JPWO2019177113A1 - 虚像表示光学系及び表示装置 - Google Patents

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Abstract

虚像の輝度や視認性を向上させることができる虚像表示光学系及び表示装置を提供する。虚像表示光学系(30)は、表示デバイスである像形成素子(11)によって形成された画像をアイボックス(EB)を対象として虚像投影して表示させるものであって、中間像(TI)の形成位置の近傍に配置される中間スクリーン(16)と、中間スクリーン(16)より像形成素子(11)側に配置される投影光学系と、中間スクリーン(16)より表示スクリーン(20)側に配置される虚像生成光学系(30b)と、を備え、中間スクリーン(16)は、拡散面(16m)を有し、アイボックス(EB)の横方向に対応する拡散面(16m)上での第1方向と、それにほぼ直交するアイボックスEBの縦方向に対応する拡散面(16m)上での第2方向とで拡散度が異なり、アイボックス(EB)の縦及び横に関するサイズの大小関係と、第1方向の拡散度と第2方向の拡散度との大小関係とが一致する。

Description

本発明は、画像表示性能を確保した虚像表示光学系及び当該虚像表示光学系を有する表示装置に関するものである。
従来の車両搭載用ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)装置は、虚像を運転者からある一定の距離離れた位置に生成する。HUD装置は、運転者の視線やピントの移動を最小限に抑えることで、より安全な運転を支援することができる。虚像の視認性という意味においては、高速走行時及び低速走行時で虚像距離を変えられるよう、HUD装置の光学系内に中間像を形成する構成が望ましく、また晴天のような非常に明るい環境下でも認識可能なように虚像の表示輝度を明るくすることが好ましい。光学系内に中間像を形成する構成で表示輝度を向上させる技術として、特許文献1では拡散面の特性を虚像の縦横比に合わせて拡散度合いを調整した楕円拡散とする手法が示されている。
しかしながら、虚像の輝度向上にとって、虚像の縦横比よりもアイボックスの縦横比の方が影響が大きい。すなわち、虚像表示光学系において、中間スクリーン上での映像光の好適な広がり角は、光学的な原理に従うと通常アイボックスの縦横比となる。このため、特殊な用途を除き横長なアイボックスが設定されるHUD装置においては、例えば虚像の縦横比が等しい場合においてこれに応じて等方的な拡散特性の拡散板を用いると、アイボックスの縦方向に関して多くの光量のロスが生じ、結果的に虚像の表示輝度や視認性が低下してしまう。
特開2017−142509号公報
本発明は、虚像の輝度や視認性を向上させることができる虚像表示光学系及び表示装置を提供することを目的とする。
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した虚像表示光学系は、表示デバイスによって形成された画像をアイボックスを対象として虚像投影して表示させるものであって、中間像の形成位置の近傍に配置される中間スクリーンと、中間スクリーンより表示デバイス側に配置される投影光学系と、中間スクリーンより表示スクリーン側に配置される虚像生成光学系と、を備え、中間スクリーンは、拡散面を有し、アイボックスの横方向に対応する拡散面上での第1方向と、それにほぼ直交するアイボックスの縦方向に対応する拡散面上での第2方向とで拡散度が異なり、アイボックスの縦及び横に関するサイズの大小関係と、第1方向の拡散度と第2方向の拡散度との大小関係とが一致する。
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した表示装置は、上記の虚像投影光学系を備える。
図1Aは、第1実施形態の表示装置を車体に搭載した状態を示す側方断面図であり、図1Bは、表示装置を説明する車内側からの正面図である。 表示装置の具体的な構成例を説明する拡大側方断面図である。 図3Aは、アイボックスのサイズを説明する図であり、図3Bは、中間スクリーンによる拡散角又は拡散度を説明する図であり、図3Cは、表示デバイスのサイズを説明する図である。 図4A及び4Bは、中間スクリーンから射出される光線の具体例を説明する図である。 図2に示す表示装置を含む移動体用表示システムを説明する概念的なブロック図である。 移動体用表示システムによる具体的な表示状態を説明する斜視図である。 図7A及び7Bは、第2実施形態の虚像表示光学系に組み込まれる中間スクリーン又は拡散部を説明する一部破断平面図及び一部破断側面図であり、図7Cは、中間スクリーンの回転に伴う機能領域の移動を説明する概念図である。 図8A及び8Bは、第3実施形態の虚像表示光学系に組み込まれる中間スクリーン又は拡散部を説明する平面図及び側方断面図である。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る虚像表示光学系及び表示装置の第1実施形態について説明する。
図1A及び1Bを参照して、本実施形態の表示装置(画像表示装置)100は、例えばヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)装置として車体2内に搭載されるものであり、描画ユニット10と表示スクリーン20とを備える。表示装置100は、描画ユニット10中の後述する像形成素子11に表示されている画像情報を、表示スクリーン20を介して運転者(観察者)UNに向けて虚像表示するものである。
表示装置100のうち描画ユニット10は、車体2のダッシュボード4内に埋め込むように設置されており、運転関連情報や危険信号等を含む画像に対応する表示光HKを表示スクリーン20に向けて出射する。表示スクリーン20は、コンバイナーとも呼ばれるハーフミラーであり、半透過性を有する凹面鏡又は平面鏡である。表示スクリーン20は、下端の支持によってダッシュボード4上に立設され、描画ユニット10からの表示光HKを車体2の後方に向けて反射させる。つまり、図示の場合、表示スクリーン20は、フロントガラス(ウインドシールド)8とは別体で設置される独立型のものとなっている。
図1A及び図2に示すように、ハーフミラーである表示スクリーン20で反射された表示光HKは、運転席6に座った運転者UNの瞳HT及びその周辺位置に対応するアイボックスEBに導かれる。運転者UNは、表示スクリーン20で反射された表示光HK、つまり車体2の前方にある虚像としての表示像IMを観察することができる。一方、運転者UNは、ハーフミラーである表示スクリーン20を透過した外界光、つまり前方景色、自動車等の実像を観察することができる。結果的に、運転者UNは、表示スクリーン20の背後の外界像に重ねて、表示スクリーン20での表示光HKの反射によって形成される運転関連情報や危険信号等を含む表示像(虚像)IMを観察することができる。
図2に示すように、描画ユニット10は、本体光学系13と、本体光学系13を動作させる表示制御部18と、本体光学系13等を収納するハウジング14とを備える。これらのうち本体光学系13と表示スクリーン(コンバイナー)20とを組み合わせたものは、虚像表示光学系30を構成する。なお、図2等において座標軸XYZは、一般的な運転者UNの瞳HT間の位置に対応するアイボックスEBの中心を原点とするが、便宜上原点をシフトさせた状態で表示されている。
本体光学系13は、像形成素子(表示デバイス)11と、像形成素子11に形成された画像を拡大した中間像TIを形成可能な投影光学系15と、中間像TIの結像位置に近接して光路後段に配置される中間スクリーン16と、中間像TIを虚像に変換するミラー光学系17とを備える。詳細は後述するが、本体光学系13によって、虚像投影距離が可変となっている。本体光学系13のうちミラー光学系17と、本体光学系13の上方に配置された表示スクリーン20とを組み合わせたものは、虚像生成光学系30bを構成する。
本体光学系13において、像形成素子11は、2次元的な表示面11aを有する描画デバイス(表示部)である。像形成素子11の表示面11aに形成された像は、本体光学系13のうち投影光学系15で拡大されて中間像TIを形成し、中間スクリーン16を通過し、ミラー光学系17等へ導かれる。この際、2次元表示が可能な像形成素子11を用いることで、中間像TI又は表示像(虚像)IMの切替えを比較的高速とできる。像形成素子11には、デジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)や反射型液晶デバイス(LCOS:Liquid crystal on silicon)を用いることができる。像形成素子11としてDMDやLCOSを用いると、明るさを維持しつつ画像を高速で切替えること(高速の間欠表示を含む)が容易になり、虚像距離又は投影距離を変化させる表示に有利である。なお、像形成素子11は、虚像を複数距離に投影する場合の虚像1距離あたり例えば30fps以上、好ましくは60fps以上のフレームレートで動作する。これにより、異なる投影距離に複数の表示像(虚像)IMを運転者UNに対して同時に表示されているように見せることが容易になる。
投影光学系15は、固定焦点のレンズ系であり、図示を省略するが、複数のレンズを有する。投影光学系15のF値は、2.0以上となっている。投影光学系15は、像形成素子11の表示面11aに形成された画像を適当な倍率に拡大投影し、中間スクリーン16の入射面に設けた拡散面16mに近接した位置に中間像TI(又は拡散面16mの位置に強制中間像TI’)を形成する。強制中間像TI’は、中間像TIそのものの他、中間像TIから位置ずれして僅かにピントがボケたものも含み、広義に中間像TIと呼ぶこともある。
中間スクリーン16は、結像位置(つまり中間像TIの結像予定位置又はその近傍)において強制中間像TI’を形成する。中間スクリーン16は、拡散角を所望の角度に制御した部材である。後述するように中間スクリーン16を光軸AX方向に移動させることにより、強制中間像TI’の位置も光軸AX方向に移動させることができる。中間スクリーン16には、例えば拡散板、拡散スクリーン、マイクロレンズアレイ等を用いることができる。中間スクリーン16の入射面に設けた拡散面16mは、拡散機能を有している。拡散面16mに強制中間像TI’が形成され、ここから光が拡散するので、投影光学系15で拡大投影してもアイボックスEBを広く確保することができる。中間スクリーン16は、投影光学系15の焦点深度内で移動可能となっている。
中間スクリーン16は、配置変更装置62に駆動されて例えば一定速度又は周期的な運動で光軸AXに沿って移動する。本例の場合、光軸AXとは、表示デバイス(描画デバイス)である像形成素子11の中心と、アイボックスEBの中心と、表示装置100によって作られる像形成素子11の中心に対応する像点(虚像)とを通るものである。配置変更装置62によって中間スクリーン16又は拡散面16mを光軸AXに沿って移動させることで、ミラー光学系17によって表示スクリーン(コンバイナー)20の背後に形成される虚像としての表示像IMと観察者である運転者UNとの距離を長く、又は短くすることができる。つまり、配置変更装置62は、本体光学系13の構成配置を変化させて投影距離を変化させる。このように、投影される表示像IMの位置を前後に変化させるとともに、表示内容をその位置に応じたものとすることで、表示像IMまでの虚像距離又は投影距離を変化させつつ表示像IMを変化させることになり、一連の投影像としての表示像IMを3次元的なものとすることができる。中間スクリーン16の光軸AXに沿った移動範囲は、中間像TIの結像予定位置又はその近傍に相当するものであるが、投影光学系15の中間スクリーン16側の焦点深度の範囲内とすることが望ましい。これにより、強制中間像TI’の状態と虚像としての表示像IMの結像状態とを、いずれもほぼピントが合った良好な状態とすることができる。中間スクリーン16の光軸AX方向の移動量は、例えば20mm以下となっている。これにより、中間スクリーン16の移動を効率良く行うことができ、中間スクリーン16の応答性を向上させることができる。中間スクリーン16の移動速度は、虚像としての表示像IMが複数個所又は複数虚像距離に同時に表示されているかのように見せることができる速度であることが望ましい。配置変更装置62は、例えば15Hz以上の速度で中間スクリーン16を移動させる。この場合、観察者(運転者UN)の知覚を超える速さのため、観察者は投影距離の異なる虚像をほぼ同時に認識することができる。
中間スクリーン16は、支持部材62aに支持されている。支持部材62aは、配置変更装置62の台座62bに光軸AX方向に沿った所定の範囲内で移動可能に取り付けられている。中間スクリーン16が移動範囲の最も上流側(つまり、投影光学系15に最も近い下側)に配置されたタイミングでは、この時点で中間スクリーン16に表示されている画像が、ハーフミラーである表示スクリーン(コンバイナー)20の背後の最も遠くに虚像として表示される。また、中間スクリーン16が移動範囲の最も下流側(つまり、投影光学系15から最も遠い上側)に配置されたタイミングでは、この時点で中間スクリーン16に表示されている画像が、ハーフミラーである表示スクリーン(コンバイナー)20の背後の最も近くに虚像として表示される。
ミラー光学系17は、中間スクリーン16に形成された強制中間像TI’を表示スクリーン20と協働して拡大する拡大光学系であり、運転者UNの前方に虚像としての表示像IMを形成する。ミラー光学系17は、反射光学系を有し、少なくとも1枚のミラーで構成されるが、図示の例では2枚の第1及び第2ミラー17a,17bを含む。ここで、第1ミラー17aは、第1の反射体であって、光路前段にある像形成素子11側に配置されており、光学的なパワーを有する。また、第2ミラー17bは、光路後段にある表示スクリーン(コンバイナー)20側に配置されており、光学的なパワーを有する。第1及び第2ミラー17a,17bは、凸面、凹面、又は平面とでき、曲面の場合、球面に限らず、非球面、自由曲面等とすることができる。
虚像生成光学系30bにおいて、中間スクリーン16は、矩形の輪郭を有し、縦方向及び横方向で拡散特性が異なるものとなっている。つまり、中間スクリーン16は、アイボックスEBの横方向又はX方向に対応し拡散面16m上での第1方向であるX方向と、それに直交するアイボックスEBの縦方向又はY方向に対応し拡散面16m上での第2方向であるZ方向とで、拡散度が異なるものとなっている。さらに、中間スクリーン16の第1方向であるX方向の拡散度と第2方向であるZ方向の拡散度との大小関係は、アイボックスEBの縦及び横に関するサイズの大小関係と一致している。ここで、拡散度とは、拡散分布又は拡散特性において半値強度の拡散角を意味する。本実施形態の場合、アイボックスEBは、第2方向に相当するY方向の幅より第1方向に相当するX方向の幅が大きい横長の形状を有し、中間スクリーン16は、第1方向の拡散度が第2方向の拡散度より大きい楕円拡散特性を有する。この場合、アイボックスEBの横方向に関して輝度確保が容易となり、アイボックスEB全体で明るい画像を提供できる。
中間スクリーン16の拡散特性は、公知の手法で調整することができる。中間スクリーン16が例えば拡散板である場合、基板の表面に使用波長以下のサイズを有する微少凹凸を形成したり、使用波長以下の幅を有するライン状の凹凸を形成したりすることにより、中間スクリーン16の拡散特性に所望の方向性を持たせるよう調整することができる。
図3Aに示すように、アイボックスEBの縦方向VDに関する幅である縦サイズをEBvとし、アイボックスEBの横方向HDに関する幅である横サイズをEBhとする。一般的に、アイボックスEBは人間の目が横方向に2つ並んでいることと、運転中の頭の振れ量等を考慮してサイズが設定される。アイボックスEBの縦サイズEBvは、例えば50〜90mmとされ、横サイズEBhは、例えば130〜150mmとされる。アイボックスEBのサイズは、運転者UNの両目の中心を基準として、表示像(虚像)IM全体を両目で視認できる領域を意味する。
図3Bは、中間スクリーン16から射出される表示光HKに関して必要最小限の楕円拡散特性C1と、中間スクリーン16の拡散面16mによる表示光HKの実際の楕円拡散特性C2とを示している。ここで、楕円拡散特性C1において、アイボックスEBの縦横サイズEBv,EBhを満足するために必要な中間スクリーン位置での所期の発散角をθv及びθhとする。また、楕円拡散特性C2において、アイボックスEBの縦横方向に対応する中間スクリーン16の第2方向の拡散角をθv’とし、第1方向の拡散角をθh’とする。この場合、所期の発散角θv,θhは、アイボックスEBを考慮した必要最小限の拡散角であり、拡散角θv’,θh’は、実際の中間スクリーン16に設定した拡散角である。虚像生成光学系30b又は中間スクリーン16は、下記2つの条件式
1<θv’/θv<2.0 … (1)
1<θh’/θh<1.5 … (2)
を満たすようなものとなっている。ここで、2つの条件式(1)及び(2)の値がそれぞれ下限を上回ることで、アイボックスEBの長辺側の端において虚像としての表示像IMの輝度が極端に下がることや、虚像が見えなくなることを回避できる。一方、2つの条件式(1)及び(2)の値がそれぞれ上限を下回ることで、虚像生成光学系30bで必要な光の発散角に対して実際の拡散角が大きくなりすぎることを防止でき、全体として虚像としての表示像IMの輝度を確保することができる。
虚像生成光学系30bは、水平方向である横方向の光学倍率をMhとし、垂直方向である縦方向の光学倍率をMvとしたとき、下記2つの条件式
0.7×(Mv/Mh)×(EBv/EBh)<θv’/θh’ … (3)
θv’/θh’<1.3×(Mv/Mh)×(EBv/EBh) … (4)
を満たす。条件式(3)及び(4)は、虚像生成光学系30bの縦横倍率を考慮して、アイボックスEBの縦横サイズに応じて中間スクリーン16の拡散角θv’,θh’の適正な範囲を規定するものである。条件式(3)及び(4)の値が上記範囲の下限を上回ることで、アイボックスEBの横方向に対応する拡散角が大きくなりすぎることを回避でき、虚像としての表示像IMの輝度低下を防止できる。一方、条件式(3)及び(4)の値が上限を下回ることで、アイボックスEBの縦方向に対応する拡散角が大きくなりすぎることを回避でき、やはり虚像としての表示像IMの輝度低下を防止できる。
本実施形態では、中間スクリーン16を光軸AXに沿って移動させるので、水平方向の光学倍率Mhと垂直方向の光学倍率Mvとが等しくなっており、上記条件式(3)及び(4)がより簡単に修正され、虚像生成光学系30bは、下記条件式
0.7×EBv/EBh<θv’/θh’ … (5)
θv’/θh’<1.3×EBv/EBh … (6)
を満たす。上記条件式(5)及び(6)の値が上記範囲内にあることで、拡散角が縦横の一方に偏って大きくなりすぎることを防止でき、虚像としての表示像IMの輝度の低下を抑制できる。
図3Cは、像形成素子(表示デバイス)11の表示面11aの縦横サイズを説明する図である。ここで、表示面11aの矩形表示領域の縦方向VDに関する幅である縦サイズをDAvとし、表示面11aの矩形表示領域の横方向HDに関する幅である横サイズをDAhとする。ここで、縦サイズDAvは、表示像(虚像)IMの縦方向又はY方向に対応し、横サイズDAhは、表示像(虚像)IMの横方向又はX方向に対応する。図からも明らかなように、表示面11aは、第1方向より第2方向に長い縦長の表示サイズを有し、横長のサイズを有するアイボックスEBとは、縦横の大小関係が反転し、互いに異なるものとなっている。なお、この例では、表示面11aを縦長としているが、表示面11aを横長とすることもでき、表示面11aの形はその用途によって変えることが好ましい。例えば、フロントガラスが横長の一般的な乗用車であれば横長、フロントガラスが縦長の重機、建機等では縦長、といった具合である。
図4Aは、中間スクリーン16から射出される表示光HKの第2方向又は縦方向の拡散状態を説明する図であり、図4Bは、中間スクリーン16から射出される表示光HKの第1方向又は横方向の拡散状態を説明する図である。図4Aに示すように、中間スクリーン16の中央からの表示光H0の縦方向又は第2方向の所期の発散角θvと、中間スクリーン16の周辺部からの表示光H2の縦方向の所期の発散角θvとはほぼ等しい。また、図4Bに示すように、中間スクリーン16の中央からの表示光H0の横方向又は第1方向の所期の発散角θhと、中間スクリーン16の周辺部からの表示光H1の横方向の所期の発散角θhとはほぼ等しい。本光学系の場合、アイボックスEBの縦横サイズEBv,EBhを満足するために必要な中間スクリーン位置での所期の発散角θvは9.1°〜9.3°で、発散角θhは23.4°〜23.8°であるため、中間スクリーン16の縦又は第2の方向の発散角θvは、中間スクリーン16の横又は第1の方向の発散角θhよりも小さくなり、中間スクリーン16の縦又は第2の方向の拡散角θv’は、中間スクリーン16の横又は第1の方向の拡散角θh’よりも小さくなっている。本光学系の場合、アイボックスEBのサイズは縦50mm、横130mmに設定されているため、縦横比EBv/EBhが0.38であり、具体的な例では、中間スクリーン16における所期の発散角θv,θhの縦横比が約0.39であるので、前述のとおり光学的な原理に則り、所期の拡散角の縦横比がアイボックスの縦横比になっていることが分かる。また、中間スクリーン16が備える拡散面の拡散角θv’,θh’は、既述の条件式(1)〜(6)を満たすようなものに設定することにより虚像の輝度を大きくすることが可能となる。なお、本光学系の場合、光学倍率の縦横比が1.0であるため、拡散角θv’,θh’に関する既述の条件式(3)及び(4)は、既述の条件式(5)及び(6)と同義である。以上において、表示光HKを構成する中央や周辺の光が全て条件式(1)〜(6)を満たすことが望ましいが、中間スクリーン16の有効領域外や、有効領域内であっても最外縁部を通過する一部の光が条件式(1)〜(6)を満たさないものであってもよい。
図2に戻って、ハウジング14は、表示光HKを通過させる開口14aを有し、この開口14aには、フィルム又は薄板状の光透過部材14bを配置することができる。
図5は、移動体用表示システム200を説明するブロック図であり、移動体用表示システム200は、その一部として表示装置100を含む。この表示装置100は、図2に示す構造を有するものであり、ここでは説明を省略する。図5に示す移動体用表示システム200は、移動体である自動車等に組み込まれるものである。
移動体用表示システム200は、表示装置100のほかに、運転者検出部71と、環境監視部72と、主制御装置90とを備える。
運転者検出部71は、運転者UNの存在や視点位置を検出する部分であり、運転席用カメラ71aと、運転席用画像処理部71bと、運転席画像判断部71cとを備える。運転席用カメラ71aは、車体2内のダッシュボード4の運転席正面に設置されており(図1B参照)、運転者UNの頭部及びその周辺の画像を撮影する。運転席用画像処理部71bは、運転席用カメラ71aで撮影した画像に対して明るさ補正等の各種画像処理を行って運転席画像判断部71cでの処理を容易にする。運転席画像判断部71cは、運転席用画像処理部71bを経た運転席画像からオブジェクトの抽出又は切り出しを行うことによって運転者UNの頭部や目を検出するとともに、運転席画像に付随する奥行情報から車体2内における運転者UNの頭部の存否とともに運転者UNの目の空間的な位置(結果的に視線の方向)を算出する。
環境監視部72は、前方に近接する自動車、自転車、歩行者等を識別する部分であり、外部用カメラ72aと、外部用画像処理部72bと、外部画像判断部72cとを備える。外部用カメラ72aは、車体2内外の適所に設置されており、運転者UN又はフロントガラス8の前方、側方等の外部画像を撮影する。外部用画像処理部72bは、外部用カメラ72aで撮影した画像に対して明るさ補正等の各種画像処理を行って外部画像判断部72cでの処理を容易にする。外部画像判断部72cは、外部用画像処理部72bを経た外部画像からオブジェクトの抽出又は切り出しを行うことによって自動車、自転車、歩行者等の対象物(例えば図6に示すオブジェクトOB参照)の存否を検出するとともに、外部画像に付随する奥行情報から車体2前方における対象物の空間的な位置を算出する。
なお、運転席用カメラ71aや外部用カメラ72a、特に外部用カメラ72aは、図示を省略しているが、例えば複眼型の3次元カメラである。つまり、両カメラ71a,72aは、結像用のレンズと、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)その他の撮像素子とを一組とするカメラ素子をマトリックス状に配列したものであり、撮像素子用の駆動回路をそれぞれ有する。各カメラ71a,72aを構成する複数のカメラ素子は、例えば奥行方向の異なる位置にピントを合わせるようになっており、或いは相対的な視差を検出できるようになっており、各カメラ素子から得た画像の状態(フォーカス状態、オブジェクトの位置等)を解析することで、画像内の各領域又はオブジェクトまでの距離を判定できる。
なお、上記のような複眼型のカメラ71a,72aに代えて、2次元カメラと赤外距離センサーとを組み合わせたものを用いても、撮影した画面内の各部(領域又はオブジェクト)に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。また、複眼型のカメラ71a,72aに代えて、2つの2次元カメラを分離配置したステレオカメラによって、撮影した画面内の各部(領域又はオブジェクト)に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。その他、単一の2次元カメラにおいて、焦点距離を高速で変化させながら撮像を行うことによっても、撮影した画面内の各部に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。
表示制御部18は、主制御装置90の制御下で虚像表示光学系30を動作させて、表示スクリーン20の背後に虚像距離又は投影距離が変化する3次元的な表示像IMを表示させる。表示制御部18は、主制御装置90を介して環境監視部72から受信した表示形状や表示距離を含む表示情報から、虚像表示光学系30に表示させる表示像IMを生成する。表示像IMは、例えば表示スクリーン20の背後に存在する自動車、自転車、歩行者その他の対象物に対してその奥行き位置方向に関して周辺に位置する表示枠(例えば図6に示す表示枠HW参照)のような標識とすることができる。
表示制御部18は、主制御装置90を介して運転者検出部71から運転者UNの存在や目の位置に関する検出出力を受け取る。これにより、虚像表示光学系30による表示像IMの投影の自動的な開始や停止が可能になる。また、運転者UNの視線の方向のみに表示像IMの投影を行うこともできる。さらに、運転者UNの視線の方向の表示像IMのみを明るくする、点滅する等の強調を行った投影を行うこともできる。
主制御装置90は、表示装置100、環境監視部72等の動作を調和させる役割を有し、環境監視部72によって検出した対象物の空間的な位置に対応するように、虚像表示光学系30によって投影される表示枠の空間的な配置を調整する。
図6は、具体的な表示状態を説明する斜視図である。観察者である運転者UNの前方は観察視野に相当する検出領域VFとなっている。検出領域VF内、つまり道路及びその周辺に、歩行者等である人のオブジェクトOB1,OB3や、自動車等である移動体のオブジェクトOB2が存在すると考える。この場合、主制御装置90は、表示装置100によって3次元的な投影像又は表示像(虚像)IMを投影させ、各オブジェクトOB1,OB2,OB3に対して関連情報像としての表示枠HW1,HW2,HW3を付加する。この際、運転者UNから各オブジェクトOB1,OB2,OB3までの距離が異なるので、表示枠HW1,HW2,HW3を表示させる表示像IM1,IM2,IM3までの投影距離は、運転者UNから各オブジェクトOB1,OB2,OB3までの距離に相当するものとなっている。なお、表示像IM1,IM2,IM3の投影距離は、離散的であり、オブジェクトOB1,OB2,OB3までの現実の距離に対して正確に一致させることはできない。ただし、表示像IM1,IM2,IM3の投影距離と、オブジェクトOB1,OB2,OB3までの現実の距離との差が大きくなければ、運転者UNの視点が動いても視差が生じにくく、オブジェクトOB1,OB2,OB3と表示枠HW1,HW2,HW3との配置関係をほぼ維持することができる。
以上で説明した虚像表示光学系及び表示装置では、アイボックスEBの縦及び横に関するサイズの大小関係と、中間スクリーン16における第1方向の拡散度と中間スクリーン16における第2方向の拡散度との大小関係が一致するので、アイボックスEBの短辺方向に関して光量のロスを抑えることができ、虚像としての表示像IMの輝度を向上させることができる。これにより、運転者UNにとっての視認性を向上させることができる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る表示装置について説明する。なお、第2実施形態の表示装置は第1実施形態の表示装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。本実施形態の場合、図1に示す往復型の中間スクリーン16等に代えて回転型の中間スクリーンを含む拡散部を配置する。
図7A及び7Bに示すように、拡散部19は、全体として円板に近い輪郭を有する螺旋状の回転体19aと、回転体19aを収納する円筒状の中空枠体19bとを有する。拡散部19は、図1に示す投影光学系15による投影位置又は結像位置(つまり中間像の結像予定位置又はその近傍)に配置され、不図示の回転駆動部に駆動されて例えば一定速度で光軸AXに平行な回転軸SXの周りに回転する。
回転体19aは、中間スクリーン16であり、中央部19cと外周光学部19pとを有する。回転体19aの外周光学部19pに形成された一方の表面19fは、平滑面又は光学面に形成されており、表面19f上には、全域に亘って拡散面16mが形成されている。拡散面16mは、配光角を所望の角度に制御する部分である。拡散面16mは、回転体19aに貼り付けられるシートとできるが、回転体19aの表面に形成された微細な凹凸パターンであってもよい。さらに、拡散面16mは、回転体19aの内部に埋め込むように形成されたものであってもよい。拡散面16mは、入射した表示光HKを拡散させることによって中間像TI又は強制中間像TI’を形成する。回転体19aの外周光学部19pに形成された他方の表面19sは、平滑面又は光学面に形成されている。回転体19aは、光透過性を有する螺旋状の部材であり、一対の表面19f,19sは、回転軸SXを螺旋軸とする螺旋面となっている。結果的に、一方の表面19f上に形成された拡散面16mも連続的な螺旋面に沿って形成されたものとなっている。回転体19a又は中間スクリーン16は、回転軸SX又は光軸AX方向に関してほぼ等しい厚みtを有する。拡散面16mは、螺旋の一周期に対応する範囲に形成されている。つまり、拡散面16mは、螺旋の1ピッチ分の範囲に形成されている。この結果、拡散部19の周に沿った一箇所に段差部19jが形成されている。中間スクリーン16をこのような形状とすることで、中間スクリーン16に設けた拡散面16mの光軸AX方向の位置を連続的に変化させることが可能となり、虚像投影距離を変化させる投影が可能となる。
回転体19aにおいて、周方向に沿った一箇所は、本体光学系13の光軸AXが通る機能領域FAとなっており、機能領域FAにおける拡散面16mの部分によって中間像TI(より正確には強制中間像TI’)が形成される。この機能領域FAは、回転体19aの回転に伴って回転体19a上において一定速度で移動する。つまり、回転体19aを回転させつつその一部である機能領域FAに表示光(映像光)HKを入射させることで、機能領域FA又は中間像TIの位置が光軸AXに沿って往復移動する(像形成素子11の表示が動作していなければ、必ずしも表示としての中間像は形成されないが、中間像が形成されるであろう位置も中間像の位置と呼ぶ)。図示の例では、拡散面16mが螺旋の一周期に対応する範囲に形成されているので、回転体19aの1回転で拡散面16mの機能領域FA又は中間像TIは、光軸AX方向に段差に相当する距離だけ1往復することになる。
なお、投影光学系15は、拡散部19に設けた中間スクリーン16又は拡散面16mの位置によってピントぼけが生じないように、機能領域FAの移動範囲以上の所定の焦点深度を有する。
中空枠体19bは、円柱状の外形輪郭を有し、側面部19eと一対の端面部19g,19hとで構成される。側面部19eと一対の端面部19g,19hとは、光透過性を有する同一の材料で形成されている。ただし、側面部19eは、光透過性を有していなくてもよい。一方の端面部19gは、平行平板であるが、自由曲面形状や非球面形状を有するものとできる。同様に、他方の端面部19hも、平行平板であるが、自由曲面形状や非球面形状を有するものとできる。中空枠体19b中の回転体19aは、一対の中心軸部65を介して中空枠体19bに固定されており、中空枠体19bと回転体19aとは回転軸SXの周りに一体的に回転する。このように、拡散面16mを設けた回転体19aを中空枠体19b中に配置することで、回転体19aに塵等が付着することを抑制でき、回転体19aの回転に伴う音の発生を抑制することができ、回転体19aの高速での回転を安定化させることが容易になる。なお、回転体19aは、その外周部分において中空枠体19bに固定してもよい。
不図示の回転駆動部によって拡散部19を一定速度で回転軸SXの周りに回転させることで、回転体19a又は中間スクリーン16の拡散面16mが光軸AXと交差する位置(つまり機能領域FA)も光軸AX方向に移動する。つまり、例えば図7Cに示すように、回転体19aの回転に伴って、中間スクリーン16上の機能領域FAは、例えば等角度でずれた位置に設定された隣接する機能領域FA’に順次シフトし、光軸AX方向に移動する。このような機能領域FAの光軸AX方向への移動により、中間像TIの位置も光軸AX方向に移動させることができる。拡散部19が回転軸SXの周りに回転して機能領域FAに対応する中間像TIの位置が光軸AX方向に繰り返し周期的に移動し、ミラー光学系17によって表示スクリーン20の背後に形成される虚像としての表示像IMと観察者である運転者UNとの距離を長く、又は短くすることができる。
図2に示す投影光学系15からの表示光HKは、図7Aに示す中間スクリーン16の拡散面16mを通過して拡散度が調整され、ミラー光学系17を経て表示スクリーン20で反射される。
本実施形態において、回転体19aの中間スクリーン16に形成された拡散面16mは、周方向である第1方向と、半径方向である第2方向とで拡散特性が異なるものとなっている。具体的には、中間スクリーン16は、周方向である第1方向の拡散度がこれに直交する第2方向の拡散度より大きい楕円拡散特性を有する。なお、本実施形態において、アイボックスEBは、第1実施形態の場合と同様に、第2方向に相当するY方向の幅より第1方向に相当するX方向の幅が大きい横長の形状を有する。詳細な説明を省略するが、本実施形態の虚像生成光学系30b又は中間スクリーン16は、既述の条件式(1)〜(6)を満足する。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る表示装置について説明する。なお、第3実施形態の表示装置は第1実施形態の表示装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。本実施形態の場合、図1に示す往復型の中間スクリーン16等に代えて回転型の中間スクリーンを含む拡散部を配置する。
図8A及び8Bに示すように、拡散部119は、全体として円筒容器に近い輪郭を有する螺旋状の回転体119aを有する。拡散部119は、図1に示す投影光学系15による投影位置又は結像位置(つまり中間像の結像予定位置又はその近傍)に配置され、不図示の回転駆動部に駆動されて例えば一定速度で光軸AXに垂直な回転軸SXの周りに回転する。
回転体119aは、中間スクリーン16であり、回転軸SXのまわりの角度方向に応じて回転軸SXから機能領域FAとなる表面までの距離が連続的に変化する部分を含む円筒状形状を有する。回転体119aの回転軸SXは、中間スクリーン16の光軸AXに平行な軸TXに対して直交又はほぼ直交する状態で配置されている。
回転体119aは、端面部119bと、側面部119cとを有する。回転体119aは、端面部119bの反対側において開放された構造となっており、不図示の支持部材によって別途固定された光路折り曲げ用のミラーM1を囲むように配置されている。端面部119bと側面部119cとは、光透過性を有する同一の材料で形成されている。ただし、端面部119bは、光透過性を有していないものであってもよく、例えば一部空洞になっていても構わない。
回転体119aの端面部119bは、円盤状の部材であり、側面部119cの一方の端部を支持している。端面部119bは、中心軸部65を介して不図示の回転駆動部に回転可能に支持されている。図示は省略するが、回転体119aには、回転体119aの回転を安定させるために、バランサーを設けることができる。
回転体119aの側面部119cは、光学部であり、側面部119cの外側に形成された一方の表面119dは、平滑面又は光学面に形成されている。表面119d上には、全域に亘って拡散面16mが形成されている。拡散面16mは、配光角を所望の角度に制御する部分である。中間スクリーン16は、回転体119aの側面部119cに貼り付けられるシートとできるが、回転体119aの表面に形成された微細な凹凸パターンであってもよい。中間スクリーン16は、入射した表示光HKを拡散させることによって中間像TI(より正確には強制中間像TI’)を形成する(図2参照)。回転体119aの側面部119cの内側に形成された他方の表面119eは、平滑面又は光学面に形成されている。
回転体119aの立体形状は、回転軸SXから機能領域FAまでの距離が連続的に変化する側面形状を有している。具体的には、側面部119cは、光透過性を有する渦巻き状の部材であり、一対の表面119d,119eは、回転軸SXを基準軸とする渦巻き型側面となっている。つまり、側面部119cの基準軸は、回転体119aの回転軸SXとほぼ一致している。結果的に、一方の表面119d上に形成された中間スクリーン16も連続的な渦巻き型側面に沿って形成されたものとなっている。中間スクリーン16の拡散面16mは、機能領域FAのパターン(又は渦巻き型側面のパターン)に対応する範囲に形成されている。これにより、回転体119aの一回転で中間スクリーン16の機能領域FAの光軸AX方向の位置を適宜調整することで、虚像投影距離を適宜調整することができる。
回転体119aの側面部119cの周に沿った一箇所に段差部119fが形成されている。この段差部119fは、光軸AX方向に平行な方向に関して中間スクリーン16の両端に段差を与えるものとなっている。
図2に示す投影光学系15からの表示光HKは、図8Aに示すミラーM1で反射され、中間スクリーン16の拡散面16mを通過して拡散度が調整され、ミラー光学系17を経て表示スクリーン20で反射される。
本実施形態において、回転体19aの中間スクリーン16に形成された拡散面16mは、周方向である第1方向と、母線方向である第2方向とで拡散特性が異なるものとなっている。具体的には、中間スクリーン16は、周方向である第1方向の拡散度がこれに直交する第2方向の拡散度より大きい楕円拡散特性を有する。なお、本実施形態において、アイボックスEBは、第1実施形態の場合と同様に、第2方向に相当するY方向の幅より第1方向に相当するX方向の幅が大きい横長の形状を有する。詳細な説明を省略するが、本実施形態の虚像生成光学系30b又は中間スクリーン16は、既述の条件式(1)〜(6)を満足する。
以上では、具体的な実施形態としての表示装置について説明したが、本発明に係る表示装置は、上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、表示装置100の配置を上下反転させて、フロントガラス8の上部又はサンバイザー位置に表示スクリーン20を配置することもできる。この場合、描画ユニット10の斜め下方前方に表示スクリーン20が配置される。上記実施形態では表示スクリーン20を平面としたが、曲面でも、曲面をさらに傾けたものでも、対称性をもたない自由曲面であってもよい。
上記実施形態において、表示スクリーン20の輪郭は、矩形に限らず、様々な形状とすることができる。
図2等に示す本体光学系13は、単なる例示であり、これら本体光学系13の光学的構成については適宜変更することができる。例えば、投影光学系15中に中間像TIの前段としての中間像を追加で形成することができる。ミラー光学系17の光路中において、光学的なパワーを持たない1つ以上のミラーを配置してもよい。この場合、折り返しによる描画ユニット10等の小型化に有利になる場合もある。
また、上記実施形態において、描画デバイスである像形成素子11として、DMDやLCOS等を用いたが、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)や、他の種類の表示素子、例えば有機ELを用いてもよい。また、像形成素子11は、反射型の素子の代わりに、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用した走査型の映像素子を用いてもよい。
また、上記実施形態において、ミラー光学系17には、2枚のミラーを設けたが、1枚又は3枚以上のミラーを設けてもよい。また、ミラーを省略してもよい。また、ミラーの光学面は対称性がある自由曲面としているが、これに限るものではなく、対称性を持たない自由曲面でもよい。
また、上記実施形態において、表示スクリーン(コンバイナー)20を設けずに、フロントウインドウを形成するフロントガラス8の運転席正面に設けた矩形の反射領域の内側に表示スクリーン20を貼り付けてもよい。なお、表示スクリーン20は、フロントガラス8内に埋め込むこともできる。
また、上記実施形態において、投影光学系15は、固定焦点光学系としたが、焦点可変光学系であってもよい。
上記実施形態では、中間スクリーン16を光軸AXに沿って移動させる構成としたが、中間スクリーン16を光軸AX方向に移動させないで固定することもできる。
以上で説明した表示装置100は、自動車やその他移動体に搭載される投影装置に限らず、デジタルサイネージ等に組み込むことができるが、これら以外の用途に適用することもできる。

Claims (6)

  1. 表示デバイスによって形成された画像をアイボックスを対象として虚像投影して表示させる虚像表示光学系であって、
    中間像の形成位置の近傍に配置される中間スクリーンと、
    前記中間スクリーンより前記表示デバイス側に配置される投影光学系と、
    前記中間スクリーンより前記表示スクリーン側に配置される虚像生成光学系と、を備え、
    前記中間スクリーンは、拡散面を有し、前記アイボックスの横方向に対応する前記拡散面上での第1方向と、それにほぼ直交する前記アイボックスの縦方向に対応する前記拡散面上での第2方向とで拡散度が異なり、前記アイボックスの縦及び横に関するサイズの大小関係と、前記第1方向の拡散度と前記第2方向の拡散度との大小関係とが一致する虚像表示光学系。
  2. 前記アイボックスは、横長であり、
    前記中間スクリーンは、前記第1方向の拡散度が前記第2方向の拡散度より大きい楕円拡散特性を有する、請求項1に記載の虚像表示光学系。
  3. 前記アイボックスの縦横サイズを満足するために必要な前記中間スクリーン位置での所期の発散角をθv及びθhとし、前記アイボックスの縦横方向に対応する前記中間スクリーンの拡散角をθv'及びθh’としたとき、下記2つの条件式
    1<θv’/θv<2.0
    1<θh’/θh<1.5
    を満たす、請求項1及び2のいずれか一項に記載の虚像表示光学系。
  4. 虚像生成光学系について、前記アイボックスの縦サイズをEBvとし、前記アイボックスの横サイズをEBhとし、横方向の光学倍率をMhとし、縦方向の光学倍率をMvとしたとき、下記2つの条件式
    0.7×(Mv/Mh)×(EBv/EBh)<θv’/θh’
    θv’/θh’<1.3×(Mv/Mh)×(EBv/EBh)
    を満たす、請求項3に記載の虚像表示光学系。
  5. 前記中間スクリーンを光の進行方向に移動させる駆動機構を有し、
    下記条件式
    0.7×EBv/EBh<θv’/θh’<1.3×EBv/EBh
    を満たす、請求項4に記載の虚像表示光学系。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の虚像投影光学系を備える表示装置。
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