JP2017098083A - 膜電極接合体およびその製造方法ならびにダイレクトメタノール型燃料電池およびその製造方法 - Google Patents

膜電極接合体およびその製造方法ならびにダイレクトメタノール型燃料電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高出力を保ちつつ、従来よりも小型化が可能かつメタノールクロスオーバーの発生を低減可能な膜電極接合体を提供する。【解決手段】電解質膜111と、前記電解質膜111の一方の主面に設けられたアノード触媒層112と、前記電解質膜111の他方の主面に設けられたカソード触媒層113と、が積層された積層体を備える膜電極接合体11であって、前記電解質膜111は、前記電解質膜111の内部から前記電解質膜111の一方の主面に向かって開口した第1凹部2が少なくとも1つ設けられ、前記アノード触媒層112の一方の主面は、前記第1凹部2の内面と接する様に設けられ、前記アノード触媒層112の他方の主面は、非貫通の第1溝部3が少なくとも1つ設けられ、前記積層体の積層方向に投影したときに、少なくとも前記第1溝部3の先端が前記アノード触媒層112の主面における前記第1凹部2の投影面内に収まる。【選択図】図2

Description

本発明は、膜電極接合体およびその製造方法ならびにダイレクトメタノール型燃料電池およびその製造方法に関する。
ダイレクトメタノール型燃料電池の発電装置として膜電極接合体(MEA:Membrane-electrode assembly)が従来より知られている。
この膜電極接合体は、アノード触媒層と、カソード触媒層と、アノード触媒層及びカソード触媒層の間に配置される電解質膜とを備え、形成されている。
一般に、膜電極接合体の各構成の役割は以下の通りとなっており、また、この役割により発生する以下の反応によって、ダイレクトメタノール型燃料電池は膜電極接合体から電気エネルギーを得ることができる。
すなわち、アノード触媒層は、下記の式(1)の通り、膜電極接合体外部から供給されたメタノール水溶液に含まれているメタノールと水との間で酸化反応を起こして、プロトンと電子を生成する役割を果たしている。また、アノード触媒層は、プロトンを電解質膜に供給し、電子を後述のカソード触媒層に供給する役割を果たしている。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e−・・・(1)
また、電解質膜は、アノード触媒層において未反応となるメタノール水溶液および電子がカソード触媒層に直接供給されるのを抑制しつつ、アノード触媒層から供給されたプロトンを後述のカソード触媒層に供給する役割を果たしている。
また、カソード触媒層は、下記の式(2)の通り、膜電極接合体外部から供給された酸素と、電解質膜から供給されたプロトンと、アノード触媒層から供給された電子との間で還元反応を起こす役割を果たしている。
3/2O2+6H++6e−→3H2O・・・(2)
以上の酸化反応および還元反応により、膜電極接合体間に電流が流れ、膜電極接合体から電気エネルギーを得ることができる。
一般的に、高出力の膜電極接合体を得る手段として、アノード触媒層で生成されるプロトンの量または電解質膜表面を透過するプロトンの量(前述した2つの量は互いに相関関係を持ち、一般にプロトン輸送量と総称される。以下、プロトン輸送量と呼ぶ場合がある。)を増加する事が挙げられる。ここで、このプロトン輸送量は、電解質膜表面を透過するプロトンの透過表面積と相関関係を持っており、この透過表面積が増加する事によって、プロトン輸送量が増加する事が知られている。このため、従来では、プロトンの透過表面積を十分に確保する事を目的として、アノード触媒層と電解質膜との接触面積を増加させる為に、可能な限り面積の大きい膜電極接合体を使用していた。
また、高出力化を図った膜電極接合体として、アノード触媒層において、アノード触媒層と電解質膜とが接する面に対して反対の面からアノード触媒層内部まで到達する非貫通の溝がアノード触媒層に形成された膜電極接合体が従来より知られている(特許文献1)。
これにより、メタノール水溶液がアノード触媒層内を浸透する際に溝の側面を介して浸透する事から、アノード触媒層内で拡散するメタノール水溶液の量が増加する。すなわち、溝が設けられていない場合と比べ、より広範囲に電解質膜に供給されるプロトンの量が増加する。このため、電解質膜表面を透過するプロトンの透過表面積が増加する為、これに伴い、プロトン輸送量が増加する。したがって、膜電極接合体の高出力化に寄与する。
特開2008−276985号公報
しかし、従来の膜電極接合体については、高出力化の為に、可能な限り面積の大きい膜電極接合体を使用しており、この場合、面積の小さい膜電極接合体を使用する事が困難となっていた。このため、小型の膜電極接合体を実現する事が困難となる問題があった。
また、従来の膜電極接合体については、溝の先端と電解質膜の主面との距離が比較的近い為、溝の先端から亀裂が伝播し、電解質膜の主面まで到達して貫通孔が形成される場合があった。この場合、この貫通孔にメタノール水溶液が入り込むと、貫通孔内においてはアノード触媒層が存在しない事から、プロトンの生成反応が起こらないままメタノール水溶液が電解質膜の主面に到達し、やがて電解質膜を透過するといった、いわゆるメタノールクロスオーバーと呼ばれる現象が起こる。これにより、アノード触媒層で生成されるプロトンの量が減少し、これに伴い、プロトン輸送量が低下する為、結果として、膜電極接合体の出力が低下する問題があった。
本発明は上記課題に鑑み、高出力を保ちつつ、従来よりも小型化が可能かつメタノールクロスオーバーの発生を低減可能な膜電極接合体および燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る膜電極接合体は、電解質膜と、前記電解質膜の一方の主面に設けられたアノード触媒層と、前記電解質膜の他方の主面に設けられたカソード触媒層と、が積層された積層体を備える膜電極接合体であって、前記電解質膜は、前記電解質膜の内部から前記電解質膜の一方の主面に向かって開口した第1凹部が少なくとも1つ設けられ、前記アノード触媒層の一方の主面は、前記第1凹部の内面と接する様に設けられ、前記アノード触媒層の他方の主面は、非貫通の第1溝部が少なくとも1つ設けられ、前記積層体の積層方向に投影したときに、少なくとも前記第1溝部の先端が前記アノード触媒層の主面における前記第1凹部の投影面内に収まることを特徴とする。
また、本発明に係る膜電極接合体は、前記第1溝部の先端が前記第1凹部の内部に存在する様に、前記第1溝部が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る膜電極接合体は、前記第1溝部が複数個設けられ、前記第1溝部の先端が前記第1凹部の内部に存在する前記第1溝部の数が、前記第1溝部の先端が前記第1凹部の外部に存在する前記第1溝部の数よりも多いことを特徴とする。
また、本発明に係る膜電極接合体は、前記電解質膜は、前記電解質膜の内部から前記電解質膜の他方の主面に向かって開口した第2凹部が前記第1凹部と対向する様、少なくとも1つ設けられ、前記カソード触媒層の一方の主面は、前記第2凹部の内面と接する様に設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る膜電極接合体は、前記カソード触媒層の他方の主面は、非貫通の第2溝部が少なくとも1つ設けられ、前記積層体の積層方向に投影したときに、少なくとも前記第2溝部の先端が前記カソード触媒層の主面における前記第2凹部の投影面内に収まることを特徴とする。
また、本発明に係るダイレクトメタノール型燃料電池は、上記膜電極接合体を有することを特徴とする。
本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、電解質膜を準備する工程と、前記電解質膜の主面に、前記電解質膜の内部から前記電解質膜の主面に向かって開口した凹部を形成する工程と、前記電解質膜内の水分を除去し、前記凹部を収縮させる工程と、前記電解質膜の主面上および前記凹部内に触媒層を形成する工程と、前記電解質膜に水分を吸収させて、前記凹部を膨張させ、触媒層の主面に非貫通の溝部を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る膜電極接合体の製造方法は、電解質膜を準備する工程と、前記電解質膜の主面に、前記電解質膜の内部から前記電解質膜の主面に向かって開口した凹部を形成する工程と、前記凹部の形状に追従する様、第1触媒層を少なくとも前記凹部内に形成する工程と、前記電解質膜内の水分を除去し、前記凹部を収縮させる工程と、前記電解質膜の主面上および前記第1触媒層上に第2触媒層を形成する工程と、前記電解質膜に水分を吸収させて、前記凹部を膨張させ、第2触媒層の主面に非貫通の溝部を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るダイレクトメタノール型燃料電池は、上記膜電極接合体の製造方法を用いることを特徴とする。
本発明によれば、電解質膜に設けられた第1凹部によって、アノード触媒層と電解質膜との接触面積が増加する。このため、この接触面積が増加した分だけ、電解質膜表面を透過するプロトンの透過表面積が増加し、これに伴い、プロトン輸送量が増加する為、膜電極接合体の高出力化が可能となる。また、第1凹部によって、アノード触媒層と電解質膜との接触面積が増加する分だけ向上した出力を保ちつつ、比較的面積の小さい膜電極接合体を使用する事が可能となる。したがって、高出力を保ちつつ、従来よりも小型の膜電極接合体が得られる。
また、平面視において、第1溝部が、電解質膜の内部から主面に向かって開口した第1凹部に収まっている。このため、第1凹部の深さの分だけ、従来よりも溝の先端と電解質膜表面との距離が遠くなる。これによって、従来よりも溝の先端から電解質膜表面まで亀裂が伝播しにくくなる為、貫通孔が形成されにくくなる。したがって、従来よりもプロトンの生成可能な触媒領域が増加する為、メタノールクロスオーバーの発生を低減する事が可能となる。
以上により、本発明によれば、高出力を保ちつつ、従来よりも小型化が可能かつメタノールクロスオーバーの発生を低減可能な膜電極接合体を実現する事が可能となる。
本発明の実施形態におけるダイレクトメタノール型燃料電池の断面図である。 本発明の実施形態における膜電極接合体の断面図である。 本発明の実施形態における電解質膜の一面を示す斜視図である。 本発明の実施形態における電解質膜およびアノード触媒層を示す斜視図である。 本発明の実施形態における膜電極接合体の製造方法を示すフロー図である。 本発明の実施形態における膜電極接合体の他の製造方法を示すフロー図である。 従来における膜電極接合体の断面図である。
図1は、本発明の実施形態におけるダイレクトメタノール型燃料電池の断面図である。
図1に示すように、ダイレクトメタノール型燃料電池1(以下、単に燃料電池1と呼ぶ事もある。)は、電解質膜111と、アノード触媒層112と、カソード触媒層113と、アノードガス拡散層114と、カソードガス拡散層115とを含んだ膜電極接合体11と、アノード集電体12と、カソード集電体13と、アノードセパレータ14と、カソードセパレータ15と、ガスケット18、ガスケット19と、補強層116A、補強層116Bを備える。
以下、まずは膜電極接合体11の各構造の説明をして、その次に燃料電池1の各構造の説明として、アノード集電体12と、カソード集電体13と、アノードセパレータ14と、カソードセパレータ15と、ガスケット18、ガスケット19と、補強層116A、補強層116Bの説明をする。
図2は、本発明の実施形態における膜電極接合体の断面図である。
(膜電極接合体の構造)
図2に示すように、膜電極接合体11は、電解質膜111と、アノード触媒層112と、カソード触媒層113と、アノードガス拡散層114と、カソードガス拡散層115とを含んで構成されている。ここで、アノード触媒層112とアノードガス拡散層114がアノード極(燃料極)を構成し、カソード触媒層113とカソードガス拡散層115がカソード極(空気極)を構成する。
電解質膜111は、後述するアノード触媒層112において未反応となるメタノール水溶液および電子がカソード触媒層113に直接供給されるのを抑制しつつ、アノード触媒層112から供給されたプロトンを後述のカソード触媒層113に供給する役割を果たしている。このため、電解質膜111としては、上記の役割を果たすことが可能であれば、材料は特に限定されるものではない。例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる電解質膜として、米国DuPont社製のNafion(商品名,登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(商品名,登録商標)、または旭硝子(株)社製のFlemion(商品名,登録商標)などを使用することができる。また、電解質膜111の厚さは特に限定されないが、通常25〜250μmである。
次に、図3を用いて、電解質膜111の第1凹部2について詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態における電解質膜の一面を示す斜視図である。
図3に示すように、平面状の電解質膜111は、電解質膜111の主面に沿って、第1凹部2を備えている。
ここで、以下(1−1)〜(3−4)に沿って、第1凹部2の各構成要素を説明する事によって、第1凹部2の詳細を説明する。
(1−1)第1凹部21の定義
第1凹部2とは、電解質膜111の主面上の閉じられた一部の領域より−Z軸方向にえぐられた空間を言う。ここで、図3における格子状の第1凹部2は、複数の矩形状の第1凹部21によって構成されている。
また、第1凹部21は、電解質膜111の主面の直上から見て矩形状となっており、前記のえぐられた空間は、第1凹部21の前記の閉じられた一部の領域(矩形状)の一方の辺に対し垂直方向に沿って示す断面形状が前記の一方の辺の平行方向においても同一の形状で連続して設けられている。
なお、電解質膜111の主面の直上から見た前記の閉じられた一部の領域の形状は、特に限定されず、矩形状が好ましいが、矩形状以外の形状であってもよい。
また、第1凹部21の前記のえぐられた空間は、第1凹部21の前記の閉じられた一部の領域(矩形状)の一方の辺が線形状であり、かつ、該一方の辺に対し垂直方向に沿って示す断面形状が前記の一方の辺の平行方向においても同一の形状の連続により構成される空間である事が好ましい。
なお、第1凹部21の前記のえぐられた空間は、第1凹部21の前記の閉じられた一部の領域(矩形状)の一方の辺が非線形状であり、かつ、該一方の辺に対し垂直方向に沿って示す断面形状が前記の一方の辺の平行方向においても同一の形状の連続により構成される空間であってもよい。
さらに、第1凹部21の前記のえぐられた空間は、一端から他端に向かう方向において第1凹部21の一部における深さが第1凹部21の一端若しくは他端における深さと異なる形状で設けられている空間であってもよい。例えば、第1凹部21の前記の矩形状のいずれか一方の辺の一端から他端に向かうにつれ、断面形状が深さ方向に向かって漸次的に変化する形状で設けられている空間であってもよい。
(1−2)第1凹部21の深さ
また、第1凹部21の深さD1は、特に限定されないが、電解質膜111の主面の表面積を大きくさせる観点から、深さD1はアノード触媒層112の厚さの30%以上であることが好ましい。さらに、深さD1は、電解質膜111の機械強度を損なわない様にさせる観点から、深さD1はアノード触媒層112の厚さの70%以下であることが好ましい。
(1−3)第1凹部21の断面形状
また、図3で示している通り、第1凹部21の前記の矩形状のいずれか一方の辺の一端から他端に向かう方向に対し垂直方向に沿って示す断面形状は、前記の一方の辺の平行方向のいずれにおいても、円弧状を示しているが、矩形状、U字形状もしくはV字形状等の断面形状であってもよい。
(1−4)第1凹部21における長辺の長さ
また、図3で示している通り、前記の閉じられた一部の領域が矩形状の第1凹部21は、長辺、短辺の2種類の辺を有している。ここで、長辺の長さは、電解質膜111の主面の表面積を大きくさせるために、第1凹部21を設ける領域ができるだけ広いほうが良い。しかし、図3で示している通り、第1凹部2が設けられた電解質膜111の機械強度を損なわない様にさせる観点から、第1凹部2は、電解質膜111の側端面およびその向かい側の側端面については形成されていない程度とする事が好ましい。
(2−1)第1凹部21の個数前述した通り、第1凹部21の深さの制限があることにより、電解質膜111の主面の表面積を大きくさせるために、一つの第1凹部21だけよりも、複数の第1凹部21をどのように配置するのかが重要となる。
ここで、図3における第1凹部2は、電解質膜111の主面上に複数の矩形状の第1凹部21の集合体によって構成されているのは前述した通りであるが、さらに、詳細に説明すると、複数の第1凹部21の長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のX軸方向とが平行に、かつそれぞれが等間隔に設けられた5個の第1凹部21の集合体と、複数の第1凹部21の長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のY軸方向とが平行に、かつそれぞれが等間隔に設けられた6個の第1凹部21の集合体とが、電解質膜111の主面に設けられている。
また、第1凹部21の個数は、特に限定されないが、電解質膜111の主面の表面積を大きくさせる観点から、それぞれの第1凹部21の長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のX軸方向もしくはY軸方向とがそれぞれ平行となるように2個以上設けられている事が好ましいが、1個だけ設けられていてもよい。
(2−2)第1凹部21が設けられている領域
また、電解質膜111の主面には第1凹部形成領域と第1凹部非形成領域との2つの領域から構成され、複数の第1凹部21からなる第1凹部2は、第1凹部形成領域に設けられている。
ここで、第1凹部形成領域とは、電解質膜111の主面上に形成された第1凹部2のX軸上、Y軸上に投影した線分により囲まれた、前記第1凹部2を含む矩形状の領域を言う。
第1凹部非形成領域とは、第1凹部2が設けられた電解質膜111の機械強度を損なわない様にさせるために、電解質膜111の主面上において第1凹部形成領域よりも外側に設けられた領域を言う。
(2−3)複数個の場合における隣り合った2個の第1凹部21間の距離
電解質膜111の主面の表面積を大きくさせるための、前記の閉じられた一部の領域が矩形状の第1凹部21について、以下に説明する。
複数個の場合における隣り合った2個の第1凹部21間の距離も電解質膜111の主面の表面積を大きくさせる観点から重要な要素であり、どの程度の距離にするのかが重要となる。ここで図3において、複数の第1凹部21は、それぞれの長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のX軸方向およびY軸方向とがそれぞれ平行となるように、かつそれぞれが等間隔となるように設けられている。
ここで、以下(1)〜(3)のパラメータについて任意の値を決めれば、第1凹部21の具体的な形状が決まる。まずは、複数の第1凹部21の長辺の長さ方向と、電解質膜111の主面のX軸方向、もしくはY軸方向のいずれかの方向とがそれぞれ平行となる複数の矩形状の第1凹部21がそれぞれ離間する様、電解質膜111の主面に設けられている場合を説明する。
(1)第1凹部21の深さD1
(2)第1凹部21の前記の矩形状のいずれか一方の辺の一端から他端に向かう方向に対して垂直方向に平行な断面形状
(3)第1凹部形成領域に設けられている第1凹部2の個数
また、電解質膜111の主面の表面積を大きくさせるために、たとえば、図3に示すように隣り合った2つの第1凹部21の長辺間に相当する距離W3の値を0とすべきであるが、アノード触媒層112を第1凹部21へ均一に埋めるのは困難であり、ここでは、隣り合った2つの第1凹部21の中心位置間に相当する距離W1、W2が10μm以上となるように設けられている事が好ましい。
(2−4)複数個の場合における隣り合った2個の第1凹部21間の位置関係
また、図3で示すように、複数の矩形状の第1凹部21は、複数の第1凹部21の長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のX軸方向もしくはY軸方向のいずれかの方向とがそれぞれ平行となるように、かつそれぞれが等間隔となるように設けられているのが理想であるが、複数の第1凹部21のうち一部が不等間隔となるように設けられていてもよく、複数の第1凹部21のうち一部の第1凹部21における長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のX軸方向もしくはY軸方向とが非平行となるように設けられていてもよい。
(3−1)2つの方向に設けられた複数の第1凹部21の集合体2個の説明
次は、複数の第1凹部21の長辺の長さ方向と、電解質膜111の主面のX軸方向とがそれぞれ平行となる複数の矩形状の第1凹部21がそれぞれ離間する様に、かつ複数の第1凹部21の長辺の長さ方向と、電解質膜111の主面のY軸方向とがそれぞれ平行となる複数の矩形状の第1凹部21が、それぞれ離間する様に、複数の第1凹部21の集合体が電解質膜111の主面に設けられている場合を説明する。図3で説明すると、第1凹部2は、複数の第1凹部21の長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のX軸方向とがそれぞれ平行に設けられた複数の第1凹部21の集合体と、複数の第1凹部21の長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のY軸方向とがそれぞれ平行に設けられた複数の第1凹部21の集合体と、を有している。
(3−2)2つの方向に設けられた第1凹部21の集合体2個が互いになすメッシュのサイズの関係
また、図3においては、複数のメッシュのサイズがそれぞれ同一として設けられているが、一部のメッシュのサイズが他のメッシュのサイズと異なるサイズとして設けられていてもよい。
ここで、メッシュとは、電解質膜111の主面のX軸方向に対してそれぞれ平行に設けられた任意の2個の第1凹部21と、電解質膜111の主面のY軸方向に対してそれぞれ平行に設けられた任意の2個の第1凹部21とで囲まれた電解質膜111の主面上の領域を言う。
(3−3)2つの方向に設けられた複数の第1凹部21の集合体2個における前記2つの方向の関係
また、上述したように、図3において第1凹部2は、複数の第1凹部21の集合体は、それぞれの第1凹部21の長辺の長さ方向と電解質膜111の主面のX軸方向およびY軸方向がそれぞれ平行となるように設けられているが、これらの方向に限定されない。
たとえば、複数の第1凹部21は、電解質膜111の主面のX軸方向の代わりに電解質膜111の主面のX軸方向に対してθ[°]の角度だけ傾いた方向に平行に設けられていてもよく、電解質膜111の主面のY軸方向の代わりに電解質膜111の主面のY軸方向に対してθ[°]の角度だけ傾いた方向に平行に設けられていてもよく、電解質膜111の主面のX軸方向およびY軸方向の代わりに電解質膜111の主面のX軸方向に対してθ[°]の角度だけ傾いた方向およびその方向に直交した方向の両方向に平行に設けられていてもよい。
(3−4)まとめ
以上により、電解質膜111の主面の直上から見た前記の閉じられた一部の領域の形状が矩形状となる場合において、電解質膜111の主面の表面積を大きくさせるためには、以下(1)〜(7)のパラメータに着目して第1凹部21を設ければよい。
(1)第1凹部21の深さ
(2)第1凹部21の前記の矩形状のいずれか一方の辺の一端から他端に向かう方向に対して垂直方向に沿って示す断面形状
(3)第1凹部21における長辺の長さ
(4)第1凹部形成領域に設けられている第1凹部21の個数
(5)複数個の場合における隣り合った任意の2個の第1凹部21間の距離
(6)電解質膜111の主面に対して複数の第1凹部21が設けられている方向の個数
(7)電解質膜111の主面に対して複数の第1凹部21が2つの方向に設けられている場合において形成される複数のメッシュのサイズ
次に、図2を用いて、電解質膜111の第2凹部4について詳細に説明する。ここで、図2の膜電極接合体11は、図3の直線D−Dに沿って示した断面図に相当する。
図2に示すように、第2凹部4が、第1凹部2と対向する様に、第1凹部2が設けられている側とは反対側の電解質膜111の主面(図2の左方向または右方向)に沿って6個設けられている。
なお、第2凹部4とは、第1凹部2が設けられている側とは反対側の電解質膜111の主面上の一部の領域より図2の上方向にえぐられた空間を言う。また、第2凹部4は、第1凹部2と同様に複数の矩形状の第2凹部41によって構成されている。
ここで、第2凹部4および第2凹部41の構造、形状、個数、電解質膜111の主面における形成位置については、それぞれ第1凹部2および第1凹部21と同様の構造、形状、個数、電解質膜111の主面における形成位置で設けられている事が好ましいが、これに限定されない。
また、第1凹部21と第2凹部41との位置関係については、特に限定されないが、後述するカソード触媒層113内でプロトンをより拡散しやすくさせる観点から、第1凹部2と第2凹部4とが互いに対向している様に設けられている事が好ましいが、一部の第1凹部21と第2凹部41のみが互いに対向していてもよく、もしくは第1凹部2と第2凹部4とが互いに対向していなくてもよい。
アノード触媒層112は、以下の2つの役割を果たすために、第1凹部2の内面と接する様に、電解質膜111の一方の主面上に積層されている。
1つ目の役割は、膜電極接合体11の外部から供給されたメタノール水溶液に含まれているメタノールと水との間で酸化反応を起こして、プロトンと電子を生成する事である。
2つ目の役割は、プロトンを電解質膜111に供給し、電子を後述のカソード触媒層113に供給する事である。
ここで、アノード触媒層112は、例えば電極触媒と、当該電極触媒を担持する導電性炭素粒子と、高分子電解質とで構成されている。なお、電極触媒、導電性炭素粒子および高分子電解質の各材料における具体的な材料については後述する。また、アノード触媒層112の厚さは特に限定されないが、通常5〜50μmであり、上記(1)の反応をより促進させる観点から、後述するカソード触媒層113よりも厚く設けられている事が好ましい。
ここで、アノード触媒層112における電極触媒としては特に限定されないが、白金または白金合金を用いるのが好ましい。白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズからなる群より選択される1種以上の金属と、白金との合金であるのが好ましく、プロトンの生成反応中に発生する一酸化炭素による白金触媒の被毒を防ぐ観点から、耐一酸化炭素被毒性を有するルテニウムなどを含むことが特に好ましい。また、上記白金合金には、白金と上記金属との金属間化合物が含有されていてもよい。さらに、白金からなる電極触媒と白金合金からなる電極触媒を混合して得られる電極触媒混合物を用いてもよい。
また、アノード触媒層112における導電性炭素粒子としては、導電性を有する細孔の発達したカーボン材料を用いるのが好ましく、例えばカーボンブラック、活性炭、カーボンファイバーおよびカーボンチューブなどを使用することができる。カーボンブラックとしては、例えばチャネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックおよびアセチレンブラックなどが挙げられる。また、活性炭は、種々の炭素原子を含む材料を炭化処理および賦活処理することによって得ることができる。
また、アノード触媒層112における高分子電解質としては、電解質膜111を構成するものと同じ高分子電解質を用いることができる。例えば、上述した米国DuPont社製のNafion(商品名,登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(商品名,登録商標)、旭硝子(株)社製のFlemion(商品名,登録商標)などを使用することができる。なお、上記の高分子電解質は、触媒担持粒子を被覆し、3次元に水素イオン伝導経路を確保するために、アノード触媒層112を構成する触媒担持粒子の質量に比例した量で、アノード触媒層112に含まれていることが好ましい。
次に、図2および図4を用いて、電解質膜111およびアノード触媒層112の関係について詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態における電解質膜およびアノード触媒層を示す斜視図である。
図4に示すように、アノード触媒層112には、後述するアノードガス拡散層114側の主面に第1溝部3が設けられている。
第1溝部3とは、アノード触媒層112の主面上の一部の領域より−Z軸方向にえぐられた空間を言う。また、図4における格子状の第1溝部3は、複数の矩形状の第1溝部31によって構成されている。
また、第1溝部31は、アノード触媒層112の主面の直上から見て矩形状となっており、前記のえぐられた空間は、第1溝部31の前記の一部の領域(矩形状)のいずれかの一方の辺に対し垂直方向に沿って示す断面形状が前記の一方の辺の平行方向においても同一の形状で連続して設けられている。
また、図4で示すように、アノード触媒層112の主面のX軸方向の一端および他端においては、アノード触媒層112の主面のX軸方向と平行に開口している。このため、図4において、前記の一部の領域は、アノード触媒層112の主面のX軸方向の一端および他端においては、開口部を有している。
なお、アノード触媒層112の主面の直上から見た前記の一部の領域の形状は、特に限定されず、矩形状が好ましいが、矩形状以外の形状であってもよい。
なお、第1溝部31の前記のえぐられた空間は、第1溝部31の前記の一部の領域(矩形状)の一方の辺が線形状であり、かつ、該一方の辺に対し垂直方向に沿って示す断面形状が前記の一方の辺の平行方向においても同一の形状の連続により構成される空間である事が好ましい。
なお、第1溝部31の前記のえぐられた空間は、第1溝部31の前記の一部の領域(矩形状)の一方の辺が非線形状であり、かつ、該一方の辺に対し垂直方向に沿って示す断面形状が前記の一方の辺の平行方向においても同一の形状の連続により構成される空間である事が好ましい。
さらに、第1溝部31の前記のえぐられた空間は、一端から他端に向かう方向において第1溝部31の一部における深さが第1溝部31の一端若しくは他端における深さと異なる形状で設けられている空間であってもよい。例えば、第1溝部31の前記の矩形状のいずれか一方の辺の一端から他端に向かうにつれ、断面形状が深さ方向に向かって漸次的に変化する形状で設けられている空間であってもよい。また、第1溝部31は、少なくとも第1溝部31の先端が、膜電極接合体11の積層方向に投影したときに、アノード触媒層112の主面における第1凹部21の投影面内に収まるように、アノード触媒層112の主面に設けられている。
なお、この場合、第1溝部31の深さD3は、少なくとも電解質膜111の表面に達しない深さ、すなわち貫通しない程度の深さであれば特に限定されないが、少なくとも1つの第1溝部31の先端が第1凹部21の内部に存在する程度の深さで設けられていることが好ましい。
さらにこの場合、第1溝部31が複数個設けられている際に、第1溝部31の先端が第1凹部21の内部に存在する程度の深さで設けられている第1溝部31の数が、第1溝部31の先端が第1凹部21の外部に存在する程度の深さで設けられている第1溝部31の数よりも多いことが特に好ましい。
また、図4で示すように、第1溝部31の前記の矩形状のいずれか一方の辺の一端から他端に向かう方向に対し垂直方向に沿って示す断面形状は、前記の一方の辺の平行方向のいずれにおいても、V字形状を示しているが、矩形状、U字形状もしくは円弧状等の断面形状であってもよい。
また、図2に示すように、第1溝部31の開口幅W4は第1凹部21の開口幅W5よりも小さければよい。
また、図4で示すように、前記の一部の領域が矩形状の第1溝部31は、長辺、短辺の2種類の辺を有している。ここで、前記の長辺の長さは、メタノール水溶液をより広範囲に拡散させるために、第1溝部31を設ける領域ができるだけ広いほうがよく、第1凹部21における長辺の長さと同一となる程度とする事が好ましい。しかし、前記の長辺の長さと第1凹部21における長辺の長さとは同一でなくてもよく、長辺の長さが第1凹部21における長辺の長さよりも短くてもよい。
ここで、図4における第1溝部3は、アノード触媒層112の主面上に複数の矩形状の第1溝部31の集合体によって構成されているのは前述した通りであるが、さらに、詳細に説明すると、複数の第1溝部31の長辺の長さ方向とアノード触媒層112の主面のX軸方向とが平行に、かつそれぞれが等間隔に設けられた5個の第1溝部31の集合体と、複数の第1溝部31の長辺の長さ方向とアノード触媒層112の主面のY軸方向とが平行に、かつそれぞれが等間隔に設けられた6個の第1溝部31の集合体とが、アノード触媒層112の主面に設けられている。
また、第1溝部31の個数は、特に限定されず、メタノール水溶液をより広範囲に拡散させる観点から、。それぞれの第1溝部31の長辺の長さ方向とアノード触媒層112の主面のX軸方向もしくはY軸方向とがそれぞれ平行となるように2個以上設けられている事が好ましく、第1凹部21の個数と同じ数だけ設けられている事が特に好ましいが、1個だけ設けられていてもよい。
また、図3で示すように、複数の矩形状の第1溝部31は、複数の第1溝部31の長辺の長さ方向とアノード触媒層112の主面のX軸方向もしくはY軸方向のいずれかの方向とがそれぞれ平行となるように、かつそれぞれが等間隔となるように設けられているのが理想であるが、複数の第1溝部31のうち一部が不等間隔となるように設けられていてもよく、複数の第1溝部31のうち一部の第1溝部31における長辺の長さ方向とアノード触媒層112の主面のX軸方向もしくはY軸方向とが非平行となるように設けられていてもよい。また、複数の第1溝部31と第1凹部21との位置関係としては、例えば、複数の第1溝部31がそれぞれ一つずつ複数の第1凹部21の投影面内に収まっている場合や、複数の第1溝部31が比較的幅広の1つの第1凹部21の投影面内に全て収まっている場合等が挙げられるが、第1凹部21の深さD1を一定に保ちつつ、アノード触媒層112と電解質膜111との接触面積を増加させる場合、前者の方がより接触面積を増加させる事が可能である為、前者の方が好ましい。
カソード触媒層113は、膜電極接合体11の外部から供給された酸素と、電解質膜111から供給されたプロトンと、アノード触媒層112から供給された電子との間で還元反応を起こすために、第2凹部4の内面と接して、電解質膜111において、アノード触媒層112が設けられている面とは反対の主面上に形成されている。 ここで、カソード触媒層113を構成している材料は、後述する相違点を除き、基本的にはアノード触媒層112と同じ材料で構成されている。また、カソード触媒層113の厚さは特に限定されないが、通常5〜50μmである。
ここで、相違点としては、以下の点が挙げられる。すなわち、カソード触媒層113に含まれる高分子電解質の質量として、カソード触媒層113の質量に対し15%〜50%であることが好ましい。ここで、高分子電解質の質量として、カソード触媒層113の質量に対し15%以上であると、十分な水素イオン伝導性が確保でき、50%以下であると、フラッディングの回避が可能であり、より高い電池出力を実現することができる。
また、図2に示すように、カソード触媒層113には、後述するカソードガス拡散層115側の主面に第2溝部5が、電解質膜111の主面(図2の左方向または右方向)に沿って等間隔かつ平行に6個設けられている。
なお、第2溝部5とは、カソード触媒層113の主面上の一部の領域より図2の上方向にえぐられた空間を言う。また、第2溝部5は、第1溝部3と同様に複数の矩形状の第2溝部51によって構成されている。
ここで、第2溝部5および第2溝部51の構造、形状、個数、電解質膜111の主面における形成位置については、それぞれ第2溝部5および第2溝部51と同様の構造、形状、個数、電解質膜111の主面における形成位置で設けられている事が好ましいが、これに限定されない。たとえば、第2溝部51の深さD4は、少なくとも電解質膜111の表面に達しない深さ、すなわち貫通しない程度の深さであれば特に限定されないが、少なくとも1つの第2溝部51の先端が第2凹部4の内部に存在する程度の深さで設けられていることが好ましい。
アノードガス拡散層114は、以下の2つの役割を果たすために、アノード触媒層112の主面上に積層されている。
1つ目の役割は、後述するアノード流路16から流入したメタノール水溶液をアノード触媒層112に効率よく導く事である。
2つ目の役割は、アノード触媒層112で生成された電子を後述するアノード集電体12に供給する事である。
ここで、アノードガス拡散層114に用いられる具体的な材料としては、上記の役割を果たすことが可能であれば、特に限定されず、当該分野において公知のアノードガス拡散層を用いることができる。例えば、ガス透過性を持たせるために、発達したストラクチャー構造を有するカーボン微粉末、造孔材、カーボンペーパーまたはカーボンクロスなどを用いて作製された、導電性多孔質基材を用いることができる。また、排水性を向上させるために、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂を代表とする撥水性材料(高分子)を上記基材の内部に分散させた後に撥水処理を施した材料を用いてもよい。また、電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維またはカーボン微粉末などの電子伝導性材料を用いてもよい。また、アノードガス拡散層114の厚さは特に限定されないが、通常100〜500μmである。
カソードガス拡散層115は、以下の2つの役割を果たすために、カソード触媒層113の主面上に積層されている。
1つ目の役割は、後述するカソード流路17から流入した酸素をカソード触媒層113に効率よく導く事である。
2つ目の役割は、アノード集電体12から外部電源(図示せず)を通過した後、後述するカソード集電体13に供給された電子をカソード触媒層113に供給する事である。
ここで、カソードガス拡散層115に用いられる具体的な材料としては、上記の役割を果たすことが可能であれば、特に限定されず、当該分野において公知のカソードガス拡散層を用いることができ、例えば、アノードガス拡散層114と同じ材料を用いる事ができる。また、カソードガス拡散層115の厚さは特に限定されないが、通常100〜500μmである。
また、電解質膜111と、その表面及び裏面にそれぞれ積層されるアノード触媒層112及びカソード触媒層113と、さらにその表面及び裏面にそれぞれ積層されるアノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115は、矩形、円形、楕円形、多角形など燃料電池1の外形形状に応じた適宜の形状とされる。また、アノード触媒層112及びカソード触媒層113の外縁は、特に限定されないが、一般的には電解質膜111の外縁より小さい外縁を有し、アノードガス拡散層114及びカソードガス拡散層115の外縁は、それぞれアノード触媒層112及びカソード触媒層113の各外縁形状とほぼ同じ外縁形状とされる。
(燃料電池の構造)
次に、図1に示すように、燃料電池1の各構造の説明として、アノード集電体12と、カソード集電体13と、アノードセパレータ14と、カソードセパレータ15と、ガスケット18、ガスケット19および補強層116A、補強層116Bの説明をする。
アノード集電体12は、アノード触媒層112および後述するアノードセパレータ14から供給される電子を外部電源(図示せず)に供給する役割を果たすために、アノードセパレータ14の外側の表面に設けられている。ここで、アノード集電体12に用いられる材料としては、例えば、厚さ1〜3mmを有する銅板などの金属板に厚さ3〜4μmを有する金等の金属がコーティングされたものを用いることができる。
また、アノード集電体12は、配線(図示せず)を介して、外部電源の陰極(マイナス)に接続されている。
カソード集電体13は、外部電源から供給される電子を後述するカソードセパレータ15およびカソード触媒層113に供給する役割を果たすために、カソードセパレータ15の外側の表面に設けられている。ここで、カソード集電体13に用いられる材料としては、例えば、アノード集電体12と同様のものを用いることができる。
また、カソード集電体13は、配線(図示せず)を介して、外部電源の陽極(プラス)に接続されている。
アノードセパレータ14は、以下の4つの役割を果たすために、アノードガス拡散層114の主面上に積層されている。
1つ目の役割は、膜電極接合体11を機械的に固定する事である。
2つ目の役割は、アノードガス拡散層114と接触する面に形成されたアノード流路16から、アノード触媒層112にメタノール溶液を供給する事である。
3つ目の役割は、アノード触媒層112から生成され、アノードガス拡散層114から供給された電子を、アノード集電体12に供給する事である。
4つ目の役割は、アノード触媒層112において未反応のメタノール水溶液およびアノード触媒層112で生成された二酸化炭素等の物質を、外部に運び去る事である。
ここで、アノードセパレータ14に用いられる材料としては、例えば、カーボンや、カーボンと合成樹脂との合成材、あるいは金属などの導電性部材が挙げられる。
また、アノードセパレータ14の外形形状は、膜電極接合体11の外形形状に応じて適宜に選択される。
カソードセパレータ15は、以下の4つの役割を果たすために、カソードガス拡散層115の主面上に積層されている。
1つ目の役割は、膜電極接合体11を機械的に固定する事である。
2つ目の役割は、カソードガス拡散層115と接触する面に形成されたカソード流路17から、カソード触媒層113に酸素を供給する事である。
3つ目の役割は、外部電源を通じてカソード集電体13から供給された電子を、カソード触媒層113に供給する事である。
4つ目の役割は、カソード触媒層113で生成された水等の物質を、外部に運び去る事である。
ここで、カソードセパレータ15に用いられる材料としては、例えば、アノードセパレータ14と同じものが挙げられる。
また、カソードセパレータ15の外形形状は、膜電極接合体11の外形形状に応じて適宜に選択される。
ここで、アノード流路16およびカソード流路17は、平面視の図示は省略するが、アノードセパレータ14の表面に溝を設けることによって形成されている。特に制限されるものではないが、アノード流路16およびカソード流路17は、例えば複数の直線状溝部と、隣接する直線状溝部を上流から下流へと連結する複数のターン状溝部とで構成されたサーペンタイン形状を有する。
ガスケット18、ガスケット19は、メタノール水溶液および酸素が外部へリークする事を防止する役割や両者が混合する事を防止する役割を果たすために、アノードガス拡散層114およびカソードガス拡散層115の周囲にそれぞれ配置される。また、ガスケット18、ガスケット19に用いられる材料としては、ゴムなどの当該分野で公知のものが挙げられる。また、ガスケット18、ガスケット19の外形は、アノードセパレータ14及びカソードセパレータ15の外形形状に応じた形状とされ、枠状(額縁状)又は環状等が挙げられる。
補強層116A、補強層116Bは、電解質膜111の機械的強度を高めて膨張・収縮を抑制する役割を果たすために、電解質膜111の上面及び下面の外縁部を挟みこむ様にそれぞれに配置される。また、補強層116A、補強層116Bに用いられる材料としては、所望の剛性を有する材料であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などからなるフィルムが挙げられる。また、補強層116A、補強層116Bの外形は、額縁状等が挙げられる。
なお、図1の燃料電池1は単電池の構成を示すが、要求起電力に応じてこの単電池を図1に対して上方向に複数積層した燃料電池を構成してもよい。
(燃料電池の動作原理)
以上の構成により、燃料電池1は、以下の原理により、燃料電池1からの電力を電力負荷に供給する事ができる。
まず、燃料タンク(図示せず)から供給されたメタノール水溶液は、アノードセパレータ14のアノード流路16を通過し、アノードガス拡散層114に浸透した後、アノード触媒層112に到達する。
次に、メタノール水溶液がアノード触媒層112に到達して初めて下記の式(1)の通り、メタノール水溶液に含まれているメタノールと水との間で酸化反応を起こして、メタノール水溶液からプロトンと電子と二酸化炭素が生成される。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e−・・・(1)
次に、生成されたプロトンは、アノード触媒層112から電解質膜111の表面まで移動した後、電解質膜111の内部を透過し、やがてカソード触媒層113に供給される。
また、生成された電子は、以下「1」〜「9」の順で、カソード触媒層113に供給される。
「1」アノード触媒層112、「2」アノードガス拡散層114、「3」アノードセパレータ14、「4」アノード集電体12、「5」外部電源(図示せず)、「6」カソード集電体13、「7」カソードセパレータ15、「8」カソードガス拡散層115、「9」カソード触媒層113。
次に、酸素タンク(図示せず)もしくはエアーコンプレッサーやブロワ―等のポンプ(図示せず)から供給された酸素は、カソードセパレータ15のカソード流路17を通過し、カソードガス拡散層115に浸透した後、カソード触媒層113に到達する。
また、カソード触媒層113に供給されたプロトンおよび電子は、酸素との間で還元反応を起こして水が生成される。
3/2O2+6H++6e−→3H2O・・・(2)
以上の酸化反応および還元反応により、燃料電池1に電流が流れ、燃料電池1から外部電源に電気エネルギーを供給することが可能となる。
(膜電極接合体の製造方法)
次に、図5を用いて、以下のステップS101〜S110に基づき、本発明の実施形態における膜電極接合体11の製造方法について説明する。
図5は、本発明の実施形態における膜電極接合体の製造方法を示すフロー図である。
図5に示すように、まず、平面状の電解質膜111の主面上に、電解質膜111の内部から電解質膜111の主面に向かって開口する様に、第1凹部2を形成する(ステップS101)。
ここで、第1凹部2の形成方法は、特に限定されず、例えば、エッチングやレーザーにより形成してもよく、もしくは、金網などの成形部材を電解質膜111の主面上にホットプレスする事によって形成してもよい。なお、成形部材を用いた形成方法の場合、成形部材の形状としては特に限られず、例えば、一本の直線形状や複数の直線が用いられた形状(格子形状等)等としてもよい。
次に、第1凹部2の形状を収縮する事を目的として、電解質膜111内の水分を除去して、電解質膜111を収縮させる(ステップS102)。
これにより、電解質膜111が収縮される際に、第1凹部2も併せて収縮される。
ここで、電解質膜111を収縮させる方法としては、第1凹部2の形状が所望の形状まで収縮される程度に電解質膜111から水分を除去する事ができれば、特に限定はされず、例えば、電解質膜111を70〜100℃に加熱する事や電解質膜111を真空引きする事等が挙げられる。
次に、収縮された状態の電解質膜111において、電解質膜111の主面上および第1凹部2の内部にアノード触媒層112を形成する(ステップS103)。
ここで、アノード触媒層112は、例えば、アノード触媒層112を構成するペーストを電解質膜111の主面上およびに第1凹部2の内部にスプレー印刷やスクリーン印刷等の印刷法で印刷する事によって形成することができる。
次に、第1凹部2を収縮前の形状に戻す事を目的として、収縮された状態の電解質膜111に水分を吸収させて、電解質膜111を元の形状に戻るまで膨張させる(ステップS104)。
これにより、電解質膜111が膨張される際に、第1凹部2も併せて膨張される。その際、第1凹部2が収縮前の形状に戻る様、第1凹部2が膨張するに伴って、第1凹部2の直上におけるアノード触媒層112においては、第1凹部2が収縮前の元の形状まで戻ろうとする方向に引っ張り応力が掛かる。これによって、第1凹部2の直上におけるアノード触媒層112の主面から、アノード触媒層112の内部にわたって亀裂が伝播し、非貫通の第1溝部3が形成される。
ここで、電解質膜111を膨張させる方法としては、第1凹部2が収縮前の形状に戻るまで電解質膜111に水分を吸収する事ができれば、特に限定はされず、例えば、電解質膜111を20〜50℃に温度管理されたデシケータ等の乾燥状態を保持した容器内にて保管する事や、電解質膜111を0〜10℃に冷却する事等が挙げられる。
次に、アノード触媒層112の主面上に、アノードガス拡散層114を形成する(ステップS105)。
ここで、アノードガス拡散層114は、例えば、アノードガス拡散層114を構成するペーストをアノード触媒層112の主面上にスプレー印刷やスクリーン印刷等の印刷法で印刷する事によって形成することができる。また、カーボン繊維などの電子伝導性材料をアノード触媒層112の主面上に熱圧着によって接続する事によって、アノードガス拡散層114を形成してもよい。
次に、第1凹部2が形成された側とは反対側における電解質膜111の主面上に、電解質膜111の内部から電解質膜111の主面に向かって開口する様に、第2凹部4を形成する(ステップS106)。
ここで、第2凹部4の形成方法としては、上記ステップS101と同一の方法を用いる事ができる。
次に、第2凹部4の形状を収縮する事を目的として、電解質膜111内の水分を除去して、電解質膜111を収縮させる(ステップS107)。
ここで、電解質膜111の収縮方法としては、上記ステップS102と同一の方法を用いる事ができる。
次に、収縮された状態の電解質膜111において、第1凹部2が形成された側とは反対側における電解質膜111の主面上および第2凹部4の内部にカソード触媒層113を形成する(ステップS108)。
ここで、カソード触媒層113の形成方法としては、上記ステップS103と同一の方法を用いる事ができる。
次に、第2凹部4を収縮前の形状に戻す事を目的として、収縮された状態の電解質膜111に水分を吸収させて、電解質膜111を元の形状に戻るまで膨張させる(ステップS109)。
これにより、上記ステップ104で形成された第1溝部3と同じメカニズムによって、第2凹部4の直上におけるカソード触媒層113の主面から、カソード触媒層113の内部にわたって亀裂が伝播し、非貫通の第2溝部5が形成される。
ここで、電解質膜111の膨張方法としては、上記ステップS104と同一の方法を用いる事ができる。
次に、カソード触媒層113の主面上に、カソードガス拡散層115を形成する(ステップS110)。
ここで、カソードガス拡散層115の形成方法としては、上記ステップS105と同一の形成方法を用いる事ができる。
以上のプロセスにより、膜電極接合体11が完成する。
なお、上記の膜電極接合体11については、アノード極、カソード極の両方について作製したが、アノード極のみ作製する場合は、上記ステップS101〜S105のみ行えばよい。
また、上記の膜電極接合体11については、アノード極とカソード極を別々に作製したが、作製プロセスを減らす事ができる観点から、他の製造方法として、アノード極とカソード極を同時に作製する方法を採用する事も可能である。
ここで、図6を用いて、以下のステップS201〜S205に基づき、本発明の実施形態における膜電極接合体111の他の製造方法として、アノード極とカソード極を同時に作製する場合の膜電極接合体111の製造方法について説明する。
図6は、本発明の実施形態における膜電極接合体の他の製造方法を示すフロー図である。
図6に示すように、まず、平面状の電解質膜111の主面上に、電解質膜111の内部から電解質膜111の主面に向かって開口する様に第1凹部2を形成する(ステップS201)。
次に、第1凹部2が形成された側とは反対側における電解質膜111の主面上に、電解質膜111の内部から電解質膜111の主面に向かって開口する様に第2凹部4を形成する(ステップS202)。
ここで、第1凹部2および第2凹部4の形成方法としては、上記ステップS101と同一の方法を用いる事ができる。
次に、第1凹部2および第2凹部4の形状を収縮する事を目的として、電解質膜111内の水分を除去して、電解質膜111を収縮させる(ステップS203)。
ここで、電解質膜111の収縮方法としては、上記ステップS102と同一の方法を用いる事ができる。
次に、収縮された状態の電解質膜111において、電解質膜111の主面上および第1凹部2の内部にアノード触媒層112を形成する(ステップS204)。
次に、第1凹部2が形成された側とは反対側における電解質膜111の主面上および第2凹部4の内部にカソード触媒層113を形成する(ステップS205)。
ここで、アノード触媒層112およびカソード触媒層113の形成方法としては、上記ステップS103と同一の方法を用いる事ができる。
次に、第1凹部2および第2凹部4を収縮前の形状に戻す事を目的として、収縮された状態の電解質膜111に水分を吸収させて、電解質膜111を元の形状に戻るまで膨張させる(ステップS206)。
これにより、上記Sステップ104で形成された第1溝部3と同じメカニズムによって、第1凹部2の直上におけるアノード触媒層112の主面から、アノード触媒層112の内部にわたって亀裂が伝播し、非貫通の第1溝部3が形成される。
また、同時に、上記ステップS109で形成された第2溝部5と同じメカニズムによって、第2凹部4の直上におけるカソード触媒層113の主面から、カソード触媒層113の内部にわたって亀裂が伝播し、非貫通の第2溝部5が形成される。
ここで、電解質膜111の膨張方法としては、上記ステップS104と同一の方法を用いる事ができる。
次に、アノード触媒層112の主面上に、アノードガス拡散層114を形成する(ステップS207)。
次に、カソード触媒層113の主面上に、カソードガス拡散層115を形成する(ステップS208)。
ここで、アノードガス拡散層114およびカソードガス拡散層115の形成方法としては、上記ステップS105と同一の形成方法を用いる事ができる。
以上のプロセスにより、膜電極接合体11が完成する。
また、膜電極接合体11は上記の製造方法に限らず、第1凹部2(第2凹部4)の内部において、第1溝部3(第2溝部5)の先端から亀裂が伝播し、第1凹部2(第2凹部4)の底部まで到達して貫通孔が形成されるのをより抑制できる様にする事を目的として、以下の製造方法で作製してもよい。
すなわち、上記の膜電極接合体11について、アノード極とカソード極を別々に作製する場合については、上記ステップS201を経て、上記ステップS101の後に、第1凹部2の形状に追従する様、先行アノード触媒層を第1凹部2の内部に形成する。その後、上記ステップS102〜106を経て、上記ステップS106の後に、第2凹部4の形状に追従する様、先行カソード触媒層を第2凹部4の内部に形成する。その後、上記ステップS107〜110を経る事によって、膜電極接合体11が完成する。
また、上記の膜電極接合体11について、アノード極とカソード極を同時に作製する場合については、以下の2通りの製造方法が挙げられる。
1つ目の製造方法としては、上記ステップS201を経て、上記ステップS201の後に、第1凹部2の形状に追従する様、先行アノード触媒層を第1凹部2の内部に形成する。その後、上記ステップS202を経て、上記ステップS202の後に、第2凹部4の形状に追従する様、先行カソード触媒層を第2凹部4の内部に形成する。その後、上記ステップS203〜208を経る事によって、膜電極接合体11が完成する。
2つ目の製造方法としては、上記ステップS201〜S202を経て、上記ステップS202の後に、第1凹部2の形状に追従する様、先行アノード触媒層を第1凹部2の内部に形成する。その後、第2凹部4の形状に追従する様、先行カソード触媒層を第2凹部4の内部に形成する。その後、上記ステップS203〜208を経る事によって、膜電極接合体11が完成する。
ここで、先行アノード触媒層および先行カソード触媒層は、特に限定はされないが、プロトン伝導性を向上させる観点から、先行アノード触媒層はアノード触媒層112と同じ材料を、先行カソード触媒層はカソード触媒層113と同じ材料を用いる事が好ましい。
また、第1溝部3および第2溝部5は、上記の形成方法に限定されず、例えば、従来の様に、アノード触媒層112の表面を針状工具で引っ掻くことで亀裂を生じさせる事によって形成してもよい。
また、本発明の実施形態における「第1凹部2」および「第2凹部4」が本発明における「凹部」の一例に相当し、本発明の実施形態における「アノード触媒層112」および「カソード触媒層113」が本発明における「触媒層」の一例に相当し、本発明の実施形態における「第1溝部3」および「第2溝部5」が本発明における「溝部」の一例に相当し、本発明の実施形態における「先行アノード触媒層」および「先行カソード触媒層」が本発明における「第1触媒層」の一例に相当し、本発明の実施形態における「アノード触媒層112」および「カソード触媒層113」が本発明における「第2触媒層」の一例に相当する。
(燃料電池の製造方法)
次に、本発明の実施形態における燃料電池1の製造方法について説明する。
まず、図1に示すように、膜電極接合体11の上下方向から電解質膜111の外縁部を挟みこむ様に、補強層116Aをアノード触媒層112およびアノードガス拡散層114の周囲に、補強層116Bをカソード触媒層113およびカソードガス拡散層115の周囲に配置する。
次に、図1に示すように、アノード触媒層112、カソード触媒層113、アノードガス拡散層114、カソードガス拡散層115および補強層116A、補強層116Bが設けられていない膜電極接合体11の箇所において、膜電極接合体11の上下方向から膜電極接合体11の両主面を挟みこむ様に、ガスケット18、ガスケット19を設ける。その際、ガスケット18については、アノード触媒層112およびアノードガス拡散層114の側面ならびに補強層116Aの主面と接触する様に配置し、ガスケット19については、カソード触媒層113およびカソードガス拡散層115の側面ならびに補強層116Bの主面と接触する様に配置する。
次に、アノード触媒層112の主面上にアノードセパレータ14を設け、カソード触媒層113の主面上にカソードセパレータ15を設ける。
次に、アノードセパレータ14の主面上にアノード集電体12を設け、カソードセパレータ15の主面上にカソード集電体13を設ける。
次に、外部電源(図示せず)の陰極(マイナス)に接続されている配線(図示せず)とアノード集電体12とを接続する。
また、外部電源(図示せず)の陽極(プラス)に接続されている配線(図示せず)とカソード集電体13とを接続する。
以上のプロセスにより、燃料電池1が完成する。
(作用効果)
次に、本発明の実施形態における膜電極接合体11の作用効果について、本発明の実施形態における膜電極接合体11の構造(図2で説明)と、従来における膜電極接合体300の構造(図7で説明)とを比較して説明する。
図7は、従来における膜電極接合体300の断面図である。
図7に示すように、従来における膜電極接合体300は、本発明の実施形態における膜電極接合体11と比べ、アノード極において、以下の通り、2つの相違点があった。
まず、1つ目の相違点として、従来における膜電極接合体300においては、電解質膜301とアノード触媒層302との境界が平坦となる様、アノード触媒層302が電解質膜301の主面上に形成されていた。
しかし、この構造では、高出力化の為には、可能な限り面積の大きい膜電極接合体300を使用する事が必要となり、この場合、面積の小さい膜電極接合体を使用する事が困難となっていた。このため、小型の膜電極接合体を実現する事が困難となる問題があった。
これに対して、図2に示すように、本発明の実施形態における膜電極接合体11によれば、従来の様に電解質膜301とアノード触媒層302との境界が平坦となる様、アノード触媒層302が電解質膜301の主面上に形成されている構造と異なり、電解質膜111の内部から電解質膜111の一方の主面に向かって開口した第1凹部2が電解質膜111に設けられ、アノード触媒層112の一方の主面が第1凹部2の内面と接する様に設けられた構造となっている為、従来よりも、アノード触媒層112と電解質膜111との接触面積が増加する。このため、この接触面積が増加した分だけ、電解質膜111の表面を透過するプロトンの透過表面積が増加し、これに伴い、プロトン輸送量が増加する為、膜電極接合体11の高出力化が可能となる。
さらに、第1凹部2によって、アノード触媒層112と電解質膜111との接触面積が増加する分だけ向上した出力を保ちつつ、比較的面積の小さい膜電極接合体11を使用する事が可能となる。
したがって、高出力を保ちつつ、従来よりも小型の膜電極接合体11が得る事が可能となる。
次に、2つ目の相違点として、従来における膜電極接合体300においては、アノード触媒層302において、アノードガス拡散層303と接する面からアノード触媒層302内部まで到達する非貫通の溝304がアノード触媒層302に形成されていた。
このため、従来における膜電極接合体300については、溝304の先端と電解質膜301の主面との距離が比較的近い為、溝304の先端から亀裂が伝播し、電解質膜301の表面まで到達して貫通孔が形成される場合があった。この場合、この貫通孔にメタノール水溶液が入り込むと、貫通孔内においてはアノード触媒層302が存在しない事から、プロトンの生成反応が起こらないままメタノール水溶液が電解質膜301の主面に到達し、やがて電解質膜301を透過するといった、いわゆるメタノールクロスオーバーと呼ばれる現象が起こる。これにより、アノード触媒層302で生成されるプロトンの量が減少し、これに伴い、プロトン輸送量が低下する為、結果として、膜電極接合体300の出力が低下する問題があった。
これに対して、本発明の実施形態における膜電極接合体11によれば、従来の様に電解質膜301とアノード触媒層302との境界が平坦となる様、アノード触媒層302が電解質膜301の主面上に形成されている構造と異なり、電解質膜111の内部から電解質膜111の一方の主面に向かって開口した第1凹部2が電解質膜111に設けられており、膜電極接合体11の積層方向に投影したときに、少なくとも第1溝部3の先端がアノード触媒層112の主面における第1凹部2の投影面内に収まっている。このため、第1凹部2の深さの分だけ、従来よりも第1溝部3の先端と電解質膜111の主面との距離が遠くなる。これによって、従来よりも第1溝部3の先端から電解質膜111の主面まで亀裂が伝播しにくくなる為、貫通孔が形成されにくくなる。
したがって、従来よりもプロトンの生成可能な触媒領域が増加する為、メタノールクロスオーバーの発生を低減する事が可能となる。
以上により、本発明によれば、高出力を保ちつつ、従来よりも小型化が可能かつメタノールクロスオーバーの発生を低減可能な膜電極接合体11を実現する事が可能となる。
さらに、本発明の実施形態における膜電極接合体11の構造にする事で、従来よりも貫通孔が形成されにくくなるため、アノード触媒層112の機械強度の低下を抑制する事が可能となる。
さらに、本発明の実施形態における膜電極接合体11の構造にする事で、アノードガス拡散層114から供給されたメタノール水溶液がアノード触媒層112の表面だけでなく、第1溝部3にも供給される様になる。このため、第1溝部3に供給されたメタノール水溶液は、第1溝部3の側面からアノード触媒層112の内部に向かってより広範囲に拡散する様になる。これにより、第1溝部3が設けられていない場合や膜電極接合体11の積層方向に投影したときに、第1溝部3の先端がアノード触媒層112の主面における第1凹部2の投影面内に収まっていない場合と比べ、広範囲に拡散されたメタノール水溶液から生成されたプロトンが、電解質膜111の第1凹部2の全域に向かって供給されやすくなる。
したがって、電解質膜111の表面を透過するプロトンの透過表面積が増加し、これに伴い、プロトン輸送量が増加する為、膜電極接合体11の高出力化が可能となる。
また、本発明の実施形態における膜電極接合体11によれば、第1溝部3の先端が第1凹部2の内部に存在する様に、非貫通の第1溝部3が少なくとも1つ設けられている構造を取る事ができる。この場合、第1溝部3の先端と第1凹部2の内部における電解質膜111の主面との距離がより近くなるため、第1溝部3の先端が第1凹部2の外部に存在する場合と比べ、メタノール水溶液から生成されたプロトンが、電解質膜111の第1凹部2の全域に向かって供給されやすくなる。これにより、電解質膜111の表面を透過するプロトンの透過表面積が増加し、これに伴い、プロトン輸送量が増加する為、より一層の膜電極接合体11の高出力化が可能となる。
さらに、第1溝部3は非貫通の溝である為、メタノールクロスオーバーの発生を低減する事が可能となる。
したがって、従来よりもメタノールクロスオーバーの発生を低減しつつ、より一層の膜電極接合体11の高出力化が可能な膜電極接合体11を実現する事が可能となる。
また、本発明の実施形態における膜電極接合体11によれば、第1溝部3を複数個設け、さらに、第1溝部3の先端が第1凹部2の内部に存在して設けられている第1溝部3の数を、第1溝部3の先端が第1凹部2の外部に存在して設けられている第1溝部3の数よりも多くすることができる。
このため、プロトン輸送量がさらに増加する為、より一層の膜電極接合体11の高出力化が可能となる。
したがって、従来よりもメタノールクロスオーバーの発生を低減しつつ、より一層の膜電極接合体11の高出力化が可能な膜電極接合体11を実現する事が可能となる。
また、図7に示すように、従来における膜電極接合体300は、本発明の実施形態における膜電極接合体11と比べ、カソード極において、以下の通り、2つの相違点があった。
まず、1つ目の相違点として、従来における膜電極接合体300においては、電解質膜301とカソード触媒層305との境界が平坦となる様、カソード触媒層305が電解質膜301の主面上に形成されていたが、この構造では、以下の問題を有していた。
すなわち、アノード触媒層302における酸化反応は化学反応が複雑である事から、この酸化反応は、カソード触媒層305における還元反応よりも反応が遅い。このため、アノード触媒層302にてプロトンの生成が可能な量の方が、カソード触媒層305でプロトンを受け取って還元反応を起こす事が可能な量よりも少ない傾向にある。
したがって、アノード触媒層302と電解質膜301との接触面積を増加させて、プロトン輸送量を増加させても、アノード触媒層302で生成されるプロトンの量とカソード触媒層305でプロトンを受け取って還元反応を起こす事が可能な量とが実質同量となれば、それ以上はプロトン輸送量が増加しなくなる為、この状態で仮にアノード触媒層302と電解質膜301との接触面積を増加させても、膜電極接合体300の高出力化に寄与しなくなるという問題があった。
これに対して、本発明の実施形態における膜電極接合体11によれば、従来の様に電解質膜301とカソード触媒層305との境界が平坦となる様、カソード触媒層305が電解質膜301の主面上に形成されている構造と異なり、電解質膜111の内部から電解質膜111の他方の主面に向かって開口した第2凹部4が第1凹部2と対向する様、電解質膜111に少なくとも1つ設けられ、カソード触媒層113の一方の主面が第2凹部4の内面と接する様に設けられた構造となっている為、従来よりも、カソード触媒層113と電解質膜111との接触面積が増加する。
このため、この接触面積が増加した分だけ、カソード触媒層113と接触している側の電解質膜111の表面を透過するプロトンの透過表面積が増加する。これに伴い、カソード触媒層113でプロトンを受け取って還元反応を起こす事が可能な量が増加する為、プロトン輸送量の増加可能な上限値を増加させる事が可能となる。
したがって、この状態で、アノード触媒層112と電解質膜111との接触面積をさらに増加させる事により、膜電極接合体11の高出力化に寄与する事が可能となる。
次に、2つ目の相違点として、従来における膜電極接合体300においては、図7に示すように、従来における膜電極接合体300では、カソード触媒層305においては、カソードガス拡散層306と接する面からカソード触媒層305内部まで到達する溝が形成されていなかった。
これに対して、本発明の実施形態における膜電極接合体11によれば、従来の様にアノード触媒層302で形成されている非貫通の溝304の様な溝がカソード触媒層305に形成されていなかった構造と異なり、カソード触媒層113の他方の主面は、非貫通の第2溝部5が設けられている。このため、カソードガス拡散層115から供給された酸素がカソード触媒層113の表面だけでなく、第2溝部5にも供給される様になる。
このため、第2溝部5に供給された酸素は、第2溝部5の側面からカソード触媒層113の内部に向かってより広範囲に拡散する様になる。これにより、第2溝部5が設けられていない場合や膜電極接合体11の積層方向に投影したときに、第2溝部5の先端がカソード触媒層113の主面における第2凹部4の投影面内に収まっていない場合と比べ、広範囲に拡散された酸素が、電解質膜111の第2凹部4の全域に向かって供給されやすくなる。
したがって、還元反応がより一層起こりやすくなる為、これに伴い、プロトン輸送量が増加するので、膜電極接合体11の高出力化が可能となる。
また、本発明の実施形態における膜電極接合体11の構造によれば、膜電極接合体11の積層方向に投影したときに、少なくとも第2溝部5の先端がカソード触媒層113の主面における第2凹部4の投影面内に収まっている。
このため、第2凹部4の深さの分だけ、第2溝部5の先端と電解質膜111の主面との距離が遠くなる。これによって、第2溝部5の先端から電解質膜111の主面まで亀裂が伝播しにくくなる為、貫通孔が形成されにくくなる。したがって、カソード触媒層113の機械強度の低下を抑制する事が可能となる。
また、本発明の実施形態におけるダイレクトメタノール型燃料電池1によれば、膜電極接合体11を用いている為、主として上記膜電極接合体11に起因した効果が得られる。
また、従来における膜電極接合体300の製造方法においては、第1溝部3は、アノード触媒層302の表面を針状工具で引っ掻く事により、亀裂を生じさせる事によって形成されていた。
これに対して、本発明の実施形態における膜電極接合体11の製造方法によれば、従来の様にアノード触媒層302の表面を針状工具で引っ掻くことで亀裂を生じさせる事によって、第1溝部3を形成していたプロセスと異なり、電解質膜111の主面に、電解質膜111の内部から電解質膜111の主面に向かって開口した第1凹部2を形成する工程と、電解質膜111内の水分を除去し、第1凹部2を収縮させる工程と、電解質膜111の主面上および第1凹部2内にアノード触媒層112を形成する工程と、電解質膜111に水分を吸収させて、第1凹部2を膨張させ、アノード触媒層112の主面に非貫通の第1溝部3を形成する工程と、を含むプロセスを用いている。この為、第1凹部2が収縮前の形状に戻る様、第1凹部2が膨張するに伴い、第1凹部2の直上におけるアノード触媒層112において、第1凹部2が収縮前の形状まで戻ろうとする方向に引っ張り応力が掛かる事によって、第1凹部2の直上におけるアノード触媒層112の主面から、アノード触媒層112の内部にわたって亀裂が伝播し、非貫通の第1溝部3が形成される。
したがって、従来よりも容易かつ精度よく第1凹部2の直上に第1溝部3を作製する事が可能となる。
なお、上記の製造方法については、第1溝部3の製造方法について述べたが、第2溝部5についても上記と同様の作用効果が得られる。
また、本発明の実施形態における膜電極接合体11の製造方法によれば、電解質膜111の主面に、電解質膜111の内部から電解質膜111の主面に向かって開口した第1凹部2を形成する工程と、第1凹部2の形状に追従する様、先行アノード触媒層を少なくとも前記凹部内に形成する工程と、電解質膜111内の水分を除去し、第1凹部2を収縮させる工程と、電解質膜111の主面上および先行アノード触媒層上にアノード触媒層112を形成する工程と、電解質膜111に水分を吸収させて、第1凹部2を膨張させ、アノード触媒層112の主面に非貫通の第1溝部3を形成する工程と、を含むプロセスを用いる事ができる。ここで、本製造方法では、第1凹部2を収縮させる前に、第1凹部2の形状に追従する様、先行アノード触媒層を少なくとも前記凹部内に形成するプロセスを有している。この為、、第1凹部2が膨張する際に、アノード触媒層112には亀裂が発生する程度の引っ張り応力が掛かるが、第1凹部2の形状に追従した先行アノード触媒層には亀裂が発生する程度の引っ張り応力が掛からない。これによって、引っ張り応力によって発生する亀裂が、アノード触媒層112の主面から、アノード触媒層112の内部にわたって伝播し、万が一、アノード触媒層112の底部まで伝搬したとしても、先行アノード触媒層には亀裂が伝播しない。このため、先行アノード触媒層には緩衝材としての作用が働くので、第1凹部2の内部において、第1溝部3の先端から亀裂が伝播し、第1凹部2の底部まで到達して貫通孔が形成されるのを抑制する事が可能となる。
したがって、従来よりもメタノールクロスオーバーの発生を低減しつつ、容易かつ精度よく第1凹部2の直上に第1溝部3を作製する事が可能となる。
さらに、上記の製造方法により、従来よりも貫通孔が形成されるのを抑制する事が可能となるため、アノード触媒層112の機械強度の低下を抑制する事が可能となる。また、第2溝部5についても、第1溝部3と同じく、従来よりも貫通孔が形成されるのを抑制する事が可能となるため、カソード触媒層113の機械強度の低下を抑制する事が可能となる。
また、本発明の実施形態におけるダイレクトメタノール型燃料電池1の製造方法によれば、膜電極接合体11を形成している為、主として上記膜電極接合体11の製造方法に起因した効果が得られる。
また、以上説明した実施形態における膜電極接合体11では、第1凹部2、第1溝部3、第2凹部4および第2溝部5が複数個設けられていたが、膜電極接合体11の積層方向に投影したときに、少なくとも第2溝部5の先端が、カソード触媒層113の主面における第2凹部4の投影面内に収まることを満たしさえすれば、これらのうちいずれかが1つのみ設けられていてもよい。
また、以上説明した実施形態における膜電極接合体11では、電解質膜111の両主面に第1凹部2および第2凹部4が設けられていたが、第1凹部2のみ設けられていてもよい。
また、以上説明した実施形態における膜電極接合体11では、アノード触媒層112又はカソード触媒層113の両主面に第1溝部3および第2溝部5が設けられていたが、第1溝部3のみ設けられていてもよい。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
1…燃料電池
11…膜電極接合体
111…電解質膜
112…アノード触媒層
113…カソード触媒層
114…アノードガス拡散層
115…カソードガス拡散層
116A,116B…補強層
12…アノード集電体
13…カソード集電体
14…アノードセパレータ
15…カソードセパレータ
16…アノード流路
17…カソード流路
18,19…ガスケット
2…第1凹部
3…第1溝部
4…第2凹部
5…第2溝部

Claims (9)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の主面に設けられたアノード触媒層と、
    前記電解質膜の他方の主面に設けられたカソード触媒層と、が積層された積層体を備える膜電極接合体であって、
    前記電解質膜は、前記電解質膜の内部から前記電解質膜の一方の主面に向かって開口した第1凹部が少なくとも1つ設けられ、
    前記アノード触媒層の一方の主面は、前記第1凹部の内面と接する様に設けられ、
    前記アノード触媒層の他方の主面は、非貫通の第1溝部が少なくとも1つ設けられ、
    前記積層体の積層方向に投影したときに、少なくとも前記第1溝部の先端が前記アノード触媒層の主面における前記第1凹部の投影面内に収まることを特徴とする膜電極接合体。
  2. 前記第1溝部の先端が前記第1凹部の内部に存在する様に、前記第1溝部が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求項1記載の膜電極接合体。
  3. 前記第1溝部が複数個設けられ、前記第1溝部の先端が前記第1凹部の内部に存在する前記第1溝部の数が、前記第1溝部の先端が前記第1凹部の外部に存在する前記第1溝部の数よりも多いことを特徴とする請求項2記載の膜電極接合体。
  4. 前記電解質膜は、前記電解質膜の内部から前記電解質膜の他方の主面に向かって開口した第2凹部が前記第1凹部と対向する様、少なくとも1つ設けられ、前記カソード触媒層の一方の主面は、前記第2凹部の内面と接する様に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の膜電極接合体。
  5. 前記カソード触媒層の他方の主面は、非貫通の第2溝部が少なくとも1つ設けられ、
    前記積層体の積層方向に投影したときに、少なくとも前記第2溝部の先端が前記カソード触媒層の主面における前記第2凹部の投影面内に収まることを特徴とする請求項4記載の膜電極接合体。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の膜電極接合体を有することを特徴とするダイレクトメタノール型燃料電池。
  7. 電解質膜を準備する工程と、
    前記電解質膜の主面に、前記電解質膜の内部から前記電解質膜の主面に向かって開口した凹部を形成する工程と、
    前記電解質膜内の水分を除去し、前記凹部を収縮させる工程と、
    前記電解質膜の主面上および前記凹部内に触媒層を形成する工程と、
    前記電解質膜に水分を吸収させて、前記凹部を膨張させ、触媒層の主面に非貫通の溝部を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  8. 電解質膜を準備する工程と、
    前記電解質膜の主面に、前記電解質膜の内部から前記電解質膜の主面に向かって開口した凹部を形成する工程と、
    前記凹部の形状に追従する様、第1触媒層を少なくとも前記凹部内に形成する工程と、
    前記電解質膜内の水分を除去し、前記凹部を収縮させる工程と、
    前記電解質膜の主面上および前記第1触媒層上に第2触媒層を形成する工程と、
    前記電解質膜に水分を吸収させて、前記凹部を膨張させ、第2触媒層の主面に非貫通の溝部を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
  9. 請求項7または8記載の膜電極接合体の製造方法を用いたダイレクトメタノール型燃料電池の製造方法。
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