68がホルダ64に押し付けられて伝達部材67が初期位置で停止している。また、使用者がトリガ14に対する操作力を解除していると、トリガ14は、図3のようにガイド部材63に接触した初期位置で停止している。中心線A3に沿った方向における突起部80の位置は、アーム82の先端と同じ位置である。
トリガ14が初期位置で停止していると、トリガバルブ51は、図3に示す初期状態を保持している。トリガバルブ51が初期状態であると、プランジャ52は、スプリング69の付勢力でボディ53に押し付けられた初期位置で停止している。弁体55は、スプリング69によりボディ53に押し付けられた初期位置で停止している。弁体55は、蓄圧室20と通路56とを接続し、かつ、通路56と排気通路61とを遮断している。
蓄圧室20の圧縮空気が制御室27に供給され、ヘッドバルブ31は、図2のようにバルブシート32に押し付けられて停止している。ヘッドバルブ31は、蓄圧室20とピストン上室36とを遮断し、ピストン上室36と排気通路24とをつないでいる。ピストン上室36の圧力は、大気圧と同じである。打撃部13は、ピストン34がストッパ29に最も接近した位置、つまり、上死点で停止している。打撃部13は、シール部材99とシリンダ12との摩擦力、または、シール部材99とシリンダ12との係合力により、上死点で停止している。
次に、使用者がプッシュレバ16を相手材W1に押し付けると、プッシュレバ16の作動力は、伝達部材65を介して伝達部材67に伝達される。伝達部材67は、スプリング45の力に抗してトリガバルブ51に接近する第3方向D3で作動し、伝達部材67は、図4に示す作動位置で停止する。第3方向D3は、中心線A3に沿った方向である。伝達部材67が作動位置で停止すると、突起部80は、中心線A3に沿った方向で、アーム82の先端と、ボディ53との間に位置する。
使用者がトリガ14に指を押し付けて操作力を付加し、かつ、トリガ14をスプリング84の力に抗して反時計回りに回転させると、図5のように、トリガ14がボディ53またはハンドル19に接触した作動位置で停止する。トリガ14の作動力は、ボス部83を介してプランジャ52に伝達される。このため、プランジャ52はスプリング69の力に抗して初期位置から通路58に向けて作動し、プランジャ52が作動位置で停止する。また、トリガ14が初期位置から付加方向E1で作動する過程で、突起部80はアーム82から離間している。このため、突起部80は、トリガ14が付加方向E1に作動することを妨げない。
プランジャ52が初期位置から作動位置へ移動すると、トリガバルブ51は初期状態から作動状態に切り替わる。トリガバルブ51が、図5に示す作動状態になると、弁体55が蓄圧室20の圧力で通路58から離間する向きで作動し、かつ、弁体55はボディ53に押し付けられた作動位置で停止する。作動位置で停止した弁体55は、蓄圧室20と通路56とを遮断し、かつ、通路56を排気通路61とを接続する。このため、制御室27の圧縮空気は、通路57、通路56及び排気通路60を介して外部B1に排出され、制御室27の圧力が大気圧と同じになる。
制御室27の圧力が大気圧と同じになると、ヘッドバルブ31は、蓄圧室20の圧力で付勢部材28の付勢力に抗して作動し、かつ、ストッパ29に接触して作動位置で停止する。作動位置で停止したヘッドバルブ31は、蓄圧室20とピストン上室36とを接続し、かつ、ピストン上室36と排気通路24とを遮断する。ピストン上室36の圧力が上昇し、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動し、ドライバブレード35が射出路72内の釘73を打撃する。打撃された釘73は、相手材W1に打ち込まれる。打撃部13が上死点から下死点に向けて作動中、ピストン下室39及び戻り空気室43の圧力が上昇する。また、逆止弁44が開き、ピストン上室36の空気が通路41を通って戻り空気室43へ流れ込む。
打撃部13が釘73を相手材W1に打ち込んだ後、ピストン34がバンパ37に衝突し、バンパ37は打撃部13の運動エネルギの一部を吸収する。ピストン34がバンパ37に衝突した時点における打撃部13の位置は、下死点である。打撃部13が下死点に到達すると、逆止弁44は通路41を閉じる。ピストン34がバンパに押し付けられていると、ピストン34はピストン下室39と軸孔38とを遮断する。
プッシュレバ16は、打撃部13が釘73を相手材W1に打ち込まれた反動で相手材W1から離間する。すると、伝達部材67は、スプリング45の力により、図5において第4方向D4に作動する。第4方向D4は、中心線A3に沿った方向である。そして、プレート68が図3のようにホルダ64に押し付けられると、伝達部材67及びプッシュレバ16が初期位置で停止する。伝達部材67が中心線A3に沿ってトリガバルブ51から離間する向きで作動中、突起部80がアーム82に押し付けられる。伝達部材67の作動力の一部は、図5でトリガ14を時計回りに作動させる力に変換され、トリガ14は、図3に示す初期位置に戻って停止する。
つまり、伝達部材67及びプッシュレバ16を作動位置から初期位置に戻す動力源であるスプリング45の力を利用して、トリガ14を図5の作動位置から図3の初期位置へ戻すことができる。このため、使用者はトリガ14に付加した操作力を解除する、または、指をトリガ14から離間させるという操作を、意図して行わずに済む。したがって、トリガ14に対する操作性が向上する。
このように、スプリング45は、トリガ14を作動位置から初期位置へ作動させる戻し機構の役割りを有する。トリガ14を初期位置から作動位置へ作動させる場合、スプリング45の付勢力は、図3でトリガ14を時計回りに作動させる向きに伝達されない。このため、トリガ14を初期位置から作動位置へ作動させるために必要な操作力が増加することを抑制できる。トリガ14を初期位置から作動位置へ作動させるために必要な操作力は、スプリング45,84の付勢力に応じて定まる。
さらに、トリガ14が作動位置へ付加方向E1に作動する行程において、突起部80はアーム82から離間している。このため、トリガ14が初期位置から作動位置へ付加方向E1に作動する行程において、スプリング45の付勢力は、トリガ14の解除方向E2には非付加である。
なお、プッシュレバ16が相手材W1から離間している状態で、使用者が図3に示すトリガ14に操作力を付加すると、アーム82が突起部80に接触する。このため、トリガ14は、反時計回りに回転することが阻止され、トリガバルブ51は初期状態を保持する。
さらに、打撃部13が下死点に到達した後、プッシュレバ16が相手材W1から離間するか、または、トリガ14に対する操作力が解除されると、トリガバルブ51は作動状態から初期状態に切り替わる。このため、打撃部13は、ピストン下室39の圧力で第1方向D1に作動し、打撃部13は上死点で停止する。さらに、ピストン34がバンパ37から離間すると、ピストン下室39の空気が軸孔38から外部B1へ排出される。打撃部13が上死点に到達した後、ピストン下室39及び戻り空気室43の圧力は、大気圧と略同じになる。
図6、図7及び図8は、戻し機構の他の具体例を示す断面図である。バルブ90が、ハウジング11、一例としてハンドル19に設けられている。ハンドル19が胴部18から突出する方向、つまり、中心線A2に対して交差する方向で、トリガバルブ51は、バルブ90と胴部18との間に位置する。バルブ90は、支持孔91、プランジャ92及び付勢部材93を有する。
支持孔91は、蓄圧室20と外部B1とをつなぐ。プランジャ92は、支持孔91に配置され、プランジャ92は、ハンドル19に対して中心線A4に沿った方向に移動可能である。中心線A4は、中心線A2と平行である。環状のシール部材94がプランジャ92の外周面に取り付けられている。
プランジャ92の長さ方向の一部は外部B1に配置され、プランジャ92のう外部B1に配置されている箇所にプレート95が設けられている。付勢部材93は、一例として金属製のスプリングであり、付勢部材93は、プランジャ92をトリガ14に向けて付勢している。トリガ14は接触部96を有する。ボス部83は、トリガ14の長さ方向で、接触部96と支持軸81との間に位置する。プレート95は、接触部96の作動領域に配置されている。
トリガ14が、図6のように初期位置で停止していると、接触部96はプレート95から離間している。シール部材94が支持孔91の内面に押し付けられた状態で、プランジャ92が初期位置で停止している。シール部材94は、蓄圧室20と外部B1とを気密に遮断している。プッシュレバ16が相手材W1に押し付けられると、伝達部材67が初期位置から図7のように作動位置に移動して停止する。接触部96は、プレート95から離間している。
使用者がプッシュレバ16を相手材W1に押し付けた状態で、トリガ14に操作力を付加して、トリガ14を図7で示す、付加方向E1で作動させると、接触部96がプレート95に押し付けられる。プランジャ92が付勢部材93の力に抗して蓄圧室20に近づく向きで作動する。トリガ14が、図8のように作動位置で停止すると、プランジャ92は作動位置で停止する。プランジャ92が作動位置で停止すると、シール部材94が支持孔91の内面から離間し、支持孔91は、蓄圧室20と外部B1とをつなぐ。蓄圧室20の圧縮空気は、支持孔91を通ってトリガ14に吹き付けられる。使用者がトリガ14に対する操作力を解除する際に、支持孔91からトリガ14に吹き付けられる圧縮空気の運動エネルギにより、トリガ14が解除方向E2で付勢される。したがって、トリガ14を作動位置から初期位置に戻す場合の操作性が向上する。
さらに、トリガ14に付加した操作力を解除すると、プランジャ92は付勢部材93の付勢力で作動し、シール部材94が支持孔91の内面に押し付けられ、かつ、プランジャ92が初期位置で停止する。つまり、バルブ90は初期状態に戻る。
このように、バルブ90が、トリガ14を作動位置から初期位置へ作動させる戻し機構の役割りを果たす。トリガ14を初期位置から作動位置へ作動させる途中において、バルブ90は支持孔91を閉じており、蓄圧室20の圧縮空気は、支持孔91から外部B1に排気されない。つまり、図7でトリガ14を時計回りに作動させる向きの力は生じない。このため、トリガ14を初期位置から作動位置へ作動させるために必要な操作力が増加することを抑制できる。
トリガ14が付加方向E1に作動する過程で、接触部96がプレート95から離間していると、蓄圧室20の圧縮空気が、支持孔91から外部B1へ排出されることはない。つまり、トリガ14が付加方向E1に作動する過程で、圧縮空気の運動エネルギは、トリガ14の解除方向E2には非付加である。
また、図6、図7及び図8に示す打込機10の他の構造及び機能は、図1、図2、図3、図4及び図5に示す打込機10と同じである。なお、図6、図7及び図8において、突起部80及びアーム82は、設けられていなくてもよい。
(実施形態2) 図9は打込機の実施形態2を示す。打込機100は、ハウジング111、電動モータ112、打撃部113、射出部114及び電源115を有する。ハウジング111は、シリンダケース116、モータケース117、ハンドル118、ヘッドカバー119及び装着部120を有する。シリンダケース116は筒形状であり、モータケース117はシリンダケース116に接続されている。ハンドル118は、シリンダケース116から突出して設けられている。装着部120は、ハンドル118とモータケース117とを接続している。
電源115は、装着部120に取り付け及び取り外しが可能なバッテリである。電源115は、収容ケースと、収容ケース内に収容した電池セルと、有する。電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池及びニッケルカドミウム電池を含む。電池セルは、充電と放電とを繰り返すことの可能な二次電池である。
シリンダ121がシリンダケース116内に固定して設けられている。打撃部113は、シリンダ121の中心線A5に沿って第1方向D1及び第2方向D2で作動可能である。打撃部113は、ピストン122及びドライバブレード123を有する。ピストン122がシリンダ121内に収容されている。ドライバブレード123は軸形状であり、ドライバブレード123は、中心線A5に沿ったラックを有する。。
蓄圧容器124がヘッドカバー119内に設けられ、蓄圧容器124はシリンダ121に固定されている。圧力室125が、蓄圧容器124内からシリンダ121内に亘って形成されている。気体が圧力室125に充填されている。気体は圧縮性の気体であればよく、気体は、空気の他、不活性ガス、例えば、窒素ガス、希ガスを用いることができる。本開示では、圧力室125に空気が充填されている例を説明する。
バンパ126がシリンダケース116内に設けられている。バンパ126の一部は、シリンダ121内に配置されている。バンパ126は、ゴム製またはウレタン製である。バンパ126は環状である。射出部114は、シリンダケース116に固定されている。射出部114は、射出路127を有する。マガジン135が射出部114に取り付けられている。マガジン135は釘131を収容する。フィーダ132がマガジン135に設けられ、フィーダ132は釘131を射出路127に送る。
プッシュレバ128が射出部114に取り付けられ、プッシュレバ128は射出部114に対して中心線A5方向に移動できる。トリガ14及びガイド部材63は、シリンダケース116に設けられている。また、ガイド部材63は、伝達部材67を中心線A3に沿って作動可能に支持している。中心線A3は、中心線A5と平行である。スプリング45が伝達部材67をハンドル118から離間する向きに付勢している。伝達部材67は、突起部80を有する。
伝達部材67はプレート68を有し、プッシュレバ128の作動力は、プレート68に伝達される。トリガ14は、中心線A3に沿った方向で、ガイド部材63とハンドル118との間に配置されている。トリガ14は、アーム82及びボス部83を有する。スプリング84が、ハンドル118とボス部83との間に設けられている。スプリング84は金属製であり、スプリング84は、トリガ14をガイド部材63に向けて付勢する。
トリガスイッチ129がハンドル118に設けられている。トリガスイッチ129は、接触子130を有し、接触子130は、ハウジング111の外部B1に露出している。トリガ14が支持軸81を中心として作動するにあたり、接触子130は、ボス部83の作動領域に配置されている。
制御部136が装着部120内に設けられ、トリガスイッチ129の信号が制御部136に入力される。制御部136は、入力ポート、出力ポート、演算処理部及び記憶部等を有するマイクロコンピュータによって構成されている。プッシュレバ128が相手材W1に押し付けられているか離間しているかを検出するプッシュスイッチが、射出部114に設けられ、プッシュスイッチの信号は、制御部136に入力される。制御部136は、電源115から電動モータ112に対する電力の供給及び停止を制御する。
電動モータ112は、モータケース117内に配置されている。減速機133及びホイール134が設けられている。減速機133は、電動モータ112の回転力をホイール134に伝達する機構である。減速機133は、複数の遊星歯車機構を有し、減速機133は、電動モータ112の回転速度に対してホイール134の回転速度を減速する。ホイール134の外周面にピニオンが設けられている。ピニオンは、ドライバブレード123のラックに係合及び解放が可能である。
次に、打込機100の使用例を説明する。使用者がプッシュレバ128を相手材W1から離間させ、かつ、トリガ14に対する操作力を解除していると、図10のように、伝達部材67は初期位置で停止し、かつ、トリガ14は初期位置で停止している。トリガ14が初期位置で停止していると、ボス部83は接触子130から離間し、トリガスイッチ129はオフする。制御部136は、トリガスイッチ129がオフされ、かつ、プッシュスイッチがオフしていると、電源115から電動モータ112に対する電力の供給を停止する。打撃部113は待機位置で停止している。打撃部113の待機位置は、中心線A5に沿った方向の位置である。
使用者がトリガ14に対する操作力を解除した状態で、プッシュレバ128を相手材W1に押し付けると、プッシュレバ128の作動力が伝達部材67に伝達される。伝達部材67は、図10の初期位置から図11のように第3方向D3で作動し、かつ、作動位置で停止する。トリガスイッチ129はオフであり、制御部136は、電源115から電動モータ112に対する電力の供給を停止している。
使用者がプッシュレバ128を相手材W1に押し付けた状態で、トリガ14に操作力を付加してトリガ14を図11で示す付加方向E1で作動させる。すると、図12のように、トリガ14がハンドル118に接触した作動位置で停止する。トリガ14が作動位置にあると、ボス部83が接触子130を押し、トリガスイッチ129がオンする。
制御部136は、プッシュスイッチがオンし、かつ、トリガスイッチ129がオンしていることを検出すると、電源115から電動モータ112に電力を供給する。電動モータ112の回転力は、減速機133を経由してホイール134に伝達される。ホイールのピニオンと、ドライバブレード123のラックとが係合していると、ホイール134の回転力で打撃部113が待機位置から上死点に向けて第2方向D2で作動、つまり、上昇する。打撃部113が上昇すると、圧力室125の圧力が上昇する。ホイールのピニオンと、ドライバブレード123のラックとが解放されると、打撃部113は、圧力室125の圧力で第1方向D1に作動、つまり下降し、ドライバブレード123が釘131を打撃する。ピストン122はバンパ126に衝突する。ピストン122がバンパ126に衝突した状態の打撃部113の位置は、下死点である。ドライバブレード123が釘131を打撃した後、制御部136は電動モータ112に対する電力の供給を停止させる。このため、打撃部113は待機位置で停止する。
打撃部113が釘131を相手材W1に打ち込んだ反動で、プッシュレバ128が相手材W1から離間すると、伝達部材67はスプリング45の付勢力で、図12の作動位置から第4方向D4で作動し、図10の初期位置で停止する。伝達部材67が作動位置から初期位置へ作動中、突起部80がアーム82に押し付けられる。伝達部材67の作動力の一部は、図12でトリガ14を解除方向E2に作動させる力に変換され、トリガ14は、図10に示す初期位置に戻って停止する。
つまり、伝達部材67を作動位置から第4方向D4で作動させるスプリング45の力の一部は、トリガ14を図12の作動位置から図10の初期位置へ力に変換される。このため、使用者はトリガ14に付加した操作力を解除する、または、指をトリガ14から離間させるという操作を、意図して行わずに済む。したがって、トリガ14に対する操作性が向上する。
このように、スプリング45は、トリガ14を作動位置から初期位置へ作動させる戻し機構の役割りを有する。また、スプリング45の付勢力は、図11でトリガ14を時計回りに作動させる向きに伝達されない。このため、トリガ14を初期位置から作動位置へ作動させるために必要な操作力が増加することを抑制できる。
なお、プッシュレバ128が相手材W1から離間している状態で、使用者が図10に示すトリガ14に操作力を付加すると、アーム82が突起部80に接触する。このため、トリガ14は、図10で反時計回りに回転することが阻止され、トリガスイッチ129はオフを保持する。
実施形態で開示した技術事項の意味の一例は、次の通りである。打込機10,100は、打込機の一例である。ハウジング11,111は、ハウジングの一例である。付加方向E1は、付加方向の一例である。解除方向E2は、解除方向の一例である。付加方向E1と解除方向E2とは、互いに逆向きである。付加方向は、行き方向と定義可能である。解除方向は、戻り方向と定義可能である。トリガ14は、操作部材の一例である。打撃部13,113は、打撃部の一例である。第1方向D1は、第1方向の一例である。第1方向は、打撃方向と定義可能である。第2方向D2は、第2方向の一例である。第2方向は、戻し方向と定義可能である。ピストン上室36、圧力室125、減速機133及び電動モータ112は、駆動部の一例である。
プッシュレバ16,128は、接触部材の一例である。補助機構85及びバルブ90は、それぞれ補助機構の一例である。図4、図7及び図11にそれぞれ示すように、突起部80がアーム82から離間している状態が、補助機構の第1状態の一例である。図5、図8及び図12に示すように、突起部80がアーム82に接触し、スプリング45の付勢力を、トリガ14に解除方向E2の付勢力として付加可能な状態が、補助機構の第2状態の一例である。図7のように、バルブ90が支持孔91を閉じている状態が、補助機構の第1状態の一例である。図8のように、バルブ90が支持孔91を開いている状態が、補助機構の第2状態の一例である。
ピストン上室36は、圧力室の一例である。トリガバルブ51は、切替機構の一例である。トリガバルブ51の作動状態は、打撃状態の一例である。トリガバルブ51の初期状態は、非打撃状態の一例である。圧力室125は、ガススプリングの一例である。圧力室125内の圧縮気体の圧力は、弾性エネルギの一例である。電動モータ112は、電動モータの一例である。釘73,131は、留具の一例である。留具は、棒形状、アーチ形状の何れでもよい。
打込機は、開示した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、操作部材及び接触部材は、それぞれレバー、ボタン、アームなどを含む。操作部材の作動は、所定角度範囲内での回転作動、直線状の往復作動の何れでもよい。“打撃部を第1方向に作動させる駆動部”は、第1駆動部及び第2駆動部の何れでもよい。第1駆動部は、打撃部を第1方向に作動させ、かつ、打撃部を第2方向に作動させない。第2駆動部は、打撃部を第2方向に作動させた後、打撃部を第1方向に作動させる。
また、伝達部材67に第4方向D4の作動力を付加する要素、つまり、トリガ14に解除方向の作動力を付加する戻し機構は、金属製のスプリング45に代えて、ガススプリングまたは合成ゴムまたは永久磁石を用いることも可能である。例えば、プレート68及びガイド部材63に、逆極性の永久磁石をそれぞれ取り付け、永久磁石同士の反発力で、伝達部材67に第4方向D4の作動力を付加することも可能である。ハウジングは、打込機の本体の一部を構成する要素であり、ハウジングは、ケーシング、シェル等を含む。
図9に示す打込機100において、打撃部113を第1方向D1で作動させるスプリングは、ガススプリングを構成する圧力室125に代え、金属製スプリングを用いることも可能である。金属製スプリングは、打撃部が第2方向に作動すると弾性変形して弾性エネルギを蓄える。打撃部は、金属製スプリングの弾性エネルギで第1方向に作動可能である。