JP6508700B2 - 縮合多環芳香族骨格を有するポリマー及びそれを用いた発光素子及び電極 - Google Patents

縮合多環芳香族骨格を有するポリマー及びそれを用いた発光素子及び電極 Download PDF

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Description

本発明は、π電子共役性を十分に発現しながら、有機溶媒に対する溶解性が高く成膜性が良好で、且つ、安定性と耐久性に優れる縮合多環芳香族骨格を有するポリマー及びそれを用いた発光素子及び電極に関する。
従来から、有機化合物を発光材料として用いた発光素子(有機EL素子)は比較的低電圧で高輝度の発光が可能であることから、様々な材料の適用が検討されている。それらの中で、π共役系のフェニレンビニレン、フルオレン又はフェナントレン等を基本骨格として有する高分子は、溶液塗布法等によって有機EL素子を作製できるため、大面積化が容易であり、製造コストの低減を図ることができることが知られている。例えば、特許文献1〜3並びに非特許文献1及び2には、それらの骨格を有する種々の共重合体がそれぞれ提案されている。
前記特許文献1には、フルオレン単位とベンゼン環又はヘテロ環が3個以上のアセン単位とからなり、高分子鎖の凝集が生じにくい機能性共重合高分子が開示されている。また、前記特許文献2には、フルオレン骨格とフェニレンビニレン骨格とを有する共重合体が開示されており、この共重合体は有機溶媒に溶解するため均一な薄膜を製造することができるだけでなく、EL素子の安定性、効率、寿命の向上に対して寄与する。さらに、特許文献3には、フェナントレンおよび/またはインデノフルオレン単位を含み、アミンを含有する単位を含まない共役ポリマーが開示されており、この共役ポリマーは高い電荷キャリア移動度、有機溶媒における高い溶解性、良好な加工性、高い酸化安定性及び電子装置における長寿命という特徴を有するものである。
前記非特許文献1には、フルオレン単位と、トリメチルシリル基で核置換したフェナントレン単位とからなる共重合体が、また、前記非特許文献2には、フルオレン単位と、フッ素で核置換したフェニル単位とからなる共重合体が、それぞれ開示されている。
また、前記の特許文献1〜3及び非特許文献1及び2に記載の共重合体の他にも、有機溶媒における優れた溶解性及び優れた膜形成特性を有する共重合体として、特許文献4には、フェナントレン構造をより嵩高い構造に改質した骨格を有する共重合体が提案されている。そして、特許文献4に記載の共重合体は100℃を超えるガラス転移温度を有することが特徴となっている。
一方、ポリフルオレンは、青色の高分子LED材料としてだけでなく、導電性を有する高分子であるため、例えば、二次電池、電気二重層又は電気化学キャパシタにおける1対の電極の一方としての適用が検討されている。このポリフルオレンは重合反応時に主鎖の成長方向が不規則になり電荷利用率の低下という問題があり、その技術課題を改善するために、特許文献5及び6にはフルオレンーフェニレン共重合体及びフルオレンーチオフェン交互共重合体がそれぞれ提案されている。それらの共重合体を使用することによって高容量でエネルギー密度の高い電気化学素子が得られる。
特開2001−151868号公報 特開平10−36487号公報 特表2012−528210号公報 特表2009−544832号公報 特開2009−238490号公報 特開2010−44951号公報
T.Yamamoto,T.Asao,H.Fukumoto、Polymer、2004年、第45巻、p.8085−8089 T.Zhang,R.Wang,H.Ren,Z.Chen,J.Li、Polymer、2012年、第53巻、p.1529−1534
前記特許文献1〜4に記載の共重合体は、有機溶媒に対する溶解性及び膜形成特性の点で向上が見られ、耐熱性、化学安定性及び寿命についてもある程度の向上が期待できる。しかしながら、これらの共重合体のように構造の非対称性又は立体障害を起こさせる構造の導入だけでは有機溶媒に対する溶解性を大幅に高めることができず、例えば、環境負荷の高い特殊な有機溶媒(塩素又はフッ素等を含む溶媒)を使用したり、不揮発分を小さくして有機溶媒を大量に使用する必要があり、成膜性の点で改善が強く望まれている。また、立体障害を起こさせる構造の導入は、共重合体を構成する構造単位のねじれが生じやすく、分子の配向性の乱れによるπ共役性の低下が避けられず、結果的に、発光材料としての発光能が低下し、EL素子の輝度、発光効率及び電流密度等の向上を十分に図ることができない。したがって、有機溶媒に対する溶解性の一層の向上とともに、発光輝度及び発光効率等のEL特性に優れる発光材料の開発が強く求められている。
有機溶媒に対する溶解性を向上させるため、前記非特許文献1及び2に開示されている共重合体のように、フェナントレン骨格やフェニル骨格に各種置換基を導入することも可能である。しかしながら、置換基の導入は、共重合体の主鎖骨格構造が有する電子吸引性を低下させ、π共役性に対して悪影響を与えるため、発光素子のEL特性を所望のレベルまで向上させることが難しくなる。また、耐熱性の低下が避けられない。
一方、前記特許文献5及び6に記載の共重合体は、従来のポリフルオレンと比べて容量の増加がみられるものの、高容量で高エネルギー密度を有する電気化学素子に適用するには容量の増加が十分とは言えず、エネルギー密度をさらに向上させる必要がある。例えば、自動車の電源に適用するにはより高性能の電極材料が必要であり、容量及びエネルギー密度の点で一層の改善が求められている。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、フルオレン環やフェナントレン環等の縮合多環芳香族骨格が有するπ電子共役性の十分な発現によって発光性能や電極特性に優れ、且つ、溶媒に対する溶解性が高く、安定性と耐久性に優れる新規な共重合体ポリマー及びそれを用いた発光素子及び電極を提供することにある。
本発明は、フルオレン単位と、フェナントレン環又はフェナントロリン環の化学構造の一部に、水素の少なくとも1個がフッ素原子又は塩素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造を部分的に導入した単位とを含む共重合体が、溶媒に対する溶解性の向上だけでなく、平面構造の形成によるπ共役性の発現にも十分な効果を有するため、上記の課題を解決できることを見出して本発明に到った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、フルオレン単位と、下記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の何れかで表される単位とを含む、縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを提供する。
Figure 0006508700
Figure 0006508700
Figure 0006508700
Figure 0006508700
Figure 0006508700
Figure 0006508700
[式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子又は塩素原子である。a、b、c、dは0又は1の整数であり、a+b+c+d=2〜4の何れかの整数である。R、R、R、R、R、R、R、R、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58は、互いに独立にして水素原子、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、核置換基を有していてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミノピリジル基、又は置換されていてもよい環の構成原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の何れかを有する複素環基を示す。]
[2]本発明は、下記式(7)で表される繰り返し単位を有し、該繰返し単位の数が1〜2000の交互共重合体であることを特徴とする前記[1]に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを提供する。
Figure 0006508700
[式中、A、Aは、互いに独立して水素原子、炭素数が1〜22個の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数が6〜18個のアリール基、アリールオキシ基又はアラルキル基を示し、Wは前記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)で表される基を示す。]
[3]本発明は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42が、フッ素原子及び塩素原子の少なくとも何れかであることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを提供する。
[4]本発明は、a+b+c+d=3の整数であることを特徴とする前記[3]に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを提供する。
[5]本発明は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42が、フッ素原子であることを特徴とする前記[3]又は[4]に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを提供する。
[6]本発明は、R、R、R、R、R、R、R、R、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58が、互いに独立して水素原子、メチル基、核置換基を有していてもよいアリール基であることを特徴とする前記[5]に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを提供する。
[7]本発明は、R、R、R、R、R、R、R、R、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58が、何れも水素原子であることを特徴とする前記[6]に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを提供する。
[8]本発明は、前記[1]〜[7]の何れか一項に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを発光層の発光材料として含む発光素子を提供する。
[9]本発明は、前記[1]〜[7]の何れか一項に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを活物質層の電極活物質として含む電極を提供する。
[10]本発明は、二次電池、電気二重層又は電気化学キャパシタにおける1対の電極の一方として使用されることを特徴とする前記[9]に記載の電極を提供する。
本発明による新規な縮合多環芳香族骨格を有するポリマーは、フルオレン単位と共重合させる繰返し単位であるフェナントレン単位又はフェナントロリン単位の化学構造の一部に、水素の少なくとも1個がフッ素原子又は塩素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造を導入することにより、従来のフルオレン単位を有する共重合体に比べて、π共役性を低下させないで有機溶媒に対する親和性を増すことができる。それによって有機溶媒に対する溶解性を高めることができ、溶液塗布法による成膜を行う場合に良好な成膜性が得られ、高精細及び大面積化を図るための作業性の向上及び素子の製造コストの低減を図ることができる。また、環境負荷の高い特殊な有機溶媒の使用量を低減したり、そのような有機溶媒を使用する必要が無くなる。さらに、前記炭化水素系のシクロ環構造に起因する嵩高い構造により、耐熱性、保存安定性及び耐久性が優れる。
また、前記炭化水素系の飽和環状構造の導入は、フェナントレン単位又はフェナントロリン単位の電子状態にほとんど影響を受けず、加えて、縮合多環芳香族骨格の自由回転を抑え、立体的に平面構造の形成を促す効果がある。それによって前記縮合多環芳香族骨格が有するπ共役性がポリマーの分子内及び分子間で十分に発現され、発光材料として使用するときの発光素子の発光性能を向上させることができる。また、本発明の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーは、活物質層の電極活物質として含ませたときに、電解液のカチオン、アニオンとのπ電子の授受による電荷移動性が高くなり、高容量で高エネルギー密度を有する電気化学素子の電極としての適用が期待できる。
本発明の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを合成するための反応の模式図である。 本発明の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーに含まれるフェナントレン骨格を有する化合物の合成方法の例を示す模式図である。 本発明の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーに含まれるフェナントロリン骨格を有する化合物の合成方法の例を示す模式図である。 実施例1で合成した例示化合物番号8−1の化合物のNMRスペクトルを示す図である。 実施例1で合成した例示化合物番号8−1の化合物についてX線結晶構造解析によって推定される結晶構造を示す図である。 実施例2で合成した例示化合物番号9−1の化合物のNMRスペクトルを示す図である。 実施例3で合成した例示化合物番号10−1、11−1及び12−1の各化合物のNMRスペクトルを示す図である。 実施例3で合成した例示化合物番号10−1及び11−1の各化合物についてX線結晶構造解析によって推定される結晶構造を示す図である。
本発明は、フルオレン単位とともに含まれるフェナントレン骨格又はフェナントロリン骨格の化学構造の一部に、水素の少なくとも1個がフッ素原子又は塩素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造を部分的に導入することに特徴を有する。前記の水素の少なくとも1個がフッ素原子又は塩素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造は、そもそもπ共役性の無い嵩高い構造であるため、有機溶媒に対する共重合体の溶解性を大幅に高める効果が得られる。加えて、この飽和環状構造は、フェナントレン骨格又はフェナントロリン骨格の分子量を大きくし、場合によっては共重合体のガラス転移温度(Tg)を高める効果を期待できるため、耐熱性、保存安定性及び耐久性の向上に寄与する。
また、本発明の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーは、前記非特許文献1及び2に記載の共重合体と異なり、フェナントレン骨格又はフェナントロリン骨格の電子吸引性に対しては影響をほとんど与えないだけでなく、それらの骨格の平面構造を立体的に形成することに大きく寄与する構造であるため、共重合体のπ共役性を十分に高めることができる。したがって、有機溶媒への溶解性を向上させるために置換基を導入する従来の方法とは異なり、EL素子の発光材料や電極材料としての物性及び特性の低下をほとんど起こさない点でも優れている。
ここで、前記の水素の少なくとも1個がフッ素原子又は塩素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造は、水素原子に代えて、原子半径が大きく電子吸引性の強いフッ素原子又は塩素原子を導入することによって、耐熱性の付与、フェナントレン骨格又はフェナントロリン骨格の電子吸引性に及ぼす影響の低減、及び有機溶媒に対する溶解性の向上に対して一層の効果が得られるようになる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーは、フルオレン単位と、上記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の何れかで表される単位とを含む、縮合多環芳香族骨格を有するポリマーであり、例えば、図1に示すSuzuki−Miyaura Coupling反応の模式図に従って合成することができる。図1に示すように、X−(Ar)−X(Xは、SnR又はB(OR)であり、Rは置換基を示す。)とY−(Ar’)−Y(Yは、Br、Cl、Iの何れかのハロゲンである。)とをそれぞれ当量で、パラジウム等の遷移金属錯体を触媒として用いてカップリング反応を行うことによって交互共重合体[−(Ar)−(Ar’)−]を合成することができる。
図1に示す−(Ar)−の例としてはフルオレン骨格を含む単位であり、フルオレン単位を含む繰返し単位からなる共重合体の好適な例については後述する。
図1に示す−(Ar’)−の単位骨格例としては、上記(1)及び(2)の何れかの一般式で表されるフェナントレン骨格、又は上記一般式(3)、(4)、(5)及び(6)の何れかの一般式で表されるフェナントロリン骨格及びそれと類似の骨格である。上記一般式(1)〜(6)で表される骨格例の式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子又は塩素原子であり、a、b、c、dは0又は1の整数であり、a+b+c+d=2〜4の何れかの整数であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58は、互いに独立にして水素原子、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、核置換基を有していてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミノピリジル基、又は置換されていてもよい環の構成原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の何れかを有する複素環基を示す。
図1に示す−(Ar’)−の骨格例において、前記のR11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、少なくとも一つがフッ素原子又は塩素原子である。本発明においては、水素原子に代えて、原子半径が大きく電子吸引性の強いフッ素原子又は塩素原子を導入することによって、耐熱性の付与、フェナントレン骨格又はフェナントロリン骨格の電子吸引性に及ぼす影響の低減、及び有機溶媒に対する溶解性の向上に対して一層の効果が得られるようになるため、前記のR11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、フッ素原子及び塩素原子の少なくとも何れかであることが好ましい。さらに、フッ素原子は塩素原子と比べて、電子吸引性が高く、化学的安定性にも優れることから、前記のR11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42はすべてフッ素原子であることが特に好ましい。
前記フェナントレン骨格中のR、R、R、R、R、R、R、R若しくは前記フェナントロリン骨格中のR51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58において前記炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、オクチル基等が挙げられる。
前記アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記アミノ基としては第1級、第2級及び第3級の何れかのアミノ基を使用できるが、本発明においてはπ共役性の点から第3級のアミノ基が好ましく、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジべンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基等が挙げられる。
前記アミノピリジル基としては、アミノピリジル基、2−ジメチルアミノピリジル基、3−ジメチルアミノピリジル基、4−ジメチルアミノピリジル基等が挙げられる。
前記複素環基としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、オキサンジアリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基等が挙げられる。
前記置換されていてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ビフェニル基等のアリール基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基等の複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジべンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基等のアミノ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子等が挙げられる。
図1において、X−(Ar)−Xはフルオレン単位を含む化合物であり、他方、Y−(Ar’)−Yが上記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の何れかで表される単位を含む化合物である例を示したが、本発明においては、X−(Ar)−Xを上記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の何れかで表される単位を含む化合物とし、Y−(Ar’)−Yをフルオレン単位を含む化合物として、両者の単位を含む共重合の合成を行っても良い。また、図1に示す合成方法の他にも、前記特許文献1に記載されているように、Br−(Ar)−BrとBr−(Ar’)−Brとをそれぞれ当量で、触媒としてパラジウム、ニッケル、銅等の遷移金属を用いてカップリング反応を行っても良い。しかしながら、上記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の何れかで表される単位を含む化合物は新規な構造であり、材料の入手性、合成のし易さ及び反応収率の点から、本発明の共重合体を効率的に得るには図1に示す方法に従って合成することが好ましい。
図1には、X−(Ar)−XとY−(Ar’)−Yとをそれぞれ当量でカップリング反応して合成される交互共重合体の例を示しているが、それぞれのモル比を変えることによって、−(Ar)−及び−(Ar’)−が不規則に配列したランダム共重合体、場合によっては同じ骨格が長く連続して配列したブロック共重合体を合成することができる。それらの中で交互共重合体は非対称構造単位[−(Ar)−(Ar’)−]を規則的に繰り返して配列することによって有機溶媒に対する溶解性及びπ共役性の両者を十分に高めることができることから、本発明においては交互共重合体が好ましい。
本発明の交互共重合体は、上記式(7)で表される繰返し単位を有するものである。式中、A、Aは、互いに独立して水素原子、炭素数が1〜22個の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数が6〜18個のアリール基、アリールオキシ基又はアラルキル基で示す。A、Aとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシメトキシエトキシエチル、フェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、ナフチル、アントリル等の基が挙げられる。また、式中、Wは上記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)で表される基を示す。
本発明の交互共重合体は、上記一般式(7)で表される繰返し単位の数が1〜2000であり、さらに、3〜1000であることが好ましい。有機溶媒に対する溶解性とπ共役性の向上という本発明の効果は、繰返しの単位が1の場合、すなわち化学構造の異なるπ共役系分子が2分子結合した化合物においてもある程度得ることができる。さらに、良好な成膜性を得るためには前記繰返し単位の数が3以上であることが好ましい。また、前記繰返し単位の数nが2000を超えると、分子量が高くなりすぎて有機溶媒への溶解性が低下し、有機薄膜として成膜できなくなるだけでなく、材料の精製が困難になり不純物混入による特性の低下が顕著になる。本発明において有機溶媒への溶解性を特に重要視する場合には、前記繰返し単位の数が1000以下であることが好ましい。
(フルオレン骨格を有する共重合体モノマー成分)
上記式(7)で表される繰返し単位に含まれるフルオレン骨格を有し、本発明の共重合体のモノマー成分として使用する化合物としては、例えば、ジアルキルフルオレンのボロン酸エステルを使用することができる。フルオレン骨格に結合したアルキル基としては、例えばオクチル基やヘキシル基等の他に、上記式(7)におけるA、Aと同じ官能基が挙げられる。下記に、一例としてジオクチルフルオレンのボロン酸エステルの化学構造を示すが、本発明の共重合体の合成においては、この化合物に限定されるものではない。
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前記ジアルキルフルオレンのボロン酸エステルは、例えば、前記特許文献1に記載の合成方法によって得ることができる。また、ジアルキルフルオレンのボロン酸エステルとして市販されている高純度材料を使用しても良い。本発明においては、フルオレン骨格を有し、本発明の共重合体のモノマー成分となる化合物として、ジアルキルフルオレンのボロン酸エステルの他にもジアルキルフルオレンのアルキル錫塩を使用することができる。
(フェナントレン骨格を有する共重合体モノマー成分)
上記一般式(1)で表されるフェナントレン骨格を有し、本発明の共重合体のモノマー成分となる化合物は、例えば、図2に示す反応の模式図に従って合成することができる。図2には、反応経路1(実線で囲む部分)、反応経路2a(点線で囲む部分)及び反応経路2b(一点鎖線で囲む部分)の3つの反応経路を示している。
図2に示すR11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は上記と同じ基を示し、またa、b、c、dは上記と同じ0又は1の整数である。また、置換基Zは、上記のR、R、R、R、R、R、R及びRの何れかと同じ基を表し、水素原子、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、核置換基を有していてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミノピリジル基、又は置換されていてもよい環の構成原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の何れかを有する複素環基である。
図2に示す反応経路1においては、まず、メタ位が臭素原子(Br)とアルコキシ基(ORとしては、Rがアルキル基を意味し、例えば、メトキシ基やエトキシ基等が挙げられる。)とで置換された化合物[A]において、臭素原子(Br)をn−ブチルリチウム(BuLi)の滴下によってリチウム原子(Li)に置換した化合物[B]に、シクロアルキレン化合物(図において、R61及びR71はR11〜R42と同じ置換基を表す。)を添加し所定の条件で反応を行わせた後、有機溶媒で抽出し、乾燥してから前記有機溶媒を留去して中間生成物[C]が得られる。次いで、中間生成物[C]を有機溶媒に溶解した溶液を調製し、その溶液に酸化剤(Oxidant)を添加し、光や熱等によってScholl反応による酸化反応を進行させる。反応が進行しなくなったことを確認した後、さらに洗浄、乾燥を行い、前記有機溶媒を留去して目的生成物[D]を得る。次いで、目的生成物[D]の置換基であるアルコキシ基を、三臭化ホウ素(BBr)を用いて水酸基に置換する反応を行い、さらにオキシ臭化リン(POBr)を用いて臭素原子に置換する反応を行うことによって、上記一般式(1)で表されるフェナントレン骨格を有する化合物[E]が得られる。
図2に示す反応経路2aにおいては、反応経路1で使用する化合物[A]に代えて、メタ位が臭素原子(Br)とトリアルキルシリル基(OSi(R)としては、Rがアルキル基を意味し、例えば、トリメチルシリル基やトリエチルシリル基等が挙げられる。)で置換された化合物[F]を使用し、化合物[F]に、シクロアルキレン化合物を添加し所定の条件で反応を行わせた後、有機溶媒で抽出し、乾燥してから前記有機溶媒を留去して中間生成物[G]が得られる。次いで、中間生成物[G]の置換基であるトリアルキルシリル基(OSi(R))を臭素を用いて臭素原子に置換する反応を行い、中間生成物[H]を合成する。さらに、合成した中間生成物[H]を用いてScholl反応による酸化反応を進行させて、上記一般式(1)で表されるフェナントレン骨格を有する化合物[E]が得られる。
図2に示す反応経路2bにおいては、メタ位が置換基Y(Yは臭素原子又はヨウ素原子を示す。)と臭素原子とで置換された化合物を用いて、ブチルリチウム(BuLi)等のアルキルリチウムによって置換基Yの部位だけにリチウム置換反応を行って合成される化合物(I)に、シクロアルキレン化合物を添加し所定の条件で反応を行わせた後、有機溶媒で抽出し、乾燥してから前記有機溶媒を留去して中間生成物[H]を合成する。次いで、合成した中間生成物[H]を用いてScholl反応による酸化反応を進行させて、上記一般式(1)で表されるフェナントレン骨格を有する化合物[E]が得られる。
また、前記シクロアルキレン化合物としては、例えば、1,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロシクロブテン、1,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロシクロヘキセン、1,2,3,3,5,5−ヘキサクロロジフルオロシクロペンテン、1,2,3又は1,2,4−トリクロルペンタフルオロシクロペンテン、1,2,3,4−テトラクロロテトラフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4−ペンタクロロトリフルオロシクロペンテン等のフッ素原子及び塩素原子の少なくとも何れかの原子を含む化合物を使用でき、電子吸引性が高く、化学的安定性にも優れるという点からパーフルオロアルキレン化合物又はクロロフルオロシクロアルキレン化合物が本発明においては好適である。シクロアルキレン化合物としては、フッ素原子又は塩素原子が少なくとも1つ含まれていれば、それら以外の原子として水素原子又は臭素原子を含む化合物であっても良い。さらに、前記シクロアルキレン化合物は、a、b、c、dが0又は1の整数であり、a+b+c+d=2〜4の何れかの整数である。その中でも、材料の入手が容易であること、合成時に反応が制御し易いこと、及び材料コスト等の点から、オクタフルオロシクロペンテン、テトラクロロテトラフルオロペンテンを使用すること、すなわち、a+b+c+d=3であることが好ましい
図2には、上記式(1)で表されるフェナントレン骨格を有し、本発明の共重合体のモノマー成分として使用する化合物の合成方法を模式的に示したが、上記式(2)で表されるフェナントレン骨格を有し、本発明の共重合体のモノマー成分となる化合物についても、図2に示すメタ位が2つの置換基で置換された化合物[B]、[F]及び[I]に代えて、パラ位が2つの置換基(LiとOR、LiとOSi(R)又はLiとBr)で置換された化合物を合成し、その化合物を使用することによって、図2に示すものと基本的に同じ合成方法で得ることができる。また、メタ位又はパラ位が2つの置換基(LiとOR、LiとOSi(R)又はLiとBr)で置換された化合物としては、図2に示す合成方法によって得られる化合物の代わりに、最初から市販の高純度材料を使用しても良い。
上記一般式(1)及び(2)で表されるフェナントレン骨格を有し、本発明の共重合体のモノマー成分として使用する化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
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(フェナントロリン骨格を有する共重合体モノマー成分)
次に、上記一般式(3)、(4)、(5)及び(6)で表されるフェナントロリン骨格を有し、本発明の共重合体のモノマー成分となる少なくとも1つの化合物の例の合成方法を説明する。
これらの化合物において、上記一般式(3)、(4)、及び(5)で表されるフェナントロリン骨格を有する少なくとも1つの化合物は、例えば、図3に示す反応の模式図に従って合成することができる。図3に示すR11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は上記と同じ基を示し、またa、b、c、dは上記と同じ0又は1の整数である。
図3の反応式において、まず、2,5位が臭素原子(Br)とリチウム原子(Li)で置換された化合物[J]にシクロアルキレン化合物(図において、R61及びR71はR11〜R42と同じ置換基を表す。)を添加し所定の条件で反応を行わせた後、有機溶媒で抽出し、乾燥してから前記有機溶媒を留去して中間生成物[K]が得られる。ここで、図3に示す置換基Zは、上記のR、R10、R11、R12、R13、R14、R15及びR16の何れかと同じ基を表し、前記シクロアルキレン化合物としては図2に示すシクロアルキレン化合物と同じものを使用する。
次いで、合成された中間生成物[K]を有機溶媒に溶解した溶液を調製し、その溶液に酸化剤(Oxidant)を添加し、光や熱等によってScholl反応による酸化反応を進行させる。反応が進行しなくなったことを確認した後、さらに洗浄、乾燥を行い、前記有機溶媒を留去して目的生成物[L]を得る。中間生成物[K]を用いてScholl反応を行うときは、閉環反応において中間生成物[K]の両末端に結合したピリジル基の結合軸が自由に回転できるため、目的生成物[L]として[L1]、[L2]及び[L3]の3種の異性体が合成される。これら[L1]、[L2]及び[L3]の異性体は、合成副生物や不純物等を除去する操作を行って、そのまま本発明のフェナントリン骨格を含む含窒素複素環化合物として得ることができる。また、[L1]、[L2]及び[L3]の異性体をカラムクロマトグラフィー等の分離精製操作を行うことによって個別に分離し、それぞれ単独の含窒素複素環化合物として使用しても良い。
図3において、化合物[J]としては、最初から市販の高純度材料を使用することができるが、2,5位の両者が臭素原子(Br)及びハロゲン原子Y(Y=Br,I)で置換された化合物を用いて、n−ブチルリチウム(n−BuLi)等のアルキルリチウムによって5位の部位だけにリチウム置換反応を行ったものを使用しても良い。
上記一般式(6)で表されるフェナントロリン骨格を有する化合物については、図3に示すフェナントロリン骨格を有する化合物の合成方法において、2,5位が臭素原子(Br)とリチウム原子(Li)で置換された化合物[J]に代えて、3,5位が臭素原子(Br)とリチウム原子(Li)で置換された化合物を合成し、その化合物を使用することによって、図3に示すものと基本的に同じ合成方法で得ることができる。
次に、上記一般式(3)、(4)、(5)及び(6)で表されるフェナントロリン骨格を有し、本発明の共重合体のモノマー成分として使用する化合物を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
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(有機発光素子)
次に、本発明の共重合体を用いて作製する有機発光素子について説明する。作製する有機発光素子は、陽極と陰極との間に一層若しくは多層の有機薄膜を積層した素子である。有機発光素子が一層の場合、陽極と陰極との間に発光層が設けられる。前記発光層は発光材料を含有し、さらに発光材料、陽極から注入した正孔若しくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送する目的で、正孔輸送材料又は電子輸送材料を含有する。ここで使用する発光素子は、発光性能に加えて、正孔輸送能及び電子輸送能の少なくとも何れかの性能を単一の材料で有する場合や、それぞれの特性を有する化合物の混合で使用する場合に有用である。本発明の共重合体は、発光材料として使用される。
多層型の有機発光素子は、例えば、基板の上に下記の多層構成で積層した構造が挙げられる。
(1−1)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(1−2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(1−3)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(1−4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(1−5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(1−6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
また、上記の構成に限らず、必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、又は電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。さらに、電子輸送層と発光層との間には、正孔あるいは励起子(エキシントン)が陰極側に抜けることを阻害する層(ホールブロッキング層)又は励起状態の発光層へ、あるいは励起状態の発光層から隣接する層へエネルギー遷移と電子移動の両者を防止、又は抑制するための層(アンチクエンチング層)を挿入することもある。
これら多層型の有機発光素子の構成において、発光層に含まれる発光材料として、本発明の共重合体、すなわち縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを使用する。
本発明の有機発光素子は、上記の構成の他に、外部環境からの影響をできるだけ受けないように酸素及び水分等との接触を遮断するための保護層(封止層)を設けることができる。保護層は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂の何れかを用いて形成することができる。その他にも、本発明の有機発光素子をパラフィン、シリコーンオイル、フルオロカーボン等の不活性物質中に素子を封入することによって、外部環境から保護することができる。
以下、本発明の有機発光素子の構成に関し、基板の上に、前記の(1−3)陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極を順次設けた構成を例として詳細に説明する。
前記基板としては、従来の有機発光素子に使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、石英ガラス等のガラス、透明プラスチック等の素材からなる基板が挙げられる。また、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明基板を用いても良い。
前記陽極としては、仕事関数が大きなものが好適であり、例えば、金、白金、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム等の金属単体又はそれらの合金、酸化物、酸化亜鉛、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料を使用することもできる。前記陽極は、これらの材料を、例えば、蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により基板上に形成することができる。陽極の膜厚は、一般に5〜1000nm、好ましくは10〜500nmで調整される。
前記正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料としては、従来から光導電材料において正孔の電荷注入輸送材料として使用されているものや有機発光素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料から任意に選択して用いることができる。前記正孔輸送材料の例としては、銅フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジ(m−トリル)−N,N’−ジフェニルー4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)、N,N’―ジ(1−ナフチル)―N,N’−ジフェニルー4,4’―ジアミノビフェニル(α−NPD)等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。また、ポリビニルカルバゾール、(フエニルメチル)ポリシラン、ポリアニリン等の正孔輸送性ポリマーも使用することができる。正孔輸送性ポリマーとしては、前記の低分子量正孔輸送材料をポリスチレンやポリカーボネート等のポリマーにドープしたものを使用しても良い。
前記発光層に用いられる発光材料としては、本発明の共重合体が使用されるが、それ以外にも発光材料として従来から公知の化合物と併用しても良い。公知の発光材料としては、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、オキザゾン誘導体、ベンゾオキサゾン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、縮合多環式芳香族炭化水素及びその誘導体、トリアリールアミン誘導体、有機金属誘導体(例えば、アルミニウム又はイリジウムの有機金属錯体)等が挙げられ、単独又は複数の混合物で使用される。また、前記発光材料としては、ホスト材料にドーパント材料が含まれた材料、例えば、イリジウム金属錯体でドープされたポリカルバゾールや燐光白金錯体を含む電荷輸送ホスト材料等を使用することもできる。
前記電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノラート)アルミニウム(Alq)等の金属キレート化オキシノイド化合物、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のアゾール化合物、前記特許文献1〜5に開示されているようなフェナントロリン誘導体が挙げられる。
前記陰極としては、仕事関数の小さなものが好適であり、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体又は複数の合金が挙げられる。また、酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物を使用しても良い。前記陰極は、これらの材料を、例えば、蒸着、スパッタリング等の方法により薄膜を形成することにより、作製することができる。陰極の膜厚は、一般に5〜1000nm、好ましくは10〜500nmで調整される。
上記有機発光素子において、本発明の共重合体を含有する発光層は、一般的に真空蒸着法、又は適用な有機溶媒に溶解させて溶液とし、該溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、ロールツートール法等の塗布法により薄膜を形成する。本発明の共重合体は溶液塗布法による成膜において良好な成膜性が得られるため、特に、高精細及び大面積化の素子を作製するときに作業性の向上及び製造コスト低減を図る上で大きな効果を奏することができる。使用する有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、非プロトン系溶媒、パーフルオロ系溶媒、水等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で使用しても、複数の混合溶媒として使用しても良い。
前記の正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、従来の有機発光素子において一般的に採用されている膜厚であれば特に限定されないが、通常、1〜1000nmになるように調整される。
本発明の共重合体は、主に発光材料として使用できるが、それ以外にも、繰返し単位の電子状態に応じて、電子輸送材料又は電荷輸送材料として使用しても良い。
本発明の共重合体、すなわち縮合多環芳香族骨格を有するポリマーは、上記で述べた有機発光素子だけでなく、二次電池、電気二重層又は電気化学キャパシタにおける電極用の活物質層に含まれる電極活物質として使用することができる。そこで、本発明の共重合体を使用して作製する電極について説明する。
(二次電池)
二次電池としては、平均作動電圧が4V程度と高く、エネルギー密度を高くすることができるリチウムイオン二次電池等の電極材料として使用が期待できる。リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵、放出する炭素材料を負極とし、コバルト酸リチウム(LiCoO)等のリチウム層状化合物を正極とし、電解液として六フッ化リン酸リチウム等のリチウム塩をエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の有機溶媒に溶解させた液を使用している。正極材としては、LiCoOの他にも、NiCo系、NiCoMn系、NiMn系等が検討されている。また、陰極材として、窒化物、合金系、究極の負極材であるリチウム金属等の様々な材料が提案されている。
リチウムイオン二次電池の電極材料としては、正極においてコバルト酸リチウム等の層状化合物又はポリアニリン、ポリフェニレン、ポリフルオレン等の導電性高分子を電極活性物質として使用し、また、負極において従来のリチウム金属又は天燃黒鉛、人造黒鉛、石油コークス等のリチウムイオンを吸蔵、放出する電極活物質を使用した電極を用いるのが一般的である。
本発明の共重合体は、リチウム二次電池の正極及び陰極の少なくとも何れかの電極活物質として使用することができる。正極に使用する場合は、本発明の共重合体を使用することによって充放電反応に関与するリチウムイオンの濃度が変わらず、電解液のイオン濃度が一定に保たれ、電解液の伝導度を一定に維持することができる。また、負極の場合は、リチウムイオンのインターカレーションを抑制する効果が得られ、出力特性、サイクル特性が向上し、作動電圧が高く、高容量で高エネルギー密度を実現できる。
本発明の共重合体は、リチウム二次電池の電極材料として使用することができるが、それ以外にも、作動電圧が低く、電解液としてプロトンを有する酸水溶液を使用するプロトン電池の電極用材料として使用することもできる。
(電気二重層キャパシタ)
電気二重層キャパシタは、活性炭等の分極性電極を正負電極とし、電極表面と電解液の界面に生じる電気二重層を静電容量として利用するものである。電気二重層キャパシタは、出力密度が高く、急速充放電が可能である。また、充放電に伴った電解質イオンが電解液内を移動して電極界面に吸脱着するだけであり、電池のように電気化学反応を伴わないため、充放電を繰り返しても容量変化が少ない。
電気二重層キャパシタに使用する電解液としては、水系電解液及び非水系電解液(有機電解液)がある。水系電解液を使用するキャパシタは作動電圧が非水系電解質を使用するものよりも作動電圧が低いが、出力密度が高く安全である。それに対して、プロピレンカーボネート等の有機溶媒に四フッ化ホウ素や六フッ化リン等の四級オニウム塩を溶解させた非水系電解液を使用するキャパシタは、作動電圧が水系電解質を使用するものより高いものの、二次電池と比べると低く、電気自動車の電源としては改善が望まれている。
非水電解液を使用する電気二重層キャパシタは、正極又は負極として本発明の共重合体を使用し、他方の電極に、活性炭、炭素繊維、フェノール樹脂炭化物、塩化ビニリデン樹脂炭化物、微結晶炭素等の電気二重容量を有する電極を使用する。本発明の共重合体を正極として使用する場合は、ポリフルオレン等の従来の導電性高分子と比べてp−ドーピングの酸化還元電位が高い状態で作動し、大きな容量特性を有するため、非水電解液の高い電気分解電圧との組合せによって作動電圧を高くすることができる。それによって、作動電圧が高く、高容量で高エネルギー密度を有する電気二重層キャパシタを得ることができる。また、本発明の共重合体は、非水電解液だけでなく、水系電解液を使用して二重層キャパシタの電極材料としての適用も可能である。
(電気化学キャパシタ)
電気化学キャパシタは、電解液として、第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩を溶質とした非水系電解液が使用される。この、電気化学キャパシタにおいて、本発明の共重合体は正極として使用し、負極として酸化還元反応特性を有するポリアセチレン、ポリアセン、ポリフェニレン、ポリフルオレン等の従来の導電性高分子を電極活物質とした電極を使用することができる。この構成の電気化学キャパシタは、本発明の共重合体が従来の導電性高分子と比べて容量が増加するだけでなく、p−ドーピングの酸化還元電位が高い状態で作動するため、作動電圧が高く、高容量で高エネルギー密度を有することができる。
また、本発明の共重合体は負極として使用することもできる。その場合は、正極として酸化還元反応特性を有するポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフルオレン等の従来の導電性高分子又は酸化ルテニウム、酸化マンガン、酸化ニッケル等の金属酸化物を電極活物質とした電極を使用する。この構成の電気化学キャパシタは、本発明の共重合体が従来の導電性高分子又は金属酸化物と比べて、高容量でn−ドーピングの酸化還元電位が低い状態で作動するため、作動電圧が高く、高容量で高エネルギー密度を有することができる。
本発明の共重合体は、電気化学キャパシタにおいて1対の両極電極用材料として使用することもできる。この構成の電気化学キャパシタは、負極においてn−ドーピングの酸化還元電位が低く、正極においてp−ドーピングの酸化還元電位が高くなるので、高容量特性を有し、従来よりも高い作動電圧、高容量、高エネルギー密度を有する。加えて、同種、同様のイオンが反応に関与するため、電解液中のイオン濃度が一定に保たれて電解液の伝導度を一定に維持できるという利点も有する。
リチウム二次電池、電気二重層キャパシタ及び電気化学キャパシタの電極は、例えば、次のようにして製造される。本発明の共重合体とカーボンナノチューブやC60のフラーレン化合物等の導電性材料とをイソプロパノール等のアルコール性有機溶媒中で混合し、機械的撹拌によって分散液を調製する。その分散液を濾過し、本発明の共重合体が前記導電性材料に担持された複合体のシートを得た後、所望の大きさに切断し、同サイズのアルミニウム集電体に圧着することにより前記複合体からなる電極として使用する。
以下、本発明の共重合体について具体的な実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1>
例示化合物番号8−1の化合物及びそれをモノマーとして使用する共重合体の合成
まず、例示化合物番号8−1の化合物を得るために、その前駆体を合成した。
Figure 0006508700
アルゴン雰囲気下、−78℃で1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(1.13g、4mmol)のTHF(10mL)溶液へ、n−BuLi(1.60M、2.5mL、4mmol)を滴下し、20分間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応の進行を確認した後、反応溶液にオクタフルオロシクロペンテン(0.42g、2mmol)を加え、−78℃で1時間撹拌した。その後、室温で3時間撹拌した後、精製水(10mL)を加え、反応を終了させた。反応溶液をジエチルエーテルで抽出し、ジエチルエーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジエチルエーテルをエバポレーターによって留去した。得られた化合物1をカラムクロマトグラフィー[silica gel、n−ヘキサン]により目的化合物を得た(収量0.83g、収率61%)。化学構造はH−NMR及び19F−NMRで同定した。NMRスペクトルの測定は、5φのサンプル管中に試料と重溶媒(CDCl)を加え、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて調製し、NMR装置(Bruker AVANCE III 400型)によって行った。化合物1のNMRスペクトルを図4の(a)及び(b)の上段に示す。NMRスペクトルにおいて観測される各ピークは次の通りである。
H−NMR(CDCl)δ[ppm]=7.60(m, 2H), 7.55 (brs, 2H), 7.26−7.25(m, 4H)
19F−NMR(CDCl)δ[ppm]=−131.6(m, 2F), −110.5(t, J=4.8Hz, 4F)
次に、上記の方法で合成した化合物1を用いて、Scholl反応によるフェナントレン誘導体の合成を行った。手順を以下に示す。
Figure 0006508700
化合物1(0.97g、2mmol)とヨウ素(0.25g、1mmol)をベンゼン溶液(180mL)に溶かし、アルゴン雰囲気下で30分撹拌した。この溶液に、1,2−エポキシブタン(6.0mL、70mmol)を加え、光(USHIO製、Optical Modulex)、設定条件:波長365nm、出力20mW/cm)を照射した。30分ごとにTLCで反応の進行具合を確認した。反応が進行しなくなったことを確認した後、飽和チオ硫酸ナトリウム(50mL)、精製水(50mL)、飽和塩化ナトリウム(50mL)でそれぞれ一回ずつ洗浄した。ベンゼン層を硫酸ナトリウムで乾燥後、ベンゼンをエバポレーターにより留去した。得られた混合物をn−ヘキサンを用いて再結晶を行い、化合物2を単離した(収量0.143g、収率15%)。化学構造は、前記と同様な条件でH−NMR及び19F−NMRによって同定した。化合物2のNMRスペクトルを図4の(a)及び(b)の中段に示す。NMRスペクトルにおいて観測される各ピークは次の通りである。
H−NMR(CDCl)δ[ppm]=8.49(d, J=9.0Hz, 2H)8.42(d, J=2.0Hz, 2H)、7.91(dd, J=9.0, 2.0Hz, 2H)
19F−NMR(CDCl)δ[ppm]=−128.9(m, 2F), −105.8(t, J=4.1Hz, 4F)
合成した化合物2について単結晶X線構造解析を行った。X線構造解析は、Rigaku製のデスクトップ単結晶X線構造解析装置XtaLABminiで50kV、12mA、0.60kWの電力、600WのX線出力を用いて行い、検出器としてMARCURY CCDを、分光器として集光素子SHINEを、解析ソフトとしてはolex2とmarcuryをそれぞれ使用した。X線構造解析によって推定される結晶構造を図5に示す。
X線構造解析の結果、図5に示すように、化合物2は平面結晶構造を有することが推定される。このように、フルオロシクロペンテンの導入によって形成された(−CF−CF−)のシクロ環構造は、フェナントレン骨格において平面構造の形成を立体的に助ける骨格であることが分かった。したがって、化合物2は、有機薄膜の状態で分子が膜の水平方法だけでなく、積層方向にも規則正しく配列することが可能となる構造であることから高いπ共役性を有することが分かる。
続いて、化合物2とフルオレン骨格を有する化合物とをそれぞれモノマー成分として使用し、共重合を行って交互共重合体を合成した。手順を以下に示す。
Figure 0006508700
化合物2(0.071g,0.146 mmol)とジオクチルフルオレンのボロン酸エステル(0.0815g,0.146 mmol)をTHF(10mL)に溶解し、アルゴンによるバブリング(約10分)を行った。その後、炭酸カリウム(0.07g)の水溶液(10mL)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8.43g, 7.30μmol、5 mol%)を加え、アルゴン雰囲気下、60 ℃で24時間加熱還流した。反応終了後、反応液をMeOH(ca.200mL)に投入し、析出した固体を吸引濾過し、ポリマー3を得た。ポリマー3のNMRスペクトルを図4の(a)及び(b)の下段に示す。NMRスペクトルにおいて観測される各ピークは次の通りである。
H−NMR(CDCl)δ[ppm]=8.93−7.40(12H), 2.25−1.83(4H),1.17−0.99(20H) 0.86−0.62(10H)
19F−NMR(CDCl)δ[ppm]=−128.9(2F), −105.4(4F)
以上のようにして合成したポリマー3は、フルオレン骨格を有する単位とフェナントレン骨格が有する単位とを含む交互共重合体であり、分子量測定の結果、数平均分子量が12000で、フルオレン単位とフェナントレン単位とからなる繰返し単位の数が17であった。
<実施例2>
例示化合物番号9−1の化合物及びそれをモノマーとして使用する共重合体の合成
まず、例示化合物番号9−1の化合物を得るために、その前駆体を合成した。
Figure 0006508700
アルゴン雰囲気下、−78℃で1, 4−ジブロモベンゼン(1.42g、6mmol)のTHF(20mL)溶液へ、n−BuLi(1.60M、3.8mL、6mmol)を滴下し、20分間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応の進行を確認した後、反応溶液にオクタフルオロシクロペンテン(0.63g、3mmol)を加え、−78℃で1時間撹拌した。その後、室温で3時間撹拌した後、精製水(20mL)を加え、反応を終了させた。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルをエバポレーターによって留去した。得られた混合物をカラムクロマトグラフィー[silica gel、n−ヘキサン]により目的化合物4を得た(収量0.79g、収率54%)。化学構造はH−NMR及び19F−NMRで同定した。NMRスペクトルの測定は、5φのサンプル管中に試料と重溶媒(CDCl)を加え、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて調製し、NMR装置(Bruker AVANCE III 400型)によって行った。化合物4のNMRスペクトルを図6の(a)及び(b)の上段に示す。NMRスペクトルにおいて観測される各ピークは次の通りである。
H−NMR(CDCl)δ[ppm]=7.53(m, 4H), 7.22 (m, 4H)
19F−NMR(CDCl)δ[ppm]=−131.6(m, 2F), −110.5(t, J=4.8Hz, 4F)
次に、上記の方法で合成した化合物4を用いて、Scholl反応によるフェナントレン誘導体の合成を行った。手順を以下に示す。
Figure 0006508700
化合物4(0.49g、1.0mmol)とヨウ素(0.06g、0.6mmol)をベンゼン溶液(150mL)に溶かし、アルゴン雰囲気下で30分撹拌した。この溶液に、1,2−エポキシブタン(3.0mL、35mmol)を加え、光(USHIO製、Optical Modulex)、設定条件:波長365nm、出力20mW/cm)を照射した。30分ごとにTLCで反応の進行具合を確認した。反応が進行しなくなったことを確認した後、飽和チオ硫酸ナトリウム(30mL)、精製水(30mL)、飽和塩化ナトリウム(30mL)でそれぞれ一回ずつ洗浄した。ベンゼン層を硫酸ナトリウムで乾燥後、ベンゼンをエバポレーターにより留去した。得られた混合物をn−ヘキサンを用いて再結晶を行い、化合物5を単離した(収量0.183g、収率38%)。化学構造は、前記と同様な条件でH−NMR及び19F−NMRによって同定した。化合物5のNMRスペクトルを図6の(a)及び(b)の中段に示す。NMRスペクトルにおいて観測される各ピークは次の通りである。
H−NMR(CDCl)δ[ppm]=8.71(d, J=1.8Hz, 2H)8.15(d, J=8.6Hz, 2H)、7.83(dd, J=8.6, 1.8Hz, 2H)
19F−NMR(CDCl)δ[ppm]=−128.8(m, 2F), −105.6(t, J=4.0Hz, 4F)
続いて、化合物5とフルオレン骨格を有する化合物とをそれぞれモノマー成分として使用し、共重合を行って交互共重合体を合成した。手順を以下に示す。
Figure 0006508700
化合物5(0.10g,0.207 mmol)とジオクチルフルオレンのボロン酸エステル(0.115g,0.207 mmol)をTHF(14mL)に溶解し、アルゴンによるバブリング(約3分)を行った。その後、炭酸カリウム(0.098g)の水溶液(14mL)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.012g, 0.010mmol、5 mol%)を加え、アルゴン雰囲気下、60 ℃で24時間加熱還流した。反応終了後、反応液をMeOH(ca.200mL)に投入し、析出した固体を吸引濾過し、ポリマー6を得た(収量0.131g、収率89%)。ポリマー6のNMRスペクトルを図6の(a)及び(b)の下段に示す。NMRスペクトルにおいて観測される各ピークは次の通りである。
H−NMR(CDCl)δ[ppm]=8.47−7.80(12H), 2.23−2.04(4H), 1.17−0.88(20H), 0.86−0.51(10H)
19F−NMR(CDCl)δ[ppm]=−128.6(2F), −105.4(4F)
以上のようにして合成したポリマー6は、フルオレン骨格を有する単位とフェナントレン骨格を有する単位とを含む交互共重合体であり、実施例1で得られたポリマー3とはフェナントレン骨格の結合位置が異なっている。ポリマー6は、分子量測定の結果、数平均分子量が8000で、フルオレン単位とフェナントレン単位とからなる繰返し単位の数が11であった。
<実施例3>
例示化合物番号10−1、11−1、12−1の化合物の合成
例示化合物番号10−1、11−1、12−1の化合物の合成を以下の手順で行った。
Figure 0006508700
まず、上記の例示化合物番号10−1、11−1、12−1で示されるフェナントロリン誘導体の原料となる1,2−ジ(2−ブロモピリジル)ヘキサフルオロシクロペンテン8を以下の手順に従い合成した。2,5−ジブロモピリジン7(2.37g、10mmol)を無水ジエチルエーテル(150mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、−78℃で15分撹拌した。n−BuLi(1.60M、7.5mL、12mmol)を2,5−ジブロモピリジンに対して1.2当量(eq.)になるように滴下して、1時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)にて反応の進行を確認した後、オクタフルオロシクロペンテン(OFCP:1.06g、5mmol)をそのまま加え、1時間撹拌した。その後、室温に戻し、20時間撹拌した。撹拌後、精製水(20mL)を加え反応を終了させた。反応溶液をジエチルエーテルで抽出し、ジエチルエーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジエチルエーテルをエバポレーターによる留去した。得られた混合物をカラムクロマトグラフィ(PLC)[silica gel、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:9]により目的反応物8を得た(収量0.83g、収率34%)。化学構造は、H−NMR及び19F−NMRで同定した。NMRスペクトルの測定は、5φのサンプル管中に試料と重溶媒(CDCl)を加え、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて調製し、NMR装置(Bruker AVANCE III 400型)によって行った。このもののNMRスペクトルを図7の(a)及び(b)においてそれぞれの最上段に示す。
次に、上記の方法で合成された目的反応物8を用いて、Scholl反応によってフェナントロリン誘導体(10−1、11−1、12−1)を以下の手順に従い合成した。目的反応物8(0.08296g、0.17mmol)とヨウ素(0.052g、0.204mmol)のベンゼン溶液をアルゴン雰囲気下で30分撹拌した。1,2−エポキシブタン(0.5mL)をそのまま加え、光(USHIO製のOptical Modulex、設定条件:波長365nm、出力20mW/cm)を照射した。30分ごとにTLCを測定し反応の進行具合を確認した。反応が進行しなくなったことを確認した後、飽和チオ硫酸ナトリウム(20mL)、精製水(20mL)、飽和塩化ナトリウム(20mL)でそれぞれ一回づつ洗浄し、ベンゼン層を硫酸ナトリウムで乾燥後、ベンゼンをエバポレーターにより留去した。このときの粗生成物の質量は0.0897gであった。また、この粗生成物のH−NMRの測定により、例示化合物番号10−1、11−1、12−1で示されるフェナントロリン誘導体の比率は、10−1:11−1:12−1=40:50:3であった。得られた混合物をPLC[silica gel、酢酸エチル:n−ヘキサン=2:8]により、本発明の例示化合物番号10−1、11−1、12−1で示されるフェナントロリン誘導体を得た。このとき例示化合物番号10−1、11−1で示されるフェナントロリン誘導体は、収量がそれぞれ27.5mg(収率33%)、39.8mg(収率48%)で合成される。なお、12−1で示されるフェナントロリン誘導体は精製後も少量の不純物が混じっているため、正確な収量は求まらなかった。化学構造は、前記と同様な条件でH−NMR及び19F−NMRによって同定した。本発明の示化合物番号10−1、11−1、12−1で示されるフェナントロリン誘導体のNMRスペクトルを図7の(a)及び(b)にそれぞれ示す。
このようにして合成した例示化合物番号10−1、11−1、12−1で示されるフェナントロリン誘導体は、前記目的反応物8のピリジル基の結合軸が自由に回転できるためにScholl反応における閉環化で3種の異性体を含む合成物として得られる。フェナントロリン誘導体10−1、11−1及び12−1を個別に分離して得たい場合には、分層のカラムクロマトグラフィー等による分離精製を行うことによって分離が可能である。
合成したフェナントロリン誘導体の中で、10−1及び11−1の化合物について、前記実施例1と同じ方法で単結晶X線構造解析を行った。X線構造解析によって推定される結晶構造を図8に示す。
X線構造解析の結果、図8の右側に示すように、フェナントロリン誘導体10−1、11−1は、実施例1で合成したフェナントレン骨格を有する化合物2(例示化合物8−1に相当する化合物)と同じように、平面結晶構造を有することが推定される。このように、フルオロシクロペンテンの導入によって形成された(−CF−CF−)のシクロ環構造は、フェナントロリン骨格を有する含窒素複素環化合物においても平面構造の形成を立体的に助ける骨格であることが分かった。したがって、本実施例で合成したフェナントロリン誘導体は、有機薄膜の状態で分子が膜の水平方法だけでなく、積層方向にも規則正しく配列することが可能となる構造であることから高いπ共役性を有する。
前記10−1、11−1及び12−1で示される化合物を含むフェナントロリン誘導体を分層のカラムクロマトグラフィーによって分離精製を行い、例示化合物番号10−1の化合物だけを単離した。続いて、例示化合物番号10−1で示される化合物とフルオレン骨格を有する化合物とをそれぞれモノマー成分として使用し、共重合を行って交互共重合体を合成した。手順を以下に示す。
Figure 0006508700
化合物10−1(0.10g,0.206 mmol)とジオクチルフルオレンのボロン酸エステル(0.115g,0.207 mmol)をTHF(14mL)に溶解し、アルゴンによるバブリング(約3分)を行った。その後、炭酸カリウム(0.097g)の水溶液(14mL)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.012g, 0.010mmol、5 mol%)を加え、アルゴン雰囲気下、60 ℃で24時間加熱還流した。反応終了後、反応液をMeOH(ca.100mL)に投入し、遠心分離により上澄みのMeOHを取り除き、残った固体をMeOHで洗浄した。この操作をもう一度繰り返した後、固体を吸引濾過し、ポリマー13を得た(収量0.086g、収率60%)。得られたポリマー13のNMRスペクトルを測定した結果、NMRスペクトルにおいて観測される各ピークは次の通りである。
H−NMR(CDCl)δ[ppm]=8.74−7.71(10H), 2.34−2.20(4H), 1.19−0.81(20H), 0.77−0.57(10H)
19F−NMR(CDCl)δ[ppm]=−128.4(2F), −104.8(4F)
例示化合物番号11−1又は12−1で示される化合物については、具体的な合成例を示していないが、実施例3と基本的に同じ合成方法に従って、フルオレン単位とフェナントロリン単位とを含むポリマーを得ることができる。また、例示化合物13−1で示される化合物についても、原料として前記化合物7に代えて、3,5−ジブロモピリジンを用いることによってフェナントロリン誘導体の混合物を合成した後、分層のカラムクロマトグラフィー等による分離精製を行って、実施例3と基本的に同じ合成方法でポリマーを合成することが可能となる。
以上のように、例示化合物番号8−1、9−1のフェナントレン骨格、又は10−1、11−1、12−1、13−1のフェナントロリン骨格は、水素の少なくとも1個がハロゲン元素で置換された飽和炭化水素系の環状構造の導入によって、有機溶媒に対する溶解性が高く、耐熱性に優れるだけでなく、平面構造の形成による高いπ共役性の発現に寄与する。したがって、これらの骨格を構造単位として有する実施例1〜3で得られる本発明の共重合体は、例えば、発光材料として有機発光素子に適用したときに、従来よりも光出力高輝度化及び高変換効率を得ることが可能になると推察される。また、活物質層の電極活物質として含ませる場合は、電解液のカチオン、アニオンとのπ電子の授受による電荷移動性が高くなり、高容量で高エネルギー密度を有する電気化学素子の電極としての適用が期待される。
さらに、本発明の共重合体は、有機溶媒に対して高い溶解性を有することから、環境負荷の高い特殊な有機溶媒の使用量を低減したり、そのような有機溶媒を使用する必要が無くなる。それによって、溶液塗布法による成膜を行う場合に良好な成膜性が得られ、高精細及び大面積化を図るための作業性の向上及び製造コストの低減を図ることが期待できる。このように、本発明による新規な共重合体、すなわち、縮合多環芳香族を有するポリマーは、有機発光素子を構成する発光層に含有される発光材料又は電気化学素子用の電極材料として適用することにより有機発光素子又は電気化学素子の機能及び性能の大幅な向上が期待できるため、その有用性は極めて高い。

Claims (10)

  1. フルオレン単位と、下記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)及び(6)の何れかで表される単位とを含む、縮合多環芳香族骨格を有するポリマー。
    Figure 0006508700

    Figure 0006508700

    Figure 0006508700

    Figure 0006508700

    Figure 0006508700

    Figure 0006508700
    [式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子又は塩素原子である。a、b、c、dは0又は1の整数であり、a+b+c+d=2〜4の何れかの整数である。R、R、R、R、R、R、R、R、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58は、互いに独立にして水素原子、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、核置換基を有していてもよいアリール基、アルコキシ基、アシル基、アミノ基、アミノピリジル基、又は置換されていてもよい環の構成原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の何れかを有する複素環基を示す。]
  2. 下記式(7)で表される繰返し単位を有し、該繰返し単位の数が1〜2000の交互共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマー。
    Figure 0006508700
    [式中、A、Aは、互いに独立して水素原子、炭素数が1〜22個の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数が6〜18個のアリール基、アリールオキシ基又はアラルキル基を示し、Wは前記式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)で表される基を示す。]
  3. 11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42が、フッ素原子及び塩素原子の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマー。
  4. a+b+c+d=3の整数であることを特徴とする請求項3に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマー。
  5. 11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42が、フッ素原子であることを特徴とする請求項3又は4に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマー。
  6. 、R、R、R、R、R、R、R、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58が、互いに独立して水素原子、メチル基、核置換基を有していてもよいアリール基であることを特徴とする請求項5に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマー。
  7. 、R、R、R、R、R、R、R、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58が、何れも水素原子であることを特徴とする請求項6に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマー。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを発光層の発光材料として含む発光素子。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーを活物質層の電極活物質として含む電極。
  10. 二次電池、電気二重層又は電気化学キャパシタにおける1対の電極の一方として使用されることを特徴とする請求項9に記載の電極。
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