JPH093128A - トリカルボニル基含有フッ素系重合体およびそれを用いる金属表面処理剤 - Google Patents
トリカルボニル基含有フッ素系重合体およびそれを用いる金属表面処理剤Info
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- JPH093128A JPH093128A JP15170195A JP15170195A JPH093128A JP H093128 A JPH093128 A JP H093128A JP 15170195 A JP15170195 A JP 15170195A JP 15170195 A JP15170195 A JP 15170195A JP H093128 A JPH093128 A JP H093128A
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- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05K—PRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
- H05K1/00—Printed circuits
- H05K1/02—Details
- H05K1/03—Use of materials for the substrate
- H05K1/0313—Organic insulating material
- H05K1/032—Organic insulating material consisting of one material
- H05K1/034—Organic insulating material consisting of one material containing halogen
-
- H—ELECTRICITY
- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05K—PRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
- H05K3/00—Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
- H05K3/38—Improvement of the adhesion between the insulating substrate and the metal
- H05K3/386—Improvement of the adhesion between the insulating substrate and the metal by the use of an organic polymeric bonding layer, e.g. adhesive
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- Paints Or Removers (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 金属表面に防錆、撥水、撥油性を付与する金
属表面処理剤およびそのための重合体の提供。 【構成】 下記一般式(2)で表わされるトリカルボニ
ル基含有フッ素化合物を重合して得られたトリカルボニ
ル基含有フッ素系重合体。 【化1】 〔ただし、該重合体は、エノール型も含む、また式中R
1,R2,R4は炭素数が1〜10のアルキル基、フッ素
置換アルキル基、または末端に二重結合を有する炭素数
2〜10のアルケニル基であって、かつR1,R2,R4
のうち少なくともいずれか一つは該アルケニル基および
少なくともいずれか一つはフッ素置換アルキル基であ
り、x,y,zは0または1〕
属表面処理剤およびそのための重合体の提供。 【構成】 下記一般式(2)で表わされるトリカルボニ
ル基含有フッ素化合物を重合して得られたトリカルボニ
ル基含有フッ素系重合体。 【化1】 〔ただし、該重合体は、エノール型も含む、また式中R
1,R2,R4は炭素数が1〜10のアルキル基、フッ素
置換アルキル基、または末端に二重結合を有する炭素数
2〜10のアルケニル基であって、かつR1,R2,R4
のうち少なくともいずれか一つは該アルケニル基および
少なくともいずれか一つはフッ素置換アルキル基であ
り、x,y,zは0または1〕
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は銅、鉄鋼およびアルミニ
ウム製品を主とする金属に防錆性、撥水性、撥油性等を
付与するための表面処理剤およびそのための重合体に関
する。
ウム製品を主とする金属に防錆性、撥水性、撥油性等を
付与するための表面処理剤およびそのための重合体に関
する。
【0002】
【従来の技術】各種金属に関する要求は様々である。例
えばプリント回路用の銅箔は紙−フェノール樹脂含浸基
材やガラス−エポキシ樹脂含浸基材等に加熱、加圧して
積層して、銅張積層板が形成され、これをエッチングし
て回路網を形成し、これに半導体装置等の素子を搭載す
ることにより電子機器用のボードが作られる。これらの
過程では基材との接着、加熱、酸やアルカリ液への浸
漬、レジストインクの塗布、ハンダ付け等が行われるた
め、銅箔には各種の性能が要求される。また保管時に銅
箔表面の酸化変色がないことも要求されている。これら
の要求を満たすために、黄銅層形成処理(特公昭51−
35711号公報、同54−6701号公報)やクロメ
ート処理、亜鉛または酸化亜鉛とクロム酸化物とからな
る亜鉛−クロム基混合物被覆処理等(特公昭58−70
77号公報)が行われている。しかしながら、最近、プ
リント回路が緻密化しているので、使用されるプリント
回路用銅箔に要求される特性はますます厳しくなってい
る。
えばプリント回路用の銅箔は紙−フェノール樹脂含浸基
材やガラス−エポキシ樹脂含浸基材等に加熱、加圧して
積層して、銅張積層板が形成され、これをエッチングし
て回路網を形成し、これに半導体装置等の素子を搭載す
ることにより電子機器用のボードが作られる。これらの
過程では基材との接着、加熱、酸やアルカリ液への浸
漬、レジストインクの塗布、ハンダ付け等が行われるた
め、銅箔には各種の性能が要求される。また保管時に銅
箔表面の酸化変色がないことも要求されている。これら
の要求を満たすために、黄銅層形成処理(特公昭51−
35711号公報、同54−6701号公報)やクロメ
ート処理、亜鉛または酸化亜鉛とクロム酸化物とからな
る亜鉛−クロム基混合物被覆処理等(特公昭58−70
77号公報)が行われている。しかしながら、最近、プ
リント回路が緻密化しているので、使用されるプリント
回路用銅箔に要求される特性はますます厳しくなってい
る。
【0003】又、鉄鋼製品は建築物、自動車、船舶、缶
など様々なところで使用されているが、錆びるという重
大な欠点がある。鉄製品の防錆剤には従来水溶性防錆
剤、気化性防錆剤、油性防錆剤等の各種防錆剤が使用さ
れている。一般的に水溶性防錆剤は一時的短時間の防錆
を目的とし、長期の防錆には用いられていない。また気
化性防錆剤は密閉状態で本来の防錆力を発揮するもので
ある。油性防錆剤は比較的防錆力が強く長期の防錆に耐
えるものであり、液状の防錆油、防錆添加剤や皮膜形成
剤等を揮発性有機溶剤に溶解したもの、粘着性の防錆グ
リース等がある。このように様々な防錆剤が多数開発さ
れ、それぞれの環境によって使い分けられているが、今
もなお、防錆剤の一層の充実が望まれているのが現状で
ある。又、アルミニウムまたはアルミニウム合金は軽量
であるため自動車分野において、燃費向上の観点から注
目され始めている。アルミニウム合金がパネル材として
使用される場合は、プレス成形等の加工が施された後に
塗装が行われるのが通常であり、特に自動車の外板材で
は耐食性に対する要求特性からカチオン型の電着塗装が
施されている。しかしながら、アルミニウム合金に対す
る塗装の密着性が十分に得られず、また塗装後の耐食性
も十分でないという欠点がある。
など様々なところで使用されているが、錆びるという重
大な欠点がある。鉄製品の防錆剤には従来水溶性防錆
剤、気化性防錆剤、油性防錆剤等の各種防錆剤が使用さ
れている。一般的に水溶性防錆剤は一時的短時間の防錆
を目的とし、長期の防錆には用いられていない。また気
化性防錆剤は密閉状態で本来の防錆力を発揮するもので
ある。油性防錆剤は比較的防錆力が強く長期の防錆に耐
えるものであり、液状の防錆油、防錆添加剤や皮膜形成
剤等を揮発性有機溶剤に溶解したもの、粘着性の防錆グ
リース等がある。このように様々な防錆剤が多数開発さ
れ、それぞれの環境によって使い分けられているが、今
もなお、防錆剤の一層の充実が望まれているのが現状で
ある。又、アルミニウムまたはアルミニウム合金は軽量
であるため自動車分野において、燃費向上の観点から注
目され始めている。アルミニウム合金がパネル材として
使用される場合は、プレス成形等の加工が施された後に
塗装が行われるのが通常であり、特に自動車の外板材で
は耐食性に対する要求特性からカチオン型の電着塗装が
施されている。しかしながら、アルミニウム合金に対す
る塗装の密着性が十分に得られず、また塗装後の耐食性
も十分でないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした要請
に対応できる、すなわち金属、特には銅、鉄鋼およびア
ルミニウム製品に対して、金属表面に強く吸着し、薄膜
においても防錆作用を有し、かつその表面は撥水性およ
び撥油性を有する新規な重合体およびそれを用いる金属
表面処理剤を提供することを目的とするものである。
に対応できる、すなわち金属、特には銅、鉄鋼およびア
ルミニウム製品に対して、金属表面に強く吸着し、薄膜
においても防錆作用を有し、かつその表面は撥水性およ
び撥油性を有する新規な重合体およびそれを用いる金属
表面処理剤を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究を進
めた結果、下記一般式(1)で表わされるトリカルボニ
ル基を有するフッ素系重合体などが金属表面に対して優
れた防錆作用を有し、その表面処理した金属は撥水性を
有することを見出した。本発明はかかる知見に基づきな
されたものであり、その要旨は、 (1)下記一般式(1)で表わされる繰返し単位を有す
るトリカルボニル基含有フッ素系重合体、
めた結果、下記一般式(1)で表わされるトリカルボニ
ル基を有するフッ素系重合体などが金属表面に対して優
れた防錆作用を有し、その表面処理した金属は撥水性を
有することを見出した。本発明はかかる知見に基づきな
されたものであり、その要旨は、 (1)下記一般式(1)で表わされる繰返し単位を有す
るトリカルボニル基含有フッ素系重合体、
【0006】
【化3】
【0007】〔ただし、該トリカルボニル基含有フッ素
系重合体は、上記一般式(1)の互変異性体であるエノ
ール形も含む。また、一般式(1)中、R1,R2は炭素
数1〜10のアルキル基またはフッ素置換アルキル基で
あって、かつR1,R2のうちの少なくともいずれか一つ
はフッ素置換アルキル基であり、R3は結合手または炭
素数1〜8のアルキレン基であり、x,y,zは0また
は1〕 (2)下記一般式(2)で表わされるカルボニル基含有
フッ素化合物を重合して得られたトリカルボニル基含有
フッ素系重合体、
系重合体は、上記一般式(1)の互変異性体であるエノ
ール形も含む。また、一般式(1)中、R1,R2は炭素
数1〜10のアルキル基またはフッ素置換アルキル基で
あって、かつR1,R2のうちの少なくともいずれか一つ
はフッ素置換アルキル基であり、R3は結合手または炭
素数1〜8のアルキレン基であり、x,y,zは0また
は1〕 (2)下記一般式(2)で表わされるカルボニル基含有
フッ素化合物を重合して得られたトリカルボニル基含有
フッ素系重合体、
【0008】
【化4】
【0009】〔ただし、該トリカルボニル基含有フッ素
系重合体は、上記一般式(2)の互変異性体であるエノ
ール形も含む。また、式中R1,R2,R4は炭素数が1
〜10のアルキル基、フッ素置換アルキル基、または末
端に二重結合を有する炭素数2〜10のアルケニル基で
あって、かつR1,R2,R4のうち少なくともいずれか
一つは該アルケニル基および少なくともいずれか一つは
フッ素置換アルキル基であり、x,y,zは0または
1〕 (3)上記(2)記載の一般式(2)で表わされるトリ
カルボニル基含有フッ素系化合物とこれと共重合性のビ
ニル単量体とを重合して得られたトリカルボニル基含有
フッ素系重合体。 (4)上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載された
重合体を有効成分とする金属表面処理剤にある。
系重合体は、上記一般式(2)の互変異性体であるエノ
ール形も含む。また、式中R1,R2,R4は炭素数が1
〜10のアルキル基、フッ素置換アルキル基、または末
端に二重結合を有する炭素数2〜10のアルケニル基で
あって、かつR1,R2,R4のうち少なくともいずれか
一つは該アルケニル基および少なくともいずれか一つは
フッ素置換アルキル基であり、x,y,zは0または
1〕 (3)上記(2)記載の一般式(2)で表わされるトリ
カルボニル基含有フッ素系化合物とこれと共重合性のビ
ニル単量体とを重合して得られたトリカルボニル基含有
フッ素系重合体。 (4)上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載された
重合体を有効成分とする金属表面処理剤にある。
【0010】以下に本発明をさらに詳細に説明する。上
記一般式(2)におけるR1,R2,R4は、炭素数が1
〜10のアルキル基、フッ素置換アルキル基、または末
端に二重結合を有する炭素数2〜10のアルケニル基で
あって、かつR1,R2,R4のうち少なくともいずれか
一つは該アルケニル基および少なくともいずれか一つは
フッ素置換アルキル基であれば、本発明の効果を十分発
揮できる。含フッ素炭化水素基が長いと金属に表面処理
したときにその含フッ素炭化水素基が外側に配向するた
め撥水性および撥油性を示す。炭化水素基が長いと同様
に外側に配向し撥水性を示す。ただし、R1およびR2の
両方が長いとトリカルボニル基の金属に対する吸着性が
減少するため、一方が長く他方が短いものが好ましい。
含フッ素炭化水素基が1つの場合、含フッ素炭化水素基
が長く、炭化水素基が短い方が、撥水性および撥油性が
得られるため好適である。二重結合を有する基の炭素数
は2〜10であれば本発明の効果を十分発揮するが、炭
素数が少ないと重合後のトリカルボニル基の自由度が減
少し、金属への吸着性が低下するため、炭素数が多い方
が好ましい。また、一般式(2)で表わされるトリカル
ボニル基含有フッ素系化合物を重合して得られる実質上
線状重合体である一般式(1)で表わされる繰返し単位
を有する重合体において、R1,R2,R3は前記のとお
りであり、またこれらの炭素数と発現される撥水性、撥
油性、吸着性の関係も上述のとおりである。また、一般
式(1)におけるnは5〜100000である。本発明
の上記一般式(1)で表わされる重合体として特に好ま
しいものを挙げると、例えば
記一般式(2)におけるR1,R2,R4は、炭素数が1
〜10のアルキル基、フッ素置換アルキル基、または末
端に二重結合を有する炭素数2〜10のアルケニル基で
あって、かつR1,R2,R4のうち少なくともいずれか
一つは該アルケニル基および少なくともいずれか一つは
フッ素置換アルキル基であれば、本発明の効果を十分発
揮できる。含フッ素炭化水素基が長いと金属に表面処理
したときにその含フッ素炭化水素基が外側に配向するた
め撥水性および撥油性を示す。炭化水素基が長いと同様
に外側に配向し撥水性を示す。ただし、R1およびR2の
両方が長いとトリカルボニル基の金属に対する吸着性が
減少するため、一方が長く他方が短いものが好ましい。
含フッ素炭化水素基が1つの場合、含フッ素炭化水素基
が長く、炭化水素基が短い方が、撥水性および撥油性が
得られるため好適である。二重結合を有する基の炭素数
は2〜10であれば本発明の効果を十分発揮するが、炭
素数が少ないと重合後のトリカルボニル基の自由度が減
少し、金属への吸着性が低下するため、炭素数が多い方
が好ましい。また、一般式(2)で表わされるトリカル
ボニル基含有フッ素系化合物を重合して得られる実質上
線状重合体である一般式(1)で表わされる繰返し単位
を有する重合体において、R1,R2,R3は前記のとお
りであり、またこれらの炭素数と発現される撥水性、撥
油性、吸着性の関係も上述のとおりである。また、一般
式(1)におけるnは5〜100000である。本発明
の上記一般式(1)で表わされる重合体として特に好ま
しいものを挙げると、例えば
【0011】
【化5】
【0012】などがある。ただし、上記化合物はケト形
のみ記載しているが、下記式で示すようにケト形とエノ
ール形の互変異性体で存在しており、エノール形につい
ても本特許の請求範囲に含まれる(以下、ケト形のみを
記載するが、エノール形も含まれているものとする)。
のみ記載しているが、下記式で示すようにケト形とエノ
ール形の互変異性体で存在しており、エノール形につい
ても本特許の請求範囲に含まれる(以下、ケト形のみを
記載するが、エノール形も含まれているものとする)。
【0013】
【化6】
【0014】本発明の上記一般式(1)で表わされるト
リカルボニル基を有する繰返し単位を有する重合体は、
まず反応式(3)で表わされる反応により二重結合を有
するフッ素系トリカルボニル化合物(2’)を合成した
後、これを単量体として重合開始剤により重合すること
により得られる。また、共重合体は下記二重結合を有す
るフッ素系トリカルボニル化合物と他の重合性ビニル単
量体を重合開始剤により共重合することにより得られ
る。このビニル共単量体としては共重合性を有するもの
であればとくに制限はない。
リカルボニル基を有する繰返し単位を有する重合体は、
まず反応式(3)で表わされる反応により二重結合を有
するフッ素系トリカルボニル化合物(2’)を合成した
後、これを単量体として重合開始剤により重合すること
により得られる。また、共重合体は下記二重結合を有す
るフッ素系トリカルボニル化合物と他の重合性ビニル単
量体を重合開始剤により共重合することにより得られ
る。このビニル共単量体としては共重合性を有するもの
であればとくに制限はない。
【0015】
【化7】
【0016】〔ただし、上記式中、R1,R2,R4は炭
素数1〜10のアルキル基、フッ素置換アルキル基、ま
たは末端に二重結合を有する炭素数2〜10のアルケニ
ル基であって、かつR1,R2,R4のいずれか一つのみ
が該アルケニル基で、他の少なくともいずれか一つはフ
ッ素置換アルキル基であり、x,y,zは0または1を
示す〕 また、前記一般式(2)で表わされる化合物は、上記一
般式(2’)で表わされるトリカルボニル化合物を包含
するとともに該化合物におけるR1,R2,R4のいずれ
か二つが末端に二重結合を有するアルケニル基である場
合も包含している。このようなトリカルボニル化合物を
単量体として重合する場合には重合体間の架橋反応も生
起し、架橋した部分も含む重合体が得られる。この重合
体を金属表面上に塗布することにより、より耐久性に優
れた被膜を形成することができる。また、得られた重合
体に二重結合を残存させることもできるので、重合体組
成物を被覆後加熱処理することによりさらに強固な被膜
を形成することができる。
素数1〜10のアルキル基、フッ素置換アルキル基、ま
たは末端に二重結合を有する炭素数2〜10のアルケニ
ル基であって、かつR1,R2,R4のいずれか一つのみ
が該アルケニル基で、他の少なくともいずれか一つはフ
ッ素置換アルキル基であり、x,y,zは0または1を
示す〕 また、前記一般式(2)で表わされる化合物は、上記一
般式(2’)で表わされるトリカルボニル化合物を包含
するとともに該化合物におけるR1,R2,R4のいずれ
か二つが末端に二重結合を有するアルケニル基である場
合も包含している。このようなトリカルボニル化合物を
単量体として重合する場合には重合体間の架橋反応も生
起し、架橋した部分も含む重合体が得られる。この重合
体を金属表面上に塗布することにより、より耐久性に優
れた被膜を形成することができる。また、得られた重合
体に二重結合を残存させることもできるので、重合体組
成物を被覆後加熱処理することによりさらに強固な被膜
を形成することができる。
【0017】上記反応式(3)に表わされる化合物A
は、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリ
ルクロリド、t−ブチルアセチルクロリド、2−エチル
ブチリルクロリド、バレリルクロリド、イソバレリルク
ロリド、2−メチルバレリルクロリド、ヘキサノイルク
ロリド、2−エチルヘキサノイルクロリド、ヘプタノイ
ルクロリド、オクタノイルクロリド、ノナノイルクロリ
ド、デカノイルクロリド、アクリル酸クロリド、10−
ウンデセノイルクロリド、パーフルオロアセチルクロリ
ド、パーフルオロプロピオニルクロリド、パーフルオロ
ブチリルクロリド、パーフルオロペンタノイルクロリ
ド、パーフルオロヘキサノイルクロリド、パーフルオロ
ヘプタノイルクロリド、パーフルオロオクタノイルクロ
リド、パーフルオロノナノイルクロノド、パーフルオロ
デカノイルクロリド、パーフルオロウンデセノイルクロ
リド等である。又、カルボン酸およびフッ素系カルボン
酸を塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン等により酸
クロリド化してもよい。上記反応式(3)に表わされて
いるジカルボニル化合物は、2,4−ペンタンジオン、
2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオ
ン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸
n−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、プロピオニル酢酸
エチル、ブチリル酢酸エチル、ジメチルマロネート、ジ
エチルマロネート、アセト酢酸アリル、1,1,1−ト
リフルオロ−2,4−ペンタンジオン、エチル−4,
4,4−トリフルオロアセトアセテート等が挙げられ
る。
は、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリ
ルクロリド、t−ブチルアセチルクロリド、2−エチル
ブチリルクロリド、バレリルクロリド、イソバレリルク
ロリド、2−メチルバレリルクロリド、ヘキサノイルク
ロリド、2−エチルヘキサノイルクロリド、ヘプタノイ
ルクロリド、オクタノイルクロリド、ノナノイルクロリ
ド、デカノイルクロリド、アクリル酸クロリド、10−
ウンデセノイルクロリド、パーフルオロアセチルクロリ
ド、パーフルオロプロピオニルクロリド、パーフルオロ
ブチリルクロリド、パーフルオロペンタノイルクロリ
ド、パーフルオロヘキサノイルクロリド、パーフルオロ
ヘプタノイルクロリド、パーフルオロオクタノイルクロ
リド、パーフルオロノナノイルクロノド、パーフルオロ
デカノイルクロリド、パーフルオロウンデセノイルクロ
リド等である。又、カルボン酸およびフッ素系カルボン
酸を塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン等により酸
クロリド化してもよい。上記反応式(3)に表わされて
いるジカルボニル化合物は、2,4−ペンタンジオン、
2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオ
ン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸
n−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、プロピオニル酢酸
エチル、ブチリル酢酸エチル、ジメチルマロネート、ジ
エチルマロネート、アセト酢酸アリル、1,1,1−ト
リフルオロ−2,4−ペンタンジオン、エチル−4,
4,4−トリフルオロアセトアセテート等が挙げられ
る。
【0018】上記反応式(3)の反応は文献(M.W.
Rathke,P.J.,Cowan,J.Org.C
hem.,50,2622,1988またはJ.Ska
rzewski,Tetrahedron,45,45
93,1989)に基づいて合成できる。すなわち、反
応溶媒にジカルボニル化合物と塩化マグネシウムまたは
マグネシウム等を混合して混合溶液を得、この混合溶液
中にアミンおよび化合物Aを順次滴下する。そしてこれ
らを滴下後、反応を十分行わせるために、還流すること
が好ましい。反応時間は5分〜24時間程度で十分であ
る。反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、塩化メチ
レン、アセトニトリル等が好適である。また、この反応
は水分を嫌うので気相から水分が混入しないように、乾
燥した窒素、アルゴン等の水分を含まない気体の雰囲気
下で行うことが好ましい。反応混合物はカラムクロマト
グラフィー、抽出、蒸留等の既知の手段により精製さ
れ、単離されうるが、蒸留する方法が簡便で好ましい。
Rathke,P.J.,Cowan,J.Org.C
hem.,50,2622,1988またはJ.Ska
rzewski,Tetrahedron,45,45
93,1989)に基づいて合成できる。すなわち、反
応溶媒にジカルボニル化合物と塩化マグネシウムまたは
マグネシウム等を混合して混合溶液を得、この混合溶液
中にアミンおよび化合物Aを順次滴下する。そしてこれ
らを滴下後、反応を十分行わせるために、還流すること
が好ましい。反応時間は5分〜24時間程度で十分であ
る。反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、塩化メチ
レン、アセトニトリル等が好適である。また、この反応
は水分を嫌うので気相から水分が混入しないように、乾
燥した窒素、アルゴン等の水分を含まない気体の雰囲気
下で行うことが好ましい。反応混合物はカラムクロマト
グラフィー、抽出、蒸留等の既知の手段により精製さ
れ、単離されうるが、蒸留する方法が簡便で好ましい。
【0019】上記二重結合を有する一般式(2)および
(2’)で表わされるフッ素系トリカルボニル化合物の
重合及び他の重合性化合物との共重合は、ラジカル重
合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の一般的
な重合方法により得ることができる。しかし、アゾビス
イソブチロニトリル、クメンヒドロパーオキサイド、ジ
ターシャリーブチルパーオキサイド等の開始剤を用いて
ラジカル重合する方法が簡便で好ましい。また、これら
の重合物および共重合物は再沈殿等の既知の手段により
精製される。他の重合性化合物としてはビニル基、アク
リル基、メタクリル基等を有する化合物であれば本発明
の効果を十分発揮する。また、数種類の重合性化合物と
の共重合でも本発明の効果を十分発揮する。
(2’)で表わされるフッ素系トリカルボニル化合物の
重合及び他の重合性化合物との共重合は、ラジカル重
合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の一般的
な重合方法により得ることができる。しかし、アゾビス
イソブチロニトリル、クメンヒドロパーオキサイド、ジ
ターシャリーブチルパーオキサイド等の開始剤を用いて
ラジカル重合する方法が簡便で好ましい。また、これら
の重合物および共重合物は再沈殿等の既知の手段により
精製される。他の重合性化合物としてはビニル基、アク
リル基、メタクリル基等を有する化合物であれば本発明
の効果を十分発揮する。また、数種類の重合性化合物と
の共重合でも本発明の効果を十分発揮する。
【0020】上記トリカルボニル基含有フッ素系重合組
成物を金属表面処理剤として用いる場合、その対象金属
には特に制限はないが、銅、鉄鋼、アルミニウムおよび
それらの合金等の表面処理剤として用いることが好適で
ある。又、その膜厚は金属の種類および用途によってそ
れぞれ異なるが、数分子層〜数百μmが好ましい。上記
トリカルボニル基含有フッ素系重合組成物は、メタノー
ル、エタノール等のアルコール類、アセトン、酢酸エチ
ル等の溶剤で0.001〜20重量%になるように希釈
し、この液に金属を浸漬させる方法またはこの液を金属
にシャワーする方法で塗布することが簡便で好ましい。
成物を金属表面処理剤として用いる場合、その対象金属
には特に制限はないが、銅、鉄鋼、アルミニウムおよび
それらの合金等の表面処理剤として用いることが好適で
ある。又、その膜厚は金属の種類および用途によってそ
れぞれ異なるが、数分子層〜数百μmが好ましい。上記
トリカルボニル基含有フッ素系重合組成物は、メタノー
ル、エタノール等のアルコール類、アセトン、酢酸エチ
ル等の溶剤で0.001〜20重量%になるように希釈
し、この液に金属を浸漬させる方法またはこの液を金属
にシャワーする方法で塗布することが簡便で好ましい。
【0021】
I.トリカルボニル基含有フッ素系重合体の合成 (アセト酢酸アリルとパーフルオロオクタノイルクロリ
ドとの反応)
ドとの反応)
【0022】
【化8】
【0023】温度計、還流冷却器、滴下ロートを取り付
けた500mlの四つ口フラスコを十分アルゴンで置換
した後、アセト酢酸アリル0.046mol(6.6
g)、ヘキサン110ml、マグネシウム0.026m
ol(0.63g)を入れた。50℃に加熱した後、パ
ーフルオロオクタノイルクロリド0.046mol(2
0.0g)を滴下した。滴下後、3時間還流した。反応
混合物を室温まで冷却後濾過し、未反応のマグネシウム
と固体の副生成物を除去した。溶媒を除去後、減圧蒸留
により二重結合を有するフッ素系トリカルボニル化合物
a14.6gを得た(沸点:78.0〜80.5℃/
1.3mmHg、収率:58.7%)。得られた化合物
はGCにより単成分であることを確認し、1H−NM
R、13C−NMR、FT−IRにより同定した。これら
の結果を図1〜3に示す。図1〜3に示すように、下記
の各シグナルが認められた。本化合物aは、1H−NM
Rの積分比より、ほとんどエノール形で存在することが
確認された。
けた500mlの四つ口フラスコを十分アルゴンで置換
した後、アセト酢酸アリル0.046mol(6.6
g)、ヘキサン110ml、マグネシウム0.026m
ol(0.63g)を入れた。50℃に加熱した後、パ
ーフルオロオクタノイルクロリド0.046mol(2
0.0g)を滴下した。滴下後、3時間還流した。反応
混合物を室温まで冷却後濾過し、未反応のマグネシウム
と固体の副生成物を除去した。溶媒を除去後、減圧蒸留
により二重結合を有するフッ素系トリカルボニル化合物
a14.6gを得た(沸点:78.0〜80.5℃/
1.3mmHg、収率:58.7%)。得られた化合物
はGCにより単成分であることを確認し、1H−NM
R、13C−NMR、FT−IRにより同定した。これら
の結果を図1〜3に示す。図1〜3に示すように、下記
の各シグナルが認められた。本化合物aは、1H−NM
Rの積分比より、ほとんどエノール形で存在することが
確認された。
【0024】
【化9】
【0025】 〔図1.1H−NMR(CDCl3,δppm)〕 a:2.1,2.3(3H) b:13.5,15.8(エノール形),3.5(ケト
形) c:4.7〜4.8(2H) d:5.8〜5.9(1H) e:5.3〜5.4(2H) 〔図2.13C−NMR(CDCl3,δppm)〕 a:20.0,23.5 b:102.7,109.2(エノール形),50.0
(ケト形) c:67.0 d:130.7 e:119.9 f:184.4〜194.6 g:164.6,169.9 h:178.4,186.5 i:103.0〜116.0 〔図3.IR(cm-1)〕 νCF:1100〜1260、νC=O:1570〜180
0 (重合反応1)温度計、還流冷却器、滴下ロートを取り
付けた100mlの四つ口フラスコを十分アルゴンで置
換した後、上記のようにして得られた二重結合を有する
フッ素系トリカルボニル化合物aを5.0g、ジ−t−
ブチルパーオキサイド0.5gを入れた。150℃で2
4時間撹拌し重合反応を行った後、反応混合物をテトラ
ヒドロフラン5mlに溶解し、その溶液をヘキサン30
0ml中に添加した。析出した重合物をヘキサンで洗浄
した後、減圧乾燥しトリカルボニル基含有フッ素系重合
体Aを得た(収量:0.96g)。本重合体は13C−N
MRでトリカルボニル基のカルボニル炭素に基づくピー
クが160〜200ppmにあらわれ、トリカルボニル
基の中心炭素に基づくピークが50ppm(ケト形)と
93ppm(エノール形)に現われていることが確認さ
れた。またFT−IRより、パーフルオロアルキル基に
基づくピーク(1100〜1260cm-1)が確認され
た。すなわちこの重合体は、前記式(1−1)で表わさ
れる繰返し単位を有する実質線状構造をもつ、赤褐色の
粘性液体であり、GPC(ポリスチレン換算)により重
量平均分子量が約1000のオリゴマーであることが確
認された。
形) c:4.7〜4.8(2H) d:5.8〜5.9(1H) e:5.3〜5.4(2H) 〔図2.13C−NMR(CDCl3,δppm)〕 a:20.0,23.5 b:102.7,109.2(エノール形),50.0
(ケト形) c:67.0 d:130.7 e:119.9 f:184.4〜194.6 g:164.6,169.9 h:178.4,186.5 i:103.0〜116.0 〔図3.IR(cm-1)〕 νCF:1100〜1260、νC=O:1570〜180
0 (重合反応1)温度計、還流冷却器、滴下ロートを取り
付けた100mlの四つ口フラスコを十分アルゴンで置
換した後、上記のようにして得られた二重結合を有する
フッ素系トリカルボニル化合物aを5.0g、ジ−t−
ブチルパーオキサイド0.5gを入れた。150℃で2
4時間撹拌し重合反応を行った後、反応混合物をテトラ
ヒドロフラン5mlに溶解し、その溶液をヘキサン30
0ml中に添加した。析出した重合物をヘキサンで洗浄
した後、減圧乾燥しトリカルボニル基含有フッ素系重合
体Aを得た(収量:0.96g)。本重合体は13C−N
MRでトリカルボニル基のカルボニル炭素に基づくピー
クが160〜200ppmにあらわれ、トリカルボニル
基の中心炭素に基づくピークが50ppm(ケト形)と
93ppm(エノール形)に現われていることが確認さ
れた。またFT−IRより、パーフルオロアルキル基に
基づくピーク(1100〜1260cm-1)が確認され
た。すなわちこの重合体は、前記式(1−1)で表わさ
れる繰返し単位を有する実質線状構造をもつ、赤褐色の
粘性液体であり、GPC(ポリスチレン換算)により重
量平均分子量が約1000のオリゴマーであることが確
認された。
【0026】(共重合反応1)温度計、還流冷却器、滴
下ロートを取り付けた100mlの四つ口フラスコを十
分アルゴンで置換した後、上記のようにして得られた二
重結合を有するフッ素系トリカルボニル化合物aを2.
0g、下記二重結合を有するトリカルボニル化合物
(X)を1.0g、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.
3gを入れた。150℃で2.5時間撹拌し重合反応を
行った後、反応混合物をテトラヒドロフラン5mlに溶
解し、その溶液をメタノール300ml中に添加した。
析出した重合物をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥し
トリカルボニル基含有フッ素系重合体Bを得た(収量:
0.7g)。本重合体は13C−NMRでトリカルボニル
基のカルボニル基に基づくピークが160〜210pp
mにあらわれ、トリカルボニル基の中心炭素に基づくピ
ークが50ppm、65ppm付近(ケト形)、100
〜110ppm付近(エノール形)に現われていること
が確認した。またFT−IRより、パーフルオロアルキ
ル基に基づくピーク(1100〜1260cm−1)、
アルキル基、アルキレン基に基づくピーク(2800〜
3000cm−1)が確認された。すなわちこの共重合
体は、前記式(1−1)の単位と下記のトリカルボニル
化合物(X)の単位とからなる実質線状の淡黄色の透明
な粘性液体であり、GPC(ポリスチレン換算)により
重量平均分子量が数万の高分子化合物であることが確認
された。
下ロートを取り付けた100mlの四つ口フラスコを十
分アルゴンで置換した後、上記のようにして得られた二
重結合を有するフッ素系トリカルボニル化合物aを2.
0g、下記二重結合を有するトリカルボニル化合物
(X)を1.0g、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.
3gを入れた。150℃で2.5時間撹拌し重合反応を
行った後、反応混合物をテトラヒドロフラン5mlに溶
解し、その溶液をメタノール300ml中に添加した。
析出した重合物をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥し
トリカルボニル基含有フッ素系重合体Bを得た(収量:
0.7g)。本重合体は13C−NMRでトリカルボニル
基のカルボニル基に基づくピークが160〜210pp
mにあらわれ、トリカルボニル基の中心炭素に基づくピ
ークが50ppm、65ppm付近(ケト形)、100
〜110ppm付近(エノール形)に現われていること
が確認した。またFT−IRより、パーフルオロアルキ
ル基に基づくピーク(1100〜1260cm−1)、
アルキル基、アルキレン基に基づくピーク(2800〜
3000cm−1)が確認された。すなわちこの共重合
体は、前記式(1−1)の単位と下記のトリカルボニル
化合物(X)の単位とからなる実質線状の淡黄色の透明
な粘性液体であり、GPC(ポリスチレン換算)により
重量平均分子量が数万の高分子化合物であることが確認
された。
【0027】
【化10】
【0028】(共重合反応2)温度計、還流冷却器、滴
下ロートを取り付けた100mlの四つ口フラスコを十
分アルゴンで置換した後、上記のようにして得られた二
重結合を有するフッ素系トリカルボニル化合物aを2.
0g、下記二重結合を有するトリカルボニル化合物
(Y)を1.0g、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.
3gを入れた。150℃で1時間撹拌し重合反応を行っ
た後、反応混合物をテトラヒドロフラン5mlに溶解
し、その溶液をメタノール300ml中に添加した。析
出した重合物をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥しト
リカルボニル基含有フッ素系重合体Cを得た(収量:
0.7g)。本共重合体はFT−IRよりパーフルオロ
アルキル基に基づくピーク(1100〜1260c
m-1)、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基に基
づくピーク(2800〜3100cm-1)、トリカルボ
ニル基に基づくピーク(1570〜1800cm-1)が
確認された。すなわちこの共重合体は、前記式(1−
1)の単位と下記のトリカルボニル化合物の共単量体単
位とからなる実質線状の淡黄色の透明な粘性液体であ
り、GPC(ポリスチレン換算)により重量平均分子量
が数千の高分子化合物であることが確認された。
下ロートを取り付けた100mlの四つ口フラスコを十
分アルゴンで置換した後、上記のようにして得られた二
重結合を有するフッ素系トリカルボニル化合物aを2.
0g、下記二重結合を有するトリカルボニル化合物
(Y)を1.0g、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.
3gを入れた。150℃で1時間撹拌し重合反応を行っ
た後、反応混合物をテトラヒドロフラン5mlに溶解
し、その溶液をメタノール300ml中に添加した。析
出した重合物をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥しト
リカルボニル基含有フッ素系重合体Cを得た(収量:
0.7g)。本共重合体はFT−IRよりパーフルオロ
アルキル基に基づくピーク(1100〜1260c
m-1)、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基に基
づくピーク(2800〜3100cm-1)、トリカルボ
ニル基に基づくピーク(1570〜1800cm-1)が
確認された。すなわちこの共重合体は、前記式(1−
1)の単位と下記のトリカルボニル化合物の共単量体単
位とからなる実質線状の淡黄色の透明な粘性液体であ
り、GPC(ポリスチレン換算)により重量平均分子量
が数千の高分子化合物であることが確認された。
【0029】
【化11】
【0030】II.銅に対する防錆試験 電解銅箔(日鉱グールド・フォイル製、JTC箔、厚さ
75μm、4.5×4.5cm)をアセトンで脱脂し、
3%の硫酸水溶液で洗浄した。この銅箔に上記のトリカ
ルボニル基含有フッ素系重合体A〜Cの6%テトラヒド
ロフラン溶液をスピンコーターで塗布後、150℃、3
0分間乾燥させ、0.3μmのトリカルボニル基含有フ
ッ素系重合体の薄膜を作成し、これを試験片とした。こ
の試験片の水およびドデカンに対する接触角を測定した
結果を表1に示した。また比較としてなにも塗布してい
ない銅箔の水およびドデカンに対する接触角を表1に併
せて示した。上記試験片を温度80℃、湿度95%の恒
温恒湿槽に24時間入れ、変色の程度で耐湿性を評価し
た。この結果を表1に示した。また比較としてなにも塗
布していない銅箔についても同様に評価した。その結果
を表1に併せて示した。
75μm、4.5×4.5cm)をアセトンで脱脂し、
3%の硫酸水溶液で洗浄した。この銅箔に上記のトリカ
ルボニル基含有フッ素系重合体A〜Cの6%テトラヒド
ロフラン溶液をスピンコーターで塗布後、150℃、3
0分間乾燥させ、0.3μmのトリカルボニル基含有フ
ッ素系重合体の薄膜を作成し、これを試験片とした。こ
の試験片の水およびドデカンに対する接触角を測定した
結果を表1に示した。また比較としてなにも塗布してい
ない銅箔の水およびドデカンに対する接触角を表1に併
せて示した。上記試験片を温度80℃、湿度95%の恒
温恒湿槽に24時間入れ、変色の程度で耐湿性を評価し
た。この結果を表1に示した。また比較としてなにも塗
布していない銅箔についても同様に評価した。その結果
を表1に併せて示した。
【0031】
【表1】
【0032】III.炭素鋼に対する防錆試験 炭素鋼(S.45C、日本テストパネル製、厚さ2.0
mm、5.5×5.5cm)を1000番のサンドペー
パーで研磨後、アセトンで5分間超音波洗浄した。この
炭素鋼表面に上記のトリカルボニル基を有するフッ素系
重合体A〜Cの所定濃度テトラヒドロフラン溶液(濃度
は表2参照)をスピンコーター(500回転、60秒)
で塗布後、150℃、30分間乾燥させ、トリカルボニ
ル基含有フッ素系重合体A〜Cの薄膜を作成し、これを
試験片とした。この試験片の水およびドデカンに対する
接触角を測定した結果を表2に示した。また、比較とし
て何も塗布していない炭素鋼の水およびドデカンに対す
る接触角を表2に併せて示した。この試験片を温度80
℃、湿度95%の恒温恒湿槽に24時間入れ、変色の程
度で耐湿性を評価した。結果を表2に示した。また3%
塩化ナトリウム水溶液中に24時間浸漬し、変色の程度
で耐塩水性を評価した。その結果を表2に示した。また
比較として何も塗布していない炭素鋼についても同様に
評価した。その結果を表2に併せて示した。
mm、5.5×5.5cm)を1000番のサンドペー
パーで研磨後、アセトンで5分間超音波洗浄した。この
炭素鋼表面に上記のトリカルボニル基を有するフッ素系
重合体A〜Cの所定濃度テトラヒドロフラン溶液(濃度
は表2参照)をスピンコーター(500回転、60秒)
で塗布後、150℃、30分間乾燥させ、トリカルボニ
ル基含有フッ素系重合体A〜Cの薄膜を作成し、これを
試験片とした。この試験片の水およびドデカンに対する
接触角を測定した結果を表2に示した。また、比較とし
て何も塗布していない炭素鋼の水およびドデカンに対す
る接触角を表2に併せて示した。この試験片を温度80
℃、湿度95%の恒温恒湿槽に24時間入れ、変色の程
度で耐湿性を評価した。結果を表2に示した。また3%
塩化ナトリウム水溶液中に24時間浸漬し、変色の程度
で耐塩水性を評価した。その結果を表2に示した。また
比較として何も塗布していない炭素鋼についても同様に
評価した。その結果を表2に併せて示した。
【0033】
【表2】
【0034】IV.アルミニウムに対する防錆試験 アルミ板(A5052P、日本テストパネル製、厚さ
2.0mm、5.5×5.5cm)をアセトンで5分間
超音波洗浄し、5%Na2CO3水溶液に30分間浸漬後
水洗した。このアルミ板表面に上記のカルボニル基含有
フッ素系重合体A〜Cの2%テトラヒドロフラン溶液を
スピンコーター(500回転、60秒)で塗布後、15
0℃、30分間乾燥させ、カルボニル基含有フッ素系重
合体の薄膜を作成し、これを試験片した。この試験片の
水およびドデカンに対する接触角を測定した結果を表3
に示した。また、比較として何も塗布していないアルミ
板の水およびドデカンに対する接触角を表3に併せて示
した。この試験片を沸騰水に1時間浸漬し、変色の程度
で耐湿性を評価した。結果を表3に示した。また比較と
して何も塗布していないアルミニウムについても同様に
評価した。その結果を表3に併せて示した。
2.0mm、5.5×5.5cm)をアセトンで5分間
超音波洗浄し、5%Na2CO3水溶液に30分間浸漬後
水洗した。このアルミ板表面に上記のカルボニル基含有
フッ素系重合体A〜Cの2%テトラヒドロフラン溶液を
スピンコーター(500回転、60秒)で塗布後、15
0℃、30分間乾燥させ、カルボニル基含有フッ素系重
合体の薄膜を作成し、これを試験片した。この試験片の
水およびドデカンに対する接触角を測定した結果を表3
に示した。また、比較として何も塗布していないアルミ
板の水およびドデカンに対する接触角を表3に併せて示
した。この試験片を沸騰水に1時間浸漬し、変色の程度
で耐湿性を評価した。結果を表3に示した。また比較と
して何も塗布していないアルミニウムについても同様に
評価した。その結果を表3に併せて示した。
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のトリカル
ボニル基含有フッ素系重合体は金属表面処理剤、特に
銅、鉄鋼、アルミニウムの表面処理剤として有用なもの
で、優れた防錆作用を有し、かつその表面は撥水性およ
び撥油性を付与するものである。
ボニル基含有フッ素系重合体は金属表面処理剤、特に
銅、鉄鋼、アルミニウムの表面処理剤として有用なもの
で、優れた防錆作用を有し、かつその表面は撥水性およ
び撥油性を付与するものである。
【図1】実施例で得られた単量体の1H−NMR、
【図2】同13C−NMR、
【図3】同FT−IR。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/08 PQE C09D 5/08 PQE
Claims (4)
- 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされる繰返し単
位を有するトリカルボニル基含有フッ素系重合体。 【化1】 〔ただし、該トリカルボニル基含有フッ素系重合体は、
上記一般式(1)の互変異性体であるエノール形も含
む。また、一般式(1)中、R1,R2は炭素数1〜10
のアルキル基またはフッ素置換アルキル基であって、か
つR1,R2のうちの少なくともいずれか一つはフッ素置
換アルキル基であり、R3は結合手または炭素数1〜8
のアルキレン基であり、x,y,zは0または1〕 - 【請求項2】 下記一般式(2)で表わされるトリカル
ボニル基含有フッ素化合物を重合して得られたトリカル
ボニル基含有フッ素系重合体。 【化2】 〔ただし、該トリカルボニル基含有フッ素系重合体は、
上記一般式(2)の互変異性体であるエノール形も含
む。また、式中R1,R2,R4は炭素数が1〜10のア
ルキル基、フッ素置換アルキル基、または末端に二重結
合を有する炭素数2〜10のアルケニル基であって、か
つR1,R2,R4のうち少なくともいずれか一つは該ア
ルケニル基および少なくともいずれか一つはフッ素置換
アルキル基であり、x,y,zは0または1〕 - 【請求項3】 請求項2記載の一般式(2)で表わされ
るトリカルボニル基含有フッ素系化合物とこれと共重合
性のビニル単量体とを重合して得られたトリカルボニル
基含有フッ素系重合体。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一つに記載され
た重合体を有効成分とする金属表面処理剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15170195A JPH093128A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | トリカルボニル基含有フッ素系重合体およびそれを用いる金属表面処理剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15170195A JPH093128A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | トリカルボニル基含有フッ素系重合体およびそれを用いる金属表面処理剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH093128A true JPH093128A (ja) | 1997-01-07 |
Family
ID=15524383
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15170195A Pending JPH093128A (ja) | 1995-06-19 | 1995-06-19 | トリカルボニル基含有フッ素系重合体およびそれを用いる金属表面処理剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH093128A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015052115A (ja) * | 2010-09-29 | 2015-03-19 | Jsr株式会社 | 重合体 |
WO2019066045A1 (ja) * | 2017-09-29 | 2019-04-04 | 国立大学法人 東京大学 | 金属イオンを捕捉する材料 |
-
1995
- 1995-06-19 JP JP15170195A patent/JPH093128A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2015057477A (ja) * | 2010-09-29 | 2015-03-26 | Jsr株式会社 | 重合体 |
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