JP2010182483A - 燃料電池セルおよび燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】アノード側もしくはカソード側いずれか一方のガス拡散層の拡散層基材を廃したことにより、発電過程で電解質膜が膨潤した際に面圧が増大し、ガス拡散層やガス流路層が電解質膜や膜電極接合体へ突き刺さる等してクロスリーク路を形成し、燃料電池のクロスリーク耐久を低下させるという課題を、効果的に解消することのできる燃料電池セルおよび燃料電池を提供する。
【解決手段】アノード側の集電層42’もしくはガス拡散層、または、カソード側の集電層42もしくは拡散層基材41、の少なくともいずれか一種の膜電極接合体側の側面に凹溝42’a、41aが形成されており、電解質膜1が膨潤した際の体積増加分が凹溝42’a、41aに収容されるようになっている、燃料電池セル10Aである。
【選択図】図2
【解決手段】アノード側の集電層42’もしくはガス拡散層、または、カソード側の集電層42もしくは拡散層基材41、の少なくともいずれか一種の膜電極接合体側の側面に凹溝42’a、41aが形成されており、電解質膜1が膨潤した際の体積増加分が凹溝42’a、41aに収容されるようになっている、燃料電池セル10Aである。
【選択図】図2
Description
本発明は燃料電池とそれを形成する燃料電池セルに関するものである。
固体高分子型燃料電池の燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側およびカソード側の触媒層とから膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)が形成され、該膜電極接合体に燃料ガスもしくは酸化剤ガスを提供するとともに電気化学反応によって生じた電気を集電するためのアノード側およびカソード側のガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)が挟持して電極体(MEGA)が形成され、この電極体を直線状もしくは蛇行状のガス流路溝が一体に形成されたセパレータが挟持して構成されている。なお、このセパレータには、ガス流路層をエキスパンドメタル等の金属多孔体から形成してセパレータから分離させた、いわゆるフラットタイプ型のセパレータもある。燃料電池スタックは、所要電力に応じてこの燃料電池セルを所定数積層し、スタッキングすることによって形成されている。
上記する燃料電池では、アノード電極に燃料ガスとして水素ガス等が提供され、カソード電極には酸化剤ガスとして酸素や空気が提供され、各電極では固有のガス流路層(またはセパレータのガス流路溝)にて面内方向にガスが流れ、次いでガス拡散層にて拡散されたガスが触媒層に導かれて電気化学反応がおこなわれるものである。
燃料電池の組み付けにおいては、所定数の燃料電池セルを積層し、この両側端からテンションプレートを介して所与の圧縮力が付与されてスタッキングがおこなわれる。この圧縮力は、燃料電池セルの構成部材間(セパレータとガス拡散層の間や、ガス拡散層と膜電極接合体の間など)の界面の密着性を高め、もって界面における接触抵抗を可及的に低減させるようにその大きさが調整されている。さらには、燃料電池の使用環境(高負荷発電時の高温環境では構成部材が膨張する、など)によって構成部材界面での相対的な圧縮力は変化するし、発電経過にともなう構成部材の厚み低減にともなって相対的な圧縮力が変化することなどから、これらを加味してスタッキング所期の圧縮力が設定されている。
ところで、近時の燃料電池やそのシステムは、その高性能化に加えて小型化や軽量化が叫ばれており、そのための改良や開発が進められている。この燃料電池の小型化に関して言えば、上記するスタッキング時の圧縮力を電解質膜に作用させるべく、作用した圧縮力に対してガス拡散層が弾性変形するようになっており、このガス拡散層の弾性変形を介して所望の圧縮力が電解質膜に作用している。ここで、このガス拡散層は、撥水作用と集電作用を有する集電層(MPL)と、拡散層基材と、の積層構造を呈しており、特に拡散層基材が所与の厚みを有していることで、所望する弾性変形量が確保されている。すなわち、ガス拡散層は燃料ガスや酸化剤ガスを電解質膜に拡散提供したり、電気化学反応によって生じた生成水を金属多孔体やセパレータに排水する作用のほかに、自身の弾性変形によって所望の圧縮力を電解質膜に作用させる、もしくは過度の圧縮力を電解質膜に作用させないといった効果をも有するものである。
その一方で、燃料電池の小型化に応ずるべく、ガス拡散層の薄膜化(特に拡散層基材の薄膜化)が図られたり、アノード側とカソード側のいずれか一方のガス拡散層、特に拡散層基材を廃した構造が発案されている。このガス拡散層の薄膜化や拡散層基材を廃したことに伴い、今度は新たな課題が生じている。この課題とは、発電過程でたとえばセル積層方向に膨潤する電解質膜の体積増加分(増加量)を、アノード側およびカソード側双方の厚みが低減された、もしくはいずれか一方の拡散層基材が廃されたガス拡散層の弾性変形で吸収しきれないというものである。ガス拡散層が十分な厚みを有している場合には、その(セル積層方向の)弾性変形量も十分に期待することができるため、上記する電解質膜の体積増加分をガス拡散層の弾性変形にて吸収することができていた。
しかし、ガス拡散層が薄膜化したり、アノード側とカソード側のいずれか一方の拡散層基材が廃された構造においては、燃料電池セル内におけるガス拡散層の弾性変形量を十分に見込むことができないために、電解質膜の膨潤にともなう膜厚変動によって電解質膜等に作用する面圧が過度に増大し、ガス拡散層を形成するカーボン繊維が電解質膜に突き刺さったり、ガス拡散層が排された電極側においては、ガス流路層となる金属多孔体表面の突起(たとえば金属多孔体であるエキスパンドメタルの端部エッジなど)が電解質膜に突き刺さってしまう。この突き刺さり箇所が、ガスのクロスリーク路の形成に至り、燃料電池のクロスリーク耐久を低下させる大きな要因となり得るものである。
ここで、従来の公開技術を参照するに、アノード側の多孔体(ここでは、ガス流路層)の電解質膜側に凹部を設け、この凹部表面に流体不透過のシール皮膜を形成してなる燃料電池が特許文献1に開示されている。この燃料電池では、上記するガス流路層に凹部を設けることでCO2の排出性を高めるとともに、その表面のシール皮膜によってメタノールや水を蒸発し難くすることができ、発電効率を高めることができるというものである。
しかし、上記する電解質膜の膨潤にともなう膜厚変動に対して、該電解質膜から比較的離れた位置に配されるガス流路層に凹溝を設けたとしても、この凹溝が電解質膜膨潤時の体積増加分を効果的に吸収することは難しい。尤も、上記特許文献1に開示の技術は、ここで示すような課題、すなわち、ガス拡散層の薄膜化、もしくは拡散層基材の排除、等でガス拡散層全体の弾性変形量が低減したことに起因して、電解質膜膨潤時の体積増加に伴って過度の圧縮力が電解質膜自身に作用すること、さらには、これによって燃料電池のクロスリーク耐久が低下すること、を如何に解消するか、といった課題を掲げるものではない。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、アノード側もしくはカソード側いずれか一方のガス拡散層の拡散層基材を廃したり、双方のガス拡散層を薄膜化したことにより、発電過程でたとえばセル積層方向に電解質膜が膨潤した際に、面圧が増大し、ガス拡散層やガス流路層が電解質膜や膜電極接合体へ突き刺さる等してクロスリーク路を形成し、燃料電池のクロスリーク耐久を低下させるという課題を、効果的に解消することのできる燃料電池セルおよび燃料電池を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による燃料電池セルは、電解質膜とその両側の触媒層からなる膜電極接合体のアノード側およびカソード側のいずれか一方には集電層が配され、他方には集電層および拡散層基材からなるガス拡散層が配され、アノード側およびカソード側のセパレータが配されてなる、燃料電池セルであって、前記アノード側の集電層もしくは拡散層基材、または、前記カソード側の集電層もしくは拡散層基材、の少なくともいずれか一種の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成されており、前記電解質膜が膨潤した際の体積増加分が前記凹溝に収容されるようになっているものである。
本発明の燃料電池セルは、アノード側およびカソード側のいずれか一方が集電層のみを有し(したがって、拡散層基材が存在しない)、他方が集電層および拡散層基材からなるガス拡散層を有してなる燃料電池セルであり、アノード側の集電層もしくはガス拡散層、または、カソード側の集電層もしくはガス拡散層、の少なくともいずれか一種の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成されるものであり、この凹溝にて、電解質膜が膨潤した際の体積増加分を収容することで、電解質膜に過度の面圧が作用することを効果的に抑止できる燃料電池セルである。過度の面圧が電解質膜に作用しないことで、膜電極接合体に接しているガス拡散層が電解質膜に突き刺さり、ガスのクロスリーク路を形成して燃料電池のクロスリーク耐久を低下させることを抑制できる。さらには、過度の面圧が作用することでたとえばエキスパンドメタル等の金属多孔体(ガス流路層)が拡散層基材や集電層に突き刺さり、これを起点としてガスのクロスリーク路が形成されるといった課題も同時に解消することができる。
ここで、「アノード側の集電層もしくはガス拡散層、または、カソード側の集電層もしくはガス拡散層、の少なくともいずれか一種」とは、たとえば、アノード側に集電層のみが配され、カソード側に集電層と拡散層基材からなるガス拡散層が配される構造において、アノード側の集電層の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成される形態、カソード側の集電層の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成される形態、カソード側およびアノード側のいずれか一方もしくは双方の集電層および拡散層基材双方の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成される形態、などのすべてを包含するものである。
上記する凹溝は、上記するいずれかの部材(集電層、拡散層基材)もしくはすべての部材の側面に複数形成されるものであるが、該凹溝の寸法(平面寸法、深さ、体積)や、凹溝間のピッチ、凹溝の基数などは、発電経過で膨潤する電解質膜の体積増加分のたとえば最大量によって、それらのファクターが相互に関連しながら設定される。たとえば、一つの凹溝の体積が大きくなれば、凹溝の基数を少なくすることができる。尤も、電解質膜の側面全面において過度の面圧が作用することを防止するのが好ましいことから、たとえば拡散層基材の側面全面に、所定ピッチで比較的多くの凹溝が形成されているのが好ましい。
本発明の燃料電池セルでは、上記する凹溝が、たとえば集電層や拡散層基材など、電解質膜に隣接した、もしくは極めて近接した部材の電解質膜側の側面に形成されるため、実際に電解質膜が膨潤した際の体積増加分を効果的に凹溝に収容することが可能となる。
したがって、本発明の燃料電池セルによれば、アノード側もしくはカソード側のいずれか一方の拡散層基材が廃され、燃料電池セル全体におけるガス拡散層(拡散層基材)の弾性変形量が低減された場合であっても、燃料電池セルの小型化を図りながら、電解質膜の膨潤によって過度な面圧が電解質膜自身に作用したり、この過度の面圧によってガス拡散層等が電解質膜に突き刺さり、ガスのクロスリーク路を形成するといった課題を効果的に抑止することができる。
また、本発明による燃料電池セルの他の実施の形態は、電解質膜とその両側の触媒層からなる膜電極接合体のアノード側およびカソード側に、集電層および拡散層基材からなるガス拡散層が配され、アノード側およびカソード側のセパレータが配されてなる、燃料電池セルであって、前記アノード側およびカソード側の少なくともいずれか一方のガス拡散層は薄層に形成されており、前記アノード側もしくはカソード側の、集電層もしくは拡散層基材の少なくともいずれか一種の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成されており、前記電解質膜が膨潤した際の体積増加分が前記凹溝に収容されるようになっているものである。
本実施の形態の燃料電池セルは、アノード側とカソード側の双方に拡散層基材を有するガス拡散層が配されたものであるが、この拡散層基材が従来の拡散層基材に比して薄くなっている燃料電池セルである。たとえば、従来の拡散層基材が200〜300μm程度の厚みであった場合に、これが100μm以下、さらには50μm以下といった極薄の拡散層基材を対象としている。なお、本実施の形態は、アノード側もしくはカソード側のいずれか一方の拡散層基材が薄膜化されている形態、双方の拡散層基材が薄膜化されている形態を包含している。
拡散層基材が薄膜化したことにより、既述する燃料電池セルと同様に燃料電池セル全体のガス拡散層の弾性変形量は低減する。そこで、本実施の形態においても、凹溝を集電層や拡散層基材の膜電極接合体側の側面に形成することで、電解質膜が膨潤した際の体積増加分を効果的に該凹溝に収容することが可能となる。
また、本発明による燃料電池セルの好ましい実施の形態において、アノード側の集電層もしくは拡散層基材の少なくともいずれか一種、および、カソード側の集電層もしくは拡散層基材の少なくともいずれか一種、には前記凹溝が形成されており、アノード側およびカソード側それぞれの前記凹溝が、燃料電池セルの積層方向で一致しておらず、相互にずらされているものである。
たとえば、アノード側およびカソード側双方の拡散層基材の膜電極接合体側の側面に所定数で所定寸法の凹溝が形成されている場合に、双方の凹溝の形成位置、より具体的には、燃料電池セルが積層される積層方向の位置(もしくは平面位置)を相互にずらしておくことにより、電解質膜の全側面の膨潤に対してアノード側とカソード側双方の凹溝がより効果的に対処することが可能となる。すなわち、電解質膜はアノード側とカソード側の双方に均等に膨潤すると考えられるが、アノード側に形成された凹溝に対応する電解質膜部位の体積増加分はこの凹溝に収容でき、カソード側に形成された凹溝に対応する電解質膜部位の体積増加分はこの凹溝に収容できるため、電解質膜全体で見た場合には、この全側面に過度の面圧が作用することが効果的に抑止されることとなる。
なお、上記する燃料電池セルにおいては、アノード側およびカソード側の前記触媒層もしくは前記ガス拡散層とセパレータの間に、エキスパンドメタルや金属発泡焼結体などの金属多孔体からなるガス流路層が介在している形態であってもよいことは勿論のことである。そして、このガス流路層にも、その膜電極接合体側の側面に凹溝が形成されていてもよい。
上記する本発明の燃料電池セルが積層され、スタッキングされてなる燃料電池は、家庭用の定置型燃料電池や車載用燃料電池など、その適用分野は他方面に亘るが、特に、近時その生産が拡大しており、車載機器に一層の高性能、高耐久を要求する電気自動車やハイブリッド車に好適である。
以上の説明から理解できるように、本発明の燃料電池セルによれば、アノード側もしくはカソード側のいずれか一方の拡散層基材が廃されたり、アノード側およびカソード側の双方もしくは一方の拡散層基材が薄膜化され、燃料電池セル全体におけるガス拡散層(拡散層基材)の弾性変形量が低減された場合であっても、燃料電池セルの小型化を図りながら、電解質膜の膨潤によって過度な面圧が電解質膜自身に作用したり、この過度の面圧によってガス拡散層等が電解質膜に突き刺さり、ガスのクロスリーク路を形成するといった課題を効果的に解消することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示する燃料電池セルは、カソード側に拡散層基材と集電層からなるガス拡散層が配され、アノード側は集電層のみが配された、いわゆる拡散層基材レス構造の燃料電池セルであるが、カソード側の拡散層基材が廃された構造であってもよい。さらには、カソード側とアノード側の双方が拡散層基材を有し、かつ、これらの拡散層基材のいずれか一方もしくは双方の厚みが従来構造の拡散層基材に比して格段に薄層のものを具備する構造であってもよい。また、図示する燃料電池セルは不図示のガス流路溝がセパレータに形成されたものであり、したがってエキスパンドメタル等のガス流路層が介在しない構造のものであるが、ガス流路層がセパレータとガス拡散層の間に介在する燃料電池セルであってもよく、この場合には、このガス流路層の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成されていてもよい。
図1は、本発明の燃料電池セルの一実施の形態の縦断面図である。なお、図示する燃料電池セルにおいては、膜電極接合体やガス拡散層の周縁に成形されるガスケットやセパレータに画成されているガス流路溝の図示は省略されている。
図1で示す燃料電池セル10は、電解質膜1と、カソード側およびアノード側の触媒層2,2’と、から膜電極接合体3が形成され、その両側にカソード側のガス拡散層4とアノード側の集電層42’が配され、その外側にカソード側およびアノード側のセパレータ5,5’が配されて構成されており、アノード側の拡散層基材が廃されて全体の厚みが薄く形成され、小型化された燃料電池セルである。
なお、実際には、触媒層2,2’は電解質膜1に比してそれらの面積が狭小であり、したがって、電解質膜1の両側の触媒層2,2’の周縁には該触媒層2,2’が存在しない露出領域が形成され、この露出領域には、カソード側およびアノード側の不図示の保護フィルムが配されて、ガス拡散層4から突出する毛羽が電解質膜1の露出領域に突き刺さるのを防護している。
ここで、膜電極接合体3を構成する電解質膜1は、たとえば、スルホン酸基やカルボニル基を持つフッ素系イオン交換膜、置換フェニレンオキサイドやスルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化フェニレンスルファイドなどの非フッ素系のポリマーなどから形成される。
また、触媒層2,2’は、触媒が担持された導電性担体(粒子状のカーボン担体など)と、電解質と、分散溶媒(有機溶媒)と、を混合して触媒溶液(触媒インク)を生成し、これを電解質膜1やガス拡散層4等の基材に塗工ブレードにて層状に引き伸ばして塗膜を形成し、温風乾燥炉等で乾燥することで触媒層が形成される。ここで、触媒溶液を形成する電解質は、プロトン伝導性ポリマーである、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレンなどのスルホアルキル化プラスチック系電解質などを挙げることができる。なお、市販素材としては、ナフィオン(Nafion)(登録商標、デュポン社製)やフレミオン(Flemion)(登録商標、旭硝子株式会社製)などを挙げることができる。
また、分散溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、芳香族系あるいはハロゲン系の種々の溶媒を挙げることができ、さらには、これらを単独で、もしくは混合液として使用することができる。さらに、触媒が担持された導電性担体に関し、この導電性担体としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどの炭素材料のほか、炭化ケイ素などに代表される炭素化合物などを挙げることができ、この触媒(金属触媒)としては、たとえば、白金や白金合金、パラジウム、ロジウム、金、銀、オスミウム、イリジウムなどのうちのいずれか一種を使用することができ、好ましくは白金または白金合金を使用するのがよい。さらに、この白金合金としては、たとえば、白金と、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、チタンおよび鉛のうちの少なくとも一種との合金を挙げることができる。
また、カソード側のガス拡散層4は、拡散層基材41と集電層42(MPL)からなるものであり、拡散層基材41としては、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、導電性無機物質を主とするものを挙げることができ、この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材やこれらのナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等を挙げることができる。また、拡散層基材の導電性無機物質の形態は特に限定されるものではなく、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、ガス透過性の点から無機導電性繊維であって、特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた拡散層基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造のものも使用することができ、カーボンペーパーやカーボンクロスなどを挙げることができる。織布としては、平織、紋織、綴織など、特に限定されるものではなく、不織布としては、抄紙法、ウォータージェットパンチ法によるものなどが挙げられる。
さらに、この炭素繊維としては、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などを挙げることができる。さらに、カソード側の集電層42、アノード側の集電層42’は、カソード側、アノード側の触媒層2,2’から電子を集める電極の役割を果たすとともに撥水作用を奏するものであり、導電性材料である、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金、銀、銅及びこれらの化合物または合金、導電性炭素材料などから形成できる。
図示する燃料電池セル10には、その拡散層基材41の膜電極接合体3側の側面に多数の凹溝41a,…が形成されており、発電過程で電解質膜1がセル積層方向に膨潤した際に、その体積増加分を凹溝41a,…に収容できるようになっている。これは、燃料電池セル10がそのアノード側の拡散層基材が廃された構造となっているために、従来構造の燃料電池セル(アノード側およびカソード側双方に所定厚みの拡散層基材を有する)に比してセル全体の拡散層基材による弾性変形量が低減され、したがって、電解質膜が膨潤した際に該電解質膜自身が過度の面圧を受けるのを、凹溝41a,…に電解質膜の体積増加分が収容されることで効果的に防止するために設けられた新規な構成である。電解質膜自身に過度の面圧が作用しないことで、該過度の面圧によってガス拡散層等が電解質膜に突き刺さり、ガスのクロスリーク路が形成されて燃料電池のクロスリーク耐久が低下するといった課題も生じ得ない。
なお、凹溝41aの寸法(平面寸法、深さ、体積)や、凹溝41,41間のピッチ、凹溝41の基数(個数)などは、発電経過で膨潤する電解質膜1の体積増加分のたとえば最大量によって、それらのファクターが相互に関連しながら設定される。
図2は、本発明の燃料電池セルの他の実施の形態の縦断面図である。この燃料電池セル10Aは、燃料電池セル10と同様にカソード側の拡散層基材41に多数の凹溝41a,…が形成されていることに加えて、アノード側の集電層42’の膜電極接合体側の側面にも多数の凹溝42’a,…が形成されたものである。
また、カソード側の拡散層基材41に形成された凹溝41a,…と、アノード側の集電層42’に形成された凹溝42’a,…は、燃料電池セルの積層方向(図中のS方向)で相互にずれた位置に形成されている。同図では、凹溝41aに対向する位置(積層方向ラインL1)に凹溝42’aは存在しておらず、同様に、凹溝42’aに対向する位置(積層方向ラインL2)に凹溝41aは存在していない。
図3は、上記する凹溝41aと凹溝42’aの関係を平面図で説明したものである。
同図より、たとえばその平面視形状が正方形で、その孔寸法が同程度の凹溝41a、凹溝42’aは、セル積層方向から見た際に、相互にずらされた位置に形成されている。このように、カソード側とアノード側の凹溝41aと凹溝42’aがずらされた位置に形成されていることで、以下の効果が得られる。
同図より、たとえばその平面視形状が正方形で、その孔寸法が同程度の凹溝41a、凹溝42’aは、セル積層方向から見た際に、相互にずらされた位置に形成されている。このように、カソード側とアノード側の凹溝41aと凹溝42’aがずらされた位置に形成されていることで、以下の効果が得られる。
すなわち、アノード側に形成された凹溝42’aに対応する電解質膜部位の体積増加分はこの凹溝42’aに収容され、カソード側に形成された凹溝41aに対応する電解質膜部位の体積増加分はこの凹溝41aに収容されることにより、電解質膜1の全側面に過度の面圧が作用することが効果的に抑止されるという効果である。
図4は、上記する効果を説明するべく、電解質膜1が膨潤した際の状態を示した模式図である。実際に電解質膜1はアノード側およびカソード側に膨潤し(X方向)、該膨潤によって増加した増加体積分が同図の一点鎖線で示すように凹溝41aと凹溝42’aに収容されるようになるが、凹溝41aと凹溝42’aが相互にずらされた位置に形成され、電解質膜1のほぼ全平面をカバーしていることで、電解質膜1には、平面的に見た際に過度の面圧が作用する部位が生じ難くなる。
なお、実際に電気自動車等に車載される燃料電池システムは、図1,2で示す燃料電池セル10,10Aが所定数積層され、スタッキングされてなる燃料電池(燃料電池スタック)と、水素ガスや空気を収容する各種タンク、これらのガスを燃料電池に提供するためのブロア、燃料電池を冷却するためのラジエータ、燃料電池で生成された電力を蓄電するバッテリ、この電力で駆動する駆動モータ等から大略構成されるものである。
[凹溝の平面寸法と個数の関係に関する検証とその結果]
本発明者等は、アノード側の集電層のみに凹溝が形成された燃料電池セルモデルを設定し、該モデルにて形成される凹溝に関し、必要な溝寸法や個数を検証した。ここで、前提条件として、電解質膜の厚みを20μm、電解質膜の膨張率を40%、凹溝を四角柱形状とし、その溝深さを16μmとし、凹溝間ピッチは、その平断面(正方形とする)における一辺の長さ程度とした。
本発明者等は、アノード側の集電層のみに凹溝が形成された燃料電池セルモデルを設定し、該モデルにて形成される凹溝に関し、必要な溝寸法や個数を検証した。ここで、前提条件として、電解質膜の厚みを20μm、電解質膜の膨張率を40%、凹溝を四角柱形状とし、その溝深さを16μmとし、凹溝間ピッチは、その平断面(正方形とする)における一辺の長さ程度とした。
電解質膜:1mm2当たりの膨潤時の体積増加分を試算すると、膜厚(20μm)×膨張率(40%)×1mm2=8mm3となり、この体積増加分に相当する、1mm2当たり、凹溝の体積((一辺の長さ)2)×溝深さ(16μm)×溝の個数)の関係から、凹溝の平断面における一辺の長さと1mm2当たりの凹溝個数の関係を求めたものである。
検証結果を図5に示している。本検証のごとく、使用される電解質膜の諸条件を設定し、凹溝の平断面形状やその深さを設定した上で、図5のごとき必要な凹溝寸法と個数の関係グラフを作成しておくことにより、加工効率、凹溝が形成される部材の厚み、面圧増加抑止効果等の種々の観点から、所望の凹溝寸法と個数を規定することが可能となる。
検証結果を図5に示している。本検証のごとく、使用される電解質膜の諸条件を設定し、凹溝の平断面形状やその深さを設定した上で、図5のごとき必要な凹溝寸法と個数の関係グラフを作成しておくことにより、加工効率、凹溝が形成される部材の厚み、面圧増加抑止効果等の種々の観点から、所望の凹溝寸法と個数を規定することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…電解質膜、2…カソード側の触媒層、2’…アノード側の触媒層、3…膜電極接合体、4…カソード側のガス拡散層、41…拡散層基材、41a…凹溝、42…カソード側の集電層、42’…アノード側の集電層、42’a…凹溝、5…電極体、5,5’…セパレータ、10,10A…燃料電池セル
Claims (6)
- 電解質膜とその両側の触媒層からなる膜電極接合体のアノード側およびカソード側のいずれか一方には集電層が配され、他方には集電層および拡散層基材からなるガス拡散層が配され、アノード側およびカソード側のセパレータが配されてなる、燃料電池セルであって、
前記アノード側の集電層もしくは拡散層基材、または、前記カソード側の集電層もしくは拡散層基材、の少なくともいずれか一種の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成されており、前記電解質膜が膨潤した際の体積増加分が前記凹溝に収容されるようになっている、燃料電池セル。 - 電解質膜とその両側の触媒層からなる膜電極接合体のアノード側およびカソード側に、集電層および拡散層基材からなるガス拡散層が配され、アノード側およびカソード側のセパレータが配されてなる、燃料電池セルであって、
前記アノード側およびカソード側の少なくともいずれか一方のガス拡散層は薄層に形成されており、
前記アノード側もしくはカソード側の、集電層もしくは拡散層基材の少なくともいずれか一種の膜電極接合体側の側面に凹溝が形成されており、前記電解質膜が膨潤した際の体積増加分が前記凹溝に収容されるようになっている、燃料電池セル。 - アノード側の集電層もしくは拡散層基材の少なくともいずれか一種、および、カソード側の集電層もしくは拡散層基材の少なくともいずれか一種、には前記凹溝が形成されており、
アノード側およびカソード側それぞれの前記凹溝が、燃料電池セルの積層方向で一致しておらず、相互にずらされている、請求項1または2に記載の燃料電池セル。 - アノード側およびカソード側の前記触媒層もしくは前記ガス拡散層とセパレータの間に、金属多孔体からなるガス流路層が介在している、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池セル。
- 前記ガス流路層もその膜電極接合体側の側面に凹溝を有している、請求項4に記載の燃料電池セル。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池セルが積層され、スタッキングされてなる、燃料電池。
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JP2013164958A (ja) * | 2012-02-10 | 2013-08-22 | Nippon Soken Inc | 燃料電池 |
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CN112103525A (zh) * | 2020-08-11 | 2020-12-18 | 天能电池集团股份有限公司 | 一种柔性燃料电池 |
-
2009
- 2009-02-04 JP JP2009023571A patent/JP2010182483A/ja not_active Withdrawn
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