JP2011014488A - 電極触媒および燃料電池セル - Google Patents

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Abstract

【課題】排水性と保水性の双方の性能、すなわち水マネジメント性に優れ、もって、燃料電池の無加湿運転を実現することのできる、電極触媒と、この電極触媒から形成された触媒層を具備する燃料電池セルを提供する。
【解決手段】触媒22を担持してなるカーボン担体21と、高分子電解質23と、からなり、カーボン担体21の水浸pHが1以下である、電極触媒20である。このカーボン担体21はさらに、その比表面積が360m/g以上であるのが好ましい。少なくともカソード側の触媒層2がこの電極触媒20から形成され、燃料電池セルを成している。
【選択図】図2

Description

本発明は、電極触媒と、この電極触媒から形成された触媒層を少なくともカソード側に具備する燃料電池セルに関するものである。
固体高分子型燃料電池の燃料電池セルは、イオン透過性の電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側およびカソード側の各電極触媒層と、から膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を成し、各電極触媒層の外側にガス流れの促進と集電効率を高めるためのガス拡散層(GDL)が設けられて電極体(MEGA:MEAとGDLの接合体)を成し、このガス拡散層の外側にセパレータが配されて燃料電池セルが形成されている。実際には、これらの燃料電池セルが発電性能に応じた基数だけ積層され、燃料電池スタックが形成されることになる。
上記する燃料電池では、アノード電極に燃料ガスとして水素ガス等が提供され、カソード電極には酸化剤ガスとして酸素や空気が提供され、各電極では固有のガス流路層もしくはセパレータのガス流路溝にて面内方向にガスが流れ、次いでガス拡散層にて拡散されたガスが電極触媒に導かれて電気化学反応がおこなわれるものである。この電気化学反応では、アノード電極にて生成された水素イオンと水が水和状態で電解質膜を透過してカソード電極に至り、カソード電極にて生成水が生成されることとなる。したがって、MEA内における水の移動態様や電気化学反応による生成水の生成態様により、発電経過とともにアノード電極は乾燥し易く、場合によってはドライアップに至る一方、カソード電極では水分過多となり易く、場合によってはフラッティングに至り易いという課題がある。なお、ドライアップの場合には、水素ガスが乾燥しているためにイオン交換膜(電解質膜)のプロトン伝導性が低下し、燃料電池セルの発電性能が低下するし、フラッティングの場合には、カソード側のガス拡散層やガス流路層(もしくはセパレータのガス流路溝)に水が滞留して酸化剤ガスの流れを阻害し、MEAに十分な酸化剤ガスが提供されないために燃料電池セルの発電性能が低下する。
上記する燃料電池では、カソード側に提供される酸化剤ガス、アノード側に提供される燃料ガスともに、加湿モジュールにて加湿された状態で燃料電池セル内に提供されるものである。しかし、この加湿モジュールの存在により、燃料電池や加湿モジュール等からなる燃料電池システム全体の体格が増大し、さらにはシステムの重量が嵩んでしまうことから、この加湿モジュールを廃して、セル内で自己加湿可能な燃料電池の開発が進んでいる。ここで、この自己加湿とは、カソード側で生成された生成水をアノード側に拡散させ、カソード側からのプロトン移動に伴って随伴水をカソード側へ移動させることにより、無加湿ガスが提供されながらも、セル内で良好な水分循環を図ることである。
しかし、加湿モジュールを完全に廃し、酸化剤ガス、燃料ガスをともに無加湿雰囲気として燃料電池セルに提供し、セル内での自己加湿に依存する発電形態は、現状では現実的とは言えない。なぜなら、自己加湿運転を可能とするためには、膜電極接合体内の保水性を常に担保できることに加えて、特にカソード側における良好な排水性が担保される必要があるからである。
ところで、従来の公開技術に目を転じるに、親水性官能基を表面に具備した黒鉛化カーボンを有する燃料電池用触媒層が開示されており、この触媒層を適用することで、排水性が良好となり、特にカソード側電極におけるフラッティングが抑制できる、とするものである。
しかし、この触媒層を用いたとしても、上記する無加湿運転を実現するために触媒層が具備するべき性能である、排水性と保水性の双方を満足させることは極めて困難である。
特開2006−4662号公報
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、排水性と保水性の双方の性能、すなわち水マネジメント性に優れ、もって、燃料電池の無加湿運転を実現することのできる、電極触媒と、この電極触媒から形成された触媒層を具備する燃料電池セルを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による電極触媒は、触媒を担持してなるカーボン担体と、高分子電解質と、からなり、前記カーボン担体の水浸pHが1以下となっているものである。
本発明者等は、良好な無加湿運転を実現可能な燃料電池セルを得るために、その触媒層を形成する電極触媒、より具体的には、その電極触媒を形成する導電性のカーボン担体の物性に着目し、これを所望のパラメータにて規定することで、自己加湿性に優れ、しかも、現在の加湿ガスが提供される燃料電池セルと同等かそれ以上の発電性能を発揮できる燃料電池セルが得られることを見出した。
そのための電極触媒として、その形成要素であるカーボン担体の水浸pHを1以下の強酸雰囲気としたものであり、カーボン担体がこのように強酸であることから、これに金属触媒が担持された触媒担持担体、さらには、この触媒担持担体とアイオノマからなる触媒層も、強酸雰囲気となることが本発明者等によって特定されている。
ここで、導電性のカーボン担体としては、カーボンブラックや黒鉛化されたカーボンブラックなどの球状のもの、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどの柱状や管状のもの等を挙げることができ、これに、金属触媒である、白金や白金合金、パラジウムなどが担持されて触媒担持カーボン担体が形成される。また、高分子電解質(アイオノマ)としては、パーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂などを使用できる。
なお、上記する電極触媒からなる触媒層の構造は、触媒が担持されたカーボン粒子などの導電性担体が、高分子電解質(アイオノマ)内に分散したものであり、たとえば、複数のカーボン粒子がその一部で隣接するカーボン粒子と当接するようにして触媒層の厚みに亘って列をなし、各列を構成するカーボン表面に所定厚みの高分子電解質が層状に設けられた構造などを呈するものであり、この高分子電解質がプロトンパスを形成し、さらには、発電に必要な水分の保水作用を奏するものである。
本発明者等によれば、カーボン担体表面でカーボン原子と結合する酸性官能基の種類等を調整し、上記するように「水浸pH」を低くして1以下に調整することで、カーボン担体(これ自体は疎水性である)を親水性にでき、したがって、高分子電解質を含む溶媒中での分散性を良好にでき、当該カーボン担体の全表面に可及的に均一に高分子電解質を被覆できることが特定されている。なお、このような酸性官能基としては、カルボニル基(−COOH基)、フェノール性水酸基(−OH基)などを挙げることができる。
このように、カーボン担体、ひいては触媒担持カーボン担体を有する電極触媒のpHが1以下に調整されることで、カーボン担体表面の全面に可及的に均一に高分子電解質(アイオノマ)を被覆でき、その良好な保水性が保障される。
一方、本発明者等によれば、電極触媒中のカーボン担体の嵩比重(単位体積当たりの質量)により、形成される多数の細孔径が決定されることが見出されており、この細孔経の調整により、たとえば発電経過で生成された生成水の良好な排水性が担保されることとなる。そのようなカーボン担体の嵩比重として、たとえば、0.3〜0.9程度を規定することができる。
さらに、本発明による電極触媒の好ましい実施の形態は、前記カーボン担体の比表面積が360m/g以上となっているものである。
本発明者等の検証によれば、現在製造が可能となっているカーボン担体の中でもその比表面積が大きな、比表面積:360m/g以上のカーボン担体を使用することで、一個当たりのカーボン担体でより多くの電流をひくことができ、もって可及的に少量のカーボン担体でより多くの発電を実現でき、発電性能に優れた燃料電池用の触媒層を形成できることが見出されている。
ここで、比表面積を高めるためには、たとえば、表面に多数の凹凸を有したカーボン担体を使用するのがよく、多数の凹溝内により多くの金属触媒を収容することが可能となる。
上記する本発明の電極触媒からなる触媒層を少なくともカソード側に用いること、すなわち、カソード側のみに用いてなる燃料電池セル、もしくはカソード側とアノード側の双方に用いてなる燃料電池セルを製造することで、保水性と排水性に優れ、したがって、自己加湿性能に優れた燃料電池セルが得られる。
保水性と排水性の双方に優れた電極触媒からなる触媒層を備えた燃料電池セルが、積層され、スタッキングされてなる燃料電池スタックを含む燃料電池システムにおいては、従来システムで必須の構成であった加湿モジュールが廃されていることから、燃料電池システム全体の小型化と軽量化を図ることが可能となる。
以上の説明から理解できるように、本発明の電極触媒と、この電極触媒から形成された触媒層を具備する燃料電池セルによれば、少なくとも、電極触媒中のカーボン担体のpHが所望に調整されて強酸雰囲気となっていること、したがって、電極触媒や触媒層も同様に強酸雰囲気に調整されていることで、自己加湿性能に優れた燃料電池セルが得られる。
本発明の燃料電池セルの構造を説明した縦断面図である。 カソード側触媒層のミクロ構造を示すとともに、生成水と随伴水の流れ、およびプロトンの流れを示した模式図である。 カーボン担体の水浸pH、比表面積および嵩比重を変化させて製造された電極触媒からなる触媒層を備えた燃料電池セルの、各発電電圧を測定した実験結果である。 カーボン担体の水浸pH、比表面積を変化させて製造された電極触媒からなる触媒層を備えた燃料電池セルの、各発電電圧を測定した他の実験結果である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、膜電極接合体の周縁に形成されるガスケットの図示は省略している。
図1は、本発明の燃料電池セルの構造を示したものである。図示する燃料電池セル10は、電解質膜1と、カソード側触媒層2およびアノード側触媒層3と、から形成された膜電極接合体4を、カソード側およびアノード側のガス拡散層5,6(ガス透過層)が挟持し、これを、ガス拡散層側に直線状もしくは蛇行状のガス流路溝が形成され、他方側に冷却水用の流路溝が形成されたカソード側およびアノード側のセパレータ8,9が挟持して構成される。なお、いわゆるフラットタイプモジュールのセパレータであって、3層構造でその内部に冷却水の蛇行流路を形成するための多数のディンプルを備えたセパレータを用いてもよく、このセパレータを用いる場合には、当該セパレータとガス拡散層の間にエキスパンドメタルなどからなるガス流路層が介層される。
触媒層2,3は電解質膜1に比してそれらの面積が狭小であり、したがって、電解質膜1の両側の触媒層2,3の周縁には該触媒層2,3が存在しない露出領域が形成され、この露出領域には、カソード側およびアノード側の保護フィルム7,7が配されて、ガス拡散層5,6から突出する毛羽が電解質膜1の露出領域に突き刺さるのを防護している。
ここで、膜電極接合体4を構成する電解質膜1は、たとえば、スルホン酸基やカルボニル基を持つフッ素系イオン交換膜、置換フェニレンオキサイドやスルホン化ポリアリールエーテルケトン、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン、スルホン化フェニレンスルファイドなどの非フッ素系のポリマーなどから形成される。
また、カソード側触媒層2,アノード側触媒層3はともに、触媒が担持された導電性担体(粒子状のカーボン担体)と、高分子電解質(アイオノマ)と、分散溶媒(有機溶媒)と、を混合して触媒インクを生成し、これを電解質膜1やガス拡散層5,6等の基材にたとえば塗工ブレードにて層状に引き伸ばして塗膜を形成し、温風乾燥炉等で乾燥することで形成される。
ここで、触媒インクを形成する高分子電解質は、プロトン伝導性ポリマーである、有機系の含フッ素高分子を骨格とするイオン交換樹脂、例えばパーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等のスルホン化プラスチック系電解質、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、スルホアルキル化ポリエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホアルキル化ポリスルホン、スルホアルキル化ポリスルフィド、スルホアルキル化ポリフェニレンなどのスルホアルキル化プラスチック系電解質などを挙げることができる。なお、市販素材としては、ナフィオン(Nafion)(登録商標、デュポン社製)やフレミオン(Flemion)(登録商標、旭硝子株式会社製)などを挙げることができる。
また、分散溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、芳香族系あるいはハロゲン系の種々の溶媒を挙げることができ、さらには、これらを単独で、もしくは混合液として使用することができる。
さらに、カソード側触媒層2のミクロ構造を示すとともに、生成水および随伴水の流れ、プロトンの流れを示した模式図である図2を参照しながら、触媒が担持された導電性担体を説明する。なお、同図はカソード側触媒層のみを示したものであるが、アノード側触媒層もカソード側触媒層と同様の電極触媒から形成されるものであってもよいことは勿論のことである。
カソード側触媒層2は、導電性担体21表面に金属触媒22が担持された触媒担持担体が相互に当接するようにして、もしくは離れた姿勢で、たとえば列状に配され、複数の触媒担持担体の表面に一連の高分子電解質23からなる皮膜が形成されて電極触媒20を成し、複数の電極触媒20,…から触媒層2が形成されている。そして、隣接する触媒担持担体表面の全体に均一に形成された高分子電解質23が、良好なプロトンパスPPを形成している。なお、触媒担持担体の配列形態は、図示例のように列をなすものでなく、相互に離れた姿勢でランダムに分散するものであってもよいが、いずれにせよ、複数の触媒担持担体の表面を一連の高分子電解質からなる皮膜が覆い、この皮膜がプロトンパスを形成するものであればよい。
この導電性担体21としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどのカーボン担体が用いられる。このカーボン担体21は、その表面にカルボニル基(−COOH基)などの酸性官能基を有しており、この酸性官能基により、当該カーボン担体が親水性を付与され、アイオノマの皮膜がその表面に可及的均一に形成されるものである。
さらに、カーボン担体21はpHが1以下に調整されており、このカーボン担体21を含む電極触媒20、さらには、カソード側触媒層2の全体も同様にpH1以下の強酸性雰囲気を呈している。
本発明者等によれば、カーボン担体21や電極触媒20がpH1以下に調整されていることで、図示のごとく均一な高分子電解質の皮膜をカーボン担体表面に形成することができ、この高分子電解質皮膜が良好な保水性を奏することが特定されている。すなわち、良好なプロトン伝導性と保水性の双方の作用が奏されるものである。
また、カーボン担体21の嵩比重を0.3〜0.9程度の範囲に規定することで、排水性に優れた寸法(径)の細孔24を形成することができる。
また、図示するカーボン担体21の表面には多数の凹凸が形成されてその比表面積が高められており、具体的には、360m/g以上の比表面積となっている。
カーボン担体21の比表面積が360m/g以上と極めて高いことで、一個当たりのカーボン担体21でより多くの電流をひくことができ、もって可及的に少量のカーボン担体21でより多くの発電を実現でき、発電性能に優れた燃料電池用の触媒層2を形成できることとなる。
また、同図において、燃料電池セルの発電経過でカソード側触媒層2にて生成された生成水は、電解質膜1を介してアノード側触媒層に提供(逆拡散)され(X方向)、アノード側触媒層からは、プロトンとともに随伴水が電解質膜1を介してカソード側触媒層2に提供され(Y方向)、燃料電池セル内でこのような水循環が良好におこなわれることで、自己加湿可能な燃料電池セルが形成される。
なお、カーボン担体21に担持される金属触媒22としては、たとえば、白金や白金合金、パラジウム、ロジウム、金、銀、オスミウム、イリジウムなどのうちのいずれか一種を使用することができ、好ましくは白金または白金合金を使用するのがよい。さらに、この白金合金としては、たとえば、白金と、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ガリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、チタンおよび鉛のうちの少なくとも一種との合金を挙げることができる。
図1に戻り、図示するガス拡散層5,6は、拡散層基材51,61と、集電層52,62(MPL)からなるものであり、拡散層基材51,61としては、電気抵抗が低く、集電を行えるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、導電性無機物質を主とするものを挙げることができ、この導電性無機物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛等の炭素材やこれらのナノカーボン材料、ステンレススチール、モリブデン、チタン等を挙げることができる。
また、拡散層基材の導電性無機物質の形態は特に限定されるものではなく、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、ガス透過性の点から無機導電性繊維であって、特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた拡散層基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造のものも使用することができ、カーボンペーパーやカーボンクロスなどを挙げることができる。織布としては、紋織、平織など、特に限定されるものではなく、不織布としては、抄紙法、ウォータージェットパンチ法によるものなどが挙げられる。さらに、この炭素繊維としては、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などを挙げることができる。さらに、集電層62,52は、アノード側、カソード側の触媒層3,2から電子を集める電極の役割を果たすとともに生成水を排水する撥水作用を奏するものであり、導電性材料である、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金、銀、銅及びこれらの化合物または合金、導電性炭素材料などから形成できる。
[カーボン担体の水浸pH、比表面積および嵩比重を変化させて製造された電極触媒からなる触媒層を備えた燃料電池セルの、各発電電圧を測定した実験とその結果]
本発明者等は、以下の表1で示す3水準で規定する、水浸pH、比表面積および嵩比重の組み合わせを以下の表2のように変化させて複数種の電極触媒を生成し、各電極触媒からなる触媒層を具備する燃料電池セルを試作し、それぞれの燃料電池セルに、80℃の温度雰囲気で、無加湿の燃料ガスおよび酸化剤ガスを提供しながら、1.5A/cmの電流密度の際の発電電圧を測定した。実験の結果を図3に示す。
Figure 2011014488
Figure 2011014488
図3において、実施例1の発電電圧値を正規化し、他の実施例の電圧値を実施例1の値に対する比率で示している。同図より、カーボン担体の水浸pHが1、比表面積が360(m/g)である実施例4、すなわち、pHが最小(強酸)で、かつ比表面積が最大の電極触媒を有する燃料電池セルが最大の発電電圧値を示すことが実証された。
また、実施例1と実施例10の比較より、pHが低くなるにつれて発電電圧が高くなること、実施例8と実施例11の比較より、比表面積が大きくなるにつれて発電電圧が高くなること、が実証された。なお、嵩比重に関しては、本実験から明確な定性的傾向を確認できなかったが、本実験で規定する0.3〜0.9の範囲においては、極めて良好な排水性が得られることが分かった。
[カーボン担体の水浸pH、比表面積を変化させて製造された電極触媒からなる触媒層を備えた燃料電池セルの、各発電電圧を測定した他の実験とその結果]
本発明者等はさらに、水浸pHを1よりも小さな−1(極めて強酸性であって、pH1に対して酸性度が100倍)の電極触媒、および、比表面積を360(m/g)よりも大きな450(m/g)の電極触媒、からなる触媒層を備えた、さらに2種の燃料電池セルを試作し、その発電電圧を測定した。この実験は、水浸pHおよび比表面積の好ましい範囲をより明確にするための実験である。これら2種の実施例の条件を以下の表3に示し、実験結果を図3で示す実施例1を含めて図4に示す。なお、実施例12では、カーボン担体をフルオロスルホン酸処理しており、実施例13では、カーボン担体を1000℃以上で熱処理している。
Figure 2011014488
図4において、実施例12は、図3における実施例4と同程度の発電電圧値を示している。実施例4,12では、水浸pHが1と−1で相違し、比表面積が360(m/g)と100(m/g)で相違している。上記するように、比表面積が大きくなるに従って発電性能も向上し、発電電圧が上昇すること、実施例4に対して比表面積が3割程度も低くなっている条件で同程度の発電電圧値を示していること、に鑑みれば、水浸pHが1よりもさらに小さくなるにつれてその酸性度も高くなり、それに応じて発電性能も一層向上することが分かる。
また、図4における実施例1(比表面積:100m/g)と実施例13(比表面積:450m/g)の比較により、比表面積の増加によって発電性能が向上することは図3の説明と同様である。
以上の実験結果より、カーボン担体の水浸pHが1以下であることが好ましく、これに加えて、カーボン担体の比表面積が360m/g以上であることが望ましい、と結論付けることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…電解質膜、2…カソード側触媒層、3…アノード側触媒層、4…膜電極接合体、5…カソード側のガス拡散層(ガス透過層)、6…アノード側のガス拡散層(ガス透過層)、8…カソード側セパレータ、9…アノード側セパレータ、10…燃料電池セル、20…電極触媒、21…導電性担体(カーボン担体)、22…金属触媒、23…高分子電解質(アイオノマ)、24…細孔、51,61…拡散層基材、52,62…集電層(MPL)、PP…プロトンパス

Claims (3)

  1. 触媒を担持してなるカーボン担体と、高分子電解質と、からなり、
    前記カーボン担体の水浸pHが1以下である、電極触媒。
  2. 前記カーボン担体の比表面積が360m/g以上である、請求項1に記載の電極触媒。
  3. 請求項1または2に記載の電極触媒からなる触媒層を、少なくともカソード側に具備する、燃料電池セル。
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