JP2020056984A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】中間スクリーンに与えるダメージを抑制できるヘッドアップディスプレイ装置を提供すること。【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示部である描画デバイス11と、描画デバイス11に形成された像を投影する第1投影光学系15と、第1投影光学系15の光射出側に配置される中間スクリーン16と、中間スクリーン16上の像を拡大する第2投影光学系17とを備えるものであって、中間スクリーン16から第2投影光学系17側の光路中に配置され、赤外線を透過又は反射して光路外に導く赤外分離膜19rを設けている。【選択図】図2
Description
本発明は、視線の先に虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置に関し、特に自動車等への組み込みに適するヘッドアップディスプレイ装置に関するものである。
自動車等の移動体に組み込まれるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)装置は、通常、前方車両よりも近い距離、例えばボンネットの先端部に虚像距離を設定することが多い。最近では、虚像距離を一定に保つものに限らず、3次元的なAR(Augmented Reality)表示や、車速に応じた虚像距離で投影を行う車速対応表示に対するニーズが発生してきている。この場合、道路を横断している歩行者への重畳、或いは時速100km(秒速約28m)走行を考えると、虚像距離は、10m以上の遠距離となることが避けられない。
HUD装置において、アイボックス内での明るさに均一性を持たせるために、結像位置に拡散作用を持たせたスクリーンを配置することが行われている(例えば特許文献1)。拡散作用を持たせたスクリーンを用いることで、運転者の目の位置が大きくずれた場合にも虚像の明るさが変わらないようにしている。また、類似する光学系として、表示部に形成された像を拡散作用を持たせた中間スクリーン上に投影し、中間スクリーン上の像を虚像として投影することも考えられる。かかるスクリーン又は中間スクリーンに拡散作用を持たせる方法として、表面に微細凹凸を形成したプラスチック製フィルムを用いることや、微細ビーズを含有したプラスチック層を設けたものを用いることが考えられる。
プラスチック製の中間スクリーンは、温度変動の影響を受けやすく、特に高温環境に対して弱いという傾向がある。ここで、HUDの虚像距離が長くなると、上記のようなプラスチック製の中間スクリーンについては、次のような不具合が生じる。すなわち、例えば表示部、1次投影光学系、中間スクリーン、2次投影光学系、及びコンバイナーを備えるHUD装置において、太陽光がウィンドシールドに設けたコンバイナー越しに1次投影光学系に直接入射したとき、太陽光は、2次投影光学系、中間スクリーン、及び1次投影光学系を経て、表示部へと進む。ここで、HUD装置の虚像距離が長くなればなるほど、2次投影光学系により中間スクリーン上に無限遠の太陽像として絞られたスポットが形成され、プラスチック製の中間スクリーンにダメージを与えやすくなると考えられる。
特許文献2及び3では、太陽光の赤外線の入射による液晶製の表示部の熱ダメージを低減するため、光路中に配置される反射光学素子として、赤外光を透過する誘電体多層膜を有するコールドミラーを用いている。特に特許文献3では、コールドミラーの裏面にヒートシンクとしての放熱部を設けており、特許文献3は、熱伝導を主とする冷却となっている。ただし、特許文献2及び3のヘッドアップディスプレイ装置は、中間スクリーンを用いることが前提となっていない。
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、中間スクリーンに与えるダメージを抑制できるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る第1のヘッドアップディスプレイ装置は、表示部と、表示部に形成された像を投影する第1投影光学系と、第1投影光学系の光射出側に配置される中間スクリーンと、中間スクリーン上の像を拡大する第2投影光学系とを備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、中間スクリーンから第2投影光学系側の光路中に配置され赤外線を透過又は反射して光路外に導く赤外分離膜を設けている。
上記ヘッドアップディスプレイ装置によれば、中間スクリーンから第2投影光学系側の光路中に配置され赤外線を透過又は反射して光路外に導く赤外分離膜を設けているので、中間スクリーンに入射する赤外線を低減でき、中間スクリーンに赤外線に起因するダメージが発生することを防止できる。
本発明の具体的な側面では、上記ヘッドアップディスプレイ装置において、中間スクリーンを覆うスクリーンカバーをさらに備え、スクリーンカバーの表面に赤外分離膜として赤外線を反射する誘電体多層膜を設けている。この場合、中間スクリーンをスクリーンカバーによって埃等から保護できるだけでなく赤外線からも保護することができる。
本発明の別の側面では、第2投影光学系において可視光を透過させる保護カバーをさらに備え、保護カバーの表面に赤外分離膜として赤外線を反射する誘電体多層膜を設けている。この場合、第2投影光学系を保護カバーによって埃等から保護できるだけでなく、中間スクリーンを保護カバーによって赤外線から保護することができる。
本発明のさらに別の側面では、中間スクリーンは、透過型の拡散スクリーンである。
本発明のさらに別の側面では、中間スクリーンは、透過型の拡散スクリーンであり、赤外分離膜として赤外線を反射する誘電体多層膜が設けられている。この場合、拡散スクリーンに入射した赤外線を反射させることで、中間スクリーン自体によって中間スクリーンを赤外線から保護することができる。
本発明のさらに別の側面では、中間スクリーンは、反射型の拡散スクリーンである。
本発明のさらに別の側面では、中間スクリーンは、反射型の拡散スクリーンであり、赤外分離膜として赤外線を透過させる誘電体多層膜が設けられている。この場合、拡散スクリーンに入射した赤外線を透過させることで、中間スクリーン自体によって中間スクリーンを赤外線から保護することができる。
本発明のさらに別の側面では、中間スクリーンを光軸方向に移動させる駆動部をさらに備える。この場合、虚像の投影距離を可変とすることができる。
本発明のさらに別の側面では、中間スクリーンは、反射型の拡散スクリーンであり、中間スクリーンの背面側に設けられて、中間スクリーンの熱を輻射により発散させる放熱部材をさらに備える。この場合、赤外分離膜を透過した減衰後の太陽光が中間スクリーンの温度を上昇させることを確実に防止することができる。
上記課題を解決するため、本発明に係る第2のヘッドアップディスプレイ装置は、表示部と、表示部に形成された像を投影する第1投影光学系と、第1投影光学系の光射出側に配置される反射型の中間スクリーンと、中間スクリーン上の像を拡大する第2投影光学系と、中間スクリーンの背面側に設けられて、中間スクリーンの熱を輻射により発散させる放熱部材とを備える。
上記ヘッドアップディスプレイ装置によれば、中間スクリーンに太陽光が入射して中間スクリーンを加熱しても、中間スクリーンの熱が放熱部材からの輻射によって裏面から発散され、中間スクリーンの温度上昇が抑えられる。
本発明の具体的な側面では、上記ヘッドアップディスプレイ装置において、放熱部材は、黒体塗料層である。
本発明の別の側面では、放熱部材は、黒体シートである。
本発明のさらに別の側面では、放熱部材は、中間スクリーンよりも放射率の高い金属又は樹脂部材である。
本発明のさらに別の側面では、中間スクリーンを光路上で移動させる駆動部をさらに備える。放熱部材は軽量化が容易であり、中間スクリーンを高速で安定して移動させることができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置について具体的に説明する。
以下、本発明に係る第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置について具体的に説明する。
図1(A)及び1(B)は、ヘッドアップディスプレイ装置100及びその使用状態を説明する概念的な側方断面図及び正面図である。このヘッドアップディスプレイ装置100は、車体2内に搭載されるものであり、描画ユニット10と表示スクリーン20とを備える。ヘッドアップディスプレイ装置100は、描画ユニット10中の後述する描画デバイス11に表示されている画像情報を、表示スクリーン20を介して運転者DRに向けて虚像表示するものである。
ヘッドアップディスプレイ装置100のうち描画ユニット10は、車体2のダッシュボード4内であってディスプレイ50の背後に埋め込むように設置されており、運転関連情報等を含む画像に対応する表示光HKを表示スクリーン20に向けて射出する。表示スクリーン20は、フロントウインドウ8上に貼り付けるように固定された半透過性を有する凹面鏡又は平面鏡であり、反射率を調節した誘電体多層膜又は金属膜からなる半透過反射膜を形成したシートとできるが、かかる半透過反射膜を有するフレネルレンズとすることもできる。表示スクリーン20は、描画ユニット10からの表示光HKを車体2の後方に向けて反射する。表示スクリーン20で反射された表示光HKは、運転席3に座った運転者DRの瞳HT及びその周辺位置に対応するアイボックス(不図示)に導かれる。運転者DRは、表示スクリーン20で反射された表示光HK、つまり車体2の前方にある虚像としての表示像IMを観察することができる。一方、運転者DRは、表示スクリーン20を透過した外界光、つまり前方景色、自動車等の実像を観察することができる。結果的に、運転者DRは、表示スクリーン20の背後の外界像又はシースルー像に重ねて、表示スクリーン20での表示光HKの反射によって形成される運転関連情報等を含む表示像(虚像)IMを観察することができる。
以上では、表示スクリーン20をフロントウインドウ8上に貼り付けているが、フロントウインドウ8上に透過反射膜を直接形成することができ、表示スクリーン20をフロントウインドウ8のガラス中に挟む構成とすることもできる。なお、フロントウインドウ8での反射角度が例えば60度程度であれば、反射率が15%程度確保され、特にコートを設けなくても透過性を有する反射面として用いることができる。表示スクリーン20は、フロントウインドウ8とは別体で設置される独立型のコンバイナーとすることもできる。コンバイナーは、例えば下端の支持によってフロントウインドウ8に隣接してダッシュボード4上に立設される。
図2に示すように、描画ユニット10は、表示部である描画デバイス11を含む虚像型の拡大結像系である本体光学系13と、本体光学系13を動作させる表示制御部18と、本体光学系13等を収納するハウジング14とを備える。表示制御部18は、描画デバイス11の表示タイミング等について制御を行う。本体光学系13と表示スクリーン20とを組み合わせたものは、虚像表示光学系30を構成する。ハウジング14は、本体光学系13から表示スクリーン20に向けて射出される表示光HKを通過させる開口14aを有し、この開口14aを塞ぐように保護カバー14bが配置されている。保護カバー14bは、描画ユニット10内の本体光学系13等を埃等から保護する。保護カバー14bは、光透過性を有するフィルム状又は薄板状の部材であり、可視光線である表示光HKを通過させる。
本体光学系13は、表示部としての描画デバイス11のほかに、描画デバイス11に形成された画像を拡大した中間像TIを形成するための第1投影光学系15と、中間像TIの結像予定位置又はその近傍(以下では結像位置とも呼ぶ)に配置される拡散部19と、拡散部19に形成された像(中間像TIそのものの他、中間像TIから位置ズレして僅かにピントがボケたものも含み、強制中間像TI’とも呼ぶ)を拡大する第2投影光学系17とを備える。
描画デバイス11は、2次元的な表示面11aを有する表示部である。描画デバイス11の表示面11aに形成された像は、本体光学系13のうち第1投影光学系15で拡大されて拡散部19へ投影される。この際、2次元表示が可能な描画デバイス11を用いることで、第1投影光学系15が描画デバイス11の表示面11aに形成された像を拡大するので、表示スクリーン20越しに虚像として表示される表示像IMの切り替えを比較的高速とできる。描画デバイス11の動作は、後述する表示制御部18によって拡散部19に付随する回転駆動部64の動作と同期するように制御されている。描画デバイス11の表示素子は、DMD(Digital Mirror Device)やLCOS(Liquid crystal on silicon)等の反射型の素子であっても、液晶等の透過型の素子であってもよい。なお、液晶等を照明する発光体としては、バックライト、LED(light emitting diode)、半導体レーザー等を用いることができる。特に、描画デバイス11としてDMDを用いると、明るさを維持しつつ画像を高速で切り替えることが容易になり、虚像距離又は投影距離を変化させる表示に有利である。なお、描画デバイス11は、虚像距離を変化させる場合には、それぞれの虚像距離に対して30fps以上、さらに望ましくは60fps以上のフレームレートで動作する。これにより、異なる虚像距離に複数の表示像(虚像)IMを運転者DRに対して同時に表示されているように見せることが容易になる。特に、90fps以上で表示の切り替えを行う場合、DMDやLCOSが描画デバイス11の候補となる。
第1投影光学系15は、固定焦点のレンズ系であり、複数のレンズを有する。第1投影光学系15は、描画デバイス(表示部)11の表示面11aに形成された画像を中間像TI又は強制中間像TI’として拡散部19上に適当な倍率で拡大投影する。
拡散部19は、第1投影光学系15による投影位置又は結像位置(つまり、中間像TIの結像予定位置又はその近傍)に配置される部材であり、回転駆動部64に駆動されて例えば一定速度で基準軸SXの周りに回転する。つまり、回転駆動部64は、拡散部19(具体的には、後述する回転体16aの中間スクリーン16)に、光軸AX方向に沿った可動範囲内において周期運動を行わせる。また、回転駆動部64は、表示制御部18の制御下で動作しており、中間スクリーン16の回転位置や回転速度を、描画デバイス11の投影タイミングに合わせて調整している。
図3(A)及び3(B)に示すように、拡散部19は、全体として円板に近い輪郭を有する螺旋状の回転体19aと、回転体19aを収納する円筒状の中空枠体であるスクリーンカバー19bとを有する。
回転体19aは、中間スクリーン16として機能し、中央部19cと外周光学部19pとを有する。回転体19aの外周光学部19pに形成された一方の表面19fは、平滑面又は光学面に形成されており、表面19f上には、全域に亘って拡散面16mが形成されている。つまり、中間スクリーン16は、拡散スクリーンである。拡散面16mは、配光角を所望の角度に制御する部分である。拡散面16mは、回転体19aに貼り付けられるシートとできるが、回転体19aの表面に形成された微細な凹凸パターンであってもよい。さらに、拡散面16mは、回転体19aの内部に埋め込むように形成されたものであってもよい。拡散面16mは、入射した表示光HKを拡散させることによって中間像TI又は強制中間像TI’を形成する。回転体19aの外周光学部19pに形成された他方の表面19sは、平滑面又は光学面に形成されている。回転体19aは、光透過性を有する螺旋状の部材であり、一対の表面19f,19sは、基準軸SXを螺旋軸とする螺旋面となっている。結果的に、一方の表面19f上に形成された拡散面16mも連続的な螺旋面に沿って形成されている。回転体19a又は中間スクリーン16は、基準軸SX又は光軸AX方向に関してほぼ等しい厚みtを有する。拡散面16mは、螺旋の一周期に対応する範囲に形成されており、拡散部19の周に沿った一箇所には、拡散面16mの切れ目として段差部19jが形成されている。回転体19aすなわち中間スクリーン16をこのような形状とすることで、中間スクリーン16に設けた拡散面16mの光軸AX方向の位置を連続的に変化させることが可能となり、虚像投影距離を変化させる投影が可能となる。
回転体19aにおいて、周方向に沿った一箇所は、第1投影光学系15又は虚像表示光学系30の光軸AXが通る機能領域FAとなっており、機能領域FAにおける拡散面16mの部分によって中間像TIが形成される。この機能領域FAは、回転体19aの回転に伴って回転体19a上において一定速度で移動する。つまり、回転体19aを回転させつつその一部である機能領域FAに表示光(映像光)HKを入射させることで、機能領域FA又は中間像TIの位置が光軸AXに沿って往復移動する。図示の例では、拡散面16mが螺旋の一周期に対応する範囲に形成されているので、回転体19aの1回転で拡散面16mの機能領域FA又は中間像TIは、光軸AX方向に段差に相当する距離だけ1往復することになる。
なお、第1投影光学系15は、拡散部19に設けた中間スクリーン16又は拡散面16mの位置によってピントぼけが生じないように、機能領域FAの移動範囲以上の所定の焦点深度を有する。
スクリーンカバー19bは、円柱状の外形輪郭を有し、円筒状の側面部19eと、一対の円板状の端面部19g,19hとで構成される。側面部19eは、光透過性を有していなくてもよく、遮光体で形成することができる。一対の端面部19g,19hは、可視波長域で高い透過性を有する材料で形成され、可視光線である表示光HKを通過させるとともに、後述する赤外分離膜19r(図4(A)参照)によって、赤外域、特に近赤外域で高い反射率を示す。一対の端面部19g,19hは、平行平板であるが、自由曲面形状や非球面形状を有するものとできる。スクリーンカバー19b中の回転体19aは、一対の中心軸部65を介してスクリーンカバー19bに固定されており、スクリーンカバー19bと回転体19aとは基準軸SXの周りに一体的に回転する。このように、拡散面16mを設けた回転体19aをスクリーンカバー19b中に配置することで、回転体19aに塵等が付着することを抑制でき、回転体19aの回転に伴う音の発生を抑制することができ、回転体19aの高速での回転を安定化させることが容易になる。なお、回転体19aは、その外周部分においてスクリーンカバー19bに固定してもよい。
図4(A)は、拡散部19のスクリーンカバー19bにおいて、第2投影光学系17側に設けた一方の端面部19hの構造を説明する断面図である。端面部19hは、少なくとも可視波長域において光透過性を有する基材19xの表面上に赤外分離膜19rを形成したものである。赤外分離膜19rは、誘電体多層膜であり、主に近赤外域の赤外線を反射する。なお、図示を省略しているが、スクリーンカバー19bを構成する一対の端面部19g,19hの両表面には、可視域の反射防止膜を形成することができる。
図4(B)は、赤外分離膜19rの反射特性の一例を説明するチャートである。横軸は赤外分離膜19rへの入射光の波長(nm)を示し、縦軸は入射光に対する透過率(%)を示している。反射特性曲線(実線)からも明らかなように、赤外分離膜19rは、波長450nm〜700nmの範囲で高い透過率を示すとともに、波長750nm〜1250nm(より厳密には1150nm)の範囲で高い反射率を示している。例えばB光として波長460nmの光を利用し、G光として波長520nmの光を利用し、R光として波長620nmの光を利用する場合、赤外分離膜19rでのB光、G光、及びR光の透過率は、それぞれ53%、52%、及び54%となる。つまり、表示光HKは、スクリーンカバー19bによって若干遮られるが中間スクリーン16で拡散され、十分な強度で第2投影光学系17、表示スクリーン20等に至る。一方、特定の方向からフロントウインドウ8に入射した太陽光SL(図2参照)は、表示スクリーン20を通過し第2投影光学系17を逆行して拡散部19に至るが、スクリーンカバー19bの赤外分離膜19rによって反射されて内部への進入が阻止されるので、中間スクリーン16又は回転体19aが太陽光SLに起因する赤外線に曝されることを回避することができる。これにより、中間スクリーン16の赤外線に起因するダメージを抑制することができる。
図2に戻って、第2投影光学系17は、拡散部19に形成された中間像TIを表示スクリーン20と協働して拡大し、運転者DRの前方の表示スクリーン20越しに虚像としての表示像IMを形成する。第2投影光学系17は、少なくとも1枚のミラーで構成されるが、図示の例では2枚のミラー17a,17bを含む。
図2等に示すヘッドアップディスプレイ装置100において、回転駆動部64によって拡散部19を一定速度で基準軸SXの周りに回転させることで、回転体19a又は中間スクリーン16の拡散面16mが光軸AXと交差する位置(具体的には、図3(A)等に示す機能領域FA)も光軸AX方向に移動する。つまり、図3(C)に示すように、回転体19aの回転に伴って、中間スクリーン16上の機能領域FAは、例えば元の機能領域FA1から等角度でずれた位置に設定された隣接する機能領域FA2,FA3に順次シフトし、光軸AX方向に移動する。このような機能領域FAの光軸AX方向への移動により、中間像TIの位置も光軸AX方向に移動させることができる。拡散部19が基準軸SXの周りに回転することで、機能領域FAに対応する中間像TIの位置が光軸AX方向に繰り返し周期的に移動し、第2投影光学系17によって表示スクリーン20の背後に形成される虚像としての表示像IMと観察者である運転者DRとの距離を大きく、又は小さくすることができる。このように、表示制御部18の制御下で、投影される表示像IMの位置を前後に変化させるとともに、描画デバイス(表示部)11による表示内容をその位置に応じたものとすることで、表示像IMまでの投影距離又は虚像距離を変化させつつ表示像IMの表示内容を変化させることになり、一連の投影像としての表示像IMを3次元的なものとすることができる。
図5は、拡散部19の回転に伴う中間像TIの位置の変化を具体的に例示する図である。図2に示す中間スクリーン16の機能領域FAの中心は、光軸AX方向に沿って鋸歯状の経時パターンPAで繰り返し周期的に移動しており、中間像TIの中心位置も、描画デバイス11が継続的に表示を行っている場合、図示のように光軸AX方向に沿って鋸歯状の経時パターンPAで繰り返し周期的に移動する。つまり、中間像TIの位置は、段差部19jに対応する箇所で不連続的ながら、拡散部19の回転に伴って連続的かつ周期的に変化する。この結果、図示を省略するが、表示像(虚像)IMの位置も、スケールは異なるが、中間像TIの位置と同様に光軸AX方向に沿って繰り返し周期的に移動し、投影距離を連続的に変化させることができる。描画デバイス11は、厳密には連続表示を行うものでなく、表示内容を切り替りえつつ間欠的な表示を行うものであるから、中間像TIの表示位置も鋸歯状の経時パターンPA上における離散的な位置となる。経時パターンPAにおいて、最も近距離側又は第2投影光学系17寄りの表示位置Pnと、最も遠距離側又は反第2投影光学系17寄りの表示位置Pfとは、経時パターンPAの両端に設定される。また、経時パターンPAの途切れ目PDは、拡散部19の回転体16aに設けた段差部19jに対応する。さらに、図3(C)に示す機能領域FA1,FA2,FA3の中心は、経時パターンPA上の離散的な表示位置P1,P2,P3に対応する。
図6は、移動体用表示システム200を説明するブロック図であり、移動体用表示システム200は、その一部としてヘッドアップディスプレイ装置100を含む。このヘッドアップディスプレイ装置100は、図2に示す構造を有するものであり、ここでは説明を省略する。移動体用表示システム200は、移動体である自動車等に組み込まれるものである。
移動体用表示システム200は、ヘッドアップディスプレイ装置100のほかに、環境監視部72と、主制御装置90とを備える。
環境監視部72は、前方に近接する自動車、自転車、歩行者等を識別する部分であり、外部用カメラ72aと、外部用画像処理部72bと、判断部72cとを備える。外部用カメラ72aは、車体2内外の適所に設置されており、運転者DR又はフロントウインドウ8の前方、側方等の外部画像を撮影する。外部用画像処理部72bは、外部用カメラ72aで撮影した画像に対して明るさ補正等の各種画像処理を行って判断部72cでの処理を容易にする。判断部72cは、外部用画像処理部72bを経た外部画像からオブジェクトの抽出又は切り出しを行うことによって自動車、自転車、歩行者等の対象物の存否を検出するとともに、外部画像に付随する奥行情報から車体2前方における対象物の空間的な位置を算出する。
なお、外部用カメラ72aは、図示を省略しているが、例えば複眼型の3次元カメラである。つまり、外部用カメラ72aは、結像用のレンズと、CMOSその他の撮像素子とを一組とするカメラ素子をマトリックス状に配列したものであり、撮像素子用の駆動回路をそれぞれ有する。外部用カメラ72aを構成する複数のカメラ素子は、例えば奥行方向の異なる位置にピントを合わせるようになっており、或いは相対的な視差を検出できるようになっており、カメラ素子から得た画像の状態(フォーカス状態、オブジェクトの位置等)を解析することで、画像内の各領域又はオブジェクトまでの距離を判定できる。
なお、上記のような複眼型の外部用カメラ72aに代えて、2次元カメラと赤外距離センサーとを組み合わせたものを用いても、撮影した画面内の各部(領域又はオブジェクト)に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。また、複眼型の外部用カメラ72aに代えて、2つの2次元カメラを分離配置したステレオカメラによって、撮影した画面内の各部に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。その他、単一の2次元カメラにおいて、焦点距離を高速で変化させながら撮像を行うことによっても、撮影した画面内の各部に関して奥行方向の距離情報を得ることができる。
表示制御部18は、主制御装置90の制御下で虚像表示光学系30を動作させて、表示スクリーン20の背後に虚像距離が変化する3次元的な表示像IMを表示させる。表示像IMは、例えば表示スクリーン20の背後に存在する自動車、自転車、歩行者その他の対象物に対して、その奥行き方向等に関して周辺に位置するフレーム枠のような標識とすることができる。
主制御装置90は、ヘッドアップディスプレイ装置100、環境監視部72等の動作を調和させる役割を有し、環境監視部72によって検出した対象物の空間的な位置に対応するように、虚像表示光学系30によって投影されるフレーム枠その他の標識の空間的な配置を調整する。
以上で説明した第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置100によれば、中間スクリーン16から第2投影光学系17側の光路中(具体的にはスクリーンカバー19bの位置)に配置され赤外線を透過又は反射して光路外に導く赤外分離膜19rを設けているので、中間スクリーン16に入射する赤外線を低減でき、中間スクリーン16に赤外線に起因するダメージが発生することを防止できる。
以上の説明では、赤外分離膜19rが誘電体多層膜であるとしたが、赤外分離膜19rを金属膜その他の材料で形成され赤外線を反射する半透過膜とすることができる。
第1投影光学系15や第2投影光学系17は、図示のものに限らず様々な構成とでき、レンズや曲面ミラーに限らず平板ミラー等を組み込むこともできる。
中間スクリーン16は、螺旋状のものに限らず、板状で光軸AX方向に往復移動するものであってもよく、厚みが異なる複数領域を有し複数領域を光路上に順次置き換えて光路長を変化させるようなものであってもよい。この場合も、中間スクリーンがスクリーンカバーで保護され、スクリーンカバーの外光入射側に赤外分離膜19rを設けることで、中間スクリーンに入射する赤外線を低減できる。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第2実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
以下、第2実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第2実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図7を参照して、ヘッドアップディスプレイ装置100において、描画ユニット10のハウジング14の開口14aを覆うように配置された保護カバー214bは、可視波長域で高い透過性を有する材料で形成され、可視光線である表示光HKを通過させるとともに、後述する赤外分離膜によって、赤外域、特に近赤外域で高い反射率を示す。
図8は、ハウジング14の保護カバー214bの構造を説明する断面図である。保護カバー214bは、少なくとも可視波長域において光透過性を有する基材14dの表面上に赤外分離膜214rを形成したものである。赤外分離膜214rは、誘電体多層膜であり、主に近赤外域の赤外線を反射する。なお、図示を省略しているが、保護カバー214bの表面には、反射防止膜を形成することができる。保護カバー214bに設けた赤外分離膜214rは、図4(A)に示すスクリーンカバー19bに設けた赤外分離膜19rと同様のものとすることができ、図4(B)に示す赤外分離膜19rの反射特性と同様の反射特性を持たせることができる。赤外分離膜214rは、誘電体多層膜に限らず、金属膜その他の材料で形成された半透過膜とすることもできる。
なお、第2実施形態の場合、スクリーンカバー19bの位置に赤外分離膜19rを設ける必要はない。
以上で説明した第2実施形態のヘッドアップディスプレイ装置100によれば、中間スクリーン(拡散スクリーン)16から第2投影光学系17側の光路中(具体的には保護カバー214bの位置)に配置され赤外線を透過又は反射して光路外に導く赤外分離膜214rを設けているので、中間スクリーン16に入射する赤外線を低減でき、中間スクリーン16に赤外線に起因するダメージが発生することを防止できる。
なお、第1又は第2実施形態のヘッドアップディスプレイ装置100において、拡散部19が透過型の中間スクリーン16を含むとしているが、拡散部19は、反射型の中間スクリーン又は拡散素子を含むものであってもよい。
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第3実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
以下、第3実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第3実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図9(A)は、第3実施形態のヘッドアップディスプレイ装置100を構成する中間スクリーン16の構造を説明する断面図である。中間スクリーン16は、少なくとも可視波長域において光透過性を有する基材16dのうち映像光の入射側における表面上に拡散面16mに対応する光拡散層16eを有し、その反対側に表面上に赤外分離膜319rを設けた拡散スクリーンである。赤外分離膜319rは、誘電体多層膜であり、可視光線を透過させるとともに、主に近赤外域の赤外線、つまり太陽光SLの赤外成分を反射する。中間スクリーン16に設けた赤外分離膜319rは、図4(A)に示すスクリーンカバー19bに設けた赤外分離膜19rと同様のものとすることができ、図4(B)に示す赤外分離膜19rの反射特性と同様の反射特性を持たせることができる。赤外分離膜319rは、誘電体多層膜に限らず、金属膜その他の材料で形成された半透過膜とすることができる。
この場合、中間スクリーン16に赤外線が入射しても、中間スクリーン16の内部に赤外線が入射せず、赤外線に起因するダメージが発生することを防止できる。
図9(B)は、図9(A)に示す中間スクリーン16の変形例を示す。この場合、中間スクリーン16は、少なくとも可視波長域において光透過性を有する基材16dのうち映像光の射出側における表面上に拡散面16mに対応する光拡散層16eを有し、その上に赤外分離膜319rを設けた拡散スクリーンである。赤外分離膜319rは、図9(A)に示すものと同様の反射特性を有し、誘電体多層膜であり、可視光線を透過させるとともに、主に近赤外域の赤外線を反射する。
この場合、中間スクリーン16に赤外線が入射しても、中間スクリーン16の内部に赤外線が入射せず、赤外線に起因するダメージが発生することを防止できる。
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
以下、第4実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
図10を参照して、ヘッドアップディスプレイ装置100において、描画ユニット10は、本体光学系13として、描画デバイス(表示部)11、第1投影光学系15、中間スクリーン416、及び第2投影光学系17を備える。中間スクリーン416は、反射拡散型の光学素子であり、描画デバイス11の表示面11aから射出され第1投影光学系15を経た表示光HKを受けて拡散面16mに中間像TIを形成し、拡散面16mから中間像TIに対応する反射光を射出する。第2投影光学系17は、中間スクリーン416に形成された中間像TIを表示スクリーン20と協働して拡大し、運転者DRの前方の表示スクリーン20越しに虚像としての表示像IMを形成する。この場合、中間スクリーン416は、固定タイプの拡散スクリーンであり、表示像IMの投影距離を変化させないが、表示像IMは、光軸AXに対して大きく傾斜した面上に形成される。この際、例えば下側を近距離の投影像とすることができ、上側を遠距離の投影像とすることができる。
図11(A)は、第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置100を構成する中間スクリーン416の構造を説明する断面図である。中間スクリーン416は、少なくとも可視波長域において光透過性を有する基材16dの表面上に赤外分離膜419rを形成し、その上又は下に拡散面16mに対応する光拡散層16eを形成したものである。ここで、赤外分離膜419rは、中間スクリーン416において最も第2投影光学系17側に配置されている。赤外分離膜419rは、誘電体多層膜であり、可視光線を反射するとともに、主に近赤外域の赤外線を透過させる。
図11(B)は、赤外分離膜419rの反射特性の一例を説明するチャートである。反射特性曲線(実線)からも明らかなように、赤外分離膜419rは、波長450nm〜700nmの範囲で高い反射率を示すとともに、波長750nm〜の範囲で高い透過率を示している。例えばB光として波長460nmの光を利用し、G光として波長520nmの光を利用し、R光として波長620nmの光を利用する場合、赤外分離膜419rでのB光、G光、及びR光の透過率は、それぞれ0.3%、0.4%、及び2.3%となる。つまり、表示光HKは、中間スクリーン416で反射されつつ拡散され、十分な強度で第2投影光学系17、表示スクリーン20等に至る。一方、特定の方向からフロントウインドウ8に入射した太陽光SL(図2参照)は、第2投影光学系17を逆行して中間スクリーン416に至るが、中間スクリーン416を透過するので、中間スクリーン416に赤外線が留まらず、赤外線に起因するダメージが発生することを防止できる。
なお、赤外分離膜419rは、誘電体多層膜に限らず、金属膜その他の材料で形成された半透過膜とすることもできる。
以上の説明では、赤外分離膜419rと光拡散層16eとが分離して形成されているとしたが、赤外分離膜419rと光拡散層16eとを一体化した反射拡散層とすることもできる。例えば、表面にマイクロ構造を設けたプラスチック部材に対して、図11(B)に示すような誘電体多層膜を形成しても良い。
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第5実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態又は第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態等と同様である。
以下、第5実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第5実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態又は第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態等と同様である。
図12を参照して、ハウジング14の開口14aを覆うように配置された保護カバー214bは、可視波長域で高い透過性を有する材料で形成され、可視光線である表示光HKを通過させるとともに、図8に示す赤外分離膜214rと同様の赤外分離膜によって、赤外域、特に近赤外域で高い反射率を示す。なお、中間スクリーン516は、反射拡散型の光学素子であるが、図11(A)に示す中間スクリーン416のような赤外分離膜419rを有していない。
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第6実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態又は第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態等と同様である。
以下、第6実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第6実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第1実施形態又は第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態等と同様である。
図13を参照して、ヘッドアップディスプレイ装置100において、描画ユニット10に設けた中間スクリーン616は、透過拡散型の光学素子であり、描画デバイス(表示部)11の表示面11aから射出され第1投影光学系15を経た表示光HKを受けて拡散面16mに中間像TIを形成し、拡散面16mから中間像TIに対応する透過光を射出する。第2投影光学系17は、中間スクリーン616に形成された中間像TIを表示スクリーン20と協働して拡大し、運転者DRの前方の表示スクリーン20越しに虚像としての表示像IMを形成する。中間スクリーン616は、固定タイプの拡散スクリーンであり、表示像IMの投影距離を変化させない。
図14は、第6実施形態のヘッドアップディスプレイ装置100を構成する中間スクリーン616の構造を説明する断面図である。中間スクリーン616は、少なくとも可視波長域において光透過性を有する基材16dの表面上に拡散面16mに対応する光拡散層16eを形成し、その上に赤外分離膜619rを形成したものである。ここで、赤外分離膜619rは、中間スクリーン616において最も第2投影光学系17側に配置されている。赤外分離膜619rは、誘電体多層膜であり、可視光線を透過させるとともに、主に近赤外域の赤外線を反射する。赤外分離膜619rは、図4(A)に示すスクリーンカバー19bに設けた赤外分離膜19rと同様のものとすることができ、図4(B)に示す赤外分離膜19rの反射特性と同様の反射特性を持たせることができる。赤外分離膜619rは、誘電体多層膜に限らず、金属膜その他の材料で形成された半透過膜とすることもできる。
〔第7実施形態〕
以下、第7実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第7実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置等を変形したものであり、特に説明しない事項は第4実施形態等と同様である。
以下、第7実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置について説明する。なお、第7実施形態のヘッドアップディスプレイ装置は第4実施形態のヘッドアップディスプレイ装置等を変形したものであり、特に説明しない事項は第4実施形態等と同様である。
図15を参照して、ヘッドアップディスプレイ装置100において、描画ユニット10中の本体光学系13は、描画デバイス11と、描画デバイス11に形成された画像を拡大した中間像TIを形成可能な第1投影光学系15と、中間像TIの結像位置に近接して光路後段に配置される中間スクリーン716と、中間像TIを虚像に変換する第2投影光学系17とを備える。本体光学系13のうち第2投影光学系17と、本体光学系13の上方に配置された表示スクリーン20とを組み合わせたものは、射出側合成光学系30bを構成する。
第1投影光学系15は、本体レンズ15aと、折曲げミラー15bとを有する。本体レンズ15aは、固定焦点のレンズ系であり、図示を省略するが、複数のレンズを有する。第1投影光学系15は、描画デバイス11の表示面11aに形成された画像を適当な倍率に拡大投影し、中間スクリーン716の表面に設けた拡散面16mに近接した位置に中間像TI(又は拡散面16mの位置に強制中間像TI’)を形成する。
中間スクリーン716は、表面に拡散面16mを設けた拡散部材である。拡散面16mは、拡散特性を有する反射面である。つまり、中間スクリーン716は、反射型の中間スクリーン又は拡散スクリーンとして配置されている。拡散面16mは、全体に亘って反射率90%以上を確保することが望ましい。拡散面16mは、結像位置(つまり中間像TIの結像予定位置又はその近傍)において強制中間像TI’を形成する。拡散面16mは、反射拡散角を所望の角度に制御することができる。後述するように中間スクリーン716又は拡散面16mを光軸AX方向に移動させることにより、強制中間像TI’の位置も光軸AX方向に移動させることができる。拡散面16mに強制中間像TI’が形成されるため、ここが新たな2次光源となって光が拡散するので、第2投影光学系17で拡大投影してもアイボックスEBを広く確保することができる。中間スクリーン716又は拡散面16mとしては、例えば拡散板、拡散スクリーン、マイクロレンズアレイ等を用いることができる。
中間スクリーン716は、焦点距離を変更するため可動型になっている。往復駆動部62は、中間スクリーン716を光路上で移動させる。中間スクリーン716は、配置変更用の往復駆動部62に駆動されて例えば一定速度又は周期的な運動で光軸AXに略平行な方向に沿って移動する。往復駆動部62によって中間スクリーン716又は拡散面16mを光軸AXに沿って移動させることで、第2投影光学系17によって表示スクリーン(コンバイナー)20の背後に形成される虚像としての表示像IMと観察者である運転者UNとの距離を長く、又は短くすることができる。つまり、往復駆動部62は、本体光学系13の配置を変化させて投影距離を変化させる。このように、投影される表示像IMの位置を前後に変化させるとともに、表示内容をその位置に応じたものとすることで、第1実施形態の場合と同様に、表示像IMまでの虚像距離又は投影距離を変化させつつ表示像IMを変化させることになり、一連の投影像としての表示像IMを3次元的なものとすることができる。
第2投影光学系17は、中間スクリーン716の拡散面16mに形成された強制中間像TI’を表示スクリーン20と協働して拡大する拡大光学系であり、運転者UNの前方に虚像としての表示像IMを形成する。第2投影光学系17は、単一の自由曲面ミラー717aのみで構成される。ここで、自由曲面ミラー717aは、全体として凹形状を有し、光学的なパワーを有している。自由曲面ミラー717aは、アイボックスEBの縦方向に関して、射出方向を入射方向に対して傾けた偏芯タイプ又は非正面反射型の光学素子となっている。
図16(A)を参照して、反射型の中間スクリーン716とその周辺部分とについて説明する。中間スクリーン716は、薄い板状体である。中間スクリーン716の拡散面16mは、板状基材16sに支持され、板状基材16sは、筒状の支持体63によって周囲から支持されている。中間スクリーン716の裏面側、つまり拡散面16mの反対側面16k上には、薄い層状の放熱部材81が設けられている。放熱部材81は、具体的には黒体塗料層81aであり、中間スクリーン716で吸収された熱を輻射によって発散させる放熱面81eを有する。黒体塗料層81aは、黒体塗料を反対側面16k上に塗布して硬化させることで形成される。黒体塗料は、放射率が黒体に近い塗料であり、例えばシリコンジルコニウム酸化物、酸化クロム、酸化鉄系無機顔料等で形成される。黒体塗料層81aを設けることで、中間スクリーン716に太陽光SLが入射して中間スクリーン716を加熱しても、中間スクリーン716の熱が黒体塗料層81aによって裏面から放射熱TRとして効率的に放熱される。この際、黒体塗料層81aが中間スクリーン716の裏面に近接して設けられており、中間スクリーン716の放熱効率を高めることができる。結果的に、中間スクリーン716の温度上昇が抑えられる。なお、中間スクリーン716の支持体63を熱伝導性の高い金属等で形成すれば、中間スクリーン71より冷却効果が高まる。さらに、黒体塗料層81aは、軽量であり、中間スクリーン716を含めた移動部分の質量を実質的に増加させないので、中間スクリーン716の可動特性を劣化させない。なお、放熱フィンのように熱伝導を主として用いる手法では、放熱部が大きくなって可動部の慣性質量を増加させる傾向が生じる。
図16(B)に示すように、中間スクリーン716の裏面側には、放熱部材81として、黒体塗料層81aの代わりに黒体シート81bが貼り付けられている。黒体シート81bは、黒体塗料層81aと同様の材料からなる黒体を樹脂に混入させた基材シートの片面に接着層を設けたものである。黒体シート81bによっても、中間スクリーン716の温度上昇が抑えられる。なお、黒体シート81bに代えて、中間スクリーン716よりも放射率の高い金属部材又は樹脂部材を用いることができ、板状基材16sに比較して十分放射率の高い薄板状の放射素子81cを配置することができる。具体的には、放射素子81cとして、黒体又はこれに準じた放射項率を有する物に限らず、例えばアクリル(放射率0.9)に比較して放射率が高い黒アルマイトアルミ(放射率0.95)や、カーボンを混入させた樹脂材を用いることができる。放射素子81cは、表面にエンボス加工のような多数の凹凸を設けたシートとすることができ、さらに、シート状のものに限らず立体的な形状とすることができる。
以上では、具体的な実施形態としてのヘッドアップディスプレイ装置置について説明したが、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、上記のものには限られない。例えば、第1又は第2実施形態のヘッドアップディスプレイ装置100において、拡散部19が透過型の中間スクリーン16を含むとしているが、拡散部19は、反射型の中間スクリーン又は拡散スクリーンを含むものであってもよい。この場合、投影光学系17に対して描画デバイス11、第1投影光学系15等を拡散部19からの反射光の光路と干渉しないように配置する。また、拡散部19は、反射型の中間スクリーン又は拡散スクリーンである場合において、反射型の中間スクリーン16の裏面側に、放熱部材81として、図16(A)に示す黒体塗料層81aを設けたり、図16(B)に示す黒体シート81bを貼り付けたりすることができる。放熱部材81を設けることで、赤外分離膜19r,214rを透過してある程度減衰した太陽光SLが中間スクリーン16の温度を上昇させることを確実に防止することができる。
AX…光軸、 DR…運転者、 FA…機能領域、 HK…表示光、 HT…瞳、 IM…表示像、 PA…経時パターン、 SL…太陽光、 SX…基準軸、 TI…中間像、 2…車体、 8…フロントウインドウ、 10…描画ユニット、 11…描画デバイス、 11a…表示面、 13…本体光学系、 14…ハウジング、 14a…開口、 14b,214b…保護カバー、 14d…基材、 15…投影光学系、 16,416,516,616…中間スクリーン、 16a…回転体、 16d…基材、 16e…光拡散層、 16m…拡散面、 17…投影光学系、 18…表示制御部、 18a…基材、 19…拡散部、 19a…回転体、 19b…スクリーンカバー、 19g,19h…端面部、 19r,214r,319r,419r,619r…赤外分離膜、 20…表示スクリーン、 30…虚像表示光学系、 64…回転駆動部、 72…環境監視部、 90…主制御装置、 100…ヘッドアップディスプレイ装置、 200…移動体用表示システム
Claims (14)
- 表示部と、
前記表示部に形成された像を投影する第1投影光学系と、
前記第1投影光学系の光射出側に配置される中間スクリーンと、
前記中間スクリーン上の像を拡大する第2投影光学系とを備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記中間スクリーンから前記第2投影光学系側の光路中に配置され、赤外線を透過又は反射して光路外に導く赤外分離膜を設けていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記中間スクリーンを覆うスクリーンカバーをさらに備え、
前記スクリーンカバーの表面に前記赤外分離膜として赤外線を反射する誘電体多層膜を設けていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記第2投影光学系において可視光を透過させる保護カバーをさらに備え、
前記保護カバーの表面に前記赤外分離膜として赤外線を反射する誘電体多層膜を設けていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記中間スクリーンは、透過型の拡散スクリーンであることを特徴とする請求項2及び3のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記中間スクリーンは、透過型の拡散スクリーンであり、前記赤外分離膜として赤外線を反射する誘電体多層膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記中間スクリーンは、反射型の拡散スクリーンであることを特徴とする請求項2及び3のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記中間スクリーンは、反射型の拡散スクリーンであり、前記赤外分離膜として赤外線を透過させる誘電体多層膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記中間スクリーンを光軸方向に移動させる駆動部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置置。
- 前記中間スクリーンは、反射型の拡散スクリーンであり、
前記中間スクリーンの背面側に設けられて、前記中間スクリーンの熱を輻射により発散させる放熱部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3及び6〜8のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 表示部と、
前記表示部に形成された像を投影する第1投影光学系と、
前記第1投影光学系の光射出側に配置される反射型の中間スクリーンと、
前記中間スクリーン上の像を拡大する第2投影光学系と、
前記中間スクリーンの背面側に設けられて、前記中間スクリーンの熱を輻射により発散させる放熱部材と
を備えることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記放熱部材は、黒体塗料層であることを特徴とする請求項10に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記放熱部材は、黒体シートであることを特徴とする請求項10に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記放熱部材は、中間スクリーンよりも放射率の高い金属又は樹脂部材であることを特徴とする請求項10に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記中間スクリーンを光路上で移動させる駆動部をさらに備えることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018183683 | 2018-09-28 | ||
JP2018183683 | 2018-09-28 |
Publications (1)
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ID=70107227
Family Applications (1)
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JP2019051893A Pending JP2020056984A (ja) | 2018-09-28 | 2019-03-19 | ヘッドアップディスプレイ装置 |
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JP (1) | JP2020056984A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021256150A1 (ja) * | 2020-06-17 | 2021-12-23 | コニカミノルタ株式会社 | ヘッドアップディスプレイ装置 |
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2019
- 2019-03-19 JP JP2019051893A patent/JP2020056984A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021256150A1 (ja) * | 2020-06-17 | 2021-12-23 | コニカミノルタ株式会社 | ヘッドアップディスプレイ装置 |
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