JPWO2019188495A1 - 光学異方体及びその製造方法、1/4波長板、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示パネル - Google Patents

光学異方体及びその製造方法、1/4波長板、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示パネル Download PDF

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Abstract

逆波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物を含有する液晶組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定されていてもよい前記液晶性化合物の分子を含む液晶硬化層を備え、前記液晶性化合物の測定波長590nmにおける複屈折が、0.065以下であり、前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜しており、測定波長590nmにおける前記液晶硬化層の面内レターデーションが、80nm以上190nm未満である、光学異方体。

Description

本発明は、光学異方体及びその製造方法、1/4波長板、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示パネルに関する。
光学異方体の一つとして、液晶性化合物を用いて製造される液晶硬化層を備えるものが知られている。この液晶硬化層は、一般に、液晶性化合物を含む液晶組成物を配向させ、その配向状態を維持したままで硬化させた硬化物で形成される(特許文献1参照)。
特許第5363022号公報
液晶硬化層には、通常、液晶性化合物が含まれる。この液晶性化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に対して傾斜することがある。このように分子が傾斜した液晶性化合物を含む液晶硬化層を備えた光学異方体を画像表示装置に設ける場合、良好な視野角特性を得るために、液晶性化合物の分子のチルト角を適切に調整することが望ましい。
具体的には、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル(以下、適宜「有機EL表示パネル」ということがある。)には、その表示面に、外光の反射を抑制するための反射抑制フィルムとして、円偏光板及び楕円偏光板等の偏光板が設けられることがある。この偏光板は、通常、直線偏光子と位相差フィルムとを組み合わせて含む。表示面を傾斜方向から見た場合に反射を抑制して優れた視野角特性を得る観点から、位相差フィルムは、その厚み方向において複屈折を調整することが好ましい。そこで、厚み方向に適切な複屈折を有する位相差フィルムを実現するために、本発明者らは、液晶性化合物の分子の層平面に対する傾斜角としてのチルト角が適切に調整された液晶硬化層を備える光学異方体の開発を試みた。
また、広い波長範囲において所望の光学的機能を発揮させるためには、前記の位相差フィルムは、逆波長分散性の面内レターデーションを有することが望まれる。そのため、液晶硬化層として位相差フィルムとして用いる場合には、逆波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物(以下、適宜「逆分散液晶性化合物」ということがある。)を用いることが望まれる。
ところが、従来の技術では、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を大きくすることが難しかった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を大きくできる液晶硬化層を備えた光学異方体及びその製造方法;並びに、前記の光学異方体を備える1/4波長板、偏光板及び有機EL表示パネル:を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、所定の複屈折を有する逆分散液晶性化合物を用いて、所定の面内レターデーションを有する液晶硬化層を形成した場合に、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 逆波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物を含有する液晶組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定されていてもよい前記液晶性化合物の分子を含む液晶硬化層を備え、
前記液晶性化合物の測定波長590nmにおける複屈折が、0.065以下であり、
前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜しており、
測定波長590nmにおける前記液晶硬化層の面内レターデーションが、80nm以上190nm未満である、光学異方体。
〔2〕 前記液晶性化合物が、下記式(I)又は式(II)で表される、〔1〕に記載の光学異方体。
Figure 2019188495
Figure 2019188495
(前記の式(I)及び式(II)において、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の有機基を表す。
は、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR12−C(=O)−、−C(=O)−NR12−、−O−C(=O)−NR12−、−NR12−C(=O)−O−、−S−、−N=N−、又は、−C≡C−を表す。R12は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Fx及びFxは、それぞれ独立して、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。
Qは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
、RII、RIII及びRIVは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または、−O−C(=O)−R;を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素環基、を表す。C−R、C−RII、C−RIII及びC−RIVのうち、少なくとも1つは、窒素原子に置き換えられていてもよい。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子;炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または−O−C(=O)−R;を表す。
pは、0〜3の整数を表す。
p1は、0〜4の整数を表す。
p2は、0または1を表す。
、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、または、−C≡C−を表す。R13は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。);からなる群より選ばれるいずれかの有機基を表す。R14は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びPは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又はメチル基で置換されていてもよい、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
m及びnは、それぞれ独立して、0又は1を表す。)
〔3〕 前記液晶硬化層が、第一層、第二層及び第三層を、この順に含み、
前記第一層に含まれる前記液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第一チルト角が、前記第一層において一定であり、
前記第二層に含まれる前記液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第二チルト角が、前記第二層において一定であり、且つ、前記第一チルト角とは不連続に異なり、
前記第三層に含まれる前記液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第三チルト角が、前記第三層において一定であり、且つ、前記第一チルト角及び第二チルト角とは不連続に異なる、〔1〕又は〔2〕に記載の光学異方体。
〔4〕 前記第一層、前記第二層及び前記第三層の合計厚み100%に対する、前記第一層の厚みの割合が、14%以上66%以下であり、
前記第一層、前記第二層及び前記第三層の合計厚み100%に対する、前記第二層の厚みの割合が、1%以上80%以下であり、
前記第一層、前記第二層及び前記第三層の合計厚み100%に対する、前記第三層の厚みの割合が、6%以上33%以下である、〔3〕に記載の光学異方体。
〔5〕 前記第一チルト角が、0°以上20°以下であり、
前記第二チルト角が、20°以上80°以下であり、
前記第三チルト角が、80°以上90°以下である、〔3〕又は〔4〕に記載の光学異方体。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学異方体の製造方法であって、
前記液晶組成物の層を形成する工程と、
前記液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、を含む、光学異方体の製造方法。
〔7〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学異方体を備える、1/4波長板。
〔8〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学異方体を備える、偏光板。
〔9〕 〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学異方体を備える、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル。
本発明によれば、逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を大きくできる液晶硬化層を備えた光学異方体及びその製造方法;並びに、前記の光学異方体を備える1/4波長板、偏光板及び有機EL表示パネル:を提供できる。
図1は、ある例に係る液晶硬化層のレターデーション比R(θ)/R(0°)を、入射角θに対してプロットしたグラフである。 図2は、本発明の一例に係る光学異方体を、その液晶硬化層の厚み方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。 図3は、傾斜方向から液晶硬化層のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための斜視図である。 図4は、本発明の実施例4で撮影された観察サンプルの断面の写真である。 図5は、図4の各部分を説明する説明図である。
以下、例示物及び実施形態を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある層の「面内方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行な方向を表す。
以下の説明において、ある層の「厚み方向」とは、別に断らない限り、層平面に垂直な方向を表す。よって、別に断らない限り、ある層の面内方向と厚み方向とは、垂直である。
以下の説明において、ある面の「正面方向」とは、別に断らない限り、その面の法線方向を表し、具体的には前記面の極角0°の方向を指す。
以下の説明において、ある面の「傾斜方向」とは、別に断らない限り、その面に平行でも垂直でもない方向を表し、具体的には前記面の極角が5°以上85°以下の範囲の方向を指す。
以下の説明において、用語「偏光板」及び用語「波長板」は、別に断らない限り、樹脂フィルム等の可撓性を有するフィルム及びシートを包含する。
以下の説明において、複屈折の逆波長分散性とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たすことをいう。このような逆波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を示す。
Δn(450)<Δn(550) (N1)
以下の説明において、複屈折の順波長分散性とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たすことをいう。このような順波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を示す。
Δn(450)>Δn(550) (N2)
以下の説明において、別に断らない限り、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」、「メタクリル酸」及びこれらの組み合わせを包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」、「メタクリロイル基」及びこれらの組み合わせを包含する用語である。
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、ある層の遅相軸とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸をいう。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±4°、好ましくは±3°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、別に断らない限り、ある層に含まれる液晶性化合物の分子の「チルト角」とは、その液晶性化合物の分子が層平面に対してなす角度を表す。このチルト角は、液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度に相当する。また、以下の説明においては、別に断らない限り、「チルト角」とは、液晶性化合物の分子の、当該液晶性化合物が含まれる層の層平面に対するチルト角を表す。
以下の説明において、ある層に含まれる液晶性化合物の分子の「実質最大傾斜角」とは、その層の一方の面での分子のチルト角が0°であり、且つ分子のチルト角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶性化合物の分子のチルト角の最大値をいう。具体的には、液晶性化合物を含む層の厚み方向において、液晶性化合物の分子のチルト角が、層の一側に近いほど小さく前記一側から遠いほど大きい場合を考える。実質最大傾斜角は、このような厚み方向におけるチルト角の変化の比率(即ち、一側に近いほど減少し、一側から遠いほど増加するという変化の比率)が一定であると仮定して計算される、チルト角の最大値を表す。具体例を挙げると、支持面上に形成された液晶組成物の層を硬化させて得られる液晶硬化層においては、実質最大傾斜角は、液晶硬化層の支持面側の面での分子のチルト角が0°であり、且つ、分子のチルト角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶性化合物の分子のチルト角の最大値を表す。
[1.光学異方体の概要]
本発明の一実施形態に係る光学異方体は、逆分散液晶性化合物を含有する液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を備える。逆分散液晶性化合物とは、前述の通り、逆波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物を表す。
液晶組成物の硬化物で形成されているので、液晶硬化層は、逆分散液晶性化合物の分子を含む。液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子は、配向状態を固定されていてもよい。用語「配向状態を固定された逆分散液晶性化合物」には、逆分散液晶性化合物の重合体が包含される。通常、重合によって逆分散液晶性化合物の液晶性は失われるが、本願においては、そのように重合した逆分散液晶性化合物も、用語「液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物」に含める。
液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子は、当該液晶硬化層の層平面に対して傾斜している。ある液晶性化合物の分子が層平面に対して「傾斜している」とは、その分子の層平面に対するチルト角が5°以上85°以下の範囲にあることを表す。このように傾斜した液晶性化合物の分子は、通常、層平面に対して平行でも垂直でもない状態となっている。
前記のような液晶硬化層を形成するための逆分散液晶性化合物として、本実施形態では、所定の範囲の複屈折Δnを有する逆分散液晶性化合物を用いている。このような複屈折Δnを有する逆分散液晶性化合物を用いることにより、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の層平面に対するチルト角を、液晶硬化層の全体として、大きくすることができる。特に、測定波長590nmにおける液晶硬化層の面内レターデーションが所定の範囲にある場合に、前記のチルト角を効果的に大きくすることが可能である。
[2.逆分散液晶性化合物]
逆分散液晶性化合物は、液晶性を有する化合物であり、通常、当該逆分散液晶性化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる化合物である。
また、逆分散液晶性化合物は、前記の通り、逆波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物である。逆波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物とは、当該液晶性化合物の層を形成し、その層において液晶性化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶性化合物をいう。通常は、液晶性化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶性化合物の層が逆波長分散性の複屈折を示すかどうかを調べることで、その液晶性化合物が逆波長分散性の複屈折を有するかどうかを確認できる。液晶性化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶性化合物を含む層を形成し、その層における液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向を、前記層の層平面に平行なある一の方向に配向させることをいう。
逆分散液晶性化合物の測定波長590nmにおける複屈折Δnは、通常0.065以下、好ましくは0.064以下、より好ましくは0.063以下であり、好ましくは0.035以上、より好ましくは0.040以上、特に好ましくは0.045以上である。このような範囲の複屈折Δnを採用することにより、液晶硬化層の層平面に対する逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を、液晶硬化層の全体として、大きくすることができる。
逆分散液晶性化合物の複屈折は、次の方法により測定できる。逆分散液晶性化合物を含む層を作製し、その層に含まれる液晶性化合物をホモジニアス配向させる。その後、その層の面内レターデーションを測定する。そして、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から、逆分散液晶性化合物の複屈折Δnを求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶性化合物の層は、硬化させてもよい。
具体的な複屈折Δnの測定方法は、実施例において説明した手順によって行うことができる。
逆分散液晶性化合物は、重合性を有することが好ましい。よって、逆分散液晶性化合物は、その分子が、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基等の重合性基を含むことが好ましい。重合性を有する逆分散液晶性化合物は、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の配向状態を維持したまま重合体となることができる。よって、液晶硬化層において逆分散液晶性化合物の配向状態を固定したり、液晶性化合物の重合度を高めて液晶硬化層の機械的強度を高めたりすることが可能である。
逆分散液晶性化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する逆分散液晶性化合物を用いることにより、液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
逆分散液晶性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
逆分散液晶性化合物としては、下記式(I)又は式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019188495
Figure 2019188495
(前記の式(I)及び式(II)において、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の有機基を表す。
は、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR12−C(=O)−、−C(=O)−NR12−、−O−C(=O)−NR12−、−NR12−C(=O)−O−、−S−、−N=N−、又は、−C≡C−を表す。R12は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Fx及びFxは、それぞれ独立して、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。
Qは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
、RII、RIII及びRIVは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または、−O−C(=O)−R;を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素環基、を表す。C−R、C−RII、C−RIII及びC−RIVのうち、少なくとも1つは、窒素原子に置き換えられていてもよい。
は、それぞれ独立して、ハロゲン原子;炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または−O−C(=O)−R;を表す。
pは、0〜3の整数を表す。
p1は、0〜4の整数を表す。
p2は、0または1を表す。
、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、または、−C≡C−を表す。R13は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。);からなる群より選ばれるいずれかの有機基を表す。R14は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
及びPは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又はメチル基で置換されていてもよい、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
m及びnは、それぞれ独立して、0又は1を表す。)
以下、式(I)及び式(II)について詳細に説明する。以下の式(I)及び式(II)の説明において、置換基を有する基の炭素数には、別に断らない限り、前記置換基の炭素数を含めない。よって、例えば「置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基」との記載は、置換基の炭素数を含まないアルキル基自体の炭素数が1〜6であることを表す。
(Gについて)
前記の式(I)及び式(II)において、Gは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の有機基を表す。好ましくは、Gは、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の2価の有機基を表す。
の前記有機基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の、炭素数1〜5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;が挙げられる。置換基の数は、1でもよく、2以上でもよい。また、2以上の置換基は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、置換基を含めたG全体の炭素数は、1〜50が好ましい。
の好ましい第一の例としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
の好ましい第二の例としては、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR11−C(=O)−、−C(=O)−NR11−、−NR11−、又は、−C(=O)−に置換された基、が挙げられる。R11は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。これらの「炭素数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR11−C(=O)−、−C(=O)−NR11−、−NR11−、または、−C(=O)−に置換された基」を、適宜、「置換脂肪族基(G−1)」ということがある。この置換脂肪族基(G−1)において、−O−及び−S−は、脂肪族炭化水素基中の連続した−CH−を置換しないことが好ましい。すなわち、置換脂肪族基(G−1)は、−O−O−及び−S−S−の構造を含まないことが好ましい。よって、置換脂肪族基(G−1)からは、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除くことが好ましい。また、置換脂肪族基(G−1)において、−C(=O)−は、脂肪族炭化水素基中の連続した−CH−を置換しないことが好ましい。すなわち、置換脂肪族基(G−1)は、−C(=O)−C(=O)−の構造を含まないことが好ましい。
の好ましい第一の例及び第二の例において、前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
の好ましい第一の例及び第二の例において、2価の脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素数1〜5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;が挙げられる。置換基の数は、1でもよく、2以上でもよい。また、2以上の置換基は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
の炭素数が3以上の場合、Gの両末端は、−CH−であることが好ましい。よって、Gの両末端の炭素原子に結合した水素原子は、置換基で置換されていないことが好ましい。
(Yについて)
前記の式(I)及び式(II)において、Yは、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR12−C(=O)−、−C(=O)−NR12−、−O−C(=O)−NR12−、−NR12−C(=O)−O−、−S−、−N=N−、又は、−C≡C−を表す。R12は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
(Fx及びFxについて)
前記の式(I)及び式(II)において、Fx及びFxは、それぞれ独立して、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。Fx及びFxの有機基の炭素数は、2〜30であることが好ましく、7以上が好ましく、8以上がさらに好ましく、10以上が特に好ましい。
Fx及びFxの好ましい第一の例としては、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい、炭素数2〜20の環状基、が挙げられる。環状基が2個以上の芳香族炭化水素環を有する場合、それらの芳香族炭化水素環は、同じでもよく、異なっていてもよい。また、環状基が2個以上の芳香族複素環を有する場合、それらの芳香族複素環は、同じでもよく、異なっていてもよい。
芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等の、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環が挙げられる。
芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジン環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[b]チオフェン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾピラノン環、キサンテン環等の、炭素数2〜30の芳香族複素環が挙げられる。
環状基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−O−C(=O)−R;等が挙げられる。これらの置換基は、通常、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を構成する炭素原子に結合している。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素環基、を表す。置換基を含めたR全体の炭素原子数は、1〜50が好ましい。
環状基が有する置換基の数は、1でもよく、2以上でもよい。また、2以上の置換基は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
環状基の例としては、第一に、少なくとも一つの炭素数6〜18の芳香族炭化水素環を有する、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の炭化水素環基が挙げられる。その具体例としては、フェニル基(炭素数6)、ナフチル基(炭素数10)、アントラセニル基(炭素数14)、フェナントレニル基(炭素数14)、ピレニル基(炭素数16)、フルオレニル基(炭素数13)等の、炭素数6〜18の芳香族炭化水素環基;インダニル基(炭素数9);1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基(炭素数10);1,4−ジヒドロナフチル基(炭素数10);が挙げられる。中でも、下記式(2−1)〜(2−21)で表される基が好ましい。また、下記式(2−1)〜(2−21)で表される基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、環状基が有していてもよい置換基として上述した例と同じ例が挙げられる。
Figure 2019188495
環状基の例としては、第二に、炭素数6〜18の芳香族炭化水素環及び炭素数2〜18の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、置換基を有していてもよい炭素数2〜20の複素環基が挙げられる。「芳香環」とは、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造を表す。よって、「芳香環」は、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造;並びに、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造(チオフェン環、フラン環、ベンゾチアゾール環等);を意味する。その具体例としては、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾピラノニル基等の、炭素数2〜18の芳香族複素環基;キサンテニル基;2,3−ジヒドロインドリル基;9,10−ジヒドロアクリジニル基;1,2,3,4−テトラヒドロキノリル基;ジヒドロピラニル基;テトラヒドロピラニル基;ジヒドロフラニル基;テトラヒドロフラニル基;が挙げられる。中でも、下記式(3−1)〜(3−51)で表される基が好ましい。下記式(3−1)〜(3−51)で表される基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、環状基が有していてもよい置換基として上述した例と同じ例が挙げられる。
Figure 2019188495
前記の式中、Eは、NR15、酸素原子又は硫黄原子を表す。また、前記の式中、X、Y及びZは、それぞれ独立して、NR15、酸素原子、硫黄原子、−SO−、又は、−SO−を表す(ただし、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−が、それぞれ隣接する場合を除く。)。R15は、水素原子;又は、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1〜6のアルキル基;を表す。
前記にて例示した環状基は、いずれも、置換基を有していてもよい。置換基の数は、1でもよく、2以上でもよい。また、2以上の置換基は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。これらの置換基としては、例えば、環状基が有していてもよい置換基として上述した例と同じ例が挙げられる。
Fx及びFxの好ましい第二の例としては、上述した環状基で1以上の水素原子が置換され、且つ、前記環状基以外の置換基を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。すなわち、Fx及びFxの好ましい第二の例としては、少なくとも1つの水素原子が「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい、炭素数2〜20の環状基」で置換され、且つ、前記環状基以外の置換基を有していてもよい、炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。Fx及びFxの好ましい第二の例としての前記の置換されたアルキル基を、適宜「置換アルキル基(Fx−1)」ということがある。
置換アルキル基(Fx−1)において、炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
置換アルキル基(Fx−1)において、アルキル基に置換する環状基に含まれる芳香族炭化水素環及び芳香族複素環は、アルキル基の炭素原子に、直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、−S−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR11−C(=O)−、−C(=O)−NR11などが挙げられる。
よって、置換アルキル基(Fx−1)が有する環状基には、フルオレニル基、ベンゾチアゾリル基のような、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する基;置換されていてもよい芳香族炭化水素環基;置換されていてもよい芳香族複素環基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族炭化水素環よりなる基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族複素環よりなる基;が包含される。
芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する基としては、例えば、Fx及びFxの好ましい第一の例として説明した環状基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フルオレニル基等の、炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基が挙げられる。ここで例示した芳香族炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、環状基が有していてもよい置換基として上述した例と同じ例が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾピラノニル基等の、炭素数2〜30の芳香族複素環基が挙げられる。ここで例示した芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、環状基が有していてもよい置換基として上述した例と同じ例が挙げられる。
連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基、及び、連結基を有する芳香族複素環よりなる基としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アントラセニルチオ基、フェナントレニルチオ基、ピレニルチオ基、フルオレニルチオ基、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、ピレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ベンゾイソオキサゾリルチオ基、ベンゾイソチアゾリルチオ基、ベンゾオキサジアゾリルチオ基、ベンゾオキサゾリルチオ基、ベンゾチアジアゾリルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンゾチエニルチオ基、ベンゾイソオキサゾリルオキシ基、ベンゾイソチアゾリルオキシ基、ベンゾオキサジアゾリルオキシ基、ベンゾオキサゾリルオキシ基、ベンゾチアジアゾリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンゾチエニルオキシ基、等が挙げられる。ここで例示した連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基、及び、連結基を有する芳香族複素環よりなる基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、環状基が有していてもよい置換基として上述した例と同じ例が挙げられる。
置換アルキル基(Fx−1)の好ましい例としては、下記式(4−1)〜(4−11)で表される基が挙げられる。但し、本発明は以下に示す例に限定されない。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yとの結合手を表す。下記式(4−1)〜(4−11)で表される基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、環状基が有していてもよい置換基として上述した例と同じ例が挙げられる。
Figure 2019188495
Fx中の環構造に含まれるπ電子の総数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。特には、Fx中の芳香族炭化水素環及び芳香族複素環に含まれるπ電子の総数が、前記の範囲に収まることが、特に好ましい。
また、Fx中の環構造に含まれるπ電子の総数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。特には、Fx中の芳香族炭化水素環及び芳香族複素環に含まれるπ電子の総数が、前記の範囲に収まることが、特に好ましい。
Fxは、下記式(i−1)〜(i−9)のいずれかであることが好ましい。また、Fxは、下記(i−1)〜(i−13)のいずれかであることが好ましい。下記式(i−1)〜(i−13)で表される基は、置換基を有していてもよい。
Figure 2019188495
更には、Fxは、下記式(ii−1)〜(ii−20)のいずれかであることが特に好ましい。また、Fxは、下記(ii−1)〜(ii−26)のいずれかであることが特に好ましい。下記式(ii−1)〜(ii−26)で表される基は、置換基を有していてもよい。
Figure 2019188495
Figure 2019188495
(Qについて)
前記の式(I)及び式(II)において、Qは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等が挙げられる。また、置換基としては、フェニル基及びナフタレン基等の、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が挙げられる。置換基の数は、1でもよく、2以上でもよい。また、2以上の置換基は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。置換基を含めたQの炭素数は、50以下が好ましい。
(R〜RIVについて)
前記の式(I)及び式(II)において、R、RII、RIII及びRIVは、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または、−O−C(=O)−R;を表す。R〜RIVは、すべて同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(I)及び式(II)において、環を構成するC−R、C−RII、C−RIII及びC−RIVのうち、少なくとも1つは、窒素原子に置き換えられていてもよい。このようにC−R〜C−RIVのうちの少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた基の具体例を、下記に示す。但し、C−R〜C−RIVのうちの少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた基は、これらに限定されるものではない。
Figure 2019188495
(Rについて)
前記の式(I)及び式(II)において、Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の、炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または−O−C(=O)−R;を表す。Rが複数ある場合、それらのRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
(p、p1及びp2について)
前記の式(I)及び式(II)において、pは、0〜3の整数を表す。
前記の式(I)及び式(II)において、p1は、0〜4の整数を表す。
前記の式(I)及び式(II)において、p2は、0または1を表す。
p、p1及びp2は、いずれも0であることが好ましい。
(Y〜Yについて)
前記の式(I)及び式(II)において、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、または、−C≡C−を表す。ここで、R13は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
(A、A、B及びBについて)
前記の式(I)及び式(II)において、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。
、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい炭素数2〜20の芳香族基が好ましい。
環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の、炭素数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の、炭素数5〜20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体及びトランス体の混合物であってもよいが、トランス体であることがより好ましい。
芳香族基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。
環状脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子;炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。置換基の数は、1でもよく、2以上でもよい。また、2以上の置換基は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。置換基を含めたA、A、B及びBそれぞれの炭素数は、それぞれ独立に、2〜50が好ましい。
(G及びGについて)
前記の式(I)及び式(II)において、G及びGは、それぞれ独立して、
置換基を有していてもよい、炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、
置換基を有していてもよい、炭素数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。);
からなる群より選ばれるいずれかの有機基を表す。R14は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記の「炭素数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、又は、−C(=O)−に置換された基」を、適宜、「置換脂肪族基(G−2)」ということがある。ただし、この置換脂肪族基(G−2)において、−O−及び−S−は、脂肪族炭化水素基中の連続した−CH−を置換しない。すなわち、置換脂肪族基(G−2)は、−O−O−及び−S−S−の構造を含まない。よって、置換脂肪族基(G−2)からは、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合が除かれる。また、置換脂肪族基(G−2)において、−C(=O)−は、脂肪族炭化水素基中の連続した−CH−を置換しないことが好ましい。すなわち、置換脂肪族基(G−2)は、−C(=O)−C(=O)−の構造を含まないことが好ましい。
の炭素数が3以上の場合、Gの両末端は、−CH−であることが好ましい。また、Gの炭素数が3以上の場合、Gの両末端は、−CH−であることが好ましい。よって、G及びGは、それぞれ独立に、3以上の炭素数を有する場合、当該G及びGの両末端の炭素原子に結合した水素原子は、置換基で置換されていないことが好ましい。
及びGは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素数3〜18の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、又は、−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれるいずれかの有機基であることが好ましい。
及びGは、それぞれ独立して、炭素数1〜18の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素数3〜18の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−)に置換された基;からなる群より選ばれるいずれかの有機基であることがより好ましい。
及びGは、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキレン基であることが特に好ましい。
前記のように、2価の脂肪族炭化水素基及び置換脂肪族基(G−2)は、置換基を有していてもよい。よって、2価の脂肪族炭化水素基及び置換脂肪族基(G−2)に含まれる水素原子は、置換基で置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素数1〜5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の、炭素数1〜5のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;が挙げられる。置換基の数は、1でもよく、2以上でもよい。また、2以上の置換基は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。置換基を含めたG及びGそれぞれの炭素数は、それぞれ独立に、1〜50が好ましい。
(P及びPについて)
前記の式(I)及び式(II)において、P及びPは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又はメチル基で置換されていてもよい、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。炭素数2〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
(m及びnについて)
前記の式(I)及び式(II)において、m及びnは、それぞれ独立して、0又は1を表す。m及びnは、それぞれ独立して、1が好ましい。
m及びnの両方が1である場合、前述した式(I)中のB及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の環状脂肪族基であることがより好ましい。
前記の式(I)又は式(II)で表される化合物は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、国際公開第2012/141245号、国際公開第2012/147904号、国際公開第2014/010325号、国際公開第2013/046781号、国際公開第2014/061709号、国際公開第2014/126113号、国際公開第2015/064698号、国際公開第2015−140302号、国際公開第2015/129654号、国際公開第2015/141784号、国際公開第2016/159193号、国際公開第2012/169424号、国際公開第2012/176679号、国際公開第2015/122385号等)に記載の方法を参照して合成できる。
[3.液晶組成物]
液晶組成物は、前述の逆分散液晶性化合物を含む材料である。ここで、便宜上「液晶組成物」と称する材料は、2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。液晶組成物は、前述の逆分散液晶性化合物以外の任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
任意の成分として、例えば、重合開始剤が挙げられる。重合開始剤の種類は、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、重合性の化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、重合性の化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、重合性の化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
中でも、重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、オキシムエステル系重合開始剤がより好ましい。オキシムエステル系重合開始剤とは、オキシムエステル基を含有する重合開始剤である。オキシムエステル系重合開始剤を用いることにより、液晶組成物の硬化物の耐溶解性を効果的に高めることができる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−(4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム))、エタノン,1−(9−エチル−6(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)−1−(O−アセチルオキシム)、特開2001−233842号公報に記載されたオキシムエステル系重合開始剤、などが挙げられる。また、オキシムエステル系重合開始剤の例を商品名で挙げると、BASF社製のIrgacureOXE01、IrgacureOXE02、IrgacureOXE04;ADEKA社製のアデカアークルズN−1919T、アデカアークルズNCI−730;などが挙げられる。
重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲に収まることにより、重合を効率的に進行させることができる。
別の任意の成分としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の中でも、液晶組成物の塗工性を良好にする観点、並びに、所望の液晶硬化層を安定して得る観点から、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。以下の説明において、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤を、適宜「フッ素系界面活性剤」ということがある。フッ素系界面活性剤は、フルオロアルキル基を含んでいてもよい。このフルオロアルキル基としては、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、パーフルオロアルキル基が好ましく、特に−C13基が好ましい。
フッ素系界面活性剤は、所定の範囲のlogPを有することが好ましい。「logP」とは、1−オクタノール/水分配係数のことをいう。フッ素系界面活性剤のlogPの好ましい範囲は、通常3.5以上であり、通常7.5以下である。このような範囲のlogPを有するフッ素系界面活性剤を用いることにより、液晶硬化層の層平面に対する逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を、液晶硬化層の全体として、効果的に大きくすることができる。更に、通常は、液晶硬化層での配向欠陥の発生を抑制できる。
フッ素系界面活性剤のlogPは、下記の測定方法によって測定できる。
フッ素系界面活性剤を1重量%含む試料溶液を調製し、JIS 7260−117:2006{分配係数(1−オクタノール/水)の測定−高速液体クロマトグラフィー}に概ね準拠した方法で、HPLC/ELSD分析(高速液体クロマトグラフィー/蒸発光散乱検出分析)を行って、溶出時間(r.t.)を測定する。他方、JIS 7260−117:2006に記載のある、logPの値が既知の標識化合物に、前記フッ素系界面活性剤と同じようにして、HPLC/ELSD分析を行い、溶出時間(r.t.)を測定する。標識化合物の測定結果に基づいて、溶出時間とlogPとの関係を示す検量線を作成する。その後、フッ素系界面活性剤について測定された溶出時間を、前記の検量線に当てはめることにより、フッ素系界面活性剤のlogPを求める。
この測定方法の具体的な条件は、実施例の説明において詳述する条件を採用できる。
界面活性剤はノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤がイオン性基を含まないノニオン系界面活性剤である場合に、液晶硬化層の面状態及び配向性を、特に良好にすることができる。
界面活性剤は、重合性を有さなくてもよく、重合性を有していてもよい。重合性を有する界面活性剤は、液晶組成物の層を硬化させる工程で重合できるので、通常は、液晶硬化層においては重合体の分子の一部に含まれる。
界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S420など)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(251、FTX209など)などのフッ素系界面活性剤が挙げられる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは0.50重量部以下、より好ましくは0.40重量部以下、更に好ましくは0.30重量部以下である。界面活性剤の量が前記の範囲にあることにより、所望の液晶硬化層を安定して得ることができる。
更に別の任意の成分としては、例えば、溶媒が挙げられる。溶媒としては、逆分散液晶性化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは60℃〜150℃である。
溶媒の量は、逆分散液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは550重量部以下、特に好ましくは450重量部以下である。溶媒の量を、前記範囲の下限値以上にすることにより異物発生の抑制ができ、前記範囲の上限値以下にすることにより乾燥負荷の低減ができる。
更に別の任意の成分としては、例えば、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる傾斜作用成分が挙げられる。傾斜作用成分を用いた場合、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜を促進して、逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が大きい液晶硬化層を容易に得ることができる。ただし、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜の促進は、液晶硬化層を製造する過程において操作又は条件を調整することによっても可能であるので、傾斜作用成分は必ずしも用いなくても構わない。
傾斜作用成分としては、例えば、磁場応答性を有する液晶性化合物が挙げられる。ここで、「磁場応答性を有する液晶性化合物」とは、液晶化温度において磁界を印加された場合に、その磁界によって配向状態が変化できる液晶性化合物である。磁場応答性を有する液晶性化合物を含む液晶組成物は、その配向処理の際に適切に磁界を印加されることにより、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる。
液晶性化合物が磁場応答性を有するか否かは、その分子構造から判定することは難しいが、下記の方法で判定できる。
試料としての液晶性化合物を、無配向状態で加温して、液晶相にする。この加温された液晶性化合物を偏光顕微鏡のステージに設置し、クロスニコル下で観察を行い、像を観察する。その後、加温を続けながら、ステージに平行な水平方向の磁界を、前記の液晶性化合物に対して印加する。この際の磁界の磁束密度は、光学異方体の製造方法において逆分散液晶性化合物を配向させる工程で液晶組成物の層に印加する磁界の磁束密度と同じに設定する。そして、磁界の印加を続けた状態で、液晶性化合物を観察する。磁界の印加後に観察される液晶性化合物の像が、磁界を印加する前の無配向状態の像と異なる場合、磁場応答性が有ると判定できる。また、磁界の印加後に観察される液晶性化合物の像が、磁界を印加する前の無配向状態の像と同じである場合、磁場応答性が無いと判定できる。
磁場応答性を有する液晶性化合物は、逆波長分散性の複屈折を有していてもよく、順波長分散性の複屈折を有していてもよい。順波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物を、以下、適宜「順分散液晶性化合物」ということがある。順波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物とは、当該液晶性化合物の層を形成し、その層において液晶性化合物を配向させた場合に、順波長分散性の複屈折を発現する液晶性化合物をいう。通常は、液晶性化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶性化合物の層が順波長分散性の複屈折を示すかどうかを調べることで、その液晶性化合物が順波長分散性の複屈折を有するかどうかを確認できる。
磁場応答性を有する液晶性化合物の分子量は、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下、特に好ましくは600以下である。磁場応答性を有する液晶性化合物の分子量が、前記のように小さいことにより、所望の液晶硬化層を安定して得ることができる。分子量の下限は、特段の制限は無いが、好ましくは100以上である。
磁場応答性を有する液晶性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
磁場応答性を有する液晶性化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。また、磁場応答性を有する液晶性化合物については、特開2018−163218号公報(又は特願2017−059327号の明細書)の記載を参照してよい。
Figure 2019188495
磁場応答性を有する液晶性化合物の量は、磁場応答性を有する液晶性化合物と逆分散液晶性化合物との合計100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、特に好ましくは3重量部以上であり、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、特に好ましくは20重量部以下である。磁場応答性を有する液晶性化合物の量を前記の範囲に収めることにより、液晶硬化層の層平面に対する逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を、液晶硬化層の全体として、効果的に大きくすることができる。
別の傾斜作用成分としては、例えば、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物が挙げられる。傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物を用いることにより、液晶硬化層の層平面に対する逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を、液晶硬化層の全体として、効果的に大きくすることができる。中でも、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物と、上述した好ましい範囲のlogPを有するフッ素系界面活性剤とを組み合わせて用いた場合に、液晶硬化層の全体として逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を顕著に大きくすることが可能である。
「傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物」とは、樹脂フィルムのラビング処理面に、液晶性化合物として順分散液晶性化合物を単独で含む試験用の組成物を塗工し配向処理を施して試験層を得た場合に、その試験層における順分散液晶性化合物の分子が層平面に対してなす実質最大傾斜角が、所定の範囲となることができる順分散液晶性化合物をいう。具体的には、前記の実質最大傾斜角の範囲は、通常30°以上、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上であり、通常90°以下である。試験層は、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物を逆分散液晶性化合物の代わりに用いること以外は、後述する実施例1と同じ方法で形成できる。
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物としては、特に、測定波長590nmにおける複屈折Δnが大きいものが好ましい。傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物の測定波長590nmにおける具体的な複屈折Δnは、好ましくは0.11以上、より好ましくは0.18以上、特に好ましくは0.21以上であり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.35以下、特に好ましくは0.3以下である。傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物としてこのような範囲の複屈折Δnを有するものを用いることにより、所望の液晶硬化層を容易に得ることができる。
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物は、重合性を有することが好ましい。よって、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物は、その分子が、重合性基を含むことが好ましい。
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物の分子量は、好ましくは200以上、より好ましくは300以上であり、好ましくは1500以下、より好ましくは1100以下である。傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物としてこのような範囲の分子量を有するものを用いることにより、液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。また、傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物については、特開2018−162379号公報(又は特願2017−060154号の明細書)の記載を参照してよい。
Figure 2019188495
傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物の量は、逆分散液晶性化合物と傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物との合計100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上、さらに好ましくは10重量部以上であり、好ましくは25重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。傾斜配向性を有する順分散液晶性化合物をこのような量で用いることにより、液晶硬化層の全体として逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を顕著に大きくすることが可能である。
更に別の傾斜作用成分としては、例えば、当該(メタ)アクリル酸エステル化合物の分子量Mwと、当該(メタ)アクリル酸エステル化合物の1分子当たりのπ電子数Npとの比Mw/Npが、所定の範囲にある(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。前記の比Mw/Npの範囲は、具体的には、通常17以上、好ましくは23以上であり、通常70以下、好ましくは50以下である。このような(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いることにより、液晶硬化層の層平面に対する逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を、液晶硬化層の全体として、効果的に大きくすることができる。中でも、前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、フッ素系界面活性剤と組み合わせて用いた場合に、液晶硬化層の全体として逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を顕著に大きくすることが可能である。
化合物の1分子当たりのπ電子数は、その化合物に含まれる不飽和結合の種類及び数に基づいて求められる。不飽和結合それぞれに含まれるπ電子数の例を挙げると、脂肪族性又は芳香族性の炭素−炭素二重結合(C=C)に含まれるπ電子数は2個、炭素−炭素三重結合(C≡C)に含まれるπ電子数は4個、炭素−窒素二重結合(C=N)に含まれるπ電子数は2個、炭素−窒素三重結合(C≡N)に含まれるπ電子数は4個、窒素−窒素二重結合(N=N)に含まれるπ電子数は2個である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の分子量Mwは、好ましくは900以下、より好ましくは850以下である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の分子量Mwが、前記のように小さいことにより、所望の液晶硬化層を安定して得ることができる。分子量Mwの下限は、特段の制限は無いが、好ましくは100以上、より好ましくは300以上である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、重合性基としての(メタ)アクリロイル基を有するので、重合性を有する。このように重合性を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物は、液晶組成物の層を硬化させる工程で重合できるので、通常は、液晶硬化層においては重合体の分子の一部に含まれる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の1分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数は、2個以上が好ましい。1分子当たり2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することにより、液晶組成物を硬化させる場合に重合度を高め、液晶硬化層の機械的強度を高めることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、液晶性を有さない非液晶性化合物であってもよく、また、液晶性化合物であってもよい。例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物は、順分散液晶性化合物であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物が液晶性化合物である場合、当該(メタ)アクリル酸エステル化合物は、配向させた場合に、液晶相を呈することができる。そして、液晶性化合物としての(メタ)アクリル酸エステル化合物は、通常、複屈折Δnを有する。液晶性化合物としての(メタ)アクリル酸エステル化合物の測定波長590nmにおける複屈折Δnは、好ましくは0.11以上、より好ましくは0.14以上であり、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する液晶性化合物を(メタ)アクリル酸エステル化合物として用いることにより、所望の液晶硬化層を、容易に得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、下記のものが挙げられる。また、前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物については、国際公開第2018/173778号(又は特願2017−060122号の明細書)の記載を参照してよい。
Figure 2019188495
Figure 2019188495
前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物の量は、逆分散液晶性化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物の合計100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の量を前記の範囲に収めることにより、液晶硬化層の全体として逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を顕著に大きくすることが可能である。
また、前記の(メタ)アクリル酸エステル化合物に組み合わせてフッ素系界面活性剤を用いる場合、フッ素系界面活性剤の量が、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、フッ素系界面活性剤の量は、逆分散液晶性化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物の合計100重量部に対して、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは0.50重量部以下、より好ましくは0.40重量部以下、特に好ましくは0.30重量部以下である。フッ素系界面活性剤の量が前記の範囲にある場合に、液晶硬化層の全体として逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を顕著に大きくすることが可能である。
液晶組成物が含みうるその他の任意の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、逆分散液晶性化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部〜20重量部としうる。
[4.液晶硬化層の特性]
液晶硬化層は、上述した液晶組成物を硬化した硬化物の層である。前記の液晶組成物の硬化は、通常、当該液晶組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、液晶硬化層は、通常、液晶組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。例えば、逆分散液晶性化合物が重合性を有する場合、液晶組成物の硬化時にその逆分散液晶性化合物が重合するので、液晶硬化層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した逆分散液晶性化合物の重合体を含む層でありうる。前述のように、この重合した逆分散液晶性化合物も、用語「液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物」に含める。
液晶組成物の硬化物においては、硬化前の流動性が失われるので、通常、逆分散液晶性化合物の配向状態は、硬化前の配向状態のまま、固定されている。そして、この液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、当該液晶硬化層の層平面に対して傾斜している。
液晶硬化層において、逆分散液晶性化合物の分子のうち、一部が液晶硬化層の層平面に対して傾斜していてもよく、全部が液晶硬化層の層平面に対して傾斜していてもよい。例えば、液晶硬化層において、逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が、厚み方向において、一方の面に近いほど大きく、一方の面から遠いほど小さいことがありえる。この例の場合、液晶硬化層の一方の面の近傍部分では、逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して垂直でありえる。また、液晶硬化層の他方の面の近傍部分では、逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して平行でありえる。しかし、このように液晶硬化層の表面近傍部分で逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対して平行又は垂直である場合であっても、通常は、液晶硬化層の表面近傍部分を除いた部分では、逆分散液晶性化合物の分子は層平面に対して傾斜している。
液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層の層平面に対して傾斜していることは、十分な分解能を有する偏光顕微鏡で液晶硬化層の断面を観察することによって、確認できる。この観察は、逆分散液晶性化合物の分子の傾斜を視認し易くするために、必要に応じて、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に検板として波長板を挿入して実施してもよい。
または、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層の層平面に対して傾斜していることは、下記のようにして確認できる。液晶硬化層の面内の進相軸に対して垂直な測定方向で、入射角θにおける液晶硬化層のレターデーションR(θ)を測定する。そして、入射角θでの液晶硬化層のレターデーションR(θ)を入射角0°での液晶硬化層のレターデーションR(0°)で割ったレターデーション比R(θ)/R(0°)を求める。こうして求めたレターデーション比R(θ)/R(0°)を縦軸、入射角θを横軸としたグラフを描いた場合に、得られたグラフがθ=0°に対して非対称であれば、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層の層平面に対して傾斜していることが確認できる。
以下、例を挙げてより具体的に説明する。図1は、ある例に係る液晶硬化層のレターデーション比R(θ)/R(0°)を、入射角θに対してプロットしたグラフである。液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の全ての分子のチルト角が0°又は90°であると、レターデーション比R(θ)/R(0°)は、図1で破線で示す例のように、θ=0°の直線(図1では、θ=0°を通る縦軸)に対して線対称となる。これに対して、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が液晶硬化層の層平面に対して傾斜していると、レターデーション比R(θ)/R(0°)は、図1に実線で示す例のように、通常はθ=0°の直線に対して非対称となる。よって、レターデーション比R(θ)/R(0°)がθ=0°に対して非対称である場合には、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層の層平面に対して傾斜している、と判定できる。
前記のように液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、当該液晶硬化層の層平面に対して傾斜している場合、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、通常、5°以上85°以下となる。この実質最大傾斜角は、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角の大きさを示す指標である。通常、実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層ほど、その液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の全体として見たチルト角が大きい傾向がある。本実施形態に係る液晶硬化層は、当該液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を大きくできる。よって、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、大きくすることが可能である。
実質最大傾斜角の具体的な範囲は、好ましくは20°以上、より好ましくは25°以上、特に好ましくは30°以上であり、通常90°以下、好ましくは85°以下である。このように実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層は、当該液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が全体として大きいので、その液晶硬化層を備える光学異方体を反射抑制フィルムとしての偏光板に設けた場合に、厚み方向における複屈折の調整を適切に行うことができる。よって、この光学異方体によれば、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制することができるので、視野角特性の改善が可能である。
液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。
液晶硬化層の面内方向においては、逆分散液晶性化合物の分子の配向方向は、通常、均一である。よって、液晶硬化層は、通常、液晶硬化層を厚み方向から見た逆分散液晶性化合物の分子の配向方向に平行な面内遅相軸を有する。そして、このように面内方向において逆分散液晶性化合物が一定の配向方向に配向するので、液晶硬化層は、所定の大きさの面内レターデーションを有する。
液晶硬化層の具体的な面内レターデーションの範囲は、測定波長590nmにおいて、通常80nm以上、好ましくは100nm以上、特に好ましくは120nm以上であり、通常190nm未満、好ましくは170nm以下、特に好ましくは160nm以下である。液晶硬化層がこのような範囲の面内レターデーションを有する場合に、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を効果的に大きくできる。また、このような範囲の面内レターデーションを有する液晶硬化層は、通常、1/4波長板として機能することが可能である。
逆分散液晶性化合物を含むので、液晶硬化層の面内レターデーションは、通常、逆波長分散性を示す。よって、液晶硬化層の波長450nm及び波長550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)は、通常下記式(N3)を満たし、好ましくは下記式(N4)を満たす。このような液晶硬化層は、1/4波長板等の光学用途において、広い波長帯域において均一に機能を発現できる。
Re(450)/Re(550)<1.00 (N3)
Re(450)/Re(550)<0.90 (N4)
液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子が当該液晶硬化層の全体として大きなチルト角を達成できるので、液晶硬化層の厚み方向の複屈折を適切に調整できる。したがって、液晶硬化層は、反射抑制フィルムとしての偏光板に設けた場合に、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制できるという優れた視野角特性を得ることができる。
優れた視野角特性を実現する観点から、液晶硬化層の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)は、好ましくは0.88以上、より好ましくは0.90以上、特に好ましくは0.92以上であり、また、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.12以下、特に好ましくは1.10以下である。ここで、R(±50°)とは、液晶硬化層の面内の進相軸に対して垂直な測定方向で測定した、入射角θが−50°及び+50°での液晶硬化層のレターデーションR(−50°)及びR(+50°)の平均値を表す。また、R(0°)は、入射角0°での液晶硬化層のレターデーションを表し、よって、面内レターデーションを表す。
一般に、画像表示装置の表示面に入射角「+φ」で入射する外光は、出射角「−φ」で反射する。よって、表示面に設けられる反射抑制フィルムが液晶硬化層を含む場合、表示面の傾斜方向において外光は入射角「+φ」での往路と出射角「−φ」での復路とを含む経路で液晶硬化層を通過する。この経路を通る光の反射を効果的に抑制する観点から、液晶硬化層のレターデーション比R(±50°)/R(0°)は、1.00に近いことが好ましい。液晶硬化層のレターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近い前記の範囲にあることにより、その液晶硬化層を含む偏光板によって、傾斜方向における外光の反射を効果的に抑制できる。具体的には、外光が液晶硬化層を入射時及び反射時の2回通る間に、その偏光状態を適切に変換して、偏光板の直線偏光子による効果的な遮断を実現することが可能となる。よって、このような液晶硬化層を備える光学異方体は、直線偏光子と組み合わせて偏光板を得た場合に、その偏光板による反射抑制能力を広い入射角範囲において発揮できるので、特に優れた視野角特性を得ることができる。
液晶硬化層は、透明性に優れることが好ましい。具体的には、液晶硬化層の全光線透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは84%以上である。また、液晶硬化層のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定できる。また、ヘイズは、ヘイズメーターを用いて測定できる。
[5.液晶硬化層の層構成]
液晶硬化層は、1層のみを含む単層構造を有していてもよく、2層以上を含む複層構造を有していてもよい。例えば、液晶硬化層は、逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が厚み方向において不連続に異なる特異的な複層構造を有することがありえる。以下、この複層構造の例について説明する。
図2は、本発明の一例に係る光学異方体10を、その液晶硬化層100の厚み方向に平行な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、この例に係る光学異方体10は、液晶硬化層100を備える。図2には、液晶硬化層100のみを含む光学異方体10を示すが、光学異方体10は、液晶硬化層100に組み合わせて任意の部材(図示せず。)を備えていてもよい。
液晶硬化層100は、第一層110、第二層120及び第三層130を、厚み方向においてこの順に含む。これらの第一層110、第二層120及び第三層130は、液晶組成物の硬化物で形成されているので、配向状態を固定されていてもよい逆分散液晶性化合物の分子を含む。
前記の第一層110と第二層120とは、その間に任意の層を介することなく直接に接している。また、前記の第二層120と第三層130とは、その間に任意の層を介することなく直接に接している。したがって、液晶硬化層100は、図2に示すように、第一層110、第二層120及び第三層130のみを含む3層構造の層である。
第一層110に含まれる逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第一チルト角は、第一層110において一定である。
また、第二層120に含まれる逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第二チルト角は、第二層120において一定である。さらに、第二チルト角は、第一チルト角とは、不連続に異なる。
また、第三層130に含まれる逆分散液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第三チルト角は、第三層130において一定である。さらに、第三チルト角は、第一チルト角及び第二チルト角とは不連続に異なる。
ここで、あるチルト角と別のチルト角とが不連続に異なる、とは、それらのチルト角の間の差が10°以上であることを表す。
このように不連続に異なるチルト角を有する逆分散液晶性化合物の分子を含む第一層110、第二層120及び第三層130を含む液晶硬化層100においても、液晶硬化層100の全体として、大きいチルト角を達成することは可能である。
第一層110、第二層120及び第三層130のような、液晶硬化層100に含まれる各層における逆分散液晶性化合物の分子のチルト角(第一チルト角、第二チルト角及び第三チルト角)は、下記の測定方法によって測定できる。
液晶硬化層100をエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意する。この試料片を、ミクロトームを用いて、液晶硬化層100の厚み方向に平行にスライスして、観察サンプルを得る。前記のスライスは、液晶硬化層100の面内遅相軸と断面とが平行となるように行う。その後、観察サンプルを偏光顕微鏡のステージに置き、ステージを回転させながら、スライスにより現れた断面を観察する。断面に現れた液晶硬化層100の第一層110、第二層120及び第三層130それぞれが消光位になったときのステージの回転角度から、第一層110、第二層120及び第三層130に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を測定できる。
また、第一層110、第二層120及び第三層130それぞれにおける逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が一定であるか否かは、下記の判定方向で判定できる。
液晶硬化層100をエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意する。この試料片を、ミクロトームを用いて、液晶硬化層100の厚み方向に平行にスライスして、観察サンプルを得る。前記のスライスは、液晶硬化層100の面内遅相軸と断面とが平行となるように行う。その後、スライスにより現れた断面を偏光顕微鏡を用いて観察する。この観察は、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に波長板を挿入して、観察サンプルのレターデーションに応じた色を呈した像が見られるように行う。この観察で見られる像では、液晶硬化層100の各部分は、その部分の逆分散液晶性化合物の分子のチルト角に対応した色に呈色する。観察された第一層110の色が第一層110内のどの位置でも同じである場合、第一層110に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角(第一チルト角)が一定であると判定できる。また、観察された第二層120の色が第二層120内のどの位置でも同じである場合、第二層120に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角(第二チルト角)が一定であると判定できる。さらに、観察された第三層130の色が第三層130内のどの位置でも同じである場合、第三層130に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角(第三チルト角)が一定であると判定できる。
具体例を挙げると、本発明者らが行った実験では、第一層110が均一な黄色、第二層120が均一な赤紫色、第三層130が均一な青色で観察されたことから、第一層110、第二層120及び第三層130それぞれにおける逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が一定であることを確認した事例がある。
第一チルト角、第二チルト角及び第三チルト角の大きさは、光学異方体10の用途に応じて求められる液晶硬化層100の光学特性に対応して、適切に設定しうる。好適な範囲を具体的に示すと、以下の通りでありうる。
第一チルト角は、好ましくは0°以上であり、好ましくは20°以下、より好ましくは10°以下である。このような範囲の第一チルト角を有する第一層110は、通常、後述する光学異方体10の製造方法において、支持面側の層として得ることができる。
第二チルト角は、好ましくは20°以上であり、好ましくは80°以下、より好ましくは70°以下、特に好ましくは60°以下である。
また、第一チルト角と第二チルト角との差は、好ましくは10°以上、より好ましくは15°以上、特に好ましくは20°以上であり、好ましくは70°以下、より好ましくは60°以下である。
第三チルト角は、好ましくは80°以上であり、好ましくは90°以下である。このような範囲の第三チルト角を有する第三層130は、通常、後述する光学異方体10の製造方法において、支持面とは反対の界面側の層として得ることができる。
また、第二チルト角と第三チルト角との差は、好ましくは10°以上、より好ましくは15°以上、特に好ましくは20°以上であり、好ましくは70°以下、より好ましくは60°以下である。
第一層110、第二層120及び第三層130それぞれの厚みは、光学異方体10の用途に応じて求められる液晶硬化層100の光学特性に対応して、適切に設定しうる。好適な範囲を具体的に示すと、以下の通りでありうる。
第一層110、第二層120及び第三層130の合計厚み100%に対する、第一層110の厚みの割合は、好ましくは14%以上、より好ましくは18%以上であり、好ましくは66%以下である。
第一層110、第二層120及び第三層130の合計厚み100%に対する、第二層120の厚みの割合は、好ましくは1%以上であり、好ましくは80%以下、より好ましくは64%以下である。
第一層110、第二層120及び第三層130の合計厚み100%に対する、第三層130の厚みの割合は、好ましくは6%以上、より好ましくは18%以上であり、好ましくは33%以下である。
第一層110、第二層120及び第三層130のような、液晶硬化層100に含まれる各層の厚みは、下記の測定方法によって測定できる。
液晶硬化層100をエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意する。この試料片を、ミクロトームを用いて、液晶硬化層100の厚み方向に平行にスライスして、観察サンプルを得る。前記のスライスは、液晶硬化層100の面内遅相軸と断面とが平行となるように行う。その後、スライスにより現れた断面を偏光顕微鏡を用いて観察して、第一層110、第二層120及び第三層130それぞれの厚みを測定できる。
逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が厚み方向において不連続に異なるという、前述の特異的な複層構造を有する液晶硬化層は、その特異的な構造に対応した光学特性を有することができる。そのため、この液晶硬化層を利用することにより、当該液晶硬化層を備える光学異方体の多様な光学設計が可能となるので、光学設計の自由度を高めることができる。さらに、別々に製造した複数の液晶硬化層を接着して得られる複層構造の光学部材とは異なり、前記の液晶硬化層は接着剤層を備える必要が無いので、薄膜化が可能である。
[6.液晶硬化層の厚み]
液晶硬化層の厚みは、レターデーション等の特性を所望の範囲にできるように、適切に設定しうる。具体的には、液晶硬化層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。
[7.光学異方体が備えうる任意の部材]
光学異方体は、液晶硬化層に組み合わせて、任意の部材を備えていてもよい。任意の部材としては、例えば、液晶硬化層の製造に用いた基材;位相差フィルム;直線偏光子としての偏光フィルム;他の部材と接着するための接着剤層;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
[8.光学異方体の製造方法]
光学異方体の製造方法は、所望の液晶硬化層を備える光学異方体が得られる限り、任意である。例えば、光学異方体は、
(i)液晶組成物の層を形成する工程と;
(ii)液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程と;
(iii)液晶組成物の層を硬化させて、液晶硬化層を得る工程と;
を含む製造方法により、製造できる。
工程(i)では、通常、適切な支持面に、液晶組成物の層を形成する。支持面としては、液晶組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、液晶硬化層の面状態を良好にする観点から、凹部及び凸部の無い平坦面を用いることが好ましい。また、液晶硬化層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。
基材としては、通常、樹脂フィルム又はガラス板を用いる。特に、高い温度で配向処理を行う場合、その温度に耐えられる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げられる。
支持面としての基材の表面には、液晶組成物の層における逆分散液晶性化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、液晶組成物に含まれる逆分散液晶性化合物等の液晶性化合物を配向させることができる、面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、光配向処理、ラビング処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
液晶組成物の層を形成する工程(i)において、液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成する。液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
液晶組成物の層を形成する工程(i)の後で、液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)を行う。この工程では、通常は、液晶組成物の層に配向処理を施すことにより、支持面の配向規制力に応じた方向に逆分散液晶性化合物を配向させる。
配向処理は、通常、液晶組成物の層の温度を所定の配向温度に調整することによって行う。配向温度は、液晶組成物の液晶化温度以上の温度としうる。この際、配向温度は、基材に含まれる樹脂のガラス転移温度未満の温度であることが好ましい。これにより、配向処理による基材の歪みの発生を抑制できる。
通常、面内方向においては、逆分散液晶性化合物は、支持面の配向規制力に応じた方向に配向する。また、厚み方向において、逆分散液晶性化合物は、少なくとも一部が面内方向に対して大きく傾斜するように配向する。これにより、逆分散液晶性化合物の層平面に対するチルト角を効果的に大きくできる。
さらに、工程(ii)は、逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が大きい液晶硬化層が得られるように、操作又は条件を調整して行うことが好ましい。
例えば、工程(ii)は、液晶組成物の層の温度条件が所定の要件を満たすように行うことが好ましい。具体的には、工程(ii)における液晶組成物の層の温度条件が、試験組成物の残留分粘度が通常800cP以下となる温度条件と同一になるように、行うことが好ましい。前記の試験組成物とは、液晶組成物から重合開始剤を除いた組成を有する組成物である。また、試験組成物の残留分粘度とは、工程(ii)の液晶組成物の層と同一温度条件における、試験組成物の残留成分の粘度である。また、試験組成物の残留成分とは、試験組成物に含まれる成分のうち、工程(ii)の液晶組成物の層と同一温度条件において気化せずに残留した成分である。このような要件を満たすように工程(ii)を行うことで、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を効果的に大きくできる。
更に詳しく説明する。逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)を、前記の要件を満たすように行う場合、当該工程(ii)は、試験組成物の残留分粘度が所定範囲に収まる温度条件と同一温度条件に、液晶組成物の層を調整して、行う。前記残留分粘度の具体的範囲は、通常800cP(センチポアズ)以下、好ましくは600cP以下、より好ましくは400cP以下、さらに好ましくは200cP以下である。このように試験組成物の残留分粘度が低くなる温度条件と同一温度条件で液晶組成物の層中の液晶性化合物を配向させることにより、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を大きくすることができる。前記残留分粘度の下限は、所望の厚みの液晶硬化層を得る観点から、好ましくは5cP以上、より好ましくは10cP以上である。
工程(ii)の液晶組成物の層と同一温度条件における試験組成物の残留分粘度は、下記の方法によって測定できる。
液晶組成物から重合開始剤を除いた試験組成物を用意する。この試験組成物をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して溶媒を除去し、残留成分を得る。この残留成分について、予め、測定温度を変化させながら粘度を測定し、測定温度とその測定温度での粘度との情報を得る。この情報を、以下、適宜「温度−粘度情報」という。この「温度−粘度情報」から、工程(ii)での液晶組成物の層の温度における粘度を、残留分粘度として読み取る。
工程(ii)の液晶組成物の層と同一温度条件において試験組成物の残留分粘度を上述した範囲に収める方法としては、例えば、下記(A)及び(B)の方法が挙げられる。
(A)逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)における液晶組成物の層の温度を、適切に調整する。
(B)液晶組成物の組成を、適切に調整する。
前記(A)の方法では、通常、液晶組成物の層の温度を十分に高温にすることで、この温度と同一温度条件での試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
また、前記(B)の方法では、通常、液晶組成物に含まれる成分として、逆分散液晶性化合物に適切な種類及び量の添加剤を組み合わせることで、当該添加剤を含む試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
工程(ii)における液晶組成物の層の温度条件の調整については、国際公開第2018/173773号(又は特願2017−060159号の明細書)の記載を参照してよい。
また、例えば、磁場応答性を有する液晶性化合物を含む液晶組成物を用いる場合には、工程(ii)を、液晶組成物の層に磁界を印加した状態で行うことが好ましい。これにより、逆分散液晶性化合物の層平面に対するチルト角を効果的に大きくできる。
液晶組成物の層に印加される磁界の向きは、通常は、液晶組成物の層の厚み方向に垂直ではない方向であり、好ましくは、液晶組成物の層の厚み方向に平行な方向である。このような向きの磁界を印加した場合に、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を効果的に大きくできる。
液晶組成物の層に印加される磁界の磁束密度は、好ましくは0.2テスラ以上、より好ましくは0.5テスラ以上、特に好ましくは0.8テスラ以上である。このような大きさの磁界を印加した場合に、液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を効果的に大きくできる。磁界の磁束密度の上限に制限は無く、例えば20.0テスラ以下としうる。磁界の印加については、特開2018−163218号公報(又は特願2017−059327号の明細書)の記載を参照してよい。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)は、通常、オーブン内において行われる。この際、オーブンの設定温度と、そのオーブン内に置かれた液晶組成物の層の温度とは、異なる場合がありえる。この場合、予め、多数のオーブン設定温度において、その設定温度のオーブン内に置かれた液晶組成物の層の温度を測定し、記録しておくことが好ましい。この記録されたオーブンの設定温度とその設定温度のオーブン内に置かれた液晶組成物の層の温度との情報を、以下、適宜「設定温度−層温度情報」という。この「設定温度−層温度情報」を用いれば、オーブン設定温度から、オーブン内に置かれた液晶組成物の層の温度を容易に知ることができる。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)において、液晶組成物の層の温度を前記の温度に保持する時間は、所望の液晶硬化層が得られる範囲で任意に設定でき、例えば30秒間〜5分間でありうる。
逆分散液晶性化合物を配向させる工程(ii)の後で、液晶組成物の層を硬化させて、液晶硬化層を得る工程(iii)を行う。この工程(iii)の液晶組成物の硬化は、通常、当該液晶組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。例えば、逆分散液晶性化合物が重合性を有する場合、その逆分散液晶性化合物の一部又は全部を重合させることにより、液晶組成物の層を硬化させる。重合は、通常、液晶性化合物の分子の配向を維持したままで進行する。よって、前記の重合により、重合前の液晶組成物に含まれてる液晶性化合物の配向状態は固定される。
重合方法としては、液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。
なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材に悪影響を与えない範囲という観点から、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm以上、より好ましくは0.5mW/cm以上であり、好ましくは50000mW/cm以下、より好ましくは10000mW/cm以下である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上であり、好ましくは50000mJ/cm以下、より好ましくは10000mJ/cm以下である。
上述した製造方法により、支持面上に形成された液晶硬化層が得られる。こうして得られた液晶硬化層は、支持面から剥がして、光学異方体として用いてもよい。このような光学異方体は、液晶硬化層を支持面から剥離する工程を含む製造方法によって、製造できる。
また、例えば、基材上に形成された液晶硬化層が得られた場合には、基材及び液晶硬化層を含む複層フィルムを、光学異方体として用いてもよい。
さらに、例えば、基材上に形成された液晶硬化層を、任意のフィルム層に転写して、光学異方体を得てもよい。このような場合は、通常、基材上に形成された液晶硬化層と任意のフィルム層とを貼り合わせた後で、必要に応じて基材を剥離して、液晶硬化層及び任意のフィルム層を含む光学異方体を得ることができる。この際、貼り合わせには、適切な粘着剤又は接着剤を用いてもよい。
また、光学異方体の製造方法は、前記の工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、光学異方体の製造方法は、液晶組成物の層を硬化させる工程の前に、液晶組成物の層を乾燥させる工程を含んでいてもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。乾燥温度は、溶媒を脱溶媒することができれば、特に制限はない。下限温度に関しては、一定の温度を安定的に得られるという観点から、50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。乾燥温度の上限温度に関しては、基材に悪影響を与えない範囲という観点から、200℃以下であることが好ましく、195℃以下であることがより好ましい。
前記のような製造方法によれば、長尺の基材を用いて、長尺の液晶硬化層を得ることができる。このような長尺の液晶硬化層は、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。通常、長尺の液晶硬化層を含むフィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[9.1/4波長板]
光学異方体は、液晶硬化層が有する光学異方性を活用して、様々な用途の光学部材として用いることができる。光学異方体の用途としては、例えば、位相差フィルム、光学補償フィルム、1/4波長板、直線偏光板、円偏光板等が挙げられる。中でも、光学異方体は、1/4波長板に適用することが好ましい。
本発明の一実施形態に係る1/4波長板は、上述した光学異方体を備える。また、1/4波長板は、光学異方体に組み合わせて、更に任意の層を備えていてもよい。
この1/4波長板は、光学異方体に含まれる液晶硬化層の面内レターデーションを活用することにより、1/4波長板として機能できる。この1/4波長板を直線偏光子と組み合わせることで、反射抑制フィルムとして用いることが可能な円偏光板を得ることができる。そうして得られる円偏光板は、逆波長分散性の面内レターデーションを有し、且つ、視野角特性に優れた反射抑制フィルムとして用いることができる。
[10.偏光板]
本発明の一実施形態に係る偏光板は、上述した光学異方体を備える。通常、偏光板は、光学異方体に組み合わせて、直線偏光子を備える。この偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機EL表示パネルに設けることにより、有機EL表示パネルの表示面の正面方向において外光の反射を抑制できる。このとき、光学異方体が備える液晶硬化層が逆波長分散性の面内レターデーションを有するので、広い波長範囲において外光の反射抑制が可能である。
また、上述した液晶硬化層は、逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きいことから分かるように、全体として逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が大きいので、その面内方向だけでなく厚み方向においても複屈折を適切に調整することができる。よって、偏光板は、有機EL表示パネルの表示面の正面方向だけでなく傾斜方向においても、外光の反射を抑制できる。したがって、この偏光板を用いることにより、視野角の広い有機EL表示パネルを実現することができる。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光板を円偏光板として機能させたい場合、直線偏光子の偏光吸収軸に対して液晶硬化層の遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°(即ち、40°〜50°)、より好ましくは45°±4°(即ち、41°〜49°)、特に好ましくは45°±3°(即ち、42°〜48°)である。
偏光板は、直線偏光子及び光学異方体以外に、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と光学異方体とを貼り合わせるための接着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
[11.有機EL表示パネル]
本発明の一実施形態に係る有機EL表示パネルは、上述した光学異方体を備える。通常、有機EL表示パネルは、光学異方体を含む前記の偏光板を備える。このような有機EL表示パネルは、通常、表示素子として有機EL素子を含み、この有機EL素子の視認側に、偏光板が設けられる。また、偏光板は、有機EL素子と直線偏光子との間に光学異方体が設けられるように、配置される。そして、このような構成において、前記の偏光板が反射抑制フィルムとして機能できる。
以下、偏光板が円偏光板として機能する場合を例に挙げて、反射抑制の仕組みを説明する。装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれが光学異方体が備える液晶硬化層を通過することにより、円偏光となる。円偏光は、有機EL表示パネル内の光を反射する構成要素(有機EL素子の反射電極等)により反射され、再び液晶硬化層を通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。これにより、反射抑制の機能が達成される。このような反射抑制の原理は、特開平9−127885号公報を参照してよい。
有機EL素子は、通常、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。
また、有機EL表示パネルにおいて、光学異方体は、反射抑制フィルム以外の用途で設けられていてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[逆分散液晶性化合物]
下記の実施例及び比較例で用いた逆分散液晶性化合物(L−A)〜(L−D)の分子構造は、下記の通りである。
Figure 2019188495
Figure 2019188495
Figure 2019188495
Figure 2019188495
[合成例1:逆分散液晶性化合物(L−A)(式(I)で示される化合物の一例)の合成]
Figure 2019188495
<ステップ1:中間体Aの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.40mol)をシクロペンチルメチルエーテル600gに加えて、氷浴下にて5℃に冷却した。この溶液に、4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)100g(0.38mol)、2,6−ジターシャーリーブチル−4−メチルフェノール1.67g、および、テトラヒドロフラン(THF)230gを加えた。そこへ、強撹拌下にて、トリエチルアミン40.2g(0.40mol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、5℃にて、1時間反応を行った。反応終了後、水250gを加えた後、50℃に昇温して4時間撹拌した。その後、水層を抜き出して得られた有機層に1mol/L濃度の酢酸/酢酸ナトリウム緩衝水溶液416gを加えて30分撹拌した後、水層を抜き出した。更に、有機層を水250gで洗浄して得られた有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9(容積比))により精製することで、中間体Aを白色固体として75g得た。収率は47.4モル%であった。中間体Aの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,DMSO−d,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48−2.56(m,1H)、2.18−2.26(m,1H)、2.04−2.10(m,2H)、1.93−2.00(m,2H)、1.59−1.75(m,4H)、1.35−1.52(m,8H)。
<ステップ2:中間体Bの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体A:10.00g(23.90mmol)、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド1.32g(9.56mmol)、および4−(ジメチルアミノ)ピリジン234mg(1.92mmol)をクロロホルム80mLに加えた。室温下にて、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド3.2g(25.36mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、23℃にて3時間撹拌した。反応終了後、反応液を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムのみからクロロホルム:THF=9:1(容積比)にグラジエント)により精製することで、中間体Bを白色固体として6.80g得た。収率は75.7モル%であった。中間体Bの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,DMSO−d,TMS,δppm):10.02(s,1H)、7.67(d,1H,J=3.0Hz)、7.55(dd,1H,J=3.0Hz,8.5Hz)、7.38(d,1H,J=8.5Hz)、6.99−7.04(m,4H)、6.91−6.96(m,4H)、6.32(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56−2.81(m,4H)、2.10−2.26(m,8H)、1.50−1.76(m,16H)、1.33−1.49(m,8H)。
<ステップ3:中間体Cの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、ジフェニル酢酸11.60g(54.65mmol)およびN−メチル−2−ピロリドン75mLを投入し、均一な溶液とした。そこへ、8−クロロ−1−n−オクタノール7.50g(45.55mmol)を加えた。次いで、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン1.33g(10.89mmol)を加えた。次いで、1−エチル−3−(3―ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩12.57g(65.59mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、5分間かけて加えた後、全容を25℃でさらに4時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和食塩水250mLを加え、酢酸エチル250mLで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20(容積比))により精製することで、中間体Cを無色オイルとして15.94g得た。収率は97.5モル%であった。中間体Cの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.32−7.30(m,10H)、5.01(s,1H)、4.14(t,2H,J=6.5Hz)、3.50(t,2H,J=6.5Hz)、1.73(tt,7H,J=7.0Hz、7.0Hz)、1.63−1.58(m,2H)、1.34−1.40(m,2H)、1.23−1.27(m,6H)。
<ステップ4:中間体Dの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール6.00g(36.32mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド60.0mLに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム23.67g(72.63mmol)、前記ステップ3で合成した中間体C:15.64g(43.58mmol)を加え、全容を25℃で14時間撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留水250mLを投入し、酢酸エチル250mLで2回抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナ卜リウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:THF=80:20(容積比))により精製することで、中間体Dを灰色固体として9.90g得た。収率は55.9モル%であった。中間体Dの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.59−7.57(m,1H)、7.53−7.51(m,1H)、7.31−7.30(m,11H)、7.04(ddd,1H,J=1.0Hz、8.0Hz、8.0Hz)、5.01(s,1H)、4.19(br,2H)、4.12(t,2H,J=6.5Hz)、3.70(t,2H,7.5Hz)、1.68−1.57(m,4H)、1.33−1.21(m,8H)。
<ステップ5:逆分散液晶性化合物(L−A)(式(I)で示される化合物の一例)の合成>
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、前記ステップ4で合成した中間体D:4.36g(8.95mmol)、および、前記ステップ2で合成した中間体B:6.00g(6.39mmol)を、エタノール12.0mLおよびTHF120mLに溶解させた。この溶液に、(±)−10−カンファースルホン酸0.30g(1.28mmol)を加え、全容を50℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル200mLで2回抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=95:5)により精製し、黄色固体として逆分散液晶性化合物(L−A)を7.76g得た。収率は86.2モル%であった。目的物(逆分散液晶性化合物(L−A))の構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.75(dd,1H,J=1.0Hz、2.0Hz)、7.70−7.66(m,3H)、7.35−7.21(m,11H)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz、8.0Hz、8.0Hz)、7.11−7.12(m,2H)、7.00−6.95(m,4H)、6.90−6.85(m,4H)、6.405(dd,1H,J=1.5Hz、17.5Hz)、6.402(dd,1H,J=1.5Hz、17.5Hz)、6.127(dd,1H,J=10.5Hz、17.5Hz)、6.125(dd,1H,J=10.5Hz、17.5Hz)、5.823(dd,1H,J=1.5Hz、10.5Hz)、5.821(dd,1H,J=1.5Hz、10.5Hz)、4.99(s,1H)、4.30(t,2H,J=7.5Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、4.17(t,2H、J=6.5Hz)、4.10(t,2H、J=6.5Hz)、3.95(t,2H、J=6.5Hz)、3.93(t,2H、J=6.5Hz)、2.70−2.56(m,4H)、2.35−2.25(m,8H)、1.83−1.24(m,36H)。
[合成例2:逆分散液晶性化合物(L−B)(式(I)で示される化合物のさらに他の一例)の合成]
Figure 2019188495
<ステップ1:中間体Eの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、1−ナフチル酢酸10.18g(54.65mmol)およびN−メチル−2−ピロリドン75mLを投入し、均一な溶液とした。そこへ、8−クロロ−1−n−オクタノール7.50g(45.55mmol)を加えた。次いで、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン1.33g(10.89mmol)を加えた。次いで、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩12.57g(65.59mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、5分間かけて加えた後、全容を25℃でさらに4時間攪拌した。反応終了後、反応液に飽和食塩水250mLを加え、酢酸エチル250mLで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20(容積比))により精製することで、中間体Eを無色オイルとして12.88g得た。収率は85.0モル%であった。中間体Eの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.01(dd,1H,J=1.0Hz,8.5Hz)、7.86(dd,1H,J=1.0Hz,8.5Hz)、7.79(dd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz)、7.54−7.47(m,2H)、7.45−7.40(m,2H)、4.07(t,2H,J=6.5Hz)、4.06(s,2H)、3.51(t,2H,J=6.5Hz)、1.73(tt,2H,J=7.5Hz,7.5Hz)、1.58−1.52(m,2H)、1.38−1.32(m,2H)、1.23−1.12(m,6H)。
<ステップ2:中間体Fの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール6.00g(36.32mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド60.0mLに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム23.67g(72.63mmol)、前記ステップ1で合成した中間体E:14.51g(43.58mmol)を加え、全容を25℃で14時間撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留水250mLを投入し、酢酸エチル250mLで2回抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナ卜リウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:THF=80:20(容積比))により精製することで、中間体Fを黄色オイルとして10.67g得た。収率は63.6モル%であった。中間体Fの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.00(dd,1H,J=1.0Hz,8.5Hz)、7.86(dd,1H,J=1.0Hz,8.5Hz)、7.79(dd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz)、7.61−7.59(m,1H)、7.54−7.39(m,5H)、7.28(dd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、4.20(s,2H)、4.07(t,2H,J=6.5Hz)、4.06(s,2H)、3.71(t,2H,J=7.5Hz)、1.69(tt,2H,J=7.5Hz,7.5Hz)、1.58−1.52(m,2H)、1.34−1.14(m,8H)。
<ステップ3:逆分散液晶性化合物(L−B)(式(I)で示される化合物のさらに他の一例)の合成>
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体F:4.13g(8.95mmol)、および、前記合成例1のステップ2で合成した中間体B:6.00g(6.39mmol)を、エタノール12.0mLおよびTHF120mLに溶解させた。この溶液に、(±)−10−カンファースルホン酸0.30g(1.28mmol)を加え、全容を50℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル200mLで2回抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=95:5)により精製し、黄色固体として逆分散液晶性化合物(L−B)を6.84g得た。収率は77.4モル%であった。目的物(逆分散液晶性化合物(L−B))の構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm): 7.98(d,1H,J=8.5Hz)、7.85(dd,1H,J=1.5Hz,8.5Hz)、7.78(d,1H,J=7.5Hz)、7.75(dd,1H,J=0.5Hz,2.5Hz)、7.70−7.67(m,3H)、7.52−7.45(m,2H)、7.43−7.38(m,2H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.13−7.09(m,2H)、7.00−6.94(m,4H)、6.90−6.85(m,4H)、6.405(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.402(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.12(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.823(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.820(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=7.5Hz)、4.176(t,2H,J=6.5Hz)、4.170(t,2H,J=6.5Hz)、4.05−4.02(m,4H)、3.95(t,2H,J=6.5Hz)、3.92(t,2H,J=6.5Hz)、2.70−2.55(m,4H)、2.37−2.26(m,8H)、1.83−1.18(m,36H)。
[合成例3:逆分散液晶性化合物(L−C)(式(I)で示される化合物のさらに他の一例)の合成]
Figure 2019188495
<ステップ1:中間体Gの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、1−ナフチル酢酸50g(268.5mmol)をトルエン110gに加えた。さらに、6−クロロ−1−ヘキサノール34.8g(255mol)、パラトルエンスルホン酸1水和物4.09g(21.5mmol)を加えて、溶液を調製した。ディーンスターク装置を用いて、調製した溶液を加熱し、生成する水を反応系外に排出しながら共沸脱水(内温約95℃)を5時間行った。反応終了後、25℃まで冷却した反応液に、6重量%の重曹水75gを加えて、分液して洗浄した。分液後、さらに有機層を水80gで洗浄した。洗浄後、有機層をろ過した。有機層をロータリーエバポレーターにて溶媒を留去して、中間体Gを含む淡茶色オイルを75g得た。この淡茶色オイルの精製は行わず、そのまま次の反応(ステップ2:中間体Hの合成)に用いた。中間体Gの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.00(dd,1H,J=1.0Hz、8.5Hz)、7.86(dd,1H,J=1.5Hz,8.5Hz)、7.79(dd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz)、7.54−7.47(m,2H)、7.45−7.41(m,2H)、4.09−4.06(m,4H)、3.43(t,2H,J=7.0Hz)、1.67−1.61(m,2H)、1.58−1.53(m,2H)、1.35−1.29(m,2H)、1.22−1.15(m,2H)。
<ステップ2:中間体Hの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール6.00g(36.32mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド65mLに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム23.67g(72.63mmol)、前記ステップ1で合成した中間体Gを含む茶色オイル20gを加え、全容を25℃で15時間撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留水250mLを投入し、酢酸エチル250mLで2回抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナ卜リウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:THF=80:20(容積比))により精製することで、中間体Hを白色固体として8.0g得た。収率は51.0モル%であった。中間体Hの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.00(d,1H,J=8.5Hz)、7.85(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.78(dd,1H,J=1.5Hz、7.5Hz)、7.60(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.54−7.51(m,2H)、7.49−7.40(m,3H)、7.28(ddd,1H,J=1.0Hz、7.5Hz,7.5Hz)、7.07(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、4.16(br,2H)、4.08(t,2H,J=6.5Hz)、4.06(s,2H)、3.66(t,2H,J=7.0Hz)、1.63−1.54(m,4H)、1.32−1.22(m,4H)。
<ステップ3:逆分散液晶性化合物(L−C)(式(I)で示される化合物のさらに他の一例)の合成>
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記合成例1のステップ1で合成した中間体A:3g(7.17mmol)、クロロホルム30g、N,N−ジメチルホルムアミド1.0g(13.7mmol)を加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル0.98g(8.24mmol)を、反応温度を10℃以下に保持しながら滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにてクロロホルム20gを抜き出して濃縮して、クロロホルム溶液(1)を合成した。
別途準備した温度計を備えた3口反応器内で、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド0.45g(3.26mmol)、2,6−ルチジン2.09g(19.5mmol)を20gのクロロホルムに溶解させ、得られた溶液を10℃以下まで冷却した。この溶液に、前記クロロホルム溶液(1)の全量を反応温度を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、さらに、全容を5〜10℃で1時間撹拌した。反応終了後、10℃以下に保持しながら、反応液に、1.0規定の塩酸水溶液12g及び、前記ステップ2で合成した中間体H:1.84g(4.24mmol)を加えた。その後、反応液を40℃に昇温して3時間反応を行った。反応終了後、水層を抜き出した。更に有機層に蒸留水10gを投入して有機層を洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液からクロロホルムを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=95:5)により精製し、黄色固体として逆分散液晶性化合物(L−C)を3.0g得た。収率は67.9%であった。逆分散液晶性化合物(L−C)の構造は1H−NMRで同定した。1H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.97(dd,1H,J=0.5Hz,8.5Hz)、7.80(ddd,1H,J=0.5Hz,0.5Hz,8.0Hz)、7.73−7.76(m,2H)、7.67−7.71(m,2H)、7.61(s,1H)、7.49(ddd,1H,J=1.0Hz,6.5Hz,8.5Hz)、7.42(ddd,1H,J=1.5Hz,7.0Hz,7.0Hz)、7.33−7.39(m,3H)、7.18(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.10−7.14(m,2H)、6.95−7.01(m,4H)、6.85−6.90(m,4H)、6.405(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.402(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.127(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、6.124(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.822(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、5.819(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.16−4.22(m,6H)、4.08(t,2H,J=6.5Hz)、4.03(s,2H)、3.95(t,2H,J=6.5Hz)、3.93(t,2H,J=6.5Hz)、2.56−2.67(m,4H)、2.28−2.36(m,8H)、1.59−1.83(m,20H)、1.42−1.56(m,8H)、1.24−1.36(m,4H)。
[合成例4:逆分散液晶性化合物(L−D)の合成]
Figure 2019188495
<ステップ1:中間体αの合成>
Figure 2019188495
温度計を備えた4つ口反応器において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)をジメチルホルムアミド20mLに溶解した。この溶液に、炭酸カリウム8.36g(60.5mmol)と、1−ヨードヘキサン3.08g(14.5mmol)とを加え、50℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を水200mLに投入し、酢酸エチル300mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25(容積比))により精製し、白色固体として中間体αを2.10g得た。収率は69.6モル%であった。中間体αの構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.60(dd、1H、J=1.0,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0,8.0,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0,8.0,8.0Hz)、4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.69−1.76(m,2H)、1.29−1.42(m,6H)、0.89(t,3H,J=7.0Hz)。
<ステップ2:逆分散液晶性化合物(L−D)の合成>
温度計を備えた4つ口反応器において、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体α:697mg(2.37mmol)および前記合成例1のステップ2で合成した中間体B:2.00g(2.13mmol)を、クロロホルム50mLに溶解させた。この溶液に、(±)−10−カンファースルホン酸49mg(0.21mmol)を加え、50℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を水100mL、5%炭酸水素ナトリウム水溶液50mLの混合水に投入し、酢酸エチル250mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=88:12(容積比))により精製し、白色固体として逆分散液晶性化合物(L−D)を2.33g得た。収率は93.5モル%であった。目的物(逆分散液晶性化合物(L−D))の構造はH−NMRで同定した。H−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMR(400MHz,CDCl,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67−7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H、J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H、J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.70(m,4H)、2.31−2.35(m,8H)、1.66−1.82(m,18H)、1.31−1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)。
[フッ素系界面活性剤のlogPの測定方法]
(フッ素系界面活性剤を含む試料溶液の調製方法)
試料としてのフッ素系界面活性剤を1重量%含む試料溶液を調製した。この試料溶液の溶媒としては、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルを用いた。テトラヒドロフラン又はアセトニトリルと混合する前のフッ素系界面活性剤が、当該フッ素系界面活性剤及び希釈溶媒を含む溶液であった場合には、得られる試料溶液中のフッ素系界面活性剤の含有量が1重量%となるように、テトラヒドロフラン又はアセトニトリルの量を調整した。
(HPLC/ELSD分析)
JIS 7260−117:2006{分配係数(1−オクタノール/水)の測定−高速液体クロマトグラフィー}に概ね準拠した方法で、フッ素系界面活性剤を含む前記の試料溶液のHPLC/ELSD分析を、下記のHPLC/ELSD分析条件で行って、溶出時間(r.t.)を測定した。
・HPLC/ELSD分析条件
LCシステム:LC−20A(島津製作所製)
カラム:Inertsil ODS−3 3.0×150mm,5μm(GLサイエンス製)
移動相:A 水
B アセトニトリル/テトラヒドロフラン=8/2(vol/vol)
アセトニトリル:高速液体クロマトグラフィー用(国産化学製)
テトラヒドロフラン:inhibitor−free、for HPLC(SIGMA−ALDRICH製)
タイムプログラム:0minから15min B 30%から100%
15minから25min B 100%
カラム温度:45℃
流量:0.8mL/min
注入量:10μL(試料の検出感度が低い場合は、50μL又は100μLに調整)
検出:ELSD−LTII(島津製作所) Gain6、350kPa、65℃
(検量線の導出)
下記表1に示す標識化合物を用意した。表1に示す標識化合物は、JIS7260−117:2006に記載のある、logPが既知の化合物である。この標識化合物をフッ素系界面活性剤の代わりに用いたこと以外は前記(フッ素系界面活性剤を含む試料溶液の調製方法)に記載の方法と同じようにして、各標識化合物を含む試料溶液を調製した。その後、得られた試料溶液のHPLC/ELSD分析を、前記(HPLC/ELSD分析)で説明した分析条件で行って、溶出時間を測定した。ただし、ELSD検出器の温度は、25℃に設定した。
Figure 2019188495
溶出時間を横軸、logPを縦軸とする座標系に、前記の標識化合物の分析結果をプロットし、最小二乗法によって近似直線を作成した。この近似直線を、検量線として採用した。
(フッ素系界面活性剤のlogPの算出)
試料としてのフッ素系界面活性剤について測定された溶出時間を、前記の検量線に当てはめることにより、そのフッ素系界面活性剤のlogPを求めた。HPLC/ELSD分析において溶出時間を示すピークが、1つのフッ素系界面活性剤当たり複数検出された場合には、最も面積の大きいピークのピークトップを、当該フッ素系界面活性剤の溶出時間として採用して、logPを求めた。
[液晶性化合物の複屈折の測定方法]
(液晶組成物の調製)
サンプルとしての液晶性化合物100重量部、フッ素系界面活性剤(DIC社製「F562」)0.30重量部、光重合開始剤(BASF社製「IrgacureOXE04」)4.3重量部、溶媒としてのシクロペンタノン(日本ゼオン社製)162.3重量部、及び、溶媒としての1,3−ジオキソラン(東邦化学社製)243.5重量部を混合して、液晶組成物を得た。
(基材フィルムの用意)
基材フィルムとして、片面にマスキングフィルムが貼り合わせられた熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる斜め延伸フィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム ZDシリーズ)を用意した。この基材フィルムから、マスキングフィルムを剥離した。
(試料液晶層の形成)
基材フィルムのマスキング剥離面に、#7のワイヤーバーを使用して、液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成した。
その後、液晶組成物の層を、110℃で4分間加熱して、配向処理を行った。これにより、液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物が配向した。
配向処理を施された液晶組成物の層に、窒素雰囲気下で、500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み約2μmの試料液晶層を形成した。これにより、試料液晶層/基材フィルムの層構成を有する複層フィルムを得た。
(試料液晶層の転写)
表面に粘着剤を付与されたスライドガラスを用意した。このスライドガラスに、前記複層フィルムの試料液晶層側の面を貼り合わせた。その後、基材フィルムを剥離して、試料液晶層/粘着層/スライドガラスの層構成を有する複層体を得た。
(ホモジニアス配向の確認)
前記の複層体を、位相差計(Axometrix社製「AxoScan」)にセットした。試料液晶層の進相軸を回転軸として複層体を回転させて、入射角θが+50°及び−50°で、それぞれ試料液晶層のレターデーションを測定した。入射角θ=+50°でのレターデーションと、入射角θ=−50°でのレターデーションとが同じであることから、試料液晶層に含まれる液晶性化合物が、層平面に平行なホモジニアス配向をしていることを確認した。
(試料液晶層の面内レターデーションの測定)
前記の複層体を、位相差計(Axometrix社製「AxoScan」)にセットし、試料液晶層の面内レターデーションを、測定波長590nmで測定した。
(試料液晶層の厚みの測定)
前記の複層体を、膜厚測定計(Filmetrix社製「F−20」)にセットし、試料液晶層の厚みを測定した。
(複屈折Δnの計算)
前記のようにして測定された試料液晶層の面内レターデーションを、試料液晶層の厚みで割算して、液晶性化合物の複屈折Δnを求めた。
前記の測定方法では、液晶組成物の調製に用いられたフッ素系界面活性剤及び光重合開始剤は、複屈折を有さないし、また、その量が少量である。さらに、液晶組成物の調製に用いられた溶媒は、試料液晶層の形成以前に揮発する。よって、液晶組成物に含まれていたフッ素系界面活性剤、光重合開始剤及び溶媒による試料液晶層の複屈折Δnへの影響は、無視できる程度に小さい。したがって、前記の試料液晶層を用いた前記の測定方法により、液晶性化合物の複屈折Δnが求められる。
[実施例1〜3及び比較例1]
(液晶組成物の調製)
下記表2に示す逆分散液晶性化合物100重量部、フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」;logP=5.3)0.15重量部、光重合開始剤(BASF社製「Irgacure OXE04」)4.3重量部、溶媒としてのシクロペンタノン(日本ゼオン社製)162.3重量部、及び、溶媒としての1,3−ジオキソラン(東邦化学社製)243.5重量部を混合して、液晶組成物を得た。
(基材フィルムの用意)
基材フィルムとして、片面にマスキングフィルムが貼り合わせられた熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」;厚み100μm)を用意した。この基材フィルムは、光学的に等方性のフィルムであったので、後述する液晶硬化層のレターデーションの測定結果に影響を及ぼすものでは無い。この基材フィルムからマスキングフィルムを剥離し、マスキング剥離面にコロナ処理を施した。次いで、コロナ処理面に、ラビング処理を施した。
(液晶硬化層の形成)
基材フィルムのラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成した。
その後、液晶組成物の層を、145℃で4分間加熱して、配向処理を行った。この配向処理での配向温度は、各実施例及び比較例の液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が800cP以下となる温度条件と同一であった。例えば、実施例3に関しては、前記の配向温度は、実施例3の液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が145cPになる温度条件と同一であった。この配向処理により、液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物が配向した。
配向処理を施された液晶組成物の層に、窒素雰囲気下で、500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、表2に示す厚みの液晶硬化層を形成した。これにより、液晶硬化層/基材フィルムの層構成を有する複層構造の光学異方体として、光学フィルムを得た。
(液晶硬化層の厚みdの測定方法)
前記の光学フィルムを、膜厚測定計(Filmetrix社製「F−20」)にセットし、液晶硬化層の厚みを測定した。
(液晶硬化層の面内レターデーションReの測定)
前記の光学フィルムの液晶硬化層の測定波長590nmにおける面内レターデーションReを、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、測定した。
(液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の傾斜配向性の評価)
図3は、傾斜方向から液晶硬化層100のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための斜視図である。図3において、矢印A1は液晶硬化層100の面内の遅相軸を表し、矢印A2は液晶硬化層100の面内の進相軸を表し、矢印A3は液晶硬化層100の厚み方向を表す。
前記の光学フィルムを、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)にセットした。液晶硬化層100の進相軸A2を回転軸として光学フィルムを回転させて、図3に示すように、液晶硬化層100のレターデーションを、入射角θが−50°〜50°の範囲で測定した。よって、前記の測定方向A4は、液晶硬化層100の進相軸A2に対して垂直に設定される。また、測定波長は590nmであった。
入射角θが−50°〜50°の範囲で測定された前記のレターデーションR(θ)を、入射角0°での液晶硬化層のレターデーションR(0°)で割って、レターデーション比R(θ)/R(0°)を求めた。求めたレターデーション比R(θ)/R(0°)を縦軸、入射角θを横軸としたグラフを描いた。得られたグラフがθ=0°に対して非対称であったことから、いずれの実施例及び比較例でも、液晶硬化層100に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が液晶硬化層100の層平面に対して傾斜配向していると判定した。
また、測定されたレターデーションR(θ)から、前記の位相差計に付属の解析ソフトウェア(AxoMetrics社製の解析ソフトウェア「Multi−Layer Analysis」;解析条件は、解析波長590nm、層分割数20層)により、液晶硬化層100に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角Θを計算した。
この実質最大傾斜角Θが大きいほど、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子が、全体として大きなチルト角を有し、よって傾斜配向性に優れることを表す。
(液晶硬化層の視野角特性の評価方法)
前記の光学フィルムを、位相差計(Axometrix社製「AxoScan」)にセットした。液晶硬化層の進相軸を回転軸として光学フィルムを回転させて、入射角θが+50°及び−50°で、それぞれ液晶硬化層のレターデーションを測定した。測定波長は、590nmであった。
入射角θ=+50°でのレターデーションR(+50°)、入射角θ=−50°でのレターデーションR(−50°)、及び、入射角0°でのレターデーションR(0°)(即ち、面内レターデーション)から、下記の式により、平均レターデーション比T(=R(±50°)/R(0°))を計算した。
T=[{R(50°)+R(−50°)}/2]/R(0°)
T値が1.00に近いほど、良好な視野角特性が得られることを表す。そこで、求めたT値に基づき、下記の基準で、視野角特性を評価した。
「良」:0.88≦T≦1.12
「不良」:T<0.88、1.12<T
(液晶硬化層の波長分散性の評価)
前記の光学フィルムの液晶硬化層の測定波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)を、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、測定した。この測定結果に基づき、逆波長分散性を、下記の基準で評価した。
「優」:Re(450)/Re(550)<0.9
「良」:Re(450)/Re(550)<1.0
「不良」:Re(450)/Re(550)>1.0
[結果]
実施例及び比較例の結果を、下記の表2に示す。表2において、略称の意味は、下記の通りである。
Δn:逆分散液晶性化合物の複屈折。
d:液晶硬化層の厚み。
Re:測定波長590nmにおける液晶硬化層の面内レターデーション。
Θ:液晶硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角。
Figure 2019188495
[実施例4:実施例3で得た液晶硬化層の観察]
(観察サンプルの作成)
実施例3で得た光学フィルムをエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意した。この試料片を、ミクロトームを用いて、液晶硬化層の厚み方向に平行にスライスして、観察サンプルを得た。前記のスライスは、液晶硬化層の面内遅相軸と断面とが平行となるように行った。
(液晶硬化層の層構成の観察)
スライスにより現れた観察サンプルの断面を、偏光顕微鏡を用いて観察した。観察された像の写真を、図4に示す。さらに、図4の各部分を説明する説明図を、図5に示す。図5において、符号「210」は基材フィルム、符号「220」は液晶硬化層、符号「221」は第一層、符号「222」は第二層、符号「223」は第三層、符号230はエポキシ樹脂を、それぞれ示す。また、符号240で示される白色部分は、エポキシ樹脂の成型時の配向による輝点を示すと考えられる。
図4及び図5に示すように、液晶硬化層220は、第一層221、第二層222及び第三層223をこの順に含む3層構造を有していた。この写真を用いて、第一層221、第二層222及び第三層223それぞれの厚みを測定した。
(液晶硬化層に含まれる各層での液晶性化合物の分子のチルト角が一定であることの確認)
スライスにより現れた観察サンプルの断面を、偏光顕微鏡を用いて観察した。この観察は、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に波長板を挿入して、観察サンプルのレターデーションに応じた色を呈した像が見られるように行った。
観察の結果、第一層の色が第一層内のどの位置でも同じであったことから、第一層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が一定であると判定した。
また、観察された第二層の色が第二層内のどの位置でも同じであったことから、第二層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角が一定であると判定した。
さらに、観察された第三層の色が第三層内のどの位置でも同じであったことから、第三層に含まれる液晶性化合物の分子のチルト角が一定であると判定した。
(液晶硬化層に含まれる各層でのチルト角の測定)
観察サンプルを偏光顕微鏡のステージに置き、ステージを回転させながら、スライスにより現れた断面を観察した。断面に現れた液晶硬化層の第一層、第二層及び第三層それぞれが消光位になったときのステージの回転角度から、前記第一層、第二層及び第三層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子のチルト角を測定した。結果を、下記の表3に示す。
Figure 2019188495
10 光学異方体
100 液晶硬化層
110 第一層
120 第二層
130 第三層
210 基材フィルム
220 液晶硬化層
221 第一層
222 第二層
223 第三層
230 エポキシ樹脂

Claims (9)

  1. 逆波長分散性の複屈折を有する液晶性化合物を含有する液晶組成物の硬化物で形成され、配向状態を固定されていてもよい前記液晶性化合物の分子を含む液晶硬化層を備え、
    前記液晶性化合物の測定波長590nmにおける複屈折が、0.065以下であり、
    前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜しており、
    測定波長590nmにおける前記液晶硬化層の面内レターデーションが、80nm以上190nm未満である、光学異方体。
  2. 前記液晶性化合物が、下記式(I)又は式(II)で表される、請求項1に記載の光学異方体。
    Figure 2019188495
    Figure 2019188495
    (前記の式(I)及び式(II)において、
    は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の有機基を表す。
    は、化学的な単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR12−C(=O)−、−C(=O)−NR12−、−O−C(=O)−NR12−、−NR12−C(=O)−O−、−S−、−N=N−、又は、−C≡C−を表す。R12は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    Fx及びFxは、それぞれ独立して、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。
    Qは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    、RII、RIII及びRIVは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または、−O−C(=O)−R;を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素環基、を表す。C−R、C−RII、C−RIII及びC−RIVのうち、少なくとも1つは、窒素原子に置き換えられていてもよい。
    は、それぞれ独立して、ハロゲン原子;炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;−OCF;−C(=O)−O−R;または−O−C(=O)−R;を表す。
    pは、0〜3の整数を表す。
    p1は、0〜4の整数を表す。
    p2は、0または1を表す。
    、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR13−C(=O)−、−C(=O)−NR13−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、または、−C≡C−を表す。R13は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。
    及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。);からなる群より選ばれるいずれかの有機基を表す。R14は、水素原子、又は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
    及びPは、それぞれ独立して、ハロゲン原子又はメチル基で置換されていてもよい、炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
    m及びnは、それぞれ独立して、0又は1を表す。)
  3. 前記液晶硬化層が、第一層、第二層及び第三層を、この順に含み、
    前記第一層に含まれる前記液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第一チルト角が、前記第一層において一定であり、
    前記第二層に含まれる前記液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第二チルト角が、前記第二層において一定であり、且つ、前記第一チルト角とは不連続に異なり、
    前記第三層に含まれる前記液晶性化合物の分子が層平面に対してなす第三チルト角が、前記第三層において一定であり、且つ、前記第一チルト角及び第二チルト角とは不連続に異なる、請求項1又は2に記載の光学異方体。
  4. 前記第一層、前記第二層及び前記第三層の合計厚み100%に対する、前記第一層の厚みの割合が、14%以上66%以下であり、
    前記第一層、前記第二層及び前記第三層の合計厚み100%に対する、前記第二層の厚みの割合が、1%以上80%以下であり、
    前記第一層、前記第二層及び前記第三層の合計厚み100%に対する、前記第三層の厚みの割合が、6%以上33%以下である、請求項3に記載の光学異方体。
  5. 前記第一チルト角が、0°以上20°以下であり、
    前記第二チルト角が、20°以上80°以下であり、
    前記第三チルト角が、80°以上90°以下である、請求項3又は4に記載の光学異方体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学異方体の製造方法であって、
    前記液晶組成物の層を形成する工程と、
    前記液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程と、
    前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、を含む、光学異方体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学異方体を備える、1/4波長板。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学異方体を備える、偏光板。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学異方体を備える、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル。
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