JP2020129056A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents

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Kentaro Nakamura
中村  健太郎
橋村 淳司
Junji Hashimura
淳司 橋村
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Abstract

【課題】簡素な構成かつ小型でありながら良好な光学性能を有するヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示素子11によって形成された画像を投影光学系15によって投影して中間スクリーン16m上に中間像i1を形成し、中間像i1を虚像生成光学系17によって虚像を表示させ、虚像生成光学系17は、少なくとも1枚の自由曲面ミラー17aを有し、中間スクリーン16mは、拡散特性を有する反射面であり、虚像が水平面に対して垂直となる場合(虚像i2’)の中間スクリーン16m’の位置での共役な面に対して傾いて配置される。
【選択図】図2

Description

本発明は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
従来のヘッドアップディスプレイ(HUD)装置は、例えば自動車に搭載され、係るHUD装置では、虚像を運転者からある一定の距離離れた位置に生成するのが一般的である。そもそもHUDを自動車に搭載する目的は、運転者の視線やピント移動を最小限に抑えることで、より安全な運転を支援するものであるが、車速の低速時、および高速時でドライバーの眼のピント位置が異なるため、虚像の距離が固定されたままであると、ピント合わせの時間が必要となり、わずかな時間ではあるが前方に注意が向かない時間が生じる。高速走行時にはわずかな時間でも移動距離としては大きいため危険な状況に陥りかねない。また、従来はスピードメーター、ナビ等の簡素な表示に限られていたHUDであるが、昨今は拡張現実(AR)を利用したAR HUDが注目を集めつつある。これは例えばナビ情報を走行中の路上に重畳して表示したり、前方の対向車、歩行者等の危険因子に対して虚像のマーキングを表示したりすることで、ドライバーに事前に危険を察知させるようなシステムである。これにより迅速かつ安全にドライバーに必要な情報を伝える手段として注目されている。しかし、これまでのHUD装置のような、ある一定の距離に虚像を2次元的に表示する場合は、AR表示を行った際の実際の表示対象となるターゲットと表示する虚像の距離差が、運転するシーンによっては大きくなってしまう。これによってドライバーが長距離で運転した際の疲労感等の問題が発生してしまい、望ましい表示方法とは言えない。
特許文献1には、車両の進行方向を示す矢印に関する虚像については、路面に対し、出来る限り平行に生成する一方で、車速や地図画像等の虚像については、路面に対して垂直に生成することを目的とした虚像表示装置が開示されている。この虚像表示装置では、コンバイナーの直上流側の凹面鏡と、映像を表示するスクリーンを結ぶ光路長を、その光路中にある光軸に対してそれぞれ45度傾いた状態で対向した2枚の平面ミラーを光軸方向に一体で移動させることにより、虚像までの距離を変更する。また、スクリーンを光路に対して傾斜して配置することで、平面ミラーを移動させて虚像までの距離を変更する際に、距離とともに、虚像の地表面に対する傾斜角度を変更する。
特開2016−102966号公報
しかしながら、特許文献1に開示された虚像表示装置では、1対の平面ミラーの位置を変更することで虚像距離、および虚像の傾斜角度を変化させているため、光学部材の部品点数が多く、装置の大型化を生じさせてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、少ない部品点数で、傾斜した虚像を表示させることが可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1)表示素子によって形成された画像を投影光学系によって投影して中間スクリーン上に中間像を形成し、前記中間像を虚像生成光学系によって虚像を表示させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記虚像生成光学系は、少なくとも1枚の自由曲面ミラーを有し、
前記中間スクリーンは、拡散特性を有する反射面であり、前記虚像が水平面に対して垂直となる場合の前記中間スクリーンの位置での共役な面に対して傾いて配置されるヘッドアップディスプレイ装置。
(2)さらに、前記虚像の表示される距離が変化するよう、光軸方向において前記中間スクリーンの位置を変更する駆動装置を備える、上記(1)に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(3)前記駆動装置は、前記中間スクリーンを前記投影光学系の前記中間像の形成位置の近傍における焦点深度内で移動させる、上記(2)に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(4)前記投影光学系は、変倍光学系であり、前記駆動装置により前記中間スクリーンの位置の変更と同期して、前記投影光学系のピント位置を前記中間スクリーン位置に追従させる、上記(2)または上記(3)に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(5)前記中間スクリーンの虚像が水平面に対して垂直となる場合の前記中間スクリーン位置での共役な面に対する傾きの向きは、表示される前記虚像の距離が、虚像において上方で遠く、下方で近くなる向きである、上記(1)〜上記(4)のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(6)前記中間スクリーン位置での共役な面に対する傾きを変更する角度変更機構を備える、上記(1)〜上記(5)のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(7)前記角度変更機構を制御する制御部であって、
前記虚像の表示される距離に応じて、または使用者による虚像の傾き量の設定に応じて、前記中間スクリーン位置での共役な面に対する傾きを制御する制御部を備える上記(6)に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(8)前記中間スクリーンは、自由曲面形状を有する、上記(1)〜上記(7)のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(9)前記中間スクリーンは、シリンドリカル形状を有する、上記(1)〜上記(7)のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(10)前記中間スクリーンは、アナモフィック非球面形状を有する、上記(1)〜上記(7)のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
(11)前記共役な面に対して傾いて配置される前記中間スクリーンの傾き量に応じた傾き量で、前記表示素子は光軸と垂直な面より傾けて配置される、上記(1)〜上記(10)のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置では、表示素子によって形成された画像を投影光学系によって投影して中間スクリーン上に中間像を形成し、中間像を虚像生成光学系によって虚像を表示させ、虚像生成光学系は、少なくとも1枚の自由曲面ミラーを有し、中間スクリーンは、拡散特性を有する反射面であり、虚像が水平面に対して垂直となる場合の中間スクリーンの位置での共役な面に対して傾いて配置される。これにより、簡素な構成かつ小型でありながら良好な光学性能を有し、観察者が認識しやすいヘッドアップディスプレイ装置を提供できる。また、ヘッドアップディスプレイを車両に搭載した場合には、虚像の傾きを道路の見え方に適応させることで、運転者にとっては違和感のない表示にできる。
第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を車体に搭載した状態を示す側方断面図である。 ヘッドアップディスプレイ装置を説明する車内側からの正面図である。 ヘッドアップディスプレイ装置の具体的な構成例を説明する拡大側方断面図である。 中間スクリーンの湾曲量に関する条件式中のパラメーターを説明する概念的断面図である。 中間スクリーンに入射する光線と中間スクリーンから射出される光線との具体例を説明する図である。 中間スクリーンに入射する光線と中間スクリーンから射出される光線との具体例を説明する図である。 具体的実施例の光学系を説明する側断面図である。 具体的実施例の光学系を説明する側断面図である。 具体的実施例の光学系を説明する側断面図である。 具体的実施例の光学系を説明する側断面図である。 図2に示すヘッドアップディスプレイ装置を含む移動体用表示システムを説明する概念的なブロック図である。 移動体用表示システムによる具体的な表示状態を説明する斜視図である 第2実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を説明する図である。 第3実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を説明する図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また図面においては、Eyebox(アイボックス)の横方向をX方向、縦方向をY方向とし、XY平面に垂直な方向をZ方向とする。またヘッドアップディスプレイ装置100を車両に搭載した状態において、車両の進行方向は、Z方向に平行である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置100の第1実施形態について説明する。
図1A、図1Bは、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置100を車両800の車体811内に搭載した使用状態を説明する模式図である。運転者(使用者)900は、ハンドル813を握りながら運転席816に座っている。ヘッドアップディスプレイ装置100(以下「HUD装置100」という(HUD:Head−Up Display))は、描画ユニット10、および表示スクリーン20を備える。HUD装置100は、描画ユニット10中の後述する表示素子11(図2参照)に表示されている画像情報を、表示スクリーン20を介して運転者900向けに虚像表示する。
HUD装置100のうち表示スクリーン20以外の構成は、車体811のダッシュボード814内に、カーナビゲーション等のディスプレイ815(タッチスクリーン)の背後に埋め込むように設置されている。HUD装置100は、運転関連情報や危険信号等を含む画像に対応する表示光D1を表示スクリーン20に向けて出射する。表示スクリーン20は、コンバイナーとも呼ばれるハーフミラーであり、半透過性を有する凹面鏡または平面鏡である。表示スクリーン20は、下端の支持によってダッシュボード814上に立設され、描画ユニット10からの表示光D1を車体811の後方に向けて反射する。図示の場合、表示スクリーン20は、フロントガラス(ウインドシールド)812とは別体で設置される独立型のものとなっているが、表示スクリーン20はウインドシールドそのものであってもよい。
図1A、および図2に示すように、ハーフミラーである表示スクリーン20で反射された表示光D1は、運転席816に座った運転者900の瞳910、およびその周辺位置に対応するEyeboxに導かれる。運転者900は、表示スクリーン20で反射された表示光D1、つまり車体811の前方にある虚像としての表示像i2(以下、「虚像i2」と表記する)を観察することができる。一方、運転者900は、ハーフミラーである表示スクリーン20を透過した外界光、つまり前方景色、自動車等の実像を観察することができる。結果的に、運転者900は、表示スクリーン20の背後の外界像に重ねて、表示スクリーン20での表示光D1の反射によって形成される運転関連情報や危険信号等を含む虚像i2を観察することができる。
なお、図1A、図2において、虚像i2’は、水平面に対して垂直である(傾きゼロ)。虚像i2は、この垂直な状態の虚像i2’に対して傾いている。虚像i2に対しては、中間スクリーン16m、および中間像i1が対応する。虚像i2’には、中間スクリーン16m’、および中間像i1’が対応する。虚像i2’およびこれに対応する中間スクリーン16m’等は、図1A、図2においては破線で示している。中間スクリーン16mの位置は、虚像が水平面に対して垂直となる場合、すなわち虚像i2’の中間スクリーン16m’の位置での共役な面に対して、傾いて配置された位置である。中間スクリーン16mを傾けて配置する構成については後述する。
図2に示すように、描画ユニット10は、本体光学系13と、本体光学系13を動作させる表示制御部18と、本体光学系13等を収納するハウジング14とを備える。これらのうち本体光学系13と表示スクリーン20とを組み合わせたものは、虚像表示光学系30を構成する。虚像表示光学系30は、横方向の視野角が7°以上となっている。なお、図2等において座標軸XYZは、一般的な運転者900の瞳910間の位置に対応するEyeboxの中心を原点とするが、便宜上原点をシフトさせた状態で表示されている。
本体光学系13は、表示素子(表示デバイス)11と、表示素子11に形成された画像を拡大した中間像i1を形成可能な投影光学系15と、中間像i1の結像位置に近接して光路後段に配置される反射型拡散部材16と、中間像i1を虚像に変換する虚像生成光学系17とを備える。詳細は後述するが、本体光学系13によって、虚像投影距離が可変となっている。本体光学系13のうち虚像生成光学系17と、本体光学系13の上方に配置された表示スクリーン20とを組み合わせたものは、射出側合成光学系30bを構成する。
本体光学系13において、表示素子11は、2次元的な表示面11aを有する描画デバイス(表示部)である。表示素子11の表示面11aに形成された像は、本体光学系13のうち投影光学系15で拡大されて中間像i1を反射型拡散部材16上に形成し、虚像生成光学系17等へ導かれる。この際、2次元表示が可能な表示素子11を用いることで、中間像i1または虚像i2の切り替えを比較的高速に行える。表示素子11には、デジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)や反射型液晶デバイス(LCOS:Liquid crystal on silicon)を用いることができる。表示素子11としてDMDやLCOSを用いると、明るさを維持しつつ画像を高速で切り替えること(高速の間欠表示を含む)が容易になり、虚像距離(または「投影距離」ともいう)を変化させる表示に有利である。応用例として、表示素子11は、虚像を複数距離に同時投影する場合には、1つの距離の虚像あたり、例えば30fps以上、好ましくは60fps以上のフレームレートで表示させる。これにより、異なる投影距離に複数の虚像i2を運転者900に対して同時に表示されているように見せる際に虚像のちらつきを改善できる。なお、図2では図示していないが、表示素子11を照明するための光源(例えばRGB各色に対応したLED光源)と、照明光学系も別途配置される(後述の図9等で示す他の実施形態においても同様)。
投影光学系15は、本体レンズ15aと、折曲げミラー15bとを有する。本体レンズ15aは、固定焦点のレンズ系であり、図示を省略するが、複数のレンズを有する。投影光学系15のF値は、1.8以上となっている。投影光学系15は、表示素子11の表示面11aに形成された画像を適当な倍率に拡大投影し、反射型拡散部材16の表面に設けた中間スクリーン16mに近接した位置に中間像i1(または中間スクリーン16mの位置に強制中間像i10)を形成する。強制中間像i10は、中間像i1そのものの他、中間像i1から位置ズレして僅かにピントがボケたものも含み、広義に中間像i1と呼ぶこともある。なお、折曲げミラー15bは、平面ミラーであり、光学的パワーを有しない。
なお、投影光学系15としては、変倍光学系や中間スクリーン16mの傾きに最適化した非軸対称光学系等で構成してもよい。また、投影光学系15のピント位置を、中間スクリーン16mの位置に追随する構成としてもよい。その場合は中間像のボケを低減させることが可能となり、虚像の画質向上が図れる。
反射型拡散部材16は、表面に中間スクリーン16mを設けた反射型の拡散部材である。中間スクリーン16mは、拡散特性を有する反射面である。中間スクリーン16mは、全体に亘って反射率90%以上を確保することが望ましい。中間スクリーン16mは、結像位置(つまり中間像i1の結像予定位置またはその近傍)において強制中間像i10を形成する。中間スクリーン16mは、反射拡散角を所望の角度に制御することができる。後述するように反射型拡散部材16または中間スクリーン16mを光軸AX方向に移動させることにより、強制中間像i10の位置も光軸AX方向に移動させることができる。中間スクリーン16mに強制中間像i10が形成されるため、ここが新たな2次光源となって光が拡散するので、虚像生成光学系17で拡大投影してもEyeboxを広く確保することができる。反射型拡散部材16または中間スクリーン16mとしては、例えば拡散板、拡散スクリーン、マイクロレンズアレイ等を用いることができる。
反射型拡散部材16は、配置変更用の駆動装置62に駆動されて例えば一定速度または周期的な運動で光軸AXに沿って移動する。本例の場合、光軸AXとは、表示デバイス(描画デバイス)である表示素子11の中心と、Eyeboxの中心と、HUD装置100によって作られる表示素子11の中心に対応する像点(虚像)とを通るものである。ただし、反射型拡散部材16または中間スクリーン16mの移動は、Eyeboxの確保等を考慮して、中間スクリーン16mの光入射側ではなく光射出側において光軸AXに沿ったものとする。駆動装置62によって反射型拡散部材16または中間スクリーン16mを光軸AXに沿って移動させることで、虚像生成光学系17によって、コンバイナーとしての表示スクリーン20の背後に形成される虚像としての虚像i2と観察者である運転者900との距離を長く、または短くすることができる。つまり、駆動装置62は、本体光学系13の構成配置を変化させて投影距離を変化させる。このように、投影される虚像i2の位置を前後に変化させるとともに、表示内容をその位置に応じたものとすることで、虚像i2までの虚像距離(または投影距離)を変化させつつ虚像i2を変化させることになり、一連の投影像としての虚像i2を3次元的なものとすることができる。
反射型拡散部材16または中間スクリーン16mの光軸AXに沿った移動範囲は、中間像i1の結像予定位置またはその近傍に相当するものであるが、投影光学系15の反射型拡散部材16側の焦点深度内とすることが望ましい。これにより、強制中間像i10の状態と虚像としての虚像i2の結像状態とを、いずれもほぼピントが合った良好な状態とすることができる。反射型拡散部材16(中間スクリーン16m)の光軸AX方向の移動量は、例えば20mm以下となっている。これにより、反射型拡散部材16の移動を効率良く行うことができ、反射型拡散部材16の応答性を向上させることができる。反射型拡散部材16の移動速度は、虚像としての虚像i2が複数個所または複数虚像距離に同時に表示されているかのように見せることができる速度であることが望ましい。駆動装置62は、例えば15Hz以上の速度で反射型拡散部材16を移動させる。この場合、観察者(運転者900)の知覚を超える速さのため、あたかも運転者は投影距離の異なる虚像をほぼ同時に認識することができる。
図2の右側拡大図に示すように反射型拡散部材16は、支持部材62aに支持されている。支持部材62aは、駆動装置62の台座62bに光軸AX方向に沿った所定の範囲内で移動可能に取り付けられている。また、駆動装置62には、角度変更機構が含まれ、中間スクリーン16mの傾きを変更する機能を有する。駆動装置62は、支持部材62aをチルトさせることで、これに支持された中間スクリーン16mの光軸AXに対する傾き(角度)を変更する。この傾きを変更させることについては後述する。反射型拡散部材16または中間スクリーン16mが移動範囲の最も上流側(つまり、自由曲面ミラー17aに最も近い左下側)に配置されたタイミングでは、この時点で中間スクリーン16mに表示されている画像が、ハーフミラーである表示スクリーン20の背後の最も近くに虚像として表示される。また、反射型拡散部材16または中間スクリーン16mが移動範囲の最も下流側(つまり、自由曲面ミラー17aから最も遠い右上側)に配置されたタイミングでは、この時点で中間スクリーン16mに表示されている画像が、ハーフミラーである表示スクリーン20の背後の最も遠くに虚像として表示される。
虚像生成光学系17は、反射型拡散部材16の中間スクリーン16mに形成された強制中間像i10を表示スクリーン20と協働して拡大する拡大光学系であり、運転者900の前方に虚像としての虚像i2を形成する。虚像生成光学系17は、図2に示すように単一の自由曲面ミラー17aのみで構成されていてもよく、あるいは、少なくとも2枚以上の複数の自由曲面ミラーで構成してもよい。ここで、自由曲面ミラー17aは、全体として凹形状を有し、光学的なパワーを有している。自由曲面ミラー17aは、Eyeboxの縦方向に関して、射出方向を入射方向に対して傾けた偏芯タイプまたは非正面反射型の光学素子となっている。
射出側合成光学系30bにおいて、反射型拡散部材16の中間スクリーン16mは、画角に対応して矩形の輪郭を有する。中間スクリーン16mは、例えば自由曲面形状、シリンドリカル形状、またはアナモフィック非球面形状を有し、短辺方向及び長辺方向で湾曲形状が異なるものとなっている。これにより、短辺方向及び長辺方向で光学倍率が異なる構成である場合に光学性能を効率良く改善することができる。ここで、自由曲面形状は、非球面も含むものである。また、短辺方向及び長辺方向は、中間スクリーン16m上の中間像i1の形から定義され、例えば横長の虚像を表示させるケースを考えると、短辺方向は、虚像の垂直方向(Y方向)に対応し、長辺方向は、虚像の水平方向(X方向)に対応する。中間スクリーン16mをシリンドリカル形状とする場合、中間像i1の長辺方向におおよそ沿った凸形状を有する。中間スクリーン16mをアナモフィック非球面形状とする場合、中間像i1の長辺方向、および短辺方向で断面形状が異なる。
広い視野角を有するHUD装置100を小型化するためには、虚像生成光学系17を構成する自由曲面ミラー17aは、1枚であることが好ましく、また高い光学倍率を有することが望ましい。しかしながら、倍率が高くなればなるほど、像面湾曲が大きくなり、原理的に1枚の自由曲面ミラー17aでは補正が困難になくなる。そのため中間スクリーン16mを湾曲させることで小型かつ良好に収差の補正された虚像表示光学系30を実現できる。一方、中間スクリーン16mの最適な湾曲量は、虚像生成光学系17の光学倍率により決定されるが、光学系全体を所定のパッケージ形状に収める都合上、投影光学系15の焦点距離には設計の自由度がほとんど無いと言ってよい状態であるため、虚像生成光学系17と投影光学系15の光線角度がマッチングできず、特に長辺方向に大きな輝度分布が生じる可能性がある。このため、中間スクリーン16mの長辺方向の湾曲量は、虚像i2の像品質と輝度分布の両性能を鑑みたうえで設定することが望ましい。
なお、以上の説明では、中間スクリーン16mが短辺方向に平坦性を有する拡散性の反射面である場合を基本として説明したが、中間スクリーン16mは、短辺方向にも凸形状に湾曲した拡散性の反射面とすることができる。一般的に、横方向(長辺方向に対応)の視野角に対して縦方向(短辺方向に対応)の視野角は半分近く小さく設定されるため、中間スクリーン16mの短辺方向の像面湾曲量はそれほど目立つものではないが、中間スクリーン16mにおいて短辺方向にも曲率を持たせることで光学性能を向上させることができる。さらに、中間スクリーン16mの湾曲率または湾曲形状を長辺方向と短辺方向とで異なるものにすることで、虚像生成光学系17の光学倍率が横方向と縦方向とで異なる場合に光学性能を全体で向上させることができる。
中間スクリーン16mの湾曲量は下記条件式を満たす。
0.5×h/sin[|θH-θP|/2]<R<1.5×h/sin[|θH-θP|/2] … (1)
ただし、
R:中間スクリーン16mの湾曲半径
h:中間スクリーン16m上の中間像i1の長辺方向長さの半値
θH:虚像生成光学系17の中間像i1の横端における光線角度
θP:投影光学系15の中間像i1の横端における光線角度
である。
条件式(1)の範囲を満たすことにより、光学性能を担保しつつ、虚像の輝度分布を小さくすることができる。条件式(1)の値Rが上限値を下回ることで、中間スクリーン16mの湾曲量が適切なものとなり虚像に生じうる像面湾曲を低減することができる。一方、条件式(1)の値Rが下限値を上回ることで、長辺方向の輝度分布が適切なものとなる。
図3は、光線角度θH,θPを説明する図である。光線角度θPは、投影光学系15から中間スクリーン16mに入射する表示光D1の正面方向またはZ方向を基準とする光線角度であり、光線角度θHは、中間スクリーン16mから虚像生成光学系17へ射出される表示光D1の正面方向またはZ方向を基準とする光線角度である。なお、正反射の場合、虚像生成光学系17側の光線角度θHと投影光学系15側の光線角度θPとの間には、以下の関係
θP=θ1
θH=θ1+2θ0
が成り立つので、
R=h/sin[|θH−θP|/2]
となる。
なお、中間スクリーン16mの左右両端で光線角度θH,θPが異なる場合、中間スクリーン16mの左右両端で条件式(1)が満たされることが望ましい。
中間スクリーン16mは、短辺方向に対応する縦方向と長辺方向に対応する横方向とで拡散特性が異なるものとなっている。ここでも、短辺方向、および長辺方向は、中間スクリーン16m上の中間像i1の形から定義され、例えば横長の虚像を表示させるケースを考えると、短辺方向は、虚像の垂直方向または縦方向に対応し、長辺方向は、虚像の水平方向または横方向に対応する。中間スクリーン16mは、Eyeboxの横方向またはX方向に対応し中間スクリーン16m上での第1方向である長辺方向と、それに直交するEyeboxの縦方向またはY方向に対応し中間スクリーン16m上での第2方向である短辺方向とで、拡散度が異なるものとなっている。また、中間スクリーン16mは、非正反射型の拡散特性を有する。この結果、虚像生成光学系17の光軸AX2と投影光学系15の光軸AX1とは、中間スクリーン16mとの交差点において正反射の関係を満たさない非正反射の関係にあり、入射した表示光D1を正反射の方向に対してずれた方向に拡散しつつ反射する偏向特性を有する。中間スクリーン16mは、短辺方向に対応する縦方向だけでなく長辺方向に対応する横方向にも偏向特性を有していてもよい。これにより、投影光学系15の配置自由度をより増やすことができる。また、虚像i2の輝度分布を改善することができる。中間スクリーン16mの拡散度については、虚像生成光学系17の入射NAに対する投影光学系15の射出NAの相対差または不足を補う観点で基本的拡散度を設定する。しかしながら、本実施形態の光学系のように、虚像生成光学系17の光軸AX2と投影光学系15の光軸AX1とが中間スクリーン16mにおいて非正反射の関係にある場合、光量ロスを低減して光利用効率を高める観点で、中間スクリーン16mは、拡散度を単純に大きくするのではなく、拡散度に偏向特性を持たせたものとなっている。中間スクリーン16mが反射や拡散に関して偏向特性を有する場合、基本的拡散度に対して光軸AX1,AX2の対称性のズレに相当する偏角または角度ズレを加味して方向性を持たせた拡散度を設定する。
なお、中間スクリーン16mの拡散度については、本来必要な拡散度に加え、中間スクリーン16m前後の光学系における光軸角度ズレを見込んで広げてもよい。
図2に示すように、駆動装置62により、中間スクリーン16mの傾きを変更する。中間スクリーン16mを傾けることで、中間スクリーン16mを虚像が水平面に対して垂直となる場合(すなわち虚像i2’)の中間スクリーン位置での共役な面に対して傾けて配置する。虚像i2の角度は、傾きが0degでは水平面に対して垂直となり、90degでは、水平面に平行となる。
ここで、「虚像が水平面に対して垂直となる場合」とは、HUD装置100が車両等に取り付けられている場合に、この車両が水平面(道路上)を走行、または停止している状態において、虚像i2を投影した場合に、この虚像i2が水平面に対して垂直となる場合をいう。
図2の最右側の拡大図では、中間スクリーン16m’(破線)は、水平面に垂直な虚像i2’に対応する共役な面に正対した位置を示している。上述のように、中間スクリーン16mは、傾けて配置した位置を示している。傾けた状態の中間スクリーン16m、およびこの中間像i1は、図1、図2の虚像i2に対応し、傾けていない中間スクリーン16m’、およびこの中間像i1’は、虚像i2’に対応する。虚像i2’は水平面に対して垂直であり、そのときの中間スクリーン16m’は、中間スクリーン位置での共役な面に対して正対しており、本実施形態では、中間スクリーン16m’は、光軸AXに垂直な面に対して平行、または略平行である。ここで略平行とは、縦方向の視野角において、縦方向の上端を水平にして、見下ろし角を視野角の半分に設定する場合、この中間スクリーン16m’の向きは、この視野角の半分に対応する向きに設定する。例えば、縦方向の視野角4度であれば、見下ろし角はその半分の2度になり、中間スクリーン16m’は、この見下ろし角に対応した角度になる。すなわち「垂直な面に対して略平行」とは、この見下ろし角を考慮した、例えば0〜5度の範囲が含まれる。なお、図2等に示す例では、駆動装置62により、中間スクリーン16mを中間スクリーン16m’の位置との間で、2水準の位置で、傾きを変更する構成としている。しかしながら、これに限られず、3段階以上の多段階で中間スクリーン16mの位置を変更するようにしてもよい。また、駆動装置62は、中間スクリーン16mの位置を光軸AX方向の移動、およびチルト方向の移動の両方を可能な構成としたが、チルト方向の移動を省略してもよい。すなわち、虚像i2のように虚像が傾く中間スクリーン16mの位置で固定とし、光軸AX方向の移動のみを行うようにしてもよい。
ここで傾きの向きについて説明する。図2に示すように、中間スクリーン16mは、共役な面に対して正対する中間スクリーン16m’に対して、左向き(反時計方向)に回転した状態で配置する。このような向きにすることで、中間スクリーン16m上の中間像i1を変換して、形成される虚像i2においては、上方で虚像距離が遠く、下方で距離が近くなる。換言すると、HUD装置100が、車両に取り付けられた状態において、水平な道路面(水平面)に対して、形成される虚像i2おいて、上方で虚像距離が遠く、下方で虚像距離が近くなるような向きに、中間スクリーン16mを傾けて配置する。
極端な坂道を除いて、通常の平坦な道路上を走行する車両を運転する運転者の目(瞳)の位置は、道路よりも上になる。この場合、この運転者の瞳910の位置に応じて、フロントウィンドウを通して見える道路は、上方が遠く、下方が近くに見える。上述のように、中間スクリーン16mを傾けることで、虚像i2を傾けることができる。これにより虚像i2の上下方向における各部分の虚像距離を、この道路の見え方に適応させることで、運転者にとっては違和感のない表示にできる。また、中間スクリーン16mを入射光軸AXに対して垂直な方向から傾ける事で、例えば太陽光などの外乱光が中間スクリーン16mに入射して、そこで反射する事により発生するゴースト光を運転者の眼の位置と違う方向に向ける事も可能となる。これにより迷光の対策も行えることになり、この面からも望ましい構成と言える。
さらに望ましい構成として、虚像i2が垂直となる場合の中間スクリーン位置での共役な面に対して、中間スクリーン16mが傾いた状態で配置される場合、すなわち、虚像生成光学系の光軸AX(後述の光軸AX2)に垂直な面に対して傾いた状態で設定される場合、この傾き量に応じた傾き量で、表示素子11も傾いて配置するようにしてもよい。具体的には、投影光学系15の光軸AX(後述の光軸AX1)に垂直な面に対して、中間スクリーン16mの傾き量に応じた所望の傾きを持って、表示素子11を配置させる。この傾きは、固定でもよく、あるいは、角度変更機構(図示せず)により、中間スクリーン16mの傾きの変更に同期して変更するようにしてもよい。具体的には、上述のように虚像距離に応じて変更する中間スクリーン16mの傾き量に応じた傾き量になるように変更する。このような構成は、表示素子11としてDMDを適用する場合に特に好ましい。このように、表示素子11を傾けて構成する事で、中間スクリーン16mと表示素子11の画面内の共役関係を良好に保つことが可能となり、光学系の性能を確保するのに望ましい構成となる。
再び、中間スクリーン16mの光学特性について説明する。図4Aは、中間スクリーン16mの縦断面に関する拡散特性を説明する図である。この場合、光軸AX1上の表示光D1の中間スクリーン16mへの入射角はα10であり、表示光D1の中間スクリーン16mからの光軸AX2に沿った射出角はα20であり、α10≠α20となっている。また、光軸AX1外の表示光D1の中間スクリーン16mへの入射角はα11,α12であり、表示光D1の中間スクリーン16mからの光軸AX2に沿った射出角はα21,α22であり、α11≠α21、かつ、α12≠α22となっている。このように、中間スクリーン16mは、位置に応じて偏向特性が異なっている。これにより、虚像i2(および虚像i2’)の輝度分布を最適化することができる。つまり、中間スクリーン16mは、短辺方向に対応する縦断面において偏向特性を有するだけでなく、中間スクリーン16m上の各点で偏向特性が異なっており、短辺方向に偏向特性の線形または非線形的な分布を有する。具体的実施例に則して説明すると、入射角α10,α11,α12は、例えば18°、21°、および15°に設定される。この場合、射出角α20,α21,α22は、光線の結合効率を確保する観点で、例えば−6°、−13°、および0°に設定される。つまり、偏角は、+12°、+8°、および+15°となっており、全体として正の値であるが光軸AX2から外れるほど大きくなっている。
図4Bは、中間スクリーン16mの横断面に関する拡散特性を説明する図である。この場合、光軸AX1上の表示光D1の中間スクリーン16mへの入射角はβ10であり、表示光D1の中間スクリーン16mからの光軸AX2に沿った射出角はβ20であり、β10=β20となっている。また、光軸AX1外の表示光D1の中間スクリーン16mへの入射角はβ11,β12であり、表示光D1の中間スクリーン16mからの光軸AX2に沿った射出角はβ21,β22であり、β11≠β21、かつ、β12≠β22となっている。このように、中間スクリーン16mは、位置に応じて偏向特性が異なっている。つまり、中間スクリーン16mは、長辺方向に対応する横断面において偏向特性を有するだけでなく、中間スクリーン16m上の各点で偏向特性が異なっており、長辺方向に偏向特性の線形または非線形的な分布を有する。具体的実施例に則して説明すると、入射角β10,β11,β12は、例えば6°、11.5°、および0.5°に設定される。この場合、射出角β20,β21,β22は、光線の結合効率を確保する観点で、例えば−6°、23°、および11°に設定される。
反射型拡散部材16の拡散特性は、公知の手法で調整することができる。基板の表面に偏向特性に合わせて傾斜した微小な斜面を設けるとともに、この斜面上に使用波長以下のサイズを有する微少凹凸を形成したり、使用波長以下の幅を有するライン状の凹凸を形成したりすることにより、反射型拡散部材16の拡散特性に所望の方向性を持たせるよう調整することができる。
以上のように、中間スクリーン16mは、短辺方向に対応する縦方向と長辺方向に対応する横方向とで拡散特性が異なるものとなっており、短辺方向の位置と長辺方向の位置とに応じて偏向特性が変化するといった偏向特性の分布を有するものとなっている。この結果、縦横の拡散度を光学仕様に合わせて最適化することができ、光量ロスを減らすことができるため、さらなる光利用効率の向上が可能となっている。
また、太陽光ゴーストの発生回避という観点から、投影光学系15の光軸AX1と虚像生成光学系17の光軸AX2との中間スクリーン16mにおけるズレを敢えて大きく設定することで、正規光と同じルート(表示光D1が通るルート)でウインドシールド(表示スクリーン20)を通過してHUD装置100の内部に入ってきた太陽光のうち中間スクリーン16mで反射・拡散した光が、Eyeboxに到達するのを防止することができる。好ましくは中間スクリーン16mにおける短辺方向の偏光角を短辺方向の拡散度よりも大きく設定することが望ましい。
以上の説明では、中間スクリーン16m上の各点で、最大拡散度の方向(例えば射出角α20,α21,α22の方向)に関して表示光D1の反射率が同じであることを前提として説明を行ったが、反射率に分布を持たせることもできる。つまり、中間スクリーン16mは、位置に応じて反射率の分布が異なる。これにより、虚像生成光学系17等に起因する虚像i2の輝度分布の偏りを低減することができ、輝度分布を改善することができる。
図5Aは、具体的実施例の光学系を説明する側断面図であり、中間スクリーン16mから射出側合成光学系30bにかけての光学面および光線を示している。図5Bは、具体的実施例の光学系を説明する拡大側断面であり、表示素子11から虚像生成光学系17にかけての光学面および光線を示している。
図6Aは、具体的実施例の光学系を説明する平面図であって、図5Aに対応し、中間スクリーン16mから射出側合成光学系30bにかけての光学面および光線を示している。図6Bは、具体的実施例の光学系を説明する拡大平面図であって、図5Bに対応し、表示素子11から虚像生成光学系17にかけての光学面および光線を示している。
図2に戻って、ハウジング14は、表示光D1を通過させる開口14aを有し、この開口14aには、フィルムまたは薄板状の光透過部材14bを配置することができる。
図7は、移動体用表示システム500を説明するブロック図であり、移動体用表示システム500は、その一部としてHUD装置100を含む。このHUD装置100は、図2に示す構造を有するものであり、ここでは説明を省略する。図7に示す移動体用表示システム500は、移動体である自動車等に組み込まれるものである。
移動体用表示システム500は、HUD装置100のほかに、運転者検出部71と、環境監視部72と、主制御装置90とを備える。
運転者検出部71は、運転者900の存在や視点位置を検出する部分であり、運転席用の内部用カメラ71aと、運転席用画像処理部71bと、判断部71cとを備える。内部用カメラ71aは、車体811内のダッシュボード814の運転席正面に設置されており(図1(B)参照)、運転者900の頭部、およびその周辺の画像を撮影する。運転席用画像処理部71bは、内部用カメラ71aで撮影した画像に対して明るさ補正等の各種画像処理を行って判断部71cでの処理を容易にする。判断部71cは、運転席用画像処理部71bを経た運転席画像からオブジェクトの抽出または切り出しを行うことによって運転者900の頭部や目を検出するとともに、運転席画像に付随する奥行情報から車体811内における運転者900の頭部の存否とともに運転者900の目の空間的な位置(結果的に視線の方向)を算出する。
環境監視部72は、前方に近接する自動車、自転車、歩行者等を識別する部分であり、外部用カメラ72aと、外部用画像処理部72bと、判断部72cとを備える。外部用カメラ72aは、車体811内外の適所に設置されており、運転者900またはフロントガラス812の前方、側方等の外部画像を撮影する。外部用画像処理部72bは、外部用カメラ72aで撮影した画像に対して明るさ補正等の各種画像処理を行って判断部72cでの処理を容易にする。判断部72cは、外部用画像処理部72bを経た外部画像からオブジェクトの抽出または切り出しを行うことによって自動車、自転車、歩行者等の対象物(例えば図8に示すオブジェクトOB参照)の存否を検出するとともに、外部画像に付随する奥行情報から車体811前方における対象物の空間的な位置を算出する。
なお、内部用カメラ71aや外部用カメラ72a、特に外部用カメラ72aは、図示を省略しているが、例えば複眼型の3次元カメラである。つまり、両カメラ71a,72aは、結像用のレンズと、CMOSその他の撮像素子とを一組とするカメラ素子をマトリックス状に配列したものであり、撮像素子用の駆動回路をそれぞれ有する。各カメラ71a,72aを構成する複数のカメラ素子は、例えば奥行方向の異なる位置にピントを合わせるようになっており、或いは相対的な視差を検出できるようになっており、各カメラ素子から得た画像の状態(フォーカス状態、オブジェクトの位置等)を解析することで、画像内の各領域またはオブジェクトまでの距離を判定できる。
なお、上記のような複眼型のカメラ71a,72aに代えて、2次元カメラと赤外距離センサーとを組み合わせたものを用いても、撮影した画面内の各部(領域またはオブジェクト)に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。また、複眼型のカメラ71a,72aに代えて、2つの2次元カメラを分離配置したステレオカメラによって、撮影した画面内の各部(領域またはオブジェクト)に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。その他、単一の2次元カメラにおいて、焦点距離を高速で変化させながら撮像を行うことによっても、撮影した画面内の各部に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。
表示制御部18は、主制御装置90の制御下で虚像表示光学系30を動作させて、表示スクリーン20の背後に虚像距離または投影距離が変化する3次元的な虚像i2を表示させる。表示制御部18は、主制御装置90を介して環境監視部72から受信した表示形状や表示距離を含む表示情報から、虚像表示光学系30に表示させる虚像i2を生成する。虚像i2は、例えば表示スクリーン20の背後に存在する自動車、自転車、歩行者その他の対象物に対してその奥行き位置方向に関して周辺に位置する表示枠のような標識とすることができる。
表示制御部18は、主制御装置90を介して運転者検出部71から運転者900の存在や目の位置に関する検出出力を受け取る。これにより、虚像表示光学系30による虚像i2の投影の自動的な開始や停止が可能になる。また、運転者900の視線の方向のみに虚像i2の投影を行うこともできる。さらに、運転者900の視線の方向の虚像i2のみを明るくする、点滅する等の強調を行った投影を行うこともできる。
主制御装置90は、ヘッドアップディスプレイ装置100、環境監視部72等の動作を調和させる役割を有し、環境監視部72によって検出した対象物の空間的な位置に対応するように、虚像表示光学系30によって投影される表示枠の空間的な配置を調整する。
図8は、具体的な表示状態を説明する斜視図である。観察者である運転者900の前方は観察視野に相当する検出領域DFとなる。検出領域DF内、つまり道路、およびその周辺に、歩行者等である人のオブジェクトOB1や、自動車等である移動体のオブジェクトOB2が存在すると考える。この場合、主制御装置90は、ヘッドアップディスプレイ装置100によって3次元的な表示像(虚像)i2を投影させ、各オブジェクトOB1〜OB3に対して関連情報像としての表示枠F1〜F3をそれぞれ付加する。この際、運転者900から各オブジェクトOB1〜OB3までの距離が異なるので、表示枠F1〜F3を表示させる虚像i21〜i23までの投影距離は、運転者900から各オブジェクトOB1〜OB3それぞれまでの距離に相当するものとなる。なお、同図では、中間スクリーン16mを傾けたときの虚像i2(虚像i21、i22、i23)に加えて、参考として、傾けないときの虚像i2’(虚像i21’〜i23’)を示している。表示枠F1〜F3に対する表示枠F1’〜F3’も同様である。なお、虚像i21〜i23の投影距離は、離散的であり、オブジェクトOB1〜OB3それぞれまでの現実の距離に対して正確に一致させることはできない。ただし、虚像i21〜i23の投影距離と、オブジェクトOB1〜OB3それぞれまでの現実の距離との差が大きくなければ、運転者900の視点が動いても視差が生じにくく、オブジェクトOB1〜OB3と表示枠F1〜F3それぞれとの配置関係をほぼ維持することができる。
また、表示制御部18は、駆動装置62を制御することで、虚像i2の表示される距離(投影距離)に応じて、予め設定された傾き量で中間スクリーン16mの傾きを制御する。具体的には、図8に示すように、投影距離が長くなるほど、虚像i2の傾きが大きくなるように、中間スクリーン16mの傾きを制御する。図8に示す例では、虚像i21、i22、i23の順で傾きが徐々に大きくなり、最も遠い虚像i23で、傾きが最も大きく、地面(水平面)に近くなる。
なお、表示制御部18は、運転者900(使用者)から、タッチスクリーン等の入力デバイスから入力された虚像の傾き量の設定に応じて、その設定の傾き量になるように、中間スクリーン16mの傾き量を変更するようにしてもよい。
以上で説明したヘッドアップディスプレイ装置100によれば、中間スクリーン16mを反射面とすることで、虚像生成光学系17の自由曲面ミラー17aと中間スクリーン16mとを結ぶ方向に対応する前後方向またはZ方向に関する光学系サイズの増加を抑えることができる。結果的に、投影光学系15の配置の自由度が増え、所定のパッケージ形状に収めることが容易になる。なお、中間スクリーン16mを反射面とした場合、投影光学系15が虚像生成光学系17の光路に干渉しないように配置する必要があるため、投影光学系15の光軸AX1と虚像生成光学系17の光軸AX2とが中間スクリーン16mにおいて正反射の関係になるとは限らない。そのため、通常の拡散板では正反射方向が最も強度が強くなるため、虚像の短辺方向に輝度分布の偏りが生じるおそれがある。しかしながら、少なくとも短辺方向に偏向特性を有する中間スクリーン16mを用いることで、投影光学系15の光軸AX1と虚像生成光学系17の光軸AX2とが中間スクリーン16mにおいて正反射の関係でない場合でも、短辺方向の輝度分布の偏りを抑えることができる。また、中間スクリーン16mの拡散度については、中間スクリーン16m前後の光学系における光軸角度ズレを見込んで広げる必要がなく最適な拡散度に設定できるため、光量のロスが少なく光利用効率の良い装置を実現することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第2実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項、駆動装置62で中間スクリーン16mを傾ける構成等は、第1実施形態と同様である。
図9に示すように、投影光学系15の本体レンズ15aを構成する一部の光学素子15dを本体レンズ15a内で変位させることにより、投影光学系15の結像状態を結像駆動部65によって調整することができる。これにより、中間スクリーン16mの移動に同期させて本体レンズ15aまたは投影光学系15のフォーカス状態を調整でき、投影光学系15の焦点深度を狭くしながら中間像i1の結像状態を良好に保つことができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第3実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項、駆動装置62で中間スクリーン16mを傾ける構成等は、第1実施形態と同様である。
図10に示すように、結像駆動部165によって投影光学系15の折曲げミラー(平面ミラー)15bを光軸AXに沿って変位させることにより、投影光学系15の結像状態を調整することができる。これにより、中間スクリーン16mの移動に同期させて本体レンズ15aまたは投影光学系15のフォーカス状態を調整でき、投影光学系15の焦点深度を狭くしながら中間像i1の結像状態を良好に保つことができる。
以上では、具体的な実施形態としてのヘッドアップディスプレイ装置について説明したが、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、上記のものには限られない。例えば、上記実施形態において、ヘッドアップディスプレイ装置100の配置を上下反転させて、フロントガラス812の上部またはサンバイザー位置に表示スクリーン20を配置することもできる。この場合、描画ユニット10の斜め下方前方に表示スクリーン20が配置される。上記実施形態では表示スクリーン20を平面または凹面としたが、対称性をもたない自由曲面であってもよい。
上記実施形態において、表示スクリーン20の輪郭は、矩形に限らず、様々な形状とすることができる。
図2等に示す本体光学系13は、単なる例示であり、これら本体光学系13の光学的構成については適宜変更することができる。例えば、虚像生成光学系17または投影光学系15の光路中において、光学的なパワーを持たない1つ以上のミラーを配置してもよい。
また、上記実施形態において、描画デバイスである表示素子11として、DMDやLCOS等を用いたが、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)や、他の種類の表示デバイス、例えば有機ELを用いてもよい。また、表示素子11は、反射型の素子の代わりに、MEMSを利用した走査型の映像デバイスを用いてもよい。
また、上記実施形態において、表示スクリーン20としてコンバイナーを設けずに、図1(A)に示すフロントガラス(ウインドシールド)812に設けてもよい(図2参照)。具体的には、例えばフロントウィンドウを形成するフロントガラス(ウインドシールド)812の運転席正面に設けた矩形の反射領域の内側に表示スクリーン20を貼り付けてもよい。なお、表示スクリーン20は、フロントガラス812内に埋め込むこともできる。
また、上記実施形態では、反射型拡散部材16を光軸AXに沿って移動させる構成としたが、反射型拡散部材16を光軸AX方向に移動させないで固定することもできる。また、上述したように、中間スクリーン16m(反射型拡散部材16)の角度も、垂直な状態の虚像i2’に対応する中間スクリーン16m’に対して傾けた状態(中間スクリーン16mの位置)で固定することもできる。
また、上記実施形態において、中間スクリーン16mの構成は、HUD装置100の仕様に応じて適宜変更することができる。例えば、中間スクリーン16mは、縦方向のみ偏向特性を有する構成としてもよい。また、中間スクリーン16mは、横方向に凸形状に湾曲していなくてもよい。また、中間スクリーン16mの位置に応じて反射率の分布や偏向特性が異なっていなくてもよい。
また、上記実施形態において、中間スクリーン16mは、短辺に長辺と異なる凸の湾曲形状を有してもよい、つまり、縦方向に横方向と異なる凸の湾曲形状を有してもよいとしたが、例えば球面のように縦方向に横方向と同じ凸の湾曲形状を有してもよい。
以上で説明したHUD装置100は、自動車やその他移動体に搭載される投影装置に限らず、例えばデジタルサイネージ等に組み込むことができるが、これら以外の用途に適用することもできる。
100 HUD装置(ヘッドアップディスプレイ装置)
10 描画ユニット
11 表示素子
11a 表示面
13 本体光学系
14 ハウジング
15 投影光学系
16 反射型拡散部材
16m 中間スクリーン
17 虚像生成光学系
17a 自由曲面ミラー
18 表示制御部
20 表示スクリーン
30 虚像表示光学系
30b 射出側合成光学系
62 駆動装置
62a 支持部材
62b 台座
65 結像駆動部
71 運転者検出部
90 主制御装置
500 移動体用表示システム
800 車両
811 車体
812 フロントガラス
813 ハンドル
814 ダッシュボード
815 ディスプレイ
816 運転席
900 運転者(使用者)
910 瞳

Claims (11)

  1. 表示素子によって形成された画像を投影光学系によって投影して中間スクリーン上に中間像を形成し、前記中間像を虚像生成光学系によって虚像を表示させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
    前記虚像生成光学系は、少なくとも1枚の自由曲面ミラーを有し、
    前記中間スクリーンは、拡散特性を有する反射面であり、前記虚像が水平面に対して垂直となる場合の前記中間スクリーンの位置での共役な面に対して傾いて配置されるヘッドアップディスプレイ装置。
  2. さらに、前記虚像の表示される距離が変化するよう、光軸方向において前記中間スクリーンの位置を変更する駆動装置を備える、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  3. 前記駆動装置は、前記中間スクリーンを前記投影光学系の前記中間像の形成位置の近傍における焦点深度内で移動させる、請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  4. 前記投影光学系は、変倍光学系であり、前記駆動装置により前記中間スクリーンの位置の変更と同期して、前記投影光学系のピント位置を前記中間スクリーン位置に追従させる、請求項2または請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  5. 前記中間スクリーンの虚像が水平面に対して垂直となる場合の前記中間スクリーン位置での共役な面に対する傾きの向きは、表示される前記虚像の距離が、虚像において上方で遠く、下方で近くなる向きである、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  6. 前記中間スクリーン位置での共役な面に対する傾きを変更する角度変更機構を備える、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  7. 前記角度変更機構を制御する制御部であって、
    前記虚像の表示される距離に応じて、または使用者による虚像の傾き量の設定に応じて、前記中間スクリーン位置での共役な面に対する傾きを制御する制御部を備える請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  8. 前記中間スクリーンは、自由曲面形状を有する、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  9. 前記中間スクリーンは、シリンドリカル形状を有する、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  10. 前記中間スクリーンは、アナモフィック非球面形状を有する、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
  11. 前記共役な面に対して傾いて配置される前記中間スクリーンの傾き量に応じた傾き量で、前記表示素子は光軸と垂直な面より傾けて配置される、請求項1〜請求項10のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
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