JPWO2019188850A1 - プレス成形装置およびプレス成形品の製造方法 - Google Patents

プレス成形装置およびプレス成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

成形領域に頂部を有するパンチと、パンチの頂部に対向するダイと、パンチの側方においてダイに対向するブランクホルダーと、ダイの非成形領域またはブランクホルダーに設けられたビードと、ダイおよびブランクホルダーのうち、ビードが設けられていない方に設けられた、ビードに嵌合可能である溝と、ビードおよび溝の肩部の少なくともいずれか一方に設けられた、粒子固着部とを備え、粒子固着部は、ビッカース硬さが700以上の粒子と、該粒子を保持する保持層とを有し、保持層の硬さは、粒子の硬さよりも小さく、粒子の平均粒径は、30〜600μmであり、保持層の厚さは、粒子の平均粒径の50〜80%である、プレス成形装置。

Description

本発明は、プレス成形技術に関する。
自動車を構成する外板パネルの中には、例えば図1に示されるドアアウターパネルのようにエンボス加工により形成される凹部(以下、“エンボス部”)を有する外板パネルがある。エンボス部は通常、プレス成形装置によりブランクを絞り加工することで形成されるが、プレス成形時においてはエンボス部の周囲からエンボス部に流入する材料の移動量が不均一となり、外板パネルの意匠面に数十ミクロンから数百ミクロン程度の面歪が発生することがある。ドアアウターパネルのエンボス部の場合は、図1中の黒丸印の位置において面歪が発生しやすい。面歪が発生した外板パネルに光が当たると、面歪が模様のように外観に現れ、製品の外観品質基準を満たすことができない場合がある。
また、近年は外板パネルにキャラクターラインを設けることも多くなっている。キャラクターラインとは、外板パネルに形成される線状の凸部であって、少なくとも二つの面で挟まれる稜線のことをいう。このようなキャラクターラインを形成する際には、パンチの先端がブランクに接触して生じる局部的かつ微小な曲げ部が成形過程で移動するといった線ずれが起こることが知られている。線ずれの程度が大きい場合には、前述の面歪と同様に製品の外観品質基準を満たすことができない場合がある。
これらの面歪や線ずれを抑えるためには、プレス成形時における材料の移動をある程度抑えることが有効である。そのような材料の移動を抑制するプレス成形装置として、特許文献1にはブランクを押さえる部分にビードが設けられたダイと、そのビードが嵌まる溝が設けられたクッションリングを備えたプレス成形装置が開示されている。特許文献1のプレス成形装置においては、ダイのビードとクッションリングの溝にブランクを挟み込むことで、ブランクの保持力を高めた状態でプレス成形を行うことができる。
特許文献2には、合成樹脂層の上面に形成された多数の鋼球からなる皺押えビードを有したコンクリート製のプレス型が開示されている。特許文献3には、素材の縁部を挟持する鍵歯状突起を有するプレス型が開示されている。特許文献4には、パンチの肩部に硬質被膜が形成され、パンチの側面に潤滑性被膜が形成されることでパンチの肩部と側面とで摩擦力が異なる金型が開示されている。特許文献5には、粒状メッキ処理により微小凹凸層が形成された成形型が開示されている。
特開2010−125472号公報 特開昭53−052269号公報 実開昭58−081027号公報 特開平9−253770号公報 特開2004−298954号公報
特許文献1のプレス成形装置によれば、面歪や線ずれをある程度抑えることは可能であるが、ビードを設けてブランクを保持するだけでは、プレス成形中の材料の移動を十分に抑えることはできない。特に、ブランクの板厚が薄い場合にはブランクがビードと溝の間をすり抜けるように移動しやすいため、面歪や線ずれを十分に抑えることができない。また、面歪や線ずれ等のプレス成形中の材料の移動に起因する成形不良は、自動車の外板パネルに限らず、他のプレス成形品においても起こり得る。
特許文献2のプレス型は、プレス成形中に鋼球への入力荷重が大きくなり、合成樹脂層から鋼球が脱落したり、被加工材に割れが生じるおそれがある。特許文献3のプレス型は、鍵歯状突起が材料に噛み込むことで材料を保持する力が大きくなりすぎて、プレス成形中の材料の移動が過剰に制限される。これにより、所望形状への成形が困難になる場合がある。特許文献4の金型は、ダイとしわ押さえの間における被加工部材を押さえる力が小さく、プレス成形中の材料の移動を十分に抑えることができない。特許文献5の成形型は、ワークを押さえる部分に平面状の微小凹凸層が形成されているが、平面状の微小凹凸層ではワークを押さえる力が十分ではなく、プレス成形中の材料の移動を十分に抑えることができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレス成形中の材料の移動に起因する成形不良を抑えることを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一態様は、プレス成形装置であって、成形領域に頂部を有するパンチと、前記パンチの前記頂部に対向するダイと、前記パンチの側方において前記ダイに対向するブランクホルダーと、前記ダイの非成形領域または前記ブランクホルダーに設けられたビードと、前記ダイおよび前記ブランクホルダーのうち、前記ビードが設けられていない方に設けられた、前記ビードに嵌合可能である溝と、前記ビードおよび前記溝の肩部の少なくともいずれか一方に設けられた、粒子固着部とを備え、前記粒子固着部は、ビッカース硬さが700以上の粒子と、該粒子を保持する保持層とを有し、前記保持層の硬さは、前記粒子の硬さよりも小さく、前記粒子の平均粒径は、30〜600μmであり、前記保持層の厚さは、前記粒子の平均粒径の50〜80%であることを特徴としている。
別の観点による本発明の一態様は、プレス成形品の製造方法であって、ダイおよびブランクホルダーの一方にビードが、他方に該ビードに嵌合可能である溝が設けられ、かつ、前記ビードおよび前記溝の肩部の少なくともいずれか一方に、ビッカース硬さが700以上の粒子と、該粒子を保持する保持層とを有した粒子固着部が設けられ、かつ、前記保持層の硬さが前記粒子の硬さよりも小さく、前記粒子の平均粒径が30〜600μmであり、前記保持層の厚さが前記粒子の平均粒径の50〜80%である、プレス成形装置を用い、ブランクの非意匠面側がパンチ側に向くようにして前記パンチと前記ダイとの間に前記ブランクを配置してプレス成形を行い、プレス成形品を製造することを特徴としている。
なお、本明細書における“ブランクホルダー”は、絞り加工や曲げ加工に関わらず、ブランクのしわ押さえとして機能する部材を意味し、例えば曲げ加工時に用いられるパッドも含まれる。
本発明においては、ブランクを押さえる部分に設けられたビードおよびビードが嵌まり込む溝の肩部の少なくともいずれか一方に粒子固着部が設けられていることで、プレス成形の際のブランクの保持力が高まり、プレス成形中の材料の移動を制限することができる。
本発明によれば、プレス成形中の材料の移動に起因する成形不良を抑えることができる。
自動車側面の外板パネルを示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るプレス成形装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るパンチおよびブランクホルダーを示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る粒子固着部の拡大図である。 本発明の第1の実施形態に係るプレス成形装置の動作を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るプレス成形装置の動作を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るプレス成形装置の動作を示す図である。 ビード形状の一例を示す図である。 ビード形状の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るプレス成形装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の別の実施形態に係るビードと溝の拡大図である。 本発明の別の実施形態に係るビードと溝の拡大図である。 本発明の別の実施形態に係るビードと溝の拡大図である。 保持層の厚さおよび粒子の平均粒径の測定法を説明するための図である。 本発明の別の実施形態に係るプレス成形装置の概略構成を示す断面図である。 平板摺動試験の方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態では、エンボス部を有するプレス成形品(例えば自動車の外板パネル)を製造するプレス成形装置について説明する。図2に示すように本実施形態のプレス成形装置1は、下型として設けられたパンチ2と、上型として設けられたダイ3と、パンチ2の側方においてダイ3に対向するように設けられたブランクホルダー4を備えている。図3に示すようにブランクホルダー4はパンチ2の周囲を囲むように配置されている。また、本実施形態においては、パンチ2およびブランクホルダー4が昇降機構(不図示)によって昇降可能に構成されている。本実施形態のプレス成形装置1は、1回のプレス成形で部品を1つ製造する1個取りの装置構成であるが、装置構成は本実施形態で説明するものに限定されない。なお、本実施形態では下型のパンチ2を可動式、上型のダイ3を固定式としているが、パンチ2を固定式、ダイ3を可動式としても良い。また、上型をパンチ2、下型をダイ3としても良い。すなわち、パンチ2およびダイ3の少なくともいずれか一方が上下動し、互いに接近可能な構成であれば、パンチ2やダイ3の昇降動作に関する構成は限定されない。
パンチ2の頂部5は、パンチ2の成形領域Raに設けられる。パンチ2の成形領域Raとは、パンチ2において、プレス成形により得られる成形品の成形面を形成する領域を意味する。頂部5には凸部5aと、その凸部5aに周囲を囲まれた凹部5bとが形成され、図3に示すように凹部5bは平面視で略楕円形状となっている。図2に示すようにダイ3の成形領域Rbには、パンチ頂部5の凹部5bに対応した形状の凸部3aが形成されている。ダイ3の成形領域Rbとは、ダイ3において、プレス成形により得られる成形品の成形面を形成する領域を意味する。プレス成形時においては、このダイ3の凸部3aとパンチ2の凹部5bによってブランクSにエンボス部が形成される。
ブランクホルダー4のダイ3に対向する面には、ダイ3側に突出したビード6が設けられている。ビード6は、図2のようにプレス成形装置1の奥行き方向Yに垂直な断面視において半円状であり、図3に示すように本実施形態においてはパンチ2の周囲を囲むようにして4つの直線状のビード6が設けられている。また、ダイ3の非成形領域Rcにはビード6が嵌合可能な溝7が形成されている。ダイ3の非成形領域Rcとは、プレス成形により得られる成形品の成形面を形成しない領域、すなわちダイ3の成形領域Rb以外の領域を意味する。本実施形態の場合、ダイ3の、ブランクホルダー4に対向する部分がダイ3の非成形領域Rcである。ブランクSは、プレス成形時にブランクホルダー4のビード6とダイ3の溝7に挟まれることで保持される。
ブランクホルダー4のビード6の表面には粒子固着部10が設けられている。本実施形態の粒子固着部10はビード6全体を覆うように設けられている。なお、図2および図3においては粒子固着部10の説明の便宜のために、ブランクホルダー4と粒子固着部10の実際の大きさの相対的な関係に対して粒子固着部10を拡大して図示している。
図4に示すように粒子固着部10は、粒子10aと、当該粒子10aを基材(本実施形態ではブランクホルダー4のビード6)に固着させる保持層10bとを有している。粒子10aを固着する方法は特に限定されないが、例えば切削工具の刃先への砥粒接着技術を応用することが可能であり、具体的には電着塗装や溶着などの方法によって粒子10aを基材に固着することができる。電着塗装で粒子10aを基材に固着させる場合は、粒子10aが含まれた液層の中に基材を浸漬し、その浸漬している部分に電圧をかける。電着塗装の場合の保持層10bは、例えばニッケルメッキ層やクロムメッキ層である。
溶着で粒子10aを基材に固着させる場合は、粒子10aの表面に金属メッキを施し、その粒子10aを基材表面に直接ろう付けする。この場合、ろうが保持層10bの役割を果たす。ろう付けの場合のろうは、例えば銀および銅を含む組成のもの(いわゆる銀ろう)が採用され得る。
(粒子の硬さ)
粒子固着部10の粒子10aは、700以上のビッカース硬さを有している。このような粒子10aを有する粒子固着部10がブランクホルダー4のビード6に設けられていることにより、粒子固着部10を有しないビード6が形成されたブランクホルダー4を用いる場合に比べ、プレス成形時におけるビード6とブランクSとの間の摩擦力を大きくすることができる。一方、粒子10aのビッカース硬さが700未満の場合には、プレス成形時に粒子10aがブランクSに噛み込みにくくなり、ビード6とブランクSとの間の摩擦力を十分に得ることができない。なお、粒子10aのビッカース硬さは1500以上であることが好ましく、2000以上であることがさらに好ましい。粒子固着部10の粒子10aの種類は、金属粒子であるか非金属粒子であるかを問わず、ブランクSの硬さに応じて適宜選択されるが、例えば超硬合金(ビッカース硬さ:1700〜2050)、溶融アルミナ(ビッカース硬さ:2100)、炭化ケイ素(ビッカース硬さ:2500)、炭化ホウ素(ビッカース硬さ:2750)、セラミック(ビッカース硬さ:2800)、ダイヤモンド(ビッカース硬さ:9000)等が用いられる。
また、粒子固着部10において保持層10bの硬さが粒子10aの硬さよりも大きい場合、保持層10bが塑性変形しにくくなり、硬い材料のプレス成形を行う際に粒子10aが保持層10bから脱落するおそれがある。したがって、保持層10bの硬さは、粒子10aの硬さよりも小さい必要がある。保持層10bの硬さは、粒子10aの硬さの50%以下であることが好ましい。なお、保持層10bの硬さは、粒子10aの硬さの40%以下又は30%以下であることがより好ましい。また、保持層10bの硬さをビッカース硬さで1000以下、900以下又は800以下としてもよい。
本明細書における粒子10aおよび保持層10bの硬さは、JIS Z2244:2009に準拠して測定されたものである。なお、粒子10aの平均粒径が200μm以上の場合の粒子10aの硬さは、HV0.01、すなわち試験力が10gF(98.07mN)のときの硬さであり、粒子10aの平均粒径が50μm以上、200μm未満の場合の粒子10aの硬さは、HV0.0005、すなわち試験力が0.5gF(4.903mN)のときの硬さであり、粒子10aの平均粒径が50μm未満の場合の粒子10aの硬さは、HV0.00005、すなわち試験力が0.05gF(0.4903mN)のときの硬さである。また、保持層10bの厚さが200μm以上の場合の保持層10bの硬さは、HV0.01、すなわち試験力が10gF(98.07mN)のときの硬さであり、保持層10bの厚さが50μm以上、200μm未満の場合の保持層10bの硬さは、HV0.0005、すなわち試験力が0.5gF(4.903mN)のときの硬さであり、保持層10bの厚さが50μm未満の場合の保持層10bの硬さは、HV0.00005、すなわち試験力が0.05gF(0.4903mN)のときの硬さである。
(粒子の平均粒径に対する保持層の厚さ)
粒子固着部10における保持層10bの厚さHは、粒子10aの平均粒径Dの50〜80%となっている。粒子10aの平均粒径Dに対する保持層10bの厚さHは、(保持層10bの厚さH/粒子10aの平均粒径D)×100(%)として算出され、保持層10bから突出する粒子10aの高さを示す指標である。
保持層10bの厚さHが粒子10aの平均粒径Dの50%未満であると、保持層10bから突出する粒子10aの高さが高くなり、ビード6とブランクSとの摩擦力が向上する。しかし、それぞれの粒子10aへの入力荷重が大きくなる。
これにより、粒子10aが保持層10bから脱落し易くなるとともに、粒子10aが摩耗し易くなる。このため、粒子固着部10の保持性および耐摩耗性を向上させるために、保持層10bの厚さHは、好ましくは粒子10aの平均粒径Dの50%以上であり、より好ましくは粒子10aの平均粒径Dの55%以上であり、さらに好ましくは粒子10aの平均粒径Dの60%以上である。
一方、保持層10bの厚さHが粒子10aの平均粒径Dの80%を超えると、保持層10bに埋没する粒子10aの数が増加し、粒子固着部10とブランクSの摩擦力を十分に高めることができない。このため、保持層10bの厚さHは、好ましくは粒子10aの平均粒径Dの80%以下であり、より好ましくは粒子10aの平均粒径Dの75%以下であり、さらに好ましくは粒子10aの平均粒径Dの70%以下である。
保持層10bの厚さHの測定法を説明する。図3に示すパンチ2の平面視において、粒子固着部10の内側(パンチ2側)の全長をWとし、前記Wの任意の点の始端位置をOとする。この際、0W位置、0.25W位置、0.50W位置、0.75W位置からそれぞれ周囲方向ヘ±2.0mmの範囲を観察箇所とする。これらの観察箇所について、粒子固着部10に垂直な断面の光学顕微鏡試料を作製し、0W位置、0.25W位置、0.50W位置および0.75W位置の断面における、前記観察箇所(周囲方向ヘ±2.0mmの範囲)を観察する。各観察箇所において、保持層10bの厚さ(パンチ表面に垂直な方向の長さ)を各20点測定し、計80点の平均値を保持層10bの厚さとする。
(平均粒径)
次に、粒子10aの平均粒径の測定法を説明する。図3に示すパンチ2の平面視において、粒子固着部10の内側の全長をWとし、前記Wの任意の点を始端位置Oとする。この際、0W位置、0.25W位置、0.50W位置および0.75W位置からそれぞれ周囲方向へ−2mm,−1mm,0mm,1mm,2mmの位置において、粒子固着部10に垂直な断面の光学顕微鏡試料を作製し、光学顕微鏡で観察する。これらの観察箇所の断面20箇所において、各箇所で少なくとも10個の粒子10aの粒径を測定し、その測定結果の平均値を粒子10aの平均粒径とする。なお、粒子10aの個々の粒径については、粒子10a単体の長辺と短辺の平均値を粒径と定義する。前記観察箇所の観察視野の外縁と重なった粒子10aの粒径については測定せず、当該粒子10aは平均粒径の算出の際には無視される。
粒子10aの平均粒径は30〜600μmである必要がある。粒子10aの平均粒径が30μm以上であれば、ブランクSのプレス成形時において十分な面圧がブランクSに加わるので、ビード6とブランクSとの摩擦力が十分に確保される。粒子10aの平均粒径は、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは60μm以上である。また、粒子10aの平均粒径が80μm以上である場合には、プレス成形の際のブランクSの保持力がさらに高まり、プレス成形中の材料の移動を制限する効果が顕著に高まる。粒子10aの平均粒径は、より好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは120μm以上である。
また、粒子10aの平均粒径が600μm以下であれば、ブランクSのプレス成形時において、粒子10aが保持層10bから脱落しにくくなる。粒子10aの平均粒径は、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは450μm以下であり、さらに好ましくは400μm以下である。
なお、図4に示すように、粒子10aは、粒子10aの上部が保持層10bから露出するように保持層10bに埋め込まれている。発明者らによる検討の結果、粒子10aの各々の保持層10bの埋没の程度、すなわち粒子10aの上部の露出の程度にかかわらず、粒子10aの平均粒径に対する保持層10bの厚さが上記の所定の範囲内であれば、粒子10aの保持性および耐摩耗性を担保しつつ、粒子固着部10とブランクSとの摩擦力を十分に確保することができることが分かった。このことから、保持層10bの厚さと粒子10aの平均粒径との関係を規定することにより、プレス加工においてエンボス部周囲の面歪を抑制できる。
(粒子率)
粒子固着部10の粒子率は、好ましくは5〜20%であり、さらに好ましくは8〜18%である。粒子率は、一定領域内における粒子の密集度を示す指標となるものであり、(粒子固着部10中の粒子10aの総面積/粒子固着部10の面積)×100(%)として算出される。粒子率は次のようにして測定される。まず、図3に示すパンチ2の平面視において、粒子固着部10の内側の全長をWとし、前記Wの任意の点を始端位置Oとする。この際、0W位置、0.25W位置、0.50W位置および0.75W位置からそれぞれ周囲方向へ−2mm,−1mm,0mm,1mm,2mmの位置において、粒子固着部10に垂直な断面の光学顕微鏡試料を作製し、光学顕微鏡で少なくとも10個の粒子を含む粒子固着部10を観察する。これらの観察箇所の断面20箇所における個々の粒子10aの面積の総合計Aと保持層10bの面積の総合計Bを測定する。そして、A/(A+B)×100(%)を粒子率とする。
粒子率が5%以上であれば、粒子10aが十分に粒子固着部10の表面に分散されるので、ビード6とブランクSとの摩擦力をより十分に確保できる。また、粒子率が8%以上であれば、その効果をさらに得やすくなる。粒子固着部10の粒子率は、より好ましくは10%以上であり、さらに好ましくは12%以上である。
また、粒子率が20%以下であれば、粒子固着部10中の粒子10a分散の程度(例えば粒子間の距離)が最適となり、粒子10a間における目詰まりが生じにくくなる。そうすると、操業条件にかかわらず、ビード6とブランクSとの間の摩擦力を十分維持することができる。また、粒子率が18%以下であれば、その効果をさらに得やすくなる。粒子固着部10の粒子率は、より好ましくは15%以下である。
本実施形態のプレス成形装置1は以上のように構成されている。次に、上記のプレス成形装置1を用いた、エンボス部を有するプレス成形品の製造方法について説明する。なお、以下の説明で参照する図5〜図7においては粒子固着部10が図示されていないが、前述のようにブランクホルダー4のビード6には粒子固着部10が設けられている。
まず、図2のようにダイ3とブランクホルダー4との間にブランクSを配置する。この際にブランクSの、製品の外観に現れる面(意匠面)と外観に現れない面(非意匠面)のうち、非意匠面側がパンチ2側に向くようにしてブランクSを配置する。なお、ブランクSは鋼板に限定されず、アルミニウム合金板やチタン合金板等の他の金属板であっても良い。
続いて、図5のようにブランクホルダー4を上昇させ、ダイ3とブランクホルダー4との間にブランクSを固定する。ここではブランクホルダー4のビード6の形状に沿うようにしてブランクSの端部が変形する。このとき、ブランクホルダー4のビード6には粒子固着部10が設けられているために、ブランクホルダー4のビード6とブランクSとが接触することにより、粒子固着部10の粒子10aがブランクSに噛み込み、両者の間の摩擦力が大きくなる。
その状態で図6のようにパンチ2を上昇させる。ここでパンチ2の頂部5がブランクSに接触し、ブランクSが変形していく。この変形に伴い、パンチ2の頂部5に向かって材料が引き込まれるように移動しようとするが、本実施形態においては粒子固着部10によりブランクホルダー4のビード6とブランクSとの間の摩擦力が大きいために、材料の移動量が少なくなる。
そして、図7のようにさらにパンチ2を上昇させ、ダイ3の凸部3aにブランクSが接触すると、ブランクSがパンチ頂部5の凹部5bに押し込まれるようにして変形する。このとき、材料が凹部5b内に引き込まれるように移動しようとするが、前述のようにブランクホルダー4のビード6とブランクSとの間の摩擦力が大きいために、材料の移動が制限される。すなわち、エンボス部の周囲における材料の移動量が少なくなり、面歪の発生を抑えることが可能となる。
その状態のまま、パンチ2を上死点まで上昇させることで、エンボス部を有するプレス成形品を得ることができる。
このように第1の実施形態のプレス成形装置1においては、ブランクホルダー4のビード6に粒子固着部10を設けることにより、エンボス部を有するプレス成形品の面歪を抑えることが可能となる。特に、本実施形態のようなプレス成形装置1においては、板厚が0.6mm以下の鋼板や、板厚が1.2mm以下のアルミニウム合金板といった従前のブランクホルダーのビード6では押さえることが困難であったブランクSも押さえることが可能となる。すなわち、ブランクSの板厚が薄い場合にも、面歪の発生を抑えた状態でエンボス部を有するプレス成形品を製造することができる。
なお、本実施形態においては、ブランクホルダー4のビード6の全体を覆うように粒子固着部10を設けることとしたが、成形不良が発生しやすい箇所の材料の移動を抑えることができれば、粒子固着部10を部分的に設けるようにしても良い。
また、ビード6の形状は本実施形態で説明したものに限定されず、例えば図8のようにブランクホルダー4の全周にわたって一続きのビード6を形成し、そのビード6を覆うように粒子固着部10を設けても良い。この場合、ブランクSとの摩擦力が大きくなり、プレス成形時におけるブランクSの保持力を高めることができる。また例えば図9に示すようにブランクホルダー4の四隅にビード6を形成し、そのビード6を覆うように粒子固着部10を設けても良い。プレス成形時における材料の移動はブランクSの角部で起こりやすいことから、図9のようにブランクホルダー4の角部のみに粒子固着部10を設ける場合であってもプレス成形時におけるブランクSの保持力を十分に確保することができ、面歪を抑制することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、キャラクターラインを有するプレス成形品(例えば自動車の外板パネル)を製造するプレス成形装置1について説明する。図10に示すように第2の実施形態のプレス成形装置1においては、パンチ2およびダイ3の形状が第1の実施形態のものとは異なり、パンチ2の頂部5が凸部5aのみで構成されている。この凸部5aは、形成するキャラクターラインの形状に対応するようにしてプレス成形装置1の奥行き方向Yに沿って延びた形状となっている。また、ダイ3の形状もパンチ2の凸部5aに対応した形状となっている。その他の構成については第1の実施形態と同様である。
本実施形態のプレス成形装置1においても、粒子固着部10によりプレス成形中はビード6とブランクSとの摩擦力が大きい状態にあり、プレス成形中の材料の移動量を少なくすることができる。すなわち、パンチ2とブランクSの初期の接触で生じる曲げ部の移動が制限され、線ずれを抑えることが可能となる。なお、図10に示すプレス成形装置1の構成はブランクSにキャラクターラインを1本だけ形成する場合のものであるが、キャラクターラインが2本以上の場合や三次元に湾曲するような形状の場合のプレス成形装置1においても、粒子固着部10によりプレス成形中の材料の移動を制限することができ、線ずれを抑えることができる。
したがって、ブランクホルダー4のビード6に粒子固着部10が設けられていれば、第1の実施形態のようなエンボス部を有するプレス成形品の面歪を抑えられるだけでなく、キャラクターラインを有するプレス成形品の線ずれも抑えることが可能である。また、面歪や線ずれが懸念されるプレス成形品のみならず、プレス成形中の材料の移動に起因する成形不良が懸念されるプレス成形品に対しても、粒子固着部10が設けられることによって成形不良を抑えた状態でプレス成形品を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば上記実施形態では、ブランクホルダー4のビード6に粒子固着部10を設けることとしたが、図11に示すようにダイ3の溝7の肩部7aに粒子固着部10を設けても良い。この構成の場合、プレス成形時においてはビード6によって溝7に押し込まれるブランクSが、粒子固着部10が設けられた肩部7aに接触する。このため、プレス成形中は肩部7aとブランクSとの間の摩擦力が大きくなり、ブランクSの材料の移動が制限される。すなわち、粒子固着部10がダイ3側に設けられている場合にも、プレス成形中の材料の移動に起因する成形不良の発生を抑えることができる。なお、ブランクホルダー4のビード6と、ダイ3の溝7の肩部7aの両方に粒子固着部10を設けても良い。
また、ブランクホルダー4のビード6の形状は上記実施形態で説明したものに限定されない。例えば図12に示すように、ブランクホルダー4のビード6は上端部が平面状に形成されていても良い。この場合であっても、ビード6の肩部6aに粒子固着部10が設けられていれば、ビード6の肩部6aとブランクSとの摩擦力を大きくすることができ、プレス成形中における材料の移動量を少なくすることができる。図12のようにビード6の上端部が平面状である場合には、図13に示すようにビード6の肩部6aではなく、ダイ3の溝7の肩部7aに粒子固着部10を設けても良い。また、ビード6の肩部6aと溝7の肩部7aの両方に粒子固着部10を設けても良い。なお、図11〜図13においては粒子固着部10の説明の便宜のために、粒子固着部10を実際の大きさに対して拡大して図示している。
ここで、図11〜13に示すような粒子固着部10の場合における保持層10bの厚さHの測定法を説明する。図3に示す場合と同様に、粒子固着部10の内側の全長をWとし、0W位置、0.25W位置、0.50W位置、0.75W位置を定め、各位置における全周方向に直交する方向の複数箇所で測定を行う。図14は0W位置における観察箇所を示す図であるが、粒子固着部10の全周方向に直交する長さをLとしたときに、0.25L位置、0.50L位置、0.75L位置からそれぞれ周囲方向ヘ±2.0mmの範囲を観察箇所とする。これらの観察箇所について、粒子固着部10に垂直な断面の光学顕微鏡試料を作製し、0.25L位置、0.50L位置および0.75L位置の断面における、前記観察箇所(周囲方向ヘ±2.0mmの範囲)を観察する。各観察箇所において、保持層10bの厚さ(パンチ表面に垂直な方向の長さ)を各20点測定する。同様の測定を0.25W位置、0.50W位置および0.75W位置でも行い、計240点の平均値を保持層10bの厚さとする。
次に、図11〜13に示すような粒子固着部10の場合における粒子10aの平均粒径の測定法を説明する。図3に示す場合と同様に、粒子固着部10の内側の全長をWとし、0W位置、0.25W位置、0.50W位置、0.75W位置を定め、各位置における全周方向に直交する方向の複数箇所で測定を行う。そして、粒子固着部10の全周方向に直交する長さをLとしたときに、0.25L位置、0.50L位置、0.75L位置からそれぞれ周囲方向へ−2mm,−1mm,0mm,1mm,2mmの位置において、粒子固着部10に垂直な断面の光学顕微鏡試料を作製し、光学顕微鏡で観察する。これらの観察箇所の断面60箇所において、各箇所で少なくとも10個の粒子10aの粒径を測定し、その測定結果の平均値を粒子10aの平均粒径とする。なお、粒子10aの個々の粒径については、粒子10a単体の長辺と短辺の平均値を粒径と定義する。前記観察箇所の観察視野の外縁と重なった粒子10aの粒径については測定せず、当該粒子10aは平均粒径の算出の際には無視される。
上記実施形態ではブランクホルダー4にビード6を設けることとしたが、図15に示すようにダイ3の非成形領域Rcにビード6を設け、ブランクホルダー4のダイ3に対向する面に溝7を設けるようにしても良い。この場合でも、ダイ3のビード6およびブランクホルダー4の溝7の肩部7aの少なくともいずれか一方に粒子固着部10が設けられていれば、ブランクSとの摩擦力を大きくすることができ、プレス成形中の材料の移動を抑えることができる。すなわち、ダイ3とブランクホルダー4とが対向する部分に設けられるビード6および溝7は、ダイ3とブランクホルダー4の一方にビード6が設けられ、他方に溝7が設けられていれば良い。
粒子固着部を有する治具を作成し、摺動試験を実施した。治具は、図16のように凸部を有した第1の部材と、凸部が嵌合する凹部を有した第2の部材から構成され、第2の部材の凸部には粒子固着部が形成されている。第1の部材および第2の部材は、それぞれ長さがL2[mm]であり、幅(図16の紙面垂直方向の長さ)がW2[mm]である。
摺動試験は次の手順で行われる。(1)長さがL1[mm]、幅がW1[mm]の平板を第1の部材と第2の部材の間にセットする。(2)第1の部材と第2の部材で平板の中央部を挟み込んで治具に平板を固定した状態(ロック状態)とする。(3)治具に荷重P1[kN]をかけて平板を固定した状態のまま、治具から突出した平板の一方の端部を荷重P2[kN]で引っ張る。
摺動試験は硬さや粒径等が異なる粒子固着部を有した複数の試験片に対して行われ、三段階評価によって各試験片の粒子固着部を評価した。詳述すると、平板引張前における、引張側と反対側の、治具から突出した平板端部の長さをL、平板の引張後における、引張側と反対側の、治具から突出した平板端部の長さをΔLとして、ΔL/Lが80%未満の場合は評価を“C”とし、ΔL/Lが80%以上、90%未満の場合は評価を“B”とし、ΔL/Lが90%以上の場合は評価を“A”とした。プレス成形中の材料の移動を制限し、成形不良を抑制する観点においては、ΔL/Lが80%以上であることが目標とされる。すなわち、評価がBの場合には、材料の移動に起因する成形不良の発生を抑えることができ、評価がAの場合には、さらに効果的に成形不良の発生を抑えることができる。なお、実際のプレス成形試験により、粒子固着部がないビードより上記摺動試験で評価Cの粒子固着部を有するビードの方がプレス成形品の外観がより良好となり、評価Cより評価Bの粒子固着部を有するビードの方がプレス成形品の外観がより良好となり、また、評価Bより評価Aの粒子固着部を有するビードの方が、プレス成形品の外観がより良好となることを確認している。
平板摺動試験の条件と結果を下記表1に示す。なお、表1に示される粒子の材質のうち、CBNとはCubic Boron Nitrideである。また、超硬合金は、ニッケルとタングステンカーバイドからなるものである。
Figure 2019188850
比較例1では、粒子のビッカース硬さが小さすぎることにより平板と粒子固着部の摩擦力が小さく、平板の移動を十分に抑えることができなかった。比較例2では、粒子の平均粒径が大きすぎるために各々の粒子への入力荷重が大きくなり、保持層から脱落する粒子が多かった。そして、粒子の脱落に伴い、平板を押さえる力が小さくなり、平板の移動を十分に抑えることができなかった。比較例3では、粒子の平均粒径が小さすぎることにより平板と粒子固着部の摩擦力が小さく、平板の移動を十分に抑えることができなかった。比較例4では、粒子の平均粒径に対する保持層の厚さが薄すぎるために各々の粒子への入力荷重が大きくなり、保持層から脱落する粒子が多かった。そして、粒子の脱落に伴い、平板を押さえる力が小さくなり、平板の移動を十分に抑えることができなかった。比較例5では、粒子の平均粒径に対する保持層の厚さが厚すぎて保持層に埋没する粒子が増え、平板と粒子固着部の摩擦力が小さく、平板の移動を十分に抑えることができなかった。
一方、実施例1〜9においては、平板の移動を十分に抑えることができた。また、例えば実施例1、実施例4および実施例5の試験結果は、実施例2および実施例3の試験結果に対し、さらに良好なものとなった。本試験結果に鑑みれば、粒子の平均粒径は80μm以上であることが好ましい。また、例えば実施例1、実施例8および実施例9の試験結果は、実施例6および実施例7の試験結果に対し、さらに良好なものとなった。本試験結果に鑑みれば、粒子固着部の粒子率は5〜20%であることが好ましい。
本発明は、エンボス部を有するプレス成形品やキャラクターラインを有するプレス成形品の製造に利用することができる。
1 プレス成形装置
2 パンチ
3 ダイ
3a ダイの凸部
4 ブランクホルダー
5 パンチ頂部
5a パンチ頂部の凸部
5b パンチ頂部の凹部
6 ビード
6a ビードの肩部
7 溝
7a 溝の肩部
10 粒子固着部
10a 粒子
10b 保持層
D 平均粒径
H 保持層の厚さ
a パンチの成形領域
b ダイの成形領域
c ダイの非成形領域
S ブランク
Y プレス成形装置の奥行き方向

Claims (6)

  1. プレス成形装置であって、
    成形領域に頂部を有するパンチと、
    前記パンチの前記頂部に対向するダイと、
    前記パンチの側方において前記ダイに対向するブランクホルダーと、
    前記ダイの非成形領域または前記ブランクホルダーに設けられたビードと、
    前記ダイおよび前記ブランクホルダーのうち、前記ビードが設けられていない方に設けられた、前記ビードに嵌合可能である溝と、
    前記ビードおよび前記溝の肩部の少なくともいずれか一方に設けられた、粒子固着部とを備え、
    前記粒子固着部は、ビッカース硬さが700以上の粒子と、該粒子を保持する保持層とを有し、
    前記保持層の硬さは、前記粒子の硬さよりも小さく、
    前記粒子の平均粒径は、30〜600μmであり、
    前記保持層の厚さは、前記粒子の平均粒径の50〜80%である。
  2. 請求項1に記載のプレス成形装置において、
    前記粒子の平均粒径が80μm以上である。
  3. 請求項1または2に記載のプレス成形装置において、
    固着された前記粒子の粒子率は5〜20%である。
    ただし、前記粒子率は、(前記粒子の総面積/前記粒子固着部の面積)×100(%)として算出される。
  4. プレス成形品の製造方法であって、
    ダイおよびブランクホルダーの一方にビードが、他方に該ビードに嵌合可能である溝が設けられ、かつ、前記ビードおよび前記溝の肩部の少なくともいずれか一方に、ビッカース硬さが700以上の粒子と、該粒子を保持する保持層とを有した粒子固着部が設けられ、かつ、前記保持層の硬さが前記粒子の硬さよりも小さく、前記粒子の平均粒径が30〜600μmであり、前記保持層の厚さが前記粒子の平均粒径の50〜80%である、プレス成形装置を用い、
    ブランクの非意匠面側がパンチ側に向くようにして前記パンチと前記ダイとの間に前記ブランクを配置してプレス成形を行い、プレス成形品を製造する。
  5. 請求項4に記載のプレス成形品の製造方法において、
    前記粒子の平均粒径が80μm以上である。
  6. 請求項4または5に記載のプレス成形品の製造方法において、
    固着された前記粒子の粒子率は5〜20%である。
    ただし、前記粒子率は、(前記粒子の総面積/前記粒子固着部の面積)×100(%)として算出される。


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