JPWO2019066045A1 - 金属イオンを捕捉する材料 - Google Patents

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隆史 加藤
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Abstract

【解決課題】水中に微量溶存する金属イオンを選択的に捕捉する機能を有する1,3−ジケトン誘導体の重合体組成物を提供すること。【解決手段】下記の一般式(1)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、水中に溶存する金属イオンを捕捉する機能を有する1,3−ジケトン誘導体の重合体組成物に関する。より詳しくは、2−位に液晶性を誘起するメソゲン置換基を有する1,3−ジケトン誘導体の重合体組成物に関する。
リチウムは、主にチリ、アルゼンチンや中国の塩湖、灌水からの天日濃縮法により、またオーストラリアの鉱石からの溶融法により、年間ほぼ3.5万トン生産されている。リチウムは高容量の二次電池用に貴重な素材であり、自動車用途に今後確実に急速な需要の伸びが期待されている。確認されている陸地での埋蔵量は1300万トンであるが、リチウムの主要な消費国である日本は、その全量を輸入に頼っている。一方、海水中には、0.1〜0.2mg/Lと低濃度であるが、埋蔵総量としては2300億トンと極めて多く、四方を海に囲まれた日本にとっては海水からのリチウムの回収技術への期待は大きい(非特許文献1)。
日本で、金属リチウムを含む希薄水溶液である海水から金属リチウムを選択的に吸着して回収する方法としては、高い金属リチウム選択性を示すマンガン酸化物系吸着剤が検討されている。小規模ではあるが実用化を目指した施設例としては世界初の実験プラントの稼働を始めており、約1カ月間で海水14万Lから塩化リチウム約30gが得られた。
しかし、吸着された金属リチウムを酸性溶液で脱着する際の調製・操作の条件設定が煩雑であることから、現在の回収方法では大量処理が困難である。
また、溶媒抽出により金属リチウムの分離・濃縮・精製を行うプロセスも古くから知られているが、高価な溶剤を用いて抽出操作を多数回繰り返す必要があり、エネルギー消費も大きく、この回収プロセスは実用化に至る可能性は低いと考えられている。
その他に、耐熱性・耐化学薬品性などセラミックスの優れた性質を生かし、サブナノメートルスケールの極微細孔が連続的かつ規則的に配置されたナノ多孔質セラミックス分離膜により海水中に多量に含まれるカリウム・カルシウム・ナトリウムイオンなどのリチウムイオンより大きいイオンを分離する研究の開発が進められているが、これらの分離膜技術には基本的にマンガン酸化物系吸着剤のようにリチウムイオンの大きさを識別して吸着する機能と、これを透過させて溶出する両機能およびその繰返しによって機能が劣化しないことが必要であるが、これらを満足する技術はまだ得られていない。
1,3−ジケトン基は希土類元素との高い錯形成能により発光材料のリガンドとして有用に用いられている(特許文献1)。また、その高い錯形成能を利用し希薄な溶存状態からでも効率的に各種重金属元素を捕捉するための水処理剤としての利用が提案されている(特許文献2)。
また、海水に溶存するウラニウムやリチウムなどの希少元素を効率的に捕捉しようとする研究はすでに米国において1960年代には始まり、今世紀に入り、1−位または3−位に置換基を有する市販のアセチルアセトン誘導体とトリオクチルフォスフィンオキシドによるリチウム塩の錯体をジビニルベンゼンによって重合後、そのリチウム塩を除き、これをリチウム塩を選択的に捕捉するための鋳型機能体として利用することが検討された(非特許文献2)。
1,3−ジケトン誘導体は、2分子のエステルが塩基の存在下にクライゼン縮合し、1−位もしくは3−位に長鎖アルキル基、芳香環や複素環等の置換基を有するものが比較的簡便に入手できる(非特許文献3)。それは2−位が活性メチレン部位であり、そこからアミノ基やカルボニル基と縮合して共役系を伸長することで、色素や染料の前駆体として有用に用いられてきた経緯もあり、2−位から側鎖置換基を伸長し、機能性素材として用いられた例はほとんど見られない。
ところが、海水を始め、一般的な廃液から金属イオンを効率的に捕捉するには、その金属塩を形成することが好ましく、できるだけ低pKaであることが求められる。アセチルアセトンの場合は、塩酸水による捕捉金属の溶出も考慮すると、適切なpKaは3乃至6であると期待され、そのような低pKaを実現するには1,3−位のカルボニル基の炭素に置換したメチル基の水素が全てフッ素で置換されたキサフルオロアセチルアセトンが好ましいが、この場合は唯一残った2−位の炭素から側鎖が伸長した化合物の開発が求められる。しかしながら、先に述べた合成法の発展の経緯から、2−位に比較的長鎖また種々の機能性基たとえばメソゲン基や重合性基等を有する側鎖を導入したアセチルアセトン誘導体については、その化合物例も極めて少ない。
WO2011111607 A1 特許第5565377号公報
河本洋、玉城わかな Science and Technology Trends December 2010 pp.17〜29. 鎌田一郎,荒木康祐,後藤雅宏,迫口明浩,中塩文行,古崎新太郎 Bull. Soc. Sea Water Sci. Jpn., 56, 228−233 (2002). Carey, Francis A. (2006). Organic Chemistry (Sixth ed.). New York, NY展 McGraw−Hill. T.V.Healy, J.Inorg.Nucl.Chem.30,1025−36(1968). 液晶便覧 3.6金属錯体液晶 b.配位立体化学 339頁 液晶便覧編集委員会 編 丸善株式会社 2000年発行 Debasis Banerjee and John B. Parise,Crystal Growth & Design,Vol.11,4704頁 2011. A.Thirumurugan, Jin−Chong Tan, and Anthony K.Cheetham, Crystal Growth & Design,Vol.10,No.4,1736頁,2010.
本発明は、水中に微量溶存する金属イオンを選択的に捕捉する機能を有する1,3−ジケトン誘導体の重合体組成物を提供し、より詳しくは、2−位のメソゲン置換基に誘起された液晶相が固定化された1,3−ジケトン誘導体の重合体組成物を通して、水中に微量溶存するリチウムイオンを選択的に、また高効率に回収する機能性素子を提供することを目的とする。
本発明の目的は以下の手段により達成することが出来る。
[1]下記の一般式(1)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物。
(式中、
Mは配位子を有してもよい金属カチオンを表し;
及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表し;
は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、置換または無置換のアルキレンカルボニル基、イミノ基、脂肪族環、芳香環、複素環、複素芳香環を表し、
芳香環、複素環、複素芳香環は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基又は脂肪族環またはこれらの組合せの二価基と結合してLを構成してもよく、
但し、Lは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を除く;
は、二価の置換基を表し;
は、重合性基を表す。)
[2]下記の一般式(1a)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物。
(式中、
は配位子を有してもよいリチウムイオン以外の金属カチオンを表し;
及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表し;
1aは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を表し;
は、二価の置換基を表し;
は、重合性基を表す。)
[3]下記の一般式(1b)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物。
(式中、
は配位子を有してもよいリチウムイオンを表し;
及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表し;
1bは、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、置換または無置換のアルキレンカルボニル基、イミノ基、脂肪族環、芳香環、複素環、複素芳香環を表し、
芳香環、複素環、複素芳香環は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基又は脂肪族環またはこれらの組合せの二価基と結合してL1bを構成してもよく、
但し、L1bは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を除く;
は、二価の置換基を表し;
は、重合性基を表す。)
[4]式(1)におけるMを水素原子に置き換えてなる下記の部分構造式(2)で表される組織化構造を有する重合体を含む、重合体組成物。
(式中、R、R、L、Lは、一般式(1)と同義の基を表し;
Pは、一般式(1)のPが他の重合性基と反応してなる重合体の部分構造を表す。)
[5]部分構造式(2)で表される組織化構造を有する重合体の1,3−ジケトン基のpKaが2〜7である、[4]に記載の重合体組成物。
[6]カチオンを捕捉するために用いられる、[4]に記載の重合体組成物。
[7]R及び/またはRがトリフルオロメチル基である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の重合体組成物。
[8]下記一般式(3)で表される二価残基がLに含まれる、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の重合体組成物。
(式中、kは2または3を表し、mは1乃至20の整数を表す。)
[9]Mが配位子を有してもよい1価以上の金属イオンである一般式(1)で表される化合物を含み、組織化構造を有する組成物を重合した後、その金属塩を溶出し、Mを水素原子に置換することを含む、重合体組成物の製造方法。
本発明者らは、1,3−ジケトンの置換基による立体的な効果を最適化することにより、金属イオンと好ましく錯形成させることによって、マンガン酸化物系吸着剤のように金属イオンの大きさを識別して吸着する機能を実現した。
また、従来の知見(非特許文献4)では溶存したリチウムイオンを1,3−ジケトンで捕捉するには、安定化配位子としてほぼ2当量のトリオクチルホスフィンオキシドの存在が必須だったが、リチウムイオンが捕捉された1,3−ジケトンが液晶相を形成する場合には、そのような配位子による協同効果を必要とせず、結果的に、より高密度にリチウムイオンを捕捉する効果が発現した。また、2−位のメソゲン基に起因するリチウム捕捉に最適な鋳型構造もリチウムイオンの大きさを識別して吸着する鋳型構造としてのリチウムイオンの大きさを識別して吸着する機能の発現に寄与していると考えられる。
また、金属イオンを効率的に回収するには、用いる素材の高い繰返し耐久性が必要であるが、金属イオンを導入、捕捉(蓄積)そして溶出(排出)するには、素材が柔軟性を有することは極めて有用な特性であり、産業上の利用価値は高い。
また、単独または他のリガンド(配位子)と共に用いられ、種々の金属イオンとの良好な錯形成能を特徴とする本発明のアセチルアセトン誘導体は、その3−位に種々の機能性置換基を配することが可能であり、それが直鎖形状のメソゲン基の場合には隣接する親水性の金属アセトナート基同士が向かい合いメソゲン基がその両側に直線上に並ぶことで、過去に報告例のない(非特許文献5)新規な正4面体構造の金属アセトナート液晶の形成も期待され、その誘導体の新規な錯形成能の発現を含め、学問的な観点でも興味深い。
化合物(g−3)、そのリチウム塩(g−3)−1L、(g−3)−2LのFT−IRスペクトル。 化合物(g−3)の合成中間体である二種類の化合物のFT−IRスペクトルの比較。 化合物(g−3)−2Lの偏光顕微鏡観察結果。 化合物(g−3)−2Lを、金基板上で100℃20分間、150℃60分間および200℃20分間加熱した場合のFT−IRスペクトルの変化。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
本発明の1つの態様は、下記の構造式(1)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物である。
一般式(1)において、Mは配位子を有してもよい金属カチオンを表す。金属としては、レアメタルでは、リチウム、バナジウム、モリブデン、ニッケル、ルビジウム、セシウム、ガリウム、プラチナ、インジウム、パラジウムが挙げられ、有害金属としては、カドミウム、鉛、六価クロム、ヒ素、水銀、銅、セレンが挙げられる。レアメタルとして好ましくは、リチウム、ガリウム、プラチナ、インジウム、パラジウムがあげられるが、有害金属は、その含まれる状況や濃度によるので一概には決められない。
配位子としては、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリブチルフォスフェート、2−エチルヘキサノール、N,N−ジブチルアセトアミド等を用いることができる。
一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、好ましくは、置換または無置換のアルキル基、アリール基又は複素環基である。
アルキル基には、直鎖、分岐、環状アルキル基が含まれ、直鎖、分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシエトキシエチル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロアルキル基、例えば、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基、ペンタフルオロヘプチル基等である。環状アルキル基(シクロアルキル基)としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
複素環基としては、例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等、シクロアルケニル基、例えば、シクロプロベニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられ、アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
上記アルキル基、アリール基、複素環基アルケニル基又はアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、エトキシエトキシ基、エトキシジエチレンオキシ基)、アミノ基(例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノエチルアミノ基)が挙げられる。
一般式(1)において、Lは、置換または無置換のアルキレン基、アルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、置換または無置換のアルキレンカルボニル基、イミノ基、脂肪族環、芳香環、複素環、複素芳香環を表す。
但し、Lは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を除く。
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
アルケニレン基としては、ビニレン基、プロピニレン基、ブチレン基、ブタジエニレン基、シクロペンテニレン基等が挙げられる。
アルキニレン基としては、エチニレン基、2−ペンチニレン基等が挙げられる。
イミノ基としては、イミノ基、メチルイミノ基等が挙げられる。
脂肪族環としては、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
複素環としては、ピロリン環、モルホリン環、ジオキサン環、ピペラジン環等が挙げられる。
複素芳香環としては、ピリジン環、ピリミジン環、フラン環、チアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環等が挙げられる。
上記アルキレン基、アルケニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、置換または無置換のアルキレンカルボニル基、イミノ基、脂肪族環、芳香環、複素環、複素芳香環は置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、エトキシエトキシ基、エトキシジエチレンオキシ基)、アミノ基(例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノエチルアミノ基)が挙げられる。
また、芳香環及び複素芳香環は、置換または無置換のアルキレン基、アルケニレン基、ビニレン基、エチニレン基、プロペニレン基、ベンジル基、カルボニル基、エステル基、アセチル基、イミノ基又は脂肪族環から選択される少なくとも1の基と結合してLを構成してもよい。また、芳香環及び複素芳香環は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、プロペニレン基、ベンジル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基又は脂肪族環から選択される2以上の基を組合せた二価基と結合してLを構成してもよい。芳香環及び複素芳香環がこれらの基と結合した構造として以下の二価あるいは三価の非限定的な例、例えば、ベンジル、フェニルシクロヘキシル、エチニルフェニル、イミノフェニル、シンナモイル、メチルベンゾチアゾリル等が挙げられる。
が芳香環、複素環、複素芳香環である場合、あるいは、芳香環、複素環、複素芳香環が、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基又は脂肪族環またはこれらの組合せの二価基と結合してLを構成している場合は、後述する、−L−Pの連結基はLに対して2つ以上結合していてもよい。
一般式(1)において、Lは、二価の置換基を表す。
二価の置換基としては、LとPを連結させるスペーサーとして働くものであればいずれの置換基であってもよい。例えば、置換又は無置換の炭化水素基(置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニル基、シクロアルカン等)、置換又は無置換の芳香族炭化水素(例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン)など)、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルケニレン基(−R−O−R’−(Rは置換または無置換のアルキレン基、R’は置換または無置換のアルケニレン基を表す)、オリゴアルキレンオキシ基(例えば、ジエチレングリコール基、トリエチレングリコール基、ポリエチレングリコール基など)、フェニレンオキシ基、オリゴフェニレンオキシ基、フェニレンシクロヘキシレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。また、上記二価の置換基は、その片方または両方の端部に、L、Pと結合することができる官能基を有してもよく、このような官能基として、例えば、置換または無置換のアルキレン基、オキシ基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルケニレン基、アルキレンチオ基、アルキレンシリル基、アミノ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アルキレンオキシカルボニル基、アミド基などが挙げられる。但し、Lがカルボニル基である場合は、Lの二価の置換基は、L側の端部にオキシ基、アミノ基を有することはない。
本発明の1つの側面においては、下記一般式(3)で表される二価残基がLに含まれる。
式(3)において、kは2または3を表し、2が好ましい。mは1乃至20の整数を表す、2乃至10が好ましく、3乃至6がより好ましい。
に含まれる一般式(3)で表される二価残基の非限定的の例として、エチレンオキシ基、ジエチレンオキシ基、トリエチレンオキシ基、テトラエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ジプロピレンオキシ基、トリプロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ジブチレンオキシ基である。これらの基を含む重合物は透水性の点で好ましく、また長鎖アルキル基との組合せで液晶性の発現が期待される。これらの点ではトリエチレンオキシ基、テトラエチレンオキシ基がより好ましい。
本発明の1つの側面においては、Lは以下の式で表される。
(L2a)−{O(CH−(L2b
ここで、L2a及びL2bは、各々独立に、単結合、置換又は無置換の炭化水素基(置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、シクロアルカン等)、置換又は無置換の芳香族炭化水素(例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン)など)、アルキレンオキシ基、オリゴアルキレンオキシ基(例えば、ジエチレングリコール基、トリエチレングリコール基、テトラエチレングリコール基、ポリエチレングリコール基など)、フェニレンオキシ基、オリゴフェニレンオキシ基、フェニレンシクロヘキシレン基、オキシ基などから選択される。
また、L2a及びL2bの一方または両方は、L、P側の端部に、L、Pと結合することができる官能基を有してもよく、このような官能基として、例えば、置換または無置換のアルキレン基、オキシ基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルケニレン基、アルキレンチオ基、アルキレンシリル基、アミノ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アルキレンオキシカルボニル基、アミド基などが挙げられる。ここで、L2a、L2bが単結合である場合も、上記の官能基がL、P側の端部に結合することができる。
一般式(1)において、Pは、重合性基を表す。
重合性基としては、エチニル基、プロパギル基、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基、ブタンジエニル基、ソルビル基等が挙げられる。重合性基は、好ましいくは、アクリロイル基、メタアクリロイル基、グリシジル基、ブタンジエニル基、ソルビル基である。
本発明の1つの好ましい側面においては、一般式(1)で表される化合物は、組織化構造を自発的に誘起する性質が好ましい。本明細書において、「組織化構造」とは、本発明に用いられる化合物が部分的にでも集合した状態において、その分子またはその部分構造が、ある異方性をもって配向した状態のことを意味する。その確認方法としては、その分子の集合部分において、組織化構造が誘起されておれば、その部分を偏光顕微鏡で観察すれば、配向した結合電子の分極により、偏光の位相が変化することによって、本来の暗視野が明視野に変化することにより確認できる。または、X線回折(XRD)試験によっても、多様な回折ピークを検出することによって、その誘起を確認することができる。
その特性を発現するのにはジケトン基を末端に有する棒状構造は基本的に好ましく、適切な官能基を選択することで液晶性を発現する可能性を有している。液晶に関しては非特許文献4全般に渡って詳細に記載されている。液晶とは、結晶と液体の中間状態のうち、粒子の方向の何らかの秩序は保っているものの、3次元的な位置の秩序を失った状態である。液晶は大きくサーモトロピック液晶とリオトロピック液晶に分類される。サーモトロピック液晶は、熱や圧力によってのみ相変化をするものであるが、リオトロピック液晶は、多成分からなり、温度と成分の構成によって相変化をする。代表的な液晶相としてネマティック液晶やスメクティック液晶などがある。ネマティック液晶は上述の異方的液体に対応する液晶のことである。位置の規則性がないので、液体と同様の流動性を有している。スメクティック液晶は少なくとも1次元的な重心秩序、別の言葉で言うなら層状構造を有する液晶である。また、層構造に対して分子が傾いているかどうかや、それぞれの層の内部で各々の分子がどのような秩序を有しているのかなどから、さらにいくつかの相に分類される。
本発明に用いられる液晶は、上記のサーモトロピック液晶とリオトロピック液晶、ネマティック液晶やスメクティック液晶のいずれであってもよい。液晶を用いる利点は、金属イオンの輸送、保持、水素イオンとの置換を柔軟に行い、且つ金属イオンの有無に関わらず、規則的な分子、ひいては様々な官能基が金属イオンを同じような配座で取り巻き、その状態を維持することで、金属イオンの選択性をより高められると期待されるからである。
一般式(1)で表される化合物が液晶性を発現することはリチウム塩を回収する素材として用いられる場合により好ましいと考えられる。
理論に拘束されることを意図するものではないが、本発明の一般式(1)で表される化合物を重合して得られる重合体組成物は、所望の金属塩を含む液体から金属塩を捕捉し、次に溶出するという操作を繰り返すことを想定しているので、その組成物は膨張、収縮の繰り返しに対する耐久性が求められる。従って、剛直な結晶体や金属有機構造体MOF(Metal Organic Framework)では金属塩の捕捉時は安定であるが、溶出時、金属イオンが水素原子に置換された状態は熱力学的な不安定状態であり、その繰り返し耐久性が問題となる。また、捕捉と溶出とはいずれも金属イオンが多量に高速にその組成物内を移動する必要があり、金属イオンの捕捉部位の近傍には、その金属イオンの通り道となる部位が必要であり、構造的な柔軟性が求められる。その点で、本発明の一般式(1)で表される化合物が液晶性を発現すると、化合物は柔軟性を有し、均質な加工性を有する点でも好ましい。
もう一つの液晶性の利点は、結晶のような規則的構造が累積されることである。例えば、リチウム塩は正四面体構造で安定化することが知られており、その際のリチウムイオンと酸素原子の距離は2.0オングストロームであり、液晶に組込むことで、一定の大きさの正四面体構造を形成できる位置関係で累積構造をより安定化できる。なお、ナトリウムによる正四面体構造の場合のナトリウムイオンと酸素原子の距離は2.4±0.2オングストロームであり、かなり大きな差異があることが分る。従って、本発明の一般式(1)で表される化合物のリチウム塩を、好ましくはその液晶構造を呈するリチウム塩の組織構造を重合固定化し、その重合組成物からリチウムイオンを溶出した組成物は、相対的にナトリウムイオンよりリチウムイオンをより選択的に捕捉しやすいと期待される。
本発明の一般式(1)で表される化合物において3−位に液晶性のメソゲン基を置換させることにより、自己組織化構造による高密度化を図ることが可能となる。
以下、前記一般式(1)で表される化合物の金属を含まない一般式(2)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明のもう1つの態様は、下記の一般式(1a)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物である。
式(1a)において、Mは配位子を有してもよいリチウムイオン以外の金属カチオンを表す。金属としては、レアメタルでは、リチウム、バナジウム、モリブデン、ニッケル、ルビジウム、セシウム、ガリウム、プラチナ、インジウム、パラジウムが挙げられ、有害金属としては、カドミウム、鉛、六価クロム、ヒ素、水銀、銅、セレンが挙げられる。
レアメタルとして好ましくは、リチウム、ガリウム、プラチナ、インジウム、パラジウムがあげられるが、有害金属は、その含まれる状況や濃度によるので一概には決められない。
及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。R及びRの詳細については、式(1)で説明したのと同様である。
1aは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を表す。L1aが置換または無置換のメチレンカルボニル基であることにより、用いた1,3−ジケトンのカルボニル基に対して、第三のカルボニル基の配座が金属イオンの選択性に特有の選択性を与える可能性が期待される。
は、二価の置換基を表し、その詳細については、式(1)で説明したのと同様である。
は、重合性基を表し、その詳細については、式(1)で説明したのと同様である。
本発明のもう1つの態様は、下記の一般式(1b)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物である。
式(1b)において、Mは配位子を有してもよいリチウムイオンを表す。
及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表し、その詳細については、式(1)で説明したのと同様である。
1bは、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、置換または無置換のアルキレンカルボニル基、イミノ基、脂肪族環、芳香環、複素環、複素芳香環を表し、芳香環、複素環、複素芳香環は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基又は脂肪族環またはこれらの組合せの二価基と結合してL1bを構成してもよい。
但し、L1bは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を除く。
の詳細については、式(1)で説明したのと同様である。
は、二価の置換基を表し、その詳細については、式(1)で説明したのと同様である。
は、重合性基を表し、その詳細については、式(1)で説明したのと同様である。
本発明の組織化構造を有する組成物は、上記で説明した一般式(1)、(1a)、(1b)で表される化合物を含む組成物を重合させて形成される。ここで、一般式(1)等で表される化合物のみを含む組成物を重合させてもよい。
また、本発明の組織化構造を有する組成物は、前記一般式(1)、(1a)、(1b)で表される化合物と下記一般式(4)で表される化合物を含む組成物を重合させて形成することもできる。
式(4)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アリール基又は複素環基を表し、これらの基は、Pについて詳述した重合性基を含んでいてもよい。
ここで、R、R及びRのいずれか2つは一緒になって、これらが結合している燐原子を含む5〜7員の環を形成してもよい。
また、R、R及びRのいずれか1を介して2量体を形成してもよい。
〜Rの各々には重合性基は含まれないか、またはR〜Rの少なくとも一つに重合性基が含まれる。
置換または無置換のアルキル基、アリール基、複素環基については、R及びRについて説明したのと同様である。
、R及びRのいずれか2つは一緒になって、これらが結合している燐原子を含む5〜7員の環は、更に、N、O又はS原子を含んでもよい。
また、5〜7員の環は、不飽和結合を含んでもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、エトキシエトキシ基、エトキシジエチレンオキシ基)、アミノ基(例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジメチルアミノエチルアミノ基)が挙げられる。
、R及びRのいずれか1を介して2量体を形成してもよい。このような化合物としては、例えば、アルキル(メチレン基、エチレン基等)を介して2量体を形成する場合、ベンゼン環を介して2量体を形成する場合等が挙げられる。
理論に拘束されることを意図するものではないが、Mが配位子を有してもよい1価以上の金属イオンを含む一般式(1) 、(1a)、(1b)で表される化合物は、アセチルアセトン基の3−位に導入された機能性置換基、または、一般式(4)で表される化合物等の共存化合物によるMへの配位等によってなる組成物を構成し、さらにその組成物は、上記機能性置換基によって相分離し、好ましくは、組成物内に累積構造を有する。そして、その化合物が重合性基を有し、または、共存化合物が重合性基を有すると、その相分離構造、累積構造の異方性配向状態を固定化することが可能となり、金属イオンMの安定な鋳型構造を形成することができるため好ましい。
重合性基としては、エチニル基、プロパギル基、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基、ブタンジエニル基、ソルビル基等が挙げられるが、非極性なブタンジエニル基は長鎖アルキル基末端に含まれてもその疎水性、立体構造に大きな変化を及ぼさないので、不安定な液晶相構造を再現しやすく、その異方性構造を維持しながら重合することが期待される。また、アクリロイル基などは極性基ではあるが、他官能アクリロイル基を含む架橋性化合物を共存させることで架橋反応が高速に進み、異方性構造を維持しつつ高分子量の架橋重合物が得られる。従って、どのような重合物が必要かによって、重合性基は適宜選択される。
また、重合性基の種類によって、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合などを用いることができ、適切な重合開始剤を加え、熱、または紫外線などの放射線を用いて重合を行う。特に組織化構造を維持して重合する場合は、低温であるほどその配向秩序度が大きく、より好ましいが、その温度は素材の骨格、側鎖、重合性基の種類や量、また金属イオン種によっても大きく変化するために一概には決められず、一つ一つの素材について、最適な重合性基と重合条件が決まる。
更に、その組成物が重合される過程で、上記異方性配向状態が固定化されてなり、結果的に、その金属イオンMが溶出されたときに、その組成物が金属イオンMを選択的に捕捉できる鋳型構造機能を発現することができる。前記した本発明の重合組成物の製造方法には、この一連の製造過程が包含される。
本発明の組織化構造を有する組成物の1つの側面は、一般式(1)におけるMを水素原子に置き換えてなる下記の部分構造式(2)で表される組織化構造を有する重合体を含む組成物である。
式(2)において、R、R、L、Lは、一般式(1)と同義の基を表し、Pは、一般式(1)のPが他の重合性基と反応してなる重合体の部分構造を表す。このような重合体の部分構造としては、下記の構造が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の好ましい側面において、部分構造式(2)で表される組織化構造を有する重合体の1,3−ジケトン基のpKaが2〜7である。それは、海水を始め、一般的な廃液から金属イオンを効率的に捕捉するには、その金属塩を形成することが好ましく、できるだけ低pKaであることが求められる。また、例えば捕捉したリチウムイオンの溶出するためには塩酸水を用いるが、繰返し使用するためには高濃度の低いpHの塩酸は好ましくないからである。
本発明の組織化構造を有する組成物の1つの側面において、一般式(1)又は部分構造式(2)のR及びRの少なくとも一つがトリフルオロメチル基であることが好ましく、両方ともトリフルオロメチル基であることがより好ましい。上記のような低pKaを実現するには1,3−位のカルボニル基の炭素に置換したメチル基の水素が全てフッ素で置換されたヘキサフルオロアセチルアセトンが合成原料の入手の点でも好ましい。
本発明の組織化構造を有する組成物は、金属イオンを捕捉するために好適に用いることができる。組織化構造は、金属イオンを高密度に蓄えることを可能にし、また、予め金属イオンを含んだ組織化構造の配向を重合固定化することで、それから金属を溶出した組成物は、金属を選択的に取り込む際に最も好ましいサイズで固定された鋳型構造体となっているので、海水中に数万倍の濃度で共存するナトリウムを好ましくより分けてリチウム等の金属を高選択的に取り込むことが期待されるからである。
本発明のもう1つの側面は、Mが配位子を有してもよい1価以上の金属イオンである一般式(1)で表される化合物を含み、組織化構造を有する組成物を重合した後、その金属塩を溶出し、Mを水素原子に置換することを含む、重合体組成物の製造方法である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<材料および合成>
以下の実施例において、試薬および溶媒はすべて、アルドリッチケミカル社または東京化成工業(株)または和光純薬工業(株)から入手した。
<機器分析>
1H-および13C{1H}-NMRスペクトルは、日本電子(株)(JEOL)製JNM-ECX400Delta V5スペクトロメータを用いて測定した。
FT-IRスペクトルの測定は、METTLER TOLEDO(株)製FP−90CentralProcessorで制御されたFP82HTホットステージを装備した日本分光(株)(JASCO)製IRT-5000顕微鏡およびJASCO製FT-IR6100スペクトロメータで行った。
下記スキーム1に示す合成経路を用いて化合物g−3を得た。
< スキーム1 >
(合成実施例)
化合物g−3の合成
工程1 :2−((11−ブロモウンデシル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン ()の合成
11−ブロモウンデカン−1−オール(25.0g,99.5mmol)、3,4−ジヒドロ-2H−ピラン(12.7mL,139 mmol)およびパラトルエンスルホン酸一水塩(1.0g,5.3mmol)の乾燥トルエン(100mL)溶液を40℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮後、重曹水(ca.5%)中に加え、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、次いで溶媒を留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、標題の化合物を無色オイルで得た(収量30.8g、収率96%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO,δ): 4.60 (s, 1H), 3.88 (m, 1H), 3.74 (m, 1H), 3.51 (m,1H), 3.40 (m,3H), 1.85(m,3H), 1.72(m,1H), 1.55(m,6H), 1.30(m,14H) 13C NMR (100 MHz,CDCl3,δ) : 99.0, 67.9, 62.5, 34.5, 33.5, 31.0, 30.0, 29.8, 29.0, 26.2, 25.9, 19.9
工程2:23−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコサン−1−オール()の合成
テトラエチレングリコール(58.3g、300.2mmol)に、t−ブトキシカリウム(10.7g、95mmol)を添加した。撹拌しつつ、140℃まで昇温し、30分後、2−((11−ブロモウンデシル)オキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(30.8g、91.9mmol)を90分かけて徐々に添加した。さらに10時間撹拌したのち、冷却し、その反応混合物に飽和食塩水、水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、次いで溶媒を留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、標題の化合物を淡褐色オイルで得た(収量20.0g、収率48.5%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO,δ): 4.59 (s, 1H), 3.86 (m, 1H), 3.72 (m, 3H), 3.56-3.68 (m,14H), 3.35-3.52 (m,4H), 1.83(m,1H), 1.70(m,1H), 1.56(m,8H), 1.28(m,14H) 13C NMR (100 MHz,CDCl3,δ): 99.0, 72.5, 71.8, 70.6, 70.4, 70.2, 68.0, 62.2, 62.0, 31.0, 30.0, 29.6, 26.0, 25.8, 25.6, 19.8 IR (neat) cm-1: 3464, 2929, 2856, 1637, 1456, 1352, 1323, 1284, 1258, 1200, 1123, 1078, 1034, 987, 905, 869, 814, 721
工程3 :23−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコシル メタンスルホナート()の合成
23−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコサン−1−オール(4.30g、9.58mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、室温下、トリエチルアミン( 2.07mL、14.9mmol)メタンスルホニルクロリド(0.93mL、12.0mmol)を徐々に添加した。その後、この混合物を30分間加熱還流した。冷却し、反応混合物を濃縮した後、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、次いで溶媒を留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、標題の化合物を淡褐色オイルで得た(収量5.0g、収率98%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO,δ): 4.55(s,1H), 4.37(t,2H), 3.85(m,1H),3.56-3.68 (m,12H), 3.55 (m,2H), 3.33-3.51(m,3H), 3.15(m,2H), 3.06(s,3H), 1.81(m,1H), 1.70(m,1H), 1.56(m,8H), 1.28(m,14H) (100 MHz,CDCl3,δ): 99.0, 72.8, 71.0, 70.8, 69.8, 69.6, 68.0, 62.5, 39.0, 31.0, 30.2, 30.0, 26.2, 26.0, 25.8, 19.8
工程4 :メチル 3−((23−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコシル)オキシ)ベンゾエート()の合成
23−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコシル メタンスルホナート(6.94g、13.2mmol)、メチル 3−ヒドロキシベンゾエート(2.43g、16.0mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、炭酸カリウム(5.48g、39.7mmol)を添加したのち、10時間激しく撹拌した。冷却後、反応混合物を濃縮し、アセトンを添加し、濾過後、再度濃縮し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、次いで溶媒を留去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル)で精製し、真空乾燥して、()を淡褐色オイルで得た(収量6.06g、 収率79% )。
1H NMR (400 MHz,CDCl3,δ): 7.63(d,1H), 7.56(t,1H), 7.33(t,1H), 7.12(d,1H), 4.58(s,1H), 4.18(t,2H), 3.91(s,3H), 3.89(t,2H), 3.87(m,1H), 3.77(t,1H), 3.73(m,1H), 3.71(t,1H), 3.60-3.66(m,8H), 3.56(m,2H), 3.50(m,1H), 3.43(t,2H), 3.37(m,1H), 1.83(m,1H), 1.72(m,2H), 1.48-1.62(m,8H), 1,20-1.38(m,14H) 13C NMR (100 MHz,CDCl3,δ) : 159.0, 131.8, 129.8, 122.2, 120.5, 119.5, 99.0, 72.0, 71.8, 70.6, 70.4, 70.2, 69.8, 62.2, 52.0, 31.0, 30.0, 29.6, 26.0, 25.8, 25.6, 19.8 IR (neat) cm-1: 2929, 2856, 1725, 1587, 1488, 1445, 1352, 1289, 1281, 1117, 1035, 999, 870, 757
工程5:メチル 3−((23−((ヒドロキシ−3,6,9,12−テトラオキサトリコシル)オキシ)ベンゾエート()の合成
メチル 3−((23−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコシル)オキシ)ベンゾエート(3.0g、5.15mmol)のメタノール(20mL)溶液に、濃塩酸(0.5mL)の水(1.0mL)の混合物を添加した。30分後、薄層クロマトグラフィーにて、原料の消失と新規スポットを確認した。これを濃縮乾固し、次工程に用いた。
工程6:3−((23−((ヒドロキシ−3,6,9,12−テトラオキサトリコシル)オキシ)ベンゾイック アシッド()の合成
前工程の濃縮乾固物のメタノール(10mL)溶液に、水酸化カリウム(0.87g、15.5mmol)を添加した。30分撹拌した後、希塩酸(ca.5%)中に加え、酸性にし、さらに、飽和量の塩化ナトリウムを添加し、酢酸エチルで生成物を抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、次いで溶媒を留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、(6)を淡褐色固体で得た( 収量2.5g、収率100% ) 。
1H NMR (400 MHz,CDCl3,δ): 7.68(d,1H), 7.62(s,1H), 7.35(t,1H), 7.16(d,1H), 4.7-5.4(s,2H), 4.19(t,2H), 3.88(t,2H), 3.74(m,2H), 3.62-3.71(m,10H), 3.59(m,2H), 3.45(t,2H), 1.52-1.62(m,4H), 1,22-1.38(m,14H) 13C NMR (100 MHz,CDCl3,δ) : 159.0, 131.8, 129.8, 122.2, 120.5, 119.5, 72.0, 71.8, 70.6, 70.4, 70.2, 69.8, 62.2, 31.0, 30.0, 29.6, 26.0, 25.8, 25.6, 19.8 IR (neat) cm-1: 3405, 3330, 2922, 2873, 1706, 1685, 1604, 1590, 1495, 1459, 1360, 1309, 1247, 1142, 1120, 1061, 964, 951.7, 756
工程7 :3−((25−オキソ−3,6,9,12,24−ペンタオキサヘプタコス−26−エン−1−イル)オキシ)ベンゾイック アシッド()の合成
3−((23−((ヒドロキシ−3,6,9,12−テトラオキサトリコシル)オキシ)ベンゾイック アシッド(2.50g、5.16 mmol)とトリエチルアミン(2.13mL、15.4mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に、アクリロイルクロリド(0.845mL、10.5mmol)を添加し、20時間撹拌した後、希塩酸(ca.5%)を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、次いで溶媒を留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、(7)を淡褐色液体で得た( 収量2.37g、 収率89% )。
1H NMR (400 MHz,CDCl3,δ): 7.68(d,1H), 7.62(s,1H), 7.35(t,1H), 7.16(d,1H), 6.39(dd,1H), 6.12(dd,1H), 5.81(dd,1H), 4.19(t,2H), 4.14(t,2H), 3.88(t,2H), 3.74(m,2H), 3.62-3.71(m,8H), 3.58(m,2H), 3.45(t,2H), 2.02(s,1H), 1.52-1.62(m,4H), 1,22-1.38(m,14H) 13C NMR (100 MHz,CDCl3,δ) : 166.0, 159.0, 131.8, 131.0, 129.8, 128.5, 122.2, 120.5, 119.5, 72.0, 71.8, 70.6, 70.4, 70.2, 69.8, 67.8 64.8, 31.0, 30.0, 29.6, 26.0, 25.8, 25.6 IR (neat) cm-1: 3487, 3076, 2928, 2856, 1724, 1636, 1585, 1488, 1446, 1409, 1351, 1265, 1198, 1110, 986, 960, 878, 811, 759, 682
工程8:1−(3−(クロロカルボニル)フェノキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコサン−23−イル アクリレート()の合成
3−((25−オキソ−3,6,9,12,24−ペンタオキサヘプタコス−26−エン−1−イル)オキシ)ベンゾイック アシッド(1.0g、1.86 mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液に、ジメチルホルムアミド1滴とオキザリルクロリド(0.479mL、5.58mmol)を徐々に添加し、1時間撹拌した後、30分間加熱還流した。冷却後、濃縮乾固し、そのまま次工程に用いた。
1H NMR (400 MHz,CDCl3,δ): 7.68(d,1H), 7.62(s,1H), 7.39(t,1H), 7.24(d,1H), 6.37(dd,1H), 6.12(dd,1H), 5.79(dd,1H), 4.17(t,2H), 4.13(t,2H), 3.87(t,2H), 3.74(m,2H), 3.62-3.71(m,8H), 3.56(m,2H), 3.42(t,2H), 1.52-1.62(m,4H), 1,22-1.38(m,14H)
工程9:1−(Z)−1−(3−(2−アセチル−3―ヒドロキシブチ―2−レノイル)フェノキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコサン−23−イル アクリレート(g−3)の合成
サマリウム トリクロリド(23.8mg、0.093mmol)、アセチルアセトン(192μL、1.86mmol)、トリエチルアミン(314μL、2.23mmol)のトルエン(8mL)溶液に、室温下、前工程で得た1−(3−(クロロカルボニル)フェノキシ)−3,6,9,12−テトラオキサトリコサン−23−イル アクリレートを15分間で添加し、容器の洗浄を兼ねてトルエン(2mL)を添加した。3時間後、反応混合物を減圧濃縮したのち、希塩酸と酢酸エチルを加え、生成物を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、次いで溶媒を留去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、真空乾燥して、褐色粘性液体の(g−3)を得た( 収量0.591g、収率51% ) 。
1H NMR (400 MHz,CDCl3,δ): 7.48-7.75(m,1H), 7.28-7.44(m,1H),7.17-7.28(t,1H), 6.97-7.26(d,1H), 6.39(dd,1H), 6.12(dd,1H), 5.81(dd,1H), 4.01-4.24(m,5H), 3.81-3.92 (m,2H), 3.62-3.76(m,10H), 3.55-3.59(m,2H), 3.44(t,2H), 2.55(s,1H), 2.05(s,3H), 1.6-1.9(s,1H), 1.52-1.72(m,4H), 1,22-1.38(m,15H) 13C NMR (100MHz,CDCl3,δ) : 195.2, 193.5, 171.2, 166.3, 130.8, 129.0, 128.5, 123.0, 121.5, 116.0, 115.0, 71.5, 70.9, 70.7, 70.2, 64.8, 62.0, 29.8, 29.7, 29.6, 29.4, 26.2, 26.0, 22.1, 19.6, 14.2 IR (neat) cm-1: 3620, 2856, 1789, 1726, 1669, 1598, 1487, 1441, 1408, 1357, 1273, 1200, 1114, 1062, 992, 901.6, 957, 878, 811, 748, 682
[実施例1]
上記で合成した化合物(g−3)のメタノール溶液に等当量の水酸化リチウムを加えた(g−3)−1、および化合物(g−3)のメタノール溶液に等当量の水酸化リチウムと等当量の塩化リチウムとを加えた(g−3)−2を調製し、各々1時間撹拌後、溶媒を留去、真空乾燥して、そのリチウム塩(g−3)−1L、(g−3)−2Lを得た。
図1において、合成した化合物(g−3)[二点鎖線]、そのリチウム塩(g−3)−1L[実線]、(g−3)−2L[破線]のFT−IRスペクトルを比較した。
化合物(g−3)は、主に1,3−ジケトンおよび2−位のカルボニル基に由来する、1726nmをピークとする大きな吸収帯が見られる。それに等当量の水酸化リチウムを添加することにより、そのリチウム塩(g−3)−1Lは、期待したように、1,3−ジケトンおよび2−位のカルボニル基に大きな変化が起こったことを示唆する吸収帯の変化、すなわち、1,3−ジケトン由来の1789nm、及び1735nm付近のピークが消失し、同時にリチウム 1,3−ジケトナート共役環に特徴的な1600nm付近をピークとする大きな吸収帯の生成が見られた。また、3433nmの水酸基を示唆する大きな吸収帯は、そのジケトナートの共役効果で、アセチル基がビニルオキシ基と異性化しているものと推測している。ところが、さらに等当量の塩化リチウムを添加した(g−3)−2Lは、1600nm付近をピークとする吸収帯と水酸基を示唆する吸収帯がさらに増大している。このことは、化合物g−3 一分子が本来的にリチウムイオンと安定な塩形成を行うことを示しているのだが、一当量のリチウム塩より、二当量のリチウム塩をさらに安定に保持する性質を有することを示唆している。
また、(g−3)−2Lは、1722nmにカルボニル基を示唆するピークが残存するが、これは、化合物(g−3)の合成中間体である下記二種類の化合物のFT−IRスペクトルの比較から、1722nmのピークは重合性基のアクリレートのカルボニル基であることが分かる。
すなわち、両者は芳香族環に置換したカルボキシル基を持っており、そのカルボニル基が1706.7nmと1685.5nmにピークを示すが、アクリレート基をも有する化合物は1722.1nmにエステルカルボニル基のピークを示しているからである。
[実施例2]
図3で示す偏光顕微鏡観察により、化合物(g−3)−2Lは、異方性の組織化構造を呈する化合物であることが分かった。
[実施例3]
図4のFT−IRスペクトルに示すように、化合物(g−3)−2Lを、金基板上で100℃20分間[破線]、150℃60分間[実線]および200℃20分間[二点鎖線]加熱し、その重合挙動を検証した。その結果、特徴的な吸収ピークとして、772nm付近に重合して伸長したアクリル炭素鎖骨格の揺れに基づくピークが特に200℃の加熱で顕著に増加しており、アクリレートの熱重合挙動と符合しており、重合物が生成していることが示唆された。また、カルボニル基は微妙に1722.1nmから1717.3nmに低波数シフトしているが、これは重合することによるアクリロイル基からアクリルポリマーとしてのカルボニルピークの変化と推察している。

Claims (9)

  1. 下記の一般式(1)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物。
    (式中、
    Mは配位子を有してもよい金属カチオンを表し;
    及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表し;
    は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、置換または無置換のアルキレンカルボニル基、イミノ基、脂肪族環、芳香環、複素環、複素芳香環を表し、
    芳香環、複素環、複素芳香環は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基又は脂肪族環またはこれらの組合せの二価基と結合してLを構成してもよく、
    但し、Lは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を除く;
    は、二価の置換基を表し;
    は、重合性基を表す。)
  2. 下記の一般式(1a)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物。
    (式中、
    は配位子を有してもよいリチウムイオン以外の金属カチオンを表し;
    及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表し;
    1aは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を表し;
    は、二価の置換基を表し;
    は、重合性基を表す。)
  3. 下記の一般式(1b)で表される化合物を含む組成物が重合されてなる、組織化構造を有する重合体組成物。
    (式中、
    は配位子を有してもよいリチウムイオンを表し;
    及びRは、それぞれ独立して、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表し;
    1bは、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、置換または無置換のアルキレンカルボニル基、イミノ基、脂肪族環、芳香環、複素環、複素芳香環を表し、
    芳香環、複素環、複素芳香環は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアルケニレン基、置換または無置換のアルキニレン基、ビニレン基、エチニレン基、ベンジル基、カルボニル基、エステル基、イミノ基又は脂肪族環またはこれらの組合せの二価基と結合してL1bを構成してもよく、
    但し、L1bは、置換または無置換のメチレンカルボニル基を除く;
    は、二価の置換基を表し;
    は、重合性基を表す。)
  4. 式(1)におけるMを水素原子に置き換えてなる下記の部分構造式(2)で表される組織化構造を有する重合体を含む、重合体組成物。
    (式中、R、R、L、Lは、一般式(1)と同義の基を表し;Pは、一般式(1)のPが他の重合性基と反応してなる重合体の部分構造を表す。)
  5. 部分構造式(2)で表される組織化構造を有する重合体の1,3−ジケトン基のpKaが2〜7である、請求項4に記載の重合体組成物。
  6. カチオンを捕捉するために用いられる、請求項4に記載の重合体組成物。
  7. 及び/またはRがトリフルオロメチル基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体組成物。
  8. 下記一般式(3)で表される二価残基がLに含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合体組成物。
    (式中、kは2または3を表し、mは1乃至20の整数を表す。)
  9. Mが配位子を有してもよい1価以上の金属イオンである一般式(1)で表される化合物を含み、組織化構造を有する組成物を重合した後、その金属塩を溶出し、Mを水素原子に置換することを含む、重合体組成物の製造方法。
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