JPWO2019078298A1 - ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂組成物、その硬化物、ワニス、プリプレグ及び積層板または銅張積層板 - Google Patents

ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂組成物、その硬化物、ワニス、プリプレグ及び積層板または銅張積層板 Download PDF

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Abstract

耐熱性、熱分解特性、誘電特性、吸水特性に優れ、電子機器用プリント配線板や航空宇宙分野で使用される繊維強化複合材料に適した硬化物が得られるベンゾオキサジン樹脂を提供することを目的とする。下記式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂。【化1】(式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1〜10の実数を表す。R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基のいずれかを表す。R3〜R7がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR3〜R7は互いに同一であっても異なっていてもよい。R9、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アリル基又はアルコキシ基のいずれかを表す。R9、R10がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR9、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。)

Description

本発明はベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂組成物、その硬化物、ワニス、プリプレグ及び積層板または銅張積層板に関する。詳しくは、航空宇宙材料、工作機械部材用途、電気・電子材料等の種々の用途で利用可能であり、特に耐熱性が要求される繊維強化複合材料用途や電気電子部品の封止材等において有用なベンゾオキサジン樹脂及びその硬化物に関する。
一般に電気・電子機器用プリント配線基板は従来ガラス布を基材としたガラス布−エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。これらの熱硬化性樹脂は特有な架橋構造により高い耐熱性や寸法安定性等の特性を発現するため、電子部品などの高い信頼性が要求される分野において広く使われている。特に、銅張積層板や層間絶縁材料においては、プリント配線板の高密度実装、高多層化構成に伴う耐熱性(ガラス転移温度や熱分解性温度)、基板の薄型化による樹脂の機械強度に対する要求が高まっている。CPUなどの高度な処理能力のある半導体チップに関しては、CPU等の素子の高速化が進みクロック周波数が高くなるにつれて信号伝搬遅延や伝送損失が問題となり、配線板に使用する樹脂に対しては低誘電率化、低誘電正接化が求められている。
従来、繊維強化複合材料は、旅客機の機体や翼などの航空宇宙用途、ロボットハンドアームに代表される工作機械用途、建築・土木補修材としての用途、さらにはゴルフシャフトやテニスラケットなどのレジャー用品用途などに幅広く用いられている。繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂と、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、及びアラミド繊維などの強化繊維とから成り、一般に軽量かつ高強度の特徴を有する。旅客機の機体や翼などの航空宇宙材料、ロボットハンドアームに代表される工作機械部材においては、特に炭素繊維強化複合材料(以下CFRPと称す)が使用されており、室温から約200℃までの温度範囲で剛性を保つ耐熱性、更に高熱下で放置しても力学強度を損なわないように熱分解特性が高い事を要求されている。繊維強化複合材料のマトリックス樹脂としては、架橋密度を高くした高耐熱性のエポキシ樹脂が広く使用されているが、高耐熱性のエポキシ樹脂は吸水率が悪化する(吸水率が高くなる)ため、信頼性の要求される航空宇宙材料や工作機械部材用途には不適である。
上記課題を解決するため、エポキシ樹脂やフェノール樹脂の代替として、ベンゾオキサジン樹脂について検討がなされてきた。ベンゾオキサジン樹脂は、その硬化物が耐熱性、熱分解特性、難燃性に優れることから、プリント配線板用の積層板や半導体封止材料等の繊維強化複合材料等の様々な用途への応用が期待されている。
特許文献1にはビスフェノールF(或いはビスフェノールA)とアニリンとホルマリンを反応させたものが開示されている。また、特許文献2には、ベンゾオキサジン樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が開示されており、成形性が良好で吸湿性が低く、硬化性及び機械特性に優れていることが記載されている。しかしながら、いずれも航空宇宙材料や工作機械部材用途、電気・電子材料等の用途における上記課題について充分に満足の得られるものではない。
日本国特開平11−12258号公報 日本国特開2002−161188号公報
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、耐熱性、熱分解特性、誘電特性、吸水特性(低吸水性)に優れた硬化物が得られるベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂組成物、その硬化物、ワニス、プリプレグ、及び、積層板または銅張積層板を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造を有するベンゾオキサジン樹脂を用いることにより、その硬化物が耐熱性、熱分解特性、誘電特性、吸水特性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1]下記式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂、
Figure 2019078298
(式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1〜10の実数を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基のいずれかを表す。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アリル基又はアルコキシ基のいずれかを表す。R、R10がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。)
[2]前記式(1)におけるR〜Rが水素原子である前項[1]に記載のベンゾオキサジン樹脂、
[3]下記式(2)で表されるアニリン樹脂と下記式(3)で表されるフェノール化合物とアルデヒド化合物とを反応させて得られる前項[1]又は[2]に記載のベンゾオキサジン樹脂、
Figure 2019078298
(式(2)中、n及びR〜Rは前記式(1)中のn及びR〜Rと同じ意味を表す。)
Figure 2019078298
(式(3)中、R、R10は前記式(1)中のR、R10と同じ意味を表す。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。)
[4]前項[1]〜[3]のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂とエポキシ樹脂とを含有するベンゾオキサジン樹脂組成物、
[5]前項[1]〜[3]のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂または前項[4]に記載のベンゾオキサジン樹脂組成物とシアネートエステル樹脂とを含有するベンゾオキサジン樹脂組成物、
[6]前項[1]〜[3]のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂または前項[4]もしくは[5]に記載のベンゾオキサジン樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
[7]前項[1]〜[3]のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂または前項[4]もしくは[5]に記載のベンゾオキサジン樹脂組成物を溶媒に溶かしたワニス、
[8]前項[7]に記載のワニスを基材に含浸させてなるプリプレグ、
[9]前項[8]に記載のプリプレグを硬化してなる硬化物、
[10]前項[8]に記載のプリプレグを使用して得られる積層板または銅張積層板、
に関するものである。
本発明のベンゾオキサジン樹脂は、その硬化物において耐熱性、熱分解特性、誘電特性、吸水特性に優れるため、繊維強化複合材料用途や電気電子部品の封止材等に有用である。
実施例1で得られたベンゾオキサジン樹脂のH−NMR分析の結果を示す。 実施例2で得られたベンゾオキサジン樹脂のH−NMR分析の結果を示す。 実施例5〜9の樹脂組成物のMDSC測定結果を示す。
本発明のベンゾオキサジン樹脂は下記式(1)で表される構造を有する。
Figure 2019078298
式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1〜10の実数を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基のいずれかを表す。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アリル基又はアルコキシ基のいずれかを表す。R、R10がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。
式(1)のR〜R、及びR、R10が表す炭素数1〜8のアルキル基とは、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基の何れにも限定されず、その具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられるが、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることがより好ましい。
式(1)のR〜R、及びR、R10が表すアリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子を一つ除いた残基であり、その具体例としてはフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基及びベンゾピレニル基等が挙げられる。
式(1)のR、R10が表すアルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロペントキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられるが、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であることがより好ましい。
式(1)のR〜Rとしては、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に水素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
式(1)のR、R10としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、アリル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、メチル基、フェニル基、アリル基、メトキシ基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
式(1)のnは繰り返し数の平均値を表し、通常1〜10の実数であり、好ましくは1〜5の実数である。nの値はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定により求められた重量平均分子量の値から算出することが出来る。具体的には下記計算式により算出する。
n=[(重量平均分子量)−(n=1体の分子量)]÷[(n=2体の分子量)−(n=1体の分子量)]+1
なお、本発明におけるGPC測定は下記条件にて行った。
カラム:Shodex KF−603、KF−602.5、KF−602、KF−601x2
連結溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min.
カラム温度:40℃
検出:RI(示差屈折検出器)
また、式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂としては、式(1)中のビフェニル構造に結合する二つのメチレン基の結合位置が4,4’であるもの、即ち下記式(4)で表されるベンゾオキサジン樹脂がより好ましい。
Figure 2019078298
式(4)におけるn及びR〜R10は前記式(1)におけるn及びR〜R10と同じ意味を表す。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。
本発明の式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂は、例えば、式(2)で表されるアニリン樹脂、式(3)で表されるフェノール化合物、及びアルデヒド化合物を原料に用いて、以下の反応式で表される公知の方法で合成することができる。尚、反応式中にはアルデヒド化合物の一例としてホルムアルデヒドを記載したが、パラホルムアルデヒドやベンズアルデヒド等を用いてもよい。
Figure 2019078298
式(2)におけるn及びR〜Rは前記式(1)におけるn及びR〜Rと同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
Figure 2019078298
式(3)におけるR、R10は前記式(1)におけるR、R10と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。
Figure 2019078298
フェノール化合物の仕込み比率は、アニリン樹脂のアミノ基1モルに対して0.5〜1.2モルであることが好ましく、0.75〜1.1モルであることがより好ましい。また、アルデヒド化合物の仕込み比率は、フェノール化合物1モルに対して1.7〜4.3モルであることが好ましく、1.8〜4.2モルであることがより好ましい。
反応は溶媒中で行っても無溶媒で行ってもよい。反応に用い得る溶媒は原料化合物を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えばメチルエチルケトン、トルエン、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は一種で用いてもよく、混合して用いてもよい。
反応温度は60℃以上が好ましい。反応時間は特に限定されず、反応に用いた原料の残存量を確認することで反応の進行状況を見極めながら選択すればよい。
溶媒を用いた場合は、合成時に発生した縮合水、残存原料及び溶媒等を合成終了後に減圧下で除去することによりベンゾオキサジン樹脂を得ることができるが、自己重合性を有するため160℃以下での減圧蒸留が好ましい。
本発明において用いられるベンゾオキサジン樹脂は融点または軟化点を有するものを用いてもよい。融点を有する場合は200℃以下が好ましく、また軟化点を有する場合は150℃以下であることが好ましい。融点や軟化点が高温すぎる場合、混合の際にゲル化の可能性が高くなるため好ましくない。
以下に本発明の式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂の具体例を記載するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。尚、具体例の構造式中のnは式(1)におけるnと同じ意味を表す。
Figure 2019078298
Figure 2019078298
Figure 2019078298
Figure 2019078298
本発明のベンゾオキサジン樹脂は、自己硬化性(硬化剤や硬化触媒等の他の成分なしに開環重合(硬化)し得ることを意味する)を有する。即ち、硬化させる際に硬化触媒等が必要ないことに加え、重合過程において副生成物が発生しないので、ボイドのない寸法安定性の高い重合物(硬化物)を得ることができる。自己重合(硬化)の条件は、好ましくは200℃以上で数十分〜数時間程度である。
一般的にC−O結合と比較してC−N結合は結合エネルギーが小さいため、C−N結合のほうが熱分解しやすいことが知られている。そこでNに隣接した分子骨格が高分子量であると遊離を防ぐと考えられる。したがって分子量の大きいフェノール樹脂と分子量の小さいアニリン化合物から合成したベンゾオキサジン樹脂と比較して分子量の大きいアニリン樹脂と分子量の小さいフェノール化合物から合成したベンゾオキサジン樹脂の方がアニリンの遊離を防ぐ構造になるため、熱分解特性の向上が期待できる。
本発明のベンゾオキサジン樹脂は、必要に応じて硬化触媒、難燃剤、フィラー、添加剤等と配合してベンゾオキサジン樹脂組成物とすることができる。
本発明のベンゾオキサジン樹脂は、硬化触媒と配合することにより硬化温度を低下させることができる。硬化触媒としては金属錯体触媒、無機酸、無機塩基、有機酸及び有機塩基、有機過酸化物、アゾ化合物等を挙げることができる。
硬化触媒の具体例である金属錯体触媒としては、一般に公知のものが使用できる。例えばコバルト、亜鉛、クロム、銅、鉄、マンガン、ニッケル、チタンなどの金属ナフテン酸塩、アセチルアセトナート、又その誘導体の塩、各種カルボン酸塩アルコキシド等の有機酸塩があり、これらを単独でも混合して使用しても良い。有機酸塩、塩化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩などの単独、または、それらの混合物等も金属錯体触媒の一例として挙げられる。硬化触媒の具体例である無機酸、無機塩基、有機酸及び有機塩基、有機過酸化物、アゾ化合物等としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、フェノール、アリルフェノール、メタリルフェノール、チオフェノール、ピリジン、トリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ヒスチジン及びイミダゾール類、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等が挙げられ、塩酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、フェノール、チオフェノールが好ましく、p−トルエンスルホン酸及び2−エチル−4−メチルイミダゾールがより好ましい。これらの硬化触媒は一種のみを用いても、二種以上を併用してもよい。
これら硬化触媒の配合量は、その種類や効果によって適正選択すればよいが、ベンゾオキサジン樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上10質量部以下であり、さらに好ましくは0.01質量部以上5質量部以下、特に好ましくは0.05質量部以上3質量部以下である。
難燃剤の具体例としては、臭素化合物、リン化合物、塩素化合物、金属水酸化物、アンチモン化合物等が挙げられる。
フィラーの具体例としてはヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、ケイソウ土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー、カーボンブラック、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリテトラフロロエチレン、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂等の各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。これらの充填剤は一種のみを用いても、二種以上を併用してもよい。
添加剤の具体例としては、表面処理剤、反応遅延剤、色材、帯電防止剤、老化防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。
表面処理剤の具体例としては、例えばシランカップリング剤等が挙げられる。
反応遅延剤の具体例としては、例えば、アルコール系等の化合物が挙げられ、老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。また、酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
色材の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
帯電防止剤の具体例としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明のベンゾオキサジン樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シアネートエステル樹脂等の共重合成分と配合することによりベンゾオキサジン樹脂組成物としてもよい。これらの共重合成分は一種のみを用いても、二種以上を併用してもよい。
これらの共重合成分の中でも、加熱により本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物中に生じるフェノール性水酸基との反応性を有するエポキシ樹脂やフェノール樹脂を配合することが好ましく、エポキシ樹脂を配合することが特に好ましい。
配合し得るエポキシ樹脂としては、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レゾルシノール、クレゾールノボラック、フェノールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール、ジヒドロキシナフタレン等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型;さらにエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート等が挙げられる。耐熱性向上の観点からノボラック型のエポキシやグリシジルアミン型のエポキシ樹脂が好ましい。
本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物においてエポキシ樹脂を使用する場合、吸水特性の観点から、配合量の下限値はベンゾオキサジン樹脂10質量部に対し、0.1質量部が好ましく、更に好ましくは1質量部、特に好ましくは3質量部である。
また、耐熱性の観点から、配合量の上限値はベンゾオキサジン樹脂10質量部に対し、100質量部が好ましく、更に好ましくは50質量部、特に好ましくは30質量部である。
本発明のベンゾオキサジン樹脂またはベンゾオキサジン樹脂組成物は、シアネートエステル樹脂と配合したベンゾオキサジン樹脂組成物することにより、その硬化物の耐熱性を向上させることができる。配合し得るシアネートエステル樹脂としては、公知のシアネートエステル樹脂であれば特に限定されず、例えば、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂などのビスフェノール型シアネートエステル樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネートエステル樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂;ビフェニルアルキル型シアネートエステル樹脂やフェノール類と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類とケトン類との重縮合物及びビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物などをハロゲン化シアンと反応させることにより得られるシアネートエステル樹脂が挙げられる。
上記フェノール類としては、フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
上記各種アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。
上記各種ジエン化合物としては、ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
上記ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの中でもノボラック型シアネートエステル樹脂、ナフトールアラルキル型シアネートエステル樹脂が好ましく、ノボラック型シアネートエステル樹脂がより好ましい。ノボラック型シアネートエステル樹脂を用いることにより、得られる硬化物の架橋密度が増加し、耐熱性が向上するだけでなく、ベンゼン濃度の向上により、優れた熱分解特性や難燃性が期待できる。これらは単独で用いてもよく2種類以上を用いてもよい。
本発明のベンゾオキサジン樹脂組成物においてシアネートエステル樹脂を使用する場合、耐熱性の観点から、配合量の下限値はベンゾオキサジン樹脂10質量部に対し、0.1質量部が好ましく、更に好ましくは1質量部、特に好ましくは3質量部である。
また、ハンドリングの観点から、配合量の上限値はベンゾオキサジン樹脂10質量部に対し、100質量部が好ましく、更に好ましくは50質量部、特に好ましくは30質量部である。ベンゾオキサジン樹脂の配合量が多すぎると、ベンゾオキサジンと相分離をすることがある。
本発明のベンゾオキサジン樹脂またはベンゾオキサジン樹脂組成物は溶媒に溶解したワニスとして用いることもできる。ワニスとすることは、本発明のベンゾオキサジン樹脂またはベンゾオキサジン樹脂組成物の取り扱い(ハンドリング)が容易になるという意味では好ましい態様である。
本発明のワニスに用い得る溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1,4−ジオキサン、エチレングリコールエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられるが、本発明の式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂を溶解し得る溶媒であれば特に制限なく用いることができる。
本発明のワニスには、必要に応じて前述の添加物や任意成分を配合してもよい。
本発明のベンゾオキサジン樹脂を含むワニスを各種の基板に塗布し、例えば150℃以下の温度で溶媒を除去(乾燥)した後、200℃以上の高温で処理することにより、硬化物とすることができる。
また、本発明のワニスをガラス不織布等の基材に含浸させた後に溶媒を除去して得たプリプレグを用いて、積層板、銅張積層板等の繊維強化材料とすることもできる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。合成例中の軟化点及び溶融粘度は下記の方法で測定した。
・軟化点 :JIS K−7234に準じた方法で測定
・溶融粘度:コーンプレート法での150℃における粘度
(合成例1)
温度計、冷却管、ディーンスターク共沸蒸留トラップ、撹拌機を取り付けたフラスコにアニリン559質量部とトルエン500質量部を仕込み、室温で35%塩酸167質量部を1時間で滴下した。滴下終了後加熱して共沸してくる水とトルエンを冷却・分液した後、有機層であるトルエンだけを系内に戻して脱水を行った。次いで4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル251質量部を60〜70℃に保ちながら1時間かけて添加し、更に同温度で2時間反応を行った。反応終了後、昇温をしながらトルエンを留去して系内を190〜200℃とし、この温度で15時間反応をした。その後冷却しながら30%水酸化ナトリウム水溶液500質量部を系内が激しく還流しないようにゆっくりと滴下し、80℃以下で留去したトルエンを系内に戻し、70℃〜80℃で静置した。分離した下層の水層を除去し、反応液の水洗を洗浄液が中性になるまで繰り返した。次いで油層から加熱減圧下において過剰のアニリンとトルエンを留去することにより下記式(5)で表されるアニリン樹脂335質量部(軟化点57℃、溶融粘度0.035Pa・s、アミン当量196g/eq)を得た。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した結果、式(5)におけるn1は1.6(平均値)であった。
Figure 2019078298
(実施例1)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、合成例1で得たアニリン樹脂59質量部、フェノール28質量部、トルエン90質量部を加え、60℃に昇温した。次いでホルムアルデヒド水溶液49質量部を60分かけて添加した。その後、80℃に昇温し、8時間反応を行った。
反応終了後、トルエン90質量部を加え、水洗を繰り返したのち、ロータリーエバポレータにて加熱減圧下、トルエンを留去することで、本発明のベンゾオキサジン樹脂90質量部を得た。得られたベンゾオキサジン樹脂は、軟化点は102℃、溶融粘度は2.76Pa・sであった。
H−NMR分析により、得られたベンゾオキサジン樹脂は下記式(6)で表されることを確認した。H−NMRの結果を図1に示す。
Figure 2019078298
(実施例2)
フェノール28質量部をアリルフェノール34質量部に変えた他は、実施例1と同様にして、本発明のベンゾオキサジン樹脂98質量部を得た。得られたベンゾオキサジン樹脂は、軟化点は91℃、溶融粘度は0.5Pa・sであった。
H−NMR分析により、得られたベンゾオキサジン樹脂は下記式(7)で表されることを確認した。H−NMRの結果を図2に示す。
Figure 2019078298
(合成例2)
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、フェノール414質量部、及び4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル251質量部、p−トルエンスルホン酸13質量部を仕込み、撹拌下で80℃まで昇温、溶解させた。4時間攪拌後、メチルイソブチルケトン700質量部を加えた後洗浄水が中性になるまで、300質量部の水で3回水洗し、次いで油層から未反応フェノール、メチルイソブチルケトンを1.3kPaの圧力下において減圧留去し、下記式(8)で表されるフェノールアラルキル樹脂(軟化点65℃、溶融粘度0.05、水酸基当量200g/eq)310質量部を得た。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した結果、式(8)におけるn2は1.5(平均値)であった。
Figure 2019078298
(比較例1)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、合成例2で得られたフェノール樹脂59質量部、アニリン28質量部、トルエン90質量部を加え、40℃に昇温した。次いでホルムアルデヒド水溶液49質量部を60分かけて添加した。その後、80℃に昇温し、8時間反応を行った。
反応終了後、トルエン90質量部を加え、水洗を繰り返したのち、ロータリーエバポレータにて130℃以下で加熱減圧下、トルエンを留去することでベンゾオキサジン樹脂88質量部を得た。得られたベンゾオキサジン樹脂は、軟化点は100℃、溶融粘度は1.9Pa・sであった。
(実施例3)
実施例1で得られたベンゾオキサジン樹脂を200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
ビスフェノールF骨格のベンゾオキサジン樹脂(四国化成(株)製、製品名:P−d型ベンゾオキサジン樹脂)を200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例1で得られたベンゾオキサジン樹脂を200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(比較例4)
EOCN−1020−55(日本化薬(株)製 エポキシ当量194g/eq. 軟化点54.8℃)を65質量部、フェノールノボラック(明和化成(株)製 H−1、水酸基当量106g/eq.)34質量部、トリフェニルフォスフィン(純正化学(株)製)1質量部を配合しミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
得られた硬化物は下記条件にて測定を実施した。
<耐熱性>
・DMA測定にてTg(tanδ最大時の温度)の測定を行った。
測定装置:動的粘弾性測定器TA−instruments製、Q−800
測定温度:30〜350℃
昇温速度:2℃/min
サンプルサイズ:幅5mm×長さ50mm×厚み0.8mm
<誘電率及び誘電正接>
・空洞共振器を用いて空洞共振器摂動法にて測定を行った。
測定装置:空洞共振器 Agilent Technologies社製
測定方法:JIS K6991に準拠して1GHzにおいて測定
測定モード:空洞共振器摂動法
測定温度:25℃
サンプルサイズ:幅1.7mm×長さ100mm×厚さ1.7mm
<耐熱分解性>
・TG−DTAを用いて重量が1%及び5%減少したときの温度を測定した。
測定装置:TG−DTA6220 SII社製
測定温度:30〜580℃
昇温速度:10℃/min
Td1:1%重量減少温度
Td5:5%重量減少温度
<吸水率>
・試験片を100℃の水中で24時間煮沸させた後の重量増加率(%)
サンプルサイズ:直径5cm×厚み4mmの円盤状
Figure 2019078298
表1の結果より、比較例2、比較例3は耐熱性、誘電率が良好な結果であったが、熱分解特性、誘電正接、吸水特性に不具合を生じた。また、比較例4は、いずれの特性も十分満足いく結果ではない。これに対して、本発明のベンゾオキサジン樹脂は、耐熱性、熱分解特性、誘電特性、及び吸水特性の全ての特性において優れた結果を示した。
(実施例5)
実施例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を60質量部、EOCN−1020−55(日本化薬(株)製 エポキシ当量194g/eq. 軟化点54.8℃)を40質量部配合しミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、ベンゾオキサジン−エポキシ樹脂組成物を得た。このベンゾオキサジン−エポキシの硬化挙動を観察するためMDSC測定を行った。MDSC測定の結果を図3に示す。
(実施例6)
実施例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を60質量部、EOCN−1020−55を39質量部、18%オクトープZn(ホープ製薬(株)製)を1質量部配合しミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、ベンゾオキサジン−エポキシ樹脂組成物を得た。このベンゾオキサジン−エポキシ樹脂組成物の硬化挙動を観察するためMDSC測定を行った。MDSC測定の結果を図3に示す。
更にこのベンゾオキサジン−エポキシ樹脂組成物を200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を35質量部、EOCN−1020−55を23質量部、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(東京化成工業(株)製)を41質量部、18%オクトープZn(ホープ製薬(株)製)を1質量部配合しミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、ベンゾオキサジン−エポキシ−シアネートエステル樹脂組成物を得た。このベンゾオキサジン−エポキシ−シアネートエステル樹脂組成物の硬化挙動を観察するためMDSC測定を行った。MDSC測定の結果を図3に示す。
更にこのベンゾオキサジン−エポキシ−シアネートエステル樹脂組成物を200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を45質量部、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(東京化成工業(株)製)を55質量部配合し、ミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、ベンゾオキサジン−シアネートエステル樹脂組成物を得た。このベンゾオキサジン−シアネート樹脂組成物の硬化挙動を観察するためMDSC測定を行った。MDSC測定の結果を図3に示す。
(実施例9)
実施例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を45質量部、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(東京化成工業(株)製)を54質量部、18%オクトープZn(ホープ製薬(株)製)を1質量部配合し、ミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、ベンゾオキサジン−シアネートエステル樹脂組成物を得た。このベンゾオキサジン−シアネート樹脂組成物の硬化挙動を観察するためMDSC測定を行った。MDSC測定の結果を図3に示す。
実施例6、7で得られた硬化物は下記条件にて測定を行った。
<耐熱性>
・DMA測定にてTg(tanδ最大時の温度)の測定を行った。
測定装置:動的粘弾性測定器TA−instruments製、Q−800
測定温度:30〜350℃
昇温速度:2℃/min
サンプルサイズ:幅5mm×長さ50mm×厚み0.8mm
実施例5〜9で得られた樹脂組成物の硬化挙動は下記条件にて測定を行った。
<硬化挙動>
・MDSC測定にて硬化発熱の観察を行った。
測定装置:Q−2000 TAインスツルメンツ社製
測定温度:25〜330℃
昇温速度:3℃/min
測定モード:MDSC測定
Figure 2019078298
表2の結果より、本発明のベンゾオキサジン樹脂は汎用のエポキシ樹脂と硬化させた場合においても耐熱性に優れる結果を示した。そして、シアネートエステル樹脂を併用した実施例7は、更に高い耐熱性を有した。
図3の実施例5〜7の結果より、本発明のベンゾオキサジン樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤としても使用することができることが確認できた。さらに、金属触媒等の触媒を用いた実施例6は、実施例5よりも硬化温度を下げることが確認できた。
また、実施例8、9の結果より、本発明のベンゾオキサジンはシアネートエステル樹脂を硬化剤として使用できることが確認でき、金属触媒等の触媒により、硬化温度を下げることが確認できた。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2017年10月20日付で出願された日本国特許出願(特願2017−203285)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明のベンゾオキサジン樹脂及びそれを含むベンゾオキサジン樹脂組成物は、耐熱性、熱分解特性、誘電特性、吸水特性に優れた硬化物が得られるため、電子機器用プリント配線板用の積層板や航空宇宙分野で使用される繊維強化複合材料等の様々な用途に有用である。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂。
    Figure 2019078298
    (式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1〜10の実数を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基のいずれかを表す。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アリル基又はアルコキシ基のいずれかを表す。R、R10がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。)
  2. 前記式(1)におけるR〜Rが水素原子である請求項1に記載のベンゾオキサジン樹脂。
  3. 下記式(2)で表されるアニリン樹脂と下記式(3)で表されるフェノール化合物とアルデヒド化合物とを反応させて得られる請求項1又は2に記載のベンゾオキサジン樹脂。
    Figure 2019078298
    (式(2)中、n及びR〜Rは前記式(1)中のn及びR〜Rと同じ意味を表す。)
    Figure 2019078298
    (式(3)中、R、R10は前記式(1)中のR、R10と同じ意味を表す。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂とエポキシ樹脂とを含有するベンゾオキサジン樹脂組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂または請求項4に記載のベンゾオキサジン樹脂組成物とシアネートエステル樹脂とを含有するベンゾオキサジン樹脂組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂または請求項4もしくは5に記載のベンゾオキサジン樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のベンゾオキサジン樹脂または請求項4もしくは5に記載のベンゾオキサジン樹脂組成物を溶媒に溶かしたワニス。
  8. 請求項7に記載のワニスを基材に含浸させてなるプリプレグ。
  9. 請求項8に記載のプリプレグを硬化してなる硬化物。
  10. 請求項8に記載のプリプレグを使用して得られる積層板または銅張積層板。
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