JPWO2019189856A1 - 膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

第1面と、第1面に対向する第2面とを有する固体高分子電解質膜と、第1面に接合するアノード側電極触媒層と、第2面に接合するカソード側電極触媒層とを備える。カソード側電極触媒層およびアノード側電極触媒層の各々は、触媒物質、触媒物質を担持する導電性担体、高分子電解質、および、繊維状物質を含む。アノード側電極触媒層の厚さは、カソード側電極触媒層の厚さよりも大きい。

Description

本発明は、膜電極接合体、および、膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は、水素と酸素との化学反応から電流を生成する、すなわち、発電を行う。燃料電池は、従来の発電方式と比べて高い効率を有し、低い環境負荷、低い騒音しか有しない、クリーンなエネルギー源として注目されている。特に、室温付近での使用が可能な固体高分子形燃料電池は、車載用電源や家庭用定置電源などへの適用について有望視されている。
固体高分子形燃料電池は、一般的に、多数の単セルが積層された構造を有している。単セルは、1つの膜電極接合体が2つのセパレーターによって挟まれた構造を有する。膜電極接合体は、高分子電解質膜と、燃料ガスを供給する燃料極(アノード)と、酸化剤を供給する酸素極(カソード)とを備える。高分子電解質膜における第1面に燃料極が接合し、第1面とは反対の第2面に酸素極が接合している。セパレーターは、ガス流路および冷却水流路を有している。燃料極および酸素極は、それぞれ電極触媒層とガス拡散層とを備えている。各電極において、電極触媒層が高分子電解質膜に接している。電極触媒層は、白金系の貴金属などの触媒物質、導電性担体、および、高分子電解質を含んでいる。ガス拡散層は、ガスの通気性と、導電性とを兼ね備えている。
固体高分子形燃料電池は、以下の電気化学反応を経て電流を生成する。まず、燃料極の電極触媒層において、燃料ガスに含まれる水素が触媒物質により酸化され、これによってプロトンおよび電子が生成される。生成されたプロトンは、電極触媒層内の高分子電解質、および、高分子電解質膜を通り、酸素極の電極触媒層に達する。プロトンと同時に生成された電子は、電極触媒層内の導電性担体、ガス拡散層、セパレーター、および、外部回路を通って酸素極の電極触媒層に達する。酸素極の電極触媒層において、プロトンおよび電子が酸化剤ガスに含まれる酸素と反応して水を生成する(例えば、特許文献1を参照)。
特許第5537178号公報
ところで、燃料電池に要するコストを低減する上で、高出力での運転が可能な燃料電池が求められている。しかしながら、高出力での運転では、酸素極の電極触媒層において多くの水が生成する。これにより、酸素極側の電極触媒層やガス拡散層に生成水が溢れる現象であるフラッディングが生じるために、酸素極側の電極触媒層に対するガスの供給が妨げられる。結果として、燃料電池の発電性能が低下する。
本発明は、発電性能を高めることを可能にした膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための膜電極接合体は、第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有する固体高分子電解質膜と、前記第1面に接合するアノード側電極触媒層と、前記第2面に接合するカソード側電極触媒層と、を備える。前記カソード側電極触媒層および前記アノード側電極触媒層の各々は、触媒物質、前記触媒物質を担持する導電性担体、高分子電解質、および、繊維状物質を含む。前記アノード側電極触媒層の厚さは、前記カソード側電極触媒層の厚さよりも大きい。
上記課題を解決するための固体高分子形燃料電池は、上記膜電極接合体を備える。
上記構成によれば、繊維状物質を含むことによって多くの空孔が形成されたアノード側電極触媒層の厚さが、カソード側電極触媒層の厚さよりも大きいため、カソード側電極触媒層において生成された水が、固体高分子電解質膜を通じてアノード側電極触媒層に移行しやすくなる。これにより、カソード側電極触媒層におけるフラッディングが抑えられる。それゆえに、膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の発電性能を高めることができる。
上記膜電極接合体において、前記アノード側電極触媒層の前記厚さは、5μm以上35μm以下でもよい。上記構成によれば、アノード側電極触媒層の厚さが5μm以上であることによって、アノード側電極触媒層内において、アノード側電極触媒層の厚さにばらつきが生じることが抑えられる。また、アノード側電極触媒層の厚さが35μm以下であることによって、アノード側電極触媒層に向けた水の移行が、カソード側電極触媒層の過度な乾燥を生じさせることを抑えられる。
上記膜電極接合体において、前記カソード側電極触媒層の厚さに対する前記アノード側電極触媒層の厚さの比が、1.1以上3.5以下であってもよい。上記構成によれば、膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池を大電流で運転したときに、固体高分子形燃料電池における電圧値が低下することが抑えられる。
上記膜電極接合体において、前記アノード側電極触媒層は、単層から形成されてもよい。上記構成によれば、アノード側電極触媒層が複数の層から構成された多層体である場合と比べて、アノード側電極触媒層に向けた水の移行が起こりやすくなる。アノード側電極触媒層が多層体である場合には、層間における水の移行に対する抵抗が、層内における水の移行に対する抵抗よりも大きいため、アノード側電極触媒層の総厚が同じであっても、アノード側電極触媒層が単層である場合と比べて、アノード側電極触媒層に向けた水の移行が起こりにくくなる。
上記膜電極接合体において、一種以上の電子伝導性繊維と、一種以上のプロトン伝導性繊維とのうちの少なくとも1つを含み、前記電子伝導性繊維は、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、および、遷移金属含有繊維から構成される群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
上記膜電極接合体において、前記遷移金属含有繊維は、Ta、Nb、Ti、および、Zrから構成される群から選択される少なくとも一つの遷移金属元素を含んでもよい。
上記膜電極接合体において、前記繊維状物質は5nm以上500nm以下の繊維径と、1μm以上200μm以下の繊維長とを有してもよい。上記構成によれば、繊維状物質の繊維長および繊維径がそれぞれ上記の範囲を満たすことによって、電極触媒層内における繊維状物質の分散性を高め、繊維状物質の添加量を適した範囲にすることが可能である。
上記膜電極接合体において、前記導電性担体の質量に対する前記繊維状物質の質量の比が、0.3以上1.0以下であってもよい。上記構成によれば、導電性担体の質量に対する繊維状物質の質量の比が0.3以上であることが、電極触媒層内の空孔が少なくなるために電極触媒層の膜厚が小さくなることを抑え、これによって、電極触媒層が生成水を貯蔵しにくくなることを抑える。結果として、導電性担体の質量に対する繊維状物質の質量の比が0.3以上であることによって、固体高分子形燃料電池における出力の低下が抑えられる。また、導電性担体の質量に対する繊維状物質の質量の比が1.0を超える場合、電極触媒層内の空孔が多過ぎるために導電性が低くなり、それによって、固体高分子形燃料電子における出力が低下する。導電性担体の質量に対する繊維状物質の質量の比が1.0以下であることによって、そうした出力の低下が抑えられる。
上記膜電極接合体において、前記カソード側電極触媒層における単位面積当たりの前記繊維状物質含有量に対する前記アノード側電極触媒層における単位面積当たりの前記繊維状物質の質量の比が、1.2以上4.0以下であってもよい。上記構成によれば、膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池を大電流で運転したときに、固体高分子形燃料電池における電圧値が低下することが抑えられる。
本発明によれば、発電性能を高めることが可能である。
一実施形態における膜電極接合体の構造を示す断面図。 図1が示す膜電極接合体が備える電極触媒層の構造を示す模式図。 図1が示す膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の構造を示す分解斜視図。
図1から図3を参照して、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池の一実施形態を説明する。以下では、膜電極接合体の構成、電極触媒層の構成、固体高分子形燃料電池の構成、および、実施例を順に説明する。
[膜電極接合体の構成]
図1を参照して、膜電極接合体の構成を説明する。図1は、膜電極接合体の厚さ方向に沿う断面構造を示している。
図1が示すように、膜電極接合体10は、高分子電解質膜11と、カソード側電極触媒層12Cと、アノード側電極触媒層12Aとを備えている。高分子電解質膜11は固体状の高分子電解質膜である。高分子電解質膜11において対向する一対の面において、第2面である一方の面にカソード側電極触媒層12Cが接合し、第1面である他方の面にアノード側電極触媒層12Aが接合している。アノード側電極触媒層12Aが、カソード側電極触媒層12Cよりも厚い。カソード側電極触媒層12Cは酸素極(カソード)を構成する電極触媒層であり、アノード側電極触媒層12Aは燃料極(アノード)を構成する電極触媒層である。電極触媒層12の外周部は、不図示のガスケットなどによって封止されてもよい。
アノード側電極触媒層12Aの厚さが、厚さTAである。厚さTAは、アノード側電極触媒層12Aの全体における平均値である。カソード側電極触媒層12Cの厚さが、厚さTCである。厚さTCは、カソード側電極触媒層12Cの全体における平均値である。
アノード側電極触媒層12Aの厚さTAが、5μm以上35μm以下である。アノード側電極触媒層12Aの厚さが5μm以上であることによって、アノード側電極触媒層12A内において、アノード側電極触媒層12Aの厚さにばらつきが生じることが抑えられる。また、アノード側電極触媒層12Aの厚さが35μm以下であることによって、アノード側電極触媒層12Aに向けた水の移行が、カソード側電極触媒層12Cの過度な乾燥を生じさせることを抑えられる。
カソード側電極触媒層12Cの厚さTCに対するアノード側電極触媒層12Aの厚さTAの比(TA/TC)は、1.1以上3.5以下であることが好ましく、1.9以上3.5以下であることがより好ましい。これにより、膜電極接合体10を備える固体高分子形燃料電池を大電流で運転したときに、固体高分子形燃料電池における電圧値が低下することが抑えられる。
アノード側電極触媒層12Aは、単層であることが好ましい。アノード側電極触媒層12Aが複数の層から構成された多層体である場合と比べて、アノード側電極触媒層12Aに向けた水の移行が起こりやすくなる。アノード側電極触媒層12Aが多層体である場合には、層間における水の移行に対する抵抗が、層内における水の移行に対する抵抗よりも大きいため、アノード側電極触媒層12Aの総厚が同じであっても、アノード側電極触媒層12Aが単層である場合と比べて、アノード側電極触媒層12Aに向けた水の移行が起こりにくくなる。
[電極触媒層の構成]
図2を参照して電極触媒層の構成を説明する。なお、図2に示される電極触媒層は、アノード側電極触媒層12A、および、カソード側電極触媒層12Cの各々に適用される。
図2が示すように、電極触媒層12は、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、および、繊維状物質24を含んでいる。導電性担体22は、触媒物質21を担持する。繊維状物質24を含むことによって多くの空孔が形成されたアノード側電極触媒層12Aの厚さが、カソード側電極触媒層12Cの厚さよりも大きいため、カソード側電極触媒層12Cにおいて生成された水が、高分子電解質膜11を通じてアノード側電極触媒層12Aに移行しやすくなる。これにより、カソード側電極触媒層12Cにおけるフラッディングが抑えられる。それゆえに、膜電極接合体10を備える固体高分子形燃料電池の発電性能を高めることができる。
触媒物質21には、白金族の金属、および、白金族以外の金属を用いることができる。白金族の金属には、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、および、オスミウムを挙げることができる。白金族以外の金属には、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、および、アルミニウムなどを挙げることができる。触媒物質21には、これらの金属の合金、酸化物、および、複酸化物などを用いることもできる。触媒物質21には、白金または白金合金を用いることが好ましい。触媒物質21は粒子状であり、触媒物質21の粒径は、0.5nm以上20nm以下であることが好ましく、1nm以上5nm以下であることがより好ましい。触媒物質21の粒径が0.5nm以上であることによって、触媒物質21の安定性が向上する。触媒物質21の粒径が20nm以下であることによって、触媒物質21の活性が低下することが抑えられる。
導電性担体22には、例えば炭素粒子を用いることができる。炭素粒子は、微粒子状であり、かつ、導電性を有し、かつ、触媒物質21に侵食されない粒子であればよい。すなわち、炭素粒子は、触媒物質21によって消費されたり、触媒物質21との反応によって変質したりしない粒子であればよい。炭素粒子の粒径は、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下であることがより好ましい。炭素粒子の粒径が10nm以上であることによって、電子伝導パスが形成されやすくなる。炭素粒子の粒径が1000nm以下であることによって、電極触媒層12が厚くなることに起因して抵抗が増加すること、ひいては、発電性能が低下することが抑えられる。
高分子電解質23には、イオン伝導性を有する高分子の電解質を用いることができる。高分子電解質23は、電極触媒層12と高分子電解質膜11との密着性を高める上では、高分子電解質膜11と同じ電解質、あるいは、類似の電解質であることが好ましい。高分子電解質23には、例えば、フッ素系樹脂および炭化水素系樹脂を用いることができる。フッ素樹脂には、例えば、Nafion(登録商標)(デュポン社製)などを挙げることができる。炭化水素系樹脂には、例えば、エンジニアリングプラスチック、または、エンジニアリングプラスチックの共重合体にスルホン酸基を導入した樹脂などを挙げることができる。
高分子電解質23は、親水性であることが好ましい。これにより、アノード側電極触媒層12Aと水との親和性が高まるため、アノード側電極触媒層12Aが、カソード側電極触媒層12Cにおいて生成された水を貯蔵しやすい。
繊維状物質24には、電子伝導性繊維およびプロトン伝導性繊維を用いることができる。電子伝導性繊維には、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、および、導電性高分子ナノファイバーなどを挙げることができる。導電性や分散性の観点から、カーボンナノファイバーを繊維状物質24として用いることが好ましい。
触媒能を有する電子伝導性繊維は、貴金属によって形成される触媒の使用量を低減できる点でより好ましい。電極触媒層12が酸素極を構成する電極触媒層12として用いられる場合には、触媒能を有する電子伝導性繊維には、カーボンナノファイバーから作製したカーボンアロイ触媒を挙げることができる。触媒能を有する電子伝導性繊維は、燃料極用の電極活物質から形成される繊維であってもよい。電極活物質には、Ta、Nb、Ti、および、Zrから構成される群から選択される少なくとも一つの遷移金属元素を含む物質を用いることができる。遷移金属元素を含む物質には、遷移金属元素の炭窒化物の部分酸化物、または、遷移金属元素の導電性酸化物、および、遷移金属元素の導電性酸窒化物を挙げることができる。
プロトン伝導性繊維は、プロトン伝導性を有する高分子電解質から形成される繊維であればよい。プロトン伝導性繊維を形成するための材料には、フッ素系高分子電解質、および、炭化水素系高分子電解質などを用いることができる。フッ素系高分子電解質には、例えば、デュポン社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、および、ゴア社製のGore Select(登録商標)などを用いることができる。炭化水素系高分子電解質には、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、および、スルホン化ポリフェニレンなどの電解質を用いることができる。これらのなかでも、高分子電解質がデュポン社製のNafion(登録商標)であることが好ましい。
繊維状物質24には、上述した繊維のうちの一種のみが用いられてもよいし、二種以上が用いられてもよい。繊維状物質24として、電子伝導性繊維とプロトン伝導性繊維とを併せて用いてもよい。繊維状物質24は、上述した繊維状物質24のなかでも、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、および、電解質繊維から構成される群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
繊維状物質24の繊維径は、5nm以上500nm以下であることが好ましく、10nm以上300nm以下であることがより好ましい。繊維径が5nm以上500nm以下であることによって、電極触媒層12内の空孔を増加させることができ、ひいては、電極触媒層12を備える固体高分子形燃料電池の出力を高めることが可能である。
繊維状物質24の繊維長は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、1μm以上50μm以下であることがより好ましい。繊維長が1μm以上200μm以下であることによって、電極触媒層12の強度を高めることができる。ひいては、電極触媒層12の形成時に、電極触媒層12にクラックが生じることが抑えられる。繊維長が上述の範囲を満たすことによって、電極触媒層12内の空孔を増加させることができ、ひいては、電極触媒層12を備える固体高分子形燃料電池の出力を高めることが可能である。
繊維状物質24において、繊維径が5nm以上500nm以下であり、かつ、繊維長が1μm以上200μm以下であることが好ましい。これにより、電極触媒層12内における繊維状物質24の分散性を高め、繊維状物質24の添加量を適した範囲にすることが可能である。
触媒物質21を担持した導電性担体22の質量(MC)に対する繊維状物質24の質量(MF)の比(MF/MC)は、0.3以上1.0以下であることがより好ましい。導電性担体22の質量に対する繊維状物質24の質量の比が0.3以上であることは、電極触媒層12内の空孔が少なくなるために電極触媒層12の膜厚が小さくなることを抑え、これによって、電極触媒層12が生成水を貯蔵しにくくなることを抑える。結果として、導電性担体22の質量に対する繊維状物質24の質量の比が0.3以上であることによって、固体高分子形燃料電池における出力の低下が抑えられる。また、導電性担体22の質量に対する繊維状物質の質量の比が1.0以下であることは、電極触媒層12内の空孔が多過ぎるために導電性が低くなり、これによって、固体高分子形燃料電子における出力が低下することを抑える。なお、以下では、質量比(MF/MC)を第1質量比とも称する。
膜電極接合体10において、カソード側電極触媒層12Cにおける単位面積当たりの繊維状物質24の質量(MFC)に対するアノード側電極触媒層12Aにおける単位面積当たりの繊維状物質24の質量(MFA)の比(MFA/MFC)が、1.2以上4.0以下であることが好ましい。これにより、膜電極接合体10を備える固体高分子形燃料電池を大電流で運転したときに、固体高分子形燃料電池における電圧値が低下することが抑えられる。なお、以下では、質量比(MFA/MFC)を第2質量比とも称する。
[固体高分子形燃料電池の構成]
図3を参照して、膜電極接合体10を備える固体高分子形燃料電池の構成を説明する。以下に説明する構成は、固体高分子形燃料電池の一例における構成である。また、図3は、固体高分子形燃料電池が備える単セルの構成を示している。固体高分子形燃料電池は、複数の単セルを備え、かつ、複数の単セルが積層された構成でもよい。
図3が示すように、固体高分子形燃料電池30は、膜電極接合体10、一対のガス拡散層、および、一対のセパレーターを備えている。一対のガス拡散層は、カソード側ガス拡散層31Cとアノード側ガス拡散層31Aとである。一対のセパレーターは、カソード側セパレーター32Cとアノード側セパレーター32Aとである。
カソード側ガス拡散層31Cは、カソード側電極触媒層12Cに接している。カソード側電極触媒層12Cとカソード側ガス拡散層31Cとが、酸素極(カソード)30Cを形成している。アノード側ガス拡散層31Aは、アノード側電極触媒層12Aに接している。アノード側電極触媒層12Aとアノード側ガス拡散層31Aとが、燃料極(アノード)30Aを形成している。
高分子電解質膜11において、カソード側電極触媒層12Cが接合された面がカソード面であり、アノード側電極触媒層12Aが接合された面がアノード面である。カソード面のなかで、カソード側電極触媒層12Cによって覆われていない部分が外周部である。外周部には、カソード側ガスケット13Cが位置している。アノード面のなかで、アノード側電極触媒層12Aによって覆われていない部分が外周部である。外周部には、アノード側ガスケット13Aが位置している。ガスケット13C,13Aによって、各面の外周部からガスが漏れることが抑えられる。
カソード側セパレーター32Cとアノード側セパレーター32Aとは、固体高分子形燃料電池30の厚さ方向において、膜電極接合体10、および、2つのガス拡散層31C,31Aから形成される多層体を挟んでいる。カソード側セパレーター32Cは、カソード側ガス拡散層31Cに対向している。アノード側セパレーター32Aは、アノード側ガス拡散層31Aに対向している。
カソード側セパレーター32Cにおいて対向する一対の面は、それぞれ複数の溝を有している。一対の面のなかで、カソード側ガス拡散層31Cと対向する対向面が有する溝は、ガス流路32Cgである。一対の面のなかで、対向面とは反対側の面が有する溝は、冷却水流路32Cwである。
アノード側セパレーター32Aにおいて対向する一対の面は、それぞれ複数の溝を有している。一対の面のなかで、アノード側ガス拡散層31Aと対向する対向面が有する溝は、ガス流路32Agである。一対の面のなかで、対向面とは反対側の面が有する溝は、冷却水流路32Awである。
各セパレーター32C,32Aは、導電性を有し、かつ、ガスに対する不透過性を有した材料によって形成されている。
固体高分子形燃料電池30では、カソード側セパレーター32Cのガス流路32Cgを通じて酸化剤が酸素極30Cに供給され、アノード側セパレーター32Aのガス流路32Agを通じて燃料極30Aに燃料が供給される。これにより、固体高分子形燃料電池30が発電を行う。なお、酸化剤には、例えば空気および酸素などを挙げることができる。燃料には、例えば水素を含む燃料ガス、および、有機物燃料などを挙げることができる。
[膜電極接合体の製造方法]
以下、膜電極接合体10の製造方法を説明する。
膜電極接合体10が備える電極触媒層12は、電極触媒層用スラリーを作成し、電極触媒層用スラリーを基材などに塗工し、次いで乾燥することによって形成することができる。
触媒層用スラリーは、触媒物質21、導電性担体22、高分子電解質23、繊維状物質24、および、溶媒を含む。溶媒には、例えば、高分子電解質23を分散することが可能な溶媒、または、高分子電解質23を溶解することが可能な溶媒を用いることが好ましい。溶媒には、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、アミン類、および、エステル類などを用いることができる。アルコール類には、メタノール、エタノール、1‐プロパノール、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、イソブチルアルコール、tert‐ブチルアルコールなどを挙げることができる。ケトン類には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ペンタノン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、および、ジイソブチルケトンなどを挙げることができる。エーテル類には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、および、ジブチルエーテルなどを挙げることができる。アミン類には、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、および、アニリンなどを挙げることができる。エステル類には、蟻酸プロピル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、および、プロピオン酸ブチルなどを挙げることができる。
溶媒には、酢酸、プロピオン酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、および、N‐メチルピロリドンなどを用いてもよい。また、溶媒には、グリコール、および、グリコールエーテル系溶媒を用いてもよい。グリコール、および、グリコールエーテル系溶媒には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジアセトンアルコール、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、1‐エトキシ‐2‐プロパノールなどを挙げることができる。
触媒層用スラリーを塗工する方法には、ドクターブレード法、ダイコーティング法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ラミネータロールコーティング法、および、スプレー法などを用いることができる。
触媒層用スラリーを乾燥する方法には、温風乾燥、および、IR乾燥などを挙げることができる。乾燥温度は、40℃以上200℃以下であり、40℃以上120℃以下程度であることが好ましい。乾燥時間は、0.5分以上1時間以下であり、1分以上30分以下程度が好ましい。
膜電極接合体10の製造方法には、転写基材、または、ガス拡散層に電極触媒層12を形成し、熱圧着によって高分子電解質膜11に電極触媒層12を接合する方法が挙げられる。また、膜電極接合体10の製造方法には、高分子電解質膜11に対して直に電極触媒層12を形成する方法が挙げられる。高分子電解質膜11に対して直に電極触媒層12を形成する方法は、高分子電解質膜11と電極触媒層12との密着性が高く、かつ、電極触媒層12が熱圧着に起因して潰れるおそれがない点で好ましい。
[実施例]
[実施例1]
20gの白金担持カーボン(TEC10E50E、田中貴金属工業(株)製)を容器にとり、容器内に水を加えて、白金担持カーボンと水とを混合した。なお、白金担持カーボンにおいて、50質量%がカーボンであり、50質量%が白金であるため、白金担持カーボンにおけるカーボンの質量は、10gである。次いで、1‐プロパノール、高分子電解質(Nafion(登録商標)分散液、和光純薬工業(株)製)、2.5gのカーボンナノファイバー(昭和電工(株)製、VGCF(登録商標)、繊維径約150nm、繊維長約10μm)を容器に加えて撹拌した。これにより、実施例1のカソード側触媒層用スラリーを得た。
20gの白金担持カーボン(TEC10E50E、田中貴金属工業(株)製)を容器にとり、容器内に水を加えて、白金担持カーボンと水とを混合した。次いで、1‐プロパノール、高分子電解質(Nafion(登録商標)分散液、和光純薬工業(株)製)、10gのカーボンナノファイバー(昭和電工(株)製、VGCF(登録商標)、繊維径約150nm、繊維長約10μm)を容器に加えて撹拌した。これにより、実施例1のアノード側触媒層用スラリーを得た。この際に、カソード側触媒層用スラリーと等量のアノード側触媒層用スラリーを得た。
そして、高分子電解質膜(Nafion212、デュポン社製)における一方の面にカソード側触媒層用スラリーを塗工し、高分子電解質膜の他方の面に、カソード側触媒層用スラリーと等量のアノード側触媒層用スラリーを塗工した。各スラリーの塗工には、ダイコーティング法を用いた。高分子電解質膜と各触媒層用スラリーとを80℃の炉内で乾燥することによって、実施例1の膜電極接合体を得た。
[実施例2]
アノード触媒層スラリーが含むカーボンナノファイバーの量を6gに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例2の膜電極接合体を得た。
[実施例3]
アノード側電極触媒層を形成するために塗工した触媒層用スラリーの量を1/2に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例3の膜電極接合体を得た。
[実施例4]
実施例1において、アノード側触媒層用スラリーのカーボンナノファイバーを、3gのカーボンナノファイバー(ゼオンナノテクノロジー(株)製、ZEONANO(登録商標)、繊維径約3nm、繊維長約100μm以上600μm以下)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例4の膜電極接合体を得た。
[実施例5]
実施例1において、アノード触媒層スラリーのカーボンナノファイバーを、3gの炭素繊維(大阪ガスケミカル(株)製、ドナカーボ・ミルド、繊維径約13000nm、繊維長約500μm)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例5の膜電極接合体を得た。
[実施例6]
実施例1において、カソード側触媒層用スラリーにおけるカーボンナノファイバーの量を5gに変更し、カソード側電極触媒層を形成するために塗工したカソード側触媒層用スラリーの量を0.8倍に変更した。また、アノード側触媒層用スラリーにおけるカーボンナノファイバーの量を4gに変更し、アノード側電極触媒層を形成するために塗工した触媒層用スラリーの量を3倍にした。これら以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例6の膜電極接合体を得た。
[実施例7]
実施例1において、カソード側触媒層用スラリーにおけるカーボンナノファイバーの量を2gに変更し、カソード側電極触媒層を形成するために塗工した触媒層用スラリーの量を1.5倍にした以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例7の膜電極接合体を得た。
[比較例1]
実施例1において、アノード側触媒層用スラリーにおけるカーボンナノファイバーの量を3gに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例1の膜電極接合体を得た。
[比較例2]
実施例1において、アノード側触媒層用スラリーにカーボンナノファイバーを加えず、アノード側電極触媒層を形成するために塗工したアノード側触媒層用スラリーの量を3倍にした以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例2の膜電極接合体を得た。
[電極触媒層の厚さ計測]
電極触媒層の断面における厚さを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することによって計測した。
[単位面積当たりの繊維状物質の質量]
各実施例および各比較例について、カソード側電極触媒層における単位面積当たりの繊維状物質の質量と、アノード側電極触媒層における単位面積当たりの繊維状物質の質量とを以下の方法によって算出した。すなわち、電極触媒層の単位面積当たりにおける導電性担体の担持量に対して、触媒層用スラリーの作成時における導電性担体の添加量に対する繊維状物質の添加量の比と、実施例1における触媒層用スラリーの塗工量を1とした場合の塗工量を乗算することによって、各電極触媒層における単位面積当たりの繊維状物質の質量を算出した。この際に、各電極触媒層の単位面積当たりにおける導電性担体の担持量を0.4mg/cmとした。
なお、単位面積当たりにおける導電性担体の担持量は、以下の方法で算出することが可能である。まず、各膜電極接合体の質量を測定した。次に、膜電極接合体からアノード側電極触媒層を粘着テープによって剥離して、カソード側電極触媒層と固体高分子電解質膜との質量を測定した。そして、カソード側電極触媒層と固体高分子電解質膜との質量を膜電極接合体の質量から減算することによって、アノード側電極触媒層の質量を算出した。続いて、膜電極接合体からカソード側電極触媒層を粘着テープによって剥離して、固体高分子電解質膜の質量を測定した。そして、膜電極接合体の質量から固体高分子電解質膜の質量を減算し、更に、先に算出したアノード側電極触媒層の質量を減算することによって、カソード側電極触媒層の質量を算出した。各電極触媒層の質量を電極触媒層の面積で除算し、単位面積当たりの電極触媒層の質量を算出した。そして、各触媒層用スラリーの固形分中における導電性担体の割合を乗算することによって、単位面積当たりにおける導電性担体の担持量を算出した。
[発電性能の測定]
発電性能の測定には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が刊行した小冊子である「セル評価解析プロトコル」に準拠する方法を用いた。膜電極接合体の各面に、ガス拡散層、ガスケット、および、セパレーターを配置し、所定の面圧となるように締め付けたJARI標準セルを評価用単セルとして用いた。そして、「セル評価解析プロトコル」に記載された方法に準拠してI‐V測定を実施した。なお、固体高分子形燃料電池における電流が1.2A/cmであるとき、すなわち大電流での運転において、電圧が0.6V以上である場合を「◎」とし、0.5V以上0.6V未満を「○」とし、0.5V未満を「×」とした。
[評価結果]
実施例1から実施例7、および、比較例1および比較例2において、アノード側触媒層の厚さTAを計測した結果、および、発電性能を測定した結果は、以下の表1に示す通りであった。また、第1質量比は、表1に示す通りであった。また、カソード側電極触媒層の単位面積当たりにおける繊維状物質の質量、アノード側電極触媒層の単位面積当たりにおける繊維状物質の質量、および、第2質量比は、表1に示す通りであった。なお、カソード側電極触媒層の厚さTCは、実施例1から実施例7、および、比較例1および比較例2の全てにおいて、10μmであることが認められた。
Figure 2019189856
表1が示すように、実施例1におけるアノード側電極触媒層の厚さTAは35μmであり、実施例2におけるアノード側電極触媒層の厚さTAは19μmであり、実施例3におけるアノード側触媒層の厚さTAは11μmであることが認められた。また、実施例4におけるアノード側電極触媒層の厚さTAは13μmであり、実施例5におけるアノード側電極触媒層の厚さTAは21μmであり、実施例6におけるアノード側電極触媒層の厚さTAは20μmであり、実施例7におけるアノード側電極触媒層の厚さTAは22μmであることが認められた。また、比較例1におけるアノード側電極触媒層の厚さTAは3μmであり、比較例2におけるアノード側電極触媒層の厚さTAは5μmであることが認められた。
また、実施例1および実施例2の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池において、発電性能が「◎」であり、実施例3から実施例7の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池において、発電性能が「○」であることが認められた。なお、実施例1と実施例2との間では、アノード側電極触媒層の厚さTAを厚くしても、実施例3と実施例2との間に比べて、アノード側電極触媒層の厚さTAに対する電圧の増加率が小さいことが認められた。これに対して、比較例1の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池、および、比較例2の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池では、発電性能が「×」であることが認められた。
このように、アノード側電極触媒層の厚さTAが、カソード側電極触媒層の厚さTCよりも大きいことによって、大電流で固体高分子形燃料電池を運転したときに、固体高分子形燃料電池の発電性能が高められることが認められた。
表1が示すように、実施例1および実施例2において、繊維状物質の一例であるカーボンナノファイバーの繊維径は150nmであり、繊維長は10μmであった。また、実施例4において、繊維状物質の一例であるカーボンナノファイバーの繊維径は3nmであり、繊維長は100μm以上600μm以下であった。また、実施例5において、繊維状物質の一例である炭素繊維の繊維径は13000nmであり、繊維長は500μmであった。
また、実施例1および実施例2の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池において、発電性能が「◎」であることが認められた。これに対して、実施例4の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池、および、実施例5の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池では、発電性能が「○」であることが認められた。
表1が示すように、実施例1の第1質量比は1.0であり、実施例2の第1質量比は0.6であり、実施例3の第1質量比は1.0であることが認められた。また、実施例4の第1質量比は0.3であり、実施例5の第1質量比は0.3であり、実施例6の第1質量比は0.4であり、実施例7の第1質量比は1.0であることが認められた。また、比較例1の第1質量比は0.3であり、比較例2の第2質量比は0であることが認められた。
表1が示すように、実施例1の第2質量比が4.0であり、実施例2の第2質量比が2.4であり、実施例3の第2質量比が2.0であることが認められた。また、実施例4の第2質量比が1.2であり、実施例5の第2質量比が1.2であり、実施例6の第2質量比が3.0であり、実施例7の第2質量比が3.3であることが認められた。また、比較例1の第2質量比が1.2であり、比較例2の第2質量比が0であることが認められた。
以上説明したように、膜電極接合体、および、固体高分子形燃料電池の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)繊維状物質24を含むことによって多くの空孔が形成されたアノード側電極触媒層12Aの厚さTAが、カソード側電極触媒層12Cの厚さTCよりも大きいため、カソード側電極触媒層12Cにおいて生成された水が、高分子電解質膜11を通じてアノード側電極触媒層12Aに移行しやすくなる。これにより、カソード側電極触媒層12Cにおけるフラッディングが抑えられる。それゆえに、膜電極接合体10を備える固体高分子形燃料電池30の発電性能を高めることができる。
(2)アノード側電極触媒層12Aの厚さTAが5μm以上であることによって、アノード側電極触媒層12A内において、アノード側電極触媒層12Aの厚さTAにばらつきが生じることが抑えられる。また、アノード側電極触媒層12Aの厚さTAが35μm以下であることによって、アノード側電極触媒層12Aに向けた水の移行が、カソード側電極触媒層12Cの過度な乾燥を生じさせることを抑えられる。
(3)膜電極接合体10を備える固体高分子形燃料電池30を大電流で運転したときに、固体高分子形燃料電池30における電圧値が低下することが抑えられる。
(4)アノード側電極触媒層12Aが複数の層から構成された多層体である場合と比べて、アノード側電極触媒層12Aに向けた水の移行が起こりやすくなる。
(5)電極触媒層12内に空孔を形成する上で好ましい繊維径を有した繊維を電極触媒層12に含有させることができる。
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・アノード側電極触媒層12Aは、複数の層から構成された多層体であってもよい。この場合であっても、アノード側電極触媒層12Aの総厚が、カソード側電極触媒層12Cの厚さよりも大きければ、上述した(1)に準じた効果を少なからず得ることはできる。
10…膜電極接合体、11…高分子電解質膜、12…電極触媒層、12A…アノード側電極触媒層、12C…カソード側電極触媒層、13A…アノード側ガスケット、13C…カソード側ガスケット、21…触媒物質、22…導電性担体、23…高分子電解質、24…繊維状物質、30…固体高分子形燃料電池、30A…燃料極、30C…酸素極、31A…アノード側ガス拡散層、31C…カソード側ガス拡散層、32A…アノード側セパレーター、32Ag,32Cg…ガス流路、32Aw,32Cw…冷却水流路、32C…カソード側セパレーター。

Claims (10)

  1. 第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有する固体高分子電解質膜と、
    前記第1面に接合するアノード側電極触媒層と、
    前記第2面に接合するカソード側電極触媒層と、を備え、
    前記カソード側電極触媒層および前記アノード側電極触媒層の各々は、触媒物質、前記触媒物質を担持する導電性担体、高分子電解質、および、繊維状物質を含み、
    前記アノード側電極触媒層の厚さは、前記カソード側電極触媒層の厚さよりも大きい
    膜電極接合体。
  2. 前記アノード側電極触媒層の前記厚さは、5μm以上35μm以下である
    請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 前記カソード側電極触媒層の前記厚さに対する前記アノード側電極触媒層の前記厚さの比が、1.1以上3.5以下である
    請求項1または2に記載の膜電極接合体。
  4. 前記アノード側電極触媒層は、単層から形成されている
    請求項1から3のいずれか一項に記載の膜電極接合体。
  5. 前記繊維状物質は、一種以上の電子伝導性繊維と、一種以上のプロトン伝導性繊維とのうちの少なくとも1つを含み、
    前記電子伝導性繊維は、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、および、遷移金属含有繊維から構成される群から選択される少なくとも1つを含む
    請求項1から4のいずれか一項に記載の膜電極接合体。
  6. 前記遷移金属含有繊維は、Ta、Nb、Ti、および、Zrから構成される群から選択される少なくとも一つの遷移金属元素を含む
    請求項5に記載の膜電極接合体。
  7. 前記繊維状物質は5nm以上500nm以下の繊維径と、1μm以上200μm以下の繊維長とを有する
    請求項1から6のいずれか一項に記載の膜電極接合体。
  8. 前記導電性担体の質量に対する前記繊維状物質の質量の比が、0.3以上1.0以下である
    請求項1から7のいずれか一項に記載の膜電極接合体。
  9. 前記カソード側電極触媒層における単位面積当たりの前記繊維状物質の質量に対する前記アノード側電極触媒層における単位面積当たりの前記繊維状物質の質量の比が、1.2以上4.0以下である
    請求項1から8のいずれか一項に記載の膜電極接合体。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の膜電極接合体を備える
    固体高分子形燃料電池。
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