次に、本発明の打込機に含まれるいくつかの実施形態のうち、代表的な打込機を、図面を参照して説明する。
(実施形態1) 打込機の実施形態1を、図1および図2を参照して説明する。打込機10は、本体11、シリンダ12、打撃部13、トリガ14、射出部15及びプッシュレバー16を有する。また、マガジン17が打込機10に取り付けられている。本体11は、筒形状の胴部18と、胴部18に固定したヘッドカバー21と、胴部18に接続されたハンドル19と、を有する。ハンドル19は、胴部18の外面から突出している。
図1、図3A、図3Bのように、蓄圧室20が、ハンドル19の内部、胴部18の内部、ヘッドカバー21の内部に亘って形成されている。エアホースがハンドル19に接続される。圧縮気体としての圧縮空気は、エアホースを介して蓄圧室20内に供給される。シリンダ12は胴部18内に設けられている。ヘッドカバー21は、外筒部22、内筒部23及び排気通路24を有する。外筒部22及び内筒部23は中心線A1を中心として同心状に配置されている。内筒部23は、外筒部22の内側に設けられている。
ヘッドバルブ31がヘッドカバー21内に設けられている。ヘッドバルブ31は、円筒形状であり、外筒部22と内筒部23との間に配置されている。ヘッドバルブ31は、シリンダ12の中心線A1方向に移動可能である。ヘッドバルブ31にシール部材25,26が取り付けられている。外筒部22と内筒部23との間に、制御室27が形成されている。シール部材25,26は、制御室27を気密にシールする。付勢部材28が、制御室27に設けられている。付勢部材28は、一例として、金属製の圧縮コイルスプリングである。付勢部材28は、ヘッドバルブ31を中心線A1方向でシリンダ12に近付ける向きで付勢する。
ストッパ29がヘッドカバー21内に設けられている。ストッパ29は一例として合成ゴム製であり、ストッパ29の一部は、内筒部23の内部に配置されている。内筒部23とストッパ29との間に通路30が形成され、通路30は、排気通路24につながっている。排気通路24は、本体11の外部B1につながっている。
シリンダ12は、胴部18に対して中心線A1方向に位置決め固定されている。シリンダ12において、中心線A1方向でヘッドバルブ31に最も近い箇所の端部に、バルブシート32が取り付けられている。バルブシート32は環状であり、かつ、合成ゴム製である。ヘッドバルブ31とバルブシート32との間にポート33が形成される。ヘッドバルブ31が、図3Aのようにバルブシート32に押し付けられると、ヘッドバルブ31はポート33を閉じる。ヘッドバルブ31が、図3Bのようにバルブシート32から離れると、ヘッドバルブ31はポート33を開く。
打撃部13は、ピストン34と、ピストン34に固定されたドライバブレード35と、を有する。ピストン34は、シリンダ12内に配置され、ピストン34は、中心線A1方向に移動可能である。ピストン34の外周面にシール部材100が取り付けられている。ピストン上室36が、ストッパ29とピストン34との間に形成される。図3Bのように、ヘッドバルブ31がポート33を開いていると、蓄圧室20はピストン上室36に接続される。図3Aのように、ヘッドバルブ31がポート33を閉じていると、蓄圧室20はピストン上室36から遮断される。
射出部15は、胴部18に対して、中心線A1方向でヘッドカバー21が設けられている個所とは反対の端部に固定されている。
図1及び図3Cのように、バンパ37が、シリンダ12内に設けられている。バンパ37は、シリンダ12内において、中心線A1方向で射出部15に最も近い位置に配置されている。バンパ37は、合成ゴム製、または、シリコンゴム製である。バンパ37は軸孔38を有し、ドライバブレード35は軸孔38内で中心線A1方向に移動可能である。シリンダ12内において、ピストン34とバンパ37との間にピストン下室39が形成されている。シール部材100は、ピストン下室39とピストン上室36とを気密に遮断する。
ホルダ40が胴部18内に設けられている。ホルダ40は筒形状である。ホルダ40は、シリンダ12と同心状に、かつ、シリンダ12の外側に配置されている。シリンダ12を径方向に貫通する通路41,42が設けられている。通路42は、中心線A1方向で通路41と射出部15との間に配置されている。戻り空気室43が、シリンダ12の外面と胴部18との間に形成されている。通路41は、ピストン下室39と戻り空気室43とをつなぐ。逆止弁44がシリンダ12に設けられている。逆止弁44は、シリンダ12内の空気が戻り空気室43に流れようとすると、通路41を開く。逆止弁44は、戻り空気室43の空気がシリンダ12内に流れようとすると、通路41を閉じる。通路42は、戻り空気室43とピストン下室39とを、常に接続する。ピストン下室39及び戻り空気室43内に亘って、圧縮空気が封入されている。シール部材45が、ホルダ40と胴部18との間に設けられ、シール部材46が、ホルダ40とシリンダ12との間に設けられている。シール部材45,46は、蓄圧室20と戻り空気室43とを気密に遮断する。
図4A及び図5Aのように、トリガ14は本体11に取り付けられている。トリガ14は、本体11に対して支持軸47を介して取り付けられている。支持軸47の長手方向の端部にボス部47Aがそれぞれ設けられている。2つのボス部47Aは、円柱形状であり、2つのボス部47Aは、本体11に対して中心線D1を中心として所定角度の範囲内で回転可能である。支持軸47は、中心線D1から偏心した中心線D3を中心として設けられている。
1つのボス部47Aにモード選択部材84が固定されている。モード選択部材84は、作業者が操作して打込機10で行う打ち込みモードを選択する要素であり、モード選択部材84は、一例として、レバーまたはノブである。打ち込みモードは、単発打ちと連発打ちとを含む。作業者がモード選択部材84を操作すると、2つのボス部47Aが中心線D1を中心として回転可能である。2つのボス部47Aが中心線D1を中心として作動すると、支持軸47は、中心線D1の周りで公転する。トリガ14は、中心線D3を中心として自転可能であり、かつ、中心線D1を中心として公転可能である。
作業者は、ハンドル19を手で握り、指でトリガ14に操作力を付加または解除する。モード選択部材84は、打込機10の使用態様を単発打ちと連発打ちとを切り替えるための要素である。モード選択部材84は、単発打ちに対応する第1操作位置と、連発打ちに対応する第2操作位置と、を有する。
図6Aのように、モード選択部材84に係合部85が設けられている。また、モード選択部材84を付勢する付勢部材86が設けられている。付勢部材86は、モード選択部材84を図6Aで時計回りに付勢する。付勢部材86は、一例として金属製のスプリングである。
トリガ14は、支持軸47を中心として、所定角度の範囲内で作動可能である。トリガ14を付勢する付勢部材80が設けられている。付勢部材80は、トリガ14を支持軸47を中心として時計回りに付勢する。付勢部材80は、一例として金属製のスプリングである。筒形状のホルダ48が、本体11に取り付けられている。ホルダ48は、ガイド孔82及び支持部83を有する。付勢部材80により付勢されるトリガ14は、支持部83に接触して初期位置で停止する。
図4Aのように、アーム49がトリガ14に取り付けられている。アーム49はトリガ14に対して支持軸50を中心として、所定角度の範囲内で作動可能である。支持部83は、トリガ14の長さ方向で、支持軸47と支持軸50との間に配置されている。支持軸50はトリガ14に設けられ、かつ、支持軸50は支持軸47とは異なる位置に設けられている。アーム49を支持軸50を中心として付勢する付勢部材81が設けられている。付勢部材81は、図4Aにおいてアーム49を反時計回りに付勢する。付勢部材81は、一例として金属製のスプリングである。付勢部材81により付勢されるアーム49の自由端は、支持部83に接触して初期位置で停止する。
図1及び図4Aのように、トリガバルブ51が、胴部18とハンドル19との接続箇所に設けられている。トリガ14及びアーム49は、図1に示す中心線A1方向で、ホルダ48とトリガバルブ51との間に配置されている。トリガバルブ51は、プランジャ52、第1ボディ53、第2ボディ54、弁体55及び付勢部材69を有する。第1ボディ53および第2ボディ54は、共に筒形状であり、第1ボディ53および第2ボディ54は、共に中心線A2を中心として同心状に配置されている。弁体55は、第1ボディ53内から第2ボディ54内に亘って配置されている。第1ボディ53に通路56が形成され、通路56は、通路57を介して制御室27に接続されている。
また、ハンドル19は通路58を有し、通路58は、蓄圧室20と第1ボディ53の内部とを接続している。第1ボディ53と本体11との間をシールするシール部材59が設けられている。第2ボディ54は、通路60及び軸孔54Aを有する。通路60は本体11の外部B1に接続されている。第2ボディ54は、軸孔54Aにつながる空間64を有する。
弁体55の外周面にシール部材61,62,63が取り付けられている。弁体55は、軸孔65を有する。シール部材63は空間64を気密にシールする。プランジャ52は、軸孔54A,65内に亘って配置されている。プランジャ52の外周面にシール部材66,67が取り付けられている。プランジャ52の外周面から突出するフランジ68が設けられている。軸孔65内に付勢部材69が設けられている。付勢部材69は、一例として圧縮スプリングであり、付勢部材69は、プランジャ52を中心線A2方向でアーム49に近付ける向きで付勢している。
図1に示すように、射出部15は、一例として、金属製または非鉄金属製である。射出部15は、筒部70と、筒部70の外周面に接続されたフランジ71と、を有する。フランジ71は、胴部18に対して固定要素により固定されている。筒部70は、射出路72を有する。射出路72内に中心線A1が位置し、ドライバブレード35は射出路72内で中心線A1方向に移動可能である。
マガジン17は、射出部15に対して固定されている。マガジン17は釘73を収容する。マガジン17は、フィーダ74を有し、フィーダ74はマガジン17内の釘73を射出路72に送る。
プッシュレバー16に対して、動力伝達可能に接続された伝達部材75が設けられている。伝達部材75は、図4Aのように、ホルダ48に支持されている。伝達部材75の一部は、ガイド孔82に配置されている。伝達部材75は、ホルダ48に対して中心線A3方向に移動可能である。中心線A3は中心線A2と平行である。伝達部材75がアーム49に接触すると、プッシュレバー16の作動力がアーム49に伝達される。伝達部材75がアーム49から離反していると、プッシュレバー16の作動力がアーム49に伝達されない。伝達部材75は、付勢部材76によりアーム49から離れる向きで付勢されている。付勢部材76は、一例として金属製のスプリングである。
さらに、図6Aに示すソレノイドが本体11に設けられている。ソレノイド87は、コイル88、プランジャ89及びリング状の永久磁石90を有する、キープソレノイドである。プランジャ89は、磁性材料、例えば、鉄、鋼製である。ソレノイド87は、コイル88に電流が流れると、プランジャ89は永久磁石90の吸引力に抗して軸方向に作動する。コントローラ94が、コイル88に供給する電流の向きを切り替えると、プランジャ89が作動する向きを変更できる。コントローラ94が、コイル88に対する電力の供給を遮断すると、プランジャ89は永久磁石90の吸引力により、軸方向の所定位置で停止する。プランジャ89は、図6Aに示す初期位置、または、図6Bに示す作動位置の何れかで停止する。
図7は、打込機10の制御系統を示すブロック図である。打込機10は、電源スイッチ91、トリガスイッチ92、プッシュレバースイッチ93、コントローラ94、電圧検出部95、電池96、スイッチ回路97及びアクチュエータ112が設けられている。電池96は、電気回路138を介してコントローラ94に接続されている。電源スイッチ91は、モード選択部材84が第1操作位置にあるとオフし、モード選択部材84が第2操作位置にあるとオンする。
トリガスイッチ92は、トリガ14に操作力が付加されるとオンし、トリガ14の操作力が解除されるとオフする。プッシュレバースイッチ93は、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられているとオンし、プッシュレバー16が相手材77から離れているとオフする。電源スイッチ91、トリガスイッチ92、プッシュレバースイッチ93は、接触スイッチまたは非接触スイッチの何れもよい。電源スイッチ91、トリガスイッチ92及びプッシュレバースイッチ93の信号は、コントローラ94に入力される。
コントローラ94は、入力インタフェース、出力インタフェース、記憶部、演算処理部、タイマー98を有するマイクロコンピュータである。コントローラ94は、電源スイッチ91のオン及びオフ信号を処理して、モード選択部材84の操作位置を判断する。電源スイッチ91がオンしていると電気回路138が接続され、電池96の電力がコントローラ94に供給される。電源スイッチ91がオフしていると電気回路138が遮断され、電池96の電力はコントローラ94に供給されない。コントローラ94は、電池96から電力が供給されると起動し、電池96から電力が供給されないと停止する。
さらに、電源スイッチ91は、モード選択部材84の操作位置を判断するモードスイッチに加え、半導体スイッチを備えていてもよい。この場合、モードスイッチは、モード選択部材84の操作位置を判断するのみであり、電気回路138を接続及び遮断する機能を有していない。そして、コントローラ94は、モードスイッチによりモード選択部材84の操作位置を判断し、コントローラ94が、半導体スイッチのオン及びオフを制御して、電気回路138を接続及び遮断することが可能である。モードスイッチは、接触スイッチまたは非接触スイッチの何れでもよい。接触スイッチは、一例として、タクタイルスイッチであり、非接触スイッチは、一例として、光センサ、磁気センサ、赤外線センサである。コントローラ94は、本体11の何れか、一例としてマガジン17に設けることが可能である。
電池96は、コントローラ94及びアクチュエータ112に電力を供給する電源であり、充電及び放電が可能な二次電池を用いることが可能である。アクチュエータ112に電流を流すことは、アクチュエータ112のオンと定義可能である。アクチュエータ112に対する電流の供給を停止することは、アクチュエータ112のオフと定義可能である。
打込機10の実施形態1では、ソレノイド87が、アクチュエータ112に相当する。電池96は、一次電池でもよい。電池96は、本体11、一例としてマガジン17に対して着脱が可能である。スイッチ回路97は、電池96とソレノイド87との間に形成される電気回路99に設けられている。スイッチ回路97は、電気回路99の接続および遮断する機能と、電池96からソレノイド87に供給される電流の向きを切り替える機能と、を有する。スイッチ回路97は、一例として、複数の電界効果トランジスタを有する。コントローラ94は、スイッチ回路97を制御して、電気回路99を接続または遮断する。また、コントローラ94は、スイッチ回路97を制御することにより、ソレノイド87のコイル88に供給する電流の向きを切り替え可能である。さらに、電圧検出部95は、電池96の電圧を検出して信号をコントローラ94に入力する。さらに、表示部101がコントローラ94に接続されている。表示部101は、液晶ディスプレイ、発光ダイオードランプを含む。コントローラ94は、表示部101で電池96の電圧、モード選択部材84の操作位置を表示させる。
次に、打込機10を用いて、図1に示す釘73を相手材77に打ち込む例を説明する。先ず、使用者はモード選択部材84を操作して、単発打ちまたは連発打ちを選択可能である。図2に示すモード選択部材84は、単発打ちに対応する第1操作位置であり、図6Aに示すモード選択部材84は、連発打ちに対応する第2操作位置である。モード選択部材84の第2操作位置は、モード選択部材84の第1操作位置に対して、時計回りに略90度作動した位置である。
トリガ14の作動中心である支持軸47の位置を説明する。支持軸47は、2つのボス部47Aに対して偏心している。このため、モード選択部材84の操作位置が変わると、伝達部材75に対する支持軸47の位置が変化する。モード選択部材84の操作位置が変わると、伝達部材75に対する支持軸47の位置は、中心線A3に対して交差する方向の位置である。モード選択部材84が第1操作位置で停止している際、図8Aに示す支持軸47から伝達部材75までの距離は、モード選択部材84が第2操作位置で停止している際、図4Aに示す支持軸47から伝達部材75までの距離よりも小さい。
(打込機で単発打ちを選択する例) 作業者が、モード選択部材84を図2に示す第1操作位置に停止して、単発打ちを選択する例を、図8A、図8B、図8C及び図8Dを参照して説明する。作業者が単発打ちを選択すると、電源スイッチ91はオフする。つまり、電池96の電力はコントローラ94に供給されず、電池96の電力はソレノイド87に供給されない。このため、プランジャ89は、永久磁石90に吸引された初期位置で停止している。したがって、プランジャ89は、係合部85から離反している。
また、単発打ちが選択されている状態で、トリガ14に対する操作力が解除されていること、プッシュレバー16が相手材77から離れていること、の少なくとも一方が成立していると、打込機10のトリガバルブ51、ヘッドバルブ31、打撃部13は、次のような初期状態にある。
図8Aのように、伝達部材75は、中心線A3方向で支持部83から突出していない。また、トリガ14は、支持部83に接触して初期位置で停止している。さらに、アーム49は支持部83に接触して初期位置で停止している。アーム49の先端は、伝達部材75の作動範囲内にある。しかし、伝達部材75はアーム49から離反した初期位置で停止している。また、アーム49はプランジャ52から離反している。つまり、アーム49からプランジャ52に対して作動力は付与されていない。
フランジ68は、付勢部材69により第2ボディ54に押し付けられる。弁体55は、付勢部材69の付勢力でアーム49から離れる向きに付勢され、シール部材62が第1ボディ53に押し付けられて弁体55が初期位置で停止している。
シール部材62は、通路56と通路60とを遮断する。シール部材61は、第1ボディ53から離れ、蓄圧室20は、通路58、通路56及び通路57を介して制御室27に接続されている。シール部材66は弁体55から離れ、蓄圧室20は、通路58、軸孔65を介して空間64につながっている。シール部材67は、軸孔54Aをシールし、空間64と外部B1とが遮断されている。
蓄圧室20の圧縮空気が制御室27に供給されているため、図3Aのように、ヘッドバルブ31は、付勢部材28の付勢力及び制御室27の圧力でバルブシート32に押し付けられている。ヘッドバルブ31は、ポート33を閉じている。また、ヘッドバルブ31の内周面は、ストッパ29の外周端から離れている。ピストン上室36は、通路30、排気通路24を介して外部B1につながっている。したがって、ピストン上室36の圧力は、大気圧と同じであり、かつ、ピストン下室39の圧力よりも低い。このため、ピストン34は、ピストン下室39の圧力でストッパ29に押し付けられた状態で停止している。このように、打撃部13は、図1及び図3Aに示す上死点で停止している。
次に、作業者がプッシュレバー16を相手材77に押し付けると、プッシュレバー16の作動力が伝達部材75に伝達される。伝達部材75は、付勢部材76の付勢力に抗して初期位置からトリガバルブ51に近づく向きで作動する。すると、伝達部材75は支持部83から突出し、伝達部材75の作動力がアーム49に伝達される。アーム49は支持軸50を中心として時計回りに作動し、伝達部材75が図8Bに示す作動位置で停止すると、アーム49も中間位置で停止する。この状態において、アーム49の作動力はプランジャ52に伝達されず、プランジャ52は初期位置で停止している。
プッシュレバー16を相手材77に押し付けた状態において、作業者がトリガ14に操作力を付加すると、トリガ14は支持軸47を中心として反時計回りに作動する。すると、アーム49は伝達部材75を支点として反時計回りに作動し、アーム49の作動力がプランジャ52に伝達される。プランジャ52は、付勢部材69の付勢力に抗して初期位置から作動する。トリガ14が図8Cのように作動位置で停止すると、アーム49は作動位置で停止し、かつ、プランジャ52が作動位置で停止する。
プランジャ52が、図8Cに示す作動位置で停止すると、シール部材66は軸孔65をシールする。シール部材67は、空間64に移動し、空間64と外部B1とが、軸孔54Aを介して接続される。このため、弁体55は、蓄圧室20の圧縮空気の圧力で付勢部材69の力に抗して作動し、シール部材61は蓄圧室20と通路56とを遮断する。また、シール部材62は、第1ボディ53から離れ、シール部材62は、通路56と通路60とをつなぐ。このため、制御室27の圧縮空気は、通路57、通路56、通路60を介して外部B1に排出され、制御室27の圧力が大気圧と同じになる。
制御室27の圧力が大気圧と同じになると、ヘッドバルブ31は、蓄圧室20の圧力で付勢部材28の付勢力に抗して作動する。このため、ヘッドバルブ31は、図3Bのようにポート33を開き、蓄圧室20は、ポート33を介してピストン上室36に接続される。また、ヘッドバルブ31はストッパ29に接触し、ヘッドバルブ31は、ピストン上室36と排気通路24とを遮断する。すると、蓄圧室20の圧縮空気がピストン上室36に供給され、ピストン上室36の圧力が上昇する。ピストン上室36の圧力がピストン下室39の圧力よりも高くなると、打撃部13は、上死点から下死点からに向けて中心線A1方向に作動し、ドライバブレード35が射出路72内の釘73を打撃する。打撃された釘73は、相手材77に打ち込まれる。
打撃部13が釘73を相手材77に打ち込んだ後、図3Cのように、ピストン34がバンパ37に衝突し、バンパ37は打撃部13の運動エネルギの一部を吸収する。ピストン34がバンパ37に衝突した時点における打撃部13の位置は、下死点である。また、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動中、逆止弁44が通路41を開き、ピストン下室39の圧縮空気は、通路41から戻り空気室43に流れ込む。
作業者がプッシュレバー16を相手材77から離すと、伝達部材75は、図8Dのように、付勢部材76の付勢力で、作動位置から初期位置に戻って停止する。また、トリガ14に対する操作力を解除すると、トリガ14は作動位置から初期位置に戻り、アーム49は付勢部材81の付勢力で作動位置から初期位置に戻って停止する。
さらに、プランジャ52は作動位置から初期位置に戻り、ヘッドバルブ31は初期状態に戻ってポート33を閉じる。すると、ピストン上室36の圧力が大気圧と同じになり、ピストン下室39の圧力でピストン34が下死点から上死点に向けて作動する。また、戻り空気室43の圧縮空気は、通路42を経由してピストン下室39に流れ込み、打撃部13は上死点に戻り停止する。
ところで、プッシュレバー16を相手材77から離した際に、トリガ14が、図8Dに示す作動位置に停止している例を説明する。この場合は、伝達部材75が作動位置から初期位置に戻る過程で、アーム49は付勢部材81の付勢力で支持軸50を中心として反時計回りに作動する。そして、伝達部材75が初期位置に停止した状態において、アーム49は中間位置に戻り、かつ、停止する。
図8Dのように、伝達部材75及が初期位置で停止し、アーム49が中間位置で停止していると、アーム49は、図5Bのように、伝達部材75の作動範囲から外れた位置にある。このため、トリガ14が作動位置で停止している状態で、再度、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられて、伝達部材75が初期位置から作動位置に作動しても、伝達部材75の作動力はアーム49に伝達されず、プランジャ52は初期位置に停止している。すなわち、打撃部13は上死点に停止した状態に保持される。
(打込機で連発打ちを選択する例) 作業者が、モード選択部材84を図5A及び図6Aのように第2操作位置に停止して、連発打ちを選択すると、電源スイッチ91がオンする。すると、コントローラ94が起動し、コントローラ94は、電池96の電力をソレノイド87に供給する。すると、コイル88が磁気吸引力を形成し、プランジャ89は永久磁石90の吸引力に抗して、図6Aに示す初期位置から作動する。コントローラ94が、ソレノイド87に対する電力の供給を停止すると、プランジャ89は、永久磁石90の吸引力により、図6Bに示す作動位置で停止する。また、モード選択部材84は図6Bで反時計周りに付勢されている。このため、係合部85がプランジャ89に押し付けられ、モード選択部材84が第2操作位置で停止する。
モード選択部材84が第2操作位置で停止すると、支持軸47から伝達部材75までの距離は、モード選択部材84を図5A及び図6Aのように第2操作位置に停止した場合の方が、モード選択部材84を図5B及び図2のように第2操作位置に停止した場合よりも大きい。つまり、アーム49が、伝達部材75の作動範囲と支持軸47との間に位置する長さは、モード選択部材84が第2操作位置にある場合の方が、モード選択部材84が第1操作位置にある場合よりも大きい。
さらに、連発打ちが選択されている状態で、コントローラ94が、トリガスイッチ92がオフであること、プッシュレバースイッチ93がオフであること、の両方を検知していると、図4Aのように、トリガ14は初期位置で停止し、かつ、伝達部材75は初期位置で停止し、かつ、アーム49は初期位置で停止している。また、トリガバルブ51は蓄圧室20と通路56とを接続し、かつ、空間64と外部B1とを遮断している。このため、ヘッドバルブ31は図3Aのようにポート33を閉じ、かつ、打撃部13は上死点で停止している。
次に、作業者がトリガ14に操作力を付加すると、トリガ14は、初期位置から付勢部材80の付勢力に抗して反時計方向に作動し、図4Bに示す作動位置で停止する。また、トリガスイッチ92がオンする。さらに、アーム49は、支持部83を支点として作動する。しかし、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられていないため、アーム49の作動力はプランジャ52に伝達されず、プランジャ52は初期位置で停止している。
トリガ14に操作力が付加されている状態で、プッシュレバー16を相手材77に押し付けると、プッシュレバースイッチ93がオンする。また、プッシュレバー16の作動力が伝達部材75に伝達され、伝達部材75は初期位置から作動する。すると、伝達部材75は支持部83から突出し、伝達部材75の作動力がアーム49に伝達される。アーム49は支持軸50を中心として時計回りに作動し、伝達部材75が図4Cに示す作動位置で停止すると、アーム49は作動位置で停止する。
アーム49が初期位置から作動位置に作動すると、プランジャ52が初期位置から作動し、図4Cに示す作動位置で停止する。つまり、トリガバルブ51は、蓄圧室20と通路56とを遮断し、かつ、空間64と外部B1とを接続した作動状態にある。したがって、ヘッドバルブ31は、図3に示す作動位置に停止し、ポート33を開く。このため、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動し、打撃部13は釘73を相手材77に打ち込む。
打撃部13が釘73を相手材77に打ち込んだ後、作業者がプッシュレバー16を相手材77から離すと、伝達部材75は、図4Bのように、付勢部材76の付勢力で、作動位置から初期位置に戻って停止する。また、アーム49は作動位置から初期位置に戻って停止する。アーム49が初期位置に停止すると、アーム49の先端は、伝達部材75の作動範囲内に位置する。
また、プランジャ52は作動位置から初期位置に戻って停止する。このため、ヘッドバルブ31は初期状態に戻ってポート33を閉じる。さらに、ピストン下室39の圧力でピストン34が下死点から上死点に向けて作動する。また、戻り空気室43の圧縮空気は、通路42を経由してピストン下室39に流れ込み、打撃部13は上死点に戻り停止する。
以後、トリガ14を作動位置に保持した状態で、作業者がプッシュレバー16を相手材7に押し付ける操作と、相手材77から離す操作とを交互に繰り返し、連発打ちを行うことができる。
次に、打込機10で行われる制御の一例を、図9のフローチャートを参照して説明する。ステップS1で作業者が連発打ちを選択すると、ステップS2で電源スイッチ91がオンし、かつ、コントローラ94が起動する。コントローラ94は、制御に必要な情報を、記憶部に予め記憶している。コントローラ94は、ステップS3において、電池96の電圧が規定値以上であるか、を判断する。規定値は、電池96の電力をソレノイド87に供給することにより、プランジャ89を作動位置から初期位置に向けて作動させる動作を、1回以上行うことが可能な電圧である。
プランジャ89が、現在、初期位置で停止している場合であると、規定値は、プランジャ89を初期位置から作動位置に作動させ、かつ、プランジャ89を作動位置から初期位置に戻すことの可能な電圧である。プランジャ89が、現在、作動位置で停止している場合であると、規定値は、プランジャ89を作動位置から初期位置に向けて作動させることの可能な電圧である。
コントローラ94は、ステップS3でYesと判断すると、ステップS4の処理を行う。ステップS4の処理は、電池96から電流をソレノイド87に流し、プランジャ89を初期位置から作動位置に作動させた後、ソレノイド87に対する電流の供給を停止することである。コントローラ94がステップS4の処理を行うと、図6Bのように、プランジャ89が永久磁石90の吸引力で作動位置に停止し、かつ、モード選択部材84が第2操作位置に停止する。
コントローラ94は、ステップS5でトリガスイッチ92のオンを検知すると、ステップS6でタイマー98をスタートさせる。コントローラ94は、ステップS7の判断を行う。ステップS7の判断は、タイマー98がスタートした時点から所定時間内にプッシュレバースイッチ93がオンしたか、というものである。所定時間は、一例として3秒に設定可能である。
コントローラ94は、ステップS7でYesと判断すると、ステップS8でタイマー98をリセットする。また、ステップS9でプッシュレバー16が相手材77に押し付けられ、かつ、アーム49の作動力でプランジャ52が図4Cのように作動位置に移動すると、打撃部13は、釘73を相手材77に打ち込む。
コントローラ94は、モード選択部材84が第2操作位置に停止している状態、つまり、電源スイッチ91がオンされている状態において、ステップS10で電池96の電圧が規定値以上であるか、を判断する。コントローラ94は、ステップS10でYesと判断すると、ステップS6に進む。このように、タイマー98がスタートした時点から、所定時間内にプッシュレバースイッチ93がオンされると、連発打ちが可能である。
コントローラ94は、ステップS7でNoと判断するか、または、ステップS10でNoと判断すると、ステップS11の処理を行う。ステップS11の処理は、プランジャ89の位置を、図6Bに示す作動位置から、図6Aに示す初期位置に移動させることである。つまり、コントローラ94は、電池96の電力をソレノイド87に供給してプランジャ89を移動させた後、ソレノイド87に対する電力の供給を遮断する。また、コントローラ94は、ステップS11でタイマー98をリセットする。
コントローラ94がステップS11の処理を行うと、係合部85がプランジャ89から解放される。このため、モード選択部材84は付勢部材86の付勢力で図6Aにおいて反時計回りに作動し、モード選択部材84は、第1作動位置に戻って停止する。コントローラ94が、ステップS11の処理を行うと、打込機10の打ち込みモードは、連発打ちから単発打ちに切り替わる。
また、モード選択部材84が第1作動位置に戻ることにより、ステップS12で電源スイッチ91がオフする。このため、コントローラ94に電力が供給されなくなり、コントローラ94は停止し、図9の制御を終了する。
なお、電源スイッチ91が、接触スイッチ及び非接触スイッチを有していると、ステップS12で、次の処理を行うことも可能である。モード選択部材84が第1作動位置に戻ることにより、接触スイッチがオフされた時点で、コントローラ94は、連発打ちから単発打ちに切り替わったことを、表示部101で所定時間表示させた後、非接触スイッチをオフして、電気回路138を遮断する処理である。
トリガ14が作動位置で保持され、かつ、プッシュレバー16が相手材77から離れている状態で、ステップS11の処理が行われて、モード選択部材84が第2操作位置から第1操作位置に切り替わると、支持軸47は、図5Aに示す位置から図5Bに示す位置へ移動する。すると、アーム49は、付勢部材81の付勢力で反時計回りに作動し、図8Dのように、アーム49は、伝達部材75の作動範囲から外れた位置へ移動する。このため、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられて、伝達部材75が、初期位置から作動位置に向けて作動しても、伝達部材75の作動力はアーム49に伝達されない。つまり、プランジャ52は初期位置に保持され、打撃部13は打撃動作を行わない。したがって、打込機10で単発打ちは行えるが、連発打ちは行えない。
さらに、コントローラ94は、ステップS3でNoと判断すると、ステップS12に進。つまり、電池96の電圧が規定値以下であると、モード選択部材84は第1操作位置に保持される。
なお、コントローラ94は、図9に示すメインルーチンの他、電池96の電圧が規定値以上であるか否かの判断を、サブルーチンとして常時、行っている。つまり、コントローラ94が、電池96の電圧が規定値以上であるか否かを判断する時期は、ステップS2とステップS3の間、または、ステップS10に限定されない。そして、コントローラ94は、電池96の電圧が規定値以上でないと判断した時点で、モード選択部材84が第1操作位置にあると、その状態を保持する制御を行う。また、電池96の電圧が規定値以上でないと判断した時点で、モード選択部材84が第2操作位置にあると、モード選択部材84を第2操作位置から第1操作位置に移動させる制御を行う。つまり、電源スイッチ91がオフし、コントローラ94に電力が供給されなくなる。
このように、連発打ちが選択されて起動するコントローラ94は、ステップS4でモード選択部材84を第2操作位置に停止させた時点から、ステップS11でモード選択部材84を第2操作位置から第1操作位置に移動させるまでの間における少なくとも一部の時間で、ソレノイド87に対する電力の供給を遮断する。コントローラ94は、ステップS4でモード選択部材84を第2操作位置に停止させた時点から、ステップS11でモード選択部材84を第2操作位置から第1操作位置に移動させるまでの間において、全部の時間、または、一部の時間で行ってもよい。このため、電池96の電力消費量の増加を抑制できる。したがって、電池96の小型化、軽量化に寄与するため、製品全体の小型化、軽量化が達成できる。
(実施形態2) 打込機の実施形態2を、図10A及び図11Aを参照して説明する。打込機の実施形態2において、打込機の実施形態1と同じ要素は、打込機の実施形態1と同じ符号を付してある。トリガ14は、支持軸102を介して本体11に取り付けられている。トリガ14は、支持軸102を中心として、図10Aにおいて所定角度の範囲内で作動可能、つまり、時計方向及び反時計方向に回転可能である。なお、打込機10の実施形態2におけるトリガ14は、支持軸102を中心として自転するが、公転はしない構成である。トリガ14の外縁を切り欠いた凹部103が設けられている。
支持軸104が、本体11に設けられている。支持軸104は、トリガ14の長手方向で、伝達部材75の作動範囲と、支持軸50との間に配置されている。トリガ14が支持軸102を中心として作動する際、またはトリガ14が停止している際、支持軸104の少なくとも一部は、凹部103内に位置する。このため、トリガ14の作動が、支持軸104により阻害されることは無い。
支持軸104は、中心線D2を中心として回転可能である。支持軸104を、図10Aにおいて時計回りに付勢する付勢部材105が設けられている。支持軸104は、切り欠き部106及び接続部107を有する。切り欠き部106は、支持軸104の径方向の一部を窪ませたものである。支持軸104にモード選択部材84が取り付けられている。
モード選択部材84は、図6Aに示す係合部85を有する。また、図6に示したソレノイド87が、図11Aの本体11に設けられている。図7に示す制御系統は、打込機10の実施形態2においても適用される。作業者が単発打ちを選択していると、電源スイッチ91はオフし、コントローラ94に電力は供給されない。つまり、コントローラ94は停止している。プランジャ89は係合部85から解放されており、モード選択部材84及び支持軸104は、付勢部材105の付勢力で付勢されて、初期位置で停止している。図10A及び図11Aは、支持軸104が初期位置で停止している状態を示す。
これに対して、作業者が連発打ちを選択する場合は、モード選択部材84を付勢部材105の付勢力に抗して作動させ、モード選択部材84を第2作動位置に移動させる。すると、電源スイッチ91がオンし、コントローラ94に電力が供給され、コントローラ94が起動する。また、コントローラ94は、ソレノイド87に電力を供給し、プランジャ89が係合部85に係合する。このため、支持軸104は、図11B及び図12Aに示す作動位置で停止する。支持軸104が作動位置で停止すると、コントローラ94は、ソレノイド87に対する電力を遮断し、プランジャ89は初期位置で停止する。
打込機10の実施形態2における使用例を説明する。
(打込機で単発打ちを選択する例) 作業者は、モード選択部材84を第1操作位置に停止して、単発打ちを選択する。図10Aに実線で示すように、トリガ14が初期位置で停止し、かつ、伝達部材75が初期位置で停止していると、アーム49は接続部107に接触して初期位置で停止している。アーム49の一部は、切り欠き部106内に位置する。アーム49はプランジャ52から離反しており、プランジャ52は初期位置で停止している。トリガバルブ51は、蓄圧室20と通路56とを接続し、かつ、通路56と通路60とを遮断している。ヘッドバルブ31はポート33を閉じており、打撃部13は上死点で停止している。
プッシュレバー16が相手材77に押し付けられると、伝達部材75が、実線で示す初期位置から、二点鎖線で示す作動位置へと移動する。伝達部材75の作動力がアーム49に伝達され、アーム49は、実線で示す初期位置から、二点鎖線で示す作動位置へ移動する。この時点では、トリガ14に操作力が付加されていないため、アーム49の作動力はプランジャ52に伝達されず、プランジャ52は初期位置で停止している。
伝達部材75が作動位置で停止している状態において、作業者がトリガ14に操作力を付加して、図10Bのように、トリガ14を作動位置に移動させる。すると、アーム49の作動がプランジャ52に伝達され、プランジャ52が作動位置に移動して停止する。トリガバルブ51は、蓄圧室20と通路56とを遮断し、かつ、通路56と通路60とを接続する。ヘッドバルブ31はポート33を開き、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動する。
作業者が、トリガ14を作動位置に保持した状態で、プッシュレバー16を相手材77から離すと、伝達部材75は図10Cに二点鎖線で示す作動位置から、実線で示す初期位置へ移動する。また、アーム49は付勢部材81の付勢力で作動し、実線で示す初期位置で停止する。さらに、プランジャ52は、作動位置から初期位置に戻って停止する。
アーム49は、伝達部材75の作動範囲から外れた位置で停止している。このため、作業者がトリガ14を作動位置に保持した状態で、プッシュレバー16を相手材77に押し付けて、伝達部材75が初期位置から作動位置に移動しても、伝達部材75の作動力はアーム49に伝達されない。したがって、プランジャ52は初期位置で停止している。
(打込機で連発打ちを選択する例) 作業者は、モード選択部材84を第2操作位置に停止して、連発打ちを選択する。支持軸104は、図10A及び図11Aに示す初期位置から、図12A及び図11Aに示す作動位置に切り替わる。また、電源スイッチ91がオンし、かつ、コントローラ94が起動る。コントローラ94は、ソレノイド87に電力を供給し、支持軸104が作動位置に保持された後、ソレノイド87に対する電力の供給を遮断する。
図12Aのように、トリガ14が初期位置で停止し、かつ、伝達部材75が初期位置で停止していると、アーム49の全部は、切り欠き部106の外に位置し、かつ、接続部107に接触した初期位置で停止している。アーム49はプランジャ52から離反しており、プランジャ52は初期位置で停止している。トリガバルブ51は、蓄圧室20と通路56とを接続し、かつ、通路56と通路60とを遮断している。ヘッドバルブ31はポート33を閉じており、打撃部13は上死点で停止している。
作業者がトリガ14に操作力を付加し、図12Bのように、トリガ14を初期位置から作動位置に作動させても、プッシュレバー16が相手材77から離れていると、アーム49の作動力はプランジャ52に伝達されない。プランジャ52は初期位置で停止している。
トリガ14に操作力が付加された状態で、作業者がプッシュレバー16を相手材77に押し付けると、伝達部材75が、図12Cのように作動位置へと移動する。伝達部材75の作動力がアーム49に伝達され、アーム49は接続部107から離れ、アーム49の作動力がプランジャ52に伝達される。プランジャ52は初期位置から作動位置へ移動して停止する。したがって、ヘッドバルブ31はポート33を開き、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動する。
作業者が、トリガ14を作動位置に保持した状態で、プッシュレバー16を相手材77から離すと、伝達部材75は図12Bに示す初期位置へ移動する。このため、アーム49は付勢部材81の付勢力で反時計回りに作動し、接続部107に接触して停止する。プランジャ52は、作動位置から初期位置に戻って停止する。アーム49の一部は、伝達部材75の作動範囲内に位置する。
このため、作業者がトリガ14を作動位置に保持した状態で、プッシュレバー16を相手材77に押し付けて、図12Cのように伝達部材75が初期位置から作動位置に移動すると、伝達部材75の作動力はアーム49を介してプランジャ52に伝達され、プランジャ52は初期位置から作動位置へ作動して停止する。このようにして、打込機10において連発打ちを行うことが可能である。
打込機10の実施形態2は、図9の制御例を行うことが可能である。コントローラ94は、ステップS6でタイマー98をスタートさせる。コントローラ94は、ステップS7でYesと判断すると、ステップS8に進む。つまり、支持軸104は、中心線D2を中心とする作動方向で、図11B及び図12Cに示す作動位置に保持される。
これに対して、コントローラ94は、ステップS7でNoと判断すると、ステップS11に進む。このため、支持軸104は付勢部材105の付勢力で、図12Bにおいて時計回りに作動し、図10C及び図11Aに示す初期位置で停止する。つまり、アーム49の全部が、伝達部材75の作動範囲から外れた位置となり、アーム49が停止する。このため、トリガ14が作動位置にある状態で、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられても、伝達部材75の作動力はプランジャ52に伝達されない。つまり、連発打ちは行えない。
打込機10の実施形態2において、図9の制御例を行う場合の各ステップにおけるその他の処理及び判断は、打込機10の実施形態1において、図9の制御例を行う場合の各ステップにおける処理及び判断と同じである。
打込機10の実施形態2において、連発打ちが選択されて起動するコントローラ94は、ステップS4でモード選択部材84を第2操作位置に停止させた時点から、ステップS11でモード選択部材84を第2操作位置から第1操作位置に移動させるまでの間における少なくとも一部の時間で、ソレノイド87に対する電力の供給を遮断する。したがって、打込機10の実施形態2は、打込機10の実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態3) 打込機の実施形態3を、図13、図14A及び図14Bを参照して説明する。打込機10の実施形態3において、打込機10の実施形態1及び2と同じ構成は、打込機10の実施形態1及び2と同じ符号を付してある。支持軸104は切り欠き部106及び接続部107を有する。また、ウォームホイール108が、支持軸104に設けられている。トリガ14は支持軸102を中心として回転、つまり、自転するが、公転はしない構成である。さらに、サーボモータ109が本体11に設けられ、サーボモータ109の回転軸110にウォーム111が形成されている。ウォーム111は、ウォームホイール108に噛み合っている。モード選択部材84及び付勢部材105は、図14A、図14Bでは省略してある。
また、図7の制御系統は、打込機10の実施形態3にも適用可能である。サーボモータ109は、アクチュエータ112に相当する。そして、コントローラ94は、電池96からサーボモータ109に電流を流す制御と、サーボモータ109に対する電流の供給を停止する制御と、を行うことが可能である。また、コントローラ94は、サーボモータ109に流す電流の向きを変更する制御を行う。つまり、コントローラ94は、サーボモータ109の回転軸110の回転、回転方向、停止を制御する。サーボモータ109の回転軸110の回転方向は、正逆に切り替え可能である。
打込機10の実施形態3におけるトリガ14、伝達部材75、アーム49、プランジャ52の機能は、打込機10の実施形態1及び2におけるトリガ14、伝達部材75、アーム49、プランジャ52の機能と同じである。
打込機10の実施形態3は、単発打ちが選択されていると、コントローラ94に電力は供給されない。また、サーボモータ109の回転軸110は、初期位置で停止している。また、サーボモータ109に対する電力の供給は停止している。支持軸104は、図14Aに示す初期位置で停止している。
打込機10の実施形態3は、連発打ちが選択されると図9の制御例を実行可能である。コントローラ94は、ステップS4でサーボモータ109の回転軸110を正回転させ、かつ、作動位置に停止させる。すると、支持軸104は、図14Bに示す作動位置で停止する。また、コントローラ94は、サーボモータ109の回転軸110を作動位置に停止した後、サーボモータ109に対する電流の供給を停止する。
コントローラ94は、ステップS11でサーボモータ109の回転軸110を逆回転させ、かつ、初期位置に停止させた後、サーボモータ109に対する電流の供給を停止する。すると、支持軸104は、図14Aに示す初期位置で停止し、ステップS12に進む。打込機10の実施形態3において、図9の制御例を行う場合の各ステップにおけるその他の処理及び判断は、打込機10の実施形態1において、図9の制御例を行う場合の各ステップにおける処理及び判断と同じである。
打込機10の実施形態3において、連発打ちが選択されて起動するコントローラ94は、ステップS4でモード選択部材84を第2操作位置に停止させた時点から、ステップS11でモード選択部材84を第2操作位置から第1操作位置に移動させるまでの間における少なくとも一部の時間で、サーボモータ109に対する電流の供給を停止する。したがって、打込機10の実施形態3は、打込機10の実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態4) 打込機の実施形態4を、図5A、図5B、図15A、図15B及び図15Cを参照して説明する。打込機10の実施形態4において、打込機10の実施形態1及び3と同じ構成は、打込機10の実施形態1及び3と同じ符号を付してある。トリガ14は、図5A、図5Bのように、支持軸47を中心として自転可能、かつ、公転可能である。また、モード選択部材84は設けられているが、図6Aで示した付勢部材86及びソレノイド87は、設けられていない。つまり、モード選択部材84は、作業者の操作力でのみ作動及び停止する。
ソレノイド113が本体11に設けられている。ソレノイド113は、コイル114、プランジャ115及びリング状の永久磁石116を有する、キープソレノイドである。プランジャ115は磁性材料、例えば、鉄製または鋼製である。ソレノイド113は、コイル114に電流が流れると、プランジャ115は永久磁石116の吸引力に抗して軸方向に作動する。コントローラ94が、コイル114に供給する電流の向きを切り替えると、プランジャ115が作動する向きを変更できる。コントローラ94が、コイル114に対する電力の供給を遮断すると、プランジャ115は永久磁石116の吸引力により、軸方向の所定位置で停止する。プランジャ115は、図15A及び図15Bに示す初期位置、または、図15Cに示す作動位置の何れかで停止する。
打込機10の実施形態4は、図7に示す制御系統の一部を有する。打込機10の実施形態4における電源スイッチ91は、モード選択部材84の位置を検知する信号を出力する機能を有するのみであり、電気回路138を接続及び遮断する機能を有していない。つまり、単発モードまたは連発モードの何れが選択された場合も、電池96の電力がコントローラ94に供給されて、コントローラ94が起動する。
ソレノイド113は、アクチュエータ112に相当する。コントローラ94は、コイル114に対する電流の供給及び停止を制御可能である。また、コントローラ94は、コイル114に対して電流を供給する向きを切り替え可能である。プランジャ115は、コイル114に対して電流を供給する向きに応じて、正方向及び逆方向に作動する。
図15A、図15Bのように、プランジャ115が初期位置で停止すると、プランジャ115は、通路57を開く。図15Cのように、プランジャ115が作動位置で停止すると、プランジャ115は、通路57を閉じる。ソレノイド113は、通路57を開閉するバルブである。
さらに、モード選択部材84と、トリガ14またはアーム49の少なくとも一方との間で、動力の伝達は行われない。
打込機10の実施形態4で行われる制御例を、図16のフローチャートを参照して説明する。コントローラ94は、ステップS21で連発打ちが選択されているかを判断する。コントローラ94は、ステップS21でYesと判断すると、ステップS22において、ソレノイド113により通路57を閉じさせ、かつ、ソレノイド113に対する電力の供給を停止する。コントローラ94は、ステップS23でトリガスイッチ92がオンしたかを判断する。コントローラ94は、ステップS23でNoと判断すると、ステップS22に進む。コントローラ94は、ステップS23でYesと判断すると、ステップS24において、ソレノイド113に電力を供給して、ソレノイド113により通路57を開かせ、かつ、ソレノイド113に対する電力の供給を停止する。
コントローラ94は、ステップS25において、トリガスイッチ92がオンした時点からタイマー98をスタートさせる。ステップS25、S26の処理を行う順序は問われず、ステップS25、S26の処理を同時に行ってもよい。コントローラ94は、タイマー98をスタートした後にステップS26の判断を行う。ステップS26の判断は、タイマー98がスタートした時点から、所定時間内にプッシュレバースイッチ93がオンしたか、というものである。
コントローラ94は、ステップS26でYesと判断すると、ステップS27でタイマー98をリセットする。さらに、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられたことにより、ステップS28で打撃部13が釘73を打ち込む。
なお、ステップS24において、ソレノイド113に対する電力の供給を停止し、かつ、トリガスイッチ92がオンし、その後、プッシュレバスイッチ93がオンした時点で、ソレノイド113に電力を供給して、通路57を開く制御を行ってもよい。
コントローラ94は、ステップS29において、電池96の電圧が規定値以上かを判断する。コントローラ94は、ステップS29でYesと判断すると、ステップS30において、トリガスイッチ92がオフかを判断する。コントローラ94は、ステップS30でNoと判断すると、ステップS25に進む。
コントローラ94は、ステップS30でYesと判断すると、ステップS31において、ソレノイド113に電力を供給して、ソレノイド113により通路57を閉じさせた後、ソレノイド113に対する電力の供給を停止し、かつ、図16の制御例を終了する。コントローラ94は、ステップS26でNoと判断した場合、または、ステップS29でNoと判断した場合は、ステップS31に進む。
コントローラ94は、ステップS21でNoと判断すると、ステップS32でソレノイド113に電力を供給して、ソレノイド113により通路57を開かせた後、ソレノイド113に対する電力の供給を停止する。ステップS32の処理により、打込機10では単発打ちを行うことが可能である。単発打ちが選択されている場合、トリガ14の作動、伝達部材75の作動、アーム49の作動、プランジャ52の作動は、打込機10の実施形態1と同様である。
さらに、コントローラ94は、ステップS32に次ぐステップS33において、電池96の電圧が規定値以上かを判断する。コントローラ94は、ステップS33でYesと判断すると、ステップS32進む。コントローラ94は、ステップS33でNoと判断すると、ステップS31に進む。
コントローラ94が、ステップS26でNoと判断してステップS31に進んだ場合、または、ステップS29でNoと判断してステップS31に進んだ場合、または、ステップS33でNoと判断してステップS31に進んだ場合、コントローラ94は、打込機10で打ち込みが行えないことを、表示部101で表示させることも可能である。
なお、コントローラ94が、電池96の電圧が規定値以上であるかを常時、判断することが可能である。つまり、電池96の電圧が規定値以上であるかの判断は、ステップS28とステップS30の間、または、ステップS33に限定されない。そして、コントローラ94は、電池96の電圧が規定値以上でないと判断した時点で、ステップS31に進む。
このように、コントローラ94は、ステップS25でタイマー98をスタートさせた時点から、所定時間が経過するまでの間の少なくとも一部の時間において、ソレノイド113に対する電流の供給を停止する。したがって、打込機10の実施形態4は、打込機10の実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態5) 打込機の実施形態5を、図5A、図5B、図17A、図17B及び図17Cを参照して説明する。打込機10の実施形態5において、打込機10の実施形態1及び4と同じ構成は、打込機10の実施形態1及び4と同じ符号を付してある。トリガ14は、図5A、図5Bのように、支持軸47を中心として自転可能、かつ、公転可能である。また、モード選択部材84は設けられているが、図6Aで示した付勢部材86及びソレノイド87は、設けられていない。つまり、モード選択部材84は、作業者の操作力でのみ作動及び停止する。
ソレノイド125が本体11、一例としてハンドル19に設けられている。ソレノイド125は、コイル126、プランジャ127及びリング状の永久磁石117を有する、キープソレノイドである。プランジャ127は磁性材料、例えば、鉄製または鋼製である。ソレノイド127は、コイル126に電流が流れると、プランジャ127が永久磁石117の吸引力に抗して軸方向に作動する。コントローラ94が、コイル126に供給する電流の向きを切り替えると、プランジャ127が作動する向きを変更できる。コントローラ94が、コイル126に対する電力の供給を遮断すると、プランジャ127は永久磁石117の吸引力により、軸方向の所定位置で停止する。プランジャ127は、図17A、図17Bに示す初期位置、または、図17Cに示す作動位置の何れかで停止する。
また、第1ボディ53は軸孔128を有し、プランジャ127の一部は、軸孔128に配置されている。第1ボディ53にシール部材129が取り付けられている。シール部材129は、環状であり、かつ、合成ゴム製である。シール部材129は、プランジャ127の外周面に接触し、シール部材129は、軸孔128の内周面とプランジャ127の該周面との間を気密にシールする。弁体55の外周面に、環状の係合部130が設けられている。係合部130は、中心線A2に対して垂直な端面である。弁体55が中心線A2方向に作動すると、係合部130は中心線A2方向に移動する。
打込機10の実施形態5は、図7に示す制御系統を有する。ソレノイド125は、アクチュエータ112に相当する。コントローラ94は、ソレノイド125に対する電流の供給及び停止を制御可能である。また、コントローラ94は、ソレノイド125に対して電流を供給する向きを切り替え可能である。プランジャ127は、ソレノイド125に対して電流を供給する向きに応じて、正方向及び逆方向に作動する。ソレノイド125に対する電流の供給が停止すると、プランジャ127は、永久磁石117の吸引力により、軸方向で所定位置で停止する。
ソレノイド125に対する電流の供給が停止し、プランジャ127が永久磁石117の吸引力で図17A、図17Bに示す初期位置で停止すると、プランジャ127の先端は、第1ボディ53の内部から退出し、かつ、軸孔128に位置する。つまり、プランジャ127の先端は、係合部130の移動範囲から外れた位置にある。このため、プランジャ127が初期位置で停止していると、弁体55が中心線A2方向に作動する際に、プランジャ127は係合部130に接触しない。つまり、プランジャ127は弁体55の作動を阻止しない。
ソレノイド125に対して電流の供給が停止し、プランジャ127が永久磁石117の吸引力で図17Cに示す作動位置で停止すると、プランジャ127の先端は、第1ボディ53の内部に位置する。つまり、プランジャ127の先端は、係合部130の移動範囲内にある。このため、弁体55が、中心線A2方向でアーム49に近づく向きで作動すると、プランジャ127が係合部130に係合する。つまり、プランジャ127は弁体55の作動を阻止する。プランジャ127が弁体55の作動を阻止すると、蓄圧室20と通路56とが接続され、かつ、通路56と通路60とが遮断される。
打込機10の実施形態4における電源スイッチ91は、モード選択部材84の位置を検知する信号を出力する機能を有するのみであり、電気回路138を接続及び遮断する機能を有していない。つまり、単発モードまたは連発モードの何れが選択された場合も、電池96の電力がコントローラ94に供給されて、コントローラ94が起動する。
打込機10の実施形態5は、図16のフローチャートを行うことが可能である。コントローラ94は、ステップS22において、ソレノイド125に対して電力を供給してプランジャ127を作動させた後、ソレノイド125に対する電力の供給を停止する。プランジャ127は、図17Cに示す作動位置で停止する。
コントローラ94は、ステップS24において、ソレノイド125に電力を供給してプランジャ127を作動させた後、ソレノイド125に対する電力の供給を停止する。プランジャ127は、図17Aに示す初期位置で停止する。ステップS24の後にプッシュレバー16が相手材77に押し付けられて、伝達部材75が作動すると、図17Bのように、伝達部材75の作動力がアーム49を介してプランジャ52に伝達される。プランジャ52が、初期位置から作動位置に移動して停止すると、弁体55が初期位置から作動位置へ移動して停止し、シール部材61が蓄圧室20と通路56とを遮断し、通路56と通路60とが接続される。したがって、ステップS28で打撃部13が釘73を打ち込む。
コントローラ94は、ステップS30でYesと判断すると、ステップS31において、ソレノイド125に電力を供給してプランジャ127を作動させた後、ソレノイド125に対する電力の供給を停止する。プランジャ127は、図17Cに示す作動位置で停止する。プランジャ127が、図17Cに示す作動位置で停止していると、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられて、プランジャ52が初期位置から作動位置へ移動しても、プランジャ127が、弁体55の作動を阻止する。つまり、蓄圧室20と通路56とが接続され、かつ、56と通路60とが遮断されており、打撃部13は図3Aのように上死点で停止している。
コントローラ94は、ステップS32でソレノイド125に電力を供給してプランジャ127を作動させ、ソレノイド125に対する電力の供給を停止する。プランジャ127は初期位置に停止する。ステップS32の処理により、打込機10では単発打ちを行うことが可能である。単発打ちが選択されている場合、トリガ14の作動、伝達部材75の作動、アーム49の作動、プランジャ52の作動は、打込機10の実施形態1と同様である。
打込機10の実施形態5において、図16の制御例を行う場合の各ステップにおけるその他の処理及び判断は、打込機10の実施形態4において、図16の制御例を行う場合の各ステップにおける処理及び判断と同じである。
このように、コントローラ94は、トリガスイッチ92がオンしてタイマー98をスタートさせた時点から、所定時間が経過するまでの間の少なくとも一部の時間において、ソレノイド125に対する電流の供給を停止する。したがって、打込機10の実施形態5は、打込機10の実施形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施形態6) 打込機の実施形態6を、図18A、図18Bを参照して説明する。打込機10の実施形態6において、打込機10の実施形態1と同じ構成は、打込機10の実施形態1と同じ符号を付してある。トリガ14は支持軸47を中心として自転可能であり、かつ、ボス部47Aを中心として公転可能である。なお、図5A、図5Bに示す付勢部材86は設けられておらず、図6A、図6Bに示すソレノイド87は設けられていない。作業者がモード選択部材84を操作した場合に限り、モード選択部材84を第1操作位置と第2操作位置とで切り替えることが可能である。また、打込機10は、図1及び図4Aに示すトリガバルブ51を有する。
ソレノイド131が射出部15に設けられている。ソレノイド131は、コイル132、プランジャ133及びリング状の永久磁石134を有する、キープソレノイドである。プランジャ133は磁性材料、例えば、鉄製または鋼製である。
ソレノイド131は、コイル132に電流が流れると、プランジャ133が永久磁石134の吸引力に抗して軸方向に作動する。コントローラ94が、コイル132に供給する電流の向きを切り替えると、プランジャ133が作動する向きを変更できる。
コントローラ94が、コイル132に対する電力の供給を停止すると、プランジャ133は永久磁石134の吸引力により、軸方向の所定位置で停止する。プランジャ133は、図18Aに示す初期位置、または、図18Bに示す作動位置の何れかで停止する。
プッシュレバー16の作動力を伝達部材75に伝達するアーム136が設けられている。アーム136は係合部137を有する。アーム136は、プッシュレバー16と共に中心線A1方向に移動する。
打込機10の実施形態6は、図7に示す制御系統を有する。打込機10の実施形態6における電源スイッチ91は、モード選択部材84の位置を検知する信号を出力する機能を有するのみであり、電気回路138を接続及び遮断する機能を有していない。つまり、単発モードまたは連発モードの何れが選択された場合も、電池96の電力がコントローラ94に供給されて、コントローラ94が起動する。
ソレノイド131は、図7に示すアクチュエータ112に相当する。コントローラ94は、ソレノイド131に対する電流の供給及び停止を制御可能である。また、コントローラ94は、ソレノイド131に対して電流を供給する向きを切り替え可能である。プランジャ133は、ソレノイド131に供給される電流の向きに応じて、正方向及び逆方向に作動する。
ソレノイド131に対する電流の供給が停止すると、プランジャ133は、永久磁石134の吸引力により、図18Aに示す初期位置、または図18Bに示す作動位置で停止する。プランジャ133が初期位置で停止すると、プランジャ133の先端は、アーム136の作動範囲から外れた位置にある。このため、アーム136が中心線A1方向に作動しようとすると、アーム136の作動は、プランジャ133に阻止されない。プランジャ133が作動位置で停止すると、プランジャ133の先端は、アーム136の作動範囲内にある。このため、アーム136が中心線A1方向に作動しようとすると、アーム136の作動は、プランジャ133により阻止される。
また、プッシュレバー16が相手材77から離れている状態において、中心線A1方向で、係合部137とプランジャ133との間の最短距離は、アーム136の有効移動距離よりも大きい。アーム136の有効移動距離は、プッシュレバースイッチ93がオフしている時点から、プッシュレバースイッチ93がオンするまでの間に、アーム136が中心線A1方向に移動する量である。
打込機10の実施形態6は、図16のフローチャートを行うことが可能である。コントローラ94が、ステップS22において、ソレノイド131に電力を供給し、プランジャ133を、図18Bに示す作動位置へ移動させた後、ソレノイド131に対する電力の供給を停止する。プランジャ133は、永久磁石134の吸引力で作動位置に停止する。
コントローラ94は、ステップS24において、ソレノイド131に対して電力を供給して、プランジャ133を作動させた後、ソレノイド131に対する電力の供給を停止する。プランジャ133は、図18Aに示す初期位置で停止する。ステップS24の後にプッシュレバー16が相手材77に押し付けられると、アーム136の作動は、プランジャ133により阻止されない。したがって、図4Cのように、トリガバルブ51のプランジャ52が作動位置に停止し、ステップS28で打撃部13が釘73を打ち込む。
コントローラ94は、ステップS30でYesと判断すると、ステップS31において、ソレノイド131に電力を供給してプランジャ133を作動させ、ソレノイド131に対する電力の供給を停止する。プランジャ133は、図18Bに示す作動位置で停止する。ソレノイド131のプランジャ133が、図18Bに示す作動位置で停止していると、プッシュレバー16が相手材77に押し付けられても、アーム136の作動がプランジャ133により阻止される。このため、図4Bのように、トリガバルブ51のプランジャ52が初期位置に停止し、蓄圧室20と通路56とが接続され、かつ、通路56と通路60とが遮断されている。したがって、打撃部13は図3Aのように上死点で停止している。
コントローラ94は、ステップS32でソレノイド131のプランジャ133を、図18Aのように初期位置に停止させ、かつ、ソレノイド131に対する電力の供給を停止する。ステップS32の処理により、打込機10では単発打ちを行うことが可能である。単発打ちが選択されている場合、トリガ14の作動、伝達部材75の作動、アーム49の作動、プランジャ52の作動は、打込機10の実施形態1と同様である。
打込機10の実施形態6において、図16の制御例を行う場合の各ステップにおけるその他の処理及び判断は、打込機10の実施形態4において、図16の制御例を行う場合の各ステップにおける処理及び判断と同じである。
このように、コントローラ94は、ステップS23でトリガスイッチ92がオンしてタイマー98をスタートさせた時点から、所定時間が経過するまでの間の少なくとも一部の時間において、ソレノイド131に対する電流の供給を停止する。したがって、打込機10の実施形態6は、打込機10の実施形態1と同様の効果を得ることができる。
実施形態で開示した事項と、請求項に記載した事項との対応関係の一例は、次のとおりである。打込機10は、打込機の一例である。ピストン上室36は、圧力室の一例である。打撃部13は、打撃部の一例である。打撃部13が、上死点から下死点に向けて作動する方向は、“打撃部が止具を打撃する方向”の一例である。打撃部13が、ストッパ29から離れる向きで中心線A1に沿って作動する方向は、“打撃部が止具を打撃する方向”の一例である。トリガ14は、第1操作部材の一例である。プッシュレバー16は、第2操作部材の一例である。
作業者が、トリガ14に操作力を付加することは、“第1操作部材に操作力を付加”の一例である。作業者が、トリガ14に付加した操作力を解除することは、“第1操作部材の操作力を解除”の一例である。作業者が、プッシュレバー16を相手材77に押し付けることは、“第2操作部材に操作力を付加”の一例である。作業者が、プッシュレバー16を相手材77から離すことは、“第2操作部材の操作力を解除”の一例である。
実施形態1及び実施形態2におけるソレノイド87の作動位置は、第1制御状態の一例であり、ソレノイド87の初期位置は、第2制御状態の一例である。実施形態3におけるサーボモータ109の作動位置は、第1制御状態の一例であり、サーボモータ109の初期位置は、第2制御状態の一例である。実施形態4におけるソレノイド113の初期位置は、第1制御状態の一例であり、ソレノイド113の作動位置は、第2制御状態の一例である。
実施形態5におけるソレノイド125の初期位置は、第1制御状態の一例であり、ソレノイド125の作動位置は、第2制御状態の一例である。実施形態6におけるソレノイド131の初期位置は、第1制御状態の一例であり、ソレノイド131の作動位置は、第2制御状態の一例である。
ソレノイド87,113,125,131及びサーボモータ109は、切替機構の一例である。コントローラ94及びスイッチ回路97は、制御部の一例である。蓄圧室20は、蓄圧室の一例である。トリガバルブ51は、気体供給機構の一例である。トリガバルブ51の作動状態は、打撃可能状態の一例である。トリガバルブ51の初期状態は、打撃不可能状態の一例である。
伝達部材75及びプランジャ52は、第1経路及び第2経路の一例である。伝達部材75の作動力をプランジャ52に伝達することの可能な状態が、“第1経路を接続”及び第2経路を接続”の一例である。伝達部材75の作動力をプランジャ52に伝達できない状態が、“第1経路を遮断”及び“第2経路を遮断”の一例である。
ポート33は、第1通路の一例であり、通路56,57,60は、第2通路の一例である。制御室27は、制御室の一例である。ヘッドバルブ31は、開閉機構の一例である。ソレノイド113は、バルブまたはソレノイドバルブの一例である。実施形態4のソレノイド113が初期位置にあることは、“バルブの第1作動状態”の一例である。実施形態4のソレノイド113が作動位置にあることは、“バルブの第2作動状態”の一例である。ソレノイド87,113,125,131は、ソレノイドの一例であり、サーボモータ109は、サーボモータの一例である。ソレノイド87,113,125,131のそれぞれに対する電力の供給を停止することが、第1制御または第2制御の一例である。サーボモータ109に対する電力の供給を停止することが、第1制御または第2制御の一例である。電源スイッチ91は、電力供給機構の一例である。
トリガ14及びプッシュレバー16に対する操作力を解除した状態は、第1操作状態として定義可能である。トリガ14に対する操作力を解除しプッシュレバー16に対する操作力を付加した状態は、第2操作状態として定義可能である。プッシュレバー16に対して操作力を付加した後、トリガ14に操作力を付加する操作は、第3操作状態として定義可能である。トリガ14に操作力を付加し、かつ、プッシュレバー16を相手材77から離した状態は、第4操作状態として定義可能である。トリガ14及びプッシュレバー16に対して操作力を付加した状態は、第5操作状態として定義可能である。
連発打ちでは、トリガ14に操作力を付加した後、プッシュレバー16に操作力を付加すると、トリガバルブ51が初期位置から作動位置に切り替わり、打撃部13は止具73を打撃する方向に作動する。これに対して、単発打ちでは、トリガ14に操作力を付加した後、プッシュレバー16に操作力を付加すると、トリガバルブ51は、初期位置に保持される。つまり、打撃部13は止具73を打撃する方向に作動せず、打撃部13は上死点で停止している。
打込機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第1操作部材は、操作力が付加されて所定角度の範囲内で回転する要素の他、操作力が付加されて所定の範囲内で直線状に作動する要素を含む。第1操作部材は、レバー、ノブ、ボタン、アーム等を含む。第2操作部材は、相手材に押し付けられて直線状に作動する要素であり、第2操作部材は、射出部の射出口から独立して設けた部材のみならず、射出口と一体に設けた部材でもよい。射出口は、射出部の端部に形成される。また、第2操作部材を構成する部材は、レバー、アーム、ロッド、プランジャ等を含む。さらに、第2構成部材は、相手材に接触する箇所が筒形状であるものの他、中心線A1方向の全体がプレート形状のものでもよい。
制御部は、電気部品または電子部品の単体でもよいし、複数の電気部品または複数の電子部品を有するユニットでもよい。電気部品または電子部品は、プロセッサ、制御回路及びモジュールを含む。気体供給機構は、通路同士の接続と、通路同士の遮断とを切り替える切替バルブを含む。第1通路及び第2通路は、ポート、部材に設けた孔、部材内に形成した空間、部材同士の隙間、部材に設けた開口部を含む。制御室は、部材により形成された空間である。開閉機構は、圧縮気体の圧力で作動する弁体を含む。また、所定時間のカウントをスタートする時期は、トリガスイッチ92がオンした時点の他、連発打ちが選択された時点とすることも可能である。
圧縮気体は、圧縮空気に代えて、不活性ガス、例えば、窒素ガス、希ガスを用いることもできる。打撃部は、ピストン及びドライバブレードが一体成形されている構造、別体であるピストンとドライバブレードとを固定した構造の何れでもよい。止具は、軸部及び頭部を有する釘の他、軸部が有り頭部の無い釘を含む。止具は、U字状のピン、U字形状のネジ等を含む。止具は、相手材に挿入されて相手材に固定される任意の形状、構造を含む。切替機構は、電力の供給により作動するアクチュエータである。止具を打撃する方向に打撃部を作動させることは、打撃部が止具を打撃するか否かは問わない。
キープソレノイドは、コイル及び永久磁石の他に、リターンスプリングを有するものでもよい。キープソレノイドは、電力を供給しないときに、プランジャが所定位置に停止する構造であればよい。
また、単発打ちは、プッシュレバー16に対して操作力を付加した後に、トリガ14に対して操作力を付加した第3操作状態とすることで、打撃部13が釘73を打撃する方向に作動する。単発打ちは、引きずり打ちを含む。引きずり打ちとは、プッシュレバー16を相手材77に押し付けて打撃部13を下降させた後、トリガ14に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー16に対する操作力を加える第2状態でプッシュレバー16を相手材77に対して滑らせてから停止し、再度、トリガ14に対して操作力を加えることで、打撃部13を下降させる使用形態である。
また、連発打ちは、トリガ14またはプッシュレバー16の何れか一方に対する操作力が解除された状態から、トリガ14及びプッシュレバー16に操作力が付加された状態とするものである。したがって、具体的な開示はしていないが、連発打ちは、プッシュレバー16に操作力が付加され、かつ、トリガ14に対する操作力を解除された状態から、トリガ14及びプッシュレバー16に操作力が付加される状態を含む。
さらに、単発打ち及び連発打ちは、トリガ14及びプッシュレバー16に対する操作力の付加及び解除の順序、状態により定義したものである。単発打ちと連発打ちとは、打撃部が止具を打撃する方向に動作する場合の時間間隔で区別したものではない。単発打ちと連発打ちとは、所定時間内で打撃部が止具を動作する方向に動作する回数で区別したものではない。単発打ちを第1使用形態と定義し、連発打ちを第2使用形態と定義することも可能である。